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多発性骨髄腫のASCT前処置、BU+MEL vs.MEL200/Blood

 新規診断の多発性骨髄腫に対する自家幹細胞移植(ASCT)の前処置として、高用量ブスルファン(BU)+メルファラン(MEL)とMEL単独(MEL200)を比較した第III相GEM2012試験の結果、BU+MELがMEL200より微小残存病変(MRD)陰性率を有意に向上させることが示された。無増悪生存期間(PFS)は、BU+MELで約16ヵ月改善したものの有意差は認められなかった。スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのJuan-Jose Lahuerta氏らが、Blood誌オンライン版2025年6月11日号で報告した。 本試験では、新規に多発性骨髄腫と診断され、強化ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン(VRD)による導入療法と地固め療法を受けている患者におけるASCTの前処置として、BU+MELとMEL200を比較した。458例(2013~15年)が登録され、導入療法後にBU+MEL療法(230例)または MEL200療法(228例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はPFSで、国際病期分類(ISS)Stageおよび高リスク遺伝子異常によるサブグループ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・2年間の維持療法後、MRD陰性率(10-6)は全体で63%であった(BU+MEL:68%、MEL200:58%、オッズ比[OR]:1.51、p=0.035)。・PFSはBU+MEL群がMEL200群より中央値が約16ヵ月長かったが、有意ではなかった(89ヵ月vs.73.1ヵ月、ハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.70~1.14、p=0.3)。・BU+MEL群は、ISS StageII/III、t(14;16)、del(1p)の患者でベネフィットを示した。・BU+MEL群のISS StageII/IIIとMEL200群のISS StageIの患者を合わせたサブグループでは、PFS中央値は96ヵ月(95%CI:76~NE)であった。・安全性に関する懸念は認められなかった。

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血中循環腫瘍DNA検査は大腸がんスクリーニングに有用か/JAMA

 平均的リスクの大腸がんスクリーニング集団において、血液ベースの検査(血中循環腫瘍DNA[ctDNA]検査)は大腸がん検出の精度は許容範囲であることが実証されたが、前がん病変の検出にはなお課題が残ることが、米国・NYU Grossman School of MedicineのAasma Shaukat氏らPREEMPT CRC Investigatorsによる検討で示された。大腸がん検診は広く推奨されているが十分に活用されていない。研究グループは、血液ベースの検査は内視鏡検査や糞便ベースの検査に比べて受診率を高める可能性はあるものの、検診対象の集団において臨床的に実証される必要があるとして本検討を行った。結果を踏まえて著者は、「引き続き感度の改善に取り組む必要がある」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年6月2日号掲載の報告。大腸内視鏡検査を参照対照法として、大腸がんに対する感度などを評価 研究グループは、大腸がんの平均的リスク集団において、開発中のctDNA検査の臨床パフォーマンスを、参照対照法として組織病理学的な大腸内視鏡検査を用いて評価する前向き多施設共同横断観察研究を行った。 対象は、大腸がんリスクが平均的で、標準的な大腸がんスクリーニングを受ける意思がある無症状の45~85歳。参加者には、採血後に大腸内視鏡検査を受けることが求められた。 試験は、米国49州とアラブ首長国連邦の計201施設で行われ、参加者は2020年5月~2022年4月に登録された。血液検体は試験地での採血およびモバイル採血にて収集された。 参加者、スタッフ、病理医は血液検査結果が盲検化され、臨床検査も大腸内視鏡検査の所見を盲検化して実施された。 事前に規定された主要エンドポイントは4つで、ctDNA検査の大腸がんに対する感度、進行大腸腫瘍(大腸がんまたは進行前がん病変)に対する特異度、進行大腸腫瘍の陰性的中率、進行大腸腫瘍の陽性的中率であった。副次エンドポイントは、進行前がん病変に対する感度であった。大腸がんの感度79.2%、進行大腸腫瘍の特異度91.5%だが、進行前がん病変の感度は12.5% 臨床検証コホートには結果が評価された2万7,010例が包含された。年齢中央値は57.0歳、55.8%が女性であった。73.0%が白人で、アジア系は8.8%。 ctDNA検査の大腸がんに対する感度は79.2%(57/72例、95%信頼区間[CI]:68.4~86.9)、進行大腸腫瘍に対する特異度は91.5%(2万2,306/2万4,371例、95%CI:91.2~91.9)であった。進行大腸腫瘍の陰性的中率は90.8%(2万2,306/2万4,567例、95%CI:90.7~90.9)、進行大腸腫瘍の陽性的中率は15.5%(378/2,443例、95%CI:14.2~16.8)で、すべての主要エンドポイントが、事前に規定した受容基準を満たした。 進行前がん病変に対する感度は12.5%(321/2,567例、95%CI:11.3~13.8)で、事前に規定した受容基準を満たさなかった。

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2型DMとCKD併存、フィネレノン+エンパグリフロジンがUACRを大幅改善/NEJM

 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)患者の初期治療について、非ステロイド性MR拮抗薬フィネレノン+SGLT2阻害薬エンパグリフロジンの併用療法は、それぞれの単独療法と比べて尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の大幅な低下に結び付いたことを、米国・Richard L. Roudebush VA Medical CenterのRajiv Agarwal氏らCONFIDENCE Investigatorsが報告した。同患者における併用療法を支持するエビデンスは限定的であった。NEJM誌オンライン版2025年6月5日号掲載の報告。併用療法と各単独療法のUACR変化量を無作為化試験で比較 研究グループは、CKD(eGFR:30~90mL/分/1.73m2)、アルブミン尿(UACR:100~5,000mg/gCr)、2型糖尿病(レニン・アンジオテンシン系阻害薬服用)を有する患者を、(1)フィネレノン10mg/日または20mg/日(+エンパグリフロジンのマッチングプラセボ)、(2)エンパグリフロジン10mg/日(+フィネレノンのマッチングプラセボ)、(3)フィネレノン+エンパグリフロジンを投与する群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、対数変換した平均UACR値のベースラインから180日目までの相対変化量であった。安全性も評価した。180日時点で併用群のUACRは単独群より29~32%低下 ベースラインで、UACRは3群で同程度であった。UACRのデータが入手できた被験者(フィネレノン単独群258例、エンパグリフロジン単独群261例、併用群265例)におけるUACR中央値は579mg/gCr(四分位範囲:292~1,092)であった。 180日時点で、併用群のUACRは、フィネレノン単独群よりも29%有意に大きく低下し(ベースラインからの変化量の差の最小二乗平均比:0.71、95%信頼区間:0.61~0.82、p<0.001)、エンパグリフロジン単独群よりも32%有意に大きく低下した(0.68、0.59~0.79、p<0.001)。 単独群または併用群のいずれも、予期せぬ有害事象は認められなかった。 試験薬の投与中止に至った有害事象の発現頻度は、3群とも5%未満だった。症候性低血圧の発現は併用群の3例で報告され、急性腎障害の発現は合計8例(併用群5例、フィネレノン単独群3例)であった。高カリウム血症の発現は併用群25例(9.3%)、フィネレノン単独群30例(11.4%)で、相対的に併用群が約15~20%低かった。この所見は、重度の高カリウム血症のリスクがSGLT2阻害薬により抑制されることが示されている先行研究の所見と一致していた。

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両側卵管卵巣摘出術で遺伝性乳がん患者の死亡とがんリスクが低下

 BRCA1遺伝子かBRCA2遺伝子のいずれかまたはその両方に病的バリアントを有する乳がんサバイバーでは、卵巣と卵管を摘出することで死亡リスクが劇的に低下する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。この研究では、両側卵管卵巣摘出術(BSO)を受けた乳がんサバイバーで、死亡リスクが48%低かったことが示されたという。英ケンブリッジ大学がん遺伝疫学センターのHend Hassan氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Oncology」に5月7日掲載された。 BRCA1/2遺伝子の病的バリアント保持者は、乳がんと卵巣がんの発症リスクが高くなるため、一般的には乳がん罹患歴の有無に関わりなくBSOを行い、卵巣がんリスクを軽減することが推奨されている。しかし、卵巣と卵管の摘出は急激な閉経を引き起こし、それに伴う心血管疾患やうつ病などのリスク上昇が懸念されている。 今回の研究では、BRCA1/2遺伝子の病的バリアント保持者で1995年から2019年の間に乳がんの診断を受けた20〜75歳の女性3,423人を対象に、BSOと長期健康アウトカムの関連を検討した。病的バリアント保持者の内訳は、BRCA1遺伝子が1,674人、BRCA2遺伝子が1,740人、両遺伝子が9人だった。このうち1,855人がBSOを受けており、遺伝的バリアント別に見た内訳は、BRCA1遺伝子851人(50.8%)、BRCA2遺伝子1,001人(57.5%)、両遺伝子3人(33.3%)だった。追跡期間中央値は5.5年だった。 解析の結果、BSOを受けた女性では受けなかった女性に比べて全死亡リスクが48%(ハザード比0.52、95%信頼区間0.41〜0.64)、乳がん関連死亡リスクが45%(同0.55、0.42〜0.70)低いことが示された。リスク低下は、BRCA2遺伝子の病的バリアント保持者で、BRCA1遺伝子の病的バリアント保持者よりも顕著だった(全死亡:56%対38%、乳がん関連死亡:52%対38%)。また、BSOを受けた女性では、乳がん以外のがん(2次がん)の再発リスクも41%有意に低かった(同0.59、0.37〜0.94)。一方、BSOと心血管疾患や脳卒中、うつ病との間に有意な関連は認められなかった。 こうした結果を受けて研究グループは、本研究で認められたリスク低下の全てがBSOに起因すると言うことはできないものの、その可能性を強く示唆する結果だとの見方を示している。 Hassan氏は、「BSOを行うことで卵巣がんリスクが劇的に低下することは分かっているが、一方で、突然の閉経が予期せぬ結果をもたらす可能性が懸念されていた」とケンブリッジ大学のニュースリリースの中で述べている。そして、「本研究では、BRCA1/2遺伝子の病的バリアントを有し、乳がんの既往歴がある女性において、BSOが心臓病やうつ病などの副作用をもたらす可能性は低く、逆に生存率の向上やがんリスクの低下の点で利点をもたらす可能性があるという、安堵をもたらす結果が示された」と述べている。 一方、本論文の上席著者であるケンブリッジ大学公衆衛生・プライマリケア学部のAntonis Antoniou氏は、「本研究結果は、BRCA1/2遺伝子の病的バリアントに関連するがんに罹患した女性に対するカウンセリングにおいて重要な知見となるだろう。この知見に基づくことで、BSOの実施について十分な情報に基づいた決定を下すことができるようになるはずだ」とニュースリリースで述べている。

