サイト内検索|page:404

検索結果 合計:35161件 表示位置:8061 - 8080

8061.

既治療・転移乳がんへのHER3-DXd、幅広いHER3発現状況で有用/ASCO2023

 複数治療歴のあるER+およびトリプルネガティブ(TN)の局所進行または転移を有する乳がん(MBC)患者を対象とした第II相試験の結果、HER3を標的としたpatritumab deruxtecan(HER3-DXd)の有効性は、幅広いHER3発現状況で認められたことを、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、米国・Sarah Cannon Research InstituteのErika P. Hamilton氏が発表した。 MBC患者はHER3が高値であることが多いが、HER3過剰発現はがんの進行や生存率の低下と関連することが報告されている。また、HER3-DXdの有効性は乳がんのサブタイプやHER3発現状況にあまり依存しない可能性が示唆されている。本試験は、HER3-DXd投与で最大の効果が得られる患者群を特定するために、パートA、パートB、パートZの3パートで実施されている。今回はパートAとして、特定のバイオマーカー(ER/PR/HER2/HER3)が発現した患者における有効性と安全性が検討された(データカットオフ:2022年9月6日)。・対象:18歳以上の男性または女性、HER2-、ECOG PS 0/1で下記のいずれかを満たすMBC患者1)HR+患者:0~2ラインの化学療法歴+内分泌療法±CDK4/6阻害薬による治療歴がある2)HR-患者(TN):1~3ラインの化学療法歴がある・試験群:HER3-DXd 5.6mg/kg 3週間ごとに静脈内投与 60例・評価項目:[主要評価項目]奏効率(ORR)、6ヵ月無増悪生存(PFS)率[副次評価項目]奏効期間(DOR)、臨床的有用率(CBR)、安全性・忍容性 など 主な結果は以下のとおり。・女性98.3%(男性は1例[1.7%])、18歳超65歳未満が71.7%、前治療ライン数中央値3(範囲:1~9)であった。StageIVが21.7%、BRCA1変異が3.3%、BRCA2変異が1.7%であった。ベースライン時のER高発現(10%超)/低発現(1~10%)/陰性(0%)はそれぞれ50.0%/2.1%/47.9%、PR高発現(10%超)/低発現(1~10%)/陰性(0%)はそれぞれ45.8%/6.3%/47.9%、TNは39.6%であった。・ベースライン時にHER3発現が評価可能であった47例のうち、HER3-high(75%以上)が63.8%、HER3-low(25~74%)が27.7%、HER3-negative(25%未満)が8.5%であった。・治療期間中央値は5.2ヵ月(範囲:0.7~15.2)で、43.3%の患者がHER3-DXdを6ヵ月以上継続していた。・全体のORRは35.0%(95%信頼区間:23.1~48.1)、CBRは43.3%(同:30.6~56.8)であった。HER3-highではそれぞれ33.3%/40.0%、HER3-lowでは46.2%/53.8%、HER3-negativeは症例は少ないものの50.0%/50.0%であった。・全体の6ヵ月以上のDOR達成は47.6%、HER3-highでは40.0%、HER3-lowでは33.3%、HER3-negativeでは100%であった。・HER3-highとHER3-lowでORRとCBRに有意差はみられなかった。・治療関連有害事象(TRAE)は93.3%に認められ、Grade3/4が31.7%であった。主なものは、悪心、疲労、下痢、嘔吐、貧血、脱毛であった。7%(4例)に重篤なTRAEが生じ、内訳は間質性肺疾患、悪心・嘔吐、肺炎、血小板減少症であった。 これらの結果より、Hamilton氏は「複数の治療を重ねてきたER+およびTNのMBC患者において、HER3-DXdの有効性は幅広いHER3発現状況で認められた。Grade3/4のTRAEは少なく、管理可能な安全性プロファイルであった。この解析結果は、HER3-DXdがサブタイプにかかわらずMBSの治療パラダイムに参入する可能性を裏付けるものである」とまとめた。 なお、パートBではパートAのER/PR/HER2/HER3発現状況に基づいたサブグループで有効性を解析し、パートZではHER2+でT-DXd治療歴のあるMBC患者21例を追加登録して有効性を解析する予定。

8062.

ベンゾジアゼピンの使用と中止の意思決定に関する患者と精神科医の認識比較

 ベンゾジアゼピン(BZD)やZ薬の長期使用は推奨されていないにもかかわらず、患者や医師がどのように認識しているかは、あまりよくわかっていない。聖路加国際大学の青木 裕見氏らは、精神科外来患者および精神科医において、BZDの使用と中止の意思決定に関する認識を評価し比較するため、横断調査を実施した。その結果、精神科外来患者の多くは、自分の意思に反して睡眠薬または抗不安薬を長期的に使用していることが示唆された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2023年4月3日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・精神科外来患者104人のうち、1年以上睡眠薬を使用していた患者は92%、1年以上抗不安薬を使用していた患者は96%であった。また、開始後1年以内に睡眠薬または抗不安薬を漸減する意向を示していた患者は49%であった。・多くの精神科医が患者と比較し、医師と患者は対等な基準で共に意思決定していると感じていた(p<0.001)。・一方、多くの患者は精神科医と比較し、医師の意見を考慮し意思決定した(された)と感じていた(p<0.001)。・精神科医543人のうち79%が、患者は睡眠薬または抗不安薬の中止に消極的だったと報告した。・一方、患者は、睡眠薬または抗不安薬の中止に関して、精神科医が手順(18.3%)、タイミング(19.2%)、適切な状態(14.4%)について十分な説明をしなかったと報告した。 著者らは、「睡眠薬または抗不安薬の使用と中止の意思決定について、精神科外来患者と精神科医との間に認識の差があり、このギャップを埋めるにはさらなる研究が求められる」としている。

8063.

フォシーガ、心不全の罹患期間によらず、循環器・腎・代謝関連の併存疾患で一貫したベネフィット/AZ

 AstraZeneca(英国)は、チェコのプラハで開催された欧州心臓病学会の心不全2023年次総会において、第III相DELIVER試験の2つの新たな解析結果から、心不全(HF)の罹患期間にかかわらず、循環器・腎・代謝(CVRM)疾患のさまざまな併存状態におけるフォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)の一貫したベネフィットが裏付けられたと発表した。 第III相DELIVER試験の事前規定された解析として、左室駆出率(LVEF)が40%超の心不全患者におけるフォシーガの治療効果を、HFの罹患期間(6ヵ月以内、6ヵ月超~12ヵ月以内、1年超~2年以内、2年超~5年以内、および5年超)別に検討した。その結果、フォシーガのベネフィットがHFの罹患期間にかかわらず一貫していることが示された。さらに、高齢かつ1つ以上の併存疾患を有し、HF悪化および死亡率の高い、罹患期間が長期にわたるHF患者において、絶対利益が増加した(治療必要数[NNT]:HF罹患期間5年超の患者と6ヵ月以内の患者との比較で24:32)。 CVRM関連の併存疾患の有病率およびさまざまな併存状態でのフォシーガに対する被験者の反応を評価した第III相DELIVER試験の事後解析結果も発表され、同時にJACC Heart Failure誌に掲載された。本解析結果によると、LVEFが40%超のHF患者では、5例中4例以上の割合で他のCVRM疾患を少なくとも1つ併発しており、5例中1例の割合でHFに加えて3つのCVRM疾患を併発していた。また、フォシーガは忍容性が良好であり、その治療ベネフィットはCVRM疾患の併存状態に関係なく一貫していた。 ハーバード大学医学部およびブリガム&ウィメンズ病院の内科学教授で、第III相DELIVER試験の主任治験責任医師を務めるScott Solomon氏は「現在の診療では、罹患期間が長期にわたる心不全患者は、新しい治療を追加しても反応しない、または忍容性が低い進行性疾患に罹患していると見なされる可能性がある。第III相DELIVER試験のデータは、SGLT2阻害薬であるダパグリフロジンによる治療ベネフィットは心不全の罹患期間にかかわらず一貫しており、患者にとって治療が決して遅すぎることがないことを示している。このデータは、心不全におけるダパグリフロジンの有効性に関するエビデンスの拡大を裏付け、ダパグリフロジンが、新たに診断された患者と同じように長期に罹患している患者に対しても役立つことを実証している」と述べた。 また、AstraZenecaのバイオ医薬品事業部門担当、エグゼクティブバイスプレジデントであるRuud Dobber氏は「CVRM疾患が患者そして社会に及ぼす影響は計り知れない。しかしながら、これらの患者に対する診断、治療は不十分であり、CVRM疾患における相互関係も十分に認識されていない。第III相DELIVER試験の結果から、心不全患者が2型糖尿病や慢性腎臓病といった他のCVRM疾患を併発していることがいかに一般的であるかが浮き彫りとなった。今回発表された新たな解析は、あらゆる心・腎疾患に対してベネフィットをもたらすフォシーガの価値をさらに示しており、心不全や他のCVRM疾患を有する何百万人もの患者の治療を根本的に変えるという私たちのコミットメントを強調している」とした。

