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第172回 地域枠離脱者には専門医資格を取らせないように!「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」が今年も提言

「不同意離脱者については、 専門医資格の認定・更新を行わないよう働きかけるべき」こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。トレードの話題で持ちきりだったMLBの大谷 翔平選手ですが、オーナーの強い意向もあり、ロサンゼルス・エンジェルスはプレーオフ進出を目指して戦う方針が決定、今シーズンはエンジェルスを離れないことが決まりした。まずはひと安心です。しかし、その後、トロント・ブルージェイズ戦で2連敗と、なかなか厳しい状況ではあります。トレードは、チーム側(オーナー、GM)が選手の行き先の決定権を握っています。これに対し、FA(フリーエージェント)となれば選手がチームを選べるようになります。今回の決定で、大谷選手については、シーズンオフ、FA権取得後に争奪戦が本格化することになります。「大谷とポストシーズンへ」という方針を明確に打ち出したエンジェルスは、その争奪戦においても、少しだけアドバンテージを取れたかもしれません。そもそもFAは、経営者側が選手を縛ってきた状況を改善すべく、1970年代半ばにできた制度だそうです。ただ、FA権取得までに選手は6年のメジャー在籍が必要なため、取得時にはすでに最盛期を過ぎてしまっているケースも少なくないなど、課題もあるようです。さて、今回は「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」が7月26日に取りまとめ公表した、医師不足や地域間偏在の解消に向けた国への提言について書いてみたいと思います。同提言では、地域枠都道府県が不同意と認定した不同意離脱者については、専門医資格の認定・更新を行わないよう、国が日本専門医機構に働きかけるべきだとしました。地域枠で医学部に入学したにもかかわらず、入学後、あるいは卒業後に地域枠を外れる医師への対応を巡って、議論が本格化しそうな気配です。医師少数県12県でつくる「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」医師少数県12県(青森、岩手、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、長野、静岡、宮崎)でつくる「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」(会長・達増 拓也岩手県知事)は26日、山梨県の八ヶ岳山麓で会合を開き、医師不足や地域間偏在の解消に向け、国への提言をまとめ、厚生労働省と文部科学省に提出しました1)。同会は2020年に設立された組織で、毎年同趣旨の提言を行っています。今年の提言では、地域医療の現状について「我が国の地域医療の現場では医師の絶対数の不足や地域間・診療科間の偏在等が極めて顕著となり、いわば『地域医療崩壊』の危機的状況にある」、「『医師の働き方改革』が、医師不足地域において医師の確保が図られないまま推進された場合、医療機関においては診療体制の縮小を余儀なくされ、救急医療や周産期医療の提供が困難になるなど、地域医療提供体制に多大な影響が生じることが懸念される」として、「医学部の大幅定員増や医学部新設」「医師の地域偏在解消に向けた臨床研修制度の見直し」「医師の地域偏在解消に向けた実効性を伴う専門研修の仕組みの創設」などを求めました。注目されたのは、「実効性を伴う専門研修の仕組みの創設」の中で、「専門医制度における地域枠離脱防止策」について改めて言及している点です。特に医学部地域枠の不同意離脱者に関する提言は3年連続となります。今年は具体的には、日本専門医機構において、地域枠都道府県との不同意離脱者に対し、専門医資格の認定及び更新を行わないよう、改めて国から働きかけること。地域枠からの離脱について、不同意と認定することで都道府県が法的な責任を負うことのないよう、同意/不同意の基準を明確に示すなど、国の積極的な関与により、実効性のある仕組みを整備すること。という内容でした。つまり、地域枠離脱者で、奨学金等を出している都道府県が離脱を不同意と認定した場合は、専門医資格の認定及び更新を行わないようにしろ、ということです。「法的な責任」とは、専門医の資格が取れなかったことなどを理由に医師側から訴えられたとしても、都道府県は罪とならないような仕組みにしてくれ、ということです。日本専門医機構のペナルティはペンディング中地域枠からの離脱について、専門医を取らせないようにするという日本専門医機構のペナルティは2021年度にスタートし、制度として定着していくかに見えました。しかし、「法的拘束力がない」といった指摘がなされ、現在、そのペナルティは科されていないようです。7月27日付のMEDIFAXは、「地域枠医師について、(専門医)機構は2022年秋まで、ホームページで以下のように記載していた。『都道府県と同意されないまま、当該医師が地域枠として課せられた従事要件を履行せず専門研修を修了した場合、原則、機構は当該医師を専門医として不認定とする』。しかし、『県が同意しなければ専門医認定が取得できないのか』といった疑問の声が上がり、機構はいったん記載を取りやめた。機構は現在、地域枠医師の専門医認定について、『統一的見解』をまとめる方向で検討している」と書いています。地域枠の当該県で働くという誓約書に法的な拘束力はあるか?地域枠の医師は、医師免許を得た後、概ね9年間、当該都道府県内の地域で医師として働くことになっています。奨学金を借りることもセットになっており、9年働いたら返済が免除される、というのが一般的な条件です(自治体ではなく、大学が実施している地域枠もあります)。地域枠から途中で離脱する場合、この奨学金を利子付きで返済することになるのは契約違反なので当然と言えますが、今、とくに問題とされているのは「9年間、地域枠の当該県で働く」という誓約書の法的な拘束力です。医療問題に詳しい弁護士の井上 清成氏は、2022年12月7日発信の医療ガバナンス学会発行のメールマガジン「Vol.22248 地域枠からの『不同意」離脱の運用を改善すべき」の中でこの問題を取り上げ、「入学後の誓約書(又は同意書)が無ければもちろんのこと、そのような誓約書等があったとしても、将来の就労義務の法的拘束力は、甚だ疑問だということになろう。つまり、学生や研修医に法的義務を課すことには疑問符がついているので、よく『道義的責任がある』と言われるようである。ここで注意しておきたいことは、往々にして『道義的責任がある』と言われていることは、『法的責任がない』と言うことと同義だ」と書き、日本専門医機構のペナルティについて、「単に『道義的責任』があると言うだけで『専門医の認定』という権利を剥奪するのは、医師の人権ないし権利への侵害と言いうるように考えられる」と書いています。離脱者は現在、年間数人というレベルもアカハラ、パワハラの存在も厚生労働省の調べによれば、地域枠の離脱者には、2012年頃までは、地域枠学生全体の10%以上で推移、2010年度は95人(全体の12%)にも上っていました。その後は低下に転じ、現在は年間数人というレベルのようです。離脱者の数が少なくなってきた一方で、離脱表明者に対する大学等からのアカハラ、パワハラの存在なども報道されており、「不当な人身拘束から医師を守れ」というような、地域枠離脱希望者の人権擁護の立場からの論調も見受けられます。しかし、一方で、「地域医療に従事してもらいたい」と税金を使って地域枠をつくったのに、辞められてしまう都道府県側もたまったものではありません。「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」が毎年この問題を取り上げる気持ちも理解できます。一般入試より入りやすいというメリットを享受し医学部に入りながら、合格したら「地域枠辞めたいです」では、「道義的責任」を持ち出したくもなります。これまでとは違った角度から地域枠制度の見直しを不同意離脱者に対するさまざまなペナルティ(専門医を取らせないことに加え、医師臨床研修費補助金の減額等)は確かに再考の余地があるとは思います。しかし、一方で、もう少し離脱希望者を減らす工夫をできないものでしょうか。MLB選手のFAまでメジャー6年という年数ですら長いと言われています。大学や初期研修における総合診療やプライマリ・ケアの教育を強化することで即戦力を早く育て、同時に勤務年限を9年よりも短くする、あるいは生涯積算で9年(若い時5年、残りは65歳までに積算2〜3年とか)にするなど、これまでとは違った角度、視点から、地域枠の仕組みを見直してみることも必要だと思います。参考1)医師不足や地域間偏在の根本的な解消に向けた実効性のある施策の実施を求める提言/地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会

