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緊急気管挿管後の有害イベント、45.2%で発生/JAMA

 重症患者への気管挿管後の主要有害イベント発生率は、45.2%と頻繁にみられることが、29ヵ国、197ヵ所の医療機関、約3,000例を対象に行った観察試験で示された。とくに多くみられたのは心血管系の不安定化で、緊急挿管を受けた患者の42.6%で発生がみられたという。イタリア・ミラノ・ビコッカ大学のVincenzo Russotto氏らによる、International Observational Study to Understand the Impact and Best Practices of Airway Management in Critically Ill Patients(INTUBE)試験の結果で、JAMA誌2021年3月23日号で発表された。重症患者への気管挿管は最も頻繁に行われる行為であると同時にリスクの高い手技でもあるが、これまで挿管時の有害イベントに関する情報は限定的であった。挿管開始30分以内の有害イベントを評価 研究グループは、2018年10月1日~2019年7月31日に、5大陸にわたる世界29ヵ国、197ヵ所の集中治療室(ICU)や救急外来および病棟で、気管挿管を行う重症患者を連続的に被験者として前向きコホート試験を行い、2019年8月28日まで追跡した。 主要アウトカムは、挿管に伴う主要有害イベントで、挿管開始30分以内に発生した心血管不安定化(収縮期血圧65mmHg未満が1回以上、同90mmHg未満が30分超、昇圧薬の投与または増量、または15mL/kg超の輸液ボーラス投与)、重度低酸素血症(末梢酸素飽和度80%未満)、心停止のいずれか1つ以上の発生と定義した。 副次的アウトカムは、ICU死亡率などだった。心血管系の不安定化が約43%、重度低酸素血症は約9%、心停止約3% 3,659例をスクリーニングし、うち2,964例について試験を行った。被験者の年齢中央値は63歳(IQR:49~74)で、男性は62.6%だった。気管挿管実施の主な理由は、呼吸不全(52.3%)、神経障害(30.5%)、心血管系の不安定化(9.4%)だった。 全患者について、主要アウトカムのデータを入手できた。被験者のうち、45.2%で1つ以上の主要有害イベントが発生した。そのうち高頻度で発生したのは、心血管系の不安定化で、緊急挿管を受けた患者の42.6%で観察された。次いで、重度低酸素血症(9.3%)、心停止(3.1%)が観察された。 ICU全死亡率は32.8%だった。

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新型コロナ既往者の再感染リスクは84%減少/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染既往者は、非既往者に比べ感染リスクは約84%減少し、その効果持続期間の中央値は7ヵ月であることが、英国・Public Health England ColindaleのVictoria Jane Hall氏らによる、英国内の病院に勤務する医療従事者やスタッフなど約2万6,000例を対象とした大規模前向きコホート試験の結果で示された。なお期間については、セロコンバージョンを含んでおらず最短である可能性があるという。COVID-19からの回復者に再感染の保護効果があるのかについて理解を深めることは喫緊の課題とされている。著者らは、SARS-CoV-2への獲得抗体が症候性および無症候性の再感染リスク減少と関連するのかどうかを検討した。結果を踏まえて著者は、「SARS-CoV-2への感染既往は、大半の人にとって将来的な感染に有益な免疫をもたらすことを示すものであった」と述べている。Lancet誌2021年4月17日号掲載の報告。PCR検査陽性群の再感染と、陰性群の初回感染の発生率を比較 研究グループは2020年6月18日~12月31日にかけて、英国内すべての公的病院を通じて、医療従事者、支援スタッフ、事務職員を対象にコホート試験を開始した。被験者は、SARS-CoV-2のPCR検査と抗体検査を2~4週ごとに、症状や感染曝露に関する質問票への回答を2週間ごとに行った。試験参加時点で、被験者を抗体陽性群(抗体陽性またはPCR/抗体検査の陽性歴あり)と抗体陰性群(抗体陰性またはPCR/抗体検査の陽性歴なし)に分類した。なお、登録後のPCR検査を受けなかった場合や、2020年12月31日以降の登録、PCRおよび抗体データが不十分の場合は除外した。 主要アウトカムは、陽性群の再感染、または陰性群の初回感染で、PCR検査で確認した。再感染については臨床的レビューも行い、ケースの定義(確定、ほぼ確定、可能性)およびエビデンスの階層に準じて症状で分類した。陰性群の初回感染については、初回PCR検査陽性と定義し、セロコンバージョンは、PCR検査陽性に関連しない場合は除外した。 ポアソン分布を用いた比例ハザード異質性モデルにより、罹患率比(IRR)を求め、2群で比較した。10万人日当たり罹患密度、陽性群7.6、陰性群57.3 登録された被験者数は3万625例で、そのうち51例が試験を中断、4,913例が除外され、抗体検査およびPCR検査データの突き合わせができた2万5,661例を対象に解析が行われた。全ソースからのデータ抽出は2021年2月5日に行われ、同年1月11日時点のデータが解析に含まれた。 陽性群は8,278例で、延べ204万7,113人日の追跡期間中、再感染は155件検出された。陰性群は1万7,383例で、延べ297万1,436人日の追跡期間中、初回感染は1,704件検出された。 2020年6月~2021年1月の罹患密度(incidence density)は、陽性群の再感染が7.6/10万人日に対し、陰性群の初回感染は57.3/10万人日だった。初回感染と比較した全再感染の補正後IRRは、0.159(95%信頼区間:0.13~0.19)だった。また、陽性群の初回感染から再感染までの期間中央値は、200日超だった。

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統合失調症患者におけるアセナピンとブレクスピプラゾールの治療継続率

 東京・車庫前こころのクリニックの井上 雄一氏らは、アセナピンとブレクスピプラゾールの治療継続率の比較およびブレクスピプラゾールの臨床効果に影響を及ぼす因子を特定するため、検討を行った。Brain and Behavior誌オンライン版2021年3月13日号の報告。 実臨床下で、アセナピン(73例)またはブレクスピプラゾール(136例)を処方した統合失調症患者を対象に、レトロスペクティブ研究を行った。 主な結果は以下のとおり。・52週における治療継続率は、アセナピン19.0%、ブレクスピプラゾール38.6%であり、ブレクスピプラゾールの治療継続率は、アセナピンよりも有意に高かった(p=0.002)。・年齢は、ブレクスピプラゾールの治療継続率に影響を及ぼす重要な因子であることが示唆された(p=0.03)。・治療継続期間が長い患者は、短い患者と比較し、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコアが有意に低かった(p=0.04)。・初めに外来で薬物治療を開始した患者は、入院で薬物治療を開始した患者と比較し、治療継続率が有意に高かった(p=0.04)。・ブレクスピプラゾールの臨床効果に有意な影響を及ぼした因子は、罹病期間、CGI-Sスコア、治療継続期間であった(各々、p<0.05)。 著者らは「ブレクスピプラゾールの治療継続率は、患者がより高齢、疾患重症度が低い、外来での治療開始の場合に、高まることが示唆された。また、罹病期間の短さや治療継続期間の長さは、臨床効果に影響を及ぼす可能性がある。これらの結果は、統合失調症の維持療法に、ブレクスピプラゾールが効果的な治療選択肢であることを示唆している」としている。

