サイト内検索|page:327

検索結果 合計:35665件 表示位置:6521 - 6540

6521.

どうすればわかりやすく話せる?【もったいない患者対応】第1回

どうすればわかりやすく話せる?登場人物患者さんにうまく病状説明ができなくて困ってるんです。先日も「先生の話がわかりにくい」と患者さんに言われてしまって…。唐廻先生は、患者さんへの説明でどんなことを意識してるのかな?できるだけ簡単な言葉を使う…とかですかね?それはもちろん大事だね。でも、いくら言葉が簡単でも、情報がきちんと整理されていないと、聞き手には伝わりにくいんだ。なるほど…。僕のおすすめは、ポイントが何個あるかを最初に示すことだよ。僕はこのことを「アウトラインの提示」や「目次をつける」と呼んでいるよ。アウトラインの提示とは?私が患者さんに病状説明をするとき、最も大切にしているのが、最初に「何をどんな順番で話すか」を伝えることです。たとえば、検査結果を患者さんに説明するときを想像してみてください。私はまず、「○○さんに受けていただいた3つの検査の結果について、いまから説明します。1つ目は血液検査、2つ目はCT検査、3つ目はMRI検査の結果です。よろしいですか?」とお話しします。この時点で患者さんの頭の中には、(1)血液検査(2)CT検査(3)MRI検査という目次が浮かび上がります。そして、「まず、血液検査ですが…」「次に、CT検査ですが…」と順に話し始めると、患者さんは「あと残るはMRIだな」と認識することができ、いま話のフローのどこにいるのかを把握することができます。このアウトラインの提示がないままに、「○○さん、血液検査の結果は△△でした。次にCTの結果は××でした。それからMRIの結果ですが…」と話し始めると、聞くべき項目がいくつあって、いつまで話が続くのかがわからず、理解が追いつかなくなります。医師に一方的に話をされて、途中で疑問点が思い浮かんでも話を切りにくい、と感じている患者さんは多くいます。もちろん、医師が威圧的で、なんとなく質問しにくい雰囲気があるケースもあるかもしれませんが、何よりどこが話の切れ目かわからないのが大きな理由でしょう。アウトラインを提示しておき、話の切れ目にあたるところで、「ここまでは大丈夫ですか?」と質問を受け付けて、そこまでの話をいったん整理するのも大切です。検査結果以外でも使えるこの「アウトラインの提示」は、検査結果を患者さんに説明するときだけでなく、あらゆるシチュエーションで使えます。たとえば、「○○さん、検査の結果ですが、がんが再発しているようです。私たちがそう考える理由は3つあります。まず1つ目が……」というふうに伝えることで、患者さんは「何がどんな順番で話されるのか」に関して、頭の準備をすることができます。ほかにも、頭部打撲の患者さんに経過観察の方針を告げる際には、「○○さん、いまから24時間は慎重に様子をみてください。『どんなことがあったらもう一度受診してほしいか』ですが…」というような形で、あえて数字を示さなくても(あるいは伝えるべきことが1つしかなくても)、「いまから何を話すのか」をまず伝えるのが得策です。あえてこう書くのは、日本語の構造上、何も意識しないと結論が最後に来てしまうからです。前述の例で言えば、「○○と、△△と、××があったときはもう一度受診してください」と言ってしまうと、聞き手としては、途中まで「何を意図して話しているのか」がわからないまま話を聞かなくてはならなくなってしまいます。「アウトラインの提示」を意識するだけで、話は随分伝わりやすくなります。ぜひ試してみてください。

6522.

第206回 脂肪肝疾患(NASH/MASH)治療薬を米国FDAが初承認

脂肪肝疾患(NASH/MASH)治療薬を米国FDAが初承認米国FDAが3月14日に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)治療薬を初めて承認しました1,2)。米国のMadrigal Pharmaceuticals社が開発したresmetirom(商品名:Rezdiffra)が、第III相試験(MAESTRO-NASH)の1年時点の肝生検結果を基に取り急ぎ承認(Accelerated approval)されました。resmetiromは1日1回の経口服用薬で、NASH患者の肝臓で不調となる甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)のアゴニストです。resmetiromが担うTHR-β活性化は肝臓のトリグリセリド(中性脂肪)を減らすことが知られています。第I相試験の段階でresmetiromは健康な被験者のトリグリセリドを多ければ60%低下させました3)。米国でおよそ150万例もが患うNASHは、昨年に世界の肝疾患専門家や患者団体が集まって決めた病名であるMASH(metabolic dysfunction associated steatohepatitis)に改められました2)。とはいえFDAは引き続きNASHを採用しており、resmetiromの添付文書の効能・効果は肝線維化が中等度~高度(肝線維化ステージF2-3)であるものの肝硬変ではないNASH患者に対して、食事療法や運動療法とともに同剤を投与することとなっています(以下FDAに倣ってNASHを使用)。難儀な肝生検は幸いにもその使用に際して必要ありません。MAESTRO-NASH試験で病理学者2人(病理学者AとB)が生検組織を検討した結果によると、肝線維化F2-3の非肝硬変NASH患者の1年間のresmetirom経口服用で、少なくとも4例に1例ほどが肝線維症の改善や脂肪性肝炎の消失を達成できるようです。詳しい結果は以下のとおりです4)。画像を拡大するresmetiromは含量60mg、80mg、100mgの3つの錠剤が承認され、80mg錠は体重が100kg未満の患者、100mg錠は体重が100kg以上の患者向けとなっています。クロピドグレルなどの若干のCYP2C8阻害作用を有する薬剤と併用する場合には減量が必要で、その場合体重100kg未満の患者は60mg錠、体重100kg以上の患者は80mg錠を服用します。強力なCYP2C8阻害薬との併用はできません。resmetiromの1年間分の薬価は4万7,400ドル(700万円強)で5)、同剤の最大年間売上は50億ドルを超えうるとアナリストの1人は予想しています6)。その達成のためには、進行中のMAESTRO-NASH試験の最長54ヵ月のresmetirom治療が死亡、肝移植、重大な肝イベント(腹水、脳症、胃食道静脈瘤出血を含む肝代償不全、肝硬変への進展、MELDスコア上昇)をプラセボに比べて減らすことを示して、取り急ぎの承認を本承認にする必要があるでしょう。その本勝負の結果はClinicalTrials.gov登録情報によると約4年後の2028年1月に判明します7)。肝硬変をすでに患うNASH患者の死亡、肝臓移植、腹水、脳症、胃食道静脈瘤出血、MELDスコア上昇がresmetiromで減ることを示すための第III相試験(MAESTRO-NASH-OUTCOMES)も進行中で、その結果は来年2025年8月に判明する見込みです8)。参考1)FDA Approves First Treatment for Patients with Liver Scarring Due to Fatty Liver Disease / PRNewswire2)Madrigal Pharmaceuticals Announces FDA Approval of Rezdiffra (resmetirom) for the Treatment of Patients with Noncirrhotic Nonalcoholic Steatohepatitis (NASH) with Moderate to Advanced Liver Fibrosis / GlobeNewswire3)Taub R, et al. Atherosclerosis. 2013;230:373-380.4)Prescribing Information:Rezdiffra5)Rezdiffra (resmetirom) FDA Approval Conference Call March 2024 / Madrigal Pharmaceuticals6)US FDA approves first drug for fatty liver disease NASH / Reuters7)MAESTRO-NASH試験(ClinicaltTrials.gov)8)MAESTRO-NASH-OUTCOMES試験(ClinicaltTrials.gov)

6523.

