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肺炎診療GL改訂~NHCAPとHAPを再び分け、ウイルス性肺炎を追加/日本呼吸器学会

 2024年4月に『成人肺炎診療ガイドライン2024』1)が発刊された。2017年版では、肺炎のカテゴリー分類を「市中肺炎(CAP)」と「院内肺炎(HAP)/医療介護関連肺炎(NHCAP)」の2つに分類したが、今回の改訂では、再び「CAP」「NHCAP」「HAP」の3つに分類された。その背景としては、NHCAPとHAPは耐性菌のリスク因子が異なるため、NHCAPとHAPを1群にすると同じエンピリック治療が推奨され、NHCAPに不要な広域抗菌治療が行われやすくなることが挙げられた。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を経て、ウイルス性肺炎の項目が設定された。第64回日本呼吸器学会学術講演会において、本ガイドライン関するセッションが開催され、進藤 有一郎氏(名古屋大学医学部附属病院 呼吸器内科)がNHCAPとHAPの診断・治療のポイントや薬剤耐性(AMR)対策の取り組みについて解説した。また、ウイルス性肺炎に関して宮下 修行氏(関西医科大学 内科学第一講座 呼吸器感染症・アレルギー科)が解説した。NHCAPとHAPは耐性菌のリスク因子が異なる NHCAPとHAPは「敗血症性ショックの有無の判断」「重症度の判断(NHCAPはA-DROPスコア、HAPはI-ROADスコアで評価)」「耐性菌リスクの判断」を行い、治療薬を決定していくという点は共通している。しかし、耐性菌のリスク因子は異なる。進藤氏は、「この違いをしっかりと認識してほしい」と語った。なお、それぞれの耐性菌リスク因子は以下のとおり。NHCAP:経腸栄養、免疫抑制状態、過去90日以内の抗菌薬使用歴、過去90日以内の入院歴、過去1年以内の耐性菌検出歴、低アルブミン血症、挿管による人工呼吸管理を要する(≒診断時に重度の呼吸不全がある)HAP:活動性の低下や歩行不能、慢性腎臓病(透析を含む)、過去90日以内の抗菌薬使用歴、ICUでの発症、敗血症/敗血症性ショック HAPでは、「重症度が低く、耐性菌リスクが低い(リスク因子が1つ以下)場合」は狭域抗菌治療、「重症度が高い、または耐性菌リスクが高い(リスク因子が2つ以上)場合」には広域抗菌治療を行う。NHCAPでは、外来の場合はCAPに準じた外来治療を行う。また、入院の場合も非重症で耐性菌リスク因子が2つ以下であれば、CAPと類似した狭域抗菌治療を行い、重症で耐性菌リスク因子が1つ以上あるか非重症で耐性菌リスク因子が3つ以上であれば広域抗菌治療を行うという流れとなった(詳細は本ガイドラインp.54図3、p.64図3を参照されたい)。不要な広域抗菌薬の使用は依然として多い 進藤氏は、名古屋大学などの14施設で実施した肺炎患者を対象とした前向き観察研究(J-CAPTAIN study)の結果を紹介した。本研究では、CAP患者をNon-COVID-19肺炎とCOVID-19肺炎に分けて検討した。その結果、Non-COVID-19肺炎患者(1,802例)の10%にCAP抗菌薬耐性菌(β-ラクタム系薬、マクロライド系薬、フルオロキノロン系薬のすべてに低感受性と定義)が検出された。CAP抗菌薬耐性菌のリスク因子としては、過去1年以内の耐性菌検出歴、気管支拡張を来す慢性肺疾患、経腸栄養、ADL不良、呼吸不全(PaO2/FiO2≦200)が挙げられた。これらの項目は本ガイドラインのシステマティックレビューの結果と類似していたと進藤氏は語った。 また、本研究においてNon-COVID-19肺炎患者では、CAP抗菌薬耐性菌の検出がなかった患者の29.2%に広域抗菌薬が使用されていたことを紹介した。AMR対策としては、このような患者における広域抗菌薬の使用を減らしていくことが重要となると進藤氏は指摘する。CAP抗菌薬耐性菌のリスク因子が0個であった患者は、Non-COVID-19肺炎の61.2%を占め、そのうち21.8%で広域抗菌薬が使用されていた結果から、進藤氏は「AMR対策上、耐性菌リスクのない症例では広域抗菌薬の使用を控えることが重要である」と強調した。ウイルス性肺炎は想定以上に多い? 2018~20年に九州の14施設で実施された観察研究では、CAP患者の23.3%にウイルスが検出されており2)、肺炎へのウイルスの関与が注目されている。そこで、宮下氏は本ガイドラインに新たに追加されたウイルス性肺炎について、その位置付けを紹介した。 CAPは、(1)CAPとNHCAPの鑑別→(2)敗血症の有無・重症度の判断(治療場所の決定)→(3)微生物学的検査→(4)マイコプラズマ肺炎・レジオネラ肺炎の推定→(5)抗菌薬の選択といった流れで診療が行われる。この流れに合わせて、ウイルス性肺炎の特徴を考察した。 COVID-19肺炎患者の1年後の身体機能をみると、CAPと比較してNHCAPで予後が不良である3)。したがって、宮下氏は「CAPとNHCAPでは予後がまったく異なるため、治療方針を大きく変えるべきであると考える」と述べた。 本ガイドラインでは、重症度の評価をもとに治療場所を決定するが、CAPで用いられるA-DROPスコアによる評価がCOVID-19肺炎においても有用であった。ただし、COVID-19(デルタ株以前)ではA-DROPスコア1点(中等症、外来治療が可能)であっても、R(呼吸状態)の項目が1点の場合は疾患進行のリスクが高いという研究結果4,5)を紹介し、注意を促した。 前版で細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別に用いられていた鑑別表は、細菌性肺炎とマイコプラズマ肺炎の鑑別表(本ガイドラインp.32表4)に改められた。実際に、この鑑別表を非定型肺炎であるCOVID-19肺炎に当てはめると診断の感度は不十分であり、マイコプラズマ肺炎と細菌性肺炎の鑑別に用いるのが適切と考えられた。また、今回のガイドラインではレジオネラ診断予測スコアが掲載された(本ガイドラインp.33表5)。この診断スコアを用いた場合、COVID-19はいずれの株でもレジオネラ肺炎との鑑別が可能であった。 最後に、宮下氏はオミクロン株の流行後にCOVID-19肺炎において誤嚥性肺炎が増加し、誤嚥性肺炎を発症した患者の退院後の顕著な身体機能低下が認められていることに触れ、「早期診断・早期治療が重要であり、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンに加えて新型コロナワクチンによる予防も重要であると考えている」とまとめた。

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ホモ接合体家族性高コレステロール血症治療薬、エヴキーザ発売/ウルトラジェニクス

 Ultragenyx Japan(ウルトラジェニクスジャパン)は2024年4月17日付のプレスリリースで、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)に対する治療薬「エヴキーザ点滴静注液345mg(一般名:エビナクマブ[遺伝子組換え]、以下エヴキーザ)」の販売を同日より開始したことを発表した。 HoFHは、きわめてまれな遺伝性疾患であり、重度の高コレステロール血症(血清総コレステロール値450mg/dL超)により、早発性の心血管系疾患や未治療の患者における若年死亡を引き起こすことがある。わが国では、HoFHは指定難病の1つとされ、2022年度の特定医療費(指定難病)受給者証保持者数は全国で398例と報告されている1)。 HoFHに対しては食事療法、LDLアフェレーシスや脂質低下薬による治療が行われるが、現在の治療法では効果が不十分な場合も多く、新たな治療選択肢が求められていた。 このたび、新たなHoFH治療薬として登場したエヴキーザは、脂質代謝において重要な役割を果たすタンパク質であるアンジオポエチン様タンパク質3(ANGPTL3)※に結合し、その機能を阻害する初めての遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体である。本剤はLDL受容体の有無と関係なくLDL-C値を低下させる。 本剤の発売について、大阪医科薬科大学 循環器センター特務教授の斯波 真理子氏は、「この難治性疾患を持つ私の患者で他の患者や家族の声を代弁する立場の方は、“HoFH患者の中には、日々の治療の負担に苦しみ、また治療の効果が十分に現れていない方も少なくない。より良い治療に向けて選択肢が増えることは、患者にとって大きな希望になる”と期待を寄せている」と述べた。※ANGPTL3は肝臓で合成される血中タンパク質で、リポタンパクリパーゼ(LPL)および血管内皮リパーゼ(EL)を阻害することにより脂質代謝の調節に重要な役割を果たす。

