サイト内検索|page:710

検索結果 合計:35655件 表示位置:14181 - 14200

14181.

高齢日本人EGFR陽性肺がんを対象としたアファチニブ1次治療(NEJ027)/BMC Cancer

 肺がんは高齢者の頻度が高い。しかし、高齢者肺がんに対する研究結果は十分ではない。未治療の高齢日本人EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、アファチニブの1次治療の抗腫瘍活性と安全性を調査した多施設単群第II相NEJ027試験の結果が発表された。・対象:75歳以上の未治療の進行EGFR変異陽性(Del19またはL858R)のNSCLC・介入:アファチニブ40mg/日 疾患進行または許容できない毒性が発現するまで投与・主要評価項目:中央委員会評価による客観的奏効率(ORR) 主な結果は以下のとおり。・38例の患者がアファチニブの投与を受け、37人が有効性評価可能であった。・年齢の中央値は77.5歳、ECOG PS0〜1、60.5%がDel19陽性であった。・追跡期間中央値は838日であった。 ・ORRは75.7%(CR2例、PR26例)であった。・無増悪生存期間中央値は14.2ヵ月。全生存期間(OS)中央値は35.2ヵ月で、 2年OS率は78.3%であった。・一般的なGrade3/4の治療関連有害事象(TRAE)は、下痢(28.9%)、爪囲炎(23.7%)、発疹/ざ瘡(15.8%)であった。 ・TRAEによる減量は78.9%、TRAEによる中止は21.1%(8例)で、治療関連死は認められなかった。 この研究ではアファチニブの用量調整が比較的一般的に認められた。しかし、75歳以上のいおいても中止頻度は少なく、ほとんどの患者は1年以上治療を続けることができた、としている。

14182.

寒冷凝集素症にsutimlimabは有効か?/NEJM

 寒冷凝集素症患者において、sutimlimabの投与によって古典的補体経路の活性化が選択的に上流で阻害され、速やかに溶血が停止し、ヘモグロビン値が上昇し、疲労が改善したことが示された。ドイツ・デュイスブルク・エッセン大学のAlexander Roth氏らが、sutimlimab静脈内投与の有効性および安全性を評価した26週間の多施設共同非盲検単群試験「CARDINAL試験」の結果を報告した。寒冷凝集素症は、古典的補体経路の活性化により引き起こされる溶血を特徴とする、まれな自己免疫性溶血性貧血で、現在、承認されている治療薬はない。sutimlimabは、活性化経路の第1段階にあるC1複合体に含まれるセリンプロテアーゼを標的としたヒト化モノクローナル抗体である。NEJM誌2021年4月8日号掲載の報告。sutimlimabの有効性/安全性を26週間で評価 研究グループは、最近の輸血歴を有する特発性寒冷凝集素症患者を対象に、ベースラインの体重が75kg未満の患者にはsutimlimab 6.5gを、75kg以上の患者には7.5gを、0日目(治療初日)および7日目、以降は2週ごとに26週間静脈内投与した。 主要評価項目は、第5週から第26週まで輸血が不要、またはプロトコールで禁止されている他の寒冷凝集素症関連治療を受けることなく、ヘモグロビン値がベースラインから2g/dL以上増加(23週、25週および26週時の平均)または12g/dL以上まで増加した患者の割合とした。sutimlimabは寒冷凝集素症に有効、軽度~中等度の有害事象あり 24例が登録され、全例少なくとも1回のsutimlimab投与を受けた。 24例中13例(54%)が主要評価項目を達成した。治療評価時(23週、25週および26週時)におけるヘモグロビン値のベースラインからの増加の最小二乗平均値は2.6g/dLであった。平均ヘモグロビン値は、3週目から試験終了時点まで11g/dL超が維持された。平均ビリルビン値は3週目までに正常化した。 また、17例(71%)が、5週から26週目まで輸血を受けなかった。1週目には疲労の改善(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy[FACIT]-Fatigue Scale 25による評価で、臨床的に意味のある改善:ベースラインからスコアが3~7ポイント増加)が認められ、試験期間中維持された。 機能アッセイの結果、古典的補体経路の活性は速やかに阻害されたことが示され、ヘモグロビン値上昇、ビリルビン値低下、疲労の改善は、古典的補体経路の阻害と一致した。 なお、投与期間中に有害事象は22例(92%)に発現した。7例(29%)で重篤な有害事象が確認されたが、治験責任医師によりsutimlimabとの関連は否定された。髄膜炎菌感染症の報告はなかった。

14183.

妊娠中のHIV-1患者に対する、ドルテグラビル含有レジメンの有効性/Lancet

 HIV-1に感染した妊婦に対し、妊娠中に開始したドルテグラビル(DTG)含有レジメンは、エファビレンツ+エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシフマル酸塩レジメン(EFV/FTC/TDF)に対して、分娩時のウイルス学的有効性について優越性を示した。またDTG/FTC/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(TAF)レジメンは、有害妊娠アウトカムおよび新生児死亡が最も低頻度であった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のShahin Lockman氏らが、ボツワナ、ブラジル、インド、南アフリカ共和国、タンザニア、タイ、ウガンダ、米国およびジンバブエの9ヵ国22施設で実施した多施設共同無作為化非盲検第III相試験「IMPAACT 2010/VESTED試験」の結果を報告した。妊娠中の抗レトロウイルス療法(ART)は、母体の健康と周産期のHIV-1感染予防に重要であるが、妊婦に使用されるさまざまなレジメンの安全性と有効性に関するデータは不足していた。Lancet誌2021年4月3日号掲載の報告。妊婦での3つのARTの有効性を評価 研究グループは、HIV-1感染が確認された18歳以上の妊婦(14~28週)を、DTG/FTC/TAF群(1日1回DTG 50mg+FTC 200mg/TAF 25mg合剤経口投与)、DTG/FTC/TDF群(1日1回DTG 50mg+FTC 200mg/TDF 300mg合剤経口投与)、またはEFV/FTC/TDF群(1日1回EFV 600mg/FTC 200mg/TDF 300mg合剤経口投与)のいずれかに、妊娠週数(14~18週、19~23週、24~28週)と国で層別化し、1対1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、分娩時または分娩後14日以内のHIV-1 RNA 200コピー/mL未満の患者の割合で、事前に設定したDTG含有群vs.EFV含有群の非劣性マージンは-10%とした(優越性の検証は、事前に計画された副次解析で実施)。 主要安全性評価項目は、有害妊娠アウトカム(早産、低出生体重児、死産、自然流産)、母親または新生児におけるGrade3以上の有害事象の発生とした。DTG含有レジメンはEFV含有レジメンよりウイルス学的に有効 2018年1月19日~2019年2月8日の期間で、妊婦643例が無作為化された(DTG/FTC/TAF群217例、DTG/FTC/TDF群215例、EFV/FTC/TDF群211例)。登録時点での妊娠週数中央値は21.9週(IQR:18.3~25.3)、HIV-1 RNA中央値は902.5コピー/mL(IQR:152.0~5,182.5、HIV-1 RNA 200コピー/mL未満の割合28%)であった。 分娩時にHIV-1 RNAが測定可能であった605例(94%)において、主要評価項目を達成したのはDTG含有群が405例中395例(98%)であったのに対し、EFV/FTC/TDF群は200例中182例(91%)であった(推定群間差:6.5%、95%信頼区間[CI]:2.0~10.7、p=0.0052)。 有害妊娠アウトカムは、DTG/FTC/TAF群(216例中52例、24%)のほうが、DTG/FTC/TDF群(213例中70例33%)(推定群間差:-8.8%、95%CI:-17.3~-0.3、p=0.043)、およびEFV/FTC/TDF群(211例中69例33%)(推定群間差:-8.6%、95%CI:-17.1~-0.1、p=0.047)より有意に少なかった。 Grade3以上の有害事象が確認された母親または新生児の割合は、3群で違いはなかった。早産は、DTG/FTC/TAF群(208例中12例、6%)が、EFV/FTC/TDF群(207例中25例、12%)より有意に低率だった(推定群間差:-6.3%、95%CI:-11.8~-0.9、p=0.023)。新生児死亡率は、EFV/FTC/TDF群(207例中10例、5%)が、DTG/FTC/TAF群(208例中2例、1%、p=0.019)やDTG/FTC/TDF群(202例中3例、2%、p=0.050)より、有意に高率であった。