高齢者の身体活動量、推奨値を変更/厚労省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」

 厚生労働省は健康・医療・介護分野における身体活動を支援する関係者を対象として、身体活動・運動に関する推奨事項や参考情報をまとめた「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」を2024年1月に公表した。「健康づくりのための身体活動基準 2013」から10年ぶりの改訂となる。同ガイドの改訂に関する検討会で座長を務めた中島 康晴氏(九州大学大学院医学研究院整形外科 教授)に主な改訂点とその背景について話を聞いた。年齢や疾患の有無などに応じ、身体活動の推奨事項をそれぞれ提示 今回の改訂では、「健康日本21(第三次)」のビジョン1)の中で示されている「誰一人取り残さない健康づくり(inclusion)」ならびに「より実効性をもつ取組の推進(implementation)」の観点から、ライフステージごと(成人、こども、高齢者)に身体活動・運動に関する推奨事項をまとめるとともに、「慢性疾患(高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、変形性膝関節症)を有する人の身体活動のポイント」「働く人が職場で活動的に過ごすためのポイント」など個人差を踏まえた推奨事項を示している点が大きな特徴。それぞれ2~4ページごとにまとめられており、指導の際のツールとしての使いやすさを考慮して作成されている。中島氏は、「年齢・性別・疾患の有無などに応じて、多くの人が当てはまるように場合分けをして、わかりやすく推奨事項を示すことが今回の改訂の大きなテーマ」とした。高齢者の推奨身体活動量を週10メッツから15メッツに変更 高齢者の身体活動量の推奨値は、2013年版では「強度を問わず身体活動を週10メッツ・時」とされていたが、「強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上」に変更された。これは今回の改訂にあたって実施されたアンブレラレビューの結果(強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行う高齢者は、身体活動をほとんど行わない高齢者と比べて総死亡および心血管疾患死亡のリスクが約30%程度低下)や高齢者の現状の身体活動量に基づく。 そのほか高齢者への推奨事項に関しては、今回から「多要素の運動」という言葉が用いられ、その具体例や科学的根拠なども示されている。成人は1日約8,000歩以上、高齢者は約6,000歩以上を推奨 推奨の身体活動量についてメッツだけでなく相当する歩数をそれぞれ示したことも2023年版の大きな特徴となっている。これについて中島氏は、「わかりやすさはもちろん、近年多くの研究で歩数と疾患の関係が示されており、運動器そのものの機能も歩くことによって改善することが明らかになっている」と説明。また、座位行動という言葉が初めて用いられ、成人・高齢者ともに「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する(立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないよう、少しでも身体を動かす)」と明記された。 成人・高齢者それぞれの主な推奨事項は以下のとおり:[成人]・強度が3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上行う。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行う(1日約8,000歩以上に相当)・強度が3メッツ以上の運動を週4メッツ・時以上行う。具体的には、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行う・筋力トレーニングを週2~3日行う(週4メッツ・時の運動に含めてもよい)[高齢者]・強度が3メッツ以上の身体活動を週15メッツ・時以上行う。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行う(1日約6,000歩以上に相当)・筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上行う・筋力トレーニングを週2~3日行う(多要素な運動に含めてもよい) 中島氏は、「たとえば成人の1日約8,000歩以上というのは決して簡単な数字ではなく、かなり意識しないと達成できない。ガイドにも明記されているように、個人差を踏まえて可能なものから取り組み、今より少しでも多く身体を動かすことを意識してほしい」と話した。また小児については、WHOの「身体活動及び座位行動に関するガイドライン(2020年)」2)では具体的な数値が示されているものの、日本の子供たちの現状としては身体活動を全然行っていない場合と行っている場合に大きく二極化していることから、本ガイドでは参考値として示している。実臨床での運動指導を“より具体的に”行うために 本ガイドでは「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」として、運動前の注意事項、症状の把握やリスク分類、身体活動の状況の評価が3つのステップに分けて解説されており、実臨床で運動指導を行う際にも活用できるチェックシートが掲載されている。中島氏は、「患者さんに“運動してください”と言っても、それだけで実行に移してもらうことは難しい。具体的に何をどのくらいどこまでやったらいいのか、注意点は何なのかを伝えることが重要。その際の参考に、今回のガイドをぜひ活用していただきたい」と話した。

6524.

早期アルツハイマー病における攻撃的行動と関連する脳の変化

 認知症患者の精神神経症状は、介護者の負担につながり、患者の予後を悪化させる。これまで多くの神経画像研究が行われているものの、精神神経症状の病因学は依然として複雑である。東京慈恵会医科大学の亀山 洋氏らは、脳の構造的非対称性が精神神経症状の発現に影響している可能性があると仮説を立て、本研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2024年2月23日号の報告。 アルツハイマー病患者における精神神経症状と脳の非対称性との関連を調査した。対象は、軽度のアルツハイマー病患者121例。日本の多施設共同データベースより、人口統計学的データおよびMRIのデータを収集した。脳の非対称性は、左脳と右脳の灰白質体積を比較することで評価した。精神神経症状の評価には、Neuropsychiatric Inventory(NPI)を用いた。その後、脳の非対称性と精神神経症状との相関関係を包括的に評価した。 主な結果は以下のとおり。・攻撃的な精神神経症状は、前頭葉の非対称性と有意な相関を示しており、右側の萎縮が認められた(r=0.235、p=0.009)。・この相関は、多重比較の調整後も統計学的に有意なままであった(p<0.01)。・事後分析において、この関連性はさらに確認された(p<0.05)。・対照的に、感情症状や無関心を含む他の精神神経症状のサブタイプについては、有意な相関が認められなかった。 著者らは「前頭葉の非対称性、とくに右側の相対的な萎縮が、早期アルツハイマー病における攻撃的行動と関連している可能性が示唆された」としている。

6525.

深刻化が懸念される抗がん剤のドラッグ・ロスについて議論/日本臨床腫瘍学会

 日本の医療界にとって深刻な課題となりえるドラッグ・ロス。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)では、会長企画シンポジウムとして取り上げられ、各方面の専門家による議論が交わされた。新興バイオファーマ(EBP)に知られていない日本の医療環境と開発環境 国立がん研究センター中央病院先端医療科長の山本 昇氏は、ドラッグ・ロス解消を目的に欧米のEBPと交渉した体験談を交え発表した。 EBPとの交渉では、薬価制度に対する苦言はなかったものの、日本の医療環境や開発環境は知られていないことが明らかになった。開発対象の患者数がわからず、日本で薬を開発したらどれだけ売れるかイメージできていない。日本のがん統計データは日本語表記という問題がある。それだけでなく、EBPが求めるのは特定の遺伝子異常のがん患者数など、現状のがん統計データよりも細かい情報である。一方、日本は承認されると一定期間内に必ず保険償還されるという特徴は好感触であった。 ドラッグ・ロス解消には産官学での取り組みが重要である。 薬価対策や薬事申請方法など、産官のアクションは始まっているが、医療機関の取り組みが遅れている。国際共同試験に耐える施設、迅速な症例登録など、日本の治験実施体制を底上げして治験にコミットできる体制作りが必要だろう。日本の新薬開発環境、市場の魅力をEBPに伝える 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の藤原 康弘氏はPMDAのドラッグ・ロス解消に向けた取り組みについて紹介した。 ドラッグ・ロス解消に向け、2023年7月に政府も昨年の骨太の方針の中でさまざまな政策を提示し、厚生労働省も「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を設置して必要な対応等が検討されてきた。国際共同治験における日本人PhaseIの必要性については、文章記載を変え、英文でも明示して理解を促している。薬価については、迅速導入加算や外国平均価格調整など企業にとって福音になる方向性が中医協から示されている。 一方で日本の薬事制度や日本の医療機関の現状が海外のEBPやベンチャーキャピタルなどに伝わっていないことが懸念される。 日本の薬事制度を英語でかつリアルタイムに海外に発信していくことが最も重要だと考えられる。 PMDAとしては、アジア圏を中心とした参照国制度(治験の簡略化や迅速な承認を実現する仕組みなど海外と結んでいる協定)のさらなる活用促進、有名英文学術雑誌への掲載・投稿、欧米審査機関とのさらなる連携、アジアや米国への支局設置による各国の情報収集および規制当局やベンチャーキャピタルへの情報伝達、といった取り組みを検討中である。 医薬品開発業務受託機関(CRO)の視点からはシミックホールディングスの奥田 晃義氏が発表した。 日本におけるグローバル治験は年々増加している。2012年は30%だったグローバル治験の割合が2022年には55%となった。増えているとはいえ、アジア諸国の中で見ると、その割合はかなり低い。グローバル治験の対象国を見ると、日本が含まれていない治験は61%にのぼる。2023年FDAで承認された抗がん剤16剤のうち日本で承認されたのは2剤、審査中・開発中が9剤、まったくアクションなしが5剤ある。その5剤はすべてEBPの薬剤だ。 近年、抗がん剤の開発企業はEBPに移行している。EBPにとって日本の新薬環境、市場の利点は知られておらず誤解もある。改善のためには、日本の新薬開発環境、市場の魅力を伝え、ビジネスチャンスが生まれることをアピールする必要がある。 日本CRO協会はドラッグ・ロス検討会を設け、日本の治験の魅力を海外に発信する取り組みを行っている。また、多くのショーケースや海外学会でのミーティング活動などを通して、日本での開発の打診を続けてきている。さらに、グローバルCROとのパートナーシップを構築していく。日本の責任企業を増やす環境を作る必要性 米国アステラス製薬の廣橋 朋子氏は、新薬開発におけるドラッグ・ロスと日本の取るべき対応策について、海外グローバル企業からの意見を発表した。 日本の臨床開発手法はここ20年で大きく変わってきた。以前は国内フル開発だったが、現在では日本PhaseIストラテジーと国際共同治験への参加が標準的な開発手法となっている。これによりドラッグ・ラグは解消されたと考えていたが、欧米の開発スピードの加速化、 創薬研究の多様化によって新たなドラッグ・ラグ/ロスが生じている。 製薬研究の多様化の1つに、ビジネスディベロップメント(BD)の多様化が挙げられる。 多くの新薬は欧米ベンチャー企業が創出し、有効性を確認後BDを通して開発が進められる。 このBDは、グローバル企業がバイオテック企業を合併・買収、または共同開発によって世界展開する「グローバル型」と、各地域の開発・販売権を得た企業各々が展開する「テリトリー型」に分類される。とくにテリトリー型は今後増えていく可能性が高いと考えられる。この場合、日本の責任企業が不在となることがあり、その場合はドラッグ・ロスは避けられなくなる。 これらの問題を解決するには、より多くの企業が日本の責任企業となれる環境を作ることが急務である。そのためには、グローバル企業の日本支社をはじめとした企業の努力、日本における創薬ビジネスの活性化が必要となる。また、ピボダル試験前にグローバルFIH(First-in-Human)試験で日本人の安全性評価ができるような計画も有効であろう。欧米諸国のバイオテック企業がグローバルFIHへの日本の参加を検討・実施しやすい環境を作ることで、グローバル型、テリトリー型いずれの場合もドラッグ・ラグ/ロスを改善できる可能性がある。

6526.

