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1561.

診療科別2025年下半期注目論文5選(消化器内科編~消化管領域)

Low-Dose Aspirin for PI3K-Altered Localized Colorectal CancerMartling A, et al. N Engl J Med. 2025;393:1051-1064.<ALASCCA試験>:PI3K経路の遺伝子変異を有するStageI~III結腸・直腸がん、低用量アスピリンで再発率が有意に低下ランダム化盲検、プラセボ対照試験である本試験では、欧州のStageI~III、直腸がんを含む局所進行大腸がん患者(PIK3CA exon9/20ホットスポット変異を有する)において、3年再発率が低用量アスピリン群(160mg/日、3年間)7.7%(12/157例)、プラセボ群14.1%(23/157例)であり、アスピリンの再発予防効果が示されました。PI3K/AKT/mTOR経路における変異頻度が高い、PIK3CAを対象に分子サブタイプに基づくアスピリンの再発予防の有効性を初めて示した点で、重要な知見です。Efficacy and Safety of Guselkumab Subcutaneous Induction and Maintenance in Participants With Moderately to Severely Active Crohn's Disease: Results From the Phase 3 GRAVITI StudyHart A, et al. Gastroenterology. 2025;169:308-325.<GRAVITI試験>:中等症~重症クローン病へのグセルクマブ皮下注による導入・維持療法、臨床寛解率・内視鏡的改善率が有意に優れるランダム化盲検、プラセボ対照試験である本試験では、全世界の中等症~重症クローン病患者(初回治療ではなく、生物学的製剤の治療歴を有する患者46.4%を含む)に対して、グセルクマブ(IL-23阻害薬)皮下注射群の12週の臨床寛解(CDAI<150)率は56.1%(129/230例)、内視鏡的反応率(SES-CDスコア50%改善)は41.3%(95/230例)であり、プラセボ群の12週の臨床寛解率21.4%(25/117例)、内視鏡的反応率21.4%(25/117例)と比較して、優越性が認められました。本試験は、既存IL-23静脈注射阻害薬とは独立した、IL-23皮下注射阻害薬の有効性を示した点で、臨床的意義が大きいと考えます。The Efficacy of Texture and Color Enhancement Imaging Observation in the Detection of Colorectal Lesions: A Multicenter, Randomized Controlled Trial (deTXIon Study)Toyoshima N, et al. Gastroenterology. 2025;169:337-345.<deTXIon試験>:大腸がん内視鏡診断、TXIは白色光と比較して検出能に優れるか?本試験は、日本の40~80歳の大腸がんスクリーニング患者を対象とするランダム化比較試験である。Texture and Color Enhancement Imaging(TXI)image enhance内視鏡(白色光における明るさ、色コントラスト、微細構造におけるデジタル画像処理Mode1)群451例、通常の白色光内視鏡群445例の比較において、1検査当たりの腺腫の個数、MAP(Mean number of Adenomas detected Per procedure)は、TXI群1.4個、白色光群1.5個であり、有意差は認められませんでした。高性能スコープ環境では腺腫検出能はすでに頭打ちであり、TXIのimage enhanceの上乗せ効果は示されなかった結果です。Barrett's Oesophagus Surveillance Versus Endoscopy at Need Study (BOSS): A Randomized Controlled TrialOld O, et al. Gastroenterology. 2025;169:1233-1243.<BOSS試験>:Barrett食道、2年ごとの定期vs.症状ベースの内視鏡検査本試験は、英国の白人のBarrett食道患者を対象とするランダム化比較試験である。全登録患者のうち、56%がlong Barrett(3cm以上)食道患者であった。中央値12.8年の追跡で、2年ごとの定期サーベイランス群の全死亡率は19.2%(333/1,733例)、Barrett食道がん死亡率は2.3%(40/1,733例)、症状時のみ(at-need)内視鏡群の全死亡率は20.7%(356/1,719例)、Barrett食道がん死亡率は1.8%(31/1,719例)であり、群間差は示されませんでした。Barrett食道に対する一律サーベイランスの妥当性が低いことを示唆する結果であり、症状ベースの内視鏡検査の戦略が合理的である可能性が示されました。Risk of Gastric Adenocarcinoma After Eradication of Helicobacter pyloriWiklund AK, et al. Gastroenterology. 2025;169:244-250.<ピロリ除菌後の胃非噴門部腺がん長期リスク>:治療11年後以降には一般人口とほぼ同等まで減少する可能性本後ろ向きコホート研究では、1995~2019年に欧州でHelicobacter pylori除菌治療を受けた65万9,592人を対象とし、最大24年間(約548万873人年)の追跡を行いました。胃非噴門部腺がんの一般人口との標準化罹患比(Standardized Incidence Ratio、SIR)は、除菌後1~5年で2.27(95%信頼区間[CI]:2.10~2.44)と高値でしたが、6~10年で1.34(95%CI:1.21~1.48)、11~24年で1.11(95%信頼区間:0.98~1.27)と低下し、11年以降では統計学的に一般人口との差が認められませんでした。本研究は、胃がん低リスク集団においてもHelicobacter pylori除菌が長期的な胃がん予防に有効である可能性があるという知見を示唆しています。

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英語で「狭窄」ってどう言う?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第46回

医学用語紹介:狭窄 stenosis医学用語で「狭窄」はstenosisといいます。診断書や画像所見で頻繁に使われますが、そのまま患者さんに伝えても理解されにくいため、説明時にはより平易な言葉で言い換える必要があります。どんな言葉に言い換えるとよいのでしょうか?講師紹介

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2型糖尿病/肥満者の体重減少、GLP-1RA vs.SGLT2i vs.頭蓋磁気刺激

 2型糖尿病患者および肥満者の体重減少に寄与する薬剤以外の有効な治療方法にはどのようなものがあるであろう。イタリア・ミラノのIRCCSマルチメディカ内分泌・栄養・代謝疾患科のAnna Ferrulli氏らの研究グループは、肥満および2型糖尿病患者を対象に、GLP-1受容体作動薬セマグルチド(0.5mg/週)、SGLT2阻害薬、および肥満に対する新たな治療法として登場した反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の有効性を比較した。その結果、rTMS治療は、セマグルチドと同等の体重減少効果を示すことがわかった。この結果はObesity誌オンライン版2025年12月26日号に公開された。反復経頭蓋磁気刺激とセマグルチドの効果は同等 研究グループは、SGLT2阻害薬治療を受けた40例、セマグルチド治療を受けた37例、rTMS治療を受けた30例を後ろ向きに解析した。rTMSは週3回、5週間実施したほか、全患者は中程度のカロリー制限(-300kcal/日)に関する食事指導を受けた。 主な結果は以下のとおり。・12ヵ月後の体重減少量では、rTMS群(-8.2±1.0kg)とセマグルチド群(-5.7±0.9kg)に有意差は認められなかった。・SGLT2阻害薬群の減少量(-2.0±0.7kg)は、セマグルチド群およびrTMS群と比較して有意に少なかった(それぞれp=0.01、p<0.0001)。・SGLT2阻害薬群では6ヵ月目から12ヵ月目にかけて体重が再増加した一方で、セマグルチド群およびrTMS群では体重が漸減した。 以上の結果から研究グループは、「rTMS治療は、セマグルチド(0.5mg/週投与)と同等の体重減少効果を示し、肥満および2型糖尿病治療における有望な介入法となる」と結論付けている。

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RSVのワクチン接種を受けていた妊婦は約11%/国立成育医療研究センター

