サイト内検索|page:402

検索結果 合計:35667件 表示位置:8021 - 8040

8021.

事例030 医療情報・システム基盤整備体制充実加算の査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では、2022年10月から適用となった「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」(以下「加算」)が往診初診のためにD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)で査定となりました。これはマイナンバーカードを利用した保険資格確認と医療情報の活用を推進するための加算です。事例の医療機関でも受付に機器を設置して、電子資格確認と医療情報の利用を行う旨のポスター表示をして算定を開始しています。確認できる体制が備わっている医療機関であれば、初診時に算定できるものとして算定をしたものの、往診時にマイナンバーカードを読み取れないことが査定の理由でした。本人の同意を得てスマートフォンを閲覧、受診歴や薬剤歴を確認していても、同意の有無が電子的に確認できません。窓口に設置した同意の確認までできる機器を使用していない場合は「算定ができない」と判断されたようです。往診にかかわる医療職には、本人のスマートフォンでの確認は、本人承諾の上で行っても加算の算定はできないことを伝え、レセプトチェックシステムには往診時には算定ができないことを登録して査定対策としました。

8022.

モモアレルギー、生か加工品かで対応は異なる!【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第8回

モモアレルギー、生か加工品かで対応は異なる!講師藤田医科大学 ばんたね病院 小児科 講師 森 雄司 氏【今回の症例】17歳の男性。過去に食物アレルギーによる症状が誘発された経験はない。海外在住歴はない。最近、給食で桃ゼリーを食べて蕁麻疹、咳が出るエピソード、モモの缶詰を食べて蕁麻疹が出るエピソードを経験した。最も考えられる原因アレルゲンはどれか。1.Pru p 1(PR-10)2.Pru p 3(LTP)3.Pru p 4(プロフィリン)4.Pru p 7(GRP)

8023.

静脈血栓塞栓症での長期投与の安全性、DOAC vs.ワルファリン

 静脈血栓塞栓症(VTE)に対する経口抗凝固薬の投与期間は、海外では初回3~6ヵ月の治療期間からの延長が推奨される場合があるが、直接経口抗凝固薬(DOAC)またはワルファリンの臨床アウトカムの違いは明らかにされていない。そこで、米国・カルフォルニア大学のMargaret C. Fang氏らが急性VTE患者を対象にDOACまたはワルファリンの抗凝固療法の6ヵ月以上の延長による「VTEの再発」「出血による入院」および「全死因死亡の割合」への影響を比較した。その結果、DOAC治療はVTEの再発リスク低下と関連し、臨床アウトカムの観点からVTEの長期治療にDOACの使用を支持すると報告した。JAMA Network Open誌2023年8月1日号掲載の報告。 本研究は2010~18年にVTE発症の診断を受け、6ヵ月以上の経口抗凝固薬(DOACまたはワルファリン)による治療を完了した18歳以上の成人を対象に実施したもの。対象者を最初の6ヵ月の治療期間終了後から抗凝固療法の中止、イベント発生、登録解除・研究追跡期間終了(2019年12月31日)まで追跡調査した。主要評価項目はVTEの再発、出血による入院、全死因死亡の100人年あたりの割合で、解析にはCox比例ハザードモデルが用いられた。 主な結果は以下のとおり。・6ヵ月以上の抗凝固療法を受けたVTE患者計1万8,495例(75歳以上:5,477例[29.6%]、女性:8,973例[48.5%])を解析。そのうちDOACによる治療は2,134例(11.5%)、ワルファリンによる治療は1万6,361例(88.5%)が受けていた。・未調整のイベント発生率について、VTEの再発はDOAC群のほうがワルファリン群よりも低かった(100人年あたりのイベント発生率:2.92[95%信頼区間[CI]:2.29~3.54]vs. 4.14[95%CI:3.90~4.38])。出血は1.02(95%CI:0.66~1.39)vs. 1.81(95%CI:1.66~1.97)、全死因死亡は3.79(95%CI:3.09~4.49)vs. 5.40(95%CI:5.13~5.66)だった。・多変量解析後ではDOAC群でVTEの再発リスク低下と関連していた(調整ハザード比:0.66[95%CI:0.52~0.82])。

8024.

過去10年間、日米間の抗がん剤ドラッグラグはどのくらいか

 抗がん剤の日米間のドラッグラグに関する既存の研究や統計では、ドラッグラグは減少したとするものもあるが、一方で日本では未承認の薬剤が多く残されている。北里大学の立花 慶史氏らは、未承認薬がドラッグラグに与える影響を定量化することを目的とした研究を行い、結果をInternational Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年8月10日号に報告した。 本研究では、2011~22年の間に米国で承認された抗がん剤136品目の情報が収集された。米国での承認日から日本での承認日までの日数として定義される承認ラグをすべての選択された薬剤について算出し、中央値をKaplan-Meier法で算出した。なお、日本で承認されていない医薬品の承認ラグについては、打ち切りデータとして扱った。承認ラグと関連する可能性のある因子を、Cox回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・前半期(2011~16年)と後半期(2017~22年)の承認ラグの中央値は、それぞれ961日(2.6年)と1,547日(4.2年)であった(log-rank検定のp=0.0687)。・国際的なピボタル試験への日本の参加は承認ラグ短縮と関連し、世界的な売上高トップ20にランクインしていない非日系企業の新薬承認申請は承認ラグ延長と関連した。 著者らは結論として日米間の抗がん剤のドラッグラグはこの10年間減少していないとし、米国での承認に関わるピボタル試験における日本の参加割合は増加しており、今後さらに増加が見込まれることに言及。今後は、中小の非日系企業による国際的な臨床開発計画への参加を促す制度が必要なのではないかとしている。

8025.