未治療尿路上皮がん、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブがOS・PFS改善(EV-302/KEYNOTE-A39)/NEJM

 局所進行または転移を有する尿路上皮がん患者の1次治療において、エンホルツマブ ベドチン(nectin-4に対する抗体薬物複合体)とペムブロリズマブ(PD-1阻害薬)の併用は化学療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が有意に延長し、臨床的に意義のある有益性を示し、安全性プロファイルは既報と一致することが、英国・Queen Mary University of LondonのThomas Powles氏らが実施した「EV-302試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年3月7日号に掲載された。25ヵ国の無作為化第III相試験 EV-302試験は、未治療の局所進行または転移性尿路上皮がんにおけるエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ併用療法の有効性と安全性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、日本を含む25ヵ国185施設で参加者を募集した(Astellas Pharma USなどの助成を受けた)。 前治療歴のない成人患者を、3週を1サイクルとして、エンホルツマブ ベドチン(1.25mg/kg体重、1および8日目に静脈内投与)+ペムブロリズマブ(200mg、1日目に静脈内投与)を投与する群、または3週を1サイクルとして、ゲムシタビン+シスプラチン(シスプラチンが不適応の場合はゲムシタビン+カルボプラチン)を投与する群に、無作為に割り付けた。 主要評価項目はPFSとOSであり、独立中央判定委員会が盲検下に評価した。 886例(年齢中央値69歳[範囲:22~91]、男性76.7%)を登録し、442例をエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群、444例を化学療法群に割り付けた。生存の追跡期間中央値は17.2ヵ月だった。シスプラチン不適応例、適応例の双方で高い有益性 PFS中央値は、化学療法群が6.3ヵ月であったのに対し、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群は12.5ヵ月と有意に優れた(病勢進行と死亡のハザード比[HR]:0.45、95%信頼区間[CI]:0.38~0.54、p<0.001)。 また、OS中央値は、化学療法群の16.1ヵ月と比較して、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群は31.5ヵ月であり有意に良好だった(死亡のHR:0.47、95%CI:0.38~0.58、p<0.001)。 シスプラチン不適応例および適応例のいずれとの比較においても、PFS中央値およびOS中央値は、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群で優れた。 全奏効率もエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群で良好で(67.7% vs.44.4%、p<0.001)、また完全奏効率も同群で高かった(29.1% vs.12.5%)。一方、疼痛進行までの期間(患者報告アウトカム)には差を認めなかった(14.2ヵ月 vs.10.0ヵ月、p=0.48)。投与サイクル数は多いが、Grade3以上の有害事象は少ない 投与サイクル数中央値は、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群が12回(範囲:1~46)、化学療法群は6回(1~6)であったが、この間に発現したGrade3以上の治療関連有害事象は前者のほうが少なかった(55.9% vs.69.5%)。エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群で頻度の高かったGrade3以上の治療関連有害事象は、斑状丘疹状皮疹(7.7%)、高血糖(5.0%)、好中球数減少(4.8%)だった。 著者は、「エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ群の有益性は、肝転移の有無、シスプラチンの適格性、PD-L1の発現状態などの事前に規定されたサブグループのすべてで認めた」とまとめるとともに、「疼痛進行までの期間の延長などの所見が、患者に及ぼす影響を明らかにするためには、より詳細な患者報告アウトカムの解析が求められる」としている。

6527.

ソーシャルワーカーの介入、HIV患者の退院後の受診改善/JAMA

 入院中のHIV感染患者への介入として、強化された標準ケアと比較して、退院後のHIVクリニックへの受診を促す連携型の患者管理(linkage case management)による介入は、退院後の死亡率を改善しないものの、受診までの期間を短縮し、抗レトロウイルス療法(ART)のアドヒアランスやウイルス量が抑制された患者の割合を改善することが、米国・Weill Cornell MedicineのRobert N. Peck氏らが実施した「Daraja試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年3月6日号で報告された。タンザニア20施設の無作為化試験 本研究は、HIVケアへの参加の障壁に対処するようにデザインされた連携型患者管理介入(Darajaと呼ばれる)が、タンザニアのHIV感染患者の退院後のアウトカムを改善できるか否かの検証を目的とする単盲検無作為化試験であり、2019年3月~2022年2月に同国北西部の20施設で参加者を募集した(米国国立精神保健研究所[NIMH]などの助成を受けた)。 ARTを受けていない、もしくは中止し、何らかの理由で入院したHIV感染患者500例(平均年齢37歳、女性76.8%)を登録し、Daraja介入を受ける群に250例、強化標準ケアを受ける群に250例を無作為化に割り付け、12ヵ月間追跡した。 Daraja介入群は3ヵ月間にわたり、ソーシャルワーカーによる最大5回の研修を病院、自宅、HIVクリニックで受けた。強化標準ケア群は、退院前にHIVカウンセリングとHIVクリニックの予約の仕方に関する支援を受けた。ART開始までの期間、受診の継続率も改善、介入関連の有害事象は発現せず 175例(35.0%)がCD4細胞数<100/μLで、402例(80.4%)はARTによる治療歴がなく、98例(19.6%)はARTを中止した患者であった。 12ヵ月後までに85例(17.0%)が死亡した(介入群43例、強化標準ケア群42例)。12ヵ月時点の全死因死亡率(主要アウトカム)は両群間に差を認めなかった(介入群17.2% vs.強化標準ケア群16.8%、ハザード比[HR]:1.01、95%信頼区間[CI]:0.66~1.55、p=0.96)。 一方、介入群は強化標準ケア群に比べ、初回のHIVクリニック受診までの期間(HR:1.50、95%CI:1.24~1.82、p<0.001)、ART開始までの期間(1.56、1.28~1.89、p<0.001)が有意に短縮した。 また、12ヵ月時のHIVクリニック受診の継続率(87.4% vs.76.3%、p=0.005)、ARTのアドヒアランス(81.1% vs.67.6%、p=0.002)、HIVのウイルス量抑制(HIV RNA<1,000コピー/μL)(78.6% vs.67.1%、p=0.01)の割合は、いずれも介入群で良好だった。 Daraja介入の1年間の平均費用は、立ち上げ費を含め1例当たり約22ドルであった。また、Daraja介入に関連した有害事象は認めなかった。 著者は、「低コストの患者管理介入により、HIVクリニックとの早期の連携とART開始が促進され、HIV患者の退院後の死亡率を低減できるとの仮説は確証できなかったが、退院後のHIVケアの継続を促すという効果が得られた」とまとめ、「これらの知見は、HIVの入院患者における連携型の患者管理に関して、その潜在的な役割を決定するのに役立つ可能性がある」としている。

6528.

