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そして父になる(続編・その2)【子育ては厳しく? それとも自由に? その正解は?(科学的根拠に基づく教育(EBE))】Part 3

そもそもなんで家庭環境の影響が少ないの?子育ての正解は、厳し過ぎず、自由過ぎず、ほどほどに子育てをする自律的な子育てであることが分かりました。そして、その行動遺伝学的な根拠として、家庭環境の影響が、非認知能力にはほぼなく、認知能力には限定的であることをご説明しました。それでは、そもそもなぜ家庭環境の影響が少ないのでしょうか? ここで、能力(心理的・行動的形質)は古ければ古いほど癖になりやすい(嗜癖性が強い)という仮説を立てます。そして、この仮説のもと、家庭環境の影響が少ない原因を、進化心理学的に3段階に分けて掘り下げてみましょう。(1)非認知能力はとても古くからあるから約5億年前に魚類が誕生し、有性生殖をするように進化しました。この生殖本能は、セックスをする「能力」と言い換えることができます。そして、その能力は、性欲として、食欲と並び、最も嗜癖性が強いと言えます。約3億年前に哺乳類が誕生し、親が哺乳行動(育児行動)を、そして子どもが愛着行動をするように進化しました。この育児と愛着の習性も、育児をする「能力」と親に愛着を持つ「能力」と言い換えることができます。そして、これらの能力も、かなり嗜癖性が強いと言えます。この詳細については、関連記事4をご覧ください。約700万年前に人類が誕生し、約300万年前に家族をつくり、さらにその血縁から部族を作るようになりました。この時、狩りや子育てのために部族の中でお互いに協力し合うように進化しました(社会脳)。たとえば、それは、周りの人と心を通わせる力こと(共感性)、周りの人に対して自分を落ち着かせること(セルフコントロール)、そして周りの人とうまくやっていくために自分で考えて行動すること(自発性)です。これが、非認知能力の起源です。逆に言えば、それ以前の人類やそのほかの動物は、車に例えると、この向社会性というナビゲーションがなく、単純なアクセルである快感と単純なブレーキである恐怖だけで行動しており、非認知能力があるとは言えないでしょう。なお、社会脳のメカニズムの詳細については、関連記事5をご覧ください。1つ目の段階として、家庭環境の影響が非認知能力にほぼない原因は、セックス、育児、愛着ほどではないにしても、この能力がとても古くからあるからであることが考えられます。人類の最も古い能力の1つであり、その分、とても癖になりやすい(嗜癖性が強い)と言えるでしょう。そして、敏感に反応してしまうからこそ(遺伝形質が発現しやすいからこそ)、家庭環境の刺激の程度に違いがあっても、つまりどの親の関わりによっても、変わらない能力であると言えます。結果的に、家庭環境の影響に違いが出ず、影響度はほぼ0になってしまうのです。つまり、嗜癖性が強いものは、家庭環境の影響が入り込む余地がないと言えるでしょう。(2)言語的コミュニケーション能力は比較的最近に出てきたから約20万年前に現生人類が誕生して、喉の構造が変化して、複雑な発声ができるようになりました。この時、言葉を使う脳が進化しました。これが、言語的コミュニケーション能力の起源です。言語的コミュニケーション能力とは、発音、語彙の数、文法的な正確さなどの基本的な会話力であり、認知能力の基礎と言えます。この能力に限定した検査は、ウェクスラー式知能検査の下位項目の単語・類似・理解、京大NX知能検査の下位項目の単語完成・類似反対語・文章完成、日本語能力試験の下位項目の聴解などが挙げられます。しかし、現時点で、これらの検査の下位項目に限定した行動遺伝学的な研究は見当たらず、家庭環境の影響度は不明です。そこで、語学力(外国語の才能)で代用します。そうするのは、語学力は、日本語における方言と標準語、タメ語と敬語の使い分けの延長とも捉えられ、言語的コミュニケーション能力の1つと考えられるからです。語学力においての遺伝、家庭環境、家庭外環境の影響度は、50%:23%:27%であることが分かっています。つまり、家庭環境の影響が20%強と出てきます。2つ目の段階として、家庭環境の影響が言語的コミュニケーション能力(正確には語学力)にややあると考えられる原因は、この能力が比較的最近に出てきたからです。その分、やや癖になりにくい(嗜癖性が弱い)と言えるでしょう。非認知能力ほど敏感に反応する訳ではないので(遺伝形質がやや発現しにくいので)、言語環境(家庭環境)の刺激の程度に違いがあると、つまり親によって曝される言葉の数や質の違いによって、変わってしまう能力であると言えます。逆に言えば、言語環境が同じ家庭内では、言語的コミュニケーション能力が似ていく、つまり同じレベルになっていくと言えます。結果的に、家庭環境の影響に違いが出て、影響度が20%程度となってしまうのです。実際に、この嗜癖性の弱さは、語学力に7歳という臨界期がある点でも説明することができます。つまり、年齢とともに嗜癖性が弱くなっていくものは、家庭環境の影響が入り込む余地が出てくると言えるでしょう。たとえば、それが、親から伝えられる方言、敬語、外国語などの語彙の数や表現の仕方なのです。ちなみに、コミュニケーション能力には、この言語的コミュニケーション能力のほかに、準言語的コミュニケーション能力と非言語的コミュニケーション能力があります。これら3つは、それぞれ順に、言葉そのものの言語情報、声のトーンなどの聴覚情報、表情などの視覚情報に言い換えられます。これらの能力についての行動遺伝学的な研究は現時点で見当たらず、家庭環境の影響度は不明です。その代わりに、これらの心理的な影響度は、7%、38%、55%であるという実験結果があります(メラビアンの法則)。この影響度を、情報媒体としてより選ばれる、より好まれる、つまり嗜癖性が強いと解釈すると、この3つの能力の出現の順番は、非言語的→準言語的→言語的であることが推定できます。なお、メラビアンの法則の詳細については、関連記事6をご覧ください。(3)言語理解能力は最も最近に出てきたから約10万年前に現生人類は貝の首飾りを信頼の証にするなどシンボルを使うようになりました。この時、言葉によって抽象的に考えるようになりました。これが、概念化、つまり言語理解能力の起源です。さらに、約5千年前に、文字が発明されました。これが、読み書き、つまり学習能力の起源です。言語理解能力(京大NX知能検査の言語性知能)においての遺伝、家庭環境、家庭外環境の影響度は、14%:58%:28%であることが分かっています。つまり、家庭環境の影響が60%弱とかなり高まっています。3つ目の段階として、家庭環境の影響が言語理解能力にかなりある原因は、この能力が最も最近に出てきたからです。その分、とても癖になりにくい(嗜癖性がほとんどない)と言えるでしょう。あまり敏感に反応しないので(遺伝形質がとても発現しにくいので)、学習環境(家庭環境)の刺激の程度に違いがあると、つまり親の関わり(家庭学習)の程度の違いによって、かなり変わってしまう能力であると言えます。結果的に、家庭環境の影響に大きな違いが出て、影響度が60%程度となってしまうのです。ただし、先ほどの知能指数(IQ)においての家庭環境の影響度の変化でもご説明しましたが、この数値が高いのは一時的なもので、年齢とともに下がっていきます。つまり、嗜癖性がもともとほとんどないものは、家庭環境の影響が入り込む余地がかなりあると言えるでしょう。たとえば、それが、先ほどにもご説明した、本がたくさんある家庭環境なのです。なお、言語理解は、認知能力の1つです。認知能力を代表する知能指数(IQ)には、言語理解のほかに、ワーキングメモリー、知覚推理、処理速度があります。ほかの3つについての家庭環境の影響度は、どれも0%であることが分かっています。結果的に、知能指数(IQ)においての家庭環境の影響度は、トータルで評価されて、先ほど示した数値である約30%になってしまうのです。また、このことから、ワーキングメモリー、知覚推理、処理速度の3つの能力は、言葉が生まれる前に出現していたことが推定できます。そもそも、これらの能力は、視覚情報を介しており、言葉(聴覚情報)を介する必要がないです。たとえば、言葉が生まれる前の原始の時代を想像すると、人類は襲ってくる猛獣から身を交わしつつ、仲間と息を合わせて威嚇しつつ、自分の子どもを守りつつ、逃げ道を探したでしょう。これは、同時並行で作業を記憶するワーキングメモリーです。人類は、獲物を追いかけるために、野山を延々と駆け抜けたあと、道に迷わずに部族の集落に帰ってきたでしょう。これは、二次元の図形や三次元の立体を頭の中で思い描いて自在に回転するメンタルローテーション(知覚推理)です。ところで、知能指数(IQ)においての成人初期の家庭環境の影響度は、日本では約20%にとどまってしまうのに対して、欧米ではほぼ0%でなくなってしまうことが分かっています。これは、欧米人と比べて、日本人は成人しても実家暮らしが多いことが原因になっている可能性が指摘されています。しかし、嗜癖性の観点で考えると、欧米の言語よりも日本語のほうが難解であることが原因になっている可能性も指摘できます。なぜなら、それだけ学習に労力がかかり、嗜癖性がさらに弱くなるので、家庭環境の影響が残ってしまうからです。ちなみに、絶対音感(音楽の才能)や絵心(美術の才能)についても、家庭環境の影響度は0%であることが分かっています。このことから、これらの能力(才能)も、言葉が生まれる前に出現していたことが推定できます。とくに、音楽については、リズムやトーンが共通する点で、準言語的コミュニケーション能力と同時期に出現していた可能性が考えられるでしょう。そう考えると、準言語的、そして非言語的コミュニケーション能力は、音楽と同じく、言葉が生まれる前に出現しているため、家庭環境の影響は0%であることが推定できます。じゃあなんであの2つは家庭環境の影響があるのに癖になりやすいの?能力(心理的・行動的形質)は古ければ古いほど癖になりやすい(嗜癖性が強い)という仮説は、非認知能力(正確には性格と自尊心)、言語的コミュニケーション能力(正確には語学力)、言語理解能力の順番に、家庭環境の影響度が出てきて増えている点が傍証になりそうです。今後、厳密な意味での非認知能力や言語的コミュニケーション能力についての家庭環境の影響度の研究が望まれます。この仮説のもと、嗜癖性が弱い能力は、それだけ新しく出てきたものであり、家庭環境の影響が出てくることが分かりました。しかし、嗜癖性が強いのに家庭環境の影響が出ている心理的・行動的形質が、実は2つあります。それが、先ほど放任的な家庭環境のリスクでご説明した、素行の悪さ(反社会的行動)と嗜好品へのハマりやすさ(物質依存)です。ここから、この2つの形質に家庭環境の影響がある原因を、「能力」という視点で、再び進化心理学的に掘り下げてみましょう。(1)素行の悪さという「能力」を文化的に発現させないようになったから約300万年前に人類は部族社会をつくり、助け合うようになりましたが、やはり飢餓の時は生き残るために奪い合いになります。そう切り替えられる種が、生存の適応度を上げるでしょう。つまり、助け合う能力と同時に出し抜く「能力」が進化したのでした。これが、反社会的行動の起源です。これは、同じ時期に出現した非認知能力と同じくらい嗜癖性が強いと言えるでしょう。数万年前に、部族同士の交流が盛んになり、反社会的行動が増えていきました。その抑止のために、獲物を仕留める飛び道具を武器として人に向けて威嚇する治安隊が生まれました。これが、警察の起源です。こうして、反社会的行動が、文化的に禁じられ、罰せられるようになりました。素行の悪さ(反社会的行動)が癖になりやすい(嗜癖性がある)のに家庭環境の影響がある原因は、もともとあったその「能力」を文化的に発現させないようになったからです。言語的コミュニケーション能力や言語理解能力のようにその能力を家庭環境によって促進するのではなく、逆に、反社会的行動という「能力」を家庭環境によって抑制するようになったのです。たとえば、それが、野々宮家のようなしつけ(禁止行為の学習)です。逆に、そうしない斎木家のような家庭環境が、結果的に素行の悪さという「能力」を発現させてしまい、家庭環境の影響度が20%程度出てしまうのです。なお、反社会的行動の起源の詳細については、関連記事7をご覧ください。(2)嗜好品へのハマりやすさという「能力」を文化的に発現させないようになったからアルコールの製造は約1万年前、大麻は約5千年前、タバコは7世紀頃であると考えられており、比較的に最近です。当たり前の話ですが、これらの嗜好品は、ハマるように人工的に造られたため、ハマる(嗜癖性が強い)のです。嗜好品へのハマりやすさ(物質依存)が癖になりやすい(嗜癖性がある)のに家庭環境の影響がある原因は、そのハマる「能力」を文化的に発現させないようになったからです。反社会的行動と同じように、嗜好品にハマる「能力」を家庭環境によって抑制するようになったのです。たとえば、それが、野々宮家のようにコーラ(カフェイン)禁止、ゲームの時間制限などの家庭のルールです。逆に、そうしない斎木家のような家庭環境が、結果的に嗜好品へのハマりやすさという「能力」を発現させてしまい、家庭環境の影響度が15~30%程度出てしまうのです。たくさん本が目の前にある家庭環境が言語理解能力を促進するのと同じように、たくさんの嗜好品が目の前にある家庭環境はそれらにハマる「能力」を促進してしまうという訳です。なお、アルコール依存症の起源の詳細については、関連記事8をご覧ください。ちなみに、嗜好品ではないですが、嗜癖行動として、ギャンブルが挙げられます。この家庭環境の影響度は、嗜好品と同じように考えれば、ある程度の%があっても良さそうですが、0%であることが分かっています。この訳は、確かに、ギャンブルは、狩りをする能力(ギャンブル脳)として、太古の昔からすべての動物がやってきたことであり、嗜癖性が強いです。しかし、アルコールやタバコと違って家庭内に入り込むことが難しいため、結果的に家庭環境の影響が出なくなっています。もちろん、成人してから実際にパチンコ店に行くという家庭外環境によって刺激が繰り返されると、ハマる「能力」が発現するでしょう。なお、ギャンブルの起源の詳細については、関連記事9をご覧ください。ただし、昨今広がっているギャンブル性の高いゲームは別です。現時点で、これについての行動遺伝学的な研究は見たありません。家庭内に入り込むことができるギャンブルとして、ゲームは家庭環境の影響が出ることが推測できます。なお、ゲーム依存症の詳細については、関連記事10をご覧ください。癖になりにくいのに家庭環境の影響がある困った「能力」とは? その原因は?家庭環境とは、現代社会に望ましいながらも癖になりにくい(嗜癖性が弱い)能力を促進する文化的な「アゴニスト」(刺激薬)であると同時に、現代社会に望ましくないながらも癖になりやすい(嗜癖性が強い)「能力」を抑制する文化的な「アンタゴニスト」(遮断薬)であることが分かりました。ところが、現代社会に望ましくなく、癖にもなりにくいのに、家庭環境の影響が出てしまう、ある「能力」が例外的にあります。それは、統合失調症という心の病です。この遺伝、家庭環境、家庭外環境の影響度は、81%:11%:8%であることが分かっています。つまり、家庭環境の影響度が10%強と少ないながらあります。これは、なぜしょうか? その原因を、再び進化心理学的に掘り下げてみましょう。統合失調症の主症状は、幻聴と被害妄想です。このことから、その起源、つまり統合失調症という「能力」が完成したのは、言葉でコミュニケーションをして抽象的に考えるようになった約10万年前であることが推定されます。つまり、統合失調症は、言語理解能力と同じく、新しく出てきた「能力」であるため、嗜癖性は弱いことが分かります。当時から、幻聴は「神のお告げ」として、被害妄想は「神通力」として受け止められ、彼らは社会に溶け込んでいたでしょう。ところが、18世紀の産業革命によって合理主義や個人主義が世の中に広がっていきました。この価値観によって、その後、この「能力」は病としてネガティブに受け止められるようになりました。つまり、統合失調症は、現代社会で望ましくない「能力」になってしまいました。ここで、統合失調症の発症に影響を与える家庭環境が浮き彫りになってきます。それは、合理主義的ではない、個人主義的ではない親の関わりです。これが、10%強の家庭環境の影響度の正体であることが考えられます。たとえば、それは、信心深さ、スピリチュアリズム、勘ぐりの激しさなどの合理主義的ではない関わりでしょう。また、過保護、過干渉、巻き込み、バウンダリー(心理的距離)のなさなどの個人主義的ではない関わりでしょう。実際に、再発の研究においては、家族による高い感情表出が危険因子として挙げられています。つまり、統合失調症において家庭環境の影響が出てしまう原因は、このような親の関わりほうが文化的に制限されるまでに至っていないからでしょう。なお、統合失調症の起源の詳細については、関連記事11をご覧ください。ちなみに、統合失調症以外の精神障害については、家庭環境の影響が基本的に0%になっています。このことから、統合失調症以外のほとんどの精神障害は、統合失調症が出現する10万年前よりも以前にすでに出現していたことが推定できます。たとえば、自閉症は、男性に多く見られるシステム化という能力の遺伝形質を多く遺伝したため、その効果が強く出た結果と言えるでしょう。自閉症の起源の詳細については、関連記事12をご覧ください。ADHDは、瞬発力(衝動性)という「能力」の遺伝形質が強く出た結果と言えるでしょう。ADHDの起源の詳細については、関連記事13をご覧ください。うつ病は、周りからの援助行動を引き出す「能力」の遺伝形質が強く出た結果と言えるでしょう。うつ病の起源の詳細については、関連記事14をご覧ください。結局、家庭環境って何なの?結局のところ、家庭環境の影響とは、必ずしも親の関わりの単純な程度でなく、親の関わりへの子どものそれぞれの能力の反応の鈍さであったり、逆に鋭さであったりする訳です。そして、反社会的行動と物質依存を除くと、家庭環境の影響度の大きさの違いから、その能力がいつ出現したかがだいたい分かってしまうという訳です。そう考えると、家庭環境は、もはや純粋に家庭環境とは呼べないかもしれません。行動遺伝学においての家庭環境(共有環境)か家庭外環境(非共有環境)かの線引きは、家庭の内か外かという単純な家庭の問題を超えて、どちらにしてもその環境の影響に反応しやすいかどうかという子どもの能力の嗜癖性の問題でもあることが分かります。進化の歴史の中で、そんな能力の嗜癖性を高めてきた私たちの心は、まさに「癖になる脳」、“addictive brain”と言えるのではないでしょうか?1)日本人の9割が知らない遺伝の真実:安藤寿康、SB新書、20162)遺伝マインド:安藤寿康、有斐閣、20113)認知能力と学習 ふたご研究シリーズ1:安藤寿康、創元社、20214)家庭環境と行動発達 ふたご研究シリーズ3:安藤寿康ほか、創元社、20215)そして父になる 映画ノベライズ:是枝裕和、宝島社文庫、2013<< 前のページへ■関連記事酔いがさめたら、うちに帰ろう。(前編)【アルコール依存症】万引き家族(前編)【親が万引きするなら子どももするの?(犯罪心理)】Part 1クレヨンしんちゃん【ユーモアのセンス】Part 1そして父になる(その1)【もしも自分の子じゃなかったら!?(親子観)】Part 2インサイド・ヘッド(続編・その3)【意識はなんで「ある」の? だから自分がやったと思うんだ!】Part 1クレヨンしんちゃん【ユーモアのセンス】Part 3万引き家族(前編)【親が万引きするなら子どももするの?(犯罪心理)】Part 3酔いがさめたら、うちに帰ろう。(後編)【アルコール依存症】「カイジ」と「アカギ」(後編)【ギャンブル依存症とギャンブル脳】レディ・プレーヤー1【なぜゲームをやめられないの?どうなるの?(ゲーム依存症)】絵画編【ムンクはなぜ叫んでいるの?】ガリレオ【システム化、共感性】ドラえもん【注意欠如・多動性障害(ADHD)】ツレがうつになりまして。【うつ病】

