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進行/転移TN乳がんの1次治療、PD-L1発現によらずDato-DXd+デュルバルマブが奏効(BEGONIA)/ESMO BREAST 2022

 進行/転移トリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療として、トポイソメラーゼI阻害薬を含むTROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)が、PD-L1発現の有無によらず高い奏効率を示し、安全性プロファイルも管理可能であったことがBEGONIA試験で示された。英国・Queen Mary University of LondonのPeter Schmid氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2022、2022年5月3~5日)で報告した。 BEGONIA試験は、2つのPartで構成された非盲検プラットフォーム試験で、進行/転移TNBCの1次治療として、抗PD-L1抗体のデュルバルマブと他の薬剤との併用を評価している。Part1について、すでにパクリタキセル+デュルバルマブ群での客観的奏効率(ORR)が58.3%、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)+デュルバルマブ群でのORRが66.7%であったことを報告している。今回はDato-DXd+デュルバルマブ群における結果を報告した。・対象:StageIVに対する治療歴のない切除不能な進行/転移TN乳がん・方法:Dato-DXd 6mg/kg+デュルバルマブ1,120mg(3週ごと、静脈内投与)を病勢進行もしくは許容できない毒性発現まで投与・評価項目:[主要評価項目]安全性、忍容性[副次評価項目]ORR(RECIST v1.1)、奏効期間、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS) 主な結果は以下のとおり。・29例がDato-DXd+デュルバルマブを投与され(24例が投与継続中)で、27例がベースライン後に2回評価を受けた。追跡期間中央値は3.9ヵ月(範囲:2~6ヵ月)。・ORRは74%(20/27例、95%CI:54~89)で、完全奏効は2例(7%)、部分奏効は18例(67%)だった。奏効はPD-L1発現の有無によらず認められた。・奏効までの期間の中央値は1.4ヵ月(95%CI:1.35~1.58)で、奏効例すべてがデータカットオフ時(2021年11月15日)も奏効を維持し、奏効期間中央値未到達である。・用量制限毒性は認められていない。・Dato-DXdの減量が4例(14%、すべて口内炎による)、Dato-DXdの投与延期が1例(3%)、デュルバルマブの投与延期が4例(14%)にみられた。・頻度が高い有害事象は、口内炎(69%)、脱毛症(66%)、悪心(66%)であった。下痢は4例(14%、すべてGrade1)と少なく、間質性肺疾患/肺炎や好中球減少は報告されなかった。 現在、本試験のPart2の Dato-DXd +デュルバルマブ群への登録が進行中であり、奏効期間、PFS、OSの評価のためのフォローアップを継続している。

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米国における双極性障害の治療パターン

 双極性障害は慢性的かつ複雑な疾患であるため、治療が困難なケースも少なくない。米国・テキサス工科大学のRakesh Jain氏らは、双極性障害患者に対する治療パターンを明らかにするため、レトロスペクティブ研究を実施した。その結果、抗うつ薬やベンゾジアゼピンは、フロントライン治療としての使用はガイドラインで推奨されていないにもかかわらず、双極性障害に対し高頻度で処方されていることが明らかとなった。本結果は、双極性障害のケアにおける異質性を強調しており、多くの臨床医がエビデンスに基づく双極性障害治療を実践していないことを示唆している。Advances in Therapy誌オンライン版2022年4月6日号の報告。 2016~18年に新たに双極性障害と診断された成人患者を、IBM MarketScan Commercial claims databaseより特定した。患者の登録は、初回診断の12ヵ月以上前と6ヵ月後に行った。Lines of therapy(LOT)は、抗うつ薬、気分安定薬、非定型抗精神病薬、ベンゾジアゼピン、精神刺激薬のほか、適応外の薬物による継続的な治療期間とした。すべてのデータを記述的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・基準を満たした患者は、4万345例であった。・最も一般的な初期エピソードタイプは、双極II型障害(38.1%)であり、次いで双極I型障害(29.8%)、躁病(12.8%)、混合型(12.0%)であった。・すべてのエピソードタイプのうち、約90%が治療を受けており(LOT1)、これらの患者の約80%は1つ以上のLOT追加治療を受けていた。・LOT1(3万6,587例)で使用された薬剤は、気分安定薬(43.8%)、抗うつ薬(42.3%、単剤療法では12.9%)、非定型抗精神病薬(31.7%)、ベンゾジアゼピン(20.7%)であり、LOT追加治療では抗うつ薬(51.4~53.8%)、ベンゾジアゼピン(26.9~27.4%)の使用量の増加が認められた。・LOT1のレジメンは、2,067パターンであった。・治療パターンは、エピソードタイプ全体で類似していた。

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地中海食、心血管イベントの2次予防にも有用/Lancet

 心血管イベントの2次予防において、地中海食は低脂肪食よりも優れていることが、スペインのレイナ・ソフィア大学病院で実施された単施設の無作為化臨床試験「CORDIOPREV試験」で示された。同病院のJavier Delgado-Lista氏らが報告した。地中海食は心血管イベントの1次予防に有効であることが知られているが、2次予防に関するエビデンスは乏しかった。著者は、「今回の結果は、臨床診療に関連しており、2次予防における地中海食の摂取を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年5月4日号掲載の報告。冠動脈疾患既往1,002例を地中海食群と低脂肪食群に無作為化 CORDIOPREV試験の対象は、冠動脈疾患の既往(急性心筋梗塞、不安定狭心症による入院、直径2.5mm以上の心外膜血管の50%以上狭窄)を有し、過去6ヵ月間、冠動脈疾患に関連する臨床事象のない20~75歳の男女である。2009年10月1日~2012年2月28日に、1,002例(平均[±SD]年齢59.5±8.7歳、男性82.5%)が1対1の割合で地中海食群(502例)または低脂肪食群(500例)に無作為に割り付けられた。 それぞれの食事カロリーの構成は、地中海食が脂肪35%以上(1価不飽和脂肪酸22%、多価不飽和脂肪酸6%、飽和脂肪酸10%未満)、タンパク質15%、炭水化物50%以下で、低脂肪食は総脂肪30%未満(1価不飽和脂肪酸12~14%、多価不飽和脂肪酸6~8%、飽和脂肪酸10%未満)、タンパク質15%、炭水化物55%以上で、いずれの食事もコレステロールの含有量は1日300mg未満とした。 栄養士のみが割り付けを知っており、医師および臨床評価委員会委員等は割り付けを盲検化された。また、参加者は盲検化されていなかったが、食事に関することを医師に話さないよう指示された。 主要評価項目は、主要心血管イベント(心筋梗塞、血行再建、虚血性脳卒中、末梢動脈疾患、心血管死の複合)で、intention-to-treat解析を行った。追跡期間中央値7年、地中海食群の主要心血管イベント発生のHRは0.719~0.753 追跡期間中央値7年において、主要心血管イベントは198例に発生した。内訳は、地中海食群87例、低脂肪食群111例で、1,000人年当たりの粗率は地中海食群28.1(95%信頼区間[CI]:27.9~28.3)、低脂肪食群37.7(37.5~37.9)であった(log-rank検定p=0.039)。地中海食群の低脂肪食群に対する、多変量で補正後の主要心血管イベントに関するハザード比(HR)は、0.719(95%CI:0.541~0.957)~0.753(0.568~0.998)であり、地中海食が良好であった。 これらの効果は男性においてより顕著で、主要評価項目のイベント発生率は地中海食群の16.2%(67/414例)に対し低脂肪食群では22.8%(94/413例)(多変量補正後HR:0.669、95%CI:0.489~0.915、log-rank検定のp=0.013)であった。女性175例(地中海食群88例、低脂肪食群87例)では群間差は認められなかった。

