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第167回 首都圏に漂う“コロナ第9波は沖縄県特有”という幻想

非常に嫌な雰囲気だと思う。全国での新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染者が増加傾向にある件だ。感染症法上の5類移行により、現在の新型コロナ感染者報告は定点医療機関で行われているのは周知のこと。その数字を参照すると、全国の定点当たりの感染者報告数は、5類移行直後の5月8~14日の2.63人以降はじわじわと増加を続け、最新の6月19~25日では6.13人にまで達している。とりわけ増加傾向が顕著なのは沖縄県。同県の定点当たりの感染者数は、6月19~25日は39.48人で全国平均(6.13人)の6倍以上、すでに第8波のピークを越えたとの指摘もある。一部の民間検査センターでは、検査陽性率が5割に達するとも報じられており、この数字すら氷山の一角に過ぎないことがわかる。これまでのコロナ禍を振り返っても、沖縄県は日本国内でも最も新型コロナが流行しやすい地域の1つだが、その背景には活動性の高い若年人口比率が都道府県別で最も高く、これに対しワクチン接種率は都道府県別で最低などの事情があると思われる。以下は私個人の感覚に過ぎないのだが、コロナ禍の中で沖縄県での感染流行を話題にすると、友人・知人の多くはそれを「沖縄県特有のこと」と捉えがちと感じている。数日前にも友人との会話で今の感染状況が話題になったが、彼は「まあ、沖縄県とは距離があるし、即座に本州には波及しないでしょう」と言ってのけた。確かに前述のような人口構成比などに限らず、これまで抱えてきた歴史や風俗習慣の点でも沖縄県は独特である。これに加え、とくに首都圏在住者からすれば、物理的に離れていることも「沖縄県特有」との言葉で片付けられがちな大きな理由なのだろう。さらに友人は「そもそもたくさんの島が散らばっていて人口規模も小さいからさ」と言っていた。確かにこの友人が言うとおり、沖縄県の人口は約143万人で、都道府県別人口順位では真ん中より下の第25位。ただ、人口密度で見ると、全国第8位となる。ちなみに人口密度第10位までの都府県で、政令指定都市を含まないのは沖縄県だけである。その意味ではこの辺も沖縄県で新型コロナの感染が拡大しやすい要因の1つだろう。そして同じく友人が口にした「距離がある」のもそのとおりだが、今や一般人が「高嶺の花」と思わないコストで足を運べる時代だ。その証拠に沖縄県文化観光スポーツ部 観光政策課が公表している同県年間入域観光客数は、コロナ禍前の2019年度が1,016万3,900人。同県人口の約8倍で、うち7割以上が日本人である。コロナ禍でこの数字は大きく減ったとはいえ、2022年度は677万4,600人まで回復している。2022年度は外国人観光客数があまり回復していないため、このうちの97%が日本人、なおかつ半数弱が東京方面からである。この状況で、容易に時空を超える性質が最大の特徴である感染症が紛れ込めば、どうなるかは少し想像力を働かせればわかることだ。さらに付け加えれば、沖縄県外との行き来は多くが3密空間の代表格と言える航空機である。その意味で、沖縄県での感染流行を対岸の火事と思って眺めている間に、いきなり自分の背後から火の手が上がるというシナリオは、「とりあえず可能性がある」という程度の確率の低いものではないはず。少なくとも私自身、この状況を受けて行動制限まではしていないが、マスクを着用する局面(現在屋外では原則外している)は増やして対応している。

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がん医療におけるコミュニケーションのガイドライン【非専門医のための緩和ケアTips】第55回

第55回 がん医療におけるコミュニケーションのガイドライン緩和ケアの臨床を構成する要素のうち、かなりの部分を占めるのがコミュニケーションです。大きなテーマとしては「病名告知などの悪い知らせをどう伝えるか」というものがありますし、日々の業務では「さりげない言葉掛けがケアにつながる」ことを実感します。コミュニケーションの重要性は誰しも認めるところですが、自分でスキルアップするのが難しい分野でもあります。今日の質問緩和ケアに取り組んでいて、日々難しく感じるのがコミュニケーションです。自分なりに工夫はしてきたのですが、系統的に勉強したことがありません。臨床に即した、参考になるものはないでしょうか?最近は医学部教育においてもコミュニケーションについて学ぶ機会が増えているようですが、やはり臨床経験を通じて学ぶことが多いのは、この領域です。一方、ある程度経験を積むとフィードバックをくれる人がいなくなり、独り善がりになりがちな部分でもあります。そんなときに参考になるのが、『がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン2022年版』です。日本サイコオンコロジー学会と日本がんサポーティブケア学会が編集し、2022年に初めて出版されました。「コミュニケーションにもガイドラインがあるの?」と思った方がいるかもしれません。緩和ケアの分野ではコミュニケーションに関する研究は重要で、コミュニケーション技法の開発も行われています。このガイドラインでは、臨床疑問(CQ)に対する推奨がエビデンスと共に明示されています。がん診療におけるコミュニケーションにおけるCQとは、どのようなものがあるのでしょうか? ガイドラインから一部を抜粋してみましょう。根治不能のがん患者に対して抗がん治療の話をするのに、「根治不能である」ことを患者が認識できるようはっきりと伝えることは推奨されるか?進行・再発がん患者に、予測される余命を伝えることは推奨されるか?医師ががんに関連する重要な話し合いのコミュニケーション技術研修(CST)を受けることは推奨されるか?こういったCQに対し、現状のエビデンスの紹介と、それに基づく推奨が示されます。遭遇するであろう難しい状況に対するCQから、コミュニケーション技術に対する教育・研修の効果に関するCQまで、幅広く扱われています。がん疾患を持つ患者さんを対象としていますが、非がん疾患の患者さんのケアにも使える部分が大きいと思います。気になった方はぜひ手に取ってみてください。今回のTips今回のTips患者コミュニケーションに悩んだら、ガイドラインを見てみましょう。

