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第80回 外来で増えた「私も抗MDA5抗体ですか?」

Unaplashより使用八代 亜紀さんが、抗MDA5抗体陽性の間質性肺炎増悪のため逝去されました。東日本大震災のときに被災地に行って歌っていたのが印象的でした。彼女が亡くなってからというもの、膠原病関連間質性肺疾患で通院している患者さんから「私も八代 亜紀さんのように肺炎が急速に悪化しないでしょうか?」「私も抗MDA5抗体陽性でしょうか?」という質問が増えました。確かに心配になりますよね。ただ、現在通院している人が実は抗MDA5抗体陽性でした、ということは今の日本の診療ではほとんどないと思います。たぶん。抗MDA5抗体陽性の皮膚筋炎は通称、CADM(Clinically amyopathic dermatomyositis:筋症状のない皮膚筋炎)と呼ばれていますが、その他の膠原病と比較して重症の間質性肺炎を起こしやすい特徴があります。この抗体が陽性になった場合、「スイッチが入る」と表現する医師が多いです。同抗体が測定されないと診断しようがないのは事実ですが、皮膚筋炎をみたときにはチェックしておきたいですし、手の潰瘍やGottron徴候・逆Gottron徴候があるのに抗核抗体が陰性ならば疑う必要があります1)。そして、この疾患を診療していくうえで、とにかく重要なのはフェリチンと考えられます。抗MDA5抗体陽性例では、フェリチン高値(≧500ng/mL)は死亡リスクが高くなり、高いほど予後不良になっていきます2)。「同じ病気」で死去したとされるのが美空 ひばりさんです。Wikipediaによると、最後の1年では「脚の激痛と息苦しさで、歌う時はほとんど動かないままの歌唱であった。この頃すでに、ひばりの直接的な死因となった『間質性肺炎』の症状が出始めていたとされており、立っているだけでも限界であったひばりは、歌を歌い終わるたびに椅子に腰掛け、息を整えていたという。」と記載されています。当時は抗MDA5抗体なんて知る由もなかった時代ですし、膠原病関連間質性肺疾患でさえ存在があまり知られていなかったと思われます。ただ、彼女は肝硬変やCOPDも合併していましたし、亡くなる数年前から症状が出ていることから、「同じ病気」とは断定できないと思っております。参考文献・参考サイト1)Chen F, et al. Anti-MDA5 antibody is associated with A/SIP and decreased T cells in peripheral blood and predicts poor prognosis of ILD in Chinese patients with dermatomyositis. Rheumatology international. 2012;32:3909-3915.2)Goto T, et al. Clinical manifestation and prognostic factor in anti-melanoma differentiation-associated gene 5 antibody-associated interstitial lung disease as a complication of dermatomyositis. Rheumatology. 2010 Sep;49(9):1713-1719.

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朝食摂取とうつ病との関係

 うつ病は、食生活、社会的因子、生活習慣といった多くの要因と関連しており、重大かつ患者数が多い、世界的な公衆衛生上の問題である。中国・吉林大学のFengdan Wang氏らは、朝食の摂取、食事性炎症指数(DII)とうつ病との関連を評価し、朝食の摂取がうつ病に及ぼす影響に対しDIIがどのように関与しているかを調査した。Journal of Affective Disorders誌2024年3月号の報告。 対象は、2007~18年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した2万1,865人。朝食の摂取、DII、うつ病との関連の分析には、二項ロジスティック回帰分析と媒介効果分析を用いた。食事による炎症は、DIIに従い炎症誘発性食と抗炎症性食に分類した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は47.24±0.28歳であった。・2回の回想法で、2回とも朝食摂取を報告した参加者(A群)は77.6%、1回でのみ朝食摂取を報告した参加者(B群)は16.3%、朝食摂取を報告しなかった参加者(C群)は6.1%であった。・炎症誘発性食、朝食抜きは、うつ病のリスク因子であった。・共変量で調整した後、B群はA群と比較し、うつ病のオッズ比が高かった(オッズ比:1.54、95%信頼区間:1.20~1.98)。・心血管疾患(CVD)および糖尿病でない参加者を対象とした層別化および感度分析においても、これらの関連は強固であった。・DIIは朝食摂取とうつ病との関連を仲介しており、B群の26.15%、C群の26.67%において認められた。 著者らは、研究の限界として、因果関係を明らかにしているわけではなく、データが限られているため薬物使用に関する交絡因子を考慮していない点を挙げたうえで、「朝食を抜くとDIIが上昇し、うつ病リスクが高まる可能性がある」とし、「本結果は、うつ病リスクの軽減には定期的な朝食、抗炎症性食の摂取が重要であることを裏付けるものである」とまとめている。

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新型コロナJN.1が世界の主流株に、高い伝播力と免疫回避能/東大医科研

 2023年12月時点で、オミクロン株BA.2.86の子孫株であるオミクロン株JN.1が世界各地で流行を拡大し、JN.1は世界保健機関(WHO)により「注目すべき変異株(VOI)」に分類されている。東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らによる研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)」の研究で、JN.1は、これまで主流の1つだったXBB系統のEG.5.1より高い伝播力(実効再生産数)を有し、自然感染やワクチン接種により誘導される中和抗体に対しても高い回避能を有していることが認められた1)。本結果は、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2024年1月3日号に掲載された。 2023年11月時点で、BA.2.86の子孫株であるJN.1(別名:BA.2.86.1.1)の感染が世界中で急速に拡大している。JN.1はBA.2.86と比較して、スパイクタンパク質の455番目のアミノ酸がロイシン(L)からセリン(S)に置換された変異(S:L455S変異)を有しており、JN.1の持つS:L455S変異が流行の拡大に重要であると考えられている。なお、11月30日~12月31日のデータによると、世界で検出された変異株のうちJN.1が占める割合は32.85%となり、世界の主流株になっている2)。 本研究ではJN.1の流行拡大のリスク、およびウイルス学的特性を明らかにするため、ウイルスゲノム疫学調査情報を基に、ヒト集団内におけるJN.1の実効再生産数を推定し、次に、培養細胞におけるウイルスの感染性を評価した。また、SARS-CoV-2感染によって誘導される中和抗体や、XBB.1.5対応ワクチンによって誘導される中和抗体に対しての抵抗性も検証した。 主な結果は以下のとおり。・フランス、英国、スペインのゲノム監視データを基にした調査において、JN.1の実効再生産数は、それまで主流だったEG.5.1やHK.3よりも高いことが確認された。・JN.1は親株のBA.2.86と比較して、S:L455S変異という1つのアミノ酸の違いしかないにもかかわらず、BA.2.86より高い感染価を示した。・XBB系統XBB.1.5およびEG.5.1のブレークスルー感染によって誘導される中和抗体の中和活性について検証したところ、JN.1はいずれの中和抗体に対しても、BA.2.86よりも3.8倍高い中和抵抗性を示した。・JN.1は、EG.5.1の子孫株であるHK.3に比べ、XBB.1.5ブレークスルー感染による中和抗体に対して2.6倍(p=0.0016)、EG.5.1ブレークスルー感染による中和抗体に対して3.1倍高い(p<0.0001)中和抵抗性を示した。・XBB.1.5対応1価ワクチンにより誘導される中和抗体に対して、JN.1は、XBB系統非感染の場合ではBA.2.86よりも3.6倍高い(p=0.016)、XBB系統感染の場合ではBA.2.86よりも4.5倍高い(p=0.0020)中和抵抗性を示した。