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臨床研究成功の第一歩はウルトラマン発見から【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第35回

第35回 臨床研究成功の第一歩はウルトラマン発見から日々の診療活動の中で多くの患者さんに出会います。患者さんだけでなく、人はそれぞれ少しずつ異なります。身長や体重にも違いはあり、性別や国籍も異なります。しかし、どの医師も、身長40メートルで体重3万5千トンの患者を担当したことはないでしょう。この身長と体重のデータから、これが初代ウルトラマンのスペックであることを見抜いた方は相当のマニアです。さらに続ければ、年齢は2万歳、出身はM78星雲・光の国、必殺技はスペシウム光線です。地球での姿はハヤタシン(早田進)。ウルトラマンは小生にとって永遠のヒーローです。このサイズの患者さんが急性心筋梗塞になったとしたら、心臓カテーテル検査をするにも心カテの検査台も壊れます。何よりも病院に到着することも、ままならないことでしょう。本当にこのサイズの患者はいないでしょうが、研究データの中では実在することがあります。虚血性心疾患の診療実態を調査するための、レジストリ研究の初期データを眺めていた時に、ウルトラマンを凌ぐ強者を発見したことがあります。身長1,628メートルの患者が存在したのです。身長が富士山の半分近くあります。本当の身長は162センチ8ミリなのですが、そのデータ入力の単位がメートルである枠にミリメートルのデータを入力してしまっているのです。この身長の値のままで、コンピュータまかせに多変量解析など行うとトンチンカンな結果が導かれます。臨床研究では、エクセルなどの表計算ソフトの表にデータを入力しデータセットを作成するのが常です。その中に変なデータが含まれてないか十分にチェックする必要があります。データの傾向をグラフ化などで視覚的にとらえ、平均値や最小値・最大値、標準偏差などの数値を大局的に把握することが大切です。その時点で違和感のあるデータにはさまざまなものが考えられます。その代表的なものが「外れ値」です。これは、他のデータに対して著しく大きい(または小さい)データのことです。入力ミスに由来することが多く、解析から除外すべきデータは排除しなければいけません。この作業を、データスクリーニングといいます。具体的な解析にかける前に、この地味で基本的な作業をしっかりすることが重要です。臨床研究で最終結果を報告するためには、その前提としてさまざまな臨床データを取り集める必要があります。研究計画書に定められたデータを記載する用紙を症例報告書(CRF)と呼びます。昔は多くの研究で、紙の調査票の CRFでデータを収集し、それをエクセル等の表計算ソフトに入力してデータベースが作成されてきました。しかし、近年では、Webベースで電子的に収集するEDC(Electronic Data Capture)システムの普及が進んでいます。その場合は、入力可能な範囲(レンジ)として上限値や下限値などを設定しておけば、千メートルを超える身長などのナンセンスな外れ値は事前に排除することが可能となります。この作業をレンジチェックと言いますが、意味のある外れ値を除外しないようにすることも大切です。外れ値が、臨床的に意味のある貴重なデータである場合があるからです。自分の過去の経験で、HDLコレステロール値が0 mg/dLであった例があります。タンジール病でした。コレステロール排出のトランスポーターであるABCA1が遺伝的に欠損した疾患で、HDLが産生できず動脈硬化性疾患が起こる疾患です。HDLコレステロール値がゼロというのは入力ミスではなく、稀な疾患を同定する入り口であったのです。このように臨床研究などで扱うデータには、期待される一定の範囲が存在します。それから大きく外れる値は、入力ミスなどの排除すべきデータである場合も多いのですが、時には貴重な珠玉のデータである場合もあるのです。データスクリーニングは、外れ値を排除するばかりではダメで、その匙加減に臨床研究の妙味があります。そうです。期待に応えるデータも大切ですが、期待通りではないデータにも価値があるのです。これは猫を飼う場合の極意に通じます。猫好きには絶対にわかります。猫は常に期待を裏切り、人間の期待に応えることはありません。しかし、期待に応えないからこそ、愛おしい生き物なのです。どんなに喜んでくれるかと期待して通販で購入した高価なキャットタワーよりも、ボロボロの段ボール箱を隠れ家として愛する猫、すばらしいです。期待を裏切る行動が珠玉の結果に繋がるのです。データスクリーニングの極意を伝授してくれる猫様に、あらためて宣言します。弟子にしてください!

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「リキスミア」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第48回

第48回 「リキスミア」の名称の由来は?販売名リキスミア®皮下注300μg一般名(和名[命名法])リキシセナチド(JAN)効能又は効果2型糖尿病用法及び用量通常、成人には、リキシセナチドとして、20μgを1日1回朝食前に皮下注射する。ただし、1日1回10μgから開始し、1週間以上投与した後1日1回15μgに増量し、1週間以上投与した後1日1回20μgに増量する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、1日20μgを超えないこと。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[インスリン製剤による速やかな治療が必須となるので、本剤を投与すべきでない。] 3.重症感染症、手術等の緊急の場合[インスリン製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない。]※本内容は2021年4月21日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2016年12月改訂(第7版)医薬品インタビューフォーム「リキスミア®皮下注300μg」2)サノフィe-MR:製品情報

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第54回 なぜ奈良県で?「県内全75病院に病床確保要請」をうがった見方をしてみれば…