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身体活動量が十分でも座位時間が長いと認知機能は低下する?

 身体活動を毎日していてもソファで過ごす時間が長い高齢者は、アルツハイマー病(AD)を発症しやすい可能性があるようだ。新たな研究で、高齢者における長い座位時間は、認知機能の低下やADの発症に関連する脳領域の萎縮と関連していることが明らかになった。米ピッツバーグ大学神経学分野のMarisssa Gogniat氏らによるこの研究結果は、「Alzheimer’s & Dementia」に5月13日掲載された。 Gogniat氏らは、50歳以上の成人404人(平均年齢71±8歳、男性54%)を対象に、座位時間とADの関係を調査した。試験参加者は、腕時計型の活動量計を7日間装着して活動量を測定したほか、神経心理検査と脳の3T MRI検査を受けた。試験開始時の活動量計での測定時には、79%の参加者で認知機能に障害は見られなかった。また、87%が米疾病対策センター(CDC)が推奨する身体活動量(中〜高強度の運動〔MVPA〕を1週間当たり150分以上)を満たしており、1日当たりのMVPAの時間は平均61分だった。 横断解析(1時点のデータに基づく)の結果、座位時間が長いことは、嗅内皮質や中側頭皮質などのADに関連する脳領域の皮質厚の減少(ADシグネチャー)、およびエピソード記憶の低下と有意な関連を示した。ただし、エピソード記憶との関連はMVPAで調整すると有意ではなくなった。これらの関連は、ADの遺伝的リスク因子であるAPOE-e4の保有者において特に顕著だった。一方、縦断解析(長期追跡データに基づく)からは、座位時間が長いほど、記憶を司る海馬の体積の減少速度が速く、また、言葉を思い出す能力と情報を処理する能力の低下速度が速いことが明らかになった。 こうした結果を受けてGogniat氏は、「ADのリスクを減らすには、1日に1回の身体活動だけでは不十分だ。たとえ毎日、身体活動を行っていても、ADの発症リスクを抑制するには座位時間を最小限に抑えるべきだ」と話している。 論文の上席著者である米ヴァンダービルト記憶・アルツハイマーセンター創設ディレクターのAngela Jefferson氏は、「加齢に伴うライフスタイルの選択とそれが脳の健康に及ぼす影響を研究することは非常に重要だ。われわれの研究は、座位時間を減らすことが、脳の神経変性とそれに続く認知機能低下を予防する有望な戦略となり得ることを示したものであり、特に、ADの遺伝的リスクが高い高齢者において、座位時間を減らすことの重要性が強調されている。日中に座って過ごす時間を減らして体を動かし、活動的な時間を増やすことは、脳の健康にとって非常に重要だ」と述べている。 研究グループは、今後の研究では座位時間の長さがなぜ認知機能の低下につながるのかに焦点を当てるべきだとの考えを示している。

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セマグルチドは代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の予後を改善する(解説:住谷哲氏)

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)へ、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)へと呼称が変更されてから約2年が経過した。“alcoholic”および“fatty”が不適切な表現であるのが変更の理由らしい。この2年間に米国のFDAは甲状腺ホルモン受容体β作動薬であるresmetiromをMASHの治療薬として条件付きで承認している。わが国でresmetiromの承認に向けて治験が開始されているか否かは寡聞にして筆者は知らないが、本論文で用いられたセマグルチドはわが国でも使用可能であり臨床的意義は大きい。 本試験ESSENCEはpart1およびpart2から構成されており、本論文はセマグルチド投与72週後のMASHの組織学的変化を主要評価項目としたpart1についての報告である。part2の主要評価項目は240週後のcirrhosis-free survivalとされており、part1はESSENCEの中間解析の位置付けである1)。 これまでにMASHへの薬物介入を試みた試験としては、ピオグリタゾンまたはビタミンEの有効性を検討したNASH-CRNがある2)。本論文と同じく組織学的変化を主要評価項目としたが、ビタミンEはプラセボに比較して有意な組織学的改善を認めたがピオグリタゾンでは認めなかった。しかしこの試験では2型糖尿病患者は対象から除外されており、試験の結果が2型糖尿病患者に適用できるかは不明であった。一方、本試験では患者の56%と半数以上が2型糖尿病を合併しており、Supplementにあるサブグループ解析では2型糖尿病の有無で有効性に差はない。したがって、2型糖尿病を合併したMASHでもセマグルチドは有効と考えられる。 組織学的改善は代替エンドポイントであり、厳密にはpart2終了後のcirrhosis-free survivalの結果を待つ必要がある。しかし、MASH患者の予後を決定する要因として心血管イベントは無視できない。これまでのセマグルチドの臨床試験の結果から、おそらくMASH患者の心血管イベントもセマグルチドの投与により有意に減少する可能性は高い。したがって、代替エンドポイントではあるがMASH治療薬としてのセマグルチドは現時点で正当化されると思われる。わが国でも早期の承認が期待される。

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アルツハイマー病の超早期診断が実現「p-tau217血液検査」【外来で役立つ!認知症Topics】第30回