第186回 65歳以上のコロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円に/厚労省

<先週の動き>1.65歳以上のコロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円に/厚労省2.医師国家試験合格者、7年連続9,000人超え/厚労省3.進む医師の働き方改革、診療体制の縮小が課題に/厚労省4.地域医療構想の加速化、国がモデル推進区域を選定/厚労省5.ゲノム医療に共同提言、エビデンスなき遺伝子検査ビジネスに警鐘/医学会・日医6.労組結成後のストライキ、医療法人が職員に莫大な損賠を請求/大阪1.65歳以上のコロナワクチン定期接種、自己負担は7,000円に/厚労省厚生労働省は、2024年度から65歳以上の高齢者を中心とした新型コロナウイルスワクチンの定期接種開始について、自己負担額が最大7,000円程度に設定することを発表した。これまで無料で提供されていたワクチン接種が、4月からは季節性インフルエンザワクチン同様、一部自己負担が必要な定期接種へと移行する。接種費用は、1回当たり約1万5,300円と見積もられ、このうち8,300円を国が市町村に助成し、残額を個人が負担する形となる。ただし、市町村による独自の補助がある場合、実際の自己負担額はこれより低くなる可能性がある。定期接種の対象は、65歳以上の高齢者と60~64歳で基礎疾患がある人に限られ、それ以外の人は任意接種として全額自費負担となるが、低所得者に対しては無料接種が継続される。厚労省は、新型コロナワクチンの価格が想定より3倍以上高額になることを受け、急激な自己負担額の増加を緩和するために追加助成を行うことを上記のように決定した。今後、新型コロナウイルスワクチンの接種は、年1回秋冬の接種となり、65歳未満で健康な人は4月以降、定期接種の対象ではなく任意接種の扱いとなるため、自己負担額は7,000円を超える見込み。参考1)コロナ定期接種、自己負担7,000円程度 24年度65歳以上(日経新聞)2)新型コロナワクチン、自己負担7,000円程度に 4月から国の助成で(毎日新聞)3)新型コロナ ワクチン定期接種の自己負担額 最大約7,000円で決定(NHK)4)コロナ定期接種、最大7千円負担 4月から65歳以上対象 厚労省(産経新聞)2.医師国家試験合格者、7年連続9,000人超え/厚労省2024年3月15日、厚生労働省は、2月に実施された第118回医師国家試験の結果を発表した。合格率は92.4%に達し、前年比0.8ポイント上昇、過去10年で最高を記録した。合格者数は9,547人で、7年連続で9,000人を超える結果となった。とくに、新卒者の合格率は95.4%で、全体の合格者数の中で9,048人を占めた。女性合格者は3,307人(全体の34.6%)、男性は6,240人で、男女別の合格率はそれぞれ91.7%、93.6%だった。学校別の合格率では、自治医科大学が新卒・既卒共に100%の合格率を達成し、このほか群馬大学医学部、名古屋大学医学部、東海大学医学部も新卒者の合格率が100%だった。ほかに高い合格率を示した学校では、国際医療福祉大医学部99.2%、兵庫医科大学99.1%、産業医科大学99.0%などがあった。合格基準については、必修問題の採点に一般問題を1問1点、臨床実地問題を1問3点とし、200点満点中160点以上が合格ラインとされた。また、一般問題と臨床実地問題はそれぞれ1問1点で、300点満点中230点以上が必要となった。今回の医師国家試験は、過去10年間で最も高い合格率を記録し、医療界への新たな人材の供給が期待されている。また、性別や大学別のデータは、今後の医療教育の改善や方針策定に役立つ貴重な情報となる。参考1)第118回医師国家試験の合格発表について(厚労省)2)医師試験9,547人合格 厚労省発表(東京新聞)3)医師国家試験、合格率92.4% 新卒の合格者は9千人を突破(CB news)4)第118回医師国家試験(2024年)合格発表…合格率92.4%(リセマム)5)医師国家試験2024、自治医科大学100%合格…学校別合格率(同)3.進む医師の働き方改革、診療体制の縮小が課題に/厚労省2024年4月の医師の働き方改革施行を控え、厚生労働省は、労働時間の上限規制に関する「C水準」の上限見直しを検討している。C水準は、研修医や高度な技能を目指す医師に適用される特例で、現在は年間1,860時間の上限が設けられている。厚労省は、医師の労働時間短縮推進と、地域医療の提供体制と働き方改革の関係に焦点を当て、具体的な対応策の検討を進めている。その一方で、「医療機関勤務環境評価センター」が受け付けた医師の労働時間短縮の取り組みに対する評価の申し込みは、想定を下回る483件に留まっている。これは、タスクシフトや労働基準監督署長による宿直許可取得など、働き方改革が進んだ結果とみられている。厚労省は、診療体制の縮小や派遣医師の引き揚げによる地域医療への影響を調査することで、改革の実施に伴う課題に対応していきたいとしている。また、全国約7,000医療機関を対象にした調査では、49医療機関で派遣医師の引き揚げによる診療体制の縮小が見込まれ、地域医療への影響が懸念されている。これに対し、厚労省は、地域医療の維持に向けた支援策を強化する方針。働き方改革の影響調査や都道府県との連携による医療機関の支援は、改革の進展に伴い重要性を増している。労働時間の短縮だけでなく、地域医療の維持と医師のスキルアップを両立させるための施策が求められ、これらの取り組みは、医師の働き方改革が単なる時間規制に留まらず、より質の高い医療サービスの提供と医師自身のキャリア発展を促す方向に進むことを示している。参考1)第19回医師の働き方改革の推進に関する検討会(厚労省)2)派遣医師の引き揚げで49施設が診療体制縮小の可能性-働き方改革準備状況調査(医事新報)3)医師の働き方改革“地域医療への影響調査を”厚労省検討会(NHK)4)医師働き方改革に向け都道府県-医療機関の連携深化、2024年4月以降も勤務医の労働環境・地域医療への影響を注視-医師働き方改革推進検討会(Gem Med)5)医師の時短評価受審申し込み483件、想定下回る 厚労省「働き方改革が進んだため」(CB news)6)C水準の上限見直し検討へ、厚労省方針 働き方改革推進の課題に「縮減のあり方」(同)7)診療体制縮小の見込み「あり」457カ所 医師の残業上限規制で、厚労省調査(同)4.地域医療構想の加速化、国がモデル推進区域を選定/厚労省厚生労働省は、3月13日に第8次医療計画等に関する検討会の分科会の地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループを開き、地域医療計画の進捗などについて討論した。第8次医療計画の策定に向けて、各都道府県に対して「推進区域」と「モデル推進区域」を指定し、支援を実施する方針を固めた。この後ワーキンググループでの了承を経て、厚労省は今後の詳細な計画を策定し、通知として各都道府県へ発出する予定。人口動態の変更を加味し、2次医療圏ごとに病床の必要量と実際の見込み病床数の乖離、医療提供体制の課題解決に向けた工程表作成など、地域ごとの取り組みには差がある。国は、これらの課題に対して「地域の医療提供体制の見える化」「都道府県が行うべき事項のチェックリスト作成」などの支援を提供することで、2025年の目標実現を促進する。とくに注目されるのは、地域医療構想の実現に向けた具体的な支援策。これには、地域別の病床機能などのデータの可視化、都道府県および医療機関の好事例の共有、地域医療介護総合確保基金などの支援策の活用方法の周知、都道府県や医療機関の取り組みを評価するチェックリストの作成と公表が含まれる。また、モデル推進区域では、伴走支援として技術的、財政的支援を実施する。この新方針に対する構成員からの意見も考慮され、推進区域やモデル推進区域の選定、医師働き方改革の影響の検討、ポスト地域医療構想に向けた準備など、今後の地域医療の提供体制構築に向けた課題と解決策が議論されている。参考1)第14回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(厚労省)2)地域医療構想実現に向けた取り組みはバラつき大、国が「推進区域、モデル推進区域」指定し支援実施-地域医療構想・医師確保計画WG(Gem Med)5.ゲノム医療に共同提言、エビデンスなき遺伝子検査ビジネスに警鐘/医学会・日医日本医学会と日本医師会は、3月13日共同で記者会見を開き、「ゲノム医療の推進に関する共同提言」を発表した。ゲノム研究の国際競争が激化する中、わが国の国家的な体制整備の遅れに対する危機感を表明し、オープンサイエンスの推進と大規模な基盤構築の必要性を強調している。また、ゲノム情報の取り扱いに関し、不当な差別を防ぐための罰則を含む法整備も求めた。2023年6月に公布されたゲノム医療推進法は、良質かつ適切なゲノム医療の提供を目的としている。日本医学会は142の分科会の意見を取り入れ、提言ではゲノム医療が医学・医療分野全体に関わる事項であることを強調、国家レベルでの大規模データ収集とその利活用の進め方、オープンサイエンスの理念の重要性を指摘している。また、ゲノム医療の推進が厚生労働省だけでなく、総務省、文部科学省、経済産業省など関連するすべての省庁にまたがる課題でもあるとしている。具体的な提案としては、ゲノム医療に関する特別法の制定、遺伝・ゲノムリテラシーの向上、遺伝子検査ビジネスの規制などが挙げられている。また、遺伝カウンセリング体制の充実やゲノム情報に基づく不利益や差別の防止に向けた罰則のある法律の策定も求められている。そして、提言では、ゲノム医療の安心・安全な提供とその推進に向けた国家的な取り組みの加速を促すもので、わが国が新たな科学立国としての地位を世界に示し、サイエンス分野での地位の維持と向上に直結するものであるとの視点から、具体的な行動計画の策定と実施が急務であると訴えている。参考1)ゲノム医療推進のため大規模な基盤構築を-日本医学会と日医が提言(医事新報)2)「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」に関する提言について(日本医学会・日本医師会)6.労組結成後のストライキ、医療法人が職員に莫大な損賠を請求/大阪大阪地域合同労働組合は、大阪市で開かれた記者会見で、クリニックの待遇改善を求めてストライキを行った男性組合員とその労働組合に対し、運営する医療法人から約8,400万円の損害賠償を請求されたことを公表した。この訴訟提起は、組合活動を抑圧する目的で行われたスラップ訴訟(訴訟による嫌がらせ)に当たると主張し、「組合つぶしの意図が明らかで不当である」と非難している。被告の男性組合員は、大阪にある精神科「ブレインクリニック」の職員で、2022年10月に同僚らと合理性のない基本給の減給廃止、昇給制度廃止の撤廃などの待遇悪化および診療方針の改善を求めて労働組合を結成し、大阪地域合同労組に加盟した。しかし、団体交渉での応答がゼロだったため、2023年8~11月にかけて、大阪および名古屋で合計6回のストライキを実施した。また、原告のクリニックは、発達障害の専門外来として経頭蓋磁気刺激治療(TMS)などの保険適用外の自由診療を提供していることが明らかにされている。医療法人による損害賠償請求は、労働者の組合活動を支援する大阪地域合同労組によって強く反発されており、今後の展開が注目されている。参考1)医療法人がストに損賠提訴 8,400万円、組合側反発(中日新聞)2)発達障害外来、学会の指針逸脱 クリニックが高額治療(共同通信)

6529.

