サイト内検索|page:632

検索結果 合計:35172件 表示位置:12621 - 12640

12621.

若年性認知症の世界的有病率~メタ解析

 認知症の症状が65歳以前に発現する若年性認知症については、信頼できる推定有病率が明らかとなっていない。有病率の推定は、政策立案時に適切な医療環境を組織するうえで必要となる。オランダ・マーストリヒト大学のStevie Hendriks氏らは、若年性認知症の世界的有病率の推定を試みた。JAMA Neurology誌オンライン版2021年7月19日号の報告。 1990年1月~2020年3月に公表された若年性認知症の有病率に関する人口ベースの研究を、PubMed、Embase、CINAHL、PsycInfoのデータベースよりシステマティックに検索した。65歳未満の認知症有病率に関するデータを含む研究を独立した2人のレビュアーによりスクリーニングし、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。30~34歳から60~64歳まで、5歳刻みの年齢層における若年性認知症の有病率を推定した。有病率の推定値をプールするため、変量効果メタ解析を実施した。結果は、世界標準人口による年齢調整を行った。性別、認知症サブタイプ、研究デザイン、世界銀行の分類に基づく経済状態によるサブグループ分析およびメタ解析により、不均一性を評価した。主要アウトカムは、5歳刻みの年齢層における若年性認知症の推定有病率とした。 主な結果は以下のとおり。・95件の研究についてシステマティックレビューを行い、74件(276万379例)をメタ解析に含めた。・研究は、主に欧州で実施されており、アジア、北米、オセアニアでの研究は、より高年齢層が対象であった。・人口10万人当たりの年齢調整推定有病者数は、30~34歳で1.1人、60~64歳で77.4人であった。・30~64歳の人口10万人当たりの年齢調整推定有病者数は119.0人であり、世界の30~64歳の有病者数では390万人に相当する。・サブグループ解析では、男女の有病率は類似していた。 ●男性の粗推定値:人口10万人当たり216.5人 ●女性の粗推定値:人口10万人当たりの293.1人・一方、高所得国では、高中所得国および低中所得国と比較し、有病率が低かった。 ●高所得国の粗推定値:人口10万人当たり663.9人 ●高中所得国の粗推定値:人口10万人当たり1,873.6人 ●低中所得国の粗推定値:人口10万人当たり764.2人・メタ解析では、研究間の不均一性に年齢範囲(p<0.001)、サンプルサイズ(p<0.001)、研究デザイン(p=0.02)が有意な影響を及ぼしていることが示唆された。 著者らは「30~64歳における若年性認知症の年齢調整推定有病率は、人口10万人当たり119.0人であることが本システマティックレビューおよびメタ解析により明らかとなったが、低所得国やより若年層での有病率を推定するには、依然として不十分なままであった。これらの結果は、政策立案時に適切な医療環境を組織するうえで役立つであろう」としている。

12622.

聖マリアンナ医大とMICINがDXに関する包括契約を締結

 聖マリアンナ医科大学と、株式会社MICINは、患者中心の医療実現を見据えた、ICT技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する両社の協業活動について、戦略的包括協定を締結した。 同協定は、聖マリアンナ医科大学とMICINが各々のリソースや強みを活かし、医薬品等の開発における治験・臨床研究領域、並びに専門医療の提供において、ICT技術の活用を通し、DXの実装および推進をすることで、患者を中心とした治験の実施や地域デジタル医療のモデル作成を目的としている。 聖マリアンナ医科大学が有する「医療現場(附属病院・クリニック等)」や地域医療機関とのリレーション、医療業務ノウハウと、MICINが強みとするオンライン診療やICT技術を結集することで、治験や臨床研究プロセス並びに専門医療の提供に関するプロセス(地域医療)の実装および検証によるDXの推進、さらにはDXに関わる標準業務手順書など関連資料の整備を進めていく計画。 協業の第一歩として、治験におけるオンライン診療の実装や、説明同意プロセスを遠隔で実施するトライアルを既に開始。現在、MICINの、decentralized clinical trials (DCT)支援システム「MiROHA」のオンライン診療機能を用いて、聖マリアンナ医科大学病院腫瘍内科で、遠隔での治験スクリーニング検査を実施する体制を整備した。現在治験が進行中である。

12623.

atogepant予防的投与で、片頭痛日数が減少/NEJM

 片頭痛の予防治療において、小分子カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体作動薬atogepantの1日1回経口投与はプラセボと比較して、12週間の片頭痛日数および頭痛日数を減少させ、片頭痛急性期治療薬の使用日数やQOLも良好であり、有害事象の頻度は同程度であることが、米国・MedStar Georgetown University HospitalのJessica Ailani氏らが実施した「ADVANCE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年8月19日号に掲載された。3用量を評価する米国の無作為化プラセボ対照比較試験 本研究は、atogepantの3つの用量の1日1回経口投与の有効性と安全性の評価を目的とする第III相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2018年12月~2020年6月の期間に、米国の128施設で患者登録が行われた(Allerganの助成を受けた)。 対象は、年齢18~80歳、初回受診前の3ヵ月間に片頭痛が毎月4~14日発現し、予防治療の対象として適切と見なされた患者であった。また、参加者は、前兆の有無を問わず片頭痛罹患期間が1年以上で、発症年齢が50歳未満とされた。被験者は、atogepant 10mg、同30mg、同60mgを12週間、1日1回経口投与する群またはプラセボ群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 910例(atogepant 10mg群222例、同30mg群230例、同60mg群235例、プラセボ群223例)が登録され、このうち安全性の評価に902例、有効性の評価には873例(修正intention-to-treat[mITT]集団)が含まれた。805例(88.5%)が試験を完了した。 安全性評価集団の平均年齢は41.6歳(範囲 18~73歳)、多くが女性(88.8%)であり、平均BMIは30.6、過去3ヵ月間における片頭痛発現の月平均日数は7.4日だった。スクリーニング時に、99.3%が片頭痛急性期治療薬の使用を、70.3%が過去に片頭痛の予防治療を行ったことを報告した。片頭痛日数/月がプラセボより1.2~1.7日減少 mITT集団の各群におけるベースライン時の片頭痛発現の月平均日数は7.5~7.9日であった。主要エンドポイントである「ベースラインから12週間までの1ヵ月当たりの平均片頭痛日数の変化」は、atogepant 10mg群が-3.7日、30mg群が-3.9日、60mg群が-4.2日であり、プラセボ群は-2.5日であった。ベースラインからの変化のプラセボ群との平均差は、atogepant 10mg群が-1.2日(95%信頼区間[CI]:-1.8~-0.6)、30mg群が-1.4日(-1.9~-0.8)、60mg群は-1.7日(-2.3~-1.2)だった(プラセボ群との比較でいずれもp<0.001)。 副次エンドポイントに関しては、「1ヵ月当たりの頭痛日数」「1ヵ月当たりの片頭痛急性期治療薬の使用日数」「1ヵ月当たりの片頭痛日数の3ヵ月間の平均値がベースラインから50%以上低下した患者の割合」「片頭痛特異的QOL質問票(MSQ ver 2.1)の役割機能制限ドメイン」の結果が、いずれもatogepantの3つの用量群でプラセボ群に比べ有意に良好であった(すべてp<0.001)。また、「片頭痛活動障害・ダイアリー指標(AIM-D)の日常活動実施能力ドメインのスコア」と「AIM-Dの身体障害ドメインのスコア」は、10mg群ではプラセボ群と差がなかったものの、30mg群と60mg群は有意に優れた。 有害事象は、atogepant群では52.2~53.7%に発現し、プラセボ群では56.8%にみられた。atogepant群で最も頻度の高い有害事象は、便秘(3用量群で6.9~7.7%)、悪心(4.4~6.1%)、上気道感染症(3.9~5.7%)であった。atogepant群で認められた重篤な有害事象は、10mg群の気管支喘息発作1例および視神経炎1例であった。 著者は、「片頭痛予防におけるatogepantの効果と安全性を明らかにするには、より長期で大規模な臨床試験が求められる」としている。

