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妊娠中の甲状腺ホルモン治療、流産・死産への影響は?/BMJ

 潜在性甲状腺機能低下症の妊婦では、甲状腺ホルモン薬の投与により妊娠喪失のリスクが低減するが、早産などのリスクは増加することが、米国・アーカンソー大学のSpyridoula Maraka氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年1月25日号に掲載された。潜在性甲状腺機能低下症は妊婦に有害な転帰をもたらすことが、観察研究で示唆されている。甲状腺ホルモン薬のベネフィットを支持するエビデンスは十分でないにもかかわらず、米国の現行ガイドラインではレボチロキシンが推奨されているという。甲状腺ホルモン薬は5年間で約16%に投与 研究グループは、潜在性甲状腺機能低下症の妊婦における甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン、リオチロニン、甲状腺抽出物製剤)の有効性と安全性を評価するレトロスペクティブなコホート試験を実施した(Mayo Clinic Robert D. and Patricia E. Kern Center for the Science of Health Care Deliveryの助成による)。 米国の全国的なデータベース(Optum-Labs Data Warehouse)を検索し、2010年1月1日~2014年12月31日に登録された潜在性甲状腺機能低下症(甲状腺刺激ホルモン[TSH]:2.5~10mIU/L)の妊婦のデータを抽出した。 主要評価項目は妊娠喪失(流産、死産)とし、副次評価項目には早産、早期破水、胎盤早期剥離、妊娠糖尿病、妊娠高血圧、妊娠高血圧腎症、胎児の発育不全などが含まれた。 解析の対象となった5,405例の妊婦のうち、843例(15.6%)が甲状腺ホルモン薬の投与を受け、4,562(84.4%)例は受けていなかった。832例(98.7%)がレボチロキシン、7例(0.8%)が甲状腺抽出物製剤、4例(0.5%)はレボチロキシン+リオチロニンを投与されていた。ベネフィットは治療前TSH 4.1~10.0mIU/Lに限定 甲状腺ホルモン薬の投与を受けた妊婦の割合は経時的に増加し(2010年:12%~2014年:19%)、地域差(北東部/西部>中西部/南部、p<0.01)がみられた。TSH検査から投与開始までの期間中央値は11日(IQR:4~15)、出産までの期間中央値は30.3週(IQR:25.4~32.7)だった。 ベースラインの平均年齢は、治療群が31.7(SD 4.7)歳、非治療群は31.3(SD 5.2)歳と差はなかったが、18~24歳が非治療群で多かった(5.8% vs.9.5%)。平均TSHは治療群が4.8(SD 1.7)mIU/Lと、非治療群の3.3(SD 0.9)mIU/Lに比べ高値であった(p<0.01)。また、治療群は妊娠喪失の既往(2.7% vs.1.1%、p<0.01)、甲状腺疾患の既往(6.2% vs.3.4%、p<0.01)のある妊婦が多かった。 解析の結果、妊娠喪失の発生率は治療群が10.6%と、非治療群の13.5%に比べ有意に低かった(補正オッズ比:0.62、95%信頼区間[CI]:0.48~0.82、p<0.01)。 一方、治療群では、早産(7.1% vs.5.2%、補正オッズ比:1.60、95%CI:1.14~2.24、p=0.01)、妊娠糖尿病(12.0% vs.8.8%、1.37、1.05~1.79、p=0.02)、妊娠高血圧腎症(5.5% vs.3.9%、1.61、1.10~2.37、p=0.01)の頻度が非治療群に比し高かった。その他の妊娠関連の有害な転帰の頻度は両群でほぼ同等であった。 さらに、妊娠喪失は、ベースラインのTSHが4.1~10.0mIU/Lの妊婦では、治療群が非治療群よりも有意に抑制された(補正オッズ比:0.45、95%CI:0.30~0.65)のに対し、2.5~4.0mIU/Lの妊婦では治療の有無で差はなく(0.91、0.65~1.23)、これらのサブグループの間に有意な差が認められた(p<0.01)。 逆に、妊娠高血圧は、TSH 4.1~10.0mIU/Lの妊婦では治療群と非治療群に有意な差はなかった(補正オッズ比:0.86、0.51~1.45)が、2.5~4.0mIU/Lの妊婦では治療群のほうが有意に多くみられ(1.76、1.13~2.74)、サブグループ間に有意差を認めた(p=0.04)。 著者は、「甲状腺ホルモン薬による妊娠喪失の抑制効果は、治療前のTSHが4.1~10.0mIU/Lの妊婦に限られ、早産、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症はむしろ増加した」とまとめ、「甲状腺ホルモン薬の安全性を評価するために、さらなる検討を要する」と指摘している。

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社会経済的地位が低いと平均余命が2年短縮/Lancet

 死亡リスクの増大には、多量の飲酒や喫煙、高血圧といったリスク因子に加え、社会経済的地位も関連することが、被験者総数175万人超のコホート試験に関するメタ解析で明らかになった。スイス・ローザンヌ大学病院のSilvia Stringhini氏らが行った。WHOでは2011年から、「2025年までに非感染性疾患による死亡率を25%削減する」を目標に、先に挙げた3つのほか、身体不活動、塩分・ナトリウム分摂取、糖尿病、肥満の合計7つのリスク因子をターゲットとするアクションプラン「25×25イニシアチブ」を表明している。研究グループは、それら7リスク因子に含まれていない社会経済的地位と死亡リスクとの関連を検証した。WHOメンバーの高所得国7ヵ国、48試験についてメタ解析 研究グループは、社会経済的格差と職業的地位、多量の飲酒や喫煙、高血圧などの25×25イニシアチブ・リスク因子と死亡率についての情報を含む、WHOメンバー高所得国7ヵ国で行われた48の前向きコホート試験について、メタ解析を行った。被験者総数は175万1,479例で、うち女性は54%だった。 社会経済的格差と25×25イニシアチブ・リスク因子の、全死因死亡率や原因別死亡率との関連について、最小補正後や相互補正後のハザード比(HR)と95%信頼区間[CI]を推算した。また、リスク因子について、人口寄与割合や損失生存年(YLL)も調べた。社会経済的地位が低い人、40~85歳における平均余命が2.1年短縮 平均追跡期間は13.3年(標準偏差:6.4)、延べ追跡期間は2,660万人年で、期間中の死亡は31万277例だった。 25×25リスク因子と死亡との関連HRは、ばらつきがみられた。男性肥満1.04(95%CI:0.98~1.11)から男性現在喫煙2.17(2.06~2.29)にわたっていた。 社会経済的地位が低い人は高い人に比べ、死亡リスクが約1.3~1.4倍高かった(男性HR:1.42、95%CI:1.38~1.45、女性HR:1.34、同:1.28~1.39)。この関連性は、25×25リスク因子などを含む相互補正を行った後も認められた(男性・女性を合わせたHR:1.26、95%CI:1.21~1.32)。 人口寄与割合が最も高かったのは喫煙で、次が身体不活動、そして社会経済的地位と続いた。 社会経済的地位が低い人(男女計)は、40~85歳における平均余命が2.1年短く、対応するYLLは、多量アルコール摂取が0.5年、肥満が0.7年、糖尿病3.9年、高血圧症1.6年、身体不活動2.4年、そして喫煙が4.8年だった。 結果を踏まえて研究グループは、「死亡率を低下するために、地域、または国際的な健康戦略および健康リスクサーベイランスに、25×25イニシアチブ・リスク因子に加えて社会経済的状況の方針も盛り込むべきだ」と提言している。