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統合失調症の抗精神病薬関連代謝異常~最新レビュー

 代謝異常や肥満は、統合失調症患者の主な心血管イベントのリスク因子である。その結果として、統合失調症患者は、そうでない人と比較し、死亡率が高く、平均寿命が短くなる。統合失調症と代謝異常との関係は、特定の遺伝学的または病理学的リスクが影響している可能性もあるが、抗精神病薬(とくに第2世代抗精神病薬)が体重増加や代謝異常リスクを上昇させていると考えられる。台湾・台北医学大学のShen-Chieh Chang氏らは、抗精神病薬に関連する体重増加や代謝異常、それらのメカニズム、モニタリングガイドライン、介入に関する文献のレビューを行った。World Journal of Psychiatry誌2021年10月19日号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・ほぼすべての抗精神病薬において体重増加との関連が認められたが、その程度は薬剤間で異なる。・体重増加や特定の代謝異常に対し、神経伝達物質受容体親和性の強さやホルモンが関連していることが示唆されているが、抗精神病薬関連の体重増加や代謝異常の根底にあるメカニズムは明らかになっていない。・新たなエビデンスとして、抗精神病薬関連の体重増加や代謝異常と関連する遺伝子多型の役割が示唆されている。・抗精神病薬誘発性代謝異常のスクリーニングやモニタリングのために多くのガイドラインが発表されているが、これらは臨床で日常的に実施されているわけではない。・抗精神病薬誘発性代謝異常のマネジメント戦略に関する研究が多かった。・統合失調症患者およびその介護者は、健康的な生活が送れるよう、禁煙、食事、身体活動のプログラムについて教育を受け、動機づけを行わなければならない。・ライフスタイル介入がうまくいかない場合には、代謝異常リスクの低い他の抗精神病薬への切り替えや体重増加を軽減させるための補助治療薬の追加を検討する必要がある。・統合失調症の治療において抗精神病薬は不可欠であるため、臨床医は抗精神病薬関連の体重増加や代謝異常をモニタリングし、マネジメントする必要がある。