治療前の統合失調症患者におけるメタボリックシンドローム有病率

 メタボリックシンドローム(MetS)は、性別により臨床パターンの異なるさまざまな病理学的状態を伴う臨床症候群である。統合失調症患者では、MetS有病率が有意に高いことが知られている。中国・Wuhan Mental Health CenterのKuan Zeng氏らは、初回治療および未治療の統合失調症患者におけるMetS有病率とそれに関連する要因、重症度に影響を及ぼす要因についての性差を調査した。その結果、統合失調症患者のMetS有病率とその要因には、男女間で違いが認められた。女性のほうがMetS有病率は高く、影響を及ぼす要因もより広範であることを報告した。Annals of General Psychiatry誌2023年6月28日号の報告。 対象は、初回治療および未治療の統合失調症患者668例。社会人口統計学的情報および一般的な臨床情報を収集し、代謝パラメータおよび生化学的指標を測定・評価した。精神症状の重症度評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者のMetS有病率は、男性で6.56%(244例中16例)、女性で13.44%(424例中57例)であり、男性よりも女性において有意に高かった。・MetsSのリスク因子は、男性では腹囲、空腹時血糖、拡張期血圧、トリグリセライド、女性では、収縮期血圧、トリグリセライド、総コレステロール、LDLコレステロール、血小板数であった。・女性では、年齢、LDLコレステロール、PANSSスコア、血清クレアチニン値がMetSスコア上昇のリスク因子であり、発症年齢、ヘモグロビン値が防御因子であることが発見された。

8026.

スマホによる介入、不健康な飲酒を抑制/BMJ

 不健康なアルコール使用を自己申告した大学生において、アルコール使用に対する介入としてスマートフォンのアプリケーションへのアクセスを提供することは、12ヵ月の追跡期間を通して平均飲酒量の抑制に有効であることが、スイス・ローザンヌ大学のNicolas Bertholet氏らが実施した無作為化比較試験の結果で示された。若年成人、とくに学生において、不健康なアルコール使用は発病や死亡の主な原因となっている。不健康なアルコール使用者に対する早期の公衆衛生的アプローチとして、世界保健機関(WHO)はスクリーニングと短期的介入を推奨しているが、スマートフォンによる介入の有効性については明らかではなかった。BMJ誌2023年8月16日号掲載の報告。スイスの大学生1,770例を介入群と対照群に無作為化 研究グループは、スイスの4つの高等教育機関(ローザンヌ大学、スイス連邦工科大学ローザンヌ校、エコール・オテリエール・ド・ローザンヌ、University of Applied Sciences and Arts Western Switzerland’s School of Health)において参加者を募集した。アルコール使用障害特定テスト-簡易版(AUDIT-C)によるスクリーニングで不健康なアルコール使用が陽性(スコアが男性4点以上、女性3点以上)と判定され、試験への参加に同意した18歳以上の学生1,770例を、ブロック法で介入群(884例)と対照群(886例)に1対1の割合で無作為に割り付けた(盲検化)。介入群では、スマートフォンを用いたアルコール使用に対する簡単な介入(アプリケーションの提供)を行った。 主要アウトカムは、6ヵ月後における標準アルコール飲料(基準飲酒量[ドリンク]、スイスの1ドリンクは純粋エタノール10~12g相当)の1週間の飲酒数量。副次アウトカムは過去30日間の大量飲酒日数(男性5ドリンク以上、女性4ドリンク以上)、その他のアウトカムは、1回の最大飲酒量、アルコール関連事象、学業成績。それぞれ3ヵ月後、6ヵ月後および12ヵ月後に評価した。スマホによる介入で、1週間の基準飲酒量、大量飲酒日数、1回の最大飲酒量が低下 2021年4月26日~2022年5月30日の間に、1,770例が無作為化された(介入群884例、対照群886例)。平均年齢は22.4歳(SD 3.07)、女性が958例(54.1%)、学部生1,169例(66.0%)、修士課程533例(30.1%)、博士課程43例(2.4%)、その他の高等教育課程25例(1.4%)で、ベースラインの1週間の平均基準飲酒量は8.59ドリンク(SD 8.18)、大量飲酒日数は3.53日(同4.02)であった。 1,770例の追跡率は、3ヵ月後96.4%(1,706例)、6ヵ月後95.9%(1,697例)、12ヵ月後93.8%(1,660例)であった。 介入群の学生884例のうち、738例(83.5%)がアプリケーションをダウンロードした。介入は、1週間の基準飲酒量(発生率比:0.90、95%信頼区間[CI]:0.85~0.96)、大量飲酒日数(0.89、0.83~0.96)、1回の最大飲酒量(0.96、0.93~1.00)に関して有意な全体的効果を示し、追跡期間中の飲酒アウトカムは介入群で対照群より有意に低かった。一方、介入はアルコール関連事象や学業成績には影響しなかった。

8027.

在宅アルブミン尿スクリーニング、最適な方法は?/Lancet

 一般住民におけるアルブミン尿増加の在宅スクリーニングは、採尿器(UCD)法で参加率が高く、アルブミン尿高値ならびに慢性腎臓病(CKD)や心血管疾患のリスク因子を有する個人を正しく同定した。一方、スマートフォンのアプリケーションを用いる方法(スマホアプリ法)は、UCD法より参加率が低く、精密スクリーニングによる個人のリスク因子の正確な評価のためには検査の特異度が低かった。オランダ・フローニンゲン大学のDominique van Mil氏らが、前向き無作為化非盲検試験「Towards Home-based Albuminuria Screening:THOMAS試験」の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「UCDスクリーニング戦略により、CKD患者の進行性腎機能低下と心血管疾患を予防するための早期の治療開始が可能となるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年8月16日号掲載の報告。45~80歳の一般住民を、UCD法とスマホアプリ法に無作為化 研究グループは、オランダ・ブレダ地区に居住する45~80歳の一般住民から無作為に抽出され本研究の参加に同意した人を、UCD法群またはスマホアプリ法群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 UCD法群では、UCDで採取した尿サンプルを中央検査施設に送ってもらい、免疫比濁法による尿アルブミン/クレアチニン比(ACR)を測定した。スマホアプリ法群では、家庭用アルブミン尿スクリーニング自己検査キットを配布し、スマートフォンのアプリケーションを使用して自宅でディップスティックによるACR測定を行った。 いずれの群も、最初の検査でアルブミン尿高値(国際腎臓病ガイドライン機構[KDIGO]の分類でA2以上など)を認めた参加者には、2回目の検査キットを送付し、2回目の検査結果が陰性であった場合は、3回目の検査キットを送付した。2回目または3回目の検査が陽性だった参加者は、ブレダにあるAmphia HospitalでCKDと心血管リスク因子の精密スクリーニングを受け、高血圧、高コレステロール血症、2型糖尿病または腎機能障害などが発見された場合は、治療のために一般開業医に紹介された。 主要アウトカムは、在宅スクリーニングと精密スクリーニングの参加率と陽性率とした。また、探索的解析として、在宅スクリーニングの2つの方法の感度と特異度を評価することを事前に計画した。検査完了はUCD法群59.4%、スマホアプリ法群44.3%、検査の感度と特異度はUCD法で96.6%および97.3% 2019年11月14日~2021年3月19日の間に1万5,074例が登録され、7,552例(50.1%)がUCD法群、7,522例(49.9%)がスマホアプリ法群に割り付けられた。 在宅スクリーニングを完了した人(参加率)は、UCD法群で7,552例中4,484例(59.4%、95%信頼区間[CI]:58.3~60.5)、スマホアプリ法群で7,522例中3,336例(44.3%、43.2~45.5)であった(p<0.0001)。 そのうち、最終的にアルブミン尿陽性が確認された人(陽性率)は、UCD法群で4,484例中150例(3.3%、95%CI:2.9~3.9)、スマホアプリ法群で3,336例中171例(5.1%、4.4~5.9)であった。 精密スクリーニングには、UCD法群で150例中124例(82.7%、95%CI:75.8~87.9)、スマホアプリ法群で171例中142例(83.0%、76.7~87.9)が参加した。 ACR高値の検出感度は、UCD法で96.6%(95%CI:91.5~99.1)、スマホアプリ法で98.1%(89.9~99.9)、特異度はそれぞれ97.3%(95%CI:94.7~98.8)、67.9%(62.0~73.3)であり、UCD法のみ検査特性はスクリーニングに十分であることが示された。 精密スクリーニングを完了したUCD法群の124例のうち、アルブミン尿、高血圧、高コレステロール血症、腎機能低下が新たに診断されたのはそれぞれ77例(62.1%)、44例(35.5%)、30例(24.2%)、27例(21.8%)であり、111例(89.5%)が新たにCKDまたは心血管疾患等のリスク因子を有すると診断され、一般開業医に紹介された。