便通異常症 慢性便秘(11)薬物療法:酸化マグネシウム【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q109

便通異常症 慢性便秘(11)薬物療法:酸化マグネシウムQ109浸透圧性下剤の1つである酸化マグネシウムは本邦で広く使われている。『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』において、本薬剤が使用禁忌・慎重投与と記載されている腎機能はどれくらいか。

6530.

昭和医科大学医学部 外科学講座乳腺外科学部門【大学医局紹介~がん診療編】

林 直輝 氏(教授/診療科長)垂野 香苗 氏(准教授/診療科長補佐)成井 理加 氏(専攻医)講座の基本情報医局独自の取り組み、医師の育成方針当院のブレストセンターは、診察室、マンモグラフィ撮影室、超音波室、処置室、患者の集うリボンズハウスなどを1つのエリアに備え、患者中心の理想的な環境を提供しています。また、附属病院も含めて年間1,000件以上の手術を行う国内最大規模の、多くの若い力で活気に溢れた医局です。乳がん診療の発展と社会貢献のために、“乳がん診療の発展と社会に貢献できる視野の広い医師になる”、“良い臨床医になるためにScienceを理解する”を2つの柱として、臨床、研究、教育を進めています。臨床面での強み臨床面での当院の大きな強みは、国内でも早くから取り組んでいる遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)、MRIガイド下生検などです。さらに、乳がん診療における多方面からのde-escalationに取り組んでおり、手術の縮小を目指す臨床試験だけでなく、画期的な治療法である短期加速乳房照射「SAVI」を導入しています。これは通常約5週間かかる乳房部分切除後の照射を2~5日のみで完結するもので、time toxicityの新たな解決法になります。新しい技術を活用しながら、乳がん診療の進歩に貢献し、患者に最適な治療を提供するチームを目指します。医局でのがん診療/研究のやりがい、魅力昭和医科大学乳腺外科の英語表記は、”Breast Surgical Oncology”です。乳がんに関わる周術期の治療のみではなく、診断から手術、再発転移までの治療を幅広く行う診療科です。また、HBOCなどの多診療科での連携した診療や昭和医科大学内のさまざまな研究所と連携した新薬の治験や臨床研究も多数行っております。また、ほかの診療科との連携も大学病院でありながらしやすい環境にあるのも魅力です。大学というバックグラウンドもあり、臨床と研究にバランスよく関われるのが当院の魅力であると思います。一般病院では難しい研究の支援も大学として、昭和医科大学統括研究推進センター(Showa Medical University Research Administration Center:SURAC)を中心に力を入れており、さまざまな支援を受けることができます。医局の雰囲気、魅力昭和医科大学の乳腺外科は、外科学講座を構成する一部門として、2010年に創設されたまだまだ歴史の浅い医局です。しかし、附属4病院(旗の台、豊洲、藤が丘、横浜市北部)、NTT東日本関東病院の乳腺外科を統括し、合わせて1,000件以上の乳がん手術を行っています。本部は、旗の台にある昭和医科大学附属病院で、日本で有数のブレストセンターがあります。昭和大学出身者が比較的多いですが、出身大学、初期研修病院などはさまざまです。また、途中入局の医師も多く在籍しており、異なるバックグラウンドの医師が在籍しております。女性医師も多く在籍しており、産休、育休の取得や時短勤務にも対応しております。また、毎朝のカンファレンスなどでの情報共有や、コミュニケーションの時間を重視しています。医学生/初期研修医へのメッセージ乳がん領域の診療は、画像診断、手術、薬物療法とさまざまな領域の発展が日進月歩です。将来的に何をどのように専門にしていくかは、医学生・初期研修医の段階で決めるのは難しいと思いますし、実際経験してみて自分の適性というものがわかることも多々あります。乳腺外科の分野でまず、幅広くいろいろなことを学び、自分の適性やビジョンを定めていくことをおすすめします。当科では、その点幅広い経験ができ、乳腺・乳がん診療に将来的に関わっていくうえで多岐にわたる経験を通じて、その後の進路を選択することができると思います。興味のある先生はぜひ一度見学にいらしてください。いつでも大歓迎です。毎朝行われるカンファレンスこれまでの経歴・同医局を選んだ理由2017年地方大学卒業後、初期研修は都内の他大学病院で1年目を大学、2年目を市中病院で研修を行いました。研修医のときに回った乳腺外科に興味を持ち、働きやすさとやりがいの両方から、乳腺外科への入局を考えるようになりました。同医局を選んだ理由としては大きく3つあります。1つ目は手術件数の多さです。私が入局を考えていた頃は新専門医制度が開始した直後であり、その制度もまだ不明な点も多く、大学病院など大きな病院での外科専門医取得を考えました。その中でも乳がん手術件数の多い当医局を入局先の候補として考え、実際に見学して入局を決定しました。2つ目は働きやすさです。見学した際に、他大学から入局されている先輩がいるかどうか、先輩方の雰囲気などを確認しました。当医局は、他大学や他研修先から入局する人も多く、上級医の先生方もほかの病院で勤務していた方が多いです。そのため外部からの入局者を歓迎している雰囲気があります。3つ目は早くから乳腺外科としての経験を多く積むことができることです。これに関しては、メリットデメリットどちらもあるかと思いますが、自分のやりたいことが決まっている方には、早くから乳腺外科の外来や手術などを経験できる点が良いと思います。現在学んでいること・今後のキャリアプラン現在私は医師7年目で、今年乳腺専門医を取得しました。3〜5年目は、外科プログラムに則り経験を積み、5年目頃からは乳腺外科を中心に診療を行っています。入局以降、上級医の先生にご指導いただき、毎年の学会発表や乳腺専門医の取得に必要な論文などを書かせていただきました。当医局では多くの症例と乳がん診療の経験豊富な先生方の指導のもと、専門医取得を行うことができます。専門医取得後のキャリアはさまざまです。自分のやりたいことがあれば、それを相談できる環境にあると思います。乳腺外科を考えられている方、ほかの科と乳腺外科とで迷われている方はぜひ一度見学にいらしてください。日本乳学会学術総会で昭和医科大学医学部 外科学講座乳腺外科学部門住所〒142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8問い合わせ先breast.ikyoku@gmail.com医局ホームページ昭和医科大学病院乳腺外科昭和医科大学病院ブレストセンター専門医取得実績のある学会日本外科学会日本乳学会遺伝性腫瘍学会臨床腫瘍学会 など研修プログラムの特徴(1)乳がんの診断から手術、薬物療法と乳がんに関わる一連の治療をトータルで学ぶことができます。(2)放射線科、形成外科、産婦人科、遺伝診療部など多診療科に関わるチーム医療を学ぶことができます。(3)外科専門医、乳腺専門医の要件に十分な症例経験を積むことができます。

6531.

