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1型糖尿病発症予防は見果てぬ夢か?(解説:住谷哲氏)-790

 1922年に初めてインスリンが臨床応用されるまで、1型糖尿病は不治の病であった。その後、1型糖尿病のnatural historyが明らかとなり、現在では1型糖尿病発症に至る3つのstageが提唱されている1)。1型糖尿病発症の高リスクグループの同定が可能となったことで、1型糖尿病発症予防の試験がこれまでにいくつか実施されてきた。大規模試験としては、インスリン投与による1型糖尿病発症予防を検討したDiabetes Prevention Trial-Type 1 Diabetes(DPT-1)2,3)と、ニコチンアミドの有効性を検討したEuropean Nicotinamide Diabetes Intervention Trial(ENDIT)4)があるが、残念ながら両試験において結果はnegativeであった。 DPT-1は独立した2つの試験から構成されている。これまでの研究から、膵島関連自己抗体と静脈内ブドウ糖負荷試験(IVGTT)でのインスリン初期分泌能を組み合わせることで、1型糖尿病患者の近親者における、将来5年間の1型糖尿病発症リスクをほぼ正確に予測することが可能となっている。本試験では、まず膵島細胞自己抗体(ICA)でスクリーニングを行い、ICA陽性患者に対してインスリン自己抗体(IAA)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体(GAD-Ab)、抗インスリノーマ関連抗原-2抗体(IA-2-Ab)、さらにIVGTTの結果を総合して各患者の発症リスクを計算した。5年間の発症リスクが>50%の群に対してヒトウルトラレンテインスリンの皮下投与を、26~50%の群に対しては経口ヒトインスリン(7.5mg/日)を投与して、約4年間にわたり1型糖尿病の発症頻度をプラセボと比較した。その結果はすでに述べたように、両試験において1型糖尿病の発症は予防できなかった。しかし経口ヒトインスリン投与試験のサブ解析では、IAA>=80nU/mL患者においては、プラセボ群と比較して相対リスク減少(ハザード比[HR]:0.566、p=0.015)を示唆する結果であった。そこでDPT-1を引き継いだ本試験では、DPT-1とは異なりICAではなくIAAでスクリーニングを行い、その他の膵島関連自己抗体とIVGTTの結果を用いて各患者のリスクを計算し、リスクごとに患者を4群(Primary Stratum、Secondary Stratum 1、Secondary Stratum 2、Secondary Stratum 3)に分けて経口ヒトインスリンの効果を検討した。 その結果は、主要評価項目であるPrimary Stratum(これがDPT-1でのIAA>=80nU/mL患者に相当する)での1型糖尿病発症は、経口インスリン投与により有意な減少を認めなかった(HR=0.87、p=0.21)。一方、Secondary Stratum 1ではプラセボと比較して有意に発症が減少していた(HR=0.45、p=0.006)。しかしこれは多重検定について未調整であり、あくまで仮説生成(hypothesis generating)と見なすべきだろう。 動物実験の結果や、ヒトにおける少数のパイロット試験の結果のみに基づいて臨床判断を決定することは、患者に害を与える可能性がある。さらにこれまでの大規模臨床試験において、サブ解析や副次評価項目で有効性が示唆された場合でも、それを主要評価項目に設定し直して確認することで有効性が否定されたことも少なくない。1型糖尿病発症予防の研究の歴史も、まさにこのことを証明している。したがって、今回の研究で有効性が示唆された患者群を対象として、同様のRCTを実施することが次のステップとなる。残念ながら現時点では1型糖尿病発症予防は見果てぬ夢といえるだろう。

3262.

ディープラーニング活用の完全自動OCT、精度は専門家並み

 オーストリア・ウィーン医科大学のThomas Schlegl氏らは、従来の光干渉断層法(OCT)による網膜画像で黄斑液を検出し定量化する自動測定法を開発した。検証の結果、OCTデバイスを問わず、最も一般的な滲出性黄斑疾患における網膜内嚢胞液(IRC)および網膜下液(SRF)の識別・検出の精度は優れており、定量化についても専門家による手動評価とほぼ一致することが認められたという。著者は、「網膜OCT画像の完全自動分析は、眼科学の研究・臨床における網膜診断の正確性および信頼性の改善に有用と考えられる」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年12月8日号掲載の報告。 研究グループは、OCTデバイスのシラス(カールツァイスメディテック)またはスペクトラリス(ハイデルベルグ エンジニアリング)で得られた、滲出型加齢黄斑変性(AMD)400例、糖尿病黄斑浮腫(DME)400例、網膜静脈閉塞症(RVO)400例、計1,200例(各デバイス600例)のOCTボリューム・スキャンデータを用い、IRCとSRFを自動的に検出・識別・定量化する、ディープラーニングをベースとする完全自動測定法を開発した。そのアルゴリズムの性能を、盲検化された2人の読影者の測定結果と比較するとともに、正確度(ROC曲線)、精度、再現度で評価した。 主な結果は以下のとおり。・IRCの検出と定量化については、3つの黄斑病変全体で、新しい自動測定法の平均正確度は0.94、平均精度は0.91、平均再現度は0.84であり、最適な精度を達成した。・SRFの検出と定量化についても同様に、平均正確度0.92、平均精度0.61、平均再現度0.81と高く、DMEと比較して滲出型AMDおよびRVOにおいて、その性能が優れていることが示唆された。・新しい自動測定法は、手動測定と直線的な強い相関関係にあることが確認された(ピアソン相関係数:IRC 0.90、SRF 0.96)。

