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会員医師の昨年度の最多年収帯は?/1,000人アンケート

 ケアネットでは、3月10日(木)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その結果、82%の医師が昨年度の年収額を1,000万円以上と回答し、その中で最も多い年収帯は2,000~2,500万円であった(全体の15%)。また、全体の58%の医師が1,000~2,000万円の年収帯に分布し、2,000~3,000万円は20%、3,000万円以上は4%であった。46~65歳では6割以上が1,600万円以上と回答 最多年収帯を年代別にみると、35歳以下が1,000~1,200万円(21%)、36~45歳が1,200~1,400万円(17%)、46~55歳が1,600~1,800万円および2,000~2,500万円(ともに19%)、56~65歳および66歳以上が2,000~2,500万円(22%、14%)だった。 年収1,000万円以上が占める割合は、35歳以下が64%、36~45歳が87%、46~55歳が91%、56~65歳が92%と年齢が上がるごとに増加したが、66歳以上では76%と減少した。また、46~65歳では6割以上が1,600万円以上と回答した。診療科別の傾向は? 診療科別に昨年度の年収が1,600万円以上と回答した医師の割合をみると、内科系と比較して外科系で多い傾向がみられた(以下は30人以上の回答が得られた診療科から抜粋):内科系循環器内科(54%)精神科(54%)内科(48%)消化器内科(45%)神経内科(38%)小児科(37%)呼吸器内科(36%)糖尿病・代謝・内分泌内科(30%)外科系消化器外科(67%)外科(60%)脳神経外科(50%)整形外科(47%)耳鼻咽喉科(40%) その他の診療科、男女別、病床数別、勤務先別の医師の年収分布についても、以下のページで結果を発表している。医師の年収に関するアンケート2022【第1回】昨年度の年収

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ニボルマブ、尿路上皮がん術後補助療法と切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん1次治療に対して欧州委員会より承認取得/BMS

 2022年4月5日、ブリストル マイヤーズ スクイブは、PD-L1発現レベル1%以上の根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がんの術後補助療法、切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん(ESCC)の1次治療薬として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が欧州委員会より承認を受けたことを発表した。ESCCに関してはニボルマブとイピリムマブの併用療法、ニボルマブとフルオロピリミジン系およびプラチナ系薬剤を含む化学療法の併用療法の2つで承認を取得した。今回発表されたのは、CheckMate-274試験(尿路上皮がん)、CheckMate-648試験(ESCC)の結果に基づいたものである。 CheckMate-274試験において、DFSの中央値はニボルマブで未達、プラセボでは8.41ヵ月で、ニボルマブがプラセボと比較して、再発または死亡のリスクを47%低減させた(ハザード比[HR]:0.53、95%信頼区間[CI]:0.38~0.75、p=0.0005)。ニボルマブの忍容性は全体的に良好で、安全性プロファイルはこれまでに報告されたニボルマブの固形がん患者における試験のものと一貫していた。 CheckMate-648試験において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法では、OSの中央値はニボルマブとイピリムマブの併用療法群で13.70ヵ月(95%CI:11.24~17.02)、化学療法群で9.07ヵ月(95%CI:7.69~9.95)であった(HR:0.64、95%CI:0.46~0.90、p=0.0010)。PFSの中央値は、ニボルマブとイピリムマブの併用療法群で4.04ヵ月(95%CI:2.40~4.93)、化学療法群で4.44ヵ月(95%CI:2.89~5.82)であった(HR:1.02、95%CI:0.73~1.43、p=0.8958)。  ニボルマブと化学療法の併用療法では、OSの中央値はニボルマブと化学療法の併用療法群で15.44ヵ月(95%CI:11.93~19.52)、化学療法群で9.07ヵ月(95%CI:7.69~9.95)であった(HR:0.54、95%CI:0.37~0.80、p<0.0001)。PFSの中央値は、ニボルマブと化学療法の併用療法群で6.93ヵ月(95%CI:5.68~8.34)、化学療法群で4.44ヵ月(95%CI:2.89~5.82)であった(HR:0.65、95%CI:0.46~0.92、p=0.0023)。

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頭痛と認知症リスク~メタ解析

 頭痛とすべての原因による認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症との関連を明らかにするため、中国・人民解放軍北部戦区総医院のHuiling Qu氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2022年2月11日号の報告。 2021年10月8日までに公表されたコホート研究を、MeSH(medical subject headings)の用語およびキーワードを用いて、PubMed、Cochrane Library、Embase、Web of Scienceより検索した。統計分析には、ソフトウェアStata ver.14.0を用いた。p>0.1およびI2≦50%の場合には固定効果モデルを、I2>50%(不均一性が大きい)の場合にはランダム効果モデルを用いた。出版バイアスの評価には、ファンネルプロットおよびEgger検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には、2001~20年に公表されたコホート研究12件、46万5,358例が含まれた。・プーリング分析では、頭痛歴はすべての原因による認知症のリスク増加と関連していることが示唆された(OR:1.35、95%CI:1.21~1.50、I2=81.6%、p<0.001)。・頭痛歴は、アルツハイマー型認知症(OR:1.49、95%CI:1.08~2.05、I2=70.0%、p=0.003)および血管性認知症(OR:1.72、95%CI:1.32~2.25、I2=0%、p<0.001)のリスク増加との関連も認められた。・サブグループ解析では、頭痛歴を有する女性は、男性よりも認知症リスクが高く(OR:1.32、95%CI:1.16~1.51、I2=88.3%、p<0.001)、レトロスペクティブコホート研究の認知症リスクは、プロスペクティブコホート研究の同リスクよりわずかに高かった(OR:1.38、95%CI:1.22~1.56、I2=83.4%、p<0.001)。 著者らは「頭痛歴は、すべての原因による認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症のリスク増加と関連が認められた。本所見は、頭痛が認知症の独立したリスク因子であることを示唆している」としている。

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妊娠中のコロナワクチン接種、周産期アウトカムへの影響は?/JAMA

