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異物除去(5):鼻腔異物(1)【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q149

異物除去(5):鼻腔異物(1)Q149外勤先の診療所での外来中。4歳男児が右鼻腔にビーズを入れてしまい、取れなくなったと外来を受診した。連れて来た母親によると「入れてしまったビーズは間違いなく1つである」とのこと。鼻腔内に肉眼的に異物が見えており、異物除去を試みようと考えた。安全に除去するべく「mother’s kiss」を指導しようとしたが、母親はmouth to mouthに躊躇いがあるようだ。次の手はどうしようか。

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透析患者が被災したら?【実例に基づく、明日はわが身の災害医療】第6回

透析患者が被災したら?豪雨の後の水害で多くの家屋が浸水し、停電、断水のため医療機関も機能不全になっています。避難所のスタッフから、維持透析を週3回行っていて明日が透析日という避難者がいて、対応について相談を受けました。どうすればよいでしょうか?血液透析には、1人当たり1回の透析で100L以上の大量の水が必要であり、装置を動かすには当然電気が必要です。大災害で施設や設備が損傷したり、断水や停電が起きたりすると血液透析ができなくなり、透析患者の生命は危険にさらされます。事実、東日本大震災では、一時は数百施設が透析不能となり、1,300名以上の患者さんが一時的に被災県外に移動しました。熊本地震でも約30施設で透析ができなくなったことが報告されています。普段からの備え透析施設は、支援透析施設が使えるように、患者カードや手帳、透析記録のコピーなど災害時に必要な情報を患者に提供します。他施設で透析をするうえで必要な情報ドライウェイト氏名・年齢アレルギーがあればその内容感染症の有無(慢性肝炎など)処方されている薬の種類とその飲み方人工血管の場合血流の向き普段透析を受けている施設の連絡先普段から患者さんに対して、災害時は透析時間が短くなったり、次の透析までの間隔が長くなったりする場合があることを説明し、自分で自分の身を守ることの大切さを強調しましょう。避難所に避難した場合は、透析患者であることを自治体の職員やボランティア、巡回の医師・看護師に申し出るよう指導をしておくことが必要です。また、透析スタッフもしっかり訓練しておくことも重要です。災害時には、基本的には各自治体が透析災害対策本部のネットワークを利用して、行政・透析関連企業および該当都道府県下のすべての透析施設間の連絡ができるようになっています。日本透析医会の災害時情報ネットワークのウェブサイトも参考にしてください1)。アメリカでは、ハリケーンに備え、前もって透析をしておくことで透析患者の予後を改善することに成功しています。台風など、あらかじめ災害が起こることが予期できる場合には、前倒しをして透析をしておくことも考慮してもいいかもしれません2,3)。避難所での対応【食事】避難所では、非常食や配給食が提供されることが多く、透析患者にとっては平常時よりも尿素窒素やカリウムの数値が高くなる危険性があります。避難所では、水分は日常の3分の2程度に減らすように指導されている患者さんが多いですが、過度な脱水は血栓症の原因にもなります。水分制限は食事摂取の低下の原因にもなります。一方で、食事量が不足してカロリーが減ると、体内のタンパク質が壊れて尿素窒素やカリウムが上昇するため、栄養は十分に摂る必要があります。災害時に透析患者が食事面で留意すべき点食塩、タンパク質、カリウム、リンを平時より大幅に制限する1日の水分量は「尿量+300~400mL以下」に抑えるエネルギー(カロリー)をしっかり確保するカロリー確保には、白米、麺類、パンなど炭水化物が有効です。ただし、麺類やパンには意外に多くの塩分が含まれているため注意が必要です4)。そこで、「カロリーメイト」のようなバランス栄養食品が勧められます。カロリーメイトは、十分なカロリーが摂れ、カルシウム、ビタミン、食物繊維などを多く含む一方、塩分やタンパク質、リン、カリウムの摂取量を比較的抑えやすいというメリットがあります。参考カロリーメイト(ブロックタイプ:1箱4本入り)の場合、カロリー400kcal、カルシウム200mg、食物繊維2g、タンパク質8~9g、カリウム90~100mg、リン80~100mg、食塩相当量約0.7~0.9gです(大塚製薬「カロリーメイト」サイトより)。【応急処置】避難所の医療資源と環境でできることは限られていますが、透析患者の生命を奪うのは主にうっ血性心不全と高カリウムです。危険な高カリウム血症に対しては、内服薬としては陽イオン交換樹脂製剤のポリスチレンスルホン酸ナトリウム(商品名:ケイキサレート)が使われることがあります。陽イオン交換樹脂製剤は大腸でナトリウムとカリウムを交換しますが、カルシウムも吸着するため、カリウムに対する選択性は乏しいといわれています。ケイキサレート30gを20%ソルビトール50mLに溶解して内服してもらいます。非ポリマー無機陽イオン交換化合物の経口剤であるジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム(商品名:ロケルマ)は、胃で吸収され、カリウムに対する選択性が比較的高いのですが、災害時の使用については即効性の面を考慮し、薬剤師や製造元への確認が必要です。避難所では難しいかもしれませんが、血糖値を測定しながらインスリン+グルコース療法を行い、透析までの緊急回避を行う場合もあります。ヒューマリンR注10単位+50%ブドウ糖550mLを静脈注射し、その後は10%ブドウ糖液を50mL/hで投与する方法が提唱されています5,6)。災害時要配慮者である透析患者の被災時の対応について概説しました。災害医療は、あくまで日常の救急医療の延長であり、普段から「もしも」のことを意識しておくことが必要なことは言うまでもありません。 1) 日本透析医会 災害時情報ネットワーク 2) Lurie N, et al. Early dialysis and adverse outcomes after Hurricane Sandy. Am J Kidney Dis. 2015;66: 507-512. 3) Foster M, et al. Personal disaster preparedness of dialysis patients in North Carolina. Clin J Am Soc Nephrol. 2011;6:2478-2484. 4) Inoue T, Nakao A, Kuboyama K, Hashimoto A, Masutani M, Ueda T, Kotani J. Gastrointestinal symptoms and food/nutrition concerns after the great East Japan earthquake in March 2011: survey of evacuees in a temporary shelter. Prehosp Disaster Med. 2014;29:303-306. 5) Fadel E, et al. Scoping Review of Kidney Patients and Providers Perspectives on Disaster Management. Kidney Int Rep. 2025;10:1346-1359. 6) Lempert KD, et al. Renal failure patients in disasters. Disaster Med Public Health Prep. 2019;13:782-790.

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第284回 抗ヒスタミン薬アゼラスチン点鼻液が新型コロナウイルス感染を予防

抗ヒスタミン薬アゼラスチン点鼻液が新型コロナウイルス感染を予防抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)のアゼラスチン点鼻液が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染を減らしました1,2)。ドイツの病院で募った健康な18~65歳の成人が参加したプラセボ対照第II相試験の結果です。アゼラスチンの効果はもっと幅広いかもしれず、なんなら風邪として知られるライノウイルス感染を減らしうることも示唆されました。アゼラスチンはアレルギー性鼻炎を治療する点鼻薬として海外では広く店頭販売されていますが、2022年に報告された前臨床研究で抗SARS-CoV-2活性が示唆されています3)。その研究では販売されている承認薬一揃いからSARS-CoV-2に効く薬を探すことが試みられ、アゼラスチンに白羽の矢が立ちました。細胞で検討したところ、市販の点鼻液の400分の1ほどの濃度のアゼラスチンの抗SARS-CoV-2活性が示されました。また、市販の点鼻液を5倍に薄めた0.02%のアゼラスチンが鼻組織のSARS-CoV-2の複製を72時間以内にほぼ完全に阻止しました。その前臨床検討結果を頼りにドイツで実施された無作為化試験CARVINで、まずはアゼラスチンのSARS-CoV-2感染治療効果が示されます。同国のUrsapharm Arzneimittel社が主催の同試験では、2021年3~4月にかけて募ったSARS-CoV-2感染患者90例が、鼻組織検討で有効だった0.02%のアゼラスチン、市販品と同一の0.1%のアゼラスチン、プラセボのいずれかを1日3回点鼻しました。その結果、11日間の投与期間のアゼラスチン0.1%群のウイルスがプラセボ群に比べて有意により減少しました4)。また、アゼラスチン0.1%群の症状は最も改善しました。その結果を受けてインドでより多くの被験者を募って実施された無作為化試験CARVIN-IIでも同様に有望な結果が得られています。CARVIN-II試験もUrsapharm Arzneimittel社からの資金で実施され、抗原検査でSARS-CoV-2感染が判明した294例が参加しました。CARVIN試験と同様にアゼラスチン0.1%が1日3回点鼻された患者のウイルスがプラセボ群に比べてより減少しました5)。また発熱、虚弱、低酸素症がプラセボに比べてより改善しました。それら2つの試験結果や作用機序を踏まえるに、アゼラスチンの感染予防効果を調べることは理にかなっているようです。そこでドイツのザールラント大学(Saarland University)のRobert Bals氏らは、アゼラスチン点鼻のSARS-CoV-2やその他の呼吸器病原体の感染予防効果を無作為化試験で調べてみることにしました。同試験もUrsapharm Arzneimittel社からの資金で実施されました。健康な成人がザールラント大学で募集され、最終的に450例が1日3回のアゼラスチンかプラセボの点鼻に割り振られました。約2ヵ月(56日)間の感染率はアゼラスチン群のほうがプラセボ群より有意に低く、それぞれ2.2%と6.7%でした(オッズ比:0.31)。意外にも、SARS-CoV-2以外で最も多かった感染のライノウイルス感染率もアゼラスチン群がプラセボ群より同様に低く、それぞれ1.8%と6.3%でした。ただし、その差が有意かどうかは検討されていません。より大規模な多施設での無作為化試験でのさらなる検討が必要ですが、アゼラスチン点鼻は思い立ったらすぐに実行可能な手軽な手段として既存の予防対策を補完する役割を担えるかもしれません。脆弱な人、感染率が高い時期、旅行する人にはとくに有益かもしれません。 参考 1) Lehr T, et al. JAMA Intern Med. 2025 Sep 2. [Epub ahead of print] 2) Clinical study shows that nasal spray containing azelastine reduces risk of coronavirus infection by two-thirds / Eurekalert 3) Konrat R, et al. Front Pharmacol. 2022;13:861295. 4) Klussmann JP, et al. Sci Rep. 2023;13:6839. 5) Meiser P, et al. Viruses. 2024;16:1914.

