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高齢COVID-19患者の退院後の死亡および再入院のリスク(解説:小金丸博氏)

 今回、65歳以上の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の退院後の長期にわたる転帰を調査した米国の後ろ向きコホート研究の結果が、BMJ誌2023年8月9日号に報告された。高齢者におけるCOVID-19の急性期症状や短期的な転帰についてはよく研究されているが、長期的な転帰については十分判明していなかった。本研究ではインフルエンザの退院患者を対照群として選択し比較した。その結果、COVID-19患者の退院後の全死因死亡リスクは30日時点で10.9%、90日時点で15.5%、180日時点で19.1%であり、インフルエンザ患者と比較して高率だった。再入院のリスクは30日時点で16.0%、90日時点で24.1%でありインフルエンザ患者より高率だったが、180日時点では30.6%で同等だった。再入院は心肺機能の問題で入院することが多く、再入院時の初期診断としては敗血症(セプシス)、心不全、肺炎の順に多く認めた。 本研究では、COVID-19関連の入院後に退院した65歳以上の高齢者では、退院後180日以内の死亡リスクが過去のインフルエンザ対照群と比較して高いことが示された。インフルエンザの重症度は流行株による違いが大きいことが知られており、比較対象とするシーズンによって結果が異なることが予想されるものの、入院を要したCOVID-19が高齢患者に与えるダメージが大きいことは現場で感じる感覚と合致する。両群の死亡リスクの増加の違いは主に退院後30日以内の違いによって引き起こされているようであり、COVID-19のほうがより急性感染症として重篤であることや血栓塞栓症などの合併症を多く引き起こすことが理由として考えられる。 COVID-19関連の退院後の死亡リスクはパンデミックの過程で大幅に減少していた。抗ウイルス薬、ステロイドの投与といった有効な治療法の確立、重症化予防が期待できるワクチン接種など、治療や予防の進歩が寄与した可能性が高いと思われる。そのほか、コロナウイルスの変異に伴う毒性の変化も死亡リスク減少の理由として考えられる。 高齢者は高血圧や糖尿病など基礎疾患を有することが多く、COVID-19に罹患した場合、入院が必要となることも多い。入院中の急性期の治療はもちろん大切だが、高齢者では退院後の死亡率、再入院率が高いことを認識し、退院後も継続的に経過観察することが重要と考える。

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第178回 「令和の米騒動」と神戸・甲南医療センター専攻医過労自殺・労災認定で感じた共通の”病根”(後編)多くの業務が自己研鑽扱いの同病院指針の中身