【緊急寄稿】働き方改革、スタート目前!米国医師の働き方を変えた「10の仕組み」~第2回・スマホアプリ編~

第1回は米国病院の勤務体系についてご紹介しました。今回は米国と日本の臨床現場での大きな違いの1つとなっている、「スマホアプリ」がテーマです。多くの専用アプリが導入されており、業務の効率化や働き方改革に大きく貢献しています。今回は、その例をいくつかご紹介します。仕組み5:Haiku日本の電子カルテは富士通などが主流ですが、米国ではEpic Systemsの「Epic」という電子カルテシステムがシェアのトップを占めています。このEpicにはさまざまな便利機能が付いているのですが、一番大きな利点は「スマホで電子カルテを閲覧できる」ことです。スマホでは「Haiku」という名前のアプリで、由来はおそらく日本語の俳句から取ったものだと思うのですが、正確なところはよくわかりません。このアプリでは患者さんのカルテをどこでも閲覧可能で、業務効率が格段に上がります。血液検査データや画像検査の結果もアプリ上で閲覧できるため、検査データを確認するために電子カルテ用のパソコンを立ち上げる必要もなくなります。また、患者さんの皮膚所見など、カルテに取り込みたい画像がある場合には、アプリを立ち上げて患者さんを選択し、スマホで写真を撮影するだけで簡単に追加することができます。以前の日本の職場では、デジタルカメラで写真を撮り、USBでパソコンにつないで…という手順を追う必要があり、「Haiku」によって大幅な時間短縮になっています。さらに、Epicには「Epic chat」というメッセンジャー機能があり、看護師とのやりとりや他科へのコンサルトをLINEのような感覚で行えます。日本で働いていた時には院内PHSに頻繁に電話がかかってくるのがストレスでしたが、Epic chatでは空いた時間にまとめて返信できるので、業務に集中することができます。さらに、「消化管出血の患者さんへの治療介入を消化器内科、消化器外科、放射線科のどの医師が担当するかディスカッションする」という際、日本では専攻医の自分が仲介役となって各科の医師に何回も電話する必要がありましたが、Epic chatでは関係する科のグループチャットを作ってそこで議論ができるため、非常に効率が良いと感じます。仕組み6:Doximity「Doximity」というアプリは、遠隔診療やオンラインFAXの機能が充実しています。たとえば、「患者さんやその家族にスマホから電話をかけたいが、自分の電話番号は知られたくない」といったときに、このアプリから通話をすると、病院の電話番号経由で患者さんに電話をかけることができます。電子カルテの遠隔利用とこのサービスを組み合わせることで、医師は自宅からでも患者さんの家族に電話をかけたり、病状説明をしたりすることができます。また、日本と同じく、米国でもいまだに他の医療機関とFAXでのやりとりをするケースがあるのですが、Doximityはアプリ内で自分のFAX番号を作成して、送られてきたFAXをそのままスマホで閲覧したり、スマホで撮影した画像をFAXで送ることができたりする機能があります。シンプルですが、FAXに関連するトラブルを最小限にできるため、重宝しています。日本でも遠隔診療を進めるうえで、こうしたアプリの需要が高まってくるのではないでしょうか。仕組み7:AMiON米国では多くの医師が看護師のようなシフト制で働いています。そのため、「どの科のどの医師がその時間を担当しているか」を把握する必要があるのですが、その際に使われているのが「AMiON」という当直表管理アプリです。いわば「オンラインで見られる当直表」で、どの科の医師がどういうスケジュールで働いているかが、一目でわかります。勤務の交代があった場合でもオンライン上で簡単に変更ができます。日本では当直の変更があるたびに事務職員の方が当直表を新しく印刷して張り替える、ということをしていたので、それと比較して格段に効率的です。

6532.

前庭リハビリテーションガイドライン 2024年版

平衡訓練/前庭リハビリテーションのガイドラインが誕生!前庭リハビリテーションはめまい患者の日常生活動作(ADL)改善目的で行われるが、日本国内ではかつてさまざまな訓練方法が混在していた。日本めまい平衡医学会はその標準化を目的に、本ガイドラインを策定した。訓練方法をイラストで詳細に解説し、11のCQでシステマティックレビューに則ってエビデンスを解析し、推奨を作成した。エビデンスによって標準化された前庭リハビリテーションを学ぶために、必携・必読・必修の1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する 前庭リハビリテーションガイドライン 2024年版定価3,300円(税込)判型B5判頁数100頁(カラー図数:9枚)発行2024年2月編集日本めまい平衡医学会ご購入はこちらご購入はこちら

6533.

ピロリ除菌で大腸がんリスクも低減/JCO

 Helicobacter pylori(H. pylori)陽性で除菌治療を受けた場合、治療を受けなかった陽性者と比較して、大腸がんの発症リスクと死亡リスクの両方が有意に低減したことを、米国・VA San Diego Healthcare SystemのShailja C. Shah氏らが明らかにした。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年3月1日号掲載の報告。 近年、H. pylori感染と大腸がんのリスクとの間に正の関連があることが報告されている1)。Shah氏らの研究グループは、H. pylori感染と陽性者における除菌治療が、大腸がんの発症率と死亡率に及ぼす影響を調査するためにコホート研究を行った。 解析には、1999~2018年に退役軍人健康管理局でH. pylori検査を行った退役軍人のデータが用いられた。追跡調査は、大腸がんの発症、大腸がんまたは他の要因による死亡、2019年12月31日のいずれか早い日まで継続した。主要評価項目は大腸がんの発症率と死亡率であった。 主な結果は以下のとおり。・H. pylori検査を受けた81万2,736人のうち、陽性は20万5,178例(25.2%)であった。・陰性群と比べて、陽性群では大腸がん発症リスクは18%高く(調整ハザード比[aHR]:1.18、95%信頼区間[CI]:1.12~1.24)、死亡リスクは12%高かった(aHR:1.12、95%CI:1.03~1.21)。・除菌治療を受けた群と比べて、治療を受けていない群では大腸がん発生リスクは23%高く(aHR:1.23、95%CI:1.13~1.34)、死亡リスクは40%高かった(aHR:1.40、95%CI:1.24~1.58)。・これらの結果は、血清学的検査を受けていない群でより顕著であった。 これらの結果より、研究グループは「H. pylori陽性は、大腸がんの発症および死亡と関連している可能性があり、未治療の人、とくにに活動性の感染が検出された人が最もリスクが高いようである」とまとめた。

6534.

心筋を微小組織にして移植、iPS細胞による新たな心不全治療とは/日本循環器学会

 再生医療において、ヒト人工多能性幹細胞由来心筋細胞 (hiPSC-CM)を用いた心臓修復の臨床応用は、心筋細胞(CM)の生着不良や移植後の不整脈に苛まれ難航してきた。だが今回、第88回日本循環器学会学術集会『iPS由来再生心筋細胞移植治験の初期成績から見た虚血性重症心不全治療へのインパクト』において、福田 恵一氏(Heartseed社/慶應義塾大学 名誉教授)らは、他家iPS細胞由来の純化精製心筋細胞微小組織(hiPSC-CS)を開発し、心筋層に直接注入することで、梗塞部位周辺の心筋の再生に成功したことを報告した。なお、本発表は非臨床試験および現在進行中の第I/II相LAPiS試験の中間報告である。鍵は「心筋を球にして注入、心筋と同化させる」 心筋細胞は骨格筋細胞と異なり幹細胞が存在しないため、一旦壊死してしまうと不可逆的に細胞数は減少の一途を辿る。これにより心臓では収縮不全(心不全の進行)が生じる。これに対し、福田氏らは“心筋残存部位へ生理的肥大を起こすとされるiPS細胞由来心筋細胞を移植することで、梗塞部位が補われ、心機能の回復につながる”という仮説を立て、虚血性心不全に伴う心筋壊死や喪失による心筋不足を改善するため、まず2つの非臨床試験を実施。カニクイザルにヒトの再生心室筋細胞(純度の高い心室筋)を移植し、有効性・安全性を実証した。 試験に用いられた細胞は、生着率を高めるために心筋細胞を1,000個程度の塊に作製した「心筋球」1)と呼ばれるもので、非臨床試験では1匹当たり6,000万個を移植した。 本試験の有効性について、「移植細胞がレシピエントの心室筋細胞と連結し、それと同様に介在板を介して長軸方向に整列、生着していることが確認された。また、移植細胞も既存の細胞と同じリズムで同期して動いていることを確認した。そして、投与後3ヵ月後には心筋球が4倍程度となり約10%の左室駆出率(LVEF)を改善させることができた」と説明した。一方の安全性については「移植後7~14日目に心室頻拍が観察された。しかし、不整脈が出現することはほかのグループが行った単離心筋移植法による試験からも想定済みであった。それと比べると、今回の発生は移植早期で、心臓専門医が日常臨床で対応できる範囲の不整脈であった」と述べた。後側・側壁に渡る広範囲の梗塞がみられた症例も回復 続いて、市原 有起氏(東京女子医科大学 心臓血管外科学分野)、藤原 立樹氏(東京医科歯科大学 心臓血管外科)が第I/II相LAPiS試験における各自の治験症例を報告した。<治験概要>●対象者:虚血性心疾患に起因する重症心不全で、既存の内科的/外科的標準治療を行うも効果無効患者●方法:他家iPS細胞由来心筋球を冠動脈バイパス術(CABG)時に左室(セグメント分割した前壁、側壁、後壁、下壁)に対し、3本の針がセットになったデバイス全15回を移植した。非盲検で低用量5例(0.5億個)、高用量5例(1.5億個)を予定している。移植治験組み入れの主な基準は、CABG予定の虚血性心不全患者、LVEF 15~40%、NYHA分類II度以上。移植後の免疫抑制薬としてステロイド、MMF(ミコフェノール酸モフェチル)、タクロリムスを投与し、26週以降はタクロリムスを継続した。●主要評価項目:投与26週後の安全性●主な有効性指標:心収縮機能(LVEF、左室内径短縮率[FS])、心筋壁運動、生存心筋量など 現時点で低用量4例の移植が終了している。市原氏の症例では、移植6ヵ月後のGlobal longitudinal strain(GLS)解析から、左室リバースリモデリングと心機能の著明な改善が認められ(左室拡張末期容積[LVEDV]:430→289mL、左室収縮終期容積[LVESV]:297→189mL、LVEF:31→35%)、左心室を16セグメントに分割して心筋スペックルトラッキングの変化を観察したが、このうち心筋細胞を移植した9セグメント中7セグメントで心筋収縮の改善が観察された。1例目、2例目とも心筋移植部位の改善が観察されたことから、市原氏は「血行再建術と心筋細胞移植の併用療法は心機能改善の新たな治療法になりうる。移植による免疫抑制薬のコントロールも内科が上手く対応してくれ、問題なかった。内科・外科が協調して心不全のトータルマネジメントを行うことが重要」とコメントした。 続いて、藤原氏が携わった症例においては、心筋移植部位7セグメント中5セグメントで改善が観察された。その一方で、僧帽弁閉鎖不全症の悪化もあり、残念ながら非移植部位での壁運動の低下が顕著であったため、全体では心機能が低下していた。これについて、「患者は心不全ステージ分類でいうと、ステージCからDに移行する段階であり、本治療を行わなければ、身体機能の低下が免れることはできなかったと思われる。しかし、心筋細胞移植により術前ADLの維持ができたことはよかった。免疫抑制薬の問題もなかった。今後の検討課題として、部位別の収縮度の改善効果が移植回数に比例していたことを踏まえ、心筋細胞の移植量と移植部位の検討が重要になると思われる」と話した。 最後に福田氏は「世界初の治験であることから、当初は参加者から(本治験の)同意が得られにくかった。この治験ではバイパス手術との併用を行ったが、今後は移植単独の投与も検討したい。本治験から得られた課題である“移植部位・投与方法”の在り方などと併せて、一歩一歩科学的に進めていきたい」と締めくくった。

