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術前化療でリンパ節転移が陰性化した乳がんのALND省略後の再発、SLNBとTADの比較(OPBC-04/EUBREAST-06/OMA)/SABCS2022

 リンパ節転移陽性乳がんで術前化学療法により転移が陰性化した患者において、診断がセンチネルリンパ節生検(SLNB)単独または標的腋窩郭清(TAD)併用のいずれであっても、腋窩リンパ節郭清(ALND)省略後の早期腋窩再発が非常にまれであったことを、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのGiacomo Montagna氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。再発率は、標的腋窩郭清併用でもセンチネルリンパ節生検単独より有意に低くはなかったという。 4つの前向き試験で、術前化学療法後にリンパ節転移陽性の患者においてセンチネルリンパ節生検の偽陰性率が10%を超えることが示されているが、これらの試験では全例が腋窩リンパ節郭清を実施しているため腋窩再発のデータはない。標的腋窩郭清により偽陰性率の低下が報告されているが、腋窩再発率の低下につながるかどうかは不明である。またこの設定で、腋窩病期診断のためにセンチネルリンパ節生検単独と標的腋窩郭清併用のいずれを用いるべきかコンセンサスは得られていない。今回Montagna氏らは、術前化学療法でリンパ節の病理学的完全奏効を達成し腋窩リンパ節郭清を省略した、リンパ節転移陽性乳がん患者の大規模なリアルワールド集団において、腋窩の局所浸潤再発率を評価し、さらにデュアルトレーサーマッピングによるセンチネルリンパ節生検もしくは標的腋窩郭清後の腋窩再発率を比較した。 本研究の対象は、T1-4かつN1-3(生検による)で、術前化学療法後にデュアルトレーサーマッピングによるセンチネルリンパ節生検もしくは標的腋窩郭清(センチネルリンパ節生検との併用、デュアルトレーサーマッピングの有無は問わない)による診断で病理学的にリンパ節転移陰性だった乳がん患者。腋窩再発、局所再発、あらゆる浸潤性再発(局所もしくは遠隔)の累積発生率を競合リスク分析で解析し、さらにセンチネルリンパ節生検と標的腋窩郭清の3年累積発生率をGray検定で比較した。 主な結果は以下のとおり。・2013年4月~2020年12月に適格となった1,144例(センチネルリンパ節生検666例、標的腋窩郭清478例)を評価した。年齢中央値は50歳、臨床的T2が57%、臨床的N1が95%、HER2陽性が54%であった。・術前化学療法レジメンはセンチネルリンパ節生検群と標的腋窩郭清群で違いが見られた。・センチネルリンパ節の摘出個数の中央値は、センチネルリンパ節生検群4個(IQR:3~5)、標的腋窩郭清群3個(四分位範囲[IQR]:2~4)だった(p<0.001)。リンパ節の平均摘出個数も同様に標的腋窩郭清群が少なかった。・リンパ節放射線治療実施は、センチネルリンパ節生検78%、標的腋窩郭清85%だった(p=0.005)。・腋窩再発率は、全体で3年時0.65%(95%信頼区間[CI]:0.29~1.3)、5年時1.0%(同:0.49~2.0)だった。3年腋窩再発率はセンチネルリンパ節生検(0.8%)と標的腋窩郭清(0.5%)で差がなかった(p=0.55)。・局所再発率は、全体で3年時1.5%(95%CI:0.83~2.4)、5年時2.7%(同:1.6~4.1)だった。3年局所再発率はセンチネルリンパ節生検(1.9%)と標的腋窩郭清(0.8%)で差がなかった(p=0.19)。・浸潤性再発率は、全体で3年時7.5%(95%CI:5.9~9.3)で、5年時10%(同:8.3~13)だった。3年浸潤性再発率はセンチネルリンパ節生検(7.3%)と標的腋窩郭清(7.3%)で差がなかった(p=0.60)。 Montagna氏は「これらの結果は、術前化学療法でリンパ節転移陰性となった患者でのリンパ節郭清省略を支持している」と結論した。

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長年の謎。ウイルス感染はなぜ寒い時期に増える?

 ウイルス性気道感染症は、冬の時期に増えることが知られているが、そのメカニズムはこれまで明らかになっていなかった。ハーバード大学のDi Huang氏らの研究グループは、上気道感染症の原因となるウイルスを撃退する鼻の中の免疫反応を発見した。さらに、この免疫反応は気温が低くなると抑制され、感染症が発生しやすくなることを明らかにした。本研究結果は、The Journal of Allergy and Clinical Immunologyオンライン版2022年12月6日に掲載された。 先行研究により、鼻孔の細胞が細菌やウイルスなどの病原体を検出すると、細胞外小胞(EV)が粘液中に放出され攻撃することが報告されている。そこで、健康人や手術を受ける患者から採取した鼻粘膜組織を用いて、Toll様受容体3(TLR3)を介した免疫応答における鼻腔上皮細胞由来EVの役割が検討された。具体的には、TLR3刺激による鼻腔上皮細胞由来EVの分泌や組成、EVの呼吸器ウイルス(コロナウイルス、ライノウイルス)に対する抗ウイルス活性とそのメカニズム、TLR3を介した抗ウイルス免疫に及ぼす低温の影響などが検討された。 主な結果は以下のとおり。・TLR3アゴニストのpoly(I:C)(polyinosinic-polycytidylic acid)への曝露により、TLR3シグナルを介して鼻腔上皮細胞由来EVの分泌が増加した。・鼻腔上皮細胞由来EVは、マイクロRNA(miR-17)の送達およびLDL受容体(LDLR)、接着分子ICAM-1などの表面受容体を介したウイルスとの結合・中和による抗ウイルス活性を通じて宿主をウイルス感染から保護することが示された。・健康人を室温の環境(23.3℃)から寒い環境(4.4℃)に移動させて15分経過すると、鼻の中の温度が約5℃低下した。そして、この温度低下を鼻粘膜組織に適用したところ、EVの総分泌量の減少、EV中のmiR-17量の低下、EV上のLDLR、ICAM-1の発現量の低下がみられ、EVの抗ウイルス活性が低下した。 著者らは、本研究の重要なポイントとして、「鼻腔上皮細胞由来EVが、TLR3を介した抗ウイルス免疫に関与していること」「鼻腔上皮細胞由来EVが、マイクロRNAの輸送および直接的にウイルスを中和することにより、感染を抑制していること」「寒い環境では、鼻腔上皮細胞由来EVを介した抗ウイルス活性が低下すること」の3点を挙げている。

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米国でのAMIの30日死亡率、保険プランでの差は?/JAMA

 米国高齢者向けの公的医療保険・メディケアの、マネジドケア型でカバーする健康保険プラン「メディケアアドバンテージ」加入者と、従来型の出来高払いでカバーするプラン加入者について、2009~18年の急性心筋梗塞(AMI)のアウトカムを比較したところ、30日死亡率は、2009年時点ではメディケアアドバンテージ加入者が従来型メディケア加入者より、わずかながら統計学的に低かったが、2018年までに統計学的有意差は認められなくなっていた。米国・ハーバード大学医学大学院のBruce E. Landon氏らが、メディケアプログラムのデータを基に行った後ろ向きコホート試験の結果で、JAMA誌2022年12月6日号で発表された。メディケアアドバンテージプラン加入者の支払いカバー率は、2018年は37%だったが、2022年には48%に増大している。メディケアアドバンテージプランにおいて、特定の臨床状態の患者に同質のケアを提供していたかどうかは明らかになっていないが、著者は「今回の結果は、他の結果も考慮したうえで、メディケアプランの違いによる治療とアウトカムの格差に関する見識を提供するものになるだろう」と述べている。STEMI約56万人、NSTEMI約167万人を対象に試験 研究グループは、メディケアアドバンテージ加入者と従来メディケア加入者で、2009~18年にAMIの治療を受けた患者について、後ろ向きコホート試験を行い、30日死亡率と治療内容について比較した(データの最終フォローアップは2019年12月31日)。 被験者数は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)が55万7,309例、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)が167万193例だった。 主要アウトカムは、補正後30日死亡率。副次アウトカムは、年齢・性別補正後の治療(カテーテル法、血行再建術)の施行率、退院後の処方とアドヒアランス、医療システムパフォーマンス指標(ICU入院率、30日再入院率)などだった。ICU入院率や30日再入院率はメディケアアドバンテージ群で低率 被験者総数は222万7,502例で、2018年の平均年齢はメディケアアドバンテージSTEMI群の76.9歳から、従来メディケアNSTEMI群の79.3歳の範囲にわたっていた。女性患者の割合は、メディケアアドバンテージ群と従来メディケア群で類似していた(2018年STEMIは41.4%、41.9%)。 2009年の30日死亡率は、メディケアアドバンテージ群が従来メディケア群より統計学的に有意に低かった。STEMI患者では、メディケアアドバンテージ群19.1% vs.従来メディケア群20.6%で群間差は-1.5ポイント(95%信頼区間[CI]:-2.2~-0.7)、NSTEMI患者では、それぞれ12.0% vs.12.5%で群間差は-0.5ポイント(-0.9~-0.1)だった。 しかし2018年までに、同死亡率はすべての群で低下が認められ、メディケアアドバンテージ群と従来メディケア群の統計学的有意差は認められなくなっていた。同死亡率は、STEMI患者でそれぞれ17.7%と17.8%(群間差:0.0ポイント[95%CI:-0.7~0.6])、NSTEMI患者で10.9%と11.1%(-0.2ポイント[-0.4~0.1])だった。また、2018年までに、標準化90日血行再建術施行率についても両群間で有意差はなくなっていた。 ガイドライン推奨の薬物処方について、2018年のSTEMI患者に対する退院後スタチン処方率は、メディケアアドバンテージ群(91.7%)が従来メディケア群(89.0%)より有意に高率だった(群間差:2.7ポイント、95%CI:1.2~4.2)。 また、メディケアアドバンテージ群は従来メディケア群に比べ、2018年のICU入院率が低く(STEMI患者について50.3% vs.51.2%、群間差:-0.9ポイント[95%CI:-1.8~0.0])、自宅への退院率が亜急性期施設への退院率に比べ高率だった(STEMI患者について71.5% vs.70.2%、1.3ポイント[0.5~2.1])。 30日再入院率は、2009年、2018年共にメディケアアドバンテージ群が従来メディケア群に比べ低率だった(2009年STEMI患者:13.8% vs.15.2%、群間差:-1.3ポイント[95%CI:-2.0~-0.6]、2018年STEMI患者:11.2% vs.11.9%、-0.6ポイント[-1.2~0.0])。