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HR+HER2-進行乳がん、パルボシクリブ+タモキシフェンが治療選択肢に/ファイザー

 ファイザーは1月15日付のプレスリリースにて、パルボシクリブの添付文書が改訂されたことを発表した。ホルモン受容体(HR)陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)の進行または転移乳がん患者へのパルボシクリブとタモキシフェン併用投与の有効性と安全性を検討した第III相試験(PATHWAY試験)の結果に基づくもので、これにより、パルボシクリブとタモキシフェンとの併用が新たな治療選択肢となる。 パルボシクリブはこれまで、レトロゾールまたはフルベストラントとの併用投与の成績に基づいて承認されており、タモキシフェンとの併用における有効性や安全性は確立されていなかった。またアジア地域では欧米に比べ、全乳がんのうち閉経前乳がんの占める割合が多く、治療選択肢が十分でない状況があった。 PATHWAY試験は、HR+/HER2-の閉経前・閉経後の進行または転移乳がん患者を対象に、パルボシクリブとタモキシフェンの併用投与と、プラセボとタモキシフェンの併用投与を比較した国際多施設共同無作為化二重盲検試験で、国立がん研究センター中央病院が主導した医師主導治験。日本(12施設)、韓国(6施設)、台湾(3施設)、シンガポール(2施設)の4ヵ国が参加した。 本試験において、パルボシクリブとタモキシフェンの併用投与は、プラセボとタモキシフェンの併用投与と比較し、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある無増悪生存期間(PFS)の延長を示し、試験の主要目的を達成した。

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鎮咳薬不足、増えた手間や処方優先患者は?/医師1,000人アンケート

 後発医薬品メーカーの不祥事などで医薬品供給不安が続いているなか、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの流行が鎮咳薬不足に追い打ちをかけている。昨年9月には厚生労働省が異例とも言える「鎮咳薬(咳止め)・去痰薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」1)の通知を出し、処方医にも協力を仰いだことは記憶に新しい。あれから3ヵ月が経ち、医師の業務負担や処方動向に変化はあったのだろうか。今回、処方控えを余儀なくされていることで生じる業務負担や処方を優先する患者の選び方などを可視化すべく、『鎮咳薬の供給不足における処方状況』について、会員医師1,000人(20床未満:700人、20床以上:300人)にアンケート調査を行った。最も入手困難な薬剤、昨夏から変わらず まず、鎮咳薬/鎮咳・去痰薬の在庫逼迫状況の理解について、勤務先の病床数を問わず全体の95%の医師が現況を認識していた。なお、処方逼迫について知らないと答えた割合が高かったのは200床以上の施設に勤務する医師(8%)であった。 次に入手困難な医薬品について、昨年8~9月に日本医師会がアンケート調査を行っており、それによると、院内処方において入手困難な医薬品名2,096品目の上位抜粋30品目のうち9品目が鎮咳薬/鎮咳・去痰薬であった2)。これを踏まえ、本アンケートでは鎮咳薬/鎮咳・去痰薬に絞り、実際に処方制限している医薬品について質問した。その結果、最も処方制限している医薬品には、やはりデキストロメトルファン(商品名:メジコン)が挙がり、続いて、チペピジンヒベンズ酸塩(同:アスベリン)、ジメモルファンリン酸塩(同:アストミンほか)などが挙げられた。この結果は1~19床を除く施設で同様の結果であった。処方が優先される患者、ガイドラインの推奨とマッチ? 鎮咳薬/鎮咳・去痰薬の処方が必要な患者について、2019年に改訂・発刊された『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019』によると、“可能な限り見極めた原因疾患や病態に応じた特異的治療(末梢に作用する鎮咳薬や喀痰調整薬など)が大切”とし、中枢性鎮咳薬(麻薬性:コデインリン酸塩水和物ほか、非麻薬性:デキストロメトルファン、チペピジンヒベンズ酸塩ほか)の処方にはいくつか問題点があることを注意喚起しながらも、“患者の消耗やQOL低下をもたらす病的な咳の制御は重要であり、進行肺がんなど基礎疾患の有効な治療がない状況では非特異的治療は必要であるが3)、少なくとも外来レベルでは初診時からの中枢性鎮咳薬の使用は明らかな上気道炎~感染後咳嗽や、胸痛・肋骨骨折・咳失神などの合併症を伴う乾性咳嗽例に留めることが望ましい”と記している。よって、「高齢者」「疾患リスクの高い患者」への適切な処方が望まれるものの、不足している中枢性鎮咳薬を処方する患者の見極めが非常に重要だ。以下には、参考までにガイドラインのステートメントを示す。<ガイドラインでの咳嗽治療薬におけるステートメント>◆FAQ*1:咳嗽治療薬の分類と基本事項は 咳嗽治療薬は中枢性鎮咳薬(麻薬性・非麻薬性)と末梢性鎮咳薬に分類される。疾患特異的な治療薬はすべて末梢性に作用する。可能な限り原因疾患を見極め、原因に応じた特異的治療を行うことが大切である。中枢性鎮咳薬の使用はできる限り控える。*frequently asked question◆FAQ2:咳嗽治療の現状は さまざまなエビデンスが年々増加しているものの、咳が主要評価項目でなかったり評価方法に問題がある研究が多い。多種多様の治療薬選択における標準化はいまだ十分ではなく、臨床現場での有用性を念頭に本ガイドラインの改訂に至った。 では、処方の実際はどうか。本アンケート結果によると、20床未満の場合、2023年7月以前では「咳が3週間以上続く患者」「高齢者」「咳があるすべての患者」「処方を希望する患者」「喘息などを有する高リスク患者」の順で処方が多く、希望患者への処方が高リスク患者へのそれよりも上回っていた。しかし、12月時点では、「喘息などを有する高リスク患者」「咳が3週間以上続く患者」「高齢者」「処方を希望する患者」「咳があるすべての患者」と処方を優先する順番が変わり、希望患者への処方を制限する動きがみられた。一方、20床以上においては2023年7月以前では「高齢者」「咳が3週間以上続く患者」「処方を希望する患者」の順で多かったが、12月時点では、「咳が3週間以上続く患者」「高齢者」「喘息などを有する高リスク患者」の順で処方患者が多かった。このことからも、高齢者よりも咳が3週間以上続く患者(遷延性咳嗽~慢性咳嗽)に処方される傾向にあることが明らかになった。鎮咳薬不足による手間、1位は疑義照会対応 供給不足による業務負担や処方変化については、疑義照会件数の増加(20床未満:48%、20床以上:54%)、長期処方の制限(同:43%、同:40%)、患者説明・クレーム対応の増加(同29%、同17%)の順で医師の手間が増えたことが明らかになり、実践していることとして「患者に処方できない旨を説明」が最多、次いで「長期処方を控える」「処方すべき患者の優先順位を設けた」などの対応を行っていることがわかった。また、アンケートには「無駄な薬を出さなくて済むので、処方箋が一枚で収まるようになった(60代、内科)」など、このような状況を好機に捉える声もいくつか寄せられた。アンケートの詳細は以下にて公開中『鎮咳薬の供給不足における処方状況』<アンケート概要>目的:製造販売業者からの限定出荷が生じているなか、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ等の感染症拡大に伴い、鎮咳薬などの在庫不足がさらに懸念されることから、医師の認識について調査した。対象:ケアネット会員医師 1,000人(20床未満:700人、20床以上:300人)調査日:2023年12月15日方法:インターネット