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片頭痛治療薬抗CGRP抗体の比較~メタ解析

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体は、新しい片頭痛予防薬である。また、米国においてCGRP受容体拮抗薬であるatogepantが片頭痛予防薬として承認された。中国・首都医科大学のWenfang Sun氏らは、将来の臨床試験の参考となるよう、さまざまな用量の抗CGRPモノクローナル抗体およびatogepantを含む片頭痛治療に対する有効性および安全性を評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。その結果、すべての抗CGRP薬は片頭痛予防に効果的であり、とくにフレマネズマブ225mg/月、エレヌマブ140mg/月、atogepant 60mg/日は、副作用リスクが低く、効果的な介入であることが示唆された。The Clinical Journal of Pain誌オンライン版2023年6月2日号の報告。 2022年5月までに公表された文献をPubMed、Embase、およびコクランライブラリーより検索した。対象には、反復性または慢性片頭痛患者を対象にエレヌマブ、フレマネズマブ、eptinezumab、ガルカネズマブ、atogepantまたはプラセボによる治療を評価したランダム化比較試験(RCT)を含めた。主要アウトカムは、1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少、50%治療反応率、有害事象数とした。バイアスリスクの評価には、Cochrane Collaboration toolを用いた。 主な結果は以下のとおり。・24件の文献を分析対象に含めた。・有効性に関しては、すべての介入がプラセボよりも優れており、統計学的に有意な差が認められた。・もっとも効果的な介入は、以下のとおりであった。【1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少】 フレマネズマブ225mg/月(標準化平均差[SMD]:-0.49、95%信頼区間[CI]:-0.62~-0.37)【50%治療反応率】 フレマネズマブ225mg/月(相対リスク:2.98、95%CI:2.16~4.10)【急性投薬日数の減少】 エレヌマブ140mg/月(SMD:-0.68、95%CI:-0.79~-0.58)・有害事象に関しては、ガルカネズマブ240mg/月およびフレマネズマブ675mg/四半期を除き、すべての治療においてプラセボとの統計学的な優位性は認められなかった。・有害事象による治療中止に関しては、介入群とプラセボ群との間に有意な差は認められなかった。

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新型コロナ、軽症でも精子に長期ダメージ

 欧州ヒト生殖医学会(European Society of Human Reproduction and Embryology:ESHRE)第39回年次総会で発表された新たな知見によると、COVID-19に感染した男性は、3ヵ月以上が経過しても精子の濃度が低下し、泳ぐことのできる精子も減少していたという。同学会が2023年6月26日付のプレスリリースで発表した。 スペイン・IERA財団の生殖専門家であるRocio Nunez-Calonge氏は、COVID-19感染後、平均100日が経過しても精子の質と濃度に改善はみられなかった、と述べた。 「COVID-19感染後、短期的に精液の質が影響を受けることを示した研究は過去にあるが、私たちが知る限り、長期間追跡調査した研究はなかった。新しい精子が生成されれば、精液の質は改善すると考えられていたがそうではなかった。精液の質が回復するのにどれくらい時間がかかるかは不明であり、たとえ軽症の感染であっても、永久的なダメージを受けた可能性もある。」 Nunez-Calonge氏は、生殖補助医療のためにスペインのクリニックに通院している一部の男性において、COVID-19感染後に回復し、軽症であったにもかかわらず、精液の質が悪化している患者がいることを確認していた。そこで、COVID-19感染が精液の質の低下に影響しているかどうかを調査した。 「新しい精子を作るまで 約78日かかるので、COVID-19から回復して少なくとも3ヵ月後に精液の質を評価するのが適切だと考えた」とNunez-Calonge氏は述べた 2020年2月~2022年10月、スペインの6つの生殖クリニックに通う男性45例が組み入れられた。全員が軽症のCOVID-19と診断されており、クリニックには感染前に採取された精液サンプルの分析データがあった。感染後17~516日に別の精液サンプルを採取した。患者の平均年齢は31歳、感染前と感染後のサンプル採取の経過日数中央値は238日だった。研究者らは、感染後100日以内の全サンプルを分析し、その後100日以上が経過したサンプルのサブセットを分析した。 その結果、精液量:2.5mL→2mL(20%減)、精子濃度:射精液1mLあたり6,800万→5,000万(26.5%減)、精子数:精液1mLあたり1億6,000万→1億(37.5%減)、総運動率:49%→45%(9.1%減)、生きた精子の数:80%→76%(5%減)に統計学的有意差を認めた。 Nunez-Calonge氏によれば、運動性と総精子数が最も深刻な影響を受けたという。半数の男性の総精子数は、感染前後で57%減少していた。そして、感染後100日以上経過してサンプルを提供した男性グループを調査したところ、精子の濃度と運動性は依然として改善されていなかった。 「軽度の感染であっても、ウイルスによる永続的なダメージが原因である可能性がある。臨床医はSARS-CoV-2が男性の生殖能力に及ぼす有害な影響について認識すべきだ。」 SARS-CoV-2が睾丸や精子に影響を与えることは知られているが、そのメカニズムはまだわかっていない。Calonge氏によれば、Long COVID患者にみられる炎症や免疫系の損傷が関与している可能性があるという。 本研究に関与していない、ESHRE委員長であるリスボン北部病院センターのCarlos Calhaz-Jorge 氏は「本研究はCOVID-19感染後の不妊患者の長期フォローアップの重要性を示している。しかし、感染後の患者の精液の質は、世界保健機関(WHO)が定める『正常な』精液と精子の基準内であることに注意する必要がある。COVID-19感染後の精液の質の低下が生殖能力の低下につながるかどうかは不明であり、さらなる研究の対象とすべきである」とコメントしている。

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IL-6R阻害薬、irAE改善効果とICIの効果への影響

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、広範ながん種において生存率の向上をもたらし、使用が拡大している。しかし、ICIによって生じる免疫関連有害事象(irAE)が治療の中断・中止の原因となるため、その管理が重要である。irAEに対する標準治療は副腎皮質ステロイドであるが、高用量かつ長期間の使用は、抗腫瘍免疫の減弱や有害事象の原因となる可能性がある。そこで、米国・Laura and Isaac Perlmutter Cancer CenterのFaisal Fa'ak氏らは、後ろ向き研究によりIL-6受容体(IL-6R)阻害薬のirAEに対する有効性と、ICIの抗腫瘍効果への影響を検討した。その結果、IL-6R阻害薬は、ICIの抗腫瘍効果を減弱せずにirAEを改善することが示唆された。本研究結果は、Journal for ImmunoTherapy of Cancer誌2023年6月11日号で報告された。 がん治療のためにICIを投与された患者のうち、ICI投与後にirAEが発現または自己免疫疾患が再燃し、IL-6R阻害薬(トシリズマブまたはサリルマブ)が投与された患者92例を対象に、後ろ向き解析を実施した。主要評価項目は、irAEの臨床的改善(irAEや自己免疫疾患の再燃の消失、またはGrade1以下への改善)であった。副次評価項目は、IL-6R阻害薬に関連する有害事象、RECIST v1.1に基づくICIの奏効率(ORR)であった。 主な結果は以下のとおり。・主な患者背景は、ICI投与開始時の年齢中央値61歳、男性63%で、ICIによる治療は抗PD-1抗体薬単剤が69%、抗CTLA-4抗体薬と抗PD-1抗体薬の併用療法が26%であった。主ながん種(5%以上)は、悪性黒色腫(46%)、泌尿生殖器がん(35%)、肺がん(8%)であった。・IL-6R阻害薬投与の理由となった主なirAE(2例以上に発現)は、炎症性関節炎(73%)、胆管炎/肝炎(7%)、筋炎/重症筋無力症/心筋炎(5%)、脳炎(5%)、リウマチ性多発筋痛症(4%)であった。・irAEの発現からIL-6R阻害薬投与開始までの期間の中央値は3ヵ月(範囲:0.03~51.0)であった。対象患者のうち91%は、副腎皮質ステロイドや疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)による十分な治療効果が得られなかったことから、IL-6R阻害薬が投与された。・IL-6R阻害薬によりirAEの臨床的改善に至った患者の割合は73%であり、IL-6R阻害薬による治療開始からirAEの臨床的改善までの期間の中央値は2.0ヵ月(範囲:0.03~23.0)であった。・ICIのORRは、IL-6R阻害薬投与前66%、投与後66%であったが、完全奏効の割合はIL-6R阻害薬投与後が投与前と比較して8%高かった。・IL-6R阻害薬投与後のICIのORRは、50歳超が50歳以下と比較して高かった(調整オッズ比:3.53、95%信頼区間:1.17~10.65、p=0.02)。同様に、IL-6R阻害薬を24週間以上投与した群は24週間未満の群と比較してICIのORRが高かった(同:3.21、1.03~9.96、p=0.04)・評価可能な病変を有する悪性黒色腫患者34例におけるICIのORRは、IL-6R阻害薬投与前56%から投与後68%に上昇した(p=0.04)。・IL-6R阻害薬の投与中止に至った有害事象は6例(7%)に認められた。 著者らは、「IL-6Rを標的としたアプローチは、抗腫瘍免疫を減弱させることなくirAEを効果的に治療することが可能な手法であると考えられる。本研究結果は、抗IL-6R抗体薬トシリズマブとICIの併用の有効性および安全性の評価を目的とした、現在進行中の臨床試験を支持するものである」とまとめた。

