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使用済みの油を使った揚げ物は脳に悪影響を及ぼす

 揚げ物はウエストを太くするだけでなく、脳にも悪影響を及ぼす可能性のあることが、ラットを用いた実験で示唆された。使用済みのゴマ油やヒマワリ油とともに餌を与え続けたラットでは肝臓や大腸に問題が生じ、その結果、脳の健康にも影響が及ぶことが明らかになった。タミル・ナードゥ中央大学(インド)のKathiresan Shanmugam氏は、「使用済みの油が脳の健康に及ぼす影響は、油を摂取したラットだけでなく、その子どもにも認められた」と述べている。この研究結果は、米国生化学・分子生物学会議(ASBMB 2024、3月23〜26日、米サンアントニオ)で発表された。 Shanmugam氏は、「高温で食べ物を揚げる調理法はいくつかの代謝疾患と関連付けられているが、揚げ油の摂取と健康への有害な影響に関する長期的な研究は実施されていない。われわれの知る限り、長期にわたる使用済み油の摂取が第一世代の子孫の神経変性を増加させるという報告は初めてだ」と話している。 研究グループは、食品は油で揚げることによりカロリーが大幅に増加する上に、再利用された揚げ油は、天然の抗酸化物質や健康上の利点の多くを失う一方、有害な化合物を増加させることが多いと説明する。今回、Shanmugam氏らは、揚げ油の長期にわたる摂取の影響を調べるため、雌の実験用ラットを30日にわたって、標準的な餌を与える群、未使用のゴマ油またはヒマワリ油0.1mLと標準的な餌を与える群、加熱使用済みのゴマ油またはヒマワリ油0.1mLと標準的な餌を食べる群の5群に分けた。餌の影響は、最初の子孫(第一世代)まで追跡された。 その結果、加熱使用済みのゴマ油またはヒマワリ油を摂取した群ではその他の群に比べて、総コレステロール、LDLコレステロール、およびTAG(トリアシルグリセロール)の値が有意に増加し、肝機能検査では、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)値とALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)値の有意な上昇が認められた。また、これらの群では、炎症マーカーのHs-CRP(高感度C反応性タンパク質)値とLDH(乳酸脱水素酵素)値が有意に上昇し、RT-PCR検査では、抗酸化物質遺伝子SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)とGPX(グルタチオンペルオキシダーゼ)の発現が有意に増加していることも示された。さらに、肝臓および大腸の組織学的解析では、加熱使用済みのゴマ油またはヒマワリ油を摂取した群では細胞構造に有意な損傷が見られた。ダメージを受けた大腸では、特定の細菌から放出される毒素であるエンドトキシンやリポ多糖に変化が生じ、「その結果、肝臓の脂質代謝が著しく変化し、重要な脳のオメガ-3脂肪酸であるDHAの輸送が減少し、これにより、これらのラットとその子孫では、神経変性が引き起こされた」とShanmugam氏は説明している。 Shanmugam氏は、「これらの結果は、使用済みの油の再利用が、肝臓・腸・脳の間の結合に影響を及ぼす可能性を示唆している」と述べている。ただし研究グループは、「これは初期の研究結果であり、動物実験の結果がヒトにも当てはまるとは限らない」と強調している。 研究グループは次の段階として、揚げ物の摂取がアルツハイマー病やパーキンソン病のような脳の病気、不安やうつ病のような気分障害に及ぼす潜在的な影響について研究したいと考えている。また、「これらの結果は、腸内細菌叢と脳の関係に関する新たな研究実施の可能性につながるものでもある」との見方を示している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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約90%の心血管疾患患者はナトリウムを摂取し過ぎ

 心血管疾患の治療にはナトリウムの摂取を控えることが重要であるが、ほとんどの心血管疾患患者は摂取量を制限できていないようだ。新たな研究で、心血管疾患患者は概して、推奨されている1日当たりのナトリウム摂取量の2倍以上を摂取していることが明らかになった。ナトリウムは、人間の健康に不可欠ではあるが、過剰摂取は血圧を上昇させ、血管にダメージを与え、心臓の働きを悪くする上に、体液の貯留を引き起こして心不全などの症状を悪化させ得ると研究グループは指摘している。米Piedmont Athens Regional病院のElsie Kodjoe氏らによるこの研究結果は、米国心臓病学会(ACC 24、4月6〜8日、米アトランタ)で発表された。 米国の食事ガイドラインでは、心血管疾患患者ではナトリウムの摂取量を1日1,500mg(食塩相当量3.81g)に、健康な人でもナトリウム摂取量を1日2,300mg(食塩相当量5.84g)未満に制限することを推奨している。 この研究では、2009年から2018年の間に国民健康栄養調査(NHANES)に参加した、心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞、心不全、冠動脈疾患、狭心症)患者3,170人の食事データの分析が行われた。対象者は24時間の間に摂取した全てのものを報告していた。 その結果、対象者の89%が1日当たりの推奨量を上回る、1日当たり平均3,096mgのナトリウムを摂取しており、この値は、米疾病対策センター(CDC)が以前に報告した全国の平均摂取量(3,400mg/日)をわずかに下回るに過ぎなかった。収入-貧困比(IPR)の増加は1日当たり46mgのナトリウム摂取量の増加と有意に関連していたが、この関連は年齢、性別、人種、教育レベルで調整すると有意ではなくなった。 これらの結果についてKodjoe氏は、「心血管疾患患者の摂取量と全国平均との間でナトリウム摂取量の差が比較的小さかった。このことは、心血管疾患患者は一般の人と比べて摂取量を積極的に制限しているわけではないこと、また、心血管疾患患者に対して推奨されている摂取量の2倍以上を摂取していることを示唆している」と話している。 Kodjoe氏は、「スーパーマーケットで売られている食品やテイクアウトの食事に含まれるナトリウム量を推定するのは困難だ」と指摘する。さらに同氏は、「ナトリウム量を示す食品ラベルは、その量を推測する助けにはなる。しかし、低ナトリウム食の遵守は、遵守に対する強い動機があるはずの心血管疾患患者にとってさえも極めて困難だ」と話す。そして、「心血管疾患患者が食事療法のガイドラインを守りやすくするためには、一般の人々が食事中のナトリウムの量を推定できるような、より実用的な方法を見つける必要がある」と主張している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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レム睡眠行動障害の男女差が明らかに