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米国透析施設の新たな支払いモデル、人種・経済格差の影響は?/JAMA

 米国のメディケア・メディケイドの運営主体Centers for Medicare & Medicaid Services (CMS)は2021年1月1日、米国内の透析施設の30%をランダムに選択し、在宅透析の利用、腎移植待機リストへの登録や移植の受領に基づき経済的インセンティブ(賞与もしくは罰金)を与える支払い方法「末期腎不全治療選択(ETC)モデル」を導入した。背景には、人種や社会経済的状況により、在宅透析導入や移植受領などに格差がみられたことがある。先行研究で、同モデル導入による在宅透析利用の増加の報告(全成人透析導入患者において)や変化なしという報告(66歳以上の従来メディケア受給者において)があるが、腎不全治療の公平性に対する影響については検討されていなかった。今回、米国・ブラウン大学のKalli G. Koukounas氏らは、透析施設を透析導入患者の社会的リスクで層別化し、ETCモデル導入初年度のパフォーマンススコアと罰金を評価した。JAMA誌2024年1月9日号掲載の報告。全米2,191の透析施設の複合社会的リスクスコアとパフォーマンスの関連を検証 研究グループは、2021年1月1月~12月31日にETCモデルに参加した米国内透析施設2,191ヵ所を対象に横断的研究を行った。 透析導入患者の集団特性について、非ヒスパニック系黒人、ヒスパニック系、極度の貧困地域に居住、透析開始時に無保険またはメディケイド受給者の構成割合を調査。そのうえで、複合社会的リスクスコアとして、各項目患者の割合について最高五分位に該当する項目数が0、1、2以上かで各施設を分類し、在宅透析の利用、腎移植待機リストへの登録、移植の受領、モデルのパフォーマンススコア、罰金との関連を評価した。社会的リスク高い施設、パフォーマンスや賞与率は低く、罰金率は高い傾向 透析導入患者12万5,984例(年齢中央値65歳[四分位範囲[IQR]:54~74、女性41.8%、黒人28.6%、ヒスパニック11.7%)のデータを用いて解析した。 試験対象2,191ヵ所のうち、複合社会的リスクスコアが0の透析施設が1,071ヵ所(48.9%)、同スコア2以上が491ヵ所(22.4%)だった。 ETCモデルを導入した初年度に、複合社会的リスクスコアが0だった透析施設と比較して、2以上だった透析施設の平均パフォーマンススコアは有意に低く(3.4 vs. 3.6、p=0.002)、在宅透析の実施率も有意に低かった(14.1% vs.16.0%、p<0.001)。 これらの透析施設は罰金を課された割合が有意に高く(18.5% vs.11.5%、p<0.001)、最高率5%の支払い額の削減を受けた割合も有意に高かった(2.4% vs.0.7%、p=0.003)一方で、最高率4%の賞与を受けた割合は有意に低かった(0% vs.2.7%、p<0.001)。 すべてのその他の透析施設と比較して、無保険者やメディケイド受給者の割合が最高五分位に該当する透析施設は、罰金を課される割合が有意に高く(17.4% vs.12.9%、p=0.01)、同様に黒人患者の割合が最高五分位に該当する透析施設も罰金を課される割合が有意に高率だった(18.5% vs.12.6%、p=0.001)。

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ROS1融合遺伝子陽性NSCLC、repotrectinibが有望/NEJM

 ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、repotrectinibはROS1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療歴を問わず、持続的な臨床活性を示したことが、米国・スローンケターリング記念がんセンターのAlexander Drilon氏らが行った第I/II相試験(「TRIDENT-1試験」)で示された。有害事象は主にグレードが低く、長期の投与に適するものであった。ROS1融合遺伝子陽性NSCLCの治療に承認されている初期世代のROS1 TKIは、抗腫瘍活性を有するが、耐性が生じ、頭蓋内活性が最適とはいえない。repotrectinibは、前臨床試験においてROS1 G2032Rなどの耐性変異を含むROS1融合遺伝子陽性がんに対する活性が示された次世代のROS1 TKIであり、研究グループは承認申請のため本検討を行った。NEJM誌2024年1月11日号掲載の報告。奏効率、奏効期間、無増悪生存期間などを評価 研究グループは、ROS1融合遺伝子陽性NSCLCを含む進行固形がん患者を対象に、repotrectinibの有効性と安全性を評価する第I/II相試験を行った。 第II相試験の有効性の主要評価項目は奏効率だった。有効性の解析は、第I相および第II相試験の被験者を対象に行った。第II相試験の副次評価項目は、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、および安全性であった。ROS1 TKI未治療患者のDOR中央値は34.1ヵ月 第I相試験の結果に基づき、第II相試験でのrepotrectinibの推奨用量は、160mg/日を14日間投与後、160mgを1日2回とされた。 ROS1 TKI未治療のROS1融合遺伝子陽性NSCLC患者において、奏効が認められたのは71例中56例(79%、95%信頼区間[CI]:68~88)であり、DOR中央値は34.1ヵ月(95%CI:25.6~推定不能)、PFS中央値は35.7ヵ月(27.4~推定不能)だった。 1種類のROS1 TKIによる治療歴があり、化学療法歴のないROS1融合遺伝子陽性NSCLC患者において、奏効が認められたのは56例中21例(38%、95%CI:25~52)であり、DOR中央値は14.8ヵ月(95%CI:7.6~推定不能)、PFS中央値は9.0ヵ月(6.8~19.6)だった。 ROS1 G2032R変異陽性の患者において、奏効が認められたのは17例中10例(59%、95%CI:33~82)だった。 第II相試験用量の投与を受けた426例のうち、頻度が高かった治療関連有害事象は、めまい(58%)、味覚障害(50%)、錯感覚(30%)であった。治療関連有害事象のためrepotrectinibを中止したのは3%だった。