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適量の飲酒、非飲酒より死亡率低い?~女性コホート

 女性の中年期のアルコール摂取量と全死亡率およびがん死亡率の関連について、オーストラリア・メルボルン大学のYi Yang氏らが持続的仮説的介入で検討した結果、全死亡率はまったくアルコールを摂取していなかった場合よりもある程度の量(エタノール30g/日以下)を摂取していたほうが低くなっていた可能性が示唆された。一方、がん死亡率では明らかではなかった。American Journal of Epidemiology誌オンライン版2023年7月24日号に掲載。飲酒量が30g/日以下の場合は全死亡率およびがん死亡率のリスクが低い 本研究は、1996~2016年に定期的に収集されたAustralian Longitudinal Study on Women's Health 1946~51年出生コホートのデータを用いた。ベースライン時に女性をさまざまな飲酒量(エタノール0~30g/日超、または30g/日超の場合は20g/日以下に減量)に割り付け、飲酒量を継続した場合の全死亡率およびがん死亡率を推定した。 飲酒量と全死亡率およびがん死亡率を推定した主な結果は以下のとおり。・全死亡率およびがん死亡率の累積リスクは、それぞれ5.6%(1万118人を20年間追跡)および2.9%(18年間追跡)であった。・ベースラインの飲酒量がエタノール30g/日以下の場合、まったく飲酒していない場合に比べて、全死亡率およびがん死亡率のリスクが低く、30g/日を超えると高くなった。・介入を継続していた場合、全死亡率については上記と同様の関係が観察されたが、がん死亡率については飲酒量がエタノール30g/日以下でみられた負の相関と30g/日超でみられた正の相関は明らかではなかった。

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乾癬・湿疹の重症度、なぜ患者と医師で認識が異なるか

 乾癬や湿疹を有する患者と医師の間で、重症度の認識の違いとその要因を調べた結果、認識の不一致は46.3%に認められた。医師は視覚的な客観的尺度を重視したのに対し、患者は疾患の身体的、機能的、感情的な影響を重視したことが要因として示された。また、これらが患者のレジリエンス(回復力)、自己効力感、否定的な社会的比較と関連していること、医師は重症疾患に遭遇する頻度が高いため、軽症例を過小評価してしまう可能性も示唆された。シンガポール・National University Healthcare SystemのValencia Long氏らが患者と医師1,053組を対象とした横断研究を実施し、以上の結果が示された。著者は、「本研究により明らかになった患者と医師の認識の不一致の要因が、認識の不一致を小さくするための認知行動的介入の潜在的なターゲットになる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年7月12日号掲載の報告。 患者の重症度に関して、患者と医師で認識の不一致がみられることがある。この現象は、重症度評価の不一致(discordant severity grading:DSG)と称され、患者と医師の関係性を妨げ、フラストレーションの原因にもなる。 研究グループは、DSGに関連する認識、行動、疾患的要因を明らかにするため、定性的研究で理論モデルを導き出した。その後、構造方程式モデリング(structural equation modeling:SEM)を用いた定量的研究にて同モデルを検証した。対象患者と医師の収集は、便宜的標本抽出法を用いて2021年10月~2022年9月の期間に行った。3ヵ月以上にわたり乾癬または湿疹を有する18~99歳の患者を抽出した。データ解析は2022年10月~2023年5月に行った。 アウトカムは、患者と医師それぞれが評価した全般的重症度(NRS[numerical rating scale]:0~10、高スコアほど重症度が高い)の差で、医師の認識より患者の認識が2ポイント以上高い場合は「正の不一致」、2ポイント以上低い場合は「負の不一致」と定義した。また、SEMを用いて要因解析を行い、事前に特定した患者、医師および疾患因子と重症度の差との関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象患者は1,053例(平均年齢43.5歳[標準偏差17.5]、男性579例[55.0%])。湿疹が802例(76.2%)、乾癬が251例(23.8%)であった。・解析に含まれた医師は44例(男性20例[45.5%]、31~40歳が24例[54.5%]、シニアレジデントもしくはフェローが20例、コンサルタントまたは主治医が14例)で、医師1人当たりの患者数中央値は5例(四分位範囲:2~18)であった。・患者と医師のペア1,053組のうち、487組(46.3%)で不一致が認められた(正の不一致447組[42.4%]、負の不一致40組[3.8%])。・患者と医師の評価の一致は不良であった(級内相関係数[ICC]:0.27)。・SEMを用いた要因解析により、正の不一致は、症状発現の大きさ(標準偏回帰係数β=0.12、p=0.02)、QOL低下の大きさ(β=0.31、p<0.001)と関連していた。患者や医師の人口統計学的背景との関連は認められなかった。・QOL低下が大きいほど、回復力およびスタビリティ(安定性)の低下(β=-0.23、p<0.001)、否定的な社会的比較の増大(β=0.45、p<0.001)、自己効力感の低下(β=-0.11、p=0.02)、疾患の周期性の増大(β=0.47、p<0.001)、慢性化の見込みの増大(β=0.18、p<0.001)との関連が認められた。・モデルの適合度は良好であった(Tucker-Lewis:0.94、Root Mean Square Error of Approximation[RMSEA]:0.034)。

