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日本人男性、認知機能と関連する肥満指標は?

 地域在住の日本人中高年男性において、さまざまな肥満指標と認知機能との関連を調査した結果、腹部の内臓脂肪面積/皮下脂肪面積比(VSR)が低いと認知機能が低いことが示された。滋賀医科大学の松野 悟之氏らがPLoS One誌2025年10月23日号で報告した。 これまでの研究では、内臓脂肪組織が大きい人は認知症リスクが高く、内臓脂肪組織が認知機能低下と関連していたという報告がある一方、内臓脂肪組織と認知機能の関係はなかったという報告もあり一貫していない。この横断研究では、滋賀県草津市在住の40~79歳の日本人男性を対象とした滋賀動脈硬化疫学研究(Shiga Epidemiological Study of Subclinical Atherosclerosis)に参加した853人のうち、Cognitive Abilities Screening Instrument(CASI)に回答し、CTで腹部の内臓脂肪面積と皮下脂肪面積を測定した776人のデータを解析した。参加者をVSRの四分位で分け、共分散分析を用いて各四分位群のCASI合計スコアおよび各ドメインスコアの粗平均値および調整平均値を潜在的交絡因子を調整して算出した。 主な結果は以下のとおり。・776人の平均年齢は68.4歳であった。・BMI、内臓脂肪面積、皮下脂肪面積の四分位群間でCASI合計スコアに有意差は認められなかったが、多変量調整モデルでは、VSRが最も低い第1四分位群(Q1)の参加者のCASI合計スコアの平均(89.5)は、第3四分位群(Q3)の参加者の平均(90.9)より有意に低く、低いVSRが低い認知機能と独立して関連していた。 著者らは「本研究の結果は、比較的肥満度の低い日本人男性においては、内臓脂肪組織と皮下脂肪組織を個別に評価するのではなく、VSRに注目する必要があることを示唆する」と結論している。

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鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎、テゼペルマブの日本人データ(WAYPOINT)/日本アレルギー学会

 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)に対し、生物学的製剤の適応拡大が進んでいるが、生物学的製剤使用患者の約40%は全身性ステロイド薬を用いていたという報告があるなど、依然としてコントロール不十分な患者が存在する。そこで、抗TSLP抗体薬のテゼペルマブのCRSwNPに対する有用性が検討され、国際共同第III相試験「WAYPOINT試験」において、テゼペルマブは鼻茸スコア(NPS)と鼻閉重症度スコア(NCS)を有意に改善したことが、NEJM誌ですでに報告されている1)。本試験の結果を受け、テゼペルマブは米国およびEUにおいて2025年10月にCRSwNPに対する適応追加承認を取得した。 そこで、WAYPOINT試験の日本人集団の解析結果について、櫻井 大樹氏(山梨大学大学院総合研究部医学域 耳鼻咽喉科・頭頸部外科講座)が第74回日本アレルギー学会学術大会(10月24~26日)で発表した。本解析の結果、日本人集団においてもテゼペルマブの有効性・安全性は全体集団と一貫していたことが示された。試験デザイン:国際共同第III相無作為化二重盲検比較試験対象:既存治療でコントロール不十分(NPS 5以上、各鼻腔のスコア2以上)の18歳以上のCRSwNP患者408例(日本人33例)試験群(テゼペルマブ群):テゼペルマブ210mgを4週に1回皮下投与+鼻噴霧用ステロイド薬※ 203例(日本人17例)対照群(プラセボ群):プラセボ+鼻噴霧用ステロイド薬※ 205例(日本人16例)評価項目:[共主要評価項目]投与52週時のNPSのベースラインからの変化量、投与52週時のNCSのベースラインからの変化量[副次評価項目]鼻茸に対する手術決定/全身性ステロイド薬投与までの期間、嗅覚障害重症度スコア、22項目の副鼻腔に関する評価質問票(SNOT-22)合計スコア、LMKスコア(副鼻腔混濁度の指標)、全症状スコア(TSS)、喘息合併患者における気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)など※:日本人集団では併用を必須としない 日本人集団における主な結果は以下のとおり。・日本人集団の患者背景は、性別を除いて両群間でバランスがとれていた。日本人集団は65歳以上の割合が多い(テゼペルマブ群23.5%、プラセボ群25.0%)、BMI(kg/m2)が低い(25.8、25.4)、手術歴ありの割合が少ない(52.9%、56.3%)、総IgE(IU/mL)が高い(260.8、362.6)、アレルギー性鼻炎の合併が多い(29.4%、37.5%)などの特徴があった。・ベースライン時のNPS(平均値±標準偏差)は、テゼペルマブ群6.2±1.0、プラセボ群6.5±1.3であった。同様に、NCSはそれぞれ2.5±0.6、2.5±0.5であった。・NPSの改善は初回評価時点(投与4週時)から認められ、投与52週時のNPSのベースラインからの変化量(平均値)は、テゼペルマブ群-2.30(全体集団:-2.46)、プラセボ群-1.24(同:-0.38)であった(群間差[最小二乗平均値]:-1.063、95%信頼区間[CI]:-2.315~0.190)。・投与52週時のNCSのベースラインからの変化量(平均値)は、テゼペルマブ群-1.63(全体集団:-1.74)、プラセボ群-1.08(同:-0.70)であった(群間差[最小二乗平均値]:-0.548、95%CI:-1.097~0.002)。・日本人集団においても、テゼペルマブ群はプラセボ群と比較して、嗅覚障害重症度スコア、SNOT-22合計スコア、LMKスコア、TSSが改善していた。各スコアの投与52週時のベースラインからの変化量の群間差(95%CI)は以下のとおり。 嗅覚障害重症度スコア:-0.652(-1.176~-0.128) SNOT-22合計スコア:-20.300(-36.152~-4.448) LMKスコア:-5.524(-7.444~-3.604) TSS:-3.512(-7.040~0.015)・日本人集団では、テゼペルマブ群で手術決定/全身性ステロイド薬投与に至った患者は0例であった(プラセボ群は2例)。・投与52週時の喘息合併患者の気管支拡張薬投与前のFEV1のベースライン時からの変化量(平均値±標準偏差)は、テゼペルマブ群369±544mL、プラセボ群-57±197mLであった。同様に、6項目の喘息コントロール質問票(ACQ-6)スコアの変化量は、それぞれ-0.94±1.415、-0.46±1.172であった。・有害事象はテゼペルマブ群58.8%、プラセボ群68.8%に発現した。両群とも投与中止に至った有害事象や死亡に至った有害事象は認められなかった。 本結果について、櫻井氏は「WAYPOINT試験で得られた日本人集団の結果は、日本人CRSwNP患者におけるテゼペルマブの良好なベネフィット・リスクプロファイルを支持するものであった」とまとめた。

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がんと心房細動、合併メカニズムと臨床転帰/日本腫瘍循環器学会

 がん患者では心房細動(AF)が高率に発症する。がん患者の生命予後が改善していく中、その病態解明と適切な管理は喫緊の課題となっている。第8回日本腫瘍循環器学会学術集会では、がん患者におけるAFの発症メカニズムおよび活動性がん合併AF患者の管理について最新の大規模臨床研究の知見も含め紹介された。がん患者におけるAFの発症メカニズム 東京科学大学の笹野 哲郎氏はがん患者におけるAF発症について、がん治療およびがん自体との関連を紹介した。 肺がんや食道がんに対する心臓近傍への手術や放射線照射では、術後炎症や心筋の線維化がAF発症と関連している。AF発症が高率な薬剤としてドキソルビシンなどのアントラサイクリン系薬剤やイブルチニブなどのBTK阻害薬が代表的である。これらの抗がん剤は心筋細胞の脱落や線維化など構造的な変化と電気生理的な変化によってAFを発症する。 また、腫瘍細胞の直接浸潤は催不整脈性を有し、AF発症の原因となる。これには腫瘍によるギャップ結合チャネルの低下や心房の線維化によるAF誘発の可能性が示唆されている。しかし、発症メカニズムについては未解明な部分も多い。大規模レジストリで明らかになったAF患者へのがん合併の影響 東邦大学大学院医学研究科の池田 隆徳氏は、全国的に実施された高齢者の心房細動のANAFIE(All Nippon AF in Elderly)レジストリのサブスタディとして、活動性がんの合併がAF患者の血栓塞栓症や出血性イベントおよび死亡に与える影響を発表した。 ANAFIEレジストリに登録された3万例を超える高齢患者のうち11%に活動性がんの合併が確認された。非がん群と比較してがん群ではCHADS2スコアおよびHAS-BLEDスコアが高く、ハイリスク例が多かった。経口抗凝固薬(OAC)の投与実態を見ると、がん群においてDOACの使用率が高いことが明らかになった。 臨床転帰を見ると、がん群と非がん群における有効性イベント(脳卒中、全身性塞栓症)の発現率は同程度であったが、安全性イベント(大出血、頭蓋内出血、全死亡、ネットクリニカルアウトカム)はがん群で高率であった。OACの投与は非がん群、がん群ともに7割がDOACであった。DOACとワルファリンの臨床イベントを比較すると、非がん群ではDOACのワルファリンに対し優位性が認められた。一方、がん群ではDOACのワルファリンに対する優位性は認められなかった。

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境界性パーソナリティ障害患者における摂食障害の有病率は?

