サイト内検索|page:71

検索結果 合計:35623件 表示位置:1401 - 1420

1401.

内視鏡鎮静に新たな選択肢、レミマゾラムが覚醒時間を半減/ムンディファーマ

 2025年6月、短時間作用型ベンゾジアゼピン系鎮静薬レミマゾラムベシル(一般名:レミマゾラム、商品名:アネレム)の新規格である20mg製剤が消化器内視鏡診療時の鎮静を効能・効果として新規に承認され、既存の50mg製剤も追加承認を取得した。50mg製剤は2020年に全身麻酔の導入・維持を適応として承認されていたが、今回の承認により、消化管内視鏡時の鎮静用途において、国内初のベンゾジアゼピン系薬剤として保険適用を取得した。これを受け、ムンディファーマは9月19日、「消化器内視鏡診療における鎮静の重要性について」と題したメディアセミナーを開催した。北里大学病院 内視鏡センター長の池原 久朝氏が登壇し、内視鏡検査の現状と新薬の臨床的意義について講演した。内視鏡受診を阻む苦痛と不安、従来薬は転倒リスクも【池原氏】がんは依然として日本人の死因の第1位であり、とくに胃がん、大腸がんの早期発見は内視鏡検査に依存する部分が大きい。にもかかわらず、検診受診率は欧米諸国に比べ低水準に留まる。この背景には、検査時の苦痛、恥ずかしさ、鎮静薬に対する不安などがあるとされる。これまで、日本の臨床現場における内視鏡検査の鎮静には、ミダゾラムやプロポフォールなどの薬剤を適応外で用いてきた。ただ、これらは鎮静からの回復に時間がかかり、リカバリールーム不足による検査数の制限や、高齢者の転倒リスクの要因となっていた。検査・処置の双方で鎮静効果を証明 今回のレミマゾラム承認の根拠となったのは、私たちが行った複数の医師主導治験だ。もともと鎮静薬は価格が安く、適応外使用の薬剤であっても保険適用となる現状があり、なかなか企業主導治験が組みにくい状況だった。私たちが論文から見つけたレミマゾラムはその有効性が期待できるものだったが、臨床現場で広げるためには、臨床試験で有用性を証明し、正面突破で保険承認を得るしかないと考え、医師主導治験に踏み切った。 最初に行った用量探索試験では、日本人に対しては、米国で承認されている7mgの半量以下の3mgで効果があることがわかった。その後、内視鏡検査目的として上部・下部消化管内視鏡を対象に、プラセボ対照ランダム化二重盲検試験を実施。上部では92%、下部では95%の鎮静成功率を示した。続く内視鏡処置を対象とした試験では、早期胃がんの内視鏡的粘膜切除術、大腸ポリープ切除、胆道結石摘出、小腸内視鏡など多様な処置を対象に実施し、62例で98%の処置成功率を達成した。いずれの試験でも重篤な有害事象は認めなかった。特筆すべきは「覚醒の速さ」 レミマゾラムの特徴は、なんといっても超短時間作用型である点だ。投与後速やかに鎮静導入が得られ、検査終了後は5~9分程度で歩行可能なレベルにまで覚醒する。従来の薬剤では検査終了から30分程度のリカバリー時間が必要だったが、これが半分以下にまで短縮する。具体的には、これまで1人当たり1時間かかっていた外来の内視鏡検査が30分で終わるイメージだ。実際、北里大学病院における鎮静ありの内視鏡検査はこれまで35~50%程度だったが、レミマゾラム導入後は急速に増加している。覚醒の速さでリカバリールームの回転率が改善し、より多くの患者に鎮静を提供できる環境が整ったためだ。とくに炎症性腸疾患(IBD)患者など定期的に内視鏡検査が必要な患者では、苦痛の少ない検査が継続受診率を高め、長期の予後改善に寄与することが期待できる。追加の臨床試験も進行中 今回承認されたレミマゾラムは、日本の内視鏡診療を「苦痛を伴う検査」から「快適で継続しやすい検査」へ転換する「ゲームチェンジャー」になり得る薬剤だ。患者の心理的障壁を取り除き、検診受診率を高めることは、胃がん・大腸がんの早期発見・治療に直結する。現在、検査後に車の運転が可能かを検証する追加の臨床試験を進行しており、車での来院者が多い地方の医療機関・患者にとっては重要なポイントになるだろう。市販後の全例調査を含め、本薬剤を臨床現場に広げるためにデータをさらに蓄積していく予定だ。

1402.

献血前のカフェイン摂取が赤血球の質に影響か

 コーヒーの摂取は献血された血液の質に悪影響を与える可能性のあることが、新たな研究で示された。献血された血液に高濃度のカフェインが含まれていると、赤血球は保存中に損傷を受けやすくなることや、カフェインを多く含んだ血液を輸血すると、輸血後のヘモグロビン濃度の増加が抑制されることが明らかになったという。ヘモグロビンは赤血球内のタンパク質で、酸素を運び二酸化炭素を除去する役割を担っている。米コロラド大学医学部のAngelo D’Alessandro氏らによるこの研究結果は、「Haemotologica」に9月4日掲載された。 研究グループは、「米国人の75%が定期的にカフェインを摂取していることを考えると、本研究結果は、米国の血液供給の質に関して重要な疑問を投げかけるものだ」との見方を示している。D’Alessandro氏は、「カフェインが脳や中枢神経系に影響を及ぼすことは以前から知られていたが、赤血球の生物学に及ぼす影響を示した大規模研究は、今回の研究が初めてだ。これらの結果は、朝の1杯のコーヒーのようにありふれたものが、保存された血液の質と患者に輸血された際のその機能に重要な影響を及ぼす可能性があることを示唆している」とコロラド大学のニュースリリースで述べている。 今回の研究でD’Alessandro氏らは、REDS RBC-Omics研究に参加した1万3,091人の献血者データを解析し、カフェインが赤血球の保存品質に与える影響を調査した。 その結果、血液中のカフェイン濃度が高い献血者では、グルコースをエネルギー(アデノシン三リン酸〔ATP〕)に変換する主要な代謝経路である解糖系の活性低下、総アデニル酸プール(体内のATP、ADP〔アデノシン二リン酸〕、AMP〔アデノシン一リン酸〕の総和)や2,3-ビスホスホグリセリン酸(2,3-BPG)の減少、酸化ストレスや浸透圧脆弱性の増加などが確認され、赤血球の代謝が乱れることが明らかになった。また、血液中のカフェイン濃度が高い献血者由来の赤血球は、溶血の増加や輸血後のヘモグロビン増加量の低下と関連することが示された。これらの所見は、特に、低酸素状態で赤血球代謝を調節する遺伝子であるADORA2b遺伝子によく見られる多型を有する献血者で顕著に認められた。 現在、ヨーロッパのいくつかの国では、献血者に献血前のカフェイン摂取を制限するよう勧めているが、米国では積極的には推奨されていないという。カフェインは血圧を上昇させて血管を拡張させるため、献血者からの採血を容易にする可能性があると研究グループは述べている。D’Alessandro氏は、「しかしこの利点と、カフェインが持つ軽度の利尿作用による脱水リスクとのバランスを考える必要がある」と指摘している。 本研究ではまた、ヒトで認められた結果が、マウスモデルを用いて検証された。その結果、解糖系の活性低下などヒトで見られたカフェインの影響が再現された。また、カフェインは、赤血球の代謝に関与するG6PD(グルコース-6-リン酸脱水素酵素)の活性とADORA2B受容体の活性化を阻害することが示された。 研究グループは、これらの知見が、カフェイン摂取によって赤血球で酸化ストレスが増加することが逆説的に運動中の代謝的適応を促進し、その結果として運動やスポーツのパフォーマンスが向上する理由を説明する手がかりになるかもしれないと指摘している。

1403.

