サイト内検索|page:356

検索結果 合計:36040件 表示位置:7101 - 7120

7101.

「座りっぱなし」でCVD死亡リスク34%増 

 2020年に発表された世界保健機関(WHO)ガイドラインでは、初めて「座り過ぎ」が健康を害し、心臓病、がん、2型糖尿病のリスクを高めることが明記された。長時間座ることの多い仕事は健康リスクにどのように影響し、それは身体的活動で軽減することができるのか。台湾・台北医科大学のWayne Gao氏らによる研究の結果が、JAMA Network Open誌2024年1月19日号に掲載された。 本試験は、1996~2017年の台湾の健康監視プログラムの参加者を対象とした前向きコホート研究だった。職業的座位時間、余暇時間における身体活動(LTPA)習慣、ライフスタイル、代謝パラメータに関するデータを収集した。データ解析は2020年12月に行われた。 主なアウトカムは、3段階の職業的座位量(ほとんど座っている、座っている・いないを交互に繰り返す、ほとんど座っていない)に関連する、全死因死亡率および心血管疾患(CVD)死亡率だった。全参加者、および5つのLTPAレベルと個人活動知能(PAI:身体活動に対する心拍数応答に基づく新たな身体活動計量)の指標を含む、サブグループ別のハザード比(HR)を算出した。逆因果を防ぐため、追跡開始後2年以内の死亡は除外した。 主な結果は以下のとおり。・48万1,688例が対象となった。平均年齢は39.3歳、女性53.2%だった。平均追跡期間は12.85年、追跡期間中に2万6,257例が死亡した。・性別、年齢、教育水準、喫煙歴、飲酒歴、肥満度の調整後も、仕事中にほとんど座っている人はほとんど座っていない人に比べ、全死因死亡率が16%高く(HR:1.16、95%信頼区間[CI]:1.11~1.20)、CVD死亡率が34%高かった(HR:1.34、95%CI:1.22~1.46)。座っている・いないを交互に繰り返す人は、ほとんど座っていない人と比べ、全死因死亡率の増加はみられなかった。・ほとんど座っている人で、LTPAが少ない(1日15~29分)、またはまったくない(1日15分未満)人は、LTPAを各1日15分、30分増やすことで、ほとんど座っていないLTPAが少ない人と同程度まで死亡率が減少した。さらに、PAIスコアが100を超える人は、座りっぱなしと関連する死亡リスクが顕著に減少した。 著者らは「仕事中に座っていることが多い人が死亡リスク上昇を軽減し、仕事中に座っていないことが多い人と同レベルに達するには、1日当たり15~30分の身体活動を追加する必要がある。これらの知見は、職場での長時間の座位を減らすこと、および/または1日の身体活動の量や強度を増やすことが、座りっぱなしに関連する全死亡およびCVDリスク上昇を緩和する可能性がある」としている。

7102.

卵がうつ病リスクと関連~日本人労働者568人を調査

 山形県立米沢栄養大学の北林 蒔子氏らは、日本人労働者における食品群別の摂取量とうつ病との関連を調査するため、アンケート調査を実施した。その結果、男性では卵、女性では卵と野菜(緑黄色野菜以外)の摂取がうつ病と関連している可能性が示唆された。BMC Nutrition誌2024年1月30日号の報告。卵の摂取量が少ない男性はうつ病のORが有意に高い 2020年、日本人労働者568人を対象にアンケート調査を実施した。回答した503人中423人を研究対象に含めた。性別、年齢、BMI、残業時間、睡眠時間、婚姻状況、職位、運動習慣、喫煙状況、うつ病の発症および、エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、アルコール、食品群別の摂取に関する情報を収集した。うつ病の有無および重症度の評価には、うつ病自己評価尺度(CES-D)を用いた。食品群別の摂取量は、残差法を用いてエネルギー摂取量を調整し、性別ごとに、低、中、高に分類した。うつ病の有無を従属変数、食品群別の摂取量を独立変数とし、ロジスティック回帰分析により性別に応じたオッズ比(OR)と傾向を分析した。 卵や野菜など食品群別の摂取量とうつ病との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・うつ病の調整ORが有意に高かったのは、以下のとおりであった。●卵の摂取量が少ない男性●他の野菜(緑黄色野菜以外)の摂取量が低~中程度の女性●卵の摂取量が中程度の女性・用量反応関係が確認され、男性では卵の摂取量が少ない場合(p for trend=0.024)にうつ病のORが有意に高く、女性では他の野菜(緑黄色野菜以外)の摂取量が少ない場合(p for trend=0.011)、卵の摂取量が少ない場合(p for trend=0.032)にうつ病のORが有意に高かった。

7103.