8064.

血圧管理ケアバンドル、脳内出血の機能的アウトカムを改善/Lancet

 脳内出血の症状発現から数時間以内に、高血糖、発熱、血液凝固障害の管理アルゴリズムとの組み合わせで早期に集中的に降圧治療を行うケアバンドルは、通常ケアと比較して、機能的アウトカムを有意に改善し、重篤な有害事象が少ないことが、中国・四川大学のLu Ma氏らが実施した「INTERACT3試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年5月25日号で報告された。10ヵ国121病院のstepped wedgeクラスター無作為化試験 INTERACT3試験は、早期に集中的に血圧を下げるプロトコールと、高血糖、発熱、血液凝固障害の管理アルゴリズムを組み込んだ目標指向型ケアバンドルの有効性の評価を目的に、10ヵ国(低・中所得国9、高所得国1)の121病院で実施された実践的なエンドポイント盲検stepped wedgeクラスター無作為化試験であり、2017年5月27日~2021年7月8日に参加施設の無作為化が、2017年12月12日~2021年12月31日に患者のスクリーニングが行われた(英国保健省などの助成を受けた)。 参加施設は、ケアバンドルと通常ケアを行う時期が異なる3つのシークエンスに無作為に割り付けられた。各シークエンスは、4つの治療期間から成り、3シークエンスとも1期目は通常ケアが行われ、ケアバンドルはシークエンス1が2~4期目、シークエンス2は3~4期目、シークエンス3は4期目に行われた。 ケアバンドルのプロトコールには、収縮期血圧の早期厳格な降圧(目標値:治療開始から1時間以内に140mmHg未満)、厳格な血糖コントロール(目標値:糖尿病がない場合6.1~7.8mmol/L、糖尿病がある場合7.8~10.0mmol/L)、解熱治療(目標体温:治療開始から1時間以内に37.5°C以下)、ワルファリンによる抗凝固療法(目標値:国際標準化比<1.5)の開始から1時間以内の迅速解除が含まれ、これらの値が異常な場合に実施された。 主要アウトカムは、マスクされた研究者による6ヵ月後の修正Rankin尺度(mRS、0[症状なし]~6[死亡]点)で評価した機能回復であった。6ヵ月以内の死亡、7日以内の退院も良好 7,036例(平均年齢62.0[SD 12.6]歳、女性36.0%、中国人90.3%)が登録され、ケアバンドル群に3,221例、通常ケア群に3,815例が割り付けられ、主要アウトカムのデータはそれぞれ2,892例と3,363例で得られた。 6ヵ月後のmRSスコアは、通常ケア群に比べケアバンドル群で良好で、不良な機能的アウトカムの可能性が有意に低かった(共通オッズ比[OR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.76~0.97、p=0.015)。 ケアバンドル群におけるmRSスコアの良好な変化は、国や患者(年齢、性別など)による追加補正を含む感度分析でも、全般に一致して認められた(共通OR:0.84、95%CI:0.73~0.97、p=0.017)。 6ヵ月の時点での死亡(p=0.015)および治療開始から7日以内の退院(p=0.034)も、ケアバンドル群で優れ、健康関連QOL(EQ-5D-3Lで評価)ドメインのうち痛み/不快感(p=0.0016)と不安/ふさぎ込み(p=0.046)が、ケアバンドル群で良好だった。 また、通常ケア群に比べケアバンドル群の患者は、重篤な有害事象の頻度が低かった(16.0% vs.20.1%、p=0.0098)。 著者は、「このアプローチは、収縮期血圧140mmHg未満を目標とする早期集中血圧管理を基本戦略とする簡便な目標指向型のケアバンドルプロトコールであり、急性期脳内出血患者の機能的アウトカムを安全かつ効果的に改善した」とまとめ、「この重篤な疾患に対する積極的な管理の一環として、医療施設は本プロトコールを取り入れるべきと考えられる」としている。

8065.