 レム睡眠行動障害の臨床的特徴を性別に着目して検討した結果、男性と比べて女性では、睡眠の質が悪く、抑うつ傾向が強いことが明らかとなった。愛知医科大学病院睡眠科の眞野まみこ氏らによる研究結果であり、「Journal of Clinical Medicine」に2月5日掲載された。 レム睡眠中には筋肉の活動が低下しているため、夢を見て、夢の中で行動しても手足や体は動かない。しかし、レム睡眠行動障害では筋肉の活動が抑制されず、夢の中でとっている行動がそのまま現実の行動として現れる。寝ながら殴りかかったり、暴れたりするなどの異常行動を伴い、本人や周囲の人が怪我をする危険もある。 また、レム睡眠行動障害はパーキンソン病やレビー小体型認知症などのリスク因子とされている。発症年齢の中央値は49歳と報告され、加齢とともに増加する。しかし、その特徴の男女差についてはまだ十分に研究されていない。 そこで著者らは、2013年5月~2022年3月に愛知医科大学病院睡眠科を受診し、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を用いてレム睡眠行動障害と診断された患者の臨床的特徴を後方視的に評価した。40歳未満の患者やパーキンソン病の患者などを除外し、研究対象は204人(男性133人、女性71人)となった。睡眠や抑うつなどに関する質問紙調査も行った。 その結果、男性は女性と比べて、年齢が有意に低く(平均67.9±8.0対70.5±8.2歳)、BMIが有意に高い(平均23.5±2.7対22.5±3.3)などの特徴が見られた。主観的評価では、男性と比べて女性の方が、睡眠の質が有意に悪く(ピッツバーグ睡眠質問票の平均得点:5.9±3.8対7.2±3.6)、抑うつ症状が有意に高かった(うつ病自己評価尺度の平均得点:38.0±8.7対41.7±8.5)。一方、男性の方が女性よりも、レム睡眠行動障害の症状は有意に高かった(スクリーニング問診票の平均得点:8.6±2.9対7.7±3.1)。 PSGによる客観的評価では、中途覚醒時間に男性と女性で有意な差は見られなかった(97.3±57.3対89.0±57.0分)。総睡眠時間に占めるノンレム睡眠のステージ1(N1)の割合(48.8±17.7対36.5±18.2%)およびステージ2(N2)の割合(32.1±16.4対45.4±17.4%)には有意差が認められた。最も深い睡眠段階であるステージ3(N3)の割合は、有意差はなかったものの、女性の方が高かった(0.4±1.4対1.0±2.9%)。レム睡眠時間の割合に有意差はなかった(18.7±7.7対17.1±6.6%)。無呼吸低呼吸指数(AHI:15.1±7.6対7.2±7.9回/時)および覚醒反応指数(ArI:29.5±16.3対22.3±11.8回/時)は、男性の方が有意に高かった。 さらに、ロジスティック回帰分析により、性別と睡眠の質および抑うつとの関連が検討された。年齢、BMI、AHI、ArIの差を調整した解析の結果、女性は睡眠の質の悪化(男性と比較したオッズ比2.03、95%信頼区間1.082~3.796)および抑うつ(同2.34、1.251~4.371)と有意に関連していることが明らかとなった。 研究の結論として著者らは、レム睡眠行動障害の女性は男性と比べて、PSGでN2とN3の割合が高かった一方で、主観的な睡眠の質は悪く、さらに抑うつ傾向が強いことも確認されたとしている。また、「これまで、レム睡眠行動障害が睡眠の質や抑うつに及ぼす影響についてはあまり注目されてこなかった。特に、女性患者の睡眠の質と抑うつに留意することは重要である」と述べている。

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抗血小板療法を「軽くする」時代(解説:後藤信哉氏)

 筆者の循環器内科医としてのキャリアは1980年代に始まった。心筋梗塞は入院後も突然死リスクのある恐ろしい疾病であった。抗血小板薬としてアスピリンが標準治療と確立されつつある時代であった。PCIの適応は限局的で、基本的に急性冠症候群にはPCIの選択はなかった。t-PAが急性期予後を改善する薬剤として注目されていた。心筋梗塞発症後も血栓の再発による予後悪化が常に危惧されていた。 心筋梗塞急性期のPCIの普及により、発症後の生命予後は改善した。しかし、ステント血栓症などにより、急変が数週後に起こることがあった。薬剤溶出ステントでは、数ヵ月後のlate stent thrombosisも問題とされた。滅多に起きないけれど起こると重篤な合併症であるステント血栓症の予防のために、アスピリン・クロピドグレルの併用療法が普及した。標準量のクロピドグレルよりも強力なP2Y12阻害効果を有する用量のチカグレロル、プラスグレルも開発され普及した。抗血小板併用療法により重篤な出血合併症である頭蓋内出血も増えた。しかし、臨床医は血栓の予防に注目してきた。 冠動脈ステントの形状、材質、手技も改善した。ステント血栓症のリスクなどは低下してきた。重篤な血栓イベント以上に重篤な出血イベントの低減を目指す方向となった。アスピリンでも、アスピリン・クロピドグレルでも、アスピリン・チカグレロルでも、重篤な出血合併症が増加することは臨床試験の結果から明白であった。アスピリン、クロピドグレルは特許切れしているので、長期の使用を死守したいメーカーもいない。臨床医の方向は急性冠症候群の抗血小板療法を「軽くする」方向に向いた。本研究は、抗血小板療法を「軽くする」時代背景を反映したランダム化比較試験である。 急性冠動脈疾患でもIVUSを入れてしっかりと薬剤溶出ステントを入れた症例を対象として、ステント血栓症の懸念を減らした。90mg bidのチカグレロルは東アジアでは元々多すぎるとされた用量であった。過去の強い抗血小板薬が必要であった時代背景を踏まえて、本研究ではアスピリンを抜いても全体として大きな問題が起きないことを示した。抗血小板療法を「軽くする」時代に相応しい試験であった。