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糖尿病性網膜症に新たなスクリーニング法/JAMA

 シンガポール・国立眼科センターのDaniel Shu Wei Ting氏らは、ディープラーニングシステム(DLS)を活用した、糖尿病性網膜症および関連する眼疾患を検出するスクリーニング法を開発し検証試験を行った。検証試験は、多民族から成る糖尿病患者集団の網膜像評価で行われ、DLSは糖尿病性網膜症および関連する眼疾患の検出について、高い感度および特異度を示したという。著者は、「さらなる研究を行い、健常者でのスクリーニングにDLSが応用可能かについて、また視機能の改善に果たすDLSの有用性を検討する必要がある」とまとめている。JAMA誌2017年12月12日号掲載の報告。シンガポールの多民族患者コホートで学習訓練と検証試験 研究グループは、糖尿病を有する、地域およびクリニックベースの多民族集団で、糖尿病性網膜症、失明の恐れのある糖尿病性網膜症、疑い例を含む緑内障、加齢黄斑変性(AMD)の検出におけるDLSのパフォーマンスを評価した。診断能の評価は、網膜像49万4,661例を用いて行った。 まずDLSは、糖尿病性網膜症(7万6,370画像を使用)、疑い例を含む緑内障(12万5,189画像)、AMD(7万2,610画像)の検出について訓練を受け、その後、糖尿病性網膜症(11万2,648画像)、疑い例を含む緑内障(7万1,896画像)、AMD(3万5,948画像)について診断能の評価を受けた。 DLSの訓練は2016年5月に完了。検証試験は、糖尿病性網膜症(中等症の非増殖糖尿病性網膜症または増悪例)、失明の恐れのある糖尿病性網膜症(重症の非増殖糖尿病性網膜症または増悪例)の検出について、2017年5月に完了した。検証試験の主要データセットは、Singapore National Diabetic Retinopathy Screening Programと10の多民族糖尿病患者コホートであった。 主要評価項目は、DLSの標準参照としての専門評価者(網膜専門医、一般眼科医、訓練を受けた評価者、オプトメトリスト)に対するROC曲線下面積(AUC)、感度、特異度とした。糖尿病性網膜症、緑内障、AMDの検出、感度、特異度ともに高値を示す 主要検証データセットは、患者1万4,880例、7万1,896画像、平均年齢60.2(SD 2.2)歳、男性54.6%であった。同データセットにおける各有病率は、糖尿病性網膜症3.0%、失明の恐れのある糖尿病性網膜症0.6%、疑い例を含む緑内障0.1%、AMD 2.5%であった。 DLSの糖尿病性網膜症についてのAUCは0.936(95%信頼区間[CI]:0.925~0.943)、感度90.5%(95%CI:87.3~93.0)、特異度91.6%(同:91.0~92.2)であった。失明の恐れのある糖尿病性網膜症については、AUC 0.985(0.956~0.961)、感度100%(94.1~100.0)、特異度91.1%(90.7~91.4)であった。疑い例を含む緑内障については、AUC 0.942(0.929~0.954)、感度96.4%(81.7~99.9)、特異度87.2%(86.8~87.5)であった。AMDについては、AUC 0.931(0.928~0.935)、感度93.2%(91.1~99.8)、特異度88.7%(88.3~89.0)であった。 10の追加データセット(4万752画像)における糖尿病性網膜症のAUCは、0.889~0.983であった。

3264.

REVEALはHDLコレステロールの効果を明らかにできたのか?(解説:平山 篤志 氏)-786

 高LDLコレステロール血症と同様に低コレステロール血症が冠動脈疾患のリスク因子であることは広く知られていた。LDLコレステロールを低下させることによって、冠動脈イベントが低下することは、スタチンの試験だけでなく、コレステロール吸収阻害薬やPCSK9阻害薬を用いた試験で示されている。では、HDLコレステロールを上昇させることによってイベントを低下させることが可能ではないか? ターゲットとなったのは、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)で、その働きは高比重リポ蛋白(HDL)中のコレステリルエステルを超低比重リポ蛋白(VLDL)や低比重リポ蛋白(LDL)に転送する働きを有している。このCETPを阻害することにより、HDLコレステロールの上昇が認められることから、CETP阻害薬が開発され、torcetrapibの臨床試験が行われたのである。すでに2007年に報告されたようにイベントは逆に増加した結果となった。血圧の上昇がイベントを増加させた可能性があるとして、さらにevacetrapib、dalcetrapibの臨床試験が行われたが、いずれも有効性を示すことができなかった。 CETP阻害薬の最後として期待された試験が今回発表されたanacetrapibを用いたREVEAL試験であった。本試験では、ASCVDの3万の患者を対象に冠動脈イベントの発症を一次エンドポイントとした試験で、初めてCETP阻害薬であるanacetrapibの有意なイベント低下効果を示したのであった(HR:0.91、95% confidence interval [CI]:0.85~0.97、P=0.004)。 しかし、CETP阻害薬によりLDLコレステロール低下効果を認めたことからHDLコレステロールを上昇させた効果であると結論できなかった。REVEAL試験は有効性を示したが、HDLコレステロールの意義を示した結果ではなかった。より強力なLDLコレステロール低下効果のある薬剤がある現状では、anacetrapibは薬剤として上市されることはないであろう。

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日本人2型糖尿病のCHD発症、肉摂取量に関連

 健康成人における心血管疾患の主な原因として食肉の過剰摂取が研究されているが、アジア人の糖尿病患者における研究はわずかである。今回、The Japan Diabetes Complications Study(JDCS)グループが日本人2型糖尿病患者で調査したところ、食肉の高摂取が冠動脈疾患(CHD)発症率上昇に関連することがわかった。European journal of nutrition誌オンライン版2017年12月8日号に掲載。 本研究は、全国コホート研究の一環として、HbA1c 6.5%以上の40~70歳の日本人2型糖尿病患者における食肉摂取量と心血管疾患発症の関連を調査した。ベースラインでの食事調査の回答者は1,353人で、食品群に基づく食事摂取頻度調査票で評価した。主要アウトカムは、CHDおよび脳卒中を含む心血管疾患イベントの8年間のリスクであった。食肉摂取量について、年齢、性別、BMI、HbA1c、喫煙、エネルギー摂取量、その他の交絡因子で調整されたハザード比(HR)を、Cox回帰分析を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・平均食肉摂取量の四分位範囲は、9.9~97.7g/日であった。・交絡因子の調整後、第2、第3、第4四分位のCHDのHRは、第1四分位と比較して、それぞれ2.84(95%信頼区間:1.29~6.24、p=0.01)、3.02(同:1.36~6.70、p<0.01)、2.99(同:1.35~6.65、p=0.01)であった。・食肉摂取量に応じた2群において、20g/日以上の食肉を摂取する患者は、20g/日未満の患者よりもCHDリスクが2.94倍高かった(p<0.01)。・脳卒中と食肉摂取との関連は認められなかった。

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2型糖尿病、集中的食事療法による減量で46%が寛解/Lancet