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エンパグリフロジンの心血管イベント減少アジア人でも

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)と日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:パトリック・ジョンソン)は2017年2月2日、エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)によるEMPA-REG OUTCOME試験のアジア人サブグループ解析の結果が、1月25日Circulation Journalに掲載されたと発表した。 エンパグリフロジンはSGLT2に対して高い選択性を有するSGLT2阻害薬。EMPA-REG OUTCOME試験では、2型糖尿病患者において、標準治療にエンパグリフロジンを上乗せ投与した結果、複合心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクを14%、心血管死リスクを38%、全死亡のリスクを32%いずれも有意に減少させた。 一方で、2型糖尿病の有病率、心血管イベントリスクの人種差を鑑み、EMPA-REG OUTCOME試験に参加したアジア人2型糖尿病患者1,517例(全体集団の22%)における心血管アウトカムの解析が行われた。 アジア人集団における複合心血管イベント(心血管死・非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)に関して、エンパグリフロジン投与群は、プラセボ投与群に比べ、複合心血管イベントのリスクを32%減少させた(HR:0.68、95%CI:0.48~0.95)。また、エンパグリフロジン投与群は、心血管死のリスクを56%(HR:0.44、95%CI:0.25~0.78)、全死亡リスクを36%減少させた(HR:0.64、95%CI:0.40~1.01)。また、東アジア地域(日本、香港、台湾、韓国)から参加した587例の解析においても、エンパグリフロジンによる心血管アウトカムの結果は、全体集団の結果と一貫していた。 アジア人集団における有害事象の割合は、プラセボ投与群で26.6%(136/511例)、エンパグリフロジン10mg群で27.1%(137/505例)、25mg群で28.5%(143/501例)に認められた。 米国食品医薬品局(FDA)は2016年12月2日、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者に対する心血管死のリスク減少に関するエンパグリフロジンの新たな適応を承認した。欧州では、2016年12月16日に医薬品評価委員会(CHMP)が採択したエンパグリフロジンの心血管死のリスク減少に対する肯定的見解に基づき、2017年1月19日に欧州委員会(EC)が、エンパグリフロジンの心血管死のリスク減少に関するデータを含む添付文書の改訂を承認した。なお、日本におけるエンパグリフロジンの効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントのリスク減少に関連する効能・効果の適応は取得していない。(ケアネット 細田 雅之)参考論文Kaku K, et al. Circ J. 2017; 81: 227-234.

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糖尿病スクリーニングは地域住民にとって有益か?(解説:住谷 哲 氏)-639

