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糖尿病の残薬患者はこの2タイプ

 日本イーライリリー株式会社は、「世界糖尿病デー」の2017年11月14日、都内において「2型糖尿病患者の残薬に関する調査からみた患者中心の治療の重要性 ~残薬のある患者さんのタイプ別服薬課題を発表~」をテーマにプレスセミナーを開催した。約42%の糖尿病患者がHbA1c7.0%未満に未達 セミナーでは、寺内 康夫氏(横浜市立大学 分子内分泌・糖尿病内科学教室 教授)が先述のテーマについて語るとともに、寺内氏と同社が行った患者アンケート調査の概要およびアドヒアランスの治療への影響について解説が行われた。 厚生労働省の「平成28年 国民健康・栄養調査」によれば、現在、糖尿病の予備群はやや減少しているものの、患者数は増加し1千万人の大台にある。糖尿病の最終治療目標は、健康な人と変わらないQOLの維持、寿命の確保であり、そのため合併症予防にHbA1c7.0%未満という目標が示され、日々の診療に生かされている。 しかし、JDDM研究(2016年度集計)によると、経口血糖降下薬で治療中の患者のうちHbA1c7.0%以上の患者は42.3%に上り、2~4剤併用の患者でもHbA1c平均値は7.0%超だという。 糖尿病の国民医療費(平成27年度)が約1兆2,400億円という中で、医療資源が有効に活用されているか、残薬の問題も指摘されている。残薬が多い患者タイプは「楽観的志向」と「治療あきらめ志向」 そこで、経口糖尿病治療薬服薬中の2型糖尿病患者について、残薬の有無に影響する因子を明らかにするため「残薬に関する調査」を実施し、その結果を分析した1)。本調査は20歳以上、2型糖尿病と診断され現在通院している薬物療法中の患者2,942例を対象に、インターネット、郵送、訪問留置により行われた。 治療薬の残薬状況で、「残薬あり」と回答した患者は33.1%と、3人に1人は「残薬がある」という結果だった。その理由としては、(複数回答で)「ついうっかり忘れる」(56%)が一番多く、次に「外出の際の携帯忘れ」(39%)、「食事のタイミングが合わず服用できなかった」(24%)の順で多かった。また、残薬ありと回答した患者の特徴では、服薬に問題がある(薬の種類や一度に飲む量が多いなど)、服薬回数の問題(1日3回以上服用)、残薬の未申告(医師などに伝えていない)が見受けられた。 さらに「病識・治療態度」「生活スタイル・性格」による因子で患者を分類すると、「症状管理志向」「生活改善取り組み志向」「楽観的志向」「治療あきらめ志向」「慎重几帳面志向」「治療回避志向」の6つのタイプが存在することが明らかになった。この中で問題なのは、「楽観的志向」と「治療あきらめ志向」の患者タイプであるという。 「楽観的志向」は、自分は軽症で服薬管理は難しくないと考えており、服薬順守の重要性を軽視しがちであるため残薬になる。また、「治療あきらめ志向」は、フルタイム就業で生活が忙しく、服薬管理は難しいと感じていて、自分の病態の現状を諦めているため残薬になると分析する。 今後こうした患者の服薬アドヒアランスを高めるため、「治療薬の[一包化]や服薬回数の調整、医療者や家族とのコミュニケーションを通じた[服薬順守の重要性の気付き]などが必要となる」と寺内氏は説明する。アドヒアランス向上へのアプローチ 服薬アドヒアランスは血糖値だけでなく、入院・救急処置室の受診や死亡率など、さまざまなものに影響を及ぼし、その向上で血糖値の良好なコントロールができれば、心筋梗塞などの合併症リスクの低下につながることは広く知られている。 そこで、服薬アドヒアランス向上にむけて、 1)医師と患者のコミュニケーションを改善する 2)患者の不安への対処 3)治療方法の決定に患者意思を反映させる 4)自己管理の方法を指導し、継続的にサポートするなど、4つの多角的なアプローチが効果的だと提案する。 最後に寺内氏は「患者のアドヒアランスを良くするため、医師が患者の希望を聞くことが大事で、患者へのポジティブフィードバックができ、これが良い治療循環につながればと思う」と期待を語り、レクチャーを終えた。■参考文献1)寺内康夫 ほか. 薬理と治療. 2017.■参考本アンケートのプレスリリース(PDF)■関連記事eディテーリング 日本イーライリリー株式会社

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経口インスリンによる1型糖尿病の予防は可能か/JAMA

 経口インスリン製剤は、1型糖尿病患者の近親者における1型糖尿病の発症を予防しないことが、米国・フロリダ大学のJeffrey P Krischer氏らType 1 Diabetes TrialNet Oral Insulin Study Groupの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年11月21日号に掲載された。Diabetes Prevention Trial-Type 1(DPT-1)試験では、経口インスリン製剤はプラセボに比べ糖尿病の発症を抑制しなかったが、インスリン自己抗体に関する事後解析ではベネフィットが得られるサブグループの存在が示唆されている。DPT-1試験の後継となる本試験では、経口インスリン製剤の糖尿病発症の遅延効果のさらなる探索が進められてきた。自己抗体陽性近親者を対象にプラセボと比較 本試験は、1型糖尿病患者の自己抗体陽性近親者において、経口インスリン製剤による1型糖尿病発症の遅延効果を評価する国際的なプラセボ対照無作為化試験である(Type 1 Diabetes TrialNet Oral Insulin Study Groupなどの助成による)。 対象は、1型糖尿病患者の3~45歳の第1度近親者(きょうだい、父母、子供)または3~20歳の第2・3度近親者(めい、おい、おば、おじ、いとこ)で、糖尿病を有しておらず、インスリン自己抗体が陽性の集団であった。被験者は、遺伝子組み換えヒトインスリン結晶(7.5mg)を1日1回経口投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、第1群における糖尿病発症までの期間とした。第1群(389例)は、インスリン自己抗体(IAA)陽性で、膵島細胞自己抗体(ICA)陽性またはグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)とインスリノーマ関連抗原-2(IA-2)の双方が陽性であり、静脈内ブドウ糖負荷試験で初回インスリン分泌が閾値を超える集団とした。 第2群は、第2-1群(55例、IAA陽性、ICA陽性またはGADとIA-2の双方が陽性で、初回インスリン分泌が閾値未満)、第2-2群(114例、IAA陽性、ICA陽性またはGADかIA-2のいずれかが陽性、初回インスリン分泌が閾値以上)、第2-3試験群(3例、IAA陽性、ICA陽性またはGADかIA-2のいずれかが陽性、初回インスリン分泌が閾値未満)の3群に分けられた。第1群の年間糖尿病発症率:8.8% vs.10.2% 2007年3月2日~2015年12月21日の期間に、9ヵ国87施設で患者登録が行われた。560例(登録時年齢中央値:8.2歳、IQR:5.7~12.1歳、男児:170例[60%]、非ヒスパニック系白人:90.7%、きょうだいが1型糖尿病:57.6%)が無作為割り付けの対象となった。このうち550例が試験を完遂し、第1群の389例(登録時年齢中央値:8.4歳、男児:245例[63%])の完遂例は382例(96%)だった。 フォローアップ期間中央値2.7年(IQR:1.5~4.6)時の第1群における糖尿病診断率は、経口インスリン投与群が28.5%(58/203例)、プラセボ群は33%(62/186例)であった。年間糖尿病発症率はそれぞれ8.8%、10.2%と、両群間に有意な差を認めなかった(ハザード比[HR]:0.87、95%信頼区間[CI]:0~1.2、p=0.21)。 第2-1群(55例)の糖尿病診断率は経口インスリン投与群が48.1%、プラセボ群は70.3%であり、年間糖尿病発症率はそれぞれ18.1%、34.1%(HR:0.45、95%CI:0~0.82、p=0.006)と有意な差がみられ、発症までの期間中央値は55.3ヵ月、24.3ヵ月であり、経口インスリン投与群で31.0ヵ月の発症遅延が認められた。 第2-2群と第2-3群を合わせた集団(116例)のHRは1.03(95%CI:0~2.11、p=0.53)、登録全患者(560例)のHRは0.83(95%CI:0~1.07、p=0.11)であり、いずれも有意な差はなかった。 最も頻度の高い有害事象は感染症で、254例(経口インスリン投与群:134例、プラセボ群:120例)に認められた。試験関連有害事象は両群間に差はなかった。 著者は、「これらの知見は、糖尿病の予防における経口インスリンの使用を支持しない」としている。

