サイト内検索|page:354

検索結果 合計:35155件 表示位置:7061 - 7080

7061.

1型DMへのteplizumab、β細胞機能を有意に維持/NEJM

 新規診断の1型糖尿病の小児・青少年患者において、抗CD3モノクローナル抗体のteplizumab(12日間投与の2コース)は、β細胞機能の維持(主要エンドポイント)に関してベネフィットがあることが示された。ただし、インスリン用量、糖化ヘモグロビン値などの副次エンドポイントに関しては、ベネフィットが観察されなかった。英国・カーディフ大学のEleanor L. Ramos氏らが、第III相の無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。teplizumabは、8歳以上のステージ2の1型糖尿病患者に対し、ステージ3への進行を遅らせるための投与が米国FDAに承認されている。新規診断の1型糖尿病患者におけるteplizumabの静脈内投与が疾患進行を抑制するかについては不明であった。NEJM誌オンライン版2023年10月18日号掲載の報告。78週後の負荷C-ペプチド値でβ細胞機能を評価 研究グループは、2019年3月~2023年5月にかけて、米国、カナダ、欧州の医療機関61ヵ所で、6週間以内に診断を受けた8~17歳のステージ3の1型糖尿病患者を対象に試験を行い、teplizumabまたはプラセボの12日間投与・2コースを比較した。 主要エンドポイントは、78週時点の負荷C-ペプチドの測定値でみたβ細胞機能のベースラインからの変化だった。重要な副次エンドポイントは、血糖値目標達成に要したインスリン用量、糖化ヘモグロビン値、血糖値目標範囲内の時間、臨床的に重要な低血糖イベントだった。C-ペプチドのピーク値維持はteplizumab群95%、プラセボ群80% 78週時点で、teplizumab群(217例)は、プラセボ群(111例)に比べ、負荷C-ペプチド値が有意に高かった(最小二乗平均群間差:0.13pmol/mL、95%信頼区間[CI]:0.09~0.17、p<0.001)。0.2pmol/mL以上の臨床的に有意なC-ペプチドのピーク値を維持した患者の割合は、teplizumab群が94.9%(95%CI:89.5~97.6)であったのに対し、プラセボ群では79.2%(67.7~87.4)だった。 重要な副次エンドポイントについて、両群で有意差はなかった。 有害事象は、主にteplizumabまたはプラセボの投与に関するもので、頭痛、消化器症状、発疹、リンパ球減少、軽度のサイトカイン放出症候群などだった。

7062.

胃がん1次治療、周術期ペムブロリズマブはEFS延長せず(KEYNOTE-585)/ESMO2023

 切除可能な局所進行胃・胃食道接合部(G/GEJ)がん患者における免疫チェックポイント阻害薬の開発が進められているが、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2023)において術後療法にニボルマブの上乗せを検証したATTRACTION-5試験では上乗せ効果は示されなかった。同じくG/GEJがん患者を対象として、術前術後の化学療法にペムブロリズマブの上乗せ効果を検証した無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-585試験においても、無イベント生存期間(EFS)に有意な延長はみられなかったことがすでに報告されている。本試験の詳細について、国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で発表した。・対象:未治療の局所進行、切除可能G/GEJがん、PS0~1・試験群(メインコホート):術前にペムブロリズマブ200mg+化学療法(シスプラチン+カペシタビンまたはシスプラチン+5-FU)を3サイクル、術後にペムブロリズマブ+化学療法を3サイクル実施、さらにペムブロリズマブ単剤を最大11サイクル投与(ペムブロ群)・対照群:術前・術後にプラセボ+化学療法、さらにプラセボ単剤投与(プラセボ群)・評価項目:[主要評価項目]病理学的完全奏効率(pCR率)、EFS、全生存期間(OS)[副次評価項目]安全性 主な結果は以下のとおり。・804例が登録され、ペムブロ群とプラセボ群に1対1で割り付けられた。追跡期間中央値は47.7ヵ月だった。アジア人47%、欧米人26%、その他27%だった。・pCR率はペムブロ群で12.9%(95%信頼区間[CI]:9.8~16.6)、プラセボ群で2.0%(95%CI:0.9~3.9)だった。・EFSはペムブロ群で改善したが(中央値44.4ヵ月vs.25.3ヵ月、HR:0.81、95%CI:0.67~0.99、p=0.0198)、わずかな差であったものの、事前に規定された有意差を示すには至らなかった。・OS中央値はペムブロ群で60.7ヵ月、プラセボ群で58.0ヵ月で、有意差はなかった。・Grade3以上の薬物関連有害事象はペムブロ群で64%、プラセボ群で63%で発生した。 設楽氏は「未治療の局所進行切除可能G/GEJがん患者において、周術期のペムブロ+化学療法は残念ながらEFSに有意な改善はみられなかったが、pCR率は大幅に改善した。周術期における免疫チェックポイント阻害薬の有効性を確かめるためには、さらなる研究が必要だ」とした。 続いて発表された、本試験同様に胃がん周術期の免疫チェックポイント阻害薬投与を検討するMATTERHORN試験(術前化学療法にデュルバルマブ上乗せ)がポジティブな結果となったことを踏まえ、発表後のディスカッションでは、差異が出た要因や適切な化学療法の種類、恩恵を受ける患者の特性などについて、盛んな議論が交わされた。

7064.

