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2023年、がん専門医に読まれた記事は?Doctors’Picksランキング

 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」は、2023年の1年間で、がん専門医によく読まれた記事ランキングを発表した(対象期間は2023年1月1日~12月19日)。 昨年まで上位に入っていた新型コロナ関連の話題はトップ10から姿を消し、国内外の臨床腫瘍に関する学会の話題や、注目の臨床試験の結果を掲載したジャーナルの紹介記事が上位にランクインしている。【1位】第20回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2023|CareNet.com(2/22公開) 2023年3月16~18日に開催された日本臨床腫瘍学会学術集会。2月16日に開催されたプレスセミナーで、会長の馬場 英司氏(九州大学)らが注目演題を発表した。【2位】Doctors' Picks 2023 ASCO特設サイト|CareNet.com(5/31公開) 2023年6月2~6日(現地時間)、世界最大の腫瘍学会であるASCO2023(米国臨床腫瘍学会年次総会)が米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催。がん種別のお勧め演題をエキスパートのコメントと共に紹介。【3位】EGFR陽性NSCLCの術後補助療法としてのオシメルチニブ/ADAURA試験OS解析|ASCO(4/27公開) EGFR陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法としてのオシメルチニブはすでに有用な結果が報告されているが、この第III相ADAURA試験の全生存期間(OS)の解析結果が国臨床腫瘍学会(ASCO2023)のPlenary Sessionで発表された。【4位】ASCO2023 FLASH 消化器がん/国立がん研究センター中央病院 大場 彬博氏|CareNet.com(6/6公開) 2023年6月2日から6日まで開催された2023 ASCO Annual Meetingで発表されたplenary sessionのPROSPECT試験をはじめとした消化器腫瘍のトピックを、国立がん研究センター中央病院の大場 彬博氏が動画でレビュー。【5位】Guardant360 CDxリキッドパイオプシー検査が保険償還|GUARDANT(7/11公開) 米国Guardant Healthは、同社のGuardant360 CDxリキッドバイオプシー検査について、7月24日付で日本国内における保険償還が承認される見通しだと発表した。 6~10位は以下のとおり。【6位】ESMO2023、肺がん領域の注目演題/新潟県立がんセンター新潟病院 三浦 理氏|ESMO(10/16公開)【7位】MSI-High固形がんに対するペムブロリズマブ/KEYNOTE-164最終解析|Clinical Cancer Research(5/16公開)【8位】神経内分泌がん、化学療法耐性後のFOLFIRI vs.FOLFIRI+ベバシズマブ|Lancet Oncology (2/7公開)【9位】IO+Chemo後のラムシルマブ+ドセタキセルの評価/NEJ-051|Eur J Cancer(3/14公開)【10位】ASCO2023 FLASH 肺がん/神奈川県立循環器呼吸器病センター 池田 慧氏|CareNet.com(6/8公開)

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移植適応多発性骨髄腫の1次治療、ダラツムマブ上乗せでPFS延長/NEJM

 新規に診断された移植適応多発性骨髄腫患者において、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd)の導入/地固め療法+レナリドミド維持療法へのダラツムマブ皮下投与上乗せにより、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長した。オランダ・エラスムスMCがん研究所のPieter Sonneveld氏らが、欧州およびオーストラリアの14ヵ国115施設で実施された多施設共同無作為化非盲検第III相試験「PERSEUS試験」の結果を報告した。ヒト型抗CD38モノクローナル抗体のダラツムマブは、多発性骨髄腫に対する標準的な治療レジメンとして承認されているが、新規診断の移植適応多発性骨髄腫患者におけるダラツムマブ皮下投与とVRd併用療法の評価が求められていた。NEJM誌オンライン版2023年12月12日号掲載の報告。ダラツムマブ皮下投与+VRd(D-VRd)vs.VRd単独に無作為化 研究グループは、2019年1月19日~2020年1月3日に、18~70歳で新たに多発性骨髄腫と診断され、大量化学療法および自家造血幹細胞移植の適応があるECOG PS 0~2の患者709例を、移植前VRd導入療法+移植後VRd地固め療法+レナリドミド維持療法にダラツムマブ皮下投与を併用する群(D-VRd群)と、併用しない群(VRd群)に、国際病期分類(I、II、III)および細胞遺伝学的リスク(標準、高)で層別化し1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。 主要評価項目はPFSとし、重要な副次評価項目は完全奏効以上の患者の割合(CR率)、微小残存病変が陰性(閾値10-5)の患者の割合(MRD陰性化率)、全生存期間(OS)であった。D-VRd群でPFSが有意に延長、疾患進行または死亡のリスクはVRd群より58%低下 追跡期間中央値47.5ヵ月(範囲:0~54.4)の時点で、D-VRd群では355例中50例(14.1%)、VRd群では354例中103例(29.1%)に病勢進行または死亡を認めた。 48ヵ月無増悪生存率は、D-VRd群84.3%(95%信頼区間[CI]:79.5~88.1)、VRd群67.7%(62.2~72.6)、D-VRd群のVRd群に対する病勢進行または死亡のハザード比(HR)は0.42(95%CI:0.30~0.59、p<0.001)であった。 CR率はD-VRd群がVRd群より高く(87.9% vs.70.1%、p<0.001)、MRD陰性化率も同様であった(75.2% vs.47.5%、p<0.001)。少なくとも12ヵ月間MRD陰性状態が持続した患者の割合は、D-VRd群64.8%、VRd群29.7%であった。 死亡はD-VRd群34例、VRd群44例であった。 Grade3または4の有害事象の発現率はD-VRd群91.5%、VRd群85.6%で、主な事象は好中球減少症(それぞれ62.1%、51.0%)、血小板減少症(29.1%、17.3%)、下痢(10.5%、7.8%)、肺炎(10.5%、6.1%)、発熱性好中球減少症(9.4%、10.1%)であった。重篤な有害事象はD-VRd群で57.0%、VRd群で49.3%に発現した。

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第176回 紙の保険証は来年12月2日に廃止、マイナ保険証を導入へ/政府