 フランス・Universite Bourgogne EuropeのTheo Paudex氏らは、境界性パーソナリティ障害(BPD)患者における摂食障害の有病率を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Psychology & Psychotherapy誌2025年9〜10月号の報告。 PubMed/MEDLINE、PsycINFO、Web of Science よりBPD患者サンプルにおける1つ以上の摂食障害(ED)の有病率を評価した論文をシステマティックに検索した。バイアスリスクは、有病率データを報告する研究のためのジョアンナ・ブリッグス研究所(JBI)チェックリストを用いて推定し、ランダム効果メタ解析モデルを用いて評価した。本研究は、PRISMA 2020ステートメントに基づき実施した。 主な結果は以下のとおり。・合計34件の論文を解析に含めた。そのうち20件(4,107例)は区別なくEDに関する報告であり、神経性やせ症(AN)、神経性過食症(BN)、過食性障害(BED)、特定不能の摂食障害(EDNOS)に関する報告はそれぞれ20件(3,901例)、20件(4,369例)、7件(766例)、6件(1,773例)であった。・BPDにおけるEDの全体的な有病率は29.7%(95%信頼区間[CI]:21.6〜38.4)と推定された。・AN、BN、BED、EDNOSの頻度はそれぞれ9.98%(95%CI:5.6〜15.3)、16.3%(12.1〜21.1)、16.3%(6.0〜30.0)、18.8%(10.6〜28.6)と推定された。・全体的なバイアスリスクは中等度であり、出版バイアスは認められず、エビデンスの確実性は低かった。 著者らは「本研究により、BPD患者ではEDおよびそのサブタイプの有病率が高いことが明らかとなった。この結果は、BPD患者におけるこれら併存疾患の決定因子を探るためのベースとなる可能性がある」と結論付けている。

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HER2陽性進行乳がんの1次治療、T-DXd+ペルツズマブvs.THP/NEJM

 HER2陽性の進行または転移を有する乳がんの1次治療として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)+ペルツズマブの併用療法は、標準治療のタキサン+トラスツズマブ+ペルツズマブ(THP)併用療法と比べて進行または死亡のリスクが有意に低く、新たな安全性に関する懸念はみられなかった。米国・ダナファーバーがん研究所のSara M. Tolaney氏らDESTINY-Breast09 Trial Investigatorsが、第III相の「DESTINY-Breast09試験」の中間解析の結果を報告した。T-DXdは、既治療のHER2陽性の進行または転移を有する乳がん患者に対する有効性が示されているが、未治療の同患者に対するT-DXdの有効性および安全性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2025年10月29日号掲載の報告。国際共同第III相無作為化試験、PFSを評価 DESTINY-Breast09試験は、国際共同第III相無作為化試験で、HER2陽性の進行または転移を有する乳がんで、進行・転移病変に対する化学療法またはHER2標的療法の治療歴がない患者を対象に、T-DXd単剤療法とT-DXd+ペルツズマブ併用療法の有効性および安全性を評価した。術前・術後化学療法と全身性の抗がん剤治療終了後の再発までの期間が6ヵ月超の患者は対象とされ、進行・転移病変への内分泌療法歴は1ラインまで許容された。 T-DXd+ペルツズマブまたはT-DXd+プラセボ併用療法とTHP併用療法が比較された。被験者は、T-DXd+ペルツズマブ併用療法群(盲検化)、T-DXd+プラセボ併用療法群(盲検化)、THP併用療法群(非盲検化)に1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、盲検下独立中央判定による無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、および安全性であった。 2021年4月26日~2023年10月26日に、279施設で1,157例が登録・無作為化された。 本報告では、事前規定の中間解析であるT-DXd+ペルツズマブ併用療法とTHP併用療法のデータが報告された。T-DXd+プラセボ併用療法のデータは、PFSの最終解析まで盲検化される。T-DXd+ペルツズマブ群のPFSのハザード比0.56 T-DXd+ペルツズマブ群(383例)とTHP群(387例)のベースラインの人口動態学的および疾患特性は均衡が取れていた。この2群において、被験者の年齢中央値は54歳(範囲:20~85)、アジア人が約半数(49.6%と50.6%)で、de novoが400例(51.9%)、ホルモン受容体陽性が416例(54.0%)、PIK3CA変異陽性が237例(30.8%)などであった。 データカットオフ時点(2025年2月26日)で、T-DXd+ペルツズマブ群で174/380例(45.8%)、THP群で128/383例(33.4%)が治療を継続していた。 主要評価項目であるPFSは、T-DXd+ペルツズマブ群40.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:36.5~推定不能[NC])、THP群26.9ヵ月(21.8~NC)であり、T-DXd+ペルツズマブ群が有意に改善した(進行または死亡のハザード比:0.56、95%CI:0.44~0.71、p<0.00001[事前規定の優越性のp値閾値は0.00043])。 ORRは、T-DXd+ペルツズマブ群85.1%(95%CI:81.2~88.5)、THP群78.6%(74.1~82.5)であり、完全奏効率はそれぞれ15.1%および8.5%であった。DOR中央値は39.2ヵ月(95%CI:35.1~NC)と26.4ヵ月(22.3~NC)であった。安全性は既知のプロファイルと一致 安全性は、各治療法の既知のプロファイルと一致していた。 Grade3以上の有害事象は、T-DXd+ペルツズマブ群63.5%、THP群62.3%に発現した。最も多くみられたのは、T-DXd+ペルツズマブ群では好中球減少症、低カリウム血症、貧血であり、THP群では好中球減少症、白血球減少症、下痢であった。 薬剤関連有害事象と判定された間質性肺疾患または肺臓炎は、T-DXd+ペルツズマブ群で12.2%(46例:44例がGrade1/2、2例がGrade5[死亡])、THP群で1.0%(4例:すべてGrade1/2)に発現した。

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PCI後のDAPT、出血高リスク患者の最適期間は?/Lancet

 出血リスクが高い(HBR)患者における経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の投与期間について、1ヵ月間の投与は3ヵ月間の投与に対して全臨床的有害事象(NACE)に関する非劣性は示されなかった。一方、非HBR患者では、3ヵ月間の投与は12ヵ月間の投与に対してNACEおよび主要心血管/脳血管イベント(MACCE)に関して非劣性が示され、出血に関して優れることが示された。韓国・Seoul National University HospitalのJeehoon Kang氏らが、同国の50ヵ所の心臓病センターで行った非盲検無作為化試験「HOST-BR試験」の結果を報告した。出血リスクに応じたPCI後のDAPT投与の最適期間は十分に確立されていなかった。Lancet誌オンライン版2025年10月23日号掲載の報告。PCIによるDES留置成功後の患者をHBRと非HBRに層別化し最適期間を評価 HOST-BR試験は、出血リスクに応じたPCI冠動脈ステント留置後のDAPTの最適期間を評価した研究者主導の非盲検無作為化試験。対象は、PCIによる薬剤性溶出ステント(DES)留置に成功した19歳以上の患者で、登録後、Academic Research Consortium for High Bleeding Risk(ARC-HBR)基準に基づきHBRまたは非HBRに層別化された。 研究グループは、HBR群の患者をDAPT投与1ヵ月群または同3ヵ月群に1対1の割合で無作為に割り付け、非HBR群の患者をDAPT投与3ヵ月群または同12ヵ月群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、NACE(全死因死亡、非致死的心筋梗塞、definite/probableステント血栓症、脳卒中、または大出血)、MACCE(心臓死、非致死的心筋梗塞、definite/probableステント血栓症、または虚血性脳卒中)、および無作為化後1年間のあらゆる非外科的出血の3つであった。主要エンドポイントはITT集団において階層的に評価が行われた。HBR群:1ヵ月DAPT群の3ヵ月DAPT群に対する非劣性は認められず 2020年7月24日~2023年9月25日に、4,897例の患者が登録された(HBR群1,598例、非HBR群3,299例)。HBR群(1ヵ月DAPT群798例、3ヵ月DAPT群800例)の年齢中央値は76歳(四分位範囲:68~81)、女性が33.5%であり、非HBR群(3ヵ月DAPT群1,649例、12ヵ月DAPT群1,650例)の年齢中央値は64歳(57~70)、女性が20.9%であった。 HBR群において、1ヵ月DAPT群の3ヵ月DAPT群に対するNACEに関する非劣性は示されなかった(144/798例[18.4%]vs.110/800例[14.0%]、ハザード比[HR]:1.337、95%信頼区間[CI]:1.043~1.713、非劣性のp=0.82)。MACCEは、1ヵ月DAPT群で74例(9.8%)、3ヵ月DAPT群で44例(5.8%)に発現した。出血は、1ヵ月DAPT群で105例(13.8%)、3ヵ月DAPT群で122例(15.8%)に発現した。非HBR群:3ヵ月DAPT群の12ヵ月DAPT群に対する非劣性が認められる 非HBR群では、3ヵ月DAPT群の12ヵ月DAPT群に対するNACE(47/1,649例[2.9%]vs.72/1,650例[4.4%]、HR:0.657、95%CI:0.455~0.949、非劣性のp<0.0001)およびMACCE(36/1,649例[2.2%]vs.37/1,650例[2.3%]、0.984、0.622~1.558、非劣性のp=0.0082)に関する非劣性がいずれも認められ、3ヵ月DAPT群が12ヵ月DAPT群よりも出血に関して優れることが認められた(120/1,649例[7.4%]vs.190/1,650例[11.7%]、0.631、0.502~0.793、p<0.0001)。