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旅先でも注意したいトコジラミ

トコジラミってどんな虫■トコジラミとは(右画像参照)・大きさ:成虫で5~8mm・体型・色:丸く、扁平でとても薄く褐色・生態:夜、部屋の隙間などから出て活動人や動物の血液だけがエサ吸血しなくても長期間(3~4ヵ月)生存可能家に持ち込まれると、比較的短期間で増殖、拡大する(WikipediaよりJiri Humpolicek氏提供)・生息場所:寝室、布団、ベッドの周りなどの狭い場所に潜伏し、暗く、温かい場所を好む生息場所には「血糞」という黒いしみがみられる■トコジラミによる症状夜間吸血されることが多く、人の手、足、首など露出している部分を吸血。刺されると非常に強い痒みが生じる(人によっては無症状のケースもある)。刺された場所に紅斑などが生じる。そのほか、強い痒みにより、寝不足などで精神的に被害を受けることもある。市販薬の痒み止めでは効果がないことが多く、皮膚科などの医療機関を受診する。家でトコジラミをみつけた場合、早急に駆除が必要であり、専門業者に駆除を依頼。東京都福祉保健局健康安全部環境保健衛生課より引用(2024年4月17日閲覧)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/eisei/yomimono/nezukon/tokojirami_leaf.files/hp_R4tokojirami.pdfCopyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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英語で「急ぎの用件」は?【1分★医療英語】第128回

第128回 英語で「急ぎの用件」は?《例文1》This medication is time sensitive and must be taken every four hours without delay.(このお薬は時間どおりに、4時間ごとに遅れずに服用してください)《例文2》Your next appointment is time sensitive due to the prep required, so please arrive 15 minutes early.(次の予約は準備が必要になるため、時間厳守で15分前には来てください)《解説》「急ぎ」であることを伝える際、さまざまな言い方があります。カジュアルな言い回しでは、“This is urgent. Can you handle this ASAP?”(ASAP:as soon as possibleの略で発音は「エイサップ」)や、“Can you make it a high priority?”(優先させてもらえますか?)などと表現することもできます。“sensitive”は、「敏感な」という形容詞で、“sensitive skin”(敏感肌)、“hypersensitivity”(過敏症)といった病名のほか、片頭痛(migraine)の症状として“sensitive to light, sound and odor”(光、音、においに対する過敏反応)と表現するなど、医療現場でもさまざまな使われ方があります。“time”(時間)と組み合わせた“time sensitive”で、「時間に敏感な=時間厳守、急ぐ必要がある」という意味になります。相手を急かすときや、時間どおりにやる必要があり念を押したいときに、“This is time sensitive!”と言うことで、“urgent”(緊急)のニュアンスが伝わりやすくなります。「今すぐ」という意味だけでなく、「時間に限定的(時間どおりに)」と伝えるときも、例文のように使うことができます。ちなみに、詐欺メール(scam email)のタイトルにも、“TIME SENSITIVE”や“IMMEDIATE ACTION REQUIRED”と急かす言葉を入れ、「今すぐこのリンクをクリックしてください」と仕掛けてくる場合も多いので、だまされないよう気を付けてください。講師紹介

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きちんと診察したのに、後日見逃しを疑われてしまった【もったいない患者対応】第5回

きちんと診察したのに、後日見逃しを疑われてしまった登場人物<今回の症例>20代男性自転車で走行中に自己転倒両下肢に複数の擦過傷、右膝に3cm程度の裂創あり、来院<負傷したときの状況を聞き出します>どんなふうに転びましたか?前を走っていた車が急に曲がったので慌ててブレーキをかけたんですが、その拍子に転んで溝にはまってしまって…。そんなにスピードは出ていなかったので大したことはないと思います。そうでしたか。右膝の怪我は縫わないといけませんが、それ以外の傷は、洗って軟膏を塗るだけで大丈夫そうですよ。膝だけですか、よかったです。(全身を診察しながら)他に痛いところはありませんか?ありません。大丈夫です。~3日後~昨日出張中にどうしても右手が痛くなって近くのクリニックに行ったら、骨折していました。先生、見逃したんですか?全身診察してくれましたよね?骨折ですか!?いや、痛いところはないとおっしゃっていたので…。ちゃんと診てくださいよ。クリニックの先生にも「なんで最初に診た先生がこの骨折を処置していないんだ」って言われましたよ!【POINT】唐廻先生は、外傷患者に対してきちんと全身診察をして「他に痛いところはないか」と聞いていました。「大したことはない」「他に痛いところはない」と言われ、唐廻先生も半ば油断していたようです。ところが、別の病院で骨折を指摘され、患者さんから不信感を抱かれてしまいました。初診時の対応のどこに問題があったのでしょうか?とっさの事故では、正確な情報が得づらい外傷患者に対する問診では受傷機転の確認が最も大切です。しかし、交通外傷などはとくにそうですが、患者さん本人の受傷時の記憶があいまいなことはよくあります。頭部打撲による逆行性健忘がありうる、という意味ではありません。単に“とっさのことで、どんな姿勢で転んだか、どこを打撲したか、が自分でもよくわからない”という意味です。つまり、患者さんの受傷機転に関する報告からは得られない情報があるかもしれない、ということに注意が必要なのです。本人から受傷したとの訴えがなかった部位に、後から外傷が判明することもあります。初診時に全身を診察し、こうした隠れた外傷を見抜くことができればベストですが、本人の訴えがまったくなく、かつ体表面に所見が乏しいときはそう簡単ではありません。後から悪化するケースがあることを伝えようそこで、患者さんには「突然のことで、どこを怪我したか自分でもわからないのが普通です。後から思いもよらぬ場所が痛くなってくるかもしれません。そのときは再度受診してください」と、あらかじめきちんと伝えておくことが肝要です。場合によっては「最初はなんともなかったのに、翌日になって腕が痛くなって検査したら骨折が見つかったケースもありますからね」と、具体例を提示してみるのもいいでしょう。こうした説明があるだけで、後から検査をして別の外傷が見つかっても「初診医が見逃した」と考える可能性は低くなります。重度の外傷が潜んでいることも外傷診療では“distracting pain”という概念があります。直訳すると“気をそらすような痛み”です。痛みの大きな部位に気を取られ、痛みは軽いものの、本来は治療を優先すべき重度の外傷を見逃してしまうことを意味します。今回のケースとは少し異なりますが、患者さんの痛みの訴えだけに頼りすぎると重要な情報を見逃す危険性があるため、注意が必要です。これでワンランクアップ!どんなふうに転びましたか?前を走っていた車が急に曲がったので慌ててブレーキをかけたんですが、その拍子に転んで溝にはまってしまって…。そんなにスピードは出ていなかったので大したことはないと思います。そうでしたか。でも、突然のことでどこをどんなふうに怪我したか、ご自身でもあまりよくわからないですよね。後から思いもよらぬ場所が痛くなってくるかもしれません※1ので、そのときは再度受診してくださいね。場合によっては、数日後に初めて骨折がわかる、なんてこともあるんです※2。※1:今後起こり得る可能性を伝える。※2:具体例をあげると、より理解してもらいやすい。そういうこともあるんですね。いまのところ大丈夫そうですが、気をつけておきます。