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改訂版QDiabetesで2型糖尿病の10年リスクを予測/BMJ

 英国・ノッティンガム大学のJulia Hippisley-Cox氏らが、2型糖尿病の絶対リスクを定量化する、モデルA~Cの3つの改訂版QDiabetesリスクモデルを開発・検証した。モデルAは血液検査を必要とせず、空腹時血糖値(モデルB)またはHbA1c(モデルC)を測定すべき患者の特定に利用でき、モデルBの2型糖尿病10年リスク予測は、介入や積極的な追跡調査を必要とする患者の特定に有用であるという。著者は、「臨床現場でモデルを使用する前に、血糖値をより完全に収集したデータセットで、モデルBとCの付加的な外部検証が必要だろう」とまとめている。BMJ誌2017年11月20日号掲載の報告。英国プライマリケア患者1,150万例のデータから予測モデルを開発 研究グループは、男性および女性の2型糖尿病10年リスクを推定するため、新たなリスク因子を加えた改訂版QDiabetes-2018予測アルゴリズムを作成し、その性能を現在使用している方法と比較する前向きコホート研究を行った。 QResearchデータベースに登録している一般診療所1,457施設のデータを用い(このうち1,094施設はスコアの開発に、363施設はスコアの検証に使用)、ベースライン時に糖尿病ではない25~84歳の1,150万例のデータを解析した。このうち、887万例を開発コホート、263万例を検証コホートとした。 開発コホートでは、Cox比例ハザードモデルにより、男女別に10年評価のリスク因子を抽出した。リスク因子は、すでにQDiabetesに含まれている年齢・民族・貧困・BMI・喫煙歴・糖尿病の家族歴・心血管疾患・高血圧治療歴・定期的なコルチコステロイド使用と、新たなリスク因子として非定型抗精神病薬、スタチン、統合失調症/双極性障害、学習障害、妊娠糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群を検証した。追加モデルには、空腹時血糖値とHbA1cを組み込んだ。検証コホートでは、男女別に、また年齢・民族・ベースライン時の疾患状態のサブグループ別に、較正と識別能を評価した。 主要評価項目は、一般診療所の診療録に記載された2型糖尿病の発症とした。改訂版は3種、空腹時血糖値を組み込んだモデルの識別能が最も高い 2型糖尿病の発症は、開発コホートでは4,272万観察人年において17万8,314件、検証コホートでは1,432万観察人年において6万2,326件が確認された。新規リスク因子のすべてが、本モデルの適格基準を満たし、モデルAには、年齢・民族・貧困・BMI・喫煙歴・糖尿病の家族歴・心血管疾患・高血圧治療歴・定期的なコルチコステロイド使用と、新規リスク因子の非定型抗精神病薬、スタチン、統合失調症/双極性障害、学習障害、妊娠糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群が組み込まれた。モデルBはモデルAに空腹時血糖値を、モデルCはモデルAにHbA1cを加えた。 A~Cの3つのモデルは、検証コホートにおいて良好な結果が得られ識別能が高かった。女性では、モデルBにおいてR2(2型糖尿病診断までにモデルで説明される変量)63.3%、D統計量2.69、C統計量0.89、男性ではそれぞれ58.4%、2.42、0.87であった。このモデルBは、現在National Health Serviceで推奨されている空腹時血糖値またはHbA1cに基づく診療との比較において、感度が最も高かった。ただし、空腹時血糖値、喫煙歴、BMIの完全なデータがあったのは、患者の16%のみであった。

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認知症発症と関連する5つの精神症状

 現在、認知症発症リスクのある人を特定するために用いられる主要な臨床マーカーは、認知機能障害や記憶障害である。メキシコ・国立自治大学のIsaac Acosta氏らは、認知症発症と神経精神医学的症状との関連を明らかにするため、検討を行った。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2017年10月10日号の報告。 3年間のフォローアップを行ったメキシコの一般集団より、高齢者1,355例を対象としたコホートにおける認知症発症と神経精神医学的症状との関連を分析し、ポアソンモデルを用いて累積発症率をモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・認知症発症と関連が認められた神経精神医学的症状は、妄想、幻覚、不安、異常運動行動、うつ病の5つであった。・軽度認知障害、糖尿病、認知機能指標、患者背景で調整したのち、5つの症状のうち2つの症状を有していた場合の相対リスクは1.9(95%CI:1.2~2.9)、3つの症状を有していた場合の相対リスクは3.0(95%CI:1.9~4.8)であった。 著者らは「前認知症において一般的に認められる神経精神医学的症状は、認知症発症のリスク因子である可能性がある」としている。■関連記事なぜ、フィンランドの認知症死亡率は世界一高いのかどのくらい前から認知症発症は予測可能かたった2つの質問で認知症ルールアウトが可能

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糖尿病医と循環器医の連携を考える

 2017年11月17日、都内にて「糖尿病患者さんの合併症予防・進展リスク低減に向けた糖尿病・循環器領域の連携の重要性と現状」と題するセミナー(主催:サノフィ株式会社)が開かれた。 演者のローレンス・A・レイター氏(セント・マイケルズ病院 内分泌学・代謝学/トロント大学 医学・栄養学 教授)は、循環器医のもとに運ばれてくる患者に糖尿病が隠れている可能性に触れ、糖尿病・循環器領域の連携の必要性や脂質管理の重要性について語った。 以下、セミナーの内容を記載する。急性心筋梗塞患者の約3割に、未診断の糖尿病 糖尿病の死因第1位は心血管疾患だが、糖尿病と気付かれずに心血管イベントを発症する患者さんも、実は多いのかもしれない。ある研究では、急性心筋梗塞を発症した糖尿病既往のない患者200例を、あらためて検査したところ、27%が糖尿病、39%は耐糖能異常を有していたことが明らかとなっている。循環器医のもとに運ばれてくる患者の中には、かくれ糖尿病が存在しているのかもしれない。かくれ糖尿病を見つけ出すのは難しいが、少なくともすでに糖尿病と診断されている患者さんは積極的に治療する必要があるだろう。糖尿病治療は、多元的アプローチが主流 その際の代表的な治療ターゲットはHbA1c値だが、ACCORD試験などをきっかけに、従来の血糖値を下げるだけの治療は見直されてきた。現在は、血糖値だけではなく、血圧、肥満、運動、脂質、禁煙などの複合的管理が主流だ。 米国糖尿病協会(ADA)も、「生活習慣の改善」「血糖コントロール」「血圧」「抗血小板療法」「脂質異常症の管理」などの多元的アプローチを推奨しており、すでに高い有用性が認められている。糖尿病患者の脂質管理は、世界的に厳格な方向へ このうち、「脂質異常症の管理」について、日本と海外との違いをみていく。日本における糖尿病患者のLDL-C管理目標値は、1次予防で120mg/dL未満、2次予防で100mg/dL未満だが、海外ではどうか。2017年、米国臨床内分泌学会(AACE)は新しいカテゴリーとして「Extreme risk群」を設け、糖尿病患者の2次予防においては、55mg/dL未満という目標値を掲げた。レイター氏の祖国であるカナダでも、糖尿病の罹病期間が長い患者は77mg/dL未満が目標値だ。糖尿病患者の脂質管理は、世界的に、より厳格な方向へシフトしている。 しかし、スタチン単独で目標値に到達できない糖尿病患者が多いのも事実だ。この点で、いまPCSK9阻害薬の有用性が注目されている。糖尿病患者におけるPCSK9阻害薬の有用性 糖尿病患者を対象にしたODYSSEY DM INSULIN試験において、PCSK9阻害薬であるアリロクマブ(商品名:プラルエント)の有用性が示されている。試験対象は、心血管イベントリスクが高く、スタチン最大用量で治療されている脂質異常症患者でインスリン治療中でもある糖尿病患者517例。主要アウトカムの「2型糖尿病患者のLDL-C変化率」は、アリロクマブ群がプラセボ群に比べて、49%の低下を示した(p<0.0001)。インスリン併用による新規の有害事象も報告されていない。この試験は、PCSK9阻害薬の糖尿病患者における有用性が示された点で意義深いといえる。診療科を越えた包括的治療が求められる 糖尿病患者の脂質管理が心血管イベント抑制につながることは、過去の大規模臨床試験からも明らかである。この点でPCSK9阻害薬は、イベント抑制を考慮した治療手段として有用だろう。さらに最近では、新規血糖降下薬による心血管イベント抑制効果が、複数報告されてきている。今後いっそう糖尿病、循環器といった、診療科を越えた包括的治療が求められる。 演者のレイター氏は、「糖尿病患者の心血管イベントリスク抑制のためにどのような治療選択が望ましいか、日本でも診療科を越えたさらなる議論が必要となるだろう」と述べ、講演を終えた。