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短時間睡眠は糖尿病ハイリスク

 睡眠時間が6時間未満の人は、たとえ健康的な食習慣であったとしても、2型糖尿病の発症リスクが高いことを示すデータが報告された。ウプサラ大学(スウェーデン)のChristian Benedict氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に3月5日掲載された。論文の上席著者である同氏は、「われわれの研究は、睡眠不足による2型糖尿病発症リスクの増大を健康的な食習慣によって抑制可能かという視点で行った、初めての研究だ」としている。 この研究には、英国の一般住民対象の大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータが用いられた。24万7,867人(平均年齢55.9±8.1歳、女性52.3%、BMI26.6±3.7、HbA1c5.4±2.5%)の睡眠時間および食習慣と2型糖尿病発症リスクとの関連を検討した。睡眠時間については7~8時間の群(全体の75.5%)、6時間の群(19.8%)、5時間の群(3.9%)、3~4時間の群(0.8%)という4群に分類。食習慣については、赤肉、加工肉、果物、野菜、魚の摂取量に基づき、0点(最も非健康的)から5点(最も健康的)の範囲にスコア化した。 中央値12.5年(四分位範囲11.8~13.2)の追跡期間中に、3.2%が2型糖尿病と診断されていた。2型糖尿病発症リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、人種/民族、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、血圧、教育歴、社会経済的状況など)を調整後、睡眠時間が7~8時間の群に比べて、5時間〔ハザード比(HR)1.16(95%信頼区間1.05~1.28)〕や3~4時間〔HR1.41(同1.19~1.68)〕の群では2型糖尿病発症リスクが有意に高いことが確認された(6時間の群は非有意)。また、食事スコアが高い群は2型糖尿病発症リスクが低かった〔0点と比較し4点はHR0.82、5点はHR0.75(1~3点は非有意)〕。 次に、食習慣の影響を検討するために、食事スコアが0~3点の群(54.0%)と4~5点の群(46.0%)に二分した上で解析。すると、食事スコアの高低にかかわらず、短時間睡眠の人は2型糖尿病発症リスクが有意に高いことが明らかになった。具体的には、睡眠時間が5時間の場合、食事スコアが低く非健康的な食習慣の群ではHR1.16(1.02~1.31)、スコアが高く健康的な食習慣の群ではHR1.17(1.00~1.37)であり、睡眠時間が3~4時間の場合は同順にHR1.39(1.11~1.73)、HR1.46(1.10~1.93)だった。 この結果についてBenedict氏は、「本研究は因果関係を証明可能なデザインで行われておらず、睡眠時間が少ないことが糖尿病発症リスクを高めると断定することはできない。睡眠時間が短い人が糖尿病のことを心配してパニックになる必要はない」と述べている。同氏によると、最適な睡眠時間は人によって大きく異なり、かつ2型糖尿病発症リスクは遺伝的な背景の影響が少なくないとのことだ。その上で、「われわれの研究結果は、睡眠が健康に対して重要な役割を果たしている事実を、改めて示したものと理解すべきだ」と付け加えている。

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認知症患者と介護者にとって重要なのは社会的なつながり

 認知症患者とその介護者が健康を保つためには活発な社会生活が必要であるが、認知症患者もその介護者も、患者の認知症が進行するにつれて社会的なつながりが失われていくことが、新たな研究で明らかにされた。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部のAshwin Kotwal氏らによるこの研究の詳細は、「The Gerontologist」4月号に掲載された。 Kotwal氏は、「社会的なアンメットニーズは生活の質(QOL)に悪影響を及ぼし、うつ病や心血管疾患などの健康問題を引き起こし、医療費の増加や早期死亡につながる可能性がある」と述べる。そして、「先行研究では、社会的孤立度が高い高齢者は、介護施設に入所するオッズが2倍以上になることが示されている」と説明している。 この研究では、認知症患者26人、現介護者33人、および介護相手を亡くした元介護者15人に対する半構造化面接のデータの二次解析が行われた。認知症患者の平均年齢は80歳(範囲67〜94歳)、介護者の平均年齢は67歳(範囲40〜87歳)だった。 データの解析により、三つの主要なテーマが特定された。一つ目は、認知症患者もその介護者も、患者の病気が進行して全体的なウェルビーイングと支持的な資源(何らかの目標や活動を支援するための資源や手段)の活用能力に影響が及ぶにつれ、社会的なつながりを失っていくことである。例えば、患者の記憶力が衰え会話が困難になるにつれ、患者の家族や友人は、患者の存在に不快感や戸惑いを感じることが増え、その結果、社会的なつながりは弱体化していった。また、患者の配偶者や成人の子どもなどの介護者は、患者に対する責任の増大に伴い孤立度を高めていた。二つ目は、認知症患者の認知機能と身体機能の悪化に伴い患者と介護者の関係性が崩壊し、それが介護者に孤独感と喪失感をもたらしていること。三つ目は、介護者が患者と共有できる社会的な活動を積極的に行ったり、介護者の負担に対処するプログラムに参加するなどの適応戦略を活用していることである。 研究グループは、「これらの結果から示唆されるのは、患者と介護者の双方に孤独と孤立についてのスクリーニングを定期的に行い、医師が、患者と介護者が社会的なつながりを維持する方法を見つけられるようにするべきだということだ」と述べている。 論文の上席著者である、UCSFグローバル・ブレイン・ヘルス・イニシアチブのKrista Harrison氏は、「患者とその介護者がそれぞれ別個に参加する支援グループは、ストレスを減らして楽しめる社交の場となり、また、助言を得る場となる可能性がある」と話す。 またHarrison氏は、「臨床医は、認知症患者とその介護者のために作られた地域合唱団のような選択肢について話し合うべきだ」と主張し、「先行研究では、認知症が進行しても有意義な活動を楽しむことができることが示されている。例えば、教会での礼拝への参加を、自宅でのZoom(ズーム)を通じた小規模な集まりへの参加に変更するような、簡単な適応方法が考えられる可能性がある」と話している。 なお、本研究結果は、UCSFの研究者らが実施した、片方の配偶者が認知症である夫婦を対象にした最近の研究結果と一致するという。その研究では、認知症のパートナーと親密な関係性を築いていた人は、配偶者の認知症発症により、発症前より孤独感が高まったが、結婚生活がうまくいっていない人では、うつ病や孤独感を抱えている人の割合は全体的に高かったものの、配偶者の認知症の発症はそれに影響を与えていないことが示されていた。 Kotwal氏は、「良い夫婦関係やパートナーシップを築き、それを維持するために力を注いでいる人は、パートナーの一方が認知症になったときに失うものが大きい。これに対し、夫婦の質が低い人は、孤独やうつ病から守ってくれる結婚生活からの感情的な支えをすでに失っているのだ」と話している。