FDA承認、血液バイオマーカーによるAD超早期診断米国食品医薬品局(FDA)が2025年5月に、アルツハイマー病(AD)診断の初の血液検査法として、リン酸化タウの1つp-tau217の測定系を承認した1)。これは、AD脳に生じるアミロイドβ蓄積などの病理学的変化を、超早期に高感度かつ特異的に検出できるバイオマーカーだと考えられる。今回の承認が持つ医学的な意味について解説する。AD診断のよくある誤解さて私が受ける一番の「あるある質問」は、「アルツハイマー病って認知症のことでしょう」というものだが、言うまでもなく誤りである。また「アルツハイマー病の診断はMRIで海馬が痩せていればできるんですね?」というものも少なくない。これも誤りだが、一般の方にとって病気診断の考え方は馴染みが薄いだろう。そこでまずADの診断法を説明しよう。症状としては、記憶障害とその進行が中心となる症状・経過がみられることが必要である。そして病理学的に、老人斑と神経原線維の存在が病理学所見の必須条件である。前者を主に構成するのがアミロイドβであり、後者のそれがリン酸化されたタウである。したがって、ADの確証的診断は、死後脳に老人斑と神経原線維の存在が確かめられることにある。この両者がいわば「AD脳の2大ゴミ」なのだが、それらの性質には違いがある。前者は脳内で神経細胞の外に溜まっていて、その蓄積量と認知機能の低下度は相関しない。アミロイドβは正常高齢者の脳でもみられることがある。後者は神経細胞の内部に溜まっていて、その蓄積量と認知機能の低下度は相関する。リン酸化タウは正常高齢者の脳にはみられない。アミロイドβの出現があって、それにリン酸化タウの出現が続くことが大切である。こうしたところからAD治療薬の根本は老人斑と神経原線維を消すことにあると考えられてきた。そして最近になって、前者に対する抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ、ドナネマブ)が承認されたのである。従来の診断法の課題と血液検査への期待長年にわたって、生きたAD患者の脳内に真犯人とされる老人斑や神経原線維変化の存在を確認する術はなかった。近年に至り、アミロイドβとリン酸化タウを標的としたアミロイドPETやタウPETにより、これがやっと可能になったのである。既に承認された2つの抗アミロイドβ抗体薬(レカネマブ、ドナネマブ)の投与は、標的となるアミロイドβがなくては無意味となるため、これらを使うには、アミロイドPETか脳脊髄液の測定によるアミロイドβの存在証明が前提になる。しかしコスト・侵襲性・汎用性の点からはこの両者には難点があるため、久しく血液バイオマーカーによる診断が望まれてきた。実際、20年も前から血液中のアミロイドβとリン酸化タウを測定しようとする試みが繰り返しなされてきた。ところが採取条件、血液保存容器の性状、同一人物における日内変動などの障壁のため容易に満足できる結果は得られなかった。とくに本質的な疑問は、「『本丸』である大脳の状態(アミロイドβとリン酸化タウの蓄積)をみるのに、『二の丸』である脳脊髄液で測定するのはまだ許せる。しかし末梢血などいわば『城外』ではないか。城外で測定した測定値で本丸の状態がわかるとは思えない」というものであった。p-tau217の診断的意義とはいえ、徐々にしかし確実に進歩があった。近年信頼できるマーカーになり得るとして注目されたものには、血液リン酸化タウ(p-tau181、p-tau217、p-tau231)、glial fibrillary acidic protein(GFAP)、neurofilament light chain(NfL)等がある。とくにp-tau217は、タウタンパク質の蓄積がPETスキャンなどの方法で明らかになる以前から血液、脳脊髄液に漏れ出て鋭敏に上昇し、アミロイド蓄積を早期から検出可能にすることが 2020 年頃から世界的に注目されるようになった。既述のように、AD脳には初めにアミロイドβが神経細胞の外に蓄積し、その影響を受けて細胞内にタウタンパク質が蓄積して神経細胞の変性脱落が起こる結果、認知機能障害が生じることは重要である。なぜならp-tau217というタウタンパク質が存在するなら、その上流のアミロイドβもまた存在すると考えられる、上記のAD診断の病理学条件を満たすからである。これまでの報告2)によれば、ADにおけるp-tau217の測定結果として、年齢階層によらず高い陽性正診率(95.3~97.5%)が確認されている。そしてADと臨床診断された人で血液p-tau217が陽性であれば、ほぼ確実に脳内にアミロイドβ病理が存在するといえそうである。なお血漿p-tau217の診断精度については、抗アミロイドβ抗体薬の投与対象である軽度認知障害(MCI)群においては、年齢階層が高くなるほど陽性正診率は上昇し、陰性正診率は低下する。また鑑別という観点からは、前頭側頭型認知症、血管性認知症、大脳皮質基底核症候群では年齢階層にかかわらず高い陰性正診率(91.2~99%)が確認されている。つまり非アルツハイマー型認知症と臨床診断された人で血液p-tau217が陰性であれば、ほぼ確実に脳内にアミロイドβ病理は存在しないと考えられる。いずれにせよ、末梢の血液検査で、ほぼ確実な診断ができるようになったことは、AD医学・医療におけるエポックメイキングな成果である。参考1)FDA NEWS RELEASE:FDA Clears First Blood Test Used in Diagnosing Alzheimer’s Disease. 2025 May 16. 2)Therriault J, et al. Diagnosis of Alzheimer’s disease using plasma biomarkers adjusted to clinical probability. Nat Aging. 2024;4:1529-1537.

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第268回 NHKが医療問題を徹底特集、日本医師会色を廃した番組編成から見えてきたものは?(後編) 「ミスやトラブルを起こす一部の医師にも頼らざるを得ない」病院のドキュメンタリー番組、日本医師会が要請文書をNHKに送付

「どう守る 医療の未来」をテーマにさまざまな番組で医療問題を取り上げたNHKこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。やっとこさ1勝あげた後、右肩の痛みのためケガ人(IL)リスト入りしていたロサンゼルス・ドジャースの佐々木 朗希投手が、どうやら今シーズンの戦力の構想から外れたようです。6月16日付のNHKニュースなどの報道によれば、現地時間15日、デーブ・ロバーツ監督は報道陣に対して佐々木投手が現在ボールを投げずに調整していることを明かし、「今シーズンは彼なしで編成を考えることが妥当だ」と述べました。ドジャースは現在、佐々木投手のほかサイ・ヤング賞を2回受賞したブレイク・スネル投手や昨シーズン開幕投手のタイラー・グラスナウ投手など先発陣を中心にケガ人が相次いでいます。ドジャースの独走状態だったナショナル・リーグ西地区の順位も混戦気味で、ポストシーズン進出に黄信号が灯りはじめています(大谷 翔平選手の突然の登板の理由の1つとも考えられます)。ガラスの肩でファンをやきもきさせる佐々木投手に対して、毛の生えた心臓(?)でメジャー復帰をかけるのが、制球難から3Aでの調整が続いている藤浪 晋太郎投手です。藤浪投手はシアトル・マリナーズ傘下3Aタコマに所属しており、現在8試合連続無失点を記録、最速158キロも記録しています。近々、再びメジャーの舞台に戻って来るかもしれません。それにしても、佐々木投手の肩と藤浪投手の肩の違いは何なのでしょう。佐々木投手は夏の高校野球岩手県大会決勝で肩を温存して登板せず、一方の藤浪投手は甲子園で春夏連覇を達成しています。育てられ方やキャリアがまったく異なる2人の豪速球投手のこれからが気になります。さて、NHKが先月末から6月頭にかけて「どう守る 医療の未来」をテーマにさまざまな番組で医療問題を取り上げました。今回もその中の番組についての感想を書いてみたいと思います。6月1日にNHK総合で放送された『NHKスペシャル ドキュメント 医療限界社会 追いつめられた病院で』は、島根県江津市の済生会江津総合病院を舞台に、「ミスやトラブルを起こす一部の医師にも頼らざるを得ないほど現場は追い詰められている」実態を赤裸々に追ったドキュメンタリーです。なんと日本医師会はこの番組に対し「不適切と思われる部分があった」として、医療の正しい情報を報道するよう求める要請文書を送付したそうです。前回書いた『日曜討論』に日医の役員が出ていなかったのも気になりましたが、番組内容に対し「正しい情報を報道するよう求める」というのも穏やかではありません。一体何が日医の気に障ったのでしょうか?「心電図も読めない」「電気ショックを行っていいかわからない」「自分に誤って刺した注射針を患者に使い回す」「気管カニューレの装着で患者の喉を傷つけても報告しない」医師たち済生会江津総合病院は地域の中核病院で、19科240床の病院で2次救急を担ってきましたが、2004年に28人いた常勤医は2024年には12人まで減っていました。番組によれば、「ある病院からの切実な訴え」が(NHKに)届き、病院は「医療の質が維持できなくなっている実態を知って欲しい」とNHKの取材を受け入れたそうです。そうした経緯から、同病院の院長、医局長、看護師らから話を聞き、現場で起きた「あってはならない事態」をリポートしたのが同番組です。そこで語られたのは、「心電図も読めない」医師、「電気ショックを行っていいかわからないから指示を出せない」医師、「薬を違う患者に出してしまう」医師、「自分に誤って刺した注射針を患者に使い回す」医師、「希釈するべきアスパラギン酸カリウム注なのに希釈のオーダーを出さない」医師、「気管カニューレを無理やり引っこ抜き(あるいは挿入して)患者の喉を傷つけても報告しない」医師たちです。番組は「頭を悩ませているのは一部の医師が起こすトラブル」、「医師の高齢化が進行中で不注意によるミスも相次いでいる」と一部の高齢医師がトラブルやミスの元凶であることを暗に示唆しており、院長は「この人ダメだから(といって)外すことは難しい」と診療体制維持の難しさを吐露していました。医療機関で働く医師や看護師が、同じ病院で働く同僚医師を(報道などで)表立って非難することはなかなかないことです。そうした言葉をあえて現場から引き出して放送したこと自体、ある意味医療界のタブーを破ったと言えるでしょう。済生会本部がよく取材を了承したものです。番組は次いで、こうした高齢医師が最前線の救急の現場で働かざるを得ないのは常勤医師数減少が原因だとして、2004年に始まった新医師臨床研修制度の影響を挙げ、「昔はミスやトラブルが目立つ医師がいてもカバーする余力があったが、ここまで医師が減るとそれが難しくなる。医師確保は全部失敗。大学も医師がいないので派遣する余力がない」という院長の言葉を紹介しています。新医師臨床研修制度は一因だが、病院の機能分化やダウンサイジング、集約化の必要性に気付かなかった経営者自身にも少なからぬ責任新医師臨床研修制度が大学医局の医師派遣機能を削いだ、というのは一面の真理ではありますが、それが最大の原因だとは言い切れません。地域ではそれなりに医師を確保できている病院もあるからです。結果として、今盛んに言われるようになった病院の機能分化やダウンサイジング、集約化の必要性に気が付かなかった経営者自身にも少なからぬ責任があるでしょう。地域医療構想は10年も前にスタートしていますが、いわゆる「協議の場」で病院長がそれぞれの病院存続に向けて建設的な”協議”をしてこなかったことも、今の地域医療の崩壊につながっているからです。とは言え、この番組も後半で指摘していますが、医師不足に対し、医師の養成数増だけに注力し、医師の偏在対策(地域偏在、医療機関間偏在)にほとんど対応してこなかった国(厚生労働省)の責任も大きいと言えます。日医は診療看護師が医師の処置などに対する自身の見解を述べた場面に対して強い懸念さて、この番組に対し、日本医師会が不適切と思われる部分があったとして要請文書を送付したという報道がありました。6月5日付のメディファクスによれば、日医の広報担当の黒瀬 巌常任理事は同紙に対して、6月3日に黒瀬氏の名前で要請文書をNHKに送付したことを明らかにしました。同紙によれば「(日医は)医療の正しい情報と、さまざまな考え方に基づく選択肢を国民に提示することができる組織として、正しい医療の現状を発信するために協力したい」というのがその趣旨だそうです。なお、要請文書そのものの内容は明らかにされていません。また同紙によれば、黒瀬氏は番組が特定の病院への取材や視聴者などの声を基にした構成となっていたと指摘、「個別の事例により、国民に誤った印象を与えることがないよう注意すべき」とも語っています。中でも、診療看護師が医師の処置などに対する自身の見解を述べた場面について、「こうした場面を公共放送で紹介することにより、全国の医師に対する国民・患者の信用やチーム医療の推進が損なわれないか、強い懸念を感じざるを得ない」との認識を示したとのことです。また、番組が、「医師偏在」「医療機関経営」といった日本の医療にとって極めて大きなテーマを取り上げたにもかかわらず、日医の意見が聞かれなかったことについても遺憾の意を示したそうです。医師がトラブルやミスの元凶であり、それを看護師チームがフォローしているという構図が強過ぎる「特定の病院への取材や視聴者などの声を基にした構成」なのは、ドキュメンタリーなのだから仕方ありません。そこをとやかく言うのは明らかに筋違いでしょう。ただ、一方で「診療看護師が医師の処置などに対する自身の見解を述べた場面」への指摘の一部は理解できます。これは冒頭でも書いた「気管カニューレを無理やり引っこ抜き(あるいは挿入して)患者の喉を傷つけても報告しない」医師に関する場面への指摘と考えられます。「診療看護師」という肩書のテロップが出た男性看護師が登場し、意思疎通ができない神経難病の患者の喉に見つかった内出血について、「多分抵抗があるのを(気管カニューレを)無理やり抜いて、力でぎゅっと入れるから、毛細血管とか皮下の静脈を傷つけた恐れがある」と自身の見解(見立て)を述べています。こうしたある意味“越権行為”について、日医はおそらくカチンと来たのではないでしょうか。私自身も、番組全体として同病院では医師がトラブルやミスの元凶であり、それを看護師チームがフォローしているという構図(医師=悪、看護師=正義)が強過ぎる印象を受けました。トラブルやミスを起こすのは一部の高齢医師であるというナレーションはありますが、そうした医師が何人いるかについては示されません。もしそれが仮に1、2人の問題だとしたら、「医師不足」というよりも、「医師の質・能力」や「経営者(院長)の問題医師の取り扱い・処遇」の問題となってしまいます。問題医師が実際は何人いる(いた)のか、そこが明示されなかったのは、このドキュメンタリーの弱い部分でもあります。ただ、そこが明示され、問題が「医師の質・能力」となっても日医としてはやはりまずいことになります。“越権行為”についての指摘に留めたのも、そうした理由からかもしれません。『ETV特集 “断らない病院”のリアル』では3次救急の大病院の苦悩を伝える番組は後半で、同病院の「さらなる危機」として「年間4億7,000万円の赤字」経営によって非常勤医師の確保が困難になったことや、「看護師全体の1割15人の一斉退職」を描きます。そして、最終的に病床削減、診療科の削減といった撤退戦に舵を切り、医師については救急医療にも対応できる総合診療医の確保に向かう、というところで終わっています。200床規模の病院では現時点で生き残るにはその道しかないでしょう。今後、さらに人口減少が進めば、もっと徹底したリストラが必要になると思われます。NHKが「どう守る 医療の未来」をテーマにさまざまな番組で医療問題を取り上げた中、もう一つ興味深く見た番組は、5月31日夜に教育テレビで放送された『ETV特集 “断らない病院”のリアル』です。こちらの舞台は済生会江津総合病院とは対象的な大病院、3次救急として年間3万人の救急患者を受け入れる神戸市立医療センター中央市民病院でした。こちらはこちらで、「断らない救急」という理想と、働き方改革という現実のあいだで現場の医師は疲弊し、院長は経営難という宿題も抱え、ほぼお手上げの状態でした。最後に院長が、「従業員を守ること、患者の安全、病院の収支、この三つ巴の状態を良い方向に回せるか、私には自信がない」と語っていたのが印象的でした。今こそ診療所の診療報酬を抑え、病院の入院医療に回すことを真剣に検討すべきNHKが一連の番組で一番伝えたかったのは、規模にかかわらず病院全体が直面している苦境でしょう。前回、「第267回 NHKが医療問題を徹底特集、日本医師会色を廃した番組編成から見えてきたものは?(前編)元厚労官僚・中村 秀一氏の『入院医療と外来医療の配分を考えてもらう必要がある』発言の衝撃」で、中村氏の「医療界全体として自分たちも協力する部分は協力するということで、入院医療と外来医療の配分も考えてもらう必要がある」との発言を紹介しましたが、今こそ診療所の診療報酬を抑え、病院の入院医療に回すことを真剣に検討しないと、地域の医療は壊滅してしまうでしょう。日本医師会がそうした改革に本気でコミットしていくかが大きなポイントだと言えます。もはや、病院の診療看護師の言動に目くじらを立てている時代ではないのです。