ネット上の血圧測定の写真の多くが間違った測り方を示している

 家庭血圧を測定しようとする人の中には、インターネットの画像検索で測定方法を知ろうとしている人がいるかもしれないが、新たな研究によると、その調べ方は要注意なようだ。ネット上に存在する血圧測定シーンの写真の大半が、正しい測定方法を示していないとする論文が、「Hypertension」に9月8日掲載された。 この研究は、ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のAletta Schutte氏らによるもので、ネット上にある血圧測定写真のうち、正しい測り方を示した写真は7枚中1枚に過ぎないことが明らかになった。論文の上席著者である同氏は、「半分程度は正確な測定法を示しているだろうと考えていたが、結果は予想よりも悪かった。人々は、文章の説明よりも画像の方をよく覚えている傾向がある。これは画像優位性効果と呼ばれるものだ。ネット上の誤った血圧測定画像は、この効果を介して、公衆衛生に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と語っている。 研究者らによると、近年は家庭血圧測定の重要性が高まっており、臨床ガイドラインでは家庭血圧のデータを患者と医師で共有し、血圧管理を進めることが推奨されているという。それにもかかわらず、家庭血圧計を持っている人の中で、「正しい測定方法を教わったことがある」と回答したのは5人に1人にも満たないという報告があり、多くの人はネット情報を頼りにしているのが実情のようだ。 Schutte氏らの研究では、11種類の画像検索サイトで「血圧測定」という用語で検索をかけ、ヒットした1,100枚以上の写真を分析した。その結果、正しい方法で測定している画像は、わずか14%だった。臨床ガイドラインと照らし合わせると、主に以下のような点が誤りと判断された。・背筋を伸ばして椅子に座っていない(73%)・前腕全体を平らな面やテーブルの上に置いていない(55%)・上腕式電子血圧計ではなく、手動ポンプ式の血圧計を用いている(52%)・足を床に着けずに、ぶらぶらさせている(36%)・腕の中央を心臓と同じ高さにしていない(19%)・測定中に会話をしている(18%)・足を組んで座っている(13%)・測定用のカフを衣服の上から巻いている(12%)・座位ではなく、立ったり横になったりして測定している(5%) 興味深いことに、家庭血圧の測定シーンよりも、診察室内での医療従事者による測定シーンの方が、正しい写真が少なかった。具体的には、前者は約25%が正確だったのに対し、後者はその割合が約8%だった。Schutte氏によると、大学や著名な医療機関のサイトでさえ、不正確な画像を使用しているとのことだ。同氏は、「不正確な測定方法では、真の血圧値より高すぎたり低すぎたりする結果が表示されるため、誤った血圧管理に陥る危険がある」と警告している。

1404.

ダイキンの空気清浄機が有能という論文【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第291回

ダイキンの空気清浄機が有能という論文ダイキン工業といえば、暖房や冷房だけでなく“空気の質”の改善を掲げてきた会社です。喘息診療に携わる者として興味深いのは、家庭内の微粒子が実際にどこまで症状や肺機能に影響するのかという点です。Hamada S, et al. Effects of Daikin air purifiers on asthma control and pulmonary function: A multicenter, single-arm, observational pilot study. Respir Investig. 2025;63:1078-1084.この研究は、家庭用のHEPAフィルタ搭載空気清浄機、具体的にはダイキン工業のMCK704ABKを用いて、粒子状物質(PM)と喘息患者さんにおける臨床指標の短期的変化を評価した単群前後観察のパイロット研究です。18例を対象に、まず「設置のみ(運転なし)」の1ヵ月、その後に「連続運転」の1ヵ月を比較し、屋内PM1/2.5/10や外来での肺機能、症状スコア、呼気一酸化窒素濃度、末梢血の好酸球比率などを計測しています。対象の中央値年齢は64歳、女性が66.7%でした。空気清浄機を置くことで、家庭内PMが低下しました。代表的なPMであるPM2.5は中央値で4.6μg/m3から1.4μg/m3へと有意に減少し(p=0.00042)、PM1やPM10も同様の低下を示しました。これに対応して、臨床アウトカムのいくつかにも統計学的有意差が観察されています。具体的には外来で測定した1秒量中央値は2.0Lから2.1Lへと増加しました(p=0.041)。症状を示す自己記入式スコア(CAAT)は6.9から5.0へと改善しました(p=0.011)。また末梢血好酸球比率は2.6%から1.6%へ低下しました(p=0.0060)。一方で呼気一酸化窒素濃度や総IgEなどには有意な変化はみられませんでした。「ダイキンの空気清浄機、有能じゃん」という結果といえますが、たとえば報告されている1秒量変化の中央値は40mL(IQR −22.5〜112.5)であり、臨床的意義のある最小差とまではいえません。また、サンプルサイズが小さく、観察期間も各1ヵ月と短いため、交絡因子は完全に排除できていません。また、この研究の注意点としてダイキン工業の社員がオーサーとして入っている点などがあります。とはいえ、屋内PMの低下自体は事実であり、屋内環境の改善が喘息管理の一助となる可能性は高いと考えます。サブ解析では、アレルゲン感作陽性の患者で1秒量が改善しやすい傾向があり、屋内トリガーが明らかな家庭では空気清浄機の導入が有益かもしれません。

1405.