8028.

第174回 レカネマブ承認へ、医療者を待ち受ける5つの関門

ついにアルツハイマー病(AD)に対する抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬が、日本の臨床現場に登場することが確定的となった。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は8月21日、エーザイと米国・バイオジェンが共同開発したlecanemabの承認を了承した。これにより年内には保険適用となる見込みだ。思えば2012年の米国のファイザーとジョンソン&ジョンソンによる抗Aβ抗体の静脈注射製剤bapineuzumabの開発中止に始まり、死屍累々だったAβ標的の新薬開発は、ようやく一つの成果を得た形だ。一方で、ADの治療現場では患者・家族の期待値と現実とのギャップが原因で、今後は患者・家族とのコミュニケーションで疲弊させられる可能性も増してくる。大雑把に言えば、疲弊させられる“関門”は5つある。まず、ADは認知症の6~7割を占める原因疾患だが、そのほかに脳血管性認知症、レビー小体型認知症があるが、一般人はこれらの個別の疾患よりもざっくりとした「認知症」というキーワードで認識している人のほうが多数派だろう。それゆえにlecanemabが実際に登場した段階では、ADかどうかにかかわらず「私も」「うちの家族も」という誤解した期待の声に医療従事者は振り回されることになる。ここが第1の関門である。さらに、lecanemabはご存じのように軽度ADと軽度認知障害(MCI)を総称した早期ADのみが適応だ。ここで中等度AD以上の患者・家族は落胆するはずだ。第2の関門である。そして第2関門まで通過した早期ADの患者・家族を待ち受けている第3の関門、それが検査方法である。今回の医薬品第一部会ではlecanemabの承認了承に合わせ、Aβを可視化する陽電子放出断層撮影(PET)用の放射性診断薬であるフルテメタモル(18F、商品名:ビザミル)、フロルベタピル(18F、同:アミヴィッド)の効能追加も了承され、検査面で地ならしも行われた。現在、Aβの蓄積を確認するためには、このアミロイドPETか脳脊髄液検査(CSF検査)という手段になる。しかし、前者は放射性物質の半減期が極めて短いため、地域によっては身近な医療機関では物理的に受けられないことが起こり得る。加えて十分なアミロイドPETの読影訓練を受けた医療従事者がいる医療機関も限られる。さらに保険適用になっても患者は数万円の自己負担が必要になる見込みである。一方で脳脊髄液検査は侵襲性の高い腰痛穿刺が必要になり、現在の保険適用されている体液バイオマーカーは脳脊髄液リン酸化タウ値のみ。ADの診断により適した脳脊髄液アミロイドβ42は保険適用となっていない。昨今では島津製作所が開発している簡易血液検査が注目されてもいるが、おそらくこれが承認されても、第一段階のスクリーニングのみの使用になり、最終的な確認のためにアミロイドPETという流れになる可能性は十分ある。いずれにせよこの第3の関門で、経済的、物理的な理由で検査を躊躇する、あるいは受けられない一部の患者・家族の苦悩と医療従事者は向き合わねばならない。さらにこれら3つの関門を通過して晴れて投与対象になったとしても、第4の関門として、年間数百万円の薬剤費という現実に多くの患者が直面する。たとえ高額療養費制度を使ったとしても、かなりの経済的な負担になることは確実で、その金額に尻込みをする患者・家族が少なからず発生することになるだろう。そして最後の関門は、投与を始めたものの効果を“実感”できない患者・家族から不満が出る可能性である。第III相試験「Clarity AD」で示されたlecanemabの有効性とは、臨床的認知症尺度(CDR:Clinical Dementia Rating)の合計点数(CDR-SB、18点満点)から見ると、プラセボに比べ、進行が27%抑制されていたというもの。一般人からすれば、数字だけを聞くと、劇的な効果と思う人もいるだろうが、この効果は患者・家族はおろか医療従事者ですら見た目で実感できるものではない。そもそも一般人の多くが「薬=病気を治すもの」と考えている中では、投与前に入念な説明をしても、この薬でADによる物忘れが以前よりも少なくなるのではないかなどの誤解交じりの期待を抱く人は残るはずだ。もしかしたら、医療従事者が患者・家族とのコミュニケーションで最も疲弊させられるのはこの点かもしれない。そして何より、実はこれらとは別の非常に大きな問題が浮上してくる可能性がある。それはlecanemabの投与対象のうちMCIは本人や周囲も気付かないことも多いため、後々に「もう少し早くlecanemabを使えていれば…」という事態が生じることだ。lecanemabというイノベーションは、これ以外にも予想もしなかった新たな課題を生むかもしれない。今回の承認にやや興奮しながらも、それと同じくらい不安も感じている。

8029.