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新しい植物由来COVID-19ワクチン、各種変異株に有効:第III相試験/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンCoVLP+AS03(カナダ・Medicago製)は、各種変異株によるCOVID-19の予防に有効で、症候性COVID-19に対する有効率は69.5%、中等症~重症COVID-19に対する有効率は78.8%であったことを、カナダ・MedicagoのKaren J. Hager氏らが第III相無作為化プラセボ対照試験の結果、報告した。CoVLP+AS03ワクチンは、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)という植物で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質を発現させ形成されたコロナウイルス様粒子(CoVLP)と、アジュバントシステム03(AS03)を組み合わせた、新しい植物由来COVID-19ワクチンである。NEJM誌オンライン版2022年5月4日号掲載の報告。2021年3月~9月、南・北米で約2万4,000人を対象に無作為化プラセボ対照試験 研究グループは、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、メキシコ、英国および米国の85施設において、SARS-CoV-2に対するワクチンの接種歴がなく、確認されたCOVID-19の既往もない18歳以上の成人を、CoVLP+AS03ワクチン群またはプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付け、それぞれ21日間隔で2回筋肉内注射した。 主要評価項目は、2回接種後7日以降のRT-PCR法で確認された症候性COVID-19発症に対する有効性である。事後解析として中等症~重症COVID-19に対する有効性なども評価した。 ワクチンの有効性は100×(1-発生率比)で算出し、発生率比はプラセボ群に対するワクチン群のCOVID-19発生率(人年当たり)の比と定義した。 解析は、RT-PCR法で確認されたCOVID-19症例が160例以上認められた後、中央値で2ヵ月以上の安全性追跡調査を経て行った。なお、本試験は2021年3月15日~9月2日に実施され、有効性解析および安全性解析のデータカットオフ日はそれぞれ2021年8月20日および同年10月25日であった。 計2万4,141例が無作為化され、intention-to-treat集団に含まれた(ワクチン群1万2,074例、プラセボ群1万2,067例)。対象の年齢中央値は29歳で、14.8%はベースライン時に血清陽性であった。有効率は69.5%、中等症~重症化の予防効果は78.8% 2021年8月20日時点で、RT-PCR法で確認されたCOVID-19はintention-to-treat集団で165例(ワクチン群40例、プラセボ群125例)であり、全体におけるワクチンの有効率は69.5%(95%信頼区間[CI]:56.7~78.8)であった。165例中122例でウイルスの配列が同定され、デルタ株56例(45.9%)、ガンマ株53例(43.4%)、アルファ株6例(4.9%)、ミュー株4例(3.3%)、ラムダ株3例(2.5%)であった。 事後解析の結果、ベースライン時の血清陰性集団における有効率は74.0%(95%CI:62.1~82.5)であった。また、中等症~重症COVID-19に対する有効率は、intention-to-treat集団で78.8%(55.8~90.8)、血清陰性集団で86.0%(66.2~95.1)であった。 ワクチン群では重症COVID-19は認められず、感染例におけるCOVID-19診断時のウイルス量中央値は、ワクチン群と比較してプラセボ群で100倍以上高かった(ワクチン群3.46 log10コピー/mL、プラセボ群5.65 log10コピー/mL)。 非自発的な有害事象はほとんどが軽度または中等度で、一過性であった。発現率はワクチン群がプラセボ群よりも高かった(局所有害事象:92.3% vs.45.5%、全身性有害事象:87.3% vs.65.0%)。また、自発報告による有害事象の発現率(ワクチン群vs.プラセボ群)は、接種後21日目まで(22.7% vs.20.4%)、ならびに43日目から201日目まで(4.2% vs.4.0%)のいずれも、両群で同程度であった。

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Dr.金井のCTクイズ 初級編

第1回 頭部メジャー疾患の「非典型例」を押さえる第2回 頭部CTの評価が次のアクションを左右する第3回 発熱、咳の胸部CTでまず気を付ける所見第4回 肺の陰影分布で疾患を絞り込む第5回 正しく撮られてなければ見つけられない第6回 造影CTで病態分類までしてコンサルト第7回 CT画像から患部のサイズを正しく計測第8回 多彩な腹痛症例を画像で見分ける第9回 覚えておきたい特徴的な所見第10回 微細な所見を見落とさないための読影テク第11回 肝周辺に腹水、注意すべきCT所見は?第12回 後腹膜腔の炎症の広がりを立体的に捉える CTは現代の医療でもはや必須の診断機器になっています。読影は放射線医の専門領域ですが、一般医が日常診療を行ううえで、ここまでは読める必要があるという部分があります。この番組では、放射線医で救急医でもある金井先生が、臨床の最前線で経験したそのような実症例をピックアップし、読影のポイントを細かく解説していきます。初級編では、救急領域で必ず出合う“これを知らないと当直できない”メジャーな疾患から出題。ナビゲーターのトモコ先生と一緒に、CT所見のクイズを解きながら、基本をしっかり押さえていきましょう。第1回 頭部メジャー疾患の「非典型例」を押さえる患者さんは、2〜3日前から続く頭痛で来院した女性。主訴と頭部CTから、原因疾患を突き止めます。メジャーな疾患では典型例だけでなく、非典型例の特徴も押さえておくことがポイントです。第2回 頭部CTの評価が次のアクションを左右する3時間半前から急に右半身に麻痺を起こし、家族に連れられて来院した患者さん。このようなケースでは、病態によって治療の適応が変わってくることもあるため、頭部CTで診断を付けるだけでなく、病態を的確に評価することが重要になります。その方法とは?第3回 発熱、咳の胸部CTでまず気を付ける所見咳、痰が1ヵ月以上続き、発熱がある高齢の男性。このような患者の胸部CTを診る際、まず気を付けるべき所見があります。絶対に見落としてはいけないこの重要所見を目に焼き付けてください。第4回 肺の陰影分布で疾患を絞り込む肺のCTは陰影の分布から原因疾患を絞り込めるケースが多くなります。発熱、呼吸困難と食欲不振を訴える高齢の男性。陰影の分布からいくつか鑑別疾患を挙げ、確定診断につながる他の検査を行います。第5回 正しく撮られてなければ見つけられない飛行機で長距離移動中に右ふくらはぎに痛みが出現した女性。呼吸困難感もあり帰国後に救急外来受診しました。真っ先に疑われるのはロングフライト血栓症。このような場合、緊急のCT検査を行いますが、この疾患の読影のために重要なのは、まず正しいプロトコルでCTが撮像されていること。なぜか?その理由と血栓の見つけ方を学びます。第6回 造影CTで病態分類までしてコンサルト第6問で取り上げるのは一刻を争う急性疾患。腹痛と腰背部痛に加え、左上肢麻痺など複数の症状を訴える男性。単純CTで原因疾患を診断できたら、造影CTで病態を分類し、合併症の有無を見極めることがポイントです。それらの情報を専門医に素早くコンサルトできるか否かが患者の予後を大きく左右します。第7回 CT画像から患部のサイズを正しく計測腰背部痛を訴え、ショック状態で救急搬送された女性。単純CT画像の所見から、緊急性の高い腹部の疾患であることが判明します。今回の疾患は、CT画像から患部のサイズを計測することがポイント。正しい位置で計測し、指標を使って病態を判断し、予後予測を行います。第8回 多彩な腹痛症例を画像で見分ける腹痛はさまざまな原因疾患が疑われます。今回は消化管に関する疾患から複数のクイズを出題し、多彩な腹痛症例の鑑別に挑戦。似た症状のそれぞれの疾患について特徴的な画像所見を確認し、腹部CTの読影に強くなります。第9回 覚えておきたい特徴的な所見強い腹痛と頻回嘔吐のある高齢の男性。単純CTと造影CTで診断します。鳥のくちばしや花のブーケに見立てられた特徴的な所見がポイント。今回取り上げる疾患は、血流が障害されるため、進展度によって造影効果にも変化が現れます。段階別のCT所見の違いを押さえましょう。第10回 微細な所見を見落とさないための読影テク救急外来で「なんとなくお腹が痛い」と控えめに訴える高齢の男性。しかし、このような主訴でも致死率の高い疾患の場合もあるので軽視できません。危険な疾患を念頭に置き、その疾患に特徴的ないくつかの所見を想定して、CTの読影に臨むことが重要です。細かい所見を見落とさないために、画像の階調調整やThin Sliceを駆使します。第11回 肝周辺に腹水、注意すべきCT所見は?上腹部に痛みを訴え、冷や汗をかき、血圧が低下している、見るからに危険な状態の高齢の女性。エコーで肝周辺に腹水を確認しました。このようなケースで単純CTを見る際に注目すべきは、腹水中の血液の状態。ポイントはCT値の計測です。その後、血行動態を把握するために、「ダイナミック造影CT」を撮像します。第12回 後腹膜腔の炎症の広がりを立体的に捉える今回取り上げるのは、アルコール性疾患に顕著に見られる画像所見です。大量に飲酒後、心窩部に痛みが生じた30代の男性。炎症の進展度と、患部の造影不良域の組み合わせによって、重症度を判定するところがポイント。複雑な後腹膜腔の構造を、シェーマとCTで立体的に理解します。

