サイト内検索|page:678

検索結果 合計:35181件 表示位置:13541 - 13560

13541.

統合失調症患者に対するVR介入の可能性

 統合失調症は、重度および障害を伴う精神疾患であり、社会的機能の持続困難と関連する。仕事の継続や社会的な関係を維持することは、患者にとって困難な場合もあり、限られた薬物療法の選択肢では、機能不全の治療が難しいことも少なくない。医学的な治療の限界に対処するため、心理療法の分野では、いくつかの革新的かつ興味深いアプローチが導入されている。ハンガリー・センメルワイス大学のEdit Vass氏らは、統合失調症患者に対するバーチャルリアリティー(VR)介入の可能性について、症例ベースの報告を行った。Frontiers in Psychology誌2021年2月26日号の報告。 VR治療の潜在的なベネフィットは、対人関係問題に対処する必要がある場合に、とくに有用である。たとえば、VRに基づく心理介入(VR-ToMIS)は、患者が実社会における負荷を感じることなく、複雑な社会的相互関係を実践できるように促す新しい手法である。本報告では、VR-ToMISを実施した統合失調症患者の経過について紹介された。 主な結果は以下のとおり。・罹病期間20年の統合失調症女性(50歳)。・長年コンプライアンスに関する問題は認められなかったが、社会的機能に関して深刻な問題を抱えていた。・VR-ToMISを用いて、ToMや実践的なコミュニケーションスキルの向上が認められた。・介入効果は、テスト時のスコア増加を上回っていた。・介入前は、相互コミュニケーションの主な原則に従うことができず、失業リスクが高かった。・対象患者に対するVR-ToMISは、想定以上の有益な効果が認められた。・介入後は、バランスの取れたコミュニケーションの実践が可能となり、仕事を継続することができた。 著者らは「VR-ToMISは、統合失調症患者の社会的機能障害を治療するための有望なツールである可能性が示唆された」としている。

13542.

KRASG12C阻害薬ソトラシブ、KRAS G12C陽性肺がんに国内申請

 アムジェンは、2021年4月28日、KRAS G12C阻害薬ソトラシブについて、KRASG12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)を予定の効能又は効果として、日本国内で製造販売承認申請を行った。 KRAS G12C変異は、米国では肺腺がんの約13%、日本人では非扁平上皮がんの4.5%に認められると報告されている。しかし、KRASG12C変異を有するNSCLCに対する治療薬は承認されておらず、また既存の2次治療における転帰も不良である。 ソトラシブの日本における製造販売承認申請は、KRASG12C変異を有する進行NSCLC患者を対象とした、第I/II相多施設共同単群非盲検試験(CodeBreaK 100試験)から得られた結果に基づき行った。同試験では、ソトラシブ単独療法時の有効性および安全性を評価し、臨床的意義のある有効性並びに良好な忍容性が認められた。 ソトラシブは、2021年3月11日付で厚生労働省より希少疾病用医薬品指定を受けている。

13544.

第58回 COVID-19後の脳のもやもやをゲームで治療する

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を切り抜けた人のいったいどれほどが認知機能障害を呈するかははっきりしていませんが、思考・集中・記憶が困難になることは確かにあり、そのような耐え難い尾を引く(long-haul)後遺症は悪くすると何ヵ月も続きます1)。退院に向けてリハビリに取り組むCOVID-19入院患者の神経や精神を検査した報告では調べた57人のほとんど46人(81%)に認知機能障害が認められ、計画や取り仕切ることなどに必要な遂行機能や注意の欠陥がとくに多く生じていました2)。認知機能障害は入院患者に限りません。米国のノースウェスタン大学病院にはCOVID-19神経副作用を専門とするNeuro COVID-19 Clinicと呼ばれる診療所があり、去年5月の開設以来400人以上を手当てしています1)。それらの外来データを調べたところ、神経症状が6週間以上続く100人目までの患者で不特定な認知異常“脳のもやもや(brain fog)”の訴えは最も多く81人(81%)に認められました3)。COVID-19に伴う認知機能障害の原因はわかっておらず、脊髄液やその他の検体を使って炎症やその他の異常の手がかりを探る研究が始まっています。原因の研究の一方で治療法の検討も始まっています。たとえば体を動かしたり頭を使うゲームがその一つで、COVID-19を経た患者48人の試験ではパズルのような頭脳ゲームが有望な成績を収めています1)。研究者は無作為化試験を始めるつもりです。ADHD(注意欠如・多動症)小児の治療に医師が処方するビデオゲームEndeavorRxの米国FDA承認4)を得たAkili Interactive社のデジタル治療の取り組みも進んでおり、COVID-19に伴う認知機能障害患者100人が参加する試験で検討されます1)。去年の6月に承認されたAkili 社のADHDゲーム治療は操作棒(マルチスティック)を使って障害物を避けつつ目標(アイテム)を回収することで注意の改善を目指します。その改善はADHD小児300人以上が参加した無作為化試験で裏付けられています5)。また、親や医師の評価も教育用の別のゲームをした対照群より良好でした。ゲームのようないわゆる脳トレは万能ではありませんが、注意や切り盛りする処理能力の構築に役立つことが裏付けられつつあります。注意や処理能力の障害はCOVID-19後遺症のどうやら核をなしており、インターネットやアプリを介したゲーム訓練は長引くCOVID-19症状でどうにもならないと悲観にくれる人の前途を照らすでしょう1)。参考1)COVID-19 ‘brain fog’ inspires search for causes and treatments / Science 2)Jaywant A,et al. Neuropsychopharmacol. 2021 Feb 15:1-6.[Epub ahead of print]3)Graham EL, et al. Ann Clin Transl Neurol. 2021 Mar 23.[Epub ahead of print]4)FDA Permits Marketing of First Game-Based Digital Therapeutic to Improve Attention Function in Children with ADHD / PRNewswire5)Kollins SH, et al. Lancet Digit Health. 2020 Apr;2:e168-e178.

13545.