透析高齢女性へのデノスマブ、重度低Ca血症が大幅に増加/JAMA

 65歳以上の透析女性患者において、デノスマブは経口ビスホスホネート製剤と比べて、重度~きわめて重度の低カルシウム血症の発現率がきわめて高率であることが、米国・食品医薬品局(FDA)のSteven T. Bird氏らによる検討で示された。透析患者は骨折を引き起こす割合が高いが、エビデンスのある最適な治療戦略はない。今回の結果を踏まえて著者は、「透析患者にきわめて一般的に存在する骨病態生理の診断の複雑さや、重度の低カルシウム血症のモニタリングおよび治療に複雑な戦略を要することを踏まえたうえで、デノスマブは、慎重に患者を選択し、十分なモニタリング計画を立てたうえで投与すべきである」と述べている。JAMA誌2024年2月13日号掲載の報告。デノスマブvs.経口ビスホスホネートのリスクを評価 研究グループは、骨粗鬆症治療を受ける透析患者における重度の低カルシウム血症の発現率とリスクを調べるため、デノスマブと経口ビスホスホネート製剤を比較する後ろ向きコホート研究を行った。対象は、2013~20年にデノスマブ(60mg)または経口ビスホスホネート製剤による治療を開始したメディケアに加入している65歳以上の透析女性患者とした。 毎月の血清カルシウム値を含む臨床パフォーマンスの指標を、透析や腎移植を受ける末期腎臓病患者に関するデータを集めたConsolidated Renal Operations in a Web-Enabled Network(CROWN)データベースを介して入手。 重度の低カルシウム血症は、アルブミン値補正後の総血清カルシウム値が7.5mg/dL(1.88mmol/L)未満、または一次病院や救急部門での低カルシウム血症診断(緊急治療)と定義し、きわめて重度の低カルシウム血症(血清カルシウム値が6.5mg/dL[1.63mmol/L]未満または緊急治療)とともに、骨粗鬆症治療の開始後12週間における逆確率治療重み付け(IPTW)累積発現率、重み付けリスク差、重み付けリスク比を算出し評価した。重度の低カルシウム血症、デノスマブ群は経口ビスホスホネート群の20.7倍 非重み付けコホートにおいて、重度の低カルシウム血症の発現は、デノスマブ治療群1,523例中607例、経口ビスホスホネート治療群1,281例中23例で認められた。 重度の低カルシウム血症の12週時における重み付け累積発現率は、デノスマブ群41.1% vs.経口ビスホスホネート群2.0%だった(重み付けリスク差:39.1%[95%信頼区間[CI]:36.3~41.9]、重み付けリスク比:20.7[13.2~41.2])。 きわめて重度の低カルシウム血症の12週時における重み付け累積発現率は、デノスマブ群10.9% vs.経口ビスホスホネート群0.4%だった(重み付けリスク差:10.5%[95%CI:8.8~12.0]、重み付けリスク比:26.4[9.7~449.5])。

7104.

肝がん、乳がんが多い都道府県は?「がんの県民性」を知る

 企業でのがん対策を進めることを目的に厚生労働省が行うプロジェクト「がん対策推進企業アクション」は2月14日、プレス向けセミナーを行った。プロジェクトの推進役である東京大学特任教授の中川 恵一氏が「がんの県民性」をテーマに講演を行った。 世界中でも、国や人種によって多いがんと少ないがんがあるが、実は日本国内でも地域ごとに発生するがんの種類にバラツキがある。この要因はさまざまなものがあり、遺伝子、人口構成、食生活などが影響している。そして、最も大きな原因と考えられるのが、ウイルスの偏在と感染だ。【胃がん】 全国がん登録のデータ(2019年)を基に、人口調整後の10万人当たりの罹患率を見ると、胃がんの罹患率がもっとも高いのは、男女共に秋田県。胃がんはピロリ菌の感染が原因の9割近くを占めることがわかっており、ピロリ菌の検査と除菌するようになってから罹患者数は減少傾向にある。その中にあって秋田県の罹患率が依然として高いのは、塩分が多い食生活が大きな要因だと考えられている。マウスの実験では、ピロリ菌に感染しているマウスに塩分を過剰に摂取させると胃がんの発生率が上昇するという報告がある。秋田県に限らず、胃がんを減らすためには、減塩、胃がん検診、禁煙・節酒が有効だろう。【肝がん】 肝がんの罹患率が高いのは、佐賀県をはじめとした九州エリア。九州だけでなく、西日本全体が東日本と比べて高い傾向がある。これは肝がんの主な発症原因であるC型肝炎ウイルスが佐賀県一帯の東シナ海エリアに多いためだと考えられる。台湾なども同じ理由から罹患率が高い傾向がある。企業が行う健康診断では毎年肝機能検査を行っており、ここにウイルス性肝炎検査も加えることを要請している。【乳がん】 乳がんの罹患率が高いのは東京都などの首都圏。これは未婚で出産経験のない女性が多いことと関連している。乳がんは10万人当たりの年間罹患者数が40年で4倍と急増している。現在の日本人女性は平均して生涯に450回ほど月経があるとされるが、これは100年前の5倍超。かつては子沢山であり、妊娠・授乳期間を含めて子供1人当たり3年間ほど月経が止まる期間があった。この間、女性ホルモンによる刺激が減り、乳がんの罹患リスクが低下していた。現在の乳がんの新規罹患のピークが40代後半にある理由も閉経直前・閉経後に女性ホルモンの変化の影響を受けることが大きな理由だと考えられる。【白血病】 白血病の罹患率が高いのは沖縄県、鹿児島県など。白血病の中の成人T細胞白血病(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染によって生じることがわかっている。HTLV-1の感染経路は母乳による母子感染が多くを占め、このウイルスのキャリアが沖縄をはじめ、鹿児島、青森、岩手の一部などに多い。一方、このウイルスは中国・韓国ではほとんど見られない。この背景には、数千年前に日本に渡ってきた渡来人の遺伝子を受け継ぐ人々(弥生系)には感染者が少なく、縄文人が移行して弥生人になった人々(縄文系)には多い、という理由が考えられる。もっとも、人の移動の増加に伴い、HTLV-1感染は全国で見られるようになっており、とくに大阪などの大都市圏で増加している。【食道がんなど】 縄文系、弥生系の遺伝子は、飲酒時の分解酵素の有無にも関わる。アルコールは肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解されるが、このアセトアルデヒドを分解するのが「ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)」。縄文系はこのALDH2の活性が強い「正常型」が多く、日本人の55%を占める。一方で弥生系はALDH2の活性が弱い「低活性型」が多く、日本人の40%を占める。残り約5%は「不活性型」でALDH2の働きがまったくなく、酒を飲めない体質となる。問題は「低活性型」の人が飲み過ぎることで、こうした人が飲酒を続けることで、発がんリスク、とくに大腸がんや食道がんのリスクが急激に高まるとされる。低活性型は弥生系が多い近畿・中部・中国地方に多く分布している。 中川氏は「がんは決して一様な疾患ではなく、地域や人種によってリスクに差があり、それを生む大きな要因にウイルス感染がある。自分の居住するエリアの特性を知り、対策を知っておくことが重要になる」とまとめた。

7105.