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染は、乳児の下気道感染症の主要な原因であり、多大な罹患、入院、医療費の増大を引き起こす。RSV母子免疫ワクチンは近年いくつかの国では公費で提供されているが、わが国では任意接種で高額な自己負担費用がかかるため、実際の接種率や社会経済的背景による差は依然として不明確である。そこで、国立成育医療研究センター社会医学研究部 臨床疫学・ヘルスサービス研究室の大久保 祐輔氏らの研究グループは、妊婦のRSVワクチンの接種率とその決定要因について全国調査を行った。その結果、ワクチン接種を受けていた妊婦は約11%に過ぎないことが判明した。この結果は、Journal of Infection and Chemotherapy誌2026年1月号に掲載された。妊婦のRSVワクチン接種、約9割が費用が高いと回答 研究グループは、2024年7月~2025年8月に出産した女性を対象に全国調査を実施した。質問票では、妊婦のRSVワクチンの接種状況、費用の負担感、ワクチン接種への躊躇に関する5Cモデルを含む関連意識、および人口統計学的特性を評価した。接種率を推定し、多変量修正ポアソン回帰分析を用いて接種に関連する要因を分析した。 主な結果は以下のとおり。・回答者1,279人のうち11.6%が妊婦用RSVワクチンの接種を受けていた。・世帯年収や教育歴が高いほどワクチン接種率が高い傾向が認められた。・関東圏外の地域および経産婦では接種率は低く、不妊治療歴のある妊婦、妊娠中のインフルエンザまたはジフテリア・百日咳・破傷風ワクチン接種歴のある妊婦では高かった。・5C領域では、「自信」と「集団的責任感」が高い接種率と関連し、「計算」は低い接種率と関連していた。・接種者の87.2%が費用を「高い」と評価し、未接種者が接種しなかった理由は「予防効果を知らなかった」(28.9%)と「ワクチンの存在を知らなかった」(27.3%)であり、77.5%が「無料であれば接種をする」と回答した。 研究グループは、「わが国の妊婦向けRSVワクチン接種率は低く、接種率は社会経済的・地域的格差が認められた。主な障壁は認知度の低さと高額な自己負担費用であった。自己負担費用の軽減と医療提供者による推奨の標準化により、接種率向上と不平等緩和が期待される」と結論付けている。

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薬剤師連携で精神疾患患者の薬理学的介入を最適化できるか

 臨床薬剤師との連携による服薬レビュープロセスは、精神疾患および身体的合併症を有する高齢患者に対する薬物療法の最適化につながる可能性がある。スロベニア・マリボル大学のMatej Stuhec氏らは、服薬レビューにおける臨床薬剤師の推奨が、薬剤数の変化、潜在的に不適切な薬剤(PIM)の使用、潜在的な薬物間相互作用(DDI)、治療ガイドラインの順守などにどのような影響を及ぼすかを評価した。Frontiers in Pharmacology誌2025年9月1日号の報告。 本研究は、スロベニアの精神科病院において、レトロスペクティブ非介入研究として実施された。対象は、2013〜18年に服薬レビューのために紹介され、身体的合併症(心不全、動脈性高血圧、糖尿病)に関連する治療変更を少なくとも1回受けた65歳以上の精神疾患入院患者100例。臨床薬剤師は、Pharmaceutical Care Network Europeの定義によるタイプ3の服薬レビュー(高度な服薬レビュー)を実施した。服薬レビュー完了後すぐに、病院の電子システムに推奨事項を記録した。服薬レビュー前と退院時における電子システムから抽出されたアウトカムのデータをシステマティックにレビューした。主要アウトカムは、介入前後の薬剤数、PIMの使用、DDIの変化とした。DDIは、Lexicomp Onlineデータベースを用いて特定し、Xタイプ(禁忌)およびDタイプ(重篤)に分類した。副次的アウトカムは、心不全、動脈性高血圧、糖尿病の治療ガイドラインの順守とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の平均年齢は78.1±6.78歳であった。・総薬剤数は6.6%減少した(1,144→1,068、p<0.001)。また、承認率は59.2%であった。・レビュー後、XタイプDDIは75.8%減少し(33→8、p<0.001)、DタイプDDIは56.9%減少した(188→81、p<0.001)。・PIM数も有意に減少し(p<0.001)、Priscus Listに基づくと29.5%減少し(308→217)、Beers Criteriaに基づくと17.5%減少した(343→283)。・身体的合併症の治療ガイドラインの順守率は有意に改善した(3.3〜13.2%→50.0〜72.6%、p<0.001)。 著者らは「臨床薬剤師との連携による服薬レビュープロセスは、薬剤数、PIM、DDIを効果的に減少し、治療ガイドラインの順守率も有意に向上させることが示された」としている。

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加工食品、がん罹患リスクと関連する保存料は?/BMJ

 フランス・ソルボンヌ・パリ・ノール大学のAnais Hasenbohler氏らは大規模前向きコホート研究において、加工食品で広く使用されている保存料の摂取と、がん(全体、乳がん、前立腺がん)罹患率上昇に、複数の正の関連が観察されたことを報告した。保存料は、微生物や酸化による劣化を防ぐことで保存可能期間を延長する、包装食品に添加される物質。それら保存料については、in vivoおよびin vitroの実験的研究において、終末糖化産物(AGE)ならびに変異原性および潜在的発がん活性に関与する負の影響が示唆されていた。BMJ誌2026年1月7日号掲載の報告。大規模前向きコホートで、保存料の摂取量とがん罹患の関連を評価 保存料が添加された食品とがん罹患率の関連を大規模前向きコホートで調べる検討は、French NutriNet-Sante cohort(2009~23年)のデータを用いて行われた。 対象は、ベースラインで少なくとも2回の24時間食事記録を完了し、がんに罹患していない15歳以上10万5,260例であった。 研究グループは、ブランド加工食品に含まれている保存料の累積時間依存摂取量を、24時間食事記録を用いて評価し、3つの食品成分データベースとNutriNet-Santeデータベースを統合して加工食品に含まれる特定の食品添加物を調べ、事後的ラボ解析で最も頻繁に摂取された添加物と食品の組み合わせについて評価した。 参加者を、保存料(単一、グループ)別の摂取量で三分位に分類(第1三分位~第3三分位)し(参加者の3分の1以上が摂取していた保存料では参加者を性別に低・中・高摂取者の三分位に分類。それ以外は性別に中央値により非摂取者および低/高摂取者に分類)、摂取量とがん罹患率の関連を、潜在的交絡因子を補正した多変量比例ハザードCoxモデルを用いて解析した。数種の保存料で、摂取量が多いとがん罹患率が上昇 参加者の平均年齢は42.0歳(SD 14.5)、女性が78.7%であった。平均追跡期間7.57年(SD 4.56)において、4,226例ががん罹患の診断を受けていた(乳がん1,208例、前立腺がん508例、大腸がん352例、その他2,158例)。 数種の保存料について、摂取量が多いこととがん罹患率が高いことの関連が次のように認められた。・非抗酸化物質の総摂取量と(1)全がん(高摂取者vs.非摂取/低摂取者のハザード比[HR]:1.16[95%信頼区間[CI]:1.07~1.26、尤度比検定のp<0.001]、60歳時点の絶対がんリスクはそれぞれ13.3%vs.12.1%)および(2)乳がん(1.22[1.05~1.41、尤度比検定のp=0.02]、5.7%vs.4.8%)。・ソルビン酸の総摂取量(とくにソルビン酸カリウム)と、(1)全がん(1.14[1.04~1.24、尤度比検定のp=0.01]、13.4%vs.11.8%)および(2)乳がん(1.26[1.07~1.49、尤度比検定のp=0.02]、5.7%vs.4.6%)。・亜硫酸塩の総摂取量と、全がん(1.12[1.02~1.24、尤度比検定のp=0.03]、13.4%vs.11.9%)。・ピロ亜硫酸カリウムと、(1)全がん(1.11[1.03~1.20、尤度比検定のp=0.01]、13.5%vs.12.0%)および(2)乳がん(1.20[1.04~1.38、尤度比検定のp=0.01]、5.7%vs.4.9%)。・亜硝酸ナトリウムと、前立腺がん(1.32[1.02~1.70、傾向のp=0.03]、4.2%vs.3.4%)。・硝酸カリウムと(1)全がん(1.13[1.05~1.23、尤度比検定のp=0.001]、14.0%vs.12.0%)および(2)乳がん(1.22[1.05~1.41、尤度比検定のp=0.003]、5.9%vs.4.8%)。・酢酸塩の総摂取量と(1)全がん(1.15[1.06~1.25、尤度比検定のp=0.003]、14.3%vs.12.2%)および(2)乳がん(1.25[1.07~1.45、尤度比検定のp=0.02]、6.1%vs.4.9%)。・酢酸と全がん(1.12[1.01~1.25、尤度比検定のp=0.01]、14.4%vs.12.4%)。・エリソルビン酸ナトリウムと、(1)全がん(1.12[1.04~1.22、尤度比検定のp<0.001]、13.5%vs.11.9%)および(2)乳がん(1.21[1.04~1.41、尤度比検定のp=0.01]、5.7%vs.4.8%)。がんと関連しない保存料は17種のうち11種 個別に検証した保存料17種のうち11種は、がん罹患との関連が示されなかった。 著者は、「がん発症との関連をより深く理解するためには、健康関連バイオマーカーをベースとした疫学調査および実験的研究を行う必要があるが、もし今回の新たなデータが確認されれば、消費者保護強化の観点から、食品業界に対して添加物の使用規定の見直しを求めることになる。少なくとも今回得られた知見は、消費者に、加工食品は最小限にとどめ新鮮な食品を好んで食するよう推奨する根拠となるものである」とまとめている。