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米国のインターンの半数以上がセクハラを経験

 #MeToo運動は、医療従事者のセクシュアルハラスメント(以下、セクハラ)の抑制にはほとんど役立っていないようだ。研修医最初の1年に当たるインターン期間中に半数以上がセクハラを受けていたとする研究結果が、米ミシガン大学神経科学研究所のElena Frank氏らにより、「JAMA Health Forum」に3月22日報告された。女性では4人に3人近く、男性では3人に1人以上のインターンがセクハラを受けたことが明らかになったという。研究グループが「JAMA Network Open」2023年12月26日に発表した研究でも、医学校や病院は、あらゆる形態のセクハラに関してより広範な教育を行い、対処する必要があることが示されていた。 Frank氏らは今回の研究で、Intern Health Studyに2017年、2018年、2022年に調査へ参加登録したインターンの調査データの分析を行った。調査参加者は、1項目の自記式質問票と、19項目の質問で3種類のセクハラ(ジェンダーハラスメント、望まない性的な注目、性的強要)について評価する短縮版Sexual Experiences Questionnaire(SEQ-S)で構成された調査に、インターンシップの最終月(2017・2018・2023年6月)に回答していた。セクハラに対する認識は、SEQ-Sでセクハラを受けたと判定された参加者の割合と、自記式質問票で「セクハラを受けた」と回答した参加者の割合を比較して評価した。 4,178人〔女性2,159人(51.7%)、年齢中央値27(四分位範囲26〜28)歳〕が調査を完了した。調査参加者の重み付けを行って解析した結果、2017年から2023年の間にセクハラの発生率は62.8%から54.6%へと低下していることが明らかになった。性別ごとに見ると、女性インターンは2017年、2018年、2023年のいずれの年でも70%以上がセクハラを経験していた(同順で、76.6%、76.8%、72.0%)。セクハラを経験した男性インターンは、2017年と2018年では半数以上であったが(50.8%と53.4%)、2023年には36.4%に低下していた。また、3種類のセクハラのうち、ジェンダーハラスメントは2017年の61.0%から2023年には51.7%に低下していたが、性的強要は女性(2.3%→5.5%)と非外科系分野のインターン(1.6%→4.0%)で増加していた。セクハラを認識していたインターンの割合は、2017年の8.6%から2023年には18.4%に増加し、この変化は男性(2.8%→6.9%)より女性(13.1%→23.9%)、非外科系インターン(9.2%→16.3%)よりも外科系インターン(6.6%→26.7%)で顕著だった。 Frank氏は、「近年、セクハラの発生率は全体的に減少しており、正しい方向へ是正されていることがうかがわれるものの、インターンの間でのセクハラ発生率は、いまだに驚くほど高い」と述べている。 Frank氏らが2023年に発表した研究では、28カ所の施設でインターンシップ中の2,027人〔男性963人(47.5%)、年齢中央値27(四分位範囲26〜28)歳〕に対する調査データが分析された。その結果、セクハラの発生率は病院によって差があり、インターンがハラスメントを受ける可能性が他の病院より20%高い病院もあることが示されていた。 研究グループは、「特に外科研修プログラムは、セクハラに対処する必要がある」と結論付けている。またFrank氏は、「管理者、教授陣、研修生が、セクハラは研修経験の一部として予期されるものでも許容されるものでもないと真に理解するまでは、医師にとって公平で安全な学習環境が実現されることはない」と述べている。

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食事からのメラトニン摂取、肝がんのリスク低下と関連

 食事からのメラトニン摂取と肝がん罹患との関連を評価する研究が、3万人以上の日本人を対象に行われた。その結果、メラトニンの摂取量が多いほど肝がんのリスクが低下することが明らかとなった。岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野の和田恵子氏らによる研究結果であり、「Cancer Science」に2月14日掲載された。 メラトニンは、概日リズムを調整し、睡眠を促す内因性ホルモンである。主に脳の松果体で生成されるが、体内組織に広く分布し、抗酸化、抗炎症、免疫調節などにも関与している。メラトニンは肝臓でも合成・代謝され、細胞保護や発がん予防などの作用があることも示されている。 一方、メラトニンは体外からも摂取される。医療上の用途は主に睡眠の調節に限られるが、肝がんなどの他疾患への臨床応用も期待されている。また、食品中にも含まれることが知られており、含有量が比較的多い食品として、野菜、植物の種子、卵が挙げられる。医薬品やサプリメントと比べると、食品中のメラトニン含有量はかなり少ないが、メラトニンが豊富な食品の摂取により血中メラトニン濃度が上昇することが報告されている。著者らは過去の研究で食事からのメラトニン摂取量が多いほど死亡リスクが低下することを示したが、メラトニン摂取量とがん罹患の関連についてはこれまでに研究されていない。 そこで著者らは、岐阜県高山市の住民対象コホート研究「高山スタディ」のデータを用いて、食事からのメラトニン摂取量と肝がん罹患との関連を検討した。研究対象は、1992年9月時点で35歳以上だった人のうち、がんの既往歴がある人を除いた3万824人(男性1万4,240人、女性1万6,584人)。食事に関する情報を食物摂取頻度調査票(FFQ)から入手し、食品中のメラトニン含有量の測定には液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法を用いた。 その結果、対象者のメラトニンの主な摂取源は、野菜(49%)、穀類(34%)、卵(5%)、コーヒー(4%)だった。エネルギー調整済みのメラトニン摂取量の三分位で3群に分けて比較したところ、メラトニン摂取量の多い群は、女性が多い、糖尿病の既往歴がある、睡眠時間が短い、喫煙歴がない、コーヒーを1日1杯以上飲むなどの傾向が見られた。メラトニン摂取量の少ない群はアルコール摂取量が多かった。 平均13.6年の追跡期間中、189人が肝がんを罹患し、その内訳はメラトニン摂取量の多い群が49人、中間の群が50人、少ない群が90人だった。COX比例ハザードモデルを用いて、患者背景の差(性別、年齢、BMI、教育年数、糖尿病歴、身体活動、喫煙状況、アルコール摂取量、総エネルギー摂取量、コーヒー摂取量、閉経の有無、睡眠時間)を調整して解析した結果、メラトニンの摂取量が少ない群と比べて、中間の群と多い群では、肝がんのリスクが有意に低下する傾向が認められた(ハザード比はそれぞれ0.64と0.65、傾向性P=0.023)。性別による交互作用は見られなかった(交互作用P=0.54)。一方、メラトニンの前駆体であるトリプトファンの摂取量は、肝がんのリスクとは関連していなかった。 以上の結果について著者らは、さらなる研究で確認される必要があるものの、結論として「食事からのメラトニンの摂取により、肝がんのリスクが低下する可能性が示唆された」と述べている。

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第109回薬剤師試験は合格率68%、ついに募集を停止する大学も…【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第130回

第109回薬剤師国家試験が実施され、2024年3月19日に合格発表が行われました。厚生労働省は19日、第109回薬剤師国家試験について、合格率は68.43%(前年度比0.57ポイント減)だったと発表した。合格者数は9296人と前年から306人減った。受験者数も1万3585人と330人減っている。新卒に限った合格率は84.36%、合格者数は7100人。新卒と既卒を合わせた合格率の最下位は千葉科学大学の30.95%、次いで下から青森大学33.33%、姫路獨協大学36.03%、奥羽大学38.28%、第一薬科大学38.68%の順だった。(2024年3月21日付 RISFAX)今春、新たに薬剤師になった方は9,296人とのことです。合格された方、おめでとうございます! 4月になり、すでに新しい環境で活躍されていることでしょう。第109回の受験者数や合格率は、ほぼ横ばいという感じです。合格率は68.43%で、4年連続で70%を下回っており、薬剤師国家試験の合格率は60%台、というイメージが定着してきたような気がします。新卒は84.36%、既卒は42.42%という内訳で、既卒の厳しさというのも例年どおりのようです。一方、こんなニュースも飛びこんできました。姫路獨協大学が2025年度から薬学部の入学者募集を停止すると発表した。在籍する全ての学生の卒業を見届けた後、廃部となる見通しという。全国の薬学部で募集停止は初めてとなり、新モデル・コア・カリキュラムがスタートしたばかりの6年制薬学部・薬科大学に衝撃が走った。(2024年4月5日付 薬事日報)冒頭の記事にもあるように、姫路獨協大学の合格率は36.03%でワースト3位でした。同学部は定員100人に対して入学者が20人程度にとどまるなど、厳しい状況が続いていたようです。教育水準や生徒のレベル、国家試験合格率の低さ、生徒の少なさなど、卵が先かニワトリが先かという感じで要因は1つではないと思いますが、国家試験合格率の低い大学はこれからも厳しい状況が続くと考えられます。20年ほど前に薬学部の新設ラッシュがありました。薬学部を目指す人たちが入学できる枠が広がったという意味ではよかったと思います。しかしながら、それに加え薬学部が6年制になり、国家試験の合格率も厳しくなりました。私立の薬学部では、学費もばかになりません。6年という時間とその学費を費やしたのですから、やはり薬剤師の国家資格を得たいと思う人は多いでしょう。国家試験の合格率というのは、ある種のバロメーターになるだろうと想像します。1つの大学の薬学部の廃止のニュースですが、何かの始まりのような、そんな気がしてなりません。

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かゆい乳児湿疹が治まらない…、まず行うべきことは?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第20回

かゆい乳児湿疹が治まらない…、まず行うべきことは?講師国立成育医療研究センター アレルギーセンター 総合アレルギー科 診療部長 福家 辰樹 氏【今回の症例】生後5ヵ月の男児。生後2ヵ月ごろから顔面に発赤と皮疹が目立ち、抱っこすると顔を擦りつける様子があった。近医で乳児湿疹と言われ、ステロイド外用薬(IV群)を処方されたが、良くなったり悪くなったりを繰り返している。次第に体幹や四肢関節部にもかゆみを伴う皮疹が出現し、一部はじくじくするため、当科を受診した。

