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既往帝王切開、多面的介入で周産期合併症が減少/Lancet

 帝王切開分娩歴が1回の女性において、分娩方法の選択を支援しベストプラクティスを促進する多面的な介入により、帝王切開分娩や子宮破裂の発生率が増加することなく、主要な周産期合併症および妊産婦合併症の罹患率が有意に減少した。カナダ・ラヴァル大学のNils Chaillet氏らが、多施設共同クラスター無作為化非盲検比較試験「PRISMA試験」の結果を報告した。帝王切開分娩歴のある女性は、次の妊娠で難しい選択に直面し、再度帝王切開分娩を行うにしても経膣分娩を試みるにしても、いずれも母体および周産期合併症のリスクがあった。Lancet誌2024年1月6日号掲載の報告。意思決定支援やベストプラクティスなどの介入群vs.非介入(対照)群 研究グループはカナダ・ケベック州の公立病院40施設を、1年間のベースライン期間後にブロック無作為化法により医療レベル(地域病院、基幹病院、3次病院)で層別化して介入群と非介入(対照)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 介入群には、帝王切開分娩歴のある女性の分娩期ケアに対するベストプラクティスに関する研修や臨床ツール(陣痛モニタリングの臨床アルゴリズムと改良パルトグラフ、分娩方法に関する意思決定支援ツール)の提供を行い、ベストプラクティスの実施、経膣分娩の可能性や超音波検査による子宮破裂リスクの推定などを実施することとした。対照群は介入なしとした。実施期間は5~8ヵ月で、介入期間は2年であった。 主要アウトカムは、死亡を含む主要周産期合併症(分娩時または新生児死亡、Apgarスコア5分値4未満、代謝性アシドーシス、重症外傷、脳室内出血、脳室周囲白質軟化症、痙攣発作、侵襲的人工呼吸、重大な呼吸器疾患、壊死性腸炎、低酸素性虚血性脳症、新生児敗血症、昇圧剤を要する低血圧)の複合リスクとし、帝王切開分娩歴が1回のみで、参加施設で出産し、新生児の在胎週数が24週以上、出生時体重500g以上の単胎妊娠の女性を解析対象とした。介入群で主要周産期合併症、母体の主要合併症が有意に減少 2016年4月1日~2019年12月13日に分娩した適格女性は、2万1,281例であった(介入群1万514例、対照群1万767例)。追跡不能例はなかった。 主要周産期合併症罹患率は、対照群ではベースライン期間の3.1%(110/3,507例)から介入期間は4.3%(309/7,260例)に増加したが、介入群では4.0%(141/3,542例)から3.8%(265/6,972例)に減少し、介入群において対照群と比較しベースライン期間から介入期間の主要周産期合併症罹患率の有意な減少が認められた(補正後オッズ比[OR]:0.72[95%信頼区間[CI]:0.52~0.99]、p=0.042、補正後絶対群間リスク差:-1.2%[95%CI:-2.0~-0.1])。介入の効果は、病院の医療レベルにかかわらず同等であった(交互作用のp=0.27)。 母体の主要合併症(妊産婦死亡、子宮摘出、血栓塞栓症、4日以上のICU入室、急性肺水腫、心原性ショック、敗血症、内臓損傷、子宮破裂)の罹患率も、対照群と比較して介入群で有意に減少した(補正後OR:0.54、95%CI:0.33~0.89、p=0.016)。 軽度の周産期合併症および母体合併症の罹患率、帝王切開分娩率、子宮破裂率については、両群間で有意差は確認されなかった。

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コロナ外来患者への高用量フルボキサミン、症状期間を短縮せず/JAMA

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者において、高用量フルボキサミン(100mgを1日2回投与)を12日間投与しても、プラセボと比較してCOVID-19症状期間を短縮しなかった。米国・バージニア大学のThomas G. Stewart氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照プラットフォーム試験「ACTIV(Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines)-6試験」の結果を報告した。JAMA誌2023年12月26日号掲載の報告。発症から7日以内の軽症~中等症患者を対象に、高用量フルボキサミンvs.プラセボ ACTIV-6試験は、軽症~中等症のCOVID-19外来患者における既存治療転用を評価するようデザインされた分散型臨床試験である。 研究グループは、2022年8月25日~2023年1月20日に米国103施設において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染確認後10日以内で、COVID-19の症状(疲労、呼吸困難、発熱、咳、悪心、嘔吐、下痢、体の痛み、悪寒、頭痛、喉の痛み、鼻の症状、味覚・嗅覚の異常)のうち2つ以上の症状発現後7日以内の、30歳以上の外来患者を、フルボキサミン群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 フルボキサミン群では、1日目にフルボキサミン50mg錠1錠を2回投与し、その後50mg錠2錠(100mg)を1日2回12日間投与した。 主要アウトカムは持続的回復までの期間(少なくとも3日間連続して症状がないことと定義)、副次アウトカムは28日以内の死亡、入院または死亡、あるいは入院・救急外来(urgent care)/救急診療部(emergency department)受診・死亡の複合などであった。持続的回復までの期間中央値、両群とも10日 無作為化されて治験薬の投与を受けた1,208例は、年齢中央値50歳(四分位範囲[IQR]:40~60)、女性65.8%、ヒスパニック系/ラテン系45.5%、SARS-CoV-2ワクチンの2回以上接種者76.8%であった。 有効性解析対象集団のフルボキサミン群589例およびプラセボ群586例において、持続的回復までの期間の中央値は両群とも10日(IQR:10~11)であり、持続的回復までの期間に差は確認されなかった(ハザード比[HR]:0.99、95%信用区間[CrI]:0.89~1.09、有効性の事後確率p=0.40)。 副次アウトカムついては、死亡例の報告はなく、入院はフルボキサミン群1例およびプラセボ群2例、入院・救急外来/救急診療部受診はそれぞれ14例および21例(HR:0.69、95%CrI:0.27~1.21、有効性の事後確率p=0.86)であった。 重篤な有害事象は、6例(フルボキサミン群2例、プラセボ群4例)で7件報告された。