中日ドラゴンズ、39イニング無得点、依然低迷続くこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。今週も前回に引き続き、「令和の米騒動」と神戸・甲南医療センター専攻医自殺・労災認定について書いてみたいと思います。専攻医自殺については、日本医師会の松本 吉郎会長がコメントを発表するなど、新しい動きもありました。一方、「米騒動」が勃発している中日ドラゴンズですが、相変わらず歴史的低迷が続いています。9月10日の対巨人戦では40イニングぶりに得点をしたもののゲームには破れ、3年連続Bクラスが確定しました。9月11日現在、勝率は3割8分、借金は今季最多の29です。立浪 和義監督は3年契約の2年目ですが、スポーツ紙はその去就に注目し始めています。男性医師の死亡直前1ヵ月の時間外労働は207時間50分さて、神戸市東灘区の公益財団法人甲南会・甲南医療センターにおける男性専攻医の過労自殺・労災認定について簡単におさらいしておきましょう。労災認定が判明したのは8月17日で、読売新聞をはじめ全国紙、NHKなどが一斉に報じました。各紙報道によれば、労災が認められたのは、神戸大医学部卒業後2020年4月からセンターで研修医として勤務し、2022年4月から消化器内科の専攻医として働いていた男性医師です。同年5月17日の退勤後、神戸市の自宅で亡くなっているのを訪ねた家族が見つけ、兵庫県警が自殺と断定したとのことです。西宮労働基準監督署(兵庫県)による労災認定は2023年6月5日付で、認定によると、男性医師の死亡直前1ヵ月の時間外労働は207時間50分で、3ヵ月平均でも月185時間を超えており、いずれも国が定める精神障害の労災認定基準(月160時間以上、3ヵ月平均100時間以上)を大幅に上回っていたとのことです。労基署は「専攻医になったばかりで先輩医師と同等の業務量を割り当てられ、指示された学会発表の準備も重なり、長時間労働となった」と判断、長時間労働で精神障害を発症したことが自殺の原因と結論付けています。「過重な労働をさせた認識はまったくない」と病院長労災認定が明らかになった8月17日、甲南医療センターの具 英成(ぐ・えいせい)院長は記者会見し、「病院として過重な労働をさせた認識はまったくない」と長時間労働の指示を全面否定しました。労基署が認定した労働時間は207時間に対し、男性医師が甲南医療センターに申告した死亡前月の時間外労働は30.5時間でした。しかし、具院長は記者会見で、労基署の認定には労働に当たらない自主的な「自己研鑽」の時間が含まれているとの見方を示し、「見解に相違がある」と述べたとのことです。文春が甲南医療センターの「自己研鑽についての指針」の内容をすっぱ抜く自己研鑽の時間は労働時間には含まれないことになっています。自己研鑽と労働の区別については、厚生労働省が2019年7月に通知1)でその考え方を示しています。この通知に則って、各医療機関が自己研鑽の基準を定めているわけですが、その解釈・運用は病院によってまちまちです。各紙報道によれば、男性医師が勤務していた当時、甲南医療センターは自己研鑽の基準を明文化した文書はなく、男性医師が亡くなった約5ヵ月後の2022年10月に初めて「医師の時間外労働と自己研鑽についての指針」が作られたそうです。この指針はその後アップデートされ、今年4月に「Ver.2.0」が職員に配布されています。8月21日付の文春オンラインが「『院外持出厳禁』文書入手 病院が職員に配った『あれも業務外、これも自己研鑽』マニュアル」と題する記事で、その詳しい内容を報じています。「Q&A形式」で構成されたその内容は、初期研修医や専攻医にはなかなか厳しいものとなっています。「自らが術者である手術や処置等の予習や振り返りは自己研鑽」文春オンラインの記事から「指針」の一部を紹介します。Q新しい治療法や新薬についての勉強*新しい治療法や新薬について保険適応になっているのであれば(もしくはもうすぐ承認)医療業務、未承認であれば患者さんに還元されないので自己研鑽の範囲では?A新しい治療法や新薬の保険適応に関係なく、自己学習は自己研鑽になります。Q自分が主治医である患者の手術、検査、処置等についての予習や振り返り*就業開始前の朝のカルテチェック、予習は医療業務に入らない?*朝の始業前の時間の回診なども医療業務では?*術前・後、検討会の発表のための予習・振り返りは?A時間によらず、カルテチェック、予習、復習、回診等は医療業務にあたります。これを、できるだけ勤務時間内に行う努力が必要です。就業開始前ではなく、可能な限り、就業開始時間(8:30)と外来、検査開始時間(9:00)の間に行うよう各科で工夫が必要です。(中略)自らが術者である手術や処置等の予習や振り返り、検討会の発表のための準備としての予習・振り返りは自己研鑽になります。本人が「自己研鑽」として行っていないことについては最終的には上司が判断Q本人が「自己研鑽」として行っていないことを、上司が「自己研鑽」だと決めつけたり評価することはおかしい。A一般企業と同じく、病院に勤務する医師の労務管理には一定のルールが必要であり、各勤務医の勤務状況を医療業務とするか自己研鑽とするかは、労働基準局通達を基にしたこの指針に記載した当院の規則に則って、最終的には上司が判断します。同記事によれば、「2022年10月版」と、実際に職員に配られた「2023年4月版」を比較すると、「2023年4月版」では「当院における自己研鑽と時間外医療業務の区別の具体的な例」の一覧として、自己研鑽の例の最後に「初期研修医、専攻医プログラムに沿った学会発表、症例登録、サマリー作成、事務作業等」といった文言が追加されていたとのことです。これに関連して同記事では、関西地方の別病院の勤務医による「専門医になる上で学会発表は免れない。これを業務時間外とするのはさすがにブラック過ぎます。うちの病院では間違いなく『業務』として扱いますよ」というコメントを紹介しています。かつてのスター外科医と若手医師の間には働き方を巡って大きな認識のズレ?多くの“業務”が「自己研鑽」扱いとなり、本人が「自己研鑽」と認識していない“業務”も、最終的に上司の判断次第で「自己研鑽」とされてしまう状況は、まさにブラック企業と言えるでしょう。その経営方針は、公益財団法人甲南会のものだと言えそうです。甲南会は、甲南医療センターのほかに、六甲アイランド病院、甲南加古川病院も経営しており、これらの病院でも自己研鑽の解釈は同じ指針に則って運用されると考えられます。ちなみに、甲南会の経営トップである代表理事は、記者会見にも出席した甲南医療センター院長の具院長です。週刊文春8月31日号に掲載された「神戸市26歳医師自殺」の記事にはその具院長について次のような興味深い証言が紹介されています。「かつてバリバリの外科医でした。24時間ぶっ通しで執刀するような移植手術をいくつも成功させ、『ゴッドハンド』と賞賛されてきた。だから、『こんな程度の残業時間で自殺するか?』という考えが根底にあるように映ります」。実際、具院長は神戸大学で肝胆膵外科学教授や同大学附属病院移植医療部長を務めるなど、華々しい経歴を持つ、スター外科医だったようです。かつてのスター外科医と若手医師の間には自己研鑽の解釈や働き方を巡って、大きな認識のズレがあったのかもしれません。なにやら中日ドラゴンズの「令和の米騒動」に似てませんか?遺族が厚生労働省を訪れ甲南医療センターへの調査などを求め嘆願書提出8月25日、専攻医の過労死自殺について加藤 勝信厚生労働大臣は閣議後の記者会見で言及、「医師の自己研鑽については各医療機関に手続きを明確化するよう通達を出している」と説明、「医師の健康が、国民への医療提供の基盤。医師の適切な労働時間管理がされるよう、必要な支援を含めた対応を図る」と述べたとのことです。そして、8月31日には、自殺した専攻医の遺族(母親ら)が厚生労働省を訪れ、甲南医療センターへの調査や医師の働き方改革の実現などを求める嘆願書を提出しました。各紙報道によれば、嘆願書は「甲南医療センター自体が研修医や専攻医を単なる労働力としか捉えておらず、病院内に長時間労働を許容する土壌があったのではないかと懸念している」などとして、「労働基準法違反の調査と是正」「甲南医療センターでの医師の労働環境の改善」「西宮労基署による刑事告訴の適切な捜査と情報提供」「医師の働き方改革の実現」「日本専門医機構への指導」「労働時間の適切な把握と管理」の6点を要望したとのことです。なお嘆願書提出後の記者会見には、24年前に医師である夫を過労自殺で亡くした中原 のり子氏も出席、8月31日付で「医師の過労死遺族の会」(仮称)を結成したことも報告されています。兵庫県で医療関連の事件報道が連続する謎こうした動きに日本医師会も反応しました。日本医師会の松本会長は9月6日の定例記者会見で甲南医療センターの専攻医が過労自殺した件に触れ、「この不幸な事象は、医師の団体である日本医師会としても大変重く受け止めている。このような事態に陥った原因は、様々なことが考えられるが、若手医師、そして勤務医の就労環境が背景にあったことは紛れもない事実」と述べるとともに、「日本医師会としては、今後も医療の質・安全を保ちつつ、医療DXや医師の健康を守り、医師の働き方改革の趣旨、目的に向けての取り組みを強力に進めながら、今後このような不幸なことが起こらぬよう、最優先で取り組んでいく」と再発防止に力を入れる考えを示しました。今後、甲南医療センターに労基署等の調査が入り、何らかの処分が下されるかどうかが注目されますが、そんな中、再び研修医自殺のニュースが入ってきました。兵庫県伊丹市立伊丹病院の男性研修医(当時25)が2018年、長時間労働などで精神障害を発症し自殺したとして、両親が病院側に約1億3,000万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴していたことがわかったのです。9月4日付の朝日新聞などの報道によれば、伊丹労働基準監督署は今年3月、死亡する直前の1ヵ月間で約80時間の時間外労働があったことなどを踏まえ、「亡くなるまでにうつ病のような症状があったと考えられる」として男性研修医の労災を認定、遺族側は病院側に責任があるとして損害賠償を求め、神戸地裁に提訴したとのことです。医師の働き方改革の本格実施を直前にして、医師の過労死や過労自殺の報道が今後も増えそうな気配です。それにしても、「第173回 兵庫で起こった2つの“事件”を考察する(前編) 神戸徳洲会病院カテーテル事故と『脳外科医 竹田くん』」以来、ここのところ兵庫県の医療関連の事件報道が多い印象です。何かの偶然でしょうか、それとも兵庫、神戸の医療界で何かが起こっているのでしょうか?少し調べてみたいと思います。参考1)「医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方について」令和元年7月1日基発0701第9号/労働基準局長通知

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なぜ日本は遅れをとっているのか?小児抗がん剤ドラッグラグの現状