 DPP(Diabetes Prevention Program)は、2型糖尿病発症の高リスク群に対するライフスタイルへの介入またはメトホルミンの投与が2型糖尿病への移行を抑制することを初めて明らかにした1)。 現在「2型糖尿病発症の高リスク群」はさまざまに定義されているが、その1つに前糖尿病(prediabetes)がある。prediabetesは、ADAの診断基準によれば、(1)空腹時血糖値(FPG)100~125mg/dL、(2)75gOGTT2時間値140~199mg/dL、(3)HbA1c 5.7~6.4%のいずれかを満たした場合と定義されている。一方、WHOの診断基準は(1)FPG 108~125mg/dL、(3)HbA1c 6.0~6.4%であり、一致していない。なるほど「旅行で大西洋を越えるだけで糖尿病になったり治癒したりする」と揶揄されるのも当然である。 本論文は、75gOGTT2時間血糖値140~199mg/dL(IGTに相当する)をprediabetes診断のゴールドスタンダードとした場合の、FPGおよびHbA1cの診断精度(感度または特異度)、prediabetesと診断された患者に対するライフスタイルへの介入による2型糖尿病発症予防効果をメタ解析により検討したものである。その結果、FPGの感度は0.25(95%信頼区間[CI]:0.19~0.32)、特異度は0.94(95%CI:0.92~0.96)、HbA1cの感度は0.49(95%CI:0.40~0.58)、特異度は0.79(95%CI:0.73~0.84)であった。つまり、prediabetesの診断において、HbA1cは感度・特異度ともに不十分であり、FPGは感度が低いことが明らかとなった。2型糖尿病発症予防効果は、6ヵ月~6年間の追跡調査でライフスタイルへの介入により相対リスクが36%(95%CI:28~43%)低下し、追跡調査後には20%(95%CI:8~31%)となった。 ライフスタイルへの介入または薬物投与(メトホルミン、ピオグリタゾン2)、α-GI3)4))により、IGTから2型糖尿病への進展が抑制されることはすでに証明されている。さらに近年、IGT患者への6年間にわたるライフスタイル介入により長期的には心血管死および総死亡が抑制できる可能性がDa Qing研究において明らかにされた5)。しかし、地域住民(population)のスクリーニングにより発見されたprediabetes患者へ介入(ライフスタイルまたは薬物)することで、地域住民の心血管死および総死亡を減少させること(これが真のアウトカムに相当する)ができるかは現時点で不明である。ADDITION-Cambridgeは地域住民スクリーニングにより発見された2型糖尿病患者に対して強力に介入することで、地域住民の心血管死および総死亡を減少させうるかを検討したが、結果は否定的であった6)。 2型糖尿病をはじめとする非感染性疾患(NCDs:non-communicable diseases)の予防には、疾患の高リスク患者を拾い上げて介入するハイリスクアプローチ(本論文ではscreen and treat policiesと呼ばれている)と、リスクの有無によらず地域住民に介入するポピュレーションアプローチの2つの方法がある。本論文で議論されている、prediabetes患者を拾い上げて介入する手法はハイリスクアプローチに相当する。われわれは、なんとなくこの方法が有益であるように考えているが、FPGまたはHbA1cでスクリーニングされたprediabetes患者は、本論文で述べているようにきわめてheterogeneousであり、多くの偽陽性患者が含まれ、逆に多くの偽陰性患者がスクリーニングからもれている。さらに前述したように、スクリーニングで発見されたprediabetes患者へ介入することで、地域住民の心血管死および総死亡を減少させることが出来るか否かは現時点では不明である点を考慮すると、地域住民に対する有益性はあるとしてもきわめて小さいと考えられる。より有益なのは、本論文の著者らも指摘するように、公園などの緑を増やすこと、もっと歩行が快適になるような環境を増やすこと、だれもが出来る安価なレジャーを増やすこと、食品表示をもっとわかりやすくすること、栄養摂取基準の設定に独立性を持たせること、食品広告を規制すること、果物や野菜を手に入りやすくすること、公教育でもっと情報を与えること、のように“upstream”に介入する、政府の介入を前提としたsoft-regulation strategyと呼ばれるポピュレーションアプローチと思われる。この点については減塩政策について論じた別の論文が参考になる7)。参考文献1)Knowler WC, et al. N Engl J Med. 2002;346:393-403.2)DeFronzo RA, et al. N Engl J Med. 2011;364:1104-1115.3)Chiasson JL, et al. Lancet. 2002;359:2072-2077.4)Kawamori R, et al. Lancet. 2009;373:1607-1614.5)Li G, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2014;2:474-480.6)Simmons RK, et al. Lancet. 2012;380:1741-1748.7)Webb M, et al. BMJ. 2017 Jan 10;356:i6699.関連コメントCLEAR!ジャーナル四天王食生活の改善は医薬品開発よりも効率的に健康寿命を延ばせることがわかった(解説:折笠 秀樹 氏)

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1型糖尿病のHbA1c改善に持続血糖測定が有用/JAMA

 頻回インスリン注射(MDI)で血糖コントロールが不良な1型糖尿病患者では、持続血糖測定(CGM)を用いた治療は通常治療よりも6ヵ月後のヘモグロビンA1c(HbA1c)の抑制効果が良好であることが、米国・Jaeb Center for Health ResearchのRoy W Beck氏らが実施したDIAMOND試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年1月24・31日号に掲載された。米国の1型糖尿病患者について、米国糖尿病学会(ADA)のHbA1cの目標値(18歳未満:7.5%[58mmol/mol]、18歳以上:7.0%[53mmol/mol])の達成率は約30%にすぎず、糖尿病管理の改善が求められている。CGMは、5分ごとにグルコースを測定し、低血糖および高血糖の警告機能を備え、グルコースの傾向を示す情報を提供するため、1日に数回の血糖値の測定よりも有用な糖尿病管理情報をもたらす可能性があるという。CGMの効果を評価する米国の無作為化試験 DIAMONDは、MDIを受けている1型糖尿病患者におけるCGMの有効性を評価する多施設共同無作為化試験(Dexcom社の助成による)で、2014年10月~2016年5月に行われた。 対象は、年齢25歳以上、MDIによる治療を1年以上受けており、HbA1cが7.5~9.9%、試験開始前の3ヵ月間にパーソナルCGMデバイスの使用歴がない1型糖尿病患者であった。 被験者は、CGM群または対照群に無作為に割り付けられた。CGM群は、CGMシステム(Dexcom G4 Platinum)が提供され、5分ごとに間質液中のグルコース濃度を測定した。対照群は、1日4回以上の血糖値の測定が求められた。 主要評価項目は、ベースラインから24週までのHbA1c(中央判定)の変化の差とした。 2014年10月~2015年12月に、米国の24施設に158例が登録され、CGM群に105例、対照群には53例が割り付けられた。155例(CGM群:102例、対照群:53例)が試験を完遂した。24週時のHbA1cが0.6%抑制 ベースラインの全体の平均年齢は48(SD 13)歳(範囲:26~73歳、60歳以上:22%)、女性が44%で、糖尿病罹病期間中央値は19年(四分位範囲:10~31年)、平均HbA1cは8.6(SD 0.6)%であった。6ヵ月目(21~24週)に、CGM群の完遂例の93%が週に6日以上CGMを使用していた。 ベースラインからの平均HbA1cの低下は、CGM群が12週時1.1%、24週時1.0%であり、対照群はそれぞれ0.5%、0.4%であった(反復測定モデル:p<0.001)。24週時のベースラインからのHbA1cの平均変化の補正群間差は-0.6%(95%信頼区間[CI]:-0.8~-0.3%、p<0.001)であり、CGM群が有意に良好であった。 また、24週時のHbA1c<7.0%の達成率(CGM群:18% vs.対照群:4%、p=0.01)、HbA1c<7.5%の達成率(38% vs.11%、p<0.001)、HbA1cが10%以上低下した患者の割合(57% vs.19%、p<0.001)は、CGM群が良好であった。 これらCGM群のHbA1cに関するベネフィットは、全年齢、ベースラインのHbA1cの範囲(7.5~9.9%)のすべての患者で認められ、学歴による差もなかった。 低血糖(<70mg/dL)の期間中央値は、CGM群が43分/日(四分位範囲:27~69)、対照群は80分/日(四分位範囲:36~111)であり、有意な差が認められた(p=0.002)。重篤な低血糖は両群とも2例ずつに発現した。 著者は、「より長期的な効果とともに、臨床アウトカム、有害事象を評価するには、さらなる研究を要する」としている。