第184回 線虫がん検査『N-NOSE』、検査精度の疑惑が再燃、日本核医学会の中にあるPET核医学分科会・PETがん検診ワーキンググループが本格調査へ

たびたび疑惑が向けられてきた線虫検査の“実態”がやっと解明される?こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、新潟・弥彦競輪場で開かれた競輪のG1レース、第32回寛仁親王牌を、ネットのレース中継と、電話投票で楽しみました。決勝レースは大阪の古性 優作選手が他を寄せ付けない圧倒的な強さで優勝しました。なんと、古性選手は今年、全日本選抜、高松宮記念杯に次いで年間3度目となるG1制覇です。暮れのグランプリももぎ取りそうな勢いです。ちなみに私の車券はハズレました。かつては私もよく現場に足を運んだものです。弥彦山の麓、弥彦神社境内にある弥彦競輪場にも幾度か行ったことがあります。ただ最近は、もっぱらネットでレースを観戦しています。便利ですが、競輪場のあの猥雑さやB級グルメを楽しめないのは少々寂しいです。ひと昔、いやふた昔くらい前までは、“コーチ屋”と言われる人が、普通に競輪場にいました。コーチ屋とは、競馬場や競輪場、場外投票券発売所にいて、カモになりそうな客に「いい情報あるよ」と近づき、自分の“特別”の予想を教え、買い目を指示するなどの行為を行ってお金を騙し取る人々のことです。買い目を教えた場合、コーチ屋はレースが終わるまでその客をマークしていて、もし買い目通りに当たった場合、再び客の前に現れ、配当金の中からからコーチ料を支払うよう要求します。逆に外れてしまった場合は客の前からは消えて、知らんぷりを決め込みます。車券や馬券が当たった時だけ、「自分のおかげだ。報酬よこせ」とお金をせびるわけです。もっとも現在は、公営ギャンブルでの詐欺の仕組みは複雑化しており、場内で声をかける古典的コーチ屋は絶滅したと言われています。さて今回は、最近再び話題となっている線虫がん検査について書いてみたいと思います。体長約1mmの線虫を使って人の尿からがんの有無を調べる検査法の精度を検証するため、PET核医学分科会のPETがん検診ワーキンググループのチームが、実態調査を始めたとの報道が10月13日にありました。これまで、幾度か疑惑報道がありましたが、医学会が本格的に動くのは初めてです。検査の手法や精度について、たびたび疑惑が向けられてきた線虫検査の“実態”がやっと解き明かされるかもしれません。1回検査の料金は1万4,800円、50万人以上が検査を受ける線虫を使って人の尿からがんの有無を調べる検査法とは、「15種類のがんを判定できる」と全国展開中のHIROTSUバイオサイエンス(本社:東京都千代田区)の線虫がん検査キット『N-NOSE』です。数年前までは旧ジャニーズ事務所の社長になった東山 紀之氏、最近では女優の仲間 由紀恵氏がテレビCMで宣伝しています。『N-NOSE』は九州大学助教だった広津 崇亮氏が設立したHIROTSUバイオサイエンスが2020年1月に実用化したがんのリスク判定の検査です。がんの「診断」ではなく「リスク判定」と言っている点が、この検査の一つの肝だと言えます。『N-NOSE』は、すぐれた嗅覚を有する線虫(Caenorhabditis elegans)が、がん患者の尿に含まれるにおいに反応することを活用、わずかな量の尿で15種類のがんのリスクを判定する、というものです。同社によればこれまでに50万人以上が検査を受けているとのことです。健康保険適用外で、1回検査の料金は1万4,800円(税込)です。約200施設を対象に、線虫がん検査をきっかけとしてPET検診・検査に訪れた人を調査この『N-NOSE』の精度を検証しようと立ち上がったのは、日本核医学会の中にあるPET核医学分科会・PETがん検診ワーキンググループです。10月13日付けの朝日新聞などの報道によれば、『N-NOSE』の精度に懸念があるとして、PET核医学分科会・PETがん検診ワーキンググループが、共同研究としてアンケート形式による全国調査に着手したとのことです。約200施設を対象に、線虫がん検査をきっかけとしてPET検診・検査に訪れた人数や、実際にがんが見つかった人数、がんの種類、進行度などを10月20日までに報告してもらい、年内に結果をまとめ、この検査の有効性を科学的に評価したいとしています。『N-NOSE』は、尿を調べれば15種類のがんについて、がんになっているリスク(低いほうからA~Eの5段階)がわかると宣伝しています。今年6月に開かれた日本がん検診・診断学会総会では、この線虫がん検査でリスクを指摘された後、より詳しく調べたいと、PET(陽電子放射断層撮影)検査を受けた人の状況が3施設から報告されました。それによると、がんではないのにがんのリスクが高いと判定される「偽陽性」が極めて多いことがわかりました。さらに、ある施設では、がんと診断されたばかりの患者10人の尿を検査してもらったところ、10人全員が低リスク(A、B)の判定が返ってきたとのことです。朝日新聞の記事は、今回の全国調査の副代表を務める厚地記念クリニック(鹿児島市にあるPET検診クリニック)院長の陣之内 正史氏の「がんのない人が高リスクと判定されることで、各地で混乱を招いている恐れがある。また、実際にはがんなのに低リスクとされた結果、がん検診を受けるのが遅れて、がんが進行してしまう恐れもある」というコメントを紹介し、続けて、HIROTSUバイオサイエンス社は今回の調査開始について、「PETにはN-NOSEの感度を検証する能力はなく、PET以外の複数の検査方法を用いたとしても、アンケートは主観的なバイアスがかかりやすい手法だなどとして『信頼のおける検証にはなりえません』とコメントした」と書いています。この調査は別にPETで行うわけではなく、がんがあったかどうかの結果を分析しようというものなので、同社の反論の意味はちょっとよくわかりません。約2年前には週刊文春が“疑惑”を報道さて、『N-NOSE』については、約2年前、週刊文春2021年12月16日号が、「線虫がん検査「精度86%」は問題だらけ 『尿一滴でわかる』で話題」と報道した時に、本連載でも詳しく書きました(第89回:がんが大変だ!線虫がん検査に疑念報道、垣間見えた“がんリスク検査”の闇[後編])。結局、文春報道はこの記事だけに留まり、ほかのマスコミも動かず、真相は藪の中となってしまいました。その一つの大きな理由は、こうした「がん(病気)のリスクを判定する」と喧伝する検査のほとんどが、医療機器でもなく診断薬でもないため、薬機法や医師法、健康保険法といった、厚生労働省所管の法律外にある検査法であるためと考えられます。つまり、仮にインチキだとしてもそれを罰する法律は今のところ日本にはないのです。「罪がないからOK」とは言えないのが医学・医療の難しい点です。陣之内氏のコメントのように、無用な不安を与えたり、不要な検査を強いたり、逆に検査遅れを招いたりしていたとしたら、それはそれで大きな“罪”と言えるからです。NewsPicksに『N-NOSE』の実態に迫る記事が連続掲載今回、再び『N-NOSE』が話題となっているのは、先述の日本がん検診・診断学会総会において、線虫がん検査でリスクを指摘されたPET検診の結果が発表されたこともありますが、同時にニュースサイト、NewsPicksで今年9月11日から『N-NOSE』の実態に迫る記事が連続して掲載されたことも大きく関係していると思われます。NewsPicks副編集長で科学ジャーナリストの須田 桃子氏らの取材班が9月11日以降、NewsPicksに「虚飾のユニコーン 線虫検査の闇」のシリーズタイトルでこれまでに掲載した『N-NOSE』関連記事は実に7本に上ります。「【スクープ】世界初の『線虫がん検査』、衝撃の実態」「【実録】社員が止められなかった『疑惑のがん検査』」「【解剖】『疑惑のユニコーン』を肥大化させたエコシステム」…と刺激的なタイトルが付けられた一連の記事は、先述した6月に開かれた日本がん検診・診断学会総会で発表された偽陽性が極めて多く、がんであっても見逃される偽陰性も多数発生していることや、ベールに包まれた検査のアルゴリズムの中身、『N-NOSE』開発のきっかけとなった論文の実験が再現されないことなどについて、元社員らの証言も交えて詳細にレポートしています。また、9月15日に配信された「嘘をつく『動機がない』。疑惑の渦中で広津社長が語ったこと」というタイトルの記事は、HIROTSUバイオサイエンス社長の広津氏への直撃インタビューですが、検査のアルゴリズムや、日本がん検診・診断学会総会の発表内容、ランダム化比較試験の必要性などについて問われると、広津氏の答えが突然曖昧になっていくのが印象的でした。HIROTSUバイオサイエンスは一連の報道に反論NewsPicksの一連の報道に対し、HIROTSUバイオサイエンスは、「一部メディアの報道について」というプレスリリースを9月18日に出しています。そこでは、「看過しがたい重大かつ悪質な“誤情報”も含まれておりましたので、ここに当該箇所を指摘すると共に訂正いたします」として、なんと30ページにも及ぶ記事への反論を展開しています。ちょっと長過ぎるな、反論もよく理解できないな、と思っていたところ、記事発信サイトのnoteで「手を洗う救急医Taka」氏がこの反論を科学的に検証した記事「HIROTSUバイオサイエンスのNewsPicksに対する反論について」を見つけました。検査というものの感度、特異度、陽性・陰性的中率、そして有病率の意味を解説、その上でHIROTSUバイオサイエンスの反論の意図するところについてわかりやすく説明してくれていますので、興味のある方は読んでみてください。この記事の中で「手を洗う救急医Taka」氏はHIROTSUバイオサイエンスが使う「標準化変換」という独自の言葉に疑問を呈しています。その点は、私自身もプレスリリースを読んでいて、「なんじゃそりゃ?」と疑問を感じた部分です。「手を洗う救急医Taka」氏はその「標準化変換」について、「HIROTSUバイオサイエンスでは、一定数の検体を同時に検査し、その中で検査値が高いものから順にがんと判定しているということではないかと思います。(中略)カットオフを変える行為のことを『標準化変換』と読んでいるのでしょう」と書き、「バッチによってカットオフが変わるんだから、毎回感度と特異度が変わりません?(中略)『弊社は毎回の検査でカットオフを変えていますので、検査に感度と特異度は存在しません』と言わなければいけないのではないでしょうか?」と指摘しています。検査精度に本当に自信があるのならブラインド検査を実施するべき本連載の第89回でも書いたように、臨床検査には、「分析学的妥当性」「臨床的妥当性」「臨床的有用性」という3つの評価基準があります。この3つを証明するデータを、きちんとしたプロトコールによって行った臨床試験等で出し、それが評価されれば、保険診療において使用が認められるし、海外でも用いられるようになります。しかし、こうした「がん(病気)のリスクを判定する」と喧伝する検査の多くは、お金と時間が膨大にかかる臨床試験を敢えて避け、日本だけの一般向け検査でお茶を濁しています。また、お金と時間の節約のためではなく、単に自分たちの検査の精度に自信がない場合も、臨床での使用をはなから諦めて一般向け製品で妥協するケースもあります。HIROTSUバイオサイエンスも、もし検査精度に本当に自信があるのなら、意味不明な数字遊びではなく、「手を洗う救急医Taka」氏も主張するブラインド検査(ランダム化比較試験)を実施するべきでしょう。また、こうした検査によって無用の心配を被験者にさせたり、見落としによって手遅れになったりするケースが増えているとしたら、厚生労働省は法律を作って何らかの規制に乗り出すべきだと考えます。仮に見落としがあったとしたらコーチ屋よりもたちが悪い「第89回」でも書きましたが、検査を受けた人がアコギな医療機関に食いものにされる危険性もあります。提携医療機関の中には、『N-NOSE』陽性の人に対し、自費での高額な検査を勧めるところもあると聞きます。『N-NOSE』はあくまでリスク判定であるため、そこで陽性の判定が出ても、基本的にすぐには保険診療とはなりません。一度、高額な自費検査を挟んで、病気が見つかってはじめて保険診療に進む流れです。またそうではなく、『N-NOSE』で陽性と出て、すぐに保険診療を行っているとしたらそれはそれで問題です。その時点ではまだ“健常者”に保険診療を行っていることになるからです。明らかに健康保険法違反です。最終的にがんが見つかった時だけ、「ほら見つかったでしょう」では、競輪場のコーチ屋や占い師とそう変わりません。仮に見落としがあったとしたら、それはコーチ屋よりもたちが悪いと言えるでしょう。ということで、まずはPET核医学分科会・PETがん検診ワーキンググループの調査結果を待ちたいと思います。