 2023年3月に閣議決定・取り組みが開始された「第4期がん対策推進基本計画」では、新規治療薬などへのアクセス改善に向け既存制度の見直しを含めた対応策の検討を行うことが明記され、厚生労働省は関連の研究班の発足やPMDAへの「小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センター」の設置などに動き出している。背景には、ドラッグラグにとどまらずドラッグ“ロス”にも陥りかねない小児がん治療における現状があるという。国立成育医療研究センターの富澤 大輔氏に話を聞いた。2017年以降、米国承認済・日本未承認の医薬品が増加 成人と同様に小児がん領域においても分子標的薬の時代となり、開発が進んでいる。「有効性の高さに加え、がん治療終了後の長い人生を健康に過ごすことが目標となる小児がん治療において副作用が少ないことは大きなメリット」と富澤氏は話す。しかし一方で、標的が細分化され対象患者数が少なく、臓器横断的に有効性を発揮しうる分子標的薬では従来制度のみに基づく開発には限界がある。 米国では2017年、成人を対象とした新しい分子標的化合物について、腫瘍の種類または適応症によらず、医薬品の分子標的または作用機序が小児がんの増殖または進行に関連している場合、すべての成人用がん治療薬の新薬を小児でも試験することを義務付ける法律(RACE法)が新たに制定された。これを機に小児分野での開発が飛躍的に進み、FDA承認済で日本未承認の医薬品が増加している。さらに、新規の分子標的薬は日本に支社のないベンチャー企業が開発していることも多く、日本国内では開発すら行われない(=ドラッグロス)ことも懸念される。中国やオーストラリアと比較しても少ない日本の臨床試験数 国別の小児がん対象の臨床試験数をみたデータによると、2022年3月時点で米国は321、EUは168、中国は151、オーストラリアは76だったのに対し、日本は38と圧倒的に少ない。小児での臨床試験実施の難しさは世界共通であるものの、とくに日本の場合は臨床試験実施の要件が厳しいことが障壁となっていると富澤氏は指摘。たとえば小児では剤形の変更が必要になる場合も多いが、その際の添加物が日本で承認されていないと実施が難しくなる、併用薬が適応外の場合に海外では使用実績のデータなどを活用して新規薬のみを治験薬として試験が行われることが多いが、日本では併用薬も含めての試験実施となるためハードルが高くなるといったケースがある。 一方でこれらは、承認する薬剤については国が責任をもって安全性を確かめなければいけないという姿勢の現れでもあると富澤氏は話し、薬価制度含め日本の状況に合う形で、企業への適切なインセンティブの付与や試験実施のための環境整備・人材育成などが進むことが必要とした。小児領域での遺伝子パネル検査の普及にも課題 がん遺伝子パネル検査の適応には小児も含まれ、実施されているが、がんゲノム医療中核拠点病院およびがんゲノム医療拠点病院に指定されている小児専門病院は現時点で国立成育医療研究センターのみで、十分とはいえない。さらに、現状ではこの検査が外来の患者にしか使えず、入院患者の多い小児がん治療の現場では、一度退院してもらって検査を実施後再入院という形をとらなければならないことも課題と富澤氏。「使える分子標的薬を見つけることはもちろん大きな目的だが、小児の場合は診断に困るようなケースで遺伝子検査によって正確な診断につながることもあるし、予後予測のためのツールとすることも期待される」とし、小児がん治療の現場でも遺伝子検査は欠かせないものになっており、よりアクセスしやすい状況にしていくことが重要と話した。 がん対策推進基本計画への明記を含めようやく動き出しつつある現状だが、富澤氏は「現在も小児がんは子どもの病死原因の第1位であり、いま治療中の患者さんにとっては、5年後・10年後では間に合わない」と話し、広くこの問題が認知され、状況が改善されていくことに期待を寄せた。―――――――――――――――――――オンラインLIVEイベント「ケアネットまつり」で講義を配信予定!9月23日(土・祝)14:25~14:55「知っていますか?小児がんのドラッグラグ問題」日々小児がんの患者さんの診療に力を注いでいる国立成育医療研究センター小児がんセンターの富澤 大輔氏が、ドラッグラグが及ぼしている小児がん診療の実態と、これからその問題にどう立ち向かっていくのかを講義します。詳細ページはこちら(無料・予約不要)https://carenetv.carenet.com/mailimages/lp/fes/2023/info.html―――――――――――――――――――

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中等症~重症アトピー性皮膚炎、トラロキヌマブは高齢者にも有用

 65歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎患者において、トラロキヌマブの忍容性および有効性は良好であることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJoseph F. Merola氏らが、第III相無作為化プラセボ対照試験「ECZTRA試験(1、2、3)」の事後解析により明らかにした。アトピー性皮膚炎を有する高齢者には、併存疾患やポリファーマシー、感染症(帯状疱疹など)のリスクが高いなど、特有の治療課題が存在するが、臨床試験のデータは限られていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月23日号掲載の報告。 研究グループは、中等症~重症アトピー性皮膚炎に対するトラロキヌマブとプラセボを比較したECZTRA試験の事後解析を行い、65歳以上の患者における安全性と有効性を評価した。ECZTRA試験は、米国、カナダ、欧州、アジアで実施された。ECZTRA 1および2試験ではトラロキヌマブ単剤、ECZTRA 3試験ではトラロキヌマブ+ステロイド外用剤(必要に応じて)が投与された。 事後解析は2022年に行われ、ECZTRA 1、2、3試験の最長16週間の治療データをプールして安全性を評価。統計解析は、主要エンドポイントの事前規定に従い行った。有効性はECZTRA 1および2試験データの併合解析、ECZTRA 3試験データの解析とし、それぞれ16週時点で評価した。 主な結果は以下のとおり。・事後解析の対象はECZTRA 1、2、3試験においてトラロキヌマブによる治療を受けた高齢患者75例(女性42例[56%])、プラセボによる治療を受けた高齢患者29例であった。・有害事象(AE)を報告した患者の割合は、トラロキヌマブ群58.7%(44例)、プラセボ群58.6%(17例)で同等であった。・重篤なAEは、トラロキヌマブ群3例(4.0%)、プラセボ群3例(10.3%)に認められ、投与中止に至ったAEは、それぞれ4例(5.3%)、2例(6.9%)に認められた。・ECZTRA 1および2試験において、Eczema Area and Severity Index(EASI)の75%以上低下(EASI 75)達成率は、トラロキヌマブ群33.9%、プラセボ群4.8%であり、トラロキヌマブ群が有意に高率であった(p<0.001)。ECZTRA 3試験においては統計学的有意差が示されなかったが、同様の傾向が認められた。・今回の解析集団における安全性と有効性は、若年患者コホートと同様であった。 著者は本結果について、「今回の解析結果は、サンプルサイズが小さいという限界が存在し、高齢者への一般化はできない可能性がある」としつつ、「トラロキヌマブは65歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎患者において、安全かつ有効であることが示唆された」とまとめた。