第282回 次期総裁選目前!候補5人の公約を徹底比較

INDEX小泉 進次郎氏 神奈川11区・6期小林 鷹之氏 千葉2区・5期高市 早苗氏 奈良2区・10期林 芳正氏 山口3区・2期(参院・山口選挙区5期)茂木 敏充氏 栃木5区・11期7月の参院選で連立する公明党と合わせても過半数を維持できなかった自民党。1955年の結党以来、衆参両院とも自民党が属する側が過半数を割ったのは初のことであり、以来、首相である石破 茂氏の退陣を求める、いわゆる石破おろしの動きが浮上し、党内が荒れていた。しかし、9月7日に石破氏が自民党総裁辞任を発表したことで、自民党は一気に総裁選モードに移行した。9月22日に告示された総裁選には昨年も出馬した5人が再度顔をそろえた。50音順で小泉 進次郎氏(44)、小林 鷹之氏(50)、高市 早苗氏(64)、林 芳正氏(64)、茂木 敏充氏(69)。派閥解消の影響もあってか石破氏とこの5人を含む合計9人が出馬した昨年の総裁選では、全候補の社会保障、医療・介護政策を前編と後編に分けて紹介した。ということで、今回は再挑戦した5人の社会保障、医療・介護政策を前回マニフェストとの比較も含め、独断と偏見の評価も交えながらお伝えしたい。小泉 進次郎氏 神奈川11区・6期言わずと知れた、自民党内で一時「変人」と呼ばれた元首相・小泉 純一郎氏の次男である。閣僚経験は環境相、内閣府特命担当相(原子力防災担当、気候変動担当)、農林水産相で、一見すると厚生労働行政には縁もゆかりもないように見えるが、実は2018年に自民党厚生労働部会長を経験している。前回の総裁選は党刷新を前面に出したためなのか、今の日本では最重要課題と言っても過言ではない少子高齢化に伴う社会保障制度関連の政策は、マニフェスト上皆無というぶったまげたことをやってのけた御仁である。今回は「立て直す。国民の声とともに」というキャッチフレーズの下、大項目として7つの政策を打ち出した。そのうち3番目で以下のような社会保障関連、医療・介護政策に言及している。3. 社会保障・教育子供から子育て世代、お年寄りまで、すべての世代が安心できる、全世代型社会保障制度を実現する。そのために、与野党協議を真摯に進める医療・介護・保育・福祉・教育など公的分野で働く方々の物価上昇を上回る処遇改善の実現率直に言ってどちらも目新しさはない。処遇改善は自民党内外を問わずに多くの政治家や政党が掲げる政策でもある。前者の全世代型社会保障制度も現状路線の維持だが、こと小泉氏にとっては別の意味も持つと言える。というのも、現在の全世代型社会保障制度という概念の下、定着しつつある改革の方向性として「年齢ではなく経済力に応じた負担」を自民党として打ち出したのが、まさに小泉氏が党厚生労働部会長時代であり、なおかつ彼自身がこの方向性の主導者と言われているからである。なお、大項目「5.防災・治安対策」では、昨今の保守層を中心に話題となりがちな外国人問題について言及しているが、小泉氏自身のホームページではより具体的に「医療保険制度などの制度の不適切利用の是正」を掲げている。ここからは党内でも比較的リベラルと受け止められている小泉氏が支持のウイングを広げようとしている様子がうかがえる。小林 鷹之氏 千葉2区・5期前回の総裁選で彗星のごとく登場した小林氏。大蔵省(現・財務省)に入省し、在米日本大使館赴任時代の民主党政権下で日米関係が崩壊していく様子を目の当たりにした危機感から政治家を志したという。こうした経緯もあってか、今回の5人の中では高市 早苗氏と並んで保守色の強い政治家である。総裁選のキャッチフレーズは「挑戦で拓く 新しい日本」。この下で5つの主要政策項目を掲げている。社会保障関連、医療・介護政策は以下のようなものだ(数字は小林氏の政策マニフェストで記載された順番。◇は中項目)。1. 力強く成長するニッポン◇現役世代の社会保険料負担軽減医療DXの推進、重複の解消・予防インセンティブの導入、保険適用範囲の見直しなどについて、「社会保障国民会議」を設置し、国民皆保険・社会保障制度の持続など国民の安心を守りながら包括的改革◇デフレから成長経済への移行期対策医療・看護・介護等公定価格分野での人材確保・処遇改善2. 自らの手で守り抜くニッポン◇医療安全保障ドラッグラグ・ロス問題の解消原薬およびサプライチェーンの外国依存からの脱却ワクチン・診断薬・治療薬などの感染症危機対応医薬品の開発・確保の強化3.結束するニッポン◇少子化対策・こども政策出産体制確保と負担軽減の両立「ニッポン」を連発するところが保守色の強い小林氏らしさとも言える。政策の中にある「社会保障国民会議」については、前回の総裁選では「社会保障未来会議(仮称)」としていた。「現役世代の社会保険料負担軽減」は前回の総裁選とほぼ同じ政策である。前回はより給付削減を打ち出していた。また、予防インセンティブは、参院選での参政党の政策を彷彿とさせる。具体策までは踏み込んでいないが、東大から財務省というリアルな政策の場を渡り歩いてきた小林氏が、このインセンティブ政策の細部設計でさすがに参政党レベルはあり得ないだろうとは思うが、どのような構想を持っているかは個人的に興味があるところだ。「デフレから成長経済への移行期対策」は今回新たに登場したが、小泉氏のところで触れたように目新しさはない。2では新たに「医療安全保障」というワードを繰り出してきた。正直、その意味するところがわかるようなわからないような…。また、ここに書かれた各項目は、やはり保守政治家らしいと言えるが、以前から私自身は繰り返し言っているように、創薬、医薬品サプライチェーンのボーダレス化が進んでいる中では空疎にしか見えない。言っちゃ悪いが、保守層受けの良い政策を無機質に並べたようにも映る。ちなみに前回はゲノム創薬の強化を打ち出していたが、今回はその項目は消えている。また、同じく前回は「医師・診療科の偏在是正」や「医療法人改革」を掲げていたが、これも今回のマニフェストからは消えた。高市 早苗氏 奈良2区・10期前回総裁選の1回目投票で1位となりながら、決選投票で石破氏に敗れた高市氏。無所属で国会議員となり、そこから自由党(党首・柿澤 弘治氏)→自由改革連合(代表・海部 俊樹氏)→新進党(党首・海部 俊樹氏)→自民党と渡り歩き、自民党内で5度の閣僚経験、党三役の政調会長を務めたバルカン政治家である。今回のマニフェストキャッチフレーズは「日本列島を、強く豊かに。」である。マニフェストの大項目は5つだが、その大部分を1番目が占めている。社会保障、医療・介護領域の政策もすべてここに含まれている。中身は以下の通りだ。1.大胆な『危機管理投資』と『成長投資』で、『暮らしの安全・安心』の確保と『強い経済』を実現。◇経済安全保障の強化と関連産業の育成経済安全保障に不可欠な成長分野(AI、半導体、ペロブスカイト・全固体電池、デジタル、量子、核融合、マテリアル、合成生物学・バイオ、航空・宇宙、造船、創薬、先端医療、送配電網、港湾ロジスティクスなど)に、分野毎の官民連携フレームワークにより積極投資を行ない、大胆な投資促進税制を適用◇健康医療安全保障の構築地域医療・福祉の持続・安定に向け、コスト高に応じた診療・介護報酬の見直しや人材育成支援「攻めの予防医療」(がん検診陽性者の精密検査・国民皆歯科健診の促進等)を徹底することで、医療費の適正化と健康寿命の延伸を共に実現ワクチンや医薬品については、原材料・生産ノウハウ・人材を国内で完結できる体制を構築再生・細胞医療、遺伝子治療分野、革新的がん医療、認知症治療等に係る研究開発と社会実装を促進長年の取組で実現した「女性の健康」ナショナルセンター機能の構築を推進この政策をざっと眺めると、小林氏とかなり相似性が高いことがわかるだろう。とくに「健康医療安全保障」という造語などが代表的だ。むしろ文言上の政策は高市氏のほうが充実していると言えるかもしれない。「コスト高に応じた診療・介護報酬の見直し」などは、ウクライナ戦争に端を発した物価高により経営難にあえぐ医療機関・介護施設の経営者にとっては首が振りきれるほど頷く政策だろう。一方で小林氏のところでも指摘した予防医療の推進とワクチン・医薬品の国産化については、個人的には「ふーん」という感じである。予防医療自体は悪いことではないが、そのコスト・パフォーマンスの悪さは医療現場に身を置く人なら誰しもが気付いていることだろうし、ワクチン・医薬品の国産化については前回の小林氏の政策のところで述べたとおりだ。一言で言うならば、「現場を知らないのだろう」という印象である。ここで高市氏と小林氏の政策についてまとめて言及すると、私個人は社会保障とは国家の存立基盤の1つであり、経済成長の有無とは関係なく持続性を持つものでなければならないと考えている。その前提に立つと、この分野の政策ほぼすべてが経済成長を視野に入れて立案されていることには、かなり違和感がある。林 芳正氏 山口3区・2期(参院・山口選挙区5期)石破内閣では内閣官房長官を務めたが、5人の候補者の中では地味めである。もっとも参院議員として4度も入閣をしたのは戦後、林氏ただ1人である。また、総裁選出馬は今回が3度目で、1回目は参院議員時代の2012年。自民党総裁選で推薦人制度導入以降に参院議員が名乗りを上げたのも林氏が初。失礼を覚悟で言えば、見た目以上に“武勇伝”がある人物なのである。今回の総裁選では「経験と実績で未来を切り拓く」をキャッチフレーズに掲げた。前回は「人にやさしい政治。」で、いずれもやはり地味である。また、余談を言うと、今回の総裁選で使っている本人の写真は右手でガッツポーズしたスタイルである。率直に言うと、このポーズは地方選挙での新人候補のポスターでこそよく見かけるパターンだが、ベテラン政治家ではあまり見かけないアピールパターンである。さてマニフェストは「林よしまさが掲げる政策 林プラン」と題したもので、大項目は6項目。その1番目と3番目に関連政策の記述がある。以下のような内容である。1.経済対策・成長戦略・教育改革創薬力の強化3.社会保障・福祉医療・介護・福祉人材の大幅な処遇改善生涯を通じた歯科検診(国民皆歯科健診)に向けた具体的取組医師・看護師確保対策経済政策としての創薬力強化は、実は岸田政権時の「創薬エコシステムサミット」開催以来の政策であり、林氏がかつて岸田派だったことを考えれば、むしろ自然な流れと言える。次なる社会保障・福祉の項目内は、ざっと見ればごくごくありきたりなモノばかりである。ちなみに国民皆歯科健診は高市氏も掲げているが、実は従来から自公政権下での骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)に記載されており、石破政権期の国政選挙の政策集にも組み込まれている。一方で、医師・看護師確保対策の具体的な記述はないが、前回の総裁選では「医師の偏在是正」「大学病院の派遣機能強化」も掲げていた。今回はこの2つの記述はないが、おそらく医師・看護師確保対策という文言に含まれているのだろう。そして直接の社会保障、医療・介護政策ではないが、私個人は大項目5番目「党・政治・行政改革」に記載された「現行の1府12省庁体制の検証、省庁再々編に向けた議論」が目に留まった。省庁再々編を議論する場合、似て非なる業務を行う旧厚生省と旧労働省を無理やり一つにした、半ばユニットバスのような厚生労働省が真っ先に的になることは必然。林氏だけでなく、そのことを視野に入れている勢力は自民党に一定程度いるのだろうと改めて認識させられた。茂木 敏充氏 栃木5区・11期もともとは旧日本新党出身という“外様”ながら、経済産業相、外相という重要閣僚、幹事長という自民党4役の要を経験し、さらには旧田中派・経世会に源流を持つ自派閥(旧茂木派)まで有していた茂木氏。今回の総裁選では真っ先に出馬に名乗りをあげた。マニフェストのキャッチフレーズは「結果を出す」。この下で実行プランと称する6つの大項目を掲げている。その最後に社会保障関連について以下のように言及している。●国家、国民を守り抜く◇社会保障、外交そして憲法改正で安心安全な国づくり負担能力に応じた誰もが安心・納得の社会保障制度の確立基本的に小泉氏と同じ全世代型社会保障制度を支持しているスタンスである。前回総裁選では、デジタル活用による負担と給付の透明化や在職老齢年金制度の見直しまで訴えていた。おそらくこの辺は本質的に変更してはいないのだろうが、高齢層から反発が予想される内容だけに文言上今回はかなりマイルドにしたのかもしれない。さてここまで5人の政策を評価したが、どうやら総裁選そのものの情勢は小泉氏vs.高市氏の2強対決に林氏が3番手に絡み票を伸ばしている状況らしい。とくに小泉陣営では、週刊文春が報じた「やらせ応援メッセージ書き込み依頼事件」もあり、それによる失票が林氏に回っている構図のようだ。いずれにせよ来週にはもう自民党総裁、いわば総理大臣最有力候補が決定している。結果はいかに?

1406.