14184.

新型コロナ、第4波の大阪は「これまでとは別世界」~呼吸器科医・倉原優氏の緊急寄稿(2)

 「新型コロナウイルスの感染状況は第4波に入った」。変異株を含め、全国的に感染者が再び急増している現状について、識者らは相次いで明言した。なかでも、1日の新規感染者数が1,000人超を記録している大阪府はとりわけ深刻だ。渦中の医療現場は今、どうなっているのか。CareNet.com連載執筆者の倉原 優氏(近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)が緊急寄稿でその詳細を明らかにした。大阪府コロナ第4波の現状 以前、大阪府コロナ第3波についての現状をお伝えしましたが1)、あれからいったん落ち着いたものの、現在第4波が到来しています。大阪府は1日の新規感染者数が過去最大規模になっており、医療現場は災害級に混乱しています。第3波と異なるのは、(1)年齢層(2)重症度(3)速度です。(1)年齢層 大阪府フォローアップセンターから入院要請のあるCOVID-19患者さんの年齢が、15歳ほど下押しされています。当院に入院した第1波~3波までの平均年齢(±標準偏差)は68(±17)歳、第4波の平均年齢は53(±19)歳です。直近のデータで、感染者が40代未満である割合が5割弱と引き続き高く、若い世代を中心に感染が広がっていることがわかります。(2)重症度 この第4波、来院して最初に撮影した胸部画像検査で背筋がゾっとすることが多くなりました。糖尿病コントロールが不良で高度肥満があり、SpO2が90%未満の場合、ある程度の覚悟を持って診療に当たることができますが、そこまでの基礎疾患がなく、SpO2が92~93%程度であるにもかかわらず、「エッ!」と声を上げてしまうほど両肺のすべての葉に肺炎が見られるケースが増えています。このパンデミックで、自分より年下のARDSを経験するなんて思いもしませんでした。基本的に中等症IIがメインで、中等症Iならホっとするくらいです。(3)速度 大阪府は、保健所および入院フォローアップセンターが連携して入院病床の管理を行っており、どの病院に入院してもらうかはフォローアップセンターの少数精鋭部隊が担っています(図1)。 第3波の時点で重症病床を約230床確保していましたが、第4波に入る前はかなり病床数を減らしていました。第3波の後半で、すでに重症病床が約60床埋まっている状態がスタートだったため、第4波で軽症中等症病床が埋まるより先に重症病床がパンクしてしまいました。 そのため、緊急増床に踏み切った大阪府の施策は間に合わず、あっという間に第4波の確保病床を超えてしまい、軽症中等症病床で挿管・人工呼吸管理のCOVID-19患者さんを診療する状態になってしまいました。当院でもすでにそういった患者さんが発生しており、重症病床が増えない限り、これが常態化するかもしれません。 「N501Y変異株」の症例が増えているのは確かですが、この病床逼迫の最たる原因なのかはわかりません。緊急事態宣言が緩和され、卒業・入学シーズンで人出が増えた影響もあり、相加相乗的に作用した可能性はあります。ただ、大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の公開資料によると、この病床逼迫速度は第3波の約3倍とされており2)、きわめて想定外の事態であったことは間違いありません。また、「N501Y変異株」陽性者の発症から重症化までの日数は従来株よりも約1日早いとされており(表)、これが先述の状況に拍車をかけたのかもしれません。第4波を乗り越えたとしても… 第4波のCOVID-19、第3波までと実はまったく別の疾患なのではないかというくらい、ARDSの頻度が高いです。大阪に続いて東京にも第4波が到来する可能性は十分にあります。 とはいえ、ゴールデンウイークに向けて徐々に減ってくることに期待したいものです。4月5日からの「まん延防止等重点措置」が始まって2週間後にあたる4月19日以降、新規陽性者数が減ってくれば第4波は落ち着くかもしれません(図2)。 しかしながら、第4波を乗り越えたとしても遅滞なくワクチン施策が進まなければ、また7月頃に第5波がやってくる可能性はあります。そうなれば、オリンピック開催時期と完全に被ってしまうことになるでしょう。多方面へのシビアな調整が必要になるため、オリンピックを中止あるいは延期するという選択肢はないのだと思いますが、ハンマー・アンド・ダンスで時間稼ぎをするにも現場の疲弊は限界を迎えつつあり、もはやワクチンに希望を託すしかなさそうです。【倉原 優氏プロフィール】2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て、08年より現職。CareNet.comでは、「Dr. 倉原の“おどろき”医学論文」「Dr.倉原の“俺の本棚”」連載掲載中。

14185.

非浸潤性乳管がん、浸潤性がんへの進展リスク因子は?日本人患者の分析から

 乳房の非浸潤性乳管がん(DCIS)は、浸潤性乳管がん(IDC)の前駆病変と臨床的には位置づけられ、DCISが見つかった場合、現在では一様に切除手術が行われている。しかしこのDCIS集団中には、真に浸潤性がんに進展するDCIS(真のDCIS 群)だけでなく、浸潤性がんには進展しない症例が含まれることが明らかになってきており、両群を区別する因子の同定が求められている。東京大学学大学院新領域創成科学研究科の永澤 慧氏らは、DCISの進展に関係する候補因子として、臨床病理学的因子に加え、遺伝子因子としてGATA3遺伝子の機能異常を同定した。Communications biology誌オンライン版2021年4月1日号の報告より。 主な結果は以下のとおり。・2007~2012年に聖マリアンナ医科大学で手術を受けたDCIS患者431例(年齢中央値:48歳、追跡期間中央値:6.1年、ER陽性:87.0%/HER2陽性:18.8%、4.6%が追跡期間中にIDCに進行)のデータが分析された。その結果、年齢(45歳未満)とHER2陽性が浸潤性がん再発と関連するリスク因子であると示された。・21症例のDCIS原発病変と再発前後のペア検体を用いた全エクソンシークエンスを実施した結果、GATA3遺伝子変異が浸潤性がんへの進展に関与する遺伝子候補とされた。・この結果を、全エクソンシークエンスの結果より作成した180遺伝子ターゲットパネルを用いて、72例のターゲットシークエンスを行い確認した(オッズ比[OR]:7.8、95%信頼区間[CI]:1.17~88.4)。・GATA3遺伝子変異をもつDCIS症例の空間トランスクリプトーム解析を行った結果、GATA3遺伝子変異をもつDCIS細胞では、異常を持たない細胞に比べて上皮間葉転換(EMT)や血管新生などのがん悪性化関連遺伝子の活性化を認め、浸潤能を獲得していることが明らかとなった。・GATA3遺伝子変異をもつDCIS細胞におけるPgR(プロゲステロンレセプター)の発現量を確認したところ、有意にその発現が低下していることがわかった。・ER陽性症例をPgRの発現レベルで2群にわけて再発予後を検討したところ、ER陽性かつPgR陰性のDCISでは有意に予後が悪いことが明らかになった(ハザード比[HR]:3.26、95%CI:1.25~8.56、p=0.01)。・これらの結果から、ER陽性DCISにおけるGATA3遺伝子変異は、PgR発現がそのサロゲートマーカーになる可能性が示唆された。

14186.