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インスリン療法を行っている妊娠中の糖尿病に、メトホルミンを追加することの意義は?(解説:小川大輔氏)

 妊娠前から2型糖尿病と診断されている方でも、妊娠後に糖尿病と診断された方でも、妊娠中の糖尿病の管理は食事療法とインスリン療法が基本となる。日本では妊婦に対するメトホルミンの投与は禁忌とされているが、海外では使用が可能となっている。糖尿病合併妊娠あるいは妊娠糖尿病患者を対象に、インスリン療法に加えてメトホルミンを追加した際の新生児期の有害事象に対する効果を検討した結果がJAMA誌に発表された1)。 米国17ヵ所の医療機関で、妊娠前に2型糖尿病と診断されている、または妊娠23週以前に妊娠糖尿病と診断されたインスリン治療中の被検者831症例を対象に、メトホルミン1,000mgを投与する群(メトホルミン群)と、プラセボを投与する群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。主要アウトカムは周産期死亡、早産、新生児低血糖、在胎不当過大児あるいは在胎不当過少児、光線療法を必要とする高ビリルビン血症といった新生児複合有害事象であった。 多く認められた有害事象は早産、新生児低血糖、在胎不当過大児であり、主要アウトカムの発生率はメトホルミン群71%、プラセボ群74%と有意差はなかった。副次アウトカムも両群間で有意差を認めなかった。ただ、新生児複合有害事象の1つである、在胎不当過大児についてはメトホルミン群で有意にイベントが少なかった。著者らはこの効果について、さらなる検討が必要であると考察している。 今回の試験で、妊娠糖尿病あるいは2型糖尿病の妊婦に対し、メトホルミン追加投与による新生児有害アウトカムの抑制効果は示されなかった。インスリンを用いて厳格に血糖を管理すれば新生児の有害事象は減るので、その状況でメトホルミンを上乗せしてもさらなる効果は期待できないのかもしれない。しかし、インスリン療法にメトホルミンを追加することにより、新生児低血糖、在胎不当過大児、妊娠高血圧などのリスクが低下し、また早産や在胎不当過少児、周産期死亡などの有害事象は増加しないというメタ解析の報告もある2)。妊娠糖尿病でも肥満合併例やインスリン抵抗性の強い妊婦を対象として、インスリン療法にメトホルミンを併用する試験が行われることを期待したい。

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第195回 ALS患者嘱託殺人、主犯とされる医師の裁判員裁判始まる、被告は「願いをかなえるためにやった」と証言

