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血中カルシウム濃度に関連する遺伝子多型が冠動脈疾患・心筋梗塞発症に関与するか(解説:今井 靖 氏)-708

 カルシウム濃度あるいはカルシウム経口補充に伴うカルシウム血中濃度上昇が、冠動脈疾患・心筋梗塞に関連するとするいくつかの疫学研究がある。しかし、ヒトの長い生涯におけるカルシウム濃度上昇が、冠動脈イベント発症に関連するか否かについては明らかではない。 今回の論文では、メンデル無作為群間比較Mendelian randomizationという遺伝疫学手法でアプローチが行われている。この方法は、生下時から遺伝的に規定されている遺伝子型別に中間形質とその後の最終表現型(イベント発症)を検証するもので、「ポストゲノム時代の自然が行うランダム化試験」といわれている。2008年ごろから行われるようになり、例を出せば、中間表現型(たとえばhs-CRP)と最終表現型(たとえば心筋梗塞)との因果関係を証明するために、そのもととなる遺伝子多型(たとえばCRP産生に関与する遺伝子多型)と最終表現型(心筋梗塞)との関連を示すものであり、最近の代表的な研究のひとつとして、LDLコレステロール低値が冠動脈疾患発症低下につながることを、LDLコレステロール低下を伴うPCSK9遺伝子多型が冠動脈疾患発症低下に関与することで示した報告も、この手法によるものであり、この遺伝疫学的研究手法の有用性が理解されてきている。 今回の論文では、カルシウム血中濃度に相関することが大規模なゲノム解析で検出された7つの一塩基多型SNPについて糖尿病、脂質異常症、肥満などの冠危険因子に相関するものを1つ除いた後の6SNPsに関して、欧米人主体の冠動脈疾患患者6万801例、非罹患者12万3,504例で遺伝子多型頻度を調査したところ、遺伝素因から推定されるCa血中濃度が0.5mg/dL(ほぼ1SDに相当)上昇は、冠動脈疾患、心筋梗塞をそれぞれオッズ比1.25、1.24と有意に上昇させることが示されている。 ただ、この研究の限界として、個々のSNPが必ずしも冠動脈疾患・心筋梗塞発症との関連が示されていないことがある。また、この研究成果からカルシウム経口補充をどうするのかといった点、日本人にその成果を外挿できるかどうかについては回答は得られない。

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2次予防のLDL-C管理が厳格に―動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017

 日本動脈硬化学会が、先般「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」を改訂した。2012年から5年ぶりとなる。今回の改訂のポイントとしては、従来、NIPPON DATA80を使用していた絶対リスク評価を吹田スコアに変更したことと、動脈硬化性疾患の2次予防のLDL-C管理目標値が100mg/dLから70mg/dLに変更され、より厳格化されたことなどが挙げられる。 以下、主だった改訂点を紹介する。1.クリニカルクエスチョンとシステマティックレビューの導入 「危険因子の評価における脂質異常症」「動脈硬化性疾患の絶対リスクと脂質管理目標値」「生活習慣の改善における食事療法と薬物療法」を取り扱う項において、クリニカルクエスチョンとシステマティックレビューを初めて導入した。システマティックレビューの対象文献は2015年末までに報告されたものとなる。2.絶対リスクの算出法に吹田スタディを採用 リスクの評価については、絶対リスクで行うことを今改訂でも継続する。ただし、リスクの算出方法については、NIPPON DATA80から吹田スコアに変更された。従来のNIPPON DATA80は、スタチンがない時代にベースライン調査が行われており、自然歴の観察に適しているなど有用性は高いものの、アウトカムが「発症」ではなく「死亡」であること、LDL-CやHDL-Cの情報がないことなど、いくつかの問題点があった。一方、吹田スタディは冠動脈疾患の「発症」がアウトカムであり、全体リスク評価を冠動脈疾患発症率とすることにより、各リスクの重要性がより明確に提示できるようになる。3.高リスク病態の追加 動脈硬化リスクをより広く集めるという観点から、高リスク病態として従前挙げていた糖尿病や高血圧に加え、高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群も考慮すべき病態として新たに追加した。動脈硬化病変への関与やその程度についてはそれぞれ差があるものと考えられるが、包括的管理の観点から念頭に置くべきとしている。4.2次予防における高リスク病態でのLDL-C管理の厳格化 家族性高コレステロール血症や急性冠症候群など、2次予防での高リスク病態においては、従来のLDL-C管理目標値を「<100mg/dL」から「<70 mg/dL」に変更。より厳格なLDL-C管理が提言されている。5.家族性高コレステロール(FH)の記載拡充 PCSK9阻害薬などの新薬が登場したことや、小児FHへのスタチン適応拡大(2015年6月より10歳以上の小児FHに対しピタバスタチンを適応)などに伴い、FHの診断・治療についての記載がより詳細に。とくに治療法に関してはフローチャートを用いて明解に記されている。6.エビデンスレベルと推奨レベルは前回同様 エビデンスレベルは治療介入と疫学調査で、それぞれ表記方法を分けている。診断・治療に関するエビデンスレベルに関しては、1+(質の高いRCTなどがある)~4(エビデンスレベルの弱い研究)の5分類。疫学に関しては、E-1a(コホート研究のメタアナリシス)~E-3(記述研究)の4分類となっている。新規採用の吹田スコア、算出アプリも開発 今改訂で新たに採用された吹田スコアは、(1)年齢(2)性別(3)喫煙(4)血圧(5)HDL-C(6)LDL-C(7)耐糖能異常(8)早発性冠動脈疾患家族歴、の8項目の合計点により算出する。ただ、同スコアの算出が煩雑な点を鑑み、日常診療で容易に使えるものにするため、日本動脈硬化学会は独自のアプリを作成。医療従事者向けであり、同学会のホームページや、ガイドラインに記載されたQRコードからダウンロードでき、(1)~(8)を入力すると、冠動脈疾患発症の予測パーセンテージと、リスク分類(低・中・高)および脂質管理目標値が表示される。■参考日本動脈硬化学会