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妊娠糖尿病予防、とくに有効な介入手段は?/BMJ

 英国・リバプール大学のJohn Allotey氏らi-WIP Collaborative Groupは、被験者個人データ(IPD)に基づくメタ解析を行い、妊娠中のライフスタイル介入は、診断基準によるばらつきはあったが妊娠糖尿病を予防しうることを示した。妊娠中の身体活動と食事に基づく介入は、妊娠中の体重増加の抑制に効果的であることは示されているが、妊娠糖尿病への影響や、どのような介入が最も効果的かについてはエビデンスにばらつきがあった。BMJ誌2026年1月7日号掲載の報告。ライフスタイル介入の妊娠糖尿病への影響を2段階IPDメタ解析で検証 研究グループは、ライフスタイル介入の妊娠糖尿病への影響を評価するため、母体のBMI、年齢、出産回数、民族性、教育レベル、介入によって異なるかどうかを検討し、有効性に基づき介入を順位付けした。 主要な電子データベース(1990年1月~2025年4月)を利用し、妊娠中のライフスタイル介入(身体活動ベース、食事ベース、あるいは両者による)の妊娠糖尿病への影響に関する無作為化試験を対象にメタ解析を行った。 主要アウトカムは、あらゆる基準および英国国立医療技術評価機構(NICE)の基準で定義した妊娠糖尿病。その他のアウトカムは、国際糖尿病・妊娠学会(IADPSG)および修正IADPSG基準で定義した妊娠糖尿病などとした。 2段階IPDメタ解析で、要約オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)、相互作用(サブグループの影響)を、絶対リスク減少値と共に推算した。非IPD試験からの集計データは、可能な限りにおいてメタ解析に加えた。介入効果は、ネットワークメタ解析法を用いて順位付けした。あらゆる診断基準で定義した妊娠糖尿病が減少 無作為化試験104報(女性被験者3万5,993例)が解析対象に含まれた。IPDは68%の被験者(2万4,391例、54試験)について得られた。 ライフスタイル介入により、あらゆる診断基準で定義した妊娠糖尿病が減少した。IPD試験を含んだ解析では10%(OR:0.90[95%CI:0.80~1.02]、絶対リスク減少値:1.3%[95%CI:-0.3~2.6])、IPDおよび非IPD試験の統合解析では20%(OR:0.80[95%CI:0.73~0.88]、絶対リスク減少値:2.6%[95%CI:1.6~3.6])の減少が示された。一方、NICE基準を用いた場合は、減少がみられなかった(OR:0.98[95%CI:0.84~1.13])。 ライフスタイル介入により、IADPSG基準で定義した妊娠糖尿病についても減少が認められた。IPD試験を含んだ解析では14%(OR:0.86[95%CI:0.75~0.97]、絶対リスク減少値:2.7%[95%CI:0.6~5.0])、IPDおよび非IPD試験の統合解析では18%(OR:0.82[95%CI:0.72~0.93]、絶対リスク減少値:3.5%[95%CI:1.3~5.7])の減少が示された。母親の教育レベルを鑑み、集団形式で訓練された担当者による身体活動ベースの介入を 効果は、教育レベルを除き、母体特性によるばらつきはなかった。 すべての教育レベルの女性が介入によりベネフィットを得ていたが、その有益性は低教育レベルの女性では低かった(低vs.中の相互作用のOR:0.68[95%CI:0.51~0.90]、低vs.高の相互作用のOR:0.71[95%CI:0.54~0.93])。 有益性は、介入特性でばらつきはみられなかったが、集団形式(OR:0.81[95%CI:0.68~0.97]、絶対リスク減少値:2.5%[95%CI:0.4~4.3])、新たに訓練を受けたファシリテーター(OR:0.82[95%CI:0.69~0.96]、絶対リスク減少値:2.4%[95%CI:0.5~4.2])による場合の効果が大きかった。 妊娠糖尿病の予防に関する介入を順位付けした結果、身体活動ベースの介入が最も上位であった(平均ランク:1.1、95%CI:1~2)。 これらの結果を踏まえて著者は、「実施戦略では、母親の教育レベルによる不均衡に対処する必要があり、妊娠糖尿病予防の介入は集団形式とし、介入担当者のトレーニングを行うこと、介入は身体活動ベースを検討することが必要である」とまとめている。

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旅行者下痢症、抗菌薬が効きにくい菌が増加

 新年の抱負の一つとして海外旅行を計画している人は、注意が必要だ。旅行者下痢症の治療に一般的に使われてきた抗菌薬が以前ほど効かなくなっていることが、新たな研究で示された。ただし、薬剤耐性の状況は地域によって異なり、原因菌の種類にも左右されるという。CIWEC Hospital and Travel Medicine Center(ネパール)の感染症専門医であるBhawana Amatya氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に12月22日掲載された。 この研究では、旅行者下痢症の主な原因となる4種類の細菌(カンピロバクター、非チフス性サルモネラ、赤痢菌、下痢原性大腸菌)に対する抗菌薬の有効性が検討された。2015年4月14日から2022年12月19日までの間に、世界58カ所の熱帯医療センターで治療された859人の旅行者下痢症患者(年齢中央値30歳、男性51%)が解析対象とされた。有効性は抗菌薬に対する感受性を指標とし、中等度感受性と耐性の両方をまとめて「非感受性」と定義した。 その結果、カンピロバクターでは、フルオロキノロン系抗菌薬に対して75%、マクロライド系抗菌薬に対して12%が非感受性を示した。同様に、非チフス性サルモネラではそれぞれ32%および16%、赤痢菌では22%および35%が非感受性を示した。下痢原性大腸菌では、フルオロキノロン系抗菌薬に対して18%が非感受性を示した。フルオロキノロン系抗菌薬の例は、シプロフロキサシン、デラフロキサシン、レボフロキサシンなど、マクロライド系抗菌薬の例は、アジスロマイシンやエリスロマイシンなどである。 また、感染した地域により抗菌薬感受性パターンが異なることも明らかになった。例えば、南・中央アジアで感染した患者から分離された赤痢菌の79%はフルオロキノロン系抗菌薬に非感受性を示したのに対し、南米で感染した患者から分離された赤痢菌の78%はマクロライド系抗菌薬に非感受性を示した。 この研究をレビューした米ノースウェル・ヘルスのDavid Purow氏は、薬剤耐性増加の主な原因は抗菌薬の過剰使用である可能性が高いとの考えを示す。同氏は、「例えば、人が同じものに繰り返しさらされると次第に反応しなくなるのと同じように、細菌も同じ抗菌薬に繰り返し曝露されることで、時間とともに耐性を獲得する」と述べている。 現在、多くの旅行者が抗菌薬を携帯し、下痢の兆候が出るとすぐにこれを服用するが、研究グループとPurow氏はともに、「下痢症状が出た場合には、医師の診察を受けるべきだ」と話す。Purow氏は、「実際には、自分が感染した細菌が所持している抗菌薬に感受性を持つかどうかは分からない」と指摘している。また、市販の下痢止め薬を使うことで、抗菌薬を使わずに済む場合もあるという。 Purow氏は、「抗菌薬の使用を控えることは、薬剤耐性のさらなる拡大を防ぐことにもつながる。何を治療しているのか分からないまま抗菌薬を使用することが、世界全体に影響を及ぼす可能性があることを理解することが重要だ。また、症状がより重く、深刻になるまで抗菌薬の使用を待つという選択も有効かもしれない」と話している。

