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血糖測定器「FreeStyle リブレ」、日本で保険適用に

 アボット ジャパン株式会社(本社: 東京都港区、代表取締役会長兼社長:坂本春喜)は9月1日、糖尿病患者向けのグルコースモニタリングシステム「FreeStyleリブレ」(製品名:FreeStyleリブレ フラッシュグルコースモニタリングシステム)が、2017年9月1日より本邦で保険適用となった旨を発表。FreeStyleリブレは、2014年に欧州で発売されて以来、39ヵ国以上、35万人以上の糖尿病患者に使用されている。本邦では、2016年5月25日に承認され、すでに販売が開始されている。 FreeStyleリブレは、組織間質液中のグルコース値を記録するセンサーと、その測定値を読み取り、表示するリーダーから構成され、血糖測定用電極との組み合わせで血糖測定を行う。500円玉大の小型の丸いセンサーを上腕後部に装着することで、センサー中心部に取り付けられた極細のフィラメントが皮下に挿入され、グルコース値が毎分測定される。センサーは最長14日間まで装着可能となっている。 センサーは指先穿刺を伴うキャリブレーションが不要で、リーダーをセンサーにかざしてスキャンするだけで、痛みを伴わずにわずか1秒でグルコース値を測定できる。時間や場所を問わず、1日に何回でも測定することができるほか、衣服の上からでもスキャンできるため、人目を気にせず測定することが可能となっている。 測定されたデータは専用ソフトウェアで読み込むことで、グルコース値や変動データをAGP(Ambulatory Glucose Profile)と呼ばれるレポートとしてパソコン上で表示することができる。患者は自身のグルコースレベルをこれまで以上に把握することができるようになるほか、医療従事者は、患者の状態を深く理解し、治療方針の判断に役立てることができる。 5万人以上のユーザーから得られた実際の使用例から、FreeStyleリブレを使用している患者は、1日平均16回、グルコース値を測定していることが明らかとなっており、頻回に測定する患者ほど、低血糖の時間が短いことが示されている。 なお、日本糖尿病学会からは、2017年7月12日付で「FreeStyleリブレに関する見解」が示されており、本邦における適切な利用の推進が提言されている。■参考アボット ジャパン株式会社

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2017年度 総合内科専門医試験、直前対策ダイジェスト(前編)

【第7回】~【第12回】は こちら【第1回 呼吸器】 全7問呼吸器領域は、ここ数年で新薬の上市が続いており、それに伴う治療方針のアップデートが頻繁になっている。新薬の一般名や承認状況、作用機序、適応はしっかり確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肺結核について正しいものはどれか?1つ選べ(a)IGRA(QFT-3G・T-SPOT)は、冷蔵保存して提出する(b)医療者の接触者健康診断において、IGRAによるベースライン値を持たない者には、初発患者の感染性期間における接触期間が2週間以内であれば、初発患者の診断直後のIGRAをベースラインとすることが可能である(c)デラマニドはリファンピシン(RFP)もしくはイソニアジド(INH)のどちらかに耐性のある結核菌感染に使用可能である(d)レボフロキサシンは、INHまたはRFPが利用できない患者の治療において、カナマイシンの次に選択すべき抗結核薬である(e)結核患者の薬剤感受性検査判明時の薬剤選択としてINHおよびRFPのいずれも使用できない場合で、感受性のある薬剤を3剤以上併用することができる場合の治療期間は、菌陰性化後24ヵ月間とされている(f)潜在性結核感染症(LTBI)の標準治療は、INH+ RFPの6ヵ月間または9ヵ月間である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第2回 感染症】 全5問感染症領域では、耐性菌対策とグローバルスタンダード化された部分が出題される傾向がある。また、認定内科医試験に比べて、渡航感染症に関する問題が多いのも特徴である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)感染症法に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)鳥インフルエンザはすべての遺伝子型が2類感染症に指定されている(b)レジオネラ症は4類感染症に指定されており、届出基準にLAMP法による遺伝子検出検査は含まれていない(c)重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は4類感染症に指定されており、マダニを媒介とし、ヒト‐ヒト感染の報告はない(d)鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除くインフルエンザ感染症はすべて5類定点把握疾患である(e)カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症は5類全数把握疾患に指定されているが、保菌者については届出の必要はない例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第3回 膠原病/アレルギー】 全6問膠原病領域では、ほぼ毎年出題される疾患が決まっている。リウマチと全身性エリテマトーデス(SLE)のほか、IgG4関連疾患、多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)についてもここ数年複数の出題が続いている。アレルギーでは、クインケ浮腫、舌下免疫療法、アスピリン喘息が要注意。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)全身性エリテマトーデス(SLE)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)疾患活動性評価には抗核抗体を用いる(b)神経精神SLE(NPSLE)は、血清抗リボゾームP抗体が診断に有用である(c)ヒドロキシクロロキンは、ヒドロキシクロロキン網膜症の報告があり、本邦ではSLEの治療として承認されていない(d)ベリムマブは本邦で承認されており、感染症リスクの少なさより、ステロイド併用時のステロイド減量効果が期待できる(e)ミコフェノール酸モフェチル(MMF)が、2016年5月にループス腎炎に対して承認になり、MMF単独投与によるループス腎炎治療が可能となった例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第4回 腎臓】 全5問腎臓領域では、ネフローゼ症候群はもちろん、急性腎障害、IgA腎症、多発性嚢胞腎についても、症状、診断基準、治療法をしっかり押さえておきたい。また、アルポート症候群と菲薄基底膜病も、出題される可能性が高い。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)次の記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)血清または血漿シスタチンCを用いたGFR推算式は年齢・性差・筋肉量に影響を受けにくい(b)随時尿で蛋白定量500mg/dL、クレアチニン250mg/dL、最近数回での1日尿中クレアチニン排泄量1.5gの場合、この患者の実際の1日尿蛋白排泄量(g)は2g程度と考えられる(c)70歳、検尿で尿蛋白1+、血尿-、GFR 42mL/分/1.73m2(ただしGFRの急速な低下はなし)の慢性腎臓病(CKD)患者を認めた場合、腎臓専門医への紹介を積極的に考える(d)食塩摂取と尿路結石リスクの間に相関はないとされている(e)日本透析医学会による「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」2015年版によると、血液透析(HD)・腹膜透析(PD)・保存期CKD患者のいずれにおいても、複数回の検査でHb値10g/dL未満となった時点で腎性貧血治療を開始することが推奨されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第5回 内分泌】 全5問内分泌領域は、甲状腺疾患、クッシング症候群は必ず出題される。さらに認定内科医試験ではあまり出題されない先端巨大症、尿崩症もカバーしておく必要があり、診断のための検査と診断基準についてしっかりと押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)先端巨大症について正しいものはどれか?1つ選べ(a)重症度にかかわらず、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」による医療費助成を受けることが可能である(b)診断基準に「血中GH値がブドウ糖75g経口投与で正常域まで抑制されない」という項目が含まれている(c)診断基準に「軟線撮影により9mm以上のアキレス腱肥厚を認める」という項目が含まれている(d)骨代謝合併症として、変形性関節症・手根管症候群・尿路結石・骨軟化症が挙げられる(e)パシレオチドパモ酸塩徐放性製剤は高血糖のリスクがあり、投与開始前と投与開始後3ヵ月までは1ヵ月に1回、血糖値を測定する必要がある  例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第6回 代謝】 全5問代謝領域では、糖尿病、肥満症、抗尿酸血症は必ず出題される。加えて骨粗鬆症とミトコンドリア病を含む、耐糖能障害を来す疾患が複数題出題される。とくに骨粗鬆症は、内科医にはなじみが薄いがよく出題される傾向があるので、しっかりとカバーしておこう。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肥満に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)本邦における高度肥満は、BMI30以上の肥満者のことをいう(b)肥満関連腎臓病の腎組織病理像は膜性腎症像を示す(c)「肥満症診療ガイドライン2016」 において、減量目標として肥満症では現体重からの5~10%以上の減少、高度肥満症では10~20%以上の減少が掲げられている(d)PCSK9阻害薬であるエボロクマブの効能・効果に、「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害薬で効果不十分な場合に限る」と記載があり、処方にあたってはHMG-CoA還元酵素阻害薬との併用が必要である(e)低分子ミクロソームトリグリセリド転送たん白(MTP)阻害薬であるロミタピドメシルは、ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症に適応がある例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第1回~第6回の解答】第1回:(b)、第2回:(e)、第3回:(b)、第4回:(a)、第5回:(b)、第6回:(d)【第7回】~【第12回】は こちら