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Dr.林の笑劇的救急問答12

第1回 創傷処置1 まずは洗おう!そうしよう! 第2回 創傷処置2 痛くない注射 第3回 高血糖救急1 腹痛なら胃腸炎?それダメ!第4回 高血糖救急2 インスリン一発!それダメ! シーズン12下巻のテーマは 「創傷処置」と「高血糖救急」。創傷処置:外傷の患者に行う創処置は、できるだけ“痛くなく”するのは当然!とDr.林。閉鎖療法や縫合の基本、動物咬傷、痛くない局所麻酔注射、釣り針の抜き方、など実演映像を交えて、“痛くない”処置のコツを伝授! 高血糖救急:腹痛の患者に安易に“胃腸炎”というゴミ箱診断していませんか?DKAの患者にインスリンを一発!していませんか?誰もがついやってしまいがちな診療にDr.林が待ったをかけます!高血糖救急でのピットフォールを中心に徹底レクチャー!第1回 創傷処置1 まずは洗おう!そうしよう!創処置の基本は創洗浄!創洗浄の水は滅菌水である必要はないんです!むしろ水道水のほうが感染率が低いというデータも。そう、大切なのは洗い方なのです。また、閉鎖療法や縫合の基本、そして動物咬傷などの感染が懸念される傷についても、エビデンスを提示しながら、正しい創傷処置について解説します。第2回 創傷処置2 痛くない注射 救急や外来に訪れる外傷の患者に行う創処置は、できるだけ“痛くなく”するのは当然!とDr.林。今回は、痛くない局所麻酔注射、皮下ブロック、釣り針の抜き方、停留針、指輪の外し方などを、実演画像を交えて、コツを伝授!患者さんのためにしっかりとマスターしてください!第3回 高血糖救急1 腹痛なら胃腸炎?それダメ!腹痛を主訴に来た患者さんに“胃腸炎”というゴミ箱診断をしていませんか?ウイルス性の胃腸炎は嘔気・嘔吐・下痢の三拍子そろって初めて診断できるものです。解剖学的に説明のつかない腹痛というものはたくさんあります。糖尿病性ケトアシドーシスでの腹痛もその一つ。腹痛を主訴に受診した患者さんの場合には、必ず鑑別疾患にあげましょう!だれもが陥りやすいピットフォールを爆笑症例ドラマとDr.林の講義で確認しましょう!そうすれば決して忘れることはないでしょう。第4回 高血糖救急2 インスリン一発!それダメ!DKAの患者さんが救急搬送!さあ、あなたならどうしますか?インスリンを一発!いやいや、それは絶対ダメです!まずは慌てずゆっくり脱水の補正を行いましょう。脱水の補正の仕方によっては、脳浮腫などの合併症を起こすことも考えられます。どのように補正していくか、まだ教科書にも載っていない最新の話題“Dallas protocol”も取り入れながら、解説します。DKAの患者にやること、そして絶対にやってはいけないことを明確にわかりやすく、Dr.林ならではの講義でお届けします。

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1型糖尿病の血糖コントロールに持続血糖測定が有効/JAMA

 頻回インスリン注射(MDI)で血糖コントロールが不良な1型糖尿病患者において、持続血糖測定(CGM)を用いた治療は従来の治療に比べ、良好なヘモグロビンA1c(HbA1c)の改善をもたらし、患者の満足度も高いことが、スウェーデン・ウッデバラ病院のMarcus Lind氏らが行ったGOLD試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年1月24・31日号に掲載された。MDIおよび持続皮下インスリン注入療法(CSII)による強化インスリン療法は、1型糖尿病の合併症を予防、抑制することが報告されている。一方、CGMシステムは、皮下に留置したセンサーで測定したデータを送信機で携帯モニタに送り、患者はグルコースの値を連続的に知ることができるため、インスリン用量の最適化に資するという。スウェーデンの無作為化クロスオーバー試験 GOLDは、1型糖尿病の血糖コントロールにおけるCGMを用いた治療と従来治療の効果を比較する非盲検無作為化クロスオーバー試験(NU Hospital Groupの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、MDIによる治療中で、HbA1c≧7.5%(58mmol/mol)、空腹時Cペプチド<0.91ng/mL、罹病期間1年以上の1型糖尿病患者であった。 被験者は、6週間の導入期間の後、CGM(Dexcom G4 PLATINUM)用いた治療を行う群または血糖自己測定による従来治療を行う群に無作為に割り付けられ、26週の治療が行われた(第1治療期)。その後、17週のウオッシュ・アウト期間を経て、治療法をクロスオーバーし26週の治療が行われた(第2治療期)。 主要評価項目は、2つの治療法の26週時と69週時の平均HbA1cの差とした。 2014年2月24日~2016年6月1日に、スウェーデンの15の糖尿病外来クリニックに161例が登録され、142例(最大の解析対象集団[FAS])が2つの治療期を終了した。第1治療期にCGMに割り付けられたのは69例、従来治療に割り付けられたのは73例だった。HbA1c、血糖変動幅、治療満足度が良好、重篤な低血糖は1例 ベースラインのFASの平均年齢は44.6(SD 12.7)歳、男性が56.3%で、平均HbA1cは8.7(SD 0.8)%(72mmol/mol)、平均罹病期間は22.2(SD 11.8)年であった。 治療期間中の平均HbA1cは、CGMが7.92%(63mmol/mol)、従来治療は8.35%(68mmol/mol)であった。平均差は-0.43%(95%信頼区間[CI]:-0.57~-0.29)(-4.7mmol/mol、95%CI:-6.3~-3.1)であり、CGMが有意に良好であった(p<0.001)。 2つの治療期の治療開始時のHbA1cはほぼ同じであったが、治療中は両治療期ともCGMのほうがHbA1cが低い値で経過した。 平均血糖変動幅はCGMが161.93mg/dLと、従来治療の180.96mg/dLに比べて低く(p<0.001)、血糖値のSDもCGMのほうが低値だった(68.49mg/dL vs.77.23mg/dL、p<0.001)。 糖尿病治療満足度質問表(DTSQ、0~36点、点が高いほど良好)はCGMが30.21点、従来治療は26.62点(p<0.001)、DTSQ変化(-18~18点、点が高いほど満足度が良好に変化)はそれぞれ13.20点、5.97点(p<0.001)であった。 WHO-5精神健康状態表(0~100点、点が高いほど良好)はCGMが66.13点、従来治療は62.74点(p=0.02)であった。低血糖恐怖尺度(0~4点、点が高いほど恐怖が大きい)の行動/回避は、それぞれ1.93点、1.91点と差はなかった(p=0.45)。 重篤な低血糖は、CGMは1例(0.04/1,000人年)、従来治療は5例(0.19/1,000人年)にみられ、ウオッシュ・アウト期間には従来治療の患者の7例に認められた(0.41/1,000人年)。 有害事象は、CGMが77例に137件、従来治療は67例に122件発生した。CGMでセンサーに対するアレルギー反応で治療を中止した患者が1例みられた。重篤な有害事象は、CGMが7例に9件、従来治療は3例に9件認められた。 著者は、「臨床アウトカムと長期の有害事象を評価するには、さらなる検討を要する」としている。