 妊娠中の女性に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種しても、妊娠終了後の接種や非接種と比較して、母子における有害な周産期アウトカムのリスクの増加はほとんどみられないことが、カナダ・オタワ大学のDeshayne B. Fell氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年3月24日号に掲載された。オンタリオ州の後ろ向きコホート研究 研究グループは、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種の、周産期のアウトカムに及ぼす影響の評価を目的に、人口ベースの後ろ向きコホート研究を行った(カナダ公衆衛生庁の助成を受けた)。 解析には、カナダ・オンタリオ州のCOVID-19予防接種データベース(COVaxON)と連携させた出生レジストリ(Better Outcomes Registry & Network[BORN] Ontario)の2020年12月14日~2021年9月30日のデータが用いられた。 被験者は、妊娠中に少なくとも1回のCOVID-19ワクチン接種を受けた群、妊娠終了後に接種を開始した群、接種の記録がない群の3群に分けられた。 主要アウトカムは、母親では分娩後出血、絨毛膜羊膜炎、帝王切開による分娩(全体および緊急時)、新生児では新生児集中治療室(NICU)入室、分娩5分後の新生児Apgarスコア低値(7点未満)の発生とされた。リスク増大なし、ほとんどがmRNAワクチンである点に留意 9万7,590人(平均年齢 31.9[SD 4.9]歳)の妊婦が解析に含まれた。2万2,660人(23%)が妊娠中に少なくとも1回のワクチン接種を受け、このうち63.6%は妊娠第3期(妊娠期間中央値213日[在胎週数30週])に1回目の接種を受けており、99.8%(BNT162b2[Pfizer-BioNTech製]79.9%、mRNA-1273[Moderna製]19.9%)がmRNAワクチンであった。 これら妊娠中接種群は、妊娠終了後接種群(4万4,815人)と比較して、5つの有害な周産期アウトカムについて、統計学的に有意なリスクの増加は認められなかった。 すなわち、分娩後出血の発生率は、妊娠中接種群が3.0%、妊娠終了後接種群も3.0%(補正後群間リスク差:-0.28/100人[95%信頼区間[CI]:-0.59~0.03]、補正後リスク比:0.91[95%CI:0.82~1.02])で、絨毛膜羊膜炎はいずれも0.5%(-0.04/100人[-0.17~0.09]、0.92[0.70~1.21])と両群に差はなく、帝王切開による分娩は30.8%および32.2%(-2.73/100人[-3.59~-1.88]、0.92[0.89~0.95])と、妊娠中接種群のほうが低かった。また、新生児の2つのアウトカムはいずれも妊娠中接種群でリスクが低く、NICU入室は11.0%および13.3%(-1.89/100人[-2.49~-1.30]、0.85[0.80~0.90])、分娩5分後Apgarスコア低値は1.8%および2.0%(-0.31/100人[-0.56~-0.06]、0.84[0.73~0.97])だった。 また、非接種群(3万115人)と比較した場合の、妊娠中接種群における有害な周産期アウトカムの発生のリスクは以下のとおりであり、妊娠終了後接種群との比較とほぼ同程度であった。 分娩後出血(3.0% vs.3.4%、補正後リスク差:-0.32/100人[95%CI:-0.64~-0.01]、補正後リスク比:0.90[0.81~1.00])、絨毛膜羊膜炎(0.5% vs.0.3%、0.07/100人[-0.04~0.19]、1.20[0.90~1.59])、帝王切開による分娩(30.8% vs.28.5%、-0.97/100人[-1.81~-0.14]、0.97[0.94~1.00])、NICU入室(11.0% vs.12.8%、-0.93/100人[-1.52~-0.35]、0.92[0.87~0.97])、分娩5分後Apgarスコア低値(1.8% vs.2.0%、-0.23/100人[-0.47~0.02]、0.88[0.77~1.01])。 著者は、「これらの結果を解釈する際は、妊娠中のワクチン接種の多くは妊娠第2~3期に接種されたmRNAワクチンである点に留意する必要がある」としている。

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回復期患者血漿、ワクチン未接種のコロナ外来患者に有効か?/NEJM

 多くがワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の外来患者において、症状発現から9日以内の回復期患者血漿の輸血は対照血漿と比較して、入院に至る病態悪化のリスクを有意に低減し、安全性は劣らないことが、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のDavid J. Sullivan氏らが実施した「CSSC-004試験」で確認された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年3月30日号に掲載された。米国23施設の無作為化対照比較試験 本研究は、COVID-19外来患者の重篤な合併症の予防における回復期患者血漿の有効性の評価を目的とする二重盲検無作為化対照比較試験であり、2020年6月3日~2021年10月1日の期間に、米国の23施設で参加者の登録が行われた(米国国防総省などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性で、COVID-19の症状発現から8日以内の外来患者であり、病態悪化のリスクやワクチン接種の有無は問われなかった。 被験者は、回復期患者血漿または対照血漿の輸血を受ける群(両群とも約250mLを単回投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、登録後24時間以内に約1時間をかけて輸血された後、30分間の経過観察が行われた。 対照血漿には、2019年に献血で得られたか、2019年12月以降にSARS-CoV-2陰性と判定された集団から得られた血漿が用いられた。 主要アウトカムは、輸血から28日以内のCOVID-19関連入院とされた。相対リスクが54%低下 1,225例(SARS-CoV-2陽性の判定はRNA検出が87%、抗原検出が13%)が無作為化の対象となり、このうち実際に輸血を受けた1,181例(年齢中央値43歳、65歳以上7%、50歳以上35%、女性57%[3例の妊婦を含む]、症状発現から輸血までの期間中央値6日)が修正intention-to-treat解析に含まれた(回復期患者血漿群592例、対照血漿群589例)。 ワクチンは、未接種が回復期患者血漿群83.3%、対照血漿群81.7%、部分接種がそれぞれ4.6%および5.3%、完全接種は12.2%および13.1%であった。 28日以内のCOVID-19関連入院は、回復期患者血漿群が592例中17例(2.9%)で認められ、対照血漿群の589例中37例(6.3%)と比較して有意に良好で(絶対リスク低下率:3.4ポイント、95%信頼区間[CI]:1.0~5.8、p=0.005)、相対リスクが54%低下した。1回の入院を回避するのに要する治療必要数は29.4例だった。 回復期患者血漿群の12例と対照血漿群の26例で、病態の悪化により酸素補給が行われた。対照血漿群の3例が、入院後に死亡した。 両群を合わせた入院患者54例のうち53例はワクチン未接種で、残りの1例は部分接種であり、完全接種はなかったため、ワクチン接種者における有効性の評価はできなかった。 Grade3/4の有害事象は89件発現し、回復期患者血漿群が34件、対照血漿群は55件であった。非入院患者では、16件のGrade3/4の有害事象が認められ、それぞれ7件および9件だった。 著者は、「これらの結果は、とくにワクチン配布に不均衡がみられる医療資源が乏しい地域において、公衆衛生上の重要な意味を持つ」とし、「将来のCOVID-19の世界的流行を想定すると、回復期患者血漿を迅速に投与できる輸血センターの設立が考慮すべき課題となるだろう。また、現在の世界的流行においても、モノクローナル抗体に対する耐性を持つSARS-CoV-2変異株が伝播し続けていることから、とくに地域で得られた最近の血漿には、循環する株に対する抗体が含まれるため、COVID-19回復期患者血漿の入手と配布の能力の開発が、有益性をもたらす可能性がある」と指摘している。