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既存の保険証の有効期限の延長も必要/日医

コロナ第9波に入ったと判断 日本医師会常任理事の釜萢 敏氏が、7月5日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の現在の感染状況について報告し、「現状は第9波に入ったと判断するのが妥当」との見解を示した。 「4月上旬から、緩やかではあるけれども新規感染者が増えているという状況が今日までずっと続いていて、今後も夏に向けて引き続き感染者が増える恐れがある。幸いに全国的には医療の逼迫はまだそれほど多くはなく、救急搬送困難事例は少し増えてはいるがまだそれほどではない」と述べた一方で、感染者が増加している沖縄県の状況について危機感を示した。 釜萢氏が個人的に沖縄の医師に聞いた話によると、医療の逼迫は明らかに強まっているという。「5類移行後は行政の関与が少なくなり、その結果として医療の逼迫状況が地域に十分周知されていないという現象がみられる。非常に逼迫している医療機関はとても大変な状況だが、その状況が地域で幅広く共有されておらず、協力が得られるという状況にはない」としたうえで、「今後の検討・改善の取り組みとして、5類移行後もなるべくその地域の感染状況を地域の関係者がしっかり共有し、適切に対応していく必要がある。医療の逼迫については、前兆を感じたところで情報共有し、どういう風に対応するかを考えていく。とくに入院の調整は行政の関わりが減ったので、速やかに入院の必要な方がきちんとベッドに割り振られるように、各地域において準備をしなければならない」とまとめた。既存の保険証の有効期限の延長も必要 常任理事の長島 公之氏は、現時点のマイナ保険証に関する日本医師会の見解を述べた。オンライン資格確認については、マイナ保険証のひも付けの誤りや資格確認ができない場合の対応方法が明確でなかったことにより、患者にも医療現場にも不安と混乱が生じている。 「6月29日に開催された社会保障審議会医療保険部会において、保険者による迅速かつ正確なデータ登録の確保のための取り組みと、マイナカードでオンライン資格確認を行うことができない場合の対応が示された。とくに資格確認ができない場合にも自己負担分で必要な保険診療を受けられるようにする、また医療機関には未収金と経済的負担が発生しないようにするための対応を明確化することは大きな前進である」と評価した。 さらに、「保険証が廃止された後も国民・患者や医療現場に混乱が生じないよう、資格確認書が必要な人全員に確実かつ迅速に、大きな負担なく交付される必要がある。そのための体制を保険証が廃止される2024年秋までに確実に整備するために、国として全力を尽くすことを要望した。万が一その整備が間に合わない場合には、国民・患者に不利益が生じないよう、また誰一人取り残されることのないよう、既存の保険証や資格確認書の有効期限の扱いについて、延長を含めて対応をお願いする必要がある」と見解を述べた。

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オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム、9月に保険適用へ/エグザクトサイエンス

 エグザクトサイエンスは、「オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム」の保険適用について、中央社会保険医療協議会が2023年7月5日付けで了承したことを発表した。9月1日に保険収載される見込みという。 オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムは、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査および日本向けに開発されたソフトウエアを組み合わせたプログラム医療機器。ホルモン受容体陽性HER2陰性で、リンパ節転移なし、もしくは3個以内の早期浸潤性乳がんを対象に、遠隔再発リスクを提示し、化学療法の要否の決定を補助するものとして、2021年8月に厚生労働省から薬事承認を受けている。 オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムの使用により、手術後にどの程度再発しやすいかの予測と併せて、術後薬物療法の検討時にホルモン療法に化学療法を追加するかどうかの意思決定の助けとなる情報を提供する。昭和大学の中村 清吾氏は「意思決定に有用な情報を提供することで、医療者と患者さんが話し合い、手術後の薬の治療をどうするかについて納得して治療方針を決める、いわゆるShared Decision Makingの一助になると期待している」と述べている。

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軽症脳梗塞、4.5時間以内DAPT vs.アルテプラーゼ/JAMA