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うつ病や不安症はストレスを通じて心臓病のリスクを高める

 うつ病や不安症の患者は心臓発作や脳卒中などのリスクが高く、そのメカニズムとしてストレス反応や炎症が関与しているとする研究結果が報告された。米マサチューセッツ総合病院のShady Abohashem氏らの研究によるもので、詳細は「Circulation: Cardiovascular Imaging」に12月17日掲載された。 この研究では、マサチューセッツ総合病院ブリガム・バイオバンクの2010~2020年のデータが用いられた。解析対象者数は8万5,551人で、中央値3.4年(四分位範囲1.9~4.8)の追跡期間中に3,078人(3.6%)が主要心血管イベント(MACE〔心筋梗塞、心不全、脳卒中など〕)を発症していた。 解析の結果、うつ病と診断されている人ではそうでない人よりも、MACEリスクが24%高いことが明らかになった(ハザード比〔HR〕1.24〔95%信頼区間1.14~1.34〕、P<0.001)。また、不安とうつ病が併存している場合には35%のリスク上昇という、より強い関連が認められた(HR1.35〔同1.23~1.49〕、P<0.001)。この関連は、人口統計学的因子、社会経済的因子、生活習慣、心血管疾患の既往を調整した後も有意だった。 解析対象者のうち、ストレスによる神経活動への影響を評価可能な画像検査を1,123人が受け、心電図検査を7,862人が受けていて、1万2,906人は炎症反応のバイオマーカーであるC反応性蛋白(CRP)が測定されていた。それらのデータを解析すると、うつ病と診断されている人はストレスに関連のある脳領域である扁桃体の活動が亢進していて(β=0.16、P=0.006)、神経系が過剰に働いていることを示唆する心拍変動の低下も見られ(β=-0.20、P<0.001)、炎症反応の亢進を意味するCRPの上昇(β=0.14、P<0.001)も認められた。不安症と診断されている人にも同様の傾向が見られた。 Abohashem氏は、「これらの結果は臨床医が心血管疾患のリスクを評価する際に、メンタルヘルスを不可欠な要素として捉える必要があることを、改めて認識させるものだ。一方、患者にとっては、慢性的なストレスや不安、あるいはうつ病に対処することが、単にメンタルヘルス上の優先事項であるというだけでなく、心臓の健康を守るためにも優先すべきだと認識することは、治療の励みになるのではないか」と述べている。 また、論文の上席著者である同院のAhmed Tawakol氏は、「うつ病と不安症はいずれも心臓病や脳卒中のリスク上昇と関連している。そして、より重要なことは、喫煙などの生活習慣や社会経済的要因、および糖尿病や高血圧といった古くから知られているリスク因子を考慮しても、その関連性が依然として強固であった点だ」と、本研究結果の意義を強調している。ただし本研究は観察データに基づく解析であるため、うつ病や不安症と心血管イベントとの因果関係を証明するものではないことが、留意点として挙げられる。

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第296回 超絶危険な国へ参入か!?非上場化する久光製薬が目指す市場開拓とは

INDEX創業180年の企業が上場廃止市場拡大の狙い目は?非上場化、長期戦への覚悟の表れか創業180年の企業が上場廃止世の中は国内外ともきな臭くなっているが、その中で新春早々、医療業界を賑わした話題がある。経皮吸収型消炎鎮痛薬の「サロンパス(一般用医薬品)」や「モーラス(医療用医薬品)」で有名な久光製薬が、経営陣による買収(マネジメント・バイアウト[MBO])により上場廃止することを1月6日に発表した件だ。同社は江戸時代の1847年に創業した前身の小松屋から数えると、約180年の歴史を有する。看板商品のサロンパスですら1934年発売であるから、こちらも90年以上の驚異的なロングセラー商品である。社名は小松屋の創業者・久光 仁平氏に由来し、仁平氏の孫である中冨 三郎氏の代に久光兄弟合名会社として会社組織化して以降、中冨一族が同族経営を続けている。今回のMBOは、久光製薬代表取締役社長である中冨 一榮氏が同じく代表取締役を務める資産管理会社・タイヨー興産が普通株式1株当たり6,082円で公開買付け(TOB)を行う形で、その総額は約4,000億円と試算されている。今回のMBOについて同社が発表した94ページにもおよぶ資料には、かなりのページを割いて医療用医薬品、OTC医薬品の市場環境と同社が置かれた位置付けや展望について記述されている。しかし、中でもMBOの理由を最も端的に説明しているのが、以下の部分だ。「株式上場を継続する限りは株主を意識した経営が求められ、短期的な利益確保・分配への配慮が必要になることから、当社株式の上場が、短期的な利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化等を招くおそれがある一時的な費用支出や先行投資、抜本的な構造改革等の中長期的な施策実行の足枷となる可能性が高い」これは同社だけでなく、製薬を名乗る企業にとってはほぼ共通した認識だろう。ご存じのように、とくに医療用医薬品では、1つの新薬の上市までに20年・200億円の時間と費用がかかるといわれている。製薬企業の研究所に勤務する研究者は、新卒入社のまま定年退職まで勤め上げても、自分が見つけ出した化合物を1つも世に送り出すことなく退職を迎える人がほとんどである。OTC医薬品の場合は、このハードルは低くなるが、それでも新製品の着想から上市までは5~10年かかることが一般的。つまるところ、もともと製薬ビジネスは、短期的利益を求めて投資家がうごめく株式市場とは、かなり相性が悪い業種である。もっとも医療用医薬品を中心とする大手製薬企業の場合、そうした相性の悪さはあっても、逆にリスクの高い研究開発に必要な多額の資金調達を迫られる以上、上場のメリットはまだあるといえる。一方、久光製薬のようなOTC医薬品を中心とする企業となると、かなり事情は変わってくる。過去10年間の国内OTC医薬品の市場規模はおおむね8,000億円前後を推移し、緩やかな伸長もない。しかも、国内市場は少子高齢化の影響で、今後、購買力のある人口が確実に減少するため、製品ラインナップの拡充などを行ったとしても国内市場の成長の余地は大きくない。市場拡大の狙い目は?このためOTC医薬品企業が目指すところは、大きく分けると国内市場で何とか均衡を保つか、海外市場に打って出る2択となる。しかし、後者は数多くのOTC医薬品を有するメガファーマのジョンソン&ジョンソン、グラクソスミスクライン、バイエル、サノフィなどや専業のプロクター&ギャンブル(P&G)などがひしめく。各社とも当然ながら人口規模の大きい海外市場を目指すため、中国やインドなどはすでに現地企業を交えた過当競争となっている。そうなると、これらに対抗できる規模・製品群を持たないOTC企業が目指す市場は、市場そのものが未整備で付け入る余地があり、かつ人口規模が多い地域となる。具体的にどういう国になるかだが、国連の世界人口推計2024年を見ると、表のようになる1)。画像を拡大するこれを見ると、現在世界で人口トップのインドは2100年までその地位を保ち続けるが、中国は現在の人口が2100年には半減以下、そして南アジアやアフリカ各国が台頭してくる。言ってしまえば、そうした今後の人口ボーナスが期待できる国が狙い目なのだが、国際情勢も取材する私からすれば、思わず苦笑いしてしまう国ばかりである。2100年に推計人口規模で世界第3位になるパキスタンはこの中でも比較的情勢が安定しているほうだが、隣国アフガニスタンとの関係が微妙で、イスラム過激派の活動が活発な地域である。第4位のナイジェリアは、産油国かつサブサハラアフリカの大国だが、はっきり言って政治は安定性を欠き、国内の治安は日本と比較にならないほど悪い。第5位のコンゴ民主共和国もレアメタルなどの鉱物資源は豊富だが、旧ベルギー領コンゴから独立した1960年以降、クーデターや国家元首の暗殺などが相次ぎ、同国東部はほぼ常に内戦状態にある。こうした中でも昨今とくに注目を浴びているのがナイジェリアで、日本の国際協力機構(JICA)が現地スタートアップを支援する「ナイジェリアNINJAファンド」まで実施している。とはいえ、前述のように治安は良くない。若かりし頃にバックパッカーをやっていた私は、ナイジェリアに行ったことがあるバックパッカー仲間からそのすごさを何度も聞かされていた。空港に着くと、「係官に賄賂を支払わないでください」と大きく掲示されたすぐそばで露骨に賄賂を要求される、空港から市内までの約20kmは大渋滞で2時間もかかる、渋滞で停車している車の窓をガンガンと叩きながらわめく人がいるなどなど…。ちなみに仲間の1人はこんなことを私に話してくれた。「村上さん、俺は人生で初めて大通りの歩道で堂々と○○○する成人女性を見ました」(○○○は皆さんのご想像にお任せします)そんなこんなで、私自身はもし今「ナイジェリアかウクライナのどちらかに行ってください」と頼まれたら、迷わずウクライナを選ぶ。非上場化、長期戦への覚悟の表れかさて、ここまでナイジェリアをディスってしまい恐縮だが、そのナイジェリアに現地スタートアップとの協業で2024年に進出したのが、今回、非上場化を目指す久光製薬で、もちろん看板商品はサロンパスである。現地では「サロンパスマン」なるキャラクターを演じる人物を採用したCMを大々的に打ち、公共バスなどにもサロンパスマンの広告がデカデカと掲示されているという。日本企業としてはかなり攻めていると言っていいだろう。もっともその前途は容易なものではないことは明らかだ。ナイジェリアの小売市場は伝統的な小規模事業者が95%以上を占め、いわゆるスーパーマーケット化は進んでいない。しかも広い国土内は東西南北で部族が異なり、それぞれの地域で慣習なども違う。製品によっては、南部では受け入れられながら、北部では空振りということも日常茶飯事である。実は今回の久光製薬のMBO理由を説明した文書の中には、こうした新興市場を意識した内容がある。以下にその要約を示す。「貼付剤が普及していないグローバルサウス諸国に代表される新たな開拓地域においては、薬事申請の経験とノウハウを活用して、競合他社に先駆けて進出し、新市場を開拓することで、マーケットシェアを獲得し、売上拡大を図ることができると考えている。そのためには、研究開発、薬事、生産、営業といったバリューチェーン全体にわたる体制整備と人材育成を含む組織・マネジメントシステムのグローバル化をよりいっそう加速させていく必要があり、相応の経営資源の投入が必要になると考えている」つまるところ、ナイジェリアのような国では、表面的な人口ボーナスではわからない、前述のような困難な市場環境があり、そのためにはかなり長期の先行投資が必要になる。この点をやや乱暴に表現するなら、「困難な環境で戦わねばならないのに目先の利益を追求する株主にあれこれ言われたくない」ということになるだろう。もっとも同社の場合は同族経営でもあるため、余計に周囲から口うるさく言われたくないという風潮はより強いだろうと想像でき、なおかつ直近決算では利益剰余金が2,500億円に対し、長短借入金合計が30億円弱であるため、そもそも上場で資金調達が必要ない会社とも言える。昨今は久光製薬に限らず、OTC領域では養命酒や大正製薬のMBOなどが相次いでいるが、このように考えると、もともと資金調達に難がなく、とくに一般消費者を軸に果敢な市場挑戦を行おうというヘルスケア企業にとっては、上場維持はもはや有名税の支払い程度の意味しか持たないのかもしれない。参考(1)国際連合:2024年の世界人口見通し