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第100回 手術動画を無断で提供、改正個人情報保護法に基づき調査

<先週の動き>1.手術動画を無断で提供、改正個人情報保護法に基づき調査2.4回目コロナワクチン、今月末からの開始に向けて/厚労省3.3回目用に確保したコロナワクチン、期限切れで廃棄相次ぐ4.医師偏在解消に向け「医師確保計画ガイドライン」改正/厚労省5.ヤングケアラー支援のための手引きを作成/厚労省6.有事の医薬品開発を見据えた緊急承認制度が新設1.手術動画を無断で提供、改正個人情報保護法に基づき調査全国の総合病院などに勤務する眼科医5人が、病院や患者に無断で白内障の手術動画を医療機器メーカーに提供し、去年までの3年間に現金40~105万円を受け取っていたことが明らかとなりました。画像の提供を受けていたのは白内障治療用眼内レンズを販売するスター・ジャパン社。同社が白内障手術の動画を作成するために提供を受けたとされているが、販売促進の目的の可能性があるため、業界団体がメーカーの調査に着手した。今回の動画は手術動画であり、厳密には個人情報に含まれない可能性があるが、各医療機関側は患者の同意なく外部に提供したことを把握できておらず、再発防止のためには職員に対して個人情報保護法の教育が必要となる。個人情報保護法は今年4月から改正法が施行されており、個人データの授受については研究目的であっても第三者提供記録が本人による開示請求の対象となるなど規制が強化されている。医療機関側は情報漏洩時の報告義務を負っており、医師個人も個人情報保護法のルール順守が必須となる。(参考)“手術動画”無断で外部提供か 病院側「再発防止に努めたい」(NHK)“手術動画”で医師に現金提供 業界団体がメーカーを調査(同)医療・ 介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(個人情報保護委員会)【2022年4月施行】個人情報保護法改正とは?改正点を解説!(契約Watch)2.4回目コロナワクチン、今月末からの開始に向けて/厚労省今月末に開始見込みの新型コロナウイルスワクチン4回目接種の準備に向け、厚生労働省は全国の自治体に対して10日に通知を発出した。接種の対象者は、3回目の接種完了から5ヵ月以上が経過した60歳以上の者および18歳以上60歳未満の者のうち基礎疾患を有する者やその他新型コロナウイルス感染症にかかった場合の重症化リスクが高いと医師が認める者で、自治体に対してファイザー製および武田/モデルナ製ワクチンを配布する。基礎疾患のある人については、自己申告した者のほか、申告がない一部の人にも接種券を配布できるとし、自治体側の煩雑な事務作業を減らすために、18歳以上の対象者以外への一律送付も可能となっている。(参考)4回目コロナ接種券、対象以外も 厚労省が自治体に通知(産経新聞)4回目接種券、18歳以上一律も可能に…煩雑作業避けたい自治体の要望受け厚労省容認(読売新聞)新型コロナウイルスワクチンの追加接種(4回目接種)体制整備に係る医療用物資の配布について(厚労省)新型コロナワクチン追加接種(4回目接種)の体制確保について(その2)(同)3.3回目用に確保したコロナワクチン、期限切れで廃棄相次ぐ新型コロナウイルスワクチン3回目接種のために配布されたモデルナ製ワクチンが使用されないまま有効期限を迎え、これまでに10万本以上が破棄されていることが報道された。感染状況を踏まえた複合的な理由により、配送されたワクチン数が希望者を上回っていると考えられる。一方、ファイザー製ワクチンは4月に有効期限が9ヵ月から1年に延長されて破棄を免れたが、今後進められる4回目接種は対象者が制限されるため、引き続き期限切れを迎えるワクチンの増加は避けられないだろう。確保したワクチンの有効活用のために、国民に対してワクチン接種の働きかけを強化するなど、自治体で期限切れにならないような工夫を凝らす必要がある。(参考)なぜ?新型コロナワクチン 期限切れ廃棄 次々と明らかに(NHK)余るモデルナ、止まらぬ廃棄 融通できず悩む自治体(産経新聞)京都市、モデルナワクチン期限切れで廃棄へ 8万回分(日経新聞)4.医師偏在解消に向け「医師確保計画ガイドライン」改正/厚労省厚労省は、第8次医療計画等に関する検討会の下部組織「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を11日に開催した。2018年の医療法改正により、医療資源の地域的偏在の是正のため「医師確保計画」を策定することとなっており、各都道府県は2次医療圏ごとに医師確保計画を通じた医師偏在対策を進めている。今後、医師の働き方改革や地域医療構想の実現も視野に入れつつ、キャリア形成プログラムなどを含めた検討を進め、2022年中に報告書をまとめ、年度内に「医師確保計画策定ガイドライン」の改定を行う。2024年から始まる第8次医療計画の開始とともに医師確保計画の策定を開始する予定。(参考)2024年度から「医師確保計画」も新ステージに、医師偏在解消に向け2022年内に見直し案まとめ―地域医療構想・医師確保計画WG(Gem Med)地域枠医師などサポートするキャリア形成プログラム、現場ニーズを意識した作成・運用進む―地域医療構想・医師確保計画WG(2)(同)医師確保計画を通じた医師偏在対策について(厚労省)5.ヤングケアラー支援のための手引きを作成/厚労省全国の自治体に向け、大人に代わって日常的に家事や家族の世話をするヤングケアラーについて、早期の発見や支援を行う体制などの事例をマニュアルにまとめ、ヤングケアラー支援の体制作りを働きかける通知が発出された。厚労省が2021年度に子供・子育て支援推進調査研究事業で行った全国の中高校生を対象とした調査によると、世話をしている家族が「いる」と回答したのは、中学2年生で5.7%、全日制高校2年生は4.1%だった。そのうち、世話の頻度を「ほぼ毎日」と回答した者が3~6割程度、平日1日当たりで世話に費やす時間は「3時間未満」が多いものの、「7時間以上」と回答した者も約10%程度いることから、誰にも相談できずに1人で抱え込んでいるのかもしれない。今度、ヤングケアラーをいかに社会で支えるかが大きな課題となっている。(参考)ヤングケアラー支援で手引 学校や自治体連携、厚労省(日経新聞)厚労省、ヤングケアラー支援マニュアルを通知 「福祉、介護、教育など多分野の連携が重要」(JOINT)「多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアル」(厚労省)6.有事の医薬品開発を見据えた緊急承認制度が新設感染症流行時などの有事にワクチンや治療薬を緊急承認する制度の創設を盛り込んだ医薬品医療機器法の改正案が、13日の参議院にて全会一致で可決され、成立した。現行制度では、海外承認された医薬品を早期承認する特例承認制度があるが、日本人への有効性が確認できる臨床データが十分集まっていない場合は国内で追加治験を行わなければならず、承認が遅れてしまう問題があった。今回新設された緊急承認制度は、国民の生命や健康に重大な影響を与える恐れがある病気の蔓延を防ぐために必要な医薬品や医療機器が対象で、ほかに代替手段がないことが条件となる。緊急時として原発事故やテロなども想定しているが、2年以内に有効性を確認できなければ承認を取り消す。(参考)薬の緊急承認制度創設へ 改正薬機法が成立 遅れたワクチン開発、反省踏まえ(産経新聞)「緊急承認制度」新設、早いワクチン実用化の実現は 改正薬機法成立(朝日新聞)改正医薬品医療機器法が成立 薬の緊急承認、新設 コロナ対応反省/信頼性課題(毎日新聞)