米国の病院から学んだ急性期緩和ケア【非専門医のための緩和ケアTips】第58回

第58回 米国の病院から学んだ急性期緩和ケア先日、米国・ロサンゼルスにあるCedars-Sinai Medical Center(CSMC)を見学する機会がありました。日本と米国の医療制度は健康保険、職種ごとの権限、運営資源など異なる点も多いものの、共通の課題や参考になる点も多くありました。今日の質問先日、人工呼吸器装着や延命治療の中止に関するニュースを見ました。長く議論されている話題ですが、法整備や現場での運用はどうなっていくのでしょうか?今回は生命維持治療の中止についての質問をいただきました。緩和ケアには「急性期医療」の分野があります。緩和ケアというと「がん患者の終末期ケア」というイメージが根強いですが、急性期医療の分野でも症状緩和や意思決定支援、倫理的な問題を緩和ケアの一環として議論する機会が増えてきました。米国で見学したCSMCは急性期病院で、緩和ケアの対象は非がん疾患の方が多く、集中治療領域における緩和ケアのコンサルテーションにしばしば対応している、とのことでした。今回の質問にある生命維持治療の中止については、米国でもしばしば議論になるそうです。CSMCの緩和ケア医と議論した際、治療中止の際の苦痛緩和や家族へのケアを標準化していることが印象的でした。たとえば、人工呼吸器の装着を終了する際には呼吸困難を和らげる薬剤を準備し、家族に対して状況や見通しを共有する、などに多職種で取り組んでいるそうです。ケースや医療者ごとに対応がバラつきがちな日本と大きく異なる点だと感じました。治癒の見込みのなくなった患者に対する治療の中止は、医学的にはもちろん、倫理的にも難しい判断です。米国では本人の自立性を尊重し、本人の希望に沿って治療の中止を決断できるのでしょうか? 実はここはさまざまで、日本と同様に家族間で意見が異なる場合や、遠方の親族の意見を聞くために時間を要することがあるそうです。ここからは私の意見ですが、日本においても回復の見込みのなくなった患者の生命維持治療の中止をどのように考えるか、というのは今後避けては通れない議論でしょう。無益で患者の望まない治療を適切な時期に中止するため、必要な法的整備や現場での実践についてさらに議論していく必要があるでしょう。米国の病院の急性期緩和ケアを見学し、こんなことを感じました。いろいろな意見がある分野だと思います。皆さんの意見も聞かせてください。今回のTips今回のTips急性期の緩和ケア、延命治療中止に関する議論が求められています。

8030.

若年性認知症と紛らわしい、初老期のADHD【外来で役立つ!認知症Topics】第8回

認知症専門クリニックの当院を訪れる患者さんの平均年齢は75歳、偏差は10歳くらいかと思う。だから40~65歳の患者さんが来られると、「若年性認知症か?」とまずは疑う。実際にはそれもあるが、複雑部分発作のようなてんかん性疾患や、睡眠時無呼吸症候群だと診断される人も少なくない。ところがここ数年、認知機能についても脳画像などの生物学的な診断指標についても問題なく、最終的に正常と診断する例が増えてきた印象がある。そこでこうした患者さんには、何か共通する背景があるのではないかと思うようになった。理系の学校卒、技術職で働いてきた人で、いわゆる理屈屋さんの傾向があるか?とまず思い当たった。そこで「そもそもどうして来院されたのですか?」と改めて尋ねると、「実は自分でも悪いとは思っていない。上司(あるいは女房)が認知症かどうか専門医に調べてもらうように言ったから」という回答が多いことがわかった。たまたまこの頃、「60歳以上の注意欠如・多動症ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)にご注意を」という主旨の英文記事1)を読んだ。「60歳以上のADHD」という言葉に、「ほーっ」と感心した。実は20年ほど前に「大人になったADHD」という言葉を知ったとき、まず驚いたものだ。というのは、子供の頃の同級生や知友を思い浮かべても、ADHDは児童期には目立っても成長とともに改善し、多くの場合、成人になると治るものとずっと私は思っていたからである。ADHDは大人になってから表面化することもその専門家である岩波 明氏によると、「ADHDは、成人の3〜4%が持っているといわれており、診断を受ける大人が増えている。とくに症状が軽い場合、また周囲の環境によっては見過ごされることもある。しかし大人になると、就職や結婚などによって行動の範囲や人間関係が複雑になるため、それに対処しきれなくなったときに問題が表面化し、症状に気付くことがある」と述べられている。そして注意に関わる特徴として、「注意を持続するのが難しい」、「ケアレスミスが多い」、「片付けが苦手・忘れ物が多い」などを指摘されている2)。それを思い出した上で、60歳以上のADHDの特徴を丁寧に読み返してみた。(1)スイスチーズ記憶:覚えているものもあるが、スコンと抜けるものもある、いわゆる斑ぼけ。(2)気を逸らされるとやりかけの仕事を忘れてしまう。(3)物を定位置に戻さない。(4)くり返し、真っ白になる。(5)家計などの金銭収支を合わせられない。(6)周りに配慮せずしゃべり過ぎる。(7)他者を遮る。(8)他者と安定した関係が保てない。とあった。こうした目で認知症疑いの受診者を見直してみると、先ほどは最終的に知的正常とした中にも、ADHDと考え直すケースが少なくないと考えた。だから最近では、テストが正常であっても、ADHDでは?と思い直して、そのチェックのためにAQ(自閉症スペクトラム指数)3)を施行している。上記の症状のうち、とくに(1)~(5)は認知機能がらみである。一方で(6)~(8)は、従来からのいわゆる「キャラ」関連であろう。そもそもどうして初老期以降になってADHDが顕在化するのか? 答えはわからないのだが、やはり加齢化による機能低下は重要だろう。認知症は、以前は「痴呆症」と呼ばれたように、知性や知識の病である。ところで精神現象を包括する語に「知情意」がある。「情」とは心、「意」とは意欲である。ADHD の素因がある人は、年齢を重ねた時に、ミニメンタルステート検査(MMSE)、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDSR)などで定量化しやすい知のみならず、情意についても、ほころびを生じやすいのではなかろうか。(6)~(8)は、本来の傾向が、この情意のほころびによって強められた現れなのかもしれない。こうしたことで、当事者の周囲が見て取る「知情意」の変化が認知症の初期症状と捉えられ、認知症専門外来という話になるのかもしれない。初老期のADHD治療さて治療においては、まず自分にはどんな問題があるかを、初老期になった当事者に自覚してもらう必要がある。上記報告1)はこれを簡潔に述べている。(1)先送りにしがちだ。(2)苛つきやすい自分をコントロールする必要がある。(3)制限時間を意識した段取りと進行が求められる。(4)落ち着かなさ、雑念が頭の中を駆け巡る、しゃべり過ぎ。などは過活動の残骸と考えよう。またADHDに適応がある薬物には、メチルフェニデート(商品名:コンサータ)、アトモキセチン(ストラテラ)、グアンファシン(インチュニブ)、リスデキサンフェタミン(ビバンセ)の4剤がある。いずれも副作用など危険性も高く、その処方にはADHDに精通した医師の関わりが求められているだけに、医師なら誰でもとはいかないだろう。終わりに、初老期以降のADHDと思しき人の病識、あるいは自覚について。それがある人と、まったくといっていいほどない人にきれいに二分されるという印象がある。筆者がADHD疑いと思っても本人が否定する場合は、本人と近しい人にもAQをやってもらう。それと本人の回答が明らかに乖離することが、こうしたケースの特徴のようだ。参考1)Nadeau K. A Critical Need Ignored: Inadequate Diagnosis and Treatment of ADHD After Age 60. ADDITUDE. 2022 July 14.2)NHK健康チャンネル 大人の「注意欠如・多動症(ADHD)」とは?特徴や治療を解説!(2023年7月21日)3)若林明雄ほか. 自閉症スペクトラム指数(AQ)日本語版の標準化. 心理学研究. 2004;75:78-84.