生存時間分析 その4【「実践的」臨床研究入門】第58回

Cox比例ハザード回帰モデルによる交絡因子調整の実際前回まで、筆者らが出版した臨床研究の事例論文をもとに、Cox比例ハザード回帰モデルによる交絡因子の調整の考え方を解説しました。今回からは、われわれのResearch Question(RQ)をCox比例ハザード回帰モデルの数式(連載第57回参照)に当てはめて考えてみます。アウトカムは「末期腎不全(透析導入)」であり(連載第49回参照)、生存時間分析においては、打ち切りの概念を含んだイベント発生の有無のデータに加え、at riskな観察期間のデータが必要でした(連載第37回、第41回参照)。Censor:イベント発生の有無(イベント発生=1、打ち切り=0)Year:at riskな観察期間(連続変数)検証したい要因は、推定たんぱく質摂取量0.5g/kg標準体重/日未満(連載第49回参照)、すなわち「厳格低たんぱく食の遵守」です。交絡因子は以下の要因を挙げています(連載第49回参照)。年齢、性別、糖尿病の有無、血圧、ベースラインeGFR、蛋白尿定量、血清アルブミン値、ヘモグロビン値これらの要因をCox比例ハザード回帰モデルの数式に当てはめると、次のようになります。h(t|treat、age、sex、dm、sbp、eGFR、Loge_UP、albumin、hemoglobin)=h(t)×exp(β1treat)×exp(β2age)×exp(β3sex)×exp(β4dm)×exp(β5sbp)×exp(β6eGFR)×exp(β7Loge_UP)×exp(β8albumin)×exp(β9hemoglobin)=h(t)×exp(β1treat+β2age+β3sex+β4dm+β5sbp+β6eGFR+β7Loge_UP+β8albumin+β9hemoglobin)treat:厳格低たんぱく食の遵守の有無(あり=1、なし=0)age:年齢(連続変数)sex:性別(男性=1、女性=0)dm:糖尿病の有無(あり=1、なし=0)sbp:収縮期血圧(連続変数)eGFR :ベースラインeGFR(連続変数)Loge_UP:蛋白尿定量_対数変換(連続変数)(連載第48回参照)albumin:血清アルブミン値(連続変数)hemoglobin:ヘモグロビン値(連続変数)βn:各説明変数に対応する回帰係数ここで求めたいのは、検証したい要因である厳格低たんぱく食の遵守の有無を示す変数treatに対応する回帰係数β1の指数変換値exp(β1)です。exp(β1)は、上述のようにモデルに投入したすべての説明変数(交絡因子)の影響を多変量解析で調整したハザード比(adjusted hazard ratio:aHR)を表します。すなわち、交絡因子を調整した後の厳格低たんぱく食遵守群と非遵守群のHRを示します。実際には、これらの回帰係数やaHRはEZR(Eazy R)などの統計解析ソフトを用いて、データ・セットから点推定値と95%信頼区間を推定します。さて、Cox比例ハザード回帰モデルを適用するためには「比例ハザード性」の仮定が必要であることはすでに説明しました(連載第55回参照)。まずはKaplan-Meier曲線を描いて、生存曲線が交差していないことを確認することも解説しました。しかし、「比例ハザード性」の検証には、二重対数プロット(log-log plot)を評価することが必須とされています。それでは、仮想データ・セットからEZRを使用して二重対数プロットを描いてみます。仮想データ・セットをダウンロードする※ダウンロードできない場合は、右クリックして「名前をつけてリンク先を保存」を選択してください。まず、仮想データ・セットをダウンロードし、下記のデータが格納されていることを確認してください。A列:IDB列:Treat(1;厳格低たんぱく食遵守群、0;厳格低たんぱく食非遵守群)C列:Censor(1;アウトカム発生、0;打ち切り)D列:Year(at riskな観察期間)次に、以下の手順でEZRに仮想データ・セットを取り込みましょう。「ファイル」→「データのインポート」→「Excelのデータをインポート」仮想データ・セットがインポートできたら、下記の手順で二重対数プロットを描画します。「統計解析」→「生存期間の解析」→「生存曲線の記述と群間の比較(Logrank検定)」を選択下記のウィンドウが開いたら、以下のとおりにそれぞれの変数を選択してください。観察期間の変数:Yearイベント(1)、打ち切り(0)の変数:Censor群別する変数を選択:Treat層別化変数は選択なし、その他の設定はとりあえずデフォルトのままで、「OK」ボタンをクリックします。画像を拡大するここまでのEZRのGraphic User Interface(GUI)操作ではKaplan-Meier曲線だけが出力されますが、その際に自動生成されるRスクリプトに少し手を加えて、二重対数プロットを出力するという手順になります。Rスクリプトのウィンドウに表示されたコードから、以下の行を探してください。plot(km, bty="l", col=1:32, lty=1, lwd=1, conf.int=FALSE, mark.time=TRUE, xlab="Year", ylab="Probability")このコードの末尾に、二重対数プロットを描画するオプションのコード(fun="cloglog")を加え、またY軸ラベル(ylab)も、わかりやすいようにlog(-log(Probability)に変更します。plot(km, bty="l", col=1:32, lty=1, lwd=1, conf.int=FALSE, mark.time=TRUE, xlab="Year", ylab=" log(-log(Probability))", fun="cloglog")修正したコードをRスクリプトのウィンドウにコピペし、下図のようにカーソルを合わせた状態で「実行ボタン」をクリックします。画像を拡大する下図のような二重対数プロットが描けましたか。各群の曲線を視覚的に確認し、この図のようにおおむね平行であれば「比例ハザード性」の仮定は成立すると判断でき、Cox比例ハザード回帰モデルの適用の妥当性が担保されます。

1407.

アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性

 米国・Ohio State University Wexner Medical CenterのJared Stroud氏らは、アルツハイマー型認知症患者に伴うアジテーションの治療に対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性を検討するため、2つの臨床試験を統合し、事後解析を実施した。Current Medical Research and Opinion誌2025年9月5日号の報告。 軽度から重度の認知機能低下およびアジテーションを有するアルツハイマー病患者を対象とした2つの国際共同無作為化二重盲検試験において、ブレクスピプラゾール(2mg/日または3mg/日)およびプラセボによる治療のデータを統合した。12週間にわたるアジテーション頻度の変化は、Cohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いて測定した。安全性評価には、治療中に発現した有害事象(TEAE)を含めた。本事後解析では、ケア環境(施設入所、非施設入所)、認知機能低下の重症度(軽度/中等度、重度)、併発する行動症状(精神病、うつ病、不安症、易刺激性、睡眠障害)、認知症治療薬(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、メマンチン)、精神疾患治療薬(抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系薬剤)の併用の有無に基づき、臨床的に関連する13のサブグループについて調査した。 主な結果は以下のとおり。・ランダム化サンプル621例の平均年齢は74歳(範囲:55~90歳)、女性は344例(55.4%)、男性は277例(44.6%)であった。・13のサブグループのうち12において、ブレクスピプラゾールは、プラセボと比較し、12週間にわたるアジテーション頻度の減少率において有意な有効性を示した。・ベンゾジアゼピン系薬剤の併用のサブグループは唯一の例外であったが、本結果は症例数が少なかった(71例)。なお、2次解析では、ブレクスピプラゾールの有効性が示された。・ブレクスピプラゾールとプラセボを比較した場合の最も大きな差が認められたサブグループは、抗うつ薬の併用、睡眠障害の併発、精神疾患の併発であった。・TEAEの全体的な発現率は、サブグループ間でおおむね一貫していた。 著者らは「本探索的解析において、ブレクスピプラゾールは、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対し有効であることが、あらためて示唆された」としている。

1408.

肺炎は認知症リスクを高めるか~メタ解析

 肺炎が認知症や認知機能低下のリスクの上昇と関連するかいまだ不明である。今回、中国・Hangzhou Geriatric HospitalのZhen Yan氏らが系統的レビューとメタ解析で検討した結果、肺炎と認知症リスクの関連が示唆され、高齢者でより顕著であった。Annals of Medicine誌2025年12月号に掲載。 本研究は、MEDLINE(PubMed経由)、EMBASE(Excerpta Medica Database)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Web of Science、Scopus、ClinicalTrials.gov、World Health Organization International Clinical Trials Registry Platform(WHO ICTRP)データベースを用いて、2024年2月29日までに発表され、成人肺炎患者における認知症または認知機能低下に関するアウトカムを報告した研究を対象とした。統合ハザード比(HR)およびオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)は、ランダム効果モデルを用いて算出した。年齢、地域、研究デザイン、肺炎のタイプによるサブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・さまざまな母集団を対象とした10研究が含まれた。・プール解析により、肺炎と認知症リスク増加との間に有意な相関が示された(HR:1.738、95%CI:1.358~2.225)が、研究間でかなりの異質性が認められた(I2=97.1%)。・サブグループ解析では、この関連は高齢者においてより顕著であり、地域や研究デザインによって若干異なることが示された。細菌性肺炎と非定型肺炎でリスクに有意差はなかった。 著者らは、「これらの結果は、肺炎から回復した患者、とくに高齢者において、潜在的な認知機能低下を軽減するための注意深いモニタリングと予防戦略の必要性を強調するもの」と結論している。

1409.