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Dr.田中和豊の血液検査指南 電解質編

第1回 総論1:生理学第2回 総論2:体液第3回 総論3:輸液第4回 総論4:尿第5回 総論5:酸塩基平衡の歴史第6回 総論6:酸塩基平衡障害の評価方法第7回 総論7:酸塩基平衡評価の実際第8回 各論1:高Na血症第9回 各論2:低Na血症第10回 各論3:K(カリウム)第11回 各論4:CaとP第12回 各論5:Mg、微量元素とビタミン 「Dr.田中和豊の血液検査指南」シリーズの第3弾となる電解質編は総論と各論の2部構成。 電解質総論では生理学、体液、輸液、尿、酸塩基平衡について、基礎となる部分を解説します。苦手な人も多い「電解質」。そんな方にも理解しやすいよう尿細管やイオンチャネル、煩雑な数式などはできるだけ使用せず、簡略化し、エッセンスだけを解説していきます。電解質各論では、Na、K、Ca、P、Mgなど血液検査でそれぞれの電解質の異常を診たときのDr.田中和豊式“鉄則”と“フローチャート”を示して電解質異常へのアプローチを徹底的にレクチャーします。医学生、臨床研修医は必見です!もう「電解質は苦手」とは言わせません!※この番組をご覧になる際に、「問題解決型救急初期検査 第2版(医学書院)」ご参考いただくと、より理解が深まります。書籍はこちら ↓【問題解決型救急初期検査 第2版(医学書院)】第1回 総論1:生理学Dr.田中和豊の血液検査指南の第3弾、電解質編がスタート。生理学からレクチャーしていきますが、その前に、苦手意識を持つ人も多い「電解質」。なぜ電解質がわからないのか を確認してみましょう。そこに苦手意識を解消するヒントが隠れているからです。生理学では、人間の細胞とその環境を理解するために、生命の誕生と進化についてお話します。その後、体液維持のメカニズム、浸透圧調節系、容量調節系についてわかりやすい図を用いて解説します。第2回 総論2:体液Dr.田中和豊の血液検査指南「電解質編」の第2回は「体液」を解説します。人体の60%を占める液体のうち、40%は細胞内液で20%が細胞外液です。そして、20%の細胞外液のうち、15%は細胞と細胞の間の細胞間質液で、残りの5%が血漿です。脱水症や電解質異常の場合、その体液分画の比率に異常が生じている可能性があります。そのような疾患の体液分画異常を推定するために用いられるのが体液評価の指標で、容量調節系であるNa平衡を評価する指標と浸透圧調節系である水平衡を評価する指標が存在します。これらの指標を使って、どのように体液を評価していくのか。Dr.田中和豊のわかりやすい解説で、理解を深めていきましょう! 第3回 総論3:輸液Dr.田中和豊の血液検査指南「電解質編」の第3回は「輸液」の解説です。「輸液」についてどう感じていますか?「計算が面倒」「時間がない」「なんとなく」などさまざまなご意見があるのではないでしょうか?この番組では、計算しなければならないという輸液に対する「強迫観念」を捨て、「おおざっぱ」な輸液方法をお教えします。第4回 総論4:尿前回の第3回では“輸液”で水分を“入れる”ことを確認しました。今回は“尿”、すなわち水分を“出す”、“出る”ことについて考えていきましょう。尿とは、水溶性老廃物を溶質、水を溶媒とする水溶液。しかし、単なる水溶液ではありません。人間が陸上で生きていくためには、人体の体液量と濃度を一定に調整することが必要なのです。そのため、生体は、尿の量と濃度をリアルタイムでコントロールして排出しているのです。それではその尿の量や濃度はどのようにコントロールされているのでしょうか。Dr.田中和豊がわかりやすく解説します。第5回 総論5:酸塩基平衡の歴史1884年に初めて化学上、「酸塩基」が定義されました。その後、生体における酸塩基平衡はCopenhagenアプローチ、Bostonアプローチ、Stewartアプローチなどさまざまな理論が展開されてきました。それはどのような考え方から生まれたのか、そしてその議論の決着は?Dr.田中和豊が酸塩基平衡の歴史を興味深く紐解いていきます。第6回 総論6:酸塩基平衡障害の評価方法今回は、酸塩基平衡の評価方法について確認していきましょう。前回で紹介したいくつかの評価方法の中でも、医師国家試験や内科専門医試験に出題されるのはBoston Approachによる酸塩基平衡の評価方法です。ですので、まずはこの評価方法を身に付けていきましょう。Dr.田中和豊公安の、人体の酸塩基平衡の状態を見立てた「酸塩基平衡の海」。これを基に考えていくことによって、そのときの人体の状況と、どのように治療すればよいのかなどが理解できるようになります。第7回 総論7:酸塩基平衡評価の実際総論編の最終回、酸塩基平衡障害の実際の症例を基に評価を行っていきます。これまでに出てきた酸塩基平衡の海や、Dr.田中和豊式チャートを使って評価を進めていきましょう。さらには、二次性反応の簡易判定法の計算式を語呂合わせで覚えるなど、実際の臨床の現場で役立つ内容となっています。また、総論の総まとめでは、これまで示してきた輸液・電解質・酸塩基平衡の三角形だけではなく、新たに六面体という考え方を示しています。ぜひご確認ください。第8回 各論1:高Na血症今回から、各論に入っていきます。電解質異常の緊急性を考えると、高K血症>高Ca血症>Na異常の順になりますが、番組では、Na→K→Ca/P→Mg/Zn/Cuの順に解説していきます。まずは高Na血症からです。高Na血症の定義、発生機序を理解することから。そのうえで、高Na血症の際、どのようにアプローチするのかをDr.田中和豊式フローチャートで確認しましょう。どのように治療するのか、輸液の選択、輸液量や速度の決め方についてもお教えします。Dr.田中和豊のシンプルでわかりやすい解説でしっかりと頭の中に入ってくることでしょう。第9回 各論2:低Na血症各論の第2回は低Na血症です。まずは、低Na血症の定義と、その症状を確認しましょう。そのうえで、どのように診断・治療していくのかをDr.田中和豊式フローチャートで確認し、実際の治療については症例も提示しながら解説します。輸液の種類は?量は?スピードは?それらをどのように決定していくのか、またそのほかにも3%食塩水の作り方など、臨床で迷うところをしっかりとカバーします。第10回 各論3:K(カリウム)今回はK(カリウム)についてみていきます。Kの基準値を覚えておくことは重要です。Kの値を見て、すぐに行動に移す必要があるからです。とくに高K血症は、電解質異常の中で一番緊急性が高いので、まずは治療を行います。慌てずにしっかりと対応できるよう、やるべきことを確認しておきましょう。低Na血症は、比較的緊急性は高くありませんが、原因探索を行い、適切な治療を行えるよう、Dr.田中和豊式フローチャートと鉄則で確認しましょう!第11回 各論4:CaとP各論の第4回目はCa(カルシウム)とP(リン)について解説します。CaとPはホルモンでコントロールされるため、腎臓内科ではなく、内分泌内科で扱われることが多い電解質です。ですが、CaやPの異常は日常的によく遭遇するため、専門領域に関係なく、すべての医師にとって知っておかなければならない電解質です。それぞれの基準値、定義などから実際の治療例までをDr.田中和豊がわかりやすく解説します。第12回 各論5:Mg、微量元素とビタミン電解質編の最終回は、マグネシウム、微量元素とビタミンについて確認していきます。マグネシウムはルーティーンの生化学検査ではチェックしません。しかしながら、Mg異常は全身の臓器にさまざまな症候を起こしえます。そのため、まずMg異常で起こる症候を知り、症候から異常を疑って検査することが重要です。微量元素とビタミンは、栄養の領域で、医師の仕事ではなく、栄養士の仕事という先入観がありませんか?しかし、実は栄養を改善するだけで多くの病態が改善します。不要な検査や薬物を削減するためにも、しっかりと確認しておきましょう。電解質はNa, K, Ca, Pだけではなく、Mg、そして微量元素とビタミンまで日常診療で注意することが、臨床力アップにつながります!