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デキサメタゾン製剤、アセタゾラミドなどに「重大な副作用」追加/厚労省

 厚生労働省は1月10日、アセタゾラミドやデキサメタゾン製剤などの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。炭酸脱水酵素阻害薬のアセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム(商品名:ダイアモックス)には重大な副作用として「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」が、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)や副腎皮質ホルモン製剤(経口剤および注射剤)のうちリンパ系腫瘍の効能を有する製剤には重大な副作用として「腫瘍崩壊症候群」が追加された。重大な副作用「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」追加 急性呼吸窮迫症候群および肺水腫関連の症例を評価した結果、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウムと急性呼吸窮迫症候群および肺水腫との因果関係が否定できない症例(国内11例のうち9例、海外6例のうち4例)が集積したため。<該当医薬品>アセタゾラミドアセタゾラミドナトリウム重大な副作用「腫瘍崩壊症候群」追加 腫瘍崩壊症候群の症例を評価した結果、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)、プレドニゾロン製剤(経口剤および注射剤)、メチルプレドニゾロン製剤(経口剤および注射剤)、およびヒドロコルチゾン製剤(注射剤)について、腫瘍崩壊症候群との因果関係が否定できない症例(国内17例のうち6例、海外34例のうち22例)が集積したため。<該当医薬品>1.デキサメタゾン(経口剤)2.デキサメタゾンパルミチン酸エステル3.デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(注射剤)4.プレドニゾロン(経口剤)5.プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム6.プレドニゾロンリン酸エステルナトリウム7.メチルプレドニゾロン8.メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム9.メチルプレドニゾロン酢酸エステル10.コルチゾン酢酸エステル11.ヒドロコルチゾン12.ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(効能又は効果にリンパ系腫瘍を含む)13.ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(効能又は効果にリンパ系腫瘍を含まない)14.ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム 1、3~5、7~12のように効能又は効果にリンパ系腫瘍を含む製剤については「重要な基本的注意」と「重大な副作用」の項に腫瘍崩壊症候群に関する記載を追記される。それ以外の製剤については「重要な基本的注意」の項に追記される。 なお、プレドニゾロン製剤(注腸剤)およびコルチゾン・ヒドロコルチゾン製剤(経口剤)については、腫瘍崩壊症候群の症例の集積はないが、同一の活性体などの集積を踏まえ、同内容に改訂することが適切と判断された。一方で、トリアムシノロン製剤(経口剤および注射剤)およびベタメタゾン製剤(経口剤、坐剤、注射剤および注腸剤)については、腫瘍崩壊症候群の症例の集積がないことから、現時点では使用上の注意の改訂は不要と判断された。

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teplizumabの登場で1型糖尿病治療は新たなステージへ(解説:住谷哲氏)

 膵島関連自己抗体が陽性の1型糖尿病は正常耐糖能であるステージ1、耐糖能異常はあるが糖尿病を発症していないステージ2、そして糖尿病を発症してインスリン投与が必要となるステージ3に進行する1)。抗CD3抗体であるteplizumabはステージ2からステージ3への進行を抑制することから、8歳以上のステージ2の1型糖尿病患者への投与が2022年FDAで承認された。しかし、現実にはステージ2の1型糖尿病患者がすべて診断・管理されているわけではなく、臨床的に1型糖尿病を発症したステージ3の患者が多数を占めている。 teplizumabがステージ2と同様にステージ3の患者でも有効か否かについては、これまでに実施された複数の第I、II相臨床試験のメタ解析で、その有効性が示唆されていた2)。そこで実施されたのが第III相となる本試験PROTECT (Provention Bio’s Type 1 Diabetes Trial Evaluating C-Peptide with Teplizumab)である。 teplizumabは1コース12日間投与で26週後に2コース目が実施された。主要評価項目は、78週後に実施された食事負荷試験後のC-ペプチドAUCのベースラインからの変化量とされた。結果はプラセボ群に比較して、teplizumab投与群ではC-ペプチド値が有意に高値であった。副次評価項目であるインスリン投与量、HbA1cの変化量などには有意差を認めなかったが、主要評価項目が達成されたので本試験の結果はpositiveである。つまり、teplizumabは発症直後の1型糖尿病患者のβ細胞機能を維持する可能性があると考えられる。 わが国の1型糖尿病の発症率は欧米に比べると低い。欧米では2015年に1型糖尿病発症の自然史(ステージング)の概念が導入されたが、わが国では、ほとんど認知されていないのではないだろうか。1型糖尿病は発症予防可能な疾患になりつつある。わが国での発症率から考えて、ステージ2からステージ3への進行を抑制する薬剤としてのteplizumabが承認されなくても大きな問題はないだろう。しかし、teplizumabが発症直後の1型糖尿病患者のβ細胞機能保持薬として欧米で承認されれば、わが国でも早急に承認されることが期待される。