能登半島地震、被災者の地元外に開設された1.5次・2次避難所への移動が本格化こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。能登半島地震から2週間が経過し、被災者の地元外に開設された1.5次や2次避難所への移動が本格化してきました。集落の住民が丸ごと地元外の市や町の公民館等に避難するケースも出てきました。道路が寸断し、電気水道などのライフラインの復旧が遅々として進まず、救助、支援もスムーズにいかない中、災害関連死も増えつつあります。地元外への避難はやむを得ない選択だと思います。一度の地震で、これだけ孤立と、支援遅れが起きたケースはこれまであまりなかったのではないでしょうか。陸からの交通網が限られる半島部で、なおかつ過疎地が点在しているという能登半島の特徴が、効率的な支援の妨げになっているようです。地元外の市町で避難所を設け、被災者を受け入れたところでは、医療・介護の需要が突然高まることにもなります。被災地だけではなく、そうした市町に対する医療・介護支援のあり方もこれからは大きな課題となりそうです。嘱託殺人罪の適用は死を望む女性患者の自己決定権を保障する憲法13条に違反するとして弁護側は無罪主張さて、今回は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者を依頼を受けて殺害した、などとして、嘱託殺人などの罪に問われた医師の大久保 愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判が1月11日から京都地裁(川上 宏裁判長)で始まったので、それについて書いてみたいと思います。逮捕から実に約3年半、共犯とされた元医師の判決が昨年末に出てからの“本丸”の裁判開始です。安楽死や自殺幇助に対して裁判所が従来とは違った解釈を出すかが注目されます。朝日新聞等の報道によれば、犯行を主導したとされる大久保被告は、11日の初公判で起訴内容を認めつつ「(女性患者の)願いをかなえるために行った」と述べたとのことです。弁護側は大久保被告が殺害しなければ、「女性は『望まない生』を強いられ続けたことになる」と指摘、被告に嘱託殺人罪を適用することは死を望む女性患者の自己決定権を保障する憲法13条に違反する、として無罪を主張しました。日本において積極的安楽死の罪の根拠となっているのは1990年代の事件の判例大久保被告は知人の元医師、山本 直樹被告(46)と共謀し、2019年11月、京都市内のALSの女性患者(当時51)のマンションを訪れて、女性の依頼で胃ろうに薬物(バルビツール酸系薬剤が検出)を注入し、急性薬物中毒で殺害したとして起訴されました。また、2011年3月には、長野県内の病院に長期入院していた山本被告の父(当時77)を都内のアパートに連れ出して殺害したとする罪にも問われており、両事件がまとめて審理されることになります。ALSの女性患者の嘱託殺人については、本連載でも何度か取り上げてきました。事件発覚当初の2020年8月には、「第17回 安楽死? 京都ALS患者嘱託殺人事件をどう考えるか(前編)」、「第18回 同(後編)」で、日本における積極的安楽死の罪の根拠となっている1991年に起きた「東海大学安楽死事件」と 1998年に起きた「川崎協同病院事件」について振り返り、ある有識者の「(この事件は)安楽死議論の対象にもならない」というコメントを紹介しつつ、「果たして本当にそうでしょうか。少なくとも、医療関係者も目を逸らしてきた、積極的安楽死についての議論を再開するきっかけにはなると思うのですが、どうでしょう」と問い掛けました。そして、「今回の事件は、積極的安楽死の“定義”と照らし合わせながら裁かれていくことになるでしょう。(中略)。しかし、この(東海大学安楽死事件の)横浜地裁の判決が出たのは1995年、今から25年も前です。インフォームド・コンセントが医療法に『説明と同意』を行う義務として明記されたのが1997年ですから、それより前の医学会や社会の常識をベースとした判例が未だに積極的安楽死を考える際の基準となっていることに違和感を覚えます」と書きました。検察側は被告が医療行為に見せかけて障害者らを殺害することに強い関心を持っていたと指摘各紙報道等によれば、1月11日の初公判で、検察側は冒頭陳述において大久保被告が医療行為に見せかけて障害者らを殺害することに強い関心を持っていた、と指摘。そのための「マニュアル」を執筆し、医療知識を悪用して犯行に及んだとしました。検察側はこの「マニュアル」の一部を示して、「証拠が残らない」「人を殺してもバレないシチュエーションがある」などと記されていた、として有罪の根拠となるとしました。さらに、女性は死期が迫った状態ではなかったと指摘、大久保被告が女性の病状を詳しく把握せずに殺害、130万円の報酬も受け取っており、「正当な行為に当たるはずはなく、刑事責任が問える」と訴えたとのことです。山本被告の父を山本被告らと共謀して殺害したとされる殺人罪については、大久保被告は「やっておりません」と起訴内容を否認したとのことです。元医師については既に嘱託殺人罪で懲役2年6ヵ月の判決共犯とされる元医師・山本被告については、既にALSの女性患者の嘱託殺人については2023年12月19日に京都地裁で懲役2年6ヵ月(求刑懲役6年)の判決が、父親に対する殺人罪については2023年2月7日に京都地裁で懲役13年(求刑懲役20年)の判決が出ています。ただし、いずれも判決を不服として大阪高裁に控訴しています。各紙報道等によれば、昨年12月の嘱託殺人の判決で川上裁判長は「(山本被告は)従属的な立場だったとはいえ、犯行を遂行するために重要な役割を担った」と述べ、「医師の立場を利用し、ALS患者等から安楽死の依頼を受け、対価を得た上で、いわばビジネスとして犯行に及んだと認められる。被害者にとって他に手段がなかったとはいえ、被告らはろくに診察もせず、親族らに秘密裏に殺害しており、強い非難に値する。執行猶予が多い嘱託殺人罪の量刑傾向を踏まえても実刑は免れない」として、懲役2年6ヵ月の判決を下しています。ちなみに、嘱託殺人罪は刑法206条に規定されており、被害者本人の真意に基づく依頼を受けて殺人を実行した場合に適用されます。法定刑は6ヵ月以上7年以下の懲役または禁錮とされており、殺人罪よりも軽くなっています。なお、山本被告は、医師資格取得にあたって、かつて厚労省医政局医事課に試験専門官として勤務していた大久保被告から不正取得の方法を伝授されたとされており、逮捕後に医師免許を取り消されています(「第149回 医師免許はそんなに簡単に不正取得できるのか?ALS嘱託殺人で発覚した厚生労働省の“謎ルート”」参照)。被害者側の「安楽死させてほしい」という意思に対する被告側の行為を今回の裁判がどう判断するか大久保被告の公判は2月1日まで10回行われて結審し、3月5日に判決が言い渡される予定です。なお、11月11日に続く12日には第2回公判が開かれており、この席には検察側の証人として山本被告が出廷、大久保被告について「証拠を残さず殺人できる方法を蓄積し、共有することで、自分の理想とする世の中が実現すればいいと考える人だった」などと述べ、医療行為に紛れて高齢者などを殺害することに興味を抱いていたと証言したとのことです。大久保被告の行った行為が、純粋にビジネスだったのか、安楽死に対する興味にかられてのものだったのか、あるいは漫画「ブラック・ジャック」に登場するドクター・キリコの思想に憧れてのものだったか、その真の動機は公判の過程で少しは明らかになるでしょう。しかし、それとはまた別に、被害者側の「安楽死させてほしい」という意思に対する被告側の行為について、今回の裁判はどのような判断を下すでしょうか。昨年12月の山本被告の判決で川上裁判長は、「犯行は女性の死にたいという真摯な嘱託に基づいており、自殺幇助に近い側面もある」とし、苦痛なく死亡したとみられる点について「量刑上相当に酌むべき事情」としました。海外の一部の国(ドイツ、カナダなど)では、2010年以降、重篤な患者に対する自殺幇助について各国の憲法で認める判断が下されています。嘱託殺人罪の適用を「死を望む女性患者の自己決定権を保障する憲法13条に違反する」とする弁護側の主張が、どこまで通るのかが裁判のポイントになりそうです。

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組み換え帯状疱疹ワクチン2回接種、4年後の効果

 組み換え帯状疱疹ワクチン(商品名:シングリックス)の2回接種は、臨床試験において有効率97%と非常に高い有効性を示しているが1)、実臨床における長期有効性は明らかになっていない。そこで、米国・Kaiser Permanente Northern CaliforniaのOusseny Zerbo氏らは、組み換え帯状疱疹ワクチンの実臨床における効果を調べた。その結果、1回接種の場合は有効性が1年後に低下したが、2回接種の場合は4年間の追跡期間において有効性が低下しなかった。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2024年1月9日号で報告された。組み換え帯状疱疹ワクチンの2回接種の重要性が示された 本研究は、Vaccine Safety Datalinkに登録された、50歳以上の組み換え帯状疱疹ワクチン接種者および帯状疱疹ワクチン未接種者を対象とした。有効性について、抗ウイルス薬の処方を伴う帯状疱疹の診断を基にした、帯状疱疹予防効果をワクチン未接種者との比較によって評価した。また、ワクチン接種後の期間別およびステロイド使用の有無別にワクチンの有効性を評価した。 組み換え帯状疱疹ワクチンの実臨床における有効性を調べた主な結果は以下のとおり。・解析対象は約200万人、追跡期間は761万4,196患者年であった。・接種後の期間別にみた帯状疱疹ワクチンの有効率は以下のとおりであった(1回接種の有効率vs.2回接種の有効率)。【30日後~1年未満】70% vs.79%【1年後~2年未満】45% vs.75%【2年後~3年未満】48% vs.73%【3年後以降】52% vs.73%・ステロイド使用の有無別にみたワクチンの有効率は、ステロイド非使用者が77%、帯状疱疹リスクの高いステロイド使用者で65%であった。 著者らは、本研究結果について「臨床試験での報告よりは有効性が低かったものの、実臨床においても組み換え帯状疱疹ワクチンは非常に有効であった。2回接種の有効性は4年間の追跡期間中にほとんど低下しなかったが、1回接種の有効性は1年後に大幅に低下した。このことから、2回接種の重要性が示された」とまとめた。