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産業保健は本当に機能しているのか―自分が見て見ぬふりをしてきたこと【実践!産業医のしごと】

皆さま、あけましておめでとうございます。年末に昨年の手帳を見返していました。面談を何件担当し、衛生委員会に何回出席し、職場巡視を何回行ったのか……。手帳を見ると、確かに数字は積み上がっています。それでも、ふと思ったんです。これで本当に、誰かの健康を守れたんだろうか、と。反省点1:実施率で「やったふり」をしていた「ストレスチェック実施率100%、健康診断受診率98%、衛生委員会出席率100%……」。報告書の数字は目標を十二分に達成しており、経営層も安心してくれます。でも、この数字はあくまで「プロセス」であって、「社員の健康を守り、組織を変える」という、目指す「結果」そのものではありません。そこに私は目をつぶっていました。面接指導の後、あの従業員の労働時間は本当に減ったんだろうか。上長は業務配分を変えたんだろうか。私はそれを確認できていません。残っているのは「面接を実施した」という記録だけです。反省点2:データで「やった気」になっていた「高ストレス者の割合が○%です」「プレゼンティーイズム(健康問題が理由で従業員の生産性が低下している状態)による損失は、年間数千万円と推計されます」。役員会で報告すれば、うなずいてもらえます。質問もとくに出ません。それで終わりになって、「次に何をするか」までを詰めきれていませんでした。データを見せることで、何かをやった気になっていた。でも、「誰が・何を・いつまでにやるのか」が決まらなければ、現場は動きません。当たり前のことなのに、私はそこまで詰めきれていませんでした。「課題は共有できました」と自分に言い訳していたのです。反省点3:「お墨付き」が仕事になっていた「復職可否の判断」「就業制限の意見書」……。人事からそうした書類の記入依頼が来て、記入して、返送する…。この流れ作業に慣れてしまっていました。本当は、本人の回復と職場の受け入れ態勢の両方を見て、バランスを取るのが産業医の役割のはずです。でも気付けば、会社が「適切に対応した」ことを示すための書類作成に、ただ協力しているだけになっていました。今年変えたい! 3つのことそんな昨年の振り返りを通して、今年の目標を立てました。1. 「できない理由」で思考停止しない「経営陣の理解がない」「人事が動かない」「予算がない」……。口にした瞬間、できない理由ができてラクになります。でも、「伝え方を変える」「データをそろえる」「小さく試す」……。何かやれることはあるはずです。2. 成果につながりにくい活動を減らす目的が曖昧な会議、意思決定につながりにくい報告書、テーマのない巡視。こうした時間は優先順位をつくって削れるものは削り、空いた時間を従業員への支援と職場の具体的な調整に回します。3. 全部自分でやろうとしない保健師、人事、管理職……。それぞれに役割があります。自分は産業医の立場で判断の軸を示す。細かいフォローは保健師に、業務調整は人事や上長に。そうやってチームで回すほうが結果的に多くの人を守ることができると、ようやく気付きました。そして、「今年やること」今年は、「言いっぱなし」「書きっぱなし」で終わらせず、「変化が起きたか」までを確かめます。具体的には、面談後1ヵ月で残業や勤務に変化が出ているか確認する、復職後3ヵ月/6ヵ月時点で定着できているかを確認する、職場への助言はその1ヵ月後を目安に実施して状況を確認する、これらのことを心掛けます。毎月1回、保健師・人事と振り返りを行い、止まっている案件を見える化して、次の手を決める。確認はチェックのためではなく、職場を動かすための合図にします。産業医は、会社の「保険」ではありません。働く人の健康を守る専門職です。今年は、昨年の自分よりも、一歩成長した産業医になりたいと思います。本年もよろしくお願いいたします。

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診療科別2025年下半期注目論文5選(呼吸器内科編)

Effectiveness of high-dose influenza vaccine against hospitalisations in older adults (FLUNITY-HD): an individual-level pooled analysisJohansen ND, et al. Lancet. 2025 Nov 22;406:2425-2434.<FLUNITY-HD試験>:高齢者のインフルエンザ・肺炎入院予防、高用量ワクチンが標準用量に勝る事前に規定された統合解析において、高用量不活化インフルエンザワクチン(HD-IIV)は標準用量インフルエンザワクチン(SD-IIV)と比較して、インフルエンザまたは肺炎による入院に対し優れた予防効果を示し、また、副次評価項目である心肺疾患による入院、検査確定インフルエンザ入院、全原因入院の発生率も減少させました。HD-IIVは、本邦でも2026年10月より75歳以上を対象に定期接種化が決まっています。Inhaler-Related Greenhouse Gas Emissions in the US: A Serial Cross-Sectional AnalysisFeldman WB, et al. JAMA. 2025;334:1638-1649.<吸入器と環境問題>:米国における吸入器関連の温室効果ガス排出量本研究は、米国における過去10年間の吸入器関連の温室効果ガス排出量を分析したもので、とくに噴射剤(HFC)を含む加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)が排出量の98%を占めることを明らかにしました。その社会的コストは57億ドル(1ドル150円換算で約8,550億円)と試算されています。これはもはや医療者個人だけの問題ではなく、政策レベルでの対応が求められる公衆衛生上の課題です。患者さんの吸入デバイス選択においては、吸気力や手技などを最優先すべきですが、環境負荷の少ないドライパウダー吸入器(DPI)やソフトミスト吸入器(SMI)への切り替えが可能かどうかを常に念頭に置く必要があります。Systemic Corticosteroids, Mortality, and Infections in Pneumonia and Acute Respiratory Distress Syndrome : A Systematic Review and Meta-analysisSoumare A, et al. Ann Intern Med. 2025 Dec 2. [Epub ahead of print]<重症肺炎・ARDSへのステロイド>:死亡率低下と感染リスクへの影響市中肺炎におけるステロイド投与に関する長年の論争に1つの決着を与える重要なメタ解析です。非COVIDの重症肺炎やARDSにおいて「低用量・短期間(プレドニン換算3mg/kg/日以下、15日以内)」かつ「早期導入」であれば、死亡率を有意に低下させ、かつ懸念される院内感染のリスクを増やさないという結果でした。集中治療領域において、適切なプロトコル下でのステロイド投与を支持する強固なエビデンスと言えます。Hypertonic Saline or Carbocisteine in BronchiectasisBradley JM, et al. N Engl J Med. 2025;393:1565-1577.<CLEAR試験>:気管支拡張症の増悪予防、高張食塩水とカルボシステインに効果なし気管支拡張症の増悪予防に対し、高張食塩水やカルボシステイン(ムコダインなど)は海外を中心に広く使用されていますが、そのエビデンスは限定的でした。本研究は、英国の大規模な2×2要因RCTで、結果は標準治療への上乗せ効果として、高張食塩水もカルボシステインも52週間の増悪回数を有意に減らさないというものでした(p=0.12、p=0.81)。健康関連QOL(QoL-B、SGRQ、EQ-5D-5L)も改善をしませんでした。本邦ではカルボシステインの使用頻度が高い状況があります。日常診療で気管支拡張症に対して、ルーチンに処方する意義を再考しても良いのかもしれません。Overall Survival with Amivantamab-Lazertinib in EGFR-Mutated Advanced NSCLCYang JC, et al. N Engl J Med. 2025;393:1681-1693.<MARIPOSA試験>:EGFR変異陽性NSCLCの1次治療におけるアミバンタマブ+ラゼルチニブの全生存期間MARIPOSA試験の最終OS解析結果です。現在の標準治療であるオシメルチニブ単剤に対し、アミバンタマブ・ラゼルチニブ併用がHR:0.75(p=0.005)と有意なOS延長を示したことは、EGFR変異陽性肺がん治療における大きなマイルストーンです。3年生存率60%という数字は驚異的ですが、一方でGrade3以上の有害事象が80%(オシメルチニブ群は52%)と高率である点には十分な注意が必要です。とくに皮膚障害や静脈血栓塞栓症(VTE)の管理が実臨床での導入の鍵となります。高い有効性と忍容性のバランスを患者ごとにどう判断するかが、われわれ臨床医に問われています。

