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精液中のマイクロバイオームが男性不妊症に関与か

 ヒトと共存する微生物の集団全体を表す「マイクロバイオーム」という言葉は、皮膚や腸との関連で耳にすることが多い。しかし近年、マイクロバイオームは男性の精液にも存在することが示され、それと不妊との関連を探る研究も進められている。こうした中、新たな研究で、精液中のマイクロバイオームが精液の質のパラメーターに悪影響を及ぼし、不妊に関与している可能性のあることが示唆された。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)泌尿器学分野のVadim Osadchiy氏らによる研究で、「Scientific Reports」に1月11日掲載された。 Osadchiy氏らは18歳以上の男性73人を今回の試験に登録し、精液中のマイクロバイオームと精液の質のパラメーターの変化との関連を検討した。精液の解析により、精液量、pH、精子濃度、精子運動率、および精子正常形態率の評価を行い、総精子濃度、総精子運動率、および精子量を掛け合わせて総運動精子数を計算した。また、精液サンプルからDNAを抽出して次世代シーケンシングを実施し、精液中に存在する微生物の同定と種ごとの存在量を比較した。 その結果、精子運動率に異常が認められた男性(27人)の精液では、精子運動率が正常だった男性の精液に比べて、Lactobacillus iners(L. iners)豊富に存在することが明らかになった(平均9.4%対2.6%、P=0.046)。L. inersは、局所的に炎症反応を促進する環境を生み出す可能性が示されているL-乳酸を産生する。このことからOsadchiy氏らは、L-乳酸が精液内で炎症を引き起こし、精子の動きにダメージを与えている可能性があるとし、L. inersが男性不妊症に関与している可能性を示唆している。なお、この細菌は女性の膣内のマイクロバイオームにも存在し、先行研究では女性の不妊問題に関与している可能性が示唆されているという。 また、精子濃度が異常だった男性(20人)の精液では正常だった男性(53人)の精液に比べて、Pseudomonas stutzeri(2.1%対1.0%、P=0.024)とPseudomonas fluorescens(0.9%対0.7%、P=0.010)が豊富だったが、Pseudomonas putidaは少ない(0.5%対0.8%、P=0.020)ことも示された。 研究グループは、たとえ近縁の細菌であっても、生殖能力に与える影響は種により大きく異なるようだと述べている。Osadchiy氏は、「マイクロバイオームと男性不妊症との関連については、まだ解明すべきことが非常に多い。しかし、今回の研究で得た知見は、われわれを正しい方向に導き、この関連性を深く理解する上で手助けとなるものだ。また、これらの結果は、より小規模な研究から得られたエビデンスと一致しており、精液中のマイクロバイオームと生殖能力との間の複雑な関係を解明するためのより包括的な調査へつながる道を開くものだ」と話している。

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犬が興味を示す動画や映像はどんなもの?

 愛犬がテレビで何を見るのが一番好きか考えてみてほしい。自然のドキュメンタリー番組だろうか、動物の映像だろうか。米ウィスコンシン大学マディソン校獣医学部教授のFreya Mowat氏らが「Applied Animal Behavior Science」1月号に発表した研究によると、犬が最も興味を示す動画や映像は、他の動物、特に犬が登場するものであるという。 この研究は、犬の視覚をチェックするためのより良い方法の開発を目的にした研究の一部として実施された。Mowat氏は、「現在、われわれが犬の視力を評価する際に使っている方法は、人間で例えるなら、対象物が見えているかいないかを単にイエスかノーで答えさせるような、非常に低レベルのものしかない。犬の視力を評価するには、犬用の視力表(アイチャート)に相当するような、より高感度な方法が必要だ」と主張する。そして、「われわれは、動画を利用することで視覚機能の評価に必要な時間だけ犬の注意を引きつけることができると考えている。しかし、どのようなタイプのコンテンツが犬にとって最も魅力的なのかが不明だった」と研究背景を説明している。 この点を調べるためにMowat氏らは、飼い犬のテレビとの関わりに関するウェブベースの調査票を作成し、世界中の犬の飼い主に回答してもらった。調査は、家庭内のスクリーンの種類(テレビ、タブレット、パソコンのスクリーンなど)、犬の年齢や犬種などの基本情報に加え、動画や映像に対する反応や興味を示すコンテンツなどを問う41項目の質問で構成されていた。調査では、犬、交通、パートナー(飼い主)、鳥の4本のショート動画を犬に見せることもできた。得られた回答の中から、動画や映像に対する犬の興味について不明と答えたものなどを除外し、最終的に1,246件の回答を解析対象とした。 回答のほとんど(89%)は米国から寄せられたものだった。対象とされた犬の年齢中央値は4歳で、雌犬が51%、純血種の犬が54%を占めていた。全回答のうちの1,077件で飼い犬が動画や映像に興味を示すこと、残りの75件は興味を示さないことが報告されていた。動画や映像に興味を示す犬は、スクリーンに近付く(78%)、首を傾げる/耳を立てる(78%)、鳴き声を出す(76%)、鼻先でスクリーンに触れる(29%)などの反応を示すことが報告されていた。 調査結果からは、そのほかに以下のような結果が判明した。・動画や映像に興味を示す犬の間で最も人気があるコンテンツは、動物が登場するものだった(95%の犬が反応)。・動物が出てくる動画や映像の中でも、犬が出てくるものは、とりわけ犬の興味を引き付けた(93%の犬が反応)。・人間の出てくる動画や映像に対する犬の関心はあまり高くなく、17カテゴリー中9位だった(37%の犬が反応)。・年齢と視力は、犬が動画や映像に興味を示す頻度に関係するのに対し、年齢と犬種は犬が興味を示す動画や映像の内容に関係する。・スポーティングドッグ(鳥猟犬;ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーなど)と牧羊犬・牧畜犬(オーストラリアンシェパード、ボーダーコリーなど)は他の犬種の犬に比べて、あらゆるタイプの動画や映像に興味を示す傾向が強かった。・スクリーン上の動きは犬の注意を強く引いた。 Mowat氏は、「これらの結果は、動画をベースに犬の加齢に伴う視覚的注意の変化を追跡する方法の開発に役立てることができるだろう」と話す。そして、「犬の視力がどのように老化していくのかを理解することは、犬とともに暮らす人間にも役立つ。例えば、視覚に有害な環境要因や生活習慣の影響は、それが人間に現れる何十年も前に、人間よりもはるかに寿命の短い犬に現れる可能性がある。その意味で、犬は人間の『センチネル種』と言えるのかもしれない」と付け加えている。

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今後20年でオゾン関連の死亡者数はどうなる?