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コロナ後遺症2年追跡、入院例は依然死亡リスク高い

 コロナ罹患後症状(コロナ後遺症、long COVID)に関するエビデンスは、これまでそのほとんどが感染後1年内のものだった。感染流行から時間が経過し、2年間の追跡データが発表された。米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのBenjamin Bowe氏らによる本研究は、Nature Medicine誌オンライン版2023年8月21日号に掲載された。 研究者らは米国退役軍人データベースから13万8,818例の感染群と598万5,227例の非感染の対照群からなるコホートを2年間追跡し、死亡と事前に規定した80の急性期後遺症のリスクを推定した。感染群は、急性期における入院の有無でさらに分析した。 主な結果は以下のとおり。・感染群は平均年齢60.91歳(SD:15.96)、13万8,818例のうち非入院が11万8,238例、入院が2万580例であった。対照群は平均年齢62.82歳(SD:16.84)であった。・感染群の死亡リスクは、非入院例では感染後6ヵ月を超えると有意な増加はなかったが、入院例では2年間を通じて有意に増加したままであった。・80の後遺症のうち、非入院例は2年後に69%が対照群との有意差がなくなったのに対し、入院例は35%にとどまった。・2年間の累積で、急性期後遺症による障害調整生存年(DALY:疾患により失われる健康寿命)は、非入院例は1,000人当たり80.4(95%信頼区間[CI]:71.6~89.6)、入院例は642.8(95%CI:596.9~689.3)であった。損失の多くは感染後1年目に発生したが、2年目の発生も一定数あった(非入院例25.3%、入院例21.3%)。 著者らは、「後遺症リスクの多くは感染後2年で減少したが、入院例ではその減少が顕著ではなかった。急性期後遺症による健康喪失の累積負担は大きく、感染者の長期的ケアに注意を払う必要がある」としている。

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健康維持に必要な1日の最小歩数は?~メタ解析

 1日の歩数と全死因死亡および心血管疾患(CVD)の発症との関連を調べた結果、3,000歩弱という少ない歩数であっても有意にそれらのリスクが低減していたことを、オランダ・ラドバウド大学医療センターのNiels A. Stens氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2023年9月6日号の報告。 健康の維持・改善のためにウオーキングなどの有酸素運動が勧められることが多いが、最小および至適な1日の歩数は依然として不明である。そこで、研究グループは一般集団における歩数と健康アウトカムとの関連を評価するためにメタ解析を行った。MEDLINEとEMBASEを用いてデータベース開設から2022年10月まで検索し、歩数計や加速度計などで客観的に測定した1日の歩数と、全死因死亡またはCVDの発症を評価した縦断研究を特定した。解析には一般化最小二乗法とランダム効果モデルが用いられた。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には12件の研究から11万1,309人を含めた。・2,000歩/日(参考:約20分の歩行)の集団と比べて、有意なリスク減少が認められたのは、全死因死亡では2,517歩/日(調整後ハザード比[aHR]:0.92、95%信頼区間[CI]:0.84~0.999)、CVD発症では2,735歩/日(aHR:0.89、95%CI:0.79~0.999)であった。・歩数が増えるほど全死因死亡およびCVDリスクは非線形に低下し、至適歩数はそれぞれ8,763歩/日(aHR:0.40、95%CI:0.38~0.43)および7,126歩/日(aHR:0.49、95%CI:0.45~0.55)であった。・総歩数に関係なく、歩数速度が速いほど全死因死亡のリスクが低下した。 これらの結果より、研究グループは「1日当たり約2,600歩および約2,800歩という少ない歩数でも全死因死亡とCVD発症に大きなメリットが得られ、それぞれ約8,800歩および約7,200歩まで段階的にリスクが低減した。歩数というわかりやすい指標を身体活動の基準に応用することができる可能性がある」とまとめた。

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セマグルチドが肥満HFpEF患者の症状軽減、減量効果も/NEJM

 左室駆出率(LVEF)が保たれた心不全(HFpEF)を呈する肥満の患者において、GLP-1受容体作動薬セマグルチドはプラセボと比較して、症状と身体的制限を軽減するとともに、運動機能を改善し、減量効果をもたらすことが、米国・ミズーリ大学カンザスシティ校のMikhail N. Kosiborod氏らが実施した「STEP-HFpEF試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年8月25日号で発表された。13ヵ国の無作為化プラセボ対照比較試験 STEP-HFpEF試験は、日本を含む13ヵ国96施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2021年3月~2022年3月の期間に患者の登録を行った(Novo Nordiskの助成を受けた)。 年齢18歳以上、LVEF 45%以上でBMI30以上の心不全患者を、セマグルチド(2.4mg、週1回)またはプラセボを52週間にわたり皮下投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、23項目の質問から成るカンザスシティ心筋症質問票の臨床要約スコア(KCCQ-CSS、スコア範囲:0~100点、点数が高いほど症状と身体的制限が軽度)と体重のベースラインから52週までの変化であった。 529例を登録し、セマグルチド群に263例、プラセボ群に266例を割り付けた。全体のベースラインの年齢中央値は69歳、女性が56.1%、白人が95.8%であり、体重中央値は105.1kg、BMI中央値は37.0(66.0%が35以上)、KCCQ-CSS中央値は58.9点、LVEF中央値は57.0%であった。KCCQ-CSSの改善度は8点近く高い、重篤な有害事象も少ない KCCQ-CSSのベースラインから52週までの平均変化量は、プラセボ群が8.7点であったのに対し、セマグルチド群は16.6点と有意に優れた(推定群間差:7.8点、95%信頼区間[CI]:4.8~10.9、p<0.001)。また、体重の平均変化率は、プラセボ群の-2.6%と比較して、セマグルチド群は-13.3%と減量効果が有意に良好だった(推定群間差:-10.7ポイント、95%CI:-11.9~-9.4、p<0.001)。 6分間歩行距離の変化量は、プラセボ群の1.2mに比べ、セマグルチド群は21.5mであり、有意に延長した(推定群間差:20.3m、95%CI:8.6~32.1、p<0.001)。 階層法を用いた複合エンドポイント(全死因死亡、心不全イベント、KCCQ-CSSのベースラインからの変化量がそれぞれ15点、10点、5点以上、6分間歩行距離のベースラインからの変化量が30m以上)のwin比(win ratio)の解析では、プラセボ群に比べセマグルチド群でwin(勝利)の数が多かった(win比:1.72、95%CI:1.37~2.15、p<0.001)。 また、C反応性蛋白(CRP)値の平均変化率は、プラセボ群の-7.3%に比べ、セマグルチド群は-43.5%と有意に改善した(推定比:0.61、95%CI:0.51~0.72、p<0.001)。 重篤な有害事象は、セマグルチド群が35例(13.3%)、プラセボ群は71例(26.7%)で発現した(p<0.001)。各群6例ずつが、重篤な有害事象により投与を中止した。全有害事象による投与中止は、セマグルチド群が35例、プラセボ群は14例だった。 著者は、「KCCQ-CSS、体重減少、6分間歩行距離の改善度が、いずれも大きいことは注目に値する。これらの結果を先行研究の成果と統合すると、セマグルチドは肥満者のHFpEFの管理において、価値のある治療アプローチとなる可能性がある」としている。

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日本人双極性障害患者の再入院に対するアリピプラゾール持続性注射剤の予防効果