第151回 はしか感染の拡大、ワクチン接種率低下に警鐘/国立感染症研究所

<先週の動き>1.はしか感染の拡大、ワクチン接種率低下に警鐘/国立感染症研究所2.骨太方針の原案、賃上げ継続と少子化対策を強化/経済財政諮問会議3.急性期充実体制加算未届け出の病院、手術実績が主な理由と判明/中医協4.新マイナンバーカード導入と母子健康手帳の統合を決定/内閣府5.ゲノム医療法が成立、ゲノム解析による新薬開発を促進へ/国会6.初の経口人工妊娠中絶薬、オンライン診療では処方不可、入院可能な有床施設で使用を/厚労省1.はしか感染の拡大、ワクチン接種率低下に警鐘/国立感染症研究所新型コロナウイルス感染の沈静化とともに、はしか感染が各地で相次いでいることが報じられている。国立感染症研究所などの報告によると、今年1月から6月1日までの感染者数は計11人に達しており、去年の報告者数を上回り、注意喚起を行っている。国内土着のウイルスの報告ではないため、新型コロナウイルスの水際対策の緩和により、海外から入国してきた渡航者によって持ち込まれたウイルスが広がったとされている。はしかは非常に感染力が強く、免疫がない大人でも重い症状が出ることがある。症状としては、高熱や発疹が現れ、肺炎や中耳炎を合併することもあり注意が必要。特別な治療薬はなく、先進国でも千人に1人が死亡すると言われ、感染は空気感染や飛沫感染、接触感染によって広がる。わが国ではワクチン接種が進んでおり、世界保健機関(WHO)も「排除状態」と認定しているが、入国制限の緩和に伴い、茨城、東京、神奈川、大阪、兵庫などで感染者が報告されている。専門家は接種率の低下と感染者増加の関連性を指摘し、ワクチン接種を呼びかけている。とくに1回目の接種率が93.5%、2回目の接種率が93.8%であり、前年度より減少していることが指摘され、未接種者への対応が急がれる。参考1)【医療機関のみなさまへ】麻しん発生状況に関する注意喚起[2023年5月23日現在](国立感染症研究所)2)はしか感染、各地で相次ぐ 専門家「大人でも重い症状」(日経新聞)3)大阪市で2人のはしか感染確認 2020年以来(毎日新聞)4)はしか急増中!ワクチン2回打ってる?大人世代は特に要注意!23歳~51歳に迫る危機(毎日放送) 2.骨太方針の原案、賃上げ継続と少子化対策を強化/経済財政諮問会議政府の経済財政諮問会議は7日、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太方針)の原案を示した。新型コロナウイルス感染症の対応から一転して、財政健全化への姿勢を強調する内容となった。また、長年据え置かれてきた賃金の引き上げを持続的なものとし、中間層の復活を促すために、リスキリング支援や税制対応策などの具体策も含まれている。さらに子ども・子育て政策も抜本的に強化され、少子化の傾向を反転させる政策の充実を図るとしている。医療面では、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に変更されたことに伴い、医療体制、公費支援など段階的に通常体制へ移行を進めるとともに、来年度の診療報酬と介護報酬の同時改定で、物価高騰や賃金の引き上げへの対応、患者負担の抑制を踏まえ、「必要な対応」を取る方向性を盛り込んだ。そのほか、医薬品については、革新的な医薬品の開発強化などイノベーションを推進する一方、長期収載品などの自己負担のあり方の見直し、バイオシミラーの使用促進、後発医薬品などの安定供給確保、後発医薬品の産業構造の見直しを盛り込んでいる。一方、財政の健全性を保つために黒字化目標は維持しつつ、中期的な経済財政の枠組み作りのための検証も行われる。この原案は与党との調整を経て、今月中に閣議決定される予定。参考1)経済財政運営と改革の基本方針2023(仮称)原案(経済財政諮問会議)2)物価高と患者負担抑制への対応を併記、骨太原案 24年度のトリプル改定で(CB news)3)「骨太の方針」原案 “賃上げ持続” “少子化反転へ対策強化”(NHK)4)コロナで緩んだ財政を「平時に」 骨太の原案、社会保障費減に懸念も(朝日新聞)3.急性期充実体制加算未届け出の病院、手術実績が主な理由と判明/中医協厚生労働省は、6月8日に中央社会保険医療協議会の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催した。この中で、令和4年度に行われた実態調査の結果報告が行われ、2022年度の診療報酬改定で新設された施設基準の「急性期充実体制加算」を届け出ていない病院が、取得できない理由として「手術実績」が主な理由であることが明らかにされた。届け出をしていない理由について病床規模別に集計したところ、200床以上の病院で手術実績を挙げる割合が最も高かった。また、急性期充実体制加算の未取得の400床以上の病院では「門内薬局、敷地内薬局」が設置されているためと回答する施設もあった。急性期充実体制加算は、手術件数の実績や感染防止対策、早期回復などが要件とされており、加算を届け出ている病院の方が入院期間が短く、病床利用率が高い傾向もみられた。急性期充実体制加算と総合入院体制加算とは、一方の算定しか認められないため、「どちらの加算を取得すべきか」を悩む病院も少なくないが、より点数の高い「急性期充実体制加算」に移行を選択して、「総合入院体制加算」で要件となっていた分娩対応・精神科対応を廃止する病院が一部にあることが問題視されている。参考1)令和5年度 第2回 入院・外来医療等の調査・評価分科会(厚労省)2)急性期充実加算、届け出の課題「手術実績」「200-399床」「400床以上」でトップに(CB news)3)スーパーICU評価の【重症患者対応体制強化加算】、「看護配置に含めない看護師2名以上配置」等が大きなハードル-入院・外来医療分科会(2)(Gem Med)4.新マイナンバーカード導入と母子健康手帳の統合を決定/内閣府6月9日に政府はデジタル施策に関する「重点計画」を閣議決定した。重点計画では、2026年中にプライバシーに配慮した新しいマイナンバーカード(マイナカード)を導入し、今年度中に母子健康手帳とマイナカードの一体化を一部自治体で始めることが盛り込まれているほか、マイナンバー制度におけるトラブルに対応するための安全対策も取り入れられている。また、各種証明書との一体化も計画されており、健康保険証は2024年秋に廃止され、運転免許証の機能もマイナカードに統合される。今後は、マイナカードの利用機会を拡大し、トラブルに対しては万全の対策を実施する。さらに、オンラインでの本人確認にもマイナカードを使用する方針が示された。参考1)令和5年度「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(デジタル庁)2)今回の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の主なポイント(同)3)母子手帳、免許証…マイナとの一体化が続々 「重点計画」閣議決定(朝日新聞)4)マイナカード利用機会拡大 26年に新カード発行、閣議決定(東京新聞)5.ゲノム医療法が成立、ゲノム解析による新薬開発を促進へ/国会6月9日、遺伝情報を活用したゲノム医療の推進と差別防止を目指す「ゲノム医療法」が与野党の賛成多数により参院本会議で可決・成立した。この法律は遺伝情報に基づく治療の推進と差別の防止を目指しており、ゲノム医療の研究と開発を進め、遺伝情報や健康情報の管理・活用の基盤整備を行う。法律には、医師や研究者がゲノム情報の取得や管理に関して守るべき指針も含まれている。ゲノム医療は、個人の遺伝情報を解析し、病気の診断や最適な治療法や薬の選択に役立つ一方、保険や雇用、結婚などでの差別や不利益の懸念があり、とくにがん患者の40%以上が懸念を示しており、3%以上が遺伝情報による差別的な扱いを経験したと回答している。遺伝情報に基づく差別などに対しては、罰則のある法律が必要とする意見もあり、具体的な事例や罰則の必要性について検討が進められることが期待されている。参考1)良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(参議院)2)ゲノム医療法成立…難病治療・遺伝差別防止 国費投入(読売新聞)3)ゲノム医療法 参院本会議で可決・成立 差別防止なども掲げる(NHK)6.初の経口人工妊娠中絶薬、オンライン診療では処方不可、入院可能な有床施設で使用を/厚労省厚生労働省は、国内で初めて承認された経口の中絶薬「メフィーゴパック」(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール)について、母体保護法指定医師の確認下での投与が必要であり、病院や有床診療所での使用が必要であると発表した。この薬はオンライン診療では処方できず、緊急対応が可能な施設で使用する必要がある。厚労省は適正な使用体制を確立するまで、「入院可能な有床施設」での使用を求めている。また、医療現場に対しては、適切な管理と医療連携体制の確立を呼びかけている。この経口中絶薬には重大な副作用のリスクがあり、使用者は下腹部痛、嘔吐、重度の子宮出血、感染症などに注意する必要がある。厚労省は使用者向けに留意事項を示し、オンライン診療ではなく医療機関に来院する必要があることを強調している。参考1)いわゆる経口中絶薬「メフィーゴパック」の適正使用等について(厚労省)2)ミフェプリストン及びミソプロストール製剤の使用にあたっての留意事項について(同)3)初の経口人工妊娠中絶薬、厳格運用で慎重スタート(産経新聞)4)経口の中絶薬「メフィーゴパック」、母体保護法指定医師の確認下で、病院・有床診での投与が必要、オンライン診療で処方不可?厚労省(Gem Med)

8066.