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地域枠出身の研修医の臨床能力は低いのか

 医師の偏在を解消するために医学部で地域枠の導入が進んでいる。2021年度には入学者全体の18.7%が地域枠学生となっている。その一方で、入学試験での成績は一般枠入学者に比べ、地域枠入学者で低い傾向にあることが知られ、入学後の学習能力や臨床能力の差異について懸念が示されてきた。 これら懸念事項について福井 翔氏(杏林大学 総合医療学)、西崎 祐史氏(順天堂大学 医学教育研究室)、徳田 安春氏(群星沖縄臨床研修センター)らの研究チームは、日本全国の臨床研修医(postgraduate year[PGY]-1およびPGY-2)を対象に実施した基本的臨床能力評価試験(GM-ITE:General Medicine In-Training Examination)の結果と、研修教育環境に関するアンケート結果を用いて、地域枠卒業生のGM-ITEスコアの特徴を調査した。約6,000人の研修医の臨床能力研究からわかったこと 本研究は2020年度のGM-ITE試験に参加した全国593施設から6,097人を対象とした横断研究。内訳は地域枠卒業生(1,119人)と一般枠卒業生(4,978人)。 結果は以下のとおり。・ 地域枠卒業生と一般枠卒業生のGM-ITEスコアの平均値(標準偏差)は、それぞれ29.4(5.2)点、29.0(5.4)点と地域枠卒業生のほうがわずかに高かった。・学習時間や常時受け持ち入院患者数、病院の基本情報などの研修環境因子で調整したマルチレベル分析を実施した結果、地域枠卒業生とGM-ITEスコアとの間に有意な関連は認められなかった(β係数[95%信頼区間]:0.20[-0.16~0.56];p=0.27)。・地域枠出身者か否かと研修医の基本的臨床能力(GM-ITEスコア)については、臨床的および統計学的に有意な差がないと結論付けられる。 これらの結果を受けて、福井氏らの研究チームは、下記のように今回の結果を分析している。 本研究は、医師国家試験の合格率が地域枠卒業生では一般枠卒業生と同等、ないしはわずかに高いという過去の研究結果に加え、臨床研修医の基本的臨床能力についても一般枠出身者と同等であることを日本全国大規模データで初めて明らかにした。この結果は地域枠入学者の学習能力および、基本的臨床能力の懸念を軽減するものであり、今後の医師育成を検討する上で重要な基礎資料と成りうる。 地域枠出身者の医学部入学時の試験点数は低い傾向であるものの、卒後臨床研修における基本的臨床能力の評価指標であるGM-ITEの結果において、地域枠出身者のスコアが一般枠出身者と比較して差がなかったことについては、いくつかの要因が寄与していることが推測できる。たとえば、奨学金サポートが医学部在籍時の学習時間の確保に繋がっている可能性、地域医療現場で求められる総合的な知識やスキルを意欲的に習得している可能性、総合的な臨床能力の開発が臨床研修の到達目標およびGM-ITEの評価項目に合致している可能性などが挙げられる。また、大学入学時の地域枠選抜では、学科の試験結果のみならず、高校での評定、面接、小論文などが重視され評価されることが多いため、医師を志す上で大切なコミュニケーション能力、共感力、モチベーションなどの学力だけでは評価できない重要な資質が備わった人材が選定されている可能性がある。このような大学入学時の選抜方法の違いが医学部入学後や臨床研修における学習態度に好影響を与えている可能性も考えられる。 そして、本研究の課題として「あくまでGM-ITEスコアに基づいた臨床能力と地域枠出身者の関連を検討した研究であり、いくつかの限界点がある。たとえば、地域枠制度の詳細な内容(奨学金や診療科制限など)についてのデータは収集しておらず評価できていない点、医学部卒業時点での医学知識や臨床能力のベースラインを測定していないため、臨床能力の変化について着目した解析が実施できていない点」などを挙げている。

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摂食障害の薬物療法に関するWFSBPガイドライン2023

 摂食障害の薬物療法に関する世界生物学的精神医学会連合(WFSBP)のガイドライン2023では、診断および精神薬理学的進歩、エビデンスレベル、推奨度などの評価に関して、最新の推奨内容に更新されている。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのHubertus Himmerich氏らは、本ガイドラインの更新内容のレビューを行った。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2023年4月24日号の報告。摂食障害の薬物療法に関するガイドラインで神経性過食症にトピラマート推奨 摂食障害のWFSBPタスクフォースは、関連文献をレビューし、エビデンスレベルおよび推奨度のランク付けを行った。 摂食障害の薬物療法に関するガイドラインの更新内容のレビューを行った主な結果は以下のとおり。・神経性やせ症に関しては、利用可能なエビデンスが体重増加に限定されており、精神病理に対するオランザピンの影響もあまり明確ではないことから、オランザピンに対する推奨度は限定的であった。 【神経性やせ症】オランザピン(エビデンスレベル:A、推奨度:2)・神経性過食症に関しては、現在のエビデンスにおいてfluoxetineおよびトピラマートが推奨された。 【神経性過食症】fluoxetine(エビデンスレベル:A、推奨度:1) 【神経性過食症】トピラマート(エビデンスレベル:A、推奨度:1)・過食性障害に関しては、リスデキサンフェタミンおよびトピラマートが推奨された。 【過食性障害】リスデキサンフェタミン(エビデンスレベル:A、推奨度:1) 【過食性障害】トピラマート(エビデンスレベル:A、推奨度:1)・回避・制限性食物摂取症(ARFID)、異食症、反芻症/反芻性障害に対する薬物療法のエビデンスは、非常に限られていた。・オランザピンやトピラマートは、これらのエビデンスがあるにもかかわらず、摂食障害での使用に関していずれの医薬品規制当局からも承認を取得していない。