 気候変動が原因で、今後20年にわたり全世界のオゾンに関連した死亡者数が増加する可能性があるようだ。米イェール大学公衆衛生大学院のKai Chen氏らによる研究で、人類が地球温暖化を食い止めない限り、2050〜2054年の間に北米、欧州、アジア、オーストラリア、アフリカの20の国や地域の406都市だけで、地表レベルのオゾンによる死亡者数が年間6,200人増加すると推定された。この研究の詳細は、「One Earth」に1月23日掲載された。Chen氏は、「この研究は、より多くの国々がパリ協定を遵守することが健康上の利益につながることを裏付ける、さらなるエビデンスとなるものだ」と説明している。 研究の背景情報によると、オゾンは自動車や発電所、産業から排出される汚染物質が太陽光の下で化学反応を起こすことで生じるスモッグの主な成分で、呼吸器障害や心疾患、早期死亡に関連することが示されているという。米国環境保護庁(EPA)によると、オゾンは、都市部では晴れた暑い日に健康に有害なレベルに達する可能性が高いという。 Chen氏らは今回の研究で、北米、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、およびアフリカの20カ国、406都市での地表レベルのオゾンへの短期曝露により生じ得る、近い将来(2050〜2054年)の1日当たりの超過死亡を予測した。予測は、4つの社会経済シナリオ(Shared Socioeconomic Pathway;SSP)、すなわち、気候変動や大気汚染に対して厳格な対策が講じられる場合(シナリオ1)、中道的な対策が講じられる場合(シナリオ2)、地域対立的な発展のもと、気候変動や大気汚染に対して弱い対策が講じられる場合(シナリオ3)、気候変動対策が弱いが大気汚染対策は強力な場合(シナリオ4)、に基づき行われた。 その結果、気候変動や大気汚染に対して弱い対策が講じられる場合(シナリオ3)、これら406都市でオゾンに関連した年間の超過死亡が2010~2014年の平均45人から2050~2054年には約6,200人へと増加することが推定された。しかし、気候変動や大気汚染に対して厳格な対策を講じることで、それを変えることができる可能性も示された。すなわち、各国がパリ協定を遵守するシナリオ1では、2010年から2054年までの間に予測されるオゾンに関連した死亡者数は0.7%の増加にとどまっていたという。 一方、気候変動や大気汚染に対する対策が十分に講じられないシナリオ2〜4の場合、オゾンに関連した死亡者数は56~94%増加すると推定された。また、全体の死亡者数に対するオゾンに関連した死亡者数の寄与割合は、現在(2010〜2014年)の0.17%から、2050〜2054年には、シナリオ2と3で0.21%、シナリオ4で0.22%へと増加することが示された。これに対して、シナリオ1では0.15%へと減少することが示された。 Chen氏は、「今回われわれが調べた4パターンの気候変動のシナリオでは、パリ協定に従うシナリオのみで今後のオゾンに関連した死亡者数の寄与割合が減少することが判明した」と言う。 Chen氏らは、多くの国の気候や大気質の基準がこの流れを止めるために必要なレベルには達していないと指摘している。この研究では、人間の健康にとって好ましい数値として、オゾンの最大許容曝露量は大気1m3当たり70μgに設定されていた。一方、世界保健機関(WHO)の現在のオゾンの大気質基準は大気1m3当たり100μg、米国とメキシコでは137μg、中国では160μg、欧州では120μgとされている。 Chen氏らはニュースリリースの中で「われわれの研究は、より厳格なオゾンの曝露基準が必要なことを強調するものだ」と結論付けている。また、「より厳しい大気質規制の導入によって、オゾンに関連した短期的な超過死亡が抑制されるだけでなく、それにより、長期的なオゾン関連死亡率と気候変動の抑制にメリットがもたらされるため、さらなる恩恵を得られる可能性が高い」と述べている。

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6歳まで持続する牛乳アレルギー、約半数は12歳までに耐性獲得

 6歳の時点で牛乳アレルギー(cow's milk allergy;CMA)が持続していても、約半数の子どもは12歳になるまでに耐性を獲得するという調査結果を、国立病院機構相模原病院小児科の研究グループが「Pediatric Allergy and Immunology」に12月24日発表した。研究では学童期にCMAが持続する3つの危険因子を同定。危険因子を全て保有すると耐性を獲得しにくい可能性も示された。 即時型CMAを有する小児は、就学前までに約50~90%が耐性を獲得すると報告されている。しかし、これらの研究は乳幼児期に追跡調査を開始しているため、学童期にCMAが持続する場合の耐性獲得率は明らかになっていない。責任著者の柳田紀之氏らは同病院に通院し、6歳の時点でCMAが持続している児を12歳になるまで後ろ向きに調査し、牛乳への耐性を獲得する割合の推移を明らかにした。 対象は、6歳の時点でCMAが持続して見られた小児80人(男児69%)。38%(30人)は牛乳によるアナフィラキシーの既往があり、50%(40人)は食事から牛乳を完全に除去していた。6歳時点の牛乳特異的IgE抗体価(CM-sIgE)の中央値は12.0kUA/Lだった。なお、経口免疫療法を受けた児は解析から除外した。 耐性獲得は、非加熱牛乳200mLの食物経口負荷試験結果が陰性だった場合、または、アレルギー症状を呈することなく非加熱牛乳200mLを家庭で摂取可能な場合と定義し、どちらの基準も満たさない場合をCMA持続と判定した。主要評価項目は12歳までの牛乳に対する耐性獲得とし、CMA持続の危険因子についても評価した。 分析の結果、9歳までに25人(31%)が、12歳までに58%(46人)が耐性を獲得した。多変量Cox回帰分析から、CMAが持続する危険因子として、ベースライン時(6歳時点)のCM-sIgE高値(調整ハザード比2.29、95%信頼区間1.41~3.73、至適カットオフ値は12.7kUA/L)、牛乳によるアナフィラキシーの既往(同2.07、1.06~4.02)および牛乳の完全除去(同3.12、1.46~6.67)の3つが判明した。これらの危険因子をいずれも保有しなかった児の86%が12歳までに耐性を獲得したのに対し、危険因子を全て保有する14人のうち耐性を獲得した児はいなかった。 以上から、著者らは「IgE依存性即時型CMAの自然経過を検討した結果、6歳までCMAが持続していた児は、経口免疫療法を受けた子どもを除くと12歳までに58%が耐性を獲得することが分かった。この耐性獲得率はピーナツアレルギーの21.5%(4~20歳、海外からの報告)よりも高いが、われわれが過去に報告した鶏卵アレルギーの60.5%(6~12歳)とほぼ同程度だった」と結論。また、「本研究ではCMAが持続する3つの危険因子が判明し、経口免疫療法を考慮すべき小児についても特定することができた」と述べている。

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外国語習得のコツ【Dr. 中島の 新・徒然草】(517)