メマンチンによるPTSD治療の有効性

 現在、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する薬理学的治療の選択肢は十分でなく、新たな薬物治療アプローチの開発が待たれている。国立精神・神経医療研究センターの堀 弘明氏らは、一般人のPTSDに対するNMDA受容体拮抗薬であるメマンチンの有効性および安全性を評価するため、12週間のオープンラベル臨床試験を実施した。European Journal of Psychotraumatology誌2021年1月15日号の報告。 対象は、一般人女性のPTSD成人患者13例(DSM-IV基準)。対象患者には、4週目までは毎週、その後は12週目まで4週間ごとに外来診療を行った。各患者の現在の治療薬に、メマンチン5mg/日を追加し、その後用量調整を行った。基本的に併用薬は、試験期間中に変更しなかった。主要アウトカムは、外傷後ストレス診断尺度(PDS)で評価したPTSD診断および重症度とした。 主な結果は以下のとおり。・13例中1例が脱落、2例がプロトコール逸脱のため試験を終了したため、10例について分析を行った。・平均PDS総スコアは、ベースライン時の32.3±9.7から12週目の12.2±7.9へ有意な改善が認められた(paired t検定:p=0.002、d=1.35)。侵入症状、逃避症状、過覚醒症状の有意な改善が認められた。・6例は、12週目にPTSD診断基準を満たさないまで回復がみられた。・睡眠障害、眠気、鎮静、体重変化、低血圧などメマンチンに関連する可能性のある有害事象が観察されたが、いずれも重篤ではなかった。 著者らは「メマンチン治療は、一般のPTSD女性の症状を有意に改善し、忍容性も良好であった。PTSDに対するメマンチンの有効性および安全性を検証するためにも、今後のランダム化比較試験が求められる」としている。

13546.

IPDメタ解析、研究手法の質に課題/BMJ

 臨床試験の個別被験者データ(IPD)を用いたメタ解析について、現状ではその研究手法の質が、満足のいくレベルには達していないという。中国・中南大学のHuan Wang氏らが、323件のIPDメタ解析についてシステマティック・レビューを行い報告した。調査対象のIPDメタ解析のうち、事前にプロトコールの確立を行っていた試験は約3割にとどまり、バイアスリスクの評価を適切な方法で行っていたのは約4割だった。IPDメタ解析は、介入効果の推定に関してエビデンスを提供する理想的なアプローチと見なされているが、方法論の欠陥によるバイアスの影響を受けやすいとされている。IPDメタ解析が一貫性のない基準に基づいて行われているとのエビデンスも示されており、IPDメタ解析が増加しているにもかかわらず、研究手法の質の包括的な評価はこれまで行われていなかった。BMJ誌2021年4月19日号掲載の報告。Medline、EmbaseなどのIPDメタ解析をシステマティック・レビュー 研究グループは、Medline、Embase、Cochrane Database of Systematic Reviews(CDSR)を基に、無作為化比較試験についてIPDメタ解析を行い、英語で発表された試験について、システマティック・レビューを行った。 IPDメタ解析の研究手法について、その質を評価するとともに改善すべき領域を探った。IPD非取得率90%以上は39% レビューには、1991~2019年に発表された、21の臨床分野に関する323件のIPDメタ解析が含まれた。対象のうち270件(84%)はCDSRに非掲載で、インパクトファクターが高い雑誌(ランクは上位4分の1)に発表されたものは269件(84%)だった。 IPDメタ解析で、分析対象とした無作為化比較試験のバイアスリスクに関する評価を適切な方法で行っていたのは43%(95%信頼区間[CI]:38~48)と低かった。同様に、結果の解釈にバイアスリスクを考慮していたのは40%(同:34~45)、分析対象から除外した試験リストに正当な理由を付していたのは32%(同:27~37)であった。 また、事前プロトコールの確立も31%(95%CI:26~36)と低く、全般的効果や被験者と介入の相互関係に関する評価について事前にその方法を規定していたのは、それぞれ44%(同:39~50)と31%(同:26~36)だった。さらに、包括的な文献検索を実施していたのは19%(同:15~23)だった。 被験者や分析対象試験からIPDを得られなかった割合が90%以上だったIPDメタ解析は126件(39%)に上り、うち、その理由を示していたのは60件(48%)、入手できないIPDを補うために特定の戦略を行ったのは21件(17%)のみだった。 これらの結果を踏まえて著者は、「今後のIPDメタ解析では、事前プロトコールを確立して事前にデータ統合計画を規定し、文献の包括的な検索、適切な手法で包含した無作為化試験の批判的な評価、データ分析と解釈においてバイアスリスクを明らかにすること、入手できなかったIPDについての説明が必要である」と述べている。

13547.

取扱い規約 第8版補訂版

手術記載・病理診断・肺がん検診の手引きをアップデート!主な改訂内容:1)肺手術記載;病理所見の記載を削除して簡潔化し、さまざまなリンパ節郭清のパターンに応じた記述法を新たに定義し、中葉・舌区についての系統的リンパ節郭清の定義変更を行った。2)病理診断;微少浸潤性腺非粘液性のICD-Oコードの変更を行った。また細部に実務上必要な補足を加えた。3)肺がん検診の手引き;加熱式タバコの取り扱い、読影医の条件などについて新たに説明を加えた。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    肺取扱い規約 第8版補訂版定価7,370円(税込)判型B5判頁数236頁・カラー図数:291枚発行2021年4月編集日本肺学会

13548.