妊娠糖尿病スクリーニングの実用的無作為化試験(解説:小川大輔氏)-1376

 妊娠糖尿病は妊娠中に初めて発見された糖代謝異常であり、妊娠中に高血糖があると流産、形態異常、巨大児などの合併症が起こる危険性があるため、妊娠中は厳密に血糖の管理を行う。なお、妊娠前からすでに糖尿病と診断されている場合や、妊娠中に「明らかな糖尿病」と診断された場合は妊娠糖尿病とは別に区別されるが、厳格な血糖コントロールは妊娠糖尿病と同様に必要である。 妊娠糖尿病のスクリーニングとして、妊娠24~28週時に妊娠糖尿病スクリーニング検査が推奨されている。1段階法と2段階法の2つのスクリーニング法があるが、どちらを使用すべきかに関して専門家の合意は得られていない。従来からある2段階法(Carpenter-Coustan基準)に対し、1段階法(IADPSG基準)は一度のブドウ糖負荷試験で診断ができるというメリットがある。しかし、母児の周産期合併症に関するアウトカムについては不明であった。 今回ScreenR2GDM試験では、2万3,792人の妊婦を対象に妊娠糖尿病スクリーニング検査を無作為に1段階法と2段階法の2群に1対1で割り付け、周産期合併症や母体合併症について検討された1)。5つの主要アウトカムのうち、妊娠糖尿病の診断は1段階法のほうが多かったが(1段階法 16.5%、2段階法 8.5%)、その他の巨大児、死産などの周産期合併症や妊娠高血圧症、帝王切開などの母体合併症に関連する主要アウトカムには有意差を認めなかった。また副次アウトカムや安全性アウトカムにも有意な差がないことが示された。 これまでに妊娠糖尿病のスクリーニングで2段階法から1段階法にかえて初回帝王切開や新生児低血糖が増加したとの報告があったが2,3)、今回の大規模な実用的無作為化試験により周産期合併症と母体合併症に関連する主要アウトカムのリスクには、両スクリーニング法に有意な差はないことが明らかになった。いずれのスクリーニング検査法を用いるにせよ妊娠糖尿病と診断した後は、母児の周産期合併症を予防するために妊娠中の血糖管理を適切に行うことが重要である。そして妊娠糖尿病の既往があると、将来糖尿病やメタボリック症候群を発症するリスクが高いため、定期的なフォローアップが必要である。

14187.

まず懐中電灯を掴め!【Dr. 中島の 新・徒然草】(370)

三百七十の段 まず懐中電灯を掴め!ついに大阪府での新型コロナの新規感染者数が1,000人を超えてしまいました。3波までとの違いは、PCRが陽性に出る確率が上がった若い人の感染が多くなった新規感染者数だけでなく重症者数も増える一方といったところで、残念ながら当院でも劣勢は否めません。この先、一体どうなってしまうのでしょうか?話は変わって、年をとると何もかも「面倒くせえ!」となります。書類作成とか診療行為とか家事だとか。昔は何とも思わなかったことが一々面倒。だからといって、仕事がなくなるわけではありません。むしろ、若いときよりもやるべき事が増える一方です。本日のお話は、どうやってこの面倒さを克服するのか、です。私のしている工夫を診療と家事に分けて述べましょう。まずは外来での患者さんの診察です。脳外科外来でも、腹に違和感があるとか足が痛いとかいう人はたくさんいます。もちろん、「ここは脳外科なんでほかに行ってください」で済ませることも可能です。でも、いったん手抜きすると歯止めが掛からない性格は自分が一番よく知っています。なので、私はできるだけ自分の目で確認するようにしています。この時に役立つのが懐中電灯です。髪の毛の中が痛いときも、腹がおかしいときも、まずは懐中電灯を掴む。そうすると、手に持った懐中電灯に引っ張られて当該部位を診ることになります。「牛にひかれて善光寺」とはまさにこのこと。異常ナシが大半ですが、時には帯状疱疹や鼠経ヘルニアが見つかることもあります。見なければわからないけど、見ればわかる典型です。次に足がどうとか言う人。この場合は、懐中電灯もさることながら足台も使います。手術室で使う足台を脳外科外来に準備しているので、まずはそれを患者さんの前に置き、それから懐中電灯を掴む。すると患者さんもゆっくりと靴を脱ぎ、ソックスを脱ぎしてくれます。動作が鈍いからと焦ってはいけません。その間に、電子カルテを使ってほかの雑用をササッと済ませておきましょう。足さえ出てきたら「痛風かな、足底筋膜炎かな」と前に進むことができますね。さらに家事の工夫を述べましょう。料理を作ったり食べたりするのはいいけど、後の皿洗いが面倒なのは誰でも同じです。そんなときにはYouTube!本欄でも紹介した中田 敦彦氏や懲役 太郎氏のチャンネルを聴きながら皿洗い。手際良くはありませんが、気がついたらいつの間にか終わっています。そういや、床掃除でも工夫がありました。ロボット掃除機のルンバです。ルンバくんが機嫌よく掃除をするためには、準備をしなくてはなりません。椅子を逆さにして机に上げたり、床に散らかったものを片付けたり。先に片付けるのがいいのはわかっているけど、なかなか取り掛かれない。でも、先にルンバのスイッチを入れておくと片付けざるを得ません。自らに強制的に仕事をさせる方法、いろいろありそうですね。読者の皆様の工夫があったら教えてください。最後に1句怠惰なる 我を動かす 一工夫

14188.

ICIによる早期肺がんアジュバントへの期待(IMpower010)【侍オンコロジスト奮闘記】第111回

第111回:ICIによる早期肺がんアジュバントへの期待(IMpower010)参考Pivotal Phase III study shows Roche’s Tecentriq helped people with early lung cancer live longer without their disease returning早期肺がん、アテゾリズマブの補助療法が主要評価項目を達成(IMpower010)/Genentech

14190.