電子タバコは禁煙継続に有効?/NEJM

 標準的な禁煙カウンセリングに電子ニコチン送達システム(電子タバコ[e-cigarettes]とも呼ばれる)の無料提供を追加すると、禁煙カウンセリングのみより6ヵ月間の禁煙継続率が高まったことが、スイス・ベルン大学のReto Auer氏らが、スイス国内5施設で実施した非盲検比較試験「Efficacy, Safety and Toxicology of Electronic Nicotine Delivery Systems as an Aid for Smoking Cessation:ESTxENDS試験」の結果で示された。電子ニコチン送達システムは、禁煙を補助するため禁煙者に使用されることがあるが、このシステムの有効性と安全性に関するエビデンスが必要とされていた。NEJM誌2024年2月15日号掲載の報告。禁煙に対する電子タバコの有効性と安全性を、禁煙カウンセリングのみと比較 研究グループは2018年7月~2021年6月に、一般紙やソーシャルメディア、ならびに医療施設や公共交通機関での広告により、1日5本以上の喫煙を12ヵ月以上継続し、登録後3ヵ月以内に禁煙を希望する18歳以上の成人を募集し、適格者を介入群と対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 介入群では、標準的な禁煙カウンセリングに加え電子タバコおよび電子タバコ用リキッド(e-liquid)の無料提供、ならびにオプション(有料)でニコチン代替療法を実施した。対照群では、標準的な禁煙カウンセリングを行い、ニコチン代替療法を含むあらゆる目的に使用できるクーポン券を配布した。 主要アウトカムは生化学的に確認された6ヵ月間の禁煙継続、副次アウトカムは自己報告による6ヵ月時点での禁煙(タバコ、電子タバコ、ニコチン代替療法を含む)、呼吸器症状、重篤な有害事象とした。生化学的に確認された6ヵ月間の禁煙継続率は介入群28.9% vs.対照群16.3% 2,027例がスクリーニングを受け、計1,246例が無作為化された(介入群622例、対照群624例)。 生化学的に確認された6ヵ月間の禁煙継続率は、介入群で28.9%、対照群で16.3%に認められた。両群の絶対差は12.6%(95%信頼区間[CI]:8.0~17.2)、粗相対リスクは1.77(95%CI:1.43~2.20)であった。 6ヵ月後の受診前7日間にタバコを使用しなかったと報告した参加者の割合は、介入群59.6%、対照群38.5%であった。一方、ニコチン(タバコ、ニコチン入り電子タバコ、ニコチン代替療法)の使用を一切やめた参加者の割合は、介入群20.1%、対照群で33.7%であった。 重篤な有害事象は介入群で25例(4.0%)、対照群で31例(5.0%)が、有害事象はそれぞれ272例(43.7%)および229例(36.7%)に発現した。

7106.

やはりワルファリンとの比較でないとDOACは対抗できない?(解説:後藤信哉氏)

 心房細動の脳卒中予防には、アピキサバンなどのDOACが多く使用されている。根拠となったランダム化比較試験では、PT-INR 2~3のワルファリンが対照薬であった。ワルファリン治療は心房細動の脳卒中予防の実態的な過去の標準治療ではなかった。さらに、PT-INR 2~3を標的とするのは実態医療とも乖離していた。今回は、心房の筋肉にcardiomyopathyを認めるが、心房細動ではない症例を対象として、奇異性塞栓によるアピキサバンの脳梗塞再発予防効果をアスピリンと比較した。心房筋に障害があるので、病態は心房細動に近い。心房細動例の脳卒中再発予防であれば、過去の標準治療(PT-INR 2~3を標的としたワルファリン)にDOACは有効性で劣らず安全性に勝った。しかし、本研究対象のように心房細動ではないとアピキサバンはアスピリンと有効性・安全性に差がなかった。心房細動の有無というリズムが結果に与えた影響が大きかったのだろうか? 筆者は見かけの差異は対象の差異によると考える。 試験中に心房細動に移行した症例もあった。しかし、アピキサバンは有効性においてアスピリンに勝らなかった。アピキサバン開発の早期には、心房細動の脳卒中予防におけるアピキサバンとアスピリンの有効性・安全性を比較したAVERROSE試験が施行された(Connolly SJ, et al. N Engl J Med. 2011;364:806-817.)。アスピリンに対するアピキサバンの優越性が確認されたとして、AVERROSE試験は早期に中止された。心房筋に異常がある塞栓性の奇異性脳卒中であっても、抗凝固薬アピキサバンの効果が抗血小板薬アスピリンに勝らなかった結果の解釈は難しい。 科学の基本は再現性である。ランダム化比較試験における臨床的仮説検証の結果は客観的であるが、コストの面から第三者による検証は困難である。本研究も多施設共同の二重盲検の第III相試験である。本研究であっても第三者による検証は難しい。ランダム化比較試験は、これまで臨床医学の科学の王道であったが、他の方法論を考える必要があるかもしれない。

7107.

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎ってどんな病気?

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 (溶連菌感染症)ってどんな病気?• どの年齢でもみられますが、幼児期から学童期の小児で多く報告されます• のどの痛み、38度以上の発熱、倦怠感や嘔吐といった症状が多く、舌が真っ赤になり小さなブツブツができる「イチゴ舌」がみられることがあります• 多くの場合、熱は3~5日以内に下がり、症状は1週間以内に改善します• まれに重症化し、のどや舌・全身に赤み・発疹がひろがる「猩紅熱(しょうこうねつ)」に移行することがあります治療法は?他の人にうつさないようにするには?•症状があり、検査をして感染が認められた場合は、抗菌薬での治療を行います。腎炎などを防ぐため、症状が改善しても医師に指示された期間は薬を飲むことが大切です•咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる細菌を吸い込む「飛まつ感染」、細菌が付いた手で口や鼻に触れる「接触感染」、食品を介して細菌が口に入って感染する「経口感染」があります•のどの痛みがひどい場合は柔らかく薄味の食事を工夫し、水分補給を心がけましょう•感染力は病気になりはじめの時期、症状が急に現れる時期に最も高いとされます•手洗い・うがいを行いましょう•マスクの着用も有効です出典:東京都保険医療局「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 (溶連菌感染症)について」国立感染症研究所「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは」Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

7108.