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3~17歳へのコロナワクチン、オミクロン優勢期の効果は?/BMJ

 アルゼンチンで、3~17歳の小児・青少年に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(mRNA-1273[モデルナ製]、BNT162b2[ファイザー製]、BBIBP-CorV[Sinopharm製])2回接種の有効性について調べたところ、死亡に対する予防効果は、優勢となっている変異株の種類にかかわらず、小児・青少年ともに高値を維持していたことが明らかにされた。ワクチン接種後の短期間におけるSARS-CoV-2感染予防効果については、オミクロン変異株が優勢であった間は低かったこと、また時間の経過とともに同効果は急激に低下することも明らかにされた。アルゼンチン・保健省のJuan Manuel Castelli氏らが、約14万人のケースとそのマッチング対照を解析した、診断陰性例コントロール試験の結果で、BMJ誌2022年11月30日号で発表された。アルゼンチンで84万例超を対象に診断陰性例コントロール試験 研究グループは、アルゼンチンの国内サーベイランス・システムのデータベースと、ワクチンレジストリを基に、診断陰性例コントロール試験を行い、小児(3~11歳)・青少年(12~17歳)へのCOVID-19ワクチン2回接種の、SARS-CoV-2感染やCOVID-19関連死に対する有効性を推定し評価した。 対象は、2回のCOVID-19ワクチンのプライマリ接種対象者で、SARS-CoV-2感染歴がなく、2021年9月~2022年4月にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査または迅速抗原検査を受けた3~17歳、84万4,460例。マッチング対照の照合を行い、23万1,181例のケースのうち13万9,321例(60.3%)について解析を行った。 主要アウトカムは、SARS-CoV-2感染とCOVID-19関連死だった。条件付きロジスティック回帰分析で、ワクチン2回接種者の非接種者に対するオッズ比(OR)を推算した。ワクチン有効率は、(1-OR)×100%で算出した。小児の対SARS-CoV-2感染有効率、デルタ株優勢期間は61%、オミクロン株では16% デルタ変異株優勢期間のSARS-CoV-2感染に対するCOVID-19ワクチン2回接種の有効率は、小児が61.2%(95%信頼区間[CI]:56.4~65.5)、青少年が66.8%(63.9~69.5)だった。オミクロン変異株優勢期間は、それぞれ15.9%(13.2~18.6)、26.0(23.2~28.8)だった。 ワクチン有効性は、接種後、日数経過とともに低下し、とくにオミクロン変異株優勢期間の低下は急激で、小児では、接種後15~30日で37.6%(95%CI:34.2~40.8)であったが、60日以降では2.0%(1.8~5.6)へと低下し、青少年ではそれぞれ55.8%(52.4~59.0)から12.4%(8.6~16.1%)への低下が認められた。 一方で、オミクロン変異株優勢期間の、SARS-CoV-2感染関連死に対するワクチン有効率は、小児が66.9%(95%CI:6.4~89.8)、青少年が97.6%(81.0~99.7)だった。

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年間50件!心臓移植の先進施設で学べること【臨床留学通信 from NY】第41回

第41回:年間50件!心臓移植の先進施設で学べることさて今回は、1ヵ月間行った重症心不全ローテーションについて報告します。私のいるMontefiore Medical Centerは、心臓移植をかなり積極的に行っており、年間40~50件ほどになります。日本での年間総数が50件前後であることを考えると多いとも言えますし、日本が極端に少ないとも言えます。移植前の患者さんにLVAD(左室補助人工心臓)の植え込みを行う場合もあり、その後移植になったり、また、移植を考慮しない、いわゆるDestination Therapyとして使われたりすることもあります。私は日本での移植やLVADの経験がまったくなかったので、たとえカテーテル治療に進むとしても、重症心不全が学べる施設での研修が望ましいと考え、Montefioreを選んだ経緯があります。術後患者のLVADのスピードの調整、LVADアラームの対応、はたまた移植前の患者さんの検査一式、移植後の免疫抑制剤の調整など、まったくもって未知の領域ですし、1人でそれに対応できるとは思えませんが、そういった患者さんのカテーテル検査等をすることを考えると、有意義なローテーションであったと思います。重症心不全ローテーション自体はフェローの中では忙しい部類であり、朝6時半頃に来て5~10人前後のICU一歩手前のような重症患者を自分でプレラウンドし、9時から心不全の指導医とのラウンドを2時間ほど行います。その後カルテ書き等を行い、概して夕方5時にはしっかり終わる形です。移植のスケジュールはやはり読めないもので、急に移植を始めるとなると、心臓外科ICUに入院となります。高度専門医療のアメリカでは、重症心不全の専門医もしっかりと術後管理をしていきます。これは、外科医が手術に集中できる仕組みでもあります。私は移植の専門家ではありませんが、日本とアメリカにはかなりの仕組みの違いがあります。アメリカは残念ながら薬物中毒死が多く、それによるドナーも多いのが実情です1)。待機期間も日本の3年に比べて、50日強です。それ以外に、米国ではDCD(Donation after Circulatory Death)といった方法でドナーを増やしたりもしています。実際に私のいるMontefioreのグループから、DCDドナーがDBD(Donation after Brain Death)ドナーと比べて遜色がないのではというデータを出しています2)。このような技術の進歩で救える命が広がることを期待します。参考1)NHKハートネット“臓器移植”について語りやすい世の中に2)Madan S, et al. Feasibility and Potential Impact of Heart Transplantation From Adult Donors After Circulatory Death. J Am Coll Cardiol. 2022;79:148-162.ColumnMontefioreは移植の件数がそれなりにあるので、スペインなど他国から見学者が来て、4~8週間ほど滞在しています。残念ながら、カルテの閲覧や患者さんの診察の権限はないのですが、病棟ラウンドなどオブザーバーとして参加しています。物価高もあって、滞在には金銭的負担もありますが、それぞれ自国との違いを熱心に勉強しています。ここ最近は、そんな彼らと仲良くサッカーワールドカップを観戦しています。同じ病院の循環器にドイツの人もいれば、中南米出身の人もいて、なかなか国際色豊かです。日本が勝っても迂闊に大声では喜びにくいものがあります(笑)。

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映画「二つの真実、三つの嘘」(前編)【なんで病気になりたがるの? 実はよくある訳は?(同情中毒)】Part 1