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第212回 三つ子の騒音百まで

三つ子の騒音百までヒトも動物もまったく静かに過ごせることなどなく、自然やヒトの営みで生じるありとあらゆる音と共にあります。催し物の喧騒、工事、交通騒音などでますます騒々しくなる世界の音環境は心配の種の1つです。どうやら騒音の害は生まれる前から始まるらしく、オーストラリアのチームが同国の固有の鳥であるキンカチョウ(zebra finch)を使って調べたところ、孵化前(すなわち卵のとき)と孵化後を交通騒音と共に過ごすこととその後の生涯に及ぶ健康の害との関連が示されました1-3)。キンカチョウは孵化してから巣立つまでしばらく親の世話を必要とする晩成鳥の一種で、交通騒音がほとんどないオーストラリアの砂漠地帯に生息します4)。同国のディーキン大学の生態学者Mylene Mariette氏とそのチームは許可を得て構内の鳥小屋で飼うキンカチョウの卵を夜間のみ拝借して、キンカチョウの鳴き声(以下、鳴き声)か交通騒音または静寂(silence)の中で過ごさせ、朝には親鳥がいる巣に戻しました。交通騒音か鳴き声で夜間を過ごした卵の雛は、羽化後4~13日目に卵のときと同様に夜間のみ拝借してそれら2つの音環境のいずれかの中で過ごさせ、朝に親のもとに戻しました。騒音の影響は早くも孵化前に生じるらしく、夜間を騒音と共に過ごした卵の孵化率は鳴き声と共に過ごした卵を下回りました。夜間を静寂の中で過ごした卵の孵化率はそれらの中間に位置していました。騒音は生まれた雛の経過にも影響し、発達の遅れと関連しました。卵のときと孵化後のどちらも交通騒音と共に過ごしたキンカチョウの孵化後12日時点での体重は、卵のときと孵化後のどちらも鳴き声と共に過ごしたキンカチョウを有意に下回りました。また、成鳥になってからの生殖への影響もあり、交通騒音と共に過ごしたキンカチョウは産み育てた仔の数が鳴き声と共に過ごしたキンカチョウの4割ほどでしかありませんでした。体内の生理的変化も観察され、卵や雛のときの交通騒音は染色体末端部のテロメア短縮と関連しました。テロメア短縮は細胞損傷を反映します。今回の研究で示唆されたような騒音の健康への害はヒトにも当てはまるかもしれません。騒々しい保育器や新生児棟での騒音が赤ちゃんに害を及ぼしている恐れがあります。妊婦やその赤ちゃんが病院で音に煩わされず過ごせるようにとくに配慮するに越したことはないようです4)。また、妊婦や赤ちゃんに限らず世間一般に蔓延する騒音をどこまでどう減らすかを見出すことにも今回の研究成果はやがて役立つでしょう2)。参考1)Meillere A, et al. Science. 2024;384:475-480.2)Traffic noise causes lifelong harm to baby birds / Science3)Noise pollution can harm birds even before they hatch / ScienceNews4)Slabbekoorn H. Science. 2024;384:380-382.

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コロナ禍以降、自宅での脳卒中・心血管死が急増/日本内科学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行期において、自宅や介護施設での脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患による死亡が増加し、2023年末時点でも循環器疾患による死亡のトレンドが減少していないことが、白十字会白十字病院 脳血管内科の入江 克実氏らの研究グループによる解析で明らかになった。本研究は、4月12~14日に開催された第121回日本内科学会総会・講演会の一般演題プレナリーセッションにて、入江氏が発表した。コロナ拡大後は自宅での脳梗塞による死亡が顕著に増加 入江氏によると、国内での総死亡数の推移データにおいて、2023年末時点でもCOVID-19流行前と比べて超過死亡は増加しているという。COVID-19の5類移行後はピークアウトしつつあるが、2023年では12万人ほどの超過死亡が見込まれ、その主な死因としてCOVID-19や脳卒中などの循環器疾患の増加が認められる。しかし、2017~22年度のDPC対象病院における脳卒中などの循環器疾患死亡数の推移データによると、死亡数が大きく増加している傾向は認められない。そのため本研究では、同時期の病院外での循環器疾患による死亡の推移を検討した。 本研究では、政府統計e-Stat人口動態統計を用い、死亡場所別に2013~22年の総死亡数と循環器疾患死亡数を抽出した。死亡場所は、病院/診療所、介護施設/老人ホーム、自宅に分類した。主な疾患ごとにCOVID-19拡大前(2013~19年)の死亡数から回帰直線を求め、2020年以降の推計値を算出し、実測値との差分を超過死亡とした。都道府県別にも同様の抽出を行い、COVID-19前後で自宅死亡数とその増減率を比較検討した。 コロナ前後で死亡場所別に総死亡数と脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患死亡数を抽出した主な結果は以下のとおり。・総死亡の死亡場所について、2013~19年までは病院/診療所、介護施設/老人ホーム、自宅のいずれも±3%内で、死亡数の推移に大きな変化はみられない。しかし、コロナ拡大後、病院外では死亡数が増加し続け、2022年の超過死亡率は、自宅では35%、介護施設/老人ホームでは23%に増加していた。一方、病院/診療所では、2020~21年に-5%まで一過性の減少を示したが、2022年には元のトレンドに戻った。・脳梗塞による死亡では、2013~19年の病院、介護施設、自宅のいずれも±6%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、自宅ではとくに顕著に48%に増加し、介護施設では13%、病院では7%に増加していた。・脳出血による死亡では、2013~19年の病院、介護施設、自宅のいずれも±5%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、自宅では13%、介護施設では17%に増加していた。一方、病院では2020~21年では-5%まで減少し、2022年では-2%であった。・心筋梗塞による死亡では、2013~19年の病院、介護施設、自宅のいずれも±3%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、病院で16%まで増加し、他の疾患とは異なる傾向が認められた。介護施設では23%、自宅では12%と病院外の死亡も増加している。・心不全による死亡では、2013~19年ではいずれの場所でも±7%内だが、コロナ拡大後の2022年の超過死亡率は、自宅では33%、介護施設では12%に増加していた。病院では2020~21年に一過性の減少を示し、2022年には元のトレンドに戻った。・都道府県別にみた脳卒中による自宅死亡数では、コロナ前後の変化に地域差が見られ、とくに大阪府(30%増)と群馬県(30%増)での自宅死亡率が増加していた。・都道府県別にみた心疾患による自宅死亡数では、とくに福岡県(61%増)と神奈川県(38%増)での自宅死亡率がコロナ前後で増加していた。 入江氏は本結果について、「コロナ流行期における循環器疾患による病院外死亡数の増加は、サージキャパシティの不足によるものなのか、病院との連携による在宅看取りが進んでいるためなのか、地域ごとに医療逼迫の振り返りをする必要がある。なお、本研究は2022年までのデータを示しているが、2023年11月までのデータから推計しても、死亡率はいまだに高いと予想されている。コロナに関連するフレイルへの対応に加えて、脳梗塞に対しては頭打ちとなっているDOAC処方への対策、心筋梗塞に対してはPCI介入の遅れについての検証など、コロナ禍での診療抑制の影響が残っていないか再検討が望ましい」と述べた。