 減量により12ヵ月で、試験に参加した2型糖尿病患者の約半数が糖尿病治療薬から離脱し、非糖尿病状態すなわち寛解(remission)に達したことが、英国・グラスゴー大学のMichael EJ Lean氏らが行ったプライマリケアでの集中的な体重管理の効果を検証した非盲検クラスター無作為化試験「DiRECT試験」の1年目の結果で示された。2型糖尿病は生涯にわたり治療を要する慢性疾患とされる。これまでの研究で、罹患期間が短い2型糖尿病患者は10~15kgの減量により血糖値が正常化することが示されていたが、食事療法による糖尿病の持続的な寛解を評価したものはなかった。結果を踏まえて著者は、「2型糖尿病の寛解は、プラリマリケアのプラクティカルな目標である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年12月5日号掲載の報告。1日約850kcalの調整食を3~5ヵ月摂取する体重管理プログラムと標準ケアを比較 DiRECT(Diabetes Remission Clinical Trial)試験は、スコットランドとタインサイド地域(北東イングランド)のプライマリケア49施設で実施された。対象は、過去6年以内に2型糖尿病と診断され、BMIが27~45で、インスリン治療歴のない20~65歳の患者であった。 施設を、地域と施設規模で層別化し、体重管理プログラム実施群(介入群)とガイドラインに沿った最善のケアを行う群(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。体重管理プログラムは、糖尿病治療薬および降圧薬の中止、食事全置換(825~853kcal/日の調整食を3~5ヵ月)、段階的な食物再導入(2~8週)、長期減量維持の構造化された支援により構成された。 主要アウトカムは2つで、ベースラインから12ヵ月までにおける15kg以上の減量と、糖尿病の寛解(すべての糖尿病治療薬を中止して2ヵ月以降のHbA1cが6.5%未満と定義)であった。 2014年7月25日~2016年8月5日に、49施設(介入群23施設、対照群26施設)にて306例(それぞれ157例および149例)が登録され、このうち同意撤回や脱落を除く各群149例をintention-to-treat集団とした。介入群の15kg以上減量達成率は24%、そのうち86%が寛解 12ヵ月時点で、15kg以上の減量を達成したのは、介入群で36例(24%)、対照群はなし(p<0.0001)、糖尿病の寛解達成は介入群68例(46%)、対照群6例(4%)であった(オッズ比:19.7、95%信頼区間[CI]:7.8~49.8、p<0.0001)。寛解達成は減量の程度によって異なり、体重が増加した76例では寛解達成者はおらず、0~5kg減量を維持している89例では6例(7%)、5~10kg減量した56例中19例(34%)、10~15kg減量した28例中16例(57%)、15kg以上減量を達成した36例中31例(86%)が寛解を達成した。 平均(±SD)体重は、介入群で10±8.0kg、対照群で1.0±3.7kg減少した(補正後差:-8.8kg、95%CI:-10.3~-7.3、p<0.0001)。EQ-5Dで測定したQOLスコアは、介入群で7.2±21.3点改善したのに対し、対照群では2.9±15.5点悪化した(補正後差:6.4点、95%CI:2.5~10.3、p=0.0012)。 重篤な有害事象は、介入群で157例中7例(4%)に9件、対照群で149例中2例(1%)に2件が報告された。介入群のうち2件(胆石疝痛と腹痛)は同一患者で生じており、介入に関連したものと考えられた。試験の中止に至る重篤な有害事象は認められなかった。 なお、著者は研究の限界として、人種や民族の特徴として白人が多い地域であったこと、プライマリケアに限定しており、体組成の詳細は評価されていないことなどを挙げている。

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PADの薬剤コーティングバルーンカテーテル発売/日本メドトロニック

 日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 トニー セメド)は、「IN.PACT Admiral(インパクト アドミラル)薬剤コーティングバルーンカテーテル」(以下IN.PACT Admiral)に対する保険適用を12月1日付で受け、承認条件の所定の手続きが進み次第、順次販売を開始すると発表した。 IN.PACT Admiralは、下肢の末梢動脈疾患(PAD)に対する血管内治療デバイス。対象血管径4mm以上、7mm以下の浅大腿動脈・膝窩動脈における、200mm以下の新規病変または非ステント留置再狭窄病変を有する患者への経皮的血管形成術(PTA)を適応として、日本では2017年9月6日に薬事承認された。バルーンに塗布された薬剤「パクリタキセル」をバルーン拡張により血管壁に送達させ、再狭窄を抑制することが期待されている。 IN.PACT Admiralは、日本国内治験MDT-2113および米国および欧州における臨床試験であるIN.PACT SFA I/IIにおいて、現在の標準治療である標準PTAバルーンによる血管形成POBA(Plain Old Balloon Angioplasty)と比較し、高い1次開存率と一貫した低い再血行再建率を示している。MDT-2113では、日本国内の11施設から100名の患者を薬剤コーティングバルーン(DCB):68名、標準PTAバルーン(PTA):32名に振り分け、実施した。その結果、12ヵ月1次開存率はカプラン・マイヤー推定値に基づき、DCB群では93.9%、PTA群では46.9%であった(p<0.001)。さらに12ヵ月の臨床的定義に基づく標的病変再血行再建(CD-TLR)率は、DCB群では2.9%、PTA群では18.8%であった(p=0.012)。12ヵ月の主要有害事象(Major Adverse Event)の発生率もDCB群で4.4%と低く(PTA群では18.8%、p=0.028)、標的下肢大切断もなかった。

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下腿潰瘍に低用量アスピリンは無益/BMJ

 静脈性下腿潰瘍に対し、補助療法として経口低用量(150mg/日以下)のアスピリン投与は支持されないとの報告が、ニュージーランド・オークランド大学のAndrew Jull氏らによる、プラグマティックに実施された無作為化二重盲検プラセボ試験「Aspirin4VLU」の結果で示された。これまで、小規模だが2つの試験(計71例が参加)で、圧迫療法の補助療法として300mg/日の経口アスピリン投与が治癒率を増大したことが認められていた。BMJ誌2017年11月24日号掲載の報告。251例を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照試験 試験は、ニュージーランドの5ヵ所の地域看護センターで、アスピリンまたはプラセボを安全に投与できるとされた静脈性下腿潰瘍の患者251例を登録して行われた。 125例をアスピリン(150mg/日の経口アスピリン投与)群に、126例を適合プラセボ群に無作為に割り付け、24週間治療を行った。全例、標準治療として圧迫療法が行われた。 主要アウトカムは、下腿潰瘍の完全治癒までの期間であった(潰瘍が複数の場合は最大の潰瘍を参照)。副次アウトカムは、治癒した患者の割合、潰瘍面積の変化、治癒に関連したQOLの変化、および有害事象などであった。解析は、intention to treatにて行った。 両群のベースラインの特性は、平均年齢(アスピリン群60.1歳、プラセボ群56.2歳)、初発患者の割合(43%、36%)以外については釣り合いが取れていた。女性は48%、46%、現在喫煙者は13%、15%、病歴は関節炎13%、15%、糖尿病はともに10%であった。治癒までの期間短縮せず、完全治癒患者の割合も少なく、有害事象が多い結果に 参照した潰瘍の治癒までの期間中央値は、アスピリン群77日、プラセボ群69日で、治癒はプラセボ群のほうが良好であった(ハザード比:0.85、95%信頼区間[CI]:0.64~1.13、p=0.25)。完全治癒した患者数も、アスピリン群88例(70%)、プラセボ群101例(80%)で、プラセボ群で有意に多かった(リスク差:-9.8%、95%CI:-20.4~0.9、p=0.07)。 潰瘍面積の推定変化値は、アスピリン群4.1cm2、プラセボ群4.8cm2であった(平均差:-0.7cm2、95%CI:-1.9~0.5、p=0.25)。 有害事象は、アスピリン群29例で40件発生し、プラセボ群27例で37件の発生であった(発生率比:1.1、95%CI:0.7~1.7、p=0.71)。