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未治療の早期NSCLC、定位放射線+ニボルマブが有効/Lancet

 未治療の早期非小細胞肺がん(NSCLC)およびリンパ節転移陰性の孤立性肺実質再発NSCLC患者の治療において、定位放射線治療(SABR)+ニボルマブの併用(I-SABR)はSABR単独と比較して、4年無イベント生存率が有意に優れ、毒性は忍容可能であることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJoe Y. Chang氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年7月18日号に掲載された。テキサス州3病院の無作為化第II相試験 本研究は、米国テキサス州の3つの病院で実施された非盲検無作為化第II相試験であり、2017年6月~2022年3月の期間に参加者の無作為化が行われた(Bristol-Myers SquibbとMDアンダーソンがんセンターの提携機関などの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、未治療の早期NSCLC(American Joint Committee on Cancer[AJCC]第8版の病期分類でStageI~II[N0M0])、または孤立性の肺実質再発NSCLC(根治手術または化学放射線療法の施行前にTanyNanyM0)で、全身状態が良好(ECOG PSスコア0~2)な患者であった。 被験者を、I-SABRまたはSABRを受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。I-SABR群では、ニボルマブ(480mg)を4週ごとに静脈内投与した。 主要評価項目は、4年無イベント生存率であった。イベントは、局所、領域、遠隔での再発、2次原発性肺がん、死亡とされた。PP集団とITT集団の双方で良好な結果 無作為化の対象となったのは156例(intention-to-treat[ITT]集団)で、割り付けた治療を実際に受けたのは141例(per-protocol[PP]集団)であった。PP集団では66例(年齢中央値72歳[四分位範囲[IQR]:66~75]、女性70%)がI-SABR群、75例(年齢中央値72歳[IQR:66~78]、女性55%)がSABR群だった。 フォローアップ期間中央値33ヵ月の時点でのPP集団における4年無イベント生存率は、SABR群が53%(95%信頼区間[CI]:42~67)であったのに対し、I-SABR群は77%(66~91)と有意に優れた(ハザード比[HR]:0.38、95%CI:0.19~0.75、p=0.0056)。また、ITT集団でも同様の結果が示された(HR:0.42、95%CI:0.22~0.80、p=0.0080)。 SABR群では、Grade2の有害事象を3例(4%)に認めたのみで、Grade3以上の有害事象は発現しなかった。一方、I-SABR群では、10例(15%)でニボルマブに関連するGrade3の免疫関連有害事象(疲労2例、甲状腺機能亢進症1例など)を認めたが、Grade3の肺臓炎はなく、Grade4以上の毒性の発現もなかった。 著者は、「SABRへの免疫療法の追加により、治療歴のない早期NSCLCおよび孤立性肺実質再発NSCLC患者の転帰が改善することが示唆され、I-SABRはこれらの患者における治療選択肢となる可能性がある。本試験の結果は、現在進行中の第III相試験の重要な先例となるだろう」としている。

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動脈硬化疾患の1次予防に積極的な脂質管理の幅が広がった(解説:平山篤志氏)

 脂質低下療法にスタチンが広く用いられるが、筋肉痛などの副作用を訴える場合があり、スタチン不耐性と呼ばれ使用できない患者がいて、脂質への介入がなされていない場合がある。心血管疾患の既往のある患者の2次予防では、エゼチミブあるいはPCSK9阻害薬を使用してでも脂質低下が行われる。しかし、1次予防の動脈硬化疾患発症リスクの高い対象、たとえば糖尿病患者では脂質低下療法が行われていないことが多く、さらにスタチン不耐性では放置されていることが多い。 本論文は副作用でスタチンを服用できないスタチン不耐性患者を対象に、ベムペド酸(bempedoic acid)を投与したアウトカム試験、CLEAR試験のサブ解析である。CLEAR試験は心血管疾患の既往のある2次予防患者と既往のないハイリスクの1次予防患者を対象としており、ベムペド酸投与によりプラセボと比較してLDL-コレステロールと高感度CRPを有意に低下させ、4ポイントMACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、脳卒中、血行再建術)を有意に減少させることを示した。あらかじめ規定されていたサブ解析でも、2次予防だけでなく1次予防でもベムペド酸の有効性が示されていたが、今回は1次予防患者の詳細な結果が報告されている。 CLEAR試験にエントリーされたうちの心血管イベントの既往のない患者4,206例で、計算されたリスクスコアが高い、冠動脈の石灰化が著明、糖尿病がある、などの動脈硬化疾患のリスクが高い対象である。平均LDL-Cが142.2mg/dLで、糖尿病患者が3分の2近く含まれていた。LDL-Cと高感度CRPの低下とともに、心血管イベントの有意な抑制がベムペド酸投与により示された。また、その低下効果も本試験より大であった。この対象群ではNNTが42~44と十分な有効性があった。 実臨床で、どうしても1次予防になると患者教育も難しく、また、副作用の懸念があると脂質低下に逡巡するが、この結果はハイリスク症例、とくに糖尿病患者に積極的な介入が必要であることを痛感させる。ただ、残念ながら、わが国では動脈硬化疾患の発生リスクが低いこと、エビデンスがないことから、どうしても脂質低下療法に消極的になる傾向がある。健康寿命の重要性が叫ばれる今日、目の前にいる患者が10年、20年先に健康でいられるようにするには、今から積極的な介入が必要なのかもしれない。ベムペド酸はそのための1つの武器となりえるかもしれない。

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英語で「ケースバイケース」は?【1分★医療英語】第91回

第91回 英語で「ケースバイケース」は?Do you think we should use this new mediation as our standard of care?(この新薬を私たちの標準治療として使うべきだと思いますか?)I think it depends. It seems to have some side effects too.(それはケースバイケースである[時と場合による]と思います。副作用もあるようですから)I agree. We should use it on a case-by-case basis.(同感です。それはケースバイケース[臨機応変に、個別対応]で使うほうがよいと思います)《例文》The side effects may vary from case to case.(副作用は症例ごとに異なります)《解説》日本語における「ケースバイケース」という表現には、多少意味が異なる2種類の使用方法があると思います。会話例の2番目の医師は、「質問に対する明確な単一の答えがないとき」の返答として「(物事の判断は)時と場合による」という意味で、「ケースバイケース」を動詞的に使っています。この意味を自然に英語にすると、“it depends (on something)”となります。一方で、3番目の医師は「ケースバイケース」を「臨機応変に[使う]」と副詞的に使っており、この場合は英語でもそのまま同じ表現で“on a case-by-case basis”となります。英語で“case-by-case”と表現する場合は、この慣用句としての副詞的な使い方が圧倒的に多いのです。類似表現として、《例文》のように“case to case”という言い方もできます。講師紹介