「緩和ケア」について、全医療者が知っておいたほうがいい理由【非専門医のための緩和ケアTips】第1回

第1回 「緩和ケア」について、全医療者が知っておいたほうがいい理由はじめまして。飯塚病院 連携医療・緩和ケア科の柏木 秀行と申します。初回なのでちょっとだけ自己紹介をしておくと、初期研修を終えた後、総合診療科で後期研修を行い、その後ずっと緩和ケアの仕事を中心に活動してきました。現在は、緩和ケア領域の診療と併せて、部門の運営や教育、学会関連の活動もしています。この原稿を書いている時点で39歳、もうすぐ医師になって15年目になろうというところです。最近でこそ、緩和ケア領域に若手の医師が増えてきましたが、私が緩和ケアの道に進んだころは、まだまだマイナーなキャリアでした。なぜこんなキャリアになったのか、というのは、いろいろなきっかけがあったのですが、それはまた機会があればお話ししましょう。さて、今回から始まったこの連載ですが、「非専門医のための緩和ケアTips」というタイトル。「緩和ケア!? うちは普通のクリニックだぞ!」と思った方も多いと思います。「高齢多死社会」なんて言葉は、きのこ農家であるうちの親でも知っている時代になりました。そうなると、当面は治癒が困難な病気と共にある方や、亡くなる方が増えていきます。つまり、社会全体の緩和ケアニーズが増えていくのですね。そんな今の時代を共に生きる皆さまからいただいた、緩和ケアに関連する質問に対し、明日の臨床に役立つ「緩和ケアTips」を提供していけたらと思います。今日の質問緩和ケアって終末期のがん患者へのケアですよね? そういう患者は緩和ケア病棟に紹介すればよいのではないでしょうか? 当院は入院病床を持っていないので、緩和ケアの実践は難しいと思います…。確かに、日本の緩和ケアの制度は、診療報酬上の対象を「悪性疾患」として整備されてきた経緯があります。そのため、がん拠点病院を中心として緩和ケアの提供体制が整備された背景があるのです。しかし、時代は変わり、これからは医療者であれば誰もが基本的な緩和ケアを提供する必要があります。なぜならば、がん以外の疾患も含め、緩和ケアをしっかり提供していきましょう、という世の中になるからです。そうなると、かかりつけ医機能や訪問診療に取り組んだり、診療所でも緩和ケアに取り組んだりしなければなりません。緩和ケアは、緩和ケア病棟でのみ提供されるものではないのです!それでは、どうすればいいのでしょう?「現状でさえ忙しいのに、何か新しいことを取り組むなんて、とても無理!」なんて声も聞こえてきそうです。もしかしたら、「緩和ケアって患者の話を1時間とか聞くやつでしょ? 外来の合間にやるなんてとても無理ですよ」なんて感じている方もいるかもしれません。そうなんです、緩和ケアの大切さを100回唱えるだけでは何も解決はせず、医療現場でどうやって緩和ケアを実践するか、というところに目を向け、試行錯誤することが重要なのです。だって、われわれが診療する現場は、必ずしも緩和ケアを実践しやすい環境ばかりではないはずです。それでも、「必要な方に緩和ケアを提供していく、気軽に活用できるコツを共有したい!」、そんなテーマで書きつづっていくつもりです。残念ながら、「日本中どこでも通用する、共通した緩和ケアの提供モデル」なんて、すてきなものがあるわけではありません。それぞれの状況に最適化された提供モデルを、考え続けることが大切なのだと思います。私自身がもがいてきたこと、そして現在も取り組んでいる中で見えてきたことを順次お伝えしていけたらと思っています。それでは、今後ともよろしくお願いします。今回のTips

14191.

第53回 臨床実習制限や生活困窮…コロナ禍がもたらす医学生への試練

大学医学部の学生自治組織でつくる全日本医学生自治会連合(医学連)は、新型コロナウイルス感染症の流行が医学生の生活や教育に及ぼす影響についてのアンケート調査をまとめた。それによると、国や大学による学生への経済的支援については、8割超の学生が受給できなかったり、実習では患者と直接触れ合う経験ができなかったりするなど、さまざまな影響が出ていることがわかった。アンケートは2020年8〜9月と同年12月の2回、インターネットで実施。1回目の調査結果は同年10月に速報で公開。2回目の調査結果は1回目の結果を踏まえつつ、この4月1日に最終報告書として公開した。2回目の回答総数は1,437件で、国公立大生が88.1%、私立大生が11.9%。また、アパートなどでの一人暮らしは77.4%だった。経済状況に関しては、「かなり良い」「まあまあ良い」という回答が36.3%だった一方、「少し悪い」「かなり悪い」は21.0%あり、医学生の5人に1人が経済的に苦しい現状であることが明らかになった。アルバイトの有無はほぼ半数に分かれたが、アルバイトをしていない学生のうち、大学やアルバイト先の制限で経済的不安を抱える学生が3人に1人以上いることがわかった。国や学生による学生への経済的な支援については、81.1%の学生が「受給しなかった・できなかった」と答えた。そのうち26.5%が「受給したかったが、要件に当てはまらず、申請できなかった」と回答。「受給したかったが、手順が複雑で申請しなかった」「支援も存在を知らなかった」も合わせると、4割以上の学生に必要な支援が届いていなかった。一方、受給した学生でも31.8%が「不十分だった」と答えた。臨床実習に関しては、「履修した」と答えた学生296人を調査対象とし、「病棟で、全面的あるいは制限付きで実習が再開している」と答えたのは225人(76%)であった。これら225人の学生に病棟実習で経験できなくなっていることを聞いたところ(複数回答)、「患者さんへの診察」(137人)を挙げる人が最も多く、次いで「回診」「外来見学」といった患者と直接触れ合う可能性あるものや、「大学病院外での実習」といった大学外の人と接触する可能性のあるものが挙げられた。一方、先述した296人の中には、病棟での実習が「再開しておらず、オンライン等で代替されている」と答えた学生も15.5%いた。就職活動の有無について、「活動中あるいは1年以内に予定している」という回答が23.9%、「就職活動は終了した」が14.0%いた。このうち「活動中あるいは1年以内に予定している」と回答した学生に対しては、さらに具体的な分析が行われた。それによると、県外移動に「制限がある」という回答者は89.9%おり、そのうち7割以上が「就職活動に支障がある(と予想される)」と回答。県外移動制限を受けている学生の多くが就職活動に支障が出ることを懸念していた。また、医師臨床研修マッチングに関する情報提供や病院見学などの機会について、十分かどうか5段階評価(1:不十分〜5:十分だ)で質問したところ、70.1%の学生が「1」「2」と回答した一方、「4」「5」と回答した学生はわずか5.2%。就職情報と病院見学機会の不足が浮上した。医学連は調査結果を踏まえ、以下の提言を発表している。(1)お金の心配なく学べる大学へ(2)感染対策の中でも最大限、学修機会の保障を(3)就職先の選択肢を狭めない、柔軟な対応を(4)学生の活動・交流の場を確保しよう(5)孤立を防ぎ、こころの健康を守ろう医学連は「困難ゆえに対話を諦めるのではなく、学生と大学が双方の意見を理解しようと努力し、解決に向かって話し合いを重ねることこそが重要」と述べる。コロナ禍は、現役医師たちにとって未曾有の試練となっているが、医学生たちにとっても大きな障壁になっている。これからの医療を担う人たちの希望や意志を挫くことなく、診療現場に仲間として迎え入れられる日が来るよう、サポートが望まれる。

14192.