10月24日開催『第7回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会【ご案内】

 日本抗加齢協会は2025年10月24日(金)、医療・ヘルスケア分野で革新的な挑戦を続けるスタートアップを応援する「第7回ヘルスケアベンチャー大賞」最終審査会を日本橋ライフサイエンスハブにて開催する。 本アワードは、医療・学術界と産業界をつなぎ、新しい価値を創出するヘルスケアスタートアップを発掘・支援することを目的に2017年から開催しており、毎回大きな注目を集めている。過去の受賞者には、世界的イノベーションコンペティション「XPRIZE」のセミファイナリストが輩出されるなど、国内外から高く評価される企業も生まれており、本アワードはグローバルに羽ばたく登竜門としての役割を担っている。 今回、厳正なる審査を経て選出されたファイナリスト5社が最終ピッチに挑む。世界を舞台に活躍する次世代のヘルスケアスタートアップを目にするまたとない機会であるため、ぜひご覧いただきたい。【最終審査会 開催概要】開催日時:2025年10月24日(金)15:00~17:00(懇親会 17:00~)開催形式:会場開催とオンライン配信のハイブリッド参加方法:無料(事前参加登録制)会場:日本橋ライフサイエンスハブ(東京都中央区日本橋室町1-5-5 室町ちばぎん三井ビルディング8階)申込締切:10月23日(木)参加登録はこちら【プログラム】1.実行委員長あいさつ2.当日の進行についての説明3.ファイナリストによるプレゼンテーション <ファイナリスト5社>※五十音順アイリス株式会社 「のど年齢AIによるアンチエイジングプラットフォーム」TIME TRAVELER株式会社 「老化抑制に資する革新的治療薬の開発」株式会社TCNプライム 「加齢による大動脈弁狭窄症の新治療『DIVE』-ADLが低下し、治療を諦めていた患者様へ低侵襲で効果的な選択肢」株式会社マイトジェニック 「ミトコンドリア活性化による抗加齢ソリューション『マイトルビン』事業」株式会社ライフクエスト 「がんサバイバーシップ支援プラットフォーム『Life Quest Resilience』」4.特別講演 「日本発バイオベンチャーがアメリカで成長するためのSGG:SNBL Global Gateway」 永田 良一氏(株式会社新日本科学 代表取締役会長兼社長)5.審査結果発表と各賞表彰式6.審査委員長より総評7.閉会の挨拶【主催】日本抗加齢協会【共催】日本抗加齢医学会【後援】日本医師会、三井不動産、LINK-J、読売新聞社「第7回ヘルスケアベンチャー大賞」ホームページはこちら【お問い合わせ先】ヘルスケアベンチャー大賞事務局E-mail:healthcare-v@anti-aging.gr.jpTEL:03-5651-7503※審査に関するお問い合わせにはお答えできません。

1410.

喘息合併の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎、デュピルマブvs.オマリズマブ(EVEREST)/ERS2025

 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と喘息は、病態の中心に2型炎症が存在することが多く、両者の合併も多い。また、合併例は重症例が多く全身性ステロイド薬による治療が必要となる場合もある。そこで、喘息を合併する鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象に、デュピルマブとオマリズマブ(本邦で鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎への適応を有するのはデュピルマブのみ)を比較する海外第IV相無作為化二重盲検比較試験「EVEREST試験」が実施された。その結果、デュピルマブがオマリズマブと比較して鼻茸スコア(NPS)や嗅覚障害などを改善した。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、Enrico Marco Heffler氏(イタリア・IRCCS Humanitas Research Hospital)が本試験の結果を報告した。なお、本結果はLancet Respiratory Medicine誌オンライン版2025年9月27日号に同時掲載された1)。試験デザイン:海外第IV相無作為化二重盲検比較試験対象:低~高用量のICSを用いてもコントロール不良(喘息コントロール質問票[ACQ]スコア1.5以上)の喘息を有し、NPS 5以上の両側性鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者360例試験群:デュピルマブ300mgを2週に1回皮下投与(181例)対照群:オマリズマブを試験実施国の承認用量で投与(179例)投与方法:4週間のrun-in期間にモメタゾンフランカルボン酸エステル点鼻液を毎日噴霧し、2群に無作為に割り付けた。無作為化後は割り付けられた治療を24週間実施した。24週間の治療期間中もモメタゾンフランカルボン酸エステル点鼻液を毎日噴霧し、全身性ステロイド薬の使用や手術による救済治療も可能とした。評価項目:[主要評価項目]投与24週時のNPS、ペンシルベニア大学嗅覚識別検査(UPSIT)スコアのベースラインからの変化量[副次評価項目]投与24週時の嗅覚障害重症度スコア、鼻閉重症度スコアなど 主な結果は以下のとおり。・患者背景は両群間でバランスがとれており、全体集団の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の罹病期間(平均値)は13.3年、手術歴を有する割合は79.4%であった。ベースライン時のICSの用量は低用量が35%、中/高用量が65%であった。非ステロイド性抗炎症薬過敏喘息の病歴を有する割合は40%であった。・主要評価項目である投与24週時のNPSのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群-2.65、オマリズマブ群-1.05であり、デュピルマブ群が有意に改善した(群間差:-1.60、95%信頼区間[CI]:-1.96~-1.25、p<0.0001)。・もう1つの主要評価項目である投与24週時のUPSITスコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群12.7、オマリズマブ群4.7であり、デュピルマブ群が有意に改善した(群間差:8.0、95%CI:6.3~9.7、p<0.0001)。なお、デュピルマブ群のUPSITスコア(平均値)は無嗅覚の閾値である18を超えて改善した。・投与24週時の嗅覚障害重症度スコアのベースラインからの変化量、鼻閉重症度スコアのベースラインからの変化量もデュピルマブ群が有意に改善した(いずれもp<0.0001)。・投与24週時の気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群0.29L、オマリズマブ群0.14Lであった(群間差:0.15L、95%CI:0.05~0.26、名目上のp=0.003)。・投与24週時のACQ-7スコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、デュピルマブ群-1.92、オマリズマブ群-1.44であった(群間差:-0.48、95%CI:-0.65~-0.31、名目上のp<0.0001)。・安全性に関して、両群に差はみられなかった。 本試験結果について、Heffler氏は「本試験は呼吸器領域で初の生物学的製剤の直接比較試験である。本試験において、事前に規定した階層的検定のすべての評価項目で、デュピルマブがオマリズマブと比較して改善を示した。この結果は、2型炎症を伴う呼吸器疾患を併存する患者におけるデュピルマブの有効性を支持するものである」とまとめた。

1411.

小児・青年期の医用画像による被曝、血液がんリスクへの影響は?/NEJM

 小児・青年期における医用画像診断による放射線曝露は、わずかではあるが血液がんのリスク増加と有意に関連していることが、米国・カリフォルニア大学のRebecca Smith-Bindman氏らによる後ろ向きコホート研究「Risk of Pediatric and Adolescent Cancer Associated with Medical Imaging retrospective cohort study:RICコホート研究」で示された。小児・青年期における医用画像診断による放射線誘発性血液がんのリスクを評価することは、画像検査の実施に関する意思決定を支援することにつながる。NEJM誌2025年9月17日号掲載の報告。米国・カナダの小児約370万人で医用画像診断と血液がんの関連性を評価 研究グループは、1996年1月1日~2016年4月30日に出生し、米国の6つの統合医療システム(Kaiser Permanente北カリフォルニア・北西部・ワシントン・ハワイ、Marshfield Clinic、Harvard Pilgrim Health Care)またはカナダ・オンタリオ州健康保険制度のいずれかに生後6ヵ月間継続加入しており、生後3ヵ月以内に1回以上受診し、生後6ヵ月時点で生存かつがんを発症していない372万4,623例の小児を対象とした。 対象児を、出生時からがんまたは良性腫瘍の診断、死亡、オンタリオ州からの転出または米国医療システムからの脱退後6ヵ月、21歳、または研究終了(2017年12月31日)のいずれか早い時点まで追跡調査した。 医用画像診断による活性骨髄の放射線被曝量を定量化し、6ヵ月のラグを設けて累積被曝線量を算出して、層別Cox比例ハザードモデルを用い時間依存性累積放射線量と血液がんとの関連を、被曝なしとの比較において推定した。骨髄への累積放射線量は血液がんのリスクと有意に関連 3,571万5,325人年(1人当たり平均10.1年)の追跡期間中、2,961件の血液がんが診断された。内訳は主にリンパ腫(2,349例、79.3%)、骨髄系または急性白血病(460例、15.5%)、組織球または樹状細胞腫瘍(129例、4.4%)であった。 1mGy以上の放射線に被曝した小児の平均(±SD)被曝量は、全体で14.0±23.1mGy(参照として、頭部CTスキャン1回当たりの被曝量は13.7mGy)、血液がんを発症した小児では24.5±36.4mGyであった。 累積線量の増加とともにがんのリスクが増加し、相対リスク(被曝なしと比較)は1以上5mGy未満で1.41(95%信頼区間[CI]:1.11~1.78)、15以上20mGy未満では1.82(1.33~2.43)、50以上100mGy未満では3.59(2.22~5.44)であった。 骨髄への累積放射線量は、すべての血液がんのリスク上昇と関連しており(100mGy当たりの過剰相対リスク:2.54[95%CI:1.70~3.51]、p<0.001、30mGy vs.0mGyの相対リスク比:1.76[95%CI:1.51~2.05])、ほとんどの腫瘍サブタイプでも同様であった。 30mGy以上(平均57mGy)被曝した小児では、21歳までの血液がんの過剰累積発生率は、1万人当たり25.6であった。 本コホート研究では、血液がんの10.1%(95%CI:5.8~14.2)が医用画像診断による放射線被曝に起因する可能性があり、とくにCTなどの高線量医用画像診断によるリスクが高いと推定された。

1412.