12624.

新学期に向けてCOVID-19感染対策の提言/感染研

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ株の猛威に社会が混乱している。とくに小児などの低年齢層のCOVID-19感染者数の増加により、新学期を前に学校・塾などの教育機関は、生徒を受け入れるべきか、リモートで授業を行うべきかの判断に悩み、その扱いは全国的に感染の強弱もあり一律ではない。 こうした状況の中で国立感染症研究所は、「乳幼児から大学生までの福祉施設・教育機関(学習塾等を含む)関係者の皆様への提案」を8月26日に公開した。 提案では、教職員の感染予防法の習熟やICTの活用の推進、ワクチン接種、体調確認アプリの活用など具体的な取り組みが示されている。中学生以上では部活などで広がる可能性 はじめに代表的な所見として下記の8つを示している。・10代以下の感染者数が増加傾向にある。保育所・幼稚園において、これまで保育士・教員における感染の検出が主であったが、園児の感染例が増加している・とくに小学生を中心とする授業の場で、教職員を発端とした、比較的規模の大きなクラスターが複数発生した・小学校において、児童を端緒とした、同じクラス内などの規模の小さな感染伝播は多く見受けられたが、児童間の感染伝播が規模の大きなクラスターに至ったケースは確認できなかった・障害児通所支援事業所での感染が各地で散発しており、長期化する場合がある・学習塾における比較的規模の大きなクラスターが散見される・中学生以上では、部活動など・寮生活において、適切なマスク着用や身体的距離の確保などの感染予防策の不十分な生徒・学生間の長時間に渡る交流が、感染伝播に寄与していた。とくに部活動などにおいて、最近は大会や遠征時のクラスターが複数発生した・感染しても無症状・軽症が多く行動範囲も広い大学生は市中で感染が拡大する要因の一部を占める・とくにデルタ株流行後、小児から家庭内に広がるケースが増えている予防は、今までの感染予防策の徹底とワクチン接種の両輪で 次に共通する対策に関する提案として、具体的な事項が示されている。・初等中等段階ではやむを得ず学校に登校できない児童生徒などに対する学びの保障を確保することを主目的として、加えて高等学校・大学ではオンライン(オンデマンド)の促進により、理解をより高める側面を含めて、ICTなどを活用した授業の取組を進める・教職員(塾を含む)それぞれがCOVID-19の感染経路に基づいた適切な予防法、消毒法について習熟し、園児・児童・生徒・学生、保護者、自施設に出入りする関係者に対して正しく指導できるようにする・上記を目的とした、地域の感染管理専門家(感染管理認定看護師など)からの指導・協力を仰ぐ体制を構築する・教職員、園児・児童・生徒・学生は、全員が出勤・登園・登校前の体調の確認、体調不良時のすみやかな欠席連絡および自宅待機時の行動管理をより徹底する。中学生以下の有症時には受診を原則とする・各施設の健康管理責任者は、当該施設の教職員、園児・児童・生徒・学生がCOVID-19の検査対象になった場合の情報を迅速に把握する。対象者の検査結果判明まで、範囲を大きく、たとえばクラス全体として、園児・児童・生徒・学生・教職員などに対して感染予防に関する注意喚起を厳重に行う・対象者が陽性となった場合の施設のスクリーニング検査の実施と施設内の対策は保健所からの指示に従う。流行状況などによって、保健所による迅速な指示が困難な場合には、クラス全体など幅広な自宅待機と健康観察、有症状時の医療機関への相談を基本に対応する。体調確認アプリ(例:N-CHAT)や抗原定性検査の活用は、施設における発生時の自主的な対応として有用である・教室、通学バス(移動時全般)、職員室などにおける良好な換気の徹底に努める。施設内では、効率的な換気を行うための二酸化炭素センサーの活用も推奨される・塾では児童・生徒・学生・講師などの体調管理を徹底した上で、密にならない工夫とともに換気の徹底(とくに入れ替わり時。場合によって二酸化炭素センサーの活用)、リモート授業の活用も検討することが推奨される・人の密集が過度になるリスクが高いイベント(文化祭、学園祭、体育祭など)においては延期や中止を検討し、感染リスクの低い、あるいはリスクを低減できると考えられたイベントについては事前の対策を十分に行う・教職員は、健康上などの明確な理由がなければ、新型コロナワクチン接種を積極的に受ける・部活動については日々の体調の把握や行動管理への注意を基本とした活動を行う一方で、やむを得ず県境をまたいだ遠征が必要な場合には、2週間前から引率者、児童・生徒における上記注意事項の遵守を強化し、出発前3日以内(できるだけ出発当日)を目途に、抗原定量検査あるいはPCR検査を受ける・大会遠征時には教職員を含む引率者や児童・生徒ともに、競技外での他校との交流は部活動の範囲に留める・これまで以上に保健所との連携(報告や相談)を強化する。保健所が多忙を極める場合、とくに発生時の対応については、当センター(感染研)は保健所と連携を取りながら施設へ助言を行うことも可能である

12625.

新たな変異有するコロナ・デルタ株確認、国内1例目/東京医科歯科大

 東京医科歯科大学は8月30日付のプレスリリースで、同大の附属病院を受診した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者から検出されたデルタ株から、N501S変異を有する新たなデルタ株の市中感染事例を確認したと発表した。N501S変異を有するデルタ株は、世界では8例報告されており、国内ではこれが初めての確認例となる。 東京医科歯科大学の武内 寛明准教授ら研究チームは、同大附属病院に入院もしくは通院歴のあるCOVID-19患者由来検体のSARS-CoV-2全ゲノム解析を進める中で、8月中旬のCOVID-19患者から検出されたデルタ株から、アルファ株主要変異(N501Y)の類似変異であるN501S変異を有する新たなデルタ株の市中感染事例を確認した。患者に海外渡航歴はなく、国内において新たな変異を獲得した可能性が極めて高いという。 新型コロナウイルスの変異株を巡っては、関東圏を中心とする感染伝播の増大に関わったとされるアルファ株とデルタ株の共存がしばらく続いていたが、直近のスクリーニング検査における陽性率は、各地でデルタ株が9割を超える状況と推計されており、現在は一部の地域を除きアルファ株からほぼ置き換わったと考えられている。 N501S変異を有するデルタ株については、世界で8例報告されており、国内ではこれが1例目となるが、東京医科歯科大は「現時点においては、変異発生要因の判断が難しく、さらなる性状解析と疫学調査が必要」と説明している。

12626.