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1日1回服用で脂質代謝を改善させる高脂血症薬「パルモディアXR錠0.2mg/同0.4mg」【下平博士のDIノート】第126回

1日1回服用で脂質代謝を改善させる高脂血症薬「パルモディアXR錠0.2mg/同0.4mg」今回は、高脂血症治療薬「ペマフィブラート徐放錠(商品名:パルモディアXR錠0.2mg/同0.4mg、製造販売元:興和)を紹介します。本剤は、既存のパルモディア錠0.1mgの徐放性製剤で、1日1回の服用で血中の中性脂肪(TG)を低下させるとともにHDL-コレステロール(HDL-C)を増加させることが期待されています。<効能・効果>高脂血症(家族性を含む)の適応で、2023年6月26日に製造販売承認を取得しました。なお、本剤はLDL-コレステロールのみが高い高脂血症に対する第一選択薬とすることはできません。<用法・用量>通常、成人にはペマフィブラートとして1回0.2mgを1日1回経口投与します。TG高値の程度により、1回0.4mgを1日1回まで増量することができます。<安全性>承認時までの国内臨床試験において、臨床検査値異常を含む副作用は358例中33例(9.2%)に発現しました。0.5%以上に生じた副作用はALT上昇、CK上昇、筋肉痛、発疹でした。なお、重大な副作用として、横紋筋融解症(頻度不明)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.中性脂肪を低下させ、善玉コレステロールを増やす薬です。2.本剤は砕いたり、すりつぶしたりせずに、かまずにそのまま服用してください。3.足のしびれ・痙攣、脱力感、覚えのない筋肉痛など、いつもと違う症状が現れたらすぐに連絡してください。4.禁煙・運動・食生活など、生活習慣の改善も併せて行いましょう。<Shimo's eyes>2017年7月に1日2回投与の即放性製剤のペマフィブラート錠(商品名:パルモディア錠0.1mg、以下「IR錠」)が承認され、2018年6月より販売されています。今回、新たな製剤として、1日1回投与の徐放性(Extended Release)製剤のXR錠が承認されました。服用回数が多いと服薬アドヒアランスが問題となることがありますが、本剤は1日1回の服薬で治療効果が得られるため、良好な服薬アドヒアランスと脂質コントロールが可能になると期待されています。本剤は、フィブラート系薬に分類される高脂血症治療薬で、核内受容体であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体PPARαに選択的に結合し、脂質代謝遺伝子の発現を調節することで、血中のTGを低下させるとともにHDL-Cを増加させる作用を有します。本剤は肝代謝型薬剤であるため、腎機能が低下している患者にも使用しやすいという利点がありますが、一方で肝機能が低下している患者では注意が必要です。IR錠の第III相臨床試験であるフェノフィブラートとの比較検証試験において、TGのベースラインからの減少率は、フェノフィブラート群と比べ有意な差があったという結果が得られています1)。本剤はマルチプルユニット型の徐放性製剤ですので、砕いたり、すりつぶしたりして服用すると、本剤の徐放性が損なわれ、薬物動態が変わる恐れがあります。服薬指導では、そのまま服用するように説明しましょう。参考1)Ishibashi S, et al. J Clin Lipidol. 2018;12:173-184.

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8月1日 肺の日【今日は何の日?】

【8月1日 肺の日】〔由来〕「は(8)い(1)」(肺)と読む語呂合わせから、肺の健康についての理解を深め、呼吸器疾患の早期発見と予防についての知識を普及・啓発することを目的に日本呼吸器学会が1999年に制定し、翌2000年から実施。学会では、肺の病気・治療について全国で一般市民を対象にした講座会や医療相談会を行っている。関連コンテンツ軽症の肺炎は入院適応ではないのか?【救急診療の基礎知識】電子タバコは紙巻きタバコの禁煙には役立たない【患者説明用スライド】抗菌薬の長期使用で肺がんリスクが増加肺炎の予防戦略、改訂中の肺炎診療GLを先取り/日本呼吸器学会軽症の肺炎は入院適応ではないのか?【救急診療の基礎知識】

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第174回 アルツハイマー病治療に役立ちうる変異タウ除去タンパク質TRIM11を同定