 日常生活や仕事上の障害につながらない(非障害性)軽症脳梗塞患者において、発症後4.5時間以内の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は90日後の機能的アウトカムに関して、アルテプラーゼ静注に対して非劣性であることが示された。中国・General Hospital of Northern Theatre CommandのHui-Sheng Chen氏らが、多施設共同無作為化非盲検評価者盲検非劣性試験「Antiplatelet vs R-tPA for Acute Mild Ischemic Stroke study:ARAMIS試験」の結果を報告した。軽症脳梗塞患者において、静脈内血栓溶解療法の使用が増加しているが、軽症非障害性脳梗塞患者における有用性は不明であった。JAMA誌2023年6月27日号掲載の報告。中国38施設で760例を、DAPT群とアルテプラーゼ群に無作為化 研究グループは中国の38施設において、18歳以上で発症後4.5時間以内、米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコア(範囲:0~42)が5以下およびNIHSSのいくつかの主要項目スコアが1以下、かつ無作為化時に意識項目スコアが0の軽症非障害性の急性脳梗塞患者を、DAPT群またはアルテプラーゼ群に1対1の割合で無作為に割り付け、追跡評価した。 DAPT群では、クロピドグレルを1日目に300mg負荷投与、その後75mgを1日1回12(±2)日間投与+アスピリンを1日目に100mg、その後100mgを12(±2)日間、以降90日目まではガイドラインに基づいた抗血小板薬単剤療法またはDAPTを行った。 アルテプラーゼ群では、ガイドラインに従いアルテプラーゼ0.9mg/kg、最大90mgを静脈内投与し、その24時間後からガイドラインに基づいた抗血小板療法を行った。 主要エンドポイントは、無作為化され1回以上の有効性評価を受けた全患者(full analysis set:FAS)における90日時点の修正Rankinスケール(mRS)スコア(範囲:0~6)が0~1で定義される優れた機能的アウトカムで、DAPT群のアルテプラーゼ群に対する非劣性マージンは群間リスク差の片側97.5%信頼区間(CI)下限値が-4.5%とした。 安全性エンドポイントは、90日間の症候性頭蓋内出血およびあらゆる出血とした。 2018年10月~2022年4月に760例がDAPT群(393例)またはアルテプラーゼ群(367例)に無作為化された。最終追跡調査日は2022年7月18日であった。mRSスコア0~1のアウトカム達成、DAPTの非劣性を確認 無作為化された適格患者760例(年齢中央値64歳[四分位範囲[IQR]:57~71]、女性223例[31.0%]、NIHSSスコア中央値2[IQR:1~3])で、同意撤回者などを除く719例(94.6%)が試験を完遂した。 90日時点で優れた機能的アウトカムを達成したのは、DAPT群93.8%(369例中346例)、アルテプラーゼ群91.4%(350例中320例)で、両群のリスク差は2.3%(95%CI:-1.5~6.2)、粗相対リスクは1.38(95%CI:0.81~2.32)であった。片側97.5%CI(両側95%CI)の補正前下限値は-1.5%で、非劣性マージン-4.5%を上回っていた(非劣性のp<0.001)。 90日時点での症候性頭蓋内出血の発現は、DAPT群で371例中1例(0.3%)、アルテプラーゼ群で351例中3例(0.9%)であった。

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肥満2型DMへの経口セマグルチド、最適な用量・期間は?/Lancet

 十分な血糖コントロールが得られていない2型糖尿病成人患者において、経口セマグルチド25mgおよび50mgは糖化ヘモグロビン(HbA1c)値低下および体重減少に関して、同14mgに対する優越性が確認され、安全性に関して新たな懸念は認められなかった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のVanita R. Aroda氏らが、14ヵ国177施設で実施された第IIIb相多施設共同無作為化二重盲検比較試験「PIONEER PLUS試験」の結果を報告した。セマグルチド1日1回経口投与は2型糖尿病の有効な治療法であり、セマグルチドの経口投与および皮下投与試験の曝露-反応解析では、曝露量の増加に伴いHbA1c値の低下および体重減少が大きくなることが示されていた。Lancet誌オンライン版2023年6月26日号掲載の報告。BMI値25以上、HbA1c値8.0~10.5%の1,606例を対象 研究グループは、HbA1c値8.0~10.5%、BMI値25.0以上、メトホルミン、スルホニルウレア系薬、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬のうち1~3種類の経口血糖降下薬の安定用量を投与されている18歳以上の2型糖尿病患者を登録し、セマグルチド14mg群、25mg群または50mg群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回朝空腹時の経口投与を68週間にわたって行った。 いずれの投与群もセマグルチド3mgから投与を開始し、4週時に7mg、8週時に14mg、その後、25mg群では12週時に25mg、50mg群では12週時に25mg、16週時に50mgに漸増した。また、ベースラインで服用していた経口血糖降下薬は、DPP-4阻害薬のみ中止とし、それ以外は同一の用法・用量で継続した。 主要エンドポイントは、HbA1c値のベースラインから52週時までの変化、検証的副次エンドポイントは体重のベースラインから52週時までの変化とし、intention-to-treat集団を対象に治療指針に基づく推定使用量(試験薬の中止やレスキュー治療の有無を問わない用量)を用いて評価した。また、セマグルチドを1回以上服用した全患者を対象に安全性を評価した。 2021年1月15日~9月29日に2,294例がスクリーニングを受け、1,606例が無作為に割り付けられた(14mg群536例、25mg群535例、50mg群535例)。患者背景は、男性936例(58.3%)、女性670例(41.7%)、平均(±SD)年齢58.2±10.8歳、平均HbA1c値9.0±0.8%、平均体重96.4±21.6kgであった。52週時のHbA1c値と体重の低下、14mg群と比較し25mg群、50mg群が有意に優れる 52週時におけるHbA1cの平均変化値(SE)は、セマグルチド14mg群-1.5%(SE 0.05)、25mg群-1.8%(0.06)、50mg群-2.0%(0.06)であった。治療指針に基づく推定使用量での評価の結果、セマグルチド14mg群に対する推定治療差(ETD)は、セマグルチド25mg群で-0.27%(95%信頼区間[CI]:-0.42~-0.12、p=0.0006)、50mg群で-0.53%(-0.68~-0.38、p<0.0001)であり、セマグルチド14mg群に対する優越性が示された。 52週時における体重の平均変化値(SE)は、セマグルチド14mg群-4.4kg(SE 0.3)、25mg群-6.7kg(0.3)、50mg群-8.0kg(0.3)であった。セマグルチド14mg群に対するETDは、セマグルチド25mg群で-2.32kg(95%CI:-3.11~-1.53、p<0.0001)、50mg群で-3.63kg(-4.42~-2.84、p<0.0001)であり、セマグルチド14mg群に対して優越性が示された。 有害事象は、セマグルチド14mg群で404例(76%)、25mg群で422例(79%)、50mg群で428例(80%)報告された。ほとんどが軽度から中等度であったが、胃腸障害が14mg群と比較して25mg群および50mg群で高率であった。死亡は10例報告されたが、治療との関連はないと判断された。 なお、著者は、用量漸増期間が最大16週と短期間であったこと、セマグルチド25mg群と50mg群の差は検証されていないこと、対象患者の大部分が白人であったことなどを研究の限界として挙げている。

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英語勉強法1【Dr. 中島の 新・徒然草】(484)