7065.

日本人の冠動脈石灰化リスクに関連する腸内細菌叢

 冠動脈疾患患者の腸内細菌叢は健康人とは異なるが、冠動脈疾患が発症する前に違いがあるのかどうかはわかっていない。今回、滋賀動脈硬化疫学研究SESSAにおいて、日本人における冠動脈石灰化(CAC)の進行や冠動脈疾患の発症における新たなリスクや予防因子を特定するべく、CACや冠動脈疾患に関連する腸内細菌叢を調査した。その結果、Firmicutes門とBacteroidetes門の比率(F/B比)、とくにFirmicutes門とLactobacillales目がCACスコアおよび冠動脈疾患の既往と関連しており、これらの細菌群にCAC進行のリスク因子または腸内バイオマーカーが含まれている可能性があることを、滋賀医科大学の岡見 雪子氏らが報告した。American Heart Journal誌オンライン版2023年10月5日号に掲載。 本横断研究では、日本人男性663人にCTおよび腸内細菌検査を行い、Agatston法を用いて算出したCACスコアにより、0、0<かつ≦100、100<、冠動脈疾患既往ありの4群に分けた。細菌の16SリボソームRNA遺伝子を増幅し、MiSeq SystemでDNA配列を決定した。また、QIIME2とLEfSeを用いて腸内細菌叢を解析し、4群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は68.4歳(範囲:46~83歳)だった。・CACスコア0が219人、0<かつ≦100が200人、100<が193人、冠動脈疾患既往ありが51人で、F/B比中央値は順に1.50、1.52、1.67、1.80だった(p=0.020)。・Firmicutes門、Bacilli綱、Lactobacillales目は冠動脈疾患リスクが1.3~1.4倍高く、また、CACスコアが高かった。・Streptococcaceae科、Streptococcus属は冠動脈疾患リスクが高かった。

7066.