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遺伝素因の血清Ca上昇で冠動脈疾患リスク増/JAMA

 遺伝子変異による血清カルシウム濃度上昇が、冠動脈疾患/心筋梗塞のリスク増加と関連していることが明らかとなった。ただし、冠動脈疾患と生涯にわたる遺伝子曝露による血清カルシウム濃度上昇との関連が、カルシウム補助食品(サプリメント)による短期~中期的なカルシウム補給との関連にもつながるかどうかは不明である。スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C. Larsson氏らが、血清カルシウム濃度上昇に関連する遺伝子変異と、冠動脈疾患/心筋梗塞のリスクとの間の潜在的な因果関係をメンデルランダム化解析により検証し、報告した。先行の観察研究において、血清カルシウムは心血管疾患と関連していることが認められており、無作為化試験でも血清カルシウム濃度を上昇させるサプリメントが心血管イベント、とくに心筋梗塞のリスクを増加させる可能性が示唆されていた。JAMA誌2017年7月25日号掲載の報告。GWASでカルシウム濃度関連SNPを特定し、冠動脈疾患との関連を解析 研究グループは、血清カルシウム濃度に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)のメタ解析(最大6万1,079例)および、1948年より世界中の人口集団から収集された基準となる時点のデータがある冠動脈疾患/心筋梗塞患者と非患者(対照)を含む冠動脈疾患国際コンソーシアム(CARDIoGRAMplusC4D)の1,000ゲノムに基づくGWASメタ解析(最大18万4,305例)から特定された一塩基遺伝子多型(SNP)に関する要約統計量を用いて解析を行った。 各SNPと冠動脈疾患/心筋梗塞との関連は血清カルシウムとの関連によって重み付けをし、逆分散法により重み付けしたメタ解析を用いて推定値を統合した。遺伝的リスクスコアは、血清カルシウム濃度上昇と関連する遺伝子変異に基づいた。 主要評価項目は、冠動脈疾患および心筋梗塞のオッズ比であった。血清カルシウム濃度上昇に関連する6つのSNPが冠動脈疾患のリスク増加に関与 メンデルランダム化解析の対象となった18万4,305例(冠動脈疾患患者6万801例[心筋梗塞が約70%]、対照12万3,504例)において、潜在的交絡因子との多面的関連がなく血清カルシウム濃度と関連する6つのSNPが特定された。それらが、血清カルシウム濃度に関する遺伝子変異の約0.8%を占めていた。 逆分散法によるメタ解析(前述の6つのSNPの統合)の結果、遺伝的に予測される血清カルシウム濃度の0.5mg/dL上昇(約1SD)につき、冠動脈疾患のリスクは1.25倍(95%信頼区間[CI]:1.08~1.45、p=0.003)、心筋梗塞は1.24倍(95%CI:1.05~1.46、p=0.009)となることが示された。

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「尿酸値が気になる」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第7回

■外来NGワード「ビールを焼酎に変えなさい!」「プリン体の少ないビールにしなさい!」「プリン体を含む食品を極力、控えなさい!」■解説 尿酸はDNAやATPが分解されるとできる老廃物です。成人男性の尿酸プールは約1,200mgで、食物から摂取される尿酸に比べ、体内で合成される尿酸のほうが圧倒的に多いそうです。そして、腎臓から排泄されるのが約500mgで、腎臓以外から排泄されるのが約200mgとされています。この尿への尿酸排泄は肥満があると低下します。また、アルコールは生ビール1杯程度ならば、焼酎やウィスキーなどプリン体の少ないアルコール飲料に変えることで、尿酸値の上昇を抑えることが期待できます。ところが、焼酎も3杯を超えるとアルコール自体が尿酸値に悪さをします。ということは、プリン体の制限にばかり注目するのではなく、体重コントロールや節酒にも注目する必要があるようです。 ■患者さんとの会話でロールプレイ患者先生、尿酸値はどうですか? この間から、プリン体カットのビールに変えたんですよ。それとも焼酎のほうがいいですかね?医師量はどのくらい飲まれますか?患者ビール1缶と焼酎2、3杯です。医師なるほど。ほかにはどんなことに気を付けていますか?患者レバー類、白子、エビ、イワシ、カツオ、干しシイタケは食べないようにしています。医師なるほど。プリン体の少ないものに控えているんですね。それよりも尿酸値を下げるいい方法がありますよ!患者それはどんな方法ですか?(興味津々)医師尿酸を体の中で作らないのと、尿酸を尿から効率的に出す方法です。患者尿酸を体の中で作らない?医師そうです。アルコールも1杯くらいならプリン体カットの効果があるようですが、3杯目からは何を飲んでも一緒だそうです。患者えっ、そうなんですか!? お酒の種類を変えるだけじゃダメなんですか(驚きの表情)。医師それに。患者それに?医師肥満になると、尿への尿酸排泄が悪くなり、血液中の尿酸値が上昇してしまいます。患者やっぱり、このお腹を何とかしないといけませんね(気付きの言葉)。■医師へのお勧めの言葉「尿酸値を下げるいい方法がありますよ!」1)Sharon Y, et al. Curr Rheumatol Rep. 2016;18:37.

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166)手軽な食材の飽和脂肪酸に要注意【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者薬をできるだけ使わずにコレステロールを下げたいんですが、どんな食品に気を付けたらいいですか?医師キーワードは「飽和脂肪酸」です。患者飽和脂肪酸?医師そうです。肉の脂身や菓子パンに含まれている脂肪のことです。患者なるほど。医師とくにハンバーグ、ハムやソーセージなどの加工肉の摂り過ぎには注意が必要です。これらの摂り過ぎと心臓病による死亡には関連があると言われています。患者全部、よく食べています。これから食べ過ぎに注意します。●ポイント飽和脂肪酸を含む食品として加工肉に注目することと、心血管死のリスクが増強することを説明します1)O'Sullivan TA, et al. Am J Public Health. 2013;103:e31-42.

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20歳頃~中年での体重増、慢性疾患リスクを増大/JAMA