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インスリン療法開始後のスタチンの影響

 スタチンは、糖尿病の新規発症リスクを増大させ、血糖コントロールに悪影響を及ぼす可能性があるが、2型糖尿病患者のインスリン療法開始後の血糖応答および転帰への影響は不明である。今回、英国・ノッティンガム大学のUchenna Anyanwagu氏らの研究で、通常治療中の2型糖尿病患者のインスリン療法開始後、スタチン併用者の短期血糖コントロールはあまり良好ではなかったものの、主要心血管イベントリスクは大幅に低かったことが報告された。Cardiovascular diabetology誌2017年8月22日号に掲載。 本研究は、英国のHealth Improvement Network(THIN)UKデータベースを使用し、インスリン療法を開始した2型糖尿病患者1万2,725例での後ろ向きコホート研究。6、12、24、36ヵ月でのHbA1cの変化、死亡および3-point MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳梗塞)の5年リスクを、新たにインスリン療法を開始した患者において、スタチン使用者(1万682例)と非使用者(2,043例)で比較した。Cox比例ハザードモデルを用いて、異なるアウトカムのハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・コホートの平均年齢は58.7±14.0歳(男性51%)であり、ベースラインHbA1cの平均値は8.7±1.8%であった。・インスリン療法開始後初期に、スタチン使用者に比べて非使用者でHbA1c値の大きな減少がみられ、その減少は短期で有意であった(6ヵ月で-0.34% vs.-0.26%、平均差:-0.09%、p=0.004)が、長期では有意ではなかった(3年で-0.31% vs.-0.35%、平均差:0.05%、p=0.344)。・スタチン使用者と非使用者の心血管イベント(3-point MACE)は、それぞれ878件と217件であった(1,000人年当たり20.7 vs.30.9、調整ハザード比:1.36、95%CI:1.15~1.62、p<0.0001)。・各スタチンでのサブグループ解析では、スタチン非使用者に比べて、すべてのスタチンで試験期間を通じてHbA1cが高かった(p<0.05)。・アトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチンにおける3-point MACEの調整ハザード比は、それぞれ0.82(95%CI:0.68~0.98)、0.67(同:0.55~0.82)、0.56(同:0.39~0.81)、0.78(同:0.60~1.01)であった。

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強化降圧 vs.標準降圧、患者にとって差は?/NEJM

 収縮期血圧の目標値を120mmHgとした強化治療を行っても、同目標を140mmHgとした標準治療を行った場合に比べ、患者報告による健康アウトカムや、降圧治療の満足度、降圧薬アドヒランスには有意差がないことが示された。米国・ベッドフォード退役軍人(VA)病院のDan R. Berlowitz氏らが、9,361例を対象に行った無作為化比較試験の結果明らかにし、NEJM誌2017年8月24日号で発表した。これまでに発表されたSystolic Blood Pressure Intervention Trial(SPRINT試験)の結果では、非糖尿病の心血管リスクが高い高血圧症患者において、強化治療のほうが標準治療に比べ、心血管イベントリスクが低いことが示されていた。一方で、そのような強化治療が、患者報告アウトカムにどのような影響を与えるかは不明であった。 PCS、MCS、PHQ-9スコアを比較 研究グループは、高血圧症の患者9,361例を無作為に2群に分け、一方は収縮期血圧目標値を120mmHg(強化治療群)、もう一方は同目標値を140mmHg(標準治療群)とした降圧治療を行った。 患者報告によるアウトカムの指標としては、退役軍人RAND 12項目健康調査票の身体的サマリー(PCS)スコアと、精神的サマリー(MCS)スコア、患者健康質問票の9項目のうつ病評価尺度(PHQ-9)スコア、患者報告による血圧治療と降圧薬に関する満足度、降圧薬のアドヒランスとした。 強化治療群と標準治療群について、全被験者でスコアを比較したほか、身体・認知機能で層別化したグループ間の比較も行った。患者満足度は両群で同程度に高い 強化治療群は標準治療群に比べ、平均1種の降圧薬を多く服用しており、収縮期血圧値は14.8mmHg(95%信頼区間:14.3~15.4)低かった。 中央値3年の追跡期間中、患者報告によるPCS、MCS、PHQ-9のスコア平均値は相対的に安定しており、両群で有意差は認められなかった。ベースライン時の身体・認知機能で階層化したグループで比較しても、同スコアに有意差はなかった。 降圧治療の満足度は両群ともに高く、また降圧薬アドヒランスについても、両群で有意差はなかった。