週1回の基礎インスリンにより糖尿病治療は新時代へ(解説:小川大輔氏)

 1型糖尿病のみならず、2型糖尿病でも経口血糖降下薬で血糖コントロール不良の場合はインスリン療法を行う必要がある。そして生理的なインスリン分泌を再現するために、基礎インスリンとして持効型インスリンを1日1回、追加インスリンとして超速効型インスリンを1日3回組み合わせる基礎・追加インスリン(Basal-Bolus)療法が用いられる。今回Basal-Bolus療法を行っている2型糖尿病患者を対象に、1日1回の持効型インスリンと週1回の持効型インスリンを比較したONWARDS 4試験の結果がLancet誌に発表された1)。 この試験は日本を含む世界9ヵ国で、長期にわたりBasal-Bolus療法を行っている成人2型糖尿病患者を登録して実施された、非盲検無作為化第IIIa相試験である。被験者は、週1回insulin icodecを投与する群(icodec群)と、1日1回インスリン グラルギンを投与する群(グラルギン群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。主要アウトカムはHbA1cのベースラインから26週目までの変化量とした。安全性アウトカムは低血糖エピソードやインスリン関連有害事象などであった。 スクリーニングで適格性のあった582例が登録され、icodec群に291例、グラルギン群に291例が割り付けられた。ベースラインの全体の平均年齢は59.8±10.0歳、平均HbA1cが8.30±0.88%、平均BMIは30.3±5.0であった。ベースラインから26週までの推定HbA1cの平均変化量は、icodec群が-1.16ポイント、グラルギン群は-1.18ポイントで、icodec群は8.29%から7.14%へ、グラルギン群は8.31%から7.12%へと低下した。ベースラインからの変化の群間差は-0.02ポイントであった(95%信頼区間[CI]:-0.11~0.15、p<0.0001)。 インスリン関連の有害事象はicodec群171例(59%)、グラルギン群167例(57%)で発現した。重篤な有害事象はicodec群22例(8%)、グラルギン群25例(9%)で認められた。ほとんどの有害事象は軽度で、試験薬関連と判定された重篤な有害事象は認められなかった。また、レベル2(血糖値<54mg/dL)およびレベル3(重度の認知機能障害を伴う)の低血糖の発現率は両群ともに低く、icodec群は54例(19%)、グラルギン群は72例(25%)であった(推定率比:0.73、95%CI:0.47~1.14、p=0.17)。 2020年に発表されたinsulin icodecの第II相試験で、insulin icodecの週1回投与はインスリン グラルギンの1日1回投与と同程度の血糖降下作用を発揮することが報告されたが2)、今回の第IIIa相試験でもinsulin icodecのインスリン グラルギンに対する非劣性が示された。血糖降下作用が同等で、低血糖などの副作用が増えないのであれば、1日1回のインスリン注射を週1回に減らすことができるインパクトは大きい。シンプルに1年間に基礎インスリンを注射する回数を365回から52回まで減らすことになるからだ。また、今回の試験のようにBasal-Bolus療法をすでに行っている糖尿病患者だけでなく、まだインスリン注射を行っていない糖尿病患者のインスリン導入のハードルを下げる効果も期待できそうだ。さらに、視力低下や認知機能低下のためインスリン注射ができない患者でも、1日1回の注射が週1回の注射で済むのであれば、インスリン注射を行う家族や介護者の負担軽減につながるだろう。実際の臨床での効果や安全性、さらにインスリン投与量の調整方法などまだ不明な点はあるが、新しい基礎インスリン製剤への期待は大きい。

8067.

第62回 t分布とは?【統計のそこが知りたい!】

第62回 t分布とは?今回は、分布について説明します。さまざまなテストの結果を偏差値でみる場合などで使われる山なりのグラフです。日常でもお馴染みのものですね。「t分布(t distribution)」とは、次回以降で解説する統計的推定や統計的検定に利用される分布で、分布の形はz分布によく似ています。t分布は1908年にウィリアム・シーリー・ゴセットにより発表されました。諸説いろいろあるようですが、当時の彼はビール醸造会社に雇用されていました。この会社では従業員論文の公表を禁止していたので、「スチューデント」というペンネームを使用して論文を発表しました。このことからt分布は「スチューデントのt分布」と呼ばれるようになりました。t分布のグラフの形状は、パラメータである自由度f(Degree of freedom)という値に依存し、fが大きくなるにつれて、z分布に近付きます。そして、fが十分に大きくなると、z分布(標準正規分布)に一致します。一方、fが小さくなるにつれて、z分布に比べてなだらかになり、横幅が広がります(図1)。図1なお、自由度fは標本調査のサンプルサイズに依存します。推定や検定の公式によって、fの求め方は異なります。自由度f=1、f=5、f=100のt分布は図2のようになります。図2自由に値を取れるデータの数のことを自由度と言います。たとえば、図3のようにサンプルサイズが3個のデータから算出された標本平均が5であるとき、1つ目の値と2つ目の値は自由に取ることができます。たとえば、3と4とします。すると、3つ目の値は標本平均が5となるようにしなくてはならないので、「8」しか取ることはできません。図3つまり、自由に値を取れるデータの個数が1つ分減ってしまったことになります。自由に値を取れるデータ、すなわち自由度は3個から1つ引いた値で2個です。標本平均を算出するための自由度(fとする)はサンプルサイズnから1を引いた値です。自由度f=n-1分散は標本分散と母分散の2つがあります。■計算式標本分数(観測データ-標本平均)2÷(n-1)求められた個々の値を合計母分散(観測データ-母平均)2÷n求められた個々の値を合計標本平均は調査の誤差によってバラツキがあります。母平均は真の値でバラツキません。標本平均が式の中にある標本分散の分母は自由度n-1、母平均が式の中にある母分散の分母は自由度を考慮せずnとします。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第56回 正規分布とは?第57回 正規分布の面積(確率)の求め方は?第58回 標準正規分布とは?

8069.

事例025 レボフロキサシン錠の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説再燃を繰り返す尿路感染症の患者に抗菌薬のレボフロキサシン錠(一般名:レボフロキサシン水和物、以下「同錠」)を処方したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となりました。同錠の添付文書をみてみると、必ず1日量を1回で投与することが求められているのみで、投与日数は適宜増減と記載されています。カルテをみると、初診時以降は細菌感受性検査などが行われておらず、再来時には同錠7日分が繰り返し処方されていました。「再燃」のコメントも入っています。投与日数の適宜増減から考えると問題が無いようにみえます。しかしながら、抗菌薬の使用目的は炎症を鎮めるためであり、耐性菌を防ぐために最小限の使用が求められます。過去の事例を見返したところ、ある返戻の理由に「尿路感染症に対する抗生剤・抗菌剤の算定は、診療開始日から2週間程度が基本となります。尿路感染症を繰り返す症例については診療開始日にご留意ください」と注意喚起されていたものをみつけました。今回の事例では、診療開始日が古いにもかかわらず、検査もなく繰り返し同一の抗菌薬が処方されていたため、「再燃」がコメントされていたとしても漫然投与とみなされ査定になったものと推測できます。今後の対応として医師には、今回のような投与を行った場合には、病名開始日を新しくしたうえで、病名に「増悪」「再燃」などを付けること、もしくはコメントを追加していただくようにお願いして査定対策としました。

8070.

6月12日 アレックス・レモネード・スタンド・デー(小児がん支援)【今日は何の日?】

【6月12日 アレックス・レモネード・スタンド・デー(小児がん支援)】〔由来〕アメリカのアレックス・スコットさんという神経芽細胞腫に罹患した少女の「がんと闘うこどもたちのために治療薬の研究が進むように、レモネードを売ってそのお金を病院に寄付したい」という行動と思いが全米に拡大し、小児がんに苦しむ患児をサポートする日として制定され、日本でも同様の活動が行われている。関連コンテンツいまだに残る小児がんのドラッグラグ、求められる政策の抜本的な改革小児がん患者の悪心嘔吐予防に対するパロノセトロンの有効性/日本臨床腫瘍学会小児がんサバイバー、心臓放射線照射減少でCADリスク減/BMJ小児がん、アントラサイクリンの心筋症リスクは?/JAMA Oncol20歳までに多いがんは「白血病」

8071.