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英語で「ワクチン接種はしていますか」は?【1分★医療英語】第127回

第127回 英語で「ワクチン接種はしていますか」は?《例文》医師Are you vaccinated? It looks like your new office requires it for all employees.(ワクチン接種はしていますか? あなたの新しい職場ではすべての従業員に対して求められているようですが)患者Yes, I have completed the vaccination series. I'll bring my vaccination card tomorrow.(はい、すべてのワクチン接種を[追加接種を含め]済ませてあります。明日、接種証明書を持ってきます)《解説》今回は“Are you vaccinated?”という表現の解説です。ここ数年間はコロナワクチンの登場によって「ワクチン」という言葉を聞かない日はなかったくらいでした。“vaccinate”は動詞で「ワクチンを(医療者が)打つ」という意味になります。そして、“Be vaccinated?”と受動態を使うことによって、「あなたはワクチン接種をしていますか?」という意味になります。意味は「ワクチンを打ちましたか?」ですが、あまり過去形は使われず、“Are you vaccinated?”という現在形の受け身の文で表現することが一般的です。医療現場でもこの表現はとてもよく使われています。会話例・例文に出てきた、“fully vaccinated”は「(推奨される)ワクチンをすべて接種している」という意味になり、“completed the vaccination series”は「数回接種が必要なワクチンをすべて完了している」という意味になります。“vaccination card”は「接種証明書」です。ぜひこれらも併せて覚えておきましょう。講師紹介

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第211回 承認薬一つひとつの検討を含む個別化がん治療の試験成績が有望

血液や腫瘍から集めたがん細胞で多ければ125の承認薬一つひとつを新たな手法で検討し、ゲノム解析結果も加味して患者ごとに割り出した薬の組み合わせによる個別化がん治療が、米国のフロリダ国際大学(FIU)の研究者らによる試験で有望な成績を収めています1)。個別化治療で最も多く使われている手段は患者のがんのDNA解析です。昔ながらの方法で数千もの遺伝子を解析するには何週間もかかります。辛抱強く待ってその結果をようやく手にしたところで、治療手段が結局わからず仕舞いということもありえます。ゲノム解析結果のみをよりどころとして治療方針が決まったところでそれが有益であることは少ないようで、最近の報告によると成人患者のわずか10例に1例ほどに限られるようです2)。小児患者でのその割合はもっと低いでしょう。FIUのDiana Azzam氏らのチームが手掛ける個別化治療でもゲノム解析が実施されます。しかしそれだけではなく、患者の血液や腫瘍検体から集めた生きたがん細胞を使って承認薬の効果のほどを検討する薬剤感受性検査(drug sensitivity testing:DST)も含みます。Azzam氏らによる試験には再発/治療抵抗性の難儀な固形がんや血液がんの小児患者25例が組み入れられ、それらのうち21例がDSTでの薬のふるい分けを受け、20例はゲノム解析も行いました。DSTの結果判明までの日数の中央値は血液がんで9日、固形がんで10日でした。ゲノム解析の結果判明までの中央値は約27日です。最終的に6例がDSTとゲノム解析の両方に基づく治療を受け、それら6例中5例は奏効し、無増悪生存期間(PFS)は前治療を1.3倍上回りました。また、DSTとゲノム解析に基づかない治療を受けた8例にも勝りました。それら8例で奏効したのはわずか1例のみでした。とくに有効だった「患者番号13」FIUのニュースでは同試験の被験者の1人であるLogan Jenner君の経過が紹介されています。試験でLogan君は患者番号13(EV013)という扱いでした。しかし、Azzam氏は後にEV013がLogan君であることを知ることになります。そのきっかけはAzzam氏が出席した会(Live Like Bella Pediatric Cancer Research Symposium)でのことです。同会にたまたま居合わせたLogan君の母親がAzzam氏に「息子がどうやら試験に参加していたと思う」と話しかけ、その後の短い会話でAzzam氏はEV013がLogan君であることを悟りました。どの試験もそうであるように、患者の個人情報は厳重に保護されており、Azzam氏にとってほかの被験者はおそらく今後も匿名のままです。その出来事があった後にLogan君はFIUのAzzam氏の研究室を訪問し、いまやAzzam氏の研究室にいつでも出入りできる身となっています。Logan君、すなわちEV013はDSTとゲノム解析に基づく治療がとりわけ奏効した例として論文中でも特記されています。Logan君は3歳のときに急性骨髄性白血病(AML)と診断され、化学療法と骨髄移植を受けて、ひとまずは150日間の寛解期間を過ごしました。しかし運命は残酷で、それから14ヵ月が過ぎた5歳のときに再発に見舞われます。Logan君の担当医のMaggie Fader氏はほかでもないAzzam氏とともに試験を率いた1人で、より最適な治療を求めてLogan君を試験に招きました。Logan君には手の打ちようがある(clinically actionable)FLT3-ITD変異がありました。そこでどのFLT3阻害薬を使うべきかがDSTで検討され、ソラフェニブやポナチニブに比べてmidostaurinがより効果的と判明しました。また、midostaurinと併用する化学療法はフルダラビンとシタラビンで事足り、心毒性が知られるイダルビシンは不要と示唆されました。さらに、ステロイドによる急な細胞増殖が認められたことからその使用が省かれました。DSTとゲノム解析なしでは成し得なかったそのような治療方針の甲斐あって、Logan君は2年を超えてがんなしの生活を過ごせています。ゲノム解析に加えてDSTも行ってそれぞれの患者ごとに治療をあつらえることの力の程をLogan君の経過は見せつけました1)。Azzam氏らによる個別化医療の取り組みは歩みを進めており、小児に加えて成人も参加しているより大規模な臨床試験が進行中です。Logan君が笑って遊んでいるのを見るにつけ、がん治療の革新に向けてわれわれは正しい道を進んでいることを知る、とAzzam氏は言っています3)。参考1)Acanda AM, et al. Nat Med. 2024;30:990-1000. 2)O'Dwyer PJ, et al. Nat Med. 2023;29:1349-1357.3)New approach helped Patient 13 reach remission - could it revolutionize how cancer is treated? / Florida International University

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肺炎診療ガイドライン改訂~市中肺炎の2024年版での改訂点は?/日本呼吸器学会