発症後2日でウイルス排出量ピーク、新型コロナ治療が困難な理由を解明

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡っては、病態の多様性もさることながら、いまだウイルス自体の全容が明らかになっていない。そんな中、九州大学大学院理学研究員の岩見 真吾氏らの研究グループは、米国インディアナ大学公衆衛生大学院の江島 啓介氏らとの共同研究により、SARS-CoV-2を特徴付ける感染動態の1つとして、生体内におけるウイルス排出量のピーク到達日数が既知のコロナウイルス感染症よりも早く、この特徴がゆえに、発症後の抗ウイルス薬による治療効果が限定的になっていることがわかった。研究結果は、PLOS Biology誌2021年3月22日号に掲載された。新型コロナのウイルス排出量のピークは発症から平均2.0日程度 研究グループは、新型コロナウイルス感染症に加えて、過去に流行した中東呼吸器症候群(MERS)および重症急性呼吸器症候群(SARS)の臨床試験データを分析。症例間の不均一性を考慮した上で、生体内でのウイルス感染動態を記述する数理モデルを用いて解析した。その結果、新型コロナウイルス感染症におけるウイルス排出量のピーク到達日数が発症から平均2.0日程度であり、MERS(12.2日)やSARS(7.2日)と比べ、かなり早期にピークに達することがわかった。 さらに、本研究で開発したコンピューターシミュレーションによる分析から、投与するウイルス複製阻害薬やウイルス侵入阻害薬が強力であったとしても、ピーク後に治療を開始した場合では、ウイルス排出量を減少させる効果はきわめて限定的であることも示唆された。 本結果は、新型コロナウイルス感染症に対する抗ウイルス薬治療が、ほかのコロナウイルス感染症と比べて困難である理由の1つを明らかにするものである。著者らは、「今回の研究は、新型コロナウイルス感染症を含む症例データを数理科学の力で分析することで、コロナウイルスのさまざまな感染動態を特徴付け、治療戦略を開発するうえで重要な定量的知見である」と述べている。なお、本研究で得られた知見に基づいた医師主導治験が、現在国内で進行中である。

14193.

不妊症女性のうつ病有病率~メタ解析

 不妊症に悩む女性におけるうつ病などのメンタルヘルスの問題は、男性よりも深刻な健康上の問題である。うつ病は、個人の健康に悪影響を及ぼし、生活の質を低下させる可能性がある疾患である。イラン・Shahid Beheshti University of Medical SciencesのZahra Kiani氏らは、不妊症の治療反応に対するうつ病の影響を考慮したうえでシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、不妊症女性におけるうつ病有病率を調査した。Fertility Research and Practice誌2021年3月4日号の報告。 各種データベースより、2000年から2020年4月5日までに公表された文献を、独立した2人のレビュアーが検索した。検索キーワードには、うつ病、障害、不妊症、有病率、疫学などを用い、ペルシャ語および英語で検索した。文献のタイトル、アブストラクト、フルテキストを評価した。レビュアーは、Newcastle-Ottawa Scaleを用いてエビデンスの質を評価した後、STATA version 14を用いて調査結果を分析した。不均一性および出版バイアスの評価には、I2およびEgger's検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・32件をメタ解析に含め、文献の不均一性を考慮し、変量効果モデルを用いて検討した。・抽出された研究には、不妊症女性9,679例が含まれた。・プールされた有病率の最低値は21.01%(95%CI:15.61~34.42、Hospital Anxiety and Depression Scaleで評価)、最高値は52.21%(95%CI:43.51~60.91、ベックうつ病評価尺度で評価)であった。・不妊症女性におけるプールされたうつ病の有病率は、低中所得国で44.32%(95%CI:35.65~52.99)、高所得国で28.03%(95%CI:19.61~36.44)であった。 著者らは「不妊症女性のうつ病有病率は、一般人口よりも高かった。とくに低中所得国では、不妊症女性のうつ病に対する適切な対策、計画、政策を確立し、この問題を減少させるための取り組みを行う必要がある」としている。

14194.

食道扁平上皮がん1次治療、ニボルマブ+化学療法とニボルマブ+イピリムマブが生存ベネフィット示す(CheckMate-648)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年4月8日、切除不能な進行または転移のある食道扁平上皮がん(ESCC)患者を対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法およびニボルマブとイピリムマブの併用療法を評価した第III相CheckMate-648試験の肯定的なトップラインの結果を発表した。 同試験の中間解析において、ニボルマブと化学療法の併用療法は、主要評価項目であるPD-L1陽性患者の全生存期間(OS)および副次評価項目である全無作為化患者集団でのOSで統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるベネフィットを示した。加えて、PD-L1陽性患者での盲検下独立中央判定(BICR)評価による無増悪生存期間(PFS)で統計学的に有意かつ臨床的に意義ある改善を示した。 ニボルマブとイピリムマブの併用療法も、PD-L1陽性患者でのOSおよび全無作為化患者集団でのOSで統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を達成した。しかし、PD-L1陽性患者でのBICRの評価によるPFSの改善は達成しなかった。 同社は、CheckMate-648試験のデータの評価を完了させ、今後の学会で結果を発表するとともに、規制当局と共有する予定だとしている。

14195.

PADの歩行運動療法、低強度では有効性なし/JAMA

 末梢動脈疾患(PAD)患者への在宅歩行運動療法において、低強度の歩行運動は、高強度の歩行運動に比べ、12ヵ月後の6分間歩行距離の改善について有意に効果が低く、運動をしない場合と比べて有意な差はなかった。米国・ノースウェスタン大学のMary M. McDermott氏らが、305例を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。運動能力の低下したPAD患者には、監督下で行う虚血性下肢症状を誘発する高強度の歩行運動が初回療法とされているが、そのアドヒアランスは不良であることが知られている。著者は、「今回の結果は、PAD患者の客観的測定に基づく歩行能力改善のための低強度の在宅歩行運動は支持されないことを示すものであった」と述べている。JAMA誌2021年4月6日号掲載の報告。最長50分/回の歩行運動を週5回実施、強度と時間は自己記録 研究グループは2015年9月25日~2019年12月11日に、米国内4ヵ所の医療機関を通じ、PADの患者305例を対象に試験を開始し、2020年10月7日まで追跡した。 被験者は無作為に3群に割り付けられ、(1)在宅で行う低強度(虚血性下肢症状を誘発しないペース)の歩行運動(低強度運動群、116例)、(2)在宅で行う高強度(中等症~重症の虚血性下肢症状を誘発するペース)の歩行運動(高強度運動群、124例)、(3)運動なし(対照群、65例)をそれぞれ12ヵ月間実施した。歩行運動は、監督者なしで1回最長50分を週5回実施。被験者に加速度計を装着してもらって運動強度と時間を記録した。 記録データは12ヵ月間にわたって週1回、コーチが被験者に電話をして確認。その際にコーチは被験者が指示どおりの運動を行うよう助言をした。対照群にも12ヵ月間にわたって週1回、電話で教育的コミュニケーションが行われた。 主要アウトカムは、12ヵ月時点における6分間歩行距離のベースラインからの変化で、臨床的意義のある最低変化は8~20mとした。低強度vs.高強度、12ヵ月後の6分歩行距離改善幅の差は40m 無作為化を受けた被験者305例の平均年齢は69.3(SD 9.5)歳、女性47.9%、黒人59.3%だった。12ヵ月の追跡期間完遂者は250例(82%)だった。 6分間歩行距離の変化は、低強度運動群がベースライン332.1mから12ヵ月時327.5mで平均-6.4m(95%信頼区間[CI]:-21.5~8.8、p=0.34)、高強度運動群は338.1mから371.2mで平均34.5m(同:20.1~48.9、p<0.001)であり、群間差は-40.9m(97.5%CI:-61.7~-20.0、p<0.001)だった。 対照群の同変化は328.1mから317.5mで平均-15.1m(95%CI:-35.8~5.7、p=0.10)であり、低強度運動群との比較において有意差はなかった(群間差:8.7m、97.5%CI:-17.0~34.4、p=0.44)。 有害事象は184件報告され、1人当たりの同発現頻度は、低強度運動群が0.64、高強度運動群が0.65、非運動群が0.46だった。試験参加に関連した重篤有害事象の発現は各群で1例ずつ報告された。

14196.