五百十七の段 外国語習得のコツ暖かい日が続きます。このまま春に突入するのか、それとも再び寒くなるのでしょうか?まだ2月なので、大阪でもあと1回か2回は凍りつきそうな寒さを経験させられるんじゃないかと恐れています。さて先日のこと、YouTubeチャンネル「丸山ゴンザレスの裏社会ジャーニー」の「【謎を解き明かす冒険家】世界最大級○○密造アジトに潜入した話【高野秀行】」を聞きながら皿洗いをしていた時のことです。ん、高野 秀行?どこかで聞いたことのある名前です。なんとこの「新・徒然草」の第二百三十五の段「1000年トリップ」で語っていたことを思い出しました。高野 秀行氏が著書『怪しいシンドバッド』の中で幻の幻覚剤にアマゾンの奥地で出合ったという話を紹介していたのです。彼が現地の人に差し出されたヤヘイ(別名:アヤウアスカ)の汁を飲み干したところ、自らがロケットになったり子供時代に戻ったり深海をさまよったりアラビアンナイトの世界を通ったり、わずか1時間ほどの間に1,000年分もの幻覚を見たのだとか。今回聴いたYouTubeでは、その冒険家、高野氏がどうやって25ヵ国語以上の言語に通じるようになったのか。何か、コツのようなものがあるのかと、司会の丸山 ゴンザレス氏が尋ねていました。「ありますね」と高野氏。必要なものを覚えるのだそうです。高野氏によれば、初級用のテキストを入手して「みんなでハイキングに行きました」という例文を覚えても、そんなものは一生使わないのだとか。この辺は大いにうなずけます。例として、ソマリアの海賊を取材するためにソマリ語を教えてもらった話がありました。その場合に必要な言葉は「拉致」とか「身代金」とかになるわけです。何だか恐ろしい取材ですね。一方、謎の魚を探しに行くときに覚えた例文はまったく別のものでした。「この魚を見たことがありますか」「この魚を見つけたらすぐ私に連絡してください」「もしこの魚を私の所に持ってきたら1万ルピー差し上げます」「でも、この魚と同じでなかったらお金はあげられません」こちらのほうは海賊に比べれば牧歌的ですが、本人は大真面目なのだと思います。彼は目的のために言葉を覚えるので、それぞれの場面に特化したものを中心に学ぶわけですが、これこそ究極の言語習得法ですね。考えてみれば、世界の観光名所の土産物店には何ヵ国語も操る店員さんが数多くいますが、あれも「物を売る」という目的があればこそ。われわれ医師も多くの外国人患者さんに接する時代になりました。彼らの母国語で診察してやろうという目的があれば、少しは成果が期待できるかもしれません。まずは英語での診療。その次に学ぶべきは、使用人口の多い中国語か、学生時代に学んだドイツ語か、それとも日本語に近いといわれる韓国語か?そう考えてみると日々の診療も楽しくなりそうですね。最後に1句花冷えに 母国語使い 診療す今回もChatGPTでイラストを作成してみました。何とも不思議な世界ですね。

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2月22日 頭痛の日【今日は何の日?】

【2月22日 頭痛の日】〔由来〕慢性頭痛に悩む人たちで結成された「頭痛撲滅委員会」が、頭痛のつらさと悩みを社会に訴える日として2001年に制定。街頭などにポスターを掲示し、啓発活動を行っている。関連コンテンツアイスクリーム頭痛【一目でわかる診療ビフォーアフター】気象病の診療のポイント【診療よろず相談TV】片頭痛の隠れた経済的影響~英国政府のコスト分析片頭痛の前駆症状/予兆期、ubrogepantは有効か?/Lancet日本における慢性疼痛・片頭痛患者の医療アクセスへの障壁

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第85回 Googleの生成AI「Gemini」、ChatGPTを超えるか?

photoACより使用生成AIのGemini Advancedが公開されましたので、さっそく使ってみました。これ何かと言いますと、Google Bardのことです。名前がBardからGeminiに変わったんです。Geminiのうち、高性能の大規模言語モデルを搭載しているのがGemini Advancedというサービスで、月19.99ドル払えば皆さんも使用可能です。「なんやねん、19.99ドルって!」と思われたかもしれませんが、GPT-4を使えるChatGPT Plusの課金が20ドルなんですよね。0.01ドル安く設定してきたことを考えると、Googleは間違いなくChatGPTのことをめちゃめちゃ意識しています。先にリリースされたGemini Proはちょっとイマイチな感じの生成AIだったのですが、「GPT-4を超える」という大々的なプロモーションでGemini Advancedが爆誕しました。多くのベンチマークでGPT-4を上回ったとされています。■Gemini:https://gemini.google.com拡張機能として、GoogleマップやYouTubeのプラグインがありますが、現時点ではChatGPTのように臨床医にマッチしたサービスは出ていないようです。私たち医師にとって、臨床や医学論文に応用できるかどうかが大事です。Gemini Advancedのデメリット先にデメリットを書きます。大事なポイントとして、英語で質問しないとまともな答えが返ってこないことがあります。これはBard時代からそうでした。なので、一度日本語から英語に翻訳して使う必要があります。また、医学的な質問をすると、途中まで答えてくれようとするのですが、途中で「あーすいません無理っす」とコメントを終了してしまう現象がしばしば起こります。上述したように、ChatGPTのようなプラグイン・GPTsといった拡張機能がまだほとんどなく、臨床医にとっては「Gemini Advancedでないとダメだ」というシーンは、そこまで多くないという現状があります。Gemini Advancedのメリットメリットとして、回答がむちゃくちゃスピーディです。ChatGPTの2倍くらい速いと思います。そして、質問すると3つ回答を準備してくれるのがありがたいです。また、ファクトチェック機能があって、Google検索で正しい内容なのかダブルチェックしてくれる機能もあります。さらに、Googleのストレージが2TB追加になるので、私はこの時点で割と契約アリではないかなと感じました。というのも、私はGoogleフォトで子供の写真と動画がかなり容量を食っていたので、助かったくらいなのです。冒頭で述べたように、月19.99ドルとなっていますが、最初の2ヵ月間は試用期間として無料で利用できます。まだリリースされたばかりですし、これからいろいろな拡張機能が登場すると予想しています。臨床や医学論文にどのように活かせるか、引き続き探っていきたいと思います。

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アルツハイマー病に対する新規疾患修飾薬とリチウムの有用性比較~ネットワークメタ解析