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看護師主導の早期緩和ケアが、がん患者のQOLを改善【論文から学ぶ看護の新常識】第19回

看護師主導の早期緩和ケアが、がん患者のQOLを改善早期緩和ケアとして行われた看護師主導の強化支持療法に、がん患者のQOLを改善させる効果があることが示された。Yun Y. Choi氏らの研究で、International Journal of Nursing Studies誌オンライン版2025年5月1日号に掲載された。進行がん患者に対する早期一次緩和ケアアプローチとしての看護師主導強化支持療法の効果:ランダム化比較試験研究チームは、進行がん患者に対する早期一次緩和ケアとして、看護師主導による強化支持療法の効果を評価することを目的に、ランダム化比較試験を実施した。緩和的化学療法を開始する進行がん患者258例を、トレーニングを受けた看護師による強化支持療法(各化学療法サイクル前の症状管理および対処能力向上のカウンセリング)を行う介入群と、症状のモニタリングのみを行う対照群に、1:1の比率で無作為に割り付けた。主要評価項目は、3ヵ月時点での生活の質(EORTC QLQ-C30)、症状(ESAS)、対処行動(Brief COPE)。副次評価項目は、6ヵ月時点での生活の質、症状、対処行動に加えて、3ヵ月および6ヵ月時点のがんへの対処に関する自己効力感(CBI 3.0-K)、がん患者と家族介護者の抑うつ状態(HADS-D)を評価した。データは線形混合モデルを用いて分析した。介入群では、以下の項目において統計的に有意な効果が認められた。生活の質(QOL):3ヵ月時点での役割機能ドメイン(1.01±2.34 vs.−8.37±2.07、p=0.003、95%信頼区間[CI]:−15.57~−3.18、調整済みp=0.044)。対処行動:3ヵ月時点での積極的対処(0.27±0.16 vs.−0.34±0.14、p=0.006、95%CI:−1.04~−0.18、調整済みp=0.044)およびセルフディストラクション(0.22±0.17 vs.−0.42±0.15、p=0.004、95%CI:−1.08~−0.20、調整済みp=0.044)。がんへの対処に関する自己効力感:3ヵ月時点での活動性と自立性の維持(1.45±0.47 vs.−0.31±0.42、p=0.006、95%CI:−2.99~−0.52、調整済みp=0.044)。一方、患者の症状や抑うつ、または家族介護者の抑うつの軽減には、有意な効果は認められなかった(調整済みp>0.05)。早期の一次緩和ケアとしての看護師主導による強化支持療法は、進行がん患者の生活の質における役割機能ドメイン、コーピング方法の活用、および活動性と自立性を維持する自己効力感の向上に有効であることが示された。本研究で検証された看護師主導の強化支持療法は、進行がん患者のQOLにおける役割機能ドメイン(仕事や家事、趣味など、その人本来の「役割」がどのくらい妨げられているかを評価する項目)、積極的なコーピング戦略の活用、および活動と自立の維持に関する自己効力感を統計的に有意に改善しました。看護師が中心となって行う早期からの一次緩和ケアが、これらの項目に有効であった点は特筆すべきです。なぜなら、看護の本質は端的にいって対象者の主観的な幸せに貢献すること(People-Centered Care)だからです。役割を果たせることや、問題に自ら対処できること、そして自分ならできると思える自己効力感は、患者本人が幸せだと感じられる生活を支える上で、非常に重要だと考えます。一方で、症状の軽減や、患者や介護者の抑うつの軽減においては、直接的な効果が認められませんでした。しかし、本研究は、困難な臨床環境に直面する進行がん患者のQOL向上に対し、実用的かつ効果的な看護師主導の早期一次緩和ケアの可能性を、ランダム化比較試験(RCT)という質の高い研究手法により力強く示しました。そしてその結論は、トレーニングを受けた看護師によって提供される早期からの一次緩和ケアを、日常的ながん看護実践に組み込むべきであるという、今後のがん看護におけるきわめて重要な提言になると考えられます。論文はこちらChoi YY, et al. Int J Nurs Stud. 2025 May 1. [Epub ahead of print]