急性肝性ポルフィリン症治療薬ギボシランナトリウムを発売/アルナイラムジャパン

 アルナイラムジャパン株式会社は、急性肝性ポルフィリン症(AHP)の治療薬としてギボシランナトリウム(商品名:ギブラーリ皮下注)189mgを8月30日に発売した。本治療薬は、わが国における2成分目のRNA干渉(RNAi)治療薬で、同社が国内で上市・販売するパチシランナトリウム(同:オンパットロ)に続く、2番目の製品となる。急性肝性ポルフィリン症は確定診断に10年以上もかかるケースも 急性肝性ポルフィリン症は、遺伝子変異により肝臓内のヘム産生に必要な特定の酵素が欠如することで生じ、これによりヘム生成の途中段階で作られる神経毒性を持つ物質(ポルフィリン体など)が蓄積することで、重症かつ原因不明の腹痛、嘔吐および痙攣などの急性かつ消耗性の発作を特徴とする、遺伝性のまれな代謝性疾患。20~30代の女性に多く、発作中に麻痺や呼吸停止を引き起こす可能性もあることから、生命を脅かす危険もある。また、多くの患者で発作と発作の間も持続する疼痛などの持続症状を伴い、日常機能や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼすとされている。急性肝性ポルフィリン症はその症状などから、婦人科疾患、ウイルス性胃腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、虫垂炎などの他の疾患と診断されることもあり、他の疾患と診断された症例の約1/4で、急性肝性ポルフィリン症治療には必要のない、侵襲性の高い開腹手術などの処置が行われたとする国内データも報告されている。また、確定診断までの期間が10年以上に及ぶケースもあり、鑑別の難しさが課題となっている。ギボシランナトリウムは急性肝性ポルフィリン症の発作などを減少 急性肝性ポルフィリン症の治療薬であるギボシランナトリウムは、アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)を標的とするRNAi治療薬。ALAS1のメッセンジャーRNA(mRNA)を特異的に低下させることで、急性肝性ポルフィリン症の急性発作やその他の症状の発現に関連する神経毒性を減少させる。第III相ENVISION試験において、ギボシランナトリウムはプラセボと比較して、入院、緊急訪問診療、自宅における静脈内ヘミン投与を要するポルフィリン症の発作率を有意に低下させることが示された。 わが国では、2020年6月に希少疾病用医薬品に指定され、優先審査の対象となり2021年6月にアルナイラムジャパンが製造販売承認を取得した。海外では、2019年11月に米国食品医薬品局(FDA)の承認取得を、2020年3月に欧州医薬品庁(EMA)より治療薬承認を受け、ブラジル、カナダなどでも承認を受けている。製品概要製品名:ギブラーリ皮下注189mg一般名:ギボシランナトリウム効果・効能:急性肝性ポルフィリン症用法・用量:通常、12歳以上の患者には1ヵ月に1回ギボシランとして2.5mg/kgを皮下投与する製造販売承認:2021年6月23日 薬価収載:2021年8月12日 発売日:2021年8月30日薬価:500万6,201円製造販売元:アルナイラムジャパン株式会社

12627.

科学的情報早期共有の重要性(解説:後藤信哉氏)

 新型コロナウイルス感染のすべてが解明されているわけではない。予防ワクチンの副反応もすべてが解明されているわけではない。生命現象は複雑精妙な調節系であり、基本原理は未知である。実際に疾病にかかってみる、あるいは実際にワクチンを受けてみる、ことにより反応を実証的に積み重ねていかないと正解にはたどり着けない。法律、規制のYes/Noはヒトが決めることができる。しかし、規制当局が承認した薬剤、ワクチンがすべての症例に有効、安全であるわけではない。アストラゼネカ(AZ)ワクチン(ChAdOx1 nCoV-19)では血栓症の発症がファイザー、モデルナワクチンよりも多いように報道されている。AZワクチンによる血栓症についても実態を正確に把握する必要がある。NEJMは、世界で最も信頼されている医学雑誌である。本研究は約1,600万人の50歳以上の症例と約800万人の50歳以下の、最低1回AZワクチンを受けた症例からワクチンによる血栓症を疑われた294例の専門家による解析結果である。実際に、ワクチンによる免疫血栓症(vaccine induced immuno-thrombosis:VIIT)を疑われた症例のうち、170例は確実にVIIT、50例はVIIT疑いとされた。VIIT発症者の中間年齢は48歳、ワクチン接種から発症までの期間の中間値は14日であった。リスクの高い症例を事前予測する性別などのリスク因子を明確にすることはできなかった。VIITによる死亡率は22%であった。死亡率の高い症例は脳静脈洞血栓症、経過中の血小板減少、経過中のフィブリノゲン減少などであった。本研究は英国における経験である。健常者のワクチン接種により致死的合併症が起こることを容認できないヒトもいるかもしれない。VIITの死亡率22%を容認できないヒトもいるかもしれない。世の中にはいろいろな考えるのヒトがいるものだ。しかし、2千万人以上のワクチン接種の経験を速やかに論文発表してpublic domainにする英国には強さを感じる。結果を数値にして公表してしまえば、メディアでも国会でも数値を客観的事実として共有するのみである。 大東亜戦争初戦にてマレー沖にて最新鋭戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパルスが日本海軍航空隊により沈没されたことに首相チャーチルは戦慄したという。しかし、時の政府にとって不利な結果を即座に議会に報告している。一見、不利に思えることでも事実を公表することによって道がひらかれる。AZワクチンのVIIT発症リスクは事実であるが、英国におけるラフな発症率は200程度/2,000万人以上でリスクは少ない。新型コロナ感染拡大を抑えるためには早急なワクチン接種が必要で、VIITリスクはワクチンのメリットに比較すれば著しく少ない。事実は数値にて社会で共有することが大事である。

12631.