 20歳前後から55歳にかけて体重が2.5~10.0kg増加した人は、ほぼ安定していた人に比べ、2型糖尿病や高血圧症、心血管疾患などの発症リスクが有意に高く、慢性疾患や認知機能・身体的障害などを有さずに健康な状態で年を重ねられる割合は低減することがわかった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYan Zheng氏らが、看護師健康調査(Nurses’ Health Study:NHS)と医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-Up Study:HPFS)を基に行ったコホート研究の結果で、JAMA誌2017年7月18日号で発表した。女性18歳と男性21歳、55歳での体重変化と健康アウトカムを検証 研究グループは、NHS(1976~2012年6月30日)に参加した女性およびHPFS(1986~2012年1月31日)に参加した男性で、女性は18歳時、男性は21歳時の体重について記憶があり、55歳時の体重を報告した人を対象に、20歳前後から中年にかけての体重変化とその後の健康アウトカムとの関連を調べた。 被験者の疾患アウトカム発生について、55歳時からフォローアップを行った。心血管疾患、がん、死亡については、診療記録やNational Death Index(国民死亡記録)で確認。また、11種の慢性疾患、主な認知機能障害または身体的障害がない状態として定義した複合健康加齢アウトカムを評価した。2型糖尿病発症率、中程度体重増加群は安定群に比べ2倍近く 分析対象者は、女性9万2,837例(うち白人は97%、37年間の平均[SD]体重増:12.6[12.3]kg)と、男性2万5,303例(うち白人は97%、34年間の平均[SD]体重増:9.7[9.7]kg)だった。 2型糖尿病発症率(10万人年当たり)について体重増加の程度で比較したところ、中程度増加群(2.5kg以上10kg未満)の女性では207に対し、安定群(体重減2.5kg以下、体重増2.5kg未満)の女性では110だった(10万人年当たり群間絶対率差[ARD]:98、95%信頼区間[CI]:72~127)。男性では、それぞれ258と147だった(ARD:111/10万人年、同:58~179)。 高血圧症発症率は、女性はそれぞれ3,415と2,754(ARD:662、95%CI:545~782)、男性はそれぞれ2,861と2,366(同:495、281~726)。心血管疾患の発症率は、女性はそれぞれ309と248(同:61、38~87)、男性はそれぞれ383と340(同:43、-14~109)。 肥満に関連したがん発症率は、女性がそれぞれ452と415(同:37、4~73)、男性がそれぞれ208と165(同:42、0.5~94)だった。 複合健康加齢アウトカムの達成者の割合は、体重が中程度増加群では、女性24%(3,651例)、男性37%(2,405例)に対し、安定群は、女性27%(1,528例)、男性39%(989例)だった。複合健康加齢アウトカムについて、体重が中程度増加群の安定群に対する多変量補正後オッズ比は、女性が0.78(95%CI:0.72~0.84)、男性は0.88(同:0.79~0.97)だった。 体重増が大きいほど主な慢性疾患発症のリスクは増大し、複合健康加齢アウトカムの達成低下との関連が認められた。

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健康的な生活で妊娠高血圧症候群後の高血圧リスク低下/BMJ

 女性の妊娠高血圧症候群(HDP)後の慢性高血圧症のリスクは、健康的な生活習慣を順守すれば明らかに低減することが可能であり、とくに健康的な体重の維持が重要であることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSimon Timpka氏らによる、看護師健康調査II(Nurses' Health Study II:NHS II)の観察研究の結果で、BMJ誌2017年7月12日号で発表された。これまでの研究で、HDP歴のある女性は慢性高血圧症や心血管疾患のリスクが高いことが示されている。一方で、一般集団において、健康的な生活習慣は慢性高血圧症を低減可能なことが示唆されていた。リスクを低減する生活習慣因子を調査 研究グループは、生活習慣のリスク因子と慢性高血圧症の関連をHDP歴別に調べ、さらに生活習慣因子別に、HDPから慢性高血圧症への進行の修正範囲について調べた。 対象はNHS II(1991~2013年)に参加した、経産婦で妊娠に関するデータが得られた32~59歳の女性5万4,588例で、いずれも慢性高血圧症、脳卒中、心筋梗塞の既往歴はなかった。 主要評価項目は、医師による診断または看護師被験者の自己申告に基づく慢性高血圧症。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、HDP歴別に、4つの生活習慣リスク因子(妊娠後BMI、身体活動度、高血圧予防[Dietary Approaches to Stop Hypertension:DASH]食の順守、食餌性ナトリウム/カリウム摂取量)と慢性高血圧症の関連を調べ、次に、各生活習慣因子とHDP既往の潜在的な修正効果(相互作用)を、過剰相対リスクを算出して調べた。とくに健康的な体重の維持が重要 ベースライン対象集団のうちHDP既往者は10%(5,520例)であった。追跡期間中の慢性高血圧症例は、68万9,988人年中1万3,971例であった。 生活習慣因子のうち過体重または肥満だけが、慢性高血圧症のリスクとの関連が一貫して高かった。とくに、BMI高値も、HDP歴と関連する慢性高血圧症のリスクを増大した(全年齢層で相互作用による過剰相対リスクのp<0.01)。たとえばHDP既往の40~49歳で、肥満度1(BMI値30.0~34.9)の女性では、慢性高血圧症リスクの25%(95%信頼区間[CI]:12~37)が、潜在的に肥満の影響に起因しており、HDP既往女性に特異的なものであった。 なお、身体活動度、DASH食、食餌性ナトリウム/カリウム摂取による、HDPと慢性高血圧症との関連への修正効果については、明白なエビデンスが示されなかった。 著者はこれらの結果を踏まえて、「妊娠糖尿病を有した女性に関して、医師はとくにHDP歴のある女性が妊娠後に健康な体重を達成・維持できるように支援を行う必要がある」と述べている。

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糖尿病患者の野菜摂取習慣と夜間頻尿が逆相関

 日本人の2型糖尿病患者において、野菜摂取習慣と夜間頻尿との間に逆相関が認められたことを愛媛大学の古川 慎哉氏らが報告した。愛媛県内の関連病院による多施設共同研究である道後Studyの研究。Journal of diabetes investigation誌オンライン版2017年7月1日号に掲載。 これまで、糖尿病患者における食事習慣と夜間頻尿の関連についての報告はなかった。本研究は、2型糖尿病患者785例を対象に、自記式調査票を用いて食事習慣を調査した。野菜摂取習慣は「毎日野菜や海草を摂取しますか?」という質問で調査した。アウトカムは夜間頻尿(夜間排尿2回以上)と重度夜間頻尿(夜間排尿3回以上)の2つを用い、喫煙、飲酒、運動習慣、脳卒中、虚血性動脈疾患、糖尿病腎症、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症について調整した。 主な結果は以下のとおり。・夜間頻尿および重度夜間頻尿の罹患率はそれぞれ39.9%と14.4%で、野菜摂取習慣のある人の割合は67.3%であった。・交絡因子調整後、野菜摂取習慣は夜間頻尿(調整OR:0.67、95%CI:0.48~0.94)および重度夜間頻尿(調整オッズ比[OR]:0.46、95%CI:0.30~0.71)と独立して逆相関していた。・男性患者において、野菜摂取習慣は、重度夜間頻尿と独立して逆相関していた(調整OR:0.51、95%CI:0.29~0.88)が、夜間頻尿とは関連しなかった。・女性患者において、野菜摂取習慣は、夜間頻尿(調整OR:0.44、95%CI:0.24~0.79)、重度夜間頻尿(調整OR:0.34、95%CI:0.15~0.78)とも、独立して逆相関していた。

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心不全の突然死、科学的根拠に基づく薬物療法で減少/NEJM