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「朝食を摂ると余計に太るんじゃない?」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第10回

■外来NGワード「そんなことはありません…」(頭から否定の指導)「食事は3食、規則的にすることが大切です」(理想論を展開する指導)「朝食を必ず摂るようにしなさい!」(朝食欠食の理由を確認しない指導)■解説 肥満を伴う糖尿病の患者さんから「今は朝食を摂っていないが、朝食を摂ったら余計に太るんじゃない?」と質問されることがあります。朝食を抜いている人に対して、朝食を摂るようにしてもらうためには、どのように指導したらいいのでしょうか。朝食を摂らない習慣があると、肥満していたり、体重が増加しやすいことは横断研究やコホート研究ですでに示されています1)。そして、習慣的に朝食を摂らない人には、何らかの理由があります。夕食の時間が遅い、または夕食の量が多い、朝食を摂る時間がない、朝は空腹でない、朝食を作ってくれる人がいない、などなど考えられます。時間栄養学の観点では、同じカロリーの食事であっても遅い時間帯に食事をすると脂肪や血糖に悪影響を及ぼすことがわかっています2)。まずは、朝食を摂らない理由(夜の食事が遅い、ドカ食いなど)を確認します。次に、そんな人でもできるダイエット法があることを説明します。そして、夜の食事を早めに、あるいは少な目にし、おいしく朝食が摂られる対策を患者さんと一緒に立てることができるようになるといいですね。 ■患者さんとの会話でロールプレイ患者今よりも朝食でカロリーを摂ったら、余計に太るんじゃないですか?医師そう思われている人も多いですね。患者そうじゃないんですか?医師中には朝食を摂るようにしたら、痩せてきた人もいますよ!患者えっ、その違いは何ですか?医師まずは、朝食を摂らない理由を教えてもらってもいいですか?患者仕事で夜の食事が遅いので、朝はあまりお腹が空いていないんですよね。それに朝は、ゆっくりと食べる時間もなくて…。医師確かに、それだと朝は食べる気が起きませんよね(共感)。患者そうなんです。医師最近、「時間栄養学」という考え方があって、同じカロリーのものでも、食べる時間帯によって脂肪や血糖に与える影響が違うそうです(「時間栄養学」という専門用語をわざと用いて、食べるタイミングが大切であることを説明)。患者やっぱり、夜遅い食事がよくないんですね。何とかしないと…痩せた人はどんな風にされたんですか?医師その人は仕事でどうしても夕食が遅くなるので、空腹で家に帰るとドカ食いされていました。患者あっ、それ私です!医師ところが、夕方におにぎりを食べて、家に帰ってからは少な目の夕食にされたんだそうです。奥様に頼んで軽めの夕食を用意してもらっていたら、朝にはきちんとお腹が空いて食べられるようになったそうです(第三者の話として伝える)。患者なるほど。それぐらいなら、できそうです。うちに帰って嫁と相談してみます。■医師へのお勧めの言葉「中には朝食を摂るようにしたら、痩せてきた人もいますよ!」1)Horikawa C, et al. Prev Med.2011;53:260-267.2)Garaulet M, et al. Physiol Behav.2014;134:44-50.

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日本人の飲酒量とインスリン分泌不全/抵抗性の発症率が相関

 日本人において、飲酒量がインスリン分泌不全およびインスリン抵抗性の発症率と相関することが、佐久研究における帝京大学の辰巳友佳子氏らの検討により示された。Diabetes research and clinical practiceオンライン版2017年10月27日号に掲載。 本研究は5年間のコホート研究で、佐久中央病院で2008年4月~2009年3月に75gOGTTを含む健康診断を受けた、2型糖尿病またはインスリン分泌不全またはインスリン抵抗性ではない30~74歳の日本人2,100人が参加した。参加者を週当たりの飲酒量によって、非飲酒者(0g)、軽度飲酒者(男性:1~139g、女性:1~69g)、中程度飲酒者(男性:140~274g、女性:70~139g)、多量飲酒者(男性:275g以上、女性:140g以上)に分けた。2014年3月末までのフォローアップ健康診断時にOGTTにより見つかったインスリン分泌不全(insulinogenic index:51.7以下)およびインスリン抵抗性(HOMA-IR:2.5以下)の発症率について、非飲酒者に対する軽度~多量飲酒者でのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を多変量調整Cox比例ハザードモデルで推計した。 *アルコール量20gの目安:ビール(5%)500mL、ワイン(14%)180mL 主な結果は以下のとおり。・インスリン分泌不全は708例、インスリン抵抗性は191例であった。・インスリン分泌不全のHR(95%CI)は、軽度、中程度、多量飲酒者の順に、1.16(0.96~1.40)、1.35(1.07~1.70)、1.64(1.24~2.16)であった(傾向のp<0.001のP)。・インスリン抵抗性のHR(95%CI)は、順に1.22(0.84~1.76)、1.42(0.91~2.22)、1.59(0.96~2.65)であった(傾向のp=0.044)。

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20歳からの体重減少、認知症リスク高い?~日本人コホート