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第36回日本臨床運動療法学会学術集会 開催のご案内

 日本臨床運動療法学会(会長 木村 穣氏 関西医科大学 健康科学センター 教授)は、2017年9月2日(土)・3日(日)に、第36回の学術集会を大阪市にて開催する。テーマは「臨床医学と運動のさらなる融合」で、臨床における運動、スポーツ、身体活動に関する講演のほか、実技実習も予定されている。また、今回は学会初となる、参加者の不活動を予防する仕組みとして、セッションの合間に「レッツBSL(Break Sedentary Lifestyle)」と称したストレッチビデオの上映を行う。開催概要【開催日】2017年9月2日(土)・3日(日)【会場】メルパルク大阪(新大阪) 会場案内はこちら【主要プログラム】・会長講演  「臨床医学と運動のさらなる融合」  演者:木村 穣氏(関西医科大学 健康科学センター 教授)・特別講演  「エピジェネティクス入門 -その分子基盤から臨床応用まで-」  「ACSM EIM National Center 韓国および各国の現状と課題 The challenge of EIM Korea」・シンポジウム  「疾患別(乳がん、COPD、糖尿病、メタボなど)運動療法」  「運動指導士の臨床への架け橋をどう築くか」ほか・パネルディスカッション  「指定運動療法施設ガイドライン設立に向けての実態調査」(EIM Japan共同開催)  「糖尿病エネルギー必要量と身体活動」・教育講演  「運動療法の心理的恩恵-感情に注目した運動の効果-」  「サルコペニアと運動療法」ほか・実技実習  「CPX実習 & CPX症例検討会」  「木剣体操」ほか・ランチョンセミナー  「植え込みデバイス患者の包括的な心臓リハビリテーションを考える」  「CGM(持続血糖測定)の最新情報」※一般演題など詳細は、学会ホームページのプログラムをご覧ください。■参考第36回日本臨床運動療法学会学術集会ホームページフェイスブック

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心室収縮能評価に寄与する心臓の形状変化(ジオメトリー)、EFはいかに保たれているか

 収縮能は保たれているが心筋ストレインが低下している症例が、肥大型心筋症、虚血性心疾患、糖尿病などの患者において報告されている。そこで、Oslo University Hospital(ノルウェー)のThomas M. Stokke氏ら研究グループが、左室駆出率(EF)とストレインが一致しないことを検証するため、数学的および心エコーを組み合わせた解析を行った。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月22日号に掲載。ストレインを含む4つのパラメータからEFを求める方程式を作成 本研究では、楕円形の左室形状モデルからEFと4つのパラメータであるGlobal longituidal strain (GLS:縦方向のストレイン)、Global circumferential strain (GCS:円周方向のストレイン)、壁厚および短軸方向の直径の関係を導く方程式が考案された。EFが16~72%の被験者100例において、EFの予想値と実際の計測値を比較し、この方程式の妥当性が確認された。また、異なるパラメータのEFに対する影響についても検証し、患者データとの比較を行った。円周性の収縮は長軸性の収縮より2倍以上もEFと関連 計算によって導き出されたEFの予測値と、実際の計測値はかなりの割合で一致していた(r=0.95)。またこのモデルでは、GCSがGLSと比べて2倍以上EFに関連することが示され、縦方向の収縮の大幅な減少は、円周方向の収縮のわずかな増加で補うことが可能と考えられた。壁厚が増加し、直径が減少した心室においては、長軸性および円周性の収縮が低下するが、そういった症例では、拡張末期容量を少なくすることで、EFを保っていた。このことは、正常コントロール20例と、壁厚が増加しかつ円周性および長軸方向の収縮が低下した肥大型心筋症患者20例とで、EF同様の値であるという結果と合致していた。 心筋の収縮が低下しているにもかかわらず、EFが保たれているという矛盾は、心臓の形状変化(ジオメトリー)の寄与を考えると、数学的に説明しうる。つまり、心筋の縦方向および円周方向の短縮が大きく変化しても、その他の形状学的な変化でそれを補い、EFが保持されている。EFが保たれている場合、ストレインは左室の収縮能を反映している EFは保たれていても、心臓全体としての変形が小さくなりうることが数学的に説明された。心臓の形体上の変化が大きく寄与していることを考えると、EFが保たれている症例ではストレインが心室の収縮能をより正確に反映していると考えられた。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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170)中性脂肪の代謝を阻害する“喫煙”【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者今日は朝食を食べて採血をしました。医師なるほど。中性脂肪が300mg/dLと驚くほど上昇していますね。空腹時は150mg/dL前後なのですが…。患者中性脂肪って食事で動くんですね。医師そうですね。食事で大きく変動します。食後の中性脂肪が高いと心筋梗塞になりやすいと言われています。患者どうやったら、中性脂肪を下げることができますか?医師食事をすると中性脂肪が上がりますが、血管の内側で中性脂肪は代謝されます。でも、その機能を落としてしまうのが「タバコ」です。患者やっぱり、タバコですか。肺がん以外にもいろいろと悪さをするんですね。明日から禁煙、いえ今日から禁煙準備を始めます。●ポイントすぐに禁煙に取り組む自信がない人には禁煙準備(例:灰皿の整理、カートン 買いを止めるなど)から始めてもらいます1)Staniak HL, et al. Atherosclerosis. 2014;233:381-386.2)Kabagambe EK, et al. Atherosclerosis. 2009;203:633-639.