第75回 感染経験のデルタ株防御効果はワクチンよりずっと高い

新型コロナウイルス感染(COVID-19)を経た人のデルタ変異株の感染しやすさは先立つ感染なしのPfizerワクチンBNT162b2接種2回完了者に比べてずっと低く、発症も入院もより免れていることがイスラエルの試験で示されました1)。試験ではイスラエル人およそ250万人のデータベースが解析され、今夏(6月1日~8月14日)のデルタ変異株感染率は先立つ新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染なしで今年初め(1~2月)にワクチン接種2回目を済ませた人の方が感染を経験したワクチン非接種の人に比べて6~13倍高いという結果が得られました。また、感染経験者は先立つ感染なしのワクチン接種完了者に比べてCOVID-19発症率はわずか27分の1、COVID-19関連入院率は8分の1で済んでいました。試験の結果は人間の生来の免疫系の優秀さを物語るものですが、Pfizerワクチンや他のCOVID-19ワクチンの重症化や死亡を防ぐ効果は健在です。ワクチンを接種していない人がワクチン接種の代わりにあえて感染するなどもってのほかであり、そんなことをすれば死人がでるでしょう2)。被験者のCOVID-19関連死亡は一例もなく、今回の試験でも幸いにしてワクチンは重病を防ぐ効果を依然として維持していることが伺えました。感染経験とワクチン接種が組み合わさればデルタ変異株をいっそう寄せ付けなくなることも示されました。感染経験があってワクチンを1回接種した人の再感染率は感染経験のみでワクチン非接種の人に比べておよそ半分で済んでいたのです。その結果は、感染経験がある人へのPfizerやModernaのmRNAワクチン2回接種の必要性の検討を前進させるでしょう。SARS-CoV-2感染経験があればワクチン接種推奨の対象外ということにはいまのところなってはおらず、米国は感染を経験した人も決まりの回数のワクチンを接種することを推奨しています。日本でも感染経験がある人に決まりの回数が接種されています3)。しかし今回の試験結果によると感染を経験した人へのmRNAワクチンの接種はひとまずは1回で十分かもしれません。Scienceのニュースによると、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエルなどでは感染を経験した人へのワクチン接種はひとまず1回きりとなっています2)。感染経験者がワクチンを1回接種すれば現在出回るどのワクチンもそれだけでは到達し得ない防御レベルを身につけうるとScripps Researchの著名研究者Eric Topol氏は述べています2)。参考1)Comparing SARS-CoV-2 natural immunity to vaccine-induced immunity: reinfections versus breakthrough infections. medRxiv. August 25, 2021.2)Having SARS-CoV-2 once confers much greater immunity than a vaccine-but no infection parties, please / Science3)厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」

12633.

妊娠前の睡眠時間と産後うつ病~日本での多施設共同研究

 産後うつ病は、世界における主要な公衆衛生上の問題であり、臨床的優先事項として挙げられている。名古屋大学の松尾 聖子氏らは、妊娠前の睡眠時間と産後うつ病との関連について、調査を行った。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2021年7月13日号の報告。 日本の産婦人科病院12施設より収集した2014~18年に出産した女性の臨床データを用いて、多施設共同レトロスペクティブ研究を実施した。対象女性1万5,314人を妊娠前の睡眠時間に応じて5群に分類した(6時間未満、6~7時間、7~8時間、8~9時間、9時間以上)。妊娠前の睡眠時間が産後1ヵ月間のエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)のスコアに影響を及ぼすかを判断するため、単変量および多変量回帰分析を行った。また、産後うつ病リスクが、妊娠前の睡眠時間に応じて分類された女性において、以前の出産経験の有無により異なるかについても評価した。 主な結果は以下のとおり。・出産前の睡眠時間が6時間未満および6~7時間の女性における高EPDSスコア(9以上)の調整オッズ比(aOR)は、7~8時間の女性と比較し、以下のとおりであった。 ●6時間未満のaOR:2.08(95%CI:1.60~2.70) ●6~7時間のaOR:1.41(95%CI:1.18~1.68)・高EPDSスコアのリスクは、睡眠時間が1時間増加すると約14%減少した。・睡眠時間の短さと高EPDSスコアとの関連は、初産の女性よりも出産経験のある女性のほうが顕著であった。 著者らは「妊娠前の睡眠時間の短さは、産後うつ病リスクと関連しており、この問題は、初産よりも出産経験のある女性において、より重要であった。産後うつ病リスクが高い女性を特定するためにも、妊娠前の睡眠時間に関する情報を収集する必要がある」としている。

12634.

抗CGRP抗体エレヌマブによる急性頭痛薬の減少効果

 トリプタンやエルゴットなどの片頭痛に特異的な治療薬(migraine-specific medication:MSM)を含む急性期治療薬の過度な使用は、薬物乱用頭痛の出現など健康への悪影響につながる可能性がある。米国・Geisel School of Medicine at DartmouthのStewart J. Tepper氏らは、反復性および慢性片頭痛患者における急性期治療薬(とくにMSM)の減少に対するエレヌマブの効果について調査を行った。The Journal of Headache and Pain誌2021年7月23日号の報告。 2つのエレヌマブの研究(反復性片頭痛患者955例および慢性片頭痛患者667例を対象とした試験とその後続試験)における二重盲検治療段階のデータを用いて、事後分析を行った。対象患者には、エレヌマブ(70または140mg)またはプラセボの月1回皮下投与を行った。毎日の急性期治療薬(MSMおよび非MSM)の使用については、治療開始4週前(ベースライン期間)から治療期間終了まで電子日誌を用いて記録した。アウトカムは、ベースライン時の急性頭痛薬使用患者における1ヵ月当たりの急性頭痛薬使用日数の変化、ベースライン時のMSM使用患者における1ヵ月当たりのMSM使用日数の変化、ベースライン時の非MSM使用患者における1ヵ月当たりの非MSM使用日数の変化として、測定を行った。 主な結果は以下のとおり。・すべての急性頭痛薬使用患者のうち、反復性片頭痛患者の60%、慢性片頭痛患者の78%に対し、ベースライン時のMSM使用が確認された。・反復性片頭痛患者を対象とした研究における二重盲検前と比較した4、5、6ヵ月目の各アウトカムは、以下のとおりであった。 ●急性頭痛薬使用患者における1ヵ月当たりの急性頭痛薬使用日数の変化  プラセボ群:1.5日、エレヌマブ70mg群:2.5日、エレヌマブ140mg群:3.0日 ●MSM使用患者における1ヵ月当たりのMSM使用日数の変化  プラセボ群:0.5日、エレヌマブ70mg群:2.1日、エレヌマブ140mg群:2.8日 ●非MSM使用患者における1ヵ月当たりの非MSM使用日数の変化  プラセボ群:2.3日、エレヌマブ70mg群:2.6日、エレヌマブ140mg群:2.7日・慢性片頭痛患者を対象とした研究における二重盲検前と比較した3ヵ月目の各アウトカムは、以下のとおりであった。 ●急性頭痛薬使用患者における1ヵ月当たりの急性頭痛薬使用日数の変化  プラセボ群:3.4日、エレヌマブ70mg群:5.5日、エレヌマブ140mg群:6.5日 ●MSM使用患者における1ヵ月当たりのMSM使用日数の変化  プラセボ群:2.1日、エレヌマブ70mg群:4.5日、エレヌマブ140mg群:5.4日 ●非MSM使用患者における1ヵ月当たりの非MSM使用日数の変化  プラセボ群:5.9日、エレヌマブ70mg群:6.4日、エレヌマブ140mg群:6.6日・MSM使用日数の減少効果は、両研究の後続試験においても持続していた。・エレヌマブは、反復性片頭痛および慢性片頭痛のいずれにおいても、プラセボと比較し、MSM使用患者の1ヵ月当たりのMSM使用日数がベースラインから50%以上、75%以上、100%減少が認められる患者の割合が高かった。 著者らは「エレヌマブ治療は、反復性片頭痛および慢性片頭痛のいずれにおいても、急性頭痛薬、とくにMSMの使用を有意に減少させ、その効果が持続することが示唆された」としている。

12635.