抗インフル薬、国内で最も処方頻度が高いのは?/NCGM国府台病院

 国立国際医療研究センター(NCGM)国府台病院総合内科の酒匂 赤人氏らの研究グループと国立国際医療研究センター病院は共同でわが国の全国規模のインフルエンザ診療の実態を調べ、その結果を報告した。 研究報告によると2017年度の抗インフルエンザ薬処方人数は1,339万例で、薬剤費は480億円。2018年度では処方患者数の約38%を20歳未満が占め、5~9歳では4例に1例が処方された計算だった。PLoS One誌2023年10月4日号の報告。世界的には特有な日本の抗インフルエンザ薬の処方実態 わが国には抗インフルエンザ薬としてザナミビル、オセルタミビル、ラニナミビル、ペラミビル、バロキサビルなどが承認・使用されている。世界的にはインフルエンザ迅速検査で陽性となった場合、若年で持病などがなければ治療薬の処方はされないが、わが国では抗インフルエンザ薬がこうした若く持病のない患者にも処方されている。これはわが国特有の状況とされるが、全国的な抗インフルエンザ薬の処方実態に関するデータは不足している。そこでリアルワールドデータを解析することで、わが国の抗インフルエンザ薬の使用状況を明らかにすることを目的に研究が行われた(アマンタジン、ファビピラビルは本研究では対象外)。 方法としてわが国の個々の患者の性別、年齢、受けた検査、処方、手術などのデータが含まれるレセプト情報・特定健診等情報データベース(National Database:NDB)を解析し、2014~20年度のNDBオープンデータを用いて記述疫学研究を実施した。その際、抗インフルエンザ薬を処方された年間患者数、処方された薬剤、患者の年齢・性別分布、薬剤費、地域格差を推定した。 主な結果は以下のとおり。・2014~19年に抗インフルエンザ薬が処方された患者数は年間670~1,340万例。・薬剤費は年間223~480億円と推定される。・インフルエンザ迅速抗原検査は2,110〜3,200万件実施され、その費用は301〜471億円だった。・2017年に最も処方頻度の多かった抗インフルエンザ薬はラニナミビル(48%)、オセルタミビル(36%)の順だった。・2018年は新たに登場したバロキサビルが40.8%を占めた。・新型コロナウイルス感染症の流行後、2020年に抗インフルエンザ薬を処方された推定患者数はわずか1万4,000例にまで減少した。・2018年、抗インフルエンザ薬が処方された37.6%が20歳未満の患者であったのに対し、65歳以上の患者は12.2%であった。・入院患者への抗インフルエンザ薬の処方は1.1%で、年齢が高くなるにつれて割合が増加し、入院中に抗インフルエンザ薬が処方されるのは女性よりも男性のほうが多かった。 今回の研究結果を踏まえ、酒匂氏らのグループは「わが国におけるインフルエンザの臨床管理の実態を明らかにしたうえで、今後は抗インフルエンザ薬を積極的に処方することについて臨床的・経済的側面を評価する必要がある」と展望を述べている。

7067.

中等症~重症の乾癬、リサンキズマブの実臨床の有効性は?

 インターロイキン(IL)-23阻害薬リサンキズマブによる治療を受けた中等症~重症の乾癬患者は、治療開始1年後において、多くの患者が高い皮疹消失レベルを達成した。また、乾癬症状も改善し、労働生産性・活動障害も改善した。米国・イェール大学のBruce Strober氏らが、中等症~重症の乾癬に対するリサンキズマブの実臨床における治療効果の検討を目的として実施した、後ろ向き観察研究の結果を報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2023年9月20日号掲載の報告。 研究グループは米国およびカナダの乾癬データベースCorEvitas Psoriasis Registryを用いて、中等症~重症の乾癬と診断され、リサンキズマブによる治療開始後12±3ヵ月時点でリサンキズマブを継続使用していた成人患者287例を対象とした後ろ向き観察研究を実施した。皮疹の重症度(Investigator Global Assessment[IGA]スコア、Psoriasis Area Severity Index[PASI]など)、患者報告アウトカム(Dermatology Life Quality Index[DLQI]スコアに基づくQOL、VASで評価した疲労・皮膚疼痛・そう痒、Work Productivity and Activity Impairment Questionnaire[WPAI]に基づく労働生産性・活動障害)を検討した。 主な結果は以下のとおり。・治療開始1年時点において、多くの患者が皮疹の消失を達成した(IGAスコア0:55.4%[158/285例]、PASI 100[ベースラインから100%改善]:55.8%[159/285例])。また、多くの患者が皮疹の消失/ほぼ消失を達成した(IGAスコア0/1:74.4%[212/285例]、PASI 90[ベースラインから90%改善]:65.6%[187/285例])。・生活への影響なし(DLQIスコア0/1)の割合は67.7%(174/257例)であった。・乾癬症状(疲労、皮膚疼痛、そう痒)が有意に改善し(いずれもp<0.001)、労働生産性・活動障害も有意に改善した(いずれもp<0.001)。 著者らは本研究の限界として、CorEvitas Psoriasis Registryが米国およびカナダの成人乾癬患者を必ずしも代表しているわけではないこと、患者のアドヒアランスを評価していないことを挙げている。

7068.