 わが国で認知症発症に影響を及ぼしうる因子を特定するための研究は、これまでほとんど行われていない。そこで、新潟大学の北村香織氏らが、日本人の中高年期の体格や生活習慣が認知機能障害と関連するかどうかを検討した。PLoS One誌2017年10月12日号に掲載。 本研究では、2011年から新潟県の県北地区で実施されている村上コホート研究の参加者のうち、2013年までに実施されたベースライン調査に参加した44~79歳の地域住民1,814例を対象に、認知機能を評価した。評価には、Mini-Mental State Examination(MMSE)を使用し、アウトカムの尺度は認知機能障害で、MMSEスコア24未満と定義した。予測変数は、BMI、20歳からの長期的な体重変化および調査時のアンケートで得られた喫煙、飲酒、身体活動レベルなどの生活習慣因子で、共変量は、性別、年齢、教育レベル、脳卒中歴、糖尿病歴とした。多重ロジスティック回帰分析により、調整オッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・全体における認知症有病率は6.2%であった。・参加者を体重増減の度合いにより五分位で分けて検討したところ、最も減少した第1五分位(4kgを超える減少、OR:2.70、95%信頼区間[CI]:1.18~6.20)と第2五分位(-4~0kg、OR:2.37、95%CI:1.04~5.37)は、基準とした第4五分位(+4~+7kg)と比べ、認知機能障害の調整オッズ比が有意に高かった。・第5五分位(8kg以上の増加)の調整オッズ比は、2.24であった(95%CI:0.99~5.04)。・現在のBMIは、認知機能障害と関連していなかった。 本研究で、長期的な体重減少が中高年期の認知機能障害と関連していることがわかった。ただし、本研究は後ろ向きであるため、関連をさらに調べるために前向き研究も実施されるべきと筆者らは述べている。

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思春期1型糖尿病に、ACE阻害薬やスタチンは有用か/NEJM

 ACE阻害薬およびスタチンは、思春期1型糖尿病患者のアルブミン/クレアチニン比(ACR)の経時的な変化に影響を及ぼさないことが、英国・ケンブリッジ大学のM Loredana Marcovecchio氏らが行ったAdDIT試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年11月2日号に掲載された。青少年期の1型糖尿病患者では、腎疾患や心血管疾患の長期的なリスク因子である微量アルブミン尿や顕性アルブミン尿の発現に先立って、思春期のアルブミン排泄量の急速な増加がみられる。成人1型糖尿病患者では、ACE阻害薬およびスタチンが頻用されているが、思春期患者での評価は十分でないという。ACR上位3分の1の患者を2×2要因デザイン試験で評価 研究グループは、アルブミン排泄量の多い思春期1型糖尿病患者は、ACE阻害薬およびスタチンによりベネフィットが得られるとの仮説を立て、これを検証するために2×2要因デザインによる二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った(国際若年性糖尿病研究財団[JDRF]などの助成による)。 10~16歳の思春期1型糖尿病患者4,407例をスクリーニングの対象とし、ACRが上位3分の1の1,287例を同定した。このうち443例が、4つのレジメン(ACE阻害薬+プラセボ[111例]、スタチン+プラセボ[112例]、ACE阻害薬+スタチン[111例]、プラセボ+プラセボ[109例])の1つに無作為に割り付けられ、年齢、性別、糖尿病罹病期間などのベースラインの患者背景の差が最小となるよう調整が行われた。 2つの介入の主要評価項目はアルブミン排泄量の変化とし、2~4年間、6ヵ月ごとの受診時に早朝尿検体を3回採取してACRを算出し、曲線下面積(AUC)で表した。 主な副次評価項目は、微量アルブミン尿の発現、網膜症の進行、糸球体濾過量の変化、脂質値、心血管リスクの指標(頸動脈内膜中膜厚、高感度C反応性蛋白値、非対称性ジメチルアルギニン値)などであった。主要評価項目を達成できず 2009年5月~2013年8月の期間に、3ヵ国(英国、カナダ、オーストラリア)の32施設で患者登録が行われた。フォローアップ期間中央値は2.6年だった。 ACRのAUCに及ぼすACE阻害薬(効果:-0.01、95%信頼区間[CI]:-0.05~0.03)およびスタチン(効果:0.01、95%CI:-0.02~0.05)の効果は有意ではなかった。2剤の併用にも有意な効果を認めなかった。 ACE阻害薬は、プラセボと比較して微量アルブミン尿の発症率が低かった(p=0.046)が、主要評価項目に関する結果が陰性であったことと、統計解析の計画にも有意差はなかったことから、この発症率の低さは有意ではないと判定した(補正ハザード比[HR]:0.57、95%CI:0.35~0.94、p=0.03[有意水準:p<0.01])。 スタチンの使用により、総コレステロール値、LDLコレステロール値、非HDLコレステロール値、トリグリセライド値、アポリポ蛋白B/A1比が有意に低下した。一方、ACE阻害薬、スタチンともに、頸動脈内膜中膜厚、その他の心血管マーカー、糸球体濾過量、網膜症の進行には有意な影響を及ぼさなかった。 服薬レジメンへのアドヒアランスは全体で75%であった。重篤な有害事象の頻度は全群でほぼ同様で、予想外のものは報告されなかった。 著者は、「ACE阻害薬とスタチンによる早期介入のベネフィットの可能性を評価するには、これらのコホートのフォローアップを今後も行う必要があるだろう」としている。

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すべての1型糖尿病妊婦にはReal-Time CGMを実施すべきか?(解説:住谷哲氏)-763

 妊娠糖尿病および糖尿病合併妊娠では厳格な血糖管理が要求される。とくに1型糖尿病合併妊娠では血糖コントロールに難渋することが多い。現在は各食前、食後、眠前、1日計7回の自己血糖測定(SMBG)と、頻回インスリン投与(Multiple daily injection:MDI)またはインスリンポンプによる強化インスリン療法が主流である。これまで持続血糖モニタリング(CGM)の有用性は示唆されてきたが、糖尿病合併妊婦におけるCGMのSMBGに対する優越性を検討した最新のメタ解析ではCGMの優越性は証明されていない1)。 Real-Time CGM(RT-CGM)により患者は間質液グルコース濃度(厳密には血糖値ではないがほぼ血糖値と考えてよい)をreal-timeで知ることができる。またその推移パターンから、起こりうる低血糖および高血糖に対するアラームが装備されているのも利点となっている。さらにRT-CGMとインスリンポンプを組み合わせたSAP(sensor-augmented pump)では、低血糖のリスクがきわめて高くなると自動的に基礎インスリン投与を中断するLow Glucose Suspend(LGS)の機能を備えている機種(MiniMed Paradigm Veo:本試験では用いられているが日本ではまだ使用できない)もあり、低血糖の軽減につながっている。 本試験はMDIまたはインスリンポンプ使用中の1型糖尿病妊婦におけるRT-CGMの使用が、妊娠中の血糖コントロール、妊婦および新生児の臨床的アウトカムに及ぼす影響を検討したものである。その結果は、主要評価項目であるCGM群とSMBG群とのHbA1cの差は0.19%(p=0.0207)でCGM群において低値であった。また新生児臨床アウトカムに最も関連すると考えられる高血糖期間も有意に短縮していた(27% vs.32%、p=0.0279)。さらに新生児臨床アウトカムではLGA(large for gestational age)、24時間超NICU滞在患者および新生児低血糖はほぼ半減しており、NNTはそれぞれ6人、6人、8人であった。これらの結果は、MDI群とインスリンポンプ群で差はなかった。 NNTが1桁であることから、本研究で明らかにされた1型糖尿病妊婦に対するRT-CGMの使用は有効な介入であると考えてよい。しかし結果のgeneralizabilityについては、費用も含めた十分な検討が必要だろう。また、本文中にも記載されているように、CGMが血糖コントロール指標などのsurrogate outcomeではなく、LGAのような臨床アウトカムを改善したことは重要な点である。CGMの有用性に関する報告は多数あるが、これまではすべて血糖コントロール指標などのsurrogate outcomeについてのみであり、臨床アウトカムの改善につながったのは本研究が初である。今後は他の領域におけるCGMの有用性が明らかにされることが期待される。

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失明や視力障害が世界的に増加の見込み、原因は?