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世界中で薬剤耐性が急速に拡大

 抗菌薬が効かない危険な感染症が世界中で急速に広がりつつあるとする報告書を、世界保健機関(WHO)が発表した。この報告書によると、2023年には、世界の感染症の6件に1件が、尿路感染症や淋菌感染症、大腸菌による感染症などの治療に使われている一般的な抗菌薬に耐性を示したという。 2018年から2023年の間に、監視対象となった病原体と抗菌薬の組み合わせの40%以上で薬剤耐性が増加し、年平均5~15%の増加が見られた。2021年には、このような薬剤耐性はおよそ114万人の死亡と関連付けられていた。WHO薬剤耐性部門ディレクターのYvan Hutin氏は、「薬剤耐性は広く蔓延し、現代医療の未来を脅かす存在となっている。端的に言えば、質の高い医療へのアクセスが乏しいほど、薬剤耐性菌感染症に苦しむ可能性が高くなる」と、New York Times紙に語っている。 薬剤耐性の問題は、特に東南アジアと東地中海地域で深刻である。これらの地域では現在、感染症の3件に1件(東南アジア31.1%、東地中海地域30.0%)が抗菌薬に耐性を示している。これは世界平均(17.2%)の約2倍、ヨーロッパ(10.2%)や西太平洋地域(9.1%)の3倍以上の頻度である。また、医療体制が十分に整っていない低中所得国では感染症の追跡や予防、治療が難しいため、薬剤耐性菌感染症の発生率が高く、その状況は悪化しているという。 さらに報告書では、重篤な感染症の原因となり得る大腸菌や肺炎桿菌といったグラム陰性菌で耐性が広がりつつあることも強調されている。グラム陰性菌は抗菌薬が侵入しにくい保護膜を持つため、特に治療が難しいとされている。アフリカでは、第3世代セファロスポリン系抗菌薬に耐性を示す症例が70%を超えており、第一選択薬が使えない例が少なくない。 専門家らは、対策を講じなければ医療費の増大や生産性の低下によって2050年までに世界経済の損失が1兆7,000億ドル(1ドル153円換算で約2600兆円)に達する可能性があると警鐘を鳴らしている。最近、「The Lancet」に掲載された研究では、今後25年間に薬剤耐性菌感染症によって3900万人が死亡する可能性があると推定されている。 その一方で、希望もある。WHOは2015年に薬剤耐性の監視システム「GLASS」を導入した。その後、2024年末までに195のWHO加盟国・地域のうち130の国・地域がGLASSへの参加を表明した。WHOのAMR監視プログラムを率いるSilvia Bertagnolio氏は、「薬剤耐性菌感染症に関する世界的な認識が高まっていること、またデータを共有する国が増加していることは心強い」と述べている。 その一方でBertagnolio氏は、依然として参加国の約半数がデータを提出しておらず、また、提出した国・地域の中にも薬剤耐性を正確に追跡するためのツールを十分に備えていない国が多いことも指摘している。2023年にデータを提出したのは104の国・地域にとどまっており、その中で信頼できるデータを作る体制が整っていたのは46.2%(48/104国・地域)であった。

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動脈内血栓溶解療法は血栓回収療法後の補助的治療として有効か?(解説:内山真一郎氏)

 PEARL試験は、機械的血栓回収療法により再灌流に成功した、急性期前循環系大血管閉塞性脳梗塞の中国人324例においてアルテプラーゼ動脈内投与群と標準的治療群とを比較した多施設共同非盲検無作為化試験であるが、90日後の転帰良好(改変ランキンスケールスコア0または1)がアルテプラーゼ動脈内投与群で標準的治療群より有意に多かった。 血栓回収療法は大血管閉塞性脳梗塞に対する標準的治療となったが、長期の転帰良好例は依然として半数以下であり、転帰を改善するための補助的治療が必要とされている。血栓回収療法による神経症状改善効果が不十分な理由の1つとして、血栓回収療法後の遠位動脈や微小循環の残存血栓によるno-reflow現象の関与が考えられることから、血栓回収療法後の動脈内血栓溶解療法は血栓回収療法の補助的治療として転帰改善効果が期待できるかもしれない。ただし、これまでに行われた同様な臨床試験の結果は一致しておらず、現在進行中の他の試験もあるので、それらの結果やメタ解析によるさらなるエビデンスの集積が必要なように思われる。

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心不全に伴う体液貯留管理(2):下大静脈のエコーの見かた・VMTスコアの出し方【Dr.わへいのポケットエコーのいろは】第8回

心不全に伴う体液貯留管理(2):下大静脈のエコーの見かた・VMTスコアの出し方前回、心不全に伴う体液貯留管理において評価する2つの指標(下大静脈、VMTスコア)について解説しました。今回は、前回紹介した手技の到達目標に基づいて、手技を学んでいきましょう。手技の到達目標を以下に再掲します。【下大静脈(IVC)】さまざまなアプローチで描出できる肝静脈との合流部を意識できる右房への流入を観察できる【VMTスコア】心窩部で4腔像を描出できるシネを用いてVMTを評価できる心尖部で4腔像を描出できるプローブの選択ポケットエコーによって、プローブはさまざまな形がありますが、平らな形のリニア型、コンベックス型、セクタ型の3種類が基本となります。ここでは、肋間の間を覗いて心臓を観察していくため、セクタという少し飛び出た形のものを使っていきます(図1)。図1 コンベックス型・セクタ型プローブ画像を拡大する下大静脈のエコーの見かたそれでは、下大静脈のエコーの見かたのコツを示します。下大静脈については、心窩部からアプローチする方法が一般的だと思います。その際ですが、縦に一気に当ててしまう方も多いのではないでしょうか。これで下大静脈が見える場合はよいのですが、大動脈を下大静脈と見間違えてしまう場合があります。では、おすすめの方法を動画で見ていきましょう。心窩部からの下大静脈の見かたいかがでしょうか。「でも、心窩部からよく見えない場合がある」という方もいると思います。そのようなときは、下大静脈も肋間から見ていくことで見えるようになります。それでは、今度はその見かたを動画で見ていきましょう。肋間からの下大静脈の見かたどうでしょうか? 肋間は見やすい部分、見にくい部分があるため上部の肋間から下部の肋間に動かしながら見ていくことが重要です。以上が下大静脈のエコーの見かたのコツになります。VMTスコアの出し方続いて、前回紹介したVMTスコアの出し方を紹介します。VMTスコアを出す際は、IVCの拡張の有無、僧帽弁と三尖弁の開き方を見ていく必要があります。それでは、早速動画を見ていきましょう。VMTスコアを出す際の手技三尖弁と僧帽弁の見かたは理解できたでしょうか。今回の場合は、生理的に三尖弁のほうが早く開くため、血行動態としては正常という判断となります。傍胸骨像を用いたVMTスコアの出し方こちらはオプションになりますが、VMTスコアの傍胸骨像での出し方についても紹介します。心窩部から下大静脈が観察できてVMTスコアを出すことができる場合はよいのですが、よく見えない場合もあります。そのような場合には、傍胸骨像を見るとうまくVMTスコアを出すことができます。それでは、動画で見ていきましょう。傍胸骨像を用いたVMTスコアの出し方まとめ手技の動画はいかがでしたか? 下大静脈とVMTスコアの2つを測ることで血行動態を推定し、治療方針に役立てることができます。たとえば、下大静脈の拡張がある場合は右心不全の要素が、VMTスコアが高い場合は左心不全の要素が強いと推定できます。両方が高値であれば両心不全が示唆されます。一方で、両方とも正常範囲内であれば、代償性心不全であるか、心不全の可能性は低いと考えることができます(図2)。図2 ポケットエコー所見と心不全の関係画像を拡大するもちろん診断だけではなく、治療効果判定にもこの2つの指標を用いることができます。エコーだけで勝負する必要はないため、たとえば下腿のむくみがどうか、体重の変化がどうか、そして患者の症状がどうかということなどを指標にしながら、治療効果判定していくことも重要です。

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病院の電力が尽きると何が起きる?【実例に基づく、明日はわが身の災害医療】第9回