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医師はパーキンソン病リスクが高い!?~日本の多施設研究

 職種とパーキンソン病リスクとの関連と発症後の職種の変更に関して、東海大学の中澤 祥子氏らが全国多施設におけるケースコントロール研究で調べたところ、サービス産業とホワイトカラー産業の専門職、とくに医師などの医療専門職においてパーキンソン病リスクが高いことが示唆された。BMJ Open誌2025年12月23日号に掲載。 本研究は、わが国の労働者健康安全機構労災病院が構築している入院患者病職歴データベース(Inpatient Clinico-Occupational Database of Rosai Hospital Group:ICOD-R)を使用したマッチドケースコントロール研究。2005~21年の入院患者データから、パーキンソン病と診断された2,205例をケース群、年齢・性別・入院年・病院が一致するパーキンソン病以外の1万436例をコントロール群とした。主要評価項目は、産業(ブルーカラー、サービス、ホワイトカラー)および職業階級(ブルーカラー労働者、サービス労働者、専門職、管理職)で分類した職種(最も長く従事した職種)とパーキンソン病リスクとの関連とした。副次評価項目は、パーキンソン病リスクが高い職種および産業、60歳未満における診断前後の職種の変化、化学物質曝露・喫煙状況・性別とパーキンソン病リスクとの関連とした。 主な結果は以下のとおり。・喫煙と飲酒による調整後、サービス産業(オッズ比[OR]:2.01、95%信頼区間[CI]:1.24~3.25)およびホワイトカラー産業(OR:1.33、95%CI:1.10~1.61)の専門職は、サービス労働者よりパーキンソン病リスクが高かった。医師、歯科医師、獣医師、薬剤師は、パーキンソン病リスクが高かった。・パーキンソン病患者160例のうち、47%が無職、20%が自主退職、30%が仕事を継続していた。・多重比較による調整後、化学物質曝露はパーキンソン病リスクとの関連は認められなかった。一因として曝露を受けた被験者数が少なかった可能性がある。・ブルーカラー産業のブルーカラー労働者およびサービス労働者では、過去または現在喫煙者はパーキンソン病リスクが低かった。

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抗うつ薬の選択で死亡リスクに違いはあるか?

 うつ病は死亡リスクを著しく上昇させることが知られているが、抗うつ薬の使用が長期生存へ及ぼす影響は依然として不明である。中国・Shantou University Medical CollegeのXiaoyin Zhuang氏らは2005~18年の抗うつ薬の使用傾向を調査し、米国の全国代表コホートにおける、うつ病関連死亡率に及ぼす抗うつ薬の影響を定量化するため本研究を実施した。General Hospital Psychiatry誌2026年1・2月号の報告。 米国国民健康栄養調査(NHANES)の7サイクル分(2005~18年)のデータを解析した(成人:1万1,569人)。うつ病の定義は、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコア10以上とした。抗うつ薬の使用状況は薬局の認証で確認し、SSRI、SNRI、三環系抗うつ薬(TCA)、その他に分類した。死亡率との関連性は2019年まで延長し評価した。加重ロジスティック回帰分析を用いて、社会人口統計学的特性、心血管代謝関連疾患、ライフスタイルで順次調整したうえで、うつ病と死亡率との関連性を評価した。媒介解析では、抗うつ薬のパスウェイ効果を定量化し、層別モデルではクラス固有のハザード比(HR)を検証した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病は単独で、全死亡リスクを61%増加させた(完全調整オッズ比:1.61、95%信頼区間:1.24〜2.08)。・抗うつ薬の使用は、うつ病による総死亡率の27.3%に影響を及ぼしていた(p<0.001)。・処方の傾向では、SSRIが主流であり(12.7%→20.1%)、SNRIが急速に増加(3.4%→6.1%)、TCAが減少(2.5%→1.8%)していることが示された。・重要点として、抗うつ薬クラスによって死亡率への影響が異なっていた。すなわち、SNRIは、死亡リスクの低下(HR:0.72)と関連し、SSRIは中立的であった(HR:0.93)。一方、TCAではリスク増加が認められた(HR:1.19)。 著者らは「うつ病は、併存疾患とは無関係に死亡率を大きく上昇させるが、抗うつ薬の選択はこのリスクを緩和することが示唆された。抗うつ薬の選択バイアスの影響が残存する可能性はあるものの、SNRIは生存率向上に有効であり、高リスク集団においてTCAよりもSNRIが優先的に使用されることを裏付けている。本結果は、抗うつ薬クラスがうつ病管理における重要な効果修飾因子であることを示しており、薬物疫学的エビデンスを実臨床に統合する必要性を示唆している」とまとめている。

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HR+/HER2-転移乳がんへのパルボシクリブ+内分泌療法、日本の実臨床での高齢/PS不良患者における有用性

 HR+/HER2-進行乳がんの1次治療としてCDK4/6阻害薬が確立され、欧米諸国では実臨床で高齢患者における有効性や安全性が確認されている。しかし、体格の小さいアジア人における高齢者やPS不良の患者でのエビデンスは限られている。今回、日本医科大学多摩永山病院の柳原 恵子氏らがアジア人患者における実臨床でのパルボシクリブ+内分泌療法(ET)の有効性と安全性を評価し、年齢およびPSによるサブグループ解析を実施した。その結果、高齢患者(70歳以上)において無増悪生存期間(PFS)は若年患者と有意な差がみられず、忍容性も良好であった。また、PS 2~3の全患者で病勢コントロールが達成されたという。Oncology Research誌2025年12月30日号に掲載。 本研究は単施設後ろ向き研究で、2021年4月~2025年3月にHR+/HER2-の再発もしくは転移を有する乳がんに対する1次治療としてパルボシクリブ+ETを投与されたアジア人患者46例を評価した。主要評価項目はPFS、副次評価項目は奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性などであった。年齢(70歳未満vs.70歳以上)およびPS(0~1 vs.2~3)によるサブグループ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値は26.6ヵ月(範囲:1.4~69.5)で、年齢層別では70歳未満群で26.9ヵ月、70歳以上群で26.2ヵ月(p=0.760)、PS別では0~1群で26.9ヵ月、2~3群で17.8ヵ月であった(p=0.099)。・ORRは60.9%、DCRは93.5%で、PS 2~3群では全患者で病勢コントロールが達成された。・最も頻度の高い血液毒性は好中球減少症(80.4%)と白血球減少症(86.7%)で、Grade3以上の貧血はまれ(2.2%)であった。高齢患者では貧血の発現頻度が高かったが、全体的な有害事象は管理可能な範囲であった。・47.8%が減量されたが、有効性の低下は認められなかった。 著者らは、「これらの結果は、パルボシクリブ+ETが高齢患者と一部のPS 2~3の患者で有意なベネフィットを示し、年齢もPSも除外基準とすべきではないことを裏付けている」とし、さらに「適切なモニタリングと用量調節により、パルボシクリブは脆弱な集団にも安全に投与でき、効果的な治療へのアクセスが確保できる」としている。

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間質性肺炎合併NSCLC、遺伝子検査の実施状況と治療成績は?