今回のキーワードミュンヒハウゼン症候群作為症(虚偽性障害)詐病疾病利得対人希求演技性パーソナリティ障害シックロールイエス・バット・ゲーム皆さんは、とくに休みやお金がもらえる訳ではないのに、病気になりたいと思ったことはありますか? 「そんな訳ない」と思いますよね。しかし、世の中には、症状をねつ造してまで、病気になりたがる人がいます。いわゆるミュンヒハウゼン症候群です。今回は、これをテーマに、サスペンス映画「二つの真実、三つの嘘」を取り上げます。病気になりたがる原因を解き明かし、嘘つきの心理を掘り下げます。そして、嘘をつくほどでなければ、病気になりたがるのは実はよくある訳を解説します。さらに、病気になりたがる人の見分け方やその対策を探ります。なお、ミュンヒハウゼン症候群への理解を深めると、この映画のキャラ設定や展開をよりリアルに見ることができ、B級ホラーらしからぬこの映画の魅力を見いだすことができます。サスペンスではありますが、この前編はネタバレなしです。ホラーOKなら、とくに医療関係者をはじめとする援助職の方々にぜひ見て欲しい映画です。1つ目の真実は?主人公はメラニーとエスター。2人は子どもを亡くした女性向けの自助グループで出会います。メラニーは、以前からこの自助グループに通っており、初めて参加するエスターに、夫と小さい息子が以前に交通事故で亡くなっていたことを打ち明けます。ところが、後日、エスターがデパートに行くと、たまたまメラニーが一人で歩いているのを見かけます。そして、突然、慌てふためいて息子の名前を叫び出し、店員に子どもが誘拐されたと言い出すのです。エスターは、駐車場に行って探そうとするメラニーを隠れて追いかけます。すると、メラニーが自分の車から息子を降ろして店に連れていくのを目撃してしまうのです。その後、夫も普通に一緒に暮らしていることを目撃します。ここで、タイトルである「二つの真実、三つの嘘」の1つ目の真実が分かります。それは、メラニーがミュンヒハウゼン症候群であるということです。彼女は、夫と息子が交通事故で亡くなったり息子が誘拐されたと嘘をつき、その悲嘆や動揺などの辛い精神症状を真に迫って演じています。このように、症状をねつ造すること、周りにアピールすること、金銭目的ではないことなどがポイントになります。なお、ミュンヒハウゼン症候群は、従来の病名であり、この現在の正式な病名は、作為症または虚偽性障害(DSM-5)です。この診断基準は、表1をご覧ください。ちなみに、息子や夫が嘘の内容の対象になっている点で、表1の右欄の代理ミュンヒハウゼン症候群であると思われるかもしれません。しかし、厳密には、息子や夫に症状をねつ造している訳でなく、メラニーが自分自身に症状をねつ造している点で、左欄のただのミュンヒハウゼン症候群です。また、金銭を得たり仕事などの義務を免れたりするのが主な目的である場合は、詐病です。これは、ミュンヒハウゼン症候群とは区別します。なお、詐病については、関連記事1で詳しく説明しています。なんで症状をねつ造するの?メラニーはなんのためにこんなことをするのでしょうか? それは、同情されることが快感(社会的報酬)になっているからです。詐病に物理的な疾病利得(報酬)があるとすれば、ミュンヒハウゼン症候群には心理的な「疾病利得」があると言い換えられます。もちろん、私たちも同情されたいと思うことはあります。ただし、それは本当に同情されるほど辛い状態になった時だけです。自分から嘘をついてわざわざ同情される状態を作り出すのは、度が過ぎています。さらに、嘘を繰り返してまで同情されることが止められなくなっているのも、度が過ぎています。もはや、これは「同情中毒」と言えます。「中毒」とは、アルコール、ドラッグ、ギャンブルと同じように、止めたくても止められない嗜癖(アディクション)の古い言い回しですが、生々しくてインパクトがあるので、この記事ではあえてそう名付けました。なんでそんなに同情されたいの?メラニーは、そもそもなぜそこまでして同情されたいのでしょうか? それは、同情されることでしか人と関われなくなっているから、つまり同情を乱用した対人希求です。私たちは人と関わる時、「すごい」「さすが」とちやほやされたいという承認欲求があります。たとえば、映画のラストで、テレビ出演して周りから注目されることをメラニーが想像するシーンが分かりやすいです。しかし、現実のメラニーは、夫の稼ぎによってお金があるとは言え、専業主婦で家庭に閉じ込められて子育てに追われ、夫婦関係もうまく行っていません。そうなると、承認されることが子育てぐらいしかなく、しかもそれすら承認してくれる人がいないので、代わりに「かわいそう」「大丈夫よ」とよしよしされたいという「同情欲求」を満たそうとするのです。つまり、承認欲求がポジティブな対人希求だとすれば、同情欲求はネガティブな対人希求であり、対照的です。もちろん、この承認欲求も度が過ぎると、「承認中毒」という状態になります。これについては、関連記事2で詳しく説明しています。ちなみに、ミュンヒハウゼンとは、「ほら吹き男爵」のモデルとなった中世に実在した貴族の名前です。周りから注目されようと嘘をつく点では同じです。しかし、このミュンヒハウゼン伯爵は周りを楽しませて承認欲求を満たそうと嘘をつきましたが、ミュンヒハウゼン症候群は周りから気の毒がられて同情欲求を満たそうと嘘をついている点で違います。つまり、ミュンヒハウゼン伯爵は、症状をねつ造したというエピソードがとくにないので、実はミュンヒハウゼン症候群は当てはまりません。あえて言えば、注目されたいという特徴から、障害レベルではない演技性パーソナリティが当てはまります。なんで嘘をつくの?それでは、メラニーはなぜ次々と嘘がつけるのでしょうか? 私たちは、嘘をつく時に、無意識に落ち着かなくなります。その理由として、もちろん理屈で考えれば、嘘がばれた時に信用されなくなり自分が困るからです。そして、そもそも私たち人間は、嘘をつくなどの反社会的な行動をすると罪悪感を抱くように心が進化したからです。これは、社会脳と呼ばれています。逆に言えば、嘘つきの原因は、この社会脳が生まれながらうまく働かないという遺伝素因の問題か、社会脳が親によって十分に育まれてこなかったという生育環境の問題か、またはその両方が考えられます。これについては、関連記事3で詳しく説明しています。ただし、嘘をついても落ち着かなくならない例外があります。それは、相手を傷つけないための嘘、いわゆる「ホワイト・ライ」です。これも、相手とうまくやっていくための社会脳として進化しました。次のページへ >>

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映画「二つの真実、三つの嘘」(前編)【なんで病気になりたがるの? 実はよくある訳は?(同情中毒)】Part 2

病気になりたがることが実はよくある訳は?確かに、嘘をついてまで病気になりたがるのは、かなり度が過ぎています。しかし、嘘をつくほどでなければ、病気になりたがることは、心療内科・精神科や心理カウンセリングの現場で、実はよくあることです。その理由を大きく3つ挙げてみましょう。(1)もっとかまって欲しいから病気になりたがる1つ目の理由は、もっとかまって欲しいからです。そのために、嘘をつかなくても、困っていることや症状を大げさに訴えたり見せつけます。たとえば、毎回の診察で「死にたい」と訴え続けることです。また、急に倒れ込んだり、リストカットの傷痕を隠さずに出していることです。症状を伝えることは、かまってもらうためではなく、良くするためであるはずなのにです。なお、これらは、意識的に嘘をついている訳ではないので、ミュンヒハウゼン症候群ではなく、演技性パーソナリティ障害と診断されます。(2)病気のせいにしたいから病気になりたがる2つ目の理由は、病気のせいにしたいからです。仕事や人間関係でうまく行っていない時、それが自分の能力や性格によるものであれば、自分のせいになります。しかし、「うつ病」「自律神経失調症」などと診断されれば、その問題を病気のせいにすることができます。また、自分の能力の問題であっても、「ADHD(注意欠如・多動症)」「HSP(敏感な人)」などと指摘されれば、やはり病気のせいにできます。さらに、自分の性格の問題であっても、「毒親」「アダルトチルドレン」などと指摘されれば、家庭環境のせいにすることができます。病気になったのは本人の責任ではないかもしれませんが、病気を良くしていくのは本人の責任であるはずなのにです。もはや、自分で自分に嘘をついている状態です。なお、これらは、無意識に責任逃れや責任転嫁をしている点で、自己奉仕バイアスと呼ばれます。婚活でうまく行かない人が、良い相手がいないと嘆く心理に通じます。また、ひきこもりの人が親に謝罪をしつこく求める心理にも通じます。(3)病人として生きたいから病気になりたがる3つ目の理由は、病人として生きたいからです。病人でいる状況が長くなると、病気に立ち向かって頑張って生きている自分というアイデンティティが確立してしまいます。逆に言えば、病人ではなくなると、病気以外で頑張ること(役割)やその居場所を新しく探さなければならず、見つからなければ自分は何者でもなくなってしまうという恐怖が出てきます。よって、彼らにとって、たとえば精神障害者保健福祉手帳の取得はステータスになります。3級が2級になれば、資格試験で頑張った成果であるかのように納得した表情をします。やがて、「病気自慢」「不幸自慢」をするようになります。そもそも、病気や不幸を語ることは、健康や幸福になるための手段であって、目的そのものではないはずなのにです。なお、これは、無意識に治りたいと思っておらず、病人の役割(アイデンティティ)をまっとうしようとする点で、シックロールと呼ばれています。病気になりたがる人を見分けるには?病気になりたがることが実はよくある理由は、もっとかまって欲しい、病気のせいにしたい、そして病人として生きたいからであることが分かりました。それでは、これらの心理を踏まえて、彼らをどうやって見分ければいいでしょうか? 彼らの特徴を大きく3つ挙げてみましょう。(1)症状を語りたがる病気になりたがる人の特徴の1つ目は、症状を語りたがることです。たとえば、症状を次々と列挙して、その症状がどんなふうでどうなってきたかを、辛そうな表情を交えながらもよくしゃべります。また、医療機関での予診票では、症状のチェック欄には、ほぼすべての症状をチェックします。自己記入式の病状のスクリーニング検査では、病状が重く見られるようにチェックします。そして、こちらが、症状を語りたがっている意図を察知して、あえて話を切り上げようとすると、「話を聞いてくれない」「辛さを分かってくれない」と怒り出します。そもそも、本当に病気の人は、症状を伝えるにしても、一番辛い症状を何とか1つか2つあげるだけで、そんなに語れません。そして、治してもらえるなら、話が早くに終わっても気にしません。(2)病名や原因をはっきりさせたがる病気になりたがる人の特徴の2つ目は、病名や原因をはっきりさせたがることです。たとえば、病名や原因をしつこく聞いてきます。自分がネットで調べて見つけた病名が、厳密には違うと聞かされると、がっかりしたり食い下がってきます。わざわざ自分が持ち歩くだけのために、診断書の発行を希望する人もいます。そもそも、精神科医が病名や原因を伝えるのは、薬の処方をはじめとして今後のためになる場合に限られています。逆に言えば、今後のためにならない場合は積極的には伝えません。その理由は、そうすること自体が、決め付け(ラベリング)になってしまい、その病気や原因に本人がとらわれて、逆になかなか良くならないことがあるからです。(3)治療には乗ってこない病気になりたがる人の特徴の3つ目は、治療には乗ってこないことです。たとえば、病気を良くするためのさまざまな提案に対して、すべて「はい、いいんですけど…でもやっぱり私には無理です」と曖昧に返してきます。これは、心理学で「イエス・バット・ゲーム」と呼ばれています。一方で、「いいえ、そうじゃなくて(ノー・バット)」とはっきり返してくる場合は、「ということは何か考えがあるのですね」とその人なりの思いを掘り起こすことができます。また、「この病気さえなければ」と言い続ける人に、「じゃあ、もしもこの病気が良くなったら、どうしていますか?」と聞くと、「そんなこと考えられないです。だって、病気があることには変わりないじゃないですか」「そんなこと考えて、結局良くならなかったら、ますます辛いじゃないですか」と言い返してきます。さらに、ポジティブな面に目を向ける問いかけに対しては、「私のポジティブなところを聞かれても困ります」「前向きに考えてなんて言って欲しくない」「私はそんなんじゃない」「私の病気を軽く見ないでください」「それがうざいんですよ」と言う人もいます。確かに、とても弱っている時は前向きには考えられません。しかし、それがずっと続く場合は、もはやその人の考え方、生き方の問題になってきますので、治療として限界があることを理解する必要があります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「二つの真実、三つの嘘」(前編)【なんで病気になりたがるの? 実はよくある訳は?(同情中毒)】Part 3