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知らなかった、代理寄付!【Dr. 中島の 新・徒然草】(511)

五百十一の段 知らなかった、代理寄付!2024年は1月1日に令和6年能登半島地震、1月2日に羽田空港での衝突事故と立て続けに大変なことが起こりました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。さて、能登半島地震に対しては大阪医療センターからもDMATと災害医療班が出発しました。災害医療班については、あらかじめ日によって決められた当番医師のリストがあります。そのリストに従って、出発日の当番医師が看護師・薬剤師・事務職とともに派遣されるわけです。私も当番リストに名前がありましたが、今回は出発日から4日ずれていたので派遣されませんでした。別の形で被災地にできることはないかと考え「こんな時こそ被災地にふるさと納税だ!」と思い付きました。で、いつも愛用しているサイトから、ふるさと納税をしようと被災自治体を調べてみたら、受け付けが一時中止になっています。被害が甚大過ぎて返礼品どころではない、ということなのでしょう。しかし、返礼品なしであれば寄付することができるようなので、早速、震源地に近い数ヵ所の自治体にふるさと納税を行いました。ついでにいろいろ調べてみると、代理寄付という制度があるようです。その制度を詳しく述べたページを読んでみると、そこには衝撃の記載が……「被災自治体って本当に大変なんです。それはもう、寄付金を受け取ることもできないほどに」以下、代理寄付の制度についての説明が続いていました。ふるさと納税の寄付金を自治体が受け取ると、納税証明書を発行して支援者に郵送するわけですが、被災直後にはこの事務作業自体が被災自治体の負担になってしまうとのこと。しかもこの納税証明書の発行は自治体にしかできない業務なので業者に委託できません。そこで立ち上がったのが「代理寄付自治体」の制度で、代理寄付自治体が代わりに納税証明書発行の業務を行い、寄付金を被災自治体に届けるという自治体同士の助け合いシステムなのだそうです。まったく知りませんでした。良かれと思った寄付金が、かえって被災自治体の職員の負担になるのでは本末転倒。そこで、私も代理寄付の制度を利用することにしました。ふるさと納税サイトの中でも、この制度を使えるところと使えないところがあるので、まずは代理寄付を扱っているサイトを選ぶ必要があります。その上で、金額を記入してボタンを押す、ただそれだけ。手続き自体は何ら難しいことはありません。ただし、被災地の自治体1つに対し、日本全国にある数ヵ所の自治体が代理寄付を受け付けているので、どこにするかを迷います。結局、私は自宅近くの馴染みのある名前の自治体に送りました。後で知ったのですが、この制度は2016年4月16日に発生した熊本地震に対して茨城県境町が代理寄付を申し出たのが最初だということです。当時の橋本 正裕町長の発案で、熊本に対するふるさと納税の受け付けと納税証明書の発行を代理で行い、わずか15日間で1億円以上の寄付金を集め、被災地に届けることができたとのこと。その後、多くの自治体が賛同し、今ではすっかり定着しています。いつも私は返礼品目当てのふるさと納税ばかりですが、こういった形の寄付もいいですね。被災地の一刻も早い復興をお祈りいたします。最後に1句新春に 頭をひねって 寄付をする

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ドイツの光熱費支払いは前払い!【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第32回

だいぶ冷え込んできた今日この頃ですね。私が住んでいたグライフスヴァルトは、緯度だけでいうと北海道よりも遥か北にあり、冬の冷え込みは相当なものでした。ドイツでは、画像のようなタイプの暖房器具が使用されます。留学前にドイツの病院見学にいった際に、ホテルで初めて見ましたが…「暖房? だよな?」としばらくどう使うかわかりませんでした。このタイプは日本の暖房と違って急速に暖める機能はありません。部屋の空気全体をゆっくり暖めていく感じです。私が住んでいたグライフスヴァルトは旧東ドイツの街でした。東ドイツでは暖房は行政が管理していたらしく、今でも古い建物は暖房の強弱を自分で決められないようになっていました(たぶんガス会社か何かが管理しているとのことでした)。引越しで物件を決める前にそのことを知ることができたので、金額は多少高くなりましたが、新築の物件を選ぶことにしました。あの会社のリストに載るとクレカも作れないドイツでは電気代やガス代は、前払いシステムとなります。前年度の料金を参考に、先に支払い、1年の使用料を集計して、後ほど返金したり、追加徴収したりします(新築の場合は近隣の同じような物件を参考にしていたようです)。ドイツから日本に帰ってきて、結局2年近く追加徴収の通知が届いていて、その度に手数料を払って海外送金していました。「踏み倒したらいいんじゃない」と思われる方もいるかもしれません。実際、私もそう思ったのですが…。ドイツには“Schutzgemeinschaft fuer allgemeine Kreditsicherung”と言われる信用情報会社があります。通称“Schufa”と呼ばれていて、ある個人が過去に料金の踏み倒しをしたことがないことを調査しています。クレジットカードを作ったり、賃貸物件を借りたりする際に、Schufaによる審査が入ることになります。過去に、帰国の際に電気料金を踏み倒した日本人の方が、Schufaのブラックリストに載ってしまい、2度とドイツで賃貸物件を借りることができなくなった人がいたという噂を聞いたことがあります。Schufaに目をつけられないためにも、絶対にドイツの公共料金は踏み倒してはいけないのです。いや、日本でもダメなんですが。