日本人薬物乱用頭痛に対するフレマネズマブの有効性~多施設共同RCT事後分析

 慢性片頭痛(CM)患者は、急性頭痛薬を服用していることが多く、その結果として薬物乱用(MO)状態に至ることが少なくない。静岡赤十字病院の今井 昇氏らは、MOの有無を問わない日本人CM患者に対するフレマネズマブの有効性を評価するため、第IIb/III相試験の事後分析を実施した。その結果、フレマネズマブはMOの有無にかかわらず、日本人CM患者の片頭痛予防に有効であり、MOの軽減にも有益であることが示唆された。Neurology and Therapy誌オンライン版2023年9月11日号の報告。 多施設共同二重盲検並行群間第IIb/III相試験では、患者を月1回フレマネズマブ皮下投与群(初回投与量:675mg、2回目・3回目投与量:225mg)、四半期ごとフレマネズマブ皮下投与群(初回投与量:675mg、2回目・3回目投与:プラセボ)、プラセボ群(いずれの投与もプラセボ)に1:1:1でランダムに割り付け、3ヵ月間投与を行った。本事後分析では、MOの有無を問わず日本人CM患者(1ヵ月当たりの使用:急性頭痛薬15日以上、片頭痛特異的急性治療薬10日以上、10日以上の併用)のデータを分析した。アウトカムには、オリジナルのエンドポイントである中等度以上の平均頭痛日数、平均頭痛日数が50%以上減少した患者の割合、MOのない状態に変化した患者の割合を含めた。 主な結果は以下のとおり。・登録患者479例のうち、ベースライン時にMOが認められた患者は320例(66.8%)であった。・1ヵ月当たりの平均頭痛日数は、MOの有無にかかわらず、フレマネズマブ群においてプラセボ群よりも有意な減少が認められた。【MOあり】月1回群:-2.0±0.6(p=0.0012)、四半期ごと群:-1.8±0.6(p=0.0042)【MOなし】月1回群:-1.6±0.8(p=0.0437)、四半期ごと群:-1.5±0.8(p=0.0441)・平均頭痛日数が50%以上減少した患者の割合は、MOの有無にかかわらず、フレマネズマブ群においてプラセボ群よりも有意な減少が認められた。【MOあり】月1回群:28例/108例、25.9%(p=0.0040)、四半期ごと群:25例/99例、25.3%(p=0.0070)、プラセボ群:12例/111例、10.8%【MOなし】月1回群:18例/50例、36.0%(p=0.0132)、四半期ごと群:21例/60例、35.0%(p=0.0126)、プラセボ群:7例/49例、14.3%・MOのない状態に変化した患者の割合は、フレマネズマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に高かった(月1回群:50例/108例、46.3%[p=0.0115]、四半期ごと群:44例/99例、44.4%[p=0.0272]、プラセボ群:33例/111例、29.7%)。

7069.

ニボルマブベースの非小細胞肺がん周術期レジメンが有効性示す(CheckMate 77T)/ESMO2023

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)におけるニボルマブベースの周術期レジメンが良好な結果を示した。 欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)において米国・MDアンダーソンがんセンターのTina Cascone氏が発表した、同集団に対する術前ニボルマブ+化学療法、術後ニボルマブを評価する無作為化二重盲検第III相CheckMate 77T試験の中間解析の結果である。・対象:切除可能なStageIIA〜IIIB (American Joint Committee on Cancer[AJCC]第8版) のNSCLC・試験群:ニボルマブ360mg 3週ごと+プラチナダブレット化学療法 3週ごと4サイクル→手術→ニボルマブ480mg 4週ごと1年間(NIVO+化学療法/NIVO群、n=229)・対照群:プラチナダブレット化学療法 3週ごと4サイクル→手術→プラセボ4週ごと1年間(化学療法/PBO群、n=232)評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価の無イベント生存期間(EFS)[副次評価項目]病理学的完全奏効(pCR)および主要な病理学的奏効(MPR)(ともに盲検下独立病理学審査[BIPR]評価)、全生存期間(OS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は25.4ヵ月であった。・BICR評価のEFS中央値は、NIVO+化学療法/NIVO群は未到達、化学療法/PBO群は18.4ヵ月で、NIVO+化学療法/NIVO群で有意に改善していた(ハザード比[HR]:0.58、97.36%信頼区間[CI]:0.42〜0.81、p=0.00025)。・12ヵ月EFS率はNIVO+化学療法/NIVO群73%、化学療法/PBO群59%、18ヵ月EFS率はそれぞれ70%と50%であった。・BIPR評価のpCR率はNIVO+化学療法/NIVO群25.3%、化学療法/PBO群4.7%(オッズ比[OR]:6.64、95%CI:3.40〜12.97)、BIPR評価のMPR率はそれそれ35.4%と12.1%であった(OR:4.01 、95%CI:2.48〜6.49)。・全期間における全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は、NIVO+化学療法/NIVO群の89%、化学療法/PBO群の87%に発現した。術前期間のTRAE発現はそれぞれ86%と85%、術後期間のTRAE発現はそれぞれ50%と30%であった。 Cascone氏は、CheckMate 77T試験の結果は、ニボルマブベースの周術期レジメンが切除可能NSCLCにとって有望な新しい治療選択肢であることを支持するものだと結んだ。

7070.

多がん早期検出血液検査は、がんスクリーニングで実行可能か/Lancet

 多がん早期検出(multicancer early detection:MCED)血液検査は、腫瘍から循環血中に排出された遊離DNA(cell-free DNA:cfDNA)のがん特異的DNAメチル化パターンを検出し、がんシグナルが確認された場合はその起源(cancer signal origin:CSO)を予測することから、1回の採血で50以上のがん種の検出が可能とされる。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDeb Schrag氏らは、「PATHFINDER研究」にてMCED血液検査を用いたがんスクリーニングは実行可能であることを確認し、今後、臨床的有用性を検証する研究を進める必要があることを示した。研究の成果は、Lancet誌2023年10月7日号で報告された。米国の前向きコホート研究 PATHFINDER研究は、がんスクリーニングにおけるMCED検査の実行可能性(feasibility)を調査する前向きコホート研究であり、米国の7つの医療ネットワークに属する腫瘍科およびプライマリケア外来施設が参加した(米国・GRAILの助成を受けた)。 対象は、年齢50歳以上、がんの徴候や症状がなく、MCED検査と1年間の電子健康記録の追跡調査に同意した集団であった。 参加者の血液を採取してcfDNAの解析を行い、結果を参加施設の医師に伝えた。がんを示唆するメチル化シグネチャーを検出した場合は、予測されるCSOを知らせた。 主要アウトカムは、MCED検査で陽性となった後、がんの有無を確定するのに要した時間と、確定診断までに行った検査の範囲であった。検査から確定診断までの期間は79日 2019年12月12日~2020年12月4日に6,621人を登録した。年齢中央値63.0歳(四分位範囲[IQR]:56.0~70.0)、女性63.5%、白人91.7%で、がん既往参加者は24.5%であった。 がんシグナルは6,621人のうち92人(1.4%)の参加者で検出した。このうち、がんと診断された真陽性は35人(38%)で、残りの57人(62%)はがんと診断されず偽陽性であった。 MCED検査の結果が出る前に診断のための評価が開始された2人を除くと、診断が確定するまでの期間中央値は79日(IQR:37~219)であった。偽陽性者の診断までの期間中央値は162日(44~248)である一方、真陽性者では57日(33~143)と短かった。 がんシグナルを検出した90人(上記の2人を除く)の多くが、診断が確定するまでに臨床検査(真陽性者79%[26/33人]、偽陽性者88%[50/57人])と画像検査(真陽性者91%[30/33人]、偽陽性者93%[53/57人])を受けていた。 また、処置(非外科的または外科的)を受けた参加者の割合は、真陽性者(82%[27/33人])に比べ偽陽性者(30%[17/57人])で低く、外科的処置を受けた参加者はほとんどいなかった(真陽性者3人、偽陽性者1人)。 著者は、「これらの知見は、がんスクリーニング戦略としてのMCED検査の安全性、有用性、臨床的有効性を調査するための大規模研究の基礎を築くものである」としている。