病気になりたがる人にどう接する?病気になりたがる人の特徴は、症状を語りたがる、病名や原因をはっきりさせたがる、治療には乗ってこないことであることが分かりました。それでは、これらの見分け方を踏まえて、彼らにどう接すればいいでしょうか? その対策を大きく3つ挙げてみましょう。(1)ある程度は受容するメラニーは、症状をねつ造していたとは言え、長らく自助グループに通い、お互いに慰め合うことで、日常生活は安定していました。病気になりたがる人への対策の1つ目は、ある程度は受容することです。たとえば、「辛い気持ちを分かって欲しい」と自傷行為を繰り返す人に対しては、「そんなことするくらい辛かったんですね」とその気持ちを受け止めます。その理由は、まずは信頼関係を築く必要があるからです。そもそも信頼関係がなければ、治療が進まないからです。また、病気になりたがっているかは、最初に会った段階でははっきりと分からないことがあるからです。ただし、受容は、あくまで一定レベルで一定期間に留める必要があります。無制限に無期限に気持ちを受け止めると、病気になりたがる気持ちをただ煽る(強化する)だけになってしまうからです。つまり、皮肉にも、困った人の話を聞き続けると、ますます困った人にさせてしまうということです。(2)その気持ちそのものを考えさせる病気になりたがる人への対策の2つ目は、その気持ちそのものを考えさえることです。たとえば、「病気が良くなることを考えること自体が治療なんです。それでも考えたくないですか?」と問いかけ、「変な話、病気であることが生きがいになっている人もいます。私はあなたにそうなって欲しくないと思っています」と遠回しに伝えます。また、症状をねつ造している可能性があるとしても、まずはその矛盾している点を具体的に細かく指摘することに留めます。これらのやり方は、認知行動療法に通じます。注意点は、「あなたは病気になりたがってますね」「嘘をついていますね」とストレートには伝えないことです。心理学では、これを直面化と呼んでいます。そうしてしまうと、そういう人は激しく否認し、信頼関係を損ねます。なお、これは、子どもが嘘をついた時の対応にも通じます。(3)病気以外での人との関わりを促すもしもメラニーが想像した通りにテレビ出演して周りから注目されるようになると、承認によって対人希求が満たされます。すると、もはや同情によって対人希求を満たす必要はなくなるため、症状をねつ造することをしなくなるでしょう。病気になりたがる人への対策の3つ目は、病気以外での人との関わりを促すことです。たとえば、「病気が辛いことについてではなく、病気を良くすることについてなら話を聞きます」と伝え、話の方向付けをすることです。そして、「もしも病気が良くなったら」という先ほどの質問をもう一度して、「あなたの得意なことは?」「好きなことは?」「それを生かす場所は?」という質問につなげていくのです。それでも病気になりたがる人には?しかし、それでも病気になりたがる人もいます。聞き入れられずに堂々巡りになる場合は、もはや治療の限界です。そんな時は「診察の時間には制限があります」「これ以上は治療としてお役に立てることは難しいです」と伝える必要があります。なぜなら、現実問題として、医療現場で病気になりたがる人の話を聞き続けることは、その気持ちを強化する以前に、時間と労力の浪費となり、税金によって成り立っている医療資源の無駄遣いをしていることになるからです。もちろん、病院以外で、「病気自慢」を私小説としてブログで発信したり、自分語りとしてSNSのコミュニティ(自助グループ)で披露することをお勧めすることはできます。それは、自己表現であり、文学です。つまり、対人希求は、病院でネガティブに発揮するのではなく、病院以外でポジティブに発揮することを促すのです。また、自費による心理カウンセリングをお勧めすることもできます。なぜなら、お金を払って話を聞いてもらうのは、本人の自由だからです。ただし、今度は病気になりたがる人がカウンセリングビジネスに利用されないように、助言をする必要はあります。なぜなら、旧ソ連に「国は給料を払うふりをして国民は働くふりをする」というジョークがあるように、「クライエントは病気のふりをして、セラピストは治すふりをする」という関係性ができてしまうからです。それは、もはや治療ではなく、「治療」という衣をかぶった宗教でしょう。なお、カウンセリングビジネスは、関連記事4で詳しく説明しています。なお、次の後編からネタバレになります。この映画をネタバレなしで見たい方は、先に見てから後編に進んでいただき、残りの1つの真実と3つの嘘の答え合わせをしましょう。1)病気志願者―「死ぬほど」病気になりたがる人たち:マーク・D・フェルドマン、原書房、19982)うその心理学:こころの科学、日本評論社、20113)特集「うそと脳」:臨床精神医学、アークメディア、2009年11月号4)「隠す」心理を科学する:太幡直也/佐藤拓/菊池史倫、北大路書房、20215)平気でうそをつく人たち:M・スコット・ペック、1996<< 前のページへ■関連記事万引き家族(前編)【年金の財源を食いつぶす!?「障害年金ビジネス」とは?どうすればいいの?】Part 1ザ・サークル【「いいね!」を欲しがりすぎると?(承認中毒)】Part 1万引き家族(前編)【親が万引きするなら子どももするの?(犯罪心理)】Part 3M-1グランプリ(続編・その2)【ツッコミから学ぶこれからのセラピーとは?】Part 2

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医師の今年の旅行事情と“来年こそ行きたい場所”は?【CareNet.com会員アンケート結果発表】