 熊本・弓削病院の後藤 純一氏らは、双極性障害の再入院に対するアリピプラゾール月1回製剤(AOM)の効果を調査するため、1年間のレトロスペクティブミラーイメージ研究を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年8月10日号の報告。 参加者は、西日本の精神科救急病院および急性期病院から募集した。対象者は、観察期間中に医療記録が欠落しておらず、1年以上のAOM治療が実施された双極性障害患者39例。主要アウトカムは、精神科再入院と関連する再入院率、再入院数、総入院日数、再入院までの期間とした。有意水準は、p<0.05で設定した。 主な結果は以下のとおり。・AOM治療により再入院率は、59%(23/39例)から18%(7/39例)へと有意な減少が認められた(p=0.001)。・再入院数は、平均0.85/人年から0.41/人年へと有意な減少が認められた(p=0.048)。・総入院日数は、平均34.9日から14.4日へと有意な減少が認められた(p=0.008)。・AOM治療により再入院までの期間の有意な延長が観察された(p<0.001)。 結果を踏まえて、著者らは「リアルワールドでの双極性障害に対する1年間のAOM治療は、精神科再入院リスクの低減に有用であることが示唆された。今後、よりサンプルサイズが大きく、1年以上の観察期間を用いたAOM治療による再発予防効果を検証する試験により、堅牢性や持続性を調査する必要がある」としている。

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2型糖尿病治療薬としてのGIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬retatrutide(解説:住谷哲氏)

 筆者はこれまで、血糖降下薬多剤併用でも血糖管理目標が達成できない患者を少なからず経験したが、その多くは食欲がコントロールできない肥満合併患者であった。しかしGLP-1受容体作動薬の登場で、食欲抑制を介して体重を減少させることが可能となり、2型糖尿病治療は大きく前進した。最新のADA/EASDの血糖降下薬使用アルゴリズムにおいて、GLP-1受容体作動薬はSGLT2阻害薬と同様に臓器保護薬として位置付けられている1)。しかし、GLP-1受容体作動薬はcardiovascular disease dominoのより上流に位置する肥満を制御することが可能な薬剤であり、この点がSGLT2阻害薬とは異なっている。 本試験は、GIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬retatrutideの血糖降下薬としての有効性を検証した第II相臨床試験であるが、肥満症治療薬としての有効性を検証した試験の結果がほぼ同時に報告されている2)。そこでは約1年(48週)投与後の体重減少率が24%と、驚くべき効果が示されている。これはセマグルチド、チルゼパチドの体重減少作用を凌駕している。GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名:マンジャロ)が登場するまでは、最強のGLP-1受容体作動薬はセマグルチド(同:オゼンピック)であった。しかしretatrutideが投与可能となれば、チルゼパチドは最強のGLP-1受容体作動薬の座をretatrutideに明け渡すことになるだろう。 開発企業のEli Lillyは、すでにretatrutideの臨床開発プログラムであるTRIUMPH programを開始しており、対象には肥満を合併した2型糖尿病だけではなく、睡眠時無呼吸症候群、変形性膝関節症の患者も含まれている。つまり、肥満を基礎とする広範な疾患に対する治療薬としての位置付けを目指しているようだ。 わが国で肥満症治療薬として認可されているGLP-1受容体作動薬はセマグルチド(同:ウゴービ)だけであるが、近い将来にチルゼパチドもretatrutideも認可されるだろう。わが国でも増加し続けている肥満症患者のすべてに、これらの薬剤を投与することが医療経済的に正当化されるか否かは議論が必要だろう。英国のNICEのガイダンスのように3)、対象患者、投薬期間を明確にして無制限な使用に歯止めをかけることも必要かもしれない。

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第1類医薬品販売時の情報提供、昨年度の遵守率は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第117回

厚生労働省が2022年度の「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表しました。これは、薬局や店舗販売業が医薬品の販売に際し、店舗やインターネットで消費者に適切に説明を行っているかどうかなどについて調査したものです。結果を見た感想として、今後これらの規制が厳しくなる可能性は低くない、という気がしています。この調査は、全国の薬局1,376件、店舗販売業1,678件の計3,054件に対し、一般消費者の調査員が直接訪問して販売状況を調査しました。調査期間は2022年11月~2023年2月で、インターネット販売(特定販売)は、販売サイト505件を対象に2023年1~3月の期間で行われました。まず、店舗での販売では、全体的な遵守率は前回から横ばいでした。とくに、「第1類医薬品販売における文書による情報提供」の遵守率は80.8%、「第1類医薬品販売の情報提供された内容を理解したかどうか等の確認」の遵守率は57.7%、「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応」が適切であったのは76.5%であり、依然として低い結果でした。一方、インターネット販売では、「第1類医薬品販売時の情報提供」の遵守率は87.1%、「第1類医薬品販売の情報提供された内容を理解したかどうか等の確認」の遵守率は97.5%でした。それをクリックしないと購入に進めないというシステムの強さを感じます。インターネット販売で「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応」が適切であったのは82.0%で、「質問等されずに購入できた」が18.0%、「複数必要な理由を伝えたところ、購入できた」が7.2%、「1つしか購入できなかった」が74.8%でした。とくに質問などされずに複数個購入できてしまったケースも多く、安全よりも販売をとっている怖さを感じてしまいます。これらの遵守率に関しては、決して低くはないと思う人もいるかもしれませんが、これらは販売時の義務なので100%ではないということは問題です。昨今、コロナ禍もあいまって、「OTC医薬品の過量服薬による救急搬送が2倍に増加」「OTC医薬品を主たる薬物とする依存症患者が急増」などが報告されています。薬剤師や登録販売者という専門家が販売に関与しているにもかかわらず濫用が問題となっている現状を見ると、「専門家は不要なのでは?」という議論が出てきてもおかしくないですし、そもそも恥ずかしい気もします。これらの遵守率が100%になっても濫用が発生している場合、そこで初めて消費者の問題になると思います。店舗においては、「第1類医薬品の文書による情報提供」と「内容を理解したかどうかの確認」などの基本的な一歩が大事だと思います。少なくとも自分が関与した患者さんは守ってあげたいと思う専門家が増えれば防げる問題も多いのではないでしょうか。

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カテコラミン誘発多形性心室頻拍〔CPVT:Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tachycardia〕