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黒砂糖、がん発症を抑制か~J-MICC研究

 黒砂糖にはミネラル、ポリフェノール、ポリコサノールが多く含まれているが、黒砂糖が健康に役立つと評価した疫学研究はほとんどない。今回、鹿児島大学の宮本 楓氏らが、長寿者の割合が比較的高く黒砂糖をおやつにしている奄美群島の住民を対象としたコホート研究を実施したところ、黒砂糖摂取ががん全体、胃がん、乳がんの発症リスク低下と関連することが示された。Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition誌2023月12月号に掲載。 本研究は日本多施設共同コホート研究(J-MICC研究)の一環で、黒砂糖摂取と死亡リスクおよびがん発症率の関連を明らかにするために実施された。奄美の一般住民から参加者を募集し、5,004人(男性2,057人、女性2,947人)が参加した。追跡期間中央値13.4年の間に274例が死亡、338例でがんが発症した。糖関連およびその他の変数を調整後、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)と95%信頼区間を推定した。黒砂糖の摂取頻度により低摂取群(週1回未満)、中摂取群(週1~6回)、高摂取群(1日1回以上)に分け、低摂取群を基準とした中摂取群、高摂取群の各HRとその傾向を評価した。 主な結果は以下のとおり。・交絡因子調整後、男女におけるがん全体と胃がん、女性における乳がんについて、黒砂糖の中摂取群と高摂取群のHRが低く、HRの低下傾向(がん全体:傾向のp=0.001、胃がん:傾向のp=0.017、乳がん:傾向のp=0.035)が認められた。・肺がんは非喫煙者および元喫煙者のみHRの低下傾向がみられた(傾向のp=0.039)。・全死亡、がん死亡、心血管疾患死亡におけるHRの低下は明らかではなかった。

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日本人高齢者における抗コリン薬使用と認知症リスク~LIFE研究

 抗コリン薬が認知機能障害を引き起こすことを調査した研究は、いくつか報告されている。しかし、日本の超高齢社会において、認知症リスクと抗コリン薬の関連は十分に研究されていない。大阪大学のYuki Okita氏らは、日本の高齢者における抗コリン薬と認知症リスクとの関連を評価するため本研究を実施した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2023年12月号の報告。 2014~20年の日本のレセプトデータを含むLIFE研究(Longevity Improvement & Fair Evidence Study)のデータを用いて、ネステッドケースコントロール研究を実施した。対象は、認知症患者6万6,478例および、年齢、性別、市区町村、コホート登録年がマッチした65歳以上の対照群32万8,919例。1次曝露は、コホート登録日からイベント発生日またはそれに一致したインデックス日までに処方された抗コリン薬の累計用量(患者ごとの標準化された1日当たりの抗コリン薬総投与量)であり、各処方の抗コリン薬各種の総用量を加算し、WHOが定義した1日の用量値で除算して割り出した。抗コリン薬の累計曝露に関連する認知症のオッズ比(OR)の算出には、交絡変数で調整した条件付きロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・インデックス日の平均年齢は84.3±6.9歳であり、女性の割合は62.1%であった。・コホート登録日からイベント発生日またはインデックス日までに1種類以上の抗コリン薬が処方された割合は、認知症患者で18.8%、対照群で13.7%であった。・多変量調整モデルでは、抗コリン薬を処方されていた人は、認知症と診断されるORが有意に高かった(調整OR:1.50、95%信頼区間:1.47~1.54)。・完全多変量調整モデルでは、抗コリン作用を有する薬剤の中でも、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、膀胱に対する抗ムスカリン薬の使用で、認知症リスクの有意な増加が確認された。 著者らは「日本の高齢者が使用するいくつかの抗コリン薬は、認知症リスクの増加と関連している」とし、「これらの集団に対して抗コリン薬を使用する際には、ベネフィットと並び、潜在的なリスクを考慮する必要がある」としている。

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無羊水症への羊水注入、新生児の予後を改善するか/JAMA

 胎児の両側性腎無形成に起因する妊娠初期の無羊水症は、新生児に致死的な肺低形成を引き起こすが、連続的な羊水注入により羊水を回復させることで、胎児の肺の発達を促し、生存が可能になると示唆されている。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のJena L. Miller氏らは、連続的な羊水注入は新生児の致死的肺低形成を軽減するが、早産の増加と関連し、退院までの生存率は低いことを示した。研究の詳細は、JAMA誌2023年12月5日号で報告された。米国9施設の非無作為化臨床試験 本研究は、米国の9施設が参加した非盲検前向き非無作為化臨床試験であり、2018年12月~2022年7月に行われた(米国・ユーニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所[NICHD]の助成を受けた)。 孤立性両側性腎無形成による無羊水症が確認され、他の先天性異常のない21組の母体・胎児を対象とした。妊娠26週までに、超音波ガイド下で経皮的に、等張液を用いた羊水注入を開始した。注入の頻度は、妊娠期間に応じて正常な羊水レベルを維持するよう個別に設定した。 主要アウトカムは、新生児の生後14日以上の生存と、透析導入の複合とした。主要アウトカムは生児出産17例中14例で達成 介入の有効性が示されたものの、主要アウトカムの領域を超える新生児の合併症と死亡が懸念されたため、18組の母体・胎児の中間解析に基づき、本試験は早期中止となった。 生児出産は17例(94%)で、分娩時の妊娠期間中央値は32週4日間(四分位範囲[IQR]:32~34週)と全般に早産であった。全参加者が37週までに出産していた。 生後14日以上の生存と透析導入は、17例の新生児のうち14例(82%)で達成された(95%信頼区間[CI]:44~99)。 主要アウトカムの生後14日以上の生存と関連する因子として、(1)羊水注入の回数(中央値)が多い(生存例14回vs.非生存例5回、p=0.01)、(2)初回羊水注入から早産期前期破水(PPROM)までの期間(中央値)が長い(66.0日vs.13.0日、p=0.04)、(3)妊娠期間が32週より長い(14例[100%]vs.1例[25%]、p=0.005)、(4)出生時体重が重い(2,010g vs.1,350g、p=0.03)が挙げられた。生存退院は6例(35%)のみ 生後24週(中央値、範囲:13~32週)の時点で長期の腹膜透析を受けており、自宅へと生存退院した新生児は、17例中6例(35%)のみだった。 その後、2例が死亡した。1例は2歳時に透析関連の感染性合併症による死亡、1例は生後4ヵ月時に自宅で心停止後の死亡であった。3例(50%)が脳卒中を発症し、2例は長期生存している。 著者は、「退院までの生存率の低さは、肺機能とは別に、付加的な死亡負担が存在することを強調するものである」と指摘し、「生存している新生児のアウトカムの特性を完全に明らかにし、合併症と死亡の負担を評価するためには、さらなる長期データが求められる」としている。