 2024年4月に『成人肺炎診療ガイドライン2024』1)が発刊された。2017年版からの約7年ぶりの成人肺炎診療ガイドライン改訂となる。第64回日本呼吸器学会学術講演会において、成人肺炎診療ガイドライン2024に関するセッションが開催され、岩永 直樹氏(長崎大学病院 呼吸器内科)が市中肺炎(CAP)に関する改訂のポイントを解説した。成人肺炎診療ガイドラインでは非定型肺炎の鑑別を大切にする方針 CAPへの初期の広域抗菌薬投与や抗MRSA薬のエンピリックな使用は予後を改善せず、むしろ有害であるという報告がある。そのため、エンピリックな耐性菌カバーは予後を改善しない可能性がある。そこで、今回の成人肺炎診療ガイドライン2024では、非定型肺炎の鑑別を大切にするという方針を前版から継承し、CAPのエンピリック治療薬の考え方を示している。そこでは、外来患者や一般病棟入院患者では抗緑膿菌薬や抗MRSA薬は使用せず、これらの薬剤は重症例や免疫不全例に検討することとしている(詳細は成人肺炎診療ガイドライン2024のp.34図4を参照されたい)。 近年、CAPではウイルスが検出されることが多いことも報告されている2)。そのような背景から、今後は同時多項目遺伝子検査の活用が重要となってくることが考えられる。そこで、今回の成人肺炎診療ガイドライン2024では、多項目遺伝子検査に関するクリニカルクエスチョン(CQ)が設定された。多項目遺伝子検査は従来法と比較して原因微生物の同定率が高く(67.5% vs.42.7%)、「行うことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」とされた(CQ19)。なお、多項目遺伝子検査の対象について、岩永氏は「主にCAPがターゲットとなると考えている。とくに免疫不全例では典型的な病像を呈さないことも多いため、これらの症例に有用性があるのではないか」と意見を述べた。成人肺炎診療ガイドライン2024でのCAPのCQとポイント 成人肺炎診療ガイドライン2024でのCAPに関するCQとポイントは以下のとおり。・CAPの重症度評価の方法(CQ1) A-DROPスコアはCURB-65スコアやPSIスコアと同等の予測能を示した。A-DROPスコアによる評価は本邦でよく用いられており、簡便であることから成人肺炎診療ガイドライン2024では「A-DROPスコアによる重症度評価を弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」となった。・注射用抗菌薬から経口抗菌薬への変更(スイッチ療法)(CQ2) CAPに対するスイッチ療法は注射用抗菌薬の継続と比較して、同等の肺炎治癒率を示し、副作用発現頻度は有意差がないが減少傾向で、入院期間を有意に短縮した。また、医療費についてはシステマティックレビュー(SR)を実施していないが、3件の無作為化比較試験(RCT)においていずれも低下させる傾向にあった。以上から成人肺炎診療ガイドライン2024では「スイッチ療法を行うことを強く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])」となった。・短期抗菌薬治療(CQ3) CAPのアジスロマイシンによる治療とアジスロマイシンを含まない治療のいずれにおいても、短期治療(1週間以内)は標準治療(1週間超)と比較して、死亡率と肺炎治癒率に差がなかった。また、肺炎再燃率や副作用発現率も同等であった。医療費についても、SRは実施していないが、3件のRCTではいずれも低下させる傾向にあった。以上から成人肺炎診療ガイドライン2024では「初期治療が有効な場合には短期治療を弱く推奨する(エビデンスの確実性:B[中程度])」となった。ただし多くのRCTが軽症〜中等症を対象としており、重症例、集中治療を要する症例、高齢者などは注意が必要である。・β-ラクタム系薬へのマクロライド系薬の併用(CQ4) 重症例では、β-ラクタム系薬にマクロライド系薬を併用することで死亡率と肺炎治癒率の改善が認められた。1件の観察研究でコストは増加する傾向にあったが、耐性菌発生率は変化しなかった。非重症例では、併用療法により死亡率や肺炎治癒率、入院期間、耐性菌発生率のいずれも変化しなかった。また、1件の観察研究でコストは増加する傾向にあった。以上から、成人肺炎診療ガイドライン2024では「重症例では併用することを弱く推奨する、非重症例では併用しないことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」となった。・抗菌薬へのステロイドの併用(CQ5) 全身性ステロイド薬投与は重症例では死亡率を低下させ、非重症例では死亡率を低下させなかった。CAP全体では、併用により肺炎治癒率は変化せず、入院期間が短縮した。以上から、成人肺炎診療ガイドライン2024では「重症例では併用することを弱く推奨する、非重症例では併用しないことを弱く推奨する(エビデンスの確実性:C[弱い])」となった。

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レビー小体型認知症、受診診療科により治療ニーズが異なる

 大阪大学の池田 学氏らは、レビー小体型認知症(DLB)患者とその介護者の治療ニーズおよびその治療ニーズに対する主治医の認識が、患者が受診している診療科により異なるかを調査した。Alzheimer's Research & Therapy誌2024年3月14日号の報告。 多施設共同横断的観察調査研究のサブ解析を実施した。患者が受診している診療科に応じて、精神科群、老年内科群、神経内科群に分類した。患者と介護者の治療ニーズを「最も苦痛を感じている症状」と定義し、それぞれの回答頻度をまとめた。 主な結果は以下のとおり。・サブ解析には、精神科群134例、老年内科群65例、神経内科群49例の患者および介護者のペアが含まれた。・3群間で統計学的に有意な差が認められた項目は、次のとおりであった。●年齢などの患者特性●初期症状ドメイン●コリンエステラーゼ阻害薬、レボドパ、抗精神病薬、抑肝散の使用●ミニメンタルステート検査(MMSE)、Neuropsychiatric Inventory-12(NPI-12)、MDS-UPDRS Part IIおよびIIIの合計スコア・3群間で患者の治療ニーズに違いは認められなかったが、残留分析において、神経内科群では、パーキンソニズムが他の症状よりも問題であることが示唆された(p=0.001)。・3群間で介護者の治療ニーズに有意な差が認められた(p<0.001)。・患者に最も苦痛を与えた症状について、患者と主治医の一致率は、精神科群で42.9%(κ=0.264)、老年内科群で33.3%(κ=0.135)、神経内科群で67.6%(κ=0.484)であった。・介護者に最も苦痛を与えた症状について、介護者と主治医の一致率は、精神科群で54.8%(κ=0.351)、老年内科群で50.0%(κ=0.244)、神経内科群で 47.4%(κ=0.170)であった。 著者らは「DLB患者とその介護者の治療ニーズは、受診している診療科により異なることが示唆された。主治医は、専門分野に関係なく、このようなニーズに対する治療の必要性を認識していない可能性がある」としている。

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ミドル~シニアの女性臨床医が直面するジェンダーの障壁とは?

 米国のミドルからシニアクラスの女性臨床研究医を対象とした定性的インタビュー調査によると、アカデミックな医学界は男性中心的な制度であり、構造的不公平が女性のキャリア全体にわたって持続し、キャリアアップにおけるジェンダー格差のパターンに陥っていることが示唆された。本研究は、米国・ミシガン大学のLauren A. Szczygiel氏らによって実施された。JAMA Network Open誌2024年4月11日号に掲載。 本研究は、ミドルからシニアのキャリアを有する女性臨床研究医の日常的な職業経験において、キャリアを通じて経験したジェンダーに関連する障壁についての認識を調査することを目的とした。2006~09年に米国国立衛生研究所の若手臨床研究医のキャリア支援のグラントであるK08またはK23を受賞した女性臨床研究医で、調査に同意した60人のうち、無作為選択的サンプリングで31人が選ばれた。2022年1~5月に半構造化面接を実施し、テーマ分析のフレームワークアプローチを用いて2023年8~10月に解析した。 主な結果は以下のとおり。・女性臨床研究医31人の人種は、白人14人(45.2%)、アジア系8人(25.8%)、自身を医学界でマイノリティと認識している者9人(29.0%)。・年齢は、40代14人(45.2%)、50代14人(45.2%)、60代3人(9.7%)。・17人(54.8%)はケアが必要な子供がおり、7人(22.6%)はケアが不要な子供がおり、6人(19.4%)は子供がいなかった。・参加者は、助教授1人(3.2%)、准教授11人(35.5%)、教授14人(45.2%)、名誉教授1人(3.2%)、医学研究を辞めた者4人(12.9%)であった。・調査で得られた回答には、以下の4つの主なテーマが確認された。(1)職場と家庭におけるジェンダー化された期待による精神的負担 時間の不足と精神的負荷による、キャリアと家庭生活のトレードオフという考えが最も言及された。子育てが生産性への大きな打撃を伴い、キャリアに長期的な影響を与えると認識していた。(2)官僚的プロセスにおける女性の不公平な扱い 資源配分、補助金の申請と授与方針、昇進と在職期間のプロセスにおける不平等が原因で、キャリアの復帰や維持が困難であることが挙げられた。厳格な資金調達や昇進のスケジュールと、出産や子育ての責任との間に矛盾が生じていることが指摘された。(3)些細または些細でない女性に対する職業上の排除 組織内の専門家や社会的サークルから排除され、権力、指導、専門的昇進へのアクセスに影響を与えた例として、男性と女性が同じ指導者と交わす会話の種類に違いがあり、男性は科学的なトレーニングに基づいた指導を受けていたのに対し、女性は仕事と生活のバランスに重点が置かれていたことなどが挙げられた。また、女性には、組織内で報酬や権限と結びつかない奉仕指向の役割を果たすことへの高い期待を持たれたことが挙げられた。(4)共有されたアイデンティティ、経験、連帯感に基づいて構築されたコミュニティの価値 試験参加者が女性へのバイアスに直面した際、他の女性と経験を共有することが、ジェンダーバイアスに対処する重要な方法であり、他の女性から同様の経験を聞くことで「孤立感」が軽減され、女性たちが直面する課題は、女性自身の欠陥ではなくシステムレベルの不平等を表していることを理解するのに重要だったことが述べられた。同性のコミュニティにより解決への戦略的アドバイスがもたらされた。一方で、このようなネットワークを見つけ、維持することの難しさも指摘された。 本研究の結果、女性は医学界が女性のニーズに合わない男性中心のシステムであると認識し、それに伴う排除感、幻滅感、組織に対する信頼の喪失を感じていることが判明した。この調査結果は、家庭内での義務と、不寛容な組織環境とが重なり合うことで、女性臨床研究医がキャリアアップを達成することが困難になっている可能性を示唆している。著者は本結果について、医学界における女性の幸福やキャリアの維持に長期的な影響を及ぼしうるという見解を示し、教育機関などが現在の構造に対する取り組みを検討しなければならないと述べている。