 世界的な失明/視力障害の主たる原因は、白内障および屈折異常であり、これらの患者数は世界人口の増加と高齢化により著しく増加していることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSeth R. Flaxman氏らによるメタ解析で明らかとなった。白内障は手術で、屈折異常は矯正用眼鏡で回復可能である。著者は、「アイケアの提供を拡大して患者の増加に対処し、回避可能な失明に対して取り組む必要がある」とまとめている。Lancet Global Health誌オンライン版2017年10月10日号掲載の報告。世界の失明者3,600万人の主な原因は白内障で1,260万人 研究グループは、公衆衛生の政策を策定するうえで重要となる失明/視力障害の原因について明らかにし、2020年までの予測を立てるため、視力障害および失明の原因に関する世界の地域住民ベースの研究(1980~2014年における発表/未発表)データのシステマティックレビューとメタ解析を行った。MEDLINE、Embase、WHO Library Databaseにて、2014年7月8日以前に発表された地域住民ベースの研究を、言語を問わず検索し特定した。 回帰モデルを用い、中等度~重度視力障害(視力0.05以上0.3未満と定義)および失明(視力0.05未満)の割合を、原因、年齢、地域および年別に推定した。 世界的な失明/視力障害の原因を解析した主な結果は以下のとおり。・世界98ヵ国からのデータが集約された288件の研究(参加者398万3,541例)が組み込まれた。・2015年の推定中等度~重度視力障害者数は世界で2億1,660万人(80%不確定性区間[UI]:9,850万~3億5,910万)で、その主な原因は、未矯正の屈折異常1億1,630万人(80%UI:4,940万~2億210万)、白内障5,260万人(1,820万~1億960万)、加齢黄斑変性840万人(90万~2,950万)、緑内障400万人(60万~1,330万)、糖尿病性網膜症260万人(20万~990万)であった。・2015年の推定失明者数は世界で3,600万人(80%UI:1,290万~6,540万)で、その主な原因は、白内障1,260万人(80%UI:340万~2,870万)、未矯正の屈折異常740万人(240万~1,480万)、緑内障290万人(40万~990万)であった。・2020年には、中等度~重度視力障害者数が世界で2億3,710万人(80%UI:1億150万~3億9,900万)、このうち未矯正の屈折異常が1億2,770万人(5,100万~2億2,530万)、白内障5,710万人(1,790万~1億2,410万)、加齢黄斑変性880万人(80万~3,210万)、緑内障450万人(50万~1,540万)、糖尿病性網膜症320万人(20万~1,290万)に増加すると予想された。・同様に失明者数は2020年には世界で3,850万人(80%UI:1,320万~7,090万)、そのうち白内障が1,340万人(330万~3,160万)、未矯正の屈折異常800万人(250万~1,630万)、緑内障320万人(40万~1,100万)に増加すると予想された。・白内障と未矯正の屈折異常で、2015年の50歳以上における失明者の55%を、また中等度~重度視力障害者の77%を占めていた。・50歳以上の失明/視力障害者の原因は、世界の国/地域によって大きく異なっており、高所得地域では白内障は失明の22%未満、視力障害の14.1~15.9%と低く、加齢黄斑変性が失明の14%超と高かった。・2015年の全年齢層で、糖尿病性網膜症(オッズ比[OR]:2.52、80%UI:1.48~3.73)および白内障(OR:1.21、80%UI:1.17~1.25)による失明/視力障害は男性より女性に多く、一方、緑内障(OR:0.71、80%UI:0.57~0.86)および角膜混濁(OR:0.54、80%UI:0.43~0.66)による失明/視力障害は女性より男性で多く、加齢黄斑変性については男女で差はなかった(OR:0.91、80%UI:0.70~1.14)。

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美味しく楽しく血糖値に気を付ける!食事のコツ

 2017年10月29日、都内にて糖尿病患者向けのクッキングセミナーが開かれた(主催:Eatreat株式会社/共催:「10月8日は、糖をはかる日」/協力:アボット ジャパン株式会社)。参加者はインスリン使用中で日常的に血糖を測定している糖尿病患者。セミナーでは血糖値に配慮した食事法、血糖測定器やポーチを選ぶポイントが紹介された。 以下に、糖尿病患者の指導に役立ちそうな内容を抜粋し、記載する。 講師は、國枝 加誉氏 (一般社団法人 日本健康食育協会所属、管理栄養士、健康食育シニアマスター)と金子 あきこ氏(管理栄養士、節約美容料理研究家)。國枝氏は17歳で2型糖尿病を発症し、インスリン強化療法での治療を継続している。咀嚼を増やす「食ベ方の工夫」 「炭水化物量の把握」「脂質の有無」といった食事の栄養バランスを気遣うことは重要だが、「食べ方の工夫」も重要である。リズム良く食べ、咀嚼を増やすことで、味覚が研ぎ澄まされ減塩につながる。食事の際は、「噛む音がしているか?」「唾液がでているか?」「口に入れる量が多すぎないか?」「水などの液体で食べ物を流し込んでいないか?」を意識して食べると良い。 とくに食事中に水などの液体を飲まなければ物足りないと感じられる場合は、分泌される唾液量が不十分であり、咀嚼が足りていない可能性がある。食べ物を液体で流し込まず、噛む音が聞こえるくらい良く噛んで食べることが推奨される。実践しやすい、調理時の工夫 セミナーでは、実際に昼食として「鶏肉の塩麹焼き~スパイス添え~」「凍りこんにゃくの白和え」「切干大根のマスタードサラダ」などが提供された。レシピはこちら。 また、調理時の工夫として、塩麹を使用することで減塩につなげる、こんにゃくを凍らせることで食感を良くする、カリウムが多い切干大根を使用する、だしパックの出しがらを炒ることで塩分を使わないふりかけを作る、といった具体例が紹介された。自分にあった血糖測定器を選ぶ 昼食前後には実際に参加者の血糖値を測定。この際に、参加者のほとんどが病院で最初に提供された血糖測定器を、そのまま使用し続けていることが明らかになった。提供された血糖測定器を使用することに何ら問題はないが、現在は技術の発達により、安定した測定能、少ない痛み、血糖変動の予測能を特徴とした機器が登場してきている。 國枝氏は、例として自分自身が使用している「FreeStyleリブレ」(製品名:FreeStyleリブレ フラッシュグルコースモニタリングシステム)を紹介し、「夕食が遅れた時や就寝中の低血糖を確認しやすく、自分で低血糖を予防しやすいところを評価して使っている」と使用理由を述べた。さまざまな血糖測定器の中から、自分に合ったものを選んで使うことが重要といえる。有事に備え、ポーチは目立つ色に また、参加者への「普段、インスリン製剤を余分に持ち歩いているかどうか?」という質問に対しては、「東日本大震災以降、予備のインスリンを持ち歩くようになった」「カートリッジ型とペン型の両方を持ち歩き、置き忘れや不具合に備えている」 「普段から1週間分を持ち歩いている」などの意見が挙がった。不測の事態に備え、インスリン製剤を余分に持ち歩いている患者さんの存在が明らかとなった。 普段からの持ち歩きは、負担がかかるため必ずしも推奨しないが、有事の際の置き忘れなどを防ぐためにも、血糖測定器やインスリン製剤を入れるポーチは、蛍光の黄色のような、できるだけ目立つ色を選ぶことが望ましい。まとめ 今回は糖尿患者を対象としたセミナーであったが、食べ方のコツや血糖測定器やポーチの選び方など、患者指導のヒントが散りばめられたセミナーであった。

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中国成人の約半数が高血圧、うち7割は服薬なし/Lancet