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DOACによる消化管出血での死亡率~20研究のメタ解析

 抗凝固薬による消化管出血は、発生頻度や死亡リスクの高さから、その評価が重要となる。しかし、重篤な消化管出血後の転帰(死亡を含む)は、現段階で十分に特徴付けられておらず、重症度が過小評価されている可能性がある。今回、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のNicholas L.J. Chornenki氏らは、直接経口抗凝固薬(DOAC)関連の重篤な消化管出血が30日全死亡率の有意な上昇と関連していることを明らかにした。Thrombosis Research誌2025年5月24日号掲載の報告。 研究者らは、静脈血栓塞栓症または心房細動と診断されDOACを処方された成人を対象とした大規模ランダム化比較試験とコホート研究について、データベース(MEDLINE、EMBASE、Cochrane CENTRAL)で検索し、消化管出血の発生件数に対する死亡件数で測定した消化管出血後の30日全死亡率を主要評価項目とした。また、対象研究のバイアスリスクをmodified QUIPS(Quality In Prognosis Studies)で評価し、逆分散法を用いて要約推定値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・7,824件の研究から646件をレビューし、20件が解析に含まれた。・解析対象は、全20研究においてDOAC治療後に重篤な消化管出血を来した3,987例であった。・30日全死亡率の統合推定値は8.4%(95%信頼区間[CI]:4.9~12.5、I2=83%)であった。・サブグループ解析では、以下の結果が示された。◯前向き研究(9研究) 主な消化管出血:675例、30日全死亡率:10.3%(95%CI:6.5~14.7、I2=24%)◯後ろ向き研究(11研究) 同:3,312例、同:7.3%(95%CI:2.2~14.4、I2=90%)◯バイアスリスクが高いと判断された研究(9研究) 同:387例、同:12.9%(95%CI:6.3~21.1、I2=44%)◯バイアスリスクが低いと判断された研究(10研究) 同:3,562例、同:6.1%(95%CI:2.9~10.1、I2=89%)※1件の研究はバイアスリスクが不明であった。 なお研究者らは、「本集団における死亡原因と寄与因子について、さらなる研究を行うことで高リスク患者を特定し、リスクを軽減できる戦略を策定していく必要がある」としている。

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EGFR陽性NSCLC、術前オシメルチニブの有用性は?(NeoADAURA)/ASCO2025

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)において、術前補助療法が治療選択肢となっているが、EGFR遺伝子変異陽性例では病理学的奏効(MPR)がみられる割合が低いと報告されている。そこで、術前補助療法としてのオシメルチニブ±化学療法の有用性を検討する国際共同第III相試験「NeoADAURA試験」が実施されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Jamie E. Chaft氏(米国・メモリアルスローンケタリングがんセンター)が、本試験のMPRの最終解析結果と無イベント生存期間(EFS)の中間解析結果を報告した。本試験において、オシメルチニブ+化学療法、オシメルチニブ単剤は化学療法と比べてMPRを改善したことが示された。本結果はJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年6月2日号に同時掲載された1)。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:EGFR遺伝子変異(exon19欠失変異またはL858R変異)陽性の切除可能なStageII~IIIB(AJCC第8版)のNSCLC患者・試験群1(オシメルチニブ+化学療法群):オシメルチニブ(80mg、1日1回、9週以上)+カルボプラチン(AUC5、3週ごと3サイクル)またはシスプラチン(75mg/m2、3週ごと3サイクル)+ペメトレキセド(500mg/m2、3週ごと3サイクル)→手術→医師選択治療 121例・試験群2(オシメルチニブ単剤群):オシメルチニブ(同上)→手術→医師選択治療 117例・対照群(化学療法群):カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセド(いずれの薬剤も同上)→手術→医師選択治療 120例・評価項目:[主要評価項目]MPR[副次評価項目]EFS、病理学的完全奏効(pCR)、N因子のダウンステージング、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全体として女性の割合が高く、オシメルチニブ+化学療法群60%、オシメルチニブ単剤群65%、化学療法群75%であった。EGFR遺伝子変異の内訳は、exon19欠失変異/L858R変異が、それぞれ50%/50%、/51%/49%、51%/49%であった。StageII/IIIの割合は、それぞれ49%/51%、50%/50%、51%/49%であり、N因子がN2の割合は、それぞれ39%、35%、34%であった。・手術施行割合は、オシメルチニブ+化学療法群92%、オシメルチニブ単剤群97%、化学療法群93%であり、R0切除は、それぞれ91%、95%、93%であった。いずれの群でも完全切除に至った患者の91%が、術後補助療法でオシメルチニブの投与を受けた。・主要評価項目のMPR割合は、オシメルチニブ+化学療法群26%、オシメルチニブ単剤群25%、化学療法群2%であり、化学療法群と比較してオシメルチニブ+化学療法群(オッズ比:19.8、95%信頼区間[CI]:4.6~85.3、p<0.0001)、オシメルチニブ単剤群(同:19.3、1.7~217.4、p<0.0001)が有意に良好であった。いずれのサブグループにおいても、オシメルチニブ使用群が良好な傾向にあった。・pCR割合は、オシメルチニブ+化学療法群4%、オシメルチニブ単剤群9%、化学療法群0%であった。・ベースライン時にN2であった患者集団において、ダウンステージングが認められた割合は、オシメルチニブ+化学療法群53%、オシメルチニブ単剤群53%、化学療法群21%であった。・12ヵ月EFS率は、オシメルチニブ+化学療法群93%、オシメルチニブ単剤群95%、化学療法群83%であり、化学療法群と比較してオシメルチニブ+化学療法群(ハザード比[HR]:0.50、99.8%CI:0.17~1.41、p=0.0382)、オシメルチニブ単剤群(HR:0.73、95%CI:0.40~1.35)が良好な傾向にあった。しかし、中間解析時の有意水準は0.002であり、統計学的に有意な差ではなかった。本解析時点の成熟度は15%であり、今後も解析が継続される。・術前補助療法において、Grade3以上の有害事象の発現割合は、オシメルチニブ+化学療法群36%、オシメルチニブ単剤群13%、化学療法群33%であった。治療中止に至った有害事象は、それぞれ9%、3%、5%に発現した。 本結果について、Chaft氏は「EGFR遺伝子変異陽性の切除可能なStageII~IIIBのNSCLC患者の治療戦略に、オシメルチニブ±化学療法を組み込むことを検討すべきであることが示された」とまとめた。

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高齢者の不安症状に最も効果的な薬剤クラスは?

 不安とその障害は、高齢者で頻繁にみられる症状である。高齢者における精神薬理学的治療リスクを考慮すると、不安のマネジメントに関する臨床的意思決定は、入手可能な最も強力なエビデンスに基づき行われるべきである。カナダ・マックマスター大学のSarah E. Neil-Sztramko氏らは、高齢者における不安の薬物療法に関するエビデンスを包括的に統合するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Lancet. Psychiatry誌2025年6月号の報告。 2024年4月23日までに公表された研究をMEDLINE、Cochrane Central、Embase、PsycINFO、CINAHLよりシステマティックに検索した。対象研究は、高齢者(60歳以上、平均年齢65歳以上またはこれらの基準を満たすサブグループ解析)における不安に対する薬物療法に関するランダム化比較試験とした。主要アウトカムは、不安症状の軽減、治療反応、寛解とした。連続変数は標準化平均差(SMD)、二値変数は絶対差とリスク比(RR)を算出した。バイアスリスクの評価にはCochrane Risk of Biasツール、エビデンスの確実性の評価にはGRADEを用いた。本研究の実施には、経験を有する人たちが関与した。 主な結果は以下のとおり。・適格研究19件、2,336例(女性:1,592例[68.15%]、男性:722例[30.91%]、性別不明:22例[0.94%])が特定された。・人種または民族について報告した研究は8件のみ、大部分の対象は白人であった(1,428例中1,309例[91.6%])。性別に関するアウトカムを報告した研究はなかった。・抗うつ薬使用群は、不安症状の軽減において、プラセボ群または待機リスト対照群と比較し、より効果的であった(SMD:−1.19、95%CI:−1.80〜−0.58)。エビデンスの確実性は中程度、異質性は顕著であった(I2=92.34%、p<0.0001)。・抗うつ薬群は、治療反応または寛解においても、プラセボ群または待機リスト対照群と比較し、より効果的であった(相対リスク:1.52、95%CI:1.21〜1.90、絶対差:1,000人当たり146人、95%CI:59〜252)。エビデンスの確実性は低く、異質性も低かった(I2=8.09%、p=0.36)。・計画されたサブグループ解析では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SMD:−1.84、95%CI:−2.52〜−1.17)は、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SMD:−0.46、95%CI:−0.65〜−0.27)と比較し、不安症状の軽減効果が大きかった。しかし、治療反応率または寛解率には差が認められなかった。・ベンゾジアゼピン系薬剤使用群は、プラセボ群と比較し、不安症状を軽減する可能性はあるが、エビデンスの確実性は非常に不確実であり、バイアスリスクも高かった。・主要アウトカムに関する他の薬剤クラスのメタ解析は実施できなかった。 著者らは「抗うつ薬は、高齢者の不安症状軽減に対して効果的であり、安全性および忍容性を裏付けるエビデンスも認められた。一方、ベンゾジアゼピン系薬剤の有効性、安全性に関するエビデンスは弱かった」とし「これらの知見は、高齢者の不安症状治療において、エビデンスに基づく診療指針となりうる」としている。