7071.

転移乳がんへのDato-DXd、医師選択化療よりPFS延長(TROPION-Breast01)/ESMO2023

 化学療法の前治療歴のある手術不能または転移を有するHR陽性(+)/HER2陰性(-)の乳がん患者を対象とした第III相TROPION-Breast01試験の結果、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)は、医師選択化学療法よりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長し、かつGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は半数以下であったことを、米国・Massachussetts General Hospital/Harvard Medical SchoolのAditya Bardia氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)のPresidentialで報告した。・対象:HR+/HER2-、1~2ラインの全身化学療法歴、内分泌療法で進行または不適、ECOG PS 0~1の手術不能または転移を有する乳がん患者 732例・試験群:Dato-DXd(6mg/kg、3週ごと)を進行または許容できない毒性が発現するまで継続(Dato-DXd群:365例)・対照群:医師が選択した化学療法(エリブリン、ビノレルビン、カペシタビン、ゲムシタビン)を進行または許容できない毒性が発現するまで継続(化学療法群:367例)・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS、全生存期間(OS)[副次評価項目]治験担当医評価によるPFS、安全性・層別化因子:前治療のライン数、地域、CDK4/6阻害薬の治療歴の有無 Dato-DXdは、第I相TROPION-PanTumor01試験において、手術不能または転移を有するHR+/HER2-の前治療歴のある乳がん患者において有望な活性を示している。今回は、グローバル第III相TROPION-Breast01試験の主要評価項目の1つであるPFSの結果が報告された。 主な結果は以下のとおり。・Dato-DXd群と化学療法群の年齢中央値は56歳(範囲:29~86)/54歳(28~86)、白人が49%/46%、アジア系が40%/41%、1ラインの前治療歴が63%/61%、CDK4/6阻害薬の治療歴ありが82%/78%、タキサン系and/orアントラサイクリン系の治療歴ありが90%/92%で、両群でバランスがとれていた。・データカットオフ(2023年7月17日)時点の追跡期間中央値は10.8ヵ月で、Dato-DXdの93例と化学療法群の39例が治療を継続していた。・主要評価項目であるBICRによるPFSは、Dato-DXd群6.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.7~7.4)、化学療法群4.9ヵ月(95%CI:4.2~5.5)であり、Dato-DXd群で有意にPFSが改善された(HR:0.63[95%CI:0.52~0.76]、p

7072.

切除不能または転移を有する尿路上皮がん1次治療、化療へのニボルマブ追加でOS改善(CheckMate 901)/ESMO2023

 切除不能または転移を有する尿路上皮がんの1次治療として、シスプラチンベースの化学療法へのニボルマブの追加が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。日本も参加している第III相CheckMate 901試験の結果を、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMichiel S. van der Heijden氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告した。なお本結果は、2023年10月22日にNEJM誌オンライン版へ同時掲載されている。・対象:シスプラチン適格、未治療の切除不能または転移を有する尿路上皮がん患者(18歳以上、ECOG PS 0~1)・試験群:ニボルマブ(360mg、1日目)+ゲムシタビン(1,000mg/m2、1日目・8日目)+シスプラチン(70mg/m2、1日目)を3週ごとに最大6サイクルまで→ニボルマブ(480mg)を4週ごとに疾患進行/許容できない毒性の発現または最大2年まで 304例・対照群:ゲムシタビン+シスプラチン 304例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるOS、PFS[副次評価項目]PD-L1≧1%におけるOS、PFS、健康関連QOL(HRQOL)[探索的評価項目]BICRによる奏効率(ORR)、安全性・層別化因子:PD-L1発現状況(≧1% vs.

7073.

年齢別、コロナ後遺症の発生頻度

“コロナ後遺症(罹患後症状)”どのくらいの頻度で報告されている?[年齢別]6.0%およそ新型コロナウイルス感染後、3ヵ月以上続く何らかの症状があった人の割合20人に1人5.0%4.7%およそ30人に1人3.8%4.0%およそ40人に1人およそ45人に1人3.0%2.7%2.3%2.0%およそ125人に1人およそ1.0%500人に1人およそ330人に1人0.2%0.3%0~5歳6~11歳0.8%0.0%12~17歳18~34歳35~49歳50~64歳65歳以上出典:CDC「Update: Epidemiologic Characteristics of Long COVID」2023 Sep 12.米国の「2022 National Health Interview Survey」データよりCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

7074.