 35~75歳の中国成人において、ほぼ半数が高血圧症を有し、治療を受けているのは3分の1未満で、血圧コントロールが良好なのは12分の1未満であることが明らかになった。中国医学科学院・北京協和医学院のJiapeng Lu氏らが、約170万例の代表サンプル成人を対象に行った、住民ベースのスクリーニング試験の結果を報告した。Lancet誌オンライン版2017年10月25日号掲載の報告。サンプル対象170万例を26万4,475のサブグループに分け分析 研究グループは2014年9月15日~2017年6月20日の間に、中国本土31地域に住む35~75歳の成人約170万例を登録した、大規模な住民ベースの心イベントスクリーニングプロジェクト「China Patient-Centered Evaluative Assessment of Cardiac Events (PEACE) Million Persons Project」を行い、有病率や病識、治療やコントロール状況について調査した。 高血圧症の定義は、収縮期血圧140mmHg以上もしくは拡張期血圧90mmHg以上、または自己報告による直近2週間の降圧薬の服用とした。高血圧症に関する病識、治療、コントロールの定義は、それぞれ、高血圧症と診断されたことを自己申告、降圧薬を現在服用中、収縮期・拡張期血圧値が140/90mmHg未満とした。 年齢グループ(35~44、45~54、55~64、65~75歳)、男性/女性、中国西/中央/東部、都市部/地方、漢族/非漢族、農民/非農民、年収(<1万元、1~<5万元、≧5万元)、教育レベル(初等教育以下、中学、高校、大学以上)、心血管イベントの有無、喫煙の有無、糖尿病の有無など11の人口動態的および臨床的因子と、個人およびプライマリヘルスケア地域を可能な限り組み合わせた26万4,475のサブグループについて、高血圧症の病識、治療、コントロール率を分析した。コントロール不良の治療中患者、8割以上が降圧薬の服用は1種のみ サンプル調査対象として包含されたのは173万8,886例で、平均年齢は55.6歳(SD 9.7)、女性は59.5%で、高血圧症患者の割合は44.7%(95%信頼区間[CI]:44.6~44.8、77万7,637例)だった。 高血圧症患者のうち、高血圧症であることを自覚していたのは44.7%(同:44.6~44.8、34万7,755例)だった。また、高血圧症患者のうち、処方された降圧薬を服用していたのは30.1%(同:30.0~30.2)、血圧コントロールを達成していたのは7.2%(同:7.1~7.2)だった。 年齢・性別標準化後の高血圧症の有病率は37.2%(同:37.1~37.3)、病識率36.0%(同:35.8~36.2)、治療率22.9%(同:22.7~23.0)、コントロール率は5.7%(同:5.6~5.7)だった。 最も使用頻度の高かった降圧薬は、クラス分類でカルシウム拮抗薬だった(55.2%、95%CI:55.0~55.4)。また、降圧薬を服用しているがコントロール不良であった高血圧症患者のうち、81.5%が1種類の降圧薬しか服用していなかった。 高血圧症を自覚している患者の割合と、治療を受けていた患者の割合は、サブグループ間で顕著にばらつきが認められた。病識率および治療率が低い傾向との関連がみられたのは、男性、年齢が低い、低収入、心血管イベント既往、糖尿病、肥満、アルコール摂取だった(すべてp<0.01)。一方、血圧コントロール率はすべてのサブグループで30%未満と低かった。 これらの結果を踏まえて著者は、「中国人のすべてのサブグループで、血圧コントロール率が低い集団が認められた。幅広くグローバルな戦略、たとえば予防へのさらなる取り組みや、優れたスクリーニング、より効果的で手頃な治療が必要であることを支持する結果であった」とまとめている。

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SGLT2阻害薬と1型糖尿病治療(解説:住谷哲氏)-760

 1型糖尿病の病因はインスリン分泌不全であり、治療は生理的インスリン補充(physiological insulin replacement)である。これを達成するためにこれまでインスリンアナログの開発、頻回インスリン投与法(multiple daily injection:MDI)、インスリンポンプ、SAP(sensor-augmented pump)が臨床応用されてきた。さらにclosed-loop systemによる自動インスリン投与の臨床応用も目前に近づいてきている。しかし依然として1型糖尿病治療におけるunmet needsとして、低血糖、体重増加、血糖変動(glycemic instability)の問題を避けることはできない。さらに1型糖尿病治療においては厳格な血糖管理による細小血管障害の予防に注目しがちであるが、2型糖尿病と同様に動脈硬化性心血管病(ASCVD)の予防が予後を改善するために重要であることを忘れてはならない1)。 SGLT2阻害薬の血糖降下作用はインスリン非依存性であり、従って1型糖尿病患者においても有効であることが期待される。さらにEMPA-REG OUTCOME、CANVASの結果から、SGLT2阻害薬の投与はハイリスク2型糖尿病患者において総死亡を含めた予後を改善することが明らかになりつつある。本試験はこれらを前提として、SGLT1/2阻害薬であるsotagliflozinの1型糖尿病患者における有効性と安全性を検討したものである。 対象は年齢43歳、罹病期間20年、BMI 28kg/m2、HbA1c 8.2%の1型糖尿病患者であり、4割がインスリンポンプ使用中であった。主要評価項目は重症低血糖および糖尿病ケトアシドーシス(DKA)を伴わずにHbA1c<7.0%を達成した患者の割合とされた。24週後、主要評価項目の達成率はsotagliflozin群28.6%、プラセボ群15.2%であり、sotagliflozin群で有意に高かった(p<0.001)。一方、DKAはsotagliflozin群で21例(3.0%)、プラセボ群で4例(0.6%)であった(有意差は記載されていない)。 SGLT2阻害薬であるダパグリフロジンを用いた試験(DEPICT-1試験)がほぼ同時に報告された2)。有効性についてはsotagliflozinを用いた本試験と同様であり。CGMのデータからダパグリフロジンがglycemic instabilityを改善することも明らかにされた。しかし安全性については、ダパグリフロジン投与によりDKAの増加は認められなかった。ダパグリフロジン投与によりDKAが増加しなかったのは、SGLT2阻害薬とSGLT1/2阻害薬との違いによるものか、試験デザインによるものか、対象患者の相違によるものかは明らかではない。さらに両試験ともに24週の短期間の観察であり、長期的な有効性および安全性については不明である。 日常臨床において、インスリンを増量しても体重が増加する一方で血糖コントロールが改善しない1型糖尿病患者は少なくない。この点で、血糖コントロールの改善と体重減少が同時に期待できるSGLT2阻害薬は魅力的である。しかし一方でDKAや性器感染症のリスクの増加は避けては通れない。今後の長期的な有効性および安全性のデータの集積を期待したい。■「SGLT2阻害薬」関連記事SGLT2阻害薬、CV/腎アウトカムへのベースライン特性の影響は/Lancet