感染症法に基づき病床確保や患者の受け入れを要請こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先週末、以前から決まっていた仕事があり、久しぶりに大阪に日帰りで行ってきました。「まん延防止等重点措置」が適用されたにもかかわらず、新型コロナの患者数増加に歯止めがかからず緊急事態宣言が発令される予定の大阪ですが、梅田や難波などの繁華街はさすがに人出が激減していました。個人的には東京の繁華街よりも”自粛”の度合いが強い印象でした。緊急事態宣言で感染者数が収まっていけばよいのですが……。さて、4月20日から埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と愛知県の4県に「まん延防止等重点措置」が新たに適用されました。全国で新型コロナウイルスの感染が再び急拡大する中、4月15日に奈良県は、2月に改正された感染症法(第16条の2)に基づき、民間病院を含む県内全ての75病院に病床確保や患者の受け入れを要請しました。改正感染症法に基づく要請は全国初です。これにより、正当な理由なく応じない病院には勧告が行われ、病院名を公表できることになります。このようなコロナ未対応病院への“圧力”ともとれる要請に、奈良県はなぜ先陣を切って踏み切ったのでしょうか。病床確保の目標数や時期など明確な数字は示さず日本経済新聞などの報道によれば、奈良県は感染者を原則、病院か宿泊療養施設で受け入れることとしており、自宅療養を認めていません。専用病床の使用率は15日時点で72%に達している、とのことです。すでに患者を受け入れている16の医療機関(計376床)は大半が公立・公的病院で、民間病院はわずか2病院(計10床)とのことです。県はこれまでも民間病院にコロナ病床の確保を求めてきたものの、新型コロナ以外の患者の受診抑制などを危惧し、対応は進んでいませんでした。今回の病床確保や患者の受け入れ要請はそうした経緯から行われました。要請対象は病院(病床20床以上)で、15日午前、県内全75病院に対し、新型コロナ感染者用の病床確保などについて改正感染症法に基づく協力要請の内容を伝えた、とのことです。病床確保の目標数や時期などについては明確な数字は示さず、病院の回答までに1週間の時間を置くなど、ややマイルドな要請となっています。県医療政策局の鶴田 真也局長は記者会見で「マンパワーや設備の不足で受け入れが難しいという理由があることもわかっている。病院と丁寧な協議を行いながら進めていきたい」と語ったとのことです。奈良県は医療政策では厚労省の“出先”コロナ未対応の病院、特に中小民間病院に、感染症法を持ち出して県が病床確保や患者の受け入れを要請するという今回の対応、うがった見方をすれば、厚生労働省が裏で手を引いて打ち上げた“アドバルーン”の可能性がある、と私は考えます。今年2月に改正された感染症法では、わざわざ国や地方自治体の権限を強化しました。同法第16条の2は「厚生労働大臣又は都道府県知事等は、緊急の必要があると認めるときは、医療関係者・民間等の検査機関等に必要な協力を求め、その上で、当該協力の求めに正当な理由がなく応じなかったときは勧告することができる(正当な理由がなく勧告に従わない場合は公表することができる)こととすること」となっています。しかし、コロナ病床の不足が続いても、どこの都道府県もこの改正感染症法を活用しようとはしません。そこで、この法律の効果や医療機関や医療団体の反応を見るために、医療政策では厚労省の“出先”とも言える奈良県で試してみることにした、というわけです。奈良県の医療政策を取り仕切る医療政策局の局長は、代々厚労省からの出向者(医系技官)が務めています。現在の鶴田局長は、2019年7月に厚労省医政局総務課保健医療技術調整官から現職に就いています。また、前任の林 修一郎氏(現、厚労省健康局予防接種室長)も厚生労働省保険局医療課課長補佐から同職に就いていました。実際のところ、奈良県はこれまでも度々、医療政策において先進的な案を世の中に提示してきました。地域医療構想実現に向けた取り組みの中では、「断らない」重症急性期と「面倒見のよい」軽症急性期といった2つのわかりやすいコンセプトを提示、「奈良方式」として注目を集めました。また昨年8月には、新型コロナウイルス感染拡大による受診抑制で経営が悪化した医療機関を支援するという名目で、医療機関に支払われる診療報酬を都道府県別に引き上げる「地域別報酬」についての意見書案を発表、奈良県知事名で厚生労働大臣に提出しています。診療報酬は全国一律で「1点10円」ですが、2008年に都道府県が違う点数を設定できる特例が設けられています。その特例が適用されたことはないのですが、コロナによる経営悪化を理由に、奈良県が時限的に「1点11点」を求めたわけです。11点は実現しませんでした。なお、このとき全国一律を堅持したい日本医師会は反対を表明しています。他の都道府県にも波及していくかこうした先鋭的な施策案は、中央で大々的にアピールすると各方面とさまざまな軋轢が起きてしまいます。しかし、中央官庁から出向している若手官僚が奈良県などの地方で実験的に打ち出せば、それは世間や医療界の反応を見るアドバルーンとして機能します。今回の県内全ての病院に病床確保や患者の受け入れを要請するという奈良県のアクションも、全国の知事たちに感染症法を活用してもらうための判断材料を提供するべく仕組まれた、と考えれば何となく腑に落ちます。ただ、現実問題として、奈良県でこれまでコロナに対応してこなかった病院がどこまで要請に応えられるかは未知数です。人員や建物の構造、感染症に対するスタッフのスキルなど、一朝一夕にはいかない事情もあるからです。4月16日付の朝日新聞は「県の協力要請は理解できる。県民のために協力したいと当然考えている。だが、民間病院が実際に受け入れられるかは別問題だ」という奈良県の病院協会会長の声を報じています。果たして、感染症法を持ち出すことでコロナ病床はどれくらい増えるのでしょうか。奈良県の“成果”次第では、他の都道府県が追従する可能性もあります。今後の動きが気になるところです。

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喘息吸入薬が効かない原因を突き止めデバイスを変更【うまくいく!処方提案プラクティス】第35回

 今回は、喘息患者さんの吸入デバイスの変更についてです。吸入指導では吸入デバイスの使い方に注力しがちですが、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)とドライパウダー吸入器(DPI)の特徴をしっかりと把握し、患者さんの状態変化に応じてデバイス自体を見直すことも重要です。患者情報90歳、女性(施設入居)基礎疾患気管支喘息、うつ病、高血圧症、逆流性食道炎、過活動膀胱介護度要介護2服薬管理施設スタッフが管理処方内容1.アミトリプチリン塩酸塩錠10mg 1錠 分1 就寝前2.モンテルカスト錠10mg 1錠 分1 就寝前3.ビラスチン錠20mg 1錠 分1 就寝前4.ボノプラザン錠10mg 1錠 分1 就寝前5.ミラベグロン錠50mg 1錠 分1 就寝前6.ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬 1回1吸入 1日2回 朝夕本症例のポイントある日、介護施設職員から、患者さんが吸入薬を頻回に使用しているが一向に症状が良くならないと相談がありました。状況を確認したところ、ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬(タービュヘイラー)を定期的に朝夕吸入しても、しばらくすると喘息発作が出現し、頓用吸入してもあまり効果がないことから、最高量の1日8吸入を吸入する日が続いていました。そこで、施設を訪問して吸入の様子を確認してみましたが、吸入手技や操作自体に大きな問題はありませんでした。しかし、吸入時の吸気をデモ機で確認したところ、強く深く吸入するところで苦しそうにしていて、吸気速度が十分ではありませんでした。これでは追加吸入しても十分な治療効果は得られず、いたずらに吸入回数が消費されてしまうだけです。そこで、患者さんの問題点と対応策について下記のようにまとめました。【問題点】この数日、ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬を追加吸入しているが喘息発作は改善しない。吸入前の薬剤残量カウンターの確認や回転グリップを半時計回りで止まるまで回すなどの基本操作は問題なし。吸入時に口角の隙間はなく、上部・下部の吸気口を手や口でふさいでしまうこともない。吸入前の深呼吸が浅く、吸気速度が十分ではない。吸入後の息止めのタイミングが難しい。【対応策】吸気速度が十分でないことから、気流制限に対応したpMDI製剤への変更を検討。薬剤ボンベのアルミ缶底部を強く押すことができない可能性があるため、スペーサーを装着する。デバイス切り替え後はゆっくり深い吸入を意識するように服薬指導する必要がある。処方提案と経過上記のことから、pMDI製剤であるフルチカゾンプロピオン酸エステル・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬(エアゾール)への変更を提案することにしましたが、情報量も多く、文書での提案が困難であると判断し、医師の訪問診療に同行して直接相談することにしました。同行時に、現状のDPI製剤と変更提案するpMDI製剤の吸入練習器を持参して、患者さんにそれぞれを操作・吸入してもらいました。実際にDPI製剤では吸気速度が十分に保たれておらず、pMDI製剤であれば問題ないことが確認でき、患者さんからもpMDI製剤であれば吸入時に力まなくて済むのが良いと好評でした。そこで、効率的な吸入を行うためにスペーサーを装着して、フルチカゾンプロピオン酸エステル・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入薬へ変更することを提案し、承認をいただきました。pMDI製剤導入当日に介護職員にも立ち会っていただき、練習器を用いながら吸入基本操作や吸入時の注意点のデモを行い、理解を深めました。スペーサーを装着したことで吸気同調の課題も解決し、変更の翌日から夜間の発作も改善しました。現在は、スペーサーがなくても吸気同調が可能となり、過剰使用や突発発作もなく経過しています。大林浩幸. メカニズムから見る 吸入デバイスのピットホール. 日経BP;2016.