病院の電力が尽きると何が起きる?日本は、世界でも有数の「災害大国」です。地震、台風、豪雨……。毎年どこかで自然災害が発生し、そのたびに医療機関は大きな試練にさらされています。では、もし災害によって病院の電力が途絶えてしまったら、一体どうなるでしょうか?病院に電気がなければ、ほとんど何もできない病院は「電気があって当たり前」の場所です。停電と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは、人工呼吸器や透析装置といった医療機器でしょう。もちろんそれらが止まれば、命の危機に直結します。しかし、問題はそれだけにとどまりません。実際の病院全体の電力消費を見てみると、空調が34.7%、照明が32.6%を占めるのに対し、医療機器は6.6%にすぎません1)。空調が止まれば、真夏には熱中症、真冬には低体温症の患者さんが増えます。手術室やICUの温度・湿度管理もできなくなり、感染リスクが高まります。照明が消えれば、夜間の救急対応や処置がきわめて困難になります。さらに、電力供給が止まると、水や下水処理にも影響が及びます。電子カルテや検査システムも使えなくなり、診療は著しく制限されてしまいます。命に直結するのは、医療機器だけではありません。2018年7月豪雨で被災した岡山県のまび記念病院は、電源設備が浸水エリアの1階にあったことが被害を拡大させた一因とされました。そのため、新病院では電源を高所に移す設計がなされています。この事例は、「電源の確保」がいかに病院機能の継続に直結するかを示す教訓といえるでしょう。非常用電源はどれくらい持つのか?「非常用の発電機があるから安心」と思うかもしれません。ですが、現実はそう甘くありません。災害拠点病院では、業務継続計画(BCP)の策定が義務付けられており2)、一定の備蓄を整えています。ところが私たちの調査では3)、中核病院や一般病院では備蓄の水準に大きな差があり、燃料備蓄が1日未満という病院も少なくありません。厚生労働省のガイドラインでは「通常時の6割程度の電力をまかなえる自家発電機と、最低3日分の燃料備蓄」が目安とされています4)。しかし、2018年の北海道胆振東部地震では、災害拠点病院でさえ燃料不足に直面し、十分に機能を維持できなかった例が報告されています5)。平時からの備えをどうするか?では、どう備えればよいのでしょうか。答えは「平時からの準備」に尽きます。自院の非常用電源がどれくらい持つのかを確認しておく燃料の補給ルートをあらかじめ自治体や業者と相談しておく電力や燃料の残量を定期的にチェックする地域の病院同士で助け合える仕組みを平時に作っておく余談ですが、院内にある赤と緑のコンセントの意味を正しく理解することも大切です。赤いコンセントは非常用電源、緑のコンセントはUPS(無停電電源装置)に接続されており、停電時でも使用できる系統です(図)。人工呼吸器など生命維持に直結する機器は、必ずこれらのコンセントに接続する必要があります。さらに、非常時の電力には限りがあるため、供給可能な時間や容量を把握しておくこと、不必要な機器を接続しないことなど、平時からの準備と停電時の訓練が欠かせません。図. 電源の種類と特徴「必ず来る災害」に備えるために災害は「いつか来るかもしれないもの」ではなく、「必ず来るもの」です。そのとき、病院が機能を失うのか、最低限の医療を続けられるのかは、平時の備えにかかっています。医療従事者一人ひとりが「自分の病院の電源や燃料がどれくらい持つのか」を把握し、行動を起こすこと。そして、一つの病院だけでなく地域全体で電源や医療機器の稼働状況を「見える化」し、情報を共有すること。自治体や地域と協力して「助け合える仕組み」を作ること。その積み重ねこそが「防ぎえた死」を減らし、未来の患者さんの命を守る力になります。 1) 夏季の省エネ・節電メニュー. 経済産業省 資源エネルギー庁. 2) 病院の業務継続計画(BCP)の策定状況について.厚生労働省 第14回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会. 令和元年5月23日. 3) 平山隆浩、他. 病院機能に応じた災害時医療機器供給体制の最適化戦略 ―岡山県内病院の実態調査に基づく段階的 BCP 体制の提案―.医療機器学. 2025;95:392-400. 4) 災害拠点病院の燃料の確保について. 厚生労働省 第14回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会. 令和元年5月23日. 5) Youichi Y, et al. Field Study in Hokkaido Prefecture after the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake. Sch J App Med Sci. 2018;6:3961-3963.

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英語プレゼン最大の壁「質疑応答」もAIで克服!【タイパ時代のAI英語革命】第12回

英語プレゼン最大の壁「質疑応答」もAIで克服!国際学会での発表において、発表後の質疑応答セッションは研究の真価が問われる重要な場面です。とくに英語での質疑応答は、日本人研究者にとって最も緊張が高まる瞬間の1つでしょう。質問に対して即座に英語で答えるのは難しく感じるかもしれませんが、ポイントは「事前準備」にあります。想定される質問とその回答をあらかじめ準備しておくことで、落ち着いて自信を持って対応することが可能になります。想定質問を考える想定質問の作成は、生成AIを活用することで大幅に効率化できます。研究抄録や読み原稿の文章を入力するだけで、専門家の視点からクリティカルで具体的な質問を生成してもらえます。以下は想定質問を作成する際のプロンプト例です。プロンプト例#役割あなたは○○領域の権威ある医師です。#命令入力した抄録に対して5つの質問を考えてください。#制約条件出力は英語で行ってください。研究を批判的に分析し、研究の弱点や欠点、改善点やさらなる調査の必要性を指摘する質問をしてください。#抄録[ここに抄録を入力]このように入力すると、研究の内容を批判的に検討したうえでバランスの取れた質問リストが得られます。さらに、発表スライドやポスターの内容、読み原稿を追加で提示すれば、より網羅的な質問を引き出すことも可能です。想定質問への回答を考える想定質問をリストアップできたら、次は想定質問への回答を考えます。プロンプト例挙げられた5つの質問に対して、英語で回答例を作成してください。質問者への感謝や尊敬の念を示しつつ、口語調でわかりやすい英語表現をしてください。AIが生成する内容は、不正確な情報を含んでいる可能性があります。あくまで回答の「型」や「表現のバリエーション」として活用し、内容そのものは、ご自身の知識、先行研究、そして正確なデータに基づいて、必ず手直ししてください。ロールプレイをする想定質問と回答の準備ができたら、いよいよ実践練習です。スムーズに、そして自信を持って回答できるよう、徹底的に練習を重ねましょう。ある程度の練習ができたら、ChatGPTを相手に実際の質疑応答をシミュレーションする「ロールプレイ」を行います。これにより、本番さながらの緊張感の中で、即座に英語で反応する力を養うことができます。プロンプト例#役割あなたは○○領域の権威ある医師です。#命令入力した抄録に関して、質疑応答のロールプレイを行ってください。#制約条件出力は英語で行ってください。研究を批判的に分析し、研究の弱点や欠点、改善点やさらなる調査の必要性を指摘する質問をしてください。質問は1個ずつ行い、全部で10個の質問をしてください。質問の後は、私が回答します。私の回答の後には、文法ミスや表現について的確なフィードバックを行い、その後次の質問に移ってください。#抄録[ここに抄録を入力]このプロンプトを入力することで、以下のような効果的な練習サイクルが実現します。1.ChatGPTから質問が提示される2.あなたが英語で回答する3.ChatGPTがあなたの回答に対し、文法や表現に関する具体的なフィードバックを行う4.ChatGPTが次の質問に移るこのサイクルを繰り返すことで、回答のブラッシュアップだけでなく、リアルタイムでの思考力と英語表現力を鍛えることができます。このロールプレイの練習では、3つの段階でステップアップしていくことがお勧めです。初期段階(キーボード入力): 慣れるまでは、あなたの回答をキーボードで入力しましょう。これにより、落ち着いて文法や語彙を確認しながら練習することができます。中級段階(音声入力): ある程度慣れてきたら、ChatGPTの音声入力機能(Dictation)を利用し、自分の回答を実際に声に出して入力しましょう。これにより口頭での応答に慣れてきます。最終段階(音声のみの会話): 最終的には、上記のプロンプトを入力した後にChatGPTの音声モードに切り替え、音声のみで質疑応答の会話を完結させます。これにより、本番の学会発表に近い状況で、リスニングとスピーキングを同時に行う実践的な練習が可能になります。音声モードのやりとりまでスムーズにできるようになれば、質疑応答対策はもう心配ありません。自信を持って本番に臨むことができるでしょう。(5章以降は2026年春に公開予定です)

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第288回 「会社の寿命は30年」、では病院の“寿命”は?(前編) 一時代を築いた室蘭・日鋼記念病院が徳洲会傘下に、統合協議が長引けば市立室蘭総合病院の存続にも影響