貧血と不眠症~メタ解析

 最近、いくつかのゲノムワイド研究において、不眠症と貧血に共通の遺伝的要素が関連している可能性が示唆されている。米国・ペンシルベニア州立大学のSamantha N. Neumann氏らは、貧血を有する成人は、そうでない人と比較し、不眠症の有病率が高いかどうかを調査するため、横断的研究およびメタ解析を実施した。Chinese Medical Journal誌2020年12月21日号の報告。 対象は、進行中のコホート研究であるKailuan研究に参加した中国人成人1万2,614人。貧血の定義は、女性でヘモグロビンレベル12.0g/dL未満、男性で13.0g/dL未満とした。不眠症の評価には、アテネ不眠尺度(AIS)中国語版を用いた。不眠症の定義は、AIS総スコア6以上とした。貧血と不眠症との関連は、年齢、性別、慢性疾患の状態、血漿C反応タンパク質濃度などの潜在的な交絡因子で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。成人集団における貧血と不眠症の関連を評価するため、本横断研究と以前実施した3つの横断研究の結果をプールし、固定効果モデルを用いて、メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・貧血を有する成人は、そうでない人と比較し、不眠症の有病率が高かった(調整オッズ比[OR]:1.32、95%信頼区間[CI]:1.03~1.70)。・C反応性タンパク質レベルが1mg/L以上のような慢性炎症を有する患者を除外した後でも、貧血と不眠症の有意な関連が認められた(調整OR:1.68、95%CI:1.22~2.32)。・参加者2万2,134人を含むメタ解析においても、貧血と不眠症に正の関連が認められた(プールされたOR:1.39、95%CI:1.22~1.57)。 著者らは「横断研究デザインの性質上、結果の解釈には注意が必要である」としながらも「貧血を有する成人は、不眠症である可能性が有意に高いことが示唆された」としている。

13549.

J&Jの新型コロナワクチン、重症・重篤化に高い予防効果/NEJM

 Janssen(米国・Johnson & Johnsonグループの医薬品部門)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「Ad26.COV2.S」は、単回接種によりCOVID-19を予防し、とくに入院や死亡を含む重篤なCOVID-19に対する有効率が高いことが認められた。安全性は、他のCOVID-19ワクチンの第III相試験と同様であった。オランダ・Janssen Vaccines and PreventionのJerald Sadoff氏らが、Ad26.COV2.Sの国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「ENSEMBLE試験」の結果を報告した。Ad26.COV2.Sは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の完全長・安定化スパイク(S)タンパク質をコードする遺伝子組み換え非増殖型アデノウイルス血清型26(Ad26)ベクターである。NEJM誌オンライン版2021年4月21日号掲載の報告。米国、南米、南アフリカにおいて、約4万4,000人にワクチンまたはプラセボを接種 ENSEMBLE試験は、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、南アフリカおよび米国において実施された。研究グループは、18歳以上の成人をAd26.COV2.S(ウイルス粒子量5×1010/mL)群(以下ワクチン群)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、単回接種した。 主要評価項目は、per-protocol集団における接種後14日以降、および接種後28日以降の中等症~重症・重篤COVID-19発症で、安全性についても評価した。 2020年9月21日に登録を開始し、計4万4,325人が無作為化され、うち4万3,783人が接種を受けた(ワクチン群2万1,895人、プラセボ群2万1,888人)。per-protocol集団は、ワクチンまたはプラセボの接種を受け、接種時SARS-CoV-2血清陰性または不明でプロトコールの逸脱がなかった参加者と定義し、3万9,321人(ワクチン群1万9,630人、プラセボ群1万9,691人)が含まれた(データカットオフ日は2021年1月22日)。重症・重篤COVID-19予防の有効率は接種後14日以降で77%、28日以降で85% 接種後14日以降に発症した中等症~重症・重篤COVID-19症例は、ワクチン群116例、プラセボ群348例であり、有効率は66.9%(補正後95%信頼区間[CI]:59.0~73.4)であった。また、投与後28日以降の同症例はそれぞれ66例および193例で、有効率は66.1%(55.0~74.8)であった。 COVID-19重症度別の有効率は、接種後14日以降発症例で中等症64.8%(補正後95%CI:55.8~72.2)に対し重症・重篤76.7%(54.6~89.1)、接種後28日以降発症例でそれぞれ62.0%(48.7~72.2)および85.4%(54.2~96.9)であり、ワクチンは重症・重篤COVID-19の予防効果がより高いことが示された。 南アフリカでは、20H/501Y.V2変異株が高頻度に検出されたが(91配列中86配列、94.5%)、有効率は、接種後14日以降発症の中等症~重症・重篤COVID-19に対して52.0%(補正後95%CI:30.3~67.4)、重症・重篤COVID-19に対して73.1%(40.0~89.4)、接種後28日以降でそれぞれ64.0%(41.2~78.7)および81.7%(46.2~95.4)であった。 重篤な有害事象の発現率は、両群とも0.4%であった。静脈血栓塞栓症はワクチン群11例、プラセボ群3例に認められたが、多くは基礎疾患や素因に起因している可能性が考えられた。死亡例はワクチン群で3例(COVID-19との関連なし)、プラセボ群で16例(5例がCOVID-19関連死)であった。

13550.

食道がんの治療にニボルマブが大きな影響を与える可能性が示された(解説:上村直実氏)-1382

 食道がんおよび胃食道接合部がんに対する治療は、進行度により内視鏡的切除術、外科的手術および化学放射線治療による集学的治療が行われる。Stage II/IIIすなわち外科的切除可能な食道がんおよび胃食道接合部がんに対する標準治療は、術前の化学放射線療法と根治的手術とされている。比較的予後が良いとされているStage II/IIIの食道がんであっても、術後に再発する症例が多く、補助療法が必要であるケースも多い。しかし、わが国の『食道診療ガイドライン』においても、術後再発予防を目的とした術後補助療法に関しては有用性を示すエビデンスが乏しいために推奨されていないのが現状である。 今回、このステージの食道がん治療において術後補助療法として免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(商品名:オプジーボ)単独療法の有用性を示す研究結果がNEJM誌に掲載された。無病生存期間をエンドポイントとした本研究の良好な結果は、ニボルマブ単独療法が食道がん治療を変える可能性を示唆するものである。すなわち、術前の化学放射線治療を行ったStage II/IIIの食道がんおよび胃食道接合部がん手術症例に対するニボルマブ単独投与が食道がんの再発遅延および予防に有用であることが明らかとなった。 この研究結果により術後の補助療法としてニボルマブが米国FDAにより承認されたが、わが国においても承認に向けて審査中であり、臨床現場で使用されることが期待される。さらに、食道がんに対する1次治療にニボルマブが組み込まれる可能性も期待される研究結果である。 最後に、食道がんに関する欧米の研究結果を参考にする際、日本と欧米の違いを理解しておく必要がある。一口に食道がんといっても、圧倒的に扁平上皮がんが多い日本と異なり、欧米では食道腺がんが多いことから研究対象の組織型に注意が必要である。さらに、日本の医療現場では、予後が悪い食道がんも内視鏡検査で早期発見が可能な時代になっている。内視鏡による小さながんの早期発見により、侵襲の大きい食道切除と異なりQOLが非常に高い内視鏡的切除術(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)で根治が可能な時代になっていることを忘れてはならない。

13552.