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眼瞼炎は初期メタボリックシンドロームのサイン

 眼瞼炎は、メタボリックシンドローム(MetS)と有意に関連していることを、台湾・Show Chwan Memorial HospitalのChia-Yi Lee氏らが、台湾のLongitudinal Health Insurance Database(LHID)を用いて後ろ向きに症例対照研究を行い明らかにした。著者は、「眼瞼炎は初期のMetSであることを示すサインとして役立つ可能性がある。今後は、重症度の観点から眼瞼炎とMetSとの関連を調査すべきであろう」とまとめている。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年11月16日号掲載の報告。 研究グループは、台湾のLHIDを用い、2009~13年のデータを解析した。適格基準は、国際疾病分類(ICD)第9版の診断コードに従い、眼瞼炎と診断された患者で、法的盲、眼球除去、眼腫瘍の既往、眼瞼炎の診断と同時に抗菌薬治療が開始された患者は除外した。 眼瞼炎患者群と年齢、性別および疾患をマッチさせた非眼瞼炎患者(対照)群について、眼瞼炎とMetSとの関連について、多重Cox回帰モデルを用いた多変量解析にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、眼瞼炎患者群1万93例、対照群4万372例であった。・条件付きロジスティック回帰分析の結果、脂質異常症および冠動脈疾患の累積確率が高いことが示された。・補正後、眼瞼炎患者群は対照群に比べ、新規MetSの発症率が高かった。・サブグループ解析で、脂質異常症と冠動脈疾患は、眼瞼炎の先行発症と有意な相関が認められた。高血圧症、糖尿病、インスリン抵抗性と、眼瞼炎との間には相関は認められなかった。

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経口semaglutideがもたらした血糖降下薬のパラダイムシフト(解説:住谷哲氏)-780

 GLP-1は数十個のアミノ酸からなるペプチドホルモンであり、インスリンをはじめとする他のペプチドホルモンと同様に経口投与では消化管で分解されてほとんど吸収されない。これまで経口インスリンの開発が進められてきたが残念ながら現時点では実用化に至っていない。本論文は経口GLP-1受容体作動薬である経口semaglutideが注射薬とほぼ同等の血糖降下作用および体重減少作用を有することを明らかにした点で、糖尿病治療におけるbreakthroughと考えてよい。 どのようにしてペプチドホルモンであるsemaglutideが吸収可能となったのだろうか?DDS(drug-delivery system)は薬剤開発の重要な1分野であるが、筆者の知らない間に急速な進歩をとげているようである。本論文のIntroductionに記載があるが、吸収促進剤であるsodium N-[8 (2-hydroxylbenzoyl) amino] caprylate (SNAC)とsemaglutideの混合物が胃に到達すると、SNACが胃粘膜局所のpHを上昇させることで胃液によるsemaglutideの加水分解を阻害し、かつsemaglutideの溶解度を上昇させる。その後、semaglutideは輸送蛋白を介さず、胃粘膜細胞間隙を通して吸収されるらしい1)。つまりsemaglutideは小腸ではなく胃粘膜から吸収されるようだ。この方法の優れた点は、注射ではなく経口投与であるのに加えて、薬剤が門脈を通して肝臓に達する点にある。インスリンもそうであるが、GLP-1は本来腸管から門脈を通して肝臓に達するのが生理的経路であり、経口semaglutideはそれを実現したといえるだろう。 26週の観察期間において経口semaglutideは注射薬と同等のHbA1c低下作用および体重減少作用を示した。SGLT2阻害薬が体重減少作用を有する経口血糖降下薬として処方数が増加している。しかしSGLT2阻害薬の体重減少作用は食事療法が守れないと期待どおりの効果が得られないことが明らかになりつつある。それに比べてGLP-1受容体作動薬であるsemaglutideには食欲抑制作用があるため、より確実な体重減少作用が実臨床において期待される。 注射または経口と投与経路は異なるが同じsemaglutideであり、SUSTAIN-6 2)で示されたsemaglutideの心血管イベント抑制作用はおそらく経口semaglutideでも再現されるだろう。しかし、これは今後米国において認可のために実施されると思われるCVOTの結果を待つ必要がある。いずれにせよ注射薬から経口薬へのパラダイムシフトが経口semaglutideによってもたらされたのは間違いない。

3271.

やる気がない患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第11回

■外来NGワード「あなたの人生なんですから、自分でもっとよく考えて行動しなさい!」(見捨てる指導)「将来、糖尿病合併症が起きても知りませんよ」(医学的脅しの指導)「あなたが倒れたら、誰が面倒をみるんですか!」(家族を引き合いに出す指導)■解説 外来の患者さんの中には、「やる気がない」ようにみえる患者さんがいます。そういった患者さんに対して、「将来、糖尿病合併症が起きても知りませんよ」「あなたが倒れたら、誰が面倒をみるんですか!」などと将来の合併症リスクの話をしても、「今は仕事が忙しいので…」「ストレスで飲んでしまう」などと抵抗されることがあります。やる気というのは「これをすることが自分にとっては重要だ」という重要性と、「これくらいのことなら、自分でもできる」という自信度から成り立っています。やる気の方程式は「重要性×自信度」です。重要性と自信度の両方が高いときに、やる気は高まりますが、どちらか一方が低いときには、やる気は低下してしまいます。「タバコが体に悪いことはわかっているが、止める自信が全然ない」という人は、重要性がやや高いけど、自信度が極端に低い人です。逆に、「お酒はいつでも止められるが、止めるつもりはない」というのは、自信度がやや高いけれど、重要性が低い人です。やる気はあるかないのかの、「0か1」ではありません。まずは、やる気の度合いを重要性と自信度で評価してみましょう。 ■患者さんとの会話でロールプレイ医師今回の血液検査の結果は…(検査結果の説明)。患者そうですか…(あまり気のない返事)。医師血圧や脂質などの管理目標値は達成できていると思うのですが、血糖コントロールの管理目標値は7%未満です(管理目標に達している部分と達していない部分を説明)。患者仕事が忙しくて、夕食が遅くなるんです。それに…医師それに?患者運動する時間もとれないし…。医師それは、大変ですね。…(間)…では、本当のところを教えてもらってもいいですか?患者本当のところ?医師そうです。将来の健康のために、つまり糖尿病合併症を起こさないために、食事に気を付ける重要性をどのくらい感じておられますか?「とても重要」を10点、「全然重要でない」を0点とすると、何点くらいをつけられますか?(重要性の確認)患者そうですね…8点くらいですかね。医師よかったです。重要性は十分、感じてもらえているんですね。それでは、それを実行することになったら、自信度はいかがですか?(10点満点で自信度の確認)患者…3点くらいです。(重要性は高いが、自信度が低いパターンと判明し、自信度を上げるアプローチへ)■医師へのお勧めの言葉「将来の健康のために、健康的な食事に変える重要性をどのくらい感じておられますか?(10点満点で)」「もし、それを実行することになったら自信度はどれくらいですか?(10点満点で)」