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経口GLP-1受容体作動薬で良好な結果/JAMA

 2型糖尿病患者において、GLP-1受容体作動薬の経口semaglutideはプラセボとの比較で、26週にわたり良好な血糖コントロールを示したことが報告された。英国・レスター大学のMelanie Davies氏らによる第II相無作為化試験の結果で、著者は「長期間および臨床的アウトカム、ならびに安全性を評価する第III相試験の実施を支持するものであった」とまとめている。GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病の有効な治療薬として、現在すべて注射剤での利用が可能となっている。研究グループは、開発中の経口semaglutideの有効性をプラセボと比較し(主要目的)、また非盲検下でsemaglutide皮下注と比較する(副次目的)検討を行った。JAMA誌2017年10月17日号掲載の報告。経口semaglutide各用量群、semaglutide皮下注群、プラセボ群に割り付け評価 検討は第II相の無作為化並行用量探索試験で、2013年12月~2014年12月に14ヵ国の100施設(病院クリニック、一般診療所、臨床研究センター)で行われた。試験期間は26週間+フォローアップ5週間であった。 1,106例がスクリーニングを受け、食事療法と運動療法または一定用量のメトホルミンで血糖コントロール不良な2型糖尿病患者632例が無作為化を受けた。無作為化ではメトホルミン使用による層別化も行われた。 被験者は、1日1回の経口semaglutide 2.5mg投与群(70例)、同5mg投与群(70例:当初4週は2.5mg)、同10mg投与群(70例:当初4週は5mg)、同20mg投与群(70例:当初4週は5mg、5~8週は10mg)、同40mgの4週漸増(標準漸増)投与群(71例:当初4週5mg、5~8週10mg、9~12週20mg)、同40mgの8週漸増(緩徐漸増)投与群(70例:当初8週5mg、9~16週10mg、17~24週20mg)、同40mgの2週漸増(急速漸増)投与群(70例:当初2週5mg、3~4週10mg、5~6週20mg)、プラセボ投与(経口)群(71例:二重盲検)、週1回のsemaglutide 1.0mg皮下注群(70例)に無作為化を受け、26週間の介入を受けた。 主要エンドポイントは、ベースラインから26週時点のHbA1c値の変化であった。経口群のHbA1c値、プラセボと比べて有意に低下 ベースラインの被験者の特性は、全投与群とも類似していた。632例は、平均年齢57.1歳(SD 10.6)、男性395例(62.7%)、平均糖尿病罹病期間6.3年(SD 5.2)、平均体重92.3kg(SD 16.8)、平均BMI値31.7(SD 4.3)であった。583例(92%)が試験を完遂した。 経口semaglutide投与群のベースラインから26週時点までのHbA1cの平均変化値は、プラセボ群と比べて有意な低下が認められた。経口semaglutide投与群は-0.7%~-1.9%(用量依存的範囲)、semaglutide皮下注群は-1.9%、プラセボ群は-0.3%であった。経口semaglutide群とプラセボを比較した、用量依存的推定治療差(ETD)範囲は-0.4%~-1.6%であった(2.5mg投与群のp=0.01、すべての用量群のp<0.001)。 体重は、経口semaglutide群でより低下が認められた(用量依存的範囲:-2.1kg~-6.9kg)。semaglutide皮下注群は-6.4kg、プラセボ群は-1.2kgで、10mg以上の経口semaglutide投与群ではプラセボとの比較において有意差が認められた(用量依存的ETD範囲:-0.9kg~-5.7kg、p<0.001)。 有害事象は、経口semaglutide群63~86%(371/490例)、semaglutide皮下注群81%(56/69例)、プラセボ群68%(48/71例)で報告された。軽度~中等度の消化管イベントの頻度が最も高かった。

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高血糖を指摘されても4割以上が再検査せず

 MSD株式会社は、2型糖尿病の疑いのある人や高血糖を指摘された人、治療を中断している人など、糖尿病の発症・進行リスクがあると考えられる40歳以上の男女4,700人(各都道府県100名ずつ:男性70人、女性30人)に、糖尿病に関する意識や行動に関するインターネット調査を2017年6月に実施した。調査結果から、糖尿病の発症や進行のリスクを持つ人の43.2%が、リスクを指摘されながらも再検査を受診していないことがわかった。また、44.1%が自身の糖尿病の発症や進行のリスクについて「低い」と答えた。薬物療法については、57.5%が抵抗感を感じているが、服用頻度によって心理的負担が軽減される傾向があった。発症や進行のリスクがあっても、健康診断や検査受診に消極的 医療機関や健康診断で高血糖と指摘された人の43.2%が糖尿病の再検査を受診しておらず、40代では半数以上(50.7%)が未受診であった。未受診の理由は、「放っておいても、再検査の受診についてとくに何も言われないから」(44.0%)が最も多い。続いて、「とくに気になる症状がないから」(22.7%)であった。 健康診断を毎年受診していない人も21.9%存在している。会社員では、毎年受診していない人は10.1%と少ないが、自営業では36.8%、働いていない人では30.9%と、会社員に比べ3倍以上となった。また、毎年受診していない理由は「面倒だから」(35.3%)が最も多かった。自身の発症や進行のリスクを過小評価 糖尿病の発症や進行のリスクがあるにもかかわらず、44.1%がその「リスクは低い」と回答した。リスクが低い理由として「症状を感じていないから」(44.7%)、「太っていないから」(20.0%)との回答もあった。糖尿病は初期には自覚症状がほとんどなく、やせ型でもなり得るという、糖尿病の特徴に関する認識不足が浮き彫りになった。 一方、糖尿病の主な症状(「のどが渇くことが多い」「多尿・頻尿である」「疲れやすい、だるい」)のうち、1つでも実感している人は75.6%に及んだ。働いている場合、自分の健康よりも仕事を優先する人が65.5%に上った。半数以上が薬物療法に抵抗感、心理的負担の少ない治療法には期待 糖尿病未治療者の糖尿病治療に対するイメージには「厳しい食事制限」(64.7%)や「毎日服薬が必要」(59.1%)のほか、「毎日インスリン注射を打つ」(56.5%)という思い込みや先入観が存在することがわかった。糖尿病治療への抵抗感は薬物療法が57.5%と最も多く、食事療法は40.8%、運動療法は27.7%であった。治療薬が週1回服用タイプの場合、63.2%が「心理的負担が減る」と回答した。患者さんのニーズにあった治療薬が選択可能 本調査結果から、東京医科大学病院 主任教授の小田原 雅人氏は、「自身の健康に対する過剰な自信がみられたり、糖尿病に関する知識・関心が低かったりと、糖尿病の発症や進行のリスクがある人たちが適切な対処を十分に行っていない実態が示された」と指摘した。 また、63.2%の人が「飲み薬の頻度が週1回なら、治療の心理的負担が減る」と回答していたことを取り上げ、「週1回治療の選択肢が増えたことで、患者さんのさまざまなライフスタイルやニーズにあった治療薬が選択できるようになっている」とコメントしている。■参考MSD株式会社ニュースリリース

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うつ病リスクが低下する日本人に適切な魚類の摂取量は

 魚類の消費やイコサペント酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)レベルがうつ病のリスク低下と関連していることが、観察研究のシステマティックレビューにより明らかとなっている。また、n-3PUFAの逆J字型効果が示唆されている。しかし、魚類の消費量の多い集団からのエビデンスは限られており、うつ病の標準的な精神医学的ベースの診断を用いた研究はない。国立がん研究センターの松岡 豊氏らは、日本人における魚類、n-3PUFA、n-6PUFAの消費とうつ病リスクとの関連を、集団ベースのプロスペクティブ研究にて調査を行った。Translational psychiatry誌2017年9月26日号の報告。 長野県佐久地域住民1万2,219例(1990年)を対象に、1995、2000年に食物摂取頻度調査を完了し、2014~15年にメンタルヘルス検査を受けた63~82歳の参加者1,181例を抽出した。魚類の摂取量およびPUFAの四分位に基づき、うつ病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・95例が現在うつ病と診断されていた。・うつ病リスクが低下していたのは、魚類の摂取量の第3四分位(111.1g/日、OR:0.44、95%CI:0.23~0.84)、EPAの第2四分位(307.7mg/日、OR:0.54、95%CI:0.30~0.99)、ドコサペンタエン酸(DPA)の第3四分位(123.1mg/日、OR:0.42、95%CI:0.22~0.85)であった。・がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病で調整後のORは、魚類およびDPA摂取において有意なままであった。 著者らは「高齢者のうつ病予防に対し、中程度量の魚類の摂取が推奨される」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能魚を食べると認知症は予防できるのか統合失調症とω3脂肪酸:和歌山県立医大