アルツハイマー病治療に役立ちうる変異タウ除去タンパク質TRIM11を同定微小管結合タンパク質タウを含有する細胞内の繊維状の塊を特徴とするアルツハイマー病やそのほか20を超える認知症や運動疾患はひっくるめてタウ病と呼ばれます。ゆらゆら浮かぶ独り身の単量体タウが繊維状の塊を形成する仕組みはこれまで謎でした。その謎を解き明かすべく、「TRIM」というタンパク質ひとそろいとタウ病のつながりが調べられました。TRIMは多すぎたり傷んだりして邪魔なタンパク質の除去、タンパク質の折り畳みの逸脱や凝集の予防、すでに凝集してしまったタンパク質の解散にどうやら携わることが知られています。70を超えるヒトのTRIMの解析のかいがあり、病気と関連するタウ変異体の凝集を阻止する3種類のTRIMが突き止められました1)。それら3種類の1つであるTRIM11の変異タウ除去作用はとりわけ強力でした。死後脳組織を調べた結果、アルツハイマー病患者23例のTRIM11はそうでない対照群14例に比べてだいぶ減っていました。ほかの2つのTRIM(TRIM10とTRIM55)はアルツハイマー病患者群と対照群の死後脳で大差ありませんでした。そうであるならTRIM11を増やすことでアルツハイマー病やそのほかのタウ病を治療できるかもしれません。どうやらその可能性はあるようで、タウ病を模したマウスにTRIM1遺伝子を導入して脳でのその発現を増やしたところタウ病変や神経炎症が抑制され、認知機能や身のこなしが改善しました。TRIM11の特徴からしてその発現を経口摂取可能な低分子薬で底上げすることは可能なようです。TRIM11が乏しくなることはタウ病に一枚かんでいるようであり、低分子薬などでのTRIM11発現回復は効果的な治療手段となりうると著者は言っています2)。筋肉増強サプリメントでアルツハイマー病治療TRIM11の発現を増やす経口薬の実現はまだまだ時間がかかりそうですが、筋肉美を追求するボディビルダーが筋肉増強のために常用することで知られる経口サプリメントにアルツハイマー病治療効果があるかもしれません。β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)は運動で筋肉量を増やしたり筋力を高めるのを助けたり運動能力を改善するためにボディビルダーや運動選手(アスリート)が常用するサプリメントとして知られています。HMBはおよそ無害で、たとえ長期間服用しても副作用もありません。Cellの姉妹誌Cell Reportsに今月中頃に発表された細胞やマウスでの研究の結果、HMBは脂肪酸代謝に寄与する核内受容体PPARαを活性化することで脳の海馬の機能を向上するとわかりました3)。また、HMBは脳のアミロイド病変を減らし、アルツハイマー病マウスの記憶や学習を改善しました。PPARαを欠如している海馬神経やマウスではHMBの有益効果は認められず、HMBはPPARαを介した仕組みで神経保護作用をもたらすようです。HMB補給をボディビルダーやアスリートだけのものとするのはもったいない話かもしれません。HMBはアルツハイマー病患者の記憶を守り、病気の進行を食い止める最も安全で手軽な手段となりうると研究者は言っています4)。参考1)Zhang ZY, et al. Science. 2023;381:eadd6696.2)Tau-regulating protein identified as a promising target for developing Alzheimer’s disease treatment / Eurekalert3)Paidi RK, et al. Cell Rep. 2023;42:112717.4)Bodybuilding supplement may help stave off Alzheimer’s / Eurekalert

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マッチングでどう自己PRしたらよいかわからない【医学生お悩み相談ラヂオ】第2回

動画解説第2回は、医学部6年の女性からの「マッチング試験でどう自己PRをしたらよいかわからない」というお悩み。とくに病院側が何を求めているのかわからず、ほかの医学生はどうしているのか、知りたいとのこと。多くの医学生、研修医を見てきた民谷先生のアドバイスは実に的確です。

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日本エンドオブライフケア学会第6回学術集会の開催について【ご案内】

 日本エンドオブライフケア学会第6回学術集会が、2023年9月16日(土)、17日(日)に昌賢学園まえばしホール(群馬県・前橋市民文化会館)で開催される。プログラムは、人の誕生から高齢者まで幅広くエンドオブライフケアの専門的な講演、シンポジウム、ケア技術の実演講演、がんの最新治療、海外招聘講演、エンドオブライフケアやアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関する相談コーナーなど、豊富に揃えている。また、9月15日(金)には同会場小ホールで前夜祭(先着500人、無料)が開催される。ご興味のある方、参加ご希望の方はぜひ学術集会ホームページにアクセスされたい。 大切な命も必ず終わりがやってくる。その時に必要になるのがエンドオブライフケアだ。戦争や事故で失われる命、病によって亡くなる命、寝たきりが続いてなくなる命、消えゆく命のパターンはさまざま。また、その人の人生も多様で最期の締めの意思決定も求められる。日本エンドオブライフケア学会はすべての人に質の高いケアを提供することを目的としている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2023年9月16日(土)、17日(日)【会場】昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)対面・WEBのハイブリッド開催・オンデマンド配信(参加申し込み要、有料)オンデマンド配信期間:2023年10月2日(月)~31日(火)【大会長】内田 陽子氏(群馬大学大学院保健学研究科)【テーマ】ありがとうといえるエンドオブライフケア~すべて統合したポジティブケア~【見どころ】ポジティブシリーズ(山口 晴保氏:認知症ポジティブ、内田 陽子氏:すべて統合したポジティブケア、シンポジウム:ポジティブ・エンドオブライフケアなど)、教育講演「最期まで安心して過ごしていただくためのケア技法-ユマニチュード®-」(本田 美和子氏/イヴ・ジネスト氏)、スキンケアや口腔ケア、痛みのアセスメントなど実演企画、リレー講演、がんの最新治療、倫理など【運営事務局】株式会社klar(クラール)〒371-0013 群馬県前橋市西片貝町4-23-4 TEL:027-260-9525/FAX:027-260-9322大会専用E-mail:eolcconf2023@klar.co.jp詳細はこちら

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コロナの急性期症状、男女差は?

 男性のほうが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状が重症化しやすく死亡率が高いという、性別による差異が報告されている。その理由として、男性のほうが喫煙率や飲酒率、予後悪化に関連する併存疾患を有している割合が高いなどの健康格差が示唆されている1)。今回、COVID-19の急性期症状の性差を調査したところ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判定された男性では発熱や悪寒といった特定の症状の発現率が女性よりも高いことが、米国・テキサス大学ヒューストン健康科学センターのJenil R. Patel氏らにより明らかになった。Preventive Medicine Reports誌2023年10月号掲載の報告。 対象は、アーカンソー医科大学でRT-PCR検査を受けた成人であった。パンデミック当初はCOVID-19関連の症状を有する人や濃厚接触者が検査対象であったが、その後、症状や曝露の有無にかかわらずすべての希望者に拡大した。COVID-19関連の症状(発熱、咳、息切れ、咽頭痛、悪寒、筋肉痛、頭痛、味覚・嗅覚障害)は、検査時、7日後、14日後に聴取した。症状の発現率の性差はχ2検定を用いて評価し、男女別の有病率比および95%信頼区間(CI)はロバスト分散を使用したポアソン回帰モデルを用いて推定した。今回の報告は、2020年3月29日~10月7日に聴取したデータの解析であった。 主な結果は以下のとおり。・2020年10月7日時点で、6万648例の地域住民と患者がRT-PCR検査を受けた。・SARS-CoV-2陽性者のうち86.3%が18~64歳、53.7%が女性であった。検査時に有していたCOVID-19関連の症状は、咳(28.1%)、頭痛(20.7%)、発熱(19.7%)、咽頭痛(16.0%)、筋肉痛(15.8%)、悪寒(13.7%)、味覚・嗅覚障害(12.4%)、息切れ(11.5%)であった。・陽性および陰性を含む解析対象者全員の症状は、検査時では悪寒を除くすべてが女性で有意に多かった。7日後では発現率は下がるものの、悪寒も含めて女性で有意に多いままであった。14日後にはほぼすべての症状は男女差なく減少したが、咳(p=0.02)は女性で有意に多かった。・陽性の集団では、男性のほうが発熱(男性22.6% vs.女性17.1%、p<0.001)と悪寒(14.9% vs.12.6%、p=0.04)が有意に多く、そのほかの症状は男女による差はなかった。・陰性の集団では、女性のほうが男性よりもすべての症状が有意に多かった。・検査時の男女別有病率比は、男性では発熱1.32(95%CI:1.15~1.51)および悪寒1.19(95%CI:1.01~1.39)と高かった。7日後では男性のほうが症状を有する割合が低い傾向にあったが、咽頭痛(0.49[95%CI:0.24~1.01])と筋肉痛(0.67[95%CI:0.41~1.09])以外は統計学的に有意ではなかった。14日後では、男女間で有意差は認められなかった。 これらの結果より、研究グループは「SARS-CoV-2陽性と判定された男性では、検査時における発熱や悪寒といった特定の症状の発現率が女性と比較して高かった。これらの違いは、COVID-19パンデミック時に急速に顕在化した健康格差という重要な問題を明らかにするものである」とまとめた。