<先週の動き>1.紙の保険証は来年12月2日に廃止、マイナ保険証を導入へ/政府2.来年度の新型コロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円/政府3.来年度の社会保障費過去最大の37兆円、医療・介護従事者の賃上げが実現へ/政府4.地方では3割以上の人口減、日本の2050年を予測/社会保障・人口問題研究所5.健康増進のための睡眠ガイド、成人は6時間以上を推奨/厚労省6.甲南医療センター院長らが書類送検、再発防止を求めて遺族会が発足/兵庫1.紙の保険証は来年12月2日に廃止、マイナ保険証を導入へ/政府政府は、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」へ移行して、2024年12月2日に現行の健康保険証を廃止することを閣議決定した。この変更により、現行の保険証は最長1年間使用可能な経過措置が設けられるが、新規発行は停止される。マイナ保険証を持たない人には、保険証の代わりとなる「資格確認書」が発行され、その有効期限は5年間となる。この政策に対して、ネット上では、政府の方針に対して「取得は任意だったはず」「進め方が詐欺的」といった不満が噴出している。政府は、医療機関や保険者、事業主と連携して利用促進に努めるとともに、マイナ保険証の利用率増加に応じた支援金の周知や、保険証の不安払拭やマイナンバーカード取得の円滑化に向けた取り組みを進めていく方針を明らかにしている。閣議決定では保険者の準備や窓口での円滑な対応を考慮して決定されたが、実際にマイナ保険証が使えなかったケースも報告されており、政府は引き続き周知広報を進めるとしている。マイナ保険証への変更は、わが国の社会保障制度におけるデジタル化の一環として注目されているが、利用率は4.5%に止まり、さらなる普及には国民の理解が不可欠となる。デジタル庁は、来年度の予算でマイナンバーカードの利便性向上・利活用シーンの拡大をさらに推進するするとともに、個人情報保護の体制強化に乗り出す方針を明らかにしている。参考1)健康保険証、来年12月2日に廃止 経過措置1年(CB news)2)紙の健康保険証は24年12月2日に廃止「マイナ保険証」へ一本化する期日を閣議決定(ITmedia NEWS)3)マイナ保険証移行で医療効率化へ 利用率は4.5%どまり(日経新聞)4)マイナンバー制度の普及推進継続 個人情報保護の体制強化に21億円(朝日新聞)2.来年度の新型コロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円/政府政府は、65歳以上の高齢者と一定の基礎疾患を持つ60~64歳を対象とする、来年度の新型コロナウイルスワクチン定期接種の標準的な自己負担を7,000円とする方針を決定した。低所得者には接種費用の一部を助成し、実際の自己負担額が7,000円より低くなる可能性もある。一方、定期接種の対象者は65歳以上の高齢者と60~64歳で基礎疾患のある人で、それ以外の任意接種者は助成対象外となり、原則全額自己負担となる見込み。今年度までのコロナワクチンは全世代を対象に公費で全額負担されていたが、来年度からは年1回、秋から冬に接種する定期接種となる。政府は、ワクチン価格が3,260円、診察など接種にかかる手技料が3,740円の計7,000円と見積もっており、来年2月ごろにメーカー各社から価格を聞き取り、超過する場合は対応を検討する。この政策に対し、全国知事会からは負担軽減策を求める声が上がっている。米国ではワクチンの価格と手技料を合わせて2万円前後とされており、来年度以降、定期接種が高額になるケースが想定されている。政府は、接種費用の一部を助成し、市町村に助成金を交付して、国民の負担を軽減を目指している。参考1)コロナワクチン、自己負担7千円に 来年度、高齢者ら対象の定期接種(朝日新聞)2)コロナワクチン定期接種、自己負担の上限7,000円に…自治体が補助上乗せなら減額(読売新聞)3)コロナワクチン定期接種の自己負担7千円 来年度、政府が超過分助成へ(産経新聞)3.来年度の社会保障費過去最大の37兆円、医療・介護従事者の賃上げが実現へ/政府政府は12月24日、2024年度の予算案を閣議決定し、社会保障関係費が過去最大の37兆7,193億円に達することが確認された。この中で、医療費は12兆3,668億円を占める。来年度の診療報酬改定においては、本体部分が0.88%プラスに設定され、これにより看護師や医療関係職種の賃上げが実現される見込み。なお、賃上げ率は定期昇給を含めて約4%になると予測されている。一方、薬価は1%引き下げられ、診療報酬全体の改定率はマイナス0.12%となり、医療費の抑制効果は限定的となる見通し。また、後発薬の供給不足に対応するため636億円が投入され、医療や介護のデジタル化推進にも30億円が割り当てられる。このほか、特許切れの先発医薬品に対する後発薬との差額の25%が新たな患者負担となる見込み。介護分野では、報酬の引き上げにより賃金体系の底上げを図り、人手不足の解消を目指す方針。しかし、介護保険サービス利用者の自己負担引き上げは見送られ、高齢化に伴う費用増加への対応には課題が残されている。政府は、医療費の抑制と賃上げのバランスを考慮しながら、次世代への負担を軽減する持続可能な医療体系の構築を目指しているとのこと。参考1)令和6年度予算政府案(財務省)2)24年度予算案、社保費膨張で初の37兆円 総額112兆円(日経新聞)3)社会保障費、過去最大の37.7兆円 来年度予算案決定(CB news)4)来年度予算案 閣議決定 一般会計総額 2年連続110兆円超(NHK)4.地方では3割以上の人口減、日本の2050年を予測/社会保障・人口問題研究所国立社会保障・人口問題研究所が12月22日に公表した2050年の地域別将来推計人口によると、わが国の総人口は2,146万人減の1億468万人になる見込みで、東京を除く46道府県で人口が減少する。とくに秋田、青森、岩手など11県では、30%以上の人口減が予測されており、25道県では65歳以上の人口割合が4割を超えるとされている。地方の人口減少と高齢化は加速度的に進行し、東京への一極集中が深刻化すると予想されている。市区町村別では、全体の95.5%で2050年の人口が2020年に比べて減少し、19.7%は半数未満になると推計。また、全国的に人口減のスピードは加速し、とくに地方では社会基盤の維持が困難になる可能性が指摘されている。2050年には、全体の2割にあたる11の県で30%以上減少し、多くの地域で高齢者も減少し、人口減少が進むペースに地域差が出ることが明らかになった。専門家は、とくに人口減少のペースが早い地域では、インフラや公共交通機関が過剰なサービスにならないか、人口の規模に見合うよう見直すきっかけにするべきだと指摘している。また、地方の人口減少を止めるためには企業の役割が重要で、新たな投資を行い、地域で事業を継続・発展させ、雇用を生み出すことが必要だとも述べている。参考1)『日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)』(国立社会保障・人口問題研究所)2)2050年の人口、東京への一極集中が深刻化…46道府県で減少(読売新聞)3)人口減少の日本 2050年にはどうなる 最新データからわかること(NHK)4)2050年の人口、11県で3割減予測 25道県で高齢者4割に(毎日新聞)5.健康増進のための睡眠ガイド、成人は6時間以上を推奨/厚労省厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会」が新たにまとめた「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が公表された。公表された睡眠ガイドでは、睡眠の量と質の確保を目的とし、年代別に睡眠時間の目標を設定しており、小学生は9~12時間、中高生は8~10時間、成人には毎日6時間以上の睡眠を推奨している。一方、高齢者に対しては8時間以上の寝床時間を避けることが推奨されている。また、睡眠の質を向上させるための具体的なアドバイスも提供されており、日中の日光浴、寝室の暗さの確保、カフェイン摂取の制限などが挙げられている。日本人の睡眠時間は、世界的にみても短い傾向にあり、睡眠不足は、日中の眠気や疲労に加え、頭痛などの心身愁訴の増加、情動不安定、注意力や判断力の低下に関連した作業効率の低下・学業成績の低下など、多岐にわたる影響を及ぼし、事故など重大な結果を招く場合もある。さらに睡眠不足が慢性化すると肥満や心疾患などのリスクが高まることも指摘されている。睡眠の質を高めるためには、寝始めから3時間の睡眠が重要であり、適切な生活習慣の維持が求められている。さらに、睡眠に関する悩みを持つ人々のための専門的なサポートや、睡眠に特化したサービスを提供する施設の充実が求められている。参考1)健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)(厚労省)2)睡眠時間の推奨 成人は6時間 “睡眠の質”上げるポイントは?(NHK)3)成人は6時間以上… 「健康に良い睡眠」ガイド案 厚労省検討会(毎日新聞)4)成人は睡眠6時間以上推奨 健康づくりで厚労省ガイド(日経新聞)6.甲南医療センター院長らが書類送検、再発防止を求めて遺族会が発足/兵庫神戸市東灘区の甲南医療センターで勤務していた26歳の専攻医、高島 晨伍氏が過労に伴い自殺した問題に関連して、西宮労働基準監督署は病院の運営法人「甲南会」や院長、上司だった医師を労働基準法違反の疑いで書類送検した。高島氏は、長時間労働が原因で2022年5月に自宅で自死した。同氏の直前1ヵ月間の時間外労働は207時間50分に及び、約100日間休日がなかったとされている。この事件を受けて、同氏の遺族らは「医師の過労死家族会」を立ち上げ、厚生労働省に医師の働き方改革を進めるよう強く求めた。家族会は、医師の労働時間が正確に反映されるよう要求し、すべての医療従事者に労務管理についての研修を義務付けることなどを含む請願書を提出した。母親である高島 淳子氏は、「患者の命を守る医師が命を落とすことはあってはならない」と述べ、労働環境の改善を強く希望した。武見 敬三厚生労働省大臣は、悪質な労基法違反には厳正に対処すると述べ、医師の働き方改革が重要な議題であると強調した。また、医師臨床研修病院に指定されている甲南医療センターで専攻医の過労自殺が起きたことについて、適切な労働時間と健康の管理が重要な課題であると指摘した。この事件は、医師の過重労働が医療安全に及ぼす影響と、医師自身の健康と命を守るための労働環境改善の必要性を浮き彫りにした。また、家族会の活動と政府の対応は、医師の過労死を防ぐための働き方改革の進展に向けた重要な一歩となることが期待されている。なお、医師の過労死家族会では、全国的活動、労災支援、行政訴求などの活動のための寄付を募っている。参考1)医師の過労死家族会2)甲南医療センター医師の過労自殺、病院側と院長らを書類送検 西宮労基署、労働基準法違反容疑(神戸新聞)3)「悪質な労基法違反は厳正に対処」厚労相 若手医師の過労自殺うけて(朝日新聞)4)神戸の病院で過労死した医師の母親など 家族会結成し国に要望(NHK)