 米国食品医薬品局(FDA)により承認、または審査中の軽度認知障害およびアルツハイマー病に対する疾患修飾薬(donanemab、レカネマブ、aducanumabなど)と潜在的な疾患修飾薬であるリチウムの臨床的有用性の比較は、これまで十分に行われてなかった。iこころクリニック日本橋の寺尾 樹氏らは、アルツハイマー病に対する疾患修飾薬とリチウムの認知機能低下に対する有効性、忍容性、受容性を比較するため、ランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌2024年2月号の報告。 2023年11月7日までに公表されたランダム化比較試験(RCT)をMEDLINE、CENTRAL、CINHAL、ClinicalTrials,govよりシステマティックに検索し、ランダム効果ネットワークメタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・8件(6,547例)のRCTをネットワークメタ解析に含めた。・ミニメンタルステート検査(MMSE)では、リチウムは、donanemab、aducanumab、プラセボよりも有意に優れていた。・アルツハイマー病評価尺度の認知サブスケール(ADAS-Cog)では、新規疾患修飾薬およびリチウムのいずれも、プラセボと比較し、有意な有効性が認められた。・臨床認知症評価尺度(CDR)総合得点では、donanemab、レカネマブは、プラセボよりも有意に高かった。・プラセボと比較し、donanemab、レカネマブは、受容性および忍容性が有意に低かった。・aducanumabはプラセボよりも忍容性が劣っていた。・他の比較では、有意な差が認められなかった。 著者らは「リチウムとdonanemabまたはレカネマブは、どちらがより有効であるかは不明であるものの、リチウムはaducanumabよりも有用である可能性が示唆され、3つの新規疾患修飾薬には、認知機能に対する有効性に差がない」ことを報告し、「低用量リチウムは、新規疾患修飾薬よりも安全である可能性がある」としている。

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新規抗体薬物複合体SG、既治療のNSCLCに対する第III相試験の結果(EVOKE-01)/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年1月22日、既治療の進行または転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に関するsacituzumab govitecan(SG)の第III相EVOKE-01試験において、主要評価項目である全生存期間(OS)を達成できなかったと発表した。 EVOKE-01試験はプラチナベース化学療法や免疫チェックポイント阻害薬でPDとなった進行または転移のあるNSCLCを対象に、SGとドセタキセルを比較した試験である。 結果、主要評価項目であるOSは、SG群において良好な傾向が認められたものの、統計学的有意には至らなかった。もっとも、試験集団の60%超を占める、抗PD-1/L1抗体に奏効しなかったサブグループでは、対照群に比べてSG群で3ヵ月以上のOS延長が認められたとしている。 今回のデータは今後開催される医学学会で発表される。また、ギリアドは同試験の結果について規制当局との議論を予定している。 SGのNSCLCに関する臨床開発プログラムは、EVOKE-01以外にペムブロリズマブとの併用による第II相EVOKE-02試験、PD-L1高発現例の1次治療に関する第III相EVOKE-03試験が進行中である。

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ダパグリフロジンは低アルブミン尿のCKD進行にも有効か

 わが国では、2021年に慢性腎臓病(CKD)にSGLT2阻害薬ダパグリフロジンが保険適用となり、糖尿病治療と同様に広く使用されている。ダパグリフロジンなどのSGLT2阻害薬は、主に高アルブミン尿患者を対象とした大規模臨床試験で、CKDの進行を遅らせる効果が確認されている。しかし、低アルブミン尿のCKD患者へのダパグリフロジンの実際の使用状況や有効性についてはデータが不足していた。この課題に対し、カナダ・マニトバ大学内科のNavdeep Tangri氏らの研究グループは、ダパグリフロジンがCKDに対して承認された後に投与対象となった患者について検討した結果、アルブミン/クレアチニン比(UACR)<200mg/gのCKD患者にダパグリフロジンが有効であることが示唆された。Advances in Therapy誌オンライン版2024年1月19日号の報告。ダパグリフロジンの使用でeGFR勾配は減弱 本研究では、日本と米国のレセプトデータを用い、CKDに対する承認後にダパグリフロジン10mgの投与対象となった、UACR<200mg/gのCKD患者(投与開始患者と非投与患者)について検討した。推定糸球体濾過量(eGFR)勾配へのダパグリフロジン10mg投与開始と非投与の影響を評価するため、傾向スコアをマッチさせたコホートでprevalent new user designを用いて分位点回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ダパグリフロジンの投与開始者2万407例のほとんどがステージ3~4のCKDだった(データベース全体の69~81%)。・最も一般的な併存疾患は2型糖尿病、高血圧、心血管疾患だった。・ベースライン時には53〜81%の患者でレニン・アンジオテンシン系阻害薬が処方されていた。・適格であったが非投与だった患者は、投与開始患者より年齢が高く、eGFRが高値、併存疾患の負担が低かった。・ダパグリフロジンの投与開始後、投与開始患者と非投与患者のeGFR勾配の中央値の差は、UACR<200mg/gのすべての患者で1.07mL/分/1.73m2/年(95%信頼区間[CI]:0.40~1.74)、2型糖尿病のないUACR<200mg/gの患者で1.28mL/分/1.73m2/年(95%CI:-1.56~4.12)だった。 以上から研究グループは「UACR<200mg/gの患者では、ダパグリフロジンの投与開始は非投与と比較し、臨床的に意義のあるeGFR勾配の減弱と関連していた。これらの所見は、ダパグリフロジンの利用可能な臨床的有効性エビデンスを補足するものであり、その有効性がUACR<200mg/gのCKD患者にも及ぶ可能性を示唆する」と結論付けている。

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BRCA変異陽性乳がん未発症者の検診と予防治療のために~クラウドファンディング開始

 BRCA変異陽性で乳がん未発症の場合、乳房MRIによる検診や予防的乳房切除には少なくない費用負担が発生し、費用が原因で検診や予防治療をあきらめてしまう患者さんがいる。そこで昭和大学病院ブレストセンターの中村 清吾氏らは、「遺伝性乳がんの“発症前”に寄り添う、検診と予防治療の臨床研究継続へ」と題したクラウドファンディングのプロジェクトを開始した(募集は4月12日午後11時まで)。 同プロジェクトでは、BRCA変異陽性乳がん未発症者の検診や予防治療の保険適用を視野に、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成のもと立案・開始された臨床研究の継続・完遂を目指す。この臨床研究は、「乳がん未発症のBRCA2変異陽性の女性に対するタモキシフェンの乳がん発症予防効果と安全性を明らかにすること」、「乳房MRIによるサーベイランスおよびリキッドバイオプシーを利用した低侵襲の新規乳がん検出法の有用性の検討」を目的としている。2020年4月~2023年3月末までの研究期間が新型コロナウイルス感染症の流行時期と重なり、未発症者の来院が制限されるなどの影響を受けて目標症例の約3分の1の登録にとどまっていた。【プロジェクトの概要】BRCA2変異陽性が確認された乳がん未発症の女性(20〜70歳)を対象に、タモキシフェンの乳がん発症予防効果と安全性評価を行うため、目標症例数210例に対して、残り150例の登録を目指して研究を継続する。【到達目標】第一目標金額:1,500万円・乳がん未発症の方に対する「乳房MRI」の一部補助費(1回当たり約2万5,000円)・クラウドファンディング手数料 など第二目標金額:3,000万円(第一目標金額+1,500万円)・「乳房MRI」、「リキッドバイオプシー」による早期乳がん発見の有用性の検討に必要な症例数200例登録に向けて必要な血液解析費用・臨床試験実施にかかる諸費用(国内の多施設を研究拠点として継続するための費用を含む)・クラウドファンディング手数料 など第三目標金額:4,500万円(第二目標金額+1,500万円)・遺伝性乳がん関連遺伝子27項目の測定費用・クラウドファンディング手数料 など【研究スケジュール】2024~29年3月までの5年間を想定