第55回 政府も当事者意識を!新型コロナ感染拡大、収束のカギはテレワーク推進

ついに4月25日から新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言が東京都、京都府、大阪府、兵庫県に対して発出された。特措法に基づく緊急事態宣言発出はこれで3度目。もっとも今回は昨年4月に発出された緊急事態宣言時に次ぐ厳しい休業要請などが発表されている。そして従来から特措法に基づく、まん延防止等重点措置(まん防)や緊急事態宣言、あるいは自治体独自の自粛措置などで最も「標的」とされてきた飲食店に関しては休業もしくはアルコール提供なしの営業時間短縮(時短)が求められている。今回は宣言発出決定が23日、適用開始が25日と周知期間が極めて短かったこともあり、24日土曜日の都内の主要地域は、休業要請対象となるデパートや大型量販店などで買い物を済ませておこうとする人たちでごった返した。かく言う私も家族から1週間ほど前に「都心に行くときに買ってきて欲しい」と頼まれていたものがあり、それが休業要請対象施設で販売されているものだったため、「何とか土曜日中に買って」と哀願され、仕方なく外出した。そこで遭遇したのは、家族からの頼まれものを買うために入ったデパートのエレベーター待ち、ついでに立ち寄った大型書店のレジ待ち、のいずれも長蛇の列。とりわけ書店ではレジ待ちに並んでから終了までに約30分という人生初の経験をした。そして宣言初日の25日午前、最寄り駅周辺の飲食店街周辺を歩くと、あちらこちらに「臨時休業」「アルコールは提供しません」の張り紙。ざっと見て「臨時休業」と「アルコール提供なしで営業」は7:3くらいだ。見回っている最中に顔見知りの飲食店の経営者2人と顔を会わせた。いずれもアルコール提供なしで店を開くとのこと。それぞれの第一声は以下のような感じだった。「休業も考えたが、いろいろ計算すると、とりあえずは『お食事処』として営業するしかない」「時短はやむを得ないと思っていたが、まさかアルコールを提供しないように言われるとは思わなかった」後者の経営者はその後に言葉を継ぐように「いやー、本当につらい」と絞り出すように語った。そりゃそうだろう。アルコール類の提供を柱の一つとする飲食店にとって、「アルコールを提供するな、そのうえで時短もしろ」と言われるのは、やや品のない言い方かもしれないが「服を全部脱げ、そのうえで髪の毛も含めて全部体毛を剃れ」と言われる拷問のようなものだ。では、今回の広範な休業要請も含む緊急事態宣言は間違いだろうか? そう問われると、私はそうは思えない。このウイルスのメインの感染経路が飛沫感染であることを考えれば、やはり飲食の場での感染をいかに防ぐかが感染対策の大きなカギだ。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身 茂会長が何度も「急所」という言葉を使って表現するのはそのためだ(この「急所」という言葉に傷つく飲食店関係者がいるのも承知している)。そのうえで考えると、1回目と2回目の緊急事態宣言やまん防、それ以外の各自治体独自の飲食店時短営業要請の後の感染者報告数を見れば、飲食店の時短営業に一定の感染者減少効果があるのは確かだ。まん防については効果を疑問視する声はあるものの、まん防だけで感染者報告がすでにピークアウトしている宮城県の事例を考えると、効果はあると言える。ただ、感染が拡大すればするほど、飲食店の時短営業だけでは効果に限界があるのもまた現実だ。ほぼ飲食店の時短営業のみに対策が集中した2回目の緊急事態宣言下では、首都圏で2回の宣言期間延長を経て感染者報告数がほぼ下げ止まってしまったことがその限界を端的に示している。そこで改めて振り返ると、過去の対応で最も効果があったのは、ほぼロックダウンに近い第1回目の緊急事態宣言である。この時の東京都心では日中の山手線で1両に10人に満たない乗客しかいないという状況が起こるほど人の流れが減少した。人口密集地帯である首都圏の中でも最も多くの人の流れを作り出す「通勤」「通学」がかなり減少したからで、そこまで含めてあれだけの効果があったのだ。それから考えれば、2回目、そして今回の緊急事態宣言に基づき国や都道府県が求める感染対策の中でもっとも実現できていないであろうと想像されるのが、「出勤者の7割減に向けたテレワークの活用」ではないだろうか。もちろん1回目の緊急事態宣言下でテレワークに取り組んだ企業の中には、そのメリット、デメリットを改めて認識し、その結果として一旦導入したテレワークの一部が元に戻ってしまったところもあるだろう。だが、言っちゃ悪いが上層部の感覚的な問題で元通りになってしまったケースも多々あるはずだ。そしてこの通勤という人の流れがまさに「急所」への流れも作ってしまう。それは会議室でのビジネスランチ、勤務先周辺での飲食店での昼食に代表される「会食の場」である。それが一歩進むと、勤務先周辺での時短営業破りの店舗での飲食に進んでしまう。都内でも住宅街中心の駅周辺などはいわゆる「自粛警察」の目も厳しいため、時短営業破りはそれなりに勇気がいる。しかし、都心部のオフィス街になるとそこまで厳しい目は少ない。通勤でそうしたところを通りがかれば、誘惑になびく人も少なくないはずだ。私は緊急事態宣言発出が決まった23日夜、オンラインイベントの運営を担当するため、久しぶりに都心、それも霞が関周辺まで出かけた。イベント終了は9時過ぎ。それを終えて新橋駅周辺にたどり着いた時に目に入った光景にため息が出てしまった。もちろん多くのお店はすでに消灯している。ところが、まん防での時短要請を破っている一部の飲食店(もちろん飲酒を伴う)の前では、ビジネススーツにネクタイ姿の会社員と思しき人たちを中心に入店待ちの行列を作っているのだ。もちろんここまで長期にわたって辛抱を求められる生活をしているのだから、飲食店で酒を口にしながら知人・友人とあれこれ喋ったりしたい気持ちはわかる。そして緊急事態宣言中でも感染がほぼピークアウトしていてあとは解除を待つばかりという時期ならば、前述のような光景も「仕方がないか」とも思える。しかし、この時は緊急事態宣言の発出が決定した日だ。かなり暗澹たる気持ちになった。変異株の登場による感染拡大の形態や既存の市中の蔓延状態に違いがあるとはいえ1回目と2回目の緊急事態宣言の間は約8ヵ月の「猶予期間」があった。その意味では感染拡大を防ぎ、さらに経済への影響も軽微に納めたいならば、むしろ感染急拡大期には限りなくロックダウンに近い対応で一時社会の動きを止めるのが最も有効なのではないかというのが今現在の私自身の考えである(もちろん今後出てくる新たな対策やその結果ではこの考えが変化する可能性はある)。その意味では、飲食店対策以外はほぼ掛け声で終わった第2回目の緊急事態宣言は失敗だったのだろうと改めて思う。そしてこの3回目あるいは想像したくないが将来の緊急事態宣言発出を成功に導くカギの一つは、テレワークの推進をどれだけ実現できるか。それに向けて政治がどれだけた環境整備をできるかだと考えている。また、職業柄、私権制限には敏感だと思っているが、さすがに今回の飲食店への要請内容の過酷さを考えれば正直者が馬鹿を見るようなことはあってはならないと思う。つまり時短要請などを破っている経営者には法令に沿って厳しい態度で臨んでもらいたいということだ。