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)では、治療標的となるドライバー遺伝子異常の有無を遺伝子検査で確認することが一般的である。しかし、間質性肺炎(IP)を合併するNSCLC患者は、薬剤性肺障害のリスクが懸念され、一般的なドライバー変異(EGFR、ALKなど)の頻度が低いことが報告されていることから、遺伝子検査が控えられる場合がある。そこで、池田 慧氏(関西医科大学 呼吸器腫瘍内科学講座)らは、びまん性肺疾患に関する調査研究班の分担・協力施設による多施設共同後ろ向き研究を実施し、IP合併NSCLC患者における遺伝子検査の実態、ドライバー遺伝子異常の頻度、分子標的治療の安全性・有効性を調査した。その結果、マルチ遺伝子検査の実施率は依然として低い一方で、特定の遺伝子変異(KRAS、BRAF、METなど)は一定頻度で検出された。また、ドライバー遺伝子異常を同定して適切に治療を行うことで、生存期間の改善につながる可能性も示唆された。本研究結果は、European Journal of Cancer誌で2026年1月12日にオンライン先行公開された。 研究グループは、本邦の37施設において2019年6月~2024年6月に診断した進行・再発の慢性線維化性IP合併NSCLC患者1,256例を対象として、後ろ向きに解析を行った。遺伝子検査の実施状況、ドライバー遺伝子異常の検出頻度、分子標的治療の安全性・有効性、全生存期間(OS)などを評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象患者の年齢中央値は74.0歳、喫煙歴ありが95.5%であった。IPの臨床診断は、特発性間質性肺炎(IIPs)が88.1%(1,106/1,256例)を占め、特発性肺線維症が48.7%(612/1,256例)となり、IIPsのなかで最多であった。・遺伝子検査の実施割合は59.2%(95%信頼区間[CI]:56.5~62.0)、治療開始前のマルチ遺伝子検査は41.0%(95%CI:38.3~43.8)にとどまった。・治療開始前にマルチ遺伝子検査を実施した患者(515例)において、13.2%にドライバー遺伝子異常が検出された。最も頻度が高かったのはKRAS遺伝子変異(4.7%、G12C変異が1.9%)であった。EGFR遺伝子変異(2.9%)、BRAF V600E遺伝子変異(1.6%)、MET遺伝子exon14スキッピング変異(1.6%)が続いた。・非扁平上皮NSCLC(320例)に限ると、KRAS遺伝子変異が6.9%(G12Cは3.1%)、EGFR遺伝子変異は3.8%であった。・ドライバー遺伝子異常が検出された患者(84例)のうち、33.3%が分子標的治療を受けた。分子標的治療を受けた患者(28例)における薬剤性肺臓炎の発現割合は、全体で25.0%であり、オシメルチニブ以外の薬剤性肺臓炎はGrade1であった。薬剤別の発現割合は以下のとおり。 ソトラシブ0%(0/6例) オシメルチニブ50.0%(4/8例:Grade2が3例、Grade5が1例) アレクチニブ33.3%(1/3例) ダブラフェニブ+トラメチニブ25.0%(1/4例) テポチニブ25.0%(1/4例)・ドライバー遺伝子異常の状況別にみたOS中央値は、陽性の集団が22.1ヵ月、陰性/不明の患者が13.8ヵ月であり、陽性の集団が良好であった(ハザード比[HR]:0.46、95%CI:0.33~0.64)。・ドライバー遺伝子異常陽性患者のうち、分子標的治療の有無別にみたOS中央値は、分子標的治療ありの集団が39.2ヵ月、なしの集団が24.0ヵ月であった(HR:0.67、95%CI:0.33~1.36)。・多変量解析において、ドライバー遺伝子異常陽性はOS改善と有意な関連がみられた(全体集団のHR:0.57、95%CI:0.38~0.86、p=0.007、何らかの遺伝子検査実施集団のHR:0.42、95%CI:0.23~0.77、p=0.005)。 本研究結果について、本論文の筆頭著者の池田氏にコメントを求めたところ、以下の回答が得られた。【池田氏のコメント】 これまで実臨床の現場では、「IP合併例ではEGFR変異などの頻度が低い」「分子標的薬は薬剤性肺障害のリスクが高い」という懸念から、遺伝子検査、とくにマルチ遺伝子検査の実施自体が手控えられてきた側面が少なからずあったと思います。しかし本研究により、マルチ遺伝子検査を行うことで、KRAS G12C、BRAF V600E、MET exon14スキッピング変異といった、近年治療薬が登場した希少フラクションが一定の割合で確実に存在することが明らかになりました。また、リスク管理を行いつつ適切な分子標的治療へつなげることで、生存期間の延長が得られる可能性も示されました。治療の選択肢が少ないこの患者層において、治療標的を見いだすことは、患者さんにとって大きな希望となります。本研究結果が、IP合併例に対しても「まずはマルチ遺伝子検査を行う」という診療行動への動機付けとなり、1人でも多くの患者さんの治療機会の拡大と予後改善につながることを強く期待しています。

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高齢がん患者、補助的医療従事者の介入で急性期医療利用が減少/JAMA

 レイヘルスワーカー(補助的医療従事者)主導による症状評価の介入は、急性期医療の利用を減少させるために広く実現可能なアプローチとなりうることが、米国・スタンフォード大学のManali I. Patel氏らがカリフォルニア州とアリゾナ州の地域がん外来クリニック43施設で実施した無作為化臨床試験の結果で示された。高齢者において、がん症状に対する治療は十分にされていないことが多い。一方で、効果的な早期発見および介入も限定的なままであった。JAMA誌オンライン版2025年12月30日号掲載の報告。75歳以上のがん患者、レイヘルスワーカー介入vs.通常ケアで急性期医療の利用を比較 本検討は、固形がんまたは血液がんの新規診断または画像検査や生検により確認された新規再発・進行がんを有する75歳以上のメディケアアドバンテージ受給者を対象に行われた。 保険請求データを用い、参加施設において2週間以内にがん治療を受ける予定の患者を特定して、電子カルテで適格性をスクリーニングし電話で同意を得た後、症状評価+通常ケア群(症状評価群)と通常ケア群(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付け、12ヵ月間追跡調査を行った。研究者、臨床医、統計解析担当者は割り付けに関して盲検化された。 症状評価群では、通常ケアに加えて、レイヘルスワーカーがエドモントン症状評価システムを用いて電話による症状評価を、転移のあるがん・化学療法中・症状スコアが4以上の患者については週1回、それ以外は月1回行い、症状評価で症状スコアが4以上または2点以上悪化した場合は、同日中にadvanced practice practitioner(APP、registered nurse practitioner[登録ナースプラクティショナー:NP]またはフィジシャンアシスタント:PAのいずれか)に照会し、必要な介入が行われた。 主要アウトカムは、試験登録後12ヵ月以内の救急外来受診および入院とした。副次アウトカムは、総医療費、ホスピスの利用、12ヵ月以内に死亡した患者における死亡前30日間の救急外来受診および入院、ホスピスの利用、急性期病院での死亡とした。介入により、救急外来受診、入院、総医療費が減少 2020年11月~2023年10月に416例が登録された(データ解析は2024年12月12日~2025年2月15日)。年齢中央値は82歳(範囲:75~99)、男性219例(52.6%)、Stage4が171例(41.1%)、再発が27例(6.4%)であった。リスク調整因子の平均スコアは2.70(SD 1.77)であった。 症状評価群は対照群と比較し、救急外来受診のオッズが53%低く(救急外来受診回数1回以上:61例[30.5%]vs.103例[47.7%]、補正後オッズ比[OR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.32~0.71)、入院のオッズは68%低く(入院回数1回以上:37例[18.5%]vs.86例[39.8%]、OR:0.32、95%CI:0.20~0.51)、患者1人当たりの平均総医療費が1万2,000ドル低かった(p=0.01)。 12ヵ月の追跡期間中に142例(各群71例)が死亡した。症状評価群では、死亡前30日以内の救急外来受診のオッズが68%低く(OR:0.32、95%CI:0.12~0.88)、急性期病院での死亡オッズは75%低下した(OR:0.25、95%CI:0.08~0.77)。

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edaravone dexborneol、急性期脳梗塞患者の機能アウトカムを改善か/JAMA