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国内初の「飲酒ガイドライン」を公表/厚労省

 2月19日、厚生労働省は飲酒に伴うリスクに関する知識の普及推進を図るために「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表した。本ガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために、個人の適切な飲酒量・飲酒行動の判断の一助となるよう作成された。純アルコールに換算して飲酒量を把握することが重要 本ガイドラインの特徴として、「基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質などによる違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどをわかりやすく伝えるとともに、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方や避けるべき飲酒方法などについて示している。お酒に含まれる純アルコール量は、「純アルコール量(g)=摂取量(mL)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化できることから、純アルコール量に着目しながら、自身に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心掛けることが必要とも記されている。実際に飲料メーカー各社では2021年頃よりアルコール飲料に含まれる純アルコール量の表示を開始している。 例:ビール500mL(5%)の場合の純アルコール量…500(mL)×0.05×0.8=20(g)純アルコール量で疾病発症リスク示す また、わが国における疾病別の発症リスクと飲酒量(純アルコール量)について、各疾病の発症リスクが上がると考えられる男女別の研究結果と参考(カッコ内)が示されている。・脳卒中(出血性)[男性:150g/週(20g/日)、女性:0g

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心臓移植候補者の順位付け、より有用なリスクスコアモデル開発/JAMA

 米国・シカゴ大学のKevin C. Zhang氏らは、米国の心臓移植候補者約1万7,000例を対象としたレジストリベースの研究を行い、医学的緊急性に基づく心臓移植候補者の順位付けの連続多変数割り当てスコアモデルを開発した。現行の6段階システムに比べ、心臓分配の医学的緊急性の要素に関して、より有用である可能性があるという。米国の心臓分配システムは、移植をしなければ死亡するリスクが高い医学的緊急性がある候補者を優先しているが、現行の治療ベースの6段階システムは操作がされやすく、順位付けに限界があるとされている。JAMA誌2024年2月13日号掲載の報告。事前定義の予測因子セット+仏モデルで開発 研究グループは、2019年1月1日~2022年12月31日に米国心臓分配システムに登録された18歳以上の心臓移植候補者を対象に、レジストリベースの観察試験を行い、医学的緊急性の指標となる新たな米国候補者リスクスコア(US-CRS)モデルを開発した。開発のトレーニング用に97施設(70%)、検証用に41施設(30%)を無作為に割り当てた。 US-CRSモデルは、事前定義した予測因子セットを、現行のフランス候補者リスクスコア(French-CRS)モデルに追加して開発した。感度分析では、短期の機械的循環補助(MCS)に大動脈内バルーンポンプ(IABP)、経皮的心室補助装置(VAD)の使用も含めた。 US-CRSモデル、French-CRSモデル、現行の6段階モデルを、テストデータセットを用いて評価。モデルの予測能は、6週間以内の移植なしの死亡に関する時間依存型ROC曲線下面積(AUC)、全生存一致度(C統計量)で評価した。登録6週間以内の死亡、総C統計量ともに予測能改善 総計1万6,905例の成人心臓移植候補者が対象となった(平均年齢53歳[SD 13]、男性73%、白人58%)。移植を受けずに死亡した患者は796例(4.7%)だった。 最終的なUS-CRSには、短期のMCS(VA-ECMOまたはtemporary VAD)や、ビリルビンの対数値、推算糸球体濾過量(eGFR)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の対数値、アルブミン値、ナトリウム値、植込み型補助人工心臓(LVAD)の情報を盛り込んだ。 テスト用データセットでは、登録後6週間以内の死亡に関するAUCは、US-CRSモデル0.79(95%信頼区間[CI]:0.75~0.83)、French-CRSモデル0.72(0.67~0.76)、現行の6段階モデル0.68(0.62~0.73)だった。 総C統計量は、US-CRSモデル0.76(95%CI:0.73~0.80)、French-CRSモデル0.69(0.65~0.73)、現行6段階モデル0.67(同:0.63~0.71)だった。 IABPと経皮的VADを短期のMCSとして分類すると、効果量は54%減少した。

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腎臓がん患者でのニボルマブの皮下注は点滴静注に劣らず

 治療歴を有する腎細胞がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名オプジーボ)の皮下注は、点滴静注と比べて薬物動態と奏効率について非劣性であることが、米ロズウェルパーク総合がんセンターのSaby George氏らが実施した臨床試験で示された。研究グループは、「この結果は、がん患者の時間と医療費の削減につながる可能性がある」と述べている。この研究結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿器がんシンポジウム(1月25~27日、米サンフランシスコ)で発表された。 George氏は、「ニボルマブの点滴静注は患者にとって大きな負担となる。ニボルマブを皮下注で投与できるのであれば、点滴椅子に1時間座っての治療が所要時間5分の注射で済むため、患者の治療体験は大幅に改善されるはずだ」と話す。 今回の試験では、ロズウェルパークを含む17カ国73カ所のがん治療センターで標準的な治療を受けた進行または転移性淡明細胞型腎細胞がん患者495人を、ヒトヒアルロニダーゼ配合のニボルマブを点滴静注で投与する群(247人、年齢中央値66歳)と皮下注で投与する群(248人、年齢中央値64歳)にランダムに割り付け、転帰を比較した。対象者は1〜2種類の標準的な化学療法をすでに受けていたが、免疫療法薬の使用は初めてだった。 その結果、ニボルマブの初回投与から28日目までの同薬の平均血中濃度と定常状態での同薬の最低血中濃度について、皮下注群は点滴静注群に対して非劣性であることが確認された(平均血中濃度:幾何平均比2.098、90%信頼区間2.001〜2.200、最低血中濃度:同1.774、1.633〜1.927)。また、盲検下独立中央判定委員会(BICR)が評価する客観的奏効率(ORR)は、皮下注群で24.2%、点滴静注群で18.2%であり、無増悪生存期間は前者で7.23カ月、後者で5.65カ月であった。 研究グループは、「ニボルマブは複数のがん種にわたって米食品医薬品局(FDA)の承認を受けている。そのため、今回、腎細胞がん患者に対して示された同薬の有効性は、他のがん治療にも適用できる可能性を示唆するものだ」との見方を示す。 一方George氏は、「これは患者にとっても医師にとっても画期的な成果だ。患者がニボルマブによる治療を容易に受けられるようになることは間違いない」とロズウェルパークのニュースリリースで述べている。同氏は、「ニボルマブの皮下注が可能になれば、クリニックでのニボルマブ投与が可能になり、患者を輸液センターに送る必要がなくなる。そうなれば、患者に薬剤が投与されるまでの時間も短縮されるだろう」と話す。また、クリニックでの投与が可能になれば、治療へのアクセスの問題も緩和されるため、都市部と地方のがん患者間の格差も縮小する可能性があると指摘している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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緊急避妊薬の市販化に伴い女性の救急外来受診が激減