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国内初のRSVワクチン発売、対象は60歳以上/GSK

 グラクソ・スミスクライン/GSKは、60歳以上におけるRSウイルス(RSV)による感染症の予防を目的とした組み換えRSVワクチン「アレックスビー筋注用」を2024年1月15日に販売開始した。本ワクチンは、60歳以上を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「AReSVi-006試験」の結果1)に基づき、2023年9月25日に製造販売承認を取得している。 AReSVi-006試験の対象は、60歳以上の成人(医学的に安定している基礎疾患を有する者を含む)2万4,981例(日本人1,038例を含む)で、主要評価項目はRSV感染による下気道疾患※の初回発現を指標とした予防効果であった。主要評価項目に関する有効率は82.6%であり、RSV感染による下気道疾患に対する本ワクチンの有効性が検証された。なお、日本人集団ではRSVによる下気道疾患の発現はみられなかった。※:24時間以上持続する1つ以上の下気道徴候を含む2つ以上の下気道症状/徴候がある、または24時間以上持続する3つ以上の下気道症状がある 本ワクチンは、アジュバント添加RSVワクチンであり、抗原として膜融合前型立体構造を保持できるよう改変したRSVのfusion(F)糖タンパク質の3量体を含有している。この抗原にGSK独自のAS01Eアジュバントを組み合わせている。また、国際共同第III相無作為化比較試験(NCT05590403)2)に基づき、RSVによる感染症のリスクが高い50~59歳の成人への接種対象者拡大についても、2023年12月に厚生労働省へ承認申請を行っている。【アレックスビー筋注用 製品概要】製品名:アレックスビー筋注用一般名:組換えRSウイルスワクチン効能又は効果:RSウイルスによる感染症の予防用法及び用量:60歳以上に1回、0.5mLを筋肉内接種

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アルドステロン合成酵素阻害薬vs.鉱質コルチコイド受容体拮抗薬(解説:浦信行氏)

 アルドステロンは腎尿細管の鉱質コルチコイド受容体(MR)に作用して水・Na代謝を調節するが、その過剰は水・Na貯留を引き起こし、体液量増大を介して昇圧する。したがって、スピロノラクトンをはじめ、MR拮抗薬は降圧薬として用いられてきた。その一方で、降圧作用とは独立して、酸化ストレスの増加やMAPキナーゼの活性化を介して心臓や腎臓障害性に作用することが知られている。したがってMR拮抗薬は降圧薬であると同時に、臓器保護作用を期待して使用される。 アルドステロン合成酵素阻害薬も降圧薬(ジャーナル四天王「コントロール不良高血圧、アルドステロン合成阻害薬lorundrostatが有望/JAMA」2023年9月27日配信)として注目されているが、このたびはCKDに対して尿アルブミンを強力に減少させ、SGLT2阻害薬との併用でも相加的に効果を現すことから、CKD治療薬としての期待を伺わせる報告がなされた。この2種類の薬剤の差別化は可能であろうか。これまでのMR拮抗薬の研究ではMRのリガンドは鉱質コルチコイドのみならず、糖質コルチコイドもリガンドであるが、体内でコルチゾールを速やかに非活性のコルチゾンに代謝する11β-水酸化ステロイド脱水酵素が十分に作用している状態では糖質コルチコイドによる作用はごく限られる。しかし、漢方薬に含まれるグリチルリチンはこの酵素の阻害作用があるため、糖質コルチコイドのMRを介した作用が起こりうる。また、低分子量G蛋白のRac1は、肥満、高血糖、食塩過剰でMR受容体を活性化する。 これらを考慮すると、MR拮抗薬のほうに分があるように見える。しかし、アルドステロンはMRを介した作用だけでなく、それを介さない非ゲノム作用の可能性も報告されており、そうであればアルドステロンの生成を抑えるほうに分がありそうである。この両薬剤の臨床効果の比較を待つことになろうか。

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オルカンは全世界株式投資ではない!?本当は怖いインデックスの話【医師のためのお金の話】第76回

インデックス投資の勢いが止まりません。オルカン(全世界株式:オール・カントリー)やVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)などの世界中の株式を対象とした株価指数に連動するインデックス銘柄は注目の的です。2000年代以前には、私たちのような庶民が投資できるインデックス投資は存在しませんでした。株式投資といえば、アクティブ投信や個別株以外の選択肢はありません。そして、バブル崩壊以降の日本株は最悪のパフォーマンスだったので、イメージは最悪です。このような事情も相まって、2010年以降に登場した全世界株式インデックスは喝采を浴びます。世界の成長を取り込めるという触れ込みは、停滞した日本社会で暮らす投資家の希望の光となりました。さらに、インデックス投資が多くのアクティブ投信や個別株投資の成績を上回るという研究成果が喧伝されました。このため、最近では投資初心者までもが、オルカンやVTへの投資を第1選択にしています。でもちょっと待ってください。本当にインデックス投資は安全・確実なのでしょうか。投資の世界には「人の行く裏に道あり花の山」という、利益を得るには他人の逆行動をとらなくてはならないという格言があります。そこで、インデックス投資の是非について考えてみましょう。全世界株式インデックスの実態全世界株式インデックスというからには、全世界の株式に対して満遍なく投資していると思いがちです。しかし、実態はまったく異なります。たとえば、オルカンの代表であるeMAXIS Slim全世界株式。「全世界」という言葉とは裏腹に、構成銘柄は以下のごとくです。組入上位銘柄 (2023年11月30日現在)1. アップル4.5%2. マイクロソフト4.0%3. アマゾン2.0%4. エヌビディア1.8%5. アルファベットA1.5%6. メタ1.1%7. テスラ1.0%8. アルファベットC0.8%9. ユナイテッドヘルス0.7%10. イーライリリー0.7%上位10位は全て米国の企業です。5位と8位はGoogleの親会社なので、実質的にたった9社でオルカンの18.1%も占めています。たしかに有名企業ばかりですが、この9社だけで世の中すべての経済活動の18.1%を提供しているはずはありません。おそらく9社合わせても1%に満たないのではないでしょうか。しかも業態は情報技術などのテック産業に偏っています。これほどまでに実際の経済活動から乖離した評価がまかり通っているのが「全世界株式インデックス」と呼ばれているオルカンの正体なのです。さらに、オルカンの国別配分比率では米国が60.4%を占めています。世界のGDPに占める米国の割合は24~25%と言われています。それにもかかわらず60%を超えているのは違和感しかありません。オルカンの実態は全世界株式ではなく、米国テック株インデックスなのです。インデックス投資は割高な買物を宿命付けられているオルカンが全世界株式インデックスとは名ばかりであることは説明しましたが、インデックス投資には致命的な欠点があります。それは、常に割高な買い物を強制されることです。前述のように、インデックスを構成する銘柄は時価総額に応じて組み入れられます。時価総額が高いということは株価が高いことを意味します。簡単にいうと、割高に評価されている銘柄群です。このような銘柄ばかり組み込まれているため、インデックスは常に割高な銘柄で構成されることを宿命付けられています。30年後も現在の「割高」な銘柄が上位をキープしていれば問題ないですが、確率的には数年後でさえも上位組入銘柄が激変していることが予想されます。割高に組入れられた銘柄の下落で発生する損失は、投資家が負担します。インデックス投資は割高な買物なのです。皆が同じ方向に向かう時には注意しよう!ここまでインデックス投資の実態はイメージと大きく異なることを説明してきましたが、本当はもっと大切なことがあります。それは、皆が同じ方向に走っている時には危機感を抱くべきだということです。投資の世界では、最後に負けるのは一般投資家と相場が決まっています。そして、現時点での一般投資家とは、インデックス投資をメインにしている人たちです。世の中の大半の投資家がインデックス投資に傾いているのなら、盲目的に近づくのは危険だと思います。もちろん一生懸命に勉強した結果、確固たる自信をもってインデックス投資に賭けるのはアリだと思います。しかし、単に周囲の人が皆、インデックス投資が良いと言うからという理由では投資しない方がいいでしょう。少なくとも、インデックス投資は100点満点の投資ではありません。せいぜい60点ぐらいの投資にすぎないのです。オルカンに投資をしていれば間違いないという誤ったイメージを払拭して、インデックス投資の実態を直視してみましょう。