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出産前搾乳は低リスク糖尿病妊婦において安全に実施できる(解説:住谷哲氏)-720

 肥満人口の増大に伴い糖尿病妊婦も増加している。糖尿病妊婦からの出生児は子宮内で高血糖の環境にあるため高インスリン状態にあり、分娩後は一過性低血糖を来すことがある。そのため分娩後NICUでの管理が必要になることが少なくない。初乳(colostrum)は通常の乳汁に比べてグルコース濃度が高く、出生児の低血糖を予防するために適切である。そこで、わが国ではあまりないと思われるが、欧米の一部では糖尿病妊婦に対する出産前搾乳が推奨されている。一方で、妊娠後期の搾乳はオキシトシン分泌を介して子宮収縮を促進することから、出生児の合併症を増加させる可能性も懸念されている。そこで糖尿病妊婦における出産前搾乳の有益性に関するコクランのシステマティックレビューが実施されたが、エビデンスが存在しないため有益性は不明とされていた1)。 本試験はこの「糖尿病妊婦の出産前搾乳は出生児に対して有益かつ安全か?」との臨床的疑問に回答を試みたものである。対象は9割以上が妊娠糖尿病(GDM)であり、残りが妊娠前糖尿病(pre-existing diabetes、1型糖尿病および2型糖尿病の両者を含む)である。多くの除外基準が設定されており(詳細は論文を参照されたい)、低リスク妊婦のみが対象となっている。対象患者は妊娠36週から搾乳する群と対照群に無作為に分けられたが、試験デザインから盲検化は不可能であり、データ回収、解析などを盲検化したPROBE(Prospective Randomized Open Blinded-Endpoint)法に近い方法が用いられた。 その結果、出生児のNICUへの入院率は両群に有意差はなく、出産前搾乳は低リスク糖尿病妊婦において安全に実施できると考えられた。ただし著者らが強調しているように、この試験の結果は多くの除外基準をクリアした低リスク妊婦のみに適用可能であり、すべての糖尿病妊婦に適用できるかは現時点では不明である。 本試験は、これまで慣習として広く実施されてきた医療行為(糖尿病妊婦における出産前搾乳)を臨床的疑問として定式化し、因果関係を証明するのに最も適切であるRCTを用いてその有益性を明らかにした。臨床的疑問の定式化はEBMの第一歩であるが、これは既存のエビデンスに基づいて眼前の臨床的疑問を解決する第一歩であるのみならず、自ら新たなエビデンスを創造するための第一歩でもある。本論文を読んで筆者はそれを再認識させられた。

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丹毒

【皮膚疾患】丹毒◆病状急に顔面などが腫れて赤くなり、熱が高くなります。時に水ぶくれを伴い、痛みがあります。◆原因主にA群β溶血性レンサ球菌による感染で起こり、高齢者や糖尿病患者さんに多くみられます。溶血性レンサ球菌の合併症で腎障害が起こることもあり、注意が必要です。◆治療と予防・ペニシリン系やセフェム系抗菌薬の内服で治療します。再発や腎炎の可能性も考えて、改善後も10日ほど内服を続けます。●一言アドバイス小さな傷、扁桃炎、みずむしなどから、発症することがあるので注意しましょう。監修:ふくろ皮膚科クリニック 院長 袋 秀平氏Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.

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エボロクマブによるLDL-C低下は認知機能に影響せず/NEJM

 スタチンへのエボロクマブ(商品名:レパーサ)併用による心血管イベント抑制効果を検証するFOURIER試験に参加した患者を対象に、認知機能を前向きに評価した結果、追跡期間中央値19ヵ月において両群で認知機能に有意差は確認されなかったことを、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRobert P. Giugliano氏らが報告した。これまでのPCSK9阻害薬の臨床試験から、同薬によるLDLコレステロール(LDL-C)低下と認知機能低下の関連が懸念されていた。NEJM誌2017年8月17日号掲載の報告。タッチスクリーン式の認知機能検査CANTABを用い認知機能を評価 研究グループは、FOURIER試験の患者を対象に、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を用い前向きに認知機能を評価した(ベースライン時、24週時、年1回、試験終了時に実施)。 主要評価項目は、実行機能の空間認識作業記憶スコア(範囲:4~28点、スコアが低いほど戦略と計画をより効率的に利用していることを示す)、副次評価項目は作業記憶スコア(範囲:0~279点、スコアが低いほど誤りが少ない)、エピソード記憶スコア(範囲:0~70点、スコアが低いほど誤りが少ない)、および精神運動速度(範囲:100~5100msec、速いほど成績良好)である。解析は、エボロクマブ群とプラセボ群で、空間認識作業記憶スコアのベースラインからの平均変化量を比較し、非劣性マージンをプラセボ群のスコアの標準偏差の20%に設定した。全認知機能評価項目、エボロクマブ併用群とプラセボ併用群で有意差なし 合計1,204例を中央値19ヵ月間追跡した結果、主要評価項目である空間認識作業記憶スコア素点のベースラインからの変化量(平均±SD)は、エボロクマブ群-0.21±2.62、プラセボ群-0.29±2.81であった(非劣性のp<0.001、優越性のp=0.85)。 副次評価項目である作業記憶スコア(変化量:エボロクマブ群-0.52、プラセボ群-0.93)、エピソード記憶スコア(変化量:それぞれ-1.53、-1.53)、精神運動速度(変化量:それぞれ5.2msec、0.9msec)は、両群間に有意差はなかった。また、探索的解析の結果、LDL-C値と認知機能の変化との間に関連は認められなかった。 著者は、認知症あるいは軽度認知障害患者が除外されていることや追跡期間が短いことなどを研究の限界として挙げている。なお現在、EBBUNGHAUS試験に参加した患者を対象としたCANTAB評価を含むFOURIER試験の5年間継続投与試験が進行中だという。

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女性18歳、男性21歳と男女55歳時との体重差(成人期体重増加)が中高年期以降の生活習慣病発症に大きく影響(解説:島田俊夫氏)-719