1 疾患概要カテコラミン誘発多形性心室頻拍(Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tachycardia:CPVT)は比較的まれな疾患で、その頻度は10,000人に1人程度と言われているが正確な数は不明である1-3)。通常10歳前後で運動や興奮時、カテコラミン投与などにより心室頻拍(VT)や心室細動(VF)を発症し、若年者の失神発作や突然死の原因として重要である4)。無治療では10年生存率が60%程度と推定され2)、きわめて予後不良な疾患である。CPVT患者の安静時心電図は明らかな異常所見はなく、心臓超音波検査、CT、MRIなども正常であり、無症状のCPVT患者を通常の臨床検査から診断することは非常に難しい。一方、器質的心疾患を認めず安静時心電図では異常所見のない40歳未満で、運動もしくはカテコラミン投与により他に原因が考えられない2方向性VT(図1)、多形性VT・期外収縮(PVC)が誘発される場合には、CPVTと比較的容易に診断可能である。また、CPVT患者の60~70%に遺伝子異常がみつかり、CPVTは遺伝学的検査によっても診断可能である。図1 CPVTに特徴的な2方向性心室頻拍(矢印)と心室細動の発生2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 臨床診断CPVT患者の初発症状は失神発作であり、運動あるいは感情ストレスが誘因となる1、2)。学童期の運動やストレス時の意識消失発作の場合、CPVTを疑う必要がある。最初の失神は主に7~12歳ごろで少なくとも20歳までに発生することが多い5)。初発が心停止の場合もあり、乳幼児突然死症候群や特発性心室細動の原因がCPVTであることもある。トレッドミルなどの運動負荷心電図は、CPVTを診断するうえで最も有力な検査法である(図2)3)。運動により多形性VT、2方向性VT(1拍ごとにQRSの極性が180度変わり、VT波形間の連結期がほぼ一定の頻拍)が出現し、きわめて速いVT/VFが誘発されると失神や突然死を惹起する2)。図2 CPVT1患者のトレッドミル運動負荷検査画像を拡大するA:治療前、B:β遮断薬とフレカイニド治療後、C:検査中の心拍数の変化、D:検査中のPVC数の変化。CPVTの特徴として運動負荷のピーク(心拍数>120bpm)で多形性PVCや二方向性PVC(VT)が出現する。VPB: ventricular premature beat.(島本恵子ほか. 循環器病研究の進歩. 2022;Vol.XLIII No.1:67-75.)一方、未発症(無症状)CPVTに対する臨床診断は容易ではない。2方向性VTはCPVTに特徴的で特異度は高いが、その出現率は必ずしも高くなく感度は50%程度とも言われる。さらに軽症例ではPVCの単発あるいは2段脈しか認められないことがある3)。アドレナリン(エピネフリン)負荷試験は、運動負荷試験を実施できない症例の診断のために有用と考えられるが、やはり特徴的な2方向性PVCやVTが誘発されれば診断的な特異度は高いものの、感度(誘発率)は運動負荷よりさらに低い(28%)。ホルター心電図も日常生活や学校生活上での不整脈検出に有用であるが、実際の不整脈検出率は運動負荷検査よりも低い。なお、心臓電気生理学的検査(EPS)は、CPVTの診断的価値は低く、心臓突然死のリスク評価としてEPSによるVT/VF誘発は禁忌である。鑑別診断としては、失神発作の原因である「てんかん」、パニック発作なども臨床的に鑑別が必要である。とくに「てんかん」と診断されていたが、実際には失神の原因はCPVTによる不整脈が原因であった例は多い。また、同じ遺伝性不整脈の中で先天性QT延長症候群(とくにLQT1型)、Andersen-Tawil症候群(ATS)などは、運動中の失神発作や多形性PVC、2方向性VT/PVCなどCPVTと共通点が多く遺伝子検査による鑑別が重要である。■ 遺伝学的検査CPVTの60~70%に原因遺伝子が同定され、そのほとんどが心筋リアノジン受容体(RyR)の遺伝子RYR2であり常染色体顕性遺伝形式である(表)6)。患者の病歴、家族歴、心電図所見などから臨床的にCPVTと診断あるいは疑われた患者に対して、診断確定のため遺伝学的検査が推奨(クラスI)される(ただし保険適用外)。また、家族に対しては、当該患者(発端者)においてみつかった遺伝子異常の有無を検査することが推奨される。しかし、RYR2遺伝子はエクソンが105個の巨大な遺伝子であり、健常者にも多くのバリアントが報告されている。そのほとんどはCPVTとは無関係または関係性が不明なVUS(Variant of unknown significance)である。したがってRYR2にVUSのバリアントがみつかった場合、表現型あるいは家族整合性が不明瞭な場合には安易にCPVTと診断すべきではない。RYR2の他にはCASQ2を始めCALM1、TECRL、TRDNなど複数の遺伝子が報告されているが、いずれもきわめてまれで、通常CPVTの遺伝子検査としてはRYR2(CPVT1)とCASQ2(CPVT2)が推奨される。なお、若年者の運動・ストレス時の失神発作の場合、LQT1やATSとの鑑別も重要である。臨床的にLQTSと診断または疑われたが遺伝子検査ではLQT関連遺伝子には疾患原因遺伝子を同定できない場合は、RYR2遺伝子も検査を考慮する。以上からCPVTは運動誘発性の失神発作や2方向性VTなど典型的な臨床像を呈する場合は比較的容易に診断可能であるが、逆にそうでない患者・家族などの場合には積極的に疑って負荷心電図検査などを行わないと診断は容易とは言えない。さらに遺伝学的検査も診断確定や鑑別診断に非常に有用である。表 CPVTとその類縁疾患の遺伝子画像を拡大する(日本循環器学会・日本不整脈心電学会合同ガイドライン. 2022年改訂版不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン. 2022;62.)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 生活指導CPVTと診断された場合、原則として運動(とくに競技スポーツ)は禁止すべきである。また、日常生活でも、可能な範囲で精神的・肉体的ストレスは避けることが望ましい。ただし、CPVTは運動のピーク時(心拍数≧110bpm)で心室不整脈が出現する場合が多く(図2)、逆に言えば薬物治療により心拍数が110~120まで増加しない程度にコントロールされていれば、通常の日常生活程度で不整脈による失神発作や突然死を来す可能性は低い。■ 薬物治療CPVTと診断された場合、薬物治療としてはβ遮断薬(クラスI適応)、フレカイニド(クラスIIa)の2つが有用である。一般的にはβ遮断薬が第1選択とされ、β遮断薬の中でもナドロール(商品名:ナディック)が推奨される。β遮断薬内服下でも不整脈抑制の効果不十分な場合にフレカイニド(同:タンボコール)を追加投与する。しかし、実際には多くの患者で両方の薬が必要となり、また、β遮断薬は徐脈や血圧低下、倦怠感など副作用のため十分な量を内服できない例も多く、フレカイニドの役割が重要となっている。■ 植込み型除細動器(ICD)ICDは不整脈疾患における心臓突然死を予防するもっとも優れた機器であるが、ICDによる電気的除細動によって交感神経がさらに緊張状態となり、CPVTを惹起しVFストーム化が懸念され、CPVT患者におけるICDの予後改善の効果は疑問視されている。では、薬物治療のみで絶対に安全か? との不安も完全には解消されない。現実的にはVF蘇生後患者では突然死の2次予防目的としてICD植込みが絶対適応(クラスI)とされる。問題は薬物治療下で失神発作を繰り返す場合であるが、最近発表された国際研究の結果からも、薬剤抵抗性のCPVTに対するICD植込みに肯定的な結果7)と否定的な結果8)が報告され結論は出ていない。若年者の場合、突然死予防効果とICD長期留置が及ぼすさまざまなデメリット(感染、リード断線、静脈閉塞、精神的問題など)を検討し、総合的に判断すべきと考える。4 今後の展望CPVTの家系内でRYR2遺伝子変異をもつ同胞(兄弟姉妹)の心イベント発生率は高く、両親、同胞への遺伝学的検査は患者本人のみならず、家族の心臓突然死を防ぐ早期診断、予防的治療介入に非常に有用である。遺伝学的検査の保険診療化が期待される。薬物治療として近年フレカイニドの有効性が報告されたが、β遮断薬とどちらを第1選択とすべきかについては結論が出ていない。また、今後はCPVTに対する新たな薬剤の開発が期待されている。非薬物治療としては、わが国ではあまり実施されていないが、星状神経節ブロックも有効である。今後は薬剤抵抗性患者でICD作動を回避したい患者への効果が期待される。5 主たる診療科循環器内科(できれば遺伝性不整脈専門外来)小児循環器科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報小児慢性特定疾病情報センター カテコラミン誘発多形性心室頻拍(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)国立循環器病研究センター カテコラミン誘発多形性心室頻拍(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Leenhardt A, et al. Circulation. 1995;91:1512-1519.2)Sumitomo N, et al. Heart. 2003;89:66-70.3)Lieve KV, et al. Circ J. 2016;80:1285-1291.4)Roston TM, et al. Circ Arrhythm Electrophysiol. 2015;8:633-6425)Shimamoto K, et al. Heart. 2022;108:840-847.6)Priori SG, et al. Circulation. 2001;103:196-200.7)Mazzanti A, et al. JAMA Cardiol. 2022;7:504-512.8)van der Werf C, et al. Eur Heart J. 2019;40:2953-2961.公開履歴初回2023年9月12日