2022年後半には入国時の条件を緩和する国が増え、国内では旅行支援の取り組みが始まりました。一方で11月からは第8波も到来し、まだまだコロナ禍以前と同じようには旅行を楽しむ状況になっていないかもしれませんが、CareNet.comの会員医師1,000人に、現在の状況と、来年こそ行きたい旅行先についてお聞きしました。行ったor行かない?/日帰りor宿泊? 今年1年の旅行事情は「今年1年どのような旅行(出張は除く)に行きましたか?」という問いに対し、約5割(471人)の医師が「住んでいる都道府県内で日帰りの旅行をした」と回答。「住んでいる都道府県外へ1泊以上の旅行をした」(364人)という回答、「住んでいる都道府県内で1泊以上の旅行をした」(159人)という回答が続いた。一方で約2割(235人)の医師が「旅行も帰省もしていない」と回答している。上記の問いについて年代別に回答をみてみると、「住んでいる都道府県内で日帰りの旅行をした」という回答は若い年代ほど多く、「旅行も帰省もしていない」という回答は年代が高くなるほど多い傾向がみられた。「万一の感染が気になる」「医療者だけ区別するのはおかしい」などさまざまな意見医療従事者が旅行に行くことについて、感じていることや意見があるかを聞いた問いでは、さまざまな意見が寄せられた。【院内の規定が厳しい/開業医や高齢者に対応していることの難しさ】勤務先の規定が厳しすぎる(50代、内科、200床以上)個人医院では医師の感染がそのまま医療経営に関係してくるので、まだまだ医師自身および同居家族は控えたほうがいい(60代、耳鼻咽喉科、0床)開業医は休診できない(60代、内科、0床)とくに高齢者施設に勤務しているものにとっては旅行にいける環境ではない(60代、脳神経外科、200床以上)【まわりの雰囲気や万一の感染が気になる】周りの目が気になる(30代、循環器内科、200床以上)行ける雰囲気ではない。ただし世間では行っており無力感を感じる(30代、内科、200床以上)万一感染し院内クラスターの原因になるようなことがあれば、非難は避けられない。インフルエンザなみの対応とならない限り、自主規制はやめられない(50代、放射線科、1~19床)万一感染した場合の影響を考えるとまだ旅行には行きづらい。人が少ない高級ホテル等に宿泊するなど工夫している(20代、内科、200床以上)【医療者を区別すべきでない/ストレスが爆発寸前】医療従事者とそれ以外を分ける必要はない(50代、眼科、0床)医療従事者だけ我慢するというのもおかしいと思うので、リスク管理をしたうえで自由にしたらいいと思う(40代、内科、0床)国民全体が緩和に動いている中、医療従事者に対してだけ厳しいのはよろしくない。クラスターすらも受け入れる世論が必要(30代、神経内科、100~199床)そろそろストレスが爆発してしまう。ある程度の感染対策をしてなら旅行はOKだと思う(60代、循環器内科、0床)【医療者だからこそ適切な感染対策ができる/旅行自体のリスクが高いとは思わない】医療従事者だからこそ、感染対策を適切に行いながら安全な旅行ができると思う(40代、呼吸器内科、1~19床)感染リスクを最小化した少人数のものならよいのでは? 医療従事者の感染リスクというだけで旅行を自粛していたらかなり長期間行けなくなると思う(50代、精神科、200床以上)医療従事者が世間から隔離されて生活しているわけではないので、自由に行ってよいと思う(50代、消化器外科、200床以上)マスクなどの対策、食事、大声でしゃべることを避けるなど基本的な対策を守り節度のある旅行なら大いに良いのではないか(60代、内科、20~99床)旅行自体の感染リスクが高いとは思わないので、構わない気がする。医療従事者だけが批判の対象になるのはもう違うかなという気がする(30代、精神科、0床)“来年こそ行きたい場所”ベスト51位 ハワイ最も多かった回答はやはり“ハワイ”。「暖かいところで安らぎたい」「リゾートの王様といえばやはりハワイ」「しがらみから解き放たれたい」「非日常を感じたい、綺麗な海を見たい」などの声が相次いだ。「コロナ禍以前は恒例の旅行先だったから」「新婚旅行にまだ行けていないから」といった声も。2位 海外2番目に多かったのは、「どこでもいいから海外に行きたい」という回答。「しばらく行けていないから」「withコロナになってきたからそろそろ行きたい」「ずっと行ってないので願望も込めて」などの声が聞かれた。「来年でなくてもよいが、コロナ禍が収束したら行きたい」という声も。ただし、円安を嘆く声も多く寄せられた。3位 沖縄「温暖な地域かつ国内旅行に行きたい」「国内でリゾートを感じたい」など、まずは国内で非日常を味わいたいという声とともに沖縄が3位にランクイン。「青い海が見たい!」「子供にとっては初めての海になるので、きれいな海を見せてあげたい」ときれいな海への渇望を感じさせる声も。4位 北海道北海道を挙げた医師から多く聞かれたのは「美味しいものが食べたい」「海産物が食べたい」「食べ歩きしたい」という北海道グルメに期待する声。「自然を満喫したい」「ゆっくりドライブしたい」「開放的な場所で家族とゆっくり過ごしたい」と沖縄同様国内で自然を満喫したいという意見も多かった。5位 温泉とにかくどこでもいいから温泉でゆっくりしたいという声も多数。具体的な地名が上がった中では、箱根や湯布院、乳頭温泉が人気だった。蔵王や別府に有馬や加賀、鬼怒川や和倉など、全国各地の温泉地の名前が寄せられた。アンケート概要アンケート名『2022年を総まとめ&来年へ!今年の漢字と来年こそ行きたい旅行先をお聞かせください』実施日   2022年11月3日調査方法  インターネット対象    CareNet.com会員医師有効回答数 1,000件

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第139回 眼科医の手術動画提供事件、行政指導で一通りの決着、スター・ジャパンは白内障用眼内レンズ取り扱い終了へ

手術動画提供事件、個人情報保護委員会が行政指導こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この日曜日は横浜のぴあアリーナMMにナンバーガールの解散ライブに行ってきました。ナンバーガールは1995年に結成し2002年11月に一度解散(札幌ペニーレーン24にも行きました)したバンドです。コロナ前の2019年夏に17年ぶりに再結成し、コロナ禍の中、ライブ活動を続けて来たのですが、再びの解散です。リーダーの向井 秀徳氏はライブ直前の12月9日に生出演した日本テレビ「スッキリ」で、「月賦が、ローンが……となってきたら(またメンバーに)声をかけるかもしれない」」と語っていました。あのキリキリとして、人の心を刺すような独特の爆音をライブでしばらく聴けないと思うと寂しい限りですが、向井氏のことだから還暦ぐらいにまた再結成してくれるのではないかと期待しています。さて今回は、眼科医が患者に無断で白内障の手術動画を医療機器メーカーに提供し、現金を受け取っていた事件を再び取り上げます。この事件、1ヵ月ほど前の11月2日に、個人情報保護委員会(個人情報の適切な管理と利活用を監督する政府機関)が、メーカーのスター・ジャパン(千葉県浦安市)と医師の勤務先の7病院に対し、個人情報保護法に基づいて行政指導することで一段落しました。ただし、金銭を受け取っていた医師たちの処分は、個々の医療機関に任されました。白内障の手術動画を患者や勤務先に無断で繰り返し提供事件の経緯については、「第111回 手術動画提供で機器メーカーの不当な現金供与発覚、類似事件がなくならないワケとは」で詳しく書きました。発覚のきっかけはNHKの報道でした。2022年5月14日、NHKは全国の総合病院などに勤務する眼科医5人(報道当時)が、白内障の手術の動画を患者や勤務先に無断で医療機器メーカーに繰り返し提供し、現金を受け取っていたと報じました。5人は、米国の医療機器メーカー、STAAR SURGICAL社の日本法人、スター・ジャパンとの間で、この会社が製造するレンズを使用した白内障手術の動画を作成する契約を結んだ上で、手術動画を繰り返し提供、2021年までの3年間に現金40~105万円、総額で700万円を超える額を受け取っていたとのことでした。医療機器業公正取引協議会はスター・ジャパンに「厳重警告」これらの報道を受け、医療機器メーカーの業界団体で作る医療機器業公正取引協議会が調査に乗り出しました。医師への現金提供の目的が景品表示法に基づく自主規制のルールで禁じられた自社製品の販売促進だった可能性があったからです。つまり、手術動画の提供は医師にお金を渡すための口実に過ぎなかった、というわけです。医療機器業公正取引協議会は今年7月にその調査結果を公表しました。同協議会はスター・ジャパンが75人の医師に総額2,100万円余りの報酬を支払って制作したとする動画は医師に現金を提供するための名目であり販売促進が目的だったと認定、同社に最も重い「厳重警告」の処分を下しました。個人情報保護法に基づいて適切な管理や従業員の監督が求められる手術の動画さらに、個人情報保護委員会も事実関係の調査を進めていました。手術の動画は、映像や音声などから患者の特定につながるおそれがあるため、医療機関には漏えいなどを防ぐために個人情報保護法に基づいて適切な管理や従業員の監督を行うことが求められるからです。もっとも、適切でなかったからといってすぐに法律で罰せられるわけではありません。違法性がある場合、まず個人情報保護委員会が事業者に立ち入り検査などを行い、実態に応じて指導や勧告、命令を出します。そしてこの命令に違反した場合にやっと、「個人は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金」が科せられます。7つの医療機関については個人が特定されるリスクが比較的高い状態11月2日、個人情報保護委員会が調査結果を公表、全国60の医療機関で動画の管理体制に問題があったとして、一斉に注意喚起を行うなどの行政指導を行いました。個人情報保護委員会が複数の事業者を一斉に行政指導をするのは異例のことだそうです。調査結果によれば、対象となった全国60の医療機関すべてで、患者の同意を得ずにメーカーに動画を提供したり、医療機関側が動画の提供を把握していなかったりするなどの問題があったとのことです。このうち7つの医療機関については、個人が特定されるリスクが高い状態でした。スター・ジャパンには、個人情報取得の際には利用目的を特定し、本人への通知や公表をするよう指導。7つの医療機関には個人データを第三者に提供する際には本人の同意を得るほか、適切に扱う体制を整備するよう指摘しました。委員会の調査に対し報告期限を守らなかった4病院にも行政指導が行われました。さらに、国内の医療機関全体に対しても、ホームページを通じて動画の管理体制について注意喚起しました1)。この注意喚起には、手術動画が個人情報に該当するケースや、手術動画を取り扱う際に守るべきルールがまとめられています。興味がある方はご一読下さい。米国同様、リベートを罰する法律を早急に整備するべき今回の事件、不適切な現金供与については業界団体による企業への「厳重注意」、手術動画の提供については個人情報保護委員会による「行政指導」と、一応の決着はついています。しかし、現金を受け取っていた眼科医たちの処分は個々の医療機関に任されただけです。産経新聞等の報道によれば、今回の事件で、福井赤十字病院が就業規則に違反したとして男性医師を処分していたことが判明していますが、他の病院の処分状況はわかりません。前回、事件発覚時にも書きましたが、日本には、過大な景品提供などによる不公正な取引を防ぐため、個々の業界が定めた自主規制ルールである「公正競争規約」があります。同規約は景品表示法第31条に基づくものですが、あくまでも業界の自主ルールであり、そこに法律違反は発生しません。ゆえに今回も、眼科医たちの処分は個々の医療機関に任されたわけです。医療機関が購入する医療機器・用具の代金はそもそも公的財源も入った診療報酬で賄われています。その代金にあらかじめリベートや不当な現金供与分も上乗せされているとしたら、それは大きな問題です。日本も米国同様、リベートを罰する法律を早急に整備するべきであると、今回の事件の流れを振り返り改めて思いました。……とここまで書いてきたら、スター・ジャパンが、白内障用レンズの国内の取り扱いを終了するというニュースが飛び込んで来ました。12月6日付の同社のニュースリリースによれば、「スター・サージカル・グループが白内障用レンズ事業の継続が難しくなったと判断し、今後は、現在グローバル売上の95%を占める眼内コンタクトレンズ事業の成長機会に技術開発と支援を集中すると決定したことに伴うもの」だそうです。眼内レンズは多焦点レンズの登場などによって、世界的にも販売競争が激化しています。今回の事件も、グローバルの本部からの要請もあって、過度な販売促進に走った可能性も考えられます。突然の取り扱い終了によって、同社の白内障用眼内レンズを使用している患者に、不都合が起きないことを願います。参考1)手術動画提供事案に対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について(令和4年11月2日)/個人情報保護委員会