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PD-L1高発現NSCLCに対するネシツムマブ+ペムブロリズマブの可能性(K-TAIL-202)/AACR2024

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は進行非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療となっている。KEYNOTE-024試験でみられるように、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブはPD-L1発現≧50%の進行NSCLCにおいてPFS(無増悪生存期間)とOS(全生存期間)を有意に延長している1,2)。しかし、PD-L1陽性であってもICIが奏効しない症例は依然として存在する。 EGFRの発現はPD-L1のグリコシル化を介しPD-L1の発現を安定化させ、PD-1とPD-L1の結合を強化することが報告されており3)、抗EGFR抗体ネシツムマブと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法は新しい治療コンセプトとして期待されている。K-TAIL-202試験はPD-L1高発現NSCLCの初回治療として、ネシツムマブとペムブロリズマブの併用を評価した第II相試験。昭和大学の堀池 篤氏が米国がん研究協会年次総会(AACR2024)で結果を発表した。・対象:未治療のPD-L1発現≧50%の進行NSCLC(EGFR、ALK変異なし)・介入:ネシツムマブ+ペムブロリズマブ 3週ごと2年間または35サイクル(n=50)・評価項目:[主要評価項目]奏効率(ORR)[副次評価項目]PFS、OSORR期待値の設定はKEYNOTE-024試験のORR44.8%1)を10ポイント上回る54.8%とした。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は14.2ヵ月であった。・患者の年齢中央値は72歳、男性が76%、現・過去喫煙者が88%、腺がんが60%であった。・ORRは76.0%で、病勢コントロール率は86.0%(CR2%、PR74%、SD10%)であった。・58%の患者が50%以上の標的病変縮小を示した。・PFS中央値は15.7ヵ月、OS中央値は未到達であった。・ネシツムマブによる試験治療下における有害事象(TEAE)発現は全Gradeで98%、Grade≧3は40%で、頻度の高いTEAEは、ざ瘡様皮疹、低マグネシウム血症などであった。・治療中止に至ったTEAEは26%、死亡に至ったTEAEは2%(1例)に発現した。・Grade3の間質性肺疾患が10%(5例)で発現したが、ステロイド治療により改善した。 今回のK-TAIL-202試験結果から、PD-L1高発現進行NSCLC初回治療におけるネシツムマブとペムブロリズマブ併用の可能性が示唆される。

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家族内での治療抵抗性うつ病の発生率

 抗うつ薬に対する治療反応と治療抵抗性うつ病のフェノタイプは、遺伝的根拠があると考えられる。治療抵抗性うつ病のフェノタイプと他の精神疾患との遺伝的感受性は、これまでの遺伝的研究でも確立されているが、これらの結果を裏付ける集団ベースのコホート研究は、これまでなかった。台湾・台北栄民総医院のChih-Ming Cheng氏らは、治療抵抗性うつ病の感受性および家族内での治療抵抗性うつ病と他の精神疾患との感受性を推定するため、台湾全国コホート研究を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2024年4月3日号の報告。 2003~17年の台湾全人口(2,655万4,001人)を対象に、台湾国民健康保険データベースのデータを評価した。データ分析は、2021年8月~2023年4月に実施した。治療抵抗性うつ病は、現在のエピソードが3種類以上の抗うつ薬治療を経験し、それぞれ適切な用量および治療期間で行われていた場合と定義し、レセプトデータに基づき特定した。次に、治療抵抗性うつ病患者の1親等の特定を行った(3万4,467人)。対照群として、治療抵抗性うつ病患者を1親等に持たない人を1:4で指定し、誕生年、性別、親族関係を収集した。主要アウトカムは、治療抵抗性うつ病リスク、他の精神疾患リスク、さまざまな原因による死亡リスクとし、調整済み相対リスク(aRR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、修正ポアソン回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・本研究の参加者は、17万2,335人(男性:8万8,330人、女性:8万4,005人、フォローアップ開始時の平均年齢:22.9±18.1歳)であった。・治療抵抗性うつ病患者の1親等は、対照群と比較し、収入が低く、身体的併存疾患が多く、自殺死亡率が高く、治療抵抗性うつ病発症リスクが高く(aRR:9.16、95%CI:7.21~11.63)、他の精神疾患発症リスクが高かった。・治療抵抗性うつ病患者の1親等の各精神疾患別のaRRは、以下のとおりであった。【統合失調症】aRR:2.36、95%CI:2.10~2.65【双極性障害】aRR:3.74、95%CI:3.39~4.13【うつ病】aRR:3.65、95%CI:3.44~3.87【注意欠如多動症】aRR:2.38、95%CI:2.20~2.58【自閉スペクトラム症】aRR:2.26、95%CI:1.86~2.74【不安症】aRR:2.71、95%CI:2.59~2.84【強迫症】aRR:3.14、95%CI:2.70~3.66・感度分析とサブグループ解析により、アウトカムのロバストが検証された。 著者らは、「治療抵抗性うつ病の家族歴を有する患者は、自殺死亡リスクが高く、抗うつ薬治療に耐性傾向を示している。したがって抗うつ薬単独療法に固執せず、より集中的な治療を早期に検討される可能性がある」としている。

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不安定プラーク、至適薬物療法+予防的PCI追加で予後改善/Lancet