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ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック Ver.3

患者さんのより良いコントロールと合併症予防を目指して新知見を注入糖尿病領域で好評をいただいている書の全面改訂版の登場です。前書Ver.2の刊行から約2年。この間にも、新たなエビデンスの集積、ADA(アメリカ糖尿病協会)の新ガイドラインやわが国学会の高齢者糖尿病の血糖コントロール目標2016の公表など、糖尿病診療を取り巻く環境は、日々進歩を続けています。Ver.3ではこれらの知見を織込み、また、ライゾデグ、トルリシティ、ジャディアンスやウィークリー製剤などの新しい薬剤に関する情報も追加いたしました。糖尿病診療に携わるすべてのかかりつけ医、一般内科医に必携の書です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック Ver.3定価3,600円 + 税判型A5判頁数368頁発行2017年1月編著岩岡秀明 / 栗林伸一Amazonでご購入の場合はこちら

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血管止血デバイスの安全性評価に有用な監視システム/NEJM

 DELTA(Data Extraction and Longitudinal Trend Analysis)と呼ばれる前向き臨床登録データサーベイランスシステムを用いた検証により、血管止血デバイスの1つであるMynxデバイスが、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の有害事象増加と関連しており、最初の1年以内で他の血管止血デバイスと有意差がみられることが明らかとなった。米国・Lahey Hospital and Medical CenterのFrederic S. Resnic氏らが、PCI後の有害事象増加が懸念されているデバイスの安全性モニタリングについて、DELTAシステムを用いた戦略が実現可能かを評価したCathPCI DELTA試験の結果、報告した。これまで、医療機器の市販後の安全性を保証する過程は、有害事象の自主報告に依存しており、安全性の評価と確認が不完全であった。NEJM誌オンライン版2017年1月25日号掲載の報告。Mynxデバイスの安全性に関する傾向スコア解析を実施 DELTAは、オープンソースのデータベース管理および統計解析ツールを結合する統合ソフトウェア・コンポーネントで、臨床登録と他の詳細な臨床データから安全性シグナルを前向きにモニターするサーベイランスシステムである。 研究グループは、DELTAシステムを使用し、CathPCI Registryに登録された患者を対象に、Mynxデバイスの安全性を他の承認済み血管止血デバイスと比較する傾向スコア解析を実施した(Mynxは、シースを抜く際に大腿動脈の穿刺部を、生体に吸収されるポリエチレングリコールで止血するデバイス)。 主要評価項目は、全血管合併症(穿刺部出血、穿刺部血腫、後腹膜出血、その他の処置を要する血管合併症)、副次評価項目は治療を要する穿刺部出血および施術後輸血であった。他の血管止血デバイスと比較し、Mynxデバイスで血管合併症リスクが有意に増加 2011年1月1日~2013年9月30日の間に、大腿部アプローチによるPCI後にMynxデバイスを使用した患者7万3,124例のデータが解析された。 Mynxデバイスは、他の血管止血デバイスと比較して、全血管合併症のリスクが有意に増加した(絶対リスク1.2% vs.0.8%、相対リスク:1.59、95%信頼区間[CI]:1.42~1.78、p<0.001)。同様に、穿刺部出血(同:0.4% vs.0.3%、1.34、1.10~1.62、p=0.001)、および輸血(1.8% vs.1.5%、1.23、1.13~1.34、p<0.001)も有意なリスク増加が確認された。 Mynxデバイスによる血管合併症に関する警告(増加が有意であることが最初に認められたこと)は、モニタリング開始後12ヵ月以内に発生した。相対リスクは、事前に定義した3つのサブグループ(糖尿病、70歳以上、女性)でより高かった。 FDAの指示により追加された2014年4月1日~2015年9月30日の間の別の4万8,992例を対象とした解析でも、すべての評価項目に関して最初の12ヵ月以内に警告が確認された。