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第79回 トイレの悪臭と極寒、被災地の看護師が見たもの

Unsplashより使用「令和6年能登半島地震」により、避難生活を余儀なくされている方がまだまだたくさんおられます。断水と停電の中、気温が低く、インフルエンザも流行しており、多くの避難者が精神的に疲弊しています。現地にいる看護師から、どのような現状なのかお聞きしました。発熱者が増加する避難所1~2日間程度の避難生活であればそこまで大きな問題にならないのですが、1週間を超えてくると、感染症などさまざまな医学的問題が勃発します。とくに現在流行しているインフルエンザはピークアウトの兆しがあったものの、避難所のように密に寄せ合う環境では、発熱者がちらほら出てきたみたいです。石川県の直近の定点医療機関当たりの感染者数はインフルエンザで22.69人、新型コロナで4.73人です(図)。じわじわと新型コロナが増えているのが気がかりですね。画像を拡大する図. 石川県の定点医療機関当たりのインフルエンザおよび新型コロナ感染者数(筆者作成)1、2)本来、手指衛生やマスクによって感染対策を講じる必要がありますが、断水で水不足の状況では手洗いがなかなかできず、マスクも何日も使えるものではありません。数十人規模の避難所では発熱者が10人を超えているところもあり、個々の感染対策ができない以上、感染症が広がるのは必然と言えます。とはいえ、診断キットが不足しており、発熱の原因の実態はよくわかっていないようです。避難所によって差私が話を聞いた看護師がいる七尾市の避難所は、ストーブも暖房も全然効かないような場所だそうで、支給されていた毛布は1枚のみだそうです。厚着していても、最低気温2度の状態では毛布1枚ごときでは全然眠れないという意見があったそうです。断水になっている地域はどこもトイレ環境は劣悪で、トイレの前に汚物を置いているため、悪臭が漂っていたようです。感染性腸炎も流行している避難所があり、悪臭が地獄だという投稿もありました。被災地では病院の水も不足しており、病院によっては雪を溶かして使っているところもあったそうです。テレビもネットもなかなかつながらず、情報が入ってこないことにストレスを感じて、その看護師のいる避難所では、避難者同士の揉め事が増えているようです。さすがに殴り合いや犯罪は起こっていないようですが、ネットでは詐欺や窃盗のニュースも増えており、危機感を持っていると言っていました。道路の補修が進んでいないことから、石川県に入る道路が渋滞しているため、これが物資が届きにくい要因になっています。とはいえ、すでにいろいろな公的ボランティアが現地入りできており、避難所で炊き出しや物資の配布が行われています。場所によって少し差が発生しているようですが、これも早晩解消されるのではないかと思います。参考文献・参考サイト1)厚生労働省:インフルエンザの発生状況2)厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況等)2023年6月~

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不眠症の診断治療に関する最新情報~欧州不眠症ガイドライン2023

 2017年以降の不眠症分野の進歩に伴い、欧州不眠症ガイドラインの更新が必要となった。ドイツ・フライブルク大学のDieter Riemann氏らは、改訂された欧州不眠症ガイドラインのポイントについて、最新情報を報告した。Journal of Sleep Research誌2023年12月号の報告。欧州不眠症ガイドライン2023の主なポイント 改訂された欧州不眠症ガイドラインの主なポイントは以下のとおり。・不眠症とその併存疾患の診断手順に関する推奨事項は、臨床面接(睡眠状態、病歴)、睡眠アンケートおよび睡眠日誌(身体検査、必要に応じ追加検査)【推奨度A】。・アクチグラフ検査は、不眠症の日常的な評価には推奨されないが【推奨度C】、鑑別診断には役立つ可能性がある【推奨度A】。・睡眠ポリグラフ検査は、他の睡眠障害(周期性四肢運動障害、睡眠関連呼吸障害など)が疑われる場合、治療抵抗性不眠症【推奨度A】およびその他の適応【推奨度B】を評価するために使用する必要がある。・不眠症に対する認知行動療法は、年齢を問わず成人(併存疾患を有する患者も含む)の慢性不眠症の第1選択治療として、対面またはデジタルにて実施されることが推奨される【推奨度A】。・不眠症に対する認知行動療法で十分な効果が得られない場合、薬理学的介入を検討する【推奨度A】。・不眠症の短期(4週間以内)治療には、ベンゾジアゼピン系睡眠薬【推奨度A】、ベンゾジアゼピン受容体作動薬【推奨度A】、daridorexant【推奨度A】、低用量の鎮静性抗うつ薬【推奨度B】が使用可能である。利点と欠点を考慮して、場合により、これら薬剤による長期治療を行うこともある【推奨度B】。・いくつかのケースでは、オレキシン受容体拮抗薬を3ヵ月以上使用することができる【推奨度A】。・徐放性メラトニン製剤は、55歳以上の患者に対し最大3ヵ月間使用可能である【推奨度B】。・抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、即放性メラトニン製剤、ラメルテオン、フィトセラピーは、不眠症治療に推奨されない【推奨度A】。・光線療法や運動介入は、不眠症に対する認知行動療法の補助療法として役立つ可能性がある【推奨度B】。