肥満と健康に関して 肥満と健康に関してこれまでに多くの論文が発表されており、肥満はがんを含んだ生活習慣病に対する大きなリスクファクターとの認識が浸透している。しかしながら、病気が表面化しない限り、多くの肥満者が肥満是正に無関心なのが現実である。極端なことをいえば肥満そのものを病気と捉えるぐらいの厳しい見方が肥満による病気予防には必要だと痛感する1)。本研究の内容は米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYan Zheng氏らが、看護師健康調査(Nurses' Health Study:NHS)と医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-Up Study:HPFS)に基づいて実施した研究成果を、JAMA誌2017年7月18日号に発表した。その論文内容に対する筆者の私的見解についてコメントする。女性18歳、男性21歳時と男女55歳時との体重差(成人期体重増加)は生活習慣病の大きいリスク! 2.5~10.0kgの中等度増加群は、体重変化の小さい安定群(-2.5kg以下の体重減少または2.5kg未満の体重増加)に比べ、2型糖尿病、高血圧症、心血管疾患などの発症リスクが有意に高く、慢性疾患、認知機能低下、身体機能障害などをもたないで無病息災に年を重ねることを可能にする集団の割合を引き下げると報告した。 この論文から成人期体重増加が小さい安定群と相対的に大きい中等度体重増加群(2.5~10kg)との比較において体重増加差に依存して生活習慣病のリスクが増えることを見出した。高度体重増加群(20kg以上増加)ではリスク増加は言を俟たないほど大きいことは既知の事実であり、これまでの小規模研究の結果と矛盾しない。肥満は病気と理解すべし! この論文内容をひと言でいえば中等度以上の成人期体重増加は万病のもとであると主張しているように思える。これまでも小規模研究で類似した報告はみられるが中等度成人期体重増加に焦点を絞った大規模研究(NHS:女性9万2,837人、HPFS:男性2万5,303人)としては最初の研究であり、その臨床的意義は大きく、単なる肥満でなく成人期体重増加といった時間情報を取り入れた体重増加に照準を合わせた見方が生活習慣病対策に重要だとの視点に新規性がある。 この研究の強みは大規模研究であるために多くの交絡因子の調整を可能にした点でデータ解析の信頼性は高い。一方、この研究の弱点は18(女性)、21(男性)歳時の体重の記憶への依存、両コホート研究が大部分白人対象で人種の偏りが大きく、対象が医療職のため知識偏重が多少の問題として残るが、解析全体を通してみると結果の一般化に問題はない。いつから肥満是正を開始すべきか 肥満是正タイミングは重要であるが成人期以前の学童期からすでに肥満は始まっており1)、成人期まで増加傾向にあることは既知の事実であるため可能な限り早期に開始することが好ましい。成人早期(女性ではとくに結婚、妊娠、出産、育児など)を境に体重が増加することが多いため、遅くとも40歳までに肥満を是正すべきと考える。さらに、55歳以降の肥満是正が生命予後、生活の質改善に有効か否かの検証も必要である。 年齢を問わず中等度以上の体重増加を是正する努力は無病息災のために必要であり、そのためには肥満を単なる脂肪蓄積でなくそれ自体病気と理解することが予防・治療の起点となることを忘れてはいけない。肥満ががん発生に関与していることは間違いないがやや過大に評価されている可能性があり、がん発生臓器により関与の大きさは異なる可能性がある。

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第11回 GLP-1受容体作動薬による治療のキホン【糖尿病治療のキホンとギモン】

【第11回】GLP-1受容体作動薬による治療のキホン―どのような患者さんが良い適応になりますか?また導入の判断となる指標があれば教えてください。 食事から吸収された糖質などの刺激により、消化管から消化管ホルモンであるGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)が血中に分泌されると、血行性に膵β細胞上のGIP受容体とGLP-1受容体にそれぞれ結合し、インスリン分泌が促進されます。その作用を応用したのがインクレチン関連薬と呼ばれるDPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬で、GLP-1受容体作動薬は、膵β細胞上にあるGLP-1受容体に結合して、インスリン分泌を促進させます。 インクレチン関連薬は、膵β細胞内で代謝されたグルコースによるインスリン分泌の惹起経路を増幅させることで、インスリン分泌を促進させます。つまり、グルコースによるインスリン分泌惹起経路が働いて初めて、インクレチンによる増幅作用が働くことになります。そのため、GLP-1受容体作動薬のインスリン分泌作用は、グルコース濃度依存性であり、単独では低血糖を起こさないという特徴があります。 GLP-1受容体作動薬のもう1つ大きな特徴は「体重減少」です。GLP-1受容体は食欲をつかさどる視床下部にもあり、GLP-1受容体作動薬により、食欲が抑制されることで、体重減少効果が得られます。また、胃内容物の排泄抑制作用もあり、それによる体重減少効果、さらには、食後血糖の上昇抑制も期待できます。GLP-1受容体作動薬は、非肥満、肥満のいずれでも血糖低下効果は得られますが、とくに「体重減少」については、他の薬剤を上回る効果が得られるため、肥満の患者さんが良い適応であると考えています。ただ、GLP-1受容体作動薬は注射薬であるため、抵抗を示す患者さんも少なくありません。高用量のSU薬を含むいくつかの経口薬を使用しているにもかかわらず、良好な血糖コントロールが得られない患者さんで、体重減少も期待したいような場合に検討するとよいのではないでしょうか。―DPP-4阻害薬との作用機序や適応の違いについて教えてください。 GLP-1受容体作動薬が、膵β細胞上にあるGLP-1受容体に結合してインスリン分泌を促進させる、直接的に作用する薬剤であるのに対し、DPP-4阻害薬は、GIPおよびGLP-1が分泌された後に、それらを急速に分解する酵素であるDPP-4の活性を阻害して、GIPとGLP-1の不活化を抑制する、すなわち、間接的に作用する薬剤です。いずれも、前述のように、グルコース濃度依存性であり、単独では低血糖を起こさない薬剤ですが、DPP-4阻害薬は“生理的レベル”で効果を発揮するのに対し、GLP-1受容体作動薬は“非生理的レベル”で効果を発揮するため、DPP-4阻害薬は「体重増加を来さない」という効果が得られ、GLP-1受容体作動薬は「体重を減少させる」という効果が期待できます。“体重増加を来さない”で血糖を低下させる、“体重を減少させて”血糖を低下させる、という目的で使い分けるのがよいと思います。 ただ、DPP-4阻害薬は経口薬で、GLP-1受容体作動薬は注射薬です。導入のしやすさという点でも違いはありますが、今は、週1回投与のGLP-1受容体作動薬もあります。「週に1回なら」「自分で打つのはいやだけど、医療従事者に打ってもらうのであれば」という患者さんもいらっしゃいます。週1回製剤の中には、針の取り付けが不要なものもあり、取り扱いが非常に簡便なものもありますし、「“週に1回だけ”ならどうですか?」「ご自分で打つのが難しければ、週に1回、病院に来て打つのはどうですか?」というやり方で導入するのも良い方法です。―投与量の調整方法について教えてください。 GLP-1受容体作動薬はインスリン製剤と同じ注射薬ですが、インスリン製剤のような細やかな投与量の調整をする必要はありません。ただし、副作用としてみられる下痢や便秘、嘔気などの消化器症状が投与初期に認められるため1)、1回の投与量が決められている週1回の製剤ではなく、1日1回もしくは2回注射の製剤の場合は、最小用量から始め、様子をみながら、各製剤の添付文書に従って、増量していくのがよいでしょう。―適切な併用薬について教えてください。 前述のように、GLP-1受容体作動薬では、血糖低下以外に、体重減少効果が期待できます。さらなる体重減少という点で、体重減少効果のあるSGLT2阻害薬との併用※も効果的です。 (※2017年8月現在、日本でSGLT2阻害薬との併用が認められているのは、「リラグルチド(商品名:ビクトーザ)」、「リキセナチド(商品名:リスキミア)」と「デュラグルチド(商品名:トルリシティ)」のみ。) また、SGLT2阻害薬を使っていて、体重が増加してしまう場合に、体重減少を期待して、GLP-1受容体作動薬を上乗せするのもよいでしょう。実際に、海外で行われた、GLP-1受容体作動薬「エキセナチド(商品名:ビデュリオン)」と、SGLT2阻害薬「ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)」の併用の効果をみた「DURATION-8試験」で、それぞれの単独療法よりも、血糖低下および体重減少において効果が認められたことが示されました2)。 また、GLP-1受容体作動薬には、半減期の長い長時間作用型と、半減期の短い短時間作用型があり、短時間作用型では、高濃度のGLP-1が維持されないため、胃排泄の遅延作用に対するタキフィラキシー(効果減弱)が起こりにくいという特徴があります。胃排泄の遅延作用が継続するため、体重減少に加え、「食後高血糖の抑制作用」が期待できますが、空腹時高血糖の改善は得意ではないため、空腹時血糖値を低下させるSU薬やチアゾリジン薬、ビグアナイド(BG)薬、SGLT2阻害薬との併用が効果的です。一方、長時間作用型では、高濃度のGLP-1が維持されるため、空腹時の血糖低下作用が期待できます。食後高血糖を改善する速効型インスリン分泌促進薬やα-グルコシダーゼ阻害(GI)薬との併用がよいでしょう。ただし、SU薬や速効型インスリン分泌促進薬のように、インスリン分泌を直接惹起する経路に働く薬剤とそれを増幅させるGLP-1受容体作動薬を併用することはより効果的ではありますが、SU薬や速効型インスリン分泌促進薬の効果を増幅させることで、低血糖リスクが増加する恐れがあるため、慎重に投与する必要があります。―長期使用における安全性について教えてください。 インクレチン関連薬は、SU薬など古くから使われる糖尿病治療薬に比べると比較的新しい薬剤ですので、長期の安全性を懸念される方も多いと思います。GLP-1受容体作動薬では、DPP-4阻害薬と同様、膵炎や膵がんといった膵疾患との関連がいわれていますが、現時点で、GLP-1受容体作動薬においても、これら膵疾患への関連について、前向きに検討した報告はありません。ただ、GLP-1の薬理効果について、まだ十分解明されていない部分も多いため、長期安全性を含め、今後、未知な生理作用や副作用について、みていく必要はあります。1)日本糖尿病学会編・著. 糖尿病治療ガイド2016-2017. 文光堂;2016.2)Frias JP, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2016;4:1004-1016.