重症急性腎障害、RRT実施遅延で死亡リスク増大/Lancet

 重症急性腎障害(Kidney Disease: Improving Global Outcomes[KDIGO]ステージ3)で尿量減少72時間超または血清尿素窒素濃度112mg/dL超を有し、即時の緊急腎代替療法(RRT)を要する重篤な合併症を認めない患者においては、RRTの開始を長期遅延する治療戦略はベネフィットをもたらすことなく潜在的な有害事象と関連する。フランス・APHP Hopital AvicenneのStephane Gaudry氏らが、278例を対象に行った多施設共同非盲検無作為化試験の結果を報告した。重篤な合併症を認めない重症急性腎障害患者に対してRRTの開始を延期することは、安全であり医療機器使用の最適化を可能にするとされているが、リスクを伴わない延期の猶予期間については明確にはなっていなかった。Lancet誌2021年4月3日号掲載の報告。フランス39ヵ所のICUで試験 研究グループは、待機戦略のさらなる開始延期は、通常の待機戦略と比べてRRTフリー期間が長くなるとの仮説を検証するため、フランス39ヵ所の集中治療室(ICU)を通じて試験を行った。 危篤状態の重症急性腎障害(KDIGOステージ3)患者について、尿量減少72時間超、または血清尿素窒素濃度が112mg/dL超になるまで観察。その後、患者を無作為に2群に割り付け、一方には即時RRTを開始(待機戦略群)、もう一方にはRRTの必須徴候(顕著な高カリウム血症、代謝性アシドーシス、肺水腫)または血清尿素窒素濃度が140mg/dLに達するまで待機してRRTを開始した(長期待機戦略群)。 主要アウトカムは、無作為化から28日後までの生存日数およびRRTフリー日数で、ITT解析で評価した。60日死亡リスク、長期待機戦略群は待機戦略群の1.65倍 2018年5月7日~2019年10月11日に5,336例が評価を受け、そのうち278例が無作為化された。待機戦略群は137例、長期待機戦略群は141例だった。 RRTフリー日数中央値は、待機戦略群12日(IQR:0~25)、長期待機戦略群10日(0~24)で、両群間に有意差はなかった(p=0.93)。 多変量解析の結果、長期待機戦略群の待機戦略群に対する60日時点の死亡ハザード比は、1.65(95%信頼区間:1.09~2.50、p=0.018)だった。 なお、急性腎障害やRRT関連と考えられる合併症数は、両群間で差はなかった。

14197.

抗肥満薬としてのGLP-1受容体作動薬セマグルチドの有効性(解説:住谷哲氏)-1375

 高血圧、高脂血症および2型糖尿病などの生活習慣病の多くは肥満と関連している。さらに肥満を改善すれば高血圧、高脂血症および2型糖尿病の改善がみられることも少なくない。高血圧には降圧薬、高脂血症にはスタチンやフィブラート製剤、2型糖尿病には血糖降下薬が使用可能であるが、肥満に対する治療薬としてわが国で認可されているのは食欲抑制剤としてのマジンドール(商品名:サノレックス)のみである。肥満大国の米国ではこれに加えて、腸管からの脂肪吸収を抑制するリパーゼ阻害薬であるorlistat(商品名:Xenical)、中枢神経系に作用するphentermine/topiramate(商品名:Qsymia)、naltrexone/bupropion(商品名:Contrave)も販売されているがいずれも副作用が問題で長期使用できる薬剤ではない。 インクレチン関連薬であるGLP-1受容体作動薬は血糖降下薬として開発されたが、体重減少作用を有することから抗肥満薬として以前から注目されてきた。リラグルチドは抗肥満薬(商品名:Saxenda)としてすでにわが国以外の多くの国で認可されている。本論文はセマグルチドの抗肥満薬としての有効性と安全性を検討した国際第III相試験プログラムSemaglutide Treatment Effect in People with Obesity(STEP)の一つであるSTEP 1についての報告である。その結果は、セマグルチド2.4mgの週1回投与は68週後にプラセボと比較して約15%の体重減少をもたらした。head to head試験の結果を待つ必要があるが、SCALE試験1)で報告されたリラグルチド3.0mg投与による体重減少率はプラセボ群と比較して-4.5%であったのに対し、本試験ではプラセボ群と比較して-12.4%でありセマグルチド2.4mg投与による体重減少率がリラグルチド3.0mg投与より大きいと思われる。 Googleで「GLP-1ダイエット」と入力して検索すると249,000件がヒットした(2021年4月11日現在)。その多くは楽に痩せる注射としてGLP-1受容体作動薬を紹介している。この問題については2020年日本糖尿病学会が「GLP-1 受容体作動薬適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」として警告を発している2)。現時点で2型糖尿病患者以外への投与は論外であるが、本剤を使用することが有益である肥満患者のためにも、わが国でも抗肥満薬としてのGLP-1受容体作動薬が認可されることを期待したい。

14198.