2型糖尿病合併HFpEF、セマグルチドとチルゼパチドが入院・死亡リスクを低減/JAMA

 心代謝性(2型糖尿病合併)の左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者において、セマグルチドとチルゼパチドはいずれもプラセボと比較し、心不全による入院または全死亡の複合リスクを40%以上減少させたが、チルゼパチドとセマグルチドとの間に有意差は示されなかった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のNils Kruger氏らが、5件のコホート研究から得られた結果を報告した。HFpEFは、肥満や2型糖尿病などの心代謝合併症を有する患者に多くみられ、入院の主な原因となっている。セマグルチドとチルゼパチドの初期試験では、これらの患者における症状改善に有望な結果が示されたが、これらの知見は臨床イベント数が少なく、治療の推奨は確実とはいえないままであった。JAMA誌オンライン版2025年8月31日号掲載の報告。5件のコホート研究でHFpEFに対するセマグルチドとチルゼパチドの有効性と安全性を評価 研究グループは2018~24年に、米国の医療保険請求データ(Medicare Part A、B、D[2018~20年]、Optum Clinformatics Data Mart[2018年~2024年11月]、Merative MarketScan[2018~22年])を用い5件のコホート研究を実施した。 まず、2件のコホート研究で、セマグルチドのSTEP-HFpEF DM試験およびチルゼパチドのSUMMIT試験を模倣し、結果のベンチマークとした。その後、臨床現場で一般的に治療される患者における治療効果を評価するために適格基準を拡大し、プラセボの代用としてシタグリプチンを用い、セマグルチド、チルゼパチドそれぞれと比較する、いずれも新規使用者を対象とする2件の研究を行った。最後に、チルゼパチドとセマグルチドの直接比較試験を実施し、最長52週間追跡した。 主要エンドポイントは心不全による入院または全死因死亡の複合とし、陰性対照アウトカム、副次エンドポイント、サブグループ解析および感度解析を事前に規定。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、治療前の患者特性で補正を行い、傾向スコア重み付け比例ハザードモデルにより算出した。心不全による入院または全死因死亡のリスクが40%以上減少 2件のベンチマーク研究では、事前に規定されたすべての指標において高い一致が示された。 適格基準を拡大した解析では、セマグルチドvs.シタグリプチンコホートに5万8,333例、チルゼパチドvs.シタグリプチンコホートに1万1,257例、チルゼパチドvs.セマグルチドコホートに2万8,100例が組み入れられた。 シタグリプチンと比較し、セマグルチド開始群(HR:0.58、95%CI:0.51~0.65)、チルゼパチド開始群(0.42、0.31~0.57)の主要エンドポイントのリスクは大きく低下した。一方、チルゼパチドはセマグルチドと比較し、有意なリスク低下を示さなかった(HR:0.86、95%CI:0.70~1.06)。 陰性対照アウトカム、副次エンドポイント、サブグループ解析および感度解析においても、いずれも一貫した結果が示された。 安全性エンドポイントにおいて、顕著なリスク増加は認められなかった。

1413.

TAVR用デバイス「Evolut FX+」発売/メドトロニック

 日本メドトロニックは、重度の大動脈弁狭窄症患者を対象とした経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)に用いられる「Evolut FX+(エボリュート エフエックスプラス)」(以下、Evolut FX+)を10月1日に発売した。 Evolut FX+は、第6世代の自己拡張型経カテーテル的大動脈弁置換術用デバイスで、従来のEvolut TAVRプラットフォームが持つ優れたバルブ性能を維持しながら、冠動脈へのアクセス性を支援するよう設計されている。フレームデザインの改良により、従来製品の4倍の大きさの冠動脈アクセスウィンドウが提供できる。これにより、カテーテル操作のスペースが拡大され、患者の多様な解剖学的特性に配慮しながら、優れた血行動態やバルブ性能を損なうことなく、よりスムーズに冠動脈へアクセスできるという。

1414.

さまざまなリスクの左室駆出率の低下した心不全へのベルイシグアトの効果―VICTORIA・VICTOR試験統合解析より(解説:加藤貴雄氏)

 VICTORIA試験は、直近の心不全増悪があった左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者に対する試験であり(Armstrong PW, et al. N Engl J Med. 2020;382:1883-1893.)、2025年8月の欧州心臓病学会で発表されたVICTOR試験は、6ヵ月以内の入院歴や3ヵ月以内の外来での利尿薬静注の「最近増悪した症例」を除外し、NT-proBNP 600~6,000pg/mL(心房細動は900~6,000pg/mL)を組み入れ基準とした試験で、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬であるベルイシグアトの二重盲検ランダム化比較試験である(Butler J, et al. Lancet. 2025;406:1341-1350.)。 VICTORIA試験では、プラセボ群よりも心血管死または心不全による入院の発生率が低かったが、VICTOR試験では、主要評価項目イベント(心血管死または心不全入院)はハザード比(HR)0.93(95%信頼区間[CI]:0.83~1.04、p=0.22)とプラセボ群との有意差は認めなかった。心血管死と全死亡(および、事後的に解析された突然死)はプラセボ群に比して低下を示したものの、心不全による入院はプラセボ群との差を認めなかった。 今回取り上げた論文(Zannad F, et al. Lancet. 2025;406:1351-1362.)は、そのVICTOR試験とVICTORIA試験の事前規定された統合解析である。アジア人が20%弱含まれ、過去の心不全入院歴のない患者が26%、NYHA心機能分類ではII度70%の背景であった。β遮断薬は94%、RAS系阻害薬も90%超(ARNIを含む)、MRAは74%で、SGLT2阻害薬はVICTORIA試験時代は投与率が低かったため、全体で34%であった。ICDは31%に入っていた。主要評価項目の心血管死または心不全入院は、ベルイシグアト群で低く(HR:0.91、95%CI:0.85~0.98)、心血管死・全体および初回心不全入院・全死亡の副次評価項目もベルイシグアト群でリスクを低下させた。治療効果は、ベースラインのNT-proBNPが低いほど大きく認められた。 この結果から、どのような患者がベルイシグアトの好適例となるかを考察する。心不全増悪や過去の心不全入院歴があってもなくてもGDMTが処方されたうえでも、HFrEFにとどまり、NYHA II度以上の症状があり、NT-proBNPが600pg/mLを超える患者は、心血管死または心不全入院の発生率がプラセボでも0.21/年であり、ベルイシグアトの投与対象となりうる患者と考えられる。したがって、外来通院中でも直近の悪化歴がなかったとしても、外来で入院していない=「安定している」とは考えず、BNP/NT-proBNPや症状の出現や増悪に注意しながら、常にGDMTの最適化や治療の見直しを行いつつ、上に記したようにHFrEFでNYHA II度以上の症状があり、NT-proBNPが600pg/mLを超える事態は、心不全診療において要注意のフェーズと考えられる。

1415.

製薬会社も破産する時代に…【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第159回

製薬会社のいわゆるM&A(合併と買収)は多く聞かれますが、破産というのはあまりなかったかと思います。9月5日付で輸液をはじめとする各種注射剤(ガラスアンプル製剤、ソフトバッグ製剤など)の製造を得意とするネオクリティケア製薬が破産手続きを開始しました。医薬品の供給についてはすでに限定出荷などが始まっています。同社は1941年に創業者の小林 清秀氏が有理医薬研究所を設立し、1947年に小林製薬を設立しました。資本元の変遷により会社名を「アイロム製薬」「共和クリティケア」と変え、2019年にアラブ首長国連邦国籍のネオファーマグループに所属したことから「ネオクリティケア製薬」となりました。前身の共和クリティケア時代である2020年7月の社内調査において、ソフトバッグ製剤の製造工程における環境モニタリングに不備が確認され、製品の自主回収と3ヵ月間の製造ラインの停止をしました。その後、製剤ラインの稼働を再開し、品質体制の再構築と経営体制の刷新による信頼回復を目指していたものの、ソフトバッグの代替品対応などで業績が大きく悪化したと報じられています。株主の変更による経営方針の変更や品質問題による回収など、この5年ほどは綱渡りの経営だったのかもしれません。ネオクリティケア製薬が破産手続きに入ったことを受け、9月22日に厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は、仲介的ではありますが製薬各社に対して同社の製品を承継するための手続きなどの案内を出しました。薬価制度上の基礎的医薬品18品目、安定確保医薬品13製品(重複あり)を含む同社の製品一覧を添付したうえで、承継を希望する企業に「ご活用いただければ」と呼びかけています。しかしながら、「そもそも承継に耐えうる製造ラインがないのでは」など業界では懐疑的な意見があるようです。また、安定確保医薬品や感染症薬などの増産を支援する「医薬品安定供給支援補助金」の第4次公募を開始しました。今回はネオクリティケア破産の影響で供給不安に陥ったケースも「補助対象とする」としています。このような場合、ネオクリティケア製薬自身が製造販売元となっている製品については明らかになりやすいですが、同社は受託製造を得意としてきた会社ですので、ネオクリティケア製薬に製造委託していた他社製造販売品にも徐々に影響が及ぶと考えられます。医療用医薬品は薬価で販売されます。販売価格が保証されているので安定的でよいというのは一昔前の話かもしれません。材料費や人件費の高騰、円安などさまざまな環境の変化によって、自社で販売価格を決められないことが経営を圧迫する世の中になってしまいました。今回の件、「一社の破産の話」で済まない気がするのは私だけでしょうか。

1416.