8031.

日本人の双極性障害および統合失調症に関連するミトコンドリアの遺伝的変異

 双極性障害や統合失調症は、複雑な精神疾患であり、環境的要因と遺伝的要因(母性遺伝を含む)の両方が影響している可能性がある。これまで、いくつかの研究において、ミトコンドリア染色体の遺伝子変異と双極性障害および統合失調症との関連が調査されているが、研究結果は同一ではなく、参加者は欧州の患者に限定されていた。岐阜大学のRyobu Tachi氏らは、日本人集団におけるミトコンドリア染色体のゲノムワイドな遺伝的変異と双極性障害、統合失調症、精神疾患との関連を調査した。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年7月21日号の報告。 患者および遺伝子変異の品質管理を行ったうえで、日本人420例を対象にミトコンドリア遺伝子変異(マイナーアレル頻度[MAF]>0.01、変異例:45例)と双極性障害、統合失調症、精神疾患との関連を調査した。対象の内訳は、双極性障害(BD群)51例、統合失調症(SZ群)172例、健康対照者(HC群)197例。 主な結果は以下のとおり。・ミトコンドリアの遺伝的変異のうち、多重比較で補正した後、双極性障害では3つ(rs200478835、rs200044200、rs28359178 のNADHデヒドロゲナーゼ上または近位)、精神疾患では1つ(rs200478835)の遺伝子変異との有意な関連が認められた(PGC=0.045-4.9×10-3)。・とくに、ミスセンス変異体であるrs200044200のマイナーGアレル遺伝子を有する人は、BD群(MAF=0.059)のみでみられ、HC群(MAF=0)ではみられなかった(オッズ比:∞)。・3例の患者は、精神医学的疾患の家族歴を有していた。 著者らは「NADHデヒドロゲナーゼ関連遺伝子のミトコンドリア遺伝的変異が、エネルギー産生のメカニズムを介して日本人の双極性障害や精神疾患発症に関与している可能性が示唆された」とまとめている。

8032.

飲酒で発症リスクが上がるがん、下がるがん~女性80万人の前向き研究

 アルコール摂取は一部のがん発症リスクの増加や減少に関連していると考えられている。今回、英国・オックスフォード大学のSarah Floud氏らが、前向き研究であるUK Million Women Studyで調査したところ、アルコール摂取量が増えると、上部気道・消化管がん、乳がん、大腸がん、膵臓がんのリスクが増加し、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、腎細胞がん、多発性骨髄腫のリスクが低下する可能性が示された。また、この関連は、上部気道・消化器がんを除いて、喫煙、BMI、更年期ホルモン療法による変化はなかった。BMC Cancer誌2023年8月16日号に掲載。 本研究では、がん既往のない閉経後女性123万3,177人(平均年齢56歳)において、中央値1998年(四分位範囲:1998~99年)での飲酒量の報告をがん発症の記録とリンクさせた。非飲酒と1杯/週未満の女性(43万8,056人)を除外した79万5,121人について、ベースライン時の飲酒量(ワイン1杯、ビール半パイント[284mL]、蒸留酒1メジャー[30mL]を1杯と換算)に応じて4つのカテゴリー(週当たり1~2杯、3~6杯、7~14杯、15杯以上)に分類。Cox比例ハザードモデルで、21種類のがんにおける飲酒量ごとの調整相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を推定した。喫煙、BMI、更年期ホルモン療法との相互作用の統計学的有意性は多重検定を考慮し評価した。 主な結果は以下のとおり。・調査した79万5,121人の平均飲酒量は週6.7杯(SD:6.4杯)だった。・17年(SD:5年)の追跡調査中に14万203人ががんを発症した。・飲酒と上部気道・消化器がん(食道扁平上皮がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん)リスクとの間に強い関連がみられた(1杯/日当たりのRR:1.38、95%CI:1.31~1.46)。・乳がん、大腸がん、膵臓がんと飲酒との間に中程度の正相関がみられた(1杯/日当たりの RR:乳がん1.12[95%CI:1.10~1.14]、大腸がん1.10[同:1.07~1.13]、膵臓がん1.08[同:1.02~1.13])。・甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、腎細胞がん、多発性骨髄腫と飲酒との間に中程度の逆相関がみられた(1杯/日当たりのRR:甲状腺がん0.79[95%CI:0.70~0.89]、非ホジキンリンパ腫0.91[同:0.86~0.95]、腎細胞がん0.88[同:0.83~0.94]、0.90[同:0.84~0.97])。・上部気道・消化器がんでは、飲酒と喫煙の間に有意な相互作用がみられた(1杯/日当たりのRR:現在喫煙者1.66[95%CI:1.54~1.79]、過去喫煙者1.23[同:1.11~1.36]、非喫煙者1.12[同:1.01~1.25])。・BMIおよび更年期ホルモン療法は飲酒関連リスクに有意な変化をもたらさなかった。

8033.