株高ですが、今投資するべきは株じゃないですよ!【医師のためのお金の話】第43回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。今は空前の株高です。ニュースになるので、株式投資に関心を持っている方も多いことでしょう。しかし、コロナ禍における株式投資は、昨年の3月ごろが最も“おいしい”時期でした。私はこの時期に過去最大級の資金を株式市場に投入しましたが、現在は一切投資をせずに静観しています。その理由は単純で、株価が高騰した今は、投資の旬は過ぎ去ったと判断しているからです。一方で、今時点で虎視眈々と狙っている投資対象の1つが不動産です。一般的に不動産市場の値動きは株式市場から半年~1年ほど遅行する、といわれています。つまり、2021年3月現在は、コロナ禍の傷が癒えて不動産価格が上昇しはじめた時期だと考えているのです。そうは言っても、不動産投資って何だか敷居が高いなあ、と感じている人は多いのではないでしょうか? 株式投資や仮想通貨なら、あっという間にスマホで取引できちゃいます。しかも数万円といった少額取引からOKです。そんな手軽な投資がスタンダードになったため、扱う金額が大きく、対面取引となる不動産投資には二の足を踏む人が多いでしょう。しかも、不動産業者さんはうさんくさいイメージ満載です。何だか話をするだけでカモられそう…。そんな不安感でいっぱいの人のために、私が実践している不動産投資がどんな感じなのかを公開しましょう!希望ピッタリの物件で即決2011年の年末に、懇意の不動産業者さんから電話がかかってきました。いわく、先ほど媒介契約を締結して賃貸マンションの物件を預かったのだけど、購入する意思はありますか? とのことです。電話越しに物件の概要をお伺いすると、私がメインで投資しているドンピシャのエリアです。しかも相続物件とのことで、売り主さんは売り急いでいるようです。売却希望価格は5,400万円で、当時としてもやや安い価格でした。築25年のRC造ではあるものの、見たこともない希少立地の物件だったため、「その価格で購入させていただきます!」と即答しました。しかし、当時は不動産市況が悪く、銀行融資も難しい時代でした。今と違って手元資金も少なかったため、銀行融資が必須の状況です。必死で現金をかき集めて手付金をつくり、同時に3つの銀行に融資の申し込みをしました。3行から融資内諾を勝ち取り当時の私は、すでに投資用不動産を何棟か所有していたものの、借入比率が高くて手元資金も薄い状況です。医師免許を持っていることだけが取りえの不動産投資家であり、優良顧客ではなかったはずです。一部の金融機関を除き、融資内諾には早くても3~4週間程度かかります。融資特約を付ける場合でも、その期限は1ヵ月のことが多いです。このため、融資内諾が下りるのは融資特約期限の直前のことが多く、精神的に追い詰められてしまいます。この物件では申し込みから3週間後に担当者から架電がありました。電話を受けたのは職場からの帰宅途中でしたが、融資内諾の一報に、人目もはばからずにガッツポーズしたことを鮮明に覚えています。さっそく融資内諾が下りたことを伝えたところ、残りの2行もすぐに融資内諾となりました。銀行も現金なものです(笑)。そうなると、今度は融資条件の交渉のステージに進みます。私と銀行の立場は逆転しました。私は金利リスクを回避したいので、長期固定金利を最優先にしています。このため、10年以上の固定期間、金利水準、および銀行の店格を基準に選択しました。最終的に第一地銀の本店で、融資期間25年、うち固定期間10年、金利1.5%で融資を受けることになりました。最初に融資内諾をくれた銀行ではなかったのが心に引っ掛かりましたが、ビジネスなので仕方ない、と考えることにしました…。普通レベルの物件運営でも利回りは向上するこのようにして苦労して手に入れた物件ですが、当時の満室賃料収入は44万円/月で、表面利回りは9.8%でした。当時からかなり良い利回りでしたが、これは売り主さんが売り急いでいたため、割安で購入できたことが要因です。さて、投資物件としての運営を始めると、いろいろとあらが目に付いてきます。まず売り主さんはあまり原状回復工事に積極的ではなく、内装等に汚れが目立っていたため、賃料は周辺よりもかなり低い水準でした。普通レベルの工事をするだけで賃料を上げることができました。さらに他の物件を売却して利益が出た年度に、節税目的で大規模修繕を行いました。この工事のおかげで入居者確保がさらに容易になりました。そして現在の賃料収入は56万円/月で、表面利回りは12.4%まで上昇しています。仮に売却すれば約1億円の利益この物件は希少立地にあるため、私としては永久に保有する予定です。売却意思はないのですが、購入時と現在の価値を算出してみました。まずは路線価です。2012年は32万円/m2でしたが、2020年には60万円/m2にまで上昇しています。8年間で約2倍になりました。建物の築年数が増したものの、銀行評価は主に土地に対して行われるので、積算価格は約2倍になったことになります。そして、現在の周辺エリアでの流通利回りは約5%です。収益還元法で簡易的に計算すると、1億3,440万円の評価となります。もちろん、築33年なので法廷耐用年数は20年となり、多少割り引かれた物件評価となりますが、この程度の価格であればいつでも売却できる可能性が高いことは非常に安心感があります。さらに所有している9年間で得られた賃料収入は、経費を控除すると約1,800万円です。大規模修繕費用500万円を控除しても、この物件を所有することで1,300万円を得たことになります。そして2021年3月末の融資残高は約3,000万円で、9年間で1,500万円を返済しました。現時点の実質的残債は1,700万円なので、仮に売却すれば約1億円の利益を手にすることができます。このような物件をいくつか所有していると、人生の幅が広がることは容易に想像できることでしょう。もちろん、経験値がなければ今回のような芸当はできませんが、これまで見てきたように私は特殊なことをしたわけではありません。「適切なタイミング」で、「適切な立地と価格の物件」を購入しただけです。たったそれだけのことで、大きな利益を得ることができるのが不動産投資の醍醐味なのです。

14199.

「ボルヒール」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第47回

第47回 「ボルヒール」の名称の由来は?販売名ボルヒール®組織接着用一般名(和名[命名法])人フィブリノゲン、人血液凝固第XIII因子、アプロチニン液、トロンビン(JAN)、塩化カルシウム水和物(JAN)効能又は効果組織の接着・閉鎖(ただし、縫合あるいは接合した組織から血液、体液または体内ガスの漏出をきたし、他に適切な処置法のない場合に限る。)用法及び用量フィブリノゲン凍結乾燥粉末(バイアル1)をフィブリノゲン溶解液(バイアル2)全量で溶解し、A液とする。トロンビン凍結乾燥粉末(バイアル3)をトロンビン溶解液(バイアル4)全量で溶解し、B液とする。溶解した両液の等容量を接着・閉鎖部位に重層又は混合して適用する。通常、10cm2あたりA液B液各々1mLを適用する。なお、接着・閉鎖部位の状態、大きさなどに応じて適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)禁忌(次の患者には適用しないこと)1.本剤の成分又は牛肺を原料とする製剤(アプロチニン等)に対し、過敏症の既往歴のある患者2.下記の薬剤による治療を受けている患者凝固促進剤(蛇毒製剤)、抗線溶剤※本内容は2021年4月14日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2021年1月改訂(第14版)医薬品インタビューフォーム「ボルヒール®組織接着用」2)KMバイオロジクス株式会社:医療用医薬品

14200.