病院の“寿命”を感じる出来事が今年になってから続くこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。野球シーズンが終わってしまいました。NPBの日本シリーズ、MLBのワールドシリーズの両方をテレビ観戦して、監督の采配と覚悟の大切さを再認識しました。阪神タイガースの藤川 球児監督は、なぜ第2戦で才木 浩人投手を先発させず、故障明けのジョン・デュプランティエ投手を先発させたのでしょうか?NHK解説者時代、理論的かつ繊細な解説をしていた藤川監督らしからぬ奇襲作戦?(才木を甲子園登板まで温存しようとした?)に思えました。シリーズ後、この先発起用を巡って「コーチ陣と衝突」があったとの報道もありました。ロサンゼルス・ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、とくに中継ぎ投手の起用について、シーズン中からさまざまな批判が沸き起こっていましたが、後がないワールドシリーズに限っては山本 由伸投手はじめ先発投手陣の起用法が奏功し、見事ワールドチャンピオンに輝きました。驚いたのは野手の起用です。まったく打てていないキケ・ヘルナンデス選手やミゲル・ロハス選手(第7戦では同点ホームランを打ちましたが)、アンディ・パヘス選手などを重用、どうしてだろうと思ったら、重要かつ難しい守備の場面で彼らがファインプレーを連発したのです。「打つ」ためではなく「守る」ための起用だったわけです。その采配に毀誉褒貶あるロバーツ監督ですが、名監督なのか迷監督なのか、正直わからなくなったシリーズでした。さて今回は、「会社の寿命は30年」(経済誌「日経ビジネス」が1980年代に提唱したキャッチフレーズ)ならぬ、病院の“寿命”を感じる出来事が続いたので、いくつかのケースを紹介したいと思います。まずは、かつてはその経営が全国に知れ渡り、一時代を築いた北海道室蘭市の日鋼記念病院です。日鋼記念病院や天使病院を運営する社会医療法人母恋が徳洲会傘下に日鋼記念病院や札幌市東区の天使病院を運営する社会医療法人母恋(室蘭市)は10月31日、一般社団法人徳洲会(東京都千代田区)の傘下に入ったと発表しました。同日付で有賀 正理事長が退任し、後任に医療法人徳洲会(大阪市)副理事長の大橋 壮樹氏が1日付で就任しました。母恋の理事長との兼務になるとのことです。なお、一般社団法人徳洲会は全国で85ある徳洲会系病院の本部機能を担う組織です。日鋼記念病院は348床を有する室蘭市の基幹病院の一つです。元々は日本製鋼所の企業立病院でしたが、カリスマ的経営者、故・西村 昭男氏がさまざまな経営改革を敢行し、1980年には医療法人社団日鋼記念病院として独立、3次救急まで対応する北海道内トップクラスの医療機関に成長しました。その後、医療法人社団カレス アライアンス、社会医療法人母恋と経営母体の名称を変えながら、北海道胆振地方の医療を支えてきました。人口7万人に3病院1,200床はさすがに多過ぎるしかし、かつて鉄鋼業で栄えた室蘭市の人口は1980年には15万人を数えましたが、2025年9月現在はその半分以下、7万3,500人にまで減っています。市内には日鋼記念病院、市立室蘭総合病院(517床)、社会医療法人・製鉄記念室蘭病院(347床)の3つの基幹病院がありますが、人口7万人に1,200床はさすがに多過ぎます。どこも患者減や医師不足に苦しんでいました。そんな中、3病院の将来を話し合う協議会が2018年に発足、再編に向けての検討が行われてきました。10月18日付けの北海道新聞の報道などによれば、昨年11月には「高度急性期・急性期医療」を製鉄記念室蘭病院に集約し、「軽度な急性期医療や回復期、慢性期」を日鋼記念病院と市立室蘭総合病院で分担する方向性が示されました。その後、今年4月に病院の事業再生で実績のある官民ファンド「地域経済活性化支援機構(REVIC)」が、日鋼記念病院と市立室蘭総合病院が対等に合併し、日鋼病院の建物に新病院「蘭西医療センター」(仮称)を開設する案を提示しました。しかし、公立病院と民間病院の統合ということで調整は難航、運営体制などを巡って意見の隔たりは大きく、協議は進展しませんでした。そんな中、10月はじめに母恋が徳洲会に支援要請をしたことが表面化、10月21日には母恋が徳洲会グループの傘下に入ることを正式表明し、10月末日の理事長交代に至ったのです。「医療資源をダウンサイズすることには基本的に反対」と徳洲会理事長母恋が徳洲会グループ入り表明した21日、母恋の有賀 正理事長(当時)、一般社団法人徳洲会の東上 震一理事長による記者会見が行われました。10月28日付の室蘭民報電子版の記事によれば、有賀理事長は徳洲会の傘下に入ることになった経緯について、「日鋼記念病院の経営は、大学派遣の医師減少や室蘭市の急激な人口減少などにより、コロナ禍直前から収支バランスが難しい兆しが始まっていた。コロナ禍で患者数は激減し、診療に関わる収入は激減。コロナ明けは法人も膨大な赤字経営という危機的状況に陥った。職員給与額の削減、診療報酬の流動化、金融機関からの借入金の一時猶予などに加えて断腸の思いで希望退職を募った。今後の経営方針を検討する中で、徳洲会から経営支援の提案があった。法人や法人職員のためだけではなく、胆振地域の医療体制の維持、室蘭市民にとって一番望ましい選択と判断した」と話し、統合問題については、「新しい理事長が中心となって、室蘭市、市立病院と従来の話し合いが継続されると認識している」と話したとのことです。一方、徳洲会の東上理事長は、「(徳洲会との)統合ではなく、徳洲会グループの中で一緒にやっていくということ。日鋼記念は歴史ある病院。大阪でもこの病院の存在を把握しているぐらい。天使病院は周産期に特化しており、非常に魅力的。グループにないものもある。医療の幅を広げる意味でも、母恋グループと一緒になることで経営的なメリットがある」と述べるとともに、統合問題については、「地域の人口減少などで個々が持っている医療資源をダウンサイズすることには基本的に反対。市立病院と日鋼記念の統合については、医療の需要に対する判断なら、市立病院の何割かを引き受けることもあっていいと思う。市立病院の先生や職員と一緒にやれるチャンスもあると個人的に思う。日鋼記念は慢性期もやりつつ、もう少し急性期の部分でも力を貸すことができれば、地域医療にとって絶対マイナスではない」と述べ、協議会が提案していた病床削減や慢性期へのシフトに対して抵抗感を示しています。日鋼記念病院の徳洲会傘下入りで市立室蘭総合病院はどうなる?有賀理事長は記者会見の席で、日鋼記念病院と市立室蘭総合病院の統合協議の中で、地域経済活性化支援機構が提示した統合案について「(母恋から)ガバナンスが取り上げられ、人員削減も行われると読み取った。従えなかった」と述べたとのことです。公立病院と民間病院の統合事例は全国でまだそれほど多くはありません。これまでの先進事例では、公立の経営悪化がより深刻な場合が多いことから、統合後は建物は公立、運営は民間というケースが少なくありません。今回の統合案の場合は、「対等合併」と表向きは言われていたものの、どうやら市主導で話が進み、そうした動きに対し、母恋側が強い不信感を抱いていたようです。その不信感が徳洲会の傘下入りにつながったわけですが、それは一方で、市立室蘭総合病院の存続にも大きな影響を及ぼすことになりそうです。(この項続く)

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看護師の抑うつと燃え尽き、幼少期体験がリスクを高める?「橋渡し症状」特定へ【論文から学ぶ看護の新常識】第37回

看護師の抑うつと燃え尽き、幼少期体験がリスクを高める?「橋渡し症状」特定へ看護師の抑うつと燃え尽き症候群の間を繋ぐ「橋渡し症状」として、「情緒的消耗感」と「シニシズム」が特定され、特に幼少期の逆境体験が多い看護師において重要な介入ターゲットである可能性が示された。Jiao-Mei Xue氏らの研究で、BMC Nursing誌2025年9月29日号に掲載の報告。看護師の幼少期体験プロファイルが抑うつ・燃え尽き症候群ネットワークに与える影響:潜在クラス分析とネットワークアナリシス研究チームは、個人中心アプローチを用いて看護師の幼少期体験をタイプ別に分類し、グループ間で抑うつと燃え尽き症候群の関係が異なるかを調査することを目的に、横断研究を行った。総合病院の看護師866名を対象に、逆境的小児期体験尺度(Adverse Childhood Experiences scale:ACEs)、良好な小児期体験尺度(Benevolent Childhood Experience scale:BCEs)、患者健康質問票-9(Patient Health Questionnaire-9:PHQ-9)、マスラック・バーンアウト尺度(Maslach Burnout Inventory:MBI)を用いた質問紙調査を実施した。主な結果は以下の通り。潜在クラス分析により、2つの幼少期体験プロファイルが特定された:「低ACEs/高BCEs」(n=648)および「中等度ACEs/低BCEs」(n=218)。ネットワークアナリシスの結果、「中等度ACEs/低BCEs」群において抑うつと燃え尽き症候群の症状の間の全体的な関連性がより強いことが明らかになった。情緒的消耗感は、抑うつと燃え尽き症候群の間で苦痛を伝達する橋渡し症状として機能しており、介入の重要なターゲットであることが示された。シニシズムも、特に「中等度ACEs/低BCEs」群において重要な橋渡し症状であった。これらの知見は、中国の看護師の幼少期体験が明確なパターンを形成し、情緒的消耗感とシニシズムが重要な介入ターゲットであることを示している。病院管理者は、労働力の安定性と患者ケアを保護するために、特に「中等度ACEs/低BCEs」の看護師において、情緒的消耗感のモニタリングとシニシズムの低減を優先すべきである。本研究の最も重要な点は、「看護師」という一つの集団を均質に捉えるのではなく、「幼少期体験」という個人の発達歴に着目したことにあります。その結果、抑うつと燃え尽き症候群の関連は一様ではなく、特に「中等度ACEs/低BCEs」(幼少期に困難な体験を中程度経験し、恵まれた体験が少ない)群において、両者の全体的な結びつきが有意に強いことがネットワークアナリシスによって可視化されました。これは、過去の体験が単に症状のレベルを悪化させるだけでなく、心理的苦痛の「ネットワーク構造そのもの」を変化させることを示しており、非常に示唆に富んでいます。この研究が示す最も重要な介入点は、両群に共通する「情緒的消耗感(仕事に力を尽くした結果、疲れ果ててしまった状態)」に加え、「中等度ACEs/低BCEs」群に特有の「シニシズム(人や仕事に対して冷淡になる状態)」が、第二の「橋渡し症状(抑うつと燃え尽き症状群をつなぐ鍵となる症状)」であることを特定したことです。これは、看護師のメンタルヘルス支援が画一的では不十分であることを意味します。特にリスクの高い群に対しては、単なる「疲れ」へのケアだけでなく、仕事への冷笑的な態度や距離を置いてしまう「シニシズム」に焦点を当てた、よりターゲットを絞った介入が不可欠であることを示しています。「燃え尽き症候群の予防」と「うつ病の予防」は、しばしば別個の課題として扱われがちです。しかし本研究は、特に逆境体験を持つ人々において、これらが「シニシズム」や「情緒的消耗感」といった特定の症状を介して、強固に結びついていることを明らかにしました。同僚や部下の「シニシズム」や「情緒的消耗感」の症状に特に注意していきましょう。論文はこちらXue JM, et al. BMC Nurs. 2025;24(1):1216.