一部の抗がん剤の投与患者、新型コロナ感染率が低い/JAMA Oncol

 アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を減少させる可能性のある抗がん剤(mTOR/PI3K阻害薬や代謝拮抗薬など)を投与している患者では、他の抗がん剤の投与患者と比べて有意にSARS-CoV-2感染率が低かったことが、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMichael B. Foote氏らのコホート研究で示された。JAMA Oncology誌オンライン版2021年8月19日号に掲載。 本研究ではまず、Library of Integrated Network-Based Cellular Signaturesのデータベースを使用し、細胞株全体でACE2遺伝子の発現低下に関連する抗がん剤を特定した。次に、COVID-19パンデミック中にMemorial Sloan Kettering Cancer Centerでがん治療を受けていた1,701例の後ろ向きコホートについて、ACE2を減少させる抗がん剤での治療がSARS-CoV-2感染のオッズ比(OR)と関連があるかどうかを検討した。対象は、がんの積極的治療を受け、2020年3月10日~5月28日にSARS-CoV-2検査を受けた患者で、主要アウトカムはACE2を減少させる可能性のある抗がん剤による治療とSARS-CoV-2検査陽性との関連とした。 主な結果は以下のとおり。・抗がん剤治療を受けているがん患者1,701例(平均年齢±SD:63.1±13.1歳、女性:949例、男性:752例)のSARS-CoV-2感染率を調べた。・抗がん剤治療後の遺伝子発現シグネチャーのin silico解析により、細胞株全体でのACE2減少に関連する91の化合物が特定された。・全コホートのうち215例(12.6%)が、mTOR/PI3K阻害薬(エベロリムス、テムシロリムス、alpelisib)、代謝拮抗薬(デシタビン、ゲムシタビン)、有糸分裂阻害薬(カバジタキセル)、その他のキナーゼ阻害薬(ダサチニブ、クリゾチニブ)の8つの薬剤で治療されていた。・ACE2を減少させる抗がん剤を投与した患者の多変量解析(交絡因子を調整)では、215例中15例(7.0%)がSARS-CoV-2検査陽性、他の抗がん剤を投与した患者では1,486例中191例(12.9%)が陽性だった(OR:0.53、95%CI:0.29~0.88)。・この関連は、がんの種類やステロイド使用を含んだ多変量解析や、複数の特徴に基づくペア患者を分析した傾向スコアマッチング多変量回帰感度分析でも確認された。・ゲムシタビン投与はSARS-CoV-2感染の減少と関連していた(OR:0.42、95%CI:0.17~0.87)。

12636.

デルタ流行下、ワクチン完了者の感染・入院・死亡率は?/CDC

 米国・カリフォルニア州における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者についての分析で、ワクチン未接種者はワクチン接種完了者と比較して感染率が4.9倍高く、入院率は29.2倍高かった。同地域ではデルタ株への感染が広がり、感染者の約9割と最も優勢となっていた。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)8月24日号での報告。デルタ株感染が広がる中での死亡率はワクチン未接種者0.6%、接種完了者0.2% 本解析では、ワクチン接種完了者を2回投与のワクチン(Pfizer-BioNTech社、Moderna社)の場合2回目投与後14日以上、1回投与のワクチン(Janssen社)の場合初回投与後14日以上経過した人と定義。ワクチン接種未完了者は2回投与のワクチンで初回投与後14日以上経過あるいは2回目投与後14日未満、1回投与のワクチンで初回投与後14日未満の人と定義された。 COVID-19に関連する入院は、SARS-CoV-2感染が確認された日から14日以内に発生した入院と定義。COVID-19に関連する死亡は、SARS-CoV-2感染が確認された日から60日以内に発生する死亡、またはCOVID-19が死亡原因として報告されている死亡と定義された。 デルタ株の感染が広がる中、ワクチン接種完了者の感染・入院・死亡率などを解析した主な結果は以下の通り。・2021年5月1日から7月25日までの間の、16歳以上の住民における4万3,127件のSARS-CoV-2感染者のうち、1万895人(25.3%)がワクチン接種完了者、1,431人(3.3%)がワクチン接種未完了者、3万801人(71.4%)はワクチン未接種者だった。・7月25日時点でのワクチン接種完了者のうち、55.2%がPfizer-BioNTech社、28.0%がModerna社、16.8%がJanssen社のワクチンを接種していた。・入院、ICU入室、人工呼吸器を使用した患者の割合は、未接種者(7.6%、1.5%、0.5%)および未完了者(6.2%、1.0%、0.3%)と比較して完了者(3.2%、0.5%、0.2%)で低かった(p<0.001)。・入院およびICU入室患者における年齢中央値は、未接種者(49歳[35.0~62.0]、56歳[41.0~66.0])と比較して、未完了者(59歳[46.0~72.0]、65歳[57.0~80.0])および完了者(64歳[53.0~76.0]、64歳[54.0~76.0])で高かった(p<0.001)。・デルタ株の感染が広がる中で死亡率は、未接種者(0.6%、176人)および未完了者(0.5%、7人)と比較して、完了者(0.2%、24人)で低かった(p<0.001)・死亡例について、完了者24人のうち6人が、HIV感染、がん、肝移植などの免疫不全状態にあった。死亡例の年齢中央値は未接種者(63歳[51.5~79.5])と比較して、未完了者(74歳[58.0~80.0])および完了者(78歳[63.5~87.5])で高かった(p=0.01)。・本解析では、期間中7日ごとに年齢調整感染率と入院率を算出した。5月1日時点で、ワクチン未接種者の年齢調整感染率(人口10万人当たり35.2)は完了者(4.2)の8.4倍、年齢調整入院率(4.6)は完了者(0.46)の10.0倍であった。・7月25日時点で、ワクチン未接種者の年齢調整感染率(315.1)は完了者(63.8)の4.9倍、年齢調整入院率(29.4)は完了者(1.0)の29.2倍であった。・5月1日から7月25日までの間のデルタ株感染者の割合は、完了者で8.6%から91.2%へ、未完了者で0%から88.1%へ、未接種者では8.2%から87.1%へ増加した。・5月時点では、完了者と未完了者と比較して未接種者でCt値中央値が低い傾向がみられた。しかし7月には、ワクチン接種状況による差異は認められなかった。

12637.