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双極性障害の5年間の再発率とそれに関連する要因~レトロスペクティブコホート研究

 双極性障害患者の再発率に関するエビデンスは、とくに英国において不足している。英国・バーミンガム大学のDanielle Hett氏らは、英国の健康保健サービスより定期的なケアを受けている双極性障害患者を対象に、5年間の再発率および関連性の評価を行った。その結果、英国で2次的メンタルヘルスサービスを受けている双極性障害患者の約4人に1人は、5年間で再発を経験していた。トラウマ、自殺傾向、精神症状の残存、併存疾患などは、双極性障害患者の再発と関連していることから、再発予防の観点からもこれらの因子を考慮し、対処することが求められると報告した。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年6月30日号の報告。 匿名化された電子健康記録を用いて、双極性障害患者を抽出した。再発の定義は、2014年6月~2019年6月における入院または急性期メンタルヘルスサービスへの紹介とした。5年間の再発率を算出し、再発経験および再発回数に対する独立した社会人口学的因子および臨床的因子の特定を試みた。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害と診断され2次的メンタルヘルスサービスを受けた患者2,649例中、676例(25.5%)が5年間に1回以上の再発を経験していた。・再発回数は、60.9%が1回のみ、残りは複数回経験していた。・5年間のフォローアップ期間中に死亡した患者は、7.2%であった。・共変量で調整後、再発経験と関連していた因子は、次のとおりであった。 ●自傷行為/自殺傾向歴(OR:2.17、95%信頼区間[CI]:1.15~4.10、p=0.02) ●併存疾患(OR:2.59、95%CI:1.35~4.97、p=0.004) ●精神症状(OR:3.66、95%CI:1.89~7.08、p<0.001)・共変量で調整後、再発回数と関連していた因子は、次のとおりであった。 ●自傷行為/自殺傾向歴(β:0.69、95%CI:0.21~1.17、p=0.005) ●外傷歴(β:0.51、95%CI:0.07~0.95、p=0.03) ●精神症状(β:1.05、95%CI:0.55~1.56、p<0.001) ●併存疾患(β:0.52、95%CI:0.07~1.03、p=0.047) ●民族性(β:-0.44、95%CI:-0.87~-0.003、p=0.048)

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乳がん診断から手術までの期間、生存率への影響は?

 乳がん診断から手術までの期間が2週間を超えた患者では生存率が低かったことが、中国・上海交通大学医学部のSiji Zhu氏らの研究で示された。著者らは「今回の結果は、生存率を改善するためにできるだけ診断後早期に治療を開始する努力が必要であることを示唆している」と述べている。Scientific Reports誌2023年7月26日号に掲載。 この研究の対象は、上海交通大学乳がんデータベース(SJTU-BCDB)で2009年1月~2017年12月にStageI~III乳がんと診断され手術を受けた5,130例の女性。治療を受けた病院で、瑞金コホート(瑞金病院)とSJTUコホート(瑞金病院以外の乳がんセンター)に分け、診断から手術までの期間で3群(1週間以下、1~2週間、2週間超)に分けて解析した。 主な結果は以下のとおり。・瑞金コホートの3,144例において、1週間以下、1~2週間、2週間超の各群の推定5年乳がん無発症(BCFI)率は91.8%、87.5%、84.0%(p=0.088)、推定5年全生存(OS)率は95.6%、89.6%、91.5%(p=0.002)であった。・多変量解析によると、手術までの期間が2週間超の群では1週間以下の群に比べて、BCFI率(ハザード比[HR]:1.80、95%信頼区間[CI]:1.05~3.11、p=0.034)およびOS率(HR:2.07、95%CI:1.04~4.13、p=0.038)が有意に低かった。・瑞金コホートとSJTUコホートを合わせた5,130例において、1週間以下、1~2週間、2週間超の各群の推定5年BCFI率は91.0%、87.9%、78.9%、推定5年OS率は95.8%、90.6%、91.5%であった(いずれもp<0.001)。

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包括的がんゲノムプロファイリングリキッドバイオプシーGuardant360 CDx がん遺伝子パネル販売開始

 ガーダントヘルスジャパンは、固形がん患者を対象とした包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)用リキッドバイオプシー Guardant360 CDx がん遺伝子パネルについて、2023年7月24日より保険償還が開始され、同日より販売すると発表した。併せて、エスアールエルによる検査の受託が開始される。 Guardant360 CDx がん遺伝子パネルは、血中循環腫瘍DNA (ctDNA) を次世代シークエンサーによって解析するがん遺伝子パネル検査として、2022年3月10日に厚生労働省より承認されている。固形がん患者の血液検体から、がんに関連の74遺伝子を網羅的に調べることが可能。 Guardant360 CDx がん遺伝子パネルは、また、下記のコンパニオン診断としても承認されている。・KRAS G12C:(非小細胞肺がん)ソトラシブ・MSI-High:(結腸・直腸がん)ニボルマブ・MSI-High:(固形がん)ペムブロリズマブ