HR+/HER2-進行乳がん、CDK4/6阻害薬は1次治療か2次治療か(SONIA)/ASCO2023

 HR+/HER2-進行乳がんに対する1次治療でのCDK4/6阻害薬使用は、2次治療での使用と比較して、無増悪生存期間(PFS)の有意な減少や臨床的に意味のある有用性が認められなかったことが、オランダで全国的に実施された医師主導の第III相SONIA試験で示された。また、CDK4/6阻害薬を1次治療で使用すると使用期間が16.5ヵ月長くなり、毒性および治療費用が増加したという。オランダ・The Netherlands Cancer InstituteのGabe S. Sonke氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。 CDK4/6阻害薬の1次治療での使用は2次治療での使用より毒性が長期にわたり、治療費用も増加しているが、現在、ほとんどの世界的なガイドラインでは1次治療での使用を推奨している。しかし、1次治療での使用の2次治療での使用に対する優越性は、head-to-headの比較試験から得られているわけではない。本試験では、オランダの74病院におけるHR+/HER2-進行乳がんを対象に進行がんに未治療の患者において、1次治療もしくは2次治療の内分泌療法へのCDK4/6阻害薬追加の有効性、安全性、費用対効果を評価した。・対象:測定可能または評価可能な病変を有し、進行がんに未治療の閉経前・後のHR+/HER2-進行乳がん(WHO PS 0~2) 1,050例・A群:1次治療で非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(AI)+CDK4/6阻害薬(アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブから治験担当医師が選択)、進行後フルベストラント 524例・B群:1次治療で非ステロイド性AI単独、進行後フルベストラント+CDK4/6阻害薬 526例・評価項目:[主要評価項目]PFS2(2次治療でのPFS:無作為化から増悪/死亡まで)[副次評価項目]QOL、全生存期間(OS)、費用対効果 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2022年12月1日)時点の追跡期間中央値は37.3ヵ月だった。・CDK4/6阻害薬の投与期間中央値は、A群24.6ヵ月、B群8.1ヵ月で、A群が16.5ヵ月長かった。・1次治療におけるPFS(PFS1)中央値は、A群24.7ヵ月、B群(AI単独)16.1ヵ月だった(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.51~0.69、p<0.0001)。PFS2中央値はA群31.0ヵ月、B群26.8ヵ月で有意差は認められなかった(HR:0.87、95%CI:0.75~1.03、p=0.10)。これは、どのサブグループ解析でも同様だった。・OS中央値はA群45.9ヵ月、B群53.7ヵ月で、有意差は認められなかった(HR:0.98、95%CI:0.80~1.20、p=0.83)。・QOL(FACT-B合計スコア)に差はなかった。・安全性については、CDK4/6阻害薬の特徴的な有害事象が認められ、Grade3以上の有害事象はA群が42%多かった。・患者当たりの薬剤費用はA群のほうが20万ドル高かった。 本試験の結果から、Sonke氏は「1次治療において内分泌療法単独は優れた選択肢」と述べ、「SONIA試験のような試験は、効果的な薬剤の毒性を大きく減少でき、また、高価なために手の届かない患者が利用しやすくなる」と考察している。

8072.

完全切除EGFR陽性NSCLC、術後補助療法の効果不良因子(IMPACT-TR)/ASCO2023

 完全切除を達成したEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)による術後補助療法の効果や、再発を予測するバイオマーカーは、十分に検討されていないのが現状である。そこで、EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者の完全切除後の術後補助療法として、ゲフィチニブとシスプラチン+ビノレルビン(cis/vin)を比較した、国内第III相試験「IMPACT試験」の対象患者においてバイオマーカーが検討された。その結果、ゲフィチニブに対してはNOTCH1遺伝子変異が、cis/vinに対してはCREBBP遺伝子変異が効果不良を予測する因子となることが示唆された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、池田 慧氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター)が本結果について発表した。 IMPACT試験の対象患者のうち202例が対象となった。外科切除された肺がんの組織標本について、409の体細胞変異や腫瘍遺伝子変異量(TMB)、全ゲノムのコピー数について解析した。5%以上の検体で変異が検出された遺伝子、TMB、15%以上の検体でコピー数変化が検出された遺伝子領域について、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・5%以上の検体に体細胞変異が認められた遺伝子は20種で、主なものはTP53(58.4%)、CSMD3(11.8%)、NOTCH1(9.9%)、SYNE1(9.9%)であった。・ゲフィチニブ群において、NOTCH1遺伝子変異のある患者はOSが有意に短く(ハザード比[HR]:5.90、95%信頼区間[CI]:1.85~18.82、p=0.003)、DFSも短い傾向にあった(HR:1.72、95%CI:0.59~4.97、p=0.317)。・cis/vin群において、CREBBP遺伝子変異のある患者はOSが有意に短く(HR:7.51、95%CI:1.06~53.33、p=0.044)、DFSも有意に短かった(HR:6.47、95%CI:1.56~28.87、p=0.010)。・バイオマーカーによるサブグループ解析を実施した結果、OSについてはNOTCH1遺伝子変異の有無によって治療効果が異なり(p for interaction=0.039)、NOTCH1遺伝子変異がある患者において、cis/vin群はゲフィチニブ群と比べてOSが延長した(p=0.0227)。・DFSについてはCREBBP遺伝子変異の有無によって治療効果が異なり(p for interaction=0.058)、CREBBP遺伝子変異がある患者において、ゲフィチニブ群はcis/vin群と比べてDFSが延長した(p=0.0136)。 以上から、池田氏は「NOTCH1遺伝子変異はゲフィチニブ群の予後不良因子であり、ゲフィチニブに対する効果不良を予測する可能性がある。一方、CREBBP遺伝子変異は、cis/vin群の予後不良因子であり、cis/vinに対する効果不良を予測する可能性がある」とまとめた。

8073.

眼球運動と認知機能を用いた統合失調症診断の有用性

 統合失調症患者では、眼球運動異常や認知機能低下がみられる。奈良県立医科大学の岡崎 康輔氏らは、統合失調症患者と健康対照者における眼球運動および認知機能に関するデータを用いて、精神科医療における実践的なデジタルヘルスアプリケーションに流用可能な臨床診断マーカーの開発を目指して、本研究を実施した。その結果、眼球運動と認知機能データの7つのペアは、統合失調症患者を鑑別するうえで、臨床診断に支援につながり、統合失調症の診断の一貫性、早期介入、共通意思決定を促進するために、これらを利用したポータブルディバイスでも機能する客観的な補助診断方法の開発に役立つ可能性があることを報告した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年4月8日号の報告。 対象は、統合失調症患者336例および健康対照者1,254例。ウェクスラー成人知能検査第3版(WAIS-III)およびウェクスラー記憶検査改訂版(WMS-R)を用いて眼球運動と認知機能のパフォーマンスを確認し、ロジスティック回帰を用いた多変量解析を実施した。眼球運動と認知機能尺度を含む鑑別精度を測定し、診断基準に従って臨床上有用なペアを特定するためペア判別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・多変量解析では、眼球運動と認知機能は、統合失調症患者と健康対照者を鑑別するうえで、有用であることが確認された。・ペア判別分析では、7つの眼球運動測定値と認知機能テストの7つのスコアに他の要素を1つ組み合わせることにより、高い鑑別精度が検出された。・7ペアのdigit-symbol codingまたはsymbol-searchおよび眼球運動測定による鑑別精度は、高く堅牢であった。

8074.