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トレンド・トーク:新たな治療薬の登場で、胃がん1次治療はどう変わる?(1)【消化器がんインタビュー】第14回

第14回 トレンド・トーク:新たな治療薬の登場で、胃がん1次治療はどう変わる?(1)出演:一宮西病院 腫瘍内科 松本 俊彦氏ニボルマブを含むレジメンが承認されたHER2陰性切除不能胃がんの1次治療。今後もペムブロリズマブ、抗CLDN18.2抗体zolbetuximabも選択肢として加わる可能性がある。HER2陰性胃がんの1次治療はどう変わっていくのか?3名のエキスパートに聞いた。

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リサーチ・クエスチョンのブラッシュアップ ‐E(要因)およびC(比較対照)設定の要点と実際 その2【「実践的」臨床研究入門】第39回

C(比較対照)をおかなければ因果関係(影響や効果など)はわからないまずは、よくある? CMのお話です。 ◯◯サプリメントを飲み続けてやせた人の経験談をもとに、◯◯サプリメントを飲んだ! やせた! ◯◯サプリメントはダイエットに効いた!? 「※個人の感想です」誰もが「眉唾」な話、と思うのではないでしょうか。なぜなら、ダイエットに成功したのは、サプリメント(だけ)ではなく、食事制限や運動などによる効果の結果かもしれないからです。このような3段論法まがいの誤った論理展開を、(雨乞い)3「た」論法、と呼びます。これは、東京医科歯科大学名誉教授(臨床薬理学・生物統計学)であられた故佐久間 昭先生が著書で述べられた、以下の文章に由来するようです。雨乞いの太鼓を叩いた、雨が降った、故に雨乞いの太鼓が雨を降らせた?雨乞いの太鼓は雨が降るまで続けられるでしょうし、降り止まない雨はありませんよね。したがって、雨乞いの太鼓と降雨に因果関係があると言うのは問題がある、とすることには異論はないでしょう。臨床現場における薬剤などの治療効果判定でも同じです。なんらかの疾患(症状)に、ある薬剤を投与し、効果? がみられたケースだけを取り上げて、単純に「使った、治った、効いた」とするのも、また3「た」論法です。C(比較対照)をおかなければ、E(曝露要因)もしくはI(介入)とO(アウトカム)との関連や因果関係(影響や効果)は検証できないのです。それでは、理想的なCとはどのようなものでしょうか。理想的なC、比較対照群とは、臨床研究でOとの関連や因果関係(影響や効果)を検証したいEもしくはI以外の「背景要因」がまったく同じ集団、となります。「背景要因」は測定可能なものと測定できないものに分けられます。測定可能な背景要因には、臨床研究論文のTabel 1.でよく記述されている以下のような要因が挙げられます。年齢、性別、併存疾患、BMI、各種検査所見、等々一方、背景要因には、日常臨床では測定不可能なものも多々あります。たとえば、以下のような要因です。遺伝的背景、生活習慣、社会経済因子、等々理想的なC、比較対照群を設定するためには「ドラえもん」のひみつ道具のひとつである「コピーロボット」が必要だよね、と筆者はよく説明しています。「コピーロボット」はその鼻を押すことで、押した人間(動物)とそっくりなコピーとなるロボットです。「ドラえもん」どんぴしゃり世代の筆者にとっては、わかり易い説明だと思っているのですが、最近の若い方にはピンとこないかもしれません…。今のところ「コピーロボット」が存在しないこの世の中では、同じ個人が「同時にあるE」もしくは「Iがあった場合となかった場合」を比較することはできません(反事実モデル)。ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)では、ランダム(無作為)割付により、IとCの間の背景要因が測定可能なものだけでなく測定不可能なものも均衡化することが期待され、反事実モデルを推定しているのです(連載第6回参照)。われわれが計画しているのは観察研究のひとつである(後ろ向き)コホート研究です(連載第37回参照)。観察研究でも、皆さんが大好きな多変量解析やマッチングなどの手法を用いてRCTと同様に、反事実モデルの推定を試みています。言い換えると、多変量解析モデルなどの統計学的手法を用いて、いわゆる「交絡因子」を制御し、EとOとの関連や因果関係を検証しているのです。次回からは、架空の臨床シナリオに基づいた仮想データ・セットや実際に英語論文化した臨床研究の実例を用いて、具体的な統計解析手法についても解説していきます。

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アンドロゲン遮断療法後に狭心症を発症した症例【見落とさない!がんの心毒性】第27回