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第4回 最適な脈拍数の求め方【できる!糖尿病の運動療法】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「糖尿病ネットワーク(http://www.dm-net.co.jp/)」の動画ページが開きます。■今回の内容前回学習した「脈拍数を利用した糖尿病の運動療法」をさらに進め、目標脈拍数と運動について学びます。脈拍数を運動強度の目安にして運動療法を行いますが、運動のやり始めと慣れてきたころは、体の感じ方も異なります。その変わり方を数値化し、基準にしてくれるのが最適脈拍数です。最適脈拍数は、年齢と安静時脈拍数と運動強度から算出します。すこし計算が必要なので理解のために何回も動画をご覧ください。詳しくは、上の画像をクリックして、3分間動画でご確認ください。そのまま患者さんへの指導に使える内容です。

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デグルデクはグラルギンU100と比較して低血糖の発現リスクを低下(解説:小川 大輔 氏)-717

 先日このコラムでDEVOTE試験のコメントを執筆した。集めた資料を眺めていると、「DEVOTE試験でデグルデクが低血糖の発現を低下させることが証明された」という記事や専門家のコメントが多いことに気付いた。 確かに間違いではないのだが、本来この試験はFDAから心血管への安全性に対して懸念を示されたこともあり、心血管イベントの発現をグラルギンU100と比較した試験である。低血糖の発現は主要評価項目ではないし、論文を読めばすぐにわかることだが、アブストラクトの結語やディスカッションの結論に低血糖の発現に関する記載は一切ない。それなのに副次評価項目である低血糖ばかり取り上げられている。DEVOTE試験とまったく関連はないのだが、ふとPROactive試験1)を思い出したのは私だけだろうか。 一方、1型糖尿病患者を対象としたSWITCH 1試験と2型糖尿病患者を対象としたSWITCH 2試験は、いずれもデグルデクをグラルギンU100と比較した、主要評価項目が低血糖の発現件数の試験である。デグルデクまたはグラルギンU100に、ボーラスインスリンとしてインスリンアスパルト(SWITCH 1試験)または経口血糖降下薬(SWITCH 2試験)を併用する治療を、デグルデクとグラルギンU100をクロスオーバーして32週間ずつ、計64週間行われた。 その結果、SWITCH 1および2試験において、デグルデクはグラルギンU100と比較して、主要評価項目である治療維持期間における重大なまたは血糖値確定症候性低血糖の発現件数を有意に低下させた。また、全治療期間を通じても、デグルデクはグラルギンU100と比較して低血糖の発現件数を有意に低下させた。 このSWITCH試験でデグルデクとグラルギンU100をクロスオーバーして、デグルデクのほうが低血糖の頻度が少ないことが示された。では、もう1つの持続時間の長い持効型インスリンであるグラルギンU300とデグルデクを比較したらどうなるか。現時点ではSWITCH試験と同様の検討はなく、どちらがより低血糖の発現が少ないかは不明である。次はぜひ持続時間の長いインスリン同士、デグルデクとグラルギンU300をクロスオーバーして効果と低血糖を比較する試験を行ってほしい。