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抗アレルギー点鼻薬がコロナ感染リスクを低減

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の曝露前予防には、ワクチン接種以外の医薬品の選択肢は限られている。今回、抗アレルギー薬であるヒスタミン受容体拮抗薬アゼラスチン※の点鼻スプレーは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の発生率の有意な減少と関連し、SARS-CoV-2以外の呼吸器病原体の総感染リスク低減とも関連していたことを、ドイツ・ザールランド大学のThorsten Lehr氏らが明らかにした。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2025年9月2日号掲載の報告。※抗アレルギー点鼻薬としてのアゼラスチンは海外では一般用医薬品として発売されているが、わが国では未発売。 ワクチン接種と集団免疫の確立により、COVID-19の重症度は大幅に軽減された。しかし、引き続き公衆衛生上の大きな負担であり、とくに高リスク集団に対する効果的な曝露前予防の方法が求められている。そこで研究グループは、SARS-CoV-2およびその他の呼吸器病原体に対する曝露前予防としてのアゼラスチン0.1%点鼻スプレーの有効性を評価するため、第II相二重盲検プラセボ対照試験を実施した。 対象は、急性感染症の兆候がなく、SARS-CoV-2迅速抗原検査が陰性の18~65歳の健康なボランティア450人で、2023年3月~2024年7月に登録された。アゼラスチン点鼻スプレー群またはプラセボスプレー群に1:1の割合で無作為に割り付けられ、1日3回、56日間、鼻孔ごとに投与した。感染の高リスク状況においては1日5回への増量投与を任意に選択できた。 参加者は週2回、研究スタッフによるSARS-CoV-2迅速抗原検査を受け、陽性の場合はPCR検査で確認された。症状があるにもかかわらず迅速抗原検査が陰性の場合には、SARS-CoV-2を含む呼吸器病原体に対してマルチプレックスPCR検査を実施した。主要評価項目は、試験開始から56日までにPCR検査で確認されたSARS-CoV-2感染の発生率であり、両群の比較には2群間の比率の差を検定するz検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・450人のうち227人がアゼラスチン群、223人がプラセボ群に無作為に割り付けられた。平均年齢は33.5歳、女性66.4%、白人92.7%、アフリカ系0.9%、アジア系4.9%、その他の民族が1.6%であった。・主要評価項目であるSARS-CoV-2感染の発生率は、アゼラスチン群はプラセボ群と比較して有意に低かった。 -アゼラスチン群2.2%(5/227例)vs.プラセボ群6.7%(15/223例) -リスク差:-4.5%ポイント、95%信頼区間(CI):-8.3~-0.7、p=0.02 -オッズ比:0.31、95%CI:0.11~0.87・アゼラスチン群では、症候性SARS-CoV-2感染の発生が少なく(1.8%vs.6.3%)、感染者におけるSARS-CoV-2感染までの期間が長く(31.2日vs.19.5日)、迅速抗原検査の陽性期間が短く(3.4日vs.5.1日)、SARS-CoV-2以外の呼吸器病原体を含む総感染者数が少なかった(21人vs.49人)。・PCR検査で確認されたライノウイルス感染症の発生率は、アゼラスチン群のほうがプラセボ群よりも低かった(1.8%vs.6.3%)。・有害事象の発現率は両群で同程度であったが、薬剤との関連が疑われる有害事象(主に苦味、鼻出血、倦怠感)はアゼラスチン群で多く報告された。 研究グループは、「本試験はサンプルサイズが小さく、主に健康なワクチン接種済みの集団を対象としていたため、これらの知見を他の状況に一般化できるかどうかは限定的」としたうえで、「これらの結果は、アゼラスチン点鼻スプレーがSARS-CoV-2による呼吸器感染症の発生率を低下させる可能性を示唆している。アゼラスチン点鼻スプレーは、確立された安全性プロファイル、入手しやすさ、使いやすさから、とくに大規模な集会や旅行といった感染リスクの高い状況における曝露前予防としての可能性がある」とまとめた。

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小細胞肺がん1次治療の維持療法、タルラタマブ上乗せで1年OS率82%(DeLLphi-303)/WCLC2025

 PS0/1の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)の標準治療は、プラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬であり、維持療法ではPD-L1阻害薬単剤の投与を継続する。PD-L1阻害薬+lurbinectedinによる維持療法の有用性を検討した「IMforte試験」では、維持療法開始時からの全生存期間(OS)中央値が併用群13.2ヵ月、PD-L1阻害薬単剤群10.6ヵ月と報告されており1)、アンメットニーズが存在する。そこで、PD-L1阻害薬単剤による維持療法にタルラタマブを上乗せする治療法が検討されている。世界肺がん学会(WCLC2025)において、ED-SCLCの1次治療の維持療法における、PD-L1阻害薬+タルラタマブの安全性・有効性を検討する国際共同第Ib試験「DeLLphi-303試験」の結果を米国・Providence Swedish Cancer InstituteのKelly G. Paulson氏が報告した。本試験において、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は報告されず、維持療法開始後のOS中央値25.3ヵ月、1年OS率82%と良好な治療成績が示された。本結果はLancet Oncology誌オンライン版2025年9月8日号に同時掲載された2)。試験デザイン:国際共同第Ib相試験対象:1次治療としてプラチナ製剤+エトポシド+PD-L1阻害薬※を4~6サイクル実施後に病勢進行がみられず、維持療法への移行が可能であったED-SCLC患者88例試験群1:タルラタマブ(10mg、2週ごと)+アテゾリズマブ(1,680mg、4週ごと) 48例試験群2:タルラタマブ(同上)+デュルバルマブ(1,500mg、4週ごと) 40例評価項目:[主要評価項目]用量制限毒性、治療中に発現した有害事象(TEAE)、TRAE[副次評価項目]全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)など※:PD-L1阻害薬が使用できない場合は未使用も許容 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は64歳、男性の割合は63%、PS1の割合は59%であった。ベースライン時に脳転移、肝転移を有していた割合はそれぞれ25%、36%であった。1次治療開始から維持療法開始までの期間中央値は3.6ヵ月(範囲:2.9~5.8)であった。・追跡期間中央値18.4ヵ月時点において、各薬剤の治療期間中央値は、タルラタマブ35週、アテゾリズマブ28週、デュルバルマブ31週であった。・タルラタマブに関連するGrade3~4のTRAEの発現割合は27%であった。死亡に至ったTRAEは報告されなかった。・TEAEとしてのCRSの発現割合は56%であった。そのうちの多くは、投与開始3ヵ月未満に発現した。ICANSの発現割合は6%であった。全例が投与開始3ヵ月未満に発現した。・解析対象集団全体における維持療法開始時からのOS中央値は25.3ヵ月であり、1年OS率は82%であった。・同様に、PFS中央値は5.6ヵ月であり、1年PFS率は34%であった。・維持療法開始時を基準としたORRは24%、DOR中央値は16.6ヵ月であった。DCRは60%、病勢コントロール期間中央値は14.6ヵ月であった。 本試験結果について、Paulson氏は「ED-SCLCの1次治療の維持療法において、PD-L1阻害薬へのタルラタマブ上乗せは、管理可能な安全性プロファイル、持続的な病勢コントロール、前例のないOSの改善を示した」とまとめた。