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コロナワクチン3種の有効性、流行株で変化?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)、mRNA-1273(Moderna製)、Ad26.COV2.S(Janssen/Johnson & Johnson製)の3種類のワクチンの有効性は、デルタ変異株が優勢になるに伴ってやや低下したものの、COVID-19による入院に対する有効性は高いまま維持されていた。ただし、65歳以上でBNT162b2またはmRNA-1273ワクチン接種者に限ってみると、COVID-19による入院に対する有効率はわずかに低下していたという。米国・ニューヨーク(NY)州保健局のEli S. Rosenberg氏らが、同州データベースを用いた前向きコホート研究の解析結果を報告した。FDAが承認した3種類のCOVID-19ワクチンの有効性に関する、米国の地域住民を対象としたデータは限られており、ワクチンの有効性の低下が、免疫の減弱、デルタ変異株または他の原因に起因するかどうかについても不明であった。著者は、「今回の結果は、COVID-19患者を減少させるためには、予防行動に加えてワクチンが引き続き有効であることを支持するものである」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年12月1日号掲載の報告。NY州869万人における3種類のワクチンの有効性を検証 研究グループは、NY州における4つのデータベース(CIR、NYSIIS、ECLRS、HERDS)※を連携して、同州居住18歳以上の成人869万825例を対象とするコホートを構築し、BNT162b2、mRNA-1273およびAd26.COV2.Sワクチンの有効性を評価した。 評価項目は、2021年5月1日~9月3日における検査で確認されたCOVID-19に対するワクチンの有効性、ならびに2021年5月1日~8月31日におけるCOVID-19による入院(入院時または入院後にCOVID-19と確定診断)に対するワクチンの有効性で、接種したワクチンの種類、年齢、ワクチン接種完了月に準じて定義したコホートと、年齢別のワクチン未接種コホートを比較した。※CIR(Citywide Immunization Registry):NY市居住者のCOVID-19ワクチン接種に関する全データ、NYSIIS(New York State Immunization Information System):NY州およびその他の地域のCOVID-19ワクチン接種に関するデータ、ECLRS(Electronic Clinical Laboratory Reporting System):NY州のすべてのCOVID-19検査結果、HERDS(Health Electronic Response Data System):NY州内全入院施設の日次電子調査(COVID-19の診断が確認された人の全新規入院に関するデータ日次新型コロナ入院データを収集)2021年5月~8月に、3種類すべてで有効性が低下 対象期間中に、COVID-19は15万865例、COVID-19による入院は1万4,477例確認された。 流行中の変異株に占めるデルタ変異株の割合が1.8%だった2021年5月1日の週において、COVID-19に対する有効率中央値は、BNT162b2で91.3%(範囲:84.1~97.0)、mRNA-1273で96.9%(93.7~98.0)、Ad26.COV2.Sで86.6%(77.8~89.7)であった。 その後、有効率は全コホートで同時に低下し、全体の有効率中央値は5月1日の週の93.4%(範囲:77.8~98.0)から、デルタ変異株が85.3%を占めた7月10日頃には73.5%(13.8~90.0)、デルタ変異株が99.6%を占めた8月28日の週には74.2%(63.4~86.8)となった。 一方、COVID-19による入院に対する有効率は、18~64歳では明らかな経時変化はみられず、ほぼ86%以上で維持されていた。65歳以上では、BNT162b2またはmRNA-1273は5月から8月にかけて有効率が低下し(それぞれ94.8%→88.6%、97.1→93.7%)、Ad26.COV2.Sは経時的な変化はないものの他のワクチンよりも有効率が低かった(範囲:80.0~90.6%)。

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新薬elacestrantがHR+進行乳がん2~3次治療でPFS改善、初の経口SERD(EMERALD)/SABCS2021

 ホルモン受容体陽性/ HER2陰性の転移を有する閉経後乳がん患者への2次および3次治療において、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)elacestrantが、医師選択の標準治療と比較して死亡または疾患進行リスクを有意に減少させ、無増悪生存期間(PFS)を改善した。第III相EMERALD試験の中間解析結果を、米国・Mass General Cancer CenterのAditya Bardia氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2021)で発表した。 現在、同患者に対しては主に内分泌療法とCDK4/6阻害薬による治療が行われているが、ほとんどの患者は最終的にこれらの治療に対する耐性を獲得し、その耐性機序の一つとしてESR1変異が考えられている。 SERDとして乳がん治療で唯一承認されているフルベストラントは筋肉内注射による投与であり、経口SERDとして第III相試験が実施されたのは今回のelacestrantが初。Bardia氏はelacestrantはフルベストラントと比較して吸収が大きく、薬物動態が改善され、ERの阻害が強化されていると説明した。EMERALD試験は多施設共同無作為化比較試験で、北米・ヨーロッパの他アルゼンチン、韓国、オーストラリアなど17カ国228施設が参加。日本からの参加はない。・対象:ホルモン受容体陽性/ HER2陰性の転移を有し、CDK4/6阻害薬治療後に進行した男性および女性の閉経後乳がん患者(1~2ラインの内分泌療法歴[うち1ラインはCDK4/6阻害薬との併用]と1ライン以下の化学療法歴有、ECOG PS 0/1) 477例・elacestrant群:elacestrant(400mg/日) 239例・標準治療群:治験担当医選択によるフルベストラントまたはアロマターゼ阻害薬 238例・評価項目:[主要評価項目]ITT集団およびESR1変異を有する患者におけるPFS[副次評価項目]全生存期間(OS) 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時点での患者特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値はelacestrant群63.0歳vs.標準治療群63.5歳、内臓転移を有する患者は68.2% vs.70.6%、1ラインの化学療法歴を有する患者は20.1% vs.24.4%だった。・主要評価項目であるITT集団におけるPFS中央値は、elacestrant群2.79ヵ月に対し標準治療群1.91ヵ月となり、elacestrant群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.697、95%信頼区間[CI]:0.552~0.880、p=0.0018)。・ESR1変異を有する患者におけるPFS中央値は、elacestrant群3.78ヵ月に対し標準治療群1.87ヵ月となり、elacestrant群で有意に改善した(HR:0.546、95%CI:0.387~0.768、p=0.0005)。・ITT集団における6ヵ月時点でのPFS率は34.3% vs.20.4%、12ヵ月時点では22.32% vs.9.42%だった。ESR1変異を有する患者においては6ヵ月時点でのPFS率は40.8% vs.19.1%、12ヵ月時点では26.76% vs.8.19%だった。・elacestrantによるPFSのベネフィットは、フルベストラントによる治療歴(HR:0.679、 95%CI:0.438~1.029)および内臓転移を有する患者(HR:0.665、95%CI:0.607~0.869)を含む、事前に設定されたほとんどのサブグループにおいて観察された。 一方、アジア人(HR:1.091、95%CI:0.456~2.642)およびその他の人種(HR:1.075、95%CI:0.309~3.580)ではみられなかった。ただし、これらのサブグループは例数が少ない(32例、14例)。・副次評価項目であるOS中央値は、未成熟なデータではあるが、ITT集団 (HR:0.751、 95%CI:0.542~1.038、p=0.0821) およびESR1変異を有する患者(HR:0.592、95%CI:0.361~0.958、p=0.0325)においてともにelacestrant群で良好な傾向がみられている。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)で多くみられたのは悪心(35.0% vs.18.8%)、倦怠感(19.0% vs.18.8%)、嘔吐(19.0% vs.8.3%)、食欲不振(14.8% vs.9.2%)、関節痛(14.3%vs.16.2%)。Grade3/4では、悪心(2.5% vs.0.9%)、背部痛(2.5% vs.0.4%)、ALT上昇(2.1% vs.0.4%)がみられた。TRAEによる治療中止はelacestrant群3.4%、標準治療群0.9%で報告され、両群とも治療関連の死亡は発生していない。 Bardia氏は同患者に対するelacestrant単剤療法は新しい標準治療となる可能性があるとし、OSの最終結果は来年以降発表される見通しとした。また、より早期の治療ラインにおける有効性および他の治療薬と組み合わせたときの有効性を評価する必要があるとし、脳転移のある患者を対象に、アベマシクリブと組み合わせたelacestrantの有効性を評価する第II相試験が計画されているとした。

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院外心停止者の持続的自己心拍再開に有効なのは?カルシウムvs.生食/JAMA