6535.

うつ病高齢者に対する日本で使用可能な抗うつ薬~系統的レビューとメタ解析

 日本うつ病学会のうつ病治療ガイドラインの改定を行うために、藤田医科大学の岸 太郎氏らは、うつ病の高齢者を対象とした日本で使用可能な抗うつ薬の、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験のシステマティックレビューおよびペアワイズメタ解析を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌2024年3月号の報告。 主要アウトカムは、治療反応率とした。副次的アウトカムに、抑うつ症状評価尺度のスコア改善、寛解率、すべての原因による治療中止、有害事象による治療中止、1つ以上の有害事象を含めた。ランダムエフェクトモデルを用いて、リスク比(RR)、標準化平均差(SMD)、95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・9件の二重盲検ランダム化プラセボ対照試験(2,145例)が特定された。・日本で行われた研究はなかった。・本メタ解析に含まれた抗うつ薬は、デュロキセチン、エスシタロプラム、イミプラミン、セルトラリン、ベンラファキシン、ボルチオキセチンであった。・抗うつ薬治療群はプラセボ群と比較し、治療反応率が有意に高かった(RR:1.38、95%CI:1.04~1.83、p=0.02)。・抗うつ薬治療群はプラセボ群と比較し、良好な抑うつ症状評価尺度のスコア改善が認められた(SMD:-0.62、95%CI:-0.92~-0.33、p<0.0001)。・抗うつ薬治療群はプラセボ群と比較し、有害事象による治療中止率が高く(RR:1.94、95%CI:1.30~2.88、p=0.001)、1つ以上の有害事象発現率も高かった(RR:1.11、95%CI:1.02~1.21、p=0.02)。・寛解率やすべての原因による治療中止に関しては、両群間に差は認められなかった。 結果を踏まえ、著者らは「日本で使用可能な抗うつ薬による治療は、中等度~重度のうつ病高齢者に対し、弱く推奨される」と結論付けた。

6536.

HIV曝露前予防、F/TDFはシス女性にも有効か?/JAMA

 シスジェンダー女性におけるHIV曝露前予防のためのエムトリシタビン/テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩(F/TDF PrEP)について、市販後臨床試験11件のプール解析において全体のHIV罹患率は100人年当たり0.72であったことが示された。米国・アラバマ大学バーミンガム医学校のJeanne Marrazzo氏らによる検討結果で、F/TDF PrEPのアドヒアランスが「一貫して毎日」や「高い(週4~6回服用)」人は、HIV罹患率が非常に低率であったことも示されたという。F/TDF PrEPについては、アドヒアランスが高い(週4回以上)男性と性行為を行うシスジェンダーの男性において、非常に有効であることが示されている。一方で、シスジェンダー女性におけるF/TDF PrEPに関するリアルワールドの有効性およびアドヒアランスについては、明確には特徴付けがされていなかった。JAMA誌オンライン版2024年3月1日号掲載の報告。11件のF/TDF PrEP市販後臨床試験データを統合解析 研究グループは、シスジェンダー女性におけるF/TDF PrEPの有効性、および有効性とアドヒアランスとの関連性を明らかにするため、2012~20年に6ヵ国で行われた11件のF/TDF PrEP市販後臨床試験のデータを統合し解析した。データには、15~69歳のシスジェンダー女性6,296例が含まれた。 F/TDFは、1日1回経口投与で処方された。主要アウトカムはHIV罹患率とし、客観的測定(乾燥血液スポット中のテノホビル二リン酸濃度または血漿中のテノホビル濃度、288例)および主観的測定(錠剤キャップ電子的モニタリング、錠剤数、自己申告および試験報告のアドヒアランススケール、2,954例)によるアドヒアランスレベルを、集団軌跡モデルを用いて分類し、評価(サブグループ分析)した。全体のHIV罹患率は100人年当たり0.72、アドヒアランスが高い群ほど低率 被験者6,296例を国別にみた内訳は、ケニア46%、南アフリカ共和国28%、インド21%、ウガンダ共和国2.9%、ボツワナ共和国1.6%、米国0.8%であった。試験全体のPrEP開始時の平均年齢は、25(SD 7)歳で、25歳未満の若年被験者が61%を占めていた。 全体のHIV罹患率は、100人年当たり0.72(95%信頼区間[CI]:0.51~1.01、6,296例のうちHIVと診断されたのは32例)であった。 アドヒアランスレベル群は、一貫して毎日(週7回服用)、一貫して高い(週4~6回服用)、高かったが低下してきている(平均週4~6回服用していたが、その後に低下)、一貫して低い(週2回未満の服用)の4群が特定された。 このうち、一貫して毎日服用していた498例ではHIVに感染した人はいなかった。アドヒアランスが一貫して高かった658例では、HIVに感染した人は1例だけだった(罹患率0.13/100人年[95%CI:0.02~0.92])。アドヒアランスが高かったが、その後に低下していた1,166例の罹患率は0.49/100人年(0.22~1.08)、一貫して低かった632例では同1.27/100人年(0.53~3.04)であった。

6537.

微小プラスチック、心血管イベント・死亡リスク上昇と関連/NEJM

 頸動脈プラークからマイクロプラスチックまたはナノプラスチック(MNP)が検出された患者は、検出されなかった患者と比較して、追跡34ヵ月時点の心筋梗塞、脳卒中、全死因死亡の複合リスクが有意に高かった。イタリア・University of Campania Luigi VanvitelliのRaffaele Marfella氏らが多施設共同の前向き観察試験の結果を報告した。いくつかの研究で、摂取や吸入、皮膚への曝露を通じてMNPが体内に入り込み、細胞組織や臓器に作用することが示されており、MNPは母乳、尿、血液だけでなく、胎盤、肺、肝臓などでも見つかっている。最近行われた前臨床モデル研究では、MNPが心血管疾患の新たなリスク因子であることが示唆されていたが、このリスクがヒトに及ぶという直接的なエビデンスは示されていなかった。NEJM誌2024年3月7日号掲載の報告。プラーク中にMNPの存在が確認された患者vs.確認されなかった患者で検討 研究グループは、無症候性頸動脈疾患に対して頸動脈内膜切除術を受ける予定の患者を対象に検討を行った。 頸動脈プラークの摘出検体を用いて、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析、安定同位体分析、電子顕微鏡検査を行い、MNPの存在を分析した。炎症性バイオマーカーは、酵素免疫測定法と免疫組織化学法で評価した。 主要エンドポイントは、心筋梗塞、脳卒中、全死因死亡の複合で、プラーク中にMNPの存在が確認された患者と確認されなかった患者を比較した。MNPの存在が認められた患者の複合イベントリスクは4.53倍 計304例が登録され、257例が追跡期間中央値33.7(SD 6.9)ヵ月の試験を完了した。 150例(58.4%)の患者の頸動脈プラークからポリエチレン(平均21.7±24.5μg/mg)が検出された。また、31例(12.1%)の患者のプラークからは、測定可能なポリ塩化ビニル(平均5.2±2.4μg/mg)も検出された。 電子顕微鏡検査により、プラーク中のマクロファージ間に、辺縁がギザギザの異物が確認でき、外部デブリに散在していることが認められた。 放射線検査では、これらの異物の一部に塩素が含まれていることが示された。 アテローム内にMNPの存在が認められた患者は、認められなかった患者よりも、主要エンドポイントのイベントリスクが有意に高かった(ハザード比:4.53、95%信頼区間:2.00~10.27、p<0.001)。

6538.