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再発・難治性多発性骨髄腫への新たな二重特異性抗体トアルクエタマブのベネフィット、隔週投与も可能/J&J

 再発・難治性の多発性骨髄腫に対する新たな治療薬として二重特異性抗体トアルクエタマブ(遺伝子組換え)(商品名:タービー皮下注)が8月14日に発売されたことを受け、9月5日にJohnson & Johnson(日本における医療用医薬品事業の法人名:ヤンセンファーマ)による記者説明会が開催され、岩手医科大学の伊藤 薫樹氏が本剤の効果や有害事象の特徴、ベネフィットを紹介した。既発売の二重特異性抗体とは異なる標的、隔週投与も可能 トアルクエタマブは、多発性骨髄腫細胞表面に高発現するGPRC5D(Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD)およびT細胞表面に発現するCD3を標的とする二重特異性抗体である。すでに発売されている二重特異性抗体にはエルラナタマブとテクリスタマブがあるが、どちらもBCMA(B細胞成熟抗原)とCD3を標的としている。効能・効果は、再発または難治性の多発性骨髄腫で、免疫調節薬・プロテアソーム阻害薬・高CD38モノクローナル抗体製剤を含む3つ以上の標準的な治療が無効、または治療後に再発した患者が適応となる。継続投与期における投与方法は、0.4mg/kg週1回投与と0.8mg/kg隔週1回投与の2つの方法がある。 本剤の国際共同第I/II相MMY1001試験の第II相パートは、T細胞ダイレクト療法(CAR-T細胞療法、二重特異性抗体など)による前治療歴のない患者を対象とし、2つの投与方法に分けて評価された。主要評価項目の全奏効率(ORR)はコホートA(0.4mg/kg週1回)が74.6%、日本人コホート(0.4mg/kg週1回)が77.8%、コホートC(0.8mg/kg隔週1回)が72.5%であった。欧州におけるLocoMMotion試験(3つの標準的な治療後に再発した患者に対して、残っている他の薬剤で治療)での奏効率が約30%であったのに対し、どのコホートも2倍以上の奏効率であり、伊藤氏は「非常に効果が高いという印象」という。さらに、完全奏効もコホートAで33.6%、日本人コホートで47.2%と高く、寛解期間が長い「深い」奏効が得られることが明らかになった。特徴的な有害事象は、味覚障害、皮膚障害、爪の障害 本試験で、最も多かった有害事象はサイトカイン放出症候群で、全Gradeでは75~78%に発現したがGrade3以上は少なく、伊藤氏は「しっかり管理をすれば多くの患者が問題なく治療継続できる」という。本剤の特徴的な有害事象は、味覚障害、皮膚障害、爪の障害の3つで、治療を長期間継続するために、投与前にこれらの有害事象が発現することを伝え、対処法を指導しながら投与するなどのマネージメントが必要だと述べた。 感染症は、全Gradeで64.0%、Grade3以上で18.6%と、BCMAを標的とするエルラナタマブとテクリスタマブに比べて低い。伊藤氏はこの理由として、BCMAは正常のB細胞にも発現するため、BCMAを標的とする薬剤は正常のB細胞も駆逐し液性免疫不全が発生することが比較的多いが、トアルクエタマブが標的とするGPRC5DはB細胞での発現が非常に少ないことから、感染症をコントロールしやすいと考えられる、と説明した。このような副作用プロファイルの違いから、感染症を起こしやすい患者にはトアルクエタマブ、味覚障害に敏感で、食事を摂れないことでQOLの大幅な低下が想定される患者にはBCMAを標的とする薬剤を先に使用する、といった使い分けが考えられるという。トアルクエタマブのベネフィットと今後の開発への期待 トアルクエタマブのベネフィットとして伊藤氏は、3つの標準的な治療に抵抗性となった患者に有効なこと、CAR-T細胞療法と異なりタイムラグがなくさまざまな地域で使用できること、CAR-T細胞療法の適応とならない高齢者や臓器障害がある患者にも使用できることを挙げ、さらに、0.4mg/kg毎週投与以外に通院回数を減らせる0.8mg/kg隔週投与が可能なこと、BCMA標的治療(CAR-T療法、二重特異性抗体、抗体薬物複合体)実施後に再発した場合にも使用可能なことを挙げた。最後に、現在は単剤で承認されているが、抗原の異なる薬剤との併用や従来の免疫調節薬やダラツムマブとの併用など、他剤との併用療法の開発が進んでおり、より高い有効性を期待できる治療法が開発されることに期待を示し、講演を終えた。

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アルツハイマー病予防に対するリチウム補充の可能性/Nature

 アルツハイマー病(AD)における最初の分子変化は、これまで十分に解明されていなかった。米国・ハーバード大学のLiviu Aron氏らは、内因性リチウムが脳内で動的に調節され、加齢に伴う認知機能の維持に寄与する可能性を報告した。Nature誌オンライン版2025年8月6日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・軽度認知障害(MCI)患者において、分析した金属のうち脳内で有意に減少していたのはリチウムのみであった。・ADでは、アミロイドの隔離によってリチウムのバイオアベイラビリティがさらに低下していることがわかった。・野生型およびADマウスモデルの食事からリチウムを枯渇させることによる、脳内の内因性リチウムの役割を調査した。皮質の内因性リチウムを約50%減少させると、アミロイドβの沈着およびリン酸化タウの蓄積が著しく増加し、炎症誘発性のミクログリアの活性化、シナプス、軸索、ミエリンの喪失、さらに認知機能低下の加速が引き起こされることが明らかとなった。・これらの効果は、少なくとも部分的に、キナーゼGSK3βの活性化を介していた。・単核RNA-seq解析では、リチウム欠乏は、複数の脳細胞種においてトランスクリプトーム変化を引き起こしており、これらはADにおけるトランスクリプトーム変化と重複することが示唆された。・アミロイド結合能を低下させたリチウム塩であるオロト酸リチウムによる補充療法は、ADマウスモデルおよび老化野生型マウスにおいて、病理学的変化および健忘症を予防することが示された。 著者らは「これらの知見は、脳における内因性リチウムの生理学的影響を明らかにし、リチウム恒常性の破綻がAD発症の初期段階である可能性を示唆している。リチウム塩によるリチウム補充は、ADの予防および治療への潜在的なアプローチとなりうる可能性がある」としている。

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ベルイシグアトは広範なHFrEF患者に有効~2つの第III相試験の統合解析/Lancet