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効果的なFreeStyleリブレのスキャン回数が明らかに/京都医療センターほか

 糖尿病の血糖管理において、先進糖尿病デバイスとして持続血糖モニター(CGM)が活用されている。CGMには間歇スキャン式(isCGM)とリアルタイムCGMの2方式がある。間歇スキャン式では、上腕の後ろに装着されたセンサーをワイヤレスでスキャンすることでグルコース値が測定でき、リーダーやスマートフォンを使用する手軽さが魅力的だ。海外の先行研究では、スキャンの頻度が増すほど、HbA1cやTIR(time in range)などの血糖管理指標が改善すると報告されている。そのエビデンスに基づいて、これまでは「できるだけ多くスキャンするように」という指導がされてきたが、70~180mg/dLのTIR70%超を達成する最適なスキャン回数は明らかではなかった。 坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)らのFGM-Japan研究グループ(全9施設)は日本人1型糖尿病211例(平均年齢50.9±15.2歳、男性40.8%、糖尿病期間16.4±11.9年、CGM使用期間2.1±1.0年、平均HbA1c7.6±0.9%)を対象に、過去90日間のグルコース値データから、TIRを算出し、ROC曲線から最適なスキャン回数を明らかにするとともに、そのスキャン回数に与える要因も明らかにした。Diabetology International誌2023年9月12日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・平均スキャン回数は10.5±3.3回/日。・スキャン回数はTIRと正の相関、TAR(time above range)と負の相関があったが、TBR(time below range)とは有意な相関は認められなかった。・スキャン回数は低血糖不安-行動スコアと正の相関があり、一部の血糖変動指標(ADRR[average daily risk range]、%CV[coefficient of variation]など)と負の相関があった。・運動習慣のある者は、ない者に比べてスキャン回数が有意に多かった。・TIRが70%超に対するスキャン回数のAUCは0.653で、最適なカットオフ値は1日に11.1回のスキャンだった。 坂根氏は、「今までは『できるだけスキャンしなさい』と患者に指導することが多かったが、本研究から目標血糖を達成するために3食前後、起床と就寝時、間食や運動前後など、12回のスキャンを推奨するエビデンスが得られた。また、運動習慣がある人はスキャン回数が多いことや、スキャン回数が多い人ほど低血糖に対する対処行動が多いという結果はリブレを用いた糖尿病療養指導に大いに役立つと考えられる」と述べている。

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大腸がん、FTD/TPI+ベバシズマブ隔週療法の臨床試験開始。がん領域初のプラグマティック試験で/愛知県がんセンター

 愛知県がんセンターは、大腸がんを対象としたトリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)・ベバシズマブ併用の従来法と隔週法を比較する無作為化第III相試験(PRABITAS試験)を開始した。 FTD/TP+ベバシズマブは大腸がんの標準治療として世界中で広く用いられている。従来の投与方法は5日間内服後2日間休薬を2回行い、その後2週間休薬する28日サイクルである。この投与法は、標準療法として用いられる一方、有害事象(白血球減少や好中球減少)が比較的多くみられるため、5日間内服後に9日間休薬する14日サイクル(隔週法)が提案されている。隔週法では、小規模臨床試験で副作用軽減が示されているが、その有効性と安全性について、十分に検証されているとはいえない。 愛知県がんセンター薬物療法部の谷口 浩也氏らは、隔週法が従来法(28日サイクル法)に非劣性を示すかを検証する多施設第III相試験(PRABITAS試験)を、既治療の切除不能大腸がんを対象に開始した。全国約250の医療機関から890例の患者参加を目指す。国内の切除不能大腸がんの第III相試験としては最大規模となる。 また、この試験では新たな臨床試験の手法として、プラグマティック無作為化臨床試験が採用される。プラグマティック臨床試験は、日常臨床下での医師や患者、保険者などの意思決定をサポートするために、一般化可能性が高くなるようデザインしたうえで、無作為化し、前向きに追跡する臨床試験。試験参加基準項目数が従来の半分以下に緩和され、無作為に振り分けた後の治療や検査は日常診療と同様に行われる。がん領域でのプラグマティック臨床試験としては、同試験が日本初の試みとなる。 このPRABITAS試験によって非劣性が証明されれば、既治療の切除不能大腸がんの新たな標準治療として隔週法を提供できるようになる。また、プラグマティック臨床試験による患者・医療者の負担を軽減したがん臨床試験、効率的な治療開発の実現が可能となる。

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脳転移のある乳がんの予後、HER2低発現vs.HER2ゼロ