コロナ感染2年後、18%に罹患後症状/BMJ

 感染前にワクチン未接種であった重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染者の約18%に、感染後2年まで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状が認められ、未感染者と比較して感染者には症状の過剰リスクがあることが、スイス・チューリッヒ大学のTala Ballouz氏らが実施した「Zurich SARS-CoV-2 Cohort研究」のデータ解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年5月31日号で報告された。スイスの人口ベースの前向き縦断コホート研究 Zurich SARS-CoV-2 Cohort研究は、スイス・チューリッヒ州の一般住民を対象とする進行中の前向き縦断コホート研究である。研究グループは同データを用いて、SARS-CoV-2感染者における罹患後症状に関連する長期的な症状および健康アウトカムの評価を行った(Swiss School of Public Health[SSPH+]の助成を受けた)。 SARS-CoV-2感染が確認された感染前ワクチン未接種の成人参加者1,106例(年齢中央値50.0歳[四分位範囲[IQR]:35.0~66.0]、女性51.2%)と、未感染の成人参加者628例(65.0歳[45.0~72.0]、51.3%)が解析に含まれた。 主要アウトカムは、感染から6、12、18、24ヵ月時点の自己報告による健康状態およびCOVID-19関連症状の推移と、未感染の参加者と比較した感染後6ヵ月時点での症状の過剰リスクであった。1割以上が無症状と有症状を交互に繰り返した SARS-CoV-2感染から6ヵ月の時点で、感染者の22.9%(95%信頼区間[CI]:20.4~25.6)が、完全に回復していないと報告した。その後、未回復と報告した患者の割合は、12ヵ月時には18.5%(16.2~21.1)、24ヵ月時には17.2%(14.0~20.8)へと減少した。 自己報告による健康状態の変化の評価では、多くの感染者が経時的に、回復を続けている(68.4%、95%CI:63.8~72.6)か、全体として改善している(13.5%、10.6~17.2)と答えた。一方、5.2%(3.5~7.7)は健康状態が悪化している、4.4%(2.9~6.7)は回復と健康障害を繰り返していると報告した。 また、経時的に、COVID-19関連症状の点有病率も減少し、重症度は軽減した。24ヵ月の時点で、症状を訴えたのは18.1%(95%CI:14.8~21.9)だった。 感染者の8.9%(95%CI:6.5~11.2)が、フォローアップの4つの時点(6、12、18、24ヵ月)のすべてで症状を報告し、12.5%(9.8~15.9)は、無症状と有症状の時期を交互に繰り返していた。味覚・嗅覚の変化や労作後倦怠感などの過剰リスクが高い 症状の有病率は、6ヵ月の時点で感染している参加者のほうが、この時点で未感染の参加者よりも高かった(補正後群間リスク差:17.0%、95%CI:11.5~22.4)。 未感染者と比較した感染者における個々の症状の過剰リスク(補正後群間リスク差)は、2~10%の範囲であった。感染者で最も過剰リスクが高かった症状は、味覚・嗅覚の変化(9.8%、95%CI:7.7~11.8)、労作後倦怠感(PEM)(9.4%、6.1~12.7)、集中力低下(8.3%、6.0~10.7)、呼吸困難(7.8%、5.2~10.4)、記憶障害(5.7%、3.5~7.9)、疲労(5.4%、1.2~9.5)の順であった。 著者は、「COVID-19の罹患後症状の負担軽減に資する、効果的な介入法を確立するための臨床試験が求められる」としている。

8075.

肥満NASH、減量・代謝改善手術が薬物療法より有効か/Lancet

 肥満を伴う非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者の治療において、減量・代謝改善手術は生活様式への介入+至適な薬物療法と比較して、1年後の肝線維化の悪化を伴わないNASHの組織学的消失の割合が有意に高く、安全性にもとくに問題はないことが、イタリア・サクロ・クオーレ・カトリック大学のOrnella Verrastro氏らが実施した「BRAVES試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2023年5月27日号に掲載された。ローマ市3病院の無作為化試験 BRAVES試験は、イタリア・ローマ市の3つの主要病院が参加した52週の非盲検無作為化試験であり、2019年4月~2021年6月の期間に患者のスクリーニングが行われた(イタリア・Fondazione Policlinico Universitario A Gemelliの助成を受けた)。 年齢25~70歳、肥満(BMI値30~55)で、2型糖尿病の有無は問わず、組織学的にNASHが確認され、ほかの肝疾患がない患者が、生活様式の改善+最良の薬物療法または減量・代謝改善手術(Roux-en-Y法による胃バイパス術あるいはスリーブ状胃切除術)を受ける群に、1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、1年後の肝線維化の悪化を伴わないNASHの組織学的消失であった。 生検でNASHが証明された288例(intention-to-treat[ITT]集団)が、3つの群に96例ずつ割り付けられた。全例が白人で、236例(82%、per-protocol[PP]集団)が試験を完遂した。 ITT集団のベースラインの平均年齢は、生活様式改善群が47.81歳、Roux-en-Y胃バイパス術群が47.23歳、スリーブ状胃切除術群が47.21歳、平均体重はそれぞれ118.49kg、125.76kg、119.21kg、平均BMI値はそれぞれ41.87、42.86、41.38であり、HbA1cは6.32%、6.84%、5.93%であった。2型糖尿病はそれぞれ37%、33%、26%の患者にみられた。重症度が高いほど、NASH消失が高率 ITT解析では、主要エンドポイントを満たした患者は、生活様式改善群が15例(16%)であったのに対し、Roux-en-Y胃バイパス術群は54例(56%)、スリーブ状胃切除術群は55例(57%)と有意に優れた(p<0.0001)。 ITT集団における生活様式改善群と比較したNASH消失のリスク比は、Roux-en-Y胃バイパス術群が3.60(95%信頼区間[CI]:2.19~5.92、p<0.0001)、スリーブ状胃切除術群は3.67(2.23~6.02、p<0.0001)と算定された。 一方、PP解析では、主要エンドポイントを満たした患者は、生活様式改善群が80例中15例(19%)であったのに対し、Roux-en-Y胃バイパス術群は77例中54例(70%)、スリーブ状胃切除術群は79例中55例(70%)と有意に優れた(p<0.0001)。 PP集団における生活様式改善群と比較したNASH消失のリスク比は、Roux-en-Y胃バイパス術群が3.74(95%CI:2.32~6.04、p<0.0001)、スリーブ状胃切除術群は3.71(2.30~5.99、p<0.0001)であった。 PP集団のサブグループ解析では、生活様式改善群と比較した重症NASH(非アルコール性脂肪性肝疾患[NAFLD]活動性スコアが4以上で肝線維化Stage2[F2]または3[F3])患者のNASH消失のリスク比は、Roux-en-Y胃バイパス術群が4.4(95%CI:2.06~9.44)、スリーブ状胃切除術群は3.43(1.53~7.67)と高い値を示した。 死亡および生命を脅かす合併症の報告はなかった。減量・代謝改善手術群で、重度の有害事象が156例中10例(6%)に発現したが、再手術を要する例はなく、薬剤または内視鏡による管理で解消した。また、超音波ガイド下肝生検関連の有害事象の頻度は3群で同程度だった。 著者は、「PP解析では減量・代謝改善手術の70%で主要エンドポイントが達成されたが、これは先行の無作為化試験で評価されたすべての薬剤の効果をはるかに上回る」と述べ、「重要な点は、NASHと肝線維化の重症度が高いほど、NASHが消失した患者の割合が高かったことである」とし、「NASHは、肥満と2型糖尿病を有する集団において手術の優先順位を決定する際の重要な因子として考慮すべきであろう」と指摘している。

8076.