 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬ベルイシグアトは、2021年、VICTORIA試験の結果に基づき、最近の心不全悪化を経験した左室駆出率(LVEF)の低下を伴う心不全(HFrEF)患者の治療薬として欧州医薬品庁(EMA)および米国食品医薬品局(FDA)の承認を得た。フランス・Universite de LorraineのFaiez Zannad氏らVICTORIA and VICTOR Study Groupsは、本薬のHFrEF患者全般における有効性と安全性の評価を目的に、VICTORIA試験と、最近の心不全の悪化を経験していないHFrEF患者を対象としたVICTOR試験の患者レベルのデータを用いた統合解析を行い、ベルイシグアトは、現行のガイドラインに基づく治療を受けている患者を含む幅広い臨床的重症度のHFrEF患者において、心不全による入院および心血管死のリスクを低減したことを明らかにした。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年8月30日号に掲載された。最近の心不全悪化ありとなしを合わせて解析 VICTORIA試験(試験期間:2016年9月~2019年9月、42ヵ国、616施設、5,050例)とVICTOR試験(同:2021年11月~2025年2月、36ヵ国、482施設、6,105例)は、いずれも第III相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(Merck Sharp & DohmeとBayerの助成を受けた)。 VICTORIA試験の対象は年齢18歳以上、最近の心不全の悪化(過去6ヵ月以内の心不全による入院、または過去3ヵ月以内の外来での利尿薬静脈内投与と定義)を経験したHFrEFで、NT-proBNP濃度の上昇がみられる患者であった。VICTOR試験の適格基準もほぼ同様であったが、最近の心不全の悪化を経験していないHFrEF患者を対象とした。 ベルイシグアトは、2.5mg(1日1回、経口投与)から開始し、28日目の目標用量を10mgとして漸増した。両試験の参加者はともに、必要に応じてガイドラインに基づく心不全の基礎治療を受けた。9割弱がNT-proBNP≦6,000pg/mL、平均LVEFは29.8% 全体(1万1,155例[ベルイシグアト群5,579例、プラセボ群5,576例])の年齢中央値は68.0歳(四分位範囲[IQR]:60.0~75.0)、2,648例(23.7%)が女性であった。ベースラインのNT-proBNP濃度中央値は1,864pg/mL(IQR:1,036~3,537)で、測定が可能であった1万790例中9,566例(88.7%)が6,000pg/mL以下だった。 また、1万1,155例中7,797例(69.9%)がNYHA心機能分類II、3,352例(30.1%)が同IIIまたはIVであり、平均LVEFは29.8(SD 7.7)%、平均推算糸球体濾過量(eGFR)は66.6(SD 25.9)mL/分/1.73m2であった。複合エンドポイントと個別の構成要素が有意に優れる 主要複合エンドポイント(心血管死または心不全による入院)の発生率は、プラセボ群が27.9%(1,556/5,576例)であったのに対し、ベルイシグアト群は25.9%(1,446/5,579例)と有意に低かった(ハザード比[HR]:0.91[95%信頼区間[CI]:0.85~0.98]、p=0.0088)。 複合エンドポイントの個別の構成要素である心血管死(ベルイシグアト群12.7%vs.プラセボ群14.1%、HR:0.89[95%CI:0.80~0.98]、p=0.020)、および心不全による初回入院(18.6%vs.19.9%、0.92[0.84~1.00]、p=0.043)は、いずれもベルイシグアト群で有意に優れた。 また、副次エンドポイントである心不全による全入院(初回、再入院)(HR:0.91[95%CI:0.85~0.97]、p=0.0050)、全死因死亡(15.9%vs.17.5%、0.90[0.82~0.99]、p=0.025)は、いずれもベルイシグアト群で有意に良好だった。 ベースラインのNT-proBNP濃度が6,000pg/mLを超える患者と比較して、6,000pg/mL以下の患者はベルイシグアトの治療効果が高く、プラセボ群に比べ心血管死および心不全による入院のリスクが顕著に低かった。新たな安全性シグナルの発現はない 重篤な有害事象は、ベルイシグアト群で27.7%(1,543/5,568例)、プラセボ群で29.2%(1,627/5,564例)に発現した。有害事象による試験薬の投与中止は、それぞれ7.8%および6.9%に発生した。貧血がベルイシグアト群の8.5%(471例)、プラセボ群の6.7%(375例)に、症候性低血圧がそれぞれ11.8%(657例)および9.8%(548例)に発生した。また、統合解析では、個別の試験で報告されたもの以外の新たな安全性シグナルは認めなかった。 著者は、「ベルイシグアトは、とくにHFrEF患者の多数を占めるNT-proBNP濃度が6,000pg/mL以下の患者で、有益性がより顕著であった」とし、「VICTOR試験では、ベルイシグアトは心血管死または心不全による入院の主要複合エンドポイントのリスクを低下させなかったが、安定した状態の歩行可能なHFrEF患者では、これらのリスクの減少と関連していた」「この統合解析の知見は、ベルイシグアトが、あらゆる病態のHFrEFにおいて特定の患者集団に臨床的な有益性をもたらす可能性を示唆する」としている。

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閉塞性肥大型心筋症、aficamtenが有効/NEJM

 β遮断薬は、有効性に関するエビデンスが限定的であるにもかかわらず、症候性閉塞性肥大型心筋症(HCM)の初期治療に用いられてきた。心筋ミオシン阻害薬であるaficamtenは、標準治療への追加投与で左室流出路圧較差を軽減し、運動耐容能を改善してHCMの症状を軽減することが示されている。スペイン・Centro de Investigacion Biomedica en Red Enfermedades Cardiovaculares(CIBERCV)のPablo Garcia-Pavia氏らMAPLE-HCM Investigatorsは、HCMの治療におけるこれら2つの薬剤の単剤投与の臨床的有益性を直接比較する目的で、国際的な第III相二重盲検ダブルダミー無作為化試験「MAPLE-HCM試験」を実施。メトプロロール単剤に比べaficamten単剤は、最高酸素摂取量の改善に関して優越性を示し、症状の軽減や左室流出路圧較差、NT-proBNP値、左房容積係数の改善と関連したことを示した。研究の成果は、NEJM誌2025年9月11日号で報告された。世界71施設で参加者を登録 MAPLE-HCM試験は2023年6月~2024年8月に、北米、欧州、ブラジル、イスラエル、中国の71施設で参加者のスクリーニングを募り行われた(Cytokineticsの助成を受けた)。 対象は、年齢18~85歳、左室壁厚が15mm以上(疾患の原因となる遺伝子変異またはHCMの家族歴がある場合は13mm以上)のHCMと診断され、スクリーニングにおいて左室駆出率(LVEF)が60%以上、かつ安静時の左室流出路圧較差が30mmHg以上、またはバルサルバ法で誘発時の左室流出路圧較差が50mmHg以上の患者であった。 被験者を、aficamten(5mg/日で開始し、2週ごとに5mgずつ増量して6週目に20mg/日とする)+プラセボを投与する群、またはメトプロロール(50mg/日で開始し、2週ごとに50mgずつ増量して6週目に200mgとする)+プラセボを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付け、24週間投与した。 主要エンドポイントは、ベースラインから24週目までの最高酸素摂取量の変化とした。主要エンドポイントが有意に良好 175例を登録し、aficamten群に88例、メトプロロール群に87例を割り付けた。全体の平均年齢は58歳で、58.3%が男性であった。ベースラインの安静時の平均左室流出路圧較差は47mmHg、バルサルバ法で誘発時の平均左室流出路圧較差は74mmHgであり、平均LVEFは68%で、NYHA心機能分類IIの心不全が70.3%を占めた。NT-proBNP値中央値は468pg/mL(四分位範囲:198~968)だった。 主要エンドポイントは、メトプロロール群が-1.2mL/kg/分(95%信頼区間[CI]:-1.7~-0.8)であったのに対し、aficamten群は1.1mL/kg/分(0.5~1.7)と有意に良好であった(最小二乗平均群間差:2.3mL/kg/分、95%CI:1.5~3.1、p<0.001)。6つの副次エンドポイント、5つが有意に優れる 次の5つの副次エンドポイントは、aficamten群で有意に優れた。(1)24週時のNYHA心機能分類が1分類以上改善の達成率(51%vs.26%、最小二乗平均群間差:25%[95%CI:11~39]、p<0.001)、(2)ベースラインから24週目までのカンザスシティ心筋症質問票-臨床サマリースコア(KCCQ-CSS)の変化量(15.8点vs.8.7点、6.9点[2.6~11.3]、p=0.002)、(3)24週目までのバルサルバ法で誘発時の左室流出路圧較差の変化量(-40.7mmHg vs.-3.8mmHg、-34.9mmHg[-43.4~-26.4]、p<0.001)、(4)NT-proBNPのベースライン値に対する24週時の値の相対的な変化(0.3 vs.1.4、0.19[0.15~0.24]、p<0.001)、(5)24週目までの左房容積係数の変化量(-3.8mL/m2 vs.2.8mL/m2、-7.0mL/m2[-9.1~-4.9]、p<0.001)。 一方、24週目までの左室心筋重量係数の変化量(-6.9g/m2 vs.-3.8g/m2、-4.9g/m2[-11.7~2.0]、p=0.16)は両群間に有意な差を認めなかった。有害事象の発現状況は同程度 投与開始後に、aficamten群の65例(74%)、メトプロロール群の66例(76%)で1件以上の有害事象が発現した。重篤な有害事象はそれぞれ7例(8%)および6例(7%)に、早期の投与中止に至った有害事象は1例(1%、短期間のウイルス性疾患を発症後に突然死)および3例(3%)に、減量に至った有害事象は1例(1%、めまい)および4例(5%、立ちくらみ2例、徐脈1例、疲労感1例)に認めた。 著者は、「本試験で認めたメトプロロールに対するaficamtenの臨床的有益性は、心筋ミオシンの阻害による左室流出路閉塞の軽減に起因する可能性が高い」「本試験はaficamten単剤療法だけでなく、閉塞性HCM患者におけるメトプロロール単剤の投与量、治療効果、副作用に関する独自の知見をも提供する」としている。