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災害時にLINEを活用し糖尿病患者の命を守る/糖尿病学会

 日本糖尿病学会の第68回年次学術集会(会長:金藤 秀明氏[川崎医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科学 教授])が、5月29~31日の日程で、ホテルグランヴィア岡山をメイン会場に開催された。 今回の学術集会は「臨床と研究の架け橋 ~translational research~」をテーマに、41のシンポジウム、173の口演、ポスターセッション、特別企画シンポジウム「糖尿病とともに生活する人々の声をきく」などが開催された。 地震や洪水などの自然災害が発生した場合、糖尿病患者、とくにインスリン依存状態の患者はインスリンの入手などに困難を来し、生命の危機に直面するケースが予想され、災害時に患者の様子や不足する薬剤をいかに把握するかが、課題となっている。 そこで本稿では「口演62 災害医学」から「糖尿病患者に対するLINEによる双方向性の情報伝達システムの構築」(演者:西田 健朗氏[熊本中央病院糖尿病・内分泌・代謝内科])をお届けする。災害時に困る患者の居場所、健康状態の把握の一助となるLINE 2016年に発生した熊本地震を経験した熊本中央病院の西田氏が JADEC DiaMAT推進委員会を代表して、災害時に役立てることができるLINEを利用した双方向情報伝達システムの構築について口演を行った。 日本糖尿病協会(JADEC)と日本糖尿病学会は協働して、自然災害などから糖尿病患者を守る取り組みを強化している。具体的には、糖尿病医療支援チーム(DiaMAT:Diabetes Medical Assistance Team)を創設し、災害発生時に災害派遣医療チーム(DMAT)などの後方支援や被災者への直接支援などを行う体制の構築を目指している。 この災害時の情報伝達体制構築の一環として、わが国で普段から広く使用されている通信アプリ“LINE”を基盤にしてシステムを構築した。システムでは、アカウント管理の簡便性からJADEC本部のアカウントのみを作成し、患者が登録していく方式で双方向の情報伝達を行っている。LINEにはインスリン依存状態の患者などから登録をしてもらい、氏名や住所などの個人情報や自分の病状、かかりつけ医療機関や処方薬局などを細かく入力してもらうようにした。 2025年5月28日現在で1,517人の患者などが登録しており、登録に際しては使用しているインスリンの入力ができる。災害時には、必要なインスリンやデバイスなどの情報をJADEC事務局に連絡することができ、JADEC事務局は位置情報で患者の位置を把握、インスリンやデバイスの搬送での活用が期待されている。 実際にこうした情報システムが稼働するのか、患者のニーズを満たしているのかの検証を西田氏らは、2024年9月1日(防災の日)に訓練として行った。 LINE登録者約300人中87人、医師5人が訓練に参加し、登録者が事務局との双方向通信を行った。訓練では、登録者のLINE操作や事務局の内容確認が行われたほか、必要により個別の質問には医師が対応した。 訓練後のアンケートについて、「登録者の満足度」は5点中4.15点であり、「このLINEを紹介したい」は5点中4.44点であり、肯定的な意見が多数を占めていた。また、登録者の自由記載では、「使われている言葉が難しい」「インスリンの入手について安心材料になった」などの課題や感想を聞くことができた。 西田氏は、「今後はさらにLINEシステムを向上させ患者の位置情報から、災害時に患者へ必要なインスリンや治療薬を届けることができるようにシステム構築を進めていく」と展望を語った。

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術前療法でリンパ節転移陰転の乳がん、照射は省略できるか/NEJM

 乳がん治療では、病理学的に腋窩リンパ節転移陽性の患者における領域リンパ節照射の有益性が確立しているが、術前補助化学療法後に病理学的にリンパ節転移なし(ypN0)の患者でも有益かは不明だという。米国・AdventHealth Cancer InstituteのEleftherios P. Mamounas氏らは、無作為化第III相試験「NSABP B-51-Radiation Therapy Oncology Group 1304試験」において、術前補助化学療法後に腋窩リンパ節転移陰性となった患者では、術後補助療法として領域リンパ節照射を追加しても、浸潤性乳がんの再発または乳がん死のリスクは低下しないことを示した。研究の成果は、NEJM誌2025年6月5日号で報告された。7ヵ国の無作為化第III相試験 NSABP B-51-Radiation Therapy Oncology Group 1304試験は、日本を含む7ヵ国で実施され、2013年8月~2020年12月に参加者を登録した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 臨床病期T1~T3 N1 M0の切除可能な乳がんで、生検で病理学的に腋窩リンパ節転移陽性と確認され、標準的な術前補助化学療法(アントラサイクリン系またはタキサン系[あるいはこれら両方]をベースとするレジメン)を8週間以上受け、HER2陽性例は抗HER2療法も受けており、手術時に病理学的に腋窩リンパ節転移陰性(ypN0)であった患者を対象とした。 被験者を、領域リンパ節照射(総線量50 Gy、25分割)を受ける群、またはこれを受けない群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、浸潤性乳がんの再発または乳がん死のない期間(浸潤性乳がん無再発期間)であり、副次評価項目は、局所・領域リンパ節無再発期間、無遠隔再発期間、無病生存期間、全生存期間などとし、安全性の評価も行った。副次評価項目にも有意差はない 1,641例を登録し、照射群に820例、非照射群に821例を割り付けた。全体の年齢中央値は52歳(四分位範囲:44~60)で、40.3%が50歳未満であった。59.9%が臨床的T2腫瘍(腫瘍径2~5cm)、53.2%がホルモン受容体陽性、56.7%がHER2陽性で、79.0%がトリプルネガティブまたはHER2陽性のがんであった。78.2%で病理学的完全奏効(乳房とリンパ節)が得られ、57.7%が乳房の部分切除術、42.3%が全摘術を受け、55.4%でセンチネルリンパ節生検が行われた。 1,556例(照射群772例、非照射群784例)を主解析の対象とした。追跡期間中央値59.5ヵ月の時点で、主要評価項目のイベントは109件発生した(照射群50件[6.5%]、非照射群59件[7.5%])。領域リンパ節照射は、浸潤性乳がん無再発期間の有意な延長をもたらさなかった(ハザード比[HR]:0.88[95%信頼区間[CI]:0.60~1.28、p=0.51])。 また、主要評価項目のイベントのない生存率の点推定値は、照射群が92.7%、非照射群は91.8%であった。 照射群では、局所・領域リンパ節無再発期間(HR:0.57[95%CI:0.21~1.54])、無遠隔再発期間(1.00[0.67~1.51])、無病生存期間(1.06[0.79~1.44])、全生存期間(1.12[0.75~1.68])についても、改善効果はみられなかった。Grade3の放射線皮膚炎は5.7% プロトコールで規定された治療関連の死亡の報告はなく、予期せぬ有害事象は認めなかった。Grade4の有害事象は、照射群で0.5%、非照射群で0.1%に、Grade3はそれぞれ10.0%および6.5%に発現した。最も頻度の高いGrade3の有害事象は放射線皮膚炎で、照射群の5.7%、非照射群でも3.3%に発現した。 著者は、「本試験は、生検で腋窩リンパ節転移が確認された患者では、術前補助化学療法でypN0に達した場合に、領域リンパ節照射を行っても、5年後の腫瘍学的なアウトカムは改善しないことを示している」「これらの結果は、術前補助化学療法を受けた患者ではリンパ節の病理学的な反応に基づいて領域リンパ節照射の実施を決められるという治療戦略への転換を支持するものである」「長期的なアウトカムの評価のために追跡調査を継続中である」としている。