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妊娠中の新型コロナウイルス感染症へのワクチン接種は出産時合併症リスクに影響せず(解説:前田裕斗氏)

 新型コロナウイルス感染症は妊婦で重症化しやすいことが知られており、罹患によって母体死亡や帝王切開となるリスクが上昇することがすでに報告されている。一方、新型コロナウイルスに対するワクチン接種が母体・胎児・出産にもたらす影響については大規模な研究報告がこれまでなかった。本研究はカナダ・オンタリオ州で行われた9万7,590人を対象とし、妊娠中にワクチン接種を行った群、産後にワクチン接種を行った群、ワクチン接種を行った記録のない群で出産時合併症の有無を比較した報告である。 結果として、産後大出血、絨毛膜羊膜炎(子宮内感染と考えてよい)、帝王切開、緊急帝王切開、NICU入院、新生児仮死いずれもワクチン接種群とその他の群の間で差は認められなかった。また、ワクチンを受けた回数、1回目に受けたワクチンの種類、ワクチン接種を受けた時期で層別化したいずれの解析でもやはり各群で合併症に差は認められなかった。 妊娠・出産合併症は頻度が低いことからワクチンの影響を見るためには大規模集団を対象とした研究が必要であり、本研究の結果は妊娠中のワクチン接種の安全性を示唆するものとして十分なものといえるだろう。もちろん、妊娠初期に接種した群が少ない、出産時合併症の診断は臨床的に行われ、しばしば過小評価されることがある点、未測定の交絡要因など研究としての限界はあるが、各種感度分析が行われており研究手法としても信頼のおけるものである。同時期に発表された北欧からの研究と併せ、妊娠中の新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種についての安全性が強く支持されたといえるだろう。

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医療訴訟を回避するカルテ術【Dr.倉原の“俺の本棚”】第54回

【第54回】医療訴訟を回避するカルテ術医療トラブルになったとき、証拠としてのカルテが非常に重要になります。この理由は、医療訴訟での事実認定がカルテに依存していることが挙げられるようです。医師と弁護士のダブル免許を持っている山崎 祥光氏が、北野病院で講演してきた「カルテの書き方」のスライドを、北野病院院長の吉村 長久氏が中心となって編さんされた本で、非常に完成度が高いです。『トラブルを未然に防ぐカルテの書き方』吉村 長久, 山崎 祥光/編. 医学書院. 2022年2月発売私は臨床医を約15年続けていますが、幸運なことにこれまで医療訴訟を起こされたことはありません。しかし、医療トラブルの経験はあります。進行期の悪性疾患で助かる見込みがない患者が急変して亡くなったときに、遠方から初めて会う家族がやってきて激怒したのです。私は怒りに対して申し訳ないという謝罪の意を示しましたが、これは当初「非を認めた」ととられてしまいました。終末期がんがどのようなものかを後日しっかりと説明することで納得されたのですが、「場合によっては訴訟」と言われたことは、今でも記憶に残っています。「遠方の家族も含めて、みんなで情報を共有すべきであったし、死が近づいていることを本人が家族に話しやすい方向にもっていくべきだった。あなたの怒りももっともだ」という意味での謝罪だったのですが、医療内容に関して非を認めてしまうような印象を与えてしまったようです。一番ベストな方法は、「医療責任ではなく、患者家族のつらいお気持ちに対して謝罪の意を表明した」などというカルテ記載を心掛けて、決して責任に対して謝罪したわけではないことがわかればよいそうです。その時に罵倒されることを回避できるわけではありませんが、後日医療訴訟に発展した場合の防衛策になります。この本は病状説明、同意書、処置などに関する医療トラブルの例を挙げつつ、プロによる「カルテにはこう書こう」という具体案が提示されています。医療訴訟の医学書なんて、これまでになかったので、かなり新鮮でした。「患者の病状理解が悪い」「進言するが聞き入れられず」みたいな感じで、感情を入れてカルテを書いてしまいがちな人は必読です。当院は外国人結核の患者さんがよく入院してくるんですが、片言で日本語を話す外国人のカルテに「S)大丈夫デス!」のように書いてしまう自分がいます。悪意があるわけではないのですが…。『トラブルを未然に防ぐカルテの書き方』編集吉村 長久, 山崎 祥光出版社名医学書院定価3,960円(税込)刊行年2022年

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HR+/HER2-早期乳がんへの術前HER3-DXdが有望(SOLTI TOT-HER3)/ESMO BREAST 2022