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先進医療技術の普及により1型糖尿病患者の血糖管理が大きく改善

 先進的テクノロジーを用いた医療機器の普及によって、1型糖尿病患者の血糖管理状態が顕著に改善しているとする研究結果が、「JAMA Network Open」に8月11日掲載された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のMichael Fang氏らの研究によるもので、血糖コントロールが良好(HbA1c7%未満)の18歳未満の患者の割合は、2009年は7%であったものが2023年には19%となり、成人患者では同期間に21%から28%に増加したという。 研究者らによると、これらの改善は、持続血糖モニターやインスリンポンプの技術革新によるところが大きいという。Fang氏は、「かつて、1型糖尿病患者の血糖コントロールは困難なことが多かった。こうした顕著な改善は喜ばしい変化だ」と述べている。ただし一方で、1型糖尿病患者の多くが、いまだに十分な血糖コントロールができていないことを、研究者らは指摘している。 米国糖尿病学会(ADA)によると、米国の1型糖尿病患者数は約200万人であり、そのうち30万4,000人は小児や10代の若者で占めている。1型糖尿病は膵臓のインスリン産生細胞が破壊されてしまう自己免疫疾患で、発症後は生存のためにインスリン療法が必須となる。従来のインスリン療法は、指先穿刺による血糖測定とインスリン注射を頻回に行う必要があり、また低血糖対策のための甘い物を常に身に着けておくことが欠かせない。一方、近年になり、持続血糖モニター、および、その測定結果を利用するアルゴリズムに基づき必要なインスリンを自動的に注入するポンプが普及し、安定した血糖値を維持できるようになってきた。 今回報告された研究には、約16万人の成人患者および約2万7,000人の18歳未満の小児・若年患者の医療記録が用いられた。分析の結果、2009~2023年の間に、前述のように血糖管理が良好な患者の割合が顕著に増加していた。その背景として、持続血糖モニターを使用している患者の割合は、小児・若年患者では4%から82%へと20倍以上に増加し、成人患者では5%から57%へと10倍以上に増加していた。また、インスリンポンプを使用している患者の割合は同順に、16%から50%、11%から29%に増加していた。2023年には双方のデバイスを利用している患者が、小児・若年者の47%、成人の22%を占めていた。 ただし、論文の上席著者で同大学院のJung-Im Shin氏は、「このような改善は喜ぶべきことだが、1型糖尿病患者の大半はいまだ最適な血糖コントロールを達成できておらず、改善の余地が残されていることを忘れてはならない」と話している。また、医療格差も認められ、先進的医療機器を利用し良好な血糖コントロールを維持しているのは、白人や民間保険に加入している患者に多いという。例えば18歳未満の患者の中で、良好な血糖コントロールを維持している割合は、白人では21%であるのに対し、ヒスパニック系では17%、黒人では12%にとどまっていた。 なお、研究グループでは今後さらに詳しい調査を続け、心臓病や腎臓病などの糖尿病に多い合併症の罹患率の変化も明らかにすることを計画している。

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慢性冠動脈疾患の抗血小板薬はアスピリン、クロピドグレル?(解説:後藤信哉氏)

 急性心筋梗塞ではアスピリンは死亡率低減効果を示した。慢性期の使用でも心血管死亡・心筋梗塞・脳梗塞発症予防効果が示され標準治療となっていた。クロピドグレルは冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患ではアスピリンに勝る優越性と安全性をCAPRIE試験で示した。冠動脈疾患のみに限局しても、アスピリンよりも有効で安全かもしれないとの仮説はあった。 特許切れして特定メーカーの宣伝がなくなっても、クロピドグレルの使用は拡大した。臨床研究も多数施行されていた。本研究では、慢性冠動脈疾患にてアスピリンとクロピドグレルを比較した7つの試験のメタ解析をした。MACCEは0.86(95%信頼区間:0.77~0.96、p=0.0082)とクロピドグレル群で低く、死亡と重篤な出血では差がなかった。有効性が優れ、安全性に差がなく、価格も安いとなればクロピドグレルの使用が広がることに誰も困らない。 新薬の開発がチャレンジングなのは理解できる。しかし、特許期間を超えて、著しい宣伝がなくなって真の意味での新薬の価値が明確になる時期が遅すぎる。アスピリン、クロピドグレルなど優れた薬の開発者を後になって懸賞する仕組みなども必要かもしれない。

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第260回 2040年に医療・介護業界が直面する「労働供給制約社会」

人口減少がもたらす現実21世紀に入り、わが国の人口は減少期に入り、生産年齢人口(15~64歳)の割合が高い「人口ボーナス期」から、少子高齢化の進展により、生産年齢人口の割合が減少し、子供(年少人口)や高齢者(老年人口)の割合が増え、経済に重荷(オーナス)となる「人口オーナス期」に突入しています。総人口は2020年の約1億2,800万人から2040年には1億1,000万人前後へと減少(約16%減)が見込まれています。その一方で、85歳以上人口は増加を続けるため、医療・介護分野での労働需要が減少せず、医療と介護の複合的なニーズが急速に高まります。図1 わが国の人口推移画像を拡大する未来予測2040 労働供給制約社会がやってくるリクルートワークス研究所の『未来予測2040』によれば、2030年には約340万人、2040年には約1,100万人の労働力不足が生じるとのことです。これは人口減少に伴う“構造的な労働供給不足”であり、一時的な景気変動によるものではなく、永続する課題として顕在化がさらに進みます。図2 労働需給シミュレーション画像を拡大する厚生労働省は、2024年3月から「新たな地域医療構想等に関する検討会」を開催し、これから迎える2040年のわが国の医療・介護について検討してきました。2040年には、生産年齢人口はほぼすべての地域で減少し、高齢人口は大都市部で増加、過疎地域では減少、地方都市部では高齢人口が増加と減少する地域があることを指摘しています。現在、多くの病院や診療所が、コロナ感染の拡大で変化した患者さんの受療動向の変化によって「患者不足」に直面していますが、これから問題になるのは「スタッフ不足」が深刻になると予想されています。 地方から人口流入がある東京や大阪といった大都市圏では、まだ目立って減少していませんが、すでに地方では人口の流出とともに、出生数の減少により人口減少に拍車がかかっています。このため、地域によっては小中学校や看護学校の閉鎖などが報道されていますが、少子化が止まらない現状が続くため、現状のまま放置すると2040年には高齢者の医療・介護現場が維持できなくなる可能性があります。しかし、今からの取り組み次第では、地域において持続可能となる可能性があります。図3 65歳以上人口が最大となる年画像を拡大する未来予測2040 医療・介護分野への影響厚労省の『未来予測2040』からは、主な業種別ギャップでは、「輸送・運搬業」が約99.8万人不足(24.2%不足)、「建設業」が約65.7万人不足(22.0%)、「製造業」が約112.4万人不足(約13.3%)と軒並み人手が不足しますが、「医療・保健専門職」も約81.6万人不足(約17.5%)、「介護サービス」が約58万人不足(約25.3%)と、同様に人手不足が予想されています。この人手不足に拍車をかけるのが所得問題です、以前から明らかになっていることですが、医療・介護関連職種の所得は、医師や看護師、薬剤師などを除くと平均所得が低いため、都市部では人材獲得競争に負けないため、人件費の高騰が医療・介護施設の経営悪化につながる可能性が高く、この問題を対処するためには、財源となる国からの拠出や医療・介護保険の保険料引き上げが必要となります。21世紀に入り東日本大震災や能登半島地震など、大災害に被災した地域で人口流出のために医療・介護関連職種が足りなくなった自治体では、すでに介護サービスのニーズに応えられなくなっており、それは将来のわが国の縮図となっています。今後、東京や大阪といった大都市でも、75歳以上の後期高齢者は増加し続け、15~64歳の現役世代が減少していくため、従来のように若い力に期待するよりも、定年退職後に働く再雇用などを積極的に行わないと地方だけではなく、医療・介護事業は継続不可能となる可能性が高くなります。このように課題が大きい一方で、医療・介護の現場は社会的に不可欠であり、持続可能性を高めるためのさまざまな方策が議論されています。新たな地域医療構想を通じて目指すべき医療とは厚労省が解決の方向性として打ち出しているものでは、シニア人材の活用や外国人材と多様な働き手の参入、テクノロジーの導入などが考えられています。とくに定年後の再雇用やセカンドキャリアとして医療・介護に関心を持っている人が入りやすい仕組みを拡充することで、経験豊富な人材が地域を支えられる可能性があります。さらに、外国人材についても2040年には労働力が不足するとの予測がありますが、技能実習研修制度の改善や導入教育システムを整えることで新たな担い手を確保する余地は残されています。また、医療・介護分野でのイノベーションで、AIやロボットの活用は、服薬管理や記録業務、移動支援などの領域で現場負担を軽減できます。今年7月25日に厚労省の「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会が出した取りまとめをみると、「人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営支援の方向性」の中に「若い世代が希望ややりがいを持てる業界となるためには、介護のイメージを変えることや、介護現場が変革する要素を示していくことが重要であり、テクノロジーの活用が進んだ職場であることや社会課題(SDGs、災害対応など)に対応する介護という観点をアピールすること、介護実習先での体験などが重要な要素となる。そうしたイメージの変革にあたっては、求職者となる若い世代の目でさまざまな施策を考えることが重要である」という表記もあり、これらを参考して、各地域で対応していく必要が重要と思われます。地域包括ケアの進化高齢化のピークは地域ごとに大きく異なります。都市部では急増、過疎地では減少と二極化するため、地域の実情に応じた医療・介護資源の集約と連携が不可欠です。医師にとって重要なのは「この人材制約下でどう診療体制を維持するか」です。多職種協働をさらに深化させ、看護師・介護職・リハビリ職と役割分担を柔軟に行うことも必要ですし、医師単独で地域のセーフティーネットを守るのではなく、地域社会と連携してその中で、必要な医療や介護を提供して生き残りを探るべき時代になっていると思います。若手が希望を持てる職場環境を作ることも大切で、これは診療科の充実や病院の魅力にも直結します。地域包括ケアの中で、医師や看護師が地域医療や介護のハブとして介護サービスや在宅医療機関との連携を主導することも大切になっていくと思われます。むしろ多様な課題に専門職の一員として協力体制を整えることが、地域社会への貢献につながる可能性が高いのです。危機をチャンスに冒頭に書いたように「労働供給制約社会」は避けられない未来ですが、それは同時に「医療・介護の働き方を根本から見直すチャンス」でもあります。テクノロジー導入、シニアや外国人の活躍、多職種連携といった改革が進めば、患者・家族にとっても、そして、医療従事者にとってもより持続可能で魅力的な医療・介護体制を築くことができます。2040年の未来を悲観するのではなく、新しい地域医療の姿を描く契機として捉えることが求められています。 参考 1) 2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」 検討会の取りまとめ(厚生労働省) 2) 「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」現状と課題・論点について(同) 3) リクルートワークス研究所「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」(リクルートワークス研究所)