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1型糖尿病の臓器障害に、RA系阻害薬は有効か?(解説:石上友章氏)-776

 糖尿病は、特異的な微小血管障害をもたらすことで、腎不全、網膜症、神経障害の原因になる。糖尿病治療のゴールは、こうした合併症を抑制し、健康長寿を全うすることにある。RA系阻害薬に、降圧を超えた臓器保護効果があるとされた結果、本邦のガイドラインでは、糖尿病合併高血圧の第1選択にRA系阻害薬が推奨されている。しかし、臨床研究の結果は、必ずしもRA系阻害薬の降圧を超えた腎保護効果を支持しているわけではない。ONTARGET試験・TRANSCEND試験1,2)を皮切りに、最近ではBMJ誌に掲載された報告3)(腎保護効果は、見せかけだった~RA系阻害薬は『万能の妙薬』ではない~)も、観察研究ではあるが、否定的な結果に終わっている。 1型糖尿病の腎保護については、ミネソタ大学のMauerらのRASS試験4)が、決定的な結果を報告している。本研究では、ARB(ロサルタン)、ACEI(エナラプリル)とplaceboの3群に分けた対象で、腎保護作用を検討している。本研究の特筆すべき点は、腎保護効果について、腎生検標本を用いて、厳密に評価していることにある。その結果は、メサンギウム分画容積をはじめとした、すべての病理学的評価指標に、3群間で差が認められなかった。 この結果を受けて、NKF(米国腎臓財団)によるKDOQI Clinical Practice Guideline For Diabetes And CKD/2012 Updateには、6章の6.1として、“We recommend not using an ACE-I or an ARB for the primary prevention of DKD in normotensive normoalbuminuric patients with diabetes.(1A)”とされた5)。この一文には、RA系阻害薬の糖尿病性腎障害抑制作用は、病理学的な変化をもたらすほどの効果はなく、微量アルブミン尿のような不正確な指標で評価された、見かけ上の効果でしかないとの意味が込められている。 英国・ケンブリッジ大学のM Loredana Marcovecchioらが行い、NEJM誌2017年11月2日号に掲載されたAdDIT試験は、スタチンとACE阻害薬を試験薬とし、2×2要因デザインで行われたRCTである。結果は、両試験薬ともに、primary endpointを達成することはできなかった。副次評価項目である、微量アルブミン尿の累積発症率には有意差が認められたが、EBMの原則に従って、著者らはこの結果を採用しなかった。しかしながら、“Many secondary outcomes in the published protocol were exploratory but considered to be clinically relevant in this population of adolescents.”とは、「夢の続きを見ていたい」という著者らの率直な心情の吐露なのかもしれない。

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糖尿病の残薬患者はこの2タイプ

 日本イーライリリー株式会社は、「世界糖尿病デー」の2017年11月14日、都内において「2型糖尿病患者の残薬に関する調査からみた患者中心の治療の重要性 ~残薬のある患者さんのタイプ別服薬課題を発表~」をテーマにプレスセミナーを開催した。約42%の糖尿病患者がHbA1c7.0%未満に未達 セミナーでは、寺内 康夫氏(横浜市立大学 分子内分泌・糖尿病内科学教室 教授)が先述のテーマについて語るとともに、寺内氏と同社が行った患者アンケート調査の概要およびアドヒアランスの治療への影響について解説が行われた。 厚生労働省の「平成28年 国民健康・栄養調査」によれば、現在、糖尿病の予備群はやや減少しているものの、患者数は増加し1千万人の大台にある。糖尿病の最終治療目標は、健康な人と変わらないQOLの維持、寿命の確保であり、そのため合併症予防にHbA1c7.0%未満という目標が示され、日々の診療に生かされている。 しかし、JDDM研究(2016年度集計)によると、経口血糖降下薬で治療中の患者のうちHbA1c7.0%以上の患者は42.3%に上り、2~4剤併用の患者でもHbA1c平均値は7.0%超だという。 糖尿病の国民医療費(平成27年度)が約1兆2,400億円という中で、医療資源が有効に活用されているか、残薬の問題も指摘されている。残薬が多い患者タイプは「楽観的志向」と「治療あきらめ志向」 そこで、経口糖尿病治療薬服薬中の2型糖尿病患者について、残薬の有無に影響する因子を明らかにするため「残薬に関する調査」を実施し、その結果を分析した1)。本調査は20歳以上、2型糖尿病と診断され現在通院している薬物療法中の患者2,942例を対象に、インターネット、郵送、訪問留置により行われた。 治療薬の残薬状況で、「残薬あり」と回答した患者は33.1%と、3人に1人は「残薬がある」という結果だった。その理由としては、(複数回答で)「ついうっかり忘れる」(56%)が一番多く、次に「外出の際の携帯忘れ」(39%)、「食事のタイミングが合わず服用できなかった」(24%)の順で多かった。また、残薬ありと回答した患者の特徴では、服薬に問題がある(薬の種類や一度に飲む量が多いなど)、服薬回数の問題(1日3回以上服用)、残薬の未申告(医師などに伝えていない)が見受けられた。 さらに「病識・治療態度」「生活スタイル・性格」による因子で患者を分類すると、「症状管理志向」「生活改善取り組み志向」「楽観的志向」「治療あきらめ志向」「慎重几帳面志向」「治療回避志向」の6つのタイプが存在することが明らかになった。この中で問題なのは、「楽観的志向」と「治療あきらめ志向」の患者タイプであるという。 「楽観的志向」は、自分は軽症で服薬管理は難しくないと考えており、服薬順守の重要性を軽視しがちであるため残薬になる。また、「治療あきらめ志向」は、フルタイム就業で生活が忙しく、服薬管理は難しいと感じていて、自分の病態の現状を諦めているため残薬になると分析する。 今後こうした患者の服薬アドヒアランスを高めるため、「治療薬の[一包化]や服薬回数の調整、医療者や家族とのコミュニケーションを通じた[服薬順守の重要性の気付き]などが必要となる」と寺内氏は説明する。アドヒアランス向上へのアプローチ 服薬アドヒアランスは血糖値だけでなく、入院・救急処置室の受診や死亡率など、さまざまなものに影響を及ぼし、その向上で血糖値の良好なコントロールができれば、心筋梗塞などの合併症リスクの低下につながることは広く知られている。 そこで、服薬アドヒアランス向上にむけて、 1)医師と患者のコミュニケーションを改善する 2)患者の不安への対処 3)治療方法の決定に患者意思を反映させる 4)自己管理の方法を指導し、継続的にサポートするなど、4つの多角的なアプローチが効果的だと提案する。 最後に寺内氏は「患者のアドヒアランスを良くするため、医師が患者の希望を聞くことが大事で、患者へのポジティブフィードバックができ、これが良い治療循環につながればと思う」と期待を語り、レクチャーを終えた。■参考文献1)寺内康夫 ほか. 薬理と治療. 2017.■参考本アンケートのプレスリリース(PDF)■関連記事eディテーリング 日本イーライリリー株式会社