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産後うつ病や不安神経症のリスク因子

 うつ病や不安神経症は、産後頻繁に発生する疾患であり、早期発見と早期治療が必要とされる。産後うつ病のリスク因子に関するエビデンスは、早期発見につながる可能性はあるものの、決定的なものはこれまでなかった。オランダ・University of TwenteのAngarath I van der Zee-van den Berg氏らは、妊娠前、妊娠中、妊娠後の産後うつ病および不安症のリスク因子の特定を試みた。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年3月4日号の報告。産後うつ病の高リスク因子に家庭内での外国語の会話 ポストアップ研究の介入群1,406例より母親のデータを取得した。リスク因子は、産後3週および12ヵ月時点で収集した。うつ病および不安症状の評価は、産後1ヵ月目にエジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)および特定不安尺度(STAI-6)を用いて実施した。関連するリスク因子の特定には、ステップワイズロジスティック回帰を用いた。 産後うつ病および不安症のリスク因子の特定を試みた主な結果は以下のとおり。・EPDSスコア9以上の割合は8.0%、STAI-6スコア42以上の割合は14.7%であった。・産後うつ病の高リスクと関連する因子は、以下のとおりであった。 ●家庭内での外国語の会話 ●うつ病歴 ●自己効力感の低さ ●現在の健康状態の悪さ・母乳育児の開始時期と産後うつ病リスク低下との関連は認められず、産後3週間の母乳育児は、うつ病リスク増加を来さなかった。・不安症の高リスクと関連する因子は、以下のとおりであった。 ●高等教育レベル ●うつ病歴 ●早産 ●出産から1週間以内のネガティブな経験 ●過度な乳児の泣き声 ●自己効力感の低さ ●パートナーサポートの低さ ●現在の健康状態の悪さ・本研究の限界として、自己申告による調査、産後の気分の状態による潜在的なバイアス、産後1ヵ月以降の新規うつ病症例を考慮していない点が挙げられる。 著者らは「産後うつ病や不安症のリスク因子は、専門家が高リスクの母親を特定するうえで役立ち、予防的介入や治療機会を創出する可能性がある」としている。

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ファイザー製ワクチン、免疫チェックポイント阻害薬投与がん患者での安全性

 全身薬物療法で治療後もしくは治療中のがん患者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが高いため、ワクチン接種の優先度が高いグループと見なされる。しかし、がん患者におけるワクチンの安全性および有効性データはない。また、一部の専門家から、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与患者において、ワクチンで免疫関連有害事象を誘発または増強する可能性が指摘されている。今回、イスラエル・Tel Aviv Sourasky Medical CenterのBarliz Waissengrin氏らは、ICIで治療されたがん患者におけるファイザー社製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)の安全性について調査した。Lancet Oncology誌オンライン版2021年4月1日号に掲載。 Tel Aviv Sourasky Medical CenterおよびBnei-Zion Medical Centerでは、積極的治療を受けているがん患者すべてに対し、病期、PS、余命に関係なくワクチン接種を推奨した(SARS-CoV-2感染歴のある患者、感染している患者、免疫関連有害事象が制御されていない患者は除外)。本調査では、この2施設において、ICIで治療された患者におけるBNT162b2mRNAワクチンの有害事象を対照群(性別および生まれ年をマッチさせた健康成人)と比較した。2021年1月11日~2月25日に、ICIで治療されていたがん患者170例のうち、副反応を恐れて接種を拒否した33例を除いた137例が初回のワクチン接種を受け、うち134例が2回目のワクチン接種を受けた。ワクチンは1日目と21日目に標準用量で接種し、アンケートは電話で行った。 主な結果は以下のとおり。・初回投与後に3例が死亡し、うちCOVID-19による死亡が1例、がんの進行による死亡が2例だった。初回投与後に最も多かった有害事象は注射部位の痛みで、134例中28例(21%)にみられた。全身性では倦怠感(4%)、頭痛(2%)、筋肉痛(2%)、悪寒(1%)などがみられた。・2回目の投与後の観察期間中に、134例中4例(3%)が入院した(がん関連の合併症3例、発熱1例)が、全例が治療後に退院した。初回より2回目のほうが、全身性および局所性の有害事象が多く観察された。主な有害事象は、局所性では注射部位の痛み(63%)、局所発疹(2%)、局所腫脹(9%)で、全身性では筋肉痛(34%)、倦怠感(34%)、頭痛(16%)、発熱(10%)、悪寒(10%)、消化器合併症(10%)、インフルエンザ様症状(2%)で、入院または特別な介入は必要な例はなかった。・がん治療はICIのみが116例(87%)、ICIと化学療法の併用が18例(13%)だったが、全身性の有害事象はどちらも同程度だった。免疫関連有害事象の新規発現、既存の免疫関連有害事象の悪化はみられなかった。・筋肉痛はがん患者で有意に多かったが、それ以外はがん患者群と対照群で類似していた。両群ともワクチン接種後に免疫関連筋炎はみられなかった。・ワクチン接種前に免疫関連有害事象を報告していた患者(54%)と報告しなかった患者で、2回目接種後に全身性の有害事象を報告した患者数に有意な差はなかった(p=0.94)。過去に免疫関連有害事象を経験した患者でもワクチン関連有害事象は軽度で、入院や治療中止に至らなかった。 著者らは、「これらのデータは、ICIで治療されたがん患者におけるBNT162b2 mRNAワクチンの短期的な安全性を示唆している」としている。