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がん治療の中断・中止を防ぐ血圧管理方法とは/日本腫瘍循環器学会

 第8回日本腫瘍循環器学会学術集会が2025年10月25、26日に開催された。本大会長を務めた向井 幹夫氏(大阪がん循環器病予防センター 副所長)が日本高血圧学会合同シンポジウム「Onco-Hypertensionと腫瘍循環器の新たな関係」において、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』の第10章「他疾患やライフステージを考慮した対応」を抜粋し、がん治療の中断・中止を防ぐための高血圧治療実践法について解説した。高血圧はがん患者でもっとも多い合併症の一つ、がんと高血圧の関係は双方向性を示す がんと高血圧はリスク因子も発症因子も共通している。たとえば、リスク因子には加齢、喫煙、運動不足、肥満、糖尿病が挙げられ、発症因子には血管内皮障害、酸化ストレス、炎症などが挙げられる。そして、高血圧はがん治療に関連した心血管毒性として、心不全や血栓症などに並んで高率に出現するため、血圧管理はがん治療の継続を判断するうえでも非常に重要な評価ポイントとなる。また、高血圧が起因するがんもあり、腎細胞がんや大腸がんが有名であるが、近年では利尿薬による皮膚がんリスクが報告されている1)。 このように高血圧とがんは密接に関連しており、今年8月に改訂された『高血圧管理・治療ガイドライン2025』(以下、高血圧GL)には新たに「第10章7.担がん患者」の項2)が追加。治療介入が必要な血圧値を明記するとともに、がん特有の廃用性機能障害・栄養障害、疼痛、不安などの全身状態に伴う血圧変動にも留意する旨が記載されている。 向井氏は「このような高血圧はがん治療関連高血圧と呼ばれ、さまざまながん治療で発症する。血圧上昇のメカニズムは血管新生障害をはじめ、血管拡張障害によるNO低下、ミトコンドリアの機能低下など多岐にわたる。血圧上昇に伴いがん治療を中断させないためにも、発症早期からの適切な降圧が必要」と強調した。<注意が必要な薬効クラス/治療法と高血圧の発生率>3,4)・VEGF阻害薬(血管新生阻害薬):20~90%・BTK阻害薬:71~73%・プロテアソーム阻害薬:10~32%・プラチナ製剤:53%・アルキル化薬:36%・カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン):30~60%・BRAF/MEK阻害薬:20%・RET阻害薬:43%・PARP阻害薬:19%・mTOR阻害薬:13%・ホルモン療法(アンドロゲン受容体遮断薬・合成阻害薬):11~26%*注:上記についてすべての症例が同様の結果を示すわけではない140/90mmHg以上で降圧薬開始、がん治療後も130/80mmHg未満を この高血圧GLにおいて、がん治療患者の降圧治療開始血圧は140/90mmHg以上、動脈硬化性疾患、慢性腎臓病、糖尿病合併例では130/80mmHg以上で考慮することが示され、まずは140/90mmHg未満を目指す。もし、降圧治療に忍容性があれば130/80mmHg未満を、転移性がんがある場合には予後を考慮して140~160/90~100mmHgを目標とする。 がん治療終了後については、血圧管理は130/80mmHg未満を目標とする。治療介入するには低過ぎるのでは? と指摘する医師も多いようだが、患者の血管はがんやがん治療によりすでに傷害されていることがあり、「その状況で血圧上昇を伴うと早期に臓器障害が出現してしまう」と同氏は経験談も交えて説明した。ただし、廃用性機能障害・栄養障害 を示す症例において血圧の下げ過ぎはかえって危険なため、がん治療関連高血圧マネジメントにおいては、基本的には高リスクI度高血圧およびII・III度高血圧に対する降圧薬の使い方(第8章1.「2)降圧薬治療STEP」)の遵守が重要である。同氏は「STEP1として、治療開始はまず単剤(RA系阻害薬あるいは長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬)から、160/100mmHg以上の場合には両者を併用する。降圧不十分な場合にはSTEP2、3と高血圧GLに沿って降圧薬を選択していく」とし、「がん患者の病態をチェックしながら体液貯留や脱水状態そして頻拍、心機能障害などの有無などに合わせ降圧薬を選択する必要がある。さらに治療抵抗性を示す症例では選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)などの投与を考慮して欲しい」と説明した。 がん治療の中止基準となる血圧値については「180/110mmHg以上または高血圧緊急症が認められた場合、がん治療の休止/中止または治療薬変更が求められる」と説明した。 最後に同氏は「がん治療終了後も治療終了(中止)に伴う血圧変化として血圧低下に注意し、がんサバイバーにおいては晩期高血圧のフォローアップが重要となる。そのためには、がん治療が終了した後もがん治療医、循環器医、そして腎臓内科医やプライマリケア医、外来薬剤師などが連携して、患者の血圧管理を継続してほしい」と締めくくった。「大阪宣言2025」 今回の学術集会では、日本の腫瘍循環器外来発症の地、大阪での開催を1つの節目として、南 博信氏(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科/日本腫瘍循環器学会 理事長)による「大阪宣言2025」がなされた。これは、がん診療医と循環器医が診療科横断的に協力し合い、多職種が連携・協同し、がん患者の心血管リスクや心血管合併症の管理・対応、がんサバイバーにおける予防的介入により、がん患者・がんサバイバーの生命予後延伸とQOL改善を目指すため、そして市民啓発から腫瘍循環器の機運を高めていくために宣言された。 日本での腫瘍循環器学は、2011年に大阪府立成人病センター(現:大阪国際がんセンター)で腫瘍循環器外来が開設されたことに端を発する。その後、2017年に日本腫瘍循環器学会が設立され、2023年日本臨床腫瘍学会/日本腫瘍循環器学会よりOnco-Cardiologyガイドラインが発刊されるなど、国内での腫瘍循環器診療の標準化が着実に進められている。

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寛解後の抗精神病薬の減量/中止はいつ頃から行うべきか?

 初回エピソード統合失調症患者における寛解後の抗精神病薬の早期減量または中止は、短期的な再発リスクを上昇させる。長期的なアウトカムに関する研究では、相反する結果が得られているため、長期的な機能改善への潜在的なベネフィットについては、依然として議論が続いている。オランダ・University of GroningenのIris E. Sommer氏らは、初回エピソード統合失調症患者の大規模サンプルを対象に、4年間にわたり抗精神病薬の減量/中止と維持療法の短期および長期的影響について比較を行った。JAMA Psychiatry誌オンライン版2025年10月1日号の報告。 本HAMLETT(Handling Antipsychotic Medication Long-Term Evaluation of Targeted Treatment)試験は、2017年9月~2023年3月にオランダの専門精神病ユニット26ヵ所で実施された単盲検実用的ランダム化臨床試験である。対象患者は、入院および外来診療から寛解となった初回エピソード統合失調症患者347例(男性:241例[69.5%]、平均年齢:27.9±8.7歳)。寛解後12ヵ月以内に抗精神病薬を減量/中止した場合と維持療法を12ヵ月間継続した場合のアウトカムを比較した。主要アウトカムは、WHODAS 2.0を用いて測定した患者による機能評価とした。副次的アウトカムは、研究者評価による全般的機能評価(GAF)、生活の質(QOL)、再発、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)で測定した症状重症度、重篤な有害事象、副作用とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者347例は、早期中止/減量群(168例)と維持療法群(179例)にランダムに割り付けられた。・WHODAS 2.0では、時間と状態の交互作用は認められなかった。・1年目、中止/減量群は再発リスクの上昇(オッズ比:2.84、95%信頼区間[CI]:1.08~7.66、p=0.04)およびQOLの低下(β=-3.31、95%CI:-6.34~-0.29、p=0.03)との関連が認められた。・3年目(β=3.61、95%CI:0.28~6.95、p=0.03)および4年目(β=6.13、95%CI:2.03~10.22、p=0.003)には、時間との非線形効果が認められ、中止/減量群においてGAFが有意に良好であることが示された。4年目ではPANSSについても同様の傾向が認められた(p for trend=0.06)。・重篤な有害事象および副作用は両群で同程度であった。しかし、減量/中止群では自殺による死亡が3件確認されたのに対し、維持療法群では自殺による死亡が1件のみであった。 著者らは「抗精神病薬の減量/中止は、最初の1年目は再発リスクおよびQOL低下リスクとの関連が認められたが、3年目および4年目には研究者による機能評価が向上し、症状の重症度についても改善傾向が認められた。1年目以降、両群の抗精神病薬の投与量は同程度であったため、この結果は投与量の減少による直接的な影響ではなく、抗精神病薬を用いて精神病的脆弱性への対処を改善するための学習経験を反映している可能性がある。これらの知見は、抗精神病薬の減量/中止の潜在的な学習およびエンパワーメントの要素と短期的なリスクを慎重に比較検討する必要があることを示唆している」と結論付けている。

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高齢者への高用量インフルワクチン、入院予防効果は?/Lancet