※本症例は、実臨床のエピソードに基づく架空のモデル症例です。あくまで臨床医学教育の普及を目的とした情報提供であり、すべての症例が類似の症状経過を示すわけではありません。《今回の症例》年齢・性別70代・男性主訴ECG異常、NT-proBNP高値既往歴高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙歴(+)、飲酒歴(-)家族歴父親:大腸がん、母親:狭心症現病歴X-9年の人間ドック受診時にPSA上昇を指摘されたため精査目的で泌尿器科を受診、前立腺生検を施行した。初回ならびに2回目(X-7年)の生検では陰性であったが、X-5年のドック検査でPSAがさらに上昇したことからMRI検査ならびに3回目の生検を施行し、前立腺がんと診断された。がん治療はアンドロゲン遮断療法(androgen deprivation therapy:ADT)と放射線の併用療法が選択された。X-5年3月から同年12月まで第一世代抗アンドロゲン薬が投与され、X-5年4月からX-4年6月までGnRHアゴニストが併用された。さらに、放射線療法(78Gy)をX-5年10~12月まで施行された。その結果、PSAは正常化した。がん治療終了後に心臓CT検査を施行したが、冠動脈に有意な狭窄は認めなかった。その後、泌尿器科の定期的な受診とかかりつけ医で生活習慣病の治療を受けており、引き続き年1回の人間ドックは当院を受診していた。X年に受診した人間ドックで運動負荷試験陽性(図1)、NT-pro BNP高値を指摘された。胸痛などの自覚症状は認めなかったが糖尿病などのリスク因子を有しており、虚血性心疾患の合併を疑い、精査加療目的で循環器内科を紹介し受診された。(図1)X年の人間ドックでの運動負荷心電図試験(マスターダブル負荷)画像を拡大するX年に受診した人間ドック時運動負荷心電図ではV4-V6でST低下を認め、NT-proBNP 152pg/mLの上昇を認めた。本例は、前立腺がん治療終了後に心臓CT検査が施行されるも、冠動脈に有意狭窄は認められず、前年までの運動負荷心電図所見の異常はなかった。心電図変化は比較的軽く、自覚症状も認めなかったが、高齢かつ複数の動脈硬化危険因子を有していたこと、ADTを施行されていたことから心血管疾患の合併を疑い精査を行った。循環器専門病院で施行した冠動脈造影検査では左冠動脈#7に75~90%狭窄を認めたため、同部位に冠動脈形成術(ステント留置術)を施行した。【問題】本症例の治療に際して注意する点として、適切な答えを選択せよ。a.前立腺がん症例の多くは、治療前より高齢、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙などの心血管リスクを複数有している事が多く、がん治療を施行する際には心血管毒性に対する注意が必要である。b.ADTの施行後は肥満症、糖尿病、脂質異常症を来すことがあり、その後の動脈硬化症や冠動脈疾患の発症に注意が必要である。c.症候性冠動脈疾患の既往を有する症例に対し、ADTを施行する際には、心血管リスクの有無を考慮したがん治療薬の選択が重要である。d.ADTにおける筋肉系合併症としてはサルコペニア・運動耐容能の低下、骨関連合併症としては骨粗鬆症・骨折などを認めることがあるので注意を要する。e.すべて正しい1)Studer UE, et al. J Clin Oncol. 2006;24:1868–1876.2)Calais da Silva FE, et al. Eur Urol. 2009;55:1269–1277.3)Weiner AB, et al. Cancer. 2021;127:2895-2904.4)Klimis H, et al. J Am Coll Cardiol CardioOnc. 2023;5:70-81.5)Narayan V, et al. J Am Coll Cardiol CardioOnc. 2021;3:737-741.6)Chen DY, et al. Prostate. 2021;81:902-912.7)Okwuosa TM, et al. Circulation. 2021;14:e000082.8)Lyon AR, et al. Eur Heart J. 2022;432:4229-4361.講師紹介

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外傷の処置(8)水いぼの治療【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q98

外傷の処置(8)水いぼの治療Q98初夏の徐々に暑さが厳しくなるころ、4歳女児を連れた両親が山奥の診療所に皮疹を主訴に来院した。女児の腹部から背部にかけて、光沢のある丘疹が散見され、そう痒感が強いと言う。かいていたら、どんどん広がってきたとのことだった。皮疹の形状、病歴からは水いぼ(伝染性軟属腫)のようだ。治療はどうしようか。

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事例038 C101 在宅自己注射指導管理料の導入期加算の算定漏れ【斬らレセプト シーズン3】

解説持続性GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名:マンジャロ皮下注2.5mgアテオス)の院内新規採用があったので、「C101 在宅自己注射指導管理料」(以下「同管理料」)の注3の処方変更時の導入初期加算(以下「同加算」)に漏れがないかを調べてみました。同加算の算定漏れを複数件みつけて返戻再請求を行いました。また、同様事例が他院でもありました。原因は次のとおりでした。同管理料注3には「処方内容に変更があった場合に、当該指導を行った日の属する月から起算して1月を限度として、1回限り」とあります。留意事項において「処方内容の変更とは、別表第9に掲げる注射薬に変更があった場合」と定義されています。この「注射薬の変更」の判断を、「日本標準商品分類番号」や「薬効分類名」ですると誤解されており算定漏れにつながっていました。「注射薬に変更があった場合」とは、「一般的名称に変更があった場合」であると2014年に疑義解釈が発出されています。2020年度の診療報酬改定にて「一般名」から「注射薬」に文言修正されましたが、この「一般的名称」で判断することには変わりありません。したがって、別表第9に示された分類の中で、「一般的名称」が異なる薬剤に変更した場合は、同加算が算定できます。なお、過去1年以内に使用したことのある一般的名称に変更した場合には、算定できません。薬剤変更暦が確認できる台帳や履歴表示の仕組みがないと誤算定につながりますので留意が必要です。算定漏れ防止対策として、同加算は「一般的名称」で判断することを院内連絡し、処方システムには前回処方と異なる場合に「同加算が算定可能」とアラート表示されるように改修をしました。

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肥満手術で造血器腫瘍リスクが長期にわたって低下

 肥満が2型糖尿病や心血管疾患などの重篤な合併症と関連することは知られているが、肥満が悪性腫瘍の危険因子であることも明らかになってきた。肥満患者へ肥満手術を行うことでがんの発症リスクが低下するとされるが、新たな研究により、肥満手術が造血器腫瘍のリスクを低下させることが示された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のKajsa Sjoholm氏らによる本研究の結果は、Lancet Healthy Longevity誌2023年10月号に掲載された。 本試験では、前向き対照Swedish Obese Subjects研究で、肥満手術を受けた人と通常の治療を受けた人の全死亡率を比較した。参加者はスウェーデン全土で募集され、組み入れ基準は年齢37~60歳、検査前または検査時のBMIが男性34、女性38以上であった。主なアウトカムは造血器腫瘍の発生率と死亡率で、悪性リンパ腫、骨髄腫、骨髄増殖性新生物、急性および慢性白血病を含む造血器腫瘍のイベントは、Swedish Cancer Registryから収集した。 主な結果は以下のとおり。・1987年9月1日~2001年1月31日に計4,047例の肥満症患者(肥満手術群:2,007例、標準治療群:2,040例)が登録された。女性が多く(71%)、肥満手術群は胃バイパス術(266例)、胃バンディング術(376例)、垂直胃形成術(1,365例)を受け、標準治療群はプライマリ・ヘルスケア・センターで肥満に対する標準治療を受けたが、生活習慣への高度なアドバイスや専門的治療は受けなかった。・追跡期間中央値は肥満手術群24.4年、標準治療群22.7年であった。肥満手術群は2年後の追跡調査で体重が平均28.5kg減少し、10年後は20.8kg、15年後は21.2kg減少していた。標準治療群の体重変化は小さく、増減とも平均3kgを超えなかった。・造血器腫瘍と診断されたのは肥満手術群34例、標準治療群51例(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.39~0.92、p=0.020)、うち死亡例は肥満手術群3例、標準治療群13例であった(HR:0.22、95%CI:0.06~0.76、p=0.017)。・肥満手術は悪性リンパ腫の発生率低下とも関連していた(HR:0.45、95%CI:0.23~0.88、p=0.020)。・男女間で治療効果に有意差が認められ、女性では肥満手術は造血器腫瘍の発生率低下と関連したが(HR:0.44、95%CI:0.26~0.74、p=0.002)、男性では関連しなかった(HR:1.35、95%CI:0.58~3.17、p=0.489)(交互作用のp=0.031)。 研究者らは、「肥満手術は、とくに女性において、造血器腫瘍の発生率減少と関連していた。がん予防の分野で働く医療提供者および政策立案者は、肥満の人々に対する1次予防として肥満手術を考慮すべきである」としている。