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アプリでのバランス感覚練習、2年で高齢者の転倒率低下/BMJ

 StandingTallは、アプリケーションを用いて自宅で行うe-ヘルスのバランス感覚練習プログラム。オーストラリア・Neuroscience Research AustraliaのKim Delbaere氏らは、高齢者の自己管理による転倒予防におけるStandingTallの有用性を検討し、1年間では転倒率や転倒者の割合は改善されないものの、2年間継続すると、転倒率や処置を要する転倒の割合が低下する可能性があることを示した。研究の成果は、BMJ誌2021年4月6日号に掲載された。シドニー市の高齢者の無作為化対照比較試験 研究グループは、地域居住高齢者の転倒予防におけるStandingTallの有用性の検討を目的に、評価者盲検下の無作為化対照比較試験を実施した(オーストラリア国立保健医療研究会議[NHMRC]の助成による)。 対象は、年齢70歳以上のシドニー市の居住者で、日常生活動作が自立しており、認知障害や進行性の神経障害がなく、運動が不能となる不安定または急性期の病態がみられない人々であった。被験者は、介入群(StandingTall[週2時間]+健康教育)または対照群(健康教育)に無作為に割り付けられた。すべての参加者に、タブレット型コンピュータが配布された。試験期間は2年間であった。 主要アウトカムは、転倒率(1人年当たりの転倒件数)および12ヵ月の時点で少なくとも1回の転倒を経験した参加者の割合とした。副次アウトカムは、24ヵ月の時点での転倒者数および処置を要する転倒(負傷を伴う、または治療を要する転倒)をした参加者の割合、アドヒアランス、気分、健康関連QOL、活動性の程度などであった。練習中の転倒が3人に5件発生 2015年2月~2017年10月の期間に503人が登録され、介入群に254人(平均年齢77.1歳、女性69.7%)、対照群には249人(77.7歳、65.1%)が割り付けられた。 12ヵ月の時点における平均転倒率は、介入群が0.60件/年(SD 1.05)、対照群は0.76件/年(1.25)で、転倒発生の率比は0.84(95%信頼区間[CI]:0.62~1.13)であり、両群間に有意な差は認められなかった(p=0.071)。また、12ヵ月の時点での転倒者の割合は、介入群が34.6%、対照群は40.2%と、有意差はみられなかった(相対リスク:0.90、95%CI:0.67~1.20、p=0.461)。 一方、24ヵ月の時点における平均転倒率は、介入群が対照群よりも16%低く、介入群で有意に良好であった(0.57件/年vs.0.72件/年、率比:0.84、95%CI:0.72~0.98、p=0.027)。また、24ヵ月時の転倒者の割合は両群で同程度(相対リスク:0.87、95%CI:0.68~1.10、p=0.239)であったが、処置を要する転倒をした参加者の割合は、介入群が対照群に比べ20%少なかった(0.80、0.66~0.98、p=0.031)。 介入群では、12ヵ月時に練習を継続していたのは68.1%、24ヵ月時は52.0%で、週当たりの練習時間中央値はそれぞれ114.0分/週(IQR:53.5)および120.4分/週(38.6)であった。 気分(9項目患者健康質問票[PHQ-9])および日常生活の活動性(McRoberts MoveMonitor)は、両群とも同程度で維持されていた。また、介入群では、EQ-5D-5L(EuroQol five dimension five level)の効用値が、6ヵ月の時点で0.03(95%CI:0.01~0.06)改善され、立位バランスが6ヵ月時に11秒(2~19)、12ヵ月時には10秒(1~19)改善された。 介入群では、練習中に3人の参加者で5件の転倒がみられ、軽傷(擦りむき、打撲傷、切り傷)を負った。これらの転倒は介入と直接に関連していた。練習関連の重篤な有害事象は認められなかった。 著者は、「これらの結果は、個別化されたe-ヘルスの運動プログラムは高齢者の転倒予防において有効な介入法であることを示している。StandingTallは拡張性のある介入法で、実地診療への導入が容易であり、医療従事者がプログラムを遠隔で設定し、監視し、個々の患者に合わせて調整するプラットフォームを提供する。また、StandingTallは使用者の自主性に重点が置かれ、医療従事者とのやりとりは最小限で済む」としている。今後は、経済的な評価を行う予定だという。

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FDA、ニボルマブ+化学療法による胃がん、胃食道接合部がん、食道腺がんの1次治療を承認/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年4月16日、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法で、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、PD-L1発現率にかかわらず、進行または転移のある胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの1次治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)に承認されたことを発表した。 この承認は、未治療の進行または転移を有する胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの患者を対象として、ニボルマブとmFOLFOX6またはCapeOXの併用療法を、化学療法(mFOLFOX6またはCapeOX)と比較評価した第III相CheckMate-649試験の結果に基づいたもの。 この試験において、ニボルマブと化学療法の併用療法は、化学療法と比較して、全生存期間(OS)に対して全無作為化患者(HR:0.80、95%CI:0.71~0.90、p=0.0002)およびPD-L1 CPS≧5の患者(HR:0.71、95%CI:0.61~0.83、p<0.0001)の両方において、良好な延長を示した。全患者の探索的解析における1年OS率は、ニボルマブと化学療法の併用療法群で55%、化学療法群で48%であった。また、無増悪生存期間(PFS)も有意に低減した(PD-L1 CPS≧5:PFS HR 0.68、p<0.0001)。

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ドクターうえしまの塩切り奮闘記

循環器疫学のエキスパートが実践する「塩」無添加の生活塩を使わない料理なんて、「おいしくなさそう」「悲惨な食生活になりそう」と思っていませんか? しかし、減塩ならぬ食塩無添加(塩切り)生活に挑んでいる一人の医師がいます。循環器疾患死亡のリスクや認知症発症のリスクが高くなってしまう、とても怖い高血圧。血圧が高めの人は誰でも一度は減塩の指導を受けたことがあるのではないでしょうか。しかし、誰もが減塩に挑戦しては挫折を繰り返す……。本書では、循環器疫学の専門家である上島 弘嗣氏が実践する、おいしく、楽しい食塩無添加生活を紹介します。また、塩分摂取と高血圧の関係や疫学研究をわかりやすく解説した、「塩切り」レクチャーもお楽しみください。この本を読んだら、「塩切り」料理を試してみたくなるかも!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    ドクターうえしまの塩切り奮闘記~循環器疫学の専門家が実践する究極の食塩無添加生活~定価1,650円(税込)判型四六判頁数256頁発行2021年2月著者上島 弘嗣(滋賀医科大学アジア疫学研究センター特任教授)Amazonでご購入の場合はこちら

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日本初のがん悪液質治療薬「エドルミズ錠50mg」【下平博士のDIノート】第72回