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安定冠動脈疾患にRAS阻害薬は他剤より有効か/BMJ

 心不全のない安定冠動脈疾患の患者に対するレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の投与は、プラセボとの比較では心血管イベント・死亡のリスクを低減するものの、Ca拮抗薬やサイアザイド系利尿薬などの実薬との比較では、同低減効果は認められなかった。また、対プラセボでも対照集団が低リスクの場合は、同低減効果は認められなかった。米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らが、24の無作為化試験についてメタ解析を行い明らかにし、BMJ誌2017年1月19日号で発表した。心不全のない安定冠動脈疾患患者へのRAS阻害薬投与については、臨床ガイドラインでは強く推奨されているものの、最近の現行治療への上乗せを検討した試験結果では、対プラセボの有効性が示されなかった。非心不全・冠動脈疾患患者100例以上、追跡期間1年以上の試験を対象にメタ解析 研究グループは、PubMed、EMBASE、コクラン・ライブラリCENTRALを基に、2016年5月1日までに発表された、心不全のない(左室駆出分画率40以上または臨床的心不全なし)安定冠動脈疾患を対象に、RAS阻害薬とプラセボまたは実薬を比較した24の無作為化試験についてメタ解析を行い、RAS阻害薬の有効性を検証した。 対象とした試験は100例以上の該当患者を含み、また追跡期間は1年以上だった。アウトカムは死亡、心血管死、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、心不全、血行再建術、糖尿病発症、有害事象による服薬中止だった。RAS阻害薬は死亡率14.10/1,000人年超の集団で有効 分析対象とした試験の総追跡期間は、19万8,275人年だった。 RAS阻害薬群はプラセボ群に比べ、全死因死亡(率比:0.84、95%信頼区間[CI]:0.72~0.98)、心血管死(0.74、0.59~0.94)、心筋梗塞(0.82、0.76~0.88)、脳卒中(0.79、0.70~0.89)、また、狭心症(0.94、0.89~0.99)、心不全(0.78、0.71~0.86)、血行再建術(0.93、0.89~0.98)のリスクをいずれも低減した。一方で実薬との比較では、いずれのアウトカム発生リスクの低減は認められなかった。率比は全死因死亡1.05(95%CI:0.94~1.17、交互作用のp=0.006)、心血管死1.08(0.93~1.25、p<0.001)、心筋梗塞0.99(0.87~1.12、p=0.01)、脳卒中1.10(0.93~1.31、p=0.002)などだった。 ベイズ・メタ回帰分析の結果、RAS阻害薬による死亡・心血管死リスクの低減が認められたのは、対照群のイベント発生率が高値の集団(全死因死亡14.10/1,000人年超、心血管死7.65/1,000人年超)だった試験のみで、低値の集団だった試験では同低減効果は認められなかった。 著者は、「心不全のない安定冠動脈疾患患者において、RAS阻害薬の心血管イベントおよび死亡の抑制は、プラセボ対照群の試験でのみみられ、実薬対照群の試験ではみられなかった。またプラセボ対照群においても、RAS阻害薬の有益性は、主に対照群のイベント発生率が高かった試験では認められたものの、低い場合は認められなかった」と述べている。そのうえで、「その他の実薬対照を含めてRAS阻害薬が優れていることを支持するエビデンスはない」とまとめている。

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アジア人で眼圧上昇と血糖降下薬の関連を示唆

 眼圧は全身薬物療法と関連しているのだろうか。シンガポール・国立眼科センターのHenrietta Ho氏らは、中国人、インド人およびマレー人を対象としたシンガポール眼疾患疫学研究の事後解析を行い、β遮断薬は眼圧低値と、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、スタチンおよびスルホニル尿素(SU)薬は眼圧高値と関連が示唆されることを明らかにした。これらの関連はそれほど強くはなかったが、血糖降下薬のみ1mmHg超の眼圧上昇と関連していたことから、著者は「緑内障眼の眼圧に対する全身薬物療法の作用はよく解明されていないが、重要である」と述べたうえで、「緑内障患者は、薬物の種類によって眼圧上昇または低下のリスクに曝されている可能性があり、眼圧コントロールに影響があるかもしれない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年1月12日号掲載の報告。 研究グループは、多民族的なアジア人集団で全身薬物療法と眼圧との関連を検討する目的で、シンガポール眼疾患疫学研究の事後解析を行った。 解析対象は、参加した中国人(募集期間2009年2月9日~2011年12月19日)、マレー人(同2004年8月16日~2006年7月10日)、およびインド人(同2007年5月21日~2009年12月29日)の計1万33例(回答率78.7%)のうち8,063例であった。年齢は平均57.0±9.6歳、女性50.9%、中国人2,680例(33.2%)、マレー人2,757例(34.2%)、インド人2,626例(32.6%)。緑内障、眼手術歴または外傷、および左右の眼圧の差が5mmHg以上の参加者は除外した。 眼圧は、ゴールドマン圧平眼圧計を用いて測定し、薬物療法および他の変数に関するデータはインタビュアーを介した質問票から得た。薬物療法と眼圧との関連について、線形回帰モデルを用い、2015年8月1日~10月31日に解析した。 主な結果は以下のとおり。・β遮断薬は、眼圧低下と関連していた(-0.45mmHg、95%信頼区間[CI]:-0.65~-0.25mmHg、p<0.001)。・眼圧上昇と関連していたのは、ACE阻害薬(+0.33mmHg、95%CI:0.08~0.57mmHg、p=0.008)、ARB(+0.40mmHg、95%CI:0.40~0.75mmHg、p=0.02)、スタチン(+0.21mmHg、95%CI:0.02~0.4mmHg、p=0.03)、SU薬(+0.34mmHg、95%CI:0.05~0.63mmHg、p=0.02)であった。・血糖降下薬のみ、他の研究で5年間に緑内障の発生リスクが14%高まる閾値とされる1mmHg超の眼圧上昇と関連していた。・眼圧に対する薬物種類間の相加的、相乗作用あるいは拮抗的な相互作用は確認されなかった。

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中国の糖尿病患者は全死亡率2倍~51万人7年間の前向き研究/JAMA