 未治療のホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2−)早期乳がん患者に対する、HER3を標的とした抗体薬物複合体(ADC)patritumab deruxtecan(HER3-DXd)の術前単回投与が、病理学的完全奏効(pCR)の予測スコアとして開発されたCelTILスコアの有意な増加と関連し、奏効率が45%であることが示された。スペイン・Hospital Clinic of BarcelonaのAleix Prat氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2022、2022年5月3~5日)で多施設共同前向きSOLTI TOT-HER3試験(part A)1)の最終結果を報告した。[SOLTI TOT-HER3試験(part A)]・対象:未治療のHR+/HER2−、手術可能(超音波検査で腫瘍径≧1cm)、Ki67≧10%の閉経前/後女性および男性乳がん患者・試験群:治療前のERBB3 mRNAレベルに基づき4分類され、HER3-DXd(6.4mg/kg)を単回投与(77例)・評価項目:[主要評価項目]治療前と治療後(サイクル1の21日目)のCelTILスコア(-0.8×tumor cellularity[%]+1.3×TILs[%]:pCRと相関)2)の変動[副次評価項目]治療後(サイクル1の21日目)の奏効率(ORR)、治療前のERBB3 mRNAレベルおよびIHCでのHER3タンパク質発現状況とCelTILスコアの変化、PAM50サブタイプの変化、治療前後の67遺伝子の発現状況およびKi67の変化、安全性と忍容性 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性は、平均年齢53歳、腫瘍径中央値21mm、cN0:71%、平均Ki67:27%だった。・治療前のERBB3 mRNAレベルは、high:21例、medium:21例、low:21例、ultralow:14例だった。・治療前のIHCでのHER3タンパク質発現状況は、high:50例、low:10例、negative:1例だった(16例は測定中あるいは測定不可)。・評価可能な62例において、治療後(サイクル1の21日目)のORRは45%(CR:23%、PR:23%)だった。・CelTILスコアは治療前と比べ治療後有意に増加した(平均差+6.8、p<0.001)。この増加は、レスポンダーではみられたが(p<0.001)、非レスポンダーではみられなかった(p=0.135)。・治療前のERBB3 mRNAレベルおよびIHCでのHER3タンパク質発現状況とCelTILスコアの変化に関連はみられなかった。・PAM50サブタイプは、治療前がLuminal A:40例、Luminal B:32例、HER2-Enriched:2例、Basal-like:3例だったのに対し、治療後にはLuminal A:54例、Luminal B:13例、HER2-Enriched:1例、Basal-like:2例となり、Luminal Aの約10%がNormal-likeに、Luminal Bの50%超がLuminal Aに変化した。・治療前の非Luminalサブタイプと高い再発リスクスコアは、CelTILスコア増加との関連がみられた。・67遺伝子の発現状況は、治療前と比較して治療後にCD68やCD4といった免疫関連遺伝子が誘導され、MELKやMKI67などの細胞増殖関連遺伝子は抑制されていた。Ki67遺伝子の発現は治療後有意に減少した(平均差-8.9、p<0.001)。・Grade3以上のTEAEは14%で発現し、主なTEAEは好中球減少症(8%)、ALT上昇(3%)、下痢(1%)だった。ILDおよび死亡例の報告はない。 TOT-HER3試験ではpart Bとしてトリプルネガティブ乳がん患者の登録が進められているほか、SOLTI-VALENTINE試験ではHR+/HER2−乳がんに対する術前療法として、HER3-DXd単剤あるいは内分泌療法との併用が検証される予定。

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抗TIGIT抗体tiragolumab+アテゾリズマブによるPD-L1高発現非小細胞肺がん1次治療の中間解析(SKYSCRAPER-01)/ロシュ

 ロシュは2022年5月11日、 PD-L1高発現の局所進行または転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療で抗TIGIT抗体tiragolumab+アテゾリズマブとアテゾリズマブ単剤を比較する第III相SKYSCRAPER-01試験の結果を発表した。抗TIGIT抗体tiragolumabとアテゾリズマブの忍容性は良好 SKYSCRAPER-01試験の中間解析の結果、主要評価項目である無増悪生存期間を達成できなかった。もう1つの主要評価項目である全生存期間は未成熟であり、次回分析まで研究が継続される。双方の評価項目とも数値は改善している。抗TIGIT抗体tiragolumabとアテゾリズマブの忍容性は良好であり、tiragolumabを追加による新たな安全性シグナルは確認されていない。

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コロナ入院患者にレムデシビルは有益か:WHO最終報告/Lancet

 レムデシビルは、人工換気へと症状が進んだ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対して有意な効果をもたらさないことが、またその他の入院患者について、死亡または人工換気(あるいはその両方)への進行に対する効果はわずかであることを、世界保健機関(WHO)の連帯試験コンソーシアム(Solidarity Trial Consortium)が最終結果として報告した。COVID-19患者を対象としたSolidarity試験では、これまでに4つの既存薬に関する中間解析結果が報告されている。このうちロピナビル、ヒドロキシクロロキン、インターフェロン(IFN)-β1aは無益として試験が中止となったが、レムデシビルの無作為化試験は継続されていた。本稿で同コンソーシアムは、これまでに行われたすべての関連試験の死亡率およびメタ解析の最終結果を報告している。Lancet誌オンライン版2022年5月2日号の報告。35ヵ国454病院でCOVID-19入院患者1万4,221例を対象に無作為化試験 Solidarity試験には、医師の見立てで明らかなCOVID-19で最近入院し、いずれの試験薬にも禁忌がなく、その他の患者の特性は問わず同意が得られた成人(18歳以上)患者が登録された。 被験者は、試験地で入手可能であった試験薬に等分になるよう無作為に割り付けられ、その時点で入手可能であった4つの試験薬(ロピナビル、ヒドロキシクロロキン、IFN-β1a、レムデシビル)のいずれかまたは非試験薬(対照)の投与を受けた。また、すべての患者は、試験地の標準治療も受けた。プラセボの投与は行われなかった。 プロトコールで指定されていた主要エンドポイントは、疾患重症度で分類した院内死亡であった。副次エンドポイントは、人工換気への進行(同未実施の場合の)、入院から退院までの期間などであった。 最終的なlog-rank検定およびKaplan-Meier解析はレムデシビルについて行われ、すべての4つの試験薬について追加された。メタ解析は、今回の試験およびその他3つの試験薬の無作為化試験で報告された入院患者における死亡率の加重平均値を評価した。 2020年3月22日~2021年1月29日の間に、WHOに加盟する世界6地域にある35ヵ国454病院から1万4,303例の適格条件を有すると思われる患者が登録された。COVID-19診断が反証されたり、暗号化された同意がデータベースに入力されなかったりした83例(0.6%)を除外後、Solidarity試験には1万4,221例が登録され、うち8,275例がレムデシビル(早期退院とならない限り10日間連日静注投与、4,146例)またはその対照(レムデシビルを入手可能な地域であったが、試験薬に割り当てられなかった、4,129例)を受けるよう無作為に割り付けられた。すでに人工換気を受けていた患者の死亡、レムデシビル群42.1%、対照群38.6% レムデシビル群、対照群ともにコンプライアンス率は高かった。 死亡は、レムデシビル群は4,146例中602例(14.5%)、対照群は4,129例中643例(15.6%)であった(死亡率比[RR]:0.91[95%信頼区間[CI]:0.82~1.02]、p=0.12)。すでに人工換気を受けていた患者の死亡は、レムデシビル群359例中151例(42.1%)、対照群347例中134例(38.6%)であった(RR:1.13[0.89~1.42]、p=0.32)。人工換気は受けていなかったが酸素投与を受けていた患者の死亡は、レムデシビル群14.6%、対照群16.3%であった(RR:0.87[0.76~0.99]、p=0.03)。 当初は酸素投与を受けていなかった患者1,730例の死亡は、レムデシビル群2.9%、対照群3.8%であった(RR:0.76[95%CI:0.46~1.28]、p=0.30)。また、人工換気を受けていなかった全患者の死亡は、レムデシビル群11.9%、対照群13.5%であり(RR:0.86[0.76~0.98]、p=0.02)、人工換気への進行はレムデシビル群14.1%、対照群15.7%であった(RR:0.88[0.77~1.00]、p=0.04)。 死亡/人工換気への進行の複合アウトカムの発生率(事前に規定されていなかった)は、レムデシビル群19.6%、対照群22.5%であった(RR:0.84[95%CI:0.75~0.93]、p=0.001)。 レムデシビルの連日静注投与への割り付け(非盲検対照との比較で)は、10日間の治療期間中の退院を約1日遅らせた。 なお、レムデシビル非使用と比較したレムデシビルのすべての無作為化試験における死亡率のメタ解析では、類似した所見が得られたという。