日本初のがん悪液質治療薬「エドルミズ錠50mg」今回は、グレリン様作用薬「アナモレリン塩酸塩錠(商品名:エドルミズ錠50mg、製造販売元:小野薬品工業)」を紹介します。本剤は、国内初のがん悪液質の治療薬であり、食欲増進や筋肉増強、体重増加作用によって患者QOLや薬物療法の忍容性が向上することが期待されています。<効能・効果>本剤は、非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がんにおけるがん悪液質の適応で、2021年1月22日に承認され、4月21日に薬価収載されています。なお、切除不能な進行・再発の適応がん、栄養療法などで効果不十分、6ヵ月以内に5%以上の体重減少と食欲不振があり、かつ以下の(1)〜(3)のうち2つ以上を認める患者に使用することとされています。(1)疲労または倦怠感(2)全身の筋力低下(3)CRP値0.5mg/dL超、ヘモグロビン値12g/dL未満またはアルブミン値3.2g/dL未満のいずれか1つ以上食事の経口摂取が困難または消化吸収不良の患者には使用できません。<用法・用量>通常、成人にはアナモレリン塩酸塩として100mg(2錠)を1日1回、空腹時に経口投与します。本剤は食事の影響を受けるため、服用後1時間は食事摂取を控えます。本剤投与により体重増加または食欲改善が認められない場合は、投与開始3週後をめどに原則中止します。なお、12週間を超える本剤の投与経験はなく、体重や問診により食欲を確認するなど、定期的に投与継続の必要性を検討します。<安全性>国内第II相試験および第III相試験(ONO-7643-03、04、05試験)の安全性評価対象187例中84例(44.9%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、γ-GTP増加12例(6.4%)、グリコヘモグロビン増加11例(5.9%)でした(承認時)。重大な副作用として、刺激伝導系抑制(10.7%)、高血糖(4.3%)、糖尿病の悪化(4.3%)、肝機能障害(6.4%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、がんによる食欲不振や体重減少などの症状を改善します。脳の視床下部に作用して食欲を増進させ、脳下垂体に作用して成長ホルモンの分泌を高めることで筋肉がつくられ、体重が増加します。2.本剤は空腹時に服用し、服用後1時間は食事をしないでください。食後服用では効果が低下することがあります。3.服用中に検査で心電図の異常がみられた場合や、めまい、気を失う、立ちくらみ、脈が遅くなる、息切れなどが現れた場合は、すぐに主治医に相談してください。4.糖尿病の悪化や高血糖を引き起こすことがあります。体がだるい、体重が減る、喉が渇く、水を多く飲む、尿量が増えるなどの症状が現れた場合は、速やかに病院か薬局に連絡してください。<Shimo's eyes>日本初の「がん悪液質」に対する治療薬が誕生しました。がん悪液質とは、がんに伴う代謝異常により、食欲低下と骨格筋の持続的な減少を認める多因子性の症候群です。がん患者のQOLを低下させ、予後を悪化させる因子であると考えられていますが、これまで有効な治療方法は確立されていませんでした。本剤は、食欲を制御する体内ペプチドホルモンの一種であるグレリンと同様の働きをする経口低分子のグレリン様作用薬です。食欲中枢へ作用して食欲を増進させるとともに、分泌された成長ホルモンが肝臓に働くことでインスリン様成長因子-1が放出され、筋タンパク合成を促進して体重を増加させます。使用に当たってまず注意すべきは、すべてのがん種が適応ではなく、非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がんに限られている点です。また、がん悪液質は「前悪液質」「悪液質」「不応性悪液質」の3つのステージに分類されますが、前悪液質は本剤による治療の対象からは除外されます。本剤は、食事の影響を受けるため、服用時間の指導が重要ですが、アドヒアランスが低下しないように患者の生活リズムに合わせた服用タイミングのアドバイスを行いましょう。一方で、経口の食事摂取が困難または消化吸収不良の患者には使用できない点にも注意が必要です。服薬後のフォローアップとしては、治療開始3週後をめどに効果が認められない場合は、原則投与を中止します。患者向け資材の中に「効果と副作用のチェックシート」があるので、こちらも活用しましょう。重大な副作用として「刺激伝導系抑制」が現れる恐れがあるため、うっ血性心不全、高度の刺激伝導系障害がある患者には禁忌です。中等度以上の肝機能障害のある患者や、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ボリコナゾールなどを服用中の患者にも禁忌となっています。なお、警告として、「本剤はがん悪液質の診断および治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、患者またはその家族に本剤のベネフィットおよびリスクを十分説明し、理解したことを確認したうえで投与を開始すること」とされています。現時点ではがん悪液質に関する明確な基準や共通認識が確立されているとは言えないため、しっかりと患者さんの状態をフォローしましょう。参考1)PMDA 添付文書 エドルミズ錠50mg

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患者が訴えるこの「めまい」症状は危険なサインか!? 【Dr.山中の攻める!問診3step】第1回

第1回 患者が訴えるこの「めまい」症状は危険なサインか!?―Key Point―回転性めまい、前失神、平衡障害、めまい感の分類は重要でない患者の訴えは経過中に変化する「めまい」を訴える患者はとても多いです。起床後にトイレに行く途中、天井が回り出しびっくりして救急車をコールする人がいます。雲の上を歩いているような浮遊性めまいが続くと内科外来を訪れる人もいます。小脳梗塞などの重大な中枢性めまいは見逃したくないですね。椎骨脳底動脈領域の障害を示唆するめまい以外の症状や心血管系リスクファクターを考慮すると、鑑別診断をかなり絞り込むことができます。症状や神経所見から脳梗塞を強く疑う場合には、当日のMRI検査で異常がなくても経過観察入院で経過を確認する慎重な姿勢が大切です。この連載では、患者の訴える症状が危険性のある疾患を示唆するかどうかを一緒に考えていきます。シャーロックホームズのような鋭い推理ができればカッコいいですよね。◆今回おさえておくべき疾患はコチラ!【中枢性めまいを起こす疾患】椎骨脳底動脈領域の脳梗塞(小脳梗塞、脳幹梗塞)、片頭痛、中枢神経感染症、脱髄疾患(多発性硬化症)が鑑別診断となる片頭痛に伴うめまい(前庭性片頭痛)の頻度はかなり高い。めまいの持続は数分から数日。片頭痛の既往や家族歴、光過敏、スピンする運動が苦手である【STEP1】患者の症状に関する理解不足を解消させよう【STEP2】中枢性めまいを見逃さないめまいを訴える患者の約10%は中枢性めまいである心血管系リスクを評価し、めまい以外の脳神経症状が出ていないかを確認する。しかしながら、椎骨脳底動脈系の脳梗塞を起こした患者の20%はめまい症状だけであるHINTS(Head Impulse test、Nystagmus、Test of Skew)で中枢性めまいか末梢性めまいかを確認する1)垂直性眼振、方向交代性眼振は中枢性めまいを示唆する歩くことがまったくできなければ中枢性めまいの可能性が高い【STEP3】中枢性めまいではなさそうなら、末梢性めまいの診察へ頭位変換(寝返り、臥床)でめまいが誘発され、持続時間が1分程度なら、良性発作性頭位めまい症(BPPV: benign paroxysmal positional vertigo)の可能性が高い。耳鳴と聴力低下はない。末梢性めまいで最多の原因Dix-Hallpike法で誘発し、Epley法で治療を行う(85%に有効)2)末梢性めまいの他の原因として前庭神経炎、内耳炎、メニエール病、Ramsay-Hunt症候群、薬剤性がある前庭神経炎ではウイルス感染が先行することが多い。めまいは数日続き、眼振は方向固定性かつ急速相は健常側へ向かう水平性である。耳鳴なし。難聴なし内耳炎は前庭神経炎と症状が似ている。聴力低下ありメニエール病の3徴は回転性めまい、耳鳴、聴力低下である。症状は発作的に何度か繰り返す。めまいの持続は数分~数時間。聴力検査は重要である。メニエール病を疑えば、専門的な治療が必要なので耳鼻科へ紹介するRamsey-Hunt症候群では水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)により顔面神経麻痺と耳介の発赤・水疱、めまい、難聴、耳痛を起こすめまいに伴う症状(嘔気嘔吐、不安神経症など)を改善するための治療薬(抗ヒスタミン薬、ベンゾジアゼピン系薬、制吐薬)は、めまいに対する代償作用を損なうので漫然と使ってはいけない <参考文献・資料>1)ステップ ビヨンド レジデント6. 羊土社. 2016. p.55.2)BPPV(良性発作性頭位めまい症)に対するエプリー法(YouTube)プライマリ・ケア 外来診療目利き術50. 南山堂. 2020. p.10-11.MKSAP18. General Internal Medicine. 2018.p.55-59.Kim J-S, et al. N Engl J Med. 2014;370:1138-1147.Kaski D, et al. BMJ. 2019;366:I5215.