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5年間体温計が頚部に埋まっていた男【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第207回

5年間体温計が頚部に埋まっていた男photo-ACより使用5年間毎日体温を測っている、健康増進意欲の高い人はいるかもしれません。しかし、体内に体温計を5年間入れっぱなしにした人はそうそういないのではないでしょうか。来たぜ、久しぶりの異物論文!Yang L, et al.Unusual cervical foreign body - a neglected thermometer for 5 years: A case reportWorld J Clin Cases . 2021 Oct 26;9(30):9129-9133.32歳男性が、7日前から左頚部の知覚障害と運動制限が悪化したということで受診しました。実は5年前から頚部に軽い知覚異常を感じており、それが7日前に罹患した急性上気道炎によって悪化し、耐えがたい症状となったようです。画像検査を行うと、頚部に棒状の何かがあるではないですか。なんですか、これ?どうやら5年前からの頚部違和感というのが理由のようです。主治医は5年前に何があったのか、と問いました。当時、彼はどうやらヘロイン中毒になっていたらしく、水銀体温計を壊して水銀体温計の本体を意図的に飲み込んだことがあるようです。何やってんの。そのとき、救急外来を受診したのですが、内視鏡検査が行われ、「何もない」という結論に落ち着きました。ヘロイン中毒ということもあって、本人の妄想ではないかと片付けられてしまいました。このときに単純X線や頚部CTなどの画像検査を行っていれば体温計は発見されたのでしょうが……。この論文の異物は、水銀体温計でした。今はもう持っている人はまれでしょうが、細長いガラスの棒みたいなやつです。水銀って体によくないイメージですが、割れた体温計から漏れ出た水銀が、周囲の感染を抑えたのではないかと考察されています1)。漏れ出た水銀によって急性期感染症が抑えられ、5年間の時を経て、発見されたというわけです。1) Batchu H, et al. The effect of disinfectants and line cleaners on the release of mercury from amalgam. J Am Dent Assoc. 2006;137:1419–1425.

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第103回 24年度まで無料延長!今がチャンスの風疹抗体検査とワクチン接種