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経口インスリンによる1型糖尿病の予防は可能か/JAMA

 経口インスリン製剤は、1型糖尿病患者の近親者における1型糖尿病の発症を予防しないことが、米国・フロリダ大学のJeffrey P Krischer氏らType 1 Diabetes TrialNet Oral Insulin Study Groupの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年11月21日号に掲載された。Diabetes Prevention Trial-Type 1(DPT-1)試験では、経口インスリン製剤はプラセボに比べ糖尿病の発症を抑制しなかったが、インスリン自己抗体に関する事後解析ではベネフィットが得られるサブグループの存在が示唆されている。DPT-1試験の後継となる本試験では、経口インスリン製剤の糖尿病発症の遅延効果のさらなる探索が進められてきた。自己抗体陽性近親者を対象にプラセボと比較 本試験は、1型糖尿病患者の自己抗体陽性近親者において、経口インスリン製剤による1型糖尿病発症の遅延効果を評価する国際的なプラセボ対照無作為化試験である(Type 1 Diabetes TrialNet Oral Insulin Study Groupなどの助成による)。 対象は、1型糖尿病患者の3~45歳の第1度近親者(きょうだい、父母、子供)または3~20歳の第2・3度近親者(めい、おい、おば、おじ、いとこ)で、糖尿病を有しておらず、インスリン自己抗体が陽性の集団であった。被験者は、遺伝子組み換えヒトインスリン結晶(7.5mg)を1日1回経口投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、第1群における糖尿病発症までの期間とした。第1群(389例)は、インスリン自己抗体(IAA)陽性で、膵島細胞自己抗体(ICA)陽性またはグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)とインスリノーマ関連抗原-2(IA-2)の双方が陽性であり、静脈内ブドウ糖負荷試験で初回インスリン分泌が閾値を超える集団とした。 第2群は、第2-1群(55例、IAA陽性、ICA陽性またはGADとIA-2の双方が陽性で、初回インスリン分泌が閾値未満)、第2-2群(114例、IAA陽性、ICA陽性またはGADかIA-2のいずれかが陽性、初回インスリン分泌が閾値以上)、第2-3試験群(3例、IAA陽性、ICA陽性またはGADかIA-2のいずれかが陽性、初回インスリン分泌が閾値未満)の3群に分けられた。第1群の年間糖尿病発症率:8.8% vs.10.2% 2007年3月2日~2015年12月21日の期間に、9ヵ国87施設で患者登録が行われた。560例(登録時年齢中央値:8.2歳、IQR:5.7~12.1歳、男児:170例[60%]、非ヒスパニック系白人:90.7%、きょうだいが1型糖尿病:57.6%)が無作為割り付けの対象となった。このうち550例が試験を完遂し、第1群の389例(登録時年齢中央値:8.4歳、男児:245例[63%])の完遂例は382例(96%)だった。 フォローアップ期間中央値2.7年(IQR:1.5~4.6)時の第1群における糖尿病診断率は、経口インスリン投与群が28.5%(58/203例)、プラセボ群は33%(62/186例)であった。年間糖尿病発症率はそれぞれ8.8%、10.2%と、両群間に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0~1.2、p=0.21)。 第2-1群(55例)の糖尿病診断率は経口インスリン投与群が48.1%、プラセボ群は70.3%であり、年間糖尿病発症率はそれぞれ18.1%、34.1%(HR:0.45、95%CI:0~0.82、p=0.006)と有意な差がみられ、発症までの期間中央値は55.3ヵ月、24.3ヵ月であり、経口インスリン投与群で31.0ヵ月の発症遅延が認められた。 第2-2群と第2-3群を合わせた集団(116例)のHRは1.03(95%CI:0~2.11、p=0.53)、登録全患者(560例)のHRは0.83(95%CI:0~1.07、p=0.11)であり、いずれも有意な差はなかった。 最も頻度の高い有害事象は感染症で、254例(経口インスリン投与群:134例、プラセボ群:120例)に認められた。試験関連有害事象は両群間に差はなかった。 著者は、「これらの知見は、糖尿病の予防における経口インスリンの使用を支持しない」としている。

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改訂版QDiabetesで2型糖尿病の10年リスクを予測/BMJ

 英国・ノッティンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らが、2型糖尿病の絶対リスクを定量化する、モデルA~Cの3つの改訂版QDiabetesリスクモデルを開発・検証した。モデルAは血液検査を必要とせず、空腹時血糖値(モデルB)またはHbA1c(モデルC)を測定すべき患者の特定に利用でき、モデルBの2型糖尿病10年リスク予測は、介入や積極的な追跡調査を必要とする患者の特定に有用であるという。著者は、「臨床現場でモデルを使用する前に、血糖値をより完全に収集したデータセットで、モデルBとCの付加的な外部検証が必要だろう」とまとめている。BMJ誌2017年11月20日号掲載の報告。英国プライマリケア患者1,150万例のデータから予測モデルを開発 研究グループは、男性および女性の2型糖尿病10年リスクを推定するため、新たなリスク因子を加えた改訂版QDiabetes-2018予測アルゴリズムを作成し、その性能を現在使用している方法と比較する前向きコホート研究を行った。 QResearchデータベースに登録している一般診療所1,457施設のデータを用い(このうち1,094施設はスコアの開発に、363施設はスコアの検証に使用)、ベースライン時に糖尿病ではない25~84歳の1,150万例のデータを解析した。このうち、887万例を開発コホート、263万例を検証コホートとした。 開発コホートでは、Cox比例ハザードモデルにより、男女別に10年評価のリスク因子を抽出した。リスク因子は、すでにQDiabetesに含まれている年齢・民族・貧困・BMI・喫煙歴・糖尿病の家族歴・心血管疾患・高血圧治療歴・定期的なコルチコステロイド使用と、新たなリスク因子として非定型抗精神病薬、スタチン、統合失調症/双極性障害、学習障害、妊娠糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群を検証した。追加モデルには、空腹時血糖値とHbA1cを組み込んだ。検証コホートでは、男女別に、また年齢・民族・ベースライン時の疾患状態のサブグループ別に、較正と識別能を評価した。 主要評価項目は、一般診療所の診療録に記載された2型糖尿病の発症とした。改訂版は3種、空腹時血糖値を組み込んだモデルの識別能が最も高い 2型糖尿病の発症は、開発コホートでは4,272万観察人年において17万8,314件、検証コホートでは1,432万観察人年において6万2,326件が確認された。新規リスク因子のすべてが、本モデルの適格基準を満たし、モデルAには、年齢・民族・貧困・BMI・喫煙歴・糖尿病の家族歴・心血管疾患・高血圧治療歴・定期的なコルチコステロイド使用と、新規リスク因子の非定型抗精神病薬、スタチン、統合失調症/双極性障害、学習障害、妊娠糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群が組み込まれた。モデルBはモデルAに空腹時血糖値を、モデルCはモデルAにHbA1cを加えた。 A~Cの3つのモデルは、検証コホートにおいて良好な結果が得られ識別能が高かった。女性では、モデルBにおいてR2(2型糖尿病診断までにモデルで説明される変量)63.3%、D統計量2.69、C統計量0.89、男性ではそれぞれ58.4%、2.42、0.87であった。このモデルBは、現在National Health Serviceで推奨されている空腹時血糖値またはHbA1cに基づく診療との比較において、感度が最も高かった。ただし、空腹時血糖値、喫煙歴、BMIの完全なデータがあったのは、患者の16%のみであった。