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脳小血管病発症前のメトホルミン服用、予後を改善/新潟大

 糖尿病治療で多用されているメトホルミンに神経保護作用がある可能性が示唆されている。この可能性に関し、新潟大学脳研究所脳神経内科学分野の秋山 夏葵氏らの研究グループは、国立循環器病研究センターと共同で研究を行った。その結果、メトホルミンによる脳小血管病に対する神経保護効果が明らかとなった。Journal of the Neurological Sciences誌2024年1月号掲載の報告。メトホルミンは血液中の炎症を抑制する 秋山氏らは、2病院において脳卒中発症前に何らかの経口糖尿病治療薬を服用していた血管内治療適応のない虚血性脳卒中の2型糖尿病患者160例の臨床情報、画像データを収集、解析を行った。神経学的重症度の低下は、入院時のNational Institutes of Health Stroke Scaleスコア3以下、良好な機能的転帰は退院時のmodified Rankin Scaleスコア=0~2と定義した。虚血性脳卒中のサブタイプごとに、神経学的重症度と機能的転帰に対するメトホルミンの効果を、複数の交絡因子を調整したロジスティック回帰分析で解析した。 主な結果は以下のとおり。・脳梗塞発症前のメトホルミン治療が、とくに細い血管が障害される脳梗塞(脳小血管病)のタイプの患者において、神経症状の重症度軽減と退院時の症状改善に関係していた。・メトホルミンを内服している患者とそうでない患者を比較すると血液中の炎症を反映する指標(好中球/リンパ球比や炎症性サイトカインIL-6値)が、メトホルミンを内服している患者のほうが低く、炎症が抑えられていた。・脳卒中のサブタイプにおいて、メトホルミンの使用は、小血管病変(SVD)を有する患者においてのみ、神経学的重症度(p=0.037)と機能的転帰(p=0.041)の両方に影響を与えた。 本研究において、メトホルミンはSVD患者の予後改善に有用だった。秋山氏は「脳梗塞発症前の具体的なメトホルミンの投与量や投与期間を検討することが、実際の治療のためには必要。メトホルミンの投与期間と投与量に関する前向き検証研究が今後の課題」と展望を語っている。

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統合失調症外来患者におけるアリピプラゾール月1回製剤治療のフォローアップ結果

 統合失調症治療における重要な目標は、症状、心理社会的機能、ウェルビーイングなどのさまざまな問題を寛解状態に導くことである。米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U. Correll氏らは、ドイツの75施設で実施されたアリピプラゾール月1回製剤を用いた6ヵ月間の非介入研究に登録された安定期統合失調症の外来患者を対象に、臨床アウトカムデータの事後分析を実施した。Schizophrenia(Heidelberg、Germany)誌2023年11月8日号の報告。 主要アウトカムは次の3つ。(1)症状寛解(横断的Andreasenらの基準:BPRSにおける陽性・陰性主要症状が軽度以下)、(2)機能的寛解(GAFスコア70超)、(3)24週目のウェルビーイングの寛解(WHO-5スコア13以上)。登録患者242例中、完全なデータを有する194例(80.2%)を分析した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象患者194例は、平均年齢43.9±15.3歳、男性の割合51.5%、平均罹病期間14.0±12.0年であった。・症状寛解達成患者は61.3%、ウェルビーイングの寛解達成患者は76.8%であったが、6ヵ月時点で心理社会的機能寛解達成患者は24.7%であった。・寛解率は、男女ともに同様であり、罹病期間の階層別でも同様であったが、平均罹病期間が長い患者ほど寛解率は低かった。・BPRSとGAFの改善の相関は弱かった。BPRSの抑うつ症状とGAFスコアとの相関が最も低かったが、BPRS下位尺度および抑うつ症状とウェルビーイングとの相関は高かった。 著者らは「アリピプラゾール月1回製剤による治療は、症状やウェルビーイングの寛解につながるが、機能的寛解を達成するためには、心理社会療法や雇用支援、教育などの追加介入が必要になる可能性が示唆された」としている。

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PDE5阻害薬、子供を増やす可能性/BMJ

 勃起不全の薬物治療の標的として確立しているホスホジエステラーゼ5(PDE5)の阻害は、遺伝学的に服用した男性の子供の数を増加させる可能性があることが、英国・ブリストル大学のBenjamin Woolf氏らの検討で示された。PDE5阻害薬は勃起不全の治療としてよく用いられているが、男性患者の生殖能力、性行動、主観的なウェルビーイングに及ぼす影響は不明であった。BMJ誌2023年12月12日クリスマス特集号「ANNUAL LEAVE」掲載の報告。メンデル無作為化研究によりPDE5阻害の遺伝学的な影響を評価 研究グループは、PDE5阻害(代替バイオマーカーとして拡張期血圧の低下を使用)と、男性の生殖能力、性的行動、自己報告によるウェルビーイングとの関連を評価する目的で、シス-メンデル無作為化研究を行った。 解析には、International Consortium for Blood PressureおよびUK Biobankから得られた遺伝的関連についての要約データを用いた。 International Consortium for Blood PressureとUK Biobankに参加した77のコホート、欧州系の合計75万7,601例について、拡張期血圧のゲノムワイド関連メタ解析を行い、PDE5阻害の指標となる遺伝子の一塩基多型を同定した。次いで、UK Biobankから得られた男性21万1,840例のデータを使用し、遺伝学的に推定されるPDE5阻害と、男性の子供の数、性的パートナーの数、性交渉の経験がない確率、および自己報告によるウェルビーイングとの関連を評価した。PDE5阻害は、男性がより多くの子をもうけることと関連 PDE5を代用阻害する5つの遺伝子変異が同定された。 シルデナフィル100mgの拡張期血圧低下作用(5.5mmHg)に換算すると、PDE5の遺伝子代用阻害は、男性参加者の子供の数が平均0.28人(95%信頼区間:0.16~0.39、偽発見率補正p<0.001)多いことと関連していた。この関連は女性参加者では確認されなかった。 PDE5の遺伝子代用阻害と、男性におけるその他の評価項目(性的パートナーの数、性交渉の経験がない確率、自己報告によるウェルビーイング)との関連は、いずれも確認されなかった。 著者は結果を踏まえて、「PDE5の遺伝子代用阻害と子供の数の増加との関連が女性参加者ではみられなかったことは、潜在的に根底にあるメカニズムとして、持続的で強力な勃起傾向が増すことを裏付けている。だからといって、有害な副作用を引き起こす可能性もあるPDE5阻害薬のむやみな使用を促進するべきではなく、さらなる研究が必要である」とまとめている。