四百八十四の段 英語勉強法1とうとう7月に入りました。朝からセミが鳴いています。チーーーという音なのでニイニイゼミかもしれません。8月後半になるとツクツクボウシが「オーシツクツク」と鳴き始めます。小学生の頃は、この鳴き声が「早く宿題やれよ」と聞こえてすごく嫌でした。さて、先日の会合でたまたま同じテーブルになった先生方と英語勉強法の話で盛り上がりました。私も含めて皆さん、それぞれに英語での苦労は尽きません。とくに、その場の瞬発力が問われる英会話が問題です。今回は私なりに工夫したり実行したりしている英語勉強法について述べましょう。これまでに何回も述べたことと重複する部分もあるかもしれませんが、ご容赦願います。その1 海外留学したら自然に英語ペラペラになる、ことは絶対にない子供であれば、海外に住んでいる間に自然に英語をしゃべるようになります。が、大人はそうはいきません。多少、外国人慣れするだけです。学問に王道なし、ひたすら勉強するのみ。その2 「聴く」技能が最も大切で最も難しい俗に英語4技能と言われるのが「読む」「書く」「話す」「聴く」です。これらの中で最も自分がコントロールできないのが「聴く」という状況です。なぜ聴いた英語が理解できないのか、それには多くの要因があるかと思います。音を拾えない知らない単語がある話すスピードが速すぎてついていけない会話が進むにつれて理解不十分なことが蓄積される文章構造や言い回しが難しすぎる最後のものは「仮に書かれていたとしても即座に理解できない」と言い換えることができます。こういった要因が少しずつ関与して「駄目だ、まったくわからん!」となるのでしょう。リスニングの技能不足を克服するのは地道な努力しかないと思います。YouTubeで教材を探すとすれば、ニック・ウィリアムソン先生の「ニック式英会話」ですね。第273の段や第280の段でも紹介いたしましたが、流暢な日本語でリスニングのコツを教えてくれます。とくに「リスニングトレーニング!」とか「聞き取れるかな?」とタイトルにあるものがお勧めです。一例を挙げると、「テリム」と聞こえたら“tell him”、「デュー」なら“do you”だとか。その3 リスニングの難しさにも段階があることを知っておこう初級対面の外国人との会話中級電話の応答上級洋画を字幕なしで見て理解する最上級外国人同士の超高速英会話を横で聴き取る対面の会話だと、相手もこちらの英語能力を察して、ゆっくりしゃべってくれます。頼めば繰り返し話してもらえることでしょう。因みに「もう一度ゆっくり言ってくれませんか?」という英語は“Could you repeat it slowly?”です。これまでに私が最もよく使ってきたフレーズの1つだと言っても過言ではありません。電話の応答は音だけの情報しか得られません。相手の表情とか身振り手振りがないので、それだけ難しくなるわけです。それでもホテルの宿泊予約なんかは決まり文句だけで済みます。でも、誰が何の用件で掛けてきたのかわからない電話を取るのは、在米中は恐怖そのものでした。上級と最上級については、これはもう自分が聴き取れなかった部分を1つずつつぶしていくしかありません。フィリピンやインドの人たちが普通にアメリカ人同士の会話に加わっているのを見ると、自分との差の大きさを思い知らされます。が、努力すれば出来るはず、と思って頑張りましょう。次回は「話す」技能について述べたいと思います。とりあえず1句蝉の声 同じに聞こえる 英会話

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NHKドラマ「フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話」(前編)【なんで嘘くさくても知りたがるの?(噂好きの心理)】Part 1

今回のキーワード承認プロパガンダ新奇性(サリエンス)確証バイアス同類性(集団極性化)フィルターバブルエコーチェンバーバッシング「フェイクニュース」という言葉は、2016年以降の米国やフランスの大統領選挙、英国のEU離脱の国民投票などにおいて、よく聞かれるようになりました。なぜフェイクニュースはつくられるのでしょうか? そもそも、私たちはなぜ不確かな情報でも知りたがるのでしょうか?今回は、NHKドラマ「フェイクニュース」1)を通して、噂好きの心理を解き明かし、私たちの心の本質に迫ります。なんでフェイクニュースをつくるの?ネットメディアの女性記者、樹(いつき)は、インスタントうどんに青虫が混入していた事件を担当します。取材を進めるうちに、この事件は企業間の紛争を招きます。と同時に、精巧なフェイクニュースも紛れ込んでおり、実は選挙戦に利用されていることに気付くのです。フェイクニュースとは、読んで字のごとく、偽のお知らせ、事実とは違う情報です。それでは、なぜフェイクニュースをつくるのでしょうか? まずは、その目的を大きく3つ挙げてみましょう。(1)金儲け樹は、インスタントうどんへの異物混入を訴えている3つのブログの主が同一人物であることを突き止めます。そして、その「潜伏場所」のアパートの一室に取材に行くと、なんと赤ちゃんを抱いた主婦が出てきて、拍子抜けします。その主婦は「これ全部、アフィリエイト(成功報酬型広告)用のブログなのね」「鶴亀うどんにゴミとか羽虫とか入れて…そしたらどーんと拡散されたよね」「ブログのアクセス数、過去最高だったの! 今月の広告料、全部合わせて4,821円!」と無邪気に話すのです。1つ目の目的は、単純な金儲けです。新聞社やテレビ局などの企業と違い、個人が情報を発信する場合、匿名にすることができます。すると、偽の情報を出す罪悪感も希薄になり、アクセス数を稼ぐために、嘘もつくという発想になるわけです。(2)承認樹は、青虫混入について最初にSNSに投稿した中年男性の猿滑(さるすべり)への取材を続けます。彼は、自分の主張を世間にわかってもらうため、先ほどの主婦によるブログをはじめ、ネットから真偽不明の情報をかき集めて、さらに投稿していたのでした。その後、取材に来た樹を目の敵にして、「女記者が圧力をかけてきた。消される」と発信します。騒動の末、彼はラストシーンで樹に「たぶん私は、誰かに味方になってほしかっただけなんだ」と打ち明けます。2つ目の目的は、承認です。当初は、「わかってほしい」という軽いガス抜きのつもりだったわけですが、曖昧なために発信者が意図していなかった誤った情報も拡散させてしまうことになります。それがやがてウケ狙いやいたずらになっていくのです。もちろん、それが常習的になる場合は愉快犯になります。これらはすべて、「自分を見てほしい」という承認の心理が根っこにあります。この詳細については、関連記事1をご覧ください。(3)プロパガンダ樹の上司は、主婦が見つけて猿滑が拡散させた「CSS」(※実在する米国のCNNをドラマ内でパロディ化)のネット記事が、フェイクニュースであることを見抜きます。それは、サイトアドレスが巧妙に違っていたのでした。このように、大手のネットメディアを騙(かた)り、ネットニュースを精巧に仕立て上げるのが、狭い意味でのフェイクニュースです。そのタイトルは「日本の奴隷労働の現状」で、本文は「日本で全国展開しているテイショー・フーズは、自社工場で多くの外国人労働者を雇っている。だが、その現状は奴隷労働に等しく、不当な搾取が行われている。待遇に不満を抱き、わざと異物を混入する者もいると、彼は語ってくれた」と書かれています。実は、ある県知事選の立候補者が、外国人労働者への不当搾取をでっち上げて対抗馬の評判を落とすために仕組んだものだったのでした。3つ目は、プロパガンダです。プロパガンダとは、政治的な宣伝です。これによって、選挙で特定の立候補者への投票を誘導することができます。最初にも触れましたが、実際に、2016年には米国やフランスの大統領選、英国のEU離脱の国民投票において、多くのフェイクニュースが出回っていたことが指摘されています2)。次のページへ >>

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NHKドラマ「フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話」(前編)【なんで嘘くさくても知りたがるの?(噂好きの心理)】Part 2

