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ポケモンGOによってもたらされた医学的利益とはぱくたそより使用2016年夏、スマートフォン向けの位置情報を利用した拡張現実ゲーム『Pokemon GO(ポケモンGO)」』がリリースされました。ニュースにもなったのでご存じの方も多いと思いますが、そりゃあもうめっちゃ歩くアプリなので、健康的なメリットもあるんじゃないの?と注目を集めました。紹介するのは、東京大学からの論文です。 Hino K, et al.Step Counts of Middle-Aged and Elderly Adults for 10 Months Before and After the Release of Pokemon GO in Yokohama, Japan.J Med Internet Res. 2019;21:e10724.過去のいくつかの研究では、ゲームのリリース前後の客観的に測定した歩数を比較している報告もありますが、ほとんどが短期間の研究で、なおかつ若者だけを対象にしています。本研究のターゲットは中高年です。横浜市から無料の歩数計をプレゼントされた市民に、ランダムに送付されたアンケートの回答を用いた研究です。非常にシンプルな試験デザインで、ポケモンGOの発売前後で、中高年のプレイヤーと非プレイヤーの歩数に差があるかどうかを検証したものです。40歳以上の合計46人のプレイヤーと184人の非プレイヤーが、性別、年齢層、身体活動レベルでマッチングされ、比較されました。プレイヤーと非プレイヤーの平均年齢はそれぞれ56.5±9.9歳、57.3±9.6歳で、リリース前の平均歩数はそれぞれ7,641.8±2,754.5歩と7,903.3±2,674.7歩でした。5,000歩くらいかと思ったんですけど、結構頑張って皆さん歩いておられるんですね。さて、リリースしてからですが、夏場はさすがに暑くて皆さん歩けなかったのかもしれませんが、冬の時期にはプレイヤーのほうがたくさん歩いていることがわかります(図)。ただ、有意なのは11月、12月、2月の3ヵ月で、それ以外は何とも言えない結果でした。 図. ポケモンGOリリース後の歩数(文献より引用)画像を拡大するポケモンGOはインストールしてから最初の1週間で、1日約1,000歩増える効果があることがトップジャーナルで報告されています1)。ただ、その効果は一時的で、インストール2週目から漸減し、6週目にはインストール前まで戻ってしまうと考えられてきました。ポケモンGOを続けることで、中高年にとってトータルの歩数が増える効果があるのならば、類似のアプリをどんどんリリースし続けてほしいと思います。…そういえば、ポケモンGOってまだ皆さんやっているんですか?1)Howe KB, et al. BMJ. 2016;355:i6270.