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PCSK9阻害薬、エゼチミブは心血管リスクを低減/BMJ

 エゼチミブまたはPCSK9阻害薬は、忍容最大用量のスタチン投与中あるいはスタチン不忍容の、心血管リスクがきわめて高い/高い成人において、非致死的な心筋梗塞(MI)および脳卒中を抑制可能なことが示された。同リスクが中程度および低い患者では認められないという。米国・Houston Methodist DeBakey Heart & Vascular CenterのSafi U. Khan氏らがシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果を報告した。BMJ誌2022年5月4日号掲載の報告。スタチンの有無を含めて心血管リスクへの影響をネットワークメタ解析 研究グループは、エゼチミブおよびPCSK9阻害薬が心血管アウトカムに及ぼす影響を、忍容可能な最大用量のスタチン治療を受けている成人またはスタチン不忍容の成人において比較する検討を行った。 Medline、EMBASE、Cochrane Libraryを2020年12月31日時点で検索し、被験者500例以上、追跡期間6ヵ月以上のエゼチミブとPCSK9阻害薬の無作為化対照試験を特定。頻度論的な固定効果ネットワークメタ解析とGRADE(grading of recommendations, assessment, development, and evaluation)によるエビデンスの確実性の評価を行った。 結果には、5年間治療を受けた患者1,000人当たりの非致死的MI、非致死的脳卒中、あらゆる原因の死亡、および心血管死の相対リスク(RR)と絶対リスクが含まれた。ベースラインで受けていた治療および心血管リスクの閾値別に、一定のRR(ネットワークメタ解析から推定)を想定の下で絶対リスク差を推算。1次および2次予防における心血管リスクはPREDICTリスク計算法で算出した。 患者を、心血管リスクが「低い」~「きわめて高い」に分類。ガイドラインパネルとシステマティックレビューの著者により、最小重大差(MID)はMIが1,000例当たり12例、脳卒中が1,000例当たり10例と定められた。心筋梗塞、脳卒中の発生を抑制 検索により、スタチン治療を受けている成人8万3,660例が参加する、エゼチミブとPCSK9阻害薬を評価した14試験が特定された。 スタチンへのエゼチミブ追加は、MI(RR:0.87[95%信頼区間[CI]:0.80~0.94])および脳卒中(0.82[0.71~0.96])を抑制したが、あらゆる原因による死亡(0.99[0.92~1.06])、心血管死(0.97[0.87~1.09])は抑制しなかった。 同様に、スタチンへのPCSK9阻害薬追加は、MI(RR:0.81[95%CI:0.76~0.87])および脳卒中(0.74[0.64~0.85])を抑制したが、あらゆる原因による死亡(0.95[0.87〜1.03])または心血管死(0.95[0.87~1.03])は抑制しなかった。 また、被験者のリスク分類別に見ると、きわめて高い心血管リスク成人において、PCSK9阻害薬の追加投与がMI(16/1,000例)、脳卒中(21/1,000例)を抑制すると思われた(中程度~高い確実性)。これに対してエゼチミブの追加投与は、脳卒中(14/1,000例)は抑制するようであったが、MI(11/1,000例)は抑制するもののMIDに到達しなかった(中程度の確実性)。 PCSK9阻害薬とスタチンへのエゼチミブ追加は、脳卒中(11/1,000例)を抑制するようであったが、MI(9/1,000例)は抑制するもののMIDに到達しなかった(低い確実性)。スタチンとエゼチミブへのPCSK9阻害薬の追加は、MI(14/1,000例)、脳卒中(17/1,000例)ともに減じるようであった(低い確実性)。 心血管リスクが高い成人においては、PCSK9阻害薬の追加投与は、おそらくMI(12/1,000例)、脳卒中(16/1,000例)は抑制しうることが示唆された(中程度の確実性)。エゼチミブの追加投与は、おそらく脳卒中(11/1,000例)は抑制しうるようであったが、MI(8/1,000例)はMIDに到達しなかった(中程度の確実性)。 PCSK9阻害薬とスタチンにエゼチミブを追加しても、MIDを達成するアウトカムの減少は得られなかったが、エゼチミブとスタチンにPCSK9阻害薬を追加すると、脳卒中(13/1,000例)は抑制しうることが示唆された。 これらの結果は、スタチン不忍容の患者でも一致していた。中程度および低い心血管リスクの集団では、スタチンにPCSK9阻害薬またはエゼチミブを追加しても、MIおよび脳卒中へのベネフィットは、ほとんど/まったく得られなかった。

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抗精神病薬の多剤併用から単剤療法に切り替え後の再発率と精神症状への影響

 抗精神病薬の多剤併用療法について、支持するエビデンスはほとんどなく、安全性や副作用に対する懸念が存在する。それにもかかわらず、多剤併用療法は、統合失調症の長期入院患者に対し一般的に行われている。オランダ・マーストリヒト大学のMushde Shakir氏らは、第1世代抗精神病薬(FGA)および第2世代抗精神病薬(SGA)の併用療法からいずれかの単剤療法への切り替えが及ぼす、再発率および精神症状への影響を検討した。その結果、統合失調症の長期入院患者においてFGAとSGAの併用療法から単剤療法へ切り替えた場合、再発率は増加することなく、逆に減少することが示唆された。Schizophrenia Research誌オンライン版2022年4月6日号の報告。 SGAとFGAの併用療法を行っている入院中の慢性期統合失調症患者136例を対象にランダム化非盲検試験を実施した。切り替え群はFGAまたはSGAのいずれかを中止し、現状維持群は併用療法をそのまま継続した。再発および精神症状は、ベースライン時、フォローアップ後3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月の時点で測定した。精神症状の評価には、簡易精神症状評価尺度(BPRS)を用いた。再発の定義は、(1)BPRSのいずれかの項目における2ポイント以上の増加、または(2)BPRS合計スコア4ポイント以上増加および抗精神病薬の調整とした。 主な結果は以下のとおり。・性別で補正したロジスティック回帰モデルでは、切り替え群の再発率が有意に低いことが示唆された(OR:0.29、95%CI:0.13~0.62)。・単剤療法への切り替えによる保護効果は、単剤療法としてクロザピンを継続している患者で認められた。・再発および脱落しなかった患者では、切り替え群においてBPRS合計スコアの有意な減少が認められた(p=0.0001)。

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妊娠中の新型コロナウイルス感染症へのワクチン接種は妊娠中合併症リスクに影響せず(解説:前田裕斗氏)