アルツハイマー病治療薬レカネマブ、厚労省専門部会が薬事承認を了承/エーザイ・バイオジェン

 2023年8月21日、lecanemab(一般名:レカネマブ、商品名:レケンビ点滴静注200mg/同500mg、以下「レカネマブ」)は、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において製造販売承認が了承された。今回の了承に際して、エーザイとBiogen(米国)は共同ステートメントを発表し、「厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において、レカネマブの早期アルツハイマー病治療薬としての製造販売承認が了承されたことは、わが国のアルツハイマー病治療における大きな前進であると受け止めている」とした。 レカネマブは大規模グローバル臨床第III相検証試験であるClarity AD試験のデータに基づき、7月に米国食品医薬品局(FDA)よりアルツハイマー型認知症治療薬として「フル承認」を取得していた。

8034.

脳卒中の病院間搬送、推奨時間内に収まらず/JAMA

 急性脳卒中の病院間搬送において、最初の病院の救急部門(ED)到着から転院搬送開始までの時間(door-in-door-out time:DIDO時間)の中央値は174分であり、現在のガイドラインで推奨されている時間(120分以内)よりも長いことを、米国・ミシガン大学のBrian Stamm氏らが、米国心臓協会(AHA)のAmerican Heart Association Get With The Guidelines-Stroke(GWTG-Stroke)レジストリを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにした。一刻を争う急性脳卒中の治療は、すべての病院で実施できるわけではなく、しばしば病院間搬送を必要とする。今回の結果について著者は、「DIDO時間の延長に関連する格差や修正可能な医療システム要因は、医療の質の改善に向けた取り組みの目標として適している」と述べている。JAMA誌2023年8月15日号掲載の報告。病院間搬送を要した急性脳卒中患者約10万9,000例について解析 研究グループは、GWTG-Strokeレジストリにおいて2019年1月~2021年12月に、急性虚血性脳卒中または出血性脳卒中を発症し、登録関連病院のEDから他の急性期病院へ転院搬送され、かつ転院先で入院していない患者を特定し、解析した。 主要アウトカムはDIDO時間(転院搬送開始時刻-ED到着時刻)の連続変数およびカテゴリー変数(≦120分、>120分)とし、一般化推定方程式(GEE)回帰モデルを用いて、全体およびサブグループ(出血性脳卒中、血管内治療が適応となる急性虚血性脳卒中、血管内治療以外の理由で転院搬送された急性虚血性脳卒中)における、DIDO時間と関連する患者特性および病院特性を同定した。 解析対象は、1,925施設から転院搬送された10万8,913例(平均[±SD]年齢66.7±15.2歳、非ヒスパニック系白人71.7%、男性50.6%)で、このうち6万7,235例が急性虚血性脳卒中、4万1,678例が出血性脳卒中であった。DIDO時間中央値は174分、ガイドライン推奨の120分を超える 全体におけるDIDO時間の中央値は174分(四分位範囲[IQR]:116~276分)、DIDO時間が≦120分の患者は2万9,714例(27.3%)であった。 DIDO時間中央値の延長と有意な関連がみられた因子は、80歳以上(vs.18~59歳:14.9分、95%信頼区間[CI]:12.3~17.5)、女性(vs.男性:5.2分、3.6~6.9)、非ヒスパニック系黒人(vs.非ヒスパニック系白人:8.2分、5.7~10.8)、ヒスパニック系(vs.非ヒスパニック系白人:5.4分、1.8~9.0)であった。 一方、DIDO時間中央値の短縮と有意な関連がみられた因子は、救急医療サービスの事前通知(-20.1分、95%CI:-22.1~18.1)、米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコアが12以上(vs.0~1:-66.7分、-68.7~-64.7)、血管内治療適応の急性虚血性脳卒中(vs.出血性脳卒中:-16.8分、-21.0~-12.7)であった。 血管内治療適応の急性虚血性脳卒中患者において、女性、黒人、ヒスパニック系は、DIDO時間の有意な延長と関連があったが、救急医療サービスの事前通知、静脈内血栓溶解、NIHSSスコア高値は、DIDO時間の有意な短縮と関連していた。

8035.

IgA腎症、新規腸管作用型ステロイドが有効/Lancet

 IgA腎症患者において、ブデソニドの新規の腸管作用型経口剤であるNefeconは、9ヵ月間の治療でプラセボと比較し、臨床的に意義のあるeGFR低下および蛋白尿の持続的な減少をもたらし、忍容性も良好であった。米国・スタンフォード大学のRichard Lafayette氏らが、20ヵ国132施設で実施された2年間の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「NeflgArd試験」の結果を報告した。IgA腎症は、慢性免疫介在性腎疾患で腎不全の主な原因であり、発症機序には腸粘膜免疫システムが関与している。Nefeconは、ブデソニドが腸管で徐々に放出され腸粘膜で作用するようデザインされている。Lancet誌オンライン版2023年8月14日号掲載の報告。IgA腎症患者をNefecon群とプラセボ群に無作為化し9ヵ月間投与 研究グループは、2018年9月5日~2021年1月20日に、レニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬による最適な支持療法にもかかわらず、推算糸球体濾過量(eGFR)が35~90mL/分/1.73m2で、持続性蛋白尿(尿蛋白-クレアチニン比≧0.8g/gまたは尿蛋白≧1g/24時間)を呈する原発性IgA腎症成人患者(18歳以上)を、Nefecon群(16mg/日)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け9ヵ月間投与し、その後15ヵ月間(2週間の漸減期間を含む)を観察期間とした。最終追跡調査日は2023年2月6日である。 無作為化では、ベースラインの蛋白尿(<2または≧2g/24時間)、ベースラインのeGFR(<60または≧60mL/分/1.73m2)、および地域(アジア太平洋、欧州、北米、南米)を層別因子とした。また、全例に対して無作為化前の少なくとも3ヵ月間ならびに試験期間に、最適な支持療法が義務付けられた。 有効性の主要アウトカムは、2年間のeGFRの時間加重平均値とした。2年間の時間加重平均eGFR、Nefecon群で臨床的に意義のある改善 最大の解析対象集団は364例(各群182例)で、240例(66%)が男性、124例(34%)が女性、275例(76%)が白人であった。 2年間のeGFRの時間加重平均値の変化量は、Nefecon群-2.47mL/分/1.73m2(95%信頼区間[CI]:-3.88~-1.02)、プラセボ群-7.52mL/分/1.73m2(-8.83~-6.18)、群間差は5.05mL/分/1.73m2(95%CI:3.24~7.38、p<0.0001)であり、プラセボ群に対してNefecon群で統計学的に有意な治療効果が認められた。 Nefeconで治療中の主な有害事象は、末梢性浮腫(31例[17%]vs.プラセボ群7例[4%])、高血圧症(22例[12%]vs.6例[3%])、筋痙攣(22例[12%]vs.7例[4%])、ざ瘡(20例[11%]vs.2例[1%])、頭痛(19例[10%]vs.14例[8%])であった。治療に関連した死亡例の報告はなかった。