 院外心停止の成人患者において、静脈内または骨髄内のカルシウム投与は生理食塩水投与と比較して、自己心拍の持続的再開を改善せず、30日生存率や良好な神経学的アウトカムの達成割合がいずれも有意差はないものの不良な傾向にあることが、デンマーク・Prehospital Emergency Medical ServicesのMikael Fink Vallentin氏らの検討(Calcium for Out-of-Hospital Cardiac Arrest trial)で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2021年11月30日号で報告された。デンマークの無作為化プラセボ対照比較試験 研究グループは、院外心停止患者の自己心拍再開におけるカルシウム投与の有用性の評価を目的に、医師主導の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った(Novo Nordic Foundationなどの助成を受けた)。 この研究は、2020年1月20日~2021年4月15日の期間に、デンマークの行政区の1つであるCentral Denmark Region(人口約130万人)で実施された。対象は、年齢18歳以上、院外で心停止となり、心停止中に少なくとも1回のエピネフリンの投与を受けた患者であり、外傷性心停止や妊婦などは除外された。 被験者は、塩化カルシウム5mmolの静脈内または骨髄内投与を最多で2回行う群、または同様に生理食塩水(塩化ナトリウム9mg/mL、プラセボ)の投与を行う群に無作為に割り付けられた。試験薬の1回目の投与は、エピネフリンの初回投与直後に行われた。 主要アウトカムは持続的な自己心拍再開(自己心拍が得られ、それ以上の胸骨圧迫が必要でない時間が20分以上持続した場合)とされた。主な副次アウトカムは、30日の時点での生存および良好な神経学的アウトカム(修正Rankin尺度スコアが0~3点)を伴う生存などであった。 383例の非盲検データの中間解析の結果により、2021年4月15日、独立データ安全性監視委員会はカルシウム群の有害性の徴候に基づき試験の早期中止を勧告し、これを受けて運営委員会は即座に試験を中止した。主要アウトカム:19% vs.27%、高カルシウム血症も高頻度 391例が解析に含まれ、193例がカルシウム群、198例が生理食塩水群であった。全体の平均年齢は68(SD 14)歳で、114例(29%)が女性だった。発生場所は82%が自宅で、75%が電気ショック非適応リズムの患者であった。 心停止から試験薬投与までの期間中央値は18分(IQR:14~23)で、60%の患者が骨髄内投与を受け、73%は試験薬の投与を2回受けた。フォローアップが不能の患者はなかった。 持続的な自己心拍再開の達成割合は、カルシウム群が19%(37例)と、生理食塩水群の27%(53例)に比べ低かったが、両群間に有意な差は認められなかった(リスク比:0.72[95%信頼区間[CI]:0.49~1.03]、リスク差:-7.6%[95%CI:-16~0.8]、p=0.09)。 30日の時点での生存率は、カルシウム群は5.2%(10例)であり、生理食塩水群の9.1%(18例)より低かったものの、有意差はみられなかった(リスク比:0.57[95%CI:0.27~1.18]、リスク差:-3.9%[95%CI:-9.4~1.3]、p=0.17)。 また、30日時の良好な神経学的アウトカムの達成割合は、カルシウム群が3.6%(7例)、生理食塩水群は7.6%(15例)であった(リスク比:0.48[95%CI:0.20~1.12]、リスク差:-4.0%[95%CI:-8.9~0.7]、p=0.12)。 カルシウム値が測定され、自己心拍再開が達成された患者のうち、カルシウム群では74%(26例)、生理食塩水群では2%(1例)が高カルシウム血症を発現した。 著者は、「これらの結果は、院外心停止の成人患者に対する心停止中のカルシウムの投与を支持しない」とまとめ、「早期に中止された試験は、効果を過大評価する傾向があるとされる。また、主要アウトカムの95%CIの幅の広さを考慮すると、有害性を示唆する点推定値は偶然の結果である可能性もある」と指摘している。

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モノクローナル抗体ianalumab、中等~重症の原発性シェーグレン症候群に有効/Lancet

 原発性シェーグレン症候群(眼球や口腔の乾燥、全身症状、生活の質[QOL]の低下を特徴とする自己免疫疾患)の治療において、B細胞活性化因子(BAFF)受容体を阻害するモノクローナル抗体製剤ianalumab(VAY736)はプラセボと比較して、24週時の疾患活動性が用量依存的に低下し、忍容性や安全性も良好で感染症の増加は認められないことが、英国・バーミンガム大学病院のSimon J. Bowman氏らが実施した「VAY736A2201試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年11月30日号で報告された。19ヵ国の4群を比較する第IIb相用量設定試験 本研究は、中等度~重度の原発性シェーグレン症候群患者におけるianalumabの安全性と有効性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(第IIb相用量設定試験)であり、2017年6月~2018年12月の期間に、19ヵ国56施設で患者登録が行われた(Novartis社の助成を受けた)。 対象は、年齢18~75歳で、疾患活動性が中等度~重度(欧州リウマチ学会[EULAR]のシェーグレン症候群疾患活動性指標[ESSDAI]スコア≧6点)、症状の重症度が患者の許容範囲を超える(EULARシェーグレン症候群患者報告指数[ESSPRI]スコア≧5点)などの基準を満たす患者であった。 被験者は、3つの用量のianalumab(5mg、50mg、300mg)またはプラセボを4週ごとに24週間皮下投与する群に無作為に割り付けられた。患者と試験関係者には治療割り付け情報が知らされなかった。 主要アウトカムは、24週の時点での無作為化の対象となった全患者におけるベースラインから24週までのESSDAIスコアの変化量とされ、モデル化分析を用いた多重比較法で評価された。安全性の評価は、試験薬の投与を少なくとも1回受けたすべての患者で行われた。今後の臨床試験で、300mgが使用可能 190例が登録され、ianalumab 5mg群に47例、同50mg群に47例、同300mg群に47例、プラセボ群に49例が割り付けられた。各群の平均年齢の幅は47.9~52.5歳で、女性が各群の平均で87~98%を占めた。 検討された5つの用量反応モデルのうち4つで、全体的な疾患活動性(ESSDAIスコア)に関して統計学的に有意な用量反応関係が認められた(4つのモデルはいずれもp<0.025、1つのモデルはp=0.060)。 ESSDAIスコアは、3つの用量のianalumab群のすべてで、ベースラインから経時的に低下したが、用量が高いほど効果が大きく、24週時の効果は300mg群で最も優れた。ESSDAIスコアは、300mg群ではベースラインの13.1点から24週時には4.9点に、プラセボ群では13.0点から7.0点に低下した。300mg群における24週時のベースラインからのESSDAIスコアの変化量の、プラセボ群で補正した最小二乗平均は、-1.92点(95%信頼区間[CI]:-4.15~0.32、p=0.092)だった。 有害事象は、ianalumab 300mg群(94%)が、他の用量群(5mg群85%、50mg群83%)やプラセボ群(84%)よりもわずかに多かった。感染症は、ianalumab群(5mg群53%、50mg群47%、300mg群49%)がプラセボ群(57%)よりも少なかった。治療関連の重篤な有害事象は3例で4件認められた(プラセボ群の1例で肺炎、同群の1例で胃腸炎、50mg群の1例で虫垂炎と卵管卵巣膿瘍)。 著者は、「われわれが知る限り、この研究は主要エンドポイントを達成した初めての原発性シェーグレン症候群の大規模無作為化対照比較試験であり、これらの結果は、本症のメカニズムを探る研究が今後も続けられる可能性があることを意味する」と指摘し、「ianalumab 300mgは、今後の臨床試験で安全かつ有効な用量として使用できる」としている。

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初期研修医と看護師はなぜ衝突するのか【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第199回

初期研修医と看護師はなぜ衝突するのかphotoACより使用私はマッチング制度が始まったばかりの頃の研修医なので、いろいろな病院に見学に行きました。医学部4年の頃から見学していたので、10~20施設は行ったと思います。当時、総合診療が熱を帯び始めたときでした。私がマッチした病院は洛和会音羽病院というところですが、当時先進的に総合診療を導入していた病院は、ここ以外にもたくさんありました。そんな病院を見ていると、研修医のレベルが高い研修病院は、研修医と看護師の関係性が少し悪いかも……と思う場面がよくありました。実際、私も研修医時代、看護師と衝突したこともあります。さて、20年近く前の論文になりますが、病棟の看護師長が筆頭著者となった興味深い研究を紹介しましょう。平葉子, 他.研修病棟における初期研修医と看護師の葛藤原因の分析.医学教育.2002;33(6): 443-447.研修医と看護師、ぶっちゃけ病棟でバトったりもしますが、最前線で患者さんをケアする同志でもあります。しかし、この病院では約20年前の総合病棟において、初期研修医と看護師の間に衝突が起こりやすいという問題があったそうです。これを堂々と論文に明記できたのはスゴイですね……。原因を明らかにするため、初期研修医2年目の12人にインタビューを行い、その要因を調べました。当時の病棟では、いわゆる屋根瓦式を採用していました。これは今では当たり前のようになっていますが、指導医が主治医をカバーし、主治医が研修医を指導するというスタイルです。複数の目が行き届くというメリットがありますが、研修医任せになりやすいというデメリットもあります。インタビューの協力が得られた2年目初期研修医12人(男性8人、女性4人)を対象とし、葛藤が起こった具体的状況に加えて、どのように感じたかをヒアリングしました。研修医の置かれた状況としては、(1)右も左もわからない現状、(2)自信がない、(3)思うようにならないことばかり、(4)時間がない・余裕がない、(5)指導医との板挟み、(6)判断ができず迷っている、の6つ、看護師に対する印象としては、(1)最初から喧嘩腰、(2)対応を急がせる、(3)信用されていない(4)プライドを傷つけられる、(5)否定的に扱われる、(6)経験でものを言う、(7)患者の訴えをオーバーに言う、(8)集団で立ちはだかる、(9)社会人としてまともに対応してくれない、(10)できるだけ関わりたくない、という10項目が挙げられました。やべぇ…ネガティブワードしかない…。これはどこの病院でもありがちなことですが、研修医が最前線に立って、なおかつ病棟業務をこなす過程で、「また病棟のルールがわからない研修医が来たよ」という看護師からの目線が突き刺さります。とくにリーダー業務を始めた若手看護師は、イライラするでしょう。研修医は「経験が豊富な看護師に指示を出す」という、謎の現象に遭遇するので、プライドと実力のギャップや、率直な意見交換ができないという窮地に置かれます。これによって、「看護師とはできるだけ関わりたくない」というネガティブな感情が先行してしまい、さらに看護師との関係が悪化するという悪循環を生んでいました。一方、病棟に指導医や主治医が常駐していないことで、看護師も方針について確認する相手が研修医となり、レスポンスが遅いことが病棟での不満を高まらせる結果につながっていました。総合診療に重きを置いた研修病院では、患者さんの安楽よりも診断・治療を優先する傾向にあります。そのことも、看護師の中で不満を募らせていたようです。何が問題で、どう解決していけばよいかということを模索した筆頭著者の看護師長、熱量がすごいですね。私も、過去に衝突した看護師との言い合いを思い出しましたが、患者さんをよくしようとする方向は同じなのに、なぜかそのプロセスで衝突していました。「あれはあれで、若かりし頃の…」と後で結構笑い合えるもので、実は当時よくケンカしていた看護師の多くとは、いまだにSNSで繋がっています(笑)。

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第87回 生物兵器の道理で考えるとぞっとする!?オミクロン株軽症者を軽視するリスク