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【GET!ザ・トレンド】日本発のエビデンスを量産する:日本臨床疫学会

EBMのよりいっそうの発展、日本発のエビデンスの量産を目指す日本臨床疫学会の第1回年次学術大会が、2017年9月30日~10月1日に開催される。第1回大会長の東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学教授の康永秀生氏に臨床研究の重要性について聞いた。本邦の臨床研究の現状と問題点について教えていただけますか日本の臨床研究は、米国や英国に比べて立ち遅れているといえます。これには日本の医学の歴史的背景も関与しています。日本の医学は明治以降ドイツから輸入されましたが、ドイツの医学教育は基礎実験重視でした。その流れは現在も続き、臨床の研究室でも、基礎実験研究で博士論文を書くことがほとんどという状況です。2000年代に入り、米国発のEBMの概念が日本に普及し、臨床研究が重要視され始めました。しかし、日本ではEBM研究をどのように実践していくのか、EBMの基となる臨床研究をどうやっていくのか、臨床研究の教育の担い手が育っていませんでした。そのため、日本人対象の日本発のエビデンスはいまだに少なく、海外エビデンスに依存して日常臨床を実践しなければならないという現状です。これが日本の医療が直面する問題だと思います。日本臨床疫学会を設立した背景はどのようなものですか?医学部の教育カリキュラムの中で臨床研究に割ける時間はほとんどありません。とはいえ、臨床研究は、実臨床の試行錯誤の中から出てくるクリニカルクエスチョンから始まりますので、卒業後に行うほうが適しています。そういう意味でも、臨床研究の教育は、大学院が行うべきものだといえます。しかし、教育を担うべき公衆衛生大学院(SPH:School of Public Health)を有する医学部はほんの一部であり、受け皿としては不足しています。また、臨床を離れて授業料を払いながら学ぶのは負担が大き過ぎます。大学院教育のような濃密なカリキュラムでなく、診療の休みにじっくり勉強するような受け皿が必要です。それには、学会という受け皿を作り、研究者のすそ野を広げることが必要となります。そのような経緯で、福原俊一先生を代表理事として、国内の臨床疫学者を中心に「日本臨床疫学会」を設立しました。学会のキャッチフレーズは「臨床研究で医療を元気にする」です。EBMのよりいっそうの発展、日本発のエビデンスの量産を目指しています。臨床研究を実践したいという人すべてを受け入れる、この大きなコンセプトの下、診療科横断的な医師、そして看護師、薬剤師、理学療法士などのメディカルスタッフなど幅広い方々が参加されています。臨床疫学会は、本年、第1回学術大会を開催されますね。私が大会長となり、本年の9月30日~10月1日に第1回の学術集会を開催します。大会テーマは、「天地開闢」。無に近い日本の臨床研究に新たなものを作り出していく、という想いを込めています。大会では、日本の臨床研究の第一人者がそろい、教育的セッションを中心に行います。臨床研究と臨床試験を同じものだと勘違いされている方が多いのですが、介入試験である臨床試験は臨床研究の1割程度に過ぎず、残りの9割は観察研究です。従来、臨床研究はRCTなどの臨床試験に重点が置かれていましたが、若手の先生方が最初に取り組むべきは、多くの資金を必要とする臨床試験よりも、観察研究でしょう。診療録、電子カルテ、レセプトなど自分が手に入るデータベースを用いてアイデアをひねり、研究デザインを考え、統計手法を使って解析し、論文化する、という観察研究のプロセスを、学会を通して学んでいただきたいと思います。現実には臨床疫学や統計学を苦手としている臨床の先生方はまだ多いようですね?臨床疫学、統計学のハードルが高いと感じている臨床の先生方は多いようです。しかし、これらはきちんと学習する機会があれば必ず習得できるものです。ただ、教科書や、座学の教育で身に付けることは難しく、インタラクティブな教育が必要になります。今回の学術大会でも、チューター指導の下、実際のデータを使って統計ソフトの使い方や統計手法のロジックを学ぶ、参加型の統計学教育セッションや、参加者自身がテーマを考え、研究方法を練り上げていく、研究実践ワークショップを企画しています。臨床研究の発展には、大学院での教育の充実に加え、学会などを通じて、臨床家が日常臨床を行いながら習得できる卒後教育プログラムの提供が重要だと思います。こうした積み重ねが日本発の良質なエビデンスを量産できる日を生むのだと思います。1)日本臨床疫学会 第1回年次学術大会■関連記事来たれ!リサーチ・マインドを持つ医療者…日本臨床疫学会 第1回大会開催

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169)意外と盲点!? ナッツ摂取の適正量【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者最近、ビールが美味しくて、つい飲み過ぎです。医師ハハハ。それは要注意ですね。つまみはどうされていますか?患者なんか健康に良いということでナッツを食べています。雑誌でコレステロールも下がるって書いてあったんで…。医師そうでしたか。どんなのを食べているんですか?(興味を持って質問)患者え~と、コンビニにお気に入りのミックスナッツがあるんです。このくらいの大きさので(80~100g)…。医師それだと500~600kcalくらいありそうですね。素焼きのアーモンド30gでLDLコレステロールは4mg/dL強下がるそうです。とくに効果があるのはアーモンドの皮の部分だそうです。ナッツは7つくらいが、ちょうど良いくらいかもしれませんね。患者えっ、それくらいしか下がらないんですか。それなら私、食べ過ぎですね。●ポイントナッツの健康効果について具体的に説明することで、患者の納得度が深まります1)Del Gobbo LC, et al. Am J Clin Nutr. 2015;102:1347-1356.2)Staniak HL, et al. Atherosclerosis. 2014;233:381-386.

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メトホルミン、腸内細菌叢や免疫系への影響は?