なんで嘘くさくても知りたがるの?フェイクニュースをつくる目的は、金儲け、承認、プロパガンダなどであることがわかりました。それでは、なぜ私たちはフェイクニュースに引っかかってしまうのでしょうか? もっと言えば、フェイクニュースに限らず、なぜ私たちは噂話など不確かな情報でも、つい知りたくなってしまうのでしょうか? ここから、この噂好きの心理の要素を大きく3つ挙げてみましょう。(1)びっくりしたいから樹は上司に「『青虫うどんの真相?』って、真相が記事の中身に書かれていないのに、完全な釣りタイトルです。語尾に?をつければ許されるってものじゃありません」と怒りをぶつけます。自分の記事のタイトルが、上司の指示で書き換えられていたのでした。彼女は「難しい記事はウケない。アホな記事ほど評価される」とボヤいてもいました。1つ目の心理は、びっくりしたいからです。これは、新奇性(サリエンス)と呼ばれています。たとえば、「最新」「天才」などの目新しくてまれなもの(好奇心)、「陰謀」「真相」などの奇妙で不可解なもの(恐怖心)、「不正」「不倫」「差別」などの嫌悪するもの(道徳的感情)に私たちは敏感であることがわかっています2)。だからこそ、悪い噂は早く広まり、根拠がない陰謀論がいつも何かしらあるのです。さらに、ニュースが溢れている情報化社会では、これらのよりわかりやすい「煽りワード」が優先的に選ばれてしまうというわけです。この心理を見越して、つくる側は、ますます過激なタイトルのわりに中身(根拠)のないニュースを量産します。この悪循環は、ニュース記事だけでなく、動画においてもです。最近では、インパクトのあるサムネイルの画像の内容が再生中に出てこない動画も増えています。また、「ディープフェイク」と呼ばれる精巧な偽の動画をつくることが技術的に可能になり、もはや本物と区別がつかなくなるという別の問題も出てきています。なお、サリエンスの心理の詳細については、関連記事2の後半部分をご覧ください。(2)信じたいものだけを信じるから樹は上司に「フェイクニュースを転載したまとめサイトは30万PV」「一方、うちが出した『CSSの偽サイトに注意!「日本の奴隷労働の現状」はフェイクニュース』。こちらの記事は5万PV。拡散したフェイクニュースの6分の1しか閲覧されていない」と嘆きます。その後、上司は「自分にとって都合の悪い話は信じない。信じたいものだけを信じる。だったら、こっちもバカが喜ぶニュースを流すまでだ」と吐き捨てています。2つ目の心理は、信じたいものだけを信じるからです。これは、確証バイアスと呼ばれています。あることについて、それを肯定する情報(確証)に注意が向きやすくなる一方、否定する情報(反証)には注意が向きにくくなることです(認知の偏り)。つまり、私たちは、一度そう思ったら、その考えをなかなか変えたくなくなるのです。これは、「良し悪しは第一印象で決まる」(初頭効果)という印象形成のバイアスにもつながります。たとえば、ある有名な教育法の本のサブタイトルには、「才能をぐんぐん伸ばす」ともっともらしく書かれています。これは、この教育法によって「才能が伸びる」ことを説明しているわけですが、私たちは「この教育法でなければ才能は伸びない」と思ってしまいます。つまり、このサブタイトルは確証バイアスを巧みに利用していることになります。実は、この教育法でなくても、一般的な子育てによって「才能は、あるなら勝手に伸びる」という根拠が別にあり、反証することができます。この詳細については、関連記事3をご覧ください実際に、ツイッターの大規模な研究では、事実と比べて誤情報は70%多いことがわかっています2)。つまり、私たちは、情報を偏って選びがちであるということです。さらに、広告と同じようにニュースも自動的に「より自分にマッチするもの」だけに選別されて流れてくるネットサービス(パーソナライズ検索機能)では、ますます信じたいものだけを信じてしまうようになってしまいます。なお、このような個人情報を学習したアルゴリズムによって、その人に都合の良い情報だけに選別されて流れてくる状況は、まるで特定の情報の「膜」の中に閉じ込められ、孤立していく危うさもあります。これは、フィルターバブル(膜の泡)と呼ばれています2)。(3)同じ考えでつながりたいから樹が取材したまとめサイト管理人は「こっちが右寄り、こっちが左寄りのサイトです。例の青虫うどん騒ぎの場合、右派サイトでは『鶴亀(うどん)とテイショーは反日のブラック企業!』ってまとめをつくって、左のサイトでは『差別反対!鶴亀うどんを守れ!』ってね」と得意げに説明します。そんな彼に、樹は「つまり、お金儲けのために、対立を煽ってる」と即ツッコミます。3つ目の心理は、同じ考えでつながりたいからです。これは、同類性と呼ばれています。「類は友を呼ぶ」ということわざがあるように、見た目や考え方が近い人ほど親近感を抱きやすく集まりやすいということです。これは、「人は周りに染まりやすい」という社会的影響(同調)の心理との相乗効果があります。実際の研究では、健康に関する交流の実験用のSNSをつくり、つながりがランダムなネットワークと同類性が高いネットワークに分けて、情報共有を行ったところ、同類性が高い方がダイエット日記の取り組みや広がりが強まったという結果が出ました2)。つまり、情報の拡散には、同類性が高いネットワークの方が効率的であることがわかります。さらに、同類性の高い「友人」を自動的に勧められるSNSでは、ますます同じ考えの人とつながってしまうというわけです(集団極性化)。 これは、樹が「対立を煽っている」と言ったように、社会のつながりの分断を引き起こします。もはや、SNSの空間は、自分が意見を発信しても自分とそっくりな意見ばかりがこだまのように返ってくる状況になってしまいます。これは、エコーチェンバー(こだま部屋)と呼ばれています2)。その結果、過激なバッシングも生まれています。この心理の詳細については、関連記事4をご覧ください。1)フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話 シナリオブック:野木亜紀子、20232)フェイクニュースを科学する P14、P45、P48、P71、P73、P80、P96:笹原和俊、化学同人、2021<< 前のページへ■関連記事ザ・サークル【「いいね!」を欲しがりすぎると?(承認中毒)】Part 1ビューティフルマインド【統合失調症】伝記「ヘレン・ケラー」(後編)【ということは特別なことをしたからといって変わらない!?(幼児教育ビジネス)】Part 1苦情殺到!桃太郎(前編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 1

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7月6日 ワクチンの日【今日は何の日?】

【7月6日 ワクチンの日】〔由来〕1885年の今日、細菌学者のルイ・パスツール(フランス)が開発した狂犬病ワクチンが、少年に接種されたことを記念し、ワクチンの大切さを多くの人に知ってもらうことを目的に日本ベクトン・ディッキンソン株式会社が制定。関連コンテンツ今、知っておきたいワクチンの話成人のワクチンキャッチアップの重要性「全ワクチン拒否」の医師は勤務可能?帯状疱疹ワクチンで認知症発現率低下 / タウリンでより健康に長生きできるかも【バイオの火曜日】肺炎の予防戦略、改訂中の肺炎診療GLを先取り/日本呼吸器学会

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第52回 「電動キックボード外傷」が急増しませんか?