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自宅コロナ死、4割は同居家族あり/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第109回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月7日に開催された。その中で「新型コロナ患者の自宅での死亡事例に関する自治体からの報告について」が報告された。 調査期間中776名の自宅で死亡した者の解析から、死亡者の79%が70代以上であり、基礎疾患がある者が69%、親族などと同居が42%いた。また、ワクチン接種歴も不明が34%で一番多いものの、「3回接種」も28%と多かった。 政府では、「Withコロナに向けた政策の考え方」に則り、今後必要な医療資機材の提供、国民への正確な知識の普及に努めるとしている。 以下に概要を示す。70代以上の高齢者で、基礎疾患がある人は死亡が多い【調査概要】期間: 2022年7月1日~8月31日地域:全国都道府県条件:新型コロナウイルス感染症患者(死後陽性確認者も含む)で自宅にて死亡した者を本年10月に都道府県を通じ、その年齢、基礎疾患、同居の有無、ワクチン接種歴、死亡に至るまでの経過などを調査(ただし自宅療養中に症状が悪化し、医療機関に入院した後に死亡した事例は除く)。【結果概要】 合計776名(男性460名、女性316名)(死亡時の年齢構成) 80代以上が58%、70代以上が21%、60代以上が9%(基礎疾患の有無) 「あり」が69%、「なし」が19%、「不明」が12%(ワクチンの接種歴) 「不明」が34%、「3回」が28%、「未接種」が20%(単身・同居などの状況) 「不明」が48%、「同居」が42%、「単身」が10% その他の事項は次のとおり。・死亡直前の診断時の症状の程度について、軽症・無症状が41.4%、中等症が13.1%、重症が7.1%、不明または死亡後診断が38.4%・生前に陽性が判明した者は70.1%、死後に陽性が判明した者は29.9%・発生届の届出日が死亡日よりも前であった事例が50.6%、発生届の届出日が死亡日と同日であった事例が31.2%、発生届の届出日が死亡日以降であった事例が17.9%、不明が0.3%・自宅療養の希望ありが22.8%、希望なしが10.3%、不明者および死後陽性が判明した者が66.9%発熱がなく、毎日訪問介護を受けていても死亡のケースも【具体的な死亡事例について】・救急搬送の搬入時の検査で陽性が判明したケース。・家族や親族などに自宅で倒れているところを発見されたケース。・陽性が判明したが、本人や家族の意思により自宅療養を希望したケース。・高齢であることや末期がんであることにより自宅での看取りを希望したケース。・自宅療養中に急速に重症化して死亡したケース。・同居家族から感染し、自宅での死亡につながったケース。・コロナ以外の要因で死亡し、死後に陽性が判明したケース。・入院や宿泊療養、治療を希望しないケース。・浴槽で意識がなくなっているところを同居家族に発見されたケース。・入院調整や宿泊療養の対象となるも、直後に死亡したケース。・主治医からの健康観察や訪問看護を受けていたものの、死亡したケース。・自宅訪問するも応答なく、警察に協力依頼を行ったケース。・症状があったが検査や受診を受けずに、死後に陽性が判明したケース。・家族は入院を希望していたが、自宅療養となり、死亡したケース。・発熱がなく、毎日訪問介護を受けていたが、死亡したケース。【自治体での取組事例】・体調の変化・悪化の早期把握のため、自宅療養開始時の説明、ホームページ、SMSなどで電話相談窓口への連絡を自宅療養者に対して周知。・療養者支援センターを開設。若年層にはSMSを利用して調査を実施し、保健所が電話で調査すべき対象者を重症化リスクが高い方に絞ることで連絡遅滞を防ぐ改善を行った。・陽性者からの要請があった場合、感染防護対策を行ったうえで、直ちに現場に向かう体制を施行。【今後の対応】 「Withコロナに向けた政策の考え方」の考え方に則り、入院治療が必要な患者への対応の強化、発熱外来や電話診療・オンライン診療の体制強化、治療薬の円滑な供給、健康フォローアップセンターの拡充と自己検査キットの確保などの対策を進めるとともに、国民への情報提供と重症化リスクなどに応じた外来受診・療養への協力の呼びかけなどに取り組んでいく。

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レビー小体型認知症の初期症状の特徴

 レビー小体型認知症(DLB)は、神経変性疾患による認知症のうち2番目に多いとされる。レビー小体型認知症は認知機能障害の変動を特徴としているが、認知機能症状が出現する前に、急速眼球運動、睡眠行動障害、精神症状、自律神経症状、パーキンソン症状などが認められることが多い。そのため、レビー小体型認知症の初期段階では他疾患と診断されることも少なくない。中国・天津医科大学のMin Fei氏らは、レビー小体型認知症の初期症状の特徴を調査し、レビー小体型認知症の早期診断に必要な手掛かりを得ようと試みた。その結果、レビー小体型認知症患者の初期症状は性別や年齢により違いが認められた。著者らは、レビー小体型認知症の初期症状を理解することでより正確な診断が可能となるであろうとまとめている。Frontiers in Neurology誌2022年10月12日号の報告。レビー小体型認知症の初期症状で睡眠行動障害は女性よりも男性で多い 対象は、2015年9月~2021年3月にTianjin Huanhu Hospitalの認知症外来を受診したレビー小体型認知症が疑われる患者239例。すべての患者の初期症状をレトロスペクティブに調査した。初期症状の発症時期も併せて評価した。 レビー小体型認知症の初期症状の特徴を調査した主な結果は以下のとおり。・レビー小体型認知症患者の初期症状は、以下の順で認められた。 ●記憶障害:53.9% ●精神症状:34.7% ●睡眠行動障害:20.9% ●パーキンソン症状:15.1% ●自律神経症状:10.1%・レビー小体型認知症患者の初期症状は、性別や年齢により有意な違いが認められた。・睡眠行動障害は女性よりも男性で多く、幻覚や幻聴は男性よりも女性で多かった。

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ペムブロリズマブのNSCLCアジュバント、日本人でも有効(PEARLS/KEYNOTE-091)/日本肺学会

 PD-L1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリマブの術後補助療法は、日本人においても有効で、グローバルと同等の成績を示した。 ペムブロリズマブによるNSCLCの術後補助療法を評価する第III相PEARLS/KEYNOTE-091試験における日本人患者の結果が、第63回日本肺学会学術集会で、国立がん研究センター東病院の坪井 正博氏から発表されている。 試験デザインは関連記事参照。 PEARLS/KEYNOTE-091のグローバル第2回中間解析において、ペムブロリズマブの補助療法はプラセボに対し、HR 0.76(p=0.0014)と、無病生存期間(DFS)を延長している。 主な結果は以下のとおり。・日本人の登録は136例で、ペムブロリスマブ群67例とプラセボ群69例に無作為に割り付けられた。・日本人集団のデータカットオフ時(2021年9月20日)における追跡期間中央値は39.1ヵ月であった。・日本人集団のDFS中央値はペムブロリスマブ群40.5ヵ月、プラセボ群は35.0月で、HRは0.75(95%信頼区間[CI]:0.45〜1.24)とペムブロリスマブ群でグローバルと同様の改善を示した。2年DFS率はペムブロリスマブ群66%、プラセボ群55%であった。・PD-L1別の解析は対象数が少ないため評価されていない。・日本人集団における全生存期間は解析対象に至っていない。・Grade≧3の有害事象(AE)は、ペムブロリスマブ群の22.4%、プラセボ群の13.0%で発生した。治療中止に至ったAEはペムブロリスマブ群の16.4%、プラセボ群の7.2%で発現した。免疫関連AEはペムブロリスマブ群の41.8%で発現、一方プラセボ群では10.1%であった。 発表者の坪井氏は、これら日本人集団の結果はグローバルと一致していることから、ペムブロリスマブのNSCLC術後補助療法は日本人においても新たな治療選択肢となる可能性があると述べている。

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HER2+進行乳がん2次治療でのT-DXd、OSがT-DM1に対し36%改善(DESTINY-Breast03)/SABCS2022