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第89回 感度と特異度とは?【統計のそこが知りたい!】

第89回 感度と特異度とは?医療診断の分野において、検査の有効性を評価するために用いられる2つの重要な統計的尺度は、「感度」と「特異度」です。これらの指標は、さまざまなテストを用いて病状を正確に診断するために不可欠です。今回は、臨床試験の結果を解釈する際に必要な感度と特異度について解説します。■感度と特異度とは何か?「感度(真陽性率とも呼ばれる)」は、実際に陽性であるものがテストによって正しく陽性と識別される割合を測定します。簡単に言うと、この指標は「すべての病気を持っている人々の中で、何人がテストで正しく陽性と識別されたか」という問いに答えます。「特異度(真陰性率とも呼ばれる)」は、実際に陰性であるものがテストによって正しく陰性と識別される割合を測定します。この指標は「病気を持っていないすべての人々の中で、何人がテストで正しく陰性と識別されたか」という問いに答えます。■感度と特異度の重要性感度と特異度のバランスは、臨床検査など医療テストの有用性を決定する上で重要です。高い感度は、条件を持つ患者のほとんどが識別されることを保証し、診断を見逃すリスクを減らします。高い特異度は、条件を持たない人々が誤って診断されることなく、不要な治療を避けることができます。■臨床設定での応用例特定のがんを検出するために開発された新しいテストを考えてみましょう。テストの感度が高く特異度が低い場合、テストはがんを持つ患者のほとんどを識別できますが、健康な個人を誤ってがんであるとラベル付けする可能性があります。逆に、特異度が高く感度が低いテストは、がんのいくつかのケースを見逃す可能性がありますが、がんでない人々を正確に判断します。■感度と特異度の計算■課題と考慮事項理想的には感度も特異度も高い値が望ましいのですが、実際にはしばしばトレードオフが行われます。感度を高めると特異度が低下することがあり、その逆も同様です。したがって、テストを選択する際には、テストされる病気や見逃された診断、誤診の結果としての影響を考慮に入れます。感度と特異度は、診断テストを評価するための基礎的な概念です。これらの指標を理解することで、臨床試験や日常診断に使用されるテストの信頼性を解釈することができます。感度と特異度を適切に評価することにより、臨床現場においてどのテストを使用し、その結果を患者ケアにおいてどのように解釈するかについて、よりよい情報に基づいた決定を行うことが大切です。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」特別編 カットオフ値とROC解析「統計のそこが知りたい!」第66回 カットオフ値とは?第67回 クラメール連関係数で算出したカットオフ値第68回 ROC解析で算出したカットオフ値

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レビー小体型認知症のMCI期の特徴は?【外来で役立つ!認知症Topics】第33回

レビー小体型認知症のMCI期の特徴は?認知症には70以上もの原因疾患があるが、レビー小体型知症(DLB)はアルツハイマー病(AD)、血管性認知症に次ぎ3番目に多い。ADのMCI(軽度認知障害)の特徴はわかっていても、「MCIレベルのDLBの特徴は?」と問われると、筆者は最近まで「はて?」という状態であった。DLB研究の元祖である小阪 憲治先生の名言に「DLBを知れば知るほど、その幅広さがわかってくる」というものがある。臨床の場でこの病気の患者さんを診ていると、一言でDLBといっても、見られる症候は実にさまざまであり、この言葉はまさに至言である。また、この病気の大脳病理について経験豊かな友人が次のように教えてくれた。「レビー小体病といっても、さまざまな病変分布や病理の程度にグラデーションがあって、検査前の見込みと検査結果はしょっちゅう乖離する。ADのほうがずっと簡単」と。DLBの診断では、激しい寝ぼけ(レム睡眠行動障害)、幻視、パーキンソン症候、そして認知機能などの変動が大きいことが軸である。DLBの権威であるIan G. McKeith氏らによれば、MCIレベルのDLBには3つの表現型がある。まず「精神症状初発型」、次に「せん妄初発型」、さらに認知機能障害パターンから分類される「MCI-LB」タイプである。今回は、この3つについてまとめてみたい。1)精神症状初発型他の認知症性疾患と比べたとき、DLBの初発症状として、老年期になって初発する大うつ病や精神病は、とても際立っている。代表的な症状としては、人の姿が見えるといった幻視、家族を偽物だと思い込むような妄想や誤認がある。また、アパシー(無気力)、不安がある。こうした症状で初発する認知症性疾患は他にまずないため、これらの症状はDLBを疑う大きなヒントになる。レム睡眠行動障害(RBD)も有用な着眼点になるが、抗うつ薬を使うことによってRBDが生じることもあるので、ここは要注意である。また、DLB を疑ううえで、パーキンソン症状の中で、動作緩慢よりも振戦や筋硬直のほうが、より有用である。なお、精神病発症型のDLB発症時では、パーキンソン症候、認知機能の変動、幻視、RBDという典型症候がみられたのは、わずか3.8%にすぎなかったという報告がある1)。この数字が語るのは、目の前の患者さんは「精神疾患に間違いない、まさかDLBとは!」と誰もが思ってしまう落とし穴だろう。2)せん妄初発型認知機能の変動、意識の清明度・覚醒度の変化は、DLBの中核症状である。そのため、せん妄で初発する人も多い。これまで認知機能障害がなかった人で、いきなりせん妄が生じるのはなぜだろうか? まずDLBという病態はせん妄を来しやすい素地を持っているのかもしれないし、あるいは曇りを伴う重篤な意識の変動をせん妄とみている可能性もある。さらにはこれら両者なのかもしれないが、答えはわからない。ところで、せん妄初発のDLBの存在に留意することには別の意義もある。というのは、一般的なせん妄に対する第1選択薬は抗精神病薬とされるが、もしこの型のDLBにこうした薬剤を投与したら、症状が悪化する可能性が高いからである。なお、せん妄や意識変動はDLB患者の介護者の43%が報告するほど多く、4人に1人のDLB患者がせん妄を繰り返し、累積の回数はAD患者のそれの約4倍といわれる。また、DLBが診断される前にみられるせん妄は、ADに比べて6倍近く高い。高齢患者においてせん妄が長引く場合、実は背後にDLBが隠れていると考えるべきとされる。つまり、「病歴にせん妄が多ければDLBを想起!」である。3)MCI-LBMCIの概念は、1990年代のRonald C. Petersen氏による提唱で有名になったが、それは「アルツハイマー病前駆状態では、他の認知機能は保たれているのに記憶のみが障害される」というものであった。このオリジナルの概念に改変がなされ、現在では「記憶障害」対「非記憶の認知機能障害」、障害される認知領域が「単数」対「複数」という基準で4つのMCI亜型に分類されるようになった。Petersen氏の提唱したオリジナルMCIは、ADの予備軍における「記憶障害」+「単数」である。しかし、レビー小体型認知症の前駆状態であるMCI-LBは、「非記憶障害」が基本で、障害領域は「単数」も「複数」もある。とくに最初期には、本人も介護者も記憶障害を訴えないことが珍しくない。つまり記憶障害は比較的軽い一方で、主に注意や遂行機能障害といった前頭葉の機能障害がみられる。また錯視など、視覚認知に障害を認める例もある。いずれにせよ、記憶障害単独型MCIのADコンバートに対して、「非記憶型」のMCI-LBがADになることはまれで、その10倍もDLBになりやすい。4)その他の留意点DLBにおけるRBDの意味RBD(レム睡眠行動障害)はDLB診断において重要である。ある12年間の追跡調査では、RBDを持つ人の73.5%が、 DLBなど神経変性疾患にコンバートしたという報告もある2)。悪夢は周囲の人によって気付かれ、RBD診断の手がかりになるが、鑑別すべきものに睡眠時無呼吸症候群、睡眠中のてんかん発作などがある。確実な診断には、ポリソムノグラフィによる測定が望まれる。どんなタイプのMCIであれ、RBDを伴うときはDLBを想起すべきである。自律神経症状などDLB患者で、初診時に自律神経障害を認めることもまれではない。便秘、立ちくらみ、尿失禁、勃起障害、発汗増加、唾液増加などのどれか1つ以上が、25~50%の患者で見つかる3)。しかし、こうした症状は他のさまざまな疾患でも見られるため、それらがあるからといって必ずしもDLBだと思う必要もない。なお、無嗅覚症もDLBのMCI期によくみられるが、その原因は数多あるため(たとえば新型コロナウイルス感染症など)、診断的価値がとくに高いわけではない。1)Gunawardana CW, et al. The clinical phenotype of psychiatric-onset prodromal dementia with Lewy bodies: a scoping review. J Neurol. 2024;271:606-617.2)Postuma RB, et al. Risk and predictors of dementia and parkinsonism in idiopathic REM sleep behaviour disorder: a multicentre study. 2019;142:744-759.3)McKeith IG, et al. Research criteria for the diagnosis of prodromal dementia with Lewy bodies. 2020;94:743-755.