前回、新型コロナウイルス感染症の3回目接種の進捗が低調なのではないかと本連載で触れたが、以下の記事によると、実際にそうらしい。「ワクチン3回目、遅れる現役世代 対象の2割が未接種」(日本経済新聞)記事では3月末までに3回目の接種時期を迎えた現役世代の4人に1人は未接種とのデータを紹介。その背景について厚生労働省は副反応への懸念があると見ているとのこと。前回はそうした可能性があることを踏まえ、メッセンジャーRNAワクチンに比べて接種者が自覚する副反応頻度がやや低い「組み換えタンパクワクチン」の承認を急ぐべきだと私は主張したが、どうやらその点は実現しそうな見込みである。一方、岸田 文雄首相はワクチンの3回接種完了者向けにコンサートやスポーツ観戦などのイベントに割引を適用する「ワクワクイベント事業」の展開を検討していると報じられている。すでにこの種の振興事業に関しては、「Go To トラベル事業」の代替措置として観光庁が支援している「県民割」がある。これは新型コロナの感染状況がステージII以下の自治体で、新型コロナワクチンの2回接種完了あるいはPCR検査などの陰性を条件に居住県内あるいは隣接県への旅行代金を最大7割引にするというもので、4月6日現在、全国39道府県で実施中だ。4月1日からはこれが自県や隣接県のみならず、全国を6つに分けた地域ブロック内の旅行でも適用する「ブロック割」となり、条件も新型コロナワクチンの3回接種完了あるいはPCR検査などの陰性に切り替えられている(ただし、県内旅行の場合は知事の判断で従来のワクチン2回接種かPCR検査などの陰性結果の条件でも可)。この種の経済インセンティブによる「ニンジンをぶら下げ」手法には反発もあるようだが、行動変容などを促す場合にはある程度は必要だと個人的には思っている。さらに言えば、私はこのインセンティブ策を現在中断している「Go To Eat」へも拡大するとより効果的ではないかと考えている。ご存じのように、コロナ禍では飲食業界は新型インフルエンザ等特措法に基づく都道府県の営業自粛要請で最も大きな打撃を受けている。その意味では自粛要請期間すべてにきちんと応じた飲食店のみを対象に、前述のコロナワクチン接種の完了あるいは検査陰性を条件に飲食で割引が受けられるなどお得に使えるクーポン発行などをするという具合だ。ちなみにこうしたインセンティブ政策は、群馬県などのように地方自治体独自で行っているものもある。そうしたなかでさらに私見ではあるが、今回の新型コロナワクチンのインセンティブ策に乗っかる形で、時限措置としてインセンティブを与えたほうが良いのではないかと考えていることがある。それは中年男性への風疹ワクチン接種事業である。国内では2012~13年と2018~19年に風疹の大流行があり、その中核が過去に定期接種の機会がなく抗体保有率が低い中年男性だったことから、該当する1962年4月2日~79年4月1日生まれの男性約1,500万人を対象に無料抗体検査とその検査で風疹ウイルスに対する抗体価が低いと判断された場合のワクチン接種のクーポンが配布されてきた。この事業は本来ならば2021年度末で終了予定だったが、これまで検査を受けた人が約350万人と対象人口に比してかなり低い水準にとどまっていることから、2024年度末まで延長されることが決まった。コロナ禍による受診控えやワクチン接種がコロナにばかり注目が集まるなど、風疹ワクチン接種をめぐってはやや不運な状況が続いている。もっとも新型コロナをきっかけに良くも悪くもワクチンという存在に社会的注目が集まっていることや、4月からのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種勧奨再開などを踏まえれば、ワクチンを巡る状況にはフォローウインドの側面もある。中年男性への風疹ワクチン接種事業は対象も限定的なため、経済的インセンティブ措置を講じる場合も予算規模はより小さくて済む。さらにやや余計な物言いかもしれないが、風疹ワクチンが細胞性免疫の賦活効果が高い生ワクチンであることを考えれば、接種者では風疹以外の感染症への副次的効果も期待できる。その意味では今こそ風疹ワクチンの接種キャンペーンを行う絶好の機会だと思うのだ。

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悪性胸膜中皮腫の根治目指したマイクロRNA創薬【Oncologyインタビュー】第38回

出演広島大学 腫瘍外科 岡田守人氏悪性胸膜中皮腫は、有効な治療方法がなく予後もきわめて悪い。悪性胸膜中皮腫に対して、天然型マイクロRNA抗がん剤MIRX002が開発され、ファースト・イン・ヒューマンの医師主導治験が行われている。悪性胸膜中皮腫の腫瘍増殖を顕著に抑制する可能性があるというMIRX002。開発の背景や製剤に対する期待などを、治験責任者である広島大学の岡田守人氏に聞いた。参考広島大学プレスリリース悪性胸膜中皮腫に対するmiRNA製剤を開発/広島大学

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NOGA血流維持型汎用血管内視鏡ガイドブック

あらゆる臓器の動脈硬化の概念が変わる!NOGA(血流維持型汎用血管内視鏡)を開発した児玉 和久・小松 誠らのグループを中心とした執筆陣が、NOGAの基本、画像の見方、手技の実際、実臨床への応用などについて、多くの画像・動画を用いて解説。冠動脈をはじめ大動脈、肺動脈、腎動脈、下肢動脈などでのNOGAの有用性を示すとともに、あらゆる臓器の動脈硬化の概念を変革し、老化の仕組みにまで迫ろうとするものである。本書の特徴血流維持型汎用血管内視鏡(Non-obstructive General Angioscopy:NOGA)は、日本で開発された血管内腔の動脈硬化や損傷を直接観察するデバイスである。数年前に大動脈への応用が可能となり、従来CTなどでは観察できなかった大動脈内プラークを生体画像としてリアルタイムにとらえられるようになった。本書はNOGAを開発した児玉 和久・小松 誠らのグループを中心とした執筆陣が、NOGAが有用な患者像、画像の見方、手技の実際、実臨床への応用などについて、多くの画像・動画を用いて解説。臨床でのNOGAの有用性を示すとともに、あらゆる臓器の動脈硬化の概念に変革をもたらし、老化の仕組みにまで迫ろうとするものである。本文中のQRコードから、貴重な動画78点を閲覧できるほか、多数の文献もWeb上で閲覧できる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    NOGA血流維持型汎用血管内視鏡ガイドブック定価7,150円(税込)判型B5判頁数240頁発行2022年4月監修児玉 和久(NPO法人日本血管映像化研究機構名誉理事長/大阪暁明館病院特別顧問)編集小松 誠(大阪暁明館病院心臓血管病センター長)

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高齢成人のうつ、不安、PTSDに対する性的虐待の影響

 性的暴力は、メンタルヘルスに重大な影響を及ぼすとされる。小児期の性的虐待は、その後の人生における内在化障害と関連しており、高齢の成人においては、性的暴力がこれまで考えられていた以上に多く発生している。後の人生における性的暴力への医療従事者の対応スキルは十分であるとは言えず、生涯(小児期、成人期、老年期)における性的暴力のメンタルヘルスへの影響に関する研究も不十分である。ベルギー・ゲント大学のAnne Nobels氏らは、高齢成人を対象に、性的虐待とメンタルヘルスへの影響について調査を行った。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2022年2月28日号の報告。 2019年7月~2020年3月、ベルギー在住の高齢成人513人を対象に構造化された対面式インタビューを実施した。ランダムウォーク検索アプローチを用いて、クラスターランダム確立サンプリングを行った。うつ病、不安神経症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の評価には検証済みの尺度を用いた。対象者には、生涯および過去12ヵ月間の自殺企図および自傷行為について質問した。性的暴力は、広範な性的暴力の定義に基づくbehaviourally specific questionsを用いて測定した。 主な結果は以下のとおり。・各発症率は、うつ病27%、不安神経症26%、PTSDが6%であり、過去12ヵ月間における自殺企図の割合は2%、自傷行為の割合は1%であった。・生涯における性的暴力の経験は44%以上で認められ、過去12ヵ月間でも8%であった。・生涯における性的暴力は、うつ病(p=0.001)、不安神経症(p=0.001)、慢性疾患を有する(p=0.002)または低学歴である(p<0.001)試験参加者のPTSDと関連が認められた。・生涯における性的暴力と過去12ヵ月間の自殺企図または自傷行為との間に関連は認められなかった。 著者らは「生涯における性的暴力は、後の人生におけるメンタルヘルスの問題と関連しており、性的暴力歴を有する高齢成人に個別に対応したメンタルヘルスケアが求められる。そのためには、専門家への教育促進や臨床ガイドラインの開発、ケア手順の策定が重要である」としている。