 新型コロナウイルス感染症に妊娠中感染することで早産や妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症のリスクが上昇することが報告されている。一方、妊娠中のワクチン接種には根強い抵抗があり、臨床現場でもその安全性について質問される機会も多い。これまでも妊娠中ワクチン接種と妊娠合併症の関係を調査した論文は多かったが、病院ベースや高リスク群を対象としたものが多かった。そこで本研究ではノルウェー、スウェーデンのある期間中における全妊娠を対象としている。 早産(37週未満、32週未満)、死産、SGA(週数に比して低体重)、新生児仮死、NICU入院のリスクについて解析が行われ、いずれの項目についてもワクチン接種群、非接種群で発生率に差は認めなかった。むしろ、ノルウェーにおけるNICU入院はワクチン接種群でわずかに減少した。 本研究の大きな価値は2021年1月〜2022年1月の全ての妊娠を対象としたことである。これにより低リスク〜高リスク全ての妊娠が含まれ、選択バイアスが軽減された。また、国のデータベースを用いているため、幅広い交絡要因を検討することが可能である点も強みとして挙げられる。一方、分娩時合併症について報告したカナダの研究と同様、妊娠初期にワクチン接種を受けた群が少ないことが研究の限界として挙げられる。また早産やNICU入院など新型コロナウイルス感染が直接的に影響する合併症のリスクは、国ごとのコロナ対策により大きく左右される可能性があるため、日本でも同様の結果になるかどうかは不明であるが、少なくとも合併症が増す方向になる可能性は今回の結果から考えて低いことが予想される。前述したカナダからの研究とも合わせ、妊娠中の新型コロナウイルス感染症へのワクチン接種の安全性が強く支持されたといえるだろう。

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第108回 医療施設はウクライナ軍の逃げ場!?だからロシアは狙うのか

現在、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の1日の新規陽性報告数は、ゴールデン・ウイークで人同士の接触が増えたことから、一時的に増加傾向にあるようだ。しかし、今年に入って始まった第6波のピーク時から考えれば、全体としてはすでに減少傾向にある。そして2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻により、一般向けニュースの様相は変わってきた。実際、私が記事を提供するインターネットの情報サイトの編集者からは「もうコロナは読まれなくなってきているので、書くなら短めで。それより、ぜひウクライナのほうで何かあれば」とまで言われるようになっている。とくに自分の場合は医療と国際紛争をメインテーマにしているというやや特殊な立ち位置だけに、そうした依頼が来る。そんなこんなことも踏まえ、今回は世界保健機関(WHO)のレポートを中核に据えて、現在のウクライナの医療事情を個人的な経験や感想も交えながら簡単にご紹介しようと思う。世界保健機関(WHO)の報告によると、開戦から5月4日までの時点で医療施設や医療関連の輸送、医療従事者や患者、医療関連物資の倉庫などに対して確認された攻撃が186件。これにより発生した死者は73人、負傷者は52人となっている。日本国内でもこうした事例はたびたび報道されており、「なぜ医療機関が攻撃対象に?」と思う人も少なくないだろう。これは誤爆など意図しない攻撃と意図した攻撃の2つが考えられる。現代では軍事作戦と無関係の施設や人間を攻撃することは、戦時国際法では違法行為とされる。こうした違法行為を防ぐために発展してきたのが戦闘機による空爆や地上からのミサイル攻撃などで使われる精密誘導弾である。これらは主にレーザーなどで目標位置を確認しながら軌道修正を行って着弾する。その命中精度だが、攻撃目標に対して半数以上が命中する半数必中界(CEP:Circular Error Probability)は20~30m程度である。逆に言えば医療機関から20~30m以内に軍事施設などがあれば、結果として誤爆は起こりえるということだ。これが非精密誘導兵器ならば、CEPはおおむね0が1個多くなる。ロシアの場合、精密誘導兵器の保有割合が先進国などと比べて低いと言われているため、必然的に誤爆の確率は高くなる。そして先進国による経済制裁により、現在、ロシアではこうした精密誘導兵器に使う電子部品などが枯渇しつつあると報じられている。やや嫌な見通しになるが、今後はさらにこうした誤爆による医療機関も含む民間施設への攻撃は増加してくると考えられる。一方、意図した攻撃とは、敢えて民間施設を狙うことで一般人の厭戦(えんせん)気分を煽り、「反撃能力を低下させる」あるいは究極のケースでは「その結果、戦争を主導する首脳部を下から突き上げ崩壊させる」ことを意図したものだ。今回のロシアの攻撃についてはむしろこの可能性が強く疑われている。というのもロシアに関しては、近年明らかに“そうしたい”としか感じられない攻撃を中東のシリアで何度も行っているからである。シリアは現在、バッシャール・アル・アサド大統領による独裁政権に抵抗する反政府勢力との間で内戦状態となっているが、ロシアはアサド大統領側に肩入れして軍事介入を行っている。ここでは何度も医療機関を含む民間施設への執拗な空爆をロシア軍が行っている。また、現在ウクライナ入りして取材している私の友人によると、先日までロシアが支配下に置いていた首都キーウ(キエフ)北方のボロディアンカの市街地は見事なまでに一般市民の高層アパートのみが攻撃を受けているという。実はこの2つ以外に医療機関が攻撃を受けるグレーな状況というものが存在する。先日、日本記者クラブで、フランスに本部を置く国際協力組織(NGO)の「国境なき医師団」のメンバーとして3月下旬から4月上旬まで現地に派遣されていた医師の門馬 秀介氏が記者会見したが、会見の中で門馬氏は次のように語った。「これは聞いた話でしかないんですけれど、マリウポリから避難してきたウクライナ人に話を聞くと、医療機関に逃げてくる兵士もいるので、 そこを狙って攻撃をしていると言っている方もいらっしゃいました」 これは「やっぱり」と思った。私もイラクで経験があるのだが、医療機関の周辺で戦闘が起こると、付近の住民はもちろんのこと一部の戦闘員が武装したまま逃げ込んでくることがあるのだ。少なくともそこを拠点に攻撃を開始でもしなければ、医療機関側も避難者として兵士を受け入れるしかない。自分もこの経験をした時は「勘弁してほしい」と内心では思っていたものの、兵士に面と向かってそうは言えなかった。ちなみに自分以外にもこうした経験を持つ取材者はいて、皆で意見が共通しているのが、逃げ込んでくるのは、多くは若年の徴集兵だということ。まあ経験値も少ない彼らは恐れが先に立つので、ある意味やむを得ないとも思う。もっともこうした事実があったとしても、医療機関への攻撃が正当化されるものではない。さて、WHOのレポートでは、ウクライナに展開しているWHOの救急医療チームが3月12日~4月30日までに提供したケア件数は3,472件で、その内訳は感染症が17%、外傷が12%、その他が62%。意外に外傷は少ないと思われるかもしれないが、あくまでWHOが把握している範囲である。そもそもWHOが活動する地域は最前線からある程度後方になることを考えれば、そこまでアクセスできないケースや前線近傍で対応しているケースも考えられるため、そもそもが過少報告になっている可能性が高いと言える。もっとも感染症の蔓延についてはWHOもかなり懸念しているようだ。日本国内でも多くの人が報道で目にしているように、一般市民の中には地下の避難所などで長らく避難生活を強いられている人も少なくない。そしてこれもまた報道で目にしているようにその環境はお世辞にも衛生的とは言えない。実際、WHOもレポートで「コレラ、はしか、ジフテリア、新型コロナなどのような病気の発生リスクは、水、下水設備、衛生状態へのアクセスの欠如、空爆シェルターと集合避難センターの混雑状態、通常および小児期の免疫獲得が最適ではないなどの事情から悪化している」と指摘している。WHOによると、4月28日~5月4日までの間に報告されたウクライナでの新型コロナ新規陽性者は2,886人、死亡者は52人。この前の1週間と比べ、それぞれ37%と29%減少しているが、 WHOは「新型コロナの症例と死亡は過少報告されているため、これらの数値は慎重に解釈する必要がある」と指摘している。むろんこの状況でウクライナ全土での公的サーベイランスが平時同様に機能している可能性は極めて低いため当然の指摘だろう。一方、WHOレポート内ではメンタルサポートへのアクセスが制限されている結果として、虐待や自傷行為も含むメンタル問題が増加することへの懸念も簡潔ながら言及されている。前述の門馬氏も移動診療所での診療経験からこの点の重要性を指摘していた。門馬氏の通訳を担当した現地の英語教師が、問診の通訳最中、患者が避難に至る訴えなどを聞いているうちにショックを受けて泣き出してしまうのだという。門馬氏は「(ウクライナの人たちは)戦争が扉1 枚隔ててすぐ横にある状態で心理状況が不安定。そのギリギリの中でやっているので、何か1つのことで急に泣き出してしまうことを実感した」と語っている。そして私個人の経験では、紛争地でのメンタルの問題は戦闘状態が長期化するほど複合的にさまざまな問題をもたらすと感じている。おおむね戦闘が長期化している地域では、メンタル面でどん底に落ち込んでしまう人とその状態に慣れてしまう人がいる。どん底に落ちた人の一部は薬物中毒などに走る。実際、私が過去に取材した紛争地では違法薬物が半ば堂々と売買されているシーンを目にすることは稀ではなかった。しかも医療アクセスが限定的となっているため、こうした人たちが医療的ケアにアクセスできる機会は限られているため、どんどん泥沼に落ち込んでしまう。一方で、打ち続く戦闘状態の中で半ば正常性バイアスらしきものが働き、その状態にメンタル的に慣れてしまう人もある種の問題を引き起こす。どういうことかというと、慣れっこゆえの不注意さで戦闘に巻き込まれて負傷したり、命を落としたりということが少なくないのだ。自分が以前、内戦中の旧ユーゴのボスニア・ヘルツェゴビナを取材した時のことだ。私の通訳をしてくれたのはサラエボ在住の男子大学生。その彼が市街地のある場所を通り過ぎる時、いつもなぜか寡黙になった。彼と仕事をするようになって3回目の時、私は彼に思い切ってそのことを尋ねてみた。すると彼はため息と苦笑い交じりで次のように話してくれた。「ここさ、高校時代の同級生が撃たれて死んだところなんだ。敵側のスナイパーの射程に直接入るところでね。うちらは毎日ここを走り抜けて高校に行っていたんだけど、ある時、自分と友人も含め5人で集まって『いつもよりやや遅めの走りで肝試ししよう』となってね。自分は4人目で何ともなかったんだけど、5人目の彼がやられてしまった。今考えると何でそんな遊びしちゃったんだろうって」戦闘に慣れるということはそういう負の側面もあるのかと何とも言えない気持ちになったことを今でもはっきり覚えている。ロシアによるウクライナ侵攻はまだ当面終わりそうにない。この状態が長く続くほど、私もまたこのエピソードを何度も思い返すことになるだろう。何とも気が重くて仕方がない。