論文執筆における生成AIの利用範囲はどこまでか?(解説:折笠秀樹氏)

 ChatGPTなどの生成AI(GAIと呼ぶ)に関する、指針に関する調査報告です。ChatGPTは2022年に生まれ、急拡大したのは周知のとおりです。英文校正や翻訳作業の利用にとどまらず、論文執筆や図表作成にも使われ始めたようです。こうした生成AIの利用に関する指針が出てきたのは見聞きしていましたが、それに関する大々的な調査結果です。 当然ながら、著名な雑誌ほど投稿規定などにいち早く盛り込んでいました。トップジャーナルではすでに87%に及んでいますが、全体で見るとまだ24%しかないようです。生成AIを共著者とすることは、95%以上で禁止しているようです。しかし、生成AIを利用すること自体を禁止しているわけではありません。その範囲はどこまでにすべきかについて、雑誌ごとにばらばらのようです。コンセンサスが得られていないということなのでしょう。 著名な「Science」誌では、生成AIを利用した原稿や図表の作成を禁止したようです。「JAMA」誌では、原稿作成・校閲・修正の段階で生成AIを利用したなら、著者はそのことを謝辞に報告すべきとしたようです(Flanagin A, et al. JAMA. 2024 Mar 7. [Epub ahead of print])。ゴーストライター問題を思い出しました。論文執筆に関与したのに、あえて共著者に含めなかったわけです。生成AIもゴーストライターじゃないのかと思ったわけです。現状では、生成AIの作業は知的活動には当たらないとして、謝辞に示すのが大半のようです。どこまでの作業が許されるかについては、雑誌ごとにまだ揺れているようです。発展途上だから仕方ないことなのでしょう。 上位100の大手出版社の中にも、上位100の科学雑誌の中にも、日本産と思われるものが一つも含まれていないのは寂しい限りです。

6539.

救急部の静脈ルート:18G vs.20Gガチンコ対決【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第253回

救急部の静脈ルート:18G vs.20Gガチンコ対決看護roo!より使用末梢静脈ルートは、救急医療だけでなく入院医療でも必須の処置の1つです。私は研修医の頃、太いルートを入れるのは苦手だったのですが、ベテラン看護師に集中特訓してもらう期間があって、それ以降わりと上手になりました。さて、三次救急の場合、18ゲージのような太いルートと、20ゲージのような細めのルートのどちらがよいでしょうか。当然、太い18ゲージのほうが大量輸液ができるわけで、こちらのほうが挿入難易度が高くなります。また、患者さんにとっても太い穿刺針は強い痛みを伴います。Mitra TP, et al. Spiced RCT: Success and Pain Associated with Intravenous Cannulation in the Emergency Department Randomized Controlled Trial.J Emerg Med. 2024 Feb;66(2):57-63.これは、三次救急の現場において、18ゲージと20ゲージの静脈ルート確保によって、患者が感じる疼痛や、手技の困難さを比較するために行われた単施設研究です。被験者は、18ゲージ群または20ゲージ群のいずれかにランダム化割り付けされました。評価項目は、患者が経験した挿入時の疼痛と、医療従事者が感じた手技上の困難さの2つで、10cmのVAS(Visual Analogue Scale)で評価されました。178例の患者が解析に含まれ、それぞれ89人ずつにランダム化されました。平均疼痛スコア(差0.23、95%信頼区間[CI]:0.56~1.02、p=0.5662)と平均手技難易度スコア(差0.12、95%CI:0.66~0.93、p=0.7396)の間に、統計学的または臨床的に有意差は確認されませんでした。また、18ゲージ群と20ゲージ群の間で、初回のルート確保成功率(89人中75人vs.89人中73人、p=0.1288)、および合併症(89人中1人vs.89人中2人)にも差は確認されませんでした。というわけで、18ゲージでも20ゲージでもそんなに変わりませんよ、というのが今回の研究の結論になります。しかし、個人的にはやはり18ゲージのほうが難しい気がするんですが…。うーむ。そうか、自信を持てということか!

6540.

第202回 麻疹感染が拡大、“真の死亡率”が報道されていない?

昨今、国内での麻疹患者の確認が話題だ。今年に入り3月13日までに確認された麻疹患者は11人。わずか3ヵ月弱で昨年の報告数28人の3分の1以上に達している。日本での麻疹はほぼ輸入感染症の様相を呈しているため、コロナ禍による入国制限があった2020~22年各年の報告数は10人以下だった。もっとも麻疹が感染症法で全数報告となった2008年からコロナ禍前の2019年までの年間報告数は、最大が2008年の1万1,013人、最小が2015年の35人、それ以外の年は200人弱から700人超だったことを考えれば、現状はまだコロナ禍の入国制限の影響を引きずった一過性の減少と言えるだろう。実際、出入国在留管理庁の統計を参照すると、日本の年間出入国者は2022年が約1,353万人、2023年が約7,052万人で、コロナ禍前の2019年の1億264万人までは復活していない。加えて世界保健機関(WHO)から麻疹の排除認定を受けていないインド、インドネシア、中国、ロシアなど、従来から日本への入国者が多い国からの入国者もいまだ2019年水準から見て数分の1というレベルである。一方、国内事情を考えると気になるのが麻疹ワクチンの接種状況である。現在の麻疹ワクチン接種は、いわゆる風疹との混合ワクチンの2回接種がスタンダードとなり、概して言えば、定期接種対象者の接種率は1回目接種が95%以上、2回目接種が90%台前半だが、2018~22年の接種率は経時的に漸減傾向にあり、この5年間で2~3%低下している。2022年度の1回目接種率は95.4%、2回目接種率は92.4%で、集団免疫獲得の目安とされる95%を超えるのは香川県のみ。続いて北海道、鹿児島県、沖縄県は90%未満である。その意味で現在の状況はかなり警戒度を高めなければならないことは疑いようがない。メディア各社もこの現状と麻疹ウイルスの感染力の強さ、ワクチン接種の有効率の高さなどを盛んに報じている。これ自体は非常に良い傾向だと思っている。もっとも各社の報道を見ているとバラツキを感じるのも現実だ。私が気になっているのは2点。1点目はワクチン接種に関してだ。現在では2回接種が基本となっているが、2000年4月以前に生まれた人は1回接種だったため*、免疫獲得が不十分な人がいる。麻疹ワクチン接種1回以下の世代は現時点で全員が成人であり、未成年よりも行動半径が広く、この世代の確実な免疫獲得は感染拡大阻止の成否に直結すると言っても過言ではない。しかも、麻疹の場合、子供の病気で成人にはあまり関係ないと思っている人は想像以上に多いのも問題である。*1990年4月2日~2000年4月1日に生まれた人は特例措置で中学1年生、高校3年生相当年齢に2回目接種が実施されているが、受けていない人もいる。2点目は麻疹の死亡率に関する報道である。国内の報道を散見する限り、感染者1,000人当たり1人が死に至るとの報道がほとんどだ。これ自体は先進国に関する一般論では正しいが、あくまで一般論である。国立感染症研究所が公表している日本国内の感染状況の年報と厚生労働省の人口動態統計をもとに試算すると、この数字は高い年度だと約250人に1人の時もある。「そこまで細かくなくとも…」というご意見はあるだろう。しかし、人とは不都合な情報ほど都合よく解釈するものである。たとえば100人に1人の確率で起こる悪い事象の場合、多くの人は“自分にはそれが起こらない、99人のほうだ”と勝手に思い込んでいる。その意味では危機を身近に感じてもらうためには、やや恐怖訴求になってしまっても、起きているよりワーストな現実を伝えることも必要である。麻疹のような極めて感染力が強い感染症の場合、とりわけこのシナリオを適用するほうが向いているとさえいえる。そんなこんなで巷の報道を横目で眺めながら、隔靴掻痒の感を抱いている(もちろんこの点を踏まえて自分も一般向け記事を執筆しようと思っているが)。

検索結果 合計:35665件 表示位置:6521 - 6540