 トラスツズマブおよびタキサン系薬剤の前治療歴があり、HER2+の切除不能または転移を有する乳がん患者に対する、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)とトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)を比較した第III相DESTINY-Breast03試験のアップデート解析において、T-DXd群では全生存期間(OS)が36%改善したことを、米国・University of California Los AngelesのSara A. Hurvitz氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。なお、この結果はLancet誌オンライン版2022年12月6日号に同時掲載された。 これまで、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)でDESTINY-Breast03試験の中間解析結果が発表され、T-DXd群ではT-DM1群よりも主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したことが示されていた。副次評価項目のOSは両群ともに未到達であったため、今回初めてOSに関する解析が行われた。・対象:トラスツズマブおよびタキサン系薬剤の前治療歴があり、HER2+(IHCスコア3+、またはIHCスコア2+かつISH+)の切除不能または転移を有する乳がん患者524例・試験群(T-DXd群):T-DXdを3週間間隔で5.4mg/kg投与 261例・対照群(T-DM1群):T-DM1を3週間間隔で3.6mg/kg投与 263例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央評価委員会(BICR)によるPFS[副次評価項目]OS、BICRおよび治験医師などの判定による奏効率(ORR)、BICRによる奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は、T-DXd群で28.4ヵ月(0.0~46.9ヵ月)、T-DM1群で26.5ヵ月(0.0~45.0ヵ月)であった(データカットオフ:2022年7月25日)。・治療期間中央値は、T-DXd群で18.2ヵ月(0.7~44.0ヵ月)、T-DM1群で6.9ヵ月(0.7~39.3ヵ月)であった。・T-DXd群の年齢中央値は54.3歳、HR+が50.2%で、T-DM1群の年齢中央値は54.2歳、HR+が51.0%であった。両群ともにアジア系が約60%で、過去に中央値2ラインの化学療法歴を有していた。・両群ともにOSの中央値には達しておらず、T-DXd群の95%信頼区間(CI)は40.5~NE、T-DM1群の95%CIは34.0~NE(ヵ月)であった。・OSのハザード比(HR)は0.64(95%CI:0.47~0.87、p=0.0037)で、事前に規定されていたp値(0.013)を下回っていた。・12ヵ月時点のOS率は、T-DXd群94.1%(95%CI:90.4~96.4)vs. T-DM1群86.0%(81.1~89.8)、24ヵ月時点は77.4%(71.7~82.1)vs. 69.9%(63.7~75.2)、36ヵ月時点は69.3%(62.5~75.1)vs. 55.4%(47.4~62.8)であった。・BICRによるPFS中央値は、T-DXd群28.8ヵ月vs. T-DM1群6.8ヵ月(HR:0.33、95%CI:0.26~0.43、p<0.000001)であった。・BICRによるORRは、T-DXd群で78.5%(CRは21.1%)、T-DM1群で35.0%(CRは9.5%)であった。・クリニカルベネフィット率は、T-DXd群で89.3%、T-DM1群で46.4%であった。・DOR中央値は、T-DXd群で36.6ヵ月、T-DM1群で23.8ヵ月であった。・治験医師などの判定によるPFS2中央値は、T-DXd群で40.5ヵ月、T-DM1群で25.7ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象は、T-DXd群で56.4%、T-DM1群で51.7%であった。・外部判定委員会の判定による薬剤関連の間質性肺疾患は、T-DXd群で15.2%(Grade1:4.3%、Grade2:10.1%、Grade3:0.8%)、T-DM1で3.1%(Grade1:1.5%、Grade2:1.1%、Grade3:0.4%)であった。 Hurvitz氏は、「トラスツズマブおよびタキサン系薬剤の前治療歴があり、HER2+の切除不能または転移を有する乳がん患者において、T-DM1と比較して、T-DXdで治療を行った群では、臨床的かつ統計学的に有意なOSおよびPFSの改善がみられた。また、長期に及ぶ治療において、安全性プロファイルは管理可能で忍容性も高かった」とまとめた。

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リバーロキサバン延長で、静脈血栓塞栓症の再発リスク低減/BMJ

 症候性の孤立性遠位深部静脈血栓症(DVT)の患者に対して、リバーロキサバンによる6週間の治療の後、さらに6週間の同薬の投与を行うと、プラセボと比較して、出血のリスクを増加させずに静脈血栓塞栓症の再発リスクが低減することが、イタリア・インスブリア大学のWalter Ageno氏らが実施した「RIDTS試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年11月23日号に掲載された。6週と12週投与を比較するイタリアの無作為化試験 RIDTS試験は、イタリアの28施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2017年1月~2020年3月の期間に患者の登録が行われた(Bayerとインスブリア大学の助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、下肢の症候性孤立性遠位DVTと診断され、標準的な用量のリバーロキサバンの投与を6週間受けた患者であった。被験者は、さらに6週間の同薬(20mg、1日1回)の追加投与を受ける群、またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、24ヵ月間追跡された。 有効性の主要アウトカムは静脈血栓塞栓症の再発であり、孤立性遠位DVTの進行、孤立性遠位DVTの再発、近位DVT、症候性肺塞栓症、致死的肺塞栓症の複合と定義された。安全性の主要アウトカムは、無作為化から最終投与後2日までの大出血の発現であった。大出血は両群とも発現せず 402例が登録され、リバーロキサバン群に200例(平均[SD]年齢65.0[16.0]歳、女性58%、高リスク例93%)、プラセボ群に202例(65.3[15.4]歳、59%、94%)が割り付けられた。誘因のない孤立性遠位DVTは、リバーロキサバン群が81例(40%)、プラセボ群は86例(43%)であった。 有効性の主要アウトカムは、リバーロキサバン群が23例(11%)で発現し、プラセボ群の39例(19%)に比べ有意に少なかった(相対リスク:0.59、95%信頼区間[CI]:0.36~0.95、p=0.03)。有効性の主要アウトカム発現を1件防止するのに要する治療必要数は13(95%CI:7~126)であった。 孤立性遠位DVTの再発は、リバーロキサバン群が16例(8%)、プラセボ群は31例(15%)で認められた(相対リスク:0.52、95%CI:0.29~0.92、p=0.02)。近位DVTまたは肺塞栓症は、それぞれ7例(3%)および8例(4%)で発現した(0.88、0.33~2.39、p=0.80)。 大出血は、両群ともに認められなかった。臨床的に重要な非大出血は、両群とも1例(0.5%)であった。 著者は、「これらの知見は、本試験で除外されたがん関連の孤立性遠位DVTを有する患者には適用されず、他の抗凝固薬治療に外挿すべきではない。今後、抗凝固薬治療を必要としない可能性のある低リスク患者を特定するための検討が求められる」としている。

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SGLT2阻害薬は非糖尿病CKDにおいてもなぜ腎イベントを軽減するか?(解説:栗山哲氏)