 高用量不活化インフルエンザワクチン(HD-IIV)は、標準用量不活化インフルエンザワクチン(SD-IIV)と比較して、高齢者におけるインフルエンザまたは肺炎による入院に対して優れた予防効果を示すとともに、心肺疾患による入院、検査で確定したインフルエンザによる入院、全原因による入院の発生率も減少させることが明らかにされた。デンマーク・Copenhagen University Hospital-Herlev and GentofteのNiklas Dyrby Johansen氏らDANFLU-2 Study Group and GALFLU Trial Teamが、2試験の統合解析である「FLUNITY-HD」の結果で報告した。Lancet誌オンライン版2025年10月17日号掲載の報告。方法論的に統一された2つの試験の統合解析 FLUNITY-HDは、HD-IIVとSD-IIVを比較する方法論的に統一された2つの実践的なレジストリベースの実薬対照無作為化試験(DANFLU-2、GALFLU)の、事前に規定された個人レベルのデータの統合解析であり、一般化可能性の向上とともに、高齢者における重度の臨床アウトカムに対する2つのワクチンの相対的ワクチン有効率(relative vaccine effectiveness:rVE)の評価を目的とした。 DANFLU-2試験は65歳以上を対象とし、2022~23年、2023~24年、2024~25年のインフルエンザ流行期にデンマークで、GALFLU試験は65~79歳を対象とし、2023~24年と2024~25年の流行期にスペインのガリシアで行われた。 両試験では、参加者をHD-IIV(1株当たり60μgのヘマグルチニン[HA]抗原を含む)またはSD-IIV(同15μg)の接種を受ける群に無作為に割り付け、各流行期のワクチン接種後14日目~翌年5月31日に発生したエンドポイントについて追跡調査した。主要エンドポイントは、インフルエンザまたは肺炎による入院であった。主要エンドポイントが有意に優れ、全死因死亡、重篤な有害事象は同程度 46万6,320例(HD-IIV群23万3,311例、SD-IIV群23万3,009例)を解析の対象とした。全体の平均年齢は73.3(SD 5.4)歳、22万3,681例(48.0%)が女性、24万2,639例(52.0%)が男性で、22万8,125例(48.9%)が少なくとも1つの慢性疾患を有していた。 主要エンドポイントは、SD-IIV群で1,437例(0.62%)に発生したのに対し、HD-IIV群では1,312例(0.56%)と有意に低い値を示した(rVE:8.8%、95%信頼区間[CI]:1.7~15.5、片側p=0.0082)。 HD-IIV群では、心肺疾患による入院(HD-IIV群4,720例[2.02%]vs.SD-IIV群5,033例[2.16%]、rVE:6.3%、95%CI:2.5~10.0、p=0.0006)、検査で確定したインフルエンザによる入院(249例[0.11%]vs.365例[0.16%]、31.9%、19.7~42.2、p<0.0001)、全原因による入院(1万9,921例[8.54%]vs.2万348例[8.73%]、2.2%、0.3~4.1、p=0.012)の発生率が、いずれも有意に優れた。 全死因死亡の発生率は両群で同程度であった(HD-IIV群1,421例[0.61%]vs.SD-IIV群1,437例[0.62%]、rVE:1.2%、95%CI:-6.3~8.3、p=0.38)。また、国際疾病分類第10版(ICD-10)の分類コードによるインフルエンザ関連入院は、それぞれ164例(0.07%)および271例(0.12%)(rVE:39.6%、95%CI:26.4~50.5)、肺炎による入院は、1,161例(0.50%)および1,187例(0.51%)(2.3%、-6.0~10.0)で発生した。 重篤な有害事象の発生は両群で同程度だった(HD-IIV群1万6,032件vs.SD-IIV群1万5,857件)。公衆衛生上、大きな利益をもたらす可能性 全原因による入院1件の予防に要するHD-IIV接種の必要数は515例(95%CI:278~3,929)と推定され、SD-IIVからHD-IIVへの単純な切り替えにより、医療システムにおけるインフルエンザの負担を大幅に軽減できると考えられた。 著者は、「本研究は、従来のワクチン試験では通常評価が困難なきわめて重度のアウトカムについて、十分な検出力を持つ無作為化された評価を可能にした」「インフルエンザのワクチン接種は適応範囲が広いことを考慮すると、高齢者に特化して開発されたHD-IIVの導入は公衆衛生上、大きな利益をもたらす可能性がある」としている。

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既治療の非MSI-H/dMMR大腸がん、zanzalintinib+アテゾリズマブがOS改善(STELLAR-303)/Lancet

 再発・難治性の転移を有する大腸がん(高頻度マイクロサテライト不安定性[MSI-H]またはミスマッチ修復機構欠損[dMMR]を持たない)では、免疫療法ベースのレジメンであるzanzalintinib(TAMキナーゼ[TYRO3、AXL、MER]、MET、VEGF受容体などの複数のキナーゼの低分子阻害薬)+アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)によるchemotherapy-freeの併用治療は、標準治療のレゴラフェニブと比較して、肝転移の有無にかかわらず全生存期間(OS)に関して有益性をもたらし、安全性プロファイルは既報の当レジメンや類似の併用療法とほぼ同様だが、治療関連死が多いことが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJ. Randolph Hecht氏らSTELLAR-303 study investigatorsによる第III相試験「STELLAR-303」において示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年10月20日号で発表された。16ヵ国の非盲検無作為化試験 STELLAR-303試験は、16ヵ国121施設で実施した国際的な非盲検無作為化試験(Exelixisの助成を受けた)。2022年9月~2024年7月に参加者のスクリーニングを行った。 年齢18歳以上、転移を有する大腸腺がんと診断され、病勢が進行または標準治療が不応・不耐で、MSI-HまたはdMMRの腫瘍を持たない患者901例(年齢中央値60歳、男性528例[59%]、白人485例[54%]、アジア系338例[38%]、前治療レジメン数中央値2[四分位範囲[IQR]:2~3])を登録した。 被験者を、zanzalintinib(100mg、連日経口投与)+アテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと、静脈内投与)を受ける群(451例)、またはレゴラフェニブ(160mg、28日を1サイクルとして1~21日に連日経口投与)を受ける群(450例)に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、ITT集団におけるOSと、肝転移のない患者におけるOSの2つとした。客観的奏効率は4% 追跡期間中央値18.0ヵ月(IQR:14.6~21.5)の時点でのITT集団におけるOS中央値は、レゴラフェニブ群が9.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:8.5~10.2)であったのに対し、zanzalintinib+アテゾリズマブ群は10.9ヵ月(9.9~12.1)と有意に優れた(層別ハザード比[HR]:0.80、95%CI:0.69~0.93、p=0.0045)。1年OS率は、zanzalintinib+アテゾリズマブ群46%、レゴラフェニブ群38%、2年OS率は、それぞれ20%および10%だった。 また、肝転移のない患者の中間解析では、OS中央値はzanzalintinib+アテゾリズマブ群が15.9ヵ月(95%CI:13.5~17.6)、レゴラフェニブ群は12.7ヵ月(10.9~15.5)であり、両群間に有意差を認めなかった(層別HR:0.79、95%CI:0.61~1.03、p=0.087)。 ITT集団における無増悪生存期間(PFS)中央値は、zanzalintinib+アテゾリズマブ群が3.7ヵ月、レゴラフェニブ群は2.0ヵ月(層別HR:0.68、95%CI:0.59~0.79)、肝転移のない患者ではそれぞれ5.3ヵ月および3.7ヵ月(0.66、0.52~0.83)であった。また、ITT集団における客観的奏効率は、zanzalintinib+アテゾリズマブ群が4%(16/451例)、レゴラフェニブ群は1%(5/450例)だった。Grade3/4の高血圧が15%に Grade3以上の治療関連有害事象は、zanzalintinib+アテゾリズマブ群で60%(268/446例)、レゴラフェニブ群で37%(161/434例)に発現した。最も頻度の高いGrade3/4の治療関連有害事象は、高血圧(zanzalintinib+アテゾリズマブ群15%、レゴラフェニブ群9%)、蛋白尿(6%、2%)、疲労感(6%、2%)、下痢(6%、2%)であった。 重篤な治療関連有害事象は、zanzalintinib+アテゾリズマブ群で26%、レゴラフェニブ群で10%にみられ、治療中止に至った有害事象はそれぞれ18%および15%に、治療関連死はそれぞれ1%(5例:zanzalintinibによる腸管穿孔2例、アテゾリズマブによる肺臓炎1例、腎不全1例、zanzalintinib+アテゾリズマブによる意識障害1例)および<1%(空腸穿孔1例)に発生した。 著者は、「この併用療法は、多くの前治療歴があり治療効果の向上が求められる患者において、新たな作用機序を有するchemotherapy-freeの治療選択肢となるだろう」「有害事象は既知のclass effectと一致し、新たな安全性シグナルは認めなかった」としている。