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迅速承認の抗がん剤の臨床的有用性/JAMA

 米国では、食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の多くは、承認から5年以内に全生存期間(OS)または生活の質(QOL)に関して有益性を示せず、確認試験で臨床的有用性を示したのは半数に満たないことが、米国・ハーバード大学医学大学院のIan T. T. Liu氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月7日号で報告された。米国FDAが2013~23年に迅速承認したがん治療薬を調査 研究グループは、FDAによる迅速承認を受けたがん治療薬が最終的に臨床的有用性を示すかを確認し、通常承認への転換の根拠を評価する目的でコホート研究を行った(Arnold Ventures and the Commonwealth Fundの助成を受けた)。 迅速承認は、満たされない医療ニーズのある重篤な疾患の特定の治療薬について、代替評価項目の改善に基づいて承認を許可する優先審査制度。迅速承認を受けた医薬品の製造企業は、有効性を確認するために臨床評価項目の評価を行う承認後臨床試験の実施を求められる。 本研究では、公開されているFDAのデータを用いて、2013~23年に迅速承認されたがん治療薬を特定し検証した。確認試験で臨床的有用性を示したのは43% 2013~23年に129件のがん治療薬とその適応症の組み合わせが迅速承認を受けた。このうちQOLとOSの解析を行い、追跡期間が5年以上(2013~17年に承認)の適応症は46件(1次解析)で、そのうち通常承認へ変更された適応症は約3分の2(29件[63%])であり、10件(22%)は取り下げとなり、7件(15%)は6.3年(中央値)の時点で追跡を継続中であった。 確認試験で臨床的有用性を示したのは46件中20件(43%)であり、半数に満たなかった。取り下げまでの期間は9.9年から3.6年に短縮し、通常承認までの期間は1.6年から3.6年に延長した。患者に明確な情報提供を 通常承認への変更の決定を支持するエビデンスに焦点を当てた2次解析では、2013~23年に迅速承認を受けたがん治療薬と適応症の組み合わせは66件で、このうち48件(73%)が通常承認へ変更され、18件(27%)は取り上げられた。 通常承認へ変更された48件のうち、19件(40%)はOSを根拠とし、21件(44%)は無増悪生存期間、5件(10%)は奏効率(ORR)+奏効期間、2件(4%)はORRに基づくものであり、残りの1件(2%)は確認試験で有効性が示されなかったにもかかわらず通常承認を受けていた。 また、迅速承認と通常承認の適応症を比較すると、48件中18件(38%)は変更がなかったが、30件(63%)は適応症が異なっていた(たとえば、より早期の治療ラインへの変更など)。 著者は、「迅速承認は有用と考えられるが、がん治療薬の中には患者の延命やQOLの改善という有益性を示すことができないものもある。患者には、迅速承認制度の利用や患者中心の臨床アウトカムにおいて、有益性を示さないがん治療薬について明確に情報提供を行うべきである」としている。

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インスリン以外の血糖降下薬も先天奇形のリスクでない

 インスリン以外の血糖降下薬を妊娠中に使用しても、先天奇形リスクの有意な上昇は生じない可能性を示唆するデータが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のCarolyn E. Cesta氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Internal Medicine」に12月11日掲載された。 世界的に晩婚化が進み、妊娠時に2型糖尿病を発症している女性が増加している。2型糖尿病の血糖管理には一般的にまず非インスリン製剤が選択されるが、妊娠中は胎児の奇形リスクの懸念などのため、通常、催奇形性のないインスリン製剤が用いられる。しかし、計画妊娠によらずに妊娠が成立した場合には、妊娠に気付くまでの妊娠初期に、非インスリン製剤に曝露されることになる。このような場合に胎児の先天奇形リスクがどのように変化するのかは、これまで明らかにされていない。以上を背景としてCesta氏らは、妊娠成立時から妊娠初期の非インスリン製剤の使用が、先天性の大奇形(major congenital malformations;MCM)のリスク上昇と関連しているかどうかを検討した。 研究には、2009~2020年の北欧4カ国の医療データ、2012~2021年の米国の医療データ、2009~2020年のイスラエルの医療データが用いられた。それらのデータベースから2型糖尿病妊婦を抽出し、児の生後1年までの医療記録を追跡調査した。リスクを評価した薬剤は、スルホニル尿素(SU)薬、DPP-4阻害薬(DPP-4i)、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)、SGLT2阻害薬(SGLT2i)の4種。それらの薬剤が、妊娠の90日前から妊娠第1三半期に1回以上処方されていたケースを、曝露された症例とした。比較対照はインスリンのみによって治療されていたケースとした(アクティブコンパレータ)。主要評価項目は、MCMの相対リスクであり、年齢、併存疾患(肥満、高血圧、心血管疾患、糖尿病合併症、多嚢胞性卵巣症候群)、他の処方薬(降圧薬、脂質低下薬)などの交絡因子の影響は調整した。 MCMの標準化有病率は全体で3.7%であった。それに対して2型糖尿病妊婦の児では5.3%であり、SU薬に曝露された児では9.7%、DPP-4i曝露では6.1%、GLP-1RA曝露で8.3%、SGLT2i曝露で7.0%であって、インスリンのみで治療されていた群は7.8%だった。インスリンのみで治療されていた群を基準とした交絡因子調整後のMCM相対リスクは、SU薬曝露で1.18(95%信頼区間0.94~1.48)、DPP-4i曝露0.83(同0.64~1.06)、GLP-1RA曝露0.95(0.72~1.26)、SGLT2i曝露0.98(0.65~1.46)であり、いずれも非有意だった。 著者らは、「インスリン製剤によらない糖尿病治療の普及とともに、妊娠初期の非インスリン製剤への曝露が急速に増加している。われわれの研究結果は、そのような非インスリン製剤への曝露によるMCMリスクの有意な上昇を示しておらず、安心につながるデータが得られた。ただし、より正確なデータが必要であり、他の研究での検証が求められる」と述べている。 なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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心筋細胞障害により心筋梗塞を4つの病期に分類

 心筋梗塞(MI)は心筋細胞障害に基づいて4つの病期に分類され、最終的には心筋細胞死と微小血管死に至るとした専門家の共同声明が、「Canadian Journal of Cardiology(CJC)」に10月28日掲載された。 Northern Ontario School of Medicine University(カナダ)のAndreas Kumar氏らは、再灌流療法を伴うアテローム性MIに関する数十年にわたるデータに基づいた、カナダ心臓血管協会の急性MI分類について概説した。 同分類において、段階的に悪化する心筋細胞障害の4つの病期が特定された。すなわち、(1)心筋細胞壊死がないまたは最小限である防がれた心筋梗塞(aborted MI)、(2)明らかな心筋細胞壊死があるが微小血管障害はないMI、(3)心筋細胞壊死と微小血管機能障害に起因する微小血管閉塞(no-reflow)、(4)心筋細胞と微小血管の壊死による再灌流出血である。障害が進行すると、リモデリングが悪化し、臨床上の有害転帰が増加することが、臨床研究で認められている。微小血管障害は特に重要であり、出血性MIは梗塞の拡大と機械的合併症のリスクにつながる。 Kumar氏は、「新しい分類は、組織損傷の段階によって心筋梗塞を区別するのに役立ち、医療提供者は不整脈、心不全、死亡に対する患者のリスクをより正確に推定できるようになる。カナダ心臓血管協会の急性心筋梗塞分類は、最終的に心筋梗塞患者のより良い治療、より良い回復、より良い生存率につながると期待されている」と述べている。 なお複数人の著者が、産業界との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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健康的な食事による生物学的な老化の遅れが認知症予防に