 収縮能が低下した心不全の外来患者では、突然死の発生率が経時的に大きく低下していることが、英国心臓財団グラスゴー心血管研究センターのLi Shen氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年7月6日号に掲載された。ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬などの登場以降、科学的根拠に基づく薬物療法の使用が増えるに従って、収縮能が低下した症候性心不全患者の突然死のリスクは、経時的に低下している可能性が指摘されているが、その詳細の調査は十分ではないという。駆出率≦40%の症候性心不全患者約4万例を解析 研究グループは、駆出率≦40%の症候性心不全患者(NYHAクラスII~IV)を対象に、過去20年間に実施され、1,000例以上を登録した臨床試験の参加者(植込み型除細動器[ICD]装着例は除外)のデータを解析した(中国国家留学基金管理委員会と英国グラスゴー大学の助成による)。 重み付き多変量回帰を用いて、突然死の発生率の経時的な動向の検討を行った。また、Cox回帰モデルを用いて、各試験の突然死の補正ハザード比(HR)を算出した。突然死の累積発生率は、無作為化後の複数の時点(30、60、90、180日、1、2、3年)で、心不全の診断から無作為化までの期間別(≦3ヵ月、3~6ヵ月、6~12ヵ月、1~2年、2~5年、>5年)に評価した。 1995~2014年に実施された12件の臨床試験の参加者4万195例が、解析の対象となった。突然死は3,583例(8.9%)で発生した。突然死のリスクが19年間で44%低下 ベースラインの全体の平均年齢は65歳で、77%が男性であった。95%がNYHAクラスII/IIIの患者で、駆出率の平均値は28%(試験ごとの平均値の範囲:23~32%)、心不全の原因の62%が虚血性であった。 ACE阻害薬とARBは90%以上の患者が使用していた(ACE阻害薬非使用例を対象とした1試験を除く)。一般的な傾向として、より最近の試験ほど、β遮断薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の使用例が多かった。 突然死を起こした患者は起こさなかった患者と比較して、高齢、男性、低い駆出率、高い心拍数、重い心不全症状、心不全の原因が虚血性、既往歴に心筋梗塞、糖尿病、腎機能障害、といった患者が多かった。また、突然死を起こした患者は、冠動脈血行再建術施行例が少なかった。 突然死の年間発生率は、最初期の試験(1998年に終了)の6.5%から、最近の試験(2014年に終了)の3.3%まで、経時的に低下した(傾向検定:p=0.02)。試験全体の突然死のリスクは、19年間で44%低下した(HR:0.56、95%信頼区間[CI]:0.33~0.93、p=0.03)。 無作為化後90日時の突然死の累積発生率は、最初期の試験が2.4%、最近の試験は1.0%であった。概して、180日時の突然死の累積発生率は90日時の約2倍となり、最近の試験になるほど、同様の傾向を示しつつ発生率が低下した。また、心不全の診断後の経過が短い患者は、長い患者と比較して、突然死の発生率は高くなかった。 駆出率別の解析では、どのサブグループも、試験全体と同様に突然死発生率が低下する傾向がみられ、駆出率が低いサブグループで突然死が多かった。 著者は、「これらの知見は、突然死に対するエビデンスに基づく薬物療法の蓄積されたベネフィットと一致する」としている。

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デグルデクvs.グラルギン、2型糖尿病低血糖リスクに違い/JAMA

 2型糖尿病患者において、基礎インスリン デグルデク(以下、デグルデク)はインスリン グラルギンU100(以下、グラルギン)と比較して、低血糖発現頻度の低下と関連することが示された。米国・ワシントン大学のCarol Wysham氏らによる無作為化試験「SWITCH 2」の結果で、JAMA誌2017年7月4日号で発表された。インスリン治療を受ける2型糖尿病患者において、低血糖は重大なリスクであり血糖コントロールに負の影響を及ぼす。デグルデク→グラルギン投与またはグラルギン→デグルデク投与に1対1の割合で割り付け SWITCH 2試験は2014年1月~2015年12月に、米国152施設において、2×32週間の治療期間(それぞれ、至適用量調整期16週+維持期16週)で実施された二重盲検無作為化クロスオーバーtreat-to-target試験。被験者は、低血糖リスクを1つ以上有する基礎インスリン治療を受ける2型糖尿病患者で、経口血糖降下薬の服用の有無は問わなかった。 被験者は721例で、デグルデク→グラルギン投与(361例)またはグラルギン→デグルデク投与(360例)に1対1の割合で、およびそれぞれ投与時期を朝1回投与または夕方1回投与に1対1の割合で、無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、維持期におけるすべての重大な(米国糖尿病学会の定義に基づく)、または血糖値(<56mg/dL)で確定した、症候性低血糖の発現頻度(件/曝露患者年[patient-years of exposure:PYE])。副次評価項目は、夜間の症候性低血糖(0:01 am~5:59 amに発現した重大なまたは血糖値確定症候性低血糖)の発現頻度、維持期に重大な低血糖を発現した患者の割合などであった。デグルデクのほうがグラルギンより症候性低血糖の発現頻度が低い 無作為化された721例(平均年齢61.4[SD 10.5]歳、男性53.1%)のうち、580例(80.4%)が試験を完遂した。 維持期におけるすべての症候性低血糖の発現頻度は、デグルデク群185.6件/100PYE、グラルギン群265.4件/100PYEで、デグルデク群が有意に低かった(率比[RR]:0.70[95%信頼区間[CI]:0.61~0.80]、p<0.001、差:-23.66件/100PYE[95%CI:-33.98~-13.33])。同エピソードを発現した患者の割合は、デグルデク群22.5%、グラルギン群31.6%であった(差:-9.1%、95%CI:-13.1~-5.0)。 夜間の症候性低血糖の発現頻度は、デグルデク群55.2件/100PYE、グラルギン群93.6件/100PYEで、デグルデク群が有意に低かった(RR:0.58[95%CI:0.46~0.74]、p<0.001、差:-7.41件/100PYE[95%CI:-11.98~-2.85])。同エピソードを発現した患者の割合は、デグルデク群9.7%、グラルギン群14.7%であった(差:-5.1%、95%CI:-8.1~-2.0)。 維持期において重大な低血糖を発現した患者の割合は、デグルデク群1.6%(95%CI:0.6~2.7)、グラルギン群2.4%(95%CI:1.1~3.7)であった(McNemar検定のp=0.35、リスク差:-0.8%[95%CI:-2.2~0.5])。 なお、全治療期間においても、すべてのおよび夜間の症候性低血糖の発現頻度について、デグルデク群がグラルギン群よりも有意に低かったことが認められた。