13553.

「ハーセプチン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第50回

第50回 「ハーセプチン」の名称の由来は?販売名ハ-セプチン®注射用60 ハ-セプチン®注射用150一般名(和名[命名法])トラスツズマブ(遺伝子組換え)(JAN)効能又は効果○HER2過剰発現が確認された乳○HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃用法及び用量HER2過剰発現が確認された乳にはA法又はB法を使用する。HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃には他の抗悪性腫瘍剤との併用でB法を使用する。A法:通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する。B法:通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には8mg/kg(体重)を、2回目以降は6mg/kgを90分以上かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。警告内容とその理由1.本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。2.心不全等の重篤な心障害があらわれ、死亡に至った例も報告されているので、必ず本剤投与開始前には、患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い患者の状態(左室駆出率[LVEF]の変動を含む)を十分に観察すること。特に以下の患者については、心機能検査(心エコー等)を頻回に行うこと。アントラサイクリン系薬剤を投与中の患者又はその前治療歴のある患者胸部へ放射線を照射中の患者心不全症状のある患者冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者高血圧症の患者又はその既往歴のある患者3.本剤投与中又は本剤投与開始後24時間以内に多くあらわれるInfusion reactionのうち、アナフィラキシー、肺障害等の重篤な副作用(気管支痙攣、重度の血圧低下、急性呼吸促迫症候群等)が発現し死亡に至った例が報告されている。これらの副作用は、特に安静時呼吸困難(肺転移、循環器疾患等による)のある患者又はその既往歴のある患者において重篤化しやすいので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2021年5月5日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年8月改訂(第24版)医薬品インタビューフォーム「ハ-セプチン®注射用60・ハ-セプチン®注射用150」2)PULS CHUGAI:製品・安全性

13554.

コリンエステラーゼ阻害薬で治療した認知症高齢者における抗精神病薬の使用~コホート研究

 認知症に関連する行動症状のマネジメントのために抗精神病薬が用いられるが、各コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)と抗精神病薬使用開始との関連に関するエビデンスは不足している。米国・ヒューストン大学のSanika Rege氏らは、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンで治療された認知症高齢者における抗精神病薬使用開始リスクの比較を行った。Drugs & Aging誌オンライン版2021年3月25日号の報告。 パートA、B、Dを含む2013~15年のメディケアクレームデータを用いて、レトロスペクティブに検討を行った。対象は、認知症と診断された65歳以上の地域在住高齢者。ChEIの新規使用患者を特定し、抗精神病薬の使用開始について最大180日間フォローした。ChEIはドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、抗精神病薬は定型および非定型抗精神病薬を含めた。ドネペジルは、最も一般的に使用されている薬剤であり、アセチルコリンエステラーゼのみに作用することから、参照カテゴリーとして用いた。他のリスク因子で調整した後、3種類のChEIにおける抗精神病薬使用開始リスクと開始までの期間を比較するため、多変量Cox比例ハザード解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・新規でChEIを開始した認知症高齢者は、17万8,441例であった。・各ChEIにおける抗精神病薬使用開始率は、以下のとおりであった。 ●ドネペジル:15.14%(2万3,433例) ●リバスチグミン:19.04%(4,114例) ●ガランタミン:15.77%(324例)・各ChEIにおける抗精神病薬使用開始までの平均期間は、以下のとおりであった。 ●ドネペジル:109.29±69.72日 ●リバスチグミン:96.70±71.60日 ●ガランタミン:104.15±72.53日・Cox回帰分析では、リバスチグミンは、ドネペジルと比較し、抗精神病薬使用開始リスクが有意に高いことが確認された(調整ハザード比:1.27、95%CI:1.20~1.34)。ガランタミンとドネペジルとの間に有意な関連は認められなかった(調整ハザード比:0.98、95%CI:0.81~1.20)。 著者らは「リバスチグミン使用患者は、ドネペジル使用患者と比較し、抗精神病薬使用開始リスクが27%増加することが確認された。一方、ガランタミンはドネペジルと同等であった。研究の限界を考慮する必要はあるものの、認知症高齢者に対する抗精神病薬使用リスクを抑制するためには、ドネペジルまたはガランタミンによる治療が有用である可能性が示唆された」としている。

13555.