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ブロークンハート症候群による死者数は依然として多い

 「ブロークンハート症候群」と聞くと、深い喪失感から心が打ちひしがれるといったロマンチックなおとぎ話をイメージするかもしれない。しかし、正式には「たこつぼ型心筋症(Takotsubo cardiomyopathy;TC)」と呼ばれるこの疾患は、高い死亡率や合併症の発生率に関連しており、こうした状況は改善していないことが、米アリゾナ大学サーバー心臓センター臨床教授のMohammad Reza Movahed氏らによる研究で示された。詳細は、「Journal of the American Heart Association」に5月14日掲載された。 TCは、大切な存在との死別や離婚などの精神的あるいは肉体的にストレスフルな出来事がきっかけでストレスホルモンの分泌量が急増し、それに対する反応として発症すると考えられている。研究グループによると、TCでは心臓の一部が一時的に肥大してポンプ機能が十分に働かなくなるため、短期的な心不全や心臓に関連した死亡のリスクが高まるという。 Movahed氏らは今回、全米の病院の医療記録を用いて、2016年から2020年にTCにより入院した18歳以上の患者の死亡率と合併症について調べた。 その結果、この期間に19万9,890人がTCにより入院していたと推定された。発症時の平均年齢は67.09歳で、83%が女性であった。TCの発症率は61歳以上の人で最も高く、また46~60歳の人では31~45歳の人と比べて3倍もリスクが高かった。診断件数が継続的に増加している傾向は見られなかったが、全体的には2016年の3万9,015例から2020年には4万1,290例に増加していた。 TCの主な合併症のうち発生頻度が高かったのは、うっ血性心不全(35.93%)、心房細動(20.79%)、心原性ショック(6.66%)、脳卒中(5.38%)、心停止(3.42%)であった。また、TCのない患者と比べて、TC患者では合併症発生のオッズが、心原性ショックで12.71倍、心停止で4.79倍、心不全で3.52倍、脳卒中で2倍、心房細動で1.43倍高いことも示された。 死亡率については、TCがない患者の2.41%に対してTC患者では6.58%と約3倍高かった。さらに、TC患者は女性が大多数を占めるものの、この疾患は特に男性に重い負担を強いており、TCによる死亡率は、女性が5.5%であるのに対し男性では11.2%と女性の2倍以上であることが示された。 Movahed氏は、「TCによる死亡率は比較的高く、5年間の研究期間中に有意な変化はなかった。また、院内合併症の発生率も高かった。これらの結果にはわれわれも驚いた。死亡率が高い状態が続いていることは気がかりであり、より良い治療法と新たな治療アプローチを明らかにするため、さらなる研究を行う必要がある」と米国心臓協会(AHA)のニュースリリースの中で述べている。

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多疾患併存はうつ病リスクを高める?

 慢性疾患との闘いは人を疲弊させ、うつ病になりやすくするようだ。新たな研究で、長期にわたり複数の慢性疾患を抱えている状態(多疾患併存)は、うつ病リスクの上昇と関連することが明らかにされた。リスクの大きさは慢性疾患の組み合わせにより異なり、一部の組み合わせでは特にリスクが高くなることも示されたという。英エディンバラ大学一般診療学分野教授のBruce Guthrie氏らによるこの研究結果は、「Communications Medicine」に5月13日掲載された。 Guthrie氏らは、UKバイオバンク研究参加者のうち、ベースライン時に1つ以上の慢性疾患を有していた37〜73歳の成人14万2,005人のデータを、69種類の慢性疾患の有無に基づき分類した。次いで、4種類のクラスタリング手法を比較検討し、最適と判断されたモデルを選定した。その後、ベースライン時にうつ病の既往のなかった14万1,011人(うち3万551人はベースライン時に身体疾患のなかった対照)を対象に、多疾患併存の特徴による分類(クラスター)ごとに、その後のうつ病発症との関連を比較検討した。 平均6.8年に及ぶ追跡期間中に、5,904人(4.2%)がうつ病を発症していた。心疾患や糖尿病などの心代謝疾患を多く含むクラスターは全対象者に占める割合が特に高く、全体の15.5%、女性では19.7%、男性では24.2%に上った。うつ病発症のハザード比は、加齢黄斑変性・糖尿病での1.29から、極めて多岐にわたる慢性疾患での2.42(女性2.67、男性2.65)までの範囲であり、ほとんどのクラスターで身体疾患のない人と比べて高かった。対象者全体で顕著なリスク上昇が見られたのは、片頭痛(同1.96)、呼吸器疾患(同1.95)、心血管疾患・糖尿病(同1.78)などであった。男女別で分けて見ると、セリアック病などの消化器疾患は男女の双方で(男性:同2.06、女性:同1.83)、心血管疾患・慢性腎臓病・痛風は男性において(同1.87)うつ病リスクを大幅に上昇させていた。一方、女性では、関節や骨の健康問題がうつ病リスクを大幅に上昇させていた(同1.81)。 Guthrie氏は、「医療では身体的健康と精神的健康を全く別のものとして扱うことが多いが、この研究は、身体疾患を持つ人におけるうつ病の発症をより適切に予測し、管理する必要があることを示している」と述べている。 一方、論文の筆頭著者であるエディンバラ大学のLauren DeLong氏は、「身体的健康状態とうつ病の発症の間には明確な関連が見られたが、この研究はまだ始まりに過ぎない。本研究結果が他の研究者にも刺激を与え、身体的健康状態と精神的健康状態の関連性を調査・解明するきっかけになることを期待する」と述べている。

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マウステーピングは睡眠の質を改善する?

 最近、ソーシャルメディアを席巻しているトレンドの一つであるマウステープの使用について、残念な研究結果が報告された。睡眠時にテープなどで口を閉じた状態にすること(マウステーピング)は、口呼吸を防いで鼻呼吸をサポートし、口腔内の乾燥を防ぎ、いびきや睡眠時の一時的な呼吸停止(睡眠時無呼吸)を防ぐことで睡眠の質を高めるとされている。しかし新たな研究で、マウステーピングが実際に睡眠の質の改善に有効であることを示すエビデンスは限定的であり、場合によっては窒息のリスクを高める可能性のあることが明らかにされた。ロンドン健康科学センター(カナダ)耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野のBrian Rotenberg氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に5月21日掲載された。 女優のグウィネス・パルトローはInstagramでマウステープについて、「これはおそらく最近見つけた中で最高の健康ツールだわ。一晩中、鼻呼吸をすると、体内がアルカリ性に傾き、質の高い睡眠を促すそうよ」と述べたことをUs Weeklyは伝えている。しかしRotenberg氏は、「ソーシャルメディアで大量に喧伝されているマウステーピングの効果はエビデンスに乏しく、重度の鼻詰まりの人には有害な影響さえもたらす可能性がある」と述べている。 この研究では、1999年2月から2024年2月の間に発表されたマウステーピングの効果に関する既存の研究から10件の研究を抽出し、そのレビューが行われた。これらの研究では、サージカルテープやマウスピースなどさまざまな器具を用いたマウステーピングが検討されており、対象者の総計は213人に上った。 その結果、マウステーピングが無呼吸低呼吸指数(AHI)や酸素飽和度低下など睡眠時無呼吸の指標に対して統計学的に有意な改善を示した研究は、10件中わずか2件にとどまることが明らかになった。それ以外の研究では、マウステーピングの効果は何も確認されず、それどころか、鼻づまりがある状態でマウステーピングを行うと窒息のリスクが生じる可能性のあることが示唆されていた。 研究グループは、「例えば、花粉症や風邪、鼻中隔湾曲、扁桃腺肥大などの症状がある人は、鼻から十分な酸素を取り込めないため口呼吸をしている可能性がある」と指摘している。また、マウステーピングにより口が閉じられていると、睡眠中に嘔吐した際に吐瀉物で窒息する危険性もあるとしている。 その上で研究グループは、「マウステーピングは、有名人が推奨することの多い現代的な習慣だが、その効果は必ずしも科学的に証明されたものではない。マウステーピングに適さない人も多く、場合によっては深刻な健康被害のリスクにつながる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。 一方で研究グループは、「本研究で対象とした研究は一貫して高品質ではなかったため、さらなる調査が必要だ」とも述べている。

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静脈血栓塞栓症のリスクが低い経口避妊薬「スリンダ錠28」【最新!DI情報】第41回