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老人性紫斑

老人性紫斑【皮膚疾患】◆病状腕(とくに手首と肘の間)、手の甲、前胸部などにできる暗い赤紫色の斑です。通常は痛みはありませんが、時には痛いこともあります。◆原因軽くぶつけたり、掻いたりすることで毛細血管が破れ、出血することで起こります。老化で血管がもろくなることが主な原因ですが、抗凝固薬の服用、糖尿病などの要因があると起きやすいです。◆治療と予防・数週間で消えますので特別な治療は不要ですが、褐色・黄色の跡が残る場合があります。・内服薬が影響している場合、薬の変更など主治医と相談が必要です。●一言アドバイス他の病気と鑑別するため、出血傾向の有無の検査が必要となる場合があります。監修:ふくろ皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.袋 秀平氏

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血友病患者の高齢化で新たな対応へ

 2017年6月27日、都内においてバイオベラティブ・ジャパン株式会社は、血友病患者啓発ツール“Graphemophilia”の発刊に合わせ、「血友病治療の進歩と今後の課題」をテーマにプレスセミナーを開催した。セミナーでは、血友病治療の現在の状況のほか、高齢の血友病患者への対応など、現下の問題や今後について解説する講演も行われた。■血友病の現在 はじめに鈴木 隆史氏(荻窪病院 血液凝固科 部長)が、「血友病治療の進歩と今後の課題 ~患者さんのさらなる QOL 向上を目指して~」と題した講演を行った。 血友病は、遺伝性出血性疾患であり、基本的には男性に発症する。先天性凝固第VIII因子が欠乏する「血友病A」と、先天性凝固第IX因子が欠乏する「血友病B」に分けられる。全世界では合わせて約17万例の患者が推定され、わが国では約6,200例の患者がいるとされる。 その症状として、急性出血では、関節内、筋肉内、皮下、頭蓋内、腎、口腔内の出血などがみられ、これらが慢性化することで血友病関節症、慢性滑膜炎、関節拘縮などに進展する。とくに関節内出血は血友病の出血症状の中で最も多く、幼児期には足首、膝、股関節の出血が中心となるが、学童期には肘関節の出血も増加する。出血をするとひどく痛み、むくみや歩行困難を伴う。終局的には、人工関節置換が必要となる場合もある。そうならないためにも、「医師は日ごろの患者の歩行の様子に注意を払い、早期介入ができるようにする必要がある」と鈴木氏は説明する。■血友病の治療薬の進化と今後の課題 治療では、1960年代から出血時投与による全血または新鮮凍結血漿治療が開始された。70年代には血漿由来濃縮製剤が登場、80年代には薬害の反省から加熱処理凝固因子製剤やモノクローナル精製製剤が、90年代には遺伝子組み換え第VIII因子、第IX因子製剤が登場し、出血時投与から定期補充療法へと治療法が変遷した。さらに、2000年代になるとプラズマ・アルブミンフリー遺伝子組み換え第VIII因子製剤が登場した。そして、2014年には半減期延長型第IX因子製剤であるエフトレノナコグ アルファ(商品名:オルプロリクス 静注)が、2015年には半減期延長型第VIII因子製剤であるエフラロクトコグ アルファ(同:イロクテイト 静注)が登場し、輸注回数を減らすことによる患者負担の軽減、高いトラフ値の維持、個別化医療のさらなる進展につながると期待が持たれている。 血友病治療における定期補充療法は、生涯にわたり行われる必要かつ標準的な治療であり、現在では幼児期から行われている。こうした新しい治療薬が登場したことで、患者個々の希望や病状を把握した治療、製剤特性と患者特性に合わせた選択、活動時間内の必要凝固因子活性の決定、PKやモニター値を基にした投与量の調整などを目指せるようになった。それらによりテーラーメイド治療が行われることで、将来は「出血のない暮らしの実現」が患者にもたらされることを目指すとしている。 また、今日の治療薬の進歩により、患者の高齢化が進んでいる点を指摘。C型肝炎やHIVの感染症合併患者も今では多くの患者が生存でき、エイジングケアが必要な時代へと入りつつあるという。血友病という基礎疾患から関節症→肥満→生活習慣病の疾患サイクルが形成され、この生活習慣病から派生する糖尿病や脂質異常症、高血圧、痛風による心筋梗塞や脳出血、脳梗塞にも注意を払う時代になってきたと現在の課題を提起し、鈴木氏は講演を終えた。 最後に同社マーケティング部の小野 有以子氏が、今回の“Graphemophilia”発刊について説明した。同社にとってこれは「新しい貢献、新しい挑戦である」とし、続けて「患者が疾患の勉強に役立てられるように、本誌を患者向け疾患啓発ツールとして活用してもらいたい」と抱負を語り、セミナーは終了した。■参考バイオベラティブ・ジャパン「ヘモフィリアToday」

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ACC/AHAガイドラインの費用対効果を他ガイドラインと比較

 2013年改訂の米国心臓病学会/米国心臓協会(ACC/AHA)の脂質異常症管理ガイドラインでは、アテローム性心血管疾患の1次予防のためのスタチン使用の推奨が拡大されたが、その費用対効果について他のガイドラインとの比較はなされていない。今回、米国・マウントサイナイ医科大学のDavid J. Heller氏らが費用対効果を比較したところ、ACC/AHAガイドラインは、集団レベルでは男女共により多くの人々を治療し、より多くの命を救い、費用はATP IIIガイドラインより削減されると推計された。個人レベルではスタチンの長期使用から恩恵を受けるかどうかは、心血管リスクの程度よりも錠剤数の負担(pill burden)による負の効用(disutility)に大きく左右されるという。Circulation誌オンライン版2017年7月7日号に掲載。 本研究では、心血管疾患(CVD)Policy Modelを使用し、2016~25年の10年間で、ACC/AHAガイドラインを用いた場合の費用対効果について、現在の使用、Adult Treatment Panel III(ATP III)ガイドライン、45~74歳のすべての男性と55~74歳のすべての女性における中強度スタチンの使用と比較した。主要アウトカムは、増分費用効果比(ICER)および質調整生存年当たり10年間の治療必要数(NNT/QALY)とした。 主な結果は以下のとおり。・各々の方法は現状より大幅なベネフィットと正味の費用削減をもたらすと推定された。・ATP IIIガイドラインを完全に順守した場合、現状よりスタチン使用者が880万人多くなり、NNT/QALYは35である。・ACC/AHAガイドラインは、ATP IIIガイドラインよりもスタチン使用者が最大1,230万人多くなる可能性があり、限界NNT/QALYは68である。・45~74歳の男性と55~74歳の女性における中強度スタチン使用は、ACC/AHAガイドラインよりスタチン使用者が2,890万人多くなり、限界NNT/QALYは108である。・ベネフィットはすべての場合において女性より男性で大きい。・これらの結果はスタチン開始やスタチンの毒性に関するリスクの違いにより異なるが、日々の薬物使用(錠剤数の負担)による負の効用に大きく依存する。

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1型糖尿病の低血糖リスク、デグルデク vs.グラルギン/JAMA