新型コロナワクチン接種日や副反応の記録に有用なアプリ/MDV

 メディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は、同社が開発し2015年からサービスを開始しているパーソナルヘルスレコード(PHR)サービス『カルテコ』に新型コロナワクチン接種の実施状況や副反応の有無を残せる新機能を搭載したことを、4月26日にプレスリリースした。 同システムはこれまで「カルテコ」を導入している医療機関の患者やその病院に付設する健診施設の受診者のみが利用できるサービスだったが、今回の新機能をアプリにしたことで、アプリをダウンロードした誰もが利用可能になったという。具体的な登録内容と手順 ワクチン接種記録の登録は「(1)新型コロナワクチンを選択(2)接種日を選択(3)初回か2回目かを選択(4)メーカーを選択(5)接種済証の写真を保存(6)接種後の副反応を記録」の手順で行う。「接種後にどのような副反応があったか」または「まったくなかったか」などを記録しておくと、次回の接種時に医師に対して前回の状況を伝えたり、自分で確認したりすることができる仕組みになっている。カルテコとは カルテコは、患者が医療機関を受診した際の診療記録(傷病名、検査結果、診療中に使われた薬、処方された薬、処置・手術など)や検査画像、健診結果をWeb上に保管し、インターネット環境があれば、いつでもどこでも閲覧できるサービス。現在、約3万人が利用している。

13556.

ALK陽性肺がん、第2世代ALK-TKI後のロルラチニブの頭蓋内・外有効性/Ann Oncol

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)は中枢神経系への転移が多い。それはALK-TKIの出現で予後が著しく改善した現在でも依然として問題である。 第3世代ALK/ROS1-TKIのロルラチニブは脳内移行が高く、ALK陽性のNSCLCに対して良好な抗腫瘍活性を示す。第2世代ALK-TKIで進行したALK陽性NSCLCにおけるロルラチニブの全体的、頭蓋内、頭蓋外の有効性を評価した第II相試験の結果が発表された。 この進行中の第II相試験(NCT01970865)では、第2世代ALK-TKI±化学療法の治療歴を有するALK陽性進行NSCLC患者が、治療歴別に拡大コホート(EXP)に登録された。・対象:第2世代ALK-TKI±化学療法の治療歴を有するALK陽性進行NSCLC・介入:ロルラチニブ100mg/日 3週ごと 進行または忍容できない毒性が発現するまで投与・評価項目:独立中央放射線委員会(ICR)評価の頭蓋内(IC-ORR)、頭蓋外(EC-ORR)および全奏効率(ORR)・拡大コホート:  第2世代ALK-TKI ±化学療法歴1回(EXP3B)  第2世代ALK-TKI ±化学療法歴2回(EXP4)  第2世代ALK-TKI ±化学療法歴3回(EXP5) 主な結果は以下のとおり。・EXP3B~5の患者139例のうち、EXP3Bは28例、EXP4は65例、EXP5は46例であった。・EXP3B~5のORRは39.6%、IC-ORRは56.1%、EC-ORRは36.7%であった。・EXP3B~5の奏効期間中央値(DoR)は9.6ヵ月であった。IC-DoRは12.4ヵ月、EC-DoRは9.7ヵ月であった・EXP3B~5の無増悪生存期間中央値は6.6ヵ月、全生存期間中央値は20.7ヵ月であった。・EXP3BのORRは42.9%、IC-ORRは66.7%、EC-ORRは32.1%であった。・EXP4およびEXP5のORRは38.7%、IC-ORRは54.2%、EC-ORRは37.8%であった。 ロルラチニブは、第2世代のALK-TKI治療後の集団において、臨床的に意味のある頭蓋内および頭蓋外抗腫瘍活性を示した。

13557.