第163回 マウスピース矯正で集団訴訟、歯科ならではの診療報酬が影響か

ここで歯科領域の話を扱うのは初めてだが、6月6日に歯列矯正をめぐって300人以上が総額4億5,000万円の損害賠償を求めて、集団提訴した事件が報じられた。歯列矯正というと、ちょっと昔の世代は歯に接着したブラケットにワイヤーを通して歯に力を掛けて矯正するワイヤー矯正を思い浮かべがちだ。矯正中に歯を見せて笑うと、歯に装着されたワイヤーにドキッとしてしまうアレだ。このワイヤー矯正は見た目の問題以外に加え、ワイヤーで引っ張るために時に痛みを感じる、装着した歯では食事や歯磨きがしにくいなど患者にとっては生活に一定の影響がある。これに対し、近年登場してきたのがマウスピース矯正である。患者の歯列に合わせた透明な薄い樹脂製のマウスピースを作成し、これを1日20時間以上装着して矯正状況に応じてマウスピースを1~2週間ごとに交換する。治療期間は2~2.5年といわれている。目立たない、食事や歯磨きの際に取り外し可能、ワイヤー矯正ほど痛くないうえに、実は治療費も45~70万円くらいでワイヤー矯正よりも安価、と患者にとってはかなりメリットが多いと言われる。デメリットはワイヤー矯正と比べて適応が限られることである。今回の事件ではこのマウスピース矯正を希望する人をモニターとして集め、まずは歯科医院に1人あたり150万円前後を支払って、マウスピース矯正を開始。モニター謝礼としてクリニック側が毎月5万円をキャッシュバックして実質無料にするというものだった。しかし、途中でキャッシュバックの支払いが止まり、歯科医院も閉院して矯正治療も中断されたというものだ。一部報道ではこのモニター制度に関わった運営会社や関連会社、歯科医院の関係者それぞれが取材に応じ、自身のほうが騙された旨の発言をしているが、現時点でどの主張が本当かはわからない。もっとも個人的にはこの件を見るにつけ、歯科医療そのものの構造的な問題を感じてしまう。1つはご存じのように歯科治療の場合、医科よりも自由診療が占める部分が大きい。このため国内で自由診療扱いになるものに関しては、医科ほどには信頼性が高いエビデンスがあるとは言い難い。加えて今回の歯列矯正に加え、ホワイトニングもそうだが、治療目標が定めがたい。と言うのも、治療目標が患者の期待値に縛られていることが多く、医科のように明確なエンドポイントが設定しにくい。もっといえば歯列矯正やホワイトニングは、必ずしも医学的必要から行われるものばかりではなく、患者が歯の見た目(審美性)を重視するために行われるケースも多くを占める。その意味では、患者の持つコンプレックスに一部の不埒な歯科の専門性を持つものが付け込みやすい構造が存在する。しかも、そこに自由診療という金目の問題までもが入り込みやすい。今回の事件にそんな意味でため息をついていた矢先、政府が「経済財政運営と改革の基本方針(通称・骨太の方針)」の2023年版の案を公表し、その中身を見た。昨今、高齢者の医療・介護で口腔ケアが重視され始めているのは、多くの医療関係者にとっては周知のことだろうが、今回の骨太の方針案では、昨年初めて「国民皆歯科健診」が盛り込まれ、今年もこの方針が堅持された。また、従来から口腔ケアと全身の健康状態との関連のエビデンスを国民に広く伝えていく姿勢を強調している。しかしだ、こうした普及をすること以前に歯科が取り組まなければならないのは、自由診療という枠内で行われている治療行為や処置に関するより信頼性の高いエビデンスの構築ではないだろうか? こういうと「いや自由診療で行われていることにもエビデンスはある」という声も出てくるだろうが、医科領域と比べるとチャンピオンデータの強調という側面がぬぐい切れないものが多いと私は感じている。参考(1)経済財政運営と改革の基本方針2023(仮称) (原案)

8077.

緩和ケアは24時間主治医が対応するものなのか?【非専門医のための緩和ケアTips】第53回

第53回 緩和ケアは24時間主治医が対応するものなのか?「医師の働き方改革」があちこちで議論されていますが、皆さんの職場では何かしらの取り組みをしているでしょうか? 私は比較的長時間労働を経験してきた世代であり、今後この改革がどのように進んでいくのか、イメージが湧かない部分もあります。ただ、患者さんのみならず、医療に関わる人の健康を大切にしなければならないのは当然のことです。この問題をどう考えればいいのでしょうか?今日の質問医師になって5年目です。将来は実家のクリニックを継いで在宅緩和ケアも提供したいと思っているのですが、医師が自分だけになるため、夜間対応などに不安を感じます。働き方改革の影響もあって、これまでの勤務先ではずっとチーム制で働いてきました。主治医として夜間もずっと対応する、といった経験がないのですが、在宅医療では24時間、1人で対応しなければならないのでしょうか?今回は若手の先生からご質問をいただきました。私も規模の大きい病院の緩和ケア部門を運営していますので、医師の働き方改革を意識した労務管理は必須の状況です。昔話になってしまいますが、私の研修医時代や若手の頃は主治医制で、担当患者さんが急変とあれば、勤務時間外でも病院から呼び出しの電話がかかってきました。とくにお看取りが近い担当患者さんがいれば、病院にいつでも駆け付けるのが当然、といった風潮もありました。このあたりは今でも議論があるところでしょう。「夜間のお看取りも主治医が対応すべき」「1人の医師に一貫して対応してもらうことが大切だ」といった考え方もあるでしょう。私自身こうした考え方に対応してきた経験もあり、真っ向から否定するわけではありません。ですが、基本的には、これからの緩和ケアの実践には「複数人で対応できる体制」をつくることが必須だと考えています。これからさらに進む少子高齢化時代において、緩和ケアは在宅医療や施設などにおける、地域の医療インフラとして長期間提供するニーズが高まるでしょう。1人の医師の頑張りに頼っていては、インフラとしての持続性が担保できません。機能強化型在宅療養支援診療所のように、複数の医療機関や医師でカバーし合うような体制を整える在宅医療機関も増えてきました。入院患者の夜間の対応を当直医が対応するように、在宅の当番制には情報共有が非常に大切です。さらに、患者さんやその家族にも現状と体制を理解してもらうことが大切です。「主治医に診てもらいたい」という気持ちは自然なものなので、私は初回の訪問診療などで、「私も夜などはすぐに駆け付けられないことがあります。体調が悪くなっても困らないよう、ほかの先生が伺うこともあります。皆でサポートするので安心してください」といったように、チーム制について説明し、理解を求めています。医療者自身の健康も大切にして、持続可能な緩和ケアの実践を目指しましょう。今回のTips今回のTips1人で頑張るよりも、持続可能な緩和ケアの提供体制をつくることが大切。

8078.