 1型糖尿病患者において、低血糖は良好な血糖コントロールの大きな障壁であり、重大な低血糖は昏睡や死亡につながるおそれがある。米国・Mountain Diabetes and Endocrine CenterのWendy Lane氏らは、1型糖尿病患者における症候性低血糖の発現について、インスリン デグルデク(以下、デグルデク)とインスリン グラルギンU100(以下、グラルギン)を比較した無作為化試験「SWITCH 1」で、デグルデクによる32週間の治療はグラルギンと比較して、症候性低血糖の発現を低下させることを明らかにした。JAMA誌2017年7月4日号掲載の報告。低血糖の発現についてデグルデクのグラルギンに対する非劣性を検証 SWITCH 1試験は2014年1月~2016年1月12日に、米国84施設およびポーランド6施設において、低血糖のリスク因子を1つ以上有する1型糖尿病成人患者501例を対象に、2×32週間の治療期間(それぞれ、至適用量調整期16週+維持期16週)で実施された二重盲検無作為化クロスオーバー非劣性試験であった。 被験者は、デグルデク→グラルギン投与(249例)およびグラルギン→デグルデク投与(252例)に1対1の割合で、かつそれぞれ投与時期を朝1回投与または夕方1回投与に1対1の割合で、無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、維持期におけるすべての重大な(米国糖尿病学会の定義に基づく)、または血糖値(<56mg/dL)で確定した、症候性低血糖の発現頻度(件/曝露人年[person-years’ exposure:PYE])。副次評価項目は、夜間の重大なまたは血糖値確定症候性低血糖の発現頻度、重大な低血糖を経験した患者の割合(どちらも維持期)などであった。主要評価項目などの非劣性マージンは、発現頻度の率比(RR)の両側95%信頼区間の上限値が1.10以下とし、非劣性が認められた場合は優越性を検証する両側検定を実施した。デグルデクのほうが全症候性低血糖の発現頻度が低い 無作為化された501例(平均年齢45.9歳、男性53.7%)のうち、395例(78.8%)が試験を完遂した。 維持期におけるすべての症候性低血糖の発現頻度は、デグルデク群2,200.9件/100PYE、グラルギン群2,462.7件/100PYEで、デグルデク群が有意に低かった(発現頻度のRR:0.89[95%信頼区間[CI]:0.85~0.94]、非劣性のp<0.001、優越性のp<0.001、発現頻度の差:-130.31件/100PYE[95%CI:-193.5~-67.16])。 維持期における夜間の症候性低血糖の発現頻度も、デグルデク群が有意に低いことが認められた(デグルデク群277.1件/100PYE、グラルギン群428.6件/100PYE、発現頻度のRR:0.64[95%CI:0.56~0.73]、非劣性のp<0.001、優越性のp<0.001、発現頻度の差:-61.94件/100PYE[95%CI:-83.85~-40.03])。 維持期に重大な低血糖を経験した患者の割合も、デグルデク群が低かった(デグルデク群10.3%[95%CI:7.3~13.3%]、グラルギン群17.1%[95%CI:13.4~20.8%]、McNemar検定のp=0.002、リスク差:-6.8%[95%CI:-10.8~-2.7])。

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高力価スタチンで糖尿病発症リスク2.6倍

 脂質降下薬が糖尿病発症に関連するかどうか調べるために、日本大学薬学部の大場 延浩氏らが、脂質異常症の日本人労働者約7万例を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、糖尿病の臨床的危険因子の調整後も、スタチン使用により糖尿病発症リスクが1.9~2.6倍に増加したことが示された。BMJ open誌2017年6月30日号に掲載。 本研究は、大企業の日本人従業員とその扶養家族のうち、健康診断の臨床検査データから2005年1月1日~2011年3月31日に脂質異常症を発症した20~74歳が対象。脂質異常症の基準に当てはまった最初の日をindex dateと定義した。脂質降下薬を服用していた場合、またはindex date前6ヵ月間に糖尿病の診断や治療、糖尿病を示唆する検査結果(ヘモグロビンA1c≧6.5%もしくは空腹時血糖≧126mg/dL)が示されていた人は除外した。主要アウトカムは糖尿病の新規発症とした。 主な結果は以下のとおり。・脂質異常症6万8,620例が同定された。・平均追跡期間1.96年の間に、3,674例が脂質降下薬による治療を開始していた(低力価スタチン979例、高力価スタチン2,208例、フィブラート系薬487例)。・脂質降下薬の新規使用例3,674例のうち3,621例では、使用前にどの脂質降下薬も使用していない期間があった。・糖尿病の新規発症率は、スタチン非使用例の22.6例/1,000人年に対し、スタチン使用例では124.6例/1,000人年であった。・Cox比例ハザードモデルによる、交絡因子(健康診断での臨床データを含む)調整後のハザード比は、低力価スタチンで1.91(95%CI:1.38~2.64)、高力価スタチンで2.61(同:2.11~3.23)であった。

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中国人における糖尿病、前症含めると約5割に/JAMA

 先行研究で中国の糖尿病有病率の上昇が示されていたが、同国は今や世界最大の糖尿病蔓延国であることが明らかになった。2013年時点で、中国本土の成人における糖尿病有病率は10.9%、糖尿病前症有病率は35.7%と推定されたという。中国疾病予防管理センターのLumin Wang氏らが、3年ごとに実施している慢性疾患とリスク因子サーベイランス調査(China Chronic Disease and Risk Factors Surveillance study)の2013年の結果を報告したもので、JAMA誌2017年6月27日号で発表した。なお、同調査では、糖尿病および糖尿病前症の推定有病率は、中国の民族によって異なることも明らかにされている。これまで、中国の少数民族の糖尿病有病率を調べた疫学研究はほとんどなかった。約17万例が参加、全員に血液検査とブドウ糖負荷試験を実施し、有病率を分析 研究グループは、2013年の全国的な横断研究に参加した18歳以上の成人17万287例を対象に、参加者全員の空腹時血糖値およびHbA1c値を測定するとともに、経口ブドウ糖負荷試験(2時間値)を実施した。 主要評価項目は、2010年の米国糖尿病学会基準に基づく糖尿病および糖尿病前症(HbA1c 5.7~6.4%、空腹時血糖値100~125mg/dLまたはブドウ糖負荷試験140~199mg/dL)の総計とした。糖尿病治療中の参加者では、HbA1cが7.0%未満を血糖コントロール良好と判定した。また、参加者が1,000例以上の少数民族(チベット族、チワン族、満州族、ウイグル族、回族)について、漢族と比較した。糖尿病総有病率は10.9%、ただしチベット族や回族は漢族より有意に低い 中国の成人人口全体における糖尿病(未診断の糖尿病[空腹時血糖値126mg/dL以上、ブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上]を含む総計)の標準化有病率は10.9%(95%信頼区間[CI]:10.4~11.5%)、糖尿病前症は35.7%(95%CI:34.1~37.4%)と推定された。糖尿病と確定診断されていたのは4.0%(95%CI:3.6~4.3%)で、診断結果を認識していた患者は36.5%(95%CI:34.3~38.6%)、治療を受けていた患者は32.2%(95%CI:30.1~34.2%)であった。治療を受けていた患者のうち、49.2%は血糖コントロールが良好であった。 民族別の糖尿病有病率は、チベット族4.3%、回族10.6%、チワン族12.0%、ウイグル族12.2%、満州族15.0%で、漢族の14.7%(95%CI:14.6~14.9%)と比較し満州族を除いていずれも有意に低かった(チベット族、回族、チワン族:p<0.001、ウイグル族:p=0.002)。多変量ロジスティックモデルによる解析の結果、漢族と比較した補正後オッズ比は、チベット族で糖尿病0.42(95%CI:0.35~0.50)、糖尿病前症0.77(95%CI:0.71~0.84)、回族で糖尿病0.73(95%CI:0.63~0.85)、糖尿病前症0.78(95%CI:0.71~0.86)であった。