持続性陽圧換気(CPAP)の心血管イベント再発予防に対する効果は、1日4時間以上装着できたアドヒアランス良好な患者において認められる(解説:石川讓治氏)

 重度の睡眠時無呼吸症候群における持続性陽圧換気(CPAP)の心血管疾患の再発予防効果に関しては、研究間で一定した結果が得られていない。本研究におけるシステマティックレビューで、最終的に3つの無作為割り付け研究が選択され、これらの研究の個別患者データを使用してメタ解析が行われた。全体的な解析では、CPAP群とコントロール群の間に、心血管イベント再発抑制には有意な差が認められなかった。しかし、CPAPを1日4時間以上装着できたアドヒアランス良好な患者においては、31%の心血管イベント再発抑制効果が認められた。CPAPを4時間以上装着できた患者はCPAP群の38.5%であった。 実臨床においても、CPAPに対する忍容性、継続性が非常に問題であることは以前から指摘されてきた。同じApnea-Hypopnea Indexでも、CPAPを使用しないとぐっすり眠れない患者と、CPAPを使用するとかえって眠りが妨げられると訴える患者の両方を経験するが、このアドヒアランスの違いはいったいどこから来るのであろうか? 本論文のディスカッションでは、いびきの大きさといった疾患の重症度に加えて、CPAP装着早期のアドヒアランスで継続性を予測できたという報告が紹介されていた。何日か使用して、CPAPが無理そうなら諦めたほうがいいのか? 最初は難しくてもCPAPのアドヒアランスを改善していく方法はないのか? CPAPを1日2時間しか装着できない人は意味がないのか? CPAPの忍容性、継続性を改善する機器や手技の開発、改良が重要であると思われた。臨床医が、CPAP治療を処方するだけではなく、その効果やアドヒアランスを確認していくことの重症性も再確認された。

7075.

086)皮膚科医が推理力を試されるとき?【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第86回 皮膚科医が推理力を試されるとき?ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆さまざまな主訴で外来に訪れる皮膚科の患者さん。症状を視診、目で見て診断できる(生検が必要なこともありますが)というのが、皮膚科の最大の利点だと個人的には思っています。さて、そんな見た目が勝負の皮膚科外来。何でも見ただけで判断できるかというと、残念ながらそうでもなく、パッと見、何だかわからない赤みに遭遇することも多々あります。そんなときは、患者さんに注意深く問診を進めながら、診断を行っていく訳ですが、患者さん自身も忘れているような出来事が重要な手がかりとなることもあります。あれこれ脳内で想像をめぐらせながら、答えとなる回答(確定診断)を引き出すべく、質問を投げかけています。某少年サイズの探偵のように、毎回真実にたどり着ければよいのですが、正直なところ、謎が謎のまま終わってしまうことも…。見た目と問診から、いかにヒントを引き出し、答えにたどり着くか?そこが面白いし、難しいところです。「皮膚科の醍醐味は、こういうところにあるのかもしれないなぁ」と思うこの頃です。私もまだまだ、日々勉強。これからも精進してまいります☆それでは、また次の連載で。!

7076.

効率よく紹介状を作成するには?(最終回)【紹介状の傾向と対策】第8回

<あるある傾向>きちんとした紹介状を書く時間がない<対策>日頃の診療録がそのまま紹介状になるようにしておく多忙な臨床業務の中で紹介状(診療情報提供書)の作成は負担の大きな業務の1つです。しかし、紹介状の不備は、依頼先(紹介先)の医師やスタッフに迷惑をかけるだけではなく、患者さんの不利益やトラブルにつながりかねません。このため、できる限り依頼先が困らない紹介状の作成を心がけたいものです。【紹介状全般に共通する留意点】(1)相手の読みやすさが基本(2)冒頭に紹介する目的を明示する(3)プロブレムと既往歴は漏れなく記載(4)入院経過は過不足なく、かつ簡潔に記載(5)診断根拠・診断経緯は適宜詳述(6)処方薬は継続の要否、中止の可否を明記(7)検査データ、画像データもきちんと引き継ぐ本連載では「より良い患者紹介とは」をテーマに紹介状作成について連載をしてきました。勤務医、開業医を問わず紹介状にまつわる不満やトラブルは多々あり、紹介状を作成するにあたり、注意しているポイントを書いてきました。しかし、多忙極める医療現場で、理想的な紹介状を作成することはとても大変です。とくにDPC制度を導入している医療機関は、患者一人あたりの入院期間がどんどん短縮され、患者の回転が速くなり、現場医師が1年間に対応する入退院の処理業務は確実に増えていると予測されます。筆者自身も日常診療業務の中で書類作成にさく時間の割合は大きく、書類作成に常日頃ストレスを感じています。書類作成の中でも「診療情報提供書」と「退院時サマリー」の作成はとても負担が大きいです。文章を書くこと自体がとても大変な作業ですが、重要事項の記載忘れがないか、確認し忘れていた検査結果がないかなど、患者の退院前の準備にはとても神経を使います。また、紹介先に添付する診断画像をCD-ROMにする依頼、心電図、採血結果、各種レポートなどの出力は地味に手間がかかります。また、筆者は現在DPC病院に勤務し、受け持ち患者は20名を超えます。約2日おきの頻度で誰かが急変し、高次医療機関へ転院を余儀なくされる日々です。大きな急変の場合にはその対応に追われ、ほかの業務がストップしてしまい、病診連携室から頼まれていた転院打診用の紹介状作成も後回しにせざるを得ません。このようなとき、理想的な紹介状の作成ができるかと言えば現実的に難しいです。退院サマリーにも応用できる書き方多くの先生方が多忙な臨床業務の中でご自身の業務スタイルを確立し、業務をこなされていることと思います。決して要領が良いわけではない筆者は、どうすれば効率よく紹介状や退院サマリーの記載業務をこなしていけるのか、日々考えてきました。その中で現在たどり着いた方法は、入院日に入院サマリーをできる限り作成しSOAP記録の下に併記する方法です。そして入院後は、SOAP+入院サマリーで構成される記録を日々コピー&ペーストし、適宜、入院経過や検査結果のみを追記していきます。(表)脳出血の患者のカルテ記載の一例画像を拡大するこれにより急な転院の紹介状作成の際も、この入院サマリーを引用し編集することで、短時間で情報欠落のない紹介状を作成することが可能になりました。また転院打診用の紹介状も基本はこの入院サマリーをペーストして作成できるようになりました。そして退院サマリーも入院サマリーをコピー&ペーストすればほぼ完成です。このスタイルを取り入れて最も良かったのは、自分自身や同僚医師、またその患者に関わるスタッフが筆者のカルテを見たとき「その患者がどういう経緯で入院し、今、どのような状態にあるか」、SOAP部分を見れば瞬時に把握できることです。時折、当直中に呼ばれ、主治医の記録をみても、何の疾患で入院しどんな病歴の患者なのかわからないことが多々あり、当直の際はとても困ります。院内で患者が急変したとき、その患者を診るのが初めての医師でも瞬時にその患者の情報を把握できるカルテ記載をしておくことが、筆者はとても大切だと考えています。紹介状についても同様で、紹介を受ける医師が困らない記載を心掛けたいものです。

7077.