COVID-19ワクチンにまだ過半数が不安/アイスタット

 いよいよ4月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が高齢者へ始まった。COVID-19収束に向けてワクチンへの期待、接種の希望など、どのような意識の変化があるのだろうか。 「一般市民へのワクチン接種の意識について」をテーマに、株式会社アイスタットは2020年12月に引き続き2回目となるワクチンに関するアンケートの調査を4月18日に行った。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~79歳の300人が対象。調査概要形式:WEBアンケート方式期日:2021年4月18日対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(20~79歳/全国地域)を対象アンケート結果の概要・ワクチンをいつ接種したいかでは「すぐ受ける」(41.7%)が最多。前回調査(20年12月)より30.3%上昇・12月20日時点のワクチン接種の意向は、消極的(60.0%)が前向き(40.0%)を上回ったが、4月18日時点では前向き(58.3%)が消極的(41.7%)を上回った・どこの国(製薬会社)で開発されたワクチンを接種したいかでは、第1位「アメリカ」(53.3%)、第2位「日本」(48.0%)、第3位「ヨーロッパ」(20.0%)の順。前回第1位「日本」(67.7%)と第2位の「アメリカ」(27.3%)が逆転・4月18日時点で「安全性」「副作用」「有効性」「検証のデータ不足」について気になると回答した割合は、12月20日より減少。ワクチンに関する「マイナス」のイメージは払拭傾向・ワクチン接種について「不安である」の割合は、12月20日時点では72.3%、4月18日時点では55.3%を示し、この4ヵ月間で17%減少したものの、いまだ過半数超約4割の回答者がワクチンは「すぐ接種したい」と回答 「COVID-19のワクチンを『受ける/受けても良い』と思う時期はいつか」を聞いたところ、今回の調査では「すぐに受ける」(41.7%)が最も多く、「現時点では判断できない」(31.0%)、「1ヵ月過ぎてから~3ヵ月以内」(9.0%)と続いた。前回調査との比較では、「すぐ受ける」が30.3%伸長し、意識の変化がうかがわれた。同様に接種に「前向き」の回答も前回調査に比べ18.3%上昇し、年齢と前向きな回答傾向は正比例した。 「前問で『すでに受けた/すぐに受ける/6ヵ月以内に接種』と回答した人(n=175)にその理由」を聞いたところ複数回答で、「個人の感染症予防対策だけでは限界があるから」(66.9%)、「集団の感染症予防対策にはワクチン接種が有用だから」(52.6%)、「新型コロナウィルスの感染状況が深刻だから」(52.0%)と続いた。前回調査との比較で差が最も大きかったのは「集団の感染症予防対策にはワクチン接種が有用だから」で7.6%増加していた。 「最初の質問でワクチンを受ける時期について、『6ヵ月以内に受けない/期間に関わらず絶対に受けない/現時点では判断できない』と回答した人(n=125)にその理由」を聞いたところ複数回答で、「副作用が怖いから」(44.0%)、「ワクチンの安全性がまだ十分に検証されていないから」(36.8%)、「ワクチンの有効性がまだ十分に検証されていないから」(28.8%)と続き、ワクチンへの不安を感じる回答が上位を占めた。前回調査との比較で差が最も大きかったのは「ワクチンの安全性がまだ十分に検証されていないから」で20.4%減少となり、徐々に安全性の啓発が進んでいることがうかがわれた。 「どこの国(製薬会社)で開発されたワクチンを日本で接種できるのが良いと思うか」を聞いたところ複数回答で「アメリカ」(53.3%)、「日本」(48.0%)、「わからない/決められない」(22.7%)の順だった。前回調査に比べ、日本製を希望する人が19.7%減少し、アメリカ製が増えたが、わからない・決めらない人も微増していた。 「わが国のワクチンの接種開始・状況についてどう思うか」を5段階評価で聞いたところ、「非常に遅すぎると思う」(50.7%)、「やや遅すぎると思う」(23.0%)、「どちらでもない」(18.7%)と続いた。「非常に/やや遅すぎると思う」の割合は73.7%を示し、多くの回答者が接種の遅延を危惧する様子がうかがわれた。 「日本で開始されたCOVID-19ワクチンの気になること」を聞いたところ、複数回答で「安全性」(64.7%)、「副作用」(60.3%)、「有効性」(47.3%)の順番だった。前回の調査と比較すると上位3つの安全性・副作用・有効性がいずれも減少し、「接種できる時期」(30.0%)が4位に上り、一般の人々の関心が接種へ移っていることがうかがえた。 「接種が開始されたワクチンに不安があるか」を5段階評価で聞いたところ、「やや不安である」(37.7%)、「どちらでもない」(24.0%)、「非常に不安である」(17.7%)と続いた。「非常に/やや」を足し合わせた「不安である」の割合は55.3%と過半数を占めているが、前回の調査との比較でみると17%減少していた。 「COVID-19の患者数を抑えるためどうすればよいと思うか」を聞いたところ複数回答で、「集団での予防対策(3密対策など)の強化」(60.7%)、「個人の予防対策の強化」(59.7%)、「早急なワクチン接種の開始」(47.0%)と続いた。とくに「早急なワクチン接種の開始」は前回調査と比較すると25.0%増加し、接種への期待の広がりをうかがわせた。

13558.

COVID-19ワクチン接種完了者、変異株に感染/NEJM

 新型コロナワクチンを2回接種後にも、新型コロナウイルスへのブレークスルー感染が認められ、変異株への感染があることが確認された。米国・ロックフェラー大学のEzgi Hacisuleyman氏らが、同大学職員で新型コロナワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)または「mRNA-1273」(Moderna製)を2回接種した417人について調べた結果で、うち女性2人にブレークスルー感染が認められたという。NEJM誌オンライン版2021年4月21日号掲載の報告。2021年1月21日~3月17日のPCR検査結果を分析 ロックフェラー大学の全職員および学生(約1,400人)は2020年秋から、少なくとも週1回PCR検査を受けている。研究グループは、2021年1月21日~3月17日に、ニューヨーク州の適格規制に従い「BNT162b2」または「mRNA-1273」ワクチンの2回接種を受けた職員417人のPCR検査結果を調べた。 対象者は、調査期間よりも2週間以上前にワクチン接種を受けていたが、2人の女性について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状が出現し、PCR検査の結果でSARS-CoV-2陽性が示された。COVID-19の症状あり、PCR陽性、変異株が検出 患者1は、51歳女性でCOVID-19の重症化リスク因子はなし。日常生活上の予防措置は順守していた。1月21日に「mRNA-1273」ワクチンの1回目接種を、2月19日に2回目接種を受けた。2回目接種の10時間後にインフルエンザ様の筋肉痛が発症したが翌日に解消している。2回目ワクチン接種から19日後の3月10日に喉の痛み等を呈し、大学でPCR検査を受けSARS-CoV-2陽性が確認された。翌11日に嗅覚を消失したが、1週間ほどで症状は解消していったという。 患者2は、65歳の健康な女性でCOVID-19の重症化リスク因子はなし。1月19日に「BNT162b2」ワクチンの1回目接種を、2月9日に2回目接種を受けており、接種した腕の痛みが2日間続いたことが示されている。3月3日、ワクチン未接種のパートナーがSARS-CoV-2陽性。3月16日に患者2に倦怠感、副鼻腔うっ血、頭痛の症状が現れ、ワクチン接種から36日後の3月17日に体調不良を訴え、検査の結果、SARS-CoV-2陽性が確認された。症状はそれ以上悪化せず、3月20日から回復に向かったという。 両患者のウイルスのシークエンシング解析の結果、臨床的重要性があると考えられる変異株、E484Kが1人から、3種の変異株(T95I、del142-144、D614G)が両者から検出された。 こうした観察結果から、研究グループは、ワクチン接種後にもCOVID-19発症リスクがあり、さらに変異株へ感染する可能性もあることが示唆されたとし、「ワクチン接種後にも、COVID-19の予防と、同感染の診断、さらに変異株の特定を続ける取り組みが重要であることが確認された」としている。

13559.