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第56回 COVID-19の自宅ステロイド治療が有望/血栓症はワクチン後よりCOVID-19後の方が多い

COVID-19のステロイド治療で回復が早まり、悪化を減らしうる非入院の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が入院せずに済むようにしうる治療幾つかをまとめて調べている英国の無作為化試験PRINCIPLE1)でステロイド・ブデソニド(商品名:パルミコート)吸入の効果が判明しました。65歳以上か持病がある50歳以上のCOVID-19患者の回復までの日数は通常療法に加えてブデソニドを14日間1日2回吸入する群751人の方が通常療法のみの群1,028人に比べて約3日間(3.011日間)短かったのです2,3)。入院率はブデソニド吸入群では8.5%、通常療法のみの群では10.3%でした。その差のベイズ95%確信区間(-0.7%~+4.8%)上限は0を超えており、今回の途中解析では残念ながらブデソニドが入院を減らす効果は示せませんでした。しかしPRINCIPLE試験の担当医一覧にも名を連ねるMona Bafadhel氏等が率いた別の無作為化試験STOICでは有望なことにブデソニド治療で救急科(ED)受診や入院を含む急な医療動員を減らすことができました。Lancet Respiratory Medicine誌4)に最近掲載されたSTOIC試験はPRINCIPLE試験よりも小規模で被験者数は146人です。PRINCIPLE試験では重症化の恐れが大きい高齢者への効果が調べられたのとは違ってSTOIC試験の被験者はより若く、18歳以上の患者を対象としました。軽度のCOVID-19発症から7日以内のそれら被験者の住まいに看護師が出向いて同意を得、通常療法かブデソニド吸入群に無作為に振り分け、吸入器を渡し、PCR検査用の鼻喉の拭い液を回収しました。患者には研究チームが毎日電話して酸素飽和度や体温が確認され、有害事象が把握されました。患者とそのようにやり取りして28日間追跡した結果、咳には蜂蜜(honey)、発熱症状にはアセトアミノフェンやアスピリン等の解熱剤使用が指示された通常療法群73人では15%(11/73人)がED受診や入院を含むCOVID-19関連の急な医療の出番を要しました。一方、残り半分73人のブデソニド吸入群でのその割合は僅か3%(2/73人)で済みました。ブデソニド吸入はCOVID-19感染初期に有効な治療として世界で広く利用しうると著者は言っています。今後の課題の一つとしてSTOIC試験で示されたCOVID-19悪化予防効果がブデソニドに限るのかそれともどの吸入コルチコステロイドにもあまねく備わっているのかを調べる必要があります5)。稀な血栓症・脳静脈血栓症はCOVID-19後の方がワクチン後より生じ易いAstraZenecaやJohnson & Johnson(J&J)のワクチンの稀な血栓症・脳静脈血栓症が心配されていますが、ではそれらワクチンで防ぎうるCOVID-19後はどうなのか?米国の8,100万人を網羅する医療情報集TriNetX Analyticsを使った解析によると脳静脈洞血栓症(CVST)とも呼ばれる脳静脈血栓症はどうやらワクチン後に比べてCOVID-19の後の方がずっと生じ易いようです6)。TriNetX Analyticsに記録されたCOVID-19患者51万3,284人のうち20人がその診断から2週間以内に脳静脈血栓症を発現しました。Pfizer/BioNTechやModerna のmRNAワクチンを接種した48万9,871人での発現数は2人のみでした。100万人当たりに換算するとCOVID-19後2週間の脳静脈血栓症発現数は39例、かたやmRNAワクチン接種後2週間は僅か4例であり、COVID-19後はmRNAワクチン接種後より10倍ほど生じ易いことが示されました。著者が言及している最近の欧州医薬品庁(EMA)推定によるとAstraZenecaのCOVID-19ワクチン接種後の脳静脈血栓症の発生率は100万人あたり5人です。AstraZeneca と同じくアデノウイルスを下地とするJ&Jワクチンがどうかは今回の解析では言及されていません。Pfizerは今回の結果に納得しておらず、同社のmRNAワクチンと血栓塞栓症は無縁との見解を科学ニュースThe Scientistに送っています7)。米国の疾病管理センター(CDC)や英国の医薬品医療製品規制庁(MHRA)の最近の検討でもPfizerワクチンと血栓症の関連はないと判断されていると同社は言っています。参考1)PRINCIPLE Trial2)Asthma drug budesonide shortens recovery time in non-hospitalised patients with COVID-19 / PRINCIPLE Trial3)Inhaled budesonide for COVID-19 in people at higher risk of adverse outcomes in the community: interim analyses from the PRINCIPLE trial. medRxiv. April 12, 20214)Ramakrishnan S, et al. Lancet Respir Med. 2021 Apr 9:S2213-2600.00160-0. 5)Agusti A, et al. Lancet Respir Med. 2021 Apr 9:S2213-2600.00171-5.6)Cerebral venous thrombosis: a retrospective cohort study of 513,284 confirmed COVID-19 cases and a comparison with 489,871 people receiving a COVID-19 mRNA vaccine. Center for Open Science. 2021-Apr-157)Blood Clot Risk from COVID-19 Higher than After Vaccines: Study / TheScientist