本論文は何が新しいか SGLT2阻害薬に関するこれまでのシステマティックレビューやメタ解析は、2型糖尿病(diabetes mellitus:DM)患者を中心に検討されてきた。本論文では、非DM患者の登録割合が多い最近の大規模研究EMPA-KIDNEY、DELIVER、DAPA-CKD加えて、2022年9月の時点における13の大規模研究、総計9万409例(DM 7万4,804例[82.7%]、非DM 1万5,605例[17.3%]、平均eGFR:37~85mL/min/1.73m2)を解析した。本研究は、DMの有無によりSGLT2阻害薬の心・腎保護作用に差異があるか否かを膨大な症例数で解析した点が新しい。本論文の主要結果 腎アウトカムは、CKD進展(eGFR 50%以上の持続的低下、持続的なeGFR低値、末期腎不全)、急性腎障害(acute kidney injury:AKI)で評価、心血管リスクは心血管死または心不全による入院の複合項目で評価した。 結果は、SGLT2阻害薬は、CKD進展リスクを37%低下(相対リスク[RR]:0.63、95%信頼区間[CI]:0.58~0.69)。その低下の程度は、DM患者(RR:0.62)と非DM患者(RR:0.69)で同等。腎疾患別では、糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)(RR:0.60、95%CI:0.53~0.69)と慢性腎炎(chronic glomerulonephritis:CGN)(RR:0.60、95%CI:0.46~0.78)でのリスク低下は40%だが、腎硬化症(nephrosclerosis:NS)のリスク低下は30%であった(RR:0.70、95%CI:0.50~1.00、群間のheterogeneity p=0.67)。また、AKIのリスクは23%低下(RR:0.77、95%CI:0.70~0.84)、心血管死または心不全による入院のリスクは23%低下(RR:0.77、95%CI:0.74~0.81)で、これらもDMの有無にかかわらず同等であった。さらに、SGLT2阻害薬は心血管死リスクも低下させたが(RR:0.86、95%CI:0.81~0.92)、非心血管死リスクは低下させなかった(RR:0.94、95%CI:0.88~1.02)。上記のリスク軽減にベースラインのeGFRは関連していなかった。糖尿病治療薬・SGLT2阻害薬はなぜ非DMでも効くのか? DAPA-CKDやEMPA-KIDNEYにおいてCKD患者では、2型DMの有無を問わず心・腎イベントを減少させることが示唆されていた。本研究ではSGLT2阻害薬の関連する13研究の多数の症例についてメタ解析を実施し、腎アウトカムはDMの有無にかかわらず同等であることを確認した。作用機序の面から考えると、SGLT2阻害薬はDM治療薬であることから、非DM性CGNでのリスク低下は糖代謝改善では説明がつかない。では、糖代謝とは独立したいかなる機序が想定されるのであろうか。 2型DMでは、近位尿細管のSGLT2発現が増加している。そのため、輸入細動脈が拡張し糸球体過剰ろ過がみられる。CGNやNSにおいても腎機能が中等度低下すると、輸出細動脈の収縮により過剰ろ過がみられる(注:NSは病態初期は糸球体虚血があり内圧は通常上昇していない)。SGLT2阻害薬は、近位尿細管でNa再吸収を抑制して遠位尿細管のmacula densa(MD:緻密斑)に流入するNaを増大させ、尿細管-緻密斑フィードバック(tubuloglomerular feedback:TGF-MD)を適正化し、糸球体内圧を低下させる。この糸球体内圧低下は、eGFRのinitial dip(初期に起こる10~20%の一過性の低下)として観察される。Initial dipはDM、非DMにかかわらず観察されることから、非DM性CKD患者においても腎保護作用の主要機序はTGF-MD機能改善による糸球体血行動態改善が考えられる(Kraus BJ, et al. Kidney Int. 2021;99:750-762.)。 一方、CKDの病態進展には、尿細管間質病変も重要である。この点、SGLT2阻害薬には、尿細管間質の線維化抑制や抗炎症効果が示唆されている(Nespoux J, et al. Curr Opin Nephrol Hypertens. 2020;29:190-198.)。臨床的にはエンパグリフロジンの尿中L-FABP(尿細管間質障害のマーカー)低下作用やエリスロポエチン増加に伴うHb値増加などを示唆する成績もある。SGLT2阻害薬には、上記以外にも、降圧効果、食塩感受性改善、インスリン感受性改善、尿酸値低下、交感神経機能改善、などあり、これらも重要な心・腎保護機序と考えられる。また、同剤は、近位尿細管に作用するユニークな利尿薬との仮説もある。SGLT2阻害による浸透圧利尿(グルコース尿・Na尿)は、利尿作用による水・Na負荷軽減のみならず腎うっ血を改善することで尿細管間質障害を改善させていると考えられる(Kuriyama S. Kidney Blood Press Res. 2019;44:449-456.)。本論文から何を学び、どう実地診療に生かす? SGLT2阻害薬は、単にDMのみならず動脈硬化性心血管病、心不全、CKDやDKD、NAFLDなどへ適応症が拡大していく可能性がある。最近、心不全治療ではファンタスティックフォー(fantastic four:ARNI、SGLT2阻害薬、β遮断薬、MRB)なる4剤の組み合わせがトレンドで脚光を浴びている。DKD治療においてもKDIGO 2022では4種類の腎保護薬(RAS阻害薬、SGLT2阻害薬、非ステロイド骨格MRB[フィネレノン]、GLP-1アナログ)が推奨されており(Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Diabetes Work Group. Kidney Int. 2022;102:S1-S127.)、これに呼応し新たに腎臓病ファンタスティックフォー(the DKD fantastic four)なる治療戦略が提唱されつつある(Mima A. Adv Ther. 2022;39:3488-3500.)。また、本論文が掲載されたLancet誌上には、SGLT2阻害薬がCKD治療の早期からの「foundational drug:基礎薬」になり得るのではとのコメントもある(Mark PB, et al. Lancet. 2022;400:1745-1747.)。今後、DKDあるいは非DM性CKDに対しては、従来からのRAS抑制薬にSGLT2阻害薬の併用、さらに治療抵抗例にはMRBやGLP-1アナログを追加・併用する治療法が普及する可能性がある。 さて、本題の「SGLT2阻害薬は非糖尿病CKDにおいてもなぜ腎イベントを軽減するか?」の答えは、多因子にわたる複合的効果となろう。現在、本邦ではダパグリフロジンがCKDに適応症が取れている。腎臓病診療の現場では、ダパグリフロジンをDKD治療目的だけではなく、非DM性CGNの腎保護目的に対しても使われはじめている。例えばIgA腎炎に対する扁摘パルス療法は一定の寛解率は期待されるが、必ずしも腎予後が改善しない例もある。これらの患者のunmet needsに対してSGLT2阻害薬を含め腎臓病ファンタスティックフォーによる治療介入(とくに早期からが良い?)が新たな腎保護戦略として注目されている。

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抗肥満薬「アライ」がダイレクトOTCとして薬局で購入可能に【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第101回

脂質吸収抑制薬「オルリスタット(商品名:アライ)」の要指導医薬品としての承認が了承されました。久しぶりの新たなダイレクトOTCが誕生することになります。厚生労働省が11月28日に開催した薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会において肥満を対象とした大正製薬の「アライ」(成分名=オルリスタット)の要指導医薬品としての承認が了承された。同剤は、国内では医療用医薬品としての使用実績がない「ダイレクトOTC」で、国内初のOTCの肥満薬。承認は来年3月末の見込みで、2019年3月の申請から4年越しでの承認となる。(2022年11月29日付 日刊薬業) ダイレクトOTCという響きを久しぶりに聞きましたね。ダイレクトOTCとは、医療用医薬品としての使用実績がないままダイレクトにOTC医薬品として承認された医薬品です。原則として薬剤師のみが販売可能で、販売の際には薬の情報提供を行う必要があります。オルリスタットは、海外の多くの国ではすでに医療用医薬またはOTC医薬品として販売されている成分ですが、日本では2019年の申請からかなり慎重に審査され、ようやく要指導医薬品として承認の目途が立ちました。このオルリスタットの気になる作用機序は、消化管の中でリパーゼを不活性化し、食事に含まれる脂質の体内吸収を抑制することで、減量効果を得ようとするものです。効能・効果は「腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の人における内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)」で、食事や運動などの取り組みの補助的な位置付けとなっています。対象は18歳以上で、1日3回、食事中か食後1時間以内に1カプセル服用します。審査に時間を要した理由として、「いかに対象者を適切に選択するか、適正使用をどう確保するかが難しい品目で、それらを検討するのに時間がかかった」と報じられています。対象となる「腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の人」というのは、いわゆるメタボリックシンドロームの基準と同じで、本剤の必要のない人が過度なダイエットのために使用することを懸念しているのでしょう。なお、要指導医薬品ですのでオンラインでは販売できず、再審査期間が8年設定されます。1ヵ月前から腹囲や体重を記録し、薬剤師がチェックすでにインターネットなどでは「痩せ薬が承認!」などと話題になっていますので、販売されたらサプリメント感覚でオルリスタットを買いに来る患者さんも少なからずいると思います。主な副作用は、作用メカニズムに由来する脂肪便や下痢などですが、肝障害にも注意が必要です。処方薬としての実績がない成分であり、肥満を対象とした初めてのOTC医薬品ですので、痩せている人が使用して健康被害が続出!というのは避けなければなりません。不適切な患者さんの服用を避ける対策として、「服薬を始める1ヵ月前から腹囲や体重などを記録し、薬剤師のチェックを受け、6ヵ月服用しても効果がなければ使用をやめる」という使用上の注意が設けられるようです。久々のダイレクトOTCですので、販売を「薬局に任せてよかった」となることを期待しています。本当に本剤の服用が適しているかどうかを判断するとともに、副作用だけでなく過度な体重減少などが生じた場合の受診勧奨も忘れずに行いましょう。承認は2023年3月の予定ですが、現在パブリックコメントの募集が開始されています。年末までですので、興味のある方はコメントしてみてはいかがでしょうか。

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英語で「検査を行います」は?【1分★医療英語】第58回

第58回 英語で「検査を行います」は?So, what is the next step?(それで、次はどうしたらよいでしょうか?)We would like to run some tests to confirm the diagnosis.(診断を確定するために、いくつかの検査を行いたいと思います)《例文1》I need to run a test to rule out a heart attack.(心臓発作を除外するために検査が必要です)《例文2》I’m going to run a blood test to check your diabetes.(糖尿病を調べるために血液検査をします)《解説》“run”という動詞は「走る」以外にも、「(会社などを)経営する」、「(機械などを)動かす」といったさまざまな意味があります。“Run a test”で「検査を行う」という意味になり、検査について英語で説明する時によく使うフレーズです。また、“run”に関連したフレーズとしては、“I have a runny nose.”(鼻水が出ています)や、“I’m running late.”(少し遅れます)といった表現も、日常会話によく出てきます。講師紹介

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12月13日 ビタミンの日【今日は何の日?】

【12月13日 ビタミンの日】〔由来〕1910年の今日、鈴木梅太郎博士(農芸化学者)が、米糠から抽出した成分を「オリザニン」と命名し、東京化学会で発表した。このオリザニンは後に、ビタミンB1(チアミン)と同じ物質であることが判明し、「ビタミン」と呼ばれるようになったことを記念し「ビタミンの日」制定委員会が2000年に制定。関連コンテンツビタミンEってなあに?【患者説明用スライド】ビタミンCってなあに?【患者説明用スライド】葉酸ってなあに?【患者説明用スライド】ビタミンD補給、中高年において骨折予防効果なし/NEJM青年期の抑うつ症状とビタミンDレベルとの関係

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