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食塊による食道完全閉塞、コーラで改善するか/BMJ

 オランダ・アムステルダム大学医療センターのE G Tiebie氏らは、多施設共同無作為化非盲検比較試験において、コーラの摂取は食塊による完全な食道閉塞の改善率を高めないことを報告した。食塊による完全な食道閉塞に対しては、現在、侵襲的で高額な医療費を伴う緊急内視鏡治療が望ましいとされ、ガイドラインでは内視鏡の施行が遅れないとの前提で内視鏡前の内科的治療が認められている。一方で、コホート研究や症例シリーズで、コーラの摂取により59~100%の患者で食塊による食道閉塞が改善したことが報告されていた。BMJ誌2023年12月11日クリスマス特集号「FOOD AND DRINK」掲載の報告。介入(コーラ摂取)群vs.対照(自然通過)群の無作為化試験で評価 研究グループは、2019年12月22日~2022年6月16日に、オランダの2次および3次救急病院5施設において、食塊による完全な食道閉塞(食物摂食後に突然唾液を飲み込めなくなることと定義)で受診した18歳以上の成人51例を、介入群と対照群に1対1の割合に無作為に割り付けた。骨を含む肉を食べた患者、および米国麻酔学会(ASA)による全身状態分類がIV以上の患者は除外した。 介入群(28例)にはコーラを1分間隔で25mL、最大合計200mLまで摂取するように指示し、対照群(23例)では自然通過を待った。いずれも、閉塞が完全に消失しなかった場合、現行ガイドラインに従い、完全閉塞の場合は6時間以内、部分閉塞の場合は24時間以内に内視鏡による食塊の除去を実施し、症状が完全に消失した場合は待機的な診断内視鏡検査を行った。 主要アウトカムは、患者報告の食塊による食道閉塞の改善(完全通過と一部通過の合計)、および完全通過。副次アウトカムは介入に関連した有害事象とした。食道閉塞の改善率は両群で同じ 食塊による食道閉塞の改善は、介入群で61%(17/28例)、対照群で61%(14/23)に認められ、食塊による食道閉塞の改善にコーラは有意な効果を示さなかった(オッズ比[OR]:1.00[95%信頼区間[CI]:0.33~3.1]、相対リスク低下:0.0[95%CI:-0.55~0.36]、p>0.99)。 介入群では完全通過を報告した患者の割合が高かったが、有意差はなかった(介入群43%[12/28例]vs.対照群35%[8/23例]、OR:1.4[95%CI:0.45~4.4]、相対リスク低下:-0.23[95%CI:-1.5~0.39]、p=0.58)。 重篤な有害事象は報告されなかったが、介入群の6例(21%)でコーラ摂取後の一時的な不快感を認めた。 著者は、盲検化されなかったこと、症例数が非常に少ないことなどを研究の限界として挙げたうえで、「介入群では有害事象がなく、治療後に消失した症状もあることから、第1選択の治療法としてコーラを考慮するかもしれないが、内視鏡的治療の選択肢は用意しておくべきである」とまとめている。

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患者と家族のための情報サイト「教えて、胆道がん」を開設/AZ

 アストラゼネカは2023年12月11日付のプレスリリースにて、胆道がんの治療に役立つ情報を提供するウェブサイト「教えて、胆道がん」(以下、同サイト)を12月8日にオープンしたことを発表した。認知度が低い胆道がんと患者の悩み 胆道がんは、年間約2万3,000例が罹患しているとされる。その5年生存率は膵がんの次に低く、治療選択肢も長年限られていた1)。同社が2023年2月に実施した「胆道がん患者調査」では、胆道がんと診断される前から胆道または胆道がんについて知っていた患者は2割程度にとどまり、約半数は「まったく知らなかった(名前も聞いたことがなかった)」と回答した。また、がんと診断された後に生活が大きく変化する中で、治療法やその後の経過での体の変化などを医療者に相談できているケースは半数に満たず、医療者との、または職場でのコミュニケーションに関して、悩みなどを患者自身が抱えている場合が多いことも明らかになった。胆道がんの基礎知識から日常生活の悩みや困り事まで役立つ情報を幅広く提供 現況を受け同社は、これまでよく知られていなかった胆道がんについて、罹患した患者が疾患や治療の理解をはじめ、治療や暮らしなど、さまざまな悩みに立ち向かう際に役立つ情報サイトを開設した。 この「教えて、胆道がん」では、胆道がんと診断された患者や家族が抱える疑問・悩みを4つのカテゴリ「胆道がんとは?」「治療」「コミュニケーション」「日常生活」に分け、胆道の基礎知識から、治療中に日常生活を送りやすくするヒントまで、Q&A形式で掲載している。回答は、多くの胆道がん患者と接してきた胆道がん専門医、がん相談支援センターで胆道がんをはじめ多くのがん患者の相談に向き合っている看護師により、それぞれの目線で作成されている。 同サイトを監修した神奈川県立がんセンター総長の古瀬 純司氏は、次のように述べている。「胆道がんは一般の方に十分に知られている病気とはいえず、胆道がんと診断されたことで、患者さんやご家族にとって不安が大きいものと思います。最適な治療を受け、安心して生活していただくには、正確な情報を得ることが大切です。まずは、本サイトにより病気の理解を深めていただければ幸いです。胆道がんでも一人ひとりの病状は異なります。ぜひ、本サイトをご覧いただき、専門の医療者にもっと詳しい情報や治療方針をご相談いただければと思います」。 同社は、「患者さんを第一に考える」を企業バリューの1つとして、患者を中心とした治療支援などの推進に取り組み、新たな治療の提供だけでなく、治療環境の整備、情報提供環境の整備などの活動にも注力している、と述べ、同サイトを通じて「1人でも多くの胆道がん患者とその家族の支援に貢献できるよう、これからもわかりやすい確かな情報発信に努めていく」としている。

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第191回 診療報酬改定の原則が崩壊、日医は岸田政権のもくろみ一蹴ならず

「やっぱり一寸先は闇だったか」2024年度トリプル改定の改定率を見て、そのような思いを強くした。今回の改定率は12月15~16日に診療報酬本体0.88%、薬価がマイナス0.96%で診療報酬全体としては差し引きマイナス0.08%、介護報酬がプラス1.59%、障害者福祉サービス報酬がプラス1.12%と決定した。このうち診療報酬本体の改定率を日本医師会(日医)の勝ちと見るか、負けと見るかはどこに視点を置くかによって変わってくるだろう。保険料負担の引き上げなどによる国民負担増への懸念から診療報酬本体のマイナス改定を主張していた財務省vs.日医という極めてシンプルな視点で見るならば、日医の勝ちである。が、私の雑感ではイーブン、やや負けである。まず、今回は本体0.88%のうち、賃上げ分が0.61%、食費分が0.06%であり、正味の引き上げ幅は0.21%。前会長の中川 俊男氏時代の前回2022年度の改定率は、診療報酬本体プラス0.43%。うち0.2%が不妊治療の保険適用、0.2%が看護師などの賃上げ分で正味が0.03%。実質的にはほぼゼロ改定と言っても過言ではない結果で、中川氏は2期目の会長選出馬を断念するに至った。これとの比較では、現日医会長・松本 吉郎氏のメンツは明らかに保たれた。しかし、中川氏の前に4期8年会長を務めた横倉 義武氏時代の最後の改定である2020年度改定がプラス0.55%で、ここには救急病院の勤務医の働き方改革分が0.08%含まれ、正味が0.47%。横倉氏時代で正味改定率が最低だったのはこの時で、今回の引き上げ幅はその半分以下だ。加えて今回は介護報酬との同時改定時に堅持されてきた、ある“原則”が崩れた。この原則とは日医のメンツを立てるため、介護報酬の改定率が診療報酬本体の改定率を超えることはないというもの。だが、今回は介護報酬がプラス1.59%で、診療報酬本体の改定率を大きく上回った。ちなみに2006年度の同時改定時は診療報酬本体がマイナス1.36%、介護報酬がマイナス0.5%で、下げ幅は診療報酬本体のほうが大きかったため、“原則”から外れたと言う人もいるかもしれない。ただ、この時は2000年に施行された介護保険法で定めた施行5年後の見直しに伴い、同法が2005年度に改正され、同年度に介護報酬も改定率マイナス1.9%と引き下げられた。この分も加えると、2006年度からの介護報酬改定率はマイナス2.4%となるため、おおむね前述の“原則”の範疇内と言える。しかも、今回の介護報酬では改定率の外枠で、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果や光熱水費の基準費用額の増額による介護施設の増収効果としてプラス0.45%相当の改定が見込まれるため、この分を含むと介護報酬はプラス2.04%相当の改定となる。過去の本連載で触れたように日医は賃上げ分や物価高騰対策分を外枠で実現することを目指してきたが、それは叶わなかった。これらを総合すれば、今回の改定率は見かけ以上に日医の敗北要素が多い。さて、なぜこうなったのか? ここからはあくまで推測である。この推測の柱となるのが診療報酬本体、介護報酬ともにプラス改定分の6割超を賃上げ分が占めている点である。ここで岸田 文雄首相の就任時に掲げた政策を思い起こしてみるとよい。岸田首相が自民党総裁選から就任直後まで掲げた政策のキーワードは「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」。その筆頭に挙げた政策が賃上げ実現で、とくに看護・介護・保育関係者の賃上げを明言した。つまり今回の改定で岸田首相は自身の政策の「1丁目1番地」を堅持したのである。首相の我を通したとも言える。そうした事例は過去にもある。2002~06年度までの3回の診療報酬本体の改定率がゼロ改定かマイナス改定という異例の事態だったことだ。このうち2002年度は診療報酬史上初のマイナス改定。また、前述した見かけ上、診療報酬本体改定率が介護報酬改定率を下回ったのも2006年度。この時期に共通する要素はたった1つ。過去にも触れたが、時の首相があの小泉 純一郎氏だったことだ。これも繰り返しになるが、診療報酬改定の過程を読み解ける法則はほとんどないというのがこれまでの私の実感である。ただ、その中でも数少ない法則があるとするならば、(1)診療報酬・介護報酬の同時改定時に介護報酬の改定率が診療報酬本体の改定率を上回らない(2)最終的に首相本人の決断が最優先の2つだった。今でもこの2つはほぼ堅持されていると思ってはいるが、より丁寧にするならば、(3)として「(2)が強ければ、(1)の法則が崩される可能性がある」が加わる。もっとも(2)でも実質的に(3)の意味は含んでいることになるが、より平たく表現するならば(3)が必要になると考えている。さて当の岸田首相は小泉氏と比べると、明らかに大人しく、発する言葉に力強さもない。時にそのことが優柔不断と映ることもある。しかし、注意深く見ると、「増税メガネ」と揶揄される官僚泣かせ、さらには国民泣かせの「こども未来戦略方針」や「防衛増税」を決定している。昨今の政局では完全実現には至らなかったが、自民党内最弱派閥の長だったにもかかわらず、最大派閥の旧安倍派を要職から一掃するなど、ある意味で空気を読まない大胆なことを実行する。そして今回の政局によるさらなる支持率低下の中でも、このトリプル改定で“初志貫徹”した。その意味では「岸田 文雄とは静かなる『小泉 純一郎』」とも言えるのかもしれない。