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認知症発症と関連する5つの精神症状

 現在、認知症発症リスクのある人を特定するために用いられる主要な臨床マーカーは、認知機能障害や記憶障害である。メキシコ・国立自治大学のIsaac Acosta氏らは、認知症発症と神経精神医学的症状との関連を明らかにするため、検討を行った。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2017年10月10日号の報告。 3年間のフォローアップを行ったメキシコの一般集団より、高齢者1,355例を対象としたコホートにおける認知症発症と神経精神医学的症状との関連を分析し、ポアソンモデルを用いて累積発症率をモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・認知症発症と関連が認められた神経精神医学的症状は、妄想、幻覚、不安、異常運動行動、うつ病の5つであった。・軽度認知障害、糖尿病、認知機能指標、患者背景で調整したのち、5つの症状のうち2つの症状を有していた場合の相対リスクは1.9(95%CI:1.2~2.9)、3つの症状を有していた場合の相対リスクは3.0(95%CI:1.9~4.8)であった。 著者らは「前認知症において一般的に認められる神経精神医学的症状は、認知症発症のリスク因子である可能性がある」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかどのくらい前から認知症発症は予測可能かたった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

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糖尿病医と循環器医の連携を考える

 2017年11月17日、都内にて「糖尿病患者さんの合併症予防・進展リスク低減に向けた糖尿病・循環器領域の連携の重要性と現状」と題するセミナー(主催:サノフィ株式会社)が開かれた。 演者のローレンス・A・レイター氏(セント・マイケルズ病院 内分泌学・代謝学/トロント大学 医学・栄養学 教授)は、循環器医のもとに運ばれてくる患者に糖尿病が隠れている可能性に触れ、糖尿病・循環器領域の連携の必要性や脂質管理の重要性について語った。 以下、セミナーの内容を記載する。急性心筋梗塞患者の約3割に、未診断の糖尿病 糖尿病の死因第1位は心血管疾患だが、糖尿病と気付かれずに心血管イベントを発症する患者さんも、実は多いのかもしれない。ある研究では、急性心筋梗塞を発症した糖尿病既往のない患者200例を、あらためて検査したところ、27%が糖尿病、39%は耐糖能異常を有していたことが明らかとなっている。循環器医のもとに運ばれてくる患者の中には、かくれ糖尿病が存在しているのかもしれない。かくれ糖尿病を見つけ出すのは難しいが、少なくともすでに糖尿病と診断されている患者さんは積極的に治療する必要があるだろう。糖尿病治療は、多元的アプローチが主流 その際の代表的な治療ターゲットはHbA1c値だが、ACCORD試験などをきっかけに、従来の血糖値を下げるだけの治療は見直されてきた。現在は、血糖値だけではなく、血圧、肥満、運動、脂質、禁煙などの複合的管理が主流だ。 米国糖尿病協会(ADA)も、「生活習慣の改善」「血糖コントロール」「血圧」「抗血小板療法」「脂質異常症の管理」などの多元的アプローチを推奨しており、すでに高い有用性が認められている。糖尿病患者の脂質管理は、世界的に厳格な方向へ このうち、「脂質異常症の管理」について、日本と海外との違いをみていく。日本における糖尿病患者のLDL-C管理目標値は、1次予防で120mg/dL未満、2次予防で100mg/dL未満だが、海外ではどうか。2017年、米国臨床内分泌学会(AACE)は新しいカテゴリーとして「Extreme risk群」を設け、糖尿病患者の2次予防においては、55mg/dL未満という目標値を掲げた。レイター氏の祖国であるカナダでも、糖尿病の罹病期間が長い患者は77mg/dL未満が目標値だ。糖尿病患者の脂質管理は、世界的に、より厳格な方向へシフトしている。 しかし、スタチン単独で目標値に到達できない糖尿病患者が多いのも事実だ。この点で、いまPCSK9阻害薬の有用性が注目されている。糖尿病患者におけるPCSK9阻害薬の有用性 糖尿病患者を対象にしたODYSSEY DM INSULIN試験において、PCSK9阻害薬であるアリロクマブ(商品名:プラルエント)の有用性が示されている。試験対象は、心血管イベントリスクが高く、スタチン最大用量で治療されている脂質異常症患者でインスリン治療中でもある糖尿病患者517例。主要アウトカムの「2型糖尿病患者のLDL-C変化率」は、アリロクマブ群がプラセボ群に比べて、49%の低下を示した(p<0.0001)。インスリン併用による新規の有害事象も報告されていない。この試験は、PCSK9阻害薬の糖尿病患者における有用性が示された点で意義深いといえる。診療科を越えた包括的治療が求められる 糖尿病患者の脂質管理が心血管イベント抑制につながることは、過去の大規模臨床試験からも明らかである。この点でPCSK9阻害薬は、イベント抑制を考慮した治療手段として有用だろう。さらに最近では、新規血糖降下薬による心血管イベント抑制効果が、複数報告されてきている。今後いっそう糖尿病、循環器といった、診療科を越えた包括的治療が求められる。 演者のレイター氏は、「糖尿病患者の心血管イベントリスク抑制のためにどのような治療選択が望ましいか、日本でも診療科を越えたさらなる議論が必要となるだろう」と述べ、講演を終えた。