 米食品医薬品局(FDA)が緊急避妊薬を処方箋なしで購入できる市販薬として承認したことが、米国の病院に予期せぬ好ましい「副作用」をもたらしたことが、新たな研究で報告された。緊急避妊薬の市販化により、女性の緊急避妊に関連した救急外来(ED)受診が96%も減少し、それに伴い医療費も大幅に削減されたことが明らかになったのだ。米ミシガン大学医学部産婦人科教授のErica Marsh氏らによる研究で、詳細は「JAMA Network Open」に1月26日掲載された。 24時間受診可能で高度な医療を提供するEDは、緊急避妊を必要とする女性に対し重要な役割を果たしている。米国では、緊急避妊薬は1998年に初めてFDAにより承認され、翌年には二つ目の緊急避妊薬であるPlan B(一般名レボノルゲストレル)が承認された。その後、2006年には単回投与版のレボノルゲストレル(Plan B One-Step)が承認されるとともに、18歳以上の成人向けにPlan Bの市販が、2013年にはPlan B One-Stepの未成年に対する市販が承認された。さらに、2012年には、アフォーダブルケア法(患者保護及び医療費負担適正化法、通称オバマケア)により、緊急避妊薬を保険適用とすることが義務付けられた。 この研究では、ED受診に関する2006年から2020年の全国データを用いて、15歳から44歳の女性による緊急避妊に関連したED受診が、上述のFDAの承認に伴いどのように変化したかが調査された。 その結果、この期間に総計4万7,858件の緊急避妊関連のED受診が発生していたが、受診件数は年を追うごとに減少する傾向にあることが明らかになった。具体的には、緊急避妊関連のED受診件数は、2006年には1万7,019件だったのが2020年には659件と96%も減少していた。このようなED受診件数の減少に伴い、緊急避妊関連の医療費も、2006年の720万ドル(1ドル146円換算で10兆5120万円)から2020年には38万5,946ドル(同5634万8,116円)へと95%削減されていた。 また、米国北東部の病院では、緊急避妊関連以外のED受診については米国全体での受診の17.1〜19.1%を占める程度だったが、緊急避妊関連のED受診については米国全体での受診の43.9〜58.6%を占めていた。一方、南部の病院では、前者が41.0〜42.6%を占めていたのに対して、後者はわずか4.5〜17.4%を占めるに過ぎなかった。 さらに、緊急避妊関連でEDを受診した女性には、年齢が若い、黒人またはヒスパニック系、メディケイド加入者などの特徴があることも判明した。Marsh氏は、「緊急避妊のためにEDを受診する人は、特定の人口統計学的属性を有する人に偏っていることが明らかになった」と指摘。「これは、一部の人では、緊急避妊薬を入手する上で障壁が依然として存在することや、性的暴行などの理由によるED受診が増加していることを示唆した、外来患者を対象にした過去の調査結果と一致している」と話す。 Marsh氏は、「われわれが得た分析結果は、市販の緊急避妊薬の入手に格差が存在することを示唆するものだ。一部の人々の前に立ちはだかる障壁を取り除き、安全な緊急避妊薬を全ての人が手頃な価格で入手できるようにする政策を講じる必要がある」と述べている。

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冠攣縮性狭心症の特効薬は、ニトロではなく猫です【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第69回

外来の診察室での患者さんとのやり取りです。中川「本当に長い時間お待たせして申し訳ございません」患者「調子が良かったので、待ち時間もまったく気になりませんでした」中川「前回の診察からお身体の具合はいかがでした?」患者「1回もニトロを使いませんでした、調子は良かったです」明るい表情で答えてくれます。冠攣縮性狭心症と診断されている40代の男性です。狭心症は、冠動脈の血流が低下し心筋に十分な血液が供給されなくなる病気です。通常の狭心症の原因は、動脈硬化性のプラークによって冠動脈に狭窄が生じることです。冠攣縮性狭心症では、胸痛のない非発作時には狭窄はありませんが、発作時にだけ冠動脈が痙攣するように縮み上がり狭窄を生じることで誘発されます。冠攣縮性狭心症は、狭心症としての胸痛発作だけでなく、急性冠症候群・突然死・不安定狭心症・心室頻拍/心室細動などの致死的不整脈や原因不明の心不全などにも関与している注意を要する病態です。虚血性心疾患の発症頻度は欧米人に多く、日本人では少ないとされています。しかし、冠攣縮性狭心症は日本人でより発症率が高いことが知られています。冠攣縮性狭心症では自覚症状に特徴があり、胸痛発作は深夜から早朝にかけてピークを有する日内変動がみられます。狭心症発作の特効薬としてニトログリセリンの舌下錠が有名です。ニトログリセリンは、冠動脈の拡張による酸素供給の増加と、静脈拡張による前負荷軽減と動脈拡張による後負荷軽減の両面から酸素消費を抑制し、狭心症の治療効果を発揮します。この患者さんも、2~3日に1回ほどの頻度で深夜から早朝に胸痛発作があり、ニトログリセリンの使用に頼っている状態でした。難治性の冠攣縮性狭心症の患者として対応に苦慮していました。それが、この1ヵ月余り発作が1度もなく、ニトログリセリンの使用もないというのです。中川「発作が起こらなくなって良かったですね」患者「本当にありがたいことです」患者さんも嬉しそうです。中川「調子が良くなったのは何が理由だと思いますか?」患者「普段の内服薬も同じですし、生活もとくに変わったと意識することはないですね」中川「何年間も発作が続いていたのに良かったですね」急に思い当たったことがあったのか、大声で患者さんが話しはじめます。患者「猫を飼いはじめたんです。妻が仕事帰りに寒さに震える子猫を見つけて、連れて帰ってきたんです。手のひらに乗るほど小さかったんです」この時点で私の外来診察は予定よりも相当遅れていました。10時の診察予約時間が、今は11時を過ぎています。調子が良いと言ってくれているのだから、早々に診察を終了する方向にもっていくこともできました。予定よりも遅れるほど、「待たせて申し訳ないので丁寧に診療しなきゃ!」と考えてしまい、さらに診察時間が長時間化して、その後の患者さんたちを一層待たせてしまうということがあります。私は、これを「負のスパイラル現象」と名付けています。ここから、診察とは名ばかりの猫談義を患者さんと私のあいだで続けてしまいました。要約は以下です。保護した子猫は弱々しく、放っておくことはできません。妻と一緒にスマホで対応を調べて頑張ったそうです。猫を温め、猫用ミルクをスポイトで与え、ティッシュでお尻をポンポンと刺激して排泄を促すなど尽くしたのです。毎日毎晩続けた甲斐があって、今では元気に家の中を走り回るまでになったそうです。可愛くてたまらないと語ってくれました。患者「先生、子猫を見てくれませんか」中川「ぜひとも!」スマホに保存された幾枚もの写真や動画を一緒に拝見させていただきました。さらに外来が遅れるのですが、今さらやめられません。閲覧を堪能するに値する美猫ぶりです。診察とうそぶきながら猫動画を楽しみました。さらに待つことになった患者さんにお詫び申し上げます。その日の晩に、家の猫を撫でながら考えました。この患者さんの冠攣縮性狭心症の症状が改善したことと、患者さんが子猫を招き入れたことの因果関係についてです。偶然かもしれませんが、私には偶然とは思えませんでした。もし子猫をレスキューしていなければ同様の発作が持続していたように思われます。精神的な情動ストレスは、冠攣縮性狭心症のリスクを高める要素の1つとなるからです。たとえば、過呼吸、不安や緊張、過労、睡眠不足などは、冠攣縮性狭心症の発作増悪の可能性を高めます。そのため、治療に当たっては、ストレスを避けて規則正しい生活を送ることが重要とされています。セラピーキャットとは、猫たちとの触れ合いを通じて人に癒しを施すことです。この患者さんが子猫と出会い触れ合うことで、猫から「癒し」というお返しをいただいたのです。「小医は病を治し、中医は人を治し、大医は国を治す」これは中国の古い言葉で、優れた医師は病気だけでなく国までも治すことができるという趣旨です。このような大事は私にはできるはずもありません。循環器内科医として心臓血管疾患に立ち向かう小医としての役目だけで精一杯です。しかし、この子猫は、患者さんの心に癒しを与えて「人」を治し、さらに冠攣縮性狭心症の発作を抑えて「病」を治したのです。すでに中医の域に到達しています。世間は空前の猫ブームです。テレビや雑誌、ネットや新聞で猫を見ない日はありません。猫に関連した商品が飛ぶように売れる経済効果から「ネコノミクス」という言葉も使われるほど、猫は注目されています。猫がもたらす幸せは、経済界から医療領域まで波及するようです。猫が大医として「国」を治す日も近いかもしれません。膝の上に乗ったわが家の愛猫レオが、大きなアクビをしました。猫は期待されることを望まないようです。では床に就くことにします。おやすみなさい。