先週触れた新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のオミクロン株の感染者は、NHKのまとめたデータによると、8日18:30時点で世界53ヵ国・地域で検出され、日本国内でもすでに4例目が確認されている。先週の段階では南アフリカ(以下、南ア)で感染の主流がデルタ株からオミクロン株に移行しつつあったことから、感染力はデルタ株より強いことが示唆されるのではないかと触れたが、その可能性は先週よりも高まっていると言えそうだ。「8割おじさん」こと西浦 博氏(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻教授)が12月8日に開催された厚生労働省の第62回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードに提出した資料によれば、南アのハウテン州での報告をベースにしたオミクロン株の実効再生産数はデルタ株の4.2倍だという。もっともこれはウイルスの素の感染力である基本再生産数ではなく、報告バイアスの可能性はすべて拭い切れていないことや、ワクチン接種歴や年齢などを加味できていないデータであること、南アのワクチン接種率は30%未満でワクチンより抗体価が低い自然感染での免疫獲得者が多い状態だったことなどが研究の限界として存在したことを西浦氏自身が指摘している。とはいえ、これまでデルタ株主流だった世界各国でオミクロン株の市中感染報告が増加している現状を考えれば、やはりデルタ株を超える感染力の強さという可能性はかなり濃厚と言える。その一方で、あくまで現時点の感染者の多くが無症候、軽症で、野生株や既存の変異株と比べて重症化リスクが上昇している可能性が見えていないことはやや好材料である。もっともこれも現時点での推測に過ぎない。ただ、そのためか「全世界からの外国人入国をストップさせている『鎖国政策』はやり過ぎではないか?」との意見がちらほら出ている。しかし、現時点では私はやむを得ないと思っている。この件は前回も簡単には触れたが、そもそも感染者が無症候、軽症だから気にしなくていいというのはやや極論に過ぎる。重症化リスクが高まっていないとしても、従来株ですら20%は重症化するのだから、感染力が強い可能性があるオミクロン株が流入すれば、日本国内でも大量の市中感染を産み出し、その結果、一定数の重症者が発生してしまう。しかも、現在の日本国内は、高齢者や基礎疾患保有者という重症化リスクの高い人の抗体価が低下し、3回目接種のスタンバイ状態となっている時期である。つまり、今が最もブレークスルー感染リスクが高まっている時期とも言える。加えて新型コロナをインフルエンザと同等に扱えるだけの対処手段はまだ乏しく、それは今申請中の新型コロナの経口治療薬であるモルヌピラビルが承認を受けても劇的に変化するとは断言し切れない。結果としてオミクロン株の流入とそれに伴う感染者の増加は、まだ仮縫いの新型コロナ医療体制を再び逼迫させる恐れがある。百歩譲ってオミクロン株感染者がほとんど重症化しないとしても、流入して感染が広がれば問題は多くなると感じている。そう思うのは、私が過去に共著ながら生物兵器テロに関する新書を執筆した際にお会いした、ある生物兵器の専門家が言っていた一言をふと思い出したからでもある。私はこの専門家にお会いした時、次のような質問を投げかけた。「ベネズエラウマ脳炎ウイルスなんて生物兵器として使えるんですか?」ベネズエラウマ脳炎ウイルスは、トガウイルス科アルファウイルス属に属するウイルスで人獣共通感染症を引き起こす。感染力が強く、10~100個のウイルスでも感染が成立し、ヒトでは2~5日間の潜伏期間を経て発熱・頭痛・筋肉痛などのインフルエンザ様症状が起こる。感染者の約1~3%が脳炎を発症し、そうした人の10~20%が死亡する。生物兵器の候補としてよく書籍や文献に登場するのだが、最終的な感染者の致死率は計算上0.1~0.6%と必ずしも高くない。私としては「その程度の致死率の低いウイルスが生物兵器として効果があるのか?」 という意味で、この専門家に質問したのだった。それに対するこの方の答えは次のようなものだった。「そりゃ致死率が高いもののほうが生物兵器としての効果が高いようにも思えますよね? でも必ずしもそうとは言えない。おおむね致死率が高い病原体は、感染力は低い。また、そうした病原体を生物兵器にすると、開発・使用する側もその過程で感染リスクを負う。これに対し、ベネズエラウマ脳炎ウイルスは開発・使用する側のリスクは低い。敵国に使う際の効果は、確かに殺傷能力という意味では低いが、感染力が強いため、一旦放出されれば次から次に敵側の戦闘員が感染してダラダラと発熱の症状が続いて戦闘能力が大幅に奪われる。感染が民間人に及べば、軍事力を底から支える敵国の経済が低迷し、敵国の継戦能力は軍事力と経済力の双方から削がれる。こう考えると実は最も生物兵器としては利用価値があるとも言える」さすがにこの回答には「なるほど」と唸ってしまった。ここで話をオミクロン株に戻そう。まさに感染力が強く重症化しにくい可能性があるオミクロン株は、ベネズエラウマ脳炎ウイルスと通じるものがある。そしてこのコロナ禍を契機に日本社会全体にようやく「風邪も含め、感染症が疑われる時は無理せず休もう」というごく当たり前の概念が定着しつつある。「風邪でも休めないあなたに…」といったCMコピーはもはや非常識と言い切ってもいい社会環境だ。とすると、オミクロン株による感染者がほぼ軽症か無症候だったとしても、感染者が激増すれば社会全体が経済活動の大幅な縮小を強いられることになる。そうなればようやく感染状況が落ち着いて再開されつつある経済への打撃はいかばかりだろうか? 「感染しても軽症だから」という思考は、社会全体が長らく続くコロナ禍で疲弊しすぎた故の副作用なのかもしれないが、SNSを中心にこの手の発言が比較的著名な言論人から出てくることには危惧の念しかないのである。

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医師向けガイドライン改訂に対応した患者ガイドブック2021年版~日本肺学会【肺がんインタビュー】 第72回

第72回 医師向けガイドライン改訂に対応した患者ガイドブック2021年版~日本肺学会出演:岐阜市民病院 診療局長(がんセンター) 日本肺学会患者向けガイドライン小委員会委員長 澤 祥幸氏日本肺学会が2019年に作成した患者向けガイドブック。医師向け診療ガイドラインの改定に伴い、最新の情報を反映した2021年版が発刊された。ボリュームはそのまま、内容を充実させた今回の改訂について、作成委員長の澤 祥幸氏に聞いた。参考患者さんのための肺がんガイドブック 2021年版

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日本人統合失調症患者における抗精神病薬の製剤満足度調査

 藤田医科大学の波多野 正和氏らは、服薬アドヒアランスに影響を及ぼす因子を特定するため、統合失調症患者を対象に処方された抗精神病薬の製剤に関する主観的なアンケート調査を実施した。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2021年11月30日号の報告。DAI-10と製剤満足度との間に中程度の相関 処方された抗精神病薬の製剤に対する患者の満足度および不満度を評価するため、薬に対する構えの評価尺度(DAI-10)を用いた。対象患者は、同一成分、同一製剤の抗精神病薬を1ヵ月以上服用している20~75歳の統合失調症患者とした。 DA-10を用いた抗精神病薬に関する主観的アンケート調査の主な結果は以下のとおり。・アンケートに回答した患者は301例であった。・統合失調症患者に最も処方されている抗精神病薬の製剤は、錠剤(174例、57.8%)であり、次いで持続性注射剤(93例、30.9%)であった。・製剤で、製剤満足度とDAI-10との有意な関係は認められなかった。・持続性注射剤以外の製剤を選択していた患者の半数以上は、製剤は「医師により決定」と回答した。・製剤選択において、「医師との協議により決定」と回答した患者は、「医師により決定」と回答した患者と比較し、満足度(4.11±0.77 vs.3.80±1.00、p=0.0073)やDAI-10スコア(6.20±3.51 vs.4.39±4.56、p<0.001)が有意に高かった。・満足度とDAI-10との間には、中程度の相関が認められた(r=0.48、p<0.001)。 著者らは「すべての患者に対し高い満足度が得られる製剤はないため、個々の好みを薬物療法に反映させる必要がある。製剤を選択するうえで意思決定を共有することは、服薬アドヒアランスの改善に役立つと考えられる」としている。

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TN乳がん1次治療でのペムブロリズマブ、適切なCPSカットオフ値は?(KEYNOTE-355)/SABCS2021

 手術不能な局所再発または転移を有するPD-L1陽性のトリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療において、ペムブロリズマブ+化学療法による治療ベネフィットが期待される患者の定義としてCPS 10以上が適切であることを示唆する、第III相KEYNOTE-355試験のサブグループ解析結果を、スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2021)で発表した。 本試験では、化学療法+ペムブロリズマブが、未治療のPD-L1陽性(CPS 10以上)の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん患者において、化学療法+プラセボと比べ、有意に全生存(OS)および無増悪生存(PFS)を改善したことがすでに報告されている。しかし、CPS 1以上の集団では有意なベネフィットは示されなかった。今回は、CPS 1未満、1~9、10~19、20以上のサブグループに分けてOSとPFSを解析した。・対象:18歳以上の手術不能な局所再発または転移を有するTN乳がん(ECOG PS 0/1)847例・試験群:ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+化学療法(ナブパクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン/カルボプラチンの3種類のうちいずれか)566例・対照群:プラセボ+化学療法 281例・評価項目:[主要評価項目]PD-L1陽性患者(CPS 10以上、1以上)およびITT集団におけるPFSとOS[副次評価項目]奏効率、奏効期間、病勢コントロール率、安全性 主な結果は以下のとおり。・最終解析時点(データカットオフ:2021年6月15日)で、無作為化~データカットオフの期間の中央値は44ヵ月だった。・OSについては、報告済みのハザード比(95%信頼区間)は、CPS 10以上で0.73(0.55~0.95)、CPS 1以上で0.86(0.72~1.04)、ITT集団で0.89(0.76~1.05)だった。今回のサブグループ解析では、CPS 1未満で0.97(0.72~1.32)、1~9で1.09(0.85~1.40)、10~19で0.71(0.46~1.09)、20以上で0.72(0.51~1.01)で、CPS 1~9ではペムブロリズマブ群とプラセボ群で変わらず、10~19と20以上ではペムブロリズマブの追加による治療ベネフィットが同等だった。 ・PFSについては、報告済みのハザード比(95%信頼区間)は、CPS 10以上で0.66(0.50~0.88)、CPS 1以上で0.75(0.62~0.91)、ITT集団で0.82(0.70~0.98)だった。今回のサブグループ解析では、CPS 1未満で1.09(0.78~1.52)、1~9で0.85(0.65~1.11)、10~19で0.70(0.44~1.09)、20以上で0.62(0.44~0.88)だった。