第199回 「想定外を想定せよ」が活きた恵寿総合病院の凄すぎる災害対策

同じテーマが続いて恐縮だが、今回も能登半島地震のことについて触れたいと思う。敢えてこうして連続で触れるのは、ある考えがあってのことだからだ。一言で言うと、「とかく人は熱しやすくて冷めやすいもの」と思っている。これはメディアの世界に身を置いていると痛切に感じることである。ある種の大きな災害が起きると、人は一瞬その情報に釘付けになる。ところが早ければ1ヵ月、長くとも3ヵ月も経つと、たとえどんなに大きな災害であっても当事者以外にとっては他人事になってしまう。もっとも私は大上段から「常に能登半島のことを思え」などと言うつもりは毛頭ない。被災地以外の人が常に被災地のことを考え、心理的に落ち込んでしまえば、世の中は回らない。実はこの事は被災地の人も同じである。それに関連して思い出すのが、東日本大震災の取材中、ある避難所で出会った高齢男性のことだ。ちなみに私にとって災害取材で一番苦手な取材現場が避難所である。あの場所にズケズケ入って「お話聞かせてください」はかなり気が引ける。よく「メディアは無神経に…」と言われることが多いが、被災地で出会うメディア関係者同士の雑談でも「実は自分も苦手で」という人は少なくない。ただ、やはり時間に迫られながらインタビューを取る必要がある時はそうせざるを得ない。しかし、自分にとってはいつまで経っても慣れることはない。避難所取材の時、私が屋内に入る代わりに赴く場所がある。避難所屋外に設置された喫煙所である。そこにはたいてい数人がたむろしている。報道腕章を付けていくと、結構な確率で「あんたらもご苦労さんだね」とそこにいる被災者から声がかかる。それを糸口に会話を始めると、実質的に取材となることが多いのだ。私が時折、思い出す前述の高齢男性もそのような形で出会った。その時の喫煙所には彼しかいなかった。彼は私を見るなり、独り言のように語り始めた。「俺さ、母ちゃん(妻)が津波で流されてしまってさ。んでも、避難所で若い綺麗なボランティアの女の子を見ると、ついそっち見るしな、時間が経てば腹も減るんだよな。兄ちゃん、俺は頭おかしいのかね?」一瞬戸惑ったが、避難所が地元の宮城県だったこともあり、私は地元訛りで次のように返した。「ほだごとねえんでねえの(そんなことないんじゃないの)? 津波のことばっか考えていられねえべさ」男性は一瞬目を丸くした。経験上、地方での災害取材時に被災者は「報道記者=東京の人」のような思い込みがあり、記者が訛りのある言葉を話すとは思っていないのだ。男性は丸くした目を普通に戻して、タバコをもう一度口にして煙を吐きながらこう言った。「んだがもな(そうかもしれない)」発災時ですらその場にいる人は、今起きていることが異常ではないと考えようとする「正常性バイアス」が働くもの。まして発災から時間が経てば、個人差はあっても常に災害の事だけを考えているわけにはいかない。というか、過度に気落ちしないために意図的に考えようとしないことも多い。そして被災地から離れた場所では半ば“忘れてしまう”のも無理はないと思っている。それでも私が再び能登半島地震について触れようとするのは、被災地外の人に防災対策を伝えるためには、まだ記憶が生々しい時期のほうが頭に入りやすいと思うからだ。神野 正博氏が伝える災害に負けない病院経営さて前置きが長くなってしまったが、先日、私が所属する日本医学ジャーナリスト協会で「能登半島地震~災害でも医療を止めない!病院のBCPと地域のBCP」と題して、現地の七尾市にある恵寿総合病院理事長の神野 正博氏にオンライン講演をお願いした。神野氏と言えば、全日本病院協会の副会長でもあり、医療業界では著名人である。あの大地震で426床を有する能登半島唯一の地域医療支援病院である恵寿総合病院も無傷でいられるわけもなく、本館以外に2つある鉄筋コンクリート造の病棟は物品が散乱し、本館と各病棟をつなぐ連絡通路も各所で破損した。断水は講演時点の2月13日時点でも継続中だった。しかし、発災翌日の1月2日には産科での分娩を行い、4日に通常外来、6日に血液浄化センターを再開している。マグニチュード7クラスの地震の被災地で、これが可能だったことは極めて驚くべきことである。そしてその理由は「事業継続マネジメント(BCM)」「事業継続計画(BCP)」を策定し、事前に入念な対策をしていたからだった。神野氏の口から語られた事前対策の肝は「基本は二重化」。具体例を以下に列挙する。本館で免震建築+液状化対策水道と井戸水による上水の二重化2ヵ所の変電所より受電夜間離発着設備も有した屋上ヘリポートも含めて避難経路二重化全国の病院との非常時相互協力協定全国の医療物資物流センター31ヵ所とバックアップ協定免震棟上層階にサーバー室設置震度5以上で自動発信するALSOKの職員安否確認・非常招集システム採用ゼネコン系設備管理会社24時間365日常駐神野氏によると「井戸水は平時に保健所に定期的な水質検査を実施してもらい、水道停止後ただちに井戸水に切り替え、医療用水・生活用水にいつでも利用できるようにしておいた」という念の入れようだ。もっとも120人の透析を行う別棟は、井戸水を上水利用する設備がなく、陸上自衛隊による1日15トンの給水支援を受けて再開にこぎつけている。変電所も北陸電力に依頼し2回線受電をしており、今回、実際に1つの変電所が瞬停して非常用自家発電に切り替わったものの、すぐにもう1つの正常だった変電所からの受電に切り替えて事なきを得ている。また、ゼネコン系設備管理会社24時間365日常駐は一瞬何のことかわからない人もいるかと思うが、この点について神野氏は次のように語った。「常駐者がいることで水道管の破裂などはすぐに復旧した。また、大手ゼネコンなので1月2日にはゼネコンの関係者が駆付け、復旧には大きな役割を果たした。よく病院の経営コンサルタントは、医業収益改善のためにまず清掃会社と設備管理会社をより安価なところに変更することを提案するが、私たちはそういうことは聞かずにやってきて本当に良かったと思っている」このような対策を聞くと、「いったいそのお金はどこから?」との疑問が浮かんでくるだろう。神野氏は「あくまで平時の診療報酬による収益の範囲内で準備をしてきた。災害対策を予算化したのではなく、都度都度、非常時対策を考えてのメンテナンスの一環として行ってきた」という趣旨の発言をした。これについてはかなり頷いてしまった。こうした大規模災害が起こると「いざ災害対策を!」のような掛け声があちこちから挙がる。しかし、人という生き物は概して納得尽くでないとお金は投じられない生き物でもある。災害・防災関連もテーマとする私はこうした大災害発生時に週刊誌などからコメントを求められることが多いのだが、その際にいつも言うことは「どんな小さなことでも良いから思いついたときに思いついたことに手を染め、必ずその点については完遂し、可能ならば日常化する」と伝えている。これだけだと、よくわからない人もいるかもしれないので、具体例を挙げると、自分の場合、災害現場の取材も少なくないので、がれきなどを踏んで負傷することを防止するため、平時から履いている靴には踏み抜き防止インソールを入れっぱなしにしている。たまにそのことを忘れ、空港の金属探知機でブザーが鳴ってしまうこともあるが、これは忘れるほど日常化している証でもある。また、国内の大災害ニュースに接した際、過去2年間を振り返り、破傷風ワクチンを追加接種していない場合は、現場取材に赴くか否かにかかわらず、医療機関に追加接種に行く。これ以外にも行っている対策はいくつかあるがここでは省略しておく。いずれにせよ災害対策とは、それが効果的だったかの答え合わせは、被災時にしかできない無慈悲な世界である。やはり「思い立ったが吉日」なのだと、今回再認識させられている。