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DEVOTE 試験の臨床的意義

 2型糖尿病治療、とくにインスリン治療において低血糖管理は重要な問題だ。重症低血糖は心血管イベントリスク増加に関与し、患者さんの心理的負担も大きい。臨床でも、低血糖リスクの低いインスリン製剤を選択することが重要となる。これに関して今後の薬剤選択に影響を与えるデータが先日、ADAで発表された。心血管系リスクの高い2型糖尿病患者を対象にしたDEVOTE試験である。 DEVOTE試験の発表を受け、2017年7月4日都内にて、「インスリン治療の最新動向と今後の展望~第77回米国糖尿病学会の最新報告より~」と題するセミナーが開かれた(主催:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社)。演者は、門脇 孝氏 (東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授)。 以下、セミナーの内容を記載する。二重盲検CVOT試験であるDEVOTE 試験 DEVOTE試験は、基礎インスリンのインスリン デグルデクとインスリン グラルギンU100の2製剤を比較した二重盲検CVOT(心血管アウトカム)試験である。インスリン注射の臨床試験はオープンラベルで行われるものが多いが、本試験はバイアルを用いた二重盲検試験だ。この点について、門脇氏は「グラルギンかデグルデクか医療者側もわからない、という点は試験結果を評価するうえでも重要な点だ」とコメントした。 試験対象は、心血管リスクが高い2型糖尿病の成人患者7,637例(デグルデク群3,818例、グラルギン群3,819例)で、1日1回夕食~就寝の間に、デグルデク群またはグラルギン群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。デグルデク群はグラルギン群に対して、MACEで非劣性を示した 主要評価項目として、3-point MACE(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)が設定された。その結果、デグルデクのグラルギンに対する非劣性が検証され(ハザード比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.78~1.06、非劣性のp<0.001)、デグルデクはグラルギンと比較して心血管リスクを増加させないことが示された。 24ヵ月時点での2群の平均HbA1c値に有意差はなく、平均空腹時血糖値は、デグルデク群がグラルギン群よりも有意に低下していた(128±56 vs.136±57mg/dL、p<0.001)。重大な低血糖発現では、デグルデク群が優越性を示した 副次評価項目である重大な低血糖の発現件数に関しては、デグルデク群が優越性を示した(率比:0.60、95%信頼区間[CI]:0.48~0.76、優越性のp<0.001)。さらに、デグルデク群は夜間の重大な低血糖の発現件数を53%有意に低下させた。その他の有害事象の発生については、両群で差はなかった。 今回のDEVOTE試験では、心血管系リスクの高い2型糖尿病患者においてデグルデクが対照薬よりも重大な低血糖リスクが低いことが示された。これはデグルデクの他の臨床試験(BEGIN、SWITCH2)とも一貫性のある結果であった。「低血糖の心配がなければ、もっと積極的に治療する」と考える医師は多い インスリン治療において低血糖管理は重要な問題である。インスリン療法に対する医師の考えを調査した結果によると、「低血糖の心配がなければもっと積極的に治療する」との回答が7割を占めるという。医学的アウトカムも重要だが、低血糖への懸念が払拭され、患者さんのQOLが保たれるという、心理的アウトカムも同時に達成されることは、インスリン治療では重要といえるだろう。 門脇氏は、この点を踏まえ「DEVOTE試験で、デグルデクのMACEに関する非劣性と重大な低血糖リスクの有意な減少が検証されたことは、今後の治療選択においても意義深い結果である」と述べ、講演を終えた。

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カナグリフロジンによる心血管・腎イベントの抑制と下肢切断、骨折の増加(解説:吉岡 成人 氏)-694