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英語で「ICUに立ち寄る」は?【1分★医療英語】第113回

第113回 英語で「ICUに立ち寄る」は?《例文1》Could you swing by the office?(オフィスに立ち寄っていただけますか?)《例文2》I will stop by the floor and talk to the patient.(病棟に立ち寄って、その患者さんと話をしておきます)《解説》“swing by~”は「~に立ち寄る」「顔を出す」という意味になり、病棟やICU、ナースステーションなどに立ち寄ることを伝えるときに使える表現です。“swing”は「揺れる」という意味の動詞ですが、「ブランコが揺れるようにふらっと立ち寄る」というイメージを持ってもらうとよいでしょう。「立ち寄る」という意味を表すほかの表現には“stop by”や“drop by”という熟語がありますが、“stop by”よりも“swing by”や“drop by”のほうが、「より短時間で立ち寄る」というイメージになります。また、例文に出てきた表現の“check on”は「様子を見る」「無事を確かめる」という意味になり、こちらも臨床現場で頻繁に使うフレーズです。講師紹介

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透析そう痒症を改善する初の静注薬「コルスバ静注透析用シリンジ」【最新!DI情報】第7回

透析そう痒症を改善する初の静注薬「コルスバ静注透析用シリンジ」今回は、静注透析そう痒症改善薬「ジフェリケファリン酢酸塩注射液(商品名:コルスバ静注透析用シリンジ17.5μg/25.0μg/35.0μg、製造販売元:丸石製薬)」を紹介します。本剤は、透析治療を受ける慢性腎不全患者に多く認められるかゆみを治療するわが国初の静注薬であり、患者QOLの向上が期待される新たな治療選択肢です。<効能・効果>血液透析患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)の適応で、2023年9月25日に製造販売承認を取得し、同年12月13日に発売されています。<用法・用量>通常、成人にはジフェリケファリンとして、ドライウェイト時における下記用量を週3回、透析終了時の返血時に透析回路静脈側に注入します。45kg未満:17.5μg45kg以上65kg未満:25.0μg65kg以上85kg未満:35.0μg85kg以上:42.5μg<安全性>国内の血液透析患者を対象とした試験(MR13A9-3、MR13A9-4およびMR13A9-5試験)における本剤投与群の副作用の発現割合は19.7%(50/254例)で、2.0%以上に発現した主な副作用は、傾眠(2.8%)、浮動性めまい(2.4%)、便秘(2.0%)および血圧低下(低血圧との合算で2.0%)でした。自動車運転および機械操作に対する影響または精神機能の障害に対する試験は実施していませんが、主な副作用として傾眠と浮動性めまいが確認されたことから、自動車の運転など危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意喚起が必要です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、血液透析における既存治療で効果が不十分なかゆみの改善に用いられます。2.抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などが効きにくいかゆみを抑えます。3.眠気、めまいなどが現れることがありますので、車の運転など危険を伴う機械の操作には従事しないでください。4.妊婦または妊娠している可能性のある人、授乳中の人は、医師または薬剤師に相談してください。<ここがポイント!>皮膚そう痒症は、血液透析治療を受ける慢性腎不全患者に多く認められる疾患で、かゆみの原因となる明らかな皮膚病変がないにもかかわらず、全身のあらゆる場所にかゆみが生じます。かゆみは断続的に生じてQOLを低下させるばかりでなく、睡眠障害やうつ病、死亡リスクの上昇などの悪影響を引き起こすこともあります。血液透析患者におけるそう痒症の緩和には、一般的に保湿剤やステロイド剤の外用治療、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬による外用または内服治療が行われます。これらの治療でも効果不十分の場合は、かゆみを抑制するκオピオイド受容体(KOR)の作動薬であるナルフラフィンが内服で用いられています。しかし、血液透析患者の約40%は、これらの治療を受けても中等度~重度のそう痒症が残存します。ジフェリケファリンは、ナルフラフィンに次ぐKOR作動薬であり、透析終了後の返血時に透析回路からボーラス投与するわが国初の静注のプレフィルドシリンジ製剤です。静注薬なので、透析患者の水分摂取制限や嚥下機能低下に影響されず、透析時に医師の管理のもとに投与されるため服薬アドヒアランスにも影響されません。既治療のそう痒症を有する血液透析患者178例を対象とした国内第III相臨床試験(MR13A9-5)の二重盲検期において、主要評価項目である「4週時の平均かゆみNRS(numerical rating scale)スコアのベースラインからの変化量」は、本剤投与群-2.06、プラセボ投与群-1.09、群間差-0.97(95%信頼区間:-1.52~-0.42)であり、プラセボ投与群に対して本剤投与群の優越性が示されました(p

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