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心肺蘇生を希望されたとき【非専門医のための緩和ケアTips】第66回

第66回 心肺蘇生を希望されたとき終末期の患者さんをケアするうえで、よく話題に出るのが「心肺蘇生」です。原疾患の進行に伴う終末期の状況では、多くの場合で心肺蘇生のデメリットのほうが大きくなるため、「実施しない」という判断が妥当になります。ただ、そうした場合でも、ご家族が希望することがあります。そのようなときには、どのように対応すればよいでしょうか?今回の質問先日在宅で、もうすぐお看取りになりそうな患者さんの家族から、「遠方の家族が間に合うよう、心臓マッサージをしてください」と言われました。びっくりしたのですが、そのような対応は病院であっても難しい、と説明してなんとか納得してもらいました。このような際には、どのように対応すればよいのでしょうか?病状が徐々に悪化し、それが時間をかけて共有される場合には、心肺蘇生を希望するご家族は少ないように思います。一方、経過が早かった場合や比較的若年の患者さんの場合には、心肺蘇生の希望が出るという経験を私もしています。また、ドラマなどの影響で、「最期は心臓マッサージをするもの」とイメージしている方もいます。ここからは、「医学的に適応のない状況で、家族が心肺蘇生を希望している」という状況を想定してお話しします。まず、こういった問題でしばしばあるのが、医療者側から「心臓マッサージをしますか? しませんか?」と聞くケースです。患者や家族に提供する医療内容に対する希望を尋ねることは大切ですが、そもそも医師として心肺蘇生が有効な状況でないと判断しているのであれば、この質問は適切ではありません。なぜなら、有効でない治療だと判断しているものを、まるで有効な治療であるかのように誤解を与えるからです。そして、家族にとっては大切な方の重要な最期の場面に、非常に大きな責任を背負わせてしまう構図になります。「心臓マッサージをしてほしい」と話されるご家族に対して、私がどのように話しているかを紹介します。まずは、その言葉の背景にある想いをしっかり聞きます。そうすると、多くのケースで「家族のつらい気持ち」や、「本人にしてあげたいケアの内容」などが出てきます。たとえば、今回のご質問のご家族だと、「最期は家族が皆で一緒に過ごしてあげたい」といった気持ちを感じます。それ自体は当然の気持ちと共感できるものです。気持ちを聞いた後は、「お話を伺うと、そのように希望されるのも当然だと感じます」と、家族の想い受け止めたことを伝えます。そして、「ただ、病状を考えると、心臓マッサージで回復することは難しいと思います」と、自分の見解を率直に伝えます。そして、それで終わりではなく、「『最後は一緒にいてあげたい』というお気持ちは、本当に大切なものだと思います。私たちからみて、そろそろだなと思ったら、早めにご家族に共有して、できるだけ一緒に過ごせるように工夫します」といった、心肺蘇生の希望の背景にある気持ちに応えるような話をします。いかがでしたでしょうか? 皆さまの工夫も、ぜひ教えてください。今回のTips今回のTips心肺蘇生をする・しないだけでなく、背景にある「想い」を探ってみよう。

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非専門医も知っておきたいアトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療では、他の疾患と同様に出口戦略が重要です。治療の目標は、症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、それを維持することです。そこまで到達できないときでも、できる限り軽い状態を維持することを目指していきます。「塗っているときはいいけれど、塗らないとすぐに出てくる」のは良いとはいえません。治療方法の3本柱は「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子の検索と対策」です。本稿では、最近の薬物療法を中心に解説いたします。なお、本文中の薬価は2023年12月現在の薬価です。インデックス