総合診療の実際【Dr. 中島の 新・徒然草】(600)

六百の段 総合診療の実際涼しくなりましたね。先日、朝のゴミ出しをしに行った時のこと。屋外駐車場に並んでいる車のフロントガラスが結露していたので驚きました。知らないうちに気温が下がっていたのでしょう。さて今回は、われわれの病院における総合診療科の現実についてお話ししたいと思います。総診というと、他の診療科の先生方が困っている症例をスパッと診断するというイメージがあるのではないでしょうか。例を挙げれば…… ○○内科医 「うーん、診断が難しいな」 ××外科医 「困ったなあ、よくわからんぞ」 総合診療医 「先生方、これは△△病ですよ」 ○○内科医&××外科医「おおーっ、そうだったのか! ひとつ賢くなったぞ」こうなったらカッコいいのですが、実際はこんな感じです。 ○○内科医 「これ、ウチの疾患じゃないですよ」 ××外科医 「オレのとこでもないな」 ○○内科医&××外科医「そうだ、総診に診てもらおう」 総合診療医 「わかりました。ウチで引き受けさせていただきます」 ○○内科医&××外科医「よろしくー」簡単にいえばスキマ産業です。実際、専門診療科は、ナントカクリーゼとかカントカがんと戦うのに忙しいはず。だから患者さんのちょっとした症状に対応する余裕がないのでしょう。病院が大きくなるほど皆が専門に走ってしまって、スキマが大きくなりがちです。そこを埋めるのが総診。皆がやりたがらない仕事を引き受け、そっと患者さんの不具合を解決する。なんと立派な志でしょう!ここまでは誰でも想像できる総診の役割ですが、実際にやっていると、ちょっと違う景色も見えてきたりします。1つは壁打ちの相手。よくある総診への院内コンサルが、入院患者さんの発熱の相談です。とくにマイナー診療科からのもの。 マイナー科医 「入院患者さんの発熱で困っているんです」 総合診療医 「発熱だったら、感染症内科のほうが専門だと思いますけど」 マイナー科医 「抗菌薬を使っても良くならないんですよ」 総合診療医 「なるほど、膠原病とか腫瘍とか、ひょっとして薬剤熱もあるかな」 マイナー科医 「それに、培養も採らずに適当な抗菌薬を使ってしまったんで、ちょっと相談しにくくて……」 総合診療医 「わかりました。じゃあ一緒に考えましょう」 マイナー科医 「助かります(喜)」 もう1つが人間関係のあれこれ。せっかく専門診療科の先生にも一緒に診てもらっているのに、つい「ちょっと違うんでねーの」と思ってしまうこともあるわけです。とくに研修医も参加している総診のカンファレンスでは、苦労が絶えません。 研修医 「○○内科のご指導をいただいて、薬剤Aを使っています」 中島 「僭越ながら、薬剤Aより薬剤Bのほうが良さそうな気がするけど」 総合診療医 「えっ、中島先生もそう思う? 薬剤Aって、あり得ないでしょう」 研修医 「じゃあ、どうしたらいいんですか?」 中島 「先生が○○内科に行って『薬剤Aは間違っています!』と言ったらどうかな」 研修医 「無理です、できません(泣)」 中島 「失礼にならない形で相手に伝えるのも研修のうちやぞ」 研修医 「そんな馬鹿な……」 総合診療医 「『僕は○○内科に行きたいです』と言ったら、たいていのことは許してもらえるわよ」 研修医 「○○内科なんか興味ないです」 中島&総合診療医「それが一番失礼や!」こういう話が総合診療科の先生方に共感してもらえるのか、それはわかりません。おそらく、立場によっていろいろな形の総合診療があることでしょう。ともあれ、読者の皆さんにそれぞれの立場で笑っていただければ幸いです。最後に1句 結露みて 季節を感じる 駐車場

1417.

第30回 なぜトランプ氏は「タイレノールが自閉症の原因」と発言したのか?専門家報酬、訴訟、SNS…科学的根拠なき主張の裏側を徹底解剖

トランプ大統領と保健福祉長官であるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は、世界中の妊婦やその家族を震撼させる警告を発しました1)。「タイレノールを飲んではいけない」「それを避けるために必死で戦ってほしい」。その理由は、妊娠中のタイレノール(主成分:アセトアミノフェン)の使用と、子供の自閉症との間に因果関係があるというものでした。 この発言は、長年、妊娠中の痛みや発熱に対して最も安全な選択肢の一つとされてきたアセトアミノフェンへの信頼を根底から揺るがし、大きな混乱と不安を引き起こしました。しかし、彼らが「科学的根拠」として提示した証拠は、信頼に足るものだったのでしょうか。本記事では、これまでの報道内容を基に、この主張がいかにして構築され、なぜ発せられたのか、その裏側を掘り下げていきたいと思います。「ハーバード大学学部長」の研究が根拠? 覆された「科学的証拠」の実態トランプ政権が主張の最大の拠り所としたのは、ハーバード大学公衆衛生大学院の学部長であるアンドレア・バッカレッリ氏らによるレビュー論文でした2)。現役のハーバード大学学部長の名前が挙がったことで、多くの人々がその主張に一定の信憑性を感じたかもしれません。しかし、その背景を調べると、単純な科学的見解とは言い難い複雑な事情が浮かび上がってきます。バッカレッリ氏は、タイレノールの製造元を相手取った集団訴訟で、原告側の「専門家証人」として、少なくとも15万ドル(約2,250万円)の報酬を受け取っていたことが、裁判資料から明らかになっています3)。彼は訴訟のための専門家報告書の中で、アセトアミノフェンと自閉症などの神経発達障害との間に「因果関係がある」と断定的な見解を記していました。しかし、最も重要な事実は、彼が関わったこれらの訴訟が、連邦裁判所の判事によって「信頼できる科学的証拠の欠如」を理由に棄却されていたことです。判事は判決の中で、バッカレッリ氏が「研究結果を都合よく抜き出し(チェリー・ピッキング)、誤って伝えている」とさえ指摘しています。つまり、トランプ政権が「根拠」とした専門家の意見は、司法の場においてすでにその信頼性を否定されていたのです。事実、これまで因果関係を明確に示した研究は報告されていません。また興味深いことに、ホワイトハウスでの会見後、バッカレッリ氏自身が出した声明は、訴訟での断定的な態度から一転し、「因果関係を決定するためにはさらなる研究が必要」と、非常に慎重なトーンに変わっていました。この一貫性のなさは、彼の見解が置かれた立場によって揺れ動く可能性を示唆しています。世論を揺さぶる情報戦――古いSNS投稿の利用と専門家たちの反論科学的根拠が揺らぐ中、政権側は世論を味方につけるための情報戦を仕掛けます。保健福祉省やホワイトハウスの公式Xアカウントは、タイレノールの公式アカウントが2017年に行った「妊娠中に我々の製品を摂取することはお勧めしません」という古い投稿を、「キャプションは不要」という一言と共に再投稿しました4)。これは、あたかも製造会社自身が2017年からすでに危険性を認めているかのような印象を与える巧みな手法でした。しかし、タイレノールの親会社であるKenvue社は即座に声明を発表。この投稿は、ある顧客からの問い合わせに対する断片的な返信であり、「文脈から切り離されている」と反論しました。そして、「アセトアミノフェンは妊娠全期間を通じて、妊婦にとって最も安全な解熱鎮痛薬の選択肢」であるという公式見解を改めて示し、ただし「どんな市販薬であっても、使用前には医師に相談すべき」という、医学の基本原則を付け加えました5)。つまり、過去の投稿はあくまで、医師に相談せずに買える市販薬(=「われわれの製品」)を自己判断で摂取することをお勧めしないという内容だったのです。この騒動に対し、米国の産科婦人科学会(ACOG)をはじめとする専門学会は、トランプ政権の主張に強く反発しました6)。「信頼できるデータに裏付けられていない」「妊娠中のアセトアミノフェン使用が神経発達障害を引き起こすと結論づけた信頼できる研究は一つもない」と断言。さらに、妊娠中の高熱を放置すること自体が、胎児の神経管閉鎖障害などの先天異常リスクを高めることは何十年もの研究で知られており、アセトアミノフェンはそのリスクを管理するための数少ない安全な手段であると強調しました。科学より「個人の信念」――トランプ氏の発言の背景にあるもの信頼できる科学的証拠が乏しく、医学界の総意とも異なる主張を、なぜトランプ氏はこれほど強く推し進めるのでしょうか。その答えは、彼の個人的な信条と政治スタイルにありそうです。報道によれば、この問題はトランプ氏にとって「個人的な関心ごと」であり、彼は以前から自閉症やワクチンに対して、科学的コンセンサスとは異なる強い持論を持っていたことで知られています7)。そして、今回、保健福祉長官に任命されたロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は、長年にわたりワクチンと自閉症の関連を主張してきた、反ワクチン運動の最も著名な活動家の一人です。この人選自体が、政権の方向性を物語っています。つまり、今回の発言は、特定の科学論文を客観的に評価した結果というよりも、トランプ氏とケネディ氏が共有する「既存の医療や科学の権威に対する不信感」という世界観の表れと見るのが自然でしょう。彼らの言動は、科学的データよりも個人の信念や逸話を重視し、複雑な問題を単純な「敵」と「味方」の構図に落とし込むことで支持者からの共感を呼ぶ、という政治戦略の一環なのです。このような単純化は、このSNS時代に共感を呼びやすいことをよく理解したうえでやっていると思います。結論として、タイレノールに関するトランプ政権の警告は、司法に退けられた「専門家」の意見を根拠とし、文脈を無視したSNS情報を利用して増幅され、医学界の明確な反対を押し切る形で行われました。この一件は、科学的真実が、個人の強い信念や政治的思惑によっていかに歪められ、公衆の健康をいたずらに危険にさらしうるかを示す、象徴的な事例といえるのではないでしょうか。 参考文献・参考サイト 1) BBC. Trump makes unproven link between autism and Tylenol. 2) Prada D, et al. Evaluation of the evidence on acetaminophen use and neurodevelopmental disorders using the Navigation Guide methodology. Environ Health. 2025;24:56. 3) The New York Times. Harvard Dean Was Paid $150,000 as an Expert Witness in Tylenol Lawsuits. 4) The White House. X投稿. 2025 Sep 24. 5) Kenvue. Should I be concerned about acetaminophen and autism? 6) ACOG Affirms Safety and Benefits of Acetaminophen during Pregnancy. 2025 Sep 22. 7) The New York Times. Trump Issues Warning Based on Unproven Link Between Tylenol and Autism.