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総コレステロールは晩年に低下する~10万人のコホート研究

 疫学研究では、総コレステロール(TC)が低いほど死亡率が高いことが示唆されている。今回、英国・ロンドン大学のJudith Charlton氏らが、80歳超のTCと死亡率との関連について死亡前のTCの低下で説明できるかを約10万人のコホート研究で検討したところ、TCは晩年に終末期の衰退を示すことがわかった。著者らは「逆の因果関係が、非無作為化研究での低TCと高死亡率の関連をもたらしているかもしれない」と考察している。The Journals of Gerontology誌オンライン版2017年9月27日号に掲載。 本研究は、UK Clinical Practice Research Datalink(CPRD)における80~105歳の9万9,758人について、プライマリケア電子健康記録を用いたコホート研究。全死亡のハザード比(HR)は、年齢、性別、フレイル、合併症、血圧、喫煙で調整した。fractional polynomialモデルを用いて、死亡前または研究終了前のTCの縦断的傾向を評価した。調整オッズ比は一般化推定方程式を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・参加者は女性6万3,630人、男性3万6,128人で、平均年齢86歳、死亡人数は2万9,200人であった。エントリー時に4万1,164人がスタチンで治療されていた。・TCが3.0mmol/L未満の人は4,5~5.4mmol/Lの人と比較して、死亡率が高かった。  スタチン治療者-HR:1.53、95%信頼区間:1.43~1.64、p<0.001  無治療者-HR:1.41、95%信頼区間:1.29~1.54、p<0.001・TCの経年的低下は、死亡前の2年間で速まった。・フォローアップ終了前3ヵ月間での、生存者と比較した、死亡者におけるTC 3.0mmol/L未満の調整オッズ比は、無治療者では3.33(2.84~3.91、p<0.001)、スタチン治療者では1.88(1.68~2.11、p<0.001)であった。

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5~19歳のBMI値の世界的動向は?/Lancet

 1975~2016年の未成年者(5~19歳)のBMI値の世界的な動向について、成人の動向と比較分析した結果、多くの高所得国では高止まりの傾向がみられるが、アジアの一部で高値ではないが加速度的な上昇がみられ、成人の動向とは相関していないことなどが明らかになった。世界200ヵ国の非感染性疾患(NCD)について調査を行っている科学者ネットワーク「NCD Risk Factor Collaboration」(NCD-RisC)が、住民ベース試験2,416件のデータをプール解析し、Lancet誌オンライン版2017年10月10日号で発表した。約1億3,000万例のデータをプール解析 未成年者の低体重、過体重、肥満は生涯にわたって健康を損なう結果を招くとされる。研究グループは、未成年者の平均BMI値と低体重から肥満をカバーするBMIカテゴリーの統合セットで、世界的な動向を推定し、また成人の同値動向との比較を行った。 参加者が5歳以上で身長と体重の測定が行われていた2,416件の住民ベース試験をプール(被験者1億2,890万例、うち5~19歳は3,150万例)。階層ベイズモデルを用いて、200ヵ国における5~19歳の1975~2016年の平均BMI値と、BMIカテゴリー分類―WHOの示す発育参照中央値より、「-2 SD未満(将来的に中等度~重度の低体重)「-2 SD~-1 SD未満(軽度の低体重)」「-1 SD~1 SD(健常体重)」「1 SD超~2 SD(肥満ではないが過体重)」「2 SD超(肥満)」―での有病率の傾向を推定した。東および南アジアでは男子女子ともにBMI値が上昇の傾向 1975~2016年の、女子の年齢標準化平均BMI値の各地における動向をみると、東ヨーロッパでは実質的に変化がみられなかった(-0.01kg/m2/10年、95%信用区間[CrI]:-0.42~0.39、観察された正確な減少の事後確率[posterior probability:PP]=0.5098)。一方で、中南米の中央地方では1.00kg/m2/10年(0.69~1.35、PP>0.9999)の上昇が、ポリネシアおよびミクロネシアでは0.95 kg/m2/10年(0.64~1.25、PP>0.9999)の上昇がみられた。 男子の動向は、東ヨーロッパで有意ではないが0.09kg/m2/10年(-0.33~0.49、PP=0.6926)の上昇がみられたものから、ポリネシアおよびミクロネシアの0.77kg/m2/10年(0.50~1.06、PP>0.9999)の上昇にわたっていた。 平均BMI値の傾向は、直近の北西ヨーロッパおよび高所得の英語圏、アジア太平洋地域では男子女子ともに安定的に推移しており、南西ヨーロッパの男子、中南米の中央およびアンデス地方では女子について安定的な推移が認められた。対照的に、東および南アジアでは男子女子ともにBMI値の上昇がみられ、東南アジアでは男子についてBMI値の上昇がみられた。 世界の肥満の年齢標準化有病率は、女子は1975年の0.7%(0.4~1.2)から2016年5.6%(4.8~6.5)に上昇し、男子は同0.9%(0.5~1.3)から7.8%(6.7~9.1)に上昇した。中等度~重度の低体重の有病率は、女子は同9.2%(6.0~12.9)から8.4%(6.8~10.1)に減少し、男子は同14.8%(10.4~19.5)から12.4%(10.3~14.5)に減少した。 2016年の中等度~重度の低体重の有病率はインドで最も高く、女子22.7%(16.7~29.6)、男子30.7%(23.5~38.0)であった。また、女子の肥満の有病率が30%超であったのは、ナウル、クック諸島、パラオで、男子ではクック諸島、ナウル、パラオ、ニウエ、米国領サモアであった。 2016年現在、世界で中等度~重度の低体重の女子は7,500万例(4,400万~1億1,700万)、男子は1億1,700万例(7,000万~1億7,800万)であり、肥満の女子は5,000万例(2,400万~8,900万)、男子は7,400万例(3,900万~1億2,500万)と推定された。

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朝食抜きの人は動脈硬化リスクが高い

 朝食を抜く習慣が、一般的な心血管疾患(CV)リスク因子とは関係なく、非冠動脈性および全身性のアテローム性動脈硬化症のリスク増加と関連することが、スペイン・Centro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares Carlos IIIのIrina Uzhova氏らの前向きコホート研究で示された。Journal of the American College of Cardiology誌2017年10月10日号に掲載。 著者らは、CVリスク因子および無症候性アテローム性動脈硬化症の存在・分布・進展と、朝食パターンとの関係を調べた。本研究は、ベースライン時にCVイベントのなかった40~54歳の成人の前向きコホート研究であるPESA (Progression of Early Subclinical Atherosclerosis)研究における横断分析。4,052人の参加者から、生活習慣、複数の血管内イメージングデータ、臨床共変量を収集した。朝食パターンは以下の3つで検討した。・高エネルギー朝食:朝食が1日の総エネルギー摂取量の20%超(全体の27%)・低エネルギー朝食:朝食が1日の総エネルギー摂取量の5~20%(全体の70%)・朝食抜き:朝食が1日の総エネルギー摂取量の5%未満(全体の3%) 多変量ロジスティック回帰モデルによる分析の結果、朝食抜きは高エネルギー朝食と比べて、従来の食事性CVリスク因子の存在とは関係なく、非冠動脈性アテローム性動脈硬化症(オッズ比:1.55、95%CI:0.97~2.46)および全身性アテローム性動脈硬化症(オッズ比:2.57、95%CI:1.54~4.31)の高い有病率と関連していた。■関連記事朝食抜きがアテローム性動脈硬化症の増加と関連

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