8036.

JAK阻害薬ルキソリチニブ、造血幹細胞移植後のGVHDに承認取得/ノバルティス

 ノバルティス ファーマは2023年8月23日、JAK阻害薬ルキソリチニブ(商品名:ジャカビ)について、「造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」の効能又は効果の追加承認を取得した。ルキソリチニブは急性GVHDと慢性GVHD両試験とも主要評価項目を達成 移植片対宿主病(GVHD)は、同種造血幹細胞移植で多く認められる移植合併症である。ドナー由来の免疫細胞が、移植を受けた宿主の正常な組織を攻撃することにより引き起こされる。GVHDは急性GVHDと慢性GVHDに分けられる。 今回の効能追加承認は、急性GVHDに対するルキソリチニブの国際共同第III相試験(C2301試験/REACH2試験)と、慢性GVHDに対する国際共同第III相試験(D2301試験/REACH3試験)のデータに基づいている。両試験とも主要評価項目を達成し、忍容可能な安全性プロファイルも示された。 GVHDの現在の標準治療は、副腎皮質ステロイドの全身投与とされているが、半数の患者がステロイド抵抗性を来すとされる。そのような患者では、免疫抑制薬などさまざまな治療が行われるが、いずれも有用性が示されておらず、保険償還されている薬剤も限られている。このような状況の中、より有効で安全な治療法が望まれていた。

8037.

血尿診断ガイドライン2023

2013年版から10年ぶりの大幅改訂!血尿の原因疾患を診断する「血尿診断アルゴリズム」を提示わが国では母子保健法、学校保健法、労働安全衛生法、老人保健法などにより、生涯にわたり検尿を受けることが可能。こうした検尿での異常所見(潜血)が契機となって重篤な腎疾患や泌尿器疾患が発見されることも少なくない。本書は潜血が認められた患者における、血尿のタイプの判定と原因疾患の診断のためのガイドラインで、血尿の原因疾患を診断するための手順を初めて詳細な「血尿診断アルゴリズム」として提示。また、ワクチン接種後の血尿例の報告を受けて、最終章で「新型コロナワクチンと血尿」について解説している。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    血尿診断ガイドライン2023定価3,080円(税込)判型A4判頁数80頁発行2023年6月編集血尿診断ガイドライン改訂委員会Amazonでご購入の場合はこちら

8038.

近所の変なオッサン【Dr. 中島の 新・徒然草】(491)

四百九十一の段 近所の変なオッサンここのところ、大阪では夕方になると雷雨が来ています。空には夏の終わりを告げるような邪悪な雲。思わず写真を撮ってしまいました。さて、先日来院されたのは頭部外傷後の高次脳機能障害の男性患者さんです。家でも職場でも、イライラを抑えられません。つい爆発することがある、というので困っておられました。患者「先生、この前は『もう刑務所に行ったろか!』と思いましたよ」2人の子供を連れて道を歩いていたときのこと。自転車に乗って通りかかったオッサンに、子供を蹴られたそうです。中島「どっちの子が蹴られたんですか?」患者「下の子です」確か5歳くらいじゃなかったかな。中島「何でまた蹴ったりなんかするんでしょうね」子供を蹴られてカッとなった患者さん。「ぬおおおお!」と自転車を追いかけて、オッサンを捕まえました。患者「あの時はホントに刑務所上等、と思って殴りかかったんですよ」中島「それはダメでしょ」患者「でも、その辺からオッチャンらがワラワラと出てきて。羽交い絞めにされたんです」中島「何ですか、そのオッチャンらは!」患者「休憩しとった工事現場のオッチャンらみたいです」止めてもらって良かったですね。患者「そこで急にスイッチが切れて、怒りもどっかに消えてしまったんですわ」中島「消えましたか」患者「集まってきたオッチャンらも拍子抜けしてしまったみたいです」中島「子供を蹴ったオッサンはどうなったんですか?」患者「そのまま自転車に乗って行ってしまいました」無茶苦茶な話ですが、大阪ではありがちな気もします。患者「先生も子供の頃、いなかったですか? そういうオッサンが」中島「いたいた、近所の変なオッサン!」患者「危ないオッサンは、こっちが先に発見して避けることが大切なんですよ」中島「関わったら大変なことになってしまうから」たしかに刺青の入ったオッサンに捕まって、ボコられていた同級生がいました。中島「それにしても、オッサンを殴ったりしたら後が大変ですよ」患者「どうしたらいいんですかね?」中島「対応マニュアルを作っておいたらどうですかね」何事も想定して準備しておくことが大切。当然、子供が自転車に乗ったオッサンに蹴られたときのマニュアルも作っておくわけです。中島「自転車を追いかけていって、オッサンを捕まえる、というところまではいいとして」患者「捕まえたら殴るか蹴るかの二択でしょう」中島「それやったら、ただのアホウです」この患者さんも十分に変なオッサンになれるんじゃないかな。中島「大阪の人間やったら、そこでボケるわけですよ」患者「どうするんですか?」中島「オッサンの自転車を奪って走り去るとか」患者「ギャッハッハ。それこそただのアホウやないですか!」中島「でも、オッサンに一矢報いることができますよ」後で考えてみると、オッサンの自転車を奪って走り去ったら、窃盗とか強盗になってしまいます。それに、子供たちも後で回収しないといけないし。マニュアルはもう少し磨く必要がありますね。ということで最後に1句自転車が 走り去りたる 秋の風

8039.

リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップーP(対象)設定の要点と実際 その2【「実践的」臨床研究入門】第35回

P(対象)をより具体的で明確なものにする今回は前回に引き続き、P(対象)を設定する際の要点について解説します。Pを設定する際、PがResearch Question(RQ)で設定したO(アウトカム)のat risk集団(Oを発生する可能性のある集団)であることも、押さえるべきポイントです。前述のとおり(連載第34回参照)、プライマリのOは末期腎不全(透析導入)と設定しました。したがって、すでに末期腎不全に至り、透析導入(もしくは腎臓移植)された患者さんはat risk 集団にならず、除外されることになります。できればPは設定したOを起こしやすい集団とするのもコツのひとつです。なぜなら、Oを発症しやすい集団を対象とした方が研究の「効率が良い」からです。ここで言う「効率が良い」の意味は、より少ないサンプル数や短い観察期間で興味のあるOの発生数を確保することができる、ということです。その結果、研究の実施可能性や統計的な検出力が高まります。筆者が米国留学以来関わっている、DOPPS(Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study)という血液透析患者さんを対象とした国際的な臨床疫学研究があります。血液透析患者さんは健常人と較べて、死亡や心血管イベント発症などハードエンドポイント(連載第3回参照)を起こすリスクがかなり高い集団です。ハイリスクな血液透析患者集団の中でも、その予後には国際間で大きな差があることが知られています。日本の血液透析患者さんの予後は、米国の患者さんのそれより圧倒的に良好なことが、DOPPSなどの研究成果から示されています。米国留学中にご指導頂いていたミシガン大学の腎臓内科と臨床疫学の名誉教授であるFK Port先生が、"US data are bad for patients but good for statistical analysis."と日本から来た筆者に自虐的に? おっしゃっていたことを覚えています。また、「研究対象集団」のデータ取得の場である「セッティング」についてキチンと明記することも重要です(連載第34回参照)。われわれのRQの「標的母集団」は慢性腎臓病(CKD)集団全体です。しかし、本研究で実際に診療データにアクセスできるのは自施設の外来に通院中の患者のみであったとすると、「セッテイング」は単施設外来ということになります。単施設の「セッテイング」で行われた臨床研究では、その施設の特性やそこに通院する患者背景などの偏り(選択バイアス)が結果に影響を及ぼす可能性があります(連載第34回参照)。ちなみに、このような「選択バイアス」の影響を出来るだけ減らすために、DOPPSでは「2段階無作為抽出法」というサンプリング手法がとられています。第1段階として、研究施設を所在地や経営母体(公立・私立など)、施設規模(患者数)を考慮して無作為に抽出。第2段階で、施設規模に合わせて研究対象患者を施設毎に無作為抽出。このようなサンプリング手法を用いることにより、「研究対象集団」の代表性を担保しているのです。さて、ここで、われわれのRQのPをあらためて以下のように整理してみました。P(対象):慢性腎臓病(CKD)患者組み入れ基準診療ガイドライン1)で定義されるCKD患者除外基準  ネフローゼ症候群、透析導入(または腎移植)された患者S(セッティング):単施設外来このように組み入れ基準、除外基準、セッテイングも含めて、Pをより具体的で明確なものにします。そうすることにより、研究結果の解釈が容易となり、またその研究結果を他の状況に適用する際の判断もしやすくなるのです。1)日本腎臓学会編集. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023. 東京医学社;2023.

8040.

ベルリンの新しい空の玄関「ブランデンブルク国際空港」【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第28回

ドイツの首都であるベルリンは、実は旧東ドイツにあります。壁があったくらいですから東西ドイツの真ん中にあったんじゃないの?と勘違いされがちですが、実は旧東ドイツの中にベルリンがあって、飛地になる形で旧西ドイツの領地がありました。その旧西ドイツの飛地を壁で取り囲むように「ベルリンの壁」が建設されていたのです。孤立してしまった旧西ベルリンは、早急に空路を確保する必要がありました。そして、49日間の突貫工事で造られたのが、「ベルリン・テーゲル国際空港」でした。コロナ前にベルリンへ行かれたことがある方はご存知かかと思われますが、とにかく使い辛い六角形の建物で、めちゃくちゃ小さかったです。国際都市・ベルリンの空の玄関口のわけですから、利用者数は多く、年間2,400万人を超えていました(参考:2018年の関西国際空港の年間利用者数2,900万人)。ベルリン中央駅から車で10分程度と利便性も最高にいい。しかし、とにかく小さい。お店も少ないし、ご飯をするところも少ないです。終わらない工事…本当に造ってるの?「流石にこれではまずい」ということになり、ベルリン郊外に新たな空港を建設することになりました。それが「ベルリン・ブランデンブルク国際空港」です。1996年に建設が決定し、当初は2011年開港の予定でした。しかし、延期につぐ延期で、いつまで経っても終わらない工事。ベルリンに住む友人は「政府の陰謀と言われている」と言っていました。「フェンスの向こう側で工事をやっている気配がないんだよ。なのに予算だけはどんどん嵩んできている。多分、永遠に完成しない空港だと、俺は睨んでいる」と楽しげに話してくれました。そんなベルリン・ブランデンブルク国際空港は、コロナ真っ只中の2020年10月31日に完成したのでした。空港完成の時点で、私は日本へ帰国することが決まっていました。コロナで航空便は激減していて、本当に空港が稼働しているかわからない、ドイツ人ですらその姿をみたことがない幻の空港でした。完成間もない国際空港の様子早朝に家を出て、空港までレンタカーを走らせました。到着したそこは、開港したばかりで広大で美しい建物でした。しかし、人がいない。作りかけた店はあるけど全部シャッターが下りている…。空港の職員もほとんどいない。でも、それ以上に利用客がいないので、職員数人が荷物まで運んでくれるVIP扱いを受けました。小さい子供を連れ立っての帰国でしたのでこれには本当に助かりました。コロナ禍での帰国で、大きな不安を抱えながらのフライトでしたが、飛行機も貸切状態で、非常に快適に過ごすことができました。先日テレビで、人で溢れかえっているベルリン・ブランデンブルク国際空港をみかけ、あの日の不安いっぱいの記憶を思い出しました。今は活気がある空港になっているんでしょうねぇ。また、いつか訪れてみたいです。

検索結果 合計:35667件 表示位置:8021 - 8040