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老年医学のトビラ

何となくではなく そろそろちゃんと勉強したい皆さん 5Mでひらく高齢者診療へようこそ目の前には常に高齢の患者さんがいます。老年医学の「トビラ」は、現在の高齢者診療の複雑な問題の象徴です。本書はこのトビラを開く鍵となる「5つのM」に沿って解説しています。5つのMとは、Mobility(身体機能)、Mind(認知機能・精神的側面)、Medications(薬剤)、Multicomplexity(複雑性・多疾患併存)、Matters Most(最も大切なこと)。これを軸に、転倒やせん妄、認知症、うつ病・不眠、薬剤、フレイル、尿失禁・便秘、さらに高齢者の「見えない」「聞こえない」「においがわからない」「食べられない」の訴えにアプローチしていきます。スクリーニング・予防,事前指示、ケアのゴール設定も含めて1冊で勉強できる、これが老年医学入門の「新定番」です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する老年医学のトビラ定価4,840円(税込)判型A5版頁数276頁発行2025年8月監修山田 悠史ご購入はこちらご購入はこちら電子版はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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精神科医が教える 休みベタさんの休み方

本当は疲れているのに、「いつのまにか、休みたくても休めなくなってしまった」、すべての人へサラリーマン時代、社内外や年次を問わず発生するメンタル問題に多数遭遇した著者。解決に向けて付き添う中で目にした産業医の現状に落胆するも、とあるクリニックの精神科医の働き方に感銘を受け、精神科医となった著者が「休みベタさん」に伝えたいヒントが詰まった1冊。今どきの、一見働きやすそうでいて、なかなか働きづらい職場。ついつい頑張りすぎて、心のバランスを崩してしまう人は後を絶たちません。休み方のノウハウをどれだけ知っても、やっぱり休む気になれない。そんな「休みベタさん」の、不安や焦りをなくして、休み上手になるコツを紹介。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する精神科医が教える 休みベタさんの休み方定価1,650円(税込)判型四六判頁数214頁発行2025年8月著者尾林 誉史ご購入はこちらご購入はこちらAmazonでご購入の場合はこちら

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EGFR陽性NSCLCへの術前オシメルチニブ、ctDNAによるMRD解析(NeoADAURA)/WCLC2025

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)における治療選択肢として術前補助療法があるが、EGFR遺伝子変異陽性例では病理学的奏効(MPR)がみられる割合が低い。そこで、術前補助療法としてのオシメルチニブ±化学療法の有用性を検討する国際共同第III相試験「NeoADAURA試験」が実施されており、オシメルチニブ+化学療法、オシメルチニブ単剤は化学療法と比べてMPRを改善したことが、2025年6月に報告された1)。新たに、事前に規定された探索的解析として循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた分子的残存病変(Molecular Residual Disease:MRD)の解析が実施され、世界肺がん学会(WCLC2025)において、米国・カリフォルニア大学のCollin M. Blakely氏が解析結果を報告した。超高感度ctDNA検出アッセイ(NeXT Personal)は、従来のEGFR遺伝子変異検査に基づくMRD解析よりも感度が高く、オシメルチニブ±化学療法はMRDクリアランス(ctDNAがベースラインから10倍以上低下または非検出と定義)やMRD陰性を達成する患者の割合を改善した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:EGFR遺伝子変異(exon19欠失変異またはL858R変異)陽性の切除可能なStageII~IIIB(AJCC第8版)のNSCLC患者・試験群1(オシメルチニブ+化学療法群):オシメルチニブ(80mg、1日1回、9週以上)+カルボプラチン(AUC5、3週ごと3サイクル)またはシスプラチン(75mg/m2、3週ごと3サイクル)+ペメトレキセド(500mg/m2、3週ごと3サイクル)→手術→医師選択治療 121例・試験群2(オシメルチニブ単剤群):オシメルチニブ(同上)→手術→医師選択治療 117例・対照群(化学療法群):カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセド(いずれの薬剤も同上)→手術→医師選択治療 120例・評価項目:[主要評価項目]MPR[副次評価項目]無イベント生存期間(EFS)など[探索的評価項目]ベースライン時のMRDとEFSの関係、術前のMRDとMPRの関係、術前のMRDクリアランスとMPRの関係など 今回は、MRD解析が行われた集団(189例)の結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の血漿サンプルでMRD陽性の割合は、cobas EGFR Mutation Test v2が30%であったのに対し、NeXT Personalが71%であった(以降はNeXT Personalに基づくデータを示す)。・ベースライン時にMRD陽性の集団は、StageIIIの割合が多く、腫瘍径が大きく、リンパ節転移が多かった。・対照群も含めた全群の併合解析において、ベースライン時のMRDの有無別にEFSをみると、MRD陰性の集団はMRD陽性の集団と比べてEFSが良好であった(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.07~0.80)。・ベースライン時にMRD陽性であり、術前のMRD解析でMRDクリアランスを達成した患者の割合は、オシメルチニブ+化学療法群83%、オシメルチニブ単剤群84%、化学療法群58%であった。・MRDクリアランスの有無別にみたMPRは、クリアランス達成の集団が24%、クリアランス未達成の集団が6%であり、クリアランス達成の集団が良好であった(p=0.0378)。・術前のMRD解析でMRD陰性の割合は、オシメルチニブ+化学療法群77%、オシメルチニブ単剤群77%、化学療法群53%であった。・MRDの有無別にみたMPRは、MRD陰性の集団が20%、MRD陽性の集団が9%であった(p=0.0546)。 本試験結果について、Blakely氏は「MPRを補完する指標としてMRDが有用である可能性を示すとともに、EGFR遺伝子変異陽性の切除可能NSCLC患者に対して、オシメルチニブを含むレジメンで術前療法を行うことを支持するものであった」とまとめた。

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主要5クラスの降圧薬、単剤・併用の降圧効果を定量化/Lancet