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NAFLD→MASLD・NASH→MASHに名称変更する理由とは…

 「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease、わが国ではナッフルディ、ナッフルドと呼ばれる)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:nonalcoholic steatohepatitis 、ナッシュ)が名称変更される」と、先日開催された欧州肝臓学会国際肝臓学会議(EASL-ILC)2023で発表された。以前から欧米ではNAFLDやNASHという用語が患者への偏見になるという声が上がっていたようで、今回、米国・シカゴ大学のMary E. Rinella氏らは論文などの趣意に関する専門家や患者支援者が命名法や定義の変更について支持しているか否かを調査した。その結果、改名に際し“metabolic”(代謝性)という用語を含めることが求められ、新たな名称としてNAFLDはMASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)へ、NASHはMASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)への変更が望ましいことが明らかになった。Journal of Hepatology誌オンライン版2023年6月24日号掲載の報告。MASLDがNAFLDに代わる名前として選ばれた 調査は肝臓病に関する大きな3団体が主導し修正Delphi法を用いて行われ、命名プロセスとは関係のない専門家からなる独立委員会がこの頭字語とその診断基準に関する最終勧告を作成した。 NAFLDやNASHの名称変更について調査した主な結果は以下のとおり。・本研究では56ヵ国から236人が参加し、4つのオンライン調査と2つのハイブリッド会議にて調査が行われた。・オンライン調査の回答率は、それぞれ87%、83%、83%、78%で、回答者の74%は現在の命名法には名称変更を検討するに足るだけの多くの欠点があると感じていた。・「ノンアルコール」「太っている」という言葉は、各回答者の6割超が“非難されている”と感じていた。・Steatotic liver disease(SLD)は、脂肪肝のさまざまな病因を包含する包括的な用語として選択された。また、steatohepatitisという用語は、保持すべき重要な病態生理学的な概念であると判断された。・NAFLDに代わる名前として選ばれたのは、代謝機能不全に関連した『metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease:MASLD』だった。・その際、5つの心臓代謝危険因子のうち1つ以上を含むように定義変更することで合意が得られた。・代謝異常がなく原因不明の患者は成因不明SLDとみなすこととなった。純粋なMASLD以外で1週間あたりのアルコール摂取量が多い(女性:140~350g/週、男性:210~420g/週)場合は『MetALD』(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)と呼ぶよう、新たなカテゴリーが新設された。 研究者らは「新しい命名法と診断基準は広く支持され、偏見を与えるものではなく、認識と患者の識別を向上させることが可能だ」としている。 医療におけるスティグマと言えば、昨年には日本糖尿病協会が「糖尿病」の名称変更を検討する方針を示し波紋を呼んだ。当時、ケアネットが会員医師に対して名称変更の賛否についてアンケート調査した結果、6割の医師が反対票を投じた。NASH/NAFLDも糖尿病や循環器領域などの代謝系疾患の合併頻度が高いことから、さまざまな診療科で新たな用語を浸透させる必要があるだろう。この結果を受け、今後の日本での動向が気になるところである。

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難聴高齢者の補聴器、認知機能低下を予防できる集団は?/Lancet

 認知機能が正常で難聴を有する高齢者において、補聴器を用いた聴覚介入は、認知機能低下のリスクが高い集団では3年後の認知機能の低下を抑制したが、低リスクの集団ではこのような効果はない可能性があることが、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のFrank R. Lin氏らが実施した「ACHIEVE(Aging and Cognitive Health Evaluation in Elders)試験」で示唆された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2023年7月18日号で報告された。観察研究の参加者を含む米国の無作為化試験 ACHIEVE試験は、米国の4つの地域の研究施設で実施された非盲検無作為化対照比較試験であり、2017年11月~2019年10月に参加者のスクリーニングが行われた(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 対象は、未治療の両側性難聴を有し、認知機能障害のない70~84歳の高齢者であり、進行中の縦断研究であるARIC研究(心疾患と脳卒中のリスク因子、および心血管系と認知機能の関連の解明を目的とする)の参加者と、同一の地域で新たに募集したボランティアが含まれた。 被験者は、聴覚介入(聴覚カウセリングと補聴器の提供)を受ける群、または対照として健康教育(健康教育を行う医療従事者との個別の面接で、慢性疾患の予防に関するトピックスを学習)を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、6ヵ月ごとにフォローアップが行われた。 主要エンドポイントは、包括的な神経認知機能評価バッテリーを用いた、標準化された因子に関する総合認知機能スコアのベースラインから3年目までの変化量(SD単位)であった。ARICと新規コホートで効果が異なる 977例(ARICコホート238例[24%]、新規コホート739例)を登録し、介入群に490例、対照群に487例を割り付けた。全体の平均年齢は76.8(SD 4.0)歳、523例(54%)が女性、858例(88%)が白人だった。ARICコホートは新規コホートに比べ、年齢が高く、認知機能低下のリスク因子が多く、ベースラインの認知機能スコアが低かった。 ARICコホートと新規コホートを合わせた主解析では、3年間の総合認知機能スコアの変化量(SD単位)は、対照群が-0.202(95%信頼区間[CI]:-0.258~-0.145)であったのに対し、介入群は-0.200(-0.256~-0.144)であり、両群間に有意な差は認められなかった(群間差:0.002、95%CI:-0.077~0.081、p=0.96)。 一方、事前に規定された感度分析では、3年後の認知機能の変化量に関して、認知機能低下のリスクが高いARICコホートは低リスクの新規コホートに比べ、聴覚介入の効果が有意に高かった(pinteraction=0.010)。また、全コホートで使用された分析パラメータを変えた別の感度分析では、主要エンドポイントの結果に実質的な変化はなかった。 両群とも、予想外の有害事象や、この試験に起因する重大な有害事象の報告はなかった。 著者は、「認知機能低下のリスクが高い難聴の高齢者に聴覚介入を行うと、3年以内の認知機能低下を抑制できる可能性がある」とまとめ、「これらの知見を統合すると、難聴は、認知症の予防の取り組みにおいて、とくに重要な世界的な公衆衛生の対象となる可能性が示唆される」と指摘している。

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