7109.

緩和ケアでもよく経験する高カルシウム血症【非専門医のための緩和ケアTips】第70回

第70回 緩和ケアでもよく経験する高カルシウム血症緩和ケアでは、急性期ほど頻繁に検査は行いませんが、そうした中でも検査がカギとなる疾患もあります。そのうちの1つが高カルシウム血症です。どのようなときに、この疾患を疑うべきなのでしょうか?今日の質問訪問診療で担当する終末期の肺がん患者さん。1週間ほどでどんどん意識状態が悪化し、経過が速いことを心配して採血をしたところ、カルシウム値がかなり上昇していました。基幹病院に搬送したところ、回復して食事摂取も可能となりました。こうしたことは、よくあるのでしょうか?今回のご質問は、がん患者の高カルシウム血症についてです。私もこうした状況はよく経験します。文献にもよりますが、がん患者の10〜20%に高カルシウム血症が生じるという報告もあります。高カルシウム血症を疑う症状としては、倦怠感や口渇、多飲、便秘などがあります。可逆性も期待できる病態ですが、重症になるとせん妄や意識障害を引き起こすことがあります。がん患者に生じやすい電解質異常だと知ったうえで、これらの症状に注意して診療することが重要です。臨床的に問題になるのは、進行したがん患者には、そもそもの病状進行やオピオイドの使用などによって傾眠をはじめ、さまざまな症状が生じることです。こうした要素がある分、高カルシウム血症を疑うタイミングが遅れてしまうことがよくあります。今回の質問者はファインプレーをした、という見方もできるでしょう。がん患者の高カルシウム血症の治療は、ビスホスホネートの投与と脱水の補正が中心となります。私が研修医の頃は、まだビスホスホネートがなかったので、大量に輸液をしていました。最近は脱水の補正ができれば十分、という推奨が増えています。ここまで、がん患者における高カルシウム血症を中心にお話ししましたが、非がん患者でもこの病態が問題になることがあります。さて、ここからは私の失敗談です。患者は80歳代の女性。頸部骨折の手術後にリハビリ入院をした際に、私の担当となりました。入院からしばらくして、それまで元気だったのに、突然意識障害が進行しました。採血するとカルシウム値が非常に高くなっています。原因は、手術前から継続していたビタミンDでした。入院後に軟便で脱水になったタイミングがありましたが、その際も内服を継続しました。脱水傾向が出ているにもかかわらず内服を継続したことでカルシウム値が上昇し、さらに脱水が悪化する、という悪循環が生じていたのです。身体状況の変化で調整が必要になった薬剤に気付かず、高カルシウム血症を生じさせてしまった……。この苦い経験を通じて、緩和ケアに限らず、高齢者の診療では高カルシウム血症の可能性を忘れないようにしよう、と誓いました。今回は私の失敗談も含めてお話ししました。皆さまの参考になれば幸いです。今日のTips今日のTipsがん患者、とくに高齢患者では、高カルシウム血症を常に疑う。

7110.

維持期双極性障害に対する抗精神病薬の剤形による治療中止後の再発率の比較

 統合失調症患者において長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬は、患者が治療を中止した場合、同等の経口抗精神病薬と比較し再発までの期間を延長させる可能性があることが、これまでに報告されている。これと同様のパターンが、維持期治療中の双極性障害患者で観察できるかはよくわかっていない。藤田医科大学の岸 太郎氏らは、双極性障害の維持期治療におけるLAI抗精神病薬と経口抗精神病薬の中止後の再発率を比較するため、システマティックレビューを実施した。Psychiatry Research誌2024年3月号の報告。 双極性障害の維持期治療におけるLAI抗精神病薬のプラセボ対照ランダム化治療中止試験、LAI抗精神病薬に対応する経口抗精神病薬を用いた同等性の研究をシステマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・5件の研究を特定した。内訳は、アリピプラゾール月1回LAIの研究1件、経口アリピプラゾールの研究1件、リスペリドン2週間LAIの研究2件、経口パリペリドンの研究1件であった。・アリピプラゾール月1回LAIを中止した場合、経口アリピプラゾールを中止した場合と比較し、2週、4週、6週、8週、12週、16週、20週、26週時点での再発率が低かった。・リスペリドン2週間LAIを中止した場合、経口パリペリドンを中止した場合と比較し、2週、4週、6週、8週、16週時点での再発率が低かった。 著者らは、「LAI抗精神病薬または同等の経口抗精神病薬で安定していた躁病患者において治療中止が行われた場合、LAIの剤形のほうが同等の経口剤よりも、再発までの期間を大幅に延長すると解釈できるだろう」としている。

7111.