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第200回 脳神経外科の度重なる医療過誤を黙殺してきた京都第一赤十字病院、背後にまたまたあの医大の影(後編)派遣先の医局員の技術向上や医療安全には無頓着だった府立医大

幾度も警鐘が鳴らされていたにもかかわらず、まったく改善策が取られなかった背景こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。2月16日、植村 直己冒険賞の発表がありました。同賞は冒険家・植村 直己氏の功績と精神を後世に継承するために設けられた賞で、自然を相手に創造的な勇気ある行動をした人、または団体に贈呈されてきました。主催は植村氏の出身地、兵庫県豊岡市です。今年は4人が選ばれましたが、そのうち、大西 良治氏と田中 彰氏はネパールのヒマラヤ山中にある人跡未踏の谷「セティ・ゴルジュ」を探検した功績が評価されました。昨年7月に放送された、NHKスペシャル「ヒマラヤ“悪魔の谷”〜人跡未踏の秘境に挑む〜」に登場した2人です。水位が下がる真冬に400メートル以上の谷底にロープで降下、激流を探検する姿はテレビで見ても生きた心地がしませんでした。その大西氏は私の大学時代の山のクラブの後輩です。卒業後、特に沢登りの世界で頭角を現し、北アルプスで前人未踏として知られた称名ゴルジュ(称名滝とその上のゴルジュ帯)の単独遡行がとくに有名です(興味がある方は大西氏の著書『渓谷登攀』《山と溪谷社刊》をどうぞ)。我々のクラブは、宮城・山形県境に位置する二口(ふたくち)山塊の沢で沢登りのトレーニングを積んでいたのですが、その二口での沢の経験が、植村 直己冒険賞にまでつながるとは……。大西氏受賞のニュースを聞いて、感慨深く感じました。さて前回は、京都市保健所が京都第一赤十字病院(京都市東山区、池田 栄人院長)に対して医療法25条による立ち入り調査を行い、改善を求める行政指導を行ったというニュースについて、どのような事案が問題とされ、どういった指導が行われたかについて、新聞報道や「月刊Hanada」(飛鳥新社)の記事などを基に書きました。今回は多発していた医療過誤、医療事故に対して幾度も警鐘が鳴らされていたにもかかわらず、改善策がまったく取られずに事故が続いた背景について、独自に取材した内容も交えながら書きます。脳腫瘍ではない正常脳の一部を摘出、脳圧が高まっている患者では禁忌の腰椎穿刺を研修医が単独で実施京都市保健所が不適切と判断した事例は、いずれも同病院の脳神経外科で確認されたものです。たとえば、2020年に行われた70代女性に対する脳腫瘍摘出手術は、一度目の手術で執刀医は箇所を間違えて開頭、脳腫瘍ではない正常な脳の一部を摘出していました。また、2021年に起きた研修医の医療処置を受けた患者が死亡した事例は、静脈洞血栓症が疑われる20代女性に対し、脳圧が高まっている状態では禁忌とされる腰椎穿刺を、研修医が独断かつ単独で行い、患者を死に至らしめていました。いずれのケースも患者や家族に実際の治療経過は正しくは伝えられず、腰椎穿刺の事例は院内の安全対策委員会でも調査委員会は設置されませんでした。こうした一連の、過誤もみ消しとも取れる対応について、京都市保健所は1月17日、診療録の記載方法、治療法などについての患者への説明方法、患者の遺族に対する診療経過の説明方法、死亡診断書の記載方法、医療安全管理委員会の運用方法などに関する指導を行いました。さらに、医療安全部門での把握や医療事故対応等について12件を再検証し保健所に報告するよう求めました(再検証のみ求められたものも49件)。元第一脳神経外科部長が10月に市に公益通報を行い京都市が動く立ち入り調査のきっかけとなったのが、2023年9月26日発売の「月刊Hanada」の11月号の記事、「告発スクープ!正常脳を切除、禁忌の処置で死亡 医療事故を放置 日本赤十字社の闇」です。この報道を契機として、第一日赤の元第一脳神経外科部長(以下、元部長)が10月に市に公益通報を行い、京都市が動いたのです。公益通報とは、「労働者が、不正の目的でなく、その労務提供先又はその役員・従業員等について一定の法令違反行為が生じ、またはまさに生じようとしていることを、その労務提供先や行政機関、外部機関に対して通報すること」とされています。企業の法令違反行為などを行政機関等に通報する際に活用される仕組みで、通報者は公益通報者保護法によって公益通報をしたことを理由とした解雇や、その他の不利益な取り扱いから保護されます。他大学脳神経外科の傘下となると府立医大脳神経外科傘下とする第二脳神経外科が新設第一日赤の元脳神経外科の部長が脳神経外科で起こっていた事故を公益通報する、とは一体どういうことでしょうか。取材によれば、第一日赤で事故が多発していた2019〜2020年当時、同病院には脳神経外科が2つ存在していました(現在は1つ)。元々、同病院の脳神経外科は1つでした。同科は2016年以降、京都府立医科大学脳神経外科の傘下でした。しかし、医師補充をスムーズにすることを目的に、2019年2月に府立医大から離れ、他大学の脳神経外科の傘下となりました。すると、同年3月、京都府立医科大学脳神経外科傘下の第二脳神経外科が新設されたのです。背景には、「第103回 大津市民病院の医師大量退職事件、『パワハラなし』、理事長引責辞任でひとまず幕引き」などでも書いた、府立医大のジッツ戦略があったとみられます。幾度も注意喚起を行うも事態は是正されず「月刊Hanada」の報道にもあるように、その後、第二脳神経外科で事故が多発しました。第一脳神経外科の元部長は、病院幹部に医療事故が頻発していること等の是正を求める文書を提出するなど、幾度も注意喚起を行いましたが、一向に事態は是正されませんでした。