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デュルバルマブのStageIII肺がん維持療法、逐次化学放射線療法後でも有望な結果(PACIFIC-6)/ELCC2022

 StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)の逐次化学放射線療法(SCRT)後のデュルバルマブ維持療法を評価する第II相PACIFIC-6試験の結果が、欧州肺学会議(ELCC2022)で発表された。SCRT後のデュルバルマブ維持療法は、CCRT後と同様の安全性プロファイルを示した。 切除不能なStageIII NSCLCでは、CCRTが標準治療である。しかし、高齢またはフレイルな患者などCCRTに耐えられない可能性のある患者には、SCRTが代替とされる。 デュルバルマブのStageIII NSCLCのCCRT後における維持療法は、標準治療として欧米や日本のガイドラインでも推奨されている。今回のPACIFIC-6試験は、SCRT後のデュルバルマブ維持療法について、主に安全性を評価する多施設非盲検第II相試験である。PACIFIC-6試験の主要評価項目はデュルバルマブ投与開始6ヵ月以内に発生するGrade3/4の治療関連有害事象(TRAE)である。副次評価項目としては治験担当医による有効性評価(無増悪生存期間[PFS]、全生存期間[OS]、奏効期間、奏効率、肺がん死亡率)、さらなる安全性評価としての全AEと重篤なAEの発現率などが設定されている。 結果、117例がデュルバルマブの維持療法を受け、主要評価項目であるデュルバルマブ開始6ヵ月以内のGrade3/4のTRAEの発現は4.3%(5例)、そのうち非感染性肺臓炎は2例であった。AE発現率は全Gradeで76.9%、Grade3/4は18.8%であった。治療中止に至ったAEの発現は21.4%、そのうちTRAEは16.2%で発現した。 PFS中央値は10.9ヵ月、12ヵ月PFS率は49.6%であった。OS中央値は25.0ヵ月で、12ヵ月OS率は84.1%である。 発表者のアイルランド・Beaumont病院のJarushka Naidoo氏らは、被験者の大部分が65歳以上でPS2の患者も含んでいることから、PACIFIC-6試験は臨床疑問を反映していると述べた。とくに高度肺臓炎を含む毒性発現は、PACIFIC試験と同様であり、早期肺がんでの免疫治療の進展に興味深いデータを加えるものだとの見解を示している。

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乳がん術前・術後補助療法、乳がん死亡率とその他の死亡率への影響~系統的レビュー

 乳がん治療における術前補助療法や術後補助療法は、乳がんによる死亡率を低下させる可能性がある一方、乳がん以外による死亡率を増加させる可能性がある。今回、英国・オックスフォード大学のAmanda J. Kerr氏らが系統的レビューを実施したところ、ほとんどの比較試験で、がんによる死亡率または再発率が10〜25%減少し、乳がん以外による死亡率の増加はみられなかったが、アントラサイクリンでの化学療法と放射線療法については乳がん以外による全死亡率が増加していた。Cancer Treatment Reviews誌オンライン版2022年3月4日号に掲載。 本レビューでは、ガイドラインを検索し、早期浸潤性乳がんで推奨されている術前・術後補助療法を特定。各治療において最も高いレベルのエビデンスを、系統的に文献検索した。 主な結果は以下のとおり。・米国やその他の国において、化学療法(アントラサイクリン、タキサン、プラチナ、カペシタビン)、抗HER2療法(トラスツズマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ネラチニブ)、内分泌療法(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、卵巣摘出/卵巣機能抑制)、ビスホスホネートなどの治療が推奨されていた。・放射線療法の選択肢として、乳房温存術後において全乳房照射・乳房部分照射・腫瘍床ブースト照射・局所リンパ節照射、乳房切除術後において胸壁照射・局所リンパ節照射があった。・推奨されている治療選択は、無作為化比較試験(1万例超の試験が8件、1,000〜1万例の試験が15件、1,000人未満での試験が1件)で支持されていた。・ほとんどの比較試験で、乳がんによる死亡率または再発率が10〜25%減少し、乳がん以外による死亡率は増加しなかった。・アントラサイクリンでの化学療法と放射線療法は、乳がん以外による全死亡率を増加させた。アントラサイクリンリスクは心疾患と白血病によるものだった。・放射線リスクは主に心疾患、肺がん、食道がんによるものであり、心臓、肺、食道の放射線量の増加に伴い、それぞれの疾患が増加した。・タキサンは白血病リスクを上昇させた。

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新型コロナへのイベルメクチン、RCTの結果が明らかに/NEJM