SGLT2阻害薬による心血管イベント抑制 SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンが、心血管イベントの既往がある2型糖尿病患者において心血管死、総死亡、さらに腎イベント(顕性腎症の発症、血清クレアチニン値の倍増、腎代替療法の導入、腎疾患による死亡)を抑制するとEMPA-REG OUTCOME試験およびそのサブ解析で示されて以降、カナダ糖尿病学会、米国糖尿病学会の提唱するガイドラインでは、心血管リスクの高い患者におけるSGLT2阻害薬の使用を推奨している。 心血管イベント、腎イベントの抑制の機序に関しては、SGLT2阻害薬の利尿作用、腎における腎尿細管糸球体フィードバック機構への影響のみならず、血中ケトン体が増加することによる心筋や腎におけるエネルギー代謝の変化、ヘマトクリットの増加による腎への酸素供給の増加などの、一般の臨床医が想像しなかったようなメカニズムが提唱されている。このような背景をもとに、エンパグリフロジン以外のSGLT2阻害薬でも同様な臨床効果が期待されるのかどうか、カナグリフロジンを用いたCANVAS(Canagliflozin Cardiovascular Assessment Study)プログラムの結果に大きな興味が持たれていた。CANVASプログラムとCANVAS試験、CANVAS-R試験 CANVASプログラムはカナグリフロジンの第III相試験として2009年に開始されたCANVAS試験と、米国でのカナグリフロジン発売後に開始されたCANVAS-R試験によって構成されている。CANVAS試験のみでは心血管安全性を評価するための追跡人・年が不足するためにCANVAS-Rが追加試験として2014年に開始され、アルブミン尿の進展抑制を主要評価項目とし、心血管安全性を副次評価項目としている。 今回の心血管安全性の評価では、CANVASとCANVAS-Rを統合して解析がなされている。対象は心血管疾患リスクが高い2型糖尿病10,142例。標準的な薬物療法にカナグリフロジンないしはプラセボを追加する無作為化二重盲検試験で、追跡期間は平均3.6年であった。主要評価項目は心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合イベントの発生率であり、カナグリフロジン投与によりこれらの心血管リスクが有意に低下(カナグリフロジン群:26.9/1,000人年、プラセボ群:31.5/1,000人年、ハザード比:0.86、95%信頼区間:0.75~0.97、p=0.02)しており、非劣性のみならず優越性が示された。さらに、カナグリフロジン群ではアルブミン尿の進展が27%抑制され、腎複合エンドポイント(eGFR低下、腎代替療法の開始、腎疾患による死亡)において40%の抑制が認められた。下肢切断と骨折のリスク 心血管イベントや腎リスクの低下は確認されたものの、カナグリフロジン群で下肢切断のリスクが約2倍に増加していた(カナグリフロジン群:6.30/1,000人年、プラセボ群:3.37/1,000人年、ハザード比:1.97、95%信頼区間:1.41~2.75)。足趾、中足骨レベルでの切断のみならず、足関節、膝下、膝上のレベルでの切断の総計も2.03倍増加している(カナグリフロジン群:1.82/1,000人年、プラセボ群:0.93/1,000人年、ハザード比:2.03、95%信頼区間:1.08~3.82)。さらに、骨折についても転倒骨折の頻度がCANVAS試験単独で1.56倍(カナグリフロジン群:12.98/1,000人年、プラセボ群:8.31/1,000人年、ハザード比:1.56、95%信頼区間:1.18~2.06)増加しており、全骨折の頻度もCANVAS試験単独で1.55倍、CANVASプログラムとして1.26倍に増加している。 平均年齢63.3歳、女性比率35.5%という対象において、下肢切断の頻度、骨折の頻度は日本人よりもはるかに高い。足病変の進展については体内の水分量の減少に伴う下肢末梢における血圧や血液循環の低下、骨折については、Ca利尿の増加、血中リン濃度やPTHの上昇による骨塩量の減少などが原因として推定されるが結論は得られていない。米国保健局(FDA)からは、2015年9月、2016年5月にカナグリフロジンと骨折、下肢切断に関する安全性情報がすでに報告されており、今回さらにリスクが強調される結果となった。カナグリフロジンの投与量と国内における情報提供 CANVASプログラムはカナグリフロジン100mg、300mg、プラセボ群がそれぞれ1:1:1の割合で、CANVAS-Rでは、100mgから開始され300mgまで増量が可能な群とプラセボ群が1:1の割合で構成されている。日本国内におけるカナグリフロジンの投与量は100mgであり、国内で認められている用量を超えた試験であるため、CANVASプログラムについて製薬メーカーが国内でプロモーションを行うことが規制されている。「ディオバン事件」の影響かと思われるものの、事実を歪曲した広告は厳に慎むべきではあるが、過剰とも思われる規制もいかがなものであろうか。

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BMI正常でも低体重で生まれた女性の糖尿病に注意

 出生時体重は成人発症型糖尿病(DM)の胎児決定因子とみなされているが、BMIとの関連における公衆衛生上の重要性は不明である。今回、国立がん研究センターの片野田 耕太氏らが実施した女性看護師コホートでの研究で、出生時体重およびその在胎期間でのパーセンタイルスコアが成人発症型DMと関連すること、またBMIが正常低値の女性において出生時体重が2,500g未満だった人は成人発症型DMリスクが高いことが示唆された。Journal of epidemiology誌オンライン版2017年6月20日号に掲載。 本研究では、日本ナースヘルス研究(JNHS)コホートにおける2001~07年のベースライン調査として自記式調査を実施した。女性看護師のボランティア参加者4万9,927人のうち、年齢30歳未満もしくは不明、現在妊娠中、30歳以前のDM発症、コア変数が不明な参加者を除外し、30歳以上の2万6,949人のデータを用いた。DM診断歴と出生時体重との関連性についてロジスティック回帰を用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・年齢、BMI、親のDM既往歴の調整後、出生時体重とDMの間に線形の逆相関が認められた。・出生時体重100g増加当たりのDM発症のオッズ比は0.93(95%CI:0.90~0.96)であった。・在胎期間により出生時体重をパーセンタイルスコアに変換しても、関連性は同様であった。・BMIの層別解析では、BMIが正常低値(18.5~20.9)である女性において、出生時体重2,500g未満群の3,000~3,499g群に対するDMのオッズ比は4.75(95%CI:1.22~18.44)であった。

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認知症予防の新たな標的、グルコースピーク

 平均血糖値の指標であるヘモグロビンA1c(HbA1c)は、認知症および認知障害のリスクと関連している。しかし、この関連における血糖変動やグルコース変動の役割は不明である。米国・ジョンズホプキンス大学公衆衛生学大学院のAndreea M. Rawlings氏らは、1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)レベルの測定により、中年期におけるグルコースピークと認知症および20年の認知機能低下リスクとの関連を調査した。Diabetes care誌7月号の報告。 コミュニティにおけるアテローム性動脈硬化症リスク(ARIC)研究の約1万3,000例を対象に調査を行った。認知症は、動向調査、神経心理学的テスト、対象者またはその代理人との電話、認知症による死亡より確認した。認知機能は、3回の神経心理学的テストを20年間にわたり3回実施し、zスコアで示した。Coxモデル、線形混合効果モデルを使用した。1,5-AGレベルの10μg/mLで二分し、HbA1cの臨床的カテゴリ内で調査した。 主な結果は以下のとおり。・21年間の中央期間において、認知症は1,105例で発症した。・糖尿病患者では、1,5-AGの5μg/mL減少ごとに、推定認知症リスクが16%増加した(ハザード比:1.16、p=0.032)。・糖尿病およびHbA1c7%(53mmol/mol)未満の対象者の認知機能低下については、グルコースピークを有する患者は、ピークのない患者と比較し、20年間で0.19のzスコア上昇を示した(p=0.162)。・糖尿病およびHbA1c7%(53mmol/mol)以上の対象者の中で、グルコースピークを有する患者は、ピークのない患者と比較し、0.38のzスコア上昇を示した(p<0.001)。・糖尿病のない患者では、有意な関連が認められなかった。 著者らは「糖尿病患者では、グルコースピークが認知機能低下や認知症の危険因子となることが示唆された。平均血糖に加え、グルコースピークを標的とすることは、予防のための重要な手段となりうる」としている。■関連記事1日1時間のウオーキングで認知症リスク低下:東北大認知症予防に柑橘類は効果的か:東北大認知症の糖尿病合併、どのような影響があるか

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