外国語習得のコツ【Dr. 中島の 新・徒然草】(517)

五百十七の段 外国語習得のコツ暖かい日が続きます。このまま春に突入するのか、それとも再び寒くなるのでしょうか?まだ2月なので、大阪でもあと1回か2回は凍りつきそうな寒さを経験させられるんじゃないかと恐れています。さて先日のこと、YouTubeチャンネル「丸山ゴンザレスの裏社会ジャーニー」の「【謎を解き明かす冒険家】世界最大級○○密造アジトに潜入した話【高野秀行】」を聞きながら皿洗いをしていた時のことです。ん、高野 秀行?どこかで聞いたことのある名前です。なんとこの「新・徒然草」の第二百三十五の段「1000年トリップ」で語っていたことを思い出しました。高野 秀行氏が著書『怪しいシンドバッド』の中で幻の幻覚剤にアマゾンの奥地で出合ったという話を紹介していたのです。彼が現地の人に差し出されたヤヘイ(別名:アヤウアスカ)の汁を飲み干したところ、自らがロケットになったり子供時代に戻ったり深海をさまよったりアラビアンナイトの世界を通ったり、わずか1時間ほどの間に1,000年分もの幻覚を見たのだとか。今回聴いたYouTubeでは、その冒険家、高野氏がどうやって25ヵ国語以上の言語に通じるようになったのか。何か、コツのようなものがあるのかと、司会の丸山 ゴンザレス氏が尋ねていました。「ありますね」と高野氏。必要なものを覚えるのだそうです。高野氏によれば、初級用のテキストを入手して「みんなでハイキングに行きました」という例文を覚えても、そんなものは一生使わないのだとか。この辺は大いにうなずけます。例として、ソマリアの海賊を取材するためにソマリ語を教えてもらった話がありました。その場合に必要な言葉は「拉致」とか「身代金」とかになるわけです。何だか恐ろしい取材ですね。一方、謎の魚を探しに行くときに覚えた例文はまったく別のものでした。「この魚を見たことがありますか」「この魚を見つけたらすぐ私に連絡してください」「もしこの魚を私の所に持ってきたら1万ルピー差し上げます」「でも、この魚と同じでなかったらお金はあげられません」こちらのほうは海賊に比べれば牧歌的ですが、本人は大真面目なのだと思います。彼は目的のために言葉を覚えるので、それぞれの場面に特化したものを中心に学ぶわけですが、これこそ究極の言語習得法ですね。考えてみれば、世界の観光名所の土産物店には何ヵ国語も操る店員さんが数多くいますが、あれも「物を売る」という目的があればこそ。われわれ医師も多くの外国人患者さんに接する時代になりました。彼らの母国語で診察してやろうという目的があれば、少しは成果が期待できるかもしれません。まずは英語での診療。その次に学ぶべきは、使用人口の多い中国語か、学生時代に学んだドイツ語か、それとも日本語に近いといわれる韓国語か?そう考えてみると日々の診療も楽しくなりそうですね。最後に1句花冷えに 母国語使い 診療す今回もChatGPTでイラストを作成してみました。何とも不思議な世界ですね。

7113.

2月22日 頭痛の日【今日は何の日?】

【2月22日 頭痛の日】〔由来〕慢性頭痛に悩む人たちで結成された「頭痛撲滅委員会」が、頭痛のつらさと悩みを社会に訴える日として2001年に制定。街頭などにポスターを掲示し、啓発活動を行っている。関連コンテンツアイスクリーム頭痛【一目でわかる診療ビフォーアフター】気象病の診療のポイント【診療よろず相談TV】片頭痛の隠れた経済的影響~英国政府のコスト分析片頭痛の前駆症状/予兆期、ubrogepantは有効か?/Lancet日本における慢性疼痛・片頭痛患者の医療アクセスへの障壁

7114.

第85回 Googleの生成AI「Gemini」、ChatGPTを超えるか?

photoACより使用生成AIのGemini Advancedが公開されましたので、さっそく使ってみました。これ何かと言いますと、Google Bardのことです。名前がBardからGeminiに変わったんです。Geminiのうち、高性能の大規模言語モデルを搭載しているのがGemini Advancedというサービスで、月19.99ドル払えば皆さんも使用可能です。「なんやねん、19.99ドルって!」と思われたかもしれませんが、GPT-4を使えるChatGPT Plusの課金が20ドルなんですよね。0.01ドル安く設定してきたことを考えると、Googleは間違いなくChatGPTのことをめちゃめちゃ意識しています。先にリリースされたGemini Proはちょっとイマイチな感じの生成AIだったのですが、「GPT-4を超える」という大々的なプロモーションでGemini Advancedが爆誕しました。多くのベンチマークでGPT-4を上回ったとされています。■Gemini:https://gemini.google.com拡張機能として、GoogleマップやYouTubeのプラグインがありますが、現時点ではChatGPTのように臨床医にマッチしたサービスは出ていないようです。私たち医師にとって、臨床や医学論文に応用できるかどうかが大事です。Gemini Advancedのデメリット先にデメリットを書きます。大事なポイントとして、英語で質問しないとまともな答えが返ってこないことがあります。これはBard時代からそうでした。なので、一度日本語から英語に翻訳して使う必要があります。また、医学的な質問をすると、途中まで答えてくれようとするのですが、途中で「あーすいません無理っす」とコメントを終了してしまう現象がしばしば起こります。上述したように、ChatGPTのようなプラグイン・GPTsといった拡張機能がまだほとんどなく、臨床医にとっては「Gemini Advancedでないとダメだ」というシーンは、そこまで多くないという現状があります。Gemini Advancedのメリットメリットとして、回答がむちゃくちゃスピーディです。ChatGPTの2倍くらい速いと思います。そして、質問すると3つ回答を準備してくれるのがありがたいです。また、ファクトチェック機能があって、Google検索で正しい内容なのかダブルチェックしてくれる機能もあります。さらに、Googleのストレージが2TB追加になるので、私はこの時点で割と契約アリではないかなと感じました。というのも、私はGoogleフォトで子供の写真と動画がかなり容量を食っていたので、助かったくらいなのです。冒頭で述べたように、月19.99ドルとなっていますが、最初の2ヵ月間は試用期間として無料で利用できます。まだリリースされたばかりですし、これからいろいろな拡張機能が登場すると予想しています。臨床や医学論文にどのように活かせるか、引き続き探っていきたいと思います。

7115.