静脈血栓塞栓症のリスクが低い経口避妊薬「スリンダ錠28」今回は、経口避妊薬「ドロスピレノン(商品名:スリンダ錠28、製造販売元:あすか製薬)」を紹介します。本剤は単剤型プロゲスチン製剤であり、従来の混合型経口避妊薬よりも静脈血栓塞栓症のリスクが少なく、深部静脈血栓症や肺塞栓症の既往、喫煙者、肥満者、高血圧や弁膜症を有する患者などに対して推奨度が高い避妊薬です。<効能・効果>避妊の適応で、2025年5月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>1日1錠を毎日一定の時刻に白色錠から開始し、指定された順番に従い28日間連続経口投与します。以上28日間を投与1周期とし、29日目から次の周期の錠剤を投与し、以後同様に繰り返します。なお、服用開始日は、経口避妊剤を初めて服用する場合、月経第1日目から開始します。<安全性>副作用として、不正性器出血(月経中間期出血、異常子宮出血)(89.9%)、下腹部痛(13.4%)、月経異常(過少月経、過長過多不規則月経、重度月経出血)(14.9%)、頭痛(16.3%)、腹痛(12.3%)、乳房不快感、悪心、下痢、ざ瘡(いずれも5%以上)、無月経、卵巣嚢胞、子宮頸部上皮異形成、子宮筋腫、カンジダ症、外陰部炎、性器分泌物、乳頭痛、乳腺良性腫瘍、乳腺嚢胞症、傾眠、いらいら感、不安感、めまい、片頭痛、上腹部痛、嘔吐、胃腸障害、発疹、そう痒症、背部痛、倦怠感、浮腫、発熱、体重増加(いずれも1~5%未満)、陰部そう痒症、子宮ポリープ、外陰腟痛、卵巣腫大、乳房痛、抑うつ、便秘、消化不良、腹部膨満、口内炎、紅斑、皮膚乾燥、関節痛、肋軟骨炎、貧血、肝機能検査値異常(いずれも1%未満)、リビドー減退、高カリウム血症、ほてり(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1. この薬は、妊娠を防ぐための経口避妊薬です。2. 毎日1錠、決まった時間に服用することで、排卵を抑えたり、子宮内膜や子宮頸管の状態を変化させたりして、妊娠を防ぎます。3. この薬は、喫煙者や高血圧の人など、従来の避妊薬が使えなかった人にも適しています。4. 毎日一定の時刻に白色錠から服用を開始し、指定された順番に従い28日間服用してください。5. 1日(24時間以内)の飲み忘れがあった場合、気付いた時点で直ちに飲み忘れた錠剤を服用し、その日の錠剤も通常どおりに服用してください。6. 2日連続して飲み忘れた場合は、気付いた時点で直ちに飲み忘れた錠剤を1錠服用し、その日の錠剤も通常どおりに服用してください。7. 2日以上連続して飲み忘れた場合は妊娠する可能性が高くなるので、その周期は他の避妊法を使用し、必要に応じて医師に相談してください。<ここがポイント!>現在、日本で使用されている経口避妊薬の主流は、低用量エストロゲンとプロゲスチンを配合した混合型経口避妊薬(Combined Oral Contraceptives:COC)です。しかし、COCに含まれるエストロゲンには、静脈血栓塞栓症をはじめとする血栓症のリスクがあることが知られています。世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、プロゲスチン単剤の経口避妊薬(Progestin-Only Pill:POP)は、COCと比較して静脈血栓塞栓症のリスクが低く、深部静脈血栓症や肺塞栓症の既往、喫煙者、肥満者、高血圧や弁膜症を有する患者などに対して推奨度が高い避妊薬とされています。本剤は、ドロスピレノン(DRSP)4mgを含有する国内初のPOPであり、排卵の抑制、子宮内膜の菲薄化、子宮頸管粘液の高粘稠による精子の侵入障害などにより避妊効果を発揮します。避妊を希望する日本人女性を対象とした国内第III相臨床試験(LF111/3-A試験)において、13周期投与期終了時の暴露周期(3,319周期)の間に1例が妊娠し、主要評価項目とされた全般パール指数※は0.3917(95%信頼区間[CI]:0.0099~2.1823)でした。95%CIの上限が閾値である4下回ったことから、本剤の有効性が検証されました。なお、妊娠例に関して、受胎推定日は未服薬期間内と判断されています。※パール指数(Pearl index):100人の女性がその避妊法を1年間(13周期)用いたときの妊娠数(対100女性年)日本で発売されているCOCは、血栓症に関連する既往歴や現病歴を有する患者は禁忌でしたが、本剤では禁忌に該当しません。本剤では禁忌に該当しない血栓症関連の疾患などは以下のとおりです。血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患またはその既往歴のある患者35歳以上で1日15本以上の喫煙者血栓症素因のある女性抗リン脂質抗体症候群の患者大手術の術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内および長期間安静状態の患者脂質代謝異常のある患者高血圧のある患者(軽度の高血圧の患者を除く)

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血小板減少【日常診療アップグレード】第32回

血小板減少問題32歳男性。健康診断で血小板減少を指摘され、二次検査のため来院した。症状はない。既往歴に特記すべきことはない。内服薬やサプリメントの服用もない。バイタルサインを含む身体診察では異常を認めない。白血球数は正常で、貧血はない。血小板数は4万8,000/μLである。経過観察とした。

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秋田大学 臨床腫瘍学講座(腫瘍内科)【大学医局紹介~がん診療編】

柴田 浩行 氏(教授)福田 耕二 氏(講師)松本 朋大 氏(医員)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴2009年2月に秋田大学に臨床腫瘍学講座が開設されました。当初は化学療法部のマネージメントのみでしたが、腫瘍内科として病床を持って直接患者を診ることが私の願望で、翌年4月に待望の診療科を開設できました。まず2床からのスタートでしたが、2018年までには10床に増え、2025年6月に13床に増えました。入院患者は開設時の約5倍、年間のべ4,823人に達しました。外来患者も開設時の約3倍、年間のべ3,522人に達しています。高齢化日本一の秋田県では進行がん患者が増えています。これは近未来の日本の縮図です。日本の疾病構造はどんどん変化し、患者が集まらない診療科があるなかで、進行がん患者を担当する腫瘍内科医のニーズは年々高まっています。私の着任以前、秋田県ではがん薬物療法の専門医はゼロ、がん拠点病院すらも初年度には1つも指定されないという、まさに「がん薬物療法不毛の地」でした。今では県内のすべての二次医療圏に腫瘍内科医を派遣しています。2024年度は県内8病院で、のべ5,952人の患者の診療にあたりました。ウチは秋田県のがん医療の主力です。これまでに8名の仲間が秋田大学腫瘍内科の発展に貢献してくれました。現在の在籍者は7名と少数ではありますが、各人が重責を認識した精鋭揃いです。ここは密度の高い臨床経験を積める場だと自負しています。総回診だけでなく、私も指揮官先頭で毎日若手と病棟を回り、日々、臨床腫瘍学の新たな発見に遭遇し、自らの進歩も自覚しています。力を入れている治療・研究テーマ私は、消化器がんを中心に診療を行っております。また、原発不明がんや軟部肉腫といった希少がん、さらには同時多発がんなど、より高度な専門知識が求められる分野にも積極的に取り組んでいます。秋田県は全国6位の面積を持つ一方で、人口密度は全国で3番目に低く、医療へのアクセスが困難な地域です。臨床腫瘍学講座では、県内のがん治療の均てん化を重要なテーマとして掲げています。私は地域の中核病院でキャンサーボードやミニカンファレンスを通じて、治療方針の決定や副作用対策に関する助言を行うなど、地域医療の質の向上に努めています。医局の雰囲気・魅力当講座は、柴田教授を含めて7名の比較的小規模な医局であり、風通しの良い、働きやすい環境が整っています。各医師の研究活動や臨床での取り組みを把握しやすく、診療上の疑問点も気軽に相談・解決できるため、診療スキルを高める場として最適です。医局員の半数は、消化器内科や消化器外科から腫瘍内科に転向して専門医資格を取得しており、さまざまなキャリアパスを示すロールモデルとなっています。また、有給休暇の取得率向上にも積極的に取り組んでおり、ワークライフバランスを重視した働き方が可能です。医学生・初期研修医へのメッセージがん治療は、2019年にゲノム医療が導入されて以降、急速に専門性が求められる分野へと進化しています。高い専門知識と判断力が必要とされる一方で、社会的ニーズも増加しており、今後ますます重要性が高まる領域です。現在、日本では腫瘍内科医がまだまだ不足しています。この分野を専門にし、がん医療の未来を担う存在として活躍してみませんか?これまでの経歴私は医学部入学以前、別の大学でがんに関わる基礎研究に携わっていました。基礎研究を通じてがんの奥深さを知るとともに、基礎領域のみでなく、より臨床に近い立場で、実際の病態と関連させながら進めていくことが重要であると考えるようになり、秋田大学医学部に学士編入しました。医学部で過ごすうちに自然豊かな秋田の魅力に触れ、卒業後は秋田に残ることを決意しました。卒業後は、秋田県内の市中病院の初期研修で3次救急とcommon diseaseを学びました。その後、同院の内科専攻医として1年間一般内科と抗がん剤治療を学び、4年目で大学病院に赴任しました。同医局を選んだ理由秋田大学臨床腫瘍学講座は秋田県全県のがん診療を担っており、幅広い領域のがん治療を学ぶことができると考えました。また、基礎研究の領域においても、スパイスの一種であるクルクミンの抗がん作用を調べ、さらにクルクミンアナログを用いたがんを予防するカレーの開発という非常にユニークな研究を行っております。がん予防は今後の医療において重要な役割を果たすと考えられ、ぜひ研究に携わりたいと考えました。今後のキャリアプラン秋田県のがん診療に携わりながら、臨床で得られた知見を活かして基礎研究を行えればと思います。また、機会があればぜひ留学を経験し、学んだことを秋田で活かして仕事をしたいと考えています。秋田大学 臨床腫瘍学講座(腫瘍内科)住所〒010-8543 秋田県秋田市本道1-1-1問い合わせ先hiroyuki@med.akita-u.ac.jp医局ホームページ秋田大学大学院医学系研究科 医学専攻 腫瘍制御医学系 臨床腫瘍学講座専門医取得実績のある学会日本内科学会日本臨床腫瘍学会日本消化器病学会日本消化器内視鏡学会日本肉腫学会研修プログラムの特徴(1)初期研修から社会人大学院生(がんプロ)として学位取得も目指せる。(2)腫瘍内科領域の総合医(ジェネラル・オンコロジスト)を目指す。(3)ユニークなオリジナル研究を展開し、フィジシャン・サイエンティストを目指す。詳細はこちら秋田大学医学部附属病院がん薬物療法専門医取得プログラム

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