1418.

日本人男性のCVDリスク、最適な予測指標はBMIではなかった

 日本人男性の将来の心血管疾患(CVD)リスクの評価において、従来広く用いられてきたBMIよりも腹囲身長比(waist-to-height ratio)や体の丸み指数(body roundness index)のほうが有用で、欧米での報告と同様に日本人男性でも腹囲が身長の約半分に達するとCVD発症リスクが上昇することが、京都府立医科大学の市川 貴博氏らによって明らかになった。The American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2025年8月23日号掲載の報告。 肥満は世界的に重要な公衆衛生上の課題であり、とくに中心性肥満はさまざまな代謝疾患の発症に関連することが報告されている。日本では主にBMIを用いて肥満を判定しているが、BMIでは内臓脂肪の蓄積を正確に反映することができないという限界がある。そこで研究グループは、大規模な日本人集団のデータをもとに、5つの異なる体格指標が肥満の重大な合併症であるCVDの発症にどのように関連するのかを13年間にわたって比較・検証した。 対象は、2008~21年にパナソニック健康保険組合が実施した健康診断を受診した16万656人(男性11万9,510人、女性4万1,146人)であった。身体測定、血液検査、問診結果を縦断的に収集し、BMI、腹囲、体型指数(a body shape index)、体の丸み指数、腹囲身長比の5つの体格指標のCVD発症予測能を比較した。主要評価項目は、心血管死、非致死性冠動脈疾患、非致死性脳卒中の主要心血管イベント(MACE)の発症率であった。Cox比例ハザードモデルを用いて5つの体格指標とMACE発症リスクとの関連を性別ごとに評価し、time-dependent ROC解析により各指標の予測能を比較した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は44.5±8.3歳であった。13年間の追跡期間中、男性では4,027例(3.4%)、女性では372例(0.9%)がMACEを発症した。・多変量解析の結果、男性では5つすべての体格指標がMACE発症と関連していた。1SD増加ごとのハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。 -BMI HR:1.15(95%CI:1.11~1.18) -腹囲 HR:1.15(95%CI:1.12~1.19) -体型指数 HR:1.06(95%CI:1.02~1.09) -体の丸み指数 HR:1.16(95%CI:1.13~1.20) -腹囲身長比 HR:1.17(95%CI:1.13~1.21)・女性では、いずれの体格指標もMACE発症と有意な関連は認められなかった。・男性における各指標の予測精度を比較したところ、腹囲身長比と体の丸み指数のAUC値は他の3つの体格指標よりも高く、より高い予測能を持つことが明らかになった。 -BMI AUC値:0.586(95%CI:0.576~0.596) -腹囲 AUC値:0.598(95%CI:0.588~0.608) -体型指数 AUC値:0.563(95%CI:0.552~0.573) -体の丸み指数 AUC値:0.608(95%CI:0.598~0.618) -腹囲身長比 AUC値:0.608(95%CI:0.598~0.618)・CVD発症の予測のための最適なカットオフ値は、腹囲身長比が0.494、体の丸み指数が3.250であった。 これらの結果より、研究グループは「13年以上の追跡調査を受けた日本人男性において、体の丸み指数と腹囲身長比はBMI、腹囲、体型指数よりもCVD発症のより重要な予測因子であった。特定されたカットオフ値は、リスク層別化の改善とCVDリスク低減のための早期予防介入に役立つ可能性がある」とまとめた。

1419.

統合失調症患者の平均寿命が17年も短い理由とは

 統合失調症患者の死亡率は、一般人口に比べて有意に高く、平均余命が15~20年短縮するといわれている。ルーマニア・Transilvania University of BrasovのAndreea-Violeta Popa氏らは、ルーマニアの統合失調症患者コホートにおける10年間の全死亡率とその臨床的相関関係を、実際の臨床記録、病院記録、法医学記録を用いて調査した。Schizophrenia (Heidelberg, Germany)誌2025年8月29日号の報告。 2010〜13年に入院した統合失調症患者635例を対象に、10年間フォローアップ調査を実施した。死亡率、死因、リスク因子は、Cox回帰モデルおよび標準化死亡比(SMR)を用いて評価した。 主な内容は以下のとおり。・フォローアップ期間中に死亡した患者は123例(19.37%)、1,000人年当たり21.3例であった。・ルーマニアの一般人口と比較したSMRは1.58であり、統合失調症患者の死亡リスクが有意に高いことが示唆された。・死因は、非暴力的な死因が優勢で、心血管疾患(27.64%)および感染症(17.07%)が最も多かった。・自殺や事故を含む暴力的な死因は、全死亡率の17.07%を占めた。・死亡時の平均年齢は58.97歳であり、平均寿命の17年短縮が認められた。・年齢は死亡率の最も強い独立予測因子であった(ハザード比[HR]:1.07、p<0.001)。・第2世代抗精神病薬の使用(HR:0.37、p<0.001)および入院頻度の低さ(HR:0.09、p<0.001)は、全死亡率および原因別死亡率の低下と有意な関連が認められた。 著者らは「統合失調症は、主に予防可能な身体疾患や暴力的な死因により、早期死亡率の有意な上昇と関連していることが示唆された。生存転帰を改善するためには、早期介入、持続的な治療順守、統合的な医療ケアが不可欠である」としている。

1420.

HER2変異陽性肺がんにゾンゲルチニブ承認/ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイムは、2025年9月19日、ゾンゲルチニブ(商品名:ヘルネクシオス)について、「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺」を適応として、日本国内における製造販売承認を取得した。 本剤は、同適応症に対する分子標的薬として国内初の経口薬となる。今回の承認は、活性型HER2遺伝子変異陽性の切除不能または転移のある固形腫瘍患者を対象に、ゾンゲルチニブの単剤療法を評価した第I相非盲検用量漸増試験Beamion-LUNG-1の結果に基づくもの。 治療歴のある患者における奏効率(ORR)は71%で、完全奏効率は7%、部分奏効率は64%であり、病勢コントロール率(DCR)は96%であった。さらに、ゾンゲルチニブは治療歴のある脳転移を有する患者(n=27)で頭蓋内奏効を示し、ORRは41%、DCRは81%であった。 HER2チロシンキナーゼドメイン(TKD)変異を有する患者(n=75)において最も多く報告された有害事象はGrade1の下痢(48%)であり、治験薬との因果関係のあるGrade3以上のすべての有害事象は17%であった。

検索結果 合計:35623件 表示位置:1401 - 1420