 冠動脈に血流を阻害しない不安定プラークを有する患者において、予防的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の追加は至適薬物療法のみと比較し、高リスクの不安定プラークに起因する主要有害心血管イベントが減少したことを、韓国・蔚山大学のSeung-Jung Park氏らが、韓国、日本、台湾およびニュージーランドの計15施設で実施した医師主導の無作為化非盲検比較試験「PREVENT試験」の結果を報告した。著者は、「PREVENT試験は不安定プラークに対する局所治療の効果を示した最初の大規模臨床試験であり、今回の知見はPCIの適応を、血流を阻害しない高リスクの不安定プラークに拡大することを支持するものである」とまとめている。急性冠症候群や心臓死は不安定プラークの破裂および血栓症によって引き起こされることが多く、その多くは冠血流を阻害しない。不安定プラークに対するPCIによる予防的治療の安全性と心臓有害事象の減少に対する有効性は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年4月8日号掲載の報告。狭窄率>50%、FFR>0.80の不安定プラークを有する患者が対象 研究グループは、心臓カテーテル検査を受けた18歳以上の安定冠動脈疾患または急性冠症候群の患者のうち、造影上の狭窄率>50%、冠血流予備量比(FFR)>0.80の病変を有し不安定プラークが確認された患者を対象とした。Webシステム(置換ブロック法、ブロックサイズ4または6)により糖尿病の有無および非標的血管への同時PCIの有無で層別化し、PCI+至適薬物療法群(PCI併用群)または至適薬物療法単独群(薬物療法群)に1対1の割合で無作為に割り付け、最後の登録患者が無作為化後2年に達するまで毎年追跡調査を行った。 不安定プラークは、(1)最小内腔面積<4.0mm2、(2)プラーク負荷>70%(血管内超音波検査)、(3)脂質に富むプラーク(近赤外分光法、4mm以内の最大脂質コア負荷指数が>315)、(4)TCFA(thin-cap fibroatheroma)(高周波血管内超音波検査または光干渉断層法)の4つの特徴のうち2つ以上を満たすプラークと定義された。 主要アウトカムは、2年間の心臓死・標的血管の心筋梗塞・虚血による標的血管血行再建術・不安定狭心症または進行性狭心症による入院の複合とした。ITT集団で評価し、初発までの期間はKaplan-Meier法で算出し、log-rank検定で比較した。PCI併用群で薬物療法群より2年複合イベントが有意に減少 2015年9月23日~2021年9月29日に、5,627例がスクリーニングされ、適格基準を満たした1,606例がPCI併用群(803例)または薬物療法群(803例)に無作為化された。1,177例(73%)が男性、429例(27%)が女性で、1,556例(97%)が2年間の追跡を完了した(PCI併用群780例、薬物療法群776例)。 主要アウトカムの2年複合イベントは、PCI併用群で3例(0.4%)、薬物療法群で27例(3.4%)に発生し、絶対群間差は-3.0%(95%信頼区間[CI]:-4.4~-1.8、p=0.0003)であった。予防的PCIの効果は、主要アウトカムの各要素において一貫していた。 重篤な臨床的有害事象は、PCI併用群と薬物療法群で差はなかった。2年以内の死亡は4例(0.5%)vs.10例(1.3%)であり(絶対群間差:-0.8%、95%CI:-1.7~0.2)、心筋梗塞は9例(1.1%)vs.13例(1.7%)であった(-0.5%、95%CI:-1.7~0.6)。

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難治性狭心症、冠静脈洞へのデバイス留置で症状改善/Lancet

 冠静脈洞狭窄デバイス(coronary-sinus reducer:CSR)は、狭心症患者の心筋血流を改善しなかったが、狭心症エピソード数を減少した。英国・Imperial College Healthcare NHS TrustのMichael J. Foley氏らが、英国の6施設で実施した医師主導の無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ORBITA-COSMIC試験」の結果を報告した。CSRは、心筋血流を改善することにより、安定冠動脈疾患患者の狭心症を軽減することが示唆されていた。著者は、「今回の結果は、CSRが安定冠動脈疾患患者に対するさらなる抗狭心症治療の選択肢となりうるエビデンスを提供するものである」としている。Lancet誌2024年4月20日号掲載の報告。処置後6ヵ月間追跡、心筋血流と狭心症エピソード数を比較 研究グループは、抗狭心症治療(薬物療法、経皮的冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス術など)のさらなる選択肢がない、18歳以上の狭心症、心外膜冠動脈疾患、虚血を有する患者を登録し、心臓MRによる定量的な心筋灌流マッピング(アデノシン負荷時および安静時)、症状およびQOLに関する質問(シアトル狭心症質問票、EQ-5D-5Lなど)、トレッドミル運動負荷試験を行った。その後、2週間の症状評価期にスマートフォンの専用アプリ(ORBITA-app)を用いた症状報告を完遂した患者を、CSR群と対照群に1対1の割合に無作為に割り付け追跡評価した。 二重盲検下で、CSR群ではCSR(商品名:Neovasc Reducer、Shockwave Medical)の植込み術を行い、対照群では患者に少なくとも15分間(CSRの植込みに要するおおよその時間)心臓カテーテルの検査台の上で鎮静状態を保持させた。処置後は、6ヵ月間の二重盲検下追跡調査期に、ORBITA-appで患者に日々の症状を報告してもらった。 主要アウトカムは、登録時にアデノシン負荷灌流心臓MRスキャンで虚血と判定されたセグメントにおける心筋血流、症状の主要アウトカムは1日の狭心症エピソード数とし、ITT解析を行った。CSR群で狭心症エピソード数が減少 2021年5月26日~2023年6月28日に447例がスクリーニングされ、61例が登録された。このうち51例(男性44例[86%]、女性7例[14%])がCSR群(25例)およびプラセボ群(26例)に無作為化され、CSR群の1例(無作為化手順の途中でデバイス塞栓事象が発現し適切な管理のため盲検を解除)を除く50例がITT解析に組み入れられた。 登録時の虚血セグメントは、画像化された800セグメント中454セグメント(57%)で、虚血セグメントにおける負荷心筋血流量の中央値は1.08mL/分/g(四分位範囲[IQR]:0.77~1.41)であった。 虚血セグメントにおいて、対照群と比較しCSR群で心筋血流量の改善は示されなかった(群間差:0.06mL/分/g、95%信用区間[CrI]:-0.09~0.20]、有益性の確率:78.8%)。一方、報告された1日の狭心症エピソード数は、対照群と比較してCSR群で減少した(オッズ比:1.40、95%CrI:1.08~1.83、有益性の確率:99.4%)。 安全性については、CSR群でデバイス塞栓イベントが2件発生し、両群とも急性冠症候群イベントおよび死亡の発生は報告されなかった。