アルツハイマー病に対する新規疾患修飾薬とリチウムの有用性比較~ネットワークメタ解析

 米国食品医薬品局(FDA)により承認、または審査中の軽度認知障害およびアルツハイマー病に対する疾患修飾薬(donanemab、レカネマブ、aducanumabなど)と潜在的な疾患修飾薬であるリチウムの臨床的有用性の比較は、これまで十分に行われてなかった。iこころクリニック日本橋の寺尾 樹氏らは、アルツハイマー病に対する疾患修飾薬とリチウムの認知機能低下に対する有効性、忍容性、受容性を比較するため、ランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌2024年2月号の報告。 2023年11月7日までに公表されたランダム化比較試験(RCT)をMEDLINE、CENTRAL、CINHAL、ClinicalTrials,govよりシステマティックに検索し、ランダム効果ネットワークメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・8件(6,547例)のRCTをネットワークメタ解析に含めた。・ミニメンタルステート検査(MMSE)では、リチウムは、donanemab、aducanumab、プラセボよりも有意に優れていた。・アルツハイマー病評価尺度の認知サブスケール(ADAS-Cog)では、新規疾患修飾薬およびリチウムのいずれも、プラセボと比較し、有意な有効性が認められた。・臨床認知症評価尺度(CDR)総合得点では、donanemab、レカネマブは、プラセボよりも有意に高かった。・プラセボと比較し、donanemab、レカネマブは、受容性および忍容性が有意に低かった。・aducanumabはプラセボよりも忍容性が劣っていた。・他の比較では、有意な差が認められなかった。 著者らは「リチウムとdonanemabまたはレカネマブは、どちらがより有効であるかは不明であるものの、リチウムはaducanumabよりも有用である可能性が示唆され、3つの新規疾患修飾薬には、認知機能に対する有効性に差がない」ことを報告し、「低用量リチウムは、新規疾患修飾薬よりも安全である可能性がある」としている。

7116.

新規抗体薬物複合体SG、既治療のNSCLCに対する第III相試験の結果(EVOKE-01)/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年1月22日、既治療の進行または転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に関するsacituzumab govitecan(SG)の第III相EVOKE-01試験において、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成できなかったと発表した。 EVOKE-01試験はプラチナベース化学療法や免疫チェックポイント阻害薬でPDとなった進行または転移のあるNSCLCを対象に、SGとドセタキセルを比較した試験である。 結果、主要評価項目であるOSは、SG群において良好な傾向が認められたものの、統計学的有意には至らなかった。もっとも、試験集団の60%超を占める、抗PD-1/L1抗体に奏効しなかったサブグループでは、対照群に比べてSG群で3ヵ月以上のOS延長が認められたとしている。 今回のデータは今後開催される医学学会で発表される。また、ギリアドは同試験の結果について規制当局との議論を予定している。 SGのNSCLCに関する臨床開発プログラムは、EVOKE-01以外にペムブロリズマブとの併用による第II相EVOKE-02試験、PD-L1高発現例の1次治療に関する第III相EVOKE-03試験が進行中である。

7117.

ダパグリフロジンは低アルブミン尿のCKD進行にも有効か

 わが国では、2021年に慢性腎臓病(CKD)にSGLT2阻害薬ダパグリフロジンが保険適用となり、糖尿病治療と同様に広く使用されている。ダパグリフロジンなどのSGLT2阻害薬は、主に高アルブミン尿患者を対象とした大規模臨床試験で、CKDの進行を遅らせる効果が確認されている。しかし、低アルブミン尿のCKD患者へのダパグリフロジンの実際の使用状況や有効性についてはデータが不足していた。この課題に対し、カナダ・マニトバ大学内科のNavdeep Tangri氏らの研究グループは、ダパグリフロジンがCKDに対して承認された後に投与対象となった患者について検討した結果、アルブミン/クレアチニン比(UACR)<200mg/gのCKD患者にダパグリフロジンが有効であることが示唆された。Advances in Therapy誌オンライン版2024年1月19日号の報告。ダパグリフロジンの使用でeGFR勾配は減弱 本研究では、日本と米国のレセプトデータを用い、CKDに対する承認後にダパグリフロジン10mgの投与対象となった、UACR<200mg/gのCKD患者(投与開始患者と非投与患者)について検討した。推定糸球体濾過量(eGFR)勾配へのダパグリフロジン10mg投与開始と非投与の影響を評価するため、傾向スコアをマッチさせたコホートでprevalent new user designを用いて分位点回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ダパグリフロジンの投与開始者2万407例のほとんどがステージ3~4のCKDだった(データベース全体の69~81%)。・最も一般的な併存疾患は2型糖尿病、高血圧、心血管疾患だった。・ベースライン時には53〜81%の患者でレニン・アンジオテンシン系阻害薬が処方されていた。・適格であったが非投与だった患者は、投与開始患者より年齢が高く、eGFRが高値、併存疾患の負担が低かった。・ダパグリフロジンの投与開始後、投与開始患者と非投与患者のeGFR勾配の中央値の差は、UACR<200mg/gのすべての患者で1.07mL/分/1.73m2/年(95%信頼区間[CI]:0.40~1.74)、2型糖尿病のないUACR<200mg/gの患者で1.28mL/分/1.73m2/年(95%CI:-1.56~4.12)だった。 以上から研究グループは「UACR<200mg/gの患者では、ダパグリフロジンの投与開始は非投与と比較し、臨床的に意義のあるeGFR勾配の減弱と関連していた。これらの所見は、ダパグリフロジンの利用可能な臨床的有効性エビデンスを補足するものであり、その有効性がUACR<200mg/gのCKD患者にも及ぶ可能性を示唆する」と結論付けている。

7118.