英語で「注意を払う」は?【1分★医療英語】第102回

第102回 英語で「注意を払う」は?《例文1》医師ACan you put this patient on your radar?(この患者さんに注意を払ってもらえますか?)医師BSure, I can.(いいですよ)《例文2》医師I am sorry but this patient was not on my radar.(申し訳ないが、この患者のことは知りませんでした)看護師No worries, Dr.(大丈夫ですよ)《解説》“put(be) on one's radar”という表現は、医療現場以外でも使われる、知っておくと有用な表現の1つです。イメージとしては、直訳した「誰かのレーダーに映す」という表現から、「“何か”を“誰か”の意識下におく」といった意味になります。日本語としては「(誰かの)耳に入れる」「注意を払う」「知っておく」といった意味になります。医療現場では、気になる患者さんや情報を誰かと共有したい場合に、主に医師同士の会話で使うことが多いです。日本で学習する表現の中にはまず出てこないと思いますので、ぜひ覚えて使ってみてください。逆に、「意識下から外れている」、つまり「把握していない」と言いたいときには、“under the radar”という表現を使います。講師紹介

7078.

第186回 手術不要の狙いどおりの脳深部刺激がヒトに初めて施された

手術不要の狙いどおりの脳深部刺激がヒトに初めて施された手術で脳内に移植した電極による脳深部刺激(DBS)はパーキンソン病などの重度の運動疾患や強迫性障害(強迫症)などの気分障害の治療手段として世界で広く使われています。用途の拡大も期待され、たとえば治療抵抗性うつ病やアルツハイマー病へのDBSの試験が実施されています。しかし脳手術につきものの危険性や合併症がDBSの可能性を狭めています。手術不要のDBSの実用化を目指し、頭の外側からの磁気や電気を送る手段が多くの臨床試験で検討されてきました。そのような経頭蓋磁気/電気刺激を基底核や海馬などの脳の奥深くの領域に到達させるにはそれらを覆う脳領域も広く一緒に刺激してしまうことが避けられず、余計な副作用の心配があります。そこで英国のImperial College Londonの認知症研究者Nir Grossman氏らは脳に置いた電極が発する電場によって脳の奥深くのみを遠隔刺激しうる手段を編み出し、その意図どおりの効果を示したマウス実験成果を2017年に報告しました1)。Grossman氏らがtemporal interference(TI)と呼ぶその手術不要の手段はマウスの海馬をそれに被さる領域に手出しすることなく刺激することができました。検討はその後さらに進み、先週Nature Neuroscience誌に発表された臨床試験の結果、いまやTIはマウスと同様にヒトの脳の奥深くも刺激しうることが裏付けられました2)。Grossman氏らはまず死者の脳を使った検討で電場が海馬のみ相手しうることを確認し、続いて健康な20例を募ってTIによる海馬刺激を試みました。被験者には顔と名前の組み合わせを記憶する課題をしてもらい、その最中の被験者の脳にTIを施しました。海馬は言わずもがな記憶や学習を司る脳領域であり、被験者がした課題は海馬の働きを必要とします3)。fMRIで被験者の脳の活動を測定したところ、TIは海馬の活性のみ調節し、記憶の正確さが改善しました。Nature Neuroscience誌に時を同じくして発表された別の報告4)ではヒトの線条体をTIによって活性化し、運動記憶機能が改善したことが確認されています。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)が率いた研究の成果です。Grossman氏らの成果はまったく新しいアルツハイマー病治療の道を切り開くものです。初期段階のアルツハイマー病患者へのTIの臨床試験が早くもGrossman氏の指揮の下で始まっており、被験者集めが進行中です5)。アルツハイマー病で侵された脳領域の活動がTIを繰り返すことで正常化し、記憶障害の症状が改善することを期待しているとGrossman氏は述べています3)。参考1)Grossman N, et al. Cell;169:1029-1041.2)Violante IR, et al. Nat Neurosci. 2023 Oct 19. [Epub ahead of print]3)Surgery-free brain stimulation could provide new treatment for dementia / Imperial College London4)Wessel MJ, et al. Nat Neurosci. 2023 Oct 19. [Epub ahead of print]5)Recruiting to a new landmark trial to treat dementia by sending electrical currents deep into the brain.

7080.

糖尿病はCVDイベント発生を12年早める/JACC

 新たに診断された2型糖尿病患者における心血管疾患(CVD)の10年間のリスクを一般集団と比較した結果、2型糖尿病患者では年齢や性別にかかわらずCVDリスクが有意に高く、CVDイベントの発生が12年早まっていたことを、デンマーク・オーフス大学病院のChristine Gyldenkerne氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌2023年10月17日号掲載の報告。 糖尿病とCVDリスクとの関連についてはすでに豊富なエビデンスがあるが、研究グループは新たに2型糖尿病と診断された患者のCVDリスクに関する最新データは適切な予防管理に必要と考え、性別および年齢別の10年CVDリスクを一般集団と比較したコホート研究を実施した。 対象は2006~13年にデンマークで新たに2型糖尿病と診断された全患者14万2,587例と、性別・年齢をマッチさせた一般集団38万8,410例で、10年間のCVD(心筋梗塞、脳卒中、致死的CVD)リスクを推定した。全例がベースライン時にアテローム動脈硬化性心血管疾患を有していなかった。 主な結果は以下のとおり。・10年間の追跡で合計5万2,471件のCVDイベントが記録された。・一般集団と比較して、2型糖尿病群の10年CVDリスクは男女ともにすべての年齢層で高かった。・40~49歳ではイベントリスク差が最も大きかった(2型糖尿病群6.1% vs.一般集団3.3%、リスク差:2.8%、部分分布ハザード比:1.91、95%信頼区間:1.76~2.07)。・一般集団の男性の10年CVDリスクが5%となったのは55歳であったのに対し、2型糖尿病群の男性では12年早い43歳であった。・女性では、一般集団は61歳で5%に達したのに対し、2型糖尿病群では10年早い51歳であった。 これらの結果より、研究グループは「われわれのデータは、新たに2型糖尿病と診断された患者はすべてCVDリスクが高いと考えるべきであることを示している。CVDリスクを低減させるために予防的介入を強化することを考慮すべきである」とまとめた。

検索結果 合計:35155件 表示位置:7061 - 7080