子供たちはどこで感染しているのか/厚労省アドバイザリーボード

 全国的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ株による感染者数が増加している。デルタ株の特徴は、広範かつ強力な感染力であり、陽性者も従来の高齢者や基礎疾患のある者から若年・中年層へと変化している。こうした社会環境の中で、新学期を控え、子供たちをこのまま就学をさせてよいかどうか、社会が揺れている。 8月25日に開催された厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第49回)の資料で、「3~18歳の新型コロナウイルスの感染場所等」が示された。自宅と学校とではどちらで感染数が多いか 調査はHER-SYSデータを用いて、年齢階級別(3~5歳、6~12歳、13~15歳、16~18歳)の感染場所について、それぞれの割合を算出した。なお、感染場所の入力率が非常に少ないという点に留意が必要(期間は2021年4月1日~2021年7月22日)。また、COVID-19陽性者のうち、17.8%が感染場所抽出可能であり、そのデータを利用した。 調査の結果、下記の事項が判明した。・3~15歳は自宅での感染が多かった。・児童・生徒については、年齢が上がるほど学校などでの感染が多くなっていた。・4月~7月にかけて直近になるほど、児童・生徒の学校などでの感染の割合は低くなっており、自宅での感染の割合が高くなっていた。・幼児(3~5歳)の感染場所は、自宅が最も多く、続いて福祉施設(児童)・学校などでの感染が多かった。 年齢階級別による感染の多い場所は下記の通り(上位2つ)。・3~5歳:自宅(59.8%)、福祉施設[児童](19.8%)・6~12歳:自宅(76.6%)、学校など(14.6%)・13~15歳:自宅(60%)、学校など(33%)・16~18歳:学校など(45.7%)、自宅(39.4%) 以上より、3~15歳は自宅での感染が多かったが、児童・生徒は年齢が上がるほど学校などでの感染が多かった。

12638.

認知刺激の強い仕事は高齢期の認知症リスクを低下させる可能性/BMJ

 認知刺激が強い労働に従事している人々は、認知刺激が弱く受動的な労働に就いている人々と比較して、高齢期の認知症のリスクが低く、中枢神経系の軸索形成やシナプス形成を阻害する血漿タンパク質のレベルが低下していることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMika Kivimaki氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年8月18日号で報告された。3つの解析を行うマルチコホート研究 研究グループは、認知刺激が強い労働と、後年の認知症リスクの関連を評価し、この関連に関与するタンパク質生合成経路の特定を目的にマルチコホート研究を行った(NordForskなどの助成を受けた)。 本試験では、英国、欧州、米国のデータを用いて次の3つの解析が行われた。(1)解析1:認知刺激と認知症の関連、対象はIPD-Work consortium(individual participant data meta-analysis in working populations)による7つの人口ベースの前向きコホート研究の参加者10万7,896人、(2)解析2:認知刺激とタンパク質の関連、対象はWhitehall II試験の参加者の無作為抽出標本2,261人、(3)解析3:タンパク質と認知症の関連、対象はWhitehall II試験の参加者の無作為抽出標本とARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)試験の参加者で合計1万3,656人。 認知刺激は、ベースライン時に能動的職務と受動的職務に関する標準的な質問票を用いて評価され、ベースラインおよびそれ以降は経時的に、仕事への曝露マトリックス指標を使用して評価された。また、Whitehall II試験の無作為抽出標本2,261人の血漿試料を用いて、4,953種のタンパク質の解析が行われた。 認知症発症者の平均追跡期間は、コホートによって13.7~30.1年の幅が認められた(全体の平均追跡期間は16.7[SD 4.9]年)。認知症発症者は、電子健康記録と臨床検査の反復で特定された。認知症の生物学的機序解明の手掛かりの可能性 認知刺激-認知症解析(解析1)に含まれた10万7,896人のベースラインの平均年齢は44.6(SD 9.5)歳で、6万2,816人(58.2%)が女性、4万5,080人(41.8%)は男性であった。2万9,243人(27.1%)が認知刺激が弱い仕事、5万724人(47.0%)が認知刺激が中等度の仕事、2万7,929人(25.9%)は認知刺激が強い仕事に従事していた。180万1,863人年の期間に、1,143人が認知症を発症した。 認知症のリスクは、強認知刺激職務従事者のほうが弱認知刺激職務従事者に比べて低く(1万人年当たりの認知症の粗発生率:強認知刺激職務群4.8件vs.弱認知刺激職務群7.3件、年齢と性別で補正したハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.65~0.92)、コホート間の異質性に有意な差は認められなかった(I2=0%、p=0.99)。 この関連は、教育や成人の認知症リスク因子(ベースラインの喫煙、大量アルコール摂取、運動不足、過緊張な仕事、肥満、高血圧、糖尿病罹患率)、認知症診断前の心代謝性疾患(糖尿病、冠動脈性心疾患、脳卒中)の補正を追加しても、頑健性が保持されていた(全補正後HR:0.82、95%CI:0.68~0.98)。 また、弱認知刺激職務群の認知症リスクは、追跡開始から10年(HR:0.60、95%CI:0.37~0.95)および10年以降(0.79、0.66~0.95)にも観察され、認知刺激の職務曝露マトリックス指標による評価でも再現された(認知刺激の1標準偏差[SD]上昇当たりのHR:0.77、95%CI:0.69~0.86)。 多重比較による解析(解析2)では、強認知刺激職務群は弱認知刺激職務群に比べ、中枢神経系の軸索形成やシナプス形成を阻害するタンパク質のレベルが低かった(slit homologue 2[SLIT2、全補正後β〔タンパク質レベルの1SD上昇当たり〕:-0.34、p<0.001]、炭水化物スルホトランスフェラーゼ12[CHSTC、全補正後β:-0.33、p<0.001]、ペプチジルグリシンαアミド化モノオキシゲナーゼ[AMD、全補正後β:-0.32、p<0.001])。 これらのタンパク質は認知症リスクの増加と関連しており、1SD当たりの全補正後HRは、SLIT2が1.16(95%CI:1.05~1.28)、CHSTCが1.13(1.00~1.27)、AMDは1.04(0.97~1.13)だった(解析3)。 著者は、「認知刺激が、軸索形成やシナプス形成を阻害し認知症のリスクを高める可能性のある血漿タンパク質レベルの低下と関連しているとの知見は、認知症の根本的な生物学的機序の解明の手掛かりとなる可能性がある」としている。

12639.