 早期に診断された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者において、イベルメクチンで治療してもCOVID-19進行による入院の発生率や救急外来での観察期間延長は低下しないことが、ブラジル・Pontifical Catholic University of Minas GeraisのGilmar Reis氏らが実施した無作為化二重盲検プラセボ対照アダプティブプラットフォーム試験「TOGETHER試験」の結果、示された。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の急性症状を呈するCOVID-19外来患者に対するイベルメクチンの有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版2022年3月30日号掲載の報告。入院/救急外来受診患者でイベルメクチンvs.プラセボ 研究グループは、ブラジルの公衆衛生クリニック12施設において、COVID-19の症状発現後7日以内の18歳以上の外来患者のうち、糖尿病、降圧療法を要する高血圧、心血管疾患、肺疾患、50歳以上などのリスク因子のうち少なくとも1つを有する患者を、イベルメクチン(400μg/kgを1日1回3日間投与)群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、無作為化後28日以内のCOVID-19による入院またはCOVID-19悪化による救急外来受診(救急外来での>6時間の経過観察と定義)の複合アウトカムとした。主要評価項目のイベント発現率は14.7% vs.16.3%、有意差なし 2021年3月23日~8月6日の間に、イベルメクチン群(679例)またはプラセボ群(679例)に割り付けられた1,358例が解析に含まれた。 主要評価項目のイベントは、イベルメクチン群で100例(14.7%)、プラセボ群で111例(16.3%)確認され、相対リスクは0.90(95%ベイズ信用区間[CrI]:0.70~1.16)であった。主要評価のイベント計211例のうち、171例(81.0%)が入院であった。 少なくとも1回のイベルメクチンまたはプラセボの投与を受けた患者のみを解析対象とした修正intention-to-treat解析(相対リスク:0.89、95%ベイズCrI:0.69~1.15)、ならびに割り付けられた治療のアドヒアランスが100%の患者のみを解析対象としたper-protocol解析(0.94、0.67~1.35)でも、主解析と同様の結果が得られた。 イベルメクチン投与による副次評価項目または有害事象への有意な影響は観察されなかった。

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糖尿病患者の非HDL-C値低下に有効なスタチンは?/BMJ

 英国・マンチェスター大学のAlexander Hodkinson氏らはネットワークメタ解析の結果、中用量および高用量のロスバスタチン、ならびに高用量のシンバスタチンとアトルバスタチンが、糖尿病患者の非HDLコレステロール(非HDL-C)値を中等度低下させるのに最も有効であることを示した。糖尿病患者における心血管疾患の1次予防および2次予防の基本はLDL-C値の低下であるが、非HDL-C値に対するスタチンの有効性を比較したエビデンスは不足していた。著者は、「主要ターゲットとして非HDL-C値の低下を用いると心血管疾患の予測精度が向上する可能性があることから、今回の結果は、糖尿病患者において非HDL-C値の低下に最も有効なスタチンの種類と強度に関する指針に役立つと考えられる」とまとめている。BMJ誌2022年3月24日号掲載の報告。無作為化比較試験42件のベイジアンネットワークメタ解析 研究グループは、Medline、Cochrane Central Register of Controlled TrialsおよびEmbaseを用いて2021年12月1日までに公表された研究を検索し、1型または2型糖尿病の成人患者を対象に、プラセボを含むさまざまな種類と用量のスタチンを比較した無作為化試験を適格研究としてシステマティックレビューとネットワークメタ解析を行った。 主要評価項目は、非HDL-C値の変化とし、総コレステロール値とHDL-C値から算出した。副次評価項目は、LDL-C値および総コレステロール値の変化、主要心血管イベント(非致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞、心血管疾患死)、有害事象による中止などである。 ランダム効果モデルを用いたベイジアンネットワークメタ解析により、非HDL-Cに対するスタチン(低用量、中用量、高用量)の治療効果を平均差および95%信用区間(CrI)で評価した。また、サブグループ解析では、主要心血管イベントリスクが高い患者を低リスクまたは中等度リスクの患者と比較した。エビデンスの確実性は、CINeMA(Confidence in Network Meta-analysis)を用いて評価した。 成人患者計2万193例が参加した無作為化比較試験42件から、1万1,698例がメタ解析に組み込まれた。中・高用量ロスバスタチン、高用量のシンバスタチンとアトルバスタチンが有効 プラセボと比較して非HDL-C値の低下が大きかったのは、ロスバスタチンの高用量(平均差:-2.31mmol/L、95%CrI:-3.39~-1.21)と中用量(-2.27、-3.00~-1.49)、高用量シンバスタチン(-2.26、-2.99~-1.51)、高用量アトルバスタチン(-2.20、-2.69~-1.70)であった。アトルバスタチンとシンバスタチンはいずれの用量においても、また、低用量のプラバスタチンも、同様に非HDL-C値の低下に有効であった。 主要心血管イベントの高リスク患者4,670例においては、高用量アトルバスタチンにより非HDL-C値が最も低下した(-1.98、95%CrI:-4.16~0.26、累積順位曲線下面積64%)。高用量シンバスタチン(-1.93、-2.63~-1.21)ならびに高用量ロスバスタチン(-1.76、-2.37~-1.15)は、LDL-C値の低下に最も有効な治療選択肢であった。 プラセボと比較して、中用量アトルバスタチンで非致死的心筋梗塞の有意な減少が確認された(相対リスク:0.57、95%信頼区間:0.43~0.76、試験数4件)。中止、非致死的脳卒中および心血管死については、有意差は認められなかった。

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SB623、外傷性脳損傷の第II相試験で良好な結果/サンバイオ

 サンバイオおよび子会社SanBio, Inc.は、2022年4月5日、外傷性脳損傷患者を対象に、ヒト(同種)骨髄由来加工間葉系幹細胞SB623と偽手術を比較した第II相試験(STEMTRA試験)の1年間の最終解析結果を発表。SB623は主要評価項目を達成した。 同臨床試験では61例の対象患者の46例にSB623が投与され15例が対照群として偽手術を受けた。主要評価項目である24週時点のFugl-Meyer Motor Scale(FMMS)は、SB623群で有意に改量し、運動機能の改善が認められた(SB623投与群8.3点、対照群2.3点、p=0.04)。この運動機能障害の改善は48週時点まで維持された。また、Action Research Arm Test(ARAT)、歩行速度、NeuroQOL上肢・下肢機能Tスコアなど、SB623細胞の移植と48週時点の患者の運動機能および日常生活動作の改善に関連性が認められた。これらの結果は、米国神経学会年次総会のプレナリーセッションで発表されている。 SB623の忍容性は、これまでの試験と同様に良好で、新たな安全性の懸念は認められなかった。有害事象による治療中止はなく、SB623による治療と偽手術の間で有害事象の発生率に統計的有意差は認められなかった。

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HPVワクチン積極的勧奨再開にあわせたイベント&患者説明用フライヤー