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若さを感じたければ良い睡眠を

 良好な睡眠を取った朝は若々しい気分となる半面、質が低い睡眠から目覚めた朝は、何歳も歳を取ったように感じてしまうことが明らかになった。ストックホルム大学(スウェーデン)のLeonie Balter氏とJohn Axelsson氏の研究によるもので、詳細は「Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences」に3月27日掲載された。論文の筆頭著者であるBalter氏は、「驚くことに、覚醒の感覚が最も強い状態と眠気が最も強い状態とでは、自分の年齢に対する評価に10年もの差が生じる」と話している。 Balter氏らの研究は二つのパートから成り、一つ目は横断研究として実施された。18~70歳の429人(女性66%)を対象に、自分の実際の年齢と主観的な年齢、睡眠時間、および眠気の程度〔カロリンスカ眠気尺度(KSS)〕を把握した。その結果、過去30日間で睡眠不足だった日が1日多いごとに、主観的な年齢が平均0.23年(約3カ月)高くなるという関連が認められた。睡眠不足の日数がゼロだった人は、主観的年齢が実際の年齢よりも5.81歳若かった。 KSSは、覚醒の感覚が最も強い状態を1点、眠気が最も強い状態を9点とする評価尺度だが、この点数が1点高いごとに主観的年齢が1.22歳高くなるという関連も見つかった。睡眠不足の日数と主観的年齢の関連はKSSスコアで調整後にも有意であったことから、睡眠不足は眠気を介する経路とは別の経路でも主観的年齢を高めるように働くと考えられた。なお、研究者らによると、これまでの研究で、実際の年齢よりも若いと感じている人は健康寿命が長いことが示されているという。 これらの結果を基に行われた二つ目の研究は、クロスオーバー研究として実施された。参加者は18~46歳の186人(女性55%)で、2晩連続で睡眠時間を1日4時間に制限する条件と、やはり2晩連続で睡眠時間を1日9時間とする条件を設定。睡眠時間4時間では9時間に比べて、主観的年齢が4.44歳高齢となることが示された。また、KSSスコアは3.4点高くなっていた。KSSスコアと主観的年齢との関連は一つ目の研究の結果と同様に、1点高いごとに1.23歳高くなるという関連があった。ただし、二つ目の研究では、睡眠時間と主観的年齢との関係が、KSSスコアで調整後には非有意となった。 二つの研究から、KSSスコアが1から9になると主観的年齢が10歳高くなることが示された。これらの研究結果を基に著者らは、「睡眠不足であることと眠気を感じることが主観的年齢に大きな影響を及ぼすようだ。年齢を重ねても若さを感じたいのなら、おそらく、睡眠を確保することが重要と言えるだろう」と述べている。またBalter氏は、「若々しい気持ちを維持するには、良好な睡眠を取ることが重要。それによって、より活動的なライフスタイルとなり、健康を増進するための行動につながる可能性がある。活動的になろうとする動機付けには、まず、自分の若さを感じることが大切だ」と付け加えている。

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膵体積とOGTTで1型糖尿病への進行を予測可能

 糖尿病関連自己抗体陽性の状態から1型糖尿病への進行を、MRIで評価した膵体積と経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)による糖代謝関連指標とによって予測できることが分かった。米テキサス大学オースティン校のJohn Virostko氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に12月27日掲載された。  これまでの研究で、1型糖尿病患者は膵体積が小さいことが明らかになっている。しかし、1型糖尿病発症前段階において、膵体積が小さいことが病態進行の予測因子であるか否かは不明。これを背景としてVirostko氏らは、1型糖尿病進行予防に関する国際共同研究(TrialNet)参加者を対象とする検討を行った。この国際共同研究には、1型糖尿病患者の血縁者で、糖尿病関連自己抗体を有するハイリスク者が参加している。進行ステージは、自己抗体が出現した状態の「ステージ1」、血糖異常が生じ始めた状態の「ステージ2」、および臨床的に1型糖尿病と診断される「ステージ3」という3段階に分類される。 今の検討の解析対象は、複数の自己抗体が陽性の65人。ステージ3への進行予測因子として、MRIで計測した膵体積を体重で除した値(pancreas volume index;PVI)、および、OGTTによる血糖値とC-ペプチドから算出するIndex60とDPTRS(diabetes prevention trial-type 1 risk score)という指標を設定。それら単独、または組み合わせた場合の予測能を評価した。 65人中11人が観察期間中にステージ3へ進行した。進行群と非進行群を比較すると、性別の分布、人種、BMI、MRI施行回数に有意差はなく、観察期間中央値は前者が18カ月、後者が7カ月で群間差は非有意であり(P=0.14)、平均年齢も同順に15.0±8.42歳、21.2±11.9歳で有意水準未満だった(P=0.054)。保有する自己抗体数は、前者が4.27±0.9、後者が2.72±1.5で前者の方が有意に多かった(P<0.001)。 一方、PVI、Index60、DPTRSという3種類の進行予測因子は全て、ベースライン時点において有意な群間差が認められた。このうちPVIに関しては、ベースライン時点で0.88mL/kgをカットオフ値として二分した場合に、ステージ3への進行に有意なリスク差が観察された(P=0.013)。なお、PVIはIndex60(R2=0.005、P=0.63)やDPTRS(R2=0.01、P=0.48)とは有意な関連がなかった。それに対してOGTTに基づき算出されるIndex60とDPTRSは、正相関していた(R2=0.60、P<0.0001)。 ステージ3への進行の予測能(AUC)は、PVIが0.76、Index60は0.79、DPTRSも0.79であり、PVIとDPTRSを組み合わせると0.91まで上昇した。これらの結果から、PVIとOGTTに基づく糖代謝関連指標は、ステージ3への進行のリスク評価に関して、それぞれ異なる要素を反映していると見られ、よってそれらを組み合わせることでより優れた予測能が得られると考えられた。著者らは、「膵臓の画像所見は、1型糖尿病の予防を目的とした臨床試験において評価すべき、新たな指標となり得るのではないか」と述べている。