第68回 モデルナワクチン異物混入でロット回収、該当会場を公表/厚労省

<先週の動き>1.モデルナワクチン異物混入でロット回収、該当会場を公表/厚労省2.ロナプリーブ外来投与は24時間の電話対応が条件に/厚労省3.COVID-19中等症I~II以上、診療報酬引き上げ/中医協4.医学部定員、歯学部振り替え枠を廃止、診療科指定枠を検討へ5.来年度の厚労省概算要求、過去最大の33兆9,450億円に6.都内の全医療機関にコロナ病床確保を要請/厚労省1.モデルナワクチン異物混入でロット回収、該当会場を公表/厚労省厚労省は、異物混入が報告され使用を見合わせたモデルナ製ワクチンが使われた大規模接種会場55ヵ所を公表した。異物混入が確認されたロットと同じスペイン国内の生産ラインで製造された製品の回収を進めるため、ワクチン接種が一時中止や延期となった。厚労省は対象ワクチンを接種しても「健康に影響はない」と説明しているが、その後、同時期に製造された回収対象ロット以外のモデルナ製ワクチンを接種後に死亡した事例が2件報告されたこともあり、田村厚労大臣は、モデルナや武田薬品工業に対して、早急な原因究明と再発防止を求める考えを示した。武田薬品工業は28日、この問題についての検査結果を近日中に判明させると発表した。(参考)新型コロナワクチンの一部ロットの使用見合わせについて(厚労省)モデルナ異物混入“早急な原因究明と再発防止を”厚生労働相(NHK)ワクチン接種後に2人死亡 異物混入と同時期製造 因果関係は不明(毎日新聞)COVID-19ワクチンモデルナ筋注の使用見合わせ対象ロットの接種者に関する厚生労働省の発表内容について(武田薬品工業)2.ロナプリーブ外来投与は24時間の電話対応が条件に/厚労省厚生労働省は、25日に事務連絡を改正し、軽症・中等症COVID-19に使用される「カシリビマブ/イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ点滴静注セット)」について、外来診療や宿泊療養施設での使用を認めると各地方自治体に向けて通知した。外来投与に関しては、投与後に患者の病態が悪化した際、入院治療などの緊急対応を行える医療機関において投与とし、投与から24時間以内は患者の病態悪化の有無を電話などで確認できる体制が確保されていること(夜間・休日含む)などを条件にした。また、保健所の介入によらず当該施設で必要な対応を完結できるよう、事前に役割分担および責任の所在を明確化することも明記されている。なお、本剤が使用される場合には、感染症法上の入院勧告・措置に基づく入院として公費負担となるが、例外として、患者が自宅療養中の外来、または宿泊療養・入院待機施設で往診・訪問診療により本剤を投与する場合、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金による新型コロナウイルス感染症対策事業の補助対象とすることが可能となる。(参考)厚労省 抗体カクテル療法の外来使用 新型コロナの「入院治療を行う医療機関」で(ミクスonline)抗体カクテル薬の外来使用、24時間の確認体制条件に(日経新聞)3.COVID-19中等症I~II以上、診療報酬引き上げ/中医協厚労省は26日、中央社会保険医療協議会を持ち回りで開催し、新型コロナウイルス感染者で酸素投与が必要とされる「中等症II」以上の患者についての診療報酬を、1日5万7,500円に引き上げる方針を示した。これまでも救急医療管理加算として通常点数の5倍を算定できるようにしていたが、今回6倍まで引き上げられた。また、酸素吸入までは必要ないが入院が必要な中等症Iに対応する加算も、3倍から4倍に引き上げ、1日3万8,000円となる。この特例措置は27日の閣議で決定された。若年層のコロナ患者の急増に備え、病床受け入れを促進するのが狙いだろう。(参考)コロナ中等症患者の診療負担増踏まえ診療報酬特例を拡大、救急医療管理加算の4倍・6倍算定認める―中医協総会(Gem Med)中等症対応の加算引き上げ 診療報酬、若年コロナ増で―厚労省(時事ドットコム)新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について(中医協)4.医学部定員、歯学部振り替え枠を廃止、診療科指定枠を検討へ厚労省で医療従事者の需給に関する検討会の「医師需給分科会」が27日に開催され、2023年度の医学部定員について議論された。2023年度の医学部定員については、基本的に2022年度と同様の方法で行うが、役割はある程度果たされたとして、44名の歯学部振り替え枠を廃止し、2036年に向けた医師不足の解消のため、総合診療科、救急救命科、内科など、社会的なニーズに対応する枠(診療科指定の地域枠)として活用することとなった。また、分科会として「第5次中間とりまとめ(案)」が提出された。これまで段階的に医学部定員を増員し、全国レベルで毎年3,500~4,000人ずつ増加しているが、2029年頃には需給が均衡する見込み。その後も医師数は増加を続ける一方で、人口減少に伴い将来的には医師需要が減少局面になるため、医師の増加ペースについては見直しが必要だが、医師の地域偏在・診療科偏在への対応策を講じることは引き続き重要とされる。(参考)「歯学部振り替え枠」廃止、診療科指定枠に活用へ 厚労省・分科会が了承(CBnewsマネジメント)令和5年度医学部定員と歯学部振替枠の見直しについて(医師需給分科会)医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会 第5次中間とりまとめ(案)5.来年度の厚労省概算要求、過去最大の33兆9,450億円に厚労省は26日、2022年度予算の概算要求を発表した。前年度の当初予算と比べて8,070億円(2.4%)増加と、過去最大の33兆9,450億円とした。医療や介護などの社会保障費は6,738億円増加で、高齢化に伴う社会保障費の自然増を見込んでいる。コロナワクチンの需要は来年度も続くことを前提に、自治体による接種体制の整備や国産ワクチンの開発支援を重点要求とした。このほか、地域医療構想の推進のために857億円、医師の偏在対策に21億円、医療従事者の働き方改革に75億円の要求も含め、31日に財務省に提出される。(参考)厚労省 概算要求 過去最大34兆円 感染症対策など 来年度予算案(NHK)厚労省概算要求33.9兆円 コロナ対策で増大も(日経新聞)過去最大33.9兆円要求へ、厚労省 22年度予算概算要求(CBnewsマネジメント)6.都内の全医療機関にコロナ病床確保を要請/厚労省厚労省は東京都とともに、今年2月に成立した改正感染症法に基づいて、都内すべての医療機関に新型コロナ患者の受け入れ病床確保や、医師・看護師の人材派遣を要請する方針を23日に決めた。東京都では受け入れ病床が逼迫しているため、軽症患者用の臨時の「酸素ステーション」や宿泊療養施設を開設しており、人手が必要になっている。入院患者を受け入れていない診療所についても、医師や看護師の派遣を求める。また、正当な理由なく協力に応じない病院については「勧告」を行い、さらに従わなかった場合には、医療機関名を公表することになる。すでに大阪府や奈良県、静岡県、茨城県などでは同様の要請が出されているが、東京都では初めてのこと。(参考)厚労省と都、都内の全医療機関に病床確保要請へ 政府初(朝日新聞)厚労省と東京都 新型コロナ拡大で都内全医療機関に病床確保と人材派遣を要請 (ミクスonline)初の感染症法に基づく協力要請へ 国と都 医療機関などに対し(NHK)

12640.