英語プレゼン、数字の基本的な口語表現(1)【学会発表で伝わる!英語スライド&プレゼン術】第17回

なぜ数字の口語表現の学習が重要か英語で科学的な内容の発表・議論をする際に意外な落とし穴となることが多いのが、「数字の口語表現」です。基本的な口語表現を理解して、正しく聞き取り、自信を持って使用できるようになることはきわめて重要です。1)数字情報の正確な伝達の重要性正しく数字の情報を伝達することは、科学者としてきわめて重要です。臨床家としては、相手が伝えている数字の情報が理解できない、もしくは自分の意図した数字が正しく伝わらない状況は、文字通り致命的なミスの原因となりえます。学会等での議論においても、数字の情報の伝達が不完全であると、科学者としての信頼を大きく損なうリスクがあります。2)日本での学習機会の不足一方で、英語における数字の口語表現というのは、日本での一般的な英語学習において、あまり重視されない内容でしょう。学校教育、TOEICやTOEFLなどの試験勉強、また英会話スクールなどでは、このような内容をリスニングまたはスピーキングで学習する機会は不足しがちだと思います。3)文脈に依存できないことが多い英語の日常会話においては、いわゆる“broken English”であっても、くじけずに話し続ければ正しく伝わることが多いです。ただし、数字の場合は文脈から推測することができないケースも多く、その表現自体を知らないと、誤って理解してしまう、伝わってしまうことが多いのです。4)口語的な慣用表現が多いさらに、数字の表現方法には、慣用的な口語表現(一種のスラング)が頻用されます。私たち日本人がスピーキングで慣用表現を積極的に使用する必要はありませんが、英語のネイティブスピーカーが日常的に使う表現を聞き取れないことは、時に致命的な障害になってしまいます。5)簡単なルールを理解すれば改善が期待でき、コスパが良い一方で、これらの内容は基本的なルールを覚えることで多くの状況に対応できるようになるため、単語・熟語の暗記に比べて、英語学習の時間対効果の効率は良いと感じます。ただし、耳で聞いた数字を瞬時に頭で理解して、自信を持って即座に返答できるまでには、かなりの反復練習が必要です。「1234567」この数字、英語ではどう表現するでしょう?“One million two hundred thirty-four thousand five hundred sixty-seven”というのが最も基本的な読み方です。英語では「1,234,567」とコンマの部分で区切って数字を表現します。“million”(100万)のさらに上位の単位は“billion”(10億)ですが、一般的な科学的な議論でそこまで使用することは多くはないでしょう。間違いやすいポイントは、“thousand”や“hundred”が単数形であることです。この読み方自体は、おそらく多くの読者にとっても常識かと思いますが、試しに、早口言葉のように口に出して、“1,234,567”を英語で2、3回読んでみてください。瞬発力が求められる英語の会話において、これをスムーズに読むことが簡単ではないことをご理解いただけると思います。「123」“One twenty-three”「1234」“twelve thirty-four”「1200」“twelve hundred”これらは、英語のネイティブスピーカーの慣習的な読み方です。「123」は、正しくは“one hundred twenty-three”ですが、口語的には“one twenty-three”として、“hundred”を省略することが多々あります。「1,234」は「"12" "34"」で区切って“twelve thirty-four”と読み、「1,200」は同様に「"12" "00"」で“twelve hundred”と読まれることも多いです。これらのルールは知らないと、パッと“twelve thirty-four”と言われた時に、「1,234」という数字を思い浮かべることができません。「1.234」“one point two three four”「0.123」“zero point one two three”, “point one two three”「0.012」“zero point zero one two”/ “point zero one two”/ “o point o one two”/ “point o one two”今度はカンマ「,」ではなく、小数点「.」です。小数点以下の数字も頻出なので必修事項です。小数点は、“decimal point”と呼ばれて、数字を読み上げるときは“point”と読みます。「1.234」は“one point two three four”であり、「0.123」は“zero point one two three”です。慣習的に小数点の前の“zero”を省略して、「0.123」を“point one two three”と読むことも多くあります。また“0”(ゼロ)を“o”(オウ)と読むことも多いです。この場合「0.012」は“o point o one two”もしくは“point o one two”となります。講師紹介

8079.

向精神薬の頓服使用が統合失調症入院患者の転帰に及ぼす影響

 統合失調症治療では、興奮、急性精神症状、不眠、不安などの症状に対し、一般的に頓服薬が用いられる。しかし、頓服薬使用を裏付ける質の高いエビデンスは不足しており、これら薬剤の使用は、臨床経験や習慣に基づいて行われている。北里大学の姜 善貴氏らは、向精神薬の頓服使用の実態および患者の転帰に対する影響を評価するため、本研究を行った。その結果、向精神薬の頓服使用は、統合失調症入院患者の入院期間の延長、抗精神病薬の多剤併用、再入院率の増加と関連しており、精神症状のコントロールには、大量の向精神薬の頓服使用を避け、ルーチン処方で安定を目指す必要があることを報告した。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2023年5月30日号の報告。 入院での治療を受けた統合失調症患者205例を対象に、入院前および退院時の向精神薬使用状況、入院中の頓服薬の使用頻度を調査した。また、向精神薬の頓服使用が入院日数、抗精神病薬の多剤併用、再入院率に及ぼす影響も検討した。 主な結果は以下のとおり。・入院中に向精神薬の頓服使用を行った患者は、使用しなかった患者と比較し、入院日数が有意に長く(p=0.00075)、退院時の抗精神病薬の多剤併用率が有意に高かった(p=0.00024)。・1日当たりの向精神薬の頓服使用数が多いほど、退院3ヵ月以内の再入院率の増加が認められた(p=0.0044)。・頓服薬の使用をモニタリングし、再検討を促すシステムを構築する必要性が示唆された。

8080.

NSCLC周術期のペムブロリズマブ、EFS改善が明らかに(KEYNOTE-671)/ASCO2023

 非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するペムブロリズマブの術前・術後補助療法の無イベント生存期間(EFS)の成績が明らかにされた。 米国・スタンフォード大学のHeather Wakelee氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。KEYNOTE-671試験は、NSCLC患者を対象に周術期におけるペムブロリズマブの効果を評価した、無作為化二重盲検第III相試験。免疫チェックポイント阻害薬の術前・術後補助療法において、同試験は、デュルバルマブのAEGEAN試験に続き、toripalimabのNEOTORCH試験と共に有意な改善を示したことになる。・対象:切除可能なStage(AJCC第8版)II、IIIA、IIIB(N2)NSCLC患者・試験群:ペムブロリズマブ200mg+化学療法(シスプラチン+ゲムシタビンまたはペメトレキセド)3週ごと最大4サイクル→手術→ペムブロリズマブ200mg 3週ごと最大13サイクル・対照群:プラセボ+化学療法(同上)3週ごと最大4サイクル→手術→プラセボ3週ごと最大13サイクル・評価項目:[主要評価項目]EFSおよび全生存期間(OS)[副次評価項目]病理学的完全奏効(pCR)、主要な病理学的奏効(mPR) 主な結果は以下のとおり。・786例の登録患者をペムブロリズマブ群およびプラセボ群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。・EFS中央値は、ペムブロリズマブ群未到達、プラセボ群17.0ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.46~0.72、p<0.00001)。・OS中央値は、ペムブロリズマブ群未到達、プラセボ群45.5ヵ月であった(HR:0.73、95%CI:0.54〜0.99、p=0.02124)。・mPRはペムブロリズマブ群30.2%、プラセボ群11.0%、pCRはペムブロリズマブ群18.1%、プラセボ群4.0%であった。・治療関連有害事象は、ペムブロリズマブ群96.7%、プラセボ群95.0%で発現、免疫関連有害事象はペムブロリズマブ群25.3%、プラセボ群10.5%で発現した。 このデータは、ペムブロリズマブを含む術前・術後補助療法が、切除可能なNSCLCの新たな治療選択肢となることを支持するものだと、Wakelee氏は述べた。

検索結果 合計:35161件 表示位置:8061 - 8080