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ホルモン療法とニラパリブの併用が進行前立腺がんに有効

 がんの標的治療薬であるニラパリブ(商品名ゼジューラ)をホルモン療法に追加することで、前立腺がんの増殖リスクが低下し、症状の進行を遅らせることができる可能性が、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)がん研究所腫瘍内科部門長のGerhardt Attard氏らが実施した臨床試験で示された。詳細は、「Nature Medicine」に10月7日掲載された。 Attard氏は、「現行の標準治療は、進行前立腺がん患者の大多数にとって極めて有効性が高い。しかし、少数ではあるが臨床的には重要な割合の患者では限定的な効果しか得られていない」と指摘し、「ニラパリブを併用することでがんの再発を遅らせ、余命の延長も期待できる」とUCLのニュースリリースの中で述べている。 Drugs.comによると、ニラパリブはがん細胞の自己修復機能を阻害する作用を持つPARP(ポリADP-リボースポリメラーゼ)阻害薬で、卵巣がんなど特定のがんの再発を防ぐための維持療法に使用する薬剤として承認されている。 今回の臨床試験では、標準治療薬であるアビラテロン酢酸エステル(商品名ザイティガ)とプレドニゾンにニラパリブを追加する併用療法が検討された。アビラテロンは前立腺がんの増殖を促すテストステロンの産生を抑える一方、プレドニゾンは治療に伴う副作用の一部を軽減する。対象は、32カ国から参加した相同組換え修復(HRR)関連遺伝子変異陽性の進行前立腺がん患者696人(年齢中央値68歳)だった。HRR関連遺伝子はDNA損傷の修復に関与しており、変異があるとがんがより速く増殖して転移しやすくなるとされている。進行前立腺がん患者の約4人に1人にBRCA1、BRCA2、CHEK2、PALB2などのHRR関連遺伝子に変異が見られ、今回の対象者も半数以上(56%)がBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子の変異を保有していた。患者の半数がアビラテロンとプレドニゾンによる標準治療にニラパリブを追加する併用療法を受け、残る半数には標準治療薬に加えてニラパリブの代わりにプラセボが投与された。 約2年半の追跡期間でのITT解析から、ニラパリブ併用群では標準治療群と比べて画像診断による増悪または死亡のリスクが37%低下したことが示された。特に、BRCA1またはBRCA2遺伝子の変異を保有する患者では、画像診断による増悪リスクが48%低下するなどより顕著な効果が見られた。ニラパリブ併用群では標準治療群と比べて症状が悪化するリスクも半減し(ハザード比0.50)、顕著な症状の悪化が認められた患者の割合は、標準治療群で30%、ニラパリブ併用群で16%であった。全生存期間についても改善傾向が認められたが、生存率の向上を確認するにはさらに長期の追跡が必要であるとAttard氏らは述べている。一方で、ニラパリブ併用群では、貧血(29.1%対4.6%)や高血圧(26.5%対18.4%)などの副作用の発生率が有意に高いことが示された。また、患者の25.1%が輸血を必要としたと報告されている(標準治療群では3.7%)。治療関連の死亡者数はニラパリブ併用群14人、標準治療群7人であった。試験期間中、多くの患者が治療を中断しており(ニラパリブ併用群158人、標準治療群196人)、追加治療に移行した患者も少なくなかった。 Attard氏は、「この臨床試験の結果は極めて重要だ。診断時に広範な遺伝子検査を行い、最大のベネフィットが得られる患者に標的治療を適用するべきことを支持するものだからだ」と述べた上で、「医師は、ニラパリブが承認されているHRR関連遺伝子変異を保有するがん患者に対しては、副作用のリスクとがんの進行および症状悪化を遅らせるというベネフィットのバランスを考慮し、治療方針を話し合う必要がある」と付け加えている。

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オピオイド鎮痛薬のトラマドール、有効性と安全性に疑問

 がんによる疼痛や慢性疼痛に対して広く処方されている弱オピオイド鎮痛薬(以下、オピオイド)のトラマドールは、期待されたほどの効果はないことが、新たな研究で明らかにされた。19件の研究を対象にしたメタアナリシスの結果、トラマドールは中等度から重度の疼痛をほとんど軽減しないことが示されたという。コペンハーゲン大学(デンマーク)附属のリグスホスピタレットのJehad Ahmad Barakji氏らによるこの研究結果は、「BMJ Evidence Based Medicine」に10月7日掲載された。研究グループは、「トラマドールの使用は最小限に抑える必要があり、それを推奨するガイドラインを再検討する必要もある」と結論付けている。 研究グループによると、トラマドールはモルヒネと同様に脳内のオピオイド受容体に結合することで鎮痛作用を発揮するが、セロトニンやアドレナリンといった脳内化学物質の再取り込みを阻害することで、抗うつ薬に似た作用も併せ持つ。トラマドールは、モルヒネ、オキシコンチン、フェンタニルといったより強力なオピオイドよりも安全で依存性が低い選択肢と見なされていることから使用が急増し、現在では米国で最もよく処方されるオピオイド鎮痛薬の一つになっているという。 Barakji氏らは今回、総計6,506人の慢性疼痛患者を対象とした19件のランダム化比較試験のデータを統合して解析した。5件の研究は神経痛、9件は変形性関節症、4件は腰痛、1件は線維筋痛症に対するトラマドールの使用を検討していた。 その結果、トラマドールは慢性疼痛の軽減に対してわずかに効果があるものの、その効果量は、NRS(Numerical Rating Scale;痛みを0〜10の数字で評価する指標)で1.0ポイントという、事前に設定した臨床における最小重要差には届かないことが明らかになった。重篤な有害事象については、トラマドール群ではプラセボ群と比較してリスクが2倍に増加しており、このリスクは、主に心臓関連イベントと新生物の発生率の高さに起因していた。その他の副作用には、吐き気、めまい、便秘、眠気などがあった。 これらの結果からBarakji氏らは、「疼痛管理のためにトラマドールを使用することで生じる潜在的な有害性は、その限られた有効性を上回る可能性が高い」と述べている。また同氏らは、対象とした研究の実施方法に鑑みると、これらの結果はトラマドールの有効性を過大評価する一方で、有害性を過小評価している可能性が高いと指摘している。 さらにBarakji氏らは、トラマドールの使用を控えるべき理由として依存と過剰摂取を挙げ、「世界中で約6000万人が依存を引き起こすオピオイドの作用を経験している。2019年には薬物使用により約60万人が死亡した。そのうちの約80%はオピオイド関連、約25%はオピオイドの過剰摂取によるものだった」と述べている。 研究グループは、「米国では、オピオイド関連の過剰摂取による死亡者数は、2019年の4万9,860人から2022年には8万1,806人に増加した。これらの傾向と今回の研究結果を考慮すると、トラマドールをはじめとするオピオイドの使用は可能な限り最小限に抑えるべきだ」と主張している。

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脳に異なる影響を及ぼす5つの睡眠パターンを特定

 睡眠は、一晩にどれだけ長く眠るか以上の意味を持ち、睡眠パターンは、気分、脳の機能、さらには長期的な健康状態に影響を与える可能性が指摘されている。こうした中、睡眠の多面的な性質と人の健康・認知機能・生活習慣との関係を検討した新たな研究において5つの睡眠プロファイルが特定された。研究グループは、「これらのプロファイルは、ストレスや感情から寝室の快適さまで、睡眠の質に影響を与える生物学的、精神的、環境的要因の組み合わせを反映している」と述べている。コンコルディア大学(カナダ)のValeria Kebets氏らによるこの研究の詳細は、「PLOS Biology」に10月7日掲載された。Kebets氏は、「人々は睡眠について真剣に考えるべきだ。睡眠は日常生活のあらゆる機能に影響する」とNBCニュースに語った。 この研究では、770人の健康な若年成人(平均年齢28.86歳、女性53.76%)を対象に、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)の7つの下位項目(主観的睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠障害、睡眠薬の使用、日中の機能障害)と118個の生物・心理・社会的指標(認知能力、身体・精神の健康、性格特性、感情、薬物使用、人口統計学的属性との関連を検討した。 その結果、以下に挙げる5つの睡眠プロファイルが特定された。1)睡眠不良とメンタルヘルス睡眠満足度の低下や眠りに入るまでの時間の長さなどの睡眠問題を抱え、精神面でも抑うつ、不安、身体症状、内向的行動が見られ、恐怖、怒り、ストレスなど負の感情も強い。2)睡眠レジリエンス(回復力)精神的問題を抱え、特に注意力の問題(不注意、注意欠如・多動症)や誠実性の低下、負の感情が顕著に見られるが、睡眠には不満を感じておらず(睡眠レジリエンス)、日中の機能障害以外はほとんど問題が見られない。3)睡眠薬の使用と社会関係睡眠薬の使用を特徴とし、睡眠薬の使用は社会関係の満足度と関連している。日中の機能障害は少なく、注意力にも問題はない。視覚的エピソード記憶や感情認識のパフォーマンスの低下は見られるが、社会関係には満足している。4)睡眠不足と認知能力夜間の睡眠時間が6〜7時間未満であることが特徴。認知能力では感情処理、報酬判断、言語、流動性知能、社会認知タスクの正確性の低下および反応時間の延長が見られる。攻撃性が強まり、協調性は低下している。5)睡眠障害とメンタルヘルス複数回の中途覚醒、睡眠時の呼吸の問題、夜間の排尿、睡眠中に痛み・寒さ・暑さを感じることを特徴とし、これらの睡眠障害が攻撃的な行動と関連している。認知能力では、言語処理能力と作業記憶に低下が見られる。メンタルヘルス面では不安、思考の問題、内向的行動を抱えており、タバコやアルコールなどの物質使用が見られる。 この研究には関与していない米ノースウェスタン大学概日リズム・睡眠医学センター所長のPhyllis Zee氏は、「研究や臨床では、複数の睡眠パターンを考慮する必要がある。そのためには、データを多次元的に解析するアプローチが重要だ」とNBCニュースに対して語っている。 また、同様に本研究には関与していない米スタンフォード大学の睡眠医学専門医であるRafael Pelayo氏は、「この研究は、心身の健康にとって十分な休息がいかに重要であるかを再確認させるものだ。睡眠は、単にベッドで過ごす時間だけの問題ではない。睡眠を改善できれば、精神的な健康だけでなく、身体的な健康も含めた全体的な健康にも良い影響がもたらされる」と述べている。

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