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「朝食を摂ると余計に太るんじゃない?」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第10回

■外来NGワード「そんなことはありません…」(頭から否定の指導)「食事は3食、規則的にすることが大切です」(理想論を展開する指導)「朝食を必ず摂るようにしなさい!」(朝食欠食の理由を確認しない指導)■解説 肥満を伴う糖尿病の患者さんから「今は朝食を摂っていないが、朝食を摂ったら余計に太るんじゃない?」と質問されることがあります。朝食を抜いている人に対して、朝食を摂るようにしてもらうためには、どのように指導したらいいのでしょうか。朝食を摂らない習慣があると、肥満していたり、体重が増加しやすいことは横断研究やコホート研究ですでに示されています1)。そして、習慣的に朝食を摂らない人には、何らかの理由があります。夕食の時間が遅い、または夕食の量が多い、朝食を摂る時間がない、朝は空腹でない、朝食を作ってくれる人がいない、などなど考えられます。時間栄養学の観点では、同じカロリーの食事であっても遅い時間帯に食事をすると脂肪や血糖に悪影響を及ぼすことがわかっています2)。まずは、朝食を摂らない理由(夜の食事が遅い、ドカ食いなど)を確認します。次に、そんな人でもできるダイエット法があることを説明します。そして、夜の食事を早めに、あるいは少な目にし、おいしく朝食が摂られる対策を患者さんと一緒に立てることができるようになるといいですね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ患者今よりも朝食でカロリーを摂ったら、余計に太るんじゃないですか?医師そう思われている人も多いですね。患者そうじゃないんですか?医師中には朝食を摂るようにしたら、痩せてきた人もいますよ!患者えっ、その違いは何ですか?医師まずは、朝食を摂らない理由を教えてもらってもいいですか?患者仕事で夜の食事が遅いので、朝はあまりお腹が空いていないんですよね。それに朝は、ゆっくりと食べる時間もなくて…。医師確かに、それだと朝は食べる気が起きませんよね(共感)。患者そうなんです。医師最近、「時間栄養学」という考え方があって、同じカロリーのものでも、食べる時間帯によって脂肪や血糖に与える影響が違うそうです(「時間栄養学」という専門用語をわざと用いて、食べるタイミングが大切であることを説明)。患者やっぱり、夜遅い食事がよくないんですね。何とかしないと…痩せた人はどんな風にされたんですか?医師その人は仕事でどうしても夕食が遅くなるので、空腹で家に帰るとドカ食いされていました。患者あっ、それ私です!医師ところが、夕方におにぎりを食べて、家に帰ってからは少な目の夕食にされたんだそうです。奥様に頼んで軽めの夕食を用意してもらっていたら、朝にはきちんとお腹が空いて食べられるようになったそうです(第三者の話として伝える)。患者なるほど。それぐらいなら、できそうです。うちに帰って嫁と相談してみます。■医師へのお勧めの言葉「中には朝食を摂るようにしたら、痩せてきた人もいますよ!」1)Horikawa C, et al. Prev Med.2011;53:260-267.2)Garaulet M, et al. Physiol Behav.2014;134:44-50.

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日本人の飲酒量とインスリン分泌不全/抵抗性の発症率が相関

 日本人において、飲酒量がインスリン分泌不全およびインスリン抵抗性の発症率と相関することが、佐久研究における帝京大学の辰巳友佳子氏らの検討により示された。Diabetes research and clinical practiceオンライン版2017年10月27日号に掲載。 本研究は5年間のコホート研究で、佐久中央病院で2008年4月~2009年3月に75gOGTTを含む健康診断を受けた、2型糖尿病またはインスリン分泌不全またはインスリン抵抗性ではない30~74歳の日本人2,100人が参加した。参加者を週当たりの飲酒量によって、非飲酒者(0g)、軽度飲酒者(男性:1~139g、女性:1~69g)、中程度飲酒者(男性:140~274g、女性:70~139g)、多量飲酒者(男性:275g以上、女性:140g以上)に分けた。2014年3月末までのフォローアップ健康診断時にOGTTにより見つかったインスリン分泌不全(insulinogenic index:51.7以下)およびインスリン抵抗性(HOMA-IR:2.5以下)の発症率について、非飲酒者に対する軽度~多量飲酒者でのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を多変量調整Cox比例ハザードモデルで推計した。 *アルコール量20gの目安:ビール(5%)500mL、ワイン(14%)180mL 主な結果は以下のとおり。・インスリン分泌不全は708例、インスリン抵抗性は191例であった。・インスリン分泌不全のHR(95%CI)は、軽度、中程度、多量飲酒者の順に、1.16(0.96~1.40)、1.35(1.07~1.70)、1.64(1.24~2.16)であった(傾向のp<0.001のP)。・インスリン抵抗性のHR(95%CI)は、順に1.22(0.84~1.76)、1.42(0.91~2.22)、1.59(0.96~2.65)であった(傾向のp=0.044)。

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20歳からの体重減少、認知症リスク高い?~日本人コホート

 わが国で認知症発症に影響を及ぼしうる因子を特定するための研究は、これまでほとんど行われていない。そこで、新潟大学の北村香織氏らが、日本人の中高年期の体格や生活習慣が認知機能障害と関連するかどうかを検討した。PLoS One誌2017年10月12日号に掲載。 本研究では、2011年から新潟県の県北地区で実施されている村上コホート研究の参加者のうち、2013年までに実施されたベースライン調査に参加した44~79歳の地域住民1,814例を対象に、認知機能を評価した。評価には、Mini-Mental State Examination(MMSE)を使用し、アウトカムの尺度は認知機能障害で、MMSEスコア24未満と定義した。予測変数は、BMI、20歳からの長期的な体重変化および調査時のアンケートで得られた喫煙、飲酒、身体活動レベルなどの生活習慣因子で、共変量は、性別、年齢、教育レベル、脳卒中歴、糖尿病歴とした。多重ロジスティック回帰分析により、調整オッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・全体における認知症有病率は6.2%であった。・参加者を体重増減の度合いにより五分位で分けて検討したところ、最も減少した第1五分位(4kgを超える減少、OR:2.70、95%信頼区間[CI]:1.18~6.20)と第2五分位(-4~0kg、OR:2.37、95%CI:1.04~5.37)は、基準とした第4五分位(+4~+7kg)と比べ、認知機能障害の調整オッズ比が有意に高かった。・第5五分位(8kg以上の増加)の調整オッズ比は、2.24であった(95%CI:0.99~5.04)。・現在のBMIは、認知機能障害と関連していなかった。 本研究で、長期的な体重減少が中高年期の認知機能障害と関連していることがわかった。ただし、本研究は後ろ向きであるため、関連をさらに調べるために前向き研究も実施されるべきと筆者らは述べている。

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