 科学者たちはこれまで、健康的な食生活を送っている人には年を取っても脳の健康を維持している人が多いことは知っていたが、その理由は不明だった。このほど、その答えとなり得る研究結果が発表された。この研究によると、健康的な食事は生物学的な老化を遅らせ、それが脳機能の保護に役立っている可能性があるという。論文の筆頭著者である、米コロンビア大学アルツハイマー病・加齢脳タウブ研究所のAline Thomas氏は、「われわれの研究では、より緩徐な老化速度が、健康的な食事と認知症リスク低下との関係の一部を媒介していることが示唆された」と述べている。この研究の詳細は、「Annals of Neurology」に2月26日掲載された。 Thomas氏らは今回、健康的な食事は生物学的な老化を遅らせ、それにより認知症の発症リスクが低下するという仮説を立て、フラミンガム心臓研究のデータを用いてこの仮説を検討した。フラミンガム心臓研究は、3世代のコホートを対象に1948年に開始された継続中の研究である。今回の研究では、1971年に開始された第二世代コホートから、60歳以上で認知症がなく、食事、エピジェネティクス、および追跡データのそろう1,644人(平均年齢69.6歳、女性54%)が対象とされた。これらの対象者は、4〜7年おきに9回の追跡調査を受けており、調査ごとに身体診察を受け、ライフスタイルに関連した質問票へ回答するとともに、血液採取と、1991年以降は神経認知テストも受けていた。5回目(1991〜1995年)から8回目(2005〜2008年)の調査時の食事内容から、MIND(マインド)食の遵守状況の指標となるMIND食スコアが算出された。 MIND食は、生活習慣病の予防に良いとされる地中海食と高血圧予防を目的にしたDASH(ダッシュ)食を組み合わせた食事法で、アルツハイマー病の予防に効果があるとされている。MIND食では、全粒穀物、野菜、ナッツ類、豆類、葉物野菜、魚、家禽肉などの脂身の少ない肉を多く摂取する一方で、赤肉、砂糖の多い食品、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の多い食品は避ける。 8回目の追跡調査から2018年までの記録を用いて認知症の発症と死亡について調査したところ、140人(8.5%)が認知症を発症し、471人(28.6%)が死亡していた。解析の結果、MIND食スコアが高いほど生物学的な老化速度が遅くなり、認知症の発症リスクが低下することが明らかになった。具体的には、MIND食スコアが1SD増加するごとにダニーデンPACEで評価した老化速度(エピジェネティッククロック)が0.20SD遅くなり、10,000人当たりの認知症発症例が33.6例減少するという結果だった。媒介分析からは、健康的な食事と認知症発症リスクの低下との関連性のうちの27%は老化の遅れに起因すると推定された。 論文の共著者である、コロンビア大学公衆衛生大学院のDaniel Belsky氏は、「認知症と栄養素の関連についての研究の多くでは、特定の栄養素が脳に与える影響に焦点が当てられてきた。これに対してわれわれは、健康的な食生活を送ることで体全体の生物学的老化速度が遅くなり、それが認知症の発症に保護的な効果をもたらすという仮説を検証した」と話す。 上記のような結果が得られたものの、Thomas氏は、「食事と認知症の関連については、まだ解明されていない部分があるため、十分に計画された媒介研究で、脳特異的なメカニズムについて引き続き検討する必要がある」と述べている。

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あなたの睡眠のタイプは?四つの睡眠パターンを特定

 平日は睡眠不足で週末に寝だめしたり、あるいは一晩中寝返りを打って過ごし、朝は頭がはっきりしないといったことがないだろうか。それとも、睡眠時間は十分に確保できているだろうか。米ペンシルベニア州立大学、睡眠・ストレス・健康(STEALTH)研究室のSoomi Lee氏らが、米国の全国調査参加者約3,700人を対象に、およそ10年の間隔を空けた二つの時点のデータを分析したところ、睡眠習慣は四つの異なるパターンに分類できることが明らかになった。この研究結果は、「Psychosomatic Medicine」に2月16日掲載された。 Lee氏は、「睡眠は、毎日繰り返し行う行動である。より良い睡眠習慣は、社会的な関係や仕事のパフォーマンスの向上から、長期的な健康行動や健康的な老化の促進まで、多くの重要な違いを生み出すことにつながる」と話す。 この研究では、Midlife in the United States研究のデータを用いて、研究参加者3,683人から、2004〜2006(T1)年と2013〜2017年(T2)の2回に分けて収集された睡眠習慣と慢性的な健康上の問題に関するデータの分析が行われた。データには、参加者の自己報告による睡眠の規則性や睡眠時間などの睡眠習慣、睡眠に対する満足度、覚醒度、慢性疾患の数や種類などに関する情報が含まれていた。 分析により、睡眠習慣によって対象者を以下の四つの異なるパターンに分類できることが明らかになった。・良い睡眠習慣保持者:二つの時点のいずれでも最適な睡眠習慣を維持している。・週末に睡眠を取り戻す人:睡眠が不規則で、平均睡眠時間は短いが週末や仕事のない日の睡眠時間は長い。・不眠症の人:睡眠時間が短く、日中はひどい疲労感に襲われ、入眠までに時間がかかるなどの不眠症の症状を抱えている。・昼寝の習慣がある人:夜間の睡眠は概ね良好であるが、昼寝をすることが多い。 対象者の半数以上は、不眠症であるか昼寝の習慣を持っていた。また、77%の参加者はT1とT2の間に同じ睡眠習慣を維持しており、特に不眠症か昼寝の習慣を持っている人は、時間の経過とともに睡眠習慣が変わる可能性が最も低かった。さらに、T1とT2の両時点で不眠症だった人では、両時点ともに良い睡眠習慣を維持していた人に比べて、心血管疾患、糖尿病、うつ病、フレイルのリスクが72〜188%高かった。この他、年齢は睡眠に関連しないようであった一方で、高齢者や定年退職者の中には昼寝の習慣を持っている人が多く、さらに、教育歴の低い人や失業者には不眠症の人が多いことも示された。 研究グループは、「この研究は、主に健康な成人を対象としているため、全人口を代表するサンプルではなかった可能性がある。それでも、ほとんどの対象者は最善の睡眠習慣を持っておらず、過半数が不眠症であるか日中に睡魔に襲われて昼寝をする人であった」と話す。 Lee氏は、「われわれが得た結果は、睡眠習慣を変えることは非常に難しいことを示唆している可能性がある。また、睡眠の重要性や睡眠の健康行動に関する理解が広まっていないことを表している可能性もある」と述べている。その上で同氏は、良質な睡眠の健康に関する教育の大切さを強調し、「寝る前にベッドの中で携帯電話を使わない、定期的に運動をする、午後遅くにカフェインを摂取しないなど、睡眠を改善するためにできる睡眠衛生行動がある」と説明している。 研究グループは、「良質な睡眠を促すための介入が大いに必要とされている。介入により睡眠の問題点を明らかにすることで、慢性疾患のリスクや経済的脆弱性などの要因に基づいて介入策のターゲットを絞ることができる可能性がある」と結論付けている。

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第191回 医師の地域偏在解消へ、財務省の提案に日医が反発/財政制度分科会