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アトピー性皮膚炎の治療総論

アトピー性皮膚炎の治療戦略アトピー性皮膚炎の治療では「寛解」という目標が重要です。それは「症状がない、もしくは症状があっても軽微で、かつ日常生活に支障がない状態」つまり「寛解」を目指すことが大切です。寛解が達成できると、患者さんのQOL(生活の質)などは大きく改善されますので、その目標をしっかり医師と患者さんの二人三脚で達成していきたいものです。寛解維持に向けて多くの患者さんは、外用薬を塗ったら良くなるけど、やめたらすぐ再燃する、ということを外来で話されます。「寛解、再燃」のスパイラルに陥ってしまうと、「やはり良くならない」「治療しても意味がない」と思われてしまい、治療を中断してしまう患者さんがいます。よく知られているように「よくなった」と感じた時点でも、皮膚の奥ではまだ炎症がくすぶっていることが多いのです。患者さんが自己判断で外用薬塗布の頻度を減らしてしまうと、皮膚症状が再燃してしまいがちです。そうならないためにも、私は、アトピー性皮膚炎の中等症~重症の患者さんに対しては、プロアクティブ療法と同時にかゆみの物質を血液で検査する「TARC検査」(保険適応あり)を希望される方に施行しています。これはアトピー性皮膚炎の症状に応じて増減することが知られていますので、TARCが正常範囲内にあることが寛解に向けた1つの数字での「見える化」となるかもしれません。治療方法の3本柱は「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子の検索と対策」です。1)外用薬ステロイド、タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストの外用薬を用います。外用薬はFTU(finger tip unit)を考えて使用します。やさしく、すりこまないように塗るのが大切です。私はステロイド外用薬を使わなくても良い状態まで改善させることを治療目標の1つにしています。2)経口薬抗ヒスタミン薬をかゆみ止めとして使うことが多いです。経口JAK阻害薬であるバリシチニブ、ウパダシチニブ、アブロシチニブがアトピー性皮膚炎の治療薬として使用できるようになりました。多くの治療薬が登場して、重症な方にも治療が届きやすくなりました。時にシクロスポリンを用いることもありますが、長期間の使用で血圧上昇や腎臓への負担がかかりますので短期間の使用が望ましいです。3)注射薬(生物学的製剤)デュピルマブやネモリズマブ、トラロキヌマブなどが使用できます。これらの治療薬でかゆみや皮膚症状はかなりコントロールしやすくなりました。デュピルマブは、2021年のガイドラインで維持療法(寛解を維持するための治療)としても推奨されるようになりました。4)光線療法私はナローバンドUVB照射装置やエキシマランプを用いて光線療法を行っています。かゆみの強い部分にとくに効果を発揮してくれます。ステロイドなど外用薬の使用量を減らすことにも役立ちます。5)スキンケア皮膚のバリア機能および保湿因子を回復させることがスキンケアの大切な目的です。私は、スキンケアを重視しています。とくに出生直後から保湿外用剤によるスキンケアを行うことは、アトピー性皮膚炎の発症リスクを下げることも知られています1)。アトピー性皮膚炎の治療を実践していく上で、スキンケアはどの状態のアトピー性皮膚炎であっても大切です。1)Horimukai K. et al. J Allergy Clin Immunol. 2014;134:824-830.プロアクティブ療法とはアトピー性皮膚炎の治療では、炎症を抑える治療で寛解となった後、外観上ほとんど異常がないように見えても潜在的な炎症が皮膚の奥で残っている状態がしばらく続いています。ここで治療をいったん止めてしまう患者さんが多いのですが、この状態で治療を中止してしまうと、すぐに炎症が再燃してしまいます。プロアクティブ療法とは、皮膚炎が軽快した後もステロイド外用薬などの使用を中止せず、しばらくの間お薬を継続する方法です。それにより、皮膚炎やかゆみの改善状態を長期間維持することができ、再発・再燃の頻度や重症化が減ることが期待できます。プロアクティブとは「先を見越した」「予防的な」という意味で捉えられています。反対に、「かゆいときに塗る、かゆくなくなったら薬を止める」というのが「リアクティブ療法」です。軽症のアトピー性皮膚炎では、リアクティブ療法でも十分なこともあります。『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021』においても、プロアクティブ療法は「湿疹病変の寛解維持に有用かつ比較的安全性の高い治療法である」と記載され、推奨度1、エビデンスレベルAと高く推奨されています。プロアクティブ療法のやり方第1段階として、一番大切なことは「寛解導入」すなわち皮膚をツルツルの状態にしてしまうことです。そこではステロイド外用薬を1日2回、きっちりFTUを守って塗っていくことが大切です。光線療法をやる、デュピルマブの注射やJAK阻害薬の内服も重要です。ゴールはかゆみが止まることではなく、寛解することですから、しっかりツルツルの状態を作るまで頑張っていきます。寛解導入のためにはバックグラウンドとして保湿外用薬やスキンケアの継続を行ってくことも大切です。1)プロアクティブ療法を行う上で大切なことプロアクティブ療法はかゆみのあったところ、皮膚が荒れていたところにもステロイド外用薬をはじめとしたお薬を塗ることが大切です。長い期間ステロイドを塗ることへの不安もあると思いますが、20週間実施しても目立った副作用はなかったことも示されています。今はステロイド以外の治療薬もたくさんありますから、副作用が気になった場合は治りにくいところに光線療法を足す、デルゴシチニブやジファミラストなどの薬剤にスイッチするなどの対応が可能になります。2)プロアクティブ療法は患者さんには面倒くさい皮膚症状が寛解していると、お薬を塗るのは面倒くさいと患者さんは思います。ただ、プロアクティブ療法の目的は寛解を維持することですから、皮膚が荒れていたところにも塗っていくことは、再発防止のためには大切です。なお、アトピー性皮膚炎ガイドラインにはこのようにも記載されています。「外来での外用療法が主体となるアトピー性皮膚炎では、患者やその家族は治療の主体である」たしかに、プロアクティブ療法は面倒くさいですし、早く「塗らなくてもいい状態」になりたいはずの患者さんが頑張って毎日塗ることには、とても根気がいるはずですので医療従事者が、その頑張りを少しでも後押しできたらと思います。〔プロアクティブ療法FAQ〕プロアクティブ療法のメリットは?ステロイドの使用量をなるべく少なくして寛解を維持すること。プロアクティブ療法をやっていても痒い場合の対処は?まだ寛解に至っていない状況です。まず寛解導入をやり直しましょう。プロアクティブ療法を行っているとき、保湿も行ったほうが良いか?毎日行ってください!プロアクティブ療法では、いつまでステロイドを使う必要があるか?実は明確な答えがないのです。寛解導入が成功したあと、ステロイドを徐々にタクロリムスやデルゴシチニブなどの抗炎症外用薬にシフトしていき、結果としてステロイドを卒業していく、つまり「卒ステ」というのが目標になると思います。ずっと落ち着いていたのに、急にかゆくなってきた場合の対処は?再び寛解導入を目指してステロイド外用薬をしっかり塗る、光線療法を行う、などの治療を行います。かゆくなくなっても乾燥している部位への対処は?皮膚炎が治りきっていないところも多い可能性があります。しっかり治ると皮膚がツルツルとした柔らかい質感になってきます。ステロイドを終わらせることができましたが、治療薬はいつまで塗ったら良いか?しっかり治った状態をどう維持するか、明確な答えはありません。タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストは長期に外用することに伴う副作用は知られていません。寛解がしっかり維持されていれば、少しずつお薬を塗る間隔をあけながら保湿のみに移行していくのをお勧めします。佐伯秀久ほか. 日皮会誌. 2021:131;2691-2777.

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アトピー性皮膚炎の診療で役立つTIPS

口唇の乾燥アトピー性皮膚炎の患者さんで「唇が乾燥する」という訴えは多いです。それは口唇炎の症状なのですが、リップなどを長い期間使っても治らない患者さんも多数います。なぜなら「唇が乾燥する」状態の患者さんは、唇をなめるクセがあることが多いからです。子供の患者さんに多いのですが、唇やその周りをずっとなめ回すことを繰り返していると、周囲が輪を描くように赤くなります。これを「舌なめずり皮膚炎」と言います。これが長期間続くと口の周囲に色素沈着を来すこともあります。口唇のシミ唇が長い期間荒れている方は、点々とシミができてきます。“labial melanotic macules”や「口唇メラノーシス」と言われたりします。アジア人に多いとされています1)。アトピー性皮膚炎の発症時期が早い患者さんに多い傾向があり、アトピー性皮膚炎があっても、IgEが高い患者さんに唇の色素沈着が多い傾向があります2)。口唇トラブルへの治療の仕方〔口唇炎の治療〕口唇炎に関してはステロイド外用剤を中心に治療していきます。ワセリンを中心とした保湿も有効です。乾燥した感覚がある間は改善するまでステロイド外用剤を使ってみてください。しっかり治った良い状態をワセリンや患者さんに合ったリップでキープすることも大切です。〔口唇のシミの治し方〕口唇の色素沈着にはQスイッチルビーレーザーを使用します。痛み止めのクリームを塗り、レーザーを患部に照射します。治療の所要時間は数分で、1回の治療で終了することが多いです。1)Aljasser MI, et al. J Dermatol. 2019;23:86-89.2)Kang IH, et al. Int J Dermatol. 2018;57:817-821.

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