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英語で「薬を中止する」は?【1分★医療英語】第97回

第97回 英語で「薬を中止する」は?He had a tarry stool this morning.(彼は今朝、タール便がありました)Okay, let’s hold aspirin.(わかりました、アスピリンは中止しましょう)《例文1》Steroid was held yesterday.(ステロイドは、昨日中止しました)《例文2》We are going to discontinue antibiotics tomorrow.(明日、抗菌薬を中止する予定です)《解説》「薬を開始する・中止する」というのは、患者さんや医療者同士のコミュニケーションで頻繁に行われるやりとりです。“hold”は「持っておく」という意味の動詞ですが、「やめておく」「控えておく」という意味もあり、hold+薬で、「薬を中止する・休止する」という意味になります。ちなみに、動詞の“hold”にはほかの使い方もあり、“Hold on please.”(ちょっと待ってください)、“Hold your breath.”(息を止めてください)といった表現も覚えておくと便利です。また、「中止する」を表すほかの動詞としては、“stop”や“discontinue”などがあります。“discontinue”という動詞は、“continue”(継続する)に否定を表す“dis”が接頭語に付いているので、継続の反対、つまりは「中止する」という意味を覚えやすいでしょう。講師紹介

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第180回 エビやキノコなどの食物繊維キチンは肥満を生じ難くする/GLP-1薬セマグルチドが1型糖尿病にも有効らしい

エビやキノコなどの食物繊維キチンは肥満を生じ難くする食物繊維の摂取は代謝を好調にし、肥満などの代謝疾患が生じ難くなることと関連します。とはいうものの食物繊維の代謝への恩恵をわれわれの体が引き出す仕組みはあまりわかっていません。不溶性の多糖繊維のほとんどは哺乳類の酵素で消化されず、腸の微生物による分解もごく限られています。しかしエビやカニなどの甲殻類、昆虫、真菌(キノコ)などの外骨格や細胞壁の主成分であるキチンは例外的で、ほかの食物繊維と一線を画します。マウスやヒトはキチンを作れませんが、キトトリオシダーゼ(Chit1)と酸性哺乳類キチナーゼ(AMCase)と呼ばれるキチン分解酵素2つを作ることができます。摂取したキチンがその消化を促す胃でのAMCase発現亢進を導くまでの免疫反応絡みの回路が新たな研究で同定され、AMCase欠如マウスにキチンを与え続けると高脂肪食にもかかわらずあまり太らずに済むことが示されました1)。キチンとともに高脂肪食が与えられたAMCase欠如マウスは、キチンを与えなかったマウスやキチンを与えたけれどもそれを分解できるマウスに比べて体重増加や脂肪量が少なくて済み、肥満になりにくいという結果が得られています。今後の課題として研究チームはヒトではどうかを検討する予定です2)。食事にキチンを含めることで肥満を予防できるかどうかを調べることを目標としています。また、胃のキチン分解酵素の阻害とキチン補給を組み合わせることでAMCase欠如マウスのキチン摂取と同様の最大の効果を引き出せそうと研究チームは考えています。チームのリーダーSteven Van Dyken氏によると胃のキチン分解酵素を阻害する手段はいくつか存在するとのことです。GLP-1薬セマグルチドが1型糖尿病にも有効らしい肥満治療といえば2型糖尿病(T2D)治療薬として出発したノボ ノルディスク ファーマのGLP-1受容体作動薬(GLP-1薬)セマグルチドが大人気ですが、同剤がT2Dのみならず1型糖尿病(T1D)にも有効らしいことを示す米国・バッファロー大学のチームによる症例解析がNEJM誌に先週掲載されました3)。T1Dになったばかりの患者のほとんどはまっとうなβ細胞を有しています。そういう初期段階であればインスリン分泌を促すセマグルチドが効くかもしれず、バッファロー大学の研究者はT1D診断後3ヵ月後以内に同剤投与が始まった患者10例の1年間の経過を調べました。10例とも食事の際のインスリンと基礎インスリンを使っていましたが、セマグルチド開始から3ヵ月以内に全員が食事時のインスリンを使わずに済むようになりました。また、10例中7例は6ヵ月以内に基礎インスリンも不要となってその後もそうして過ごせました。血糖値も落ち着き、もとは12%ほどもあった糖化ヘモグロビン値はセマグルチド使用開始後半年時点では5.9%、1年時点では5.7%に落ち着きました。セマグルチドの用量を増やしている期間に軽い低血糖が生じましたが、投与量が一定になって以降の発生は認められませんでした。T1D診断後すぐからのセマグルチド投与をより大人数の無作為化試験で検討する価値があると著者は言っています。T1Dへの有効性が示唆されたことが示すようにセマグルチドなどのGLP-1薬は代謝疾患の領域で手広い用途がありそうです。もっと言うと、その域を超えて依存症分野でも活躍できる可能性を秘めています。そういう可能性の臨床検討はすでに始まっており、たとえばセマグルチドと飲酒や喫煙量の変化の関連がノースカロライナ大学主催の試験で調べられています4,5)。参考1)Kim DH, et al. Science. 2023;381:1092-1098.2)Fiber from crustaceans, insects, mushrooms promotes digestion / Eurekalert3)Dandona P, et al. N Engl J Med. 2023;389:958-959.4)ClinicalTrials.gov(NCT05520775)5)ClinicalTrials.gov(NCT05530577)

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学生時代にしかできない体験をしたいのに時間が足りません【医学生お悩み相談ラヂオ】第8回