<先週の動き>1.医師の地域偏在解消へ、財務省の提案に日医が反発/財政制度分科会2.急増する医療機関の倒産・休廃業、背景に後継者問題/帝国データバンク3.退院前の指導不足で市民病院が逆転敗訴、約7,500万円の賠償命令/名古屋高裁4.患者受診せずがん告知が1年以上遅れ、大腸がんステージ進行/神戸市立医療センター5.医療機器メーカーとの癒着疑惑、整形外科医逮捕/東京労災病院6.元理事長への不正な麻薬処方、元副学長が医師法違反の疑い/日本大学1.医師の地域偏在解消へ、財務省の提案に日医が反発/財政制度分科会財務省は、4月16日に財政制度分科会を開き、この中で少子化対策のほか医師の偏在問題について議論を行った。2020年の医学部定員を前提とした厚生労働省の将来推計では、2029年ごろにマクロでは医師需給が均衡し、医師の供給過剰が見込まれ、今後は医学部の定員の適正化が必要と指摘された。現状のままでは大都市部において、医師や診療所数が過剰となり、地方はそれらが過小のまま続くとして、診療所の偏在是正のために都市部での新規開業を規制し、診療所が不足している地域での診療報酬の単価を引き上げることを提案した。これは地域や診療科ごとに医師の定員があるヨーロッパのシステムを参考にしている。武見 敬三厚労大臣は、今後の医師の偏在対策を「骨太の方針」に組み込み、具体的な方向性を年末までに示すと述べた。日本医師会は財務省提案に強く反対しており、医師の偏在は人口分布に起因する問題であり、診療報酬での調整は不適切であると主張している。さらに医師会は、地域枠など既存の対策を強化することが先決であるとしている。また、厚労省も地域医療の将来の姿や偏りの見直しを議論するために「新たな地域医療構想等に関する検討会」(座長:遠藤 久夫氏[学習院大学長])を立ち上げて議論を開始している。文部科学省も、医学部の特別枠を通じて医師を地方に派遣する新たなプログラムを提案し、これにより地域医療に貢献する医師の養成を目指している。これにより大学病院から地域への医師派遣を容易にし、地域医療の充実を図りたいとしている。これらの提案と議論は、わが国の医療システムの将来に重大な影響を与える可能性があり、医師の偏在解消を目指す一連の施策が、どのように進展するかが注目されている。参考1)こども・高齢化 財政制度分科会(財務省)2)第2回新たな地域医療構想等に関する検討会 資料(厚労省)3)医師の都市集中、解消探る 過剰地域の報酬下げ/開業規制 財制審提言(日経新聞)4)過剰地域の診療報酬下げ「受け入れられない」 医師会長(同)5)医師偏在問題、「都市部で開業規制を」と財務省提言 医師会は反発(朝日新聞)6)医師の偏在解消で「大学特別枠」、文科省が試案 大学病院から地域への派遣強化(CB news)2.急増する医療機関の倒産・休廃業、背景に後継者問題/帝国データバンクわが国の医療機関の休廃業・解散件数が2023年度(2023年4月~2024年3月)に過去最多の709件に達し、過去10年で2.3倍となった。そのうち診療所が23年度は580件と全体の8割超を占めていることが帝国データバンクの調査で明らかになった。医療機関の倒産・休廃業数は前年の517件から大幅に増加していた。同様に、歯科医院も110件と過去最多を記録。同社によれば、経営者の高齢化と後継者不在が主な原因であり、今後もこの傾向は続くと予測されている。また、2023年度には医療機関の倒産件数も過去最多を更新し、55件が報告された。これは2009年度の45件を上回る数であり、診療所と歯科医院がそれぞれ28件と24件で過去最多を更新している。これらの倒産は法的な手続きを経て確認されたもので、高齢経営者の健康問題などが倒産につながるケースもみられている。日本医師会の「医業承継実態調査」では、診療所の約半数が後継者不在と答えており、帝国データバンクの企業概要ファイルによると、2024年には診療所経営者のボリュームゾーンが65~77歳となっている。この高齢化が顕著な中で、診療所はコンビニの約2倍の数が存在し、狭い市場での競争が熾烈を極めている。こうした状況は、医療機関の持続可能性に深刻な影響を及ぼしており、とくに地域医療にも影響が出ている可能性がある。今後、後継者問題の解決や高齢経営者の支援策を強化することが急務となる。参考1)医療機関の「休廃業・解散」 動向調査(2023年度)(帝国データバンク)2)医療機関の休廃業・解散が過去最多、昨年度 計709件、診療所が8割超(CB news)3.退院前の指導不足で市民病院が逆転敗訴、約7,500万円の賠償命令/名古屋高裁気道確保のため「カニューレ」を装着していた6ヵ月の女児が、退院後に低酸素脳症を発症し、3歳で亡くなった事件について、名古屋高等裁判所は1審の判決を覆し、一宮市に約7,500万円の賠償支払いを命じた。裁判では、一宮市立市民病院が退院時の必要な救命処置の指導を怠ったことが問題視された。女児は、喉頭の組織が軟弱で、気管が塞がりやすく呼吸がしづらい「喉頭軟化症」であり、気管カニューレを必要としていた。入院中には装着器具が外れる事故が3回発生していたが、これについて病院側から十分な説明や指導が行われていなかったとされている。両親は当初、原因を自分たちに求めていたが、裁判を通じて同病院の責任が明らかになり、「娘の無念を晴らせた」と安堵の声を上げた。同病院は「判決文が届いていないので、現時点ではコメントを差し控える」と述べている。この判決は、医師の指導義務違反を問題視した点で重要な意義を持つ。代理人弁護士の森下 泰幸氏は、「気管カニューレが外れる事故は全国で相次いでおり、今回の判決を受け、退院時には必ず救命方法などの指導を全国の病院で徹底してもらいたい」と訴えている。この判決により、今後の医療機関における指導・教育のあり方に影響を与えると考えられる。参考1)“医師は指導義務怠る” 1審と逆 市に賠償命令 名古屋高裁(NHK)2)愛知・一宮市に7,400万円賠償命令 呼吸用器具の事故後に女児死亡(朝日新聞)3)気道確保の重要性など説明せず、3歳女児死亡 遺族が逆転勝訴(毎日新聞)4.患者受診せずがん告知が1年以上遅れ、大腸がんステージ進行/神戸市立医療センター神戸市立医療センター中央市民病院は、60代の男性患者が大腸がんと診断されたにもかかわらず、診断結果の告知が1年2ヵ月遅れるという重大なミスを病院側が公表した。2022年8月に内視鏡検査を受けた男性は、翌月に大腸がんと診断されたが、結果を説明するために予定していた受診日に来院しなかったため告知が行われなかった。その後も男性は、別の科で定期的に通院していたが、告知されなかったため治療開始が遅れ、男性のがんはステージ1からステージ3bまで進行していた。この事実が明らかになったのは、男性が2023年11月に別の疾患で入院し、脳神経内科の医師がカルテを確認したときであった。同病院では、未受診患者を管理するリストがあり、通常は診療終了後にリストから外されるが、今回の重大案件では、男性がリストから誤って外されていた可能性が指摘されている。この案件を受け、同病院では未受診の患者の管理方法を見直し、ルールの明文化を進めている。この重大案件は、病院内の情報管理システムの改善の必要性を浮き彫りにした。同病院は男性と補償についての協議を行っており、病院側は公式に謝罪している。参考1)大腸がんと診断された患者に1年2ヵ月告知忘れる…その間にステージ「1」から「3b」に進行(読売新聞)2)がん告知日に患者来院せず…そのまま1年超、ステージ3に 病院謝罪(朝日新聞)5.医療機器メーカーとの癒着疑惑、整形外科医逮捕/東京労災病院東京労災病院の整形外科副部長の医師(41歳)が、特定の医療機器メーカーの製品を使用することで現金約50万円の賄賂を受け取ったとして逮捕された。この事件では、逮捕された医師が同僚にも同じメーカーの製品の使用を勧め、それにより得たポイントを自身の利益に変換していたことが判明している。また、医師は医療機器の選定に影響を与えたとされ、医師が受け取ったポイントは現金に交換可能で、飲食代などの領収書を提出することで換金されていたと報じられている。警視庁は、このほかにも余罪があるか捜査を進めており、このスキームがどれほど広範に及んでいたのか、また、その影響についても調べている。贈収賄に関与したHOYA Technosurgical社および親会社HOYA社は、捜査に協力する姿勢を示している。同病院は再発防止策を講じ、職員の倫理教育を強化すると公表している。参考1)東京労災病院 医師を収賄容疑で逮捕 製品巡り50万円受け取りか(NHK)2)他の医師使用分も見返り収受 部下に贈賄側企業製品を推奨か 東京労災病院の汚職事件・警視庁(時事通信)3)東京労災病院副部長を収賄容疑で逮捕 「ポイント制」で業者から現金(朝日新聞)4)当院職員の逮捕について(東京労災病院)6.元理事長への不正な麻薬処方、元副学長が医師法違反の疑い/日本大学日本大学の「不正事案洗い出しのための特別調査委員会」は、元理事長の田中 英寿氏(故人)への医療用麻薬モルヒネを含む痛み止めの不正処方について報告した。田中氏は2021年8月~2022年4月にかけて、元副学長だった主治医により、医師3人を介して7回にわたり痛み止めが処方された。しかし、これらの処方はいずれも診療記録がなく、実際の診察は行われていなかった。調査委員会によれば、田中氏に処方された薬の診療記録は電子カルテシステムに一切残されておらず、元副学長は診療の有無について守秘義務を理由に説明を拒否。また、元副学長や関連医師は、田中氏の自宅で診療行為を行っていたが、これに関する記録も存在しなかった。医師法では、診療行為を行った場合、病名や治療内容をカルテに記載することが義務付けられており、違反した場合には罰則が科されている。調査委は元副学長の医師法違反の可能性が高いと結論付け、「厳格に管理すべき医療用麻薬が不適切に処方されていた悪質性は高い」と指摘している。同大学は監督官庁との協議を待っている状態で、元副学長からの回答は得られていない。参考1)日大の田中英寿・元理事長にモルヒネ処方、診察記録なし…主治医の元副学長は守秘義務理由に説明せず(読売新聞)

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