 オーストラリア・University of New South WalesのNelson Wang氏らは、主要5クラスの降圧薬の降圧効果およびそれらの組み合わせによる降圧効果の定量化を目的に、無作為化二重盲検プラセボ対照試験のシステマティックレビューとメタ解析を行った。降圧薬のあらゆる組み合わせについて、期待される降圧効果の強固な推定値を提示し、その降圧効果の程度を低強度・中強度・高強度に分類可能であることを示した。著者は、「得られた知見は、世界中の高血圧治療を受ける人々の、不良な血圧コントロールを改善するための処方決定に役立つ情報となるだろう」と述べている。Lancet誌2025年8月30日号掲載の報告。診察室SBPの低下を定量化、各療法の降圧効果の強度を低・中・高に分類 研究グループは、成人参加者がアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬、Ca拮抗薬、利尿薬のいずれかまたは組み合わせの投与を受けた無作為化二重盲検プラセボ対照試験を対象に、システマティックレビューとメタ解析を行った。適格基準は、追跡期間は4~26週、降圧薬治療(投与量と種類)が血圧のフォローアップ前4週間以上にわたり固定していること、治療群間の収縮期血圧(SBP)の平均群間差を算出するために診察室血圧が利用できることとした。クロスオーバー期間のウォッシュアウト期間が2週間未満のクロスオーバー試験は除外した。 データベースの公開~2022年12月31日に発表された適格試験を、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、Epistemonikosを検索して特定した。さらに検索の更新を行い、2023年1月1日~2025年2月28日に発表された試験を含めた。 主要アウトカムは、プラセボと比較した実薬治療の診察室SBPの低下(ベースラインから最長追跡時点[最短4週]までの平均SBP変化量の差)とした。 降圧効果は、ベースライン血圧(包含試験全体の平均ベースライン血圧154/100mmHg)により標準化し、固定効果メタ解析を用いて平均差と95%信頼区間(CI)を推算した。また、単剤・併用それぞれの薬物療法を、SBPのベースライン値154mmHgからの低下の程度で、低強度(<10mmHg低下)、中強度(10~19mmHg低下)、高強度(≧20mmHg低下)に分類した。あらゆる降圧薬の併用療法の有効性を計算するモデルを開発し、2剤併用または3剤併用の外部試験で検証した。標準用量単剤療法、SBP低下8.7mmHg、79%が低強度 解析には、484試験の10万4,176例が含まれた。平均年齢は54歳(SD 8)、男性5万7,422例(55%)、女性4万6,754例(45%)であり、平均追跡期間は8.6週(SD 5.2)であった。 平均して、標準用量での単剤療法によるSBP低下は8.7mmHg(95%CI:8.2~9.2)であった。クラス別では、ACE阻害薬6.8mmHg、ARB 8.5mmHg、β遮断薬8.9mmHg、Ca拮抗薬9.5mmHg、利尿薬10.8mmHg。複数のメタ解析で薬剤クラスによってかなりの異質性が認められ(I2>50%)、同一クラスでも薬剤間の有効性は異なることが示唆された。 また、単剤療法では用量倍増で、SBPは追加で1.5mmHg(1.2~1.7)低下した。用量反応性はβ遮断薬が最も小さく0.5mmHg、Ca拮抗薬が最も大きく2.6mmHgだった。 さらに、単剤療法ではベースラインSBPが10mmHg低下するごとに、降圧効果は1.3mmHg(95%CI:1.0~1.5)低下したが、薬剤クラス間で差がみられた。 降圧の程度は、標準用量での単剤療法57種のうち45種(79%)が低強度に分類された。標準用量2剤併用療法、SBP低下14.9mmHg、58%が中強度、11%が高強度 平均して、標準用量での2剤併用療法によるSBP低下は14.9mmHg(95%CI:13.1~16.8)であった。併用する両剤の用量倍増で、SBPは追加で2.5mmHg(1.4~3.7)低下した。 降圧の程度は、2剤併用療法の異なる薬剤・用量の組み合わせ189種のうち、110種(58%)が中強度に分類され、21種(11%)が高強度に分類された。 あらゆる併用療法の有効性モデルを外部試験で検証した結果、SBPの予測値と測定値の間に高い相関関係があることが示された(r=0.76、p<0.0001)。

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日本人の不眠症患者に対するデジタルCBT-I、症状はどの程度改善するか

 不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は、不眠症状だけでなく抑うつ症状の改善にも大きな可能性を秘めている。しかし、その効果により健康者と同等レベルまで症状が改善するかは不明である。東京家政大学の岡島 義氏らは、日本人の不眠症患者に対するデジタルCBT-Iにより、不眠症状および抑うつ症状が健康者レベルまで改善するかを検証するため、本研究を実施した。BioPsychoSocial Medicine誌2025年7月21日号の報告。 対象は、日本人労働者752例。不眠症およびうつ病尺度のカットオフスコアを用いて、不眠症群、うつ病群、不眠症/うつ病併存群、健康群の4群に分類した。すべての群に対してデジタルCBT-Iを2週間実施し、治療後、1ヵ月後、3ヵ月後の追跡調査でスコア変化を比較した。 主な結果は以下のとおり。・治療後から3ヵ月後の追跡調査において、不眠症群および不眠症/うつ病併存群における不眠症状の有意な減少が認められた。【不眠症群】Hedges'g:1.07〜1.52【不眠症/うつ病併存群】Hedges'g:1.17〜1.41・不眠症/うつ病併存群では、抑うつ症状の有意な改善も認められた(g:0.38〜0.70)。・治療後、1ヵ月後、3ヵ月後の追跡調査において、不眠症群と健康群の間で不眠症状に有意な差が認められ、不眠症/うつ病併存群と健康群の間でも抑うつ症状に有意な差が認められた。 著者らは「デジタルCBT-Iは、日本人労働者の不眠症状および抑うつ症状を効果的に軽減することが確認されたが、3ヵ月以内に健康者レベルまで改善することはなかった」と結論付けている。

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GLP-1RAが2型糖尿病患者のGERDリスク増大と関連

 2型糖尿病患者に対するGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の処方が、胃食道逆流症(GERD)のリスク増大と関連していることを示すデータが報告された。GLP-1RAが処方されている患者では、SGLT2阻害薬(SGLT2i)が処方されている患者に比べて、GERDおよびGERDに伴う合併症の発症が有意に多く認められるという。全南大学校(韓国)のYunha Noh氏らの研究の結果であり、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月15日掲載された。 2型糖尿病および肥満の治療薬であるGLP-1RAは胃排出遅延作用を有しており、これが血糖上昇抑制や食欲低下に部分的に関与していると考えられている。しかし一方でこの作用は、理論的にはGERDのリスクとなり得る。とはいえ、GLP-1RAの処方とGERDとの関連を示す大規模な研究に基づくエビデンスは十分ではないことから、Noh氏らは英国の臨床データベース(Clinical Practice Research Datalink)を用いて、SGLT2iを実薬対照とするターゲット試験エミュレーション研究を実施し、GERDおよびGERD関連合併症の発症リスクを比較した。 2013~2021年に、GLP-1RAまたはSGLT2iの新規処方が開始されていた18歳以上の成人2型糖尿病患者を2022年3月31日まで追跡し、主要評価項目であるGERDの発症、および副次評価項目であるGERD関連合併症の発症状況を把握。傾向スコアに基づき背景因子を精密層別化(fine stratification)して重み付けした上で、リスク差およびリスク比を算出した。 GLP-1RAが新規処方されていた患者は2万4,708人、SGLT2iが新規処方されていた患者は8万9,096人だった。中央値3.0年の追跡で、SGLT2i群に対するGLP-1RA群のGERD発症リスク比は1.27(95%信頼区間1.14~1.42)であり、リスク差は100人当たり0.7だった。また、GERD関連合併症については、リスク比が1.55(同1.12~2.29)、リスク差は1,000人当たり0.8だった。 著者らは、本研究の限界点として、GERDリスクに影響を及ぼし得る食習慣を含む、ライフスタイル関連因子が把握されていないことなどによる残余交絡が存在する可能性を挙げ、「追試による検証が必要」としている。その上で、「われわれの研究結果は、2型糖尿病患者に対するGLP-1RAの使用はSGLT2iを使用した場合に比較し、GERDの発症とその合併症のリスクを高めることを示唆している」と結論。また、「医師や患者はGLP-1RAがGERDリスクに影響を及ぼし得ることを認識しておくべき」とし、「医師は適切なタイミングで予防および治療介入を行う必要がある」と付け加えている。 なお、2人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。

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