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CKDの透析導入、最適なeGFRは?/BMJ

 進行した慢性腎臓病(CKD)患者において、非常に早期の透析導入は死亡および心血管イベントをわずかだが減少することが示された。オランダ・ライデン大学医療センターのEdouard L. Fu氏らが、進行性CKD患者における透析導入の最適な推算糸球体濾過量(eGFR)を明らかにすることを目的とした観察コホート研究の結果を報告した。検討により、導入参照値と比べた死亡の5年絶対リスク低下は5.1%で、平均1.6ヵ月の死亡の延期に相当するものだったが、透析導入を4年早める必要があることも示された。著者は、「ほとんどの患者にとって、今回の試験で示されたぐらいの減少では、透析期間がより長期化することに伴う負担を上回るものにはならないと思われる」と述べている。BMJ誌2021年11月29日号掲載の報告。透析を開始するeGFRを4~19mL/分/1.73m2の15段階で検討 研究グループは、腎臓専門医に紹介された患者を登録するスウェーデンの全国腎臓登録(National Swedish Renal Registry)を用い、2007年1月1日~2016年12月31日の期間にベースラインのeGFRが10~20mL/分/1.73m2の患者を対象として、2017年6月1日まで追跡調査を行った。 主要評価項目は5年全死因死亡率、副次評価項目は主要有害心血管イベント(MACE:心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)である。無イベント時間バイアス、リード・タイム・バイアス、生存者バイアスを排除して厳格な臨床試験デザインを模倣し、動的周辺構造モデルを用いて、eGFR(mL/分/1.73m2)値4から1単位刻みで19までの、15の透析導入戦略に関して、補正後ハザード比および絶対リスクを推算した(参照値はeGFR6~7)。eGFR15~16で、5年全死因死亡5.1%低下、心血管イベント2.9%低下 進行したCKD患者1万290例(年齢中央値73歳、女性3,739例[36%]、eGFR中央値16.8)において、3,822例が透析を開始し、死亡が4,160例、MACEが2,446例で確認された。 死亡率には放物線型の関連が認められ、eGFR15~16で最も死亡リスクが低かった。eGFR6~7での透析導入と比較して、eGFR15~16での透析導入による死亡の5年絶対リスク低下は5.1%(95%信頼区間[CI]:2.5~6.9)、MACEの同リスク低下は2.9%(0.2%~5.5%)で、ハザード比はそれぞれ0.89(95%CI:0.87~0.92)、0.94(0.91~0.98)であった。 死亡に関する絶対リスク差5.1%は、5年の追跡期間中で平均1.6ヵ月の死亡の延期に相当するものだったが、一方で透析導入は4年早める必要があった。 Initiating Dialysis Early and Late(IDEAL)研究の強化戦略(eGFR10~14 vs.eGFR5~7)とIDEAL研究で達成されたeGFR(eGFR7~10 vs.eGFR5~7)を模倣した場合の全死因死亡のハザード比は、それぞれ0.96(95%CI:0.94~0.99)、0.97(95%CI:0.94~1.00)であり、無作為化試験のIDEAL研究の結果と一致していた。

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ファイザー製コロナワクチン、3回接種でオミクロン株にも効果

 米国・ファイザー社は、12月8日に発表したプレスリリースで、現在拡大が懸念されているオミクロン株に対する同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの効果を調べた研究結果を公表した。それによると、初回接種(2回)では、野生株と比べ、オミクロン株に対する中和抗体力価が大幅な減少を示し、オミクロン株への保護効果が十分ではない可能性があるという。ただ、3回目の追加接種により、従来株と同等の効果が得られることも示された。同社は、より多くの人がまずは初回接種を完遂すると共に、COVID-19拡大防止には追加接種が必要であるとしている。 今回公表したのは予備的な実験データの段階だが、初回接種までの中和抗体力価は、野生株や従来の変異株などに比べ、オミクロン株に対しては有意に減少していたが、3回目の追加接種により、初回接種の25倍まで増強され、従来株並みの高い保護レベルが観察されたという。ファイザー社は、「初回接種によるコロナ重症化予防には引き続き有用だが、追加接種によりオミクロン株も含めたより高い予防効果が得られる可能性がある」とし、各国で進められている追加接種が、引き続きCOVID-19拡大防止に対する最善策であるとの見解を示した。 同社では、追加接種後のオミクロン株に対する中和抗体の持続性などを検討するため、さらにデータ収集を進めることにしている。

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12/11、第63回米国血液学会(ASH)スタート!注目演題は?

 12月11日(現地時間)から第63回米国血液学会(ASH)が米国アトランタとオンラインのハイブリッド形式で開催される。COVID-19の影響で昨年は完全オンライン開催だったが、今年はハイブリッド方式を選択。現地の参加者の交流を促すため、感染対策を行いながらウエルカムレセプションやオピニオンリーダーを囲む少人数セッションなどが企画されている。 既にAbstractが公開されており、Late-breakingには「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するポラツズマブ ベドチンとR-CHP療法併用vs.R-CHOP療法/POLARIX」「初回免疫寛容誘導(ITI)療法に対するrFVIIIFcの有効性」「B細胞非ホジキンリンパ腫2次治療としてのCAR-T細胞tisagenlecleucel vs.標準治療/BELINDA試験」などの演題が選ばれた。 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」ではASHの特設カテゴリーを設置。横浜市立大学の山崎 悦子氏が選定した白血病、国立がん研究センター 東病院の山内 寛彦氏が選定したリンパ腫、群馬大学大学院医学系研究科の半田 寛氏が選定した骨髄腫を中心とした、計25の注目演題をコメント付きで紹介している。登録者向けのオンデマンド配信は2022年2月1日まで視聴可能となっている。

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Dr.増井の心電図ハンティング2 失神・不整脈編

第1回 不整脈心電図のルーチンワーク第2回 P 波が繋がっているから大丈夫?第3回 その心電図はレッドカード?第4回 ルーチンワークの必要性第5回 右脳系心電図第6回 同じ心電図でも目的でアクションが変わる第7回 失神評価に心エコーは必要?第8回 自動測定を信じてもOK?第9回 wide QRSで非循環器医ができること第10回 所見のない失神心電図 大人気の「Dr.増井の心電図ハンティング」の第2弾!失神心電図は非循環器医にとって、ちょっと苦手な心電図。不整脈では見るべきところが多すぎて、確定診断が容易ではないからです。でも、実際のところ、非循環器医が不整脈診断を網羅する必要はありません。マネジメントに必要な情報を読み取り、目の前の患者に対するアクションを決めることができればいいのです。そのためのルーチンワークや鉄則を基に、コツをしっかりとお教えします。番組では12症例の心電図が出てきます。その心電図をあなたが手に取ったと思って、アクションを決めていきましょう。この番組を見た後には失神心電図に自信をもって対応ができるようになるはずです。さあ、心電図ハンティングに出かけましょう!このDVDは中外医学社「心電図ハンター 心電図×非循環器医 2失神・動悸/不整脈編」を映像化したものです。ぜひ書籍を片手に当DVDをご覧ください。書籍はこちら ↓ ↓【心電図ハンター 心電図×非循環器医 2失神・動悸/不整脈編】 第1回 不整脈心電図のルーチンワーク見るべきところが多すぎて、確定診断が容易ではない不整脈の心電図。苦手な人も多いのではないでしょうか。では、どのように見ていくのでしょうか。そうです。実は確定診断にこだわる必要はありません。マネジメントに必要な情報を読み取ればよいのです。そのために、まずは、不整脈心電図に出会ったときに行うべきルーチンワークを確認しましょう。実際の心電図を見ながら、確認していきますので、しっかりと頭に残るはずです。第2回 P 波が繋がっているから大丈夫?今回は、2つの心電図を見ながら解説します。1例目は失神を繰り返す90歳代女性、2例目は買い物中に突然失神した70歳女性の心電図です。 失神心電図では、まずは、増井の鉄則&ルーチンワークで確認していきましょう。 鉄則1はP波とQRSのつながりを評価すること。1例目を研修医は、P波とQRSがつながっていると判断し、洞性徐脈と判断しました。本当にその判断で大丈夫なのでしょうか。洞性徐脈と思ったら、確認すべきことがありますよ。 第3回 その心電図はレッドカード?今回の症例は、84歳女性です。転倒し、大腿骨頸部骨折で手術となりました。研修医が、術前の心電図を確認し、洞性脈(右脚ブロック)と判断し、手術にゴーサインを出しました。ところが…。 今回は循環器医にコンサルトすべき術前心電図について解説します。症状があればコンサルトするのか(イエローカード)、なくてもコンサルトするのか(レッドカード)。しっかりと確認しましょう。第4回 ルーチンワークの必要性70歳男性 頭部外傷でCTは正常、受傷時の記憶がないということで、失神の可能性のある患者の心電図です。この心電図から読み取れたのは「洞不全症候群」。洞不全症候群であればペースメーカーの適応や治療は、症状のあるなしで判断しなければなりません。 この患者は失神があったのかないのか、受傷時の病歴がはっきりしません。こんなときどうすればいいのでしょうか! そう、困ったときこそ、ルーチンワークです!今回もルーチンワークを実施することで、診断を導き出すことができたのです。第5回 右脳系心電図今回のテーマは「右脳系」心電図。さて、右脳系って? 心原性失神の中には。パターン認識で診断するものがいくつかあります。これらのパターン認識心電図をハンティングするには、 心電図全体を見て、あるイメージ波形の存在にピンとくるかどうかが勝負なのです!そう、右脳(イメージ脳)をフル活用して診断します。その右脳系心電図は診断学のSystem1(直観的思考)とも言い換えることができます。 さて、その直感的な心電図にはどのようなものがあるのか、どこに気付けば直観的に判断できるのか?しっかりと確認してみましょう!第6回 同じ心電図でも目的でアクションが変わる今回のテーマは「J波症候群」。J波症候群は、早期再分極症候群とも呼ばれ、心臓突然死と関連性があるとされています。 さて、そのJ波症候群と早期再分極の違いはいったい何なのでしょうか。 まず1つは、微妙に違う波形。この波形パターンを覚えておきましょう。そして、もう1つは、主訴。何のためにその心電図を取ったかが判別をする決め手にもなります。第7回 失神評価に心エコーは必要?今回は、16歳女性の失神心電図です。そう、若い患者さんの失神といえば、家族歴を聞くことが重要です。皆さん、どのような聞いていますか?聞き方によっては重要な情報を引き出せないこともあるので、ポイントを整理してみましょう。そして、失神で心エコーを実施するべきなのでしょうか?また、そのタイミングは?増井伸高先生が解説します。第8回 自動測定を信じてもOK?心電図の「自動解析」を使っていますか?実は虚血の判断に関しては、再現性が乏しかったり、正確でなかったりでオススメしません。ですが、忙しい臨床の現場で役立つ「自動解析」の使い方があるんです!確認してみましょう。そして、重要なのは、「自動解析」でスピーディーに判断した後のアクション。それが、あなたの臨床の質につながります。第9回 wide QRSで非循環器医ができること心電図を見てWide QRSとNarrow QRSの判断をし、そして、Wide QRSでは、すぐに循環器医をコールする。これは非循環器医にとって重要なことです。しかし、それだけではなく、非循環器医としてやるべきことがあります!しっかりと確認していきましょう。第10回 所見のない失神心電図Dr.増井の心電図ハンティング2 失神・不整脈編もいよいよ最終回!今回はこのシリーズの第1回~第9回で学んだ心電図のいずれにも該当する所見がない心電図が登場。さあ、あなたならどう判断しますか?初回心電図で心原性と診断できるのはわずか5%未満。心電図以外でも方法があるのか?しっかりと確認してください!