 脳転移した乳がん患者において、HER2低発現の患者はHER2ゼロの患者よりも良好な予後を示し、とくにホルモン受容体(HR)陰性の患者で顕著であることが、中国・National Cancer CenterのHangcheng Xu氏らの後ろ向き研究で示された。Breast誌オンライン版2024年1月1日号に掲載。 この後ろ向き研究は、2010年1月~2021年7月にHER2発現状況が確認できた乳がん脳転移患者について、HER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)患者71例とHER2ゼロ患者64例を比較したもの。主要評価項目は脳転移診断後の全生存期間(OS)で、log-rank検定を用いたKaplan-Meier曲線とCox比例ハザードモデルで評価した。 主な結果は以下のとおり。・限られたサンプル数にもかかわらず、HER2低発現患者のOSはHER2ゼロ患者と比較して有意に良好だった(26ヵ月vs.20ヵ月、p=0.0017)。この傾向はHR陰性群で顕著(26ヵ月vs.13ヵ月、p=0.0078)だったが、HR陽性群では有意差は認められなかった。・Cox回帰分析により、HER2低発現がHR陰性患者のOSを延長する独立した予後因子であることが明らかになった(多変量解析においてp=0.046)。 本研究の結果、HER2低発現が脳転移のある乳がん患者の生存期間延長に関連することが示唆された。

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重症小児の全身酸素化、SpO2目標低めがアウトカム良好/Lancet

 小児集中治療室(PICU)に緊急入室し侵襲的換気療法を受ける小児において、制限的目標酸素投与(conservative oxygenation target)は、非制限的目標酸素投与(liberal oxygenation target)と比較して、30日時点の臓器支持期間または死亡について、良好なアウトカムを得られる可能性が、わずかではあるが有意に高いことが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMark J. Peters氏らが、2,040例の小児を対象に行った多施設共同非盲検並行群間比較無作為化試験「Oxy-PICU試験」の結果を報告した。重症小児患者における最適な目標酸素投与量は明らかになっていない。非制限的酸素投与は広く行われているが、小児患者では害を与えるとされていた。結果を踏まえて著者は、「制限的な酸素飽和度目標値(SpO2:88~92%)を広く取り入れることは、PICUに入室する重症小児患者のアウトカム改善およびコスト削減に役立つだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年12月1日号掲載の報告。30日までの臓器支持期間または死亡を比較 研究グループは英国15ヵ所のPICUで試験を行い、制限的酸素療法が標準療法と比較して、臓器支持期間または死亡の発生を減少させるかどうかを評価した。 緊急入院し、侵襲的換気療法を受けている修正在胎期間38週超~16歳未満の小児を、ウェブベースシステムを用いて、制限的酸素投与群(目標SpO2値:88~92%)および非制限的酸素投与群(目標SpO2値:>94%)に1対1の割合で無作為に2群に割り付けた。 主要アウトカムは、無作為化後30日時点の臓器支持期間で、30日目またはそれ以前の死亡を最悪のアウトカム(臓器支持31日間と同等のスコア)とするランクベースのエンドポイントであり、それ以外の被験者(生存者)には、臓器支持を受けた暦日に応じ1~30のスコアで評価した。 主要な効果推定値は確率指数(PRI)で、0.5超は無作為に選ばれた患者について、制限的酸素投与のほうが、非制限的酸素投与に比べて優れている確率が50%超であることを示すものとした。 同意が得られたすべての被験者を対象にITT解析を行った。制限的酸素投与が良好なアウトカムを示す 2020年9月1日~2022年5月15日に、2,040例の小児が制限的酸素投与群または非制限的酸素投与群に無作為化された。そのうち1,872例(92%)から同意を得た。 制限的酸素投与群は939例(927例中528例[57%]が女子、399例[43%]が男子)、非制限的酸素投与群は933例(920例中511例[56%]が女子、409例[45%]が男子)だった。 最初の30日間の臓器支持期間または死亡の発生は、制限的酸素投与群で有意に低かった(PRI:0.53、95%信頼区間[CI]:0.50~0.55、ウィルコクソン順位和検定(Wilcoxon rank-sum test)のp=0.04、補正後オッズ比:0.84[95%CI:0.72~0.99])。 事前に規定した有害事象は、制限的酸素投与群939例中24例(3%)、非制限的酸素投与群933例中36例(4%)で報告された。

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緊急避妊薬、新年直後に販売数が増加/BMJ

 米国のドラッグストアや量販店で、レボノルゲストレル緊急避妊薬の販売数について調べたところ、新年の祝日後に顕著に増加することが、米国・テキサス工科大学のBrandon Wagner氏らが行った時系列分析で示された。そのほか、バレンタインデー、セントパトリックスデー、米国の独立記念日の後にも、新年の祝日後ほどではないが増加が認められたという。結果を踏まえて著者は、「新年の祝日後の緊急避妊薬の売上増加は、この時期が他の休日と比べて、無防備な膣性交のリスクが高いことを示唆している」と述べ、「行動リスクをターゲットとした性暴力を軽減するための予防戦略と、休日前後の避妊薬へのアクセスを改善することで、無防備な膣性交のリスクを制限できる可能性がある」とまとめている。BMJ誌2023年12月20日号クリスマス特集号「ANNUAL LEAVE」掲載の報告。新年直後とそれ以外の週の販売数を比較 研究グループは自己回帰統合移動平均(ARIMA)モデルを使用した時系列分析にて、大みそか・元旦休暇後の緊急避妊薬の売上増加を推計した。2016~22年の米国の従来型(実店舗)小売店(食料品店、ドラッグストア、量販店、クラブストア、1ドルショップ、軍用アウトレット)で集めた緊急避妊薬の週単位販売データ(362件)について、新年の祝日後(6件)とそれ以外(356件)に分け、ARIMAモデルを用いた時系列分析で比較した。 主要アウトカムは、米国の生殖可能年齢の女性1,000人当たりの、レボノルゲストレル緊急避妊薬の週間販売数とした。新年直後の週、緊急避妊薬販売数は0.63/女性1,000人の増加 レボノルゲストレル緊急避妊薬の販売数は、新年祝日後に顕著に増加した(15~44歳の女性1,000人当たり0.63単位増加、95%信頼区間:0.58~0.69)。 そのほか、バレンタインデー、セントパトリックスデー、米国の独立記念日で祝日後に同増加が認められた。 同増加は15~44歳の女性1,000人当たりそれぞれ、0.31(同:0.25~0.38)、0.14(同:0.06~0.23)、0.20(同:0.11~0.29)だった。 これら以外の祝日(イースター、母の日、父の日)後に、同増加は認められなかった。