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AZ社新型コロナワクチンによる血栓症、血小板減少の原因は?/NEJM

 英・アストラゼネカ社製の新型コロナウイルス感染症に対するアデノウイルスベクターワクチン(ChAdOx1 nCov-19、以下AZD1222)接種後、異常な血栓イベントや血小板減少症の発生が世界各国で相次いで報告されている。今回、ドイツ・グライフスヴァルト大学のAndreas Greinacher氏らがそれらを発症した患者について調査した結果、AZD1222接種者は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を引き起こすHIT抗体(血小板第4因子[PF4]・ヘパリン複合体を抗原として作られる抗体)によって血小板減少症を発症する可能性があることを明らかにした。NEJM誌オンライン版4月9日号掲載の報告。 研究者らは ドイツとオーストリアでAZD1222接種後に血栓症または血小板減少症を発症した11例の臨床および検査値の特徴について、標準的酵素免疫法を用いて評価。さまざまな反応条件下で、血小板が活性化するHIT抗体とPE4・PVS複合抗体(PF4 Enhanced®)の検出を確認した。また、ワクチン関連の血栓イベント調査用の紹介患者の血液サンプルを含めて測定したところ、PF4-ヘパリン抗原・抗体検査で28件が陽性だった。 主な結果は以下のとおり。・11例のうち9例は女性、年齢中央値は36歳(範囲:22〜49歳)だった。・ワクチン接種5〜16日後から、致命的な頭蓋内出血を呈した1例を除き、1つ以上の血栓イベントが発生した。・1つ以上の血栓イベントを呈した患者のうち、9例は脳静脈血栓症(CVT)、3例は内臓静脈血栓症(STV)、3例は肺塞栓症(PE)、4例はその他の血栓症を発症した。・6例が死亡し、5例は播種性血管内凝固症候群(DIC)だったが、いずれも症状出現前にヘパリン投与はなかった。・HIT抗体陽性の28件の検査全例で、ヘパリンとは関係なくPF4の存在下、血小板活性化を示した。また、この活性化は高濃度ヘパリン、FcRレセプターブロッキングモノクローナル抗体および免疫グロブリン(10mg/mL)によって阻害された。・2例を対象としたPF4またはPF4-ヘパリン抗原アフィニティー精製された抗体を用いた追加研究では、PF4とは関係なく血小板の活性化が確認された。

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再発非ホジキンリンパ腫にcopanlisib+リツキシマブが有効/Lancet Oncol

 再発した非ホジキンリンパ腫患者を対象に、PI3K阻害薬であるcopanlisibとリツキシマブの併用療法の有効性と安全性を評価したCHRONOS-3試験の結果が、Lancet Oncology誌4月10日号オンライン版に掲載された。 CHRONOS-3は、世界186施設で行われた多施設共同、二重盲検、無作為化第III相試験。対象はPS2以下、1年以上無増悪かつ無治療、または化学療法不適の場合は6ヵ月以上無治療の成人再発非ホジキンリンパ腫患者で、copanlisib+リツキシマブ群とプラセボ+リツキシマブ群に無作為で割り付けられた。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)だった。 主な結果は以下のとおり。・2015年8月3日~2019年12月17日の間に458例が適格となり、copanlisib+リツキシマブ群(copanlisib群)307例、プラセボ+リツキシマブ群(プラセボ群)151例に割り付けられた。・追跡期間中央値は19.2カ月(IQR:7.4~28.8)だった。・copanlisib群のPFS中央値は21.5ヵ月(95%CI:17.8~33.0)で、プラセボ群の13.8ヵ月(10.2~17.5、HR:0.52[0.39~0.69]、p

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ニボルマブ+化学療法の肺がん術前補助療法、pCRを改善(CheckMate-816)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年4月10日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)と化学療法を3サイクル投与する併用療法が、化学療法と比較して、切除可能なStage1b〜3aの非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法として、病理学的完全奏効(pCR)を有意に改善したと発表。 これは、切除可能なNSCLC患者の術前補助療法として、ニボルマブ(またはイピリムマブ)と化学療法の併用を化学療法単独と比較した第III相CheckMate-816試験の結果で、米国がん学会(AACR 2021)で発表されたもの(抄録番号:#5218)。 同試験におけるpCR率は、ニボルマブと化学療法の併用療法群では24%、化学療法群では2.2%であった(OR:13.94、99% CI:3.49〜55.75、p<0.0001)。ニボルマブと化学療法の併用療法の忍容性は良好であり、PD-L1発現レベル、組織型または病期にかかわらず一貫したpCRの改善を示した。

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急性期精神科病棟における音楽療法と鎮静薬使用との関係

 音楽療法は、患者の興奮状態を落ち着かせる手助けとなるだけでなく、全体的な頓服薬の投与を減少させる可能性がある。米国・SUNY Upstate Medical UniversityのTrevor Scudamore氏らは、精神科病棟での興奮のマネジメントにおいて薬理学的な介入の補助または代替として音楽療法が有効であるか、その実現可能性について、検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年3月6日号の報告。 対象は172例。試験期間は、音楽なしの3ヵ月間と音楽のde-escalation(段階的縮小)オプションのある3ヵ月間で構成された6ヵ月間。音楽療法期間中、患者は好みのジャンルを選択し、最大30分間ワイヤレスヘッドホンの提供が行われた。興奮および不安症状に対して投与された頓服薬(経口、舌下、筋注)の数は、薬局の記録より収集した。患者および看護師より、音楽介入に関する自己報告調査を収集した。 主な結果は以下のとおり。・音楽療法実施期間中の頓服薬の週間平均投与量は、音楽なしの期間と比較し、ハロペリドールおよびオランザピンのいずれにおいても有意な減少が認められた。 ●ハロペリドール:8.46±1.79(p<0.05)→5.00±1.44(p<0.05) ●オランザピン:9.69±2.32(p<0.05)→4.62±1.51(p<0.05)・一方、ロラゼパムの投与量は、有意ではないものの増加傾向が認められた。 ●ロラゼパム:3.23±1.09(p<0.05)→6.38±2.46(p<0.05)・音楽療法に対する患者の回答は、96%が鎮静効果に同意するまたは強く同意するであった。・看護師の回答では、音楽療法の簡便性に同意が得られ、56%が患者を落ち着かせるうえで役立つことに同意するであった。・その他の探索的な結果として、平均入院期間の減少、隔離回数の減少が観察された。 著者らは「音楽療法は、急性期精神科病棟における鎮静薬の頓服使用を減少させるうえで、重要な役割を果たす可能性がある。音楽療法が、その他の治療結果に及ぼす影響を調査するためには、さらなる研究が求められる」としている。

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