 HPVワクチンは2013年に定期接種の対象となったが、その後に相次いで副反応疑いの事例が報告されたため、厚労省は接種を個別に呼びかける「積極的勧奨」を中断していた。その後、ワクチンの有効性に関するエビデンス1)が蓄積し、さらにはワクチン接種後の多様な症状とワクチン接種の関係を否定する報告2)などを背景に、今年4月より9年振りに積極的勧奨が再開されている。 今回の勧奨再開によって、定期接種の対象となる小学校6年生~中学3年生相当年齢の女子に対し、自治体から接種の案内が送付されるようになる。無料接種が可能なのは2価・4価ワクチンで、9価ワクチンや男性の接種は自費となる。併せて、積極的勧奨中断で接種機会を逃した1997~2006年生まれの女性が無料で接種を受けられる「キャッチアップ接種」や、定期接種の対象期間を過ぎて自費で接種を受けた人へ接種費用を払い戻す制度も用意されている。 HPVワクチンの普及啓発活動を行う一般社団法人みんなで知ろうHPVプロジェクト(通称みんパピ!)は、2020年8月の設立以来、HPV感染症について正確な知識を伝えるための活動を展開してきた。今回の積極的勧奨の再開にあたり、 4月9日の「子宮の日=子宮頸がん予防の日」に合わせ、さまざまな啓蒙活動を展開している。 具体的な活動は以下のとおり。人気医療マンガ『コウノドリ』の子宮頸がん編を限定無料公開 鈴ノ木 ユウ氏の人気医療漫画『コウノドリ』の「子宮頸がん」編(13巻40話・14巻41話)を出版社の協力により、「みんパピ!」サイト上で4月22日(金)まで限定無料公開。交通広告の展開 東京の渋谷駅、大阪の難波駅の大型ビジョンにワクチンについての、対象者向けのメッセージ広告を展開。4/9にYou Tubeライブを開催 医療政策などをテーマとした有識者を招いたYou Tubeライブを複数開催。患者説明用フライヤーを更新 従来から作成・配布してきた、医療機関に向けた患者説明用フライヤーの内容を更新(「みんパピ!」サイトでダウンロード可)。 みんパピ!の副代表を務める医師の木下 喬弘氏はプレスセミナーの中で「日本のHPVワクチンの接種率は2019年度で1.9%と他国に比べて恐ろしいほど低い。みんパピ!が昨年行った独自調査(参考記事)では14.4%と上昇してきたが、それでも他先進国の6~9割という接種率には程遠い。今後の急速な接種率回復が今後の子宮頸がんの罹患率・死亡率を下げることは明らかで、メディアとも協力しつつ、対象者と親、学校等への啓蒙活動を続けていきたい」とした。

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3回目接種情報サイトを開設/モデルナ・ジャパン

 2022年4月4日、モデルナ・ジャパン株式会社(以下モデルナ社)はCOVID-19ワクチンの3回目接種を啓発・支援するため、新型コロナウイルスワクチン3回目接種情報サイト「どうする3回目接種?」を開設したことを公表した。 同サイトでは、ワクチン3回目の追加接種についての疑問や悩みに答えるべく、3つの知っておきたいこと(「3回目接種の必要性」、「交互接種について」、「3回目接種の副反応」)に関して、わかりやすい情報と動画を掲載。柔道家のウルフ・アロン氏、パラトライアスリートの谷真海氏がインタビュアーとしてそれぞれの目線で質問し、医師が解説する動画を視聴することができる。解説役はさくら・はるねクリニック銀座/順天堂大学 富坂美織氏、桜新町アーバンクリニック 遠矢純一郎氏の2名が務める。 モデルナ社はよりわかりやすい情報提供を通じて、3回目のワクチン接種の啓発と理解促進につながることを期待しているという。新型コロナウイルスワクチン3回目接種情報サイト「どうする3回目接種?」

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同志少女よ【Dr. 中島の 新・徒然草】(420)

四百二十の段 同志少女よ最近読んで面白かった本の1つがこれ。『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂 冬馬 著/早川書房)1942年の独ソ戦。ソ連の片田舎にあるイワノフスカヤ村を襲ったドイツ軍に母親を殺された少女、セラフィマは復讐を果たすべく中央女性狙撃兵訓練学校に入り、厳しく鍛えられました。そして女性狙撃手だけの第39独立小隊として戦火のウラヌス作戦、地獄のスターリングラード市街戦、そして第2次世界大戦の帰趨を決する1945年4月のケーニヒスベルク攻防戦でドイツ軍と戦います。戦場の描写がすごい。子供を囮にして敵をおびき寄せたり、わざと致命傷を与えずに狙撃しておいて救助に来る敵兵を撃ったり、もう無茶苦茶。いつしか主人公のセラフィマも、殺した敵の数を誇る狂気の世界に足を踏み入れてしまいます。そして物語は一気にクライマックスへ!YouTube などで絶賛されているこの作品。新人とは思えない精密な時代考証や、実在の人物を織り交ぜて戦場のリアルを描いているところが素晴らしい。早川清文学振興財団が主催するアガサ・クリスティー賞において、審査員全員が満点をつけた史上初の受賞、というのも当然かと思います。敵を撃ったんじゃなくて他の候補作を撃ったんじゃないか、と揶揄されるのも無理はありません。それだけでなく、著者のデビュー作である本作が、第166回直木賞候補の5作品に残ったのです。惜しくも受賞はなりませんでしたが、上には上がいたということなのでしょう。さて、本作の特異なことはもう1つあります。実は小説投稿サイトからのデビューなんですね、この作品は。登録者数220万人、発表小説数90万作品を誇る「小説家になろう」を代表とする小説投稿サイトは、ネット時代を反映して100以上も乱立しています。アマチュア作家が自分の作品を自由に投稿し、また読者が好き勝手に評価するという無法地帯!出版社の主催する新人賞への応募という王道以外にも、小説投稿サイトから発掘されて、作家デビューするという道もあるということになります。『同志少女』は、推定登録者数70万人の「カクヨム」で注目されて、メジャーデビューを果たしました。高校生のつくった草野球チームが甲子園の決勝まで進んでしまった、とたとえたほうがわかりやすいでしょうか。出版社の新人賞受賞作の場合は、審査員のお眼鏡にかなっての出版となるので、一定のクオリティは保証されていますが、実際に売れるか否かは別の話。一方、小説投稿サイト出身の作品の場合、出版前に読者の人気投票の洗礼を受けているわけですから、クオリティは別にして売れる作品には違いありません。時代はどんどん進んでいきます。小説自体の出来不出来のほかに、その作品のデビューの背景に思いをはせるのも面白いですね。最後に1句センバツで 『同志少女』が 準優勝

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