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妊娠によって明らかになった将来の健康ハイリスク女性に対する、効果的な産後介入の可能性(解説:三戸麻子氏)

 妊娠高血圧症候群に罹患した女性は、将来の生活習慣病や脳心血管病のハイリスクであることが知られている。しかし、現行の診療ガイドラインでは、産後にそのリスクを周知し、健康的なライフスタイル指導を推奨しているのみで、フォローアップの方法は確立していない。本研究では、産後の血圧自己モニタリングと医師による降圧薬調整の遠隔指導を行うことで、通常の産後管理と比較して、産後9ヵ月時の拡張期血圧が低下したことが示され、将来の疾病予防につながる可能性が示唆された。 評価時の介入群の状態は、降圧薬内服者の割合も従来群と比較して多く、BMIはベースライン(産後1~6日)からの増加がより抑えられていた。育児に慌ただしく、自身の健康管理が不十分になってしまいがちなハイリスク女性を、医師が伴走することにより管理できた結果であり、QOLスコアが両者で同等であったことも興味深い。本報告は単一施設での研究結果であり、同様の方法を均てん化させるためには、さまざまなハードルがあると考えられる。 しかし、妊娠・出産・育児という人生の転機を健康的に乗り切るためには、その管理を女性任せにするのではなく、医療者による支えが必要であり、またそれが効果的であることを示すエビデンスとなったのではないかと思う。

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2次観察分析としてこういった観点はいかがなものか?(解説:野間重孝氏)

 今回の研究は、著者らのグループが2018年にLancet誌に発表したHigh-STEACS試験の関連観察研究である。正直に言って論点がわかりにくく、論文を誤解して読んだ方が多かったのではないかと心配している。 著者らはHigh-STEACS試験において、急性冠症候群(ACS)を疑われた患者に対して、トロポニンIの高感度アナリシスを用いることにより、より多くの心筋障害患者を同定することができたのだが、標準法を用いた場合と1年後の予後に差がなかったことを示した。この論文はジャーナル四天王でも取り上げられたのでお読みになった方も多いと思うが、当時の論調では著者ら自身、そこまで言い切ってよいものか迷いが見られていたのだが、本論文でははっきり「心イベントが有意に減少することはなかった」という表現で断定している。分析法とカットオフ値が確定したことが要因だったのではないかと推察する。 本研究はHigh-STEACS試験の2次観察分析で、今回は非虚血性と診断された高感度アッセイによる再分類患者の5年後の予後を調査したものである。心筋梗塞と診断された患者の予後は高感度アッセイの結果とは関係がなかった一方、非虚血性心筋障害の患者では再分類され、適切な治療を受けた患者の予後が良かったとしたもので、高感度アッセイは非虚血性心筋障害を発見し、適切な治療を施すことに貢献できるのではないかとしている。やや乱暴な解釈の仕方をすると、「心筋梗塞を診断するためには標準法で十分であり、高感度アッセイはその他の心筋障害を見つけ出すことにこそ寄与する」と言っていると言えなくもない。 現在、心筋梗塞のバイオマーカーとしてはCK-MB、トロポニンT&I、H-FABP、ミオシン軽鎖が使用されており、一時はCK-MBが最も一般的な検査項目だったが、Universal Definition以来、現在ではもっぱらトロポニンが使用されている。なお、CK-MBは連続測定することにより梗塞のサイズの推定が行われていた時期もあったが、現在では行われていない。 ところが検査というのは皮肉なもので、感度が上がると本来検出されない濃度のものまでが検出されて問題にされるようになる。心筋トロポニンは確かに心筋に特異的なタンパク質であるが、敗血症、腎不全、肺塞栓症、心不全、外科的治療後、SARS-CoV-2感染症など、さまざまな非心疾患でも心筋の障害が惹起されることによりわずかな上昇を示すことが知られている。何回か測定し、測定値にはっきり高低がつけば虚血性、ほぼ同じ値を示せば非虚血性と判断できるが、できるだけ早い判断が求められる救急の現場にはそのようなやり方は通用しないだろう。 これは国情の違いということになるのだろうが、わが国(米国においても同じだが)においては、臨床症状、諸検査からACSが強く疑われた場合は、血液検査の結果がすべて出そろうのを待つことなく緊急カテーテル検査が行われるのが常識となっており、それに対応できない組織は第3次救急施設には認定されない。虚血性心疾患ではonset-to-balloon timeがすべてを決めると言っても過言ではないからである。その意味でACSが強く疑われる患者を2次救急施設に留め置くことは厳に控えるべきで、ただちに3次施設に搬送することが望ましい。 高感度アッセイを行うことにより諸疾患に伴う心筋障害を発見し、より適切な治療を行うという主旨にはまったく異論はないが、それをACSの診断・治療と絡めて論ずるのは適当とは言えないと考えるものである。さらに付け加えることをお許しいただけるならば、SARS-CoV-2による心筋炎は大変話題になったが、この診断にトロポニン測定がぜひ必要だったとは言えない。それぞれの疾患にはその主流となる診断・治療の流れがあり、トロポニン測定はその手助けにはなるであろうが、決して主流ではない。大きな臨床研究が行われた場合、その追跡調査や2次観察研究が行われるのは自然の流れではあるが、今回の研究についてはこのような一流誌に掲載される性格のものではなかったのではないかというのが、評者の偽らざる感想である。