脳腫瘍摘出手術で開頭部位を間違えて正常脳を摘出してしまった事案や、研修医が脳圧が高まっている状態では禁忌とされる腰椎穿刺を行った事案は、注意喚起後に起こっています。同部長は同病院の経営陣だけでなく、日本赤十字社本社、さらには府立医大の脳神経外科などにも注意喚起を行い、改善を求めたものの、事態が改善されることはなかったとのことです。第一脳神経外科は2022年3月に解体、元部長らは第一日赤を自主退職「月刊Hanada」によれば、元部長は府立医大の脳神経外科の教授に医師の再教育や再発防止などへの協力を要請していますが、「別病院のことなので介入できない」と一蹴されています。ただ一方で、2021年夏には、同部長に他病院への異動を要請、同科のもう一人の医師に対しても、府立医大脳神経外科の医局に所属した上での他病院への異動を求めていました。なお、その後、第一脳神経外科は2022年3月に解体され、元部長と同科にもう一人いた医師は第一日赤を自主退職しています。元部長が事故を起こした第二脳神経外科の医師に科を越えて指導したことがパワハラと捉えられたり、注意喚起を目的に実際に起きた医療事故数例を学会発表したことが他科の症例写真の無許可使用とされたことなどが、第一脳神経外科解体と自主退職を余儀なくされた理由とみられます。最終的に、第一日赤の脳神経外科では、医療事故を注意喚起してきた第一脳神経外科の医師たちが放逐され、事故を頻発してきた府立医大脳神経外科系列の第二脳神経外科が「脳神経外科」として残ることになりました。その後も、同科による事故は続き、事態が一向に改まらなかったことを憂いた元部長が、「月刊Hanada」の報道をきっかけに公益通報を敢行、京都市保健所の立ち入り検査に至ったわけです。医療の質・安全学会学術集会で脳圧亢進時の処置による死亡例3例を示し注意喚起も発表取り下げ取材したところ、元部長が注意喚起を目的に学会発表していたのは、2021年11月の第16回医療の質・安全学会学術集会でのことでした。「医学の細分化の果てに忘れ去られつつある医学の常識:恐れを知らない医師と流される看護師-医療安全を阻むものとの戦い-」と題された発表では、「うっかりミスや技能の未熟が原因ではない医療事故は、連続し、防止するのが極めて困難」として、脳ヘルニア時の腰椎ドレナージによる死亡例(処置した医師が禁忌であることを知らなかったと思われる事例)、小脳腫脹時の腰椎穿刺による死亡例(研修医がCT読影ができなかった事例、前述の20代女性の事例)、脳圧亢進時の血液透析による死亡例(脳圧亢進時の透析は呼吸が止まる危険性があることを知らなかった事例)の3例の詳細が発表されていました。いずれも脳圧亢進時の処置による死亡で、3例目は腰椎穿刺は関係なく、透析による不均衡症候群(病院はICU入室中の窒息と診断)でした。「死亡事例から学ぶことが、救命できなかった患者さんに対する医療者としての責務」発表では、医療安全を阻む要素として、「医師の傲慢さ」、「看護師の臆病さ」(知っていても声をあげない点など)、「病院幹部の無関心」を指摘、「まとめ」において「一つの死亡事故の真の原因を解明することは同じ原因で起こる次の事故を未然に防ぐことになる」「表面的には隠された、重大な医療事故が起こっている組織を安全にするためには、その組織の文化にまでメスを入れ、従来の価値観、やり方を大きく変える必要がある」と医療事故調査の重要性や組織体制の見直しの必要性を指摘、「死亡事例から学ぶことが、救命できなかった患者さんに対する医療者としての責務」と結んでいます。なお、この発表のスライドは2週間程度学会のWebサイトで閲覧できましたが、その後、第一日赤の池田 栄人院長より取り下げの依頼があり、取り下げられています。「判断を医療機関のみに委ねるのではなく、明確な指針が必要だ」として遺族などが医療事故調査制度見直しを提言医療事故が起こっても、院内事故調査委員会を設置して原因究明をしようとせず、患者や家族には虚偽の説明を繰り返して来た第一日赤。その悪質さは度を越しており、現行の医療事故調査制度の欠点を改めてあぶり出したと言えるでしょう。医療事故調査制度は、すべての医療機関に対して、医療事故で患者が死亡した場合、第三者機関である医療事故調査・支援センターに報告することや、原因を調査することなどを義務付けています。しかし、報告や調査を行うケースに該当するかどうかは医療機関の院長等の判断に任されています。そうした運用ルールが過誤や事故の隠蔽につながっていることが最近問題視されています。先週の2月12日には、医療事故の遺族などが都内でシンポジウムを開き、医療事故調査制度の課題や改善策について意見を交わしています。NHKなどの報道によれば、「医療過誤原告の会」の宮脇 正和会長は、団体に相談があったおよそ60件について、医療事故として報告されたのは14%に留まり、アンケートでは報告されなかった遺族の9割以上が「納得できなかった」と答えたと紹介、その上で宮脇会長は、「判断を医療機関のみに委ねるのではなく、明確な指針が必要だ」として、医療事故調査制度を見直す必要があると語ったとのことです。ジッツ拡大には注力するも派遣先の医局員の技術向上や医療安全にはまったくもって無頓着だった府立医大それにしても、事故を頻発していた科を温存し、警鐘を鳴らしていた科を閉鎖してしまうとは、普通では考えられない病院運営と言えます。そこまで、府立医大に依存しないと第一日赤はやっていけないということなのでしょうか。加えて、医師を派遣する府立医大が、ジッツ拡大には注力するものの、派遣先の医局員の技術向上や医療安全にはまったくもって無頓着だったことにも驚きます。京都市保健所が、第一日赤に対して再検証し、保健所に報告するよう求めた期限は3月18日です。第一日赤がどこまで事故や過誤の詳細を詳らかにし、患者や家族への説明・謝罪に真摯に対応するかが注目されます。

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