 ここ数十年で中国の糖尿病有病率が急激に上昇しているが、これまで糖尿病に関連する超過死亡の信頼し得る推定データはなかった。英国・オックスフォード大学のFiona Bragg氏らは、中国の都市部と地方から集めた成人約51.3万例を7年間前向きに追跡した研究で、糖尿病と超過死亡との関連を調査。その結果、中国において糖尿病が、心血管系に限らず幅広い疾患別死亡率増大と関連していること、また、有病者は都市部のほうが多いが、超過死亡との関連は地方のほうが強いことを明らかにした。JAMA誌2017年1月17日号掲載の報告。30~79歳の成人51万2,869例を7年間追跡 研究グループは、糖尿病と超過死亡との関連を評価し、糖尿病関連の絶対超過死亡を、中国の都市部と地方について調べた。7年間の全国前向き調査は、中国10地域(都市部5、地方5)から30~79歳の成人51万2,869例が参加して行われた。被験者は2004年6月~2008年7月に集められ、2014年1月まで追跡を受けた。 ベースラインで糖尿病を確認(既往歴ありまたはスクリーニングにより検出)。主要評価項目は、死亡レジストリで確認した全死因死亡と疾患別死亡で、Cox回帰分析を用いて、ベースラインでの糖尿病有病者vs.非有病者の補正後死亡率比(RR)を推算・比較した。糖尿病関連死は都市部よりも地方で高い 51万2,869例は、平均年齢は51.5(SD 10.7)歳、女性は59%であった。糖尿病有病者は5.9%で、地方4.1%に対し都市部8.1%、男性5.8%に対し女性6.1%、また3.1%が既往患者で、2.8%はスクリーニングにより検出された。 フォローアップ364万人年において、死亡は2万4,909例、そのうち糖尿病有病者は3,384例であった。 非有病者と比較して糖尿病有病者は、全死因死亡率が有意に高かった(1,373 vs.646例/10万、補正後RR:2.00、95%信頼区間[CI]:1.93~2.08)。また、その率比は、都市部よりも地方で高かった(各RRは1.83[95%CI:1.73~1.94]、2.17[95%CI:2.07~2.29])。 糖尿病を有していることで、次の疾患による死亡増大との関連が認められた。虚血性心疾患(3,287例、RR:2.40[95%CI:2.19~2.63])、脳卒中(4,444例、1.98[1.81~2.17])、慢性肝疾患(481例、2.32[1.76~3.06])、感染症(425例、RR、2.29[1.76~2.99])、肝臓がん(1,325例、1.54[1.28~1.86])、膵臓(357例、1.84[1.35~2.51])、女性の乳がん(217例、1.84[1.24~2.74])、女性生殖器系(210例、1.81[1.20~2.74])である。 また、慢性腎臓病(死亡365例)のRRは、都市部(6.83[95%CI:4.73~9.88])と比べて地方(18.69[14.22~24.57])のほうが高かった。 糖尿病有病者において、全死亡の10%(地方16%、都市部4%)が、糖尿病性ケトアシドーシスまたは糖尿病性昏睡(計死亡408例)が原因であることが確認または有望視された。

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ベンゾジアゼピンと認知症リスク~メタ解析

 ベンゾジアゼピン(BZP)は、先進国のとくに高齢の患者に対し広く用いられている。しかし、BZPは記憶および認知機能に影響を及ぼし、認知症リスクを高める可能性があることが知られている。台湾・台北医学大学のMd Mohaimenul Islam氏らは、BZPと認知症リスクとの関連を評価した観察研究をレビューした。Neuroepidemiology誌オンライン版2016年12月24日号の報告。 認知症アウトカムに対するBZP使用リスクを評価するため、観察研究のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。検討には、BZP使用患者と対照群における認知症アウトカムを比較したすべての対象観察研究を含んだ。ランダム効果モデルを用いて、プールされたORを算出した。システマティックレビューには10件(3,696例)が含まれ、そのうち8件はランダム効果メタ解析、感度分析に含めた。 主な結果は以下のとおり。・BZP使用患者における認知症オッズは、BZP未使用患者と比較し、78%高かった(OR:1.78、95%CI:1.33~2.38)。・サブグループ分析では、アジアの研究において高い相関が認められ(OR:2.40、95%CI:1.66~3.47)、北米(OR:1.49、95%CI:1.34~1.65)および欧州(OR:1.43、95%CI:1.16~1.75)の研究において中等度の相関が認められた。・糖尿病、高血圧、心疾患、スタチン系薬剤は、認知症リスク上昇と関連していたが、BMIは負の相関が認められた。・主要な分析および大部分の感度分析において、研究間に統計学的および臨床的に有意な異質性が認められた。 著者らは「本検討により、BZP使用と認知症リスクには有意な関連が示唆された。しかし、観察研究では、観察された疫学的関連性が因果関係であるのか、未測定の交絡因子の結果であるのかを明らかにすることができなかった。この関連を明らかにするためにも、より多くの研究が必要である」としている。関連医療ニュース 認知症予防にベンゾジアゼピン使用制限は必要か ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する

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151)毎日の果物摂取の適量を簡単に測る【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師将来の健康のことを考えると果物は、毎日、食べておきたいですね。患者量はどのくらい食べたらいいですか?医師ちょっとこぶしを握ってみてください。患者こうですか?(握りこぶしをつくる)医師そうです。このくらいの大きさの果物が目安になります。患者なるほど。大きな握りこぶしの人は、たくさん食べることができますね。医師ハハハ。確かに、そうですね。1日に200gを目安に、食べる習慣をつけてみてください。患者ミカンなら2個くらい。リンゴなら半分ですね。よくわかりました(納得した顔)。●ポイント果物の適切な摂取量を、身近なものを目安に具体的に説明します1) Li M, Fan Y, et al. BMJ Open. 2014;4:e005497.

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糖尿病スクリーニング、HbA1c・空腹時血糖値は有効か/BMJ

 2型糖尿病に進行するリスクが高い前糖尿病状態のスクリーニングとして、HbA1cは感度も特異度もどちらも不十分であり、空腹時血糖値は特異度が高いものの感度が低いことが示された。英国・オックスフォード大学のEleanor Barry氏らが、前糖尿病状態のスクリーニングと介入に関するシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにした。前糖尿病患者を対象とした試験で、生活習慣病の評価やメトホルミンが2型糖尿病の発症を遅延または予防する可能性が示唆されていたが、前糖尿病状態をどう定義し検出するのが最も良いかについて統一した見解はこれまでなかった。著者は、「スクリーニングは不確かであり、不必要な予防的介入を受ける患者や、逆に必要であるにもかかわらず介入を受けていない患者が多くいるかもしれない」と指摘した上で、「早期発見・早期治療の方針は、糖尿病のハイリスク者すべてに有効というわけではなく、この方針だけでは2型糖尿病の世界的流行に実質的な影響はないだろう」とまとめている。BMJ誌2017年1月4日号掲載の報告。スクリーニングの診断精度と予防的介入の有効性をメタ解析で検証 研究グループは、Medline、PreMedline、Embaseを用い、前糖尿病状態の診断精度(耐糖能異常、空腹時血糖異常、HbA1c高値)を評価した実証的研究、ならびにスクリーニングで特定された集団で介入群と対照群を比較した研究(無作為化試験や介入試験)について、言語は制限せず検索するとともに、研究プロトコルおよび影響力が大きな論文についてはGoogle Scholarで引用追跡を行って試験の詳細と追加論文を調査し、システマティックレビューを行った。 2,874報(titles)が精査され、138試験(計148論文)が本レビューに組み込まれた。メタ解析は、前糖尿病状態を特定するスクリーニングの診断精度の検討、ならびに生活習慣改善とメトホルミン療法による2型糖尿病発症の相対リスクの検討の2部構成とし、スクリーニングに関する研究49件および介入試験50件が最終解析の対象となった。HbA1cは感度・特異度とも低く、空腹時血糖値は感度が低い 前糖尿病状態のスクリーニングに関しては、それぞれの研究で異なるカットオフ値を使用していたが、HbA1cの感度は0.49(95%信頼区間[CI]:0.40~0.58)、特異度は0.79(95%CI:0.73~0.84)、空腹時血糖値の感度は0.25(95%CI:0.19~0.32)、特異度は0.94(95%CI:0.92~0.96)であった。スクリーニング法の違いによって、特定される部分集団が異なった。例えば、HbA1cで前糖尿病状態と診断された人の47%は、空腹時血糖や耐糖能の評価では正常であった。 2型糖尿病の発症リスクについては、6ヵ月~6年間の追跡調査で生活習慣への介入により相対リスクが36%(95%CI:28~43%)低下し、追跡調査後には20%(95%CI:8~31%)となった。