電動キックボード解禁Unsplashより使用7月1日から改正道路交通法が施行され、最高時速20km以下で一定の要件を満たす電動キックボードに関して新制度がスタートしました。これまでは電動キックボードは「原動機付自転車」(原付バイク)の位置付けでしたが、今回から「特定小型原動機付自転車」となり、自転車と同じ交通ルールが適用されるようになります(図)。図.電動キックボード新ルール(政府広報オンライン)図.電動キックボード新ルール(政府広報オンライン)つまり、運転免許は不要で、車道を走行し、自転車と同じようにヘルメット着用については努力義務扱いとなっています。街中を走る電動キックボードがノーヘルで走ることになり、自転車が逆走してもよい一方通行も逆走可能になります。要は時速20kmが出る原付が、自転車と同じ扱いになる点が懸念材料とされており、世間は賛否両論です。私個人としては電動キックボードを車で轢きそうになったことがあるので、解禁する方向へ動くのは、どちらかといえば反対なんですよね。いや私見で申し訳ないんですが。外傷リスク上記の速度で歩道を走ることはできず、最高時速を6km以下に設定し、緑色のライトを点滅させれば走行可能です。でも現時点で歩道をビュンビュン走っている電動キックボードが多いので、無法地帯になるのではと懸念しています。電動キックボードはタイヤが小径です。段差などの衝撃の影響は自転車よりもはるかに受けやすく、転倒リスクが高いです。自転車が乗れなくなった高齢者が電動キックボードを利用するようにならないか不安もあります。「今後高齢者の足として電動キックボードを利用してみたらどうか」という声もありますが、自転車に乗れなくなった人がスケボーに乗れるはずがないので、外傷リスクが増すだけだと思います。そして、電動キックボードで頭頚部外傷を起こした症例の2~3割は飲酒運転とされており1,2)、これが一番懸念されることかなと思っています。自転車も当然飲酒運転はダメなのですが、「まいっか」みたいな風潮がどこかにあります。参考文献・参考サイト1)Clough RA, et al. Major trauma among E-Scooter and bicycle users: a nationwide cohort study. Inj Prev. 2023 Apr;29(2):121-125.2)Kowalczewska J, et al. Characteristics of E-Scooter-Related Maxillofacial Injuries over 2019-2022-Retrospective Study from Poznan, Poland. J Clin Med. 2023 May 26;12(11):3690.

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暑くても脳卒中が増加?~メタ解析

 暑さと寒さの両方が脳卒中の罹患率および死亡率を増大させ、発展途上国よりも先進国のほうが暑さによるリスクが高いことが、中国・Tongji Medical CollegeのJing Wen氏らによって明らかになった。Brain and Behavior誌オンライン版2023年6月2日号掲載の報告。 これまでの研究で、気温は脳卒中の罹患率および死亡率と関連することが示唆されているが、そのエビデンスは十分ではない。そこで研究グループは、気温と脳卒中の罹患率および死亡率との関連を評価するためにメタ解析を行った。 研究グループは、PubMed、Embase、Web of Scienceを用いて、データベース開設から2022年4月13日までに発表された研究を検索した。高温環境と低温環境のプール推定値は、ランダム効果モデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・20件の研究が解析に含まれた。12件はアジアで実施され、6件はヨーロッパと北米、南米とオーストラリアは1件ずつであった。すべての研究における気温は-33.1℃(カナダ)~40.9℃(中国)で、高温環境は90パーセンタイル以上、低温環境は10パーセンタイル以下とされた。ほとんどの研究で気温のラグ効果は0~28日であると考えられていた。・高温環境では、脳卒中罹患率の相対リスク(RR)は1.10(95%信頼区間[CI]:1.02~1.18、I2=74.2%)、脳卒中死亡率のRRは1.09(1.02~1.17、85.6%)で有意な関連を示した。・低温環境では、脳卒中罹患率のRRは1.33(95%CI:1.17~1.51、I2=72.4%)、脳卒中死亡率のRRは1.18(1.06~1.31、85.5%)で有意な関連を示した。・サブグループ解析では、社会経済的地位で層別化すると、高温環境における脳卒中の罹患率および死亡率は、発展途上国よりも先進国で高かった。しかし、低温環境では、先進国よりも発展途上国のほうが罹患率および死亡率が高かった。 これらの結果より、研究グループは「本研究は、暑さと寒さの両方が脳卒中の罹患率および死亡率と正の相関があるという仮説を支持している。脳卒中リスクを低減するために、公衆衛生において的を絞った対策を推進すべきである」とまとめた。

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アリピプラゾール含有グミ製剤でアドヒアランスは向上するか

 精神疾患の治療を成功させるためには、服薬アドヒアランスを良好に保つことが重要である。医薬品のオーダーメイドは、アドヒアランスが不十分な患者に対し、個々の患者ニーズを満たす剤形を提供可能とする。静岡県立大学の河本 小百合氏らは、市販されているアリピプラゾール(ARP)製剤を用いて、ARP含有グミ製剤の調製を試みた。Chemical & Pharmaceutical Bulletin誌2023年号の報告。 健康対照者10人(平均年齢:23.7±1.2歳)を対象に、味覚検査を実施し、ARP含有グミ製剤の味を調査した。ココア味とフルーツ味の2種類のグミ(ARP:6.0mg、グミ:3.5g)を用いて、味覚テストを実施した。全体的なおいしさの評価には、100mmビジュアルアナログスケール(VAS)を用いた。ARP含有グミ製剤の嗜好性と5段階評価スケールを用いて評価した受容性のVASスコアの分析には、ROC曲線分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・総合的な味に関して最も高いVASスコアが示したのは、ココア風味のARP含有グミ製剤の中で、アスパルテーム、ココアパウダー、バナナ風味を組み合わせたもの(ABC-ARP含有グミ製剤)であった。・すべてのフルーツ風味の中で最も高いVASスコアを示したのは、グレープフルーツ風味のもの(GF-ARP含有グミ製剤)であった。・ABC-ARP含有グミ製剤およびGF-ARP含有グミ製剤のVASスコアは、ROC曲線より算出した許容性のカットオフ値を大きく上回っていた。・アドヒアランス向上、個々の患者ニーズを満たすために、ARP含有グミ製剤は、代替可能な手法である可能性が示唆された。

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既治療のKRAS G12C変異大腸がんに対するソトラシブ+パニツムマブ+FOLFIRIの安全性と有効性(CodeBreaK 101)/ASCO2023