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免疫療法+個別化ワクチン、肝細胞がんの新治療法として有望

 標準的な免疫療法にオーダーメイドの抗腫瘍ワクチン(以下、個別化がんワクチン)を追加することで、肝細胞がんが縮小する患者の割合が、免疫療法のみを受けた場合の約2倍になることが、新たな研究で示された。米ジョンズ・ホプキンス・キンメルがんセンターの副所長であるElizabeth Jaffee氏らによるこの研究結果は、米国がん学会年次総会(AACR 2024、4月5〜10日、米サンディエゴ)で発表されるとともに、「Nature Medicine」に4月7日掲載された。研究グループは、肝細胞がんの診断後、5年間生存する患者の割合は10人に1人未満であるため、このワクチンは患者の生存の延長に役立つ可能性があると話している。 Jaffee氏らはこの研究に肝細胞がん患者36人を登録し、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)のペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)による通常の免疫療法に加え、個別化がんワクチンを投与して、その効果を調べた。個別化がんワクチンは、まず、生検で得た患者のがん細胞を分析し、コンピューターアルゴリズムにより変異が生じている遺伝子のうち、免疫系が認識できるタンパク質〔がん細胞で起こる遺伝子変異により新たに生じたがん抗原(ネオアンチゲン)〕を産生している遺伝子を特定した。この情報を基に、最大で40個のネオアンチゲンをコードするDNAを含む個別化がんワクチン(GNOS-PV02)を作成した。ワクチンが投与された患者では、免疫系がこれらのネオアンチゲンを認識し、それらを産生するがん細胞を攻撃するのを助ける。 個別化がんワクチンと抗PD-1抗体の組み合わせは、腫瘍に大きな打撃を与える。抗PD-1抗体は、腫瘍内で疲れ果て、がん細胞を破壊できなくなった免疫細胞のT細胞を再活性化する。このワクチンはまた、特定の変異タンパク質を標的とするT細胞を新たに呼び寄せて、この効果を補強する。 実際、抗PD-1抗体とともにこの個別化ワクチンを投与された患者の3分の1近く(30.6%)でがん細胞の縮小が認められた。この割合は、免疫療法のみを受けた場合の2倍に当たるという。さらに、8.3%の患者では、治療後の検査でがん細胞が見つからない完全奏効を達成した。 Jaffee氏は、「われわれは、開発中の個別化がんワクチンを使った治療で成果が得られて興奮している。この個別化がんワクチンは、治療の難しいがんに対する次世代の治療法として有望だ」と語っている。 一方、ジョンズ・ホプキンス大学医学部腫瘍学分野のMark Yarchoan氏は、「この研究は、個別化がんワクチンが抗PD-1抗体に対する臨床反応を高めることができるというエビデンスを提供するものだ」と話す。同氏は、「この知見を確認するためには、より大規模なランダム化比較試験が必要だ。それでも、今回の結果が非常に胸躍るものであることに変わりはない」と述べている。

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手掌と足底の皮疹の鑑別診断【1分間で学べる感染症】第2回

画像を拡大するTake home message発熱と皮疹の鑑別診断は多岐にわたるが、手掌(palms)と足底(soles)の皮疹の有無で鑑別診断をある程度絞り込むことができる可能性がある。手掌と足底の皮疹の鑑別疾患は「MR. SMITH」で覚えよう。発熱と皮疹の鑑別疾患は感染性・非感染性と多岐にわたります。手掌と足底に皮疹を来した場合、鑑別診断をある程度絞り込むことができる可能性があります。それでは、一体どのような鑑別疾患が挙げられるのでしょうか。ここでは、なかでも感染性に焦点を当てて解説していきます。語呂合わせとして「MR. SMITH」と覚えると、手掌と足底の皮疹の感染性の鑑別疾患を網羅的に挙げることができます。MMeningococcemia (Neisseria meningitidis) 髄膜炎菌による菌血症RRickettsia リケッチア感染症(日本紅斑熱など)S(Secondary) Syphilis 二期梅毒MMeasles, Mpox 麻疹、M痘IInfective endocarditis 感染性心内膜炎TToxic shock syndrome, Travelers (Dengue/Chikungunya/Zika) トキシックショック症候群、デング熱、チクングニヤ熱、ジカ熱などの蚊媒介感染症HHand-Foot-Mouth syndrome (Coxsackievirus), HIV, HSV (erythema multiforme) 手足口病、急性HIV感染や単純ヘルペス感染による多形滲出性紅斑皆さんも積極的に、手掌と足底に皮疹を呈していないかどうかを確認してみましょう。1)Hughes KL, et al. Am Fam Physician. 2018;97:815-817.2)Giorgiutti S, et al. N Engl J Med. 2019;381:1762.3)McKinnon HD Jr, et al. Am Fam Physician. 2000;62:804-816.4)Staples JE, et al. Clin Infect Dis. 2009;49:942-948.5)Saguil A, et al. Am Fam Physician. 2023;108:78-83.6)Volpicelli FM, et al. N Engl J Med. 2023;389:1033-1039.7)Long B, et al. Am J Emerg Med. 2023;65:172-178.8)He A, et al. Am J Clin Dermatol. 2017;18:231-236.

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日常診療に活かす 診療ガイドラインUP-TO-DATE 2024-2025

一瞬の迷いを確信へ ~これが日本の標準的治療~2010年の発行以来、多くの医療従事者に活用されている本書が2年ぶりに改訂しました。今版では日常診療で遭遇頻度の高い疾患を中心に19領域175疾患を取り上げ、各領域の第一人者が当該疾患に関連する複数の診療ガイドラインを精選し、そのポイントについて臨床知を加味して解説しています。本書は、(1)必要な情報をすぐに取り出せる紙面構成、(2)専門家の処方例を一目で把握、(3)標準的治療を最短距離でキャッチできます。巻頭企画では“社会健康医学”をテーマに専門家にご解説いただき、巻末付録では「おさえておきたい!希少疾患のガイドライン」を掲載し、ガイドラインの最新情報が入手できるようにまとめています。ぜひ診療ガイドラインを活かした質の高い医療の提供にお役立てください。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する日常診療に活かす 診療ガイドラインUP-TO-DATE 2024-2025定価13,200円(税込)判型A5判変型頁数1,120頁発行2024年2月監修門脇 孝、小室 一成、宮地 良樹ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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