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幹線道路の近くに住む人は認知症リスクが高い/Lancet

 幹線道路から<50mに住む人は、300m超離れた場所に住む人に比べ、認知症発症リスクが高く、幹線道路から離れるにつれて、同リスクの増加幅は有意に減少することが示された。一方、そうした関連は、パーキンソン病、多発性硬化症はみられなかったという。カナダ・Public Health OntarioのHong Chen氏らが住民ベースのコホート試験の結果、明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2017年1月4日号で発表した。認知症、多発性硬化症、パーキンソン病について関連を検証 研究グループは、2001年4月時点でカナダ・オンタリオ州に居住する20~50歳(被験者数約440万人、多発性硬化症コホート)と55~85歳(被験者数220万人、認知症・パーキンソン病コホート)の2つの住民ベースコホートを対象に試験を行った。被験者はいずれもカナダで生まれ、オンタリオ州に5年以上住む人で、ベースラインで多発性硬化症、認知症、パーキンソン病といった神経性疾患を発症していない人だった。 被験者について、郵便番号を基に試験開始5年前の1996年時点で、幹線道路にどれほど近接して居住していたかを調べた。多発性硬化症、認知症、パーキンソン病の発症については、地域の医療管理データで確認した。 幹線道路への近接居住とこれら疾患の罹患率との関連について、Cox比例ハザードモデルを用いて分析した。なお、糖尿病、脳損傷、居住地域の所得などについて補正を行った。大都市在住の幹線道路から<50m内居住、認知症リスクは1.12倍に その結果、2001~12年に各疾患を発症した人は認知症が24万3,611人、パーキンソン病は3万1,577人、多発性硬化症は9,247人だった。 幹線道路への近接居住との関連性は、パーキンソン病、多発性硬化症については認められなかった。 認知症発症については、幹線道路から<50m内に住む人の、同発症に関する補正後ハザード比は、300m超離れた場所に住む人に対して、1.07(95%信頼区間[CI]:1.06~1.08)、50~100mでは1.04(同:1.02~1.05)、101~200mでは1.02(同:1.01~1.03)、201~300mでは1.00(同:0.99~1.01)と有意な関連が認められた(傾向p=0.0349)。 なかでも、幹線道路近接居住と認知症発症について、大都市在住(幹線道路から50m内に住む人のハザード比:1.12、同:1.10~1.14)と、引っ越し経験なし(同ハザード比:1.12、同:1.10~1.14)で強い関連が認められた。

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米国で医療費が最も高い疾患は?/JAMA

 米国の1996~2013年の医療費の推移について、病態ごとに調査し推定額を算出したところ、2013年に最も高額だったのは糖尿病の治療費で約1,014億ドル(うち57.6%が薬剤費、外来医療費は23.5%)で、2番目は虚血性心疾患で881億ドル、3番目は腰部・頸部痛876億ドルだった。一方で各年の医療費は、患者の状態や治療の種類で異なることも明らかになったという。米国・ワシントン大学のJoseph L Dieleman氏らが、政府予算や保険請求支払データなどを基に分析し報告した。米国の医療費は増大を続けており、現在米国経済の17%超を占める。しかし、病態ごとにどれほどの支出があるのか、年齢別や経時的な変化はほとんど明らかになっていなかった。著者は、「今回の調査結果は、米国の医療費の支出コントロールに効果的に用いられるであろう」と述べている。JAMA誌2016年12月27日号掲載の報告。183のデータ源を基に、155の病態について精査 研究グループは1996~2013年にかけて、政府予算、保険請求データ、施設調査や世帯調査の結果、米国政府の公式記録といった183のデータ源を用いて、155の病態(うち、がんは29に分類)に関する医療費を推算した。推算は、患者の年齢や性別とともに医療サービス内容ごとにデータを抽出して行い、支払った医療費について、主要な診断よりも治療を受けた健康状態が反映されるように補正した。増大額最高は腰部・頸部痛と糖尿病、増大率最高は救急医療サービスと一般薬購入費 結果、155の病態について1996~2013年に個人が支払った医療費は、30兆1,000億ドルだった。 155の病態のうち、2013年に最も医療費が高額であったのは糖尿病で、約1,014億ドル(不確定性区間[UI]:967~1,065)だった。そのうち薬剤費の占める割合は57.6%(同:53.8~62.1)、外来医療費は23.5%(同:21.7~25.7)だった。次いで高額だったのは虚血性心疾患の881億ドル(同:827~929)で、腰部・頸部痛876億ドル(同:675~941)と続いた。一方で、被験者の年齢や性別、医療サービスの種別、調査年によって、高額な医療費を要した病態は異なることも認められた。 1996~2013年にかけて、155のうち143の病態で医療費の増大が認められた。なかでも、18年間にわたる増大額が最も多かったのは、腰部・頸部痛と糖尿病で、それぞれの増加額は572億ドル(同:474~644)、644億ドル(同:578~707)だった。 また、同期間で最も増大率が大きかったのは、救急医療サービスと一般薬の購入費で、増加率はそれぞれ年間6.4%と5.6%だった。これに対して入院医療費および介護施設ケア費の伸びは、それぞれ2.8%、2.5%だった。

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