 既治療の転移のあるKRAS G12C変異陽性の大腸がん(mCRC)に、ソトラシブとパニツムマブ、FOLFIRIレジメンの併用が有効である可能性が明らかとなった。CodeBreaK 101サブプロトコールHの結果として、米国・MDアンダーソンがんセンターのDavid S. Hong氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。 CodeBreaK 101サブプロトコールHは、多施設共同のオープンラベル第Ib相試験。今回は、用量探索コホート(6例)と拡大コホート(40例)を合わせた全体成績が解析された。・対象:1ライン以上の治療歴があるKRAS G12C変異陽性のmCRC 46例・介入:ソトラシブ960mg/日+パニツムマブ6mg/kg 2週ごと+FOLFIRI 2週ごと・評価項目:[主要評価項目]安全性および忍容性[副次評価項目]奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、奏効までの期間(TTR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、薬物動態 主な結果は以下のとおり。・用量探索コホートと拡大コホートを合わせた、ソトラシブ+パニツムマブ+FOLFIRIによる治療関連有害事象(TRAE)は全Gradeで96%、重篤なものは4%に発現し、死亡例はなかった。これらの有害事象は既知のものと一貫していた。・ソトラシブとイリノテカンの薬物動態に関し、臨床的に意味のある相互作用は確認されなかった。・用量探索コホートと拡大コホートを合わせた併用レジメンのORRは55%、DCRは93%であった。有効性は、前治療のライン数やイリノテカンベースの治療の有無に関係なく示された。・ソトラシブ960mg/日、パニツムマブ6mg/kg 2週ごと、FOLFIRI 2週ごとは、第II相推奨用量であることが示された。 ソトラシブ、パニツムマブ、FOLFIRI療法の組み合わせは、5-FUやイリノテカンの前治療にかかわらず、既治療のKRAS G12C変異陽性mCRCに対する優れた有効性を示すことが示唆された。

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de novo StageIV乳がんの初期薬物療法、サブタイプ・薬剤別の効果(JCOG1017副次的解析)/日本乳学会

 治療歴のない(de novo)StageIV乳がんに対する初期薬物療法の効果は術後再発乳がんより良好とされるが、その効果について詳細なデータはない。今回、JCOG1017(薬物療法非抵抗性StageIV乳がんに対する原発巣切除の意義に関するランダム化比較試験)の副次的解析として、de novo StageIV乳がんに対する初期薬物療法の効果と効果予測因子を検討した結果、サブタイプにより治療効果が異なり、とくにPgR、HER2発現の有無および内臓転移の状況が影響している可能性が示唆された。岡山大学の枝園 忠彦氏が第31回日本乳学会学術総会で発表した。 JCOG1017では、1次登録されたde novo StageIV乳がん患者に対し、サブタイプと転移の状況に応じて、以下のいずれかの初期薬物療法を約3ヵ月実施している。(1)ホルモン療法:ER+かつ生命を脅かす転移なし(2)weekly パクリタキセル(PTX)療法:ER-/HER2-または生命を脅かす転移あり(3)トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル(HPD)療法またはトラスツズマブ+パクリタキセル(HPTX)療法:ER-/HER2+またはER+/HER2+かつ生命を脅かす転移あり 本解析では、レジメンごとの薬物療法の開始3ヵ月後の治療効果(non-PD割合、奏効割合)、初期薬物療法の効果予測因子を検討した。 主な結果は以下のとおり。・約3ヵ月の初期薬物療法を受けた569例におけるnon-PD割合は77.2%で、閉経後およびPgR+で効果が高かった。サブタイプ別にみると、トリプルネガティブ(TN)を基準としたオッズ比(OR)は、ER+/HER2-が0.434(p=0.0439)、ER-/HER2+が3.374(p=0.0201)、ER+/HER2+が0.345(p=0.0153)であった。・薬剤別のnon-PD割合は、ホルモン療法では、タモキシフェン+LH-RHが68.2%、レトロゾールが75.2%、全体では72.8%であり、内臓転移なし、PgR+、HER2-で効果が高かった。weekly PTX療法では76.1%で、有意な効果予測因子はなかった。HPD療法/HPTX療法では92.7%で、内臓転移ありで効果が高かった。・569例における奏効割合(CR+PR)は29.0%で、内臓転移ありで効果が高かった。サブタイプ別にみると、TNを基準としたORは、ER+/HER2-が0.368(p=0.0121)、ER-/HER2+が6.499(p<0.0001)、ER+/HER2+が1.428(p=0.3793)であった。・薬剤別の奏効割合は、ホルモン療法では、タモキシフェン+LH-RHが10.9%、レトロゾールが12.0%、全体では11.6%で、有意な効果予測因子はなかった。weekly PTX療法では36.4%で、有意な効果予測因子はなかった。HPD療法/HPTX療法では81.8%で、内臓転移ありで効果が高かった。・原発巣と転移巣のcCR割合は、ホルモン療法とweekly PTX療法ではほぼゼロであったが、HPD療法/HPTX療法では原発巣で16.4%、転移巣で11.8%であった。 本解析の結果から、枝園氏は「サブタイプによって初期薬物療法の治療効果および効果予測因子は異なっていた。PgR、HER2発現の有無および内臓転移の状況が治療効果に影響している可能性があり、これらを考慮した治療戦略構築が必要」とし、「とくにER+/HER2+ではホルモン療法単独の効果は低く、初期薬物療法から分子標的薬の併用が必要」と考察を述べた。

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1日1回の経口orforglipron、肥満成人の体重減少に有効/NEJM

 非糖尿病の肥満成人において、1日1回の経口剤である非ペプチドGLP-1受容体作動薬orforglipronは、体重減少と関連することが示された。orforglipronに関して報告された有害事象は、GLP-1受容体作動薬の注射製剤と類似したものだったという。カナダ・マクマスター大学のSean Wharton氏らが、272例を対象に行った第II相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群比較試験の結果を報告した。肥満は、世界中で疾患および死亡に結びつく重大リスク因子となっており、1日1回の経口orforglipronの肥満成人における体重減少の有効性と安全性に関するデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2023年6月23日号掲載の報告。orforglipron 12mg~45mg、1日1回投与の有効性と安全性を評価 試験は、肥満または過体重で体重関連の併存疾患が1つ以上ある、非糖尿病の成人を対象に行われた。研究グループは被験者を無作為に5群に分け、orforglipronを12mg、24mg、36mg、45mg、またはプラセボを、それぞれ1日1回36週間投与した。 主要エンドポイントは、26週時点で評価したベースラインからの体重変化(%)で、副次エンドポイントは36週時点の同体重変化(%)とした。消化管関連有害事象により10~17%が服用中止 2021年9月~2022年11月に、272例が無作為化された。ベースラインの平均体重は108.7kg、BMIは37.9だった。 26週時点で評価したベースラインからの平均体重変化率は、orforglipron群が用量依存的に-8.6~-12.6%であったのに対し、プラセボ群は-2.0%だった。36週時点の同平均体重変化率は、orforglipron群が-9.4~-14.7%、プラセボ群は-2.3%だった。 36週までに体重が10%以上減少した被験者の割合は、orforglipron群が46~75%だったのに対し、プラセボ群は9%だった。orforglipron群では、事前規定の体重関連および心血管代謝の指標がすべて改善した。 orforglipron投与で最も多く報告された有害事象は、軽度~中程度の消化管関連事象で、主に用量増加期間に発生し、orforglipron投与群の10~17%の被験者で投与中止につながった。orforglipronの安全性プロフィールは、GLP-1受容体作動薬クラスと一致していた。

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