 発症後24時間以内に血管内血栓除去術(EVT)を受ける急性虚血性脳卒中患者において、edaravone dexborneolの投与はプラセボと比較し、重篤な有害事象を増加させることなく90日時点の機能的自立を改善する傾向が認められた。中国・首都医科大学のChunjuan Wang氏らTASTE-2 investigatorsが、同国106施設において実施した研究者主導の無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TASTE-2試験」の結果を報告した。edaravone dexborneolは、エダラボンとdexborneolを4対1の比率で配合した薬剤で、相乗的な抗酸化作用と抗炎症作用により脳細胞保護効果を発揮することが再灌流動物モデルで示されていた。これまでに再灌流療法を受けていない急性虚血性脳卒中患者の機能転帰を改善することが示されていたが、再灌流療法を受ける患者における有効性は不明であった。なお、今回の結果について著者は、「主に入院時にミスマッチが認められた患者集団によって得られたものと考えられる。今後、この集団を対象とした試験が必要である」とまとめている。BMJ誌2026年1月7日号掲載の報告。血管内治療前に初回投与し10~14日継続、対プラセボの有効性・安全性を評価 研究グループは、18~80歳で、急性虚血性脳卒中と診断され、NIHSSスコア(範囲:0~42、高スコアほど神経学的機能障害が重度)が6~25、ASPECTS(範囲:0~10、低スコアほど梗塞範囲が大きい)が6~10で、前方循環の主幹動脈閉塞(内頸動脈、T字分岐または中大脳動脈のM1)を有し、発症後24時間以内にEVTが予定されている患者を、edaravone dexborneol群(1回37.5mg:エダラボン30mg+dexborneol 7.5mg)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ1日2回、10~14日間、各回30分かけて静脈内投与した。いずれも、EVT実施前(大腿動脈穿刺まで)に初回投与を行った。 有効性の主要アウトカムは、90日時点の修正Rankinスケール(mRS)スコア(範囲:0[症状なし]~6[死亡])が0~2の機能的自立を達成した患者の割合。安全性の主要アウトカムは、重篤な有害事象であった。 2022年3月18日~2023年2月17日に1万4,233例がスクリーニングされ、1,362例が無作為化された(edaravone dexborneol群690例、プラセボ群672例)。このうち各群1例が、90日時点で追跡不能により有効性の解析から除外され、修正ITT集団1,360例を対象に解析が行われた。90日時点のmRSスコア0~2達成患者割合は、55.0%vs.49.6% 修正ITT集団において、edaravone dexborneol群では689例中379例(55.0%)、プラセボ群では671例中333例(49.6%)が90日時点で機能的自立を達成した(リスク比:1.11[95%信頼区間[CI]:1.00~1.23]、リスク群間差:5.4%[95%CI:0.1~10.7]、p=0.05)。 事前に規定されたサブグループ解析の結果、入院時にミスマッチ(NIHSSスコア10以上かつASPECTS 9以上、またはNIHSSスコア20以上かつASPECTS 7以上と定義)を有する患者において、edaravone dexborneol群とプラセボ群との違いが大きいことが示された(55.5%[178/321例]vs.42.9%[134/312例]、リスク比:1.29[95%CI:1.10~1.52]、リスク群間差:13.0%[95%CI:5.6~20.3]、交互作用のp=0.003)。 重篤な有害事象の発現割合は、edaravone dexborneol群27.2%(188/690例)、プラセボ群25.7%(173/672例)であり、両群で同程度であった(リスク比:1.06[95%CI:0.89~1.26]、リスク群間差:1.5%[95%CI:-3.2~6.2]、p=0.53)。

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大細胞型B細胞リンパ腫へのCAR-T細胞療法、投与時刻が効果に影響か/Blood

 概日リズムは免疫活性化とエフェクター機能を調節するが、日内リズムがキメラ抗原受容体(CAR)細胞療法のアウトカムに影響するかはわかっていない。今回、米国・Weill Cornell Medical CollegeのDanny Luan氏らによる再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者における国際多施設共同後ろ向き研究で、CAR-T細胞投与のタイミングが治療効果に影響しうることが初めて示唆された。Blood誌オンライン版2025年12月23日号に掲載。 本研究は、2017~25年に7施設でCD19標的CAR-T細胞療法を受けた再発・難治性LBCLの成人患者1,052例を対象に実施した。 主な結果は以下のとおり。・投与時刻の中央値は11:48am(四分位範囲:11:06am~12:45pm)であった。・投与時刻が1時間遅いと、施設・製剤・主な臨床変数を調整後も進行・再発・死亡リスクが増加した(ハザード比:1.11、95%信頼区間:1.03~1.20、p=0.004)。・1年無増悪生存(PFS)率は、12:00pmより前の早期投与群で51.4%、12:00pm以降投与群で35.2%であったが、全生存率は両群で同等であった。・PFSのベネフィットは、早期投与群における低い再発率と高い完全奏効率に起因していた。・免疫関連有害事象に差は認められなかったが、12:00pm以降投与群は炎症マーカーの高いピーク値と7日目の低いCAR-T細胞増殖と相関した。 著者らは「このデータはCAR-T細胞投与のタイミングが治療効果に影響する可能性を示す初の臨床的エビデンスであり、概日リズムを考慮した投与戦略の前向き評価を支持する」としている。

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ミンスゲームやってます【Dr. 中島の 新・徒然草】(614)

六百十四の段 ミンスゲームやってます寒いですね。朝、湯をかけて車のフロントガラスの氷を溶かしても、走り出したらたちまち凍ってしまいます。もう寒すぎて散歩なんかも行く気がしません。なので、家か病院にこもっています。さて、今回は「ミンスゲーム」の話をしましょう。ミンスゲームというのはミニマリズムゲームの略です。そもそもミニマリストというのは「必要最低限のモノだけで暮らす人」のこと。そのため、不要なモノをどんどん捨てるというのを身上にしています。とはいえ、自分の所有物を捨てるということは、結構なストレスには違いありません。その一方で、不要なモノを持ち続けるというのも無駄なこと。なので、うまく折り合いをつけるのがミンスゲーム。やり方は簡単。ゲームの初日には、ガラクタと化したものを1つだけ捨てます。誰でも1つくらいなら捨てるものはあるはず。2日目。今度は2つ捨てるわけです。初日に比べれば若干ハードルが上がるものの、2つくらいなら簡単。読まなくなった本とか、いつか着ようと思っていた服とか。当然ながら3日目には3つ、4日目には4つ捨てることになります。本や服のような大物でなくても、文房具なんかでもいいですね。9日目や10日目となると、だんだんハードルが上がっていくので、徐々に苦しくなってきます。が、捨てるほうにも勢いがついてくるので、何とかペースを落とさずについていきたいところ。そして1ヵ月。30日分なら465個、31日分なら合計で496個の不要物が捨てられます。さすがに400個以上の不要物がなくなると部屋がスッキリするはず。このゲームはいつからでも開始可能ですが、できれば月初にスタートしましょう。というのも、日付の数と、捨てる個数が一致するからです。たとえば、1月16日だと16個捨てればいいと簡単にわかります。これが月の途中から始めると、毎回いくつ捨てるべきかを考えなくてはなりません。実は私、2026年1月1日から密かにミンスゲームを始めました。何といっても多いのが本、それも医学書です。中には買ったままで、ほとんど読んでいないものもあります。でも医学の世界は「三年一昔(さんねんひとむかし)」といわれるくらい日進月歩。10年ほど前の教科書だと、かなり内容が古くなってしまっています。それに、これまで読んでいなかったということは、これからも読まない可能性が大。こういうものは思い切って捨てることにしました。で、今は月半ば。やってみて思ったことがいくつかあります。1つ目、勢いがつき過ぎることがある。「今日は9個捨てるぜ」と思っても、捨てているうちに気付いたら10数個も捨てていることが……。こうなったら翌日の分も捨てておこう、と思ったりします。2つ目、捨てられない日がある。モノに執着して捨てられないというよりも、単純に時間がなくて手を付けることができなかった、というのがその理由。仕方ないので、こんな日は捨てることを諦めて、次の日から頑張ることにしています。YouTubeやネットを見ると、ミンスゲームの経験を語っているものがたくさんありました。「捨てるモノがないので、パソコンのファイルやスマホのアプリを捨てた」とか。別に空間的な場所をとるモノでなくても、捨てることによって心理的にスッキリするのかもしれません。「4ヵ月間のミンスゲームで2,000個捨てた」とか。この人の場合は、月が変わるごとにリセットして、1から捨て始めたのでしょうね。「1回目で捨てられなかったモノが、数日後には簡単に捨てられた」とか。徐々に目利きになってくるのかもしれません。というわけで、私自身もミンスゲームに挑戦中。それにしても、1から始めて少しずつ増やしていくという方法は、他にも応用できそうですね。英単語を記憶するとか、かな?もし1ヵ月で400個以上も覚えることができれば本当にすごいと思います。よかったら皆さんも、それぞれのミンスゲームを試してみてください。最後に1句 寒くても モノを捨てるぞ 少しずつ

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