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統合失調症患者の併存疾患~リアルワールドデータ分析

 米国において統合失調症の影響は320万人超に及ぶとされる。しかし、統合失調症の併存疾患パターンは、リアルワールドでシステマティックに検証されていない。米国・ハーバード大学のChenyue Lu氏らはこの課題を解決するため、米国の健康保険データセットの8,600万例の患者コホートを用いた観察研究を実施した。その結果、統合失調症患者の既知の併存疾患だけでなく、これまであまり知られていなかった併存疾患パターンも特定された。Translational Psychiatry誌2022年4月11日号の報告。統合失調症患者の併存疾患の初期兆候に臨床医が注意を払う 統合失調症患者と非統合失調症患者を年齢、性別、居住地(郵便番号の最初の3桁)でマッチさせた。統合失調症患者とマッチした非統合失調症患者の疾患ごとの有病率を比較し、年齢、性別で層別化したサブグループ分析を行った。 統合失調症の併存疾患パターンを観察研究した主な結果は以下のとおり。・青年および若年成人では、統合失調症診断前に、不安症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、薬物乱用が認められることが多かった。・60歳以上の統合失調症患者の併存疾患として、せん妄、アルコール依存症、認知症、骨盤骨折、骨髄炎の発症リスクが高かった。・統合失調症診断前の女性では、2型糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、摂食障害が認められることが多く、男性では、急性腎不全、横紋筋融解症、発達遅延が多かった。・統合失調感情障害患者では、他の統合失調症患者と比較し、不安症状や肥満の頻度が高かった。 著者らは「これらの併存疾患プロファイルは、同時に発生する疾患の初期兆候に臨床医が注意を払うよう導いてくれるだろう」としている。

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T-DXdの効果、HER2発現だけでなく腫瘍内の空間的分布も影響(DAISY)/ESMO BREAST 2022

 転移乳がんへのトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の有効性を評価したDAISY試験における探索的評価項目のトランスレーショナル解析から、T-DXdの抗腫瘍効果は腫瘍細胞のHER2発現量だけでなく、空間的分布にも影響されることが示唆された。フランス・Gustave RoussyのMaria Fernanda Mosele氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2022、2022年5月3~5日)で報告した。T-DXd無効とHER2陰性細胞の高い空間的分布が関連 DAISY試験は、転移乳がんを対象にT-DXdの有効性をHER2発現量(高発現、低発現、陰性の3群)で評価した多施設非盲検第II相試験。主要評価項目である最良客観的奏効率はすでに報告されており、HER2高発現群(IHC 3+またはIHC 2+/ISH+、68例)で71%、HER2低発現群(IHC 2+/ISH-またはIHC 1+、72例)で37.5%、HER2陰性群(IHC 0、37例)で30%と、T-DXdの抗腫瘍効果はHER2発現量と関連していた(p=0.0001)。今回はT-DXdの作用機序と耐性機序を解明するため、腫瘍細胞への取り込み、免疫細胞のモジュレーション、HER2の空間的分布、耐性機序について検討した。 T-DXdの作用機序と耐性機序について検討した主な結果は以下のとおり。・HER2陰性細胞ではT-DXdの取り込みが少なく(p=0.053)、T-DXdの取り込みとHER2発現量には中程度の相関が認められた(r=0.75)。・HER2高発現の乳がんでPD-L1発現の減少がみられたが、HER2低発現や陰性ではみられなかった(p=0.02)。・T-DXdによるT細胞やマクロファージの量的モジュレーションはみられなかった。・HER2陰性細胞の高い空間的分布がT-DXd無効と関連(p=0.0008)していた。すなわち、HER2発現細胞が空間的に遠い場合は効果が小さいことが示唆された。・T-DXdで病勢進行した20例中13例(65%)にHER2発現の減少がみられた。

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