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サクビトリル・バルサルタン:ステージBにエビデンスが出なかったけど、日本だけはステージAから使えてしまう矛盾(解説:絹川弘一郎氏)

 サクビトリル・バルサルタンはとても良い心不全治療薬である。もう少し正確に言うと素晴らしい軽症心不全治療薬である。Paradigm-HFやLifeのデータを見てもNYHA 4度には効かないし、自分の臨床経験でもその通りである。サクビトリル・バルサルタンは重症テスターともいえ、この薬剤に忍容性がない(=血圧が下がりすぎる、ないしは腎機能が悪化する)場合、NYHA 4度と認定しても構わないのではとすら、最近思う。しかし、血行動態が安定しているNYHA 2度のHFrEFには実によく効くし、リバースリモデリングも大いに期待できる。 閑話休題(それはさておき)、Paradise-MIという試験が発表されて、急性心筋梗塞(AMI)後LVEFが低下したか(40%以下)、または肺うっ血所見のある患者に対してramipril 10mg/dayと比較してサクビトリル・バルサルタン400mg/dayが心血管死亡や心不全入院を減らすかどうかが検証された。 もともと、HFrEFの治療というのはAMI後の遠心性リモデリングから心不全に至る道筋における神経体液性因子の悪循環を阻止するという動物実験モデルがそのベーシックリサーチ的枠組みであり、その視点でいえば、HFrEFの予後を改善する薬剤はすべからくAMI後のリモデリング抑制(時にリバースリモデリングも)とイベント抑制がセットになるべきである。事実、ACE阻害薬の有効性はEFが低下したAMI症例においてSAVE試験(カプトプリル)で実証されており、その後TRACE試験(トランドラプリル)でも追試されている。EFは問わずAMI全般でACE阻害薬にリモデリング抑制とイベント抑制があるというGISSI-3試験(リシノプリル)もあるし、AIRE試験(ramipril)ではEFは問わず心不全を合併したAMI症例での有効性を示している。ARNIはその機序から考えても(例えば、カルペリチドのAMI直後の投与がイベントを減らすというJ-WINDのデータなどから)、ACE阻害薬以上のイベント抑制効果を急性心筋梗塞後の患者でもたらすと想像していた。 しかし、このParadise-MIの結果は否定的である。確かに全体のハザード比[HR]が0.90でカプランマイヤー曲線もずっとramipril群より下にあるし、PCIをしたAMIとか、血圧低めの患者とか、Killip II度以上の急性心不全患者とか、効きそうなサブグループもあるが、やはり有意差なしは有意差なしである。ramiprilは日本では導入されていなくて、使用経験はないが、評判では“最強の”ACE阻害薬と言われている。何をもって最強というのかよくわからんけど(おそらくは降圧効果であろう)、カプトプリルが“最弱の”ACE阻害薬でその対極に位置する。ARBにも“最弱”ロサルタンがあるし、“最強”ARBはカンデサルタンかテルミサルタンか。 この強弱については歴史的に臨床試験の結果である程度の推測がされている。一番弱いはずのカプトプリルにロサルタンはOPTIMAAL試験で勝てないばかりか負けかかっており(HR:1.15、95%信頼区間[CI]:0.99~1.28)、それこそRAS阻害薬中の最弱という位置付けである。そしてVALIANT試験でカプトプリルにようやく引き分けたバルサルタンはその次に弱い感じである。 On Target試験というテルミサルタンとramiprilをハイリスク高血圧患者に対して投与してイベント比較をした試験もあって、そこでは引き分けなので(厳密にはAMI後のEF低下例ではないので引用する意味はないかもしれないが)、イメージとしてARBとACE阻害薬の最強対決が引き分けたみたいに思っている。そこで、日本にramiprilがない上で、通常AMI後にはramiprilより少し弱そうなエナラプリルを投与するのであるから、そこをARNIにしたら血圧の忍容性が良ければもう少しメリットがあるかもしれないという想像は可能である。 とはいえ、テルミサルタンが強かろうと、そもそもOPTIMAALやValiantのせいでAMI後にARBは推奨されてないから強いARB入れましょうともならない。今回ARNIの相手に最強ACE阻害薬を選んだのが間違いというか、やや調子に乗ったというか、エナラプリル相手が無難であったと思われる。 いずれにしても、もうこれで再戦はないので、心筋梗塞後のステージBにおいてACE阻害薬をARNIに切り替える、または最初から投与することを支持するハードなエビデンスはありません、という状況がずっと続く。ただし、この試験では“最初の”心不全増悪と心血管死亡を主要エンドポイントとしており、差は認めなかったけれども、ごく最近になって心不全による“総入院回数”と心血管死をエンドポイントに設定するとARNIが入院回数を減らしたという論文が出た。さらにParadise-MIのプロトコル論文によるとエコーデータをサブ解析用に取得しているようなので、左室リモデリングの点でARNIの方がramiprilより優れているとなれば、やっぱり効果はあるかもと言い出すかもしれない。しかし、ここにも小規模ながら最近negativeなデータがあって、心筋梗塞後3ヵ月以上経過した(しかし無症状のEF40%以下)患者に対するMRIで検討した左室リモデリングやNT-proBNPに対する効果はバルサルタン320mgとの比較で差がないとなっており、相手を選べば勝てるともいえない(これはHFrEFの一歩手前でSOLVD-preventionと同じような患者層であり、HFrEFにおいてARNIによるプラスアルファのリバースリモデリングが実体験上ある中でむしろ差がないことはとても意外である)。とはいえ、日本は世界で唯一高血圧に対する適応症をARNIが取得しており、ステージAから投与可能となっているから、ステージBのエビデンスなどあってもなくてもどっちでも一緒である。

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AIに小説を書かせてみた【Dr. 中島の 新・徒然草】(404)

四百四の段 AIに小説を書かせてみた2017年に、本欄(百七十の段 人工知能が小説を書く日)でAIが小説を書くとどうなるかについて述べました。内容ですが、公立はこだて未来大学の松原 仁教授とお弟子さんたちが、AIに小説を書かせて星新一賞に応募する、というものです。実際に応募した小説を読んでみたのですが、「入賞には程遠いなあ」というのが正直な感想でした。それから4年あまりの歳月が流れた2021年、ついに実用的な小説執筆AIが登場したのです。その名も”AIのべりすと”。文庫本174万冊分のコーパスを読み込ませたAIで、ユーザーが冒頭の1パラグラフを入力すると、勝手にストーリーを作り出してしまうというもの。たぶん、1文を入力するだけでも自動的に小説を書いてくれるのでしょう。このAIを開発したのはStaと名乗るの日本人の若者です。たった1人で作って、運営もしているのだからすごいですね。ものは試し。早速、件のウェブサイトに1パラグラフを入力して、小説を作ってみました。今日、俺は大変な目に遭った。生きるか死ぬかという事件に巻き込まれたのだ。でもこうして生きている。事件に巻き込まれたのは不運だが、生きているということは幸運なのかもしれない。こんな感じですね。この後はどうにでも続ける事が可能ですが、果たしてAIはどういうストーリーを持ってくるのか?「それにしても……」と俺が呟くように言うと、前を歩いていた真希乃が立ち止まって振り返った。彼女は無言で首を傾げる。そして言った。「どうしたんですか?」真希乃には不思議な力があるような気がする。それはただのずいぶん変なところで区切られてしまいました。とはいえ、いきなり”真希乃さん”の登場です。創作活動で案外難しいのが登場人物のネーミングですが、あまり奇を衒っていないわりには、令和の現代でも違和感のない絶妙の名前です。ちょっと感心しました。さらに続きを書かせます。勘だけども……。そう思わせる何かがあった。今だってそうだ。彼女が振り向かなかったら、俺は自分の気持ちに気付かないままだっただろうし、気付いたとしても素直になれなかったはずだ。だから彼女には不思議な力があると思うんだ。彼女の瞳を見つめながらそんなことを思った。その瞬間、これはちょっと僕のスタイルじゃないですね。動きが全くないし、「自分の気持ち」とか「不思議な力」とか、あまり自分の話には出てきません。さらに続きを……。「あ」と言ってしまった。言ってから自分で驚いた。どうしてこんな言葉が出てしまったのか分からない。しかし出てしまったものは仕方ない。もう引き返せない。なので開き直ることにした。「えっとさ……あの……ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけどいいかな?……いや別に大したことじゃないんだよ。いや、ちょっと。話を進めてください! 「引き返せない」とか「開き直る」とか、たった今、生きるか死ぬかの目に遭った人間の考えることでもないと思うんですけど。さらに進めます。本当に大したことではないんだけどね。なんかこう言いたくなってしまって……ごめんなさい!今のなし!」一気にまくしたてるように喋ると、恥ずかしさが込み上げてきて思わず目を逸らす。顔が熱くなる。穴があれば入りたい気分だ。「なんですかそれ」真希また変なところで切れてしまいました。それにしても話が進みません。乃は可笑しそうにクスリと笑うと再び歩き始めた。彼女の背中を見ながら思う。やはりこの子と一緒にいる時が一番落ち着くなぁと。「それで先輩の話っていうのは何でしょうか?」立ち止まったままの真希乃に追いつくと、話を聞いてくれるらしい。真希乃、頼む! そのウジウジ男を何とかしてくれ! これ以上、退屈な話を読む気がなくなったのでやめるぞ、僕は。というわけで、日本語として違和感はないものの、なかなか前に進まない話になってしまいました。この「AIのべりすと」はいろいろなパラメーターを調整することができるみたいなので、もう少し動きのある話も作ることができるのではないかと思います。思うに、作っている話が行き詰まったときに助けを求める相手として、この「AIのべりすと」はいいのかもしれません。とりあえず何かAIに書かせて「ダメだダメだダメだ! ちょっと、そこどいてくれないかな。もう後はオレが書くから!」とユーザーに言わせる、出来の悪いアシスタントみたいなものですかね。でも”真希乃”という絶妙な名前をもたらしてくれたわけだから、部分的には役に立ちそう。何より、昔の人工知能小説よりも遥かに進歩しているのは確かです。話の進むのが遅いとはいえ、画期的な「AIのべりすと」。もう少し使いこなすことができたら、皆さんに新作小説を披露したいと思います。少々、お時間をください。最後に1句冬ごもり ともに執筆 AIと