BRCA変異陽性乳がん未発症者の検診と予防治療のために~クラウドファンディング開始

 BRCA変異陽性で乳がん未発症の場合、乳房MRIによる検診や予防的乳房切除には少なくない費用負担が発生し、費用が原因で検診や予防治療をあきらめてしまう患者さんがいる。そこで昭和大学病院ブレストセンターの中村 清吾氏らは、「遺伝性乳がんの“発症前”に寄り添う、検診と予防治療の臨床研究継続へ」と題したクラウドファンディングのプロジェクトを開始した(募集は4月12日午後11時まで)。 同プロジェクトでは、BRCA変異陽性乳がん未発症者の検診や予防治療の保険適用を視野に、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成のもと立案・開始された臨床研究の継続・完遂を目指す。この臨床研究は、「乳がん未発症のBRCA2変異陽性の女性に対するタモキシフェンの乳がん発症予防効果と安全性を明らかにすること」、「乳房MRIによるサーベイランスおよびリキッドバイオプシーを利用した低侵襲の新規乳がん検出法の有用性の検討」を目的としている。2020年4月~2023年3月末までの研究期間が新型コロナウイルス感染症の流行時期と重なり、未発症者の来院が制限されるなどの影響を受けて目標症例の約3分の1の登録にとどまっていた。【プロジェクトの概要】BRCA2変異陽性が確認された乳がん未発症の女性(20〜70歳)を対象に、タモキシフェンの乳がん発症予防効果と安全性評価を行うため、目標症例数210例に対して、残り150例の登録を目指して研究を継続する。【到達目標】第一目標金額:1,500万円・乳がん未発症の方に対する「乳房MRI」の一部補助費(1回当たり約2万5,000円)・クラウドファンディング手数料 など第二目標金額:3,000万円(第一目標金額+1,500万円)・「乳房MRI」、「リキッドバイオプシー」による早期乳がん発見の有用性の検討に必要な症例数200例登録に向けて必要な血液解析費用・臨床試験実施にかかる諸費用(国内の多施設を研究拠点として継続するための費用を含む)・クラウドファンディング手数料 など第三目標金額:4,500万円(第二目標金額+1,500万円)・遺伝性乳がん関連遺伝子27項目の測定費用・クラウドファンディング手数料 など【研究スケジュール】2024~29年3月までの5年間を想定

7119.

国内初の「飲酒ガイドライン」を公表/厚労省

 2月19日、厚生労働省は飲酒に伴うリスクに関する知識の普及推進を図るために「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表した。本ガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために、個人の適切な飲酒量・飲酒行動の判断の一助となるよう作成された。純アルコールに換算して飲酒量を把握することが重要 本ガイドラインの特徴として、「基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質などによる違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどをわかりやすく伝えるとともに、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方や避けるべき飲酒方法などについて示している。お酒に含まれる純アルコール量は、「純アルコール量(g)=摂取量(mL)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化できることから、純アルコール量に着目しながら、自身に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心掛けることが必要とも記されている。実際に飲料メーカー各社では2021年頃よりアルコール飲料に含まれる純アルコール量の表示を開始している。 例:ビール500mL(5%)の場合の純アルコール量…500(mL)×0.05×0.8=20(g)純アルコール量で疾病発症リスク示す また、わが国における疾病別の発症リスクと飲酒量(純アルコール量)について、各疾病の発症リスクが上がると考えられる男女別の研究結果と参考(カッコ内)が示されている。・脳卒中(出血性)[男性:150g/週(20g/日)、女性:0g

7120.

心臓移植候補者の順位付け、より有用なリスクスコアモデル開発/JAMA

 米国・シカゴ大学のKevin C. Zhang氏らは、米国の心臓移植候補者約1万7,000例を対象としたレジストリベースの研究を行い、医学的緊急性に基づく心臓移植候補者の順位付けの連続多変数割り当てスコアモデルを開発した。現行の6段階システムに比べ、心臓分配の医学的緊急性の要素に関して、より有用である可能性があるという。米国の心臓分配システムは、移植をしなければ死亡するリスクが高い医学的緊急性がある候補者を優先しているが、現行の治療ベースの6段階システムは操作がされやすく、順位付けに限界があるとされている。JAMA誌2024年2月13日号掲載の報告。事前定義の予測因子セット+仏モデルで開発 研究グループは、2019年1月1日~2022年12月31日に米国心臓分配システムに登録された18歳以上の心臓移植候補者を対象に、レジストリベースの観察試験を行い、医学的緊急性の指標となる新たな米国候補者リスクスコア(US-CRS)モデルを開発した。開発のトレーニング用に97施設(70%)、検証用に41施設(30%)を無作為に割り当てた。 US-CRSモデルは、事前定義した予測因子セットを、現行のフランス候補者リスクスコア(French-CRS)モデルに追加して開発した。感度分析では、短期の機械的循環補助(MCS)に大動脈内バルーンポンプ(IABP)、経皮的心室補助装置(VAD)の使用も含めた。 US-CRSモデル、French-CRSモデル、現行の6段階モデルを、テストデータセットを用いて評価。モデルの予測能は、6週間以内の移植なしの死亡に関する時間依存型ROC曲線下面積(AUC)、全生存一致度(C統計量)で評価した。登録6週間以内の死亡、総C統計量ともに予測能改善 総計1万6,905例の成人心臓移植候補者が対象となった(平均年齢53歳[SD 13]、男性73%、白人58%)。移植を受けずに死亡した患者は796例(4.7%)だった。 最終的なUS-CRSには、短期のMCS(VA-ECMOまたはtemporary VAD)や、ビリルビンの対数値、推算糸球体濾過量(eGFR)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の対数値、アルブミン値、ナトリウム値、植込み型補助人工心臓(LVAD)の情報を盛り込んだ。 テスト用データセットでは、登録後6週間以内の死亡に関するAUCは、US-CRSモデル0.79(95%信頼区間[CI]:0.75~0.83)、French-CRSモデル0.72(0.67~0.76)、現行の6段階モデル0.68(0.62~0.73)だった。 総C統計量は、US-CRSモデル0.76(95%CI:0.73~0.80)、French-CRSモデル0.69(0.65~0.73)、現行6段階モデル0.67(同:0.63~0.71)だった。 IABPと経皮的VADを短期のMCSとして分類すると、効果量は54%減少した。

検索結果 合計:36040件 表示位置:7101 - 7120