第53回 まだまだ続く日医工自主回収、ジェネリックが再び「ゾロ」と呼ばれる日

「日医工から変更 都内薬局の8割」こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は東京都の「まん延防止等重点措置」適用を前に、久しぶりに奥多摩の山に行ってきました。奥多摩湖から御前山、鋸山、奥多摩駅というやや長いコース。ちょうどカタクリの花がシーズンで、いつもは人気がそれほどない山がそこそこ混雑しており、外国人のパーティも結構いました。六本木で遅くまで飲めないストレスが山に向かわせているのかもしれませんね。さて、今回はだらだら1年も続いている日医工の自主回収の話を取り上げます。2020年4月7日の12成分15品目の自主回収(クラスII)を皮切りに、2021年2月までにアレルギー性鼻炎薬、胃腸薬、糖尿病薬など合わせて75品目の製品の自主回収を繰り返したジェネリックの大手メーカー・日医工。4月10日付の朝日新聞朝刊は「日医工から変更 都内薬局の8割」という記事で、東京都薬剤師会が会員薬局に調査した結果を報じています。医師の「後発医薬品への変更不可」指示も増える傾向?同記事によれば、「86%が同社から他社製品に切り替えたと回答した」とのことです。1年間にわたり、自主回収の嵐に翻弄された現場の薬局や薬剤師の怒りが表れた結果と言えるでしょう。この調査は、東京都薬剤師会が3月13日〜31日に会員3,756人を対象に行ったものです(回答者は2,530人)。日医工製品への対応については「すべて他社製品に変更した(する予定)」が28%で、「一部のみ変更」を加えると86%に上っています。さらに、「将来においても採用しない」という厳しい回答も25%もあったそうです。調査では患者からの反応についても聞いているのですが、ジェネリック薬への不信感を抱いた患者から「先発医薬品への変更を求められた」との回答が25%と高くなっていました。薬局だけでなく、病院においても日医工製品の採用を再検討するところも出てきているようです。例えば、3月15日付の日刊薬業は「徳洲会(全国71病院)が、採用している日医工製品の一部切り替えの検討を始めている」と報じています。また、ある薬局関係者から聞いた話ですが、近隣の医療機関から発行される処方箋で、銘柄名処方で変更不可欄にチェックがある(後発医薬品への変更不可)ものが増えている、とのことです。変更不可が極端に増えると、後発医薬品調剤体制加算の算定にも影響が出てきます。日医工の事件は、単に医薬品流通を混乱させ、後発医薬品全体の評判を落としただけでなく、薬局の経営そのものにも影響を及ぼしかねない事態となっているようです。業務停止命令中も国が立ち入り調査しかし、この自主回収事件。新型コロナ感染症の感染拡大がなかったら、もっと大きな問題になっていたでしょう。不適合となった錠剤を砕いて製造し直していた、とのことですが、カップ麺やお菓子などの食品製造で同じことをしても大問題になりそうです。それを命や健康に関わる薬でやっていたのですから…。日医工の一連の回収のきっかけとなったのは、富山県が2020年2月に行った同社の富山第一工場(主に経口剤の生産拠点)への事前通告なしの抜き打ち査察でした。その後、PMDA(医薬品医療機器総合機構)から「富山第一工場での製造や品質管理に問題がある」との指摘を受け、社内調査を実施。出荷試験で「不適合」となった製品について別のロットで再試験を行ったり、国から承認されている工程と異なる工程で製造(品質試験で不適合となった錠剤を砕いて製造し直す等)した製品があったりしたことが判明し、一連の自主回収につながりました。今年3月には医薬品医療機器法に基づき同社の富山第一工場の製造業務を32日間、同社の販売業務を24日間(いずれも3月5日より)停止する命令が下されました。この業務停止期間中の3月24日、厚労省と富山県は合同で富山第一工場に医薬品医療機器法に基づく立ち入り調査に入っています。業務停止命令中に国が立ち入り調査を行うのは、極めて異例のことでした。自転車操業で収益確保の後発医薬品メーカー睡眠導入剤の成分を経口抗真菌薬に混入させ、死亡者2人を出した福井県の小林加工も2021年2月に116日間の業務停止命令を受けています。相次ぐ後発医薬品メーカーの不祥事は、企業のずさんな製造や品質管理が最大の問題と言えますが、後発品を製造する企業が置かれた環境にも原因がありそうです。国は医療費削減のため後発品の使用促進を強力に推し進めてきました。しかし、一方で診療報酬の改定財源などの確保のため薬価は下げ続けており、業界自体が「薄利多売」という構造的な問題を抱えています。後発薬の薬価は、はじめは先発品の5割程度ですが、薬価改定のたびに引き下げられます。使用量そのものは国の施策に乗って増大の一途ですが、価格はどんどん下るので、まさに自転車操業のように新しい後発医薬品を発売し続けないと収益が確保できないのです。日医工は近年、アステラス製薬子会社の工場、エーザイの後発薬子会社、武田テバファーマの後発品事業などを次々と買収、積極的に規模拡大を行っていました。そうした急速な規模拡大に、製造部門や管理部門の体制がついていけなかった、との指摘もあります。使用促進策を背景に「ゾロ」から「ジェネリック」にイメチェンしたものの後発医薬品は、かつて「ゾロ」と呼ばれ、「安かろう悪かろう」と言われていました。私が記者になった当時は「先発品しか使わない」という医師が普通にいました。しかし、2000年代以降、国が後発医薬品の使用促進策を本格化、診療報酬・調剤報酬などにより政策誘導が行われ、その使用率は着実に伸び、先発医薬品信奉も薄れていきました。エポックメーキングだったのは、2008年度の診療報酬改定です。この改定では「処方せん様式」が変更され、医師が「後発医薬品への変更不可」欄に署名しない場合、薬局は長期収載品から後発医薬品に切り替えることが可能となり、さらに患者に同意を得れば処方医に確認することなく、別銘柄の後発医薬品が調剤できるようになりました。薬局での使用率を高めるための調剤基本料の後発医薬品調剤体制加算もこのとき新設されました。こうした医療機関や薬局に対する経済誘導や、高橋 英樹や黒柳 徹子といった大物芸能人を起用した後発医薬品メーカーのCMなどの影響もあり、後発医薬品は「ゾロ」ではなく「ジェネリック(一般的な薬)」として、日本でも定着してきたのです。業務停止処分明け直後にまたまた自主回収そこに起こった日医工や小林化工の事件。「やっぱりゾロはだめだな」といったイメージを少なからぬ医師や薬剤師に改めて植え付けたのではないでしょうか。なんと言っても、日医工は沢井製薬と並ぶ後発品のトップメーカーです。それなのにこの体たらくでは、他のメーカーは大丈夫か、となっても不思議ではありません。とは言え、国は医療費削減のための手段である後発医薬品の使用促進策を推し進めて行くのは間違いありません。薬局も経営のために後発医薬品の使用割合を保持し続けるでしょう。後発医薬品使用割合については、2017年6月の閣議決定で2020年9月までに数量ベースでの使用割合80%達成の政府目標を掲げ、2020年9月時点の使用割合は78.3%となっています。一方、医師側は、医薬分業が進んだ結果““薬を手放し””てしまっていますから、薬局ほどがつがつと後発医薬品にこだわる必要がありません。冒頭で紹介したように、「少々お金はかかるが、この薬は患者のためにもゾロはNG」というトレンド、すなわち「後発医薬品への変更不可運動」が生まれてくる可能性は否定できません。厚生労働省が今回の事件の反省点を、後発医薬品の使用促進策などの政策の中にどう落とし込むか(あるいは無視するか)が注目されます。とここまで書いてきたら、また日医工の自主回収のニュースが入って来ました。4月8日、同社がオロパタジン塩酸塩OD錠5mg「日医工」と、レボセチリジン塩酸塩錠5mg「日医工」の2品目の自主回収(いずれもクラスII)を開始したと発表したのです。長期安定性試験において溶出性試験が承認規格に適合しない結果が得られたというのが理由で、いずれも富山第一工場で製造した製品とのことです。同社は業務停止処分が明け、4月6日から業務再開したばかり。その6日には日本経済新聞朝刊に一面広告を出し「日医工グループの品質行動指針」を公表、「安心と信頼を届けていきます」と宣言しています。これだけ立て続けに事件を起こしたら、普通ならば社長は辞任するものですが、日医工の社長(2代目のワンマン社長と言われているようです)は今のところ辞める気配はありません(小林化工の社長は3代目で、社外から新社長を招聘するとの報道があります)。日医工の自主回収問題、1年経っても回収は収まらず、その余波は続きそうです。

検索結果 合計:35655件 表示位置:14181 - 14200