第55回 コロナワクチン接種に駆り出される歯科医師、その心情は

新型コロナウイルスのワクチン接種の打ち手確保が難しくなる状況下、厚生労働省の検討会は4月23日、接種に必要な医師や看護師らを確保できない地域に限り、歯科医師が接種を行うことを特例で認める方針を決めた。厚労省は4月中にも各自治体に周知する。これに対し、各歯科医師会は4月24日現在、正式な声明を公表していない。これに対し、歯科医師からは前向きな声から反発までさまざまな声が上がっている。菅 義偉首相は19日、9月までにすべての対象者にワクチンが供給されるめどが立ったと胸を張った。しかし、ワクチンが確保できても、打ち手がいなければ、接種できないも同然だ。現行法上、ワクチン接種は原則として医師や看護師に限られており、実際すでに打ち手不足が表面化している。厚労省の3月25日時点の調査では、全国1,741市町村のうち、集団接種の予定会場で18.1%は医師が、22.8%は看護師が不足していると回答している。5月中旬以降、高齢者接種が本格化すれば、打ち手不足は一層深刻化するはずだ。そのような中、歯科医師のワクチン接種が認められたのだった。歯科医師は約10万5,000人おり、歯科医師によるワクチン接種が実施されたら、打ち手不足の緩和の助けにはなるだろう。「歯科医師を馬鹿にするな」の声もただ、歯科医師によるワクチン接種には、2時間程度の研修を受ける、接種を受ける人の同意を得る、医師らがいる集団接種会場に限定、などのいくつかの条件が設けられる。そもそも4月12日頃までの情報では、歯科医師の役割はワクチン接種を行う医師や看護師の補助を行うということになっていた。歯科医師会には、こうした状況に対しさまざまな声が寄せられているという。例えば、「医療従事者として可能な補助は行うべきだ」という前向きな声のほか、「手伝ってもいいが、報酬はどのくらいなのか」という現実的な疑問などだ。一方で、「歯科医師を馬鹿にするのもいい加減にしろ。医師のしもべ要請は、世界の笑いものだ」といった強い反発も見られるという。歯科医師のワクチン接種の話は、千葉県が千葉県歯科医師会に対しワクチン接種を依頼したことに端を発しているという。同会の役員はテレビ局の取材に対して、「大学で修業している時に採血とか、入院患者への点滴などは日常的に行っている。(注射そのものは)何も問題なくできると思う」と述べている。海外では薬剤師、医学生、ボランティアも担い手に感染者数が多い海外では、ワクチン接種に当たる職種は幅広い。米国の一部の州や英国では歯科医師や薬剤師も接種を行っている。米国の一部の州では、医学生や救急隊員も接種できる。英国では、医療資格を持たない一般のボランティアでも、条件を満たせば研修を受けて接種の資格が得られる。日本の場合、歯科医師の中から、どれだけの人数がワクチン接種の打ち手に名乗りを上げるか。ワクチン接種の安全性は重要だが、ここへ来て明らかに海外に遅れをとっている日本の現状もまた憂慮すべきである。接種のスピードを上げるには、さらなる医療職種の対象拡大を検討しなくて大丈夫なのだろうかと一市民ながら心配になる。

13560.

小児期の低血圧とADHDとの関連~10年間のフォローアップ調査

 注意欠如多動症(ADHD)は、心理社会的障害に関連する小児および青年期の最も一般的な行動障害の1つである。ADHDの基本的な病態生理は、少なくとも部分的に自律神経の覚醒プロセスの欠損と関連している可能性があり、疾患の中核症状に影響を及ぼすだけでなく、覚醒調整の変化に伴い血圧の変動を引き起こす可能性がある。ドイツ・ゲッティンゲン大学医療センターのJan Schulz氏らは、ADHD患者の小児および青年~成人期の長期的な血圧変動を調査した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2021年2月14日号の報告。 ドイツの小児および青年の健康調査(KiGGS)のデータを用いて、10年にわたるフォローアップを行った。ベースライン時に7~17歳の小児および青年でADHD群1,219例(11.1%)および対照群9,741例(88.9%)を対象に、血圧記録の比較を行った。両群1,190例ずつの比較を行うため、傾向スコアマッチングを用いた。 主な結果は以下のとおり。・マッチしたサンプルによる結果では、ADHD患者のベースライン時の収縮期血圧(107.6±10.7mmHg vs.109.5±10.9mmHg、p<0.001、Cohen's d=0.17)および拡張期血圧(64.6±7.5mmHg vs.65.8±7.4mmHg、p<0.001、Cohen's d=0.16)は、有意に低いことが明らかとなった。・より厳密に診断したADHD群272例を用いた感度分析では、有意なままであり、Cohen's dは少し高くなっていた(収縮期血圧:Cohen's d=0.25、拡張期血圧:Cohen's d=0.27)。・より厳密に診断したADHD群とマッチした対照群を用いたサブグループ解析では、10年間のフォローアップ後に血圧低下は持続しておらず、ADHDの有無にかかわらず収縮期血圧(123.4±10.65mmHg vs.123.78±11.1mmHg、p=0.675、Cohen's d=0.15)および拡張期血圧(71.86±6.84mmHg vs.71.85±7.06mmHg、p=0.992、Cohen's d=0.16)は類似していた。 著者らは「ADHDの小児および青年は、対照群と比較し、ベースライン時の血圧が有意に低かったが、10年後のフォローアップでは差が認められなかった。青年期から成人初期における血圧の変化は、自律神経の覚醒状態の変化を反映している可能性があり、おそらくADHDの病態生理を調整していると考えられる」としている。

検索結果 合計:35181件 表示位置:13541 - 13560