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医師が選ぶ「2021年の漢字」TOP5を発表!【CareNet.com会員アンケート】

毎年12月に発表される「今年の漢字」(主催:日本漢字能力検定協会)に先立ち、CareNet.com会員の先生方にも今年の漢字を選んでいただきました! 皆さんは、今年1年の世相を漢字1文字で表すとしたら、何を思い浮かべますか?それでは、医師に選ばれた「2021年の漢字」TOP5を発表します。イラスト内の漢字は、日本習字高等師範免許を持つケアネット社員による書き下ろしです!第1位「禍」第1位は、第2位と倍の差をつけた「禍」。2021年も、昨年に続き新型コロナウイルス感染症の影響が色濃い1年でした。医療現場にとっての第5波は、東京オリンピックよりも大きいインパクトだったようです。来年こそは、平穏な日常を取り戻したいですね。「禍」を選んだ理由(コメント抜粋)コロナ禍という一言に尽きると思う。(60代 整形外科/大阪)コロナ第5波が印象に残っているから。(30代 消化器内科/東京)まだまだコロナの影響が根強いため。(40代 内科/福岡)コロナに巻き込まれ、国も自治体も、個人も人生がかき回された1年だった。(30代 心臓血管外科/大分)コロナによる医療崩壊や度重なる自然災害など禍が絶えない年でした。(50代 泌尿器科/岩手)第2位「輪」第2位にランクインした「輪」は、1年遅れで開催された東京オリンピック・パラリンピックを連想させます。五輪の「輪」だけでなく、世界や人とのつながりを感じたという趣旨のコメントも多数寄せられました。開催には賛否両論ありましたが、無事に閉会でき安堵した方も多かったのではないでしょうか。同じく五輪から連想される「金」や「五」と答えた方もいらっしゃいました。 「輪」を選んだ理由(コメント抜粋)五輪があったとともに、「人の輪」を再認識したから。(30代 糖尿病・代謝・内分泌内科/京都)オリンピック。ワクチン接種が世界各国で行われており世界の輪を感じたから。(30代 精神科/茨城)諸外国と比較しまずまずの感染水準で東京オリンピック、パラリンピックを遂行できたため。記念すべきイベントだったと思います。(30代 耳鼻咽喉科/東京)激動の時代だったと思うがそこからの回復、復興をしている皆の協力をもっての輪、オリンピックの輪。(40代 麻酔科/静岡)■第3位「耐」第3位は「耐」でした。長らく続いた緊急事態宣言による大型商業施設や飲食店の休業、移動制限など、全国民が我慢を強いられた1年でした。医療従事者はさらに第5波への対応やワクチン接種業務などもあり、耐えに耐え抜いた年だったことと思います。1年間本当にお疲れさまでした。 「耐」を選んだ理由(コメント抜粋)2020年に続き、コロナウイルスのために耐える1年だった。(50代 内科/茨城)なかなか収束しない感染状況、自粛生活に耐え、勤務先でも急な退職が相次ぎ、業務増加に耐え…と耐える1年だった。(40代 精神科/熊本)生活、仕事のさまざまな局面で自粛を求められ、耐える一年であったから。(40代 消化器内科/茨城)第4位「忍」第4位の「忍」は、コメントにもあるように、「耐え忍んだから」という理由で選んだ方が多かったようです。とくに医療従事者の皆さんは我慢を強いられる場面も少なくなかったことでしょう。新たな変異株が現れ、先行きが不透明な状況ではありますが、年末年始は少しでも気の休まる時間が取れるとよいです。 「忍」を選んだ理由(コメント抜粋)コロナで国民みんなが耐え忍んだ年だから。(40代 内科/新潟)県外への移動禁止、3密回避など、我慢の一年だったから。(30代 その他診療科/静岡)コロナ禍も2年目となり、オリンピックや選挙などもあったが、大きな混乱もなくさまざまな社会活動を行えるようになっているのは、大勢の人々の忍耐力によるものだったと思う。(50代 麻酔科/兵庫)第5位「乱」第5位は、過去にも何度か登場している「乱」でした。コロナによる世の中や生活の「混乱」を連想した方が多かったようです。来年こそは、落ち着いた気持ちで過ごしたいものですね。同様の理由で「混」を選んだ方もいらっしゃいました。 「乱」を選んだ理由(コメント抜粋)コロナ、政治などいろいろなところで混乱があったから。(30代 泌尿器科/神奈川)新型コロナですべてが乱されたから。(50代 内科/埼玉)自分の生活が目まぐるしく変化して乱れた。(40代 呼吸器内科/大阪)これまで未経験な事態が重なった。(40代 循環器内科/東京)アンケート概要アンケート名『2021年振り返り企画!今年の漢字と印象に残ったオリパラ選手をお聞かせください』実施日   2021年11月15日~21日調査方法  インターネット対象    CareNet.com会員医師有効回答数 1,059件

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多くの医師が必要な「緩和ケア」、効率的に学ぶならこの動画!【非専門医のための緩和ケアTips】第17回

第17回 多くの医師が必要な「緩和ケア」、効率的に学ぶならこの動画!今日の質問私のクリニックでは高齢者が多く、自宅や施設への訪問診療も増えてきました。オピオイドなどの薬の使い方だけでなく、コミュニケーションや多職種アプローチなど、幅広く勉強する必要性を感じます。本などで勉強するべきなのでしょうが、忙しさが言い訳になってなかなか進みません。何か良い方法はないでしょうか?忙しい臨床業務の合間で勉強するのって、本当に大変ですよね。学生時代の「勉強し放題」の環境は二度と戻ってきません。失ってから気付く時間の大切さ…。でも打ちひしがれている時間はありません。過去を悔やまず、今を生きましょう(大げさ)。新しい医学領域である「緩和ケア」。多くの医師が関わる分野であるにもかかわらず、体系立てて学んだことのある方は限られています。若手や開業医の方にお勧めしたい、コスパの良い学習方法を紹介します。さまざまな学び方がある中で、近年はオンデマンド動画や音声でのインプット手段が増えています。とくに他のことをしながらでも活用できる「オーディオブック」は私も重宝しています。緩和ケア分野で最も会員数の多い学術団体に日本緩和医療学会があります。2021年11月1日時点で、1万2,177名の会員がいます。日本緩和医療学会では緩和ケアの教育機会の提供を目的としたセミナーが定期的に開催されています。その中の「教育セミナー」は緩和医療に関する能力の向上と生涯学習を目的に年2回開催され、学会員でなくても受講することができます。以前は各地で開催されていましたが、現在はオンライン開催となっており、費用は1回6,000円(非会員の場合)です。1回のセミナーで45分程度の講演が7本公開されます。執筆時点で直近となる「第31回教育セミナー」の内容は以下の通りでした。1)がん患者の不安・抑うつ・不眠2)緩和ケア病棟における臨床宗教師の活動3)がんゲノム医療における遺伝カウンセリング4)緩和医療における法的・倫理的問題へのアプロー5)ポリファーマシーとの上手な付き合い方6)難渋する痛み―私たちは評価者たりうるのか7)慢性呼吸器疾患の緩和ケアこうしてみると緩和ケアに関してかなり幅広い話題を取り扱っていることがおわかりいただけると思います。緩和ケアを深く学びたい方は、ぜひ学会員になりましょう。その理由は、会員は教育セミナーのアーカイブ動画を見ることができるからです! 私はお昼休憩に、食事をしながらこのアーカイブを見ています。時間的にも45分なのでちょうどいいんですよね。勉強のために新たな時間を捻出するのが難しい方も多いはずですが、こうした「ながら勉強」をうまく活用するのは、1つの方法だと思います。学会員になると年会費が必要ですが、緩和ケアの本を3、4冊買って自分で勉強することを思えば、意外とお得という考え方もできるかと思います。次回の教育セミナーは2022年1月30日(日)に開催予定です。オンラインで開催されますので、まだ参加したことのない方はぜひお試しください。今回のTips今回のTips非専門医が効率的に緩和ケアを学ぶには、日本緩和医療学会の「教育セミナー」がお勧め!

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ドイツで産んでみた(3) ドイツの育児制度【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第8回

予定より1ヵ月早く出産切迫早産を乗り切り、36週で双子の女の子が誕生しました(緊急カイザーでした。ドイツでは“Kaiserschnitt”[カイザーシュニット]と言います)。NICUには10日ほど滞在し、無事に退院することができました。生後10分の娘2人とスリーショット子供が産まれた! と言うことを職場に伝えたら、いつもよくしてくれる医事課のおばさんから電話がかかってきました。「“Elternzeit”の申請と、“Elterngeld”の申請はちゃんとできてる? 忘れずに申請しなさい!」とのことでした。“Eltern”はドイツ語で「親」と言う意味です。“Zeit”は「時間」、“Geld”は「お金」です。直訳すると「両親の時間」「両親のお金」、ざっくり言うと「育休」と「両親手当」と言ったところでしょうか。そう言う制度があるのは知っていたのですが…。出産予定日が1ヵ月先だったので、正直あんまり調べてなくて…慌ててネットで調べました。日本も見習って欲しい手厚いドイツの出産育児制度ドイツは両親のどちらも育休を取る権利があります。最大で3年だったかな? 申請すれば必ず取れます。まとめて取らなくてもよい制度です。子供が3歳になるまで、気が向いたときに親はいつでも取れるという、素晴らしいシステムです。育休の後は、育休前のポジションが法律で保証されています。ちなみにその間の給料については、父母のうちの「働く側の親」に関して2ヵ月間は支払われます。「育児に専念する側の親」はもっと長い期間支払われるそうです(うちの奥様は専業主婦だったので請求できなかったんです…)。そして、それとは別に子供1人に対し、ベーシックインカムが支払われます。一人当たり月に200ユーロ(約2万5,000円)が18歳まで支払われます。オムツは安くて病院もタダ。とにかくドイツは育児に費用がかからない国なので、子供ができると黒字になるようにできています。休みも取れて、お金も儲かる。私の同僚は子供ができたときに「休みが取れる!」と言ってガッツポーズをしていました。ドイツも少子化が大きな社会問題となっていますので、国が非常に明解な対策を取っていることがわかります。

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