動画解説第8回は、医学部4年生の男性から、学生生活の時間の使い方に関するお悩み。朝から夕方まで講義と予習・復習で手いっぱいで思い描いていた学生生活からかけ離れているとのこと。自分の時間をうまく作るにはどうすればよいのか、教育者としての視点から民谷先生が切り込みます。

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コロナワクチン、同じ腕に接種vs.違う腕に接種

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症ワクチン「BNT162b2」の2回接種レジメンでは上腕の三角筋に順次投与されるが、2回目の投与を同側の腕に行うか反対側の腕に行うかによる免疫学的影響については、これまでほとんど注意が払われてこなかった。ドイツ・ザールラント大学のLaura Ziegler氏らは、どちらの腕に投与するかがワクチンによって誘導される液性免疫および細胞性免疫に異なる影響を及ぼすかどうかを検討した観察研究の結果を、eBioMedicine誌2023年8月11日号に報告した。 SARS-CoV-2感染歴のない303人が集められ、同側(147人)または対側(156人)のいずれかにBNT162b2の2回目接種を受けた。スパイク特異的IgG抗体価、IgG-avidityおよび中和抗体価は、投与2週間後にELISA法およびサロゲートアッセイを用いて定量した。143人のサブグループ(同側64人、対側79人)について、フローサイトメトリー法を用いてスパイク特異的CD4およびCD8 T細胞を分析した。 主な結果は以下のとおり。・スパイク特異的IgG抗体価の中央値は、同側と対側で差はなかった(4,590BAU/mL[IQR:3,438] vs.4,002BAU/mL[IQR:3,524]、p=0.106)。・IgG-avidityも同様に差はなかった(39.5%[IQR:11.5%] vs.41.9%[IQR:10.5%]、p=0.056)。・一方、中和活性は対側で有意に低かった(69.0%[IQR:33.0%] vs.65.0%[IQR:33.8%]、p=0.024)。・同様に、スパイク特異的CD8 T細胞レベルは対側で有意に低く(p=0.004)、CD8 T細胞が検出可能な人の割合は、同側ワクチン接種後よりも対側ワクチン接種後で有意に低かった(67.2% vs.43.0%、p=0.004)。・スパイク特異的CD4 T細胞レベルは両群で同程度であったが、対側ワクチン接種後に有意に高いCTLA-4発現を示した(p=0.011)。・ポリクローナルに刺激されたT細胞レベルに差がなかったことから、これらの影響はワクチン特異的なものと考えられた。 著者らは、同側でも対側でも強力な免疫応答が誘導されるが、2回目接種で初回と同じリンパ節による排出を可能にするワクチン投与経路を選択した場合により顕著になるとし、より高い中和活性とより高いスパイク特異的CD8 T細胞レベルは、感染や重症化からの防御に関係すると考えられ、多くの場合選択されていると考えられる同側接種を支持する結果とまとめている。

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モーニングコーヒーでうつ病リスクが低下

 最近の研究では、カフェイン摂取がうつ病リスク低下と関連していることが示唆されている。しかし、どの時間帯でのカフェイン摂取がうつ病リスクと関連しているかは、よくわかっていない。中国・山東中医薬大学のJiahui Yin氏らは、さまざまな時間帯におけるカフェイン摂取とうつ病リスクとの関連を調査した。その結果、早朝にカフェインを摂取した人は、うつ病有病率が低く、早朝以外の時間帯にカフェインを摂取する人は、うつ病有病率が高いことを報告した。Journal of Affective Disorders誌11月号の報告。 米国の成人2億1,800万人を重みづけした米国健康栄養調査より抽出した施設に入居していない成人を対象に、横断的研究を実施した。さまざまな時間帯におけるカフェイン摂取とうつ病リスクとの関連を調査するため、共変量調整サンプル加重回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・早朝(5:00~8:00)以外の時間帯でのカフェイン摂取は、うつ病有病率の高さとの関連が認められた(未調整オッズ比[OR]:1.08、95%信頼区間[CI]:1.05~1.11、調整後OR:1.03、95%CI:1.00~1.06)。・早朝にカフェインを摂取した人は、そうでなかった人と比較し、うつ病有病率が低かった(未調整OR:0.75、95%CI:0.67~0.85、調整後OR:0.86、95%CI:0.75~0.99)。

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コーヒー・緑茶で貯蔵鉄が減少、閉経後女性は多飲による鉄欠乏に注意?~J-MICC佐賀地区研究

 コーヒーや緑茶の摂取は、腸において鉄分の吸収を阻害することにより、体内の貯蔵鉄の量を減少させると考えられている。貯蔵鉄が過剰となると酸化ストレスが増加し、心血管疾患やがんの発症リスクとなるため、コーヒーや緑茶の摂取がこれらのリスクを低下させる可能性が指摘されている。しかし、過剰摂取は鉄欠乏を招く可能性もある。そこで、南里 妃名子氏(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)らの研究グループは、日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)佐賀地区の調査に参加した1万435人を対象として、コーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値との関係を検討した。その結果、男性および閉経後女性では、コーヒー、緑茶はいずれも摂取量が多いほど血清フェリチン値が低かった。閉経前女性では、緑茶の摂取量のみに同様の関連が認められた。また、閉経後女性において、コーヒーを1日3杯以上飲む人は飲まない人と比べて、鉄欠乏が多くみられた。本研究結果は、Frontiers in Nutrition誌2023年8月10日号に掲載された。コーヒー・緑茶の摂取量と血清フェリチン値、男性と閉経後女性で負の関連 2005~07年において、J-MICC Study佐賀地区の調査に参加した40~69歳の健康成人1万435人を対象として、性別、閉経の有無別にコーヒーおよび緑茶の摂取量と血清フェリチン値の関係を検討した。また、鉄欠乏(血清フェリチン値12μg/L未満)との関係も検討した。 コーヒーおよび緑茶の摂取量と血清フェリチン値、鉄欠乏との関係を検討した主な結果は以下のとおり。・血清フェリチン値の中央値は男性115.0μg/L、閉経前女性13.7μg/L、閉経後女性63.7μg/Lであった。・鉄摂取量やビタミンC摂取量を含む多変量解析の結果、男性ではコーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.004、0.016)。・同様に、閉経後女性においてもコーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.023、<0.001)。・閉経前女性では、緑茶の摂取量と血清フェリチン値に負の関連が認められたが(p for trend=0.01)、コーヒーの摂取量との関連は認められなかった。・同様にコーヒー、緑茶の摂取量と鉄欠乏との関連を検討した結果、閉経後女性ではコーヒー、緑茶の摂取量と鉄欠乏にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.004、0.049)。男性、閉経前女性には関連が認められなかった。・閉経後女性において、コーヒーを1日3杯以上飲む人は飲まない人と比べて、鉄欠乏の割合が有意に高率であった(4.8% vs.2.3%、オッズ比:2.20、95%信頼区間:1.06~4.56)。

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