家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)〔FH:familial hypercholesterolaemia〕

1 疾患概要■ 定義家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia:FH)は、low-density lipoprotein(LDL)受容体経路に関わる遺伝子変異のために、LDL代謝に遅延を来し、高LDL-C血症による動脈硬化が若年齢より進行する遺伝病である。FHは、高low density lipoprotein (LDL)コレステロール血症、皮膚および腱黄色腫、若年性動脈硬化症による冠動脈疾患を三主徴とし、LDL受容体経路に関わる遺伝子の1つのアレルに病的変異を持つものをFHヘテロ接合体、2つのアレルに病的変異を持つものを、FHホモ接合体という1)。■ 疫学FHホモ接合体患者は以前には100万人に1人の頻度とされていたが、現在は30万人に1人以上の頻度であると推定されている。FHホモ接合体は、指定難病とされ、令和元年の受給者証所持者数は320人である。■ 病因FHは、LDL受容体経路に関わる遺伝子の変異、すなわち、LDL受容体の病的遺伝子変異、あるいはPCSK9の機能獲得型変異、アポリポタンパクBの病的遺伝子変異により、LDL受容体蛋白が欠損しあるいはその機能が大きく障害されて、高LDL-C血症が引き起こされる先天的疾患である。通常は血漿LDLの約70%が肝臓で代謝される。FHホモ接合体患者では約10%に低下しており、低下の程度に反比例して血漿LDL濃度は上昇し、血管壁へのコレステロールの沈着のリスクが高まる。■ 症状身体所見としては、皮膚や腱にLDL由来のコレステロールが沈着し、皮膚黄色腫、腱黄色腫と呼ばれる。黄色腫の頻度は、LDL-C値の上昇の度合いと期間の長さに比例する。黄色腫は、皮膚では肘関節、膝関節の伸側、手首、臀部など、機械的刺激が加わる部位に多く発生する(図1)。腱黄色腫はアキレス腱のものが一番良く知られており、診断に用いられるが、手背伸筋腱にも発生する。図1 HoFH患者の皮膚黄色腫所見画像を拡大する■ 分類LDL受容体経路に関わる遺伝子の変異による遺伝病であり、原因遺伝子としてはLDL受容体の病的変異が1番多いが、PCSK9機能獲得型変異、アポリポタンパクBの病的変異も報告されている。同一の遺伝子の同じ変異が2つ存在する真性ホモ接合体、同じ遺伝子に異なった変異を認める複合ヘテロ接合体、別の遺伝子に変異を認めるダブルヘテロ接合体もFHホモ接合体と考えられている(図2)。図2  FHホモ接合体の遺伝子変異の組み合わせ■ 予後FHホモ接合体の動脈硬化症としては、大動脈弁上狭窄、弁狭窄、冠動脈狭窄が乳幼児期に出現し、進行する。未治療では30歳までに狭心症、心筋梗塞、突然死を引き起こすことが知られている。胸部大動脈、腹部大動脈や肺動脈にも強い動脈硬化を引き起こす。そのため、冠動脈狭窄に対するPCI、CABG、大動脈弁上狭窄・弁狭窄に対する大動脈弁置換術が必要になる例も多い。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)血清LDL-C値は370~1,000mg/dLである。FHの血清中に増加しているコレステロールは主にLDLであり、IIa型の高脂血症病型を示す例が多い。身体症状としては、皮膚黄色腫の存在、家族歴として両親がFHヘテロ接合体であることなどが、診断上の根拠となる。線維芽細胞やリンパ球におけるLDL受容体活性の低下(正常の20%以下)、LDL受容体遺伝子変異により診断を下すことも可能であるが、正確な診断をするには、遺伝子解析を行うことが重要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)FHホモ接合体の治療の基本は、冠動脈疾患など若年齢から起きる動脈硬化症の発症および進展の予防であり、早期診断と適切な治療が最も重要である。FHホモ接合体のLDL-C値の治療目標値は、一次予防で100mg/dL、二次予防で70mg/dLである。これらの目標値に向けて、多くの薬剤やLDLアフェレシス治療を組み合わせ、LDL-C値をできる限り低下させることが重要である。また、動脈硬化の危険因子である、糖尿病、高血圧、高トリグリセリド血症などは、厳格にコントロールする。FHホモ接合体は、薬剤に対する反応性が悪いことが多いが、まずはスタチンを開始、増量、さらにエゼチミブを加えてその反応性を観察する。さらにPCSK9阻害薬エボロクマブ(商品名:レパーサ)140mgを2週間に1回皮下注射で行う。FHホモ接合体の中でもLDL受容体活性がまったくないタイプ(negative type)では効果を認めないが、活性がわずかに残っているタイプ(defective type)であればある程度の効果が期待できる3)。効果が十分でない場合には、エボロクマブ420mgのオートミニドーザーを用いて2週間に1回皮下注射で行う。これらの薬剤の効果が十分でない場合、MTP阻害薬ロミタピド(同:ジャクスタピッド)が適応になる。MTP阻害薬は、開始前に脂肪摂取制限の栄養指導を行い、5mgから徐々に増量する。LDL-Cの低下効果とともに、下痢や肝機能障害などの副作用をチェックしながら、至適用量を決定する。さらに、LDL-C値のコントロールを行うためには、1~2週間に1回のLDL-アフェレシス治療が必要な場合も多い。FHホモ接合体に対する薬物療法は、LDLアフェレシス開始前の乳幼児に対して行い、LDLアフェレシス開始後の患者に対しては、治療施行にて低下したLDLの再上昇を抑制する補助的な目的で行う。4 今後の展望1)Angiopoietin-Like Protein 3(ANGPTL3)抗体医薬(evinacumab)ANGPTL3は、機能低下型変異により、低LDL-C、低TG、低HDL-C血症を示し、冠動脈疾患リスクも低いことが知られていた。ANGPTL3抗体医薬が、FHホモ接合体に効果があることが示され、全世界で治験が進行中である4)。2)PCSK9 siRNA(inclisiran)siRNAを用いてPCSK9の産生を抑制する薬剤の開発が行われている5)。1回の注射で6ヵ月間、LDL-C値の低下を認める薬剤であり、すでに欧州で承認されており、わが国では治験が進行中である。5 主たる診療科小児科、代謝内科、循環器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「原発性脂質異常症に関する調査研究班」(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)原発性脂質異常症の予後調査(PROLIPID)(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本動脈硬化学会 家族性高コレステロール血症について(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本動脈硬化学会 家族性高コレステロール血症紹介可能施設(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報難治性家族性高コレステロール血症患者会(患者とその家族および支援者の会)1)Defesche JC,et al. Nat Rev Dis Primers. 2017;3:17093.2)Nohara A, et al. J Atherosclr Thromb. 2021;28:665-678.3)Raal FJ, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017;5:280-290.4)Dewey FE, et a. N Engl J Med. 2017;377:211-221.5)Ray KK, et al. N Engl J Med. 2017;376:1430-1440.公開履歴初回2021年8月30日

検索結果 合計:35172件 表示位置:12621 - 12640