 最近の研究で、メトホルミンが腸内細菌叢や免疫系にも影響を及ぼすことが明らかになっている。このことは、2型糖尿病に対してだけではなく、がんやその他の疾病に対するメトホルミンの新たな適応の可能性を示すものである。カナダ・McGill大学のMichael Pollak氏は、これらの分野におけるいくつかの研究結果について概観し、「基礎研究で得られている結果を基に、細菌叢の全体像や薬物動態に注意を払いつつ、臨床的関連性を明らかにしていくことが重要だろう」とまとめている。Diabetologia誌オンライン版2017年8月2日号に掲載。メトホルミンと腸内細菌叢 メトホルミンへの曝露が、ヒトの腸内細菌叢および腸内代謝物における有意な変化(例:細菌叢の組成の変化、酪酸産生の増加)を引き起こすというエビデンスがある。ただし、その詳しいメカニズムは未定義のままだ。メトホルミンによって腸内細菌叢が変化する程度は構成する細菌の種類ならびに宿主因子の影響を大きく受けると考えられ、問題はより複雑である。しかし、遅延製剤(Met DR)による血糖降下作用を確認した臨床試験結果などから、メトホルミンの治療効果の少なくとも一部が胃腸系への影響に起因することは確認されている。メトホルミンと免疫系 多数の基礎研究でメトホルミンと免疫系との関連が明らかになっている。メトホルミンがAMPKを活性化し、メモリーT細胞に作用することが示されているほか、抗腫瘍効果の増強や、結核や多発性硬化症などにおける抗炎症作用も示唆されている。一方で、膵がんの治療におけるメトホルミンの有効性を評価した臨床試験では、その利点は実証されなかった。ベースライン時の免疫系の状態に応じて、免疫機能に対するメトホルミンの影響は複雑に変化する可能性があり、基礎研究で得られた結果がメトホルミンの臨床的な有効性につながるか否かを判断するには、さらなる研究が必要である。■「メトホルミン」関連記事eGFRが30未満は禁忌-メトホルミンの適正使用に関する Recommendation

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認知症患者、PPIで肺炎リスクが9割上昇

 台湾・中山医学大学のSai-Wai Ho氏らの後ろ向きコホート研究により、認知症患者においてプロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用により肺炎発症リスクが89%上昇したことが報告された。Journal of the American Geriatrics Society誌2017年7月号に掲載。PPI使用群で肺炎の発症率が高かった 著者らは、台湾国民健康保険研究データベースを用いて、新規にPPIを使用した認知症患者786例およびこれらの患者とマッチさせた PPI使用のない認知症患者786例について肺炎の発症を調べた。肺炎リスクはCox比例ハザードモデルを用いて推定し、defined daily dosage(DDD:成人の想定平均1日用量)を用いて、PPIの累積用量-反応関係を評価した。 PPIを使用した認知症患者の肺炎の発症を調べた主な結果は以下のとおり。・肺炎の発症率はPPI使用群で高かった(調整ハザード比[HR]:1.89、95%CI:1.51~2.37)。・Coxモデル解析により、以下の因子が肺炎の独立した危険因子であることが示された。 年齢(調整HR:1.05、95%CI:1.03~1.06) 男性(調整HR:1.57、95%CI:1.25~1.98) 脳血管疾患の既往(調整HR:1.30、95%CI:1.04~1.62) 慢性呼吸器疾患(調整HR:1.39、95%CI:1.09~1.76) うっ血性心不全(調整HR:1.54、95%CI:1.11~2.13) 糖尿病(調整HR:1.54、95%CI:1.22~1.95) 抗精神病薬の使用(調整HR:1.29、95%CI:1.03~1.61)・コリンエステラーゼ阻害薬およびH2受容体拮抗薬の使用は、肺炎リスクを減少させることが示された。

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心血管への悪影響の懸念を払拭したインスリン デグルデク(解説:小川 大輔 氏)-713

 持効型インスリンであるグラルギンの登場により、糖尿病の治療は以前よりも安全に、また十分に行えるようになった。そして、より作用時間の長いインスリン デグルデクは、さらに低血糖を回避しながら確実に血糖コントロールを行う手段として期待されていた。 デグルデクは日本では2012年に承認されたが、米国では2013年にFDAが心血管への悪影響の懸念があるとして承認を見送った経緯がある。FDAからの「宿題」に対して行われた試験がこのDEVOTE試験である。 心血管疾患または慢性腎臓病を有する50歳以上、または心血管危険因子を有する60歳以上の2型糖尿病患者7,637例を対象とした、ランダム化二重盲検試験であり、標準治療にデグルデクを追加する群またはグラルギン U100を追加する群に1:1でランダムに割り付け、空腹時血糖値71~126mg/dLを目標に治療を行い、主要評価項目の発生が633例以上に達するまで継続する試験デザインであった。主要評価項目は心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合心血管イベント(3ポイントMACE)が最初に発現するまでの時間である。また副次評価項目は重大な低血糖の発現件数とされた。 主要評価項目である3ポイントMACEのイベント発生は、デグルデク群とグラルギン群の間で有意差は認められず、グラルギン U100に対するデグルデクの非劣性が示された。副次評価項目に関しては両群間に有意差が認められ、デグルデク群はグラルギン U100群に比べて重大な低血糖の発現件数が有意に低下した。 グラルギン U100は、2012年に発表されたORIGIN試験で心血管への安全性が証明されている1)。今回の試験結果により、心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病患者において、デグルデクはグラルギン U100に比べて心血管イベント発生に関して非劣性が確認され、当初FDAから疑問を呈されていた心血管への悪影響の懸念はようやく払拭されたことになった。ただ、心血管イベントのリスクが低い糖尿病患者での安全性、またより長い期間使用した場合の安全性(DEVOTEの試験期間は約2年)はまだ不明であり、今後の検討に期待したい。■参考1) ORIGIN Trial Investigators, et al. N Engl J Med. 2012; 367: 319-328.

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168)内臓脂肪がつきやすい人の食の3特徴【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者最近、妻から、お腹が出てきたと言われて…。医師それは内臓脂肪がついてきたということですね。患者どうやったら、内臓脂肪を減らすことができますか?医師内臓脂肪がつきやすい人の食生活の特徴として「早食い」「残さず満足するまで食べる」「緑黄色野菜は食べないが、間食、スナック菓子、アイスクリームを好む」という傾向があります。患者まさに、私のことです。医師とくに寝る前のアイスは要注意ですね。患者私、風呂上がりにアイスを食べるのが習慣になっていました。これからは気を付けます。●ポイント内臓脂肪がつきやすい食生活パターンを順序立てて説明します

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