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取れない指輪の取り方【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第10回

今回は、指輪が取れなくなった患者さんの対処法を紹介します。救急外来ではさまざまな理由で指輪を取らなければならないシチュエーションに遭遇します。たとえば、指輪をはめていた指を骨折した、MRIを撮るために指輪を外したい、などです。症例を通じて指輪を取り外す方法を学びましょう。<症例>28歳、男性主訴指輪が取れない患者の彼女が付けていた指輪をはめてみたところ取れなくなった。何度かトライしていたら指が腫れ始め、痛みが強いため受診した。指輪の除去にはさまざまな方法がありますが、決まったアルゴリズムはありません1)。今回は私が施行している順番でアプローチします。(1)せっけんやオイルを使用する患者さん自身でも簡便にできるのですが、あまり行われていないのがこの技法です。私は患者さんの手をよく濡らしてせっけんをつけ、滑りをよくしたうえで指輪の除去を試みます。意外にスムーズに取れることがあります。ただし、この技法は指輪の内径が指の太さ以下の場合に効果があり、腫れが強い場合はあまり成功しない印象があります。今回の症例ではこの方法による除去が困難でした。(2)鎮痛して圧迫する本症例のように指の腫脹が強い場合は、浮腫を減らしてから指輪を除去する必要があります。その際に、腫脹部位を強く圧迫してその上を何とかして指輪を通しますが、かなり痛みが生じるため指ブロックなどを施行しましょう。(3)浮腫を除くa)Winding techniqueタコ糸やナイロン糸、デンタルフロスなどの糸を腫脹部位に巻き、腫脹を軽減してから糸に沿わせて除く方法です。私は主にこちらの手技を使用しています。手順を記載しますが、動画で見るほうがわかりやすいのでぜひ再生してください。1.指輪の下に糸を通す。2.腫脹部位から隙間なくPIP関節を超えるまで糸を巻く。3.せっけんやオイルなどで摩擦を減らして、糸を末梢側からほどくように糸を取る。動画1 糸を用いた指輪の外し方b)Compression techniqueペンローズドレーンを用いて行う方法です。図1を見ていただきたいのですが、まず末梢側から指輪までを強く縛り(A)、次に中枢側から末梢側にPIP関節を超えるまで巻きます(B)。その後Bをほどき、末梢側から指輪を抜きながらAを徐々にほどいていきます。Winding techniqueと似ていますが、指輪にひもを通さなくてよい点や、何度も繰り返して腫脹を取ることができる点が異なります。必ずしもペンローズでなくてもよく、駆血帯バンドでも代替え可能と考えます。図1 Compression techniquec)The glove techniqueこれは日本人が発明した方法です2)。ゴム手袋を図2の赤線のように切ります。事前に滑りやすくするために、せっけんやオイルを塗布しましょう。指輪の下に手袋の切れ端を通して反転させ、左右にずらしながら滑らせるようにして取り外します(動画2)。図2 ビニール手袋の切り方動画2 The glove technique(潤滑剤を使用していないのでやや滑りが悪い)指輪が抜けなくなる理由は2つあり、そもそもPIP関節部位の外径が指輪より大きいことか、何らかの原因による腫脹により指の外径が指輪より大きくなったことです。上記c)のThe glove techniqueは「何らかの原因による腫脹により指の外径が指輪より大きい」の場合に有効なのですが、「そもそもPIP関節部位の外径が指輪より大きい」という理由が単独の場合はこの手技を行ったとしても指輪の除去は困難です。本症例はこれらの理由の複合であり、上記処置をトライしましたが除去できませんでした。そうなると残念ながら指輪を破壊or切断する必要があります。(4)指輪の切断最も有名なのがリングカッターではないでしょうか(図3)。動画3のようにして切断します。リングカッターがない場合は、先端で切断できるプライヤーを用いる方法もあります。しかし、この方法は指と指輪の間にプライヤーの先端を入れなければならないため、スペースの確保が必要になります。1)Kalkan A, et al. Am J Emerg Med. 2013;31:1605-1611.2)Inoue S, et al. Anesthesiology. 1995;83:1133-1134.3)Rahimian R, et al. Cureus. 2019;11:e4474.4)日本タングステン株式会社:タングステンってなあに?

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