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EGFR exon20挿入変異陽性NSCLC、amivantamab+化学療法の日本人データ(PAPILLON)/日本臨床腫瘍学会

 EGFR exon20挿入変異は非小細胞肺がん(NSCLC)のEGFR変異のうち3番目に多く、12%を占めるという報告もある1)。しかし、既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬はEGFR exon20挿入変異陽性のNSCLCに対する効果が乏しい。そこで、EGFR exon20挿入変異陽性のNSCLCを対象とした国際共同第III相無作為化比較試験(PAPILLON試験)において、EGFRおよびMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体amivantamabと化学療法の併用の有用性が検証され、化学療法単独と比べて主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が報告された2)。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)において、小野 哲氏(静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科)がPAPILLON試験の日本人サブグループの結果を報告した。・試験デザイン:国際共同非盲検無作為化比較第III相試験・対象:未治療のEGFR exon20挿入変異陽性のNSCLC患者・試験群:amivantamab+化学療法(amivantamab+化学療法群:153例[日本人:19例])・対照群:化学療法(化学療法群:155例[日本人:15例])※・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)に基づくPFS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、PFS2(2次治療開始後のPFS)、安全性など※:化学療法群は病勢進行時にamivantamab単剤療法へのクロスオーバーが許容された(全体集団の65例、日本人集団の11例がクロスオーバー)。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値はamivantamab+化学療法群15.6ヵ月、化学療法群20.1ヵ月であった。・日本人集団において、ベースライン時に脳転移を有していた患者の割合は、amivantamab+化学療法群21%(全体集団:23%)、化学療法群33%(同:23%)であった。・日本人集団におけるBICRに基づくPFS中央値は、amivantamab+化学療法群15.5ヵ月(全体集団:11.4ヵ月)、化学療法群5.6ヵ月(同:6.7ヵ月)であった(ハザード比[HR]:0.22、95%信頼区間[CI]:0.09~0.53)。・日本人集団におけるORRはamivantamab+化学療法群72%(全体集団:73%)、化学療法群67%(同:47%)であった。 ・日本人集団におけるOS中央値は、amivantamab+化学療法群では未到達(全体集団:未到達)、化学療法群25.5ヵ月(同:24.4ヵ月)であった(HR:0.79、95%CI:0.17~3.62)。・日本人集団におけるPFS2中央値は、amivantamab+化学療法群18.6ヵ月(全体集団:未到達)、化学療法群13.9ヵ月(同:17.3ヵ月)であった(HR:0.44、95%CI:0.15~1.34)。・日本人集団における治療継続期間中央値は、amivantamab+化学療法群13.2ヵ月(全体集団:9.7ヵ月)、化学療法群5.1ヵ月(同:6.7ヵ月)であった。・日本人集団におけるGrade3以上の有害事象は、amivantamab+化学療法群90%(全体集団:75%)、化学療法群53%(同:54%)に発現し、全治療薬の中止に至った有害事象は、amivantamab+化学療法群11%(同:8%)に認められ、化学療法群では0例(同:8%)であった。・日本人集団における安全性プロファイルは全体集団と同様であり、安全性に関する新たなシグナルは認められなかった。 本研究結果について、小野氏は「amivantamabと化学療法の併用は、有効性・安全性が日本人集団でも全体集団と同様であり、安全性に関する新たなシグナルも認められなかった。これらの結果は、未治療のEGFR exon20挿入変異陽性のNSCLC患者において、本レジメンが新たな標準治療となることを支持するものである」とまとめた。

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大血管閉塞による急性期脳梗塞、血栓除去術へのメチルプレドニゾロン併用は?/JAMA

 大血管閉塞による急性期脳梗塞患者において、静脈内血栓溶解療法を含む血管内血栓除去術に低用量メチルプレドニゾロン静注を追加しても、90日後の機能的アウトカムに差はなかったが、死亡率および症候性頭蓋内出血の発生率は低かった。中国・人民解放軍第三軍医大学のQingwu Yang氏らが、中国の82施設で実施した医師主導無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Methylprednisolone as Adjunctive to Endovascular Treatment for Acute Large Vessel Occlusion trial:MARVEL試験」で示された。JAMA誌オンライン版2024年2月8日号掲載の報告。メチルプレドニゾロン群とプラセボ群に無作為化、90日後のmRSスコア分布を比較 研究グループは、大血管(内頸動脈、中大脳動脈M1またはM2セグメント)閉塞による急性期脳梗塞を発症し、発症前は介助なしで日常生活が可能(修正Rankin尺度[mRS]スコア<2、mRSスコア範囲:0[症状なし]~6[死亡])で、無作為化時にNIHSSスコア≧6(範囲:0~42、スコアが高いほど神経学的重症度が高い)の18歳以上の成人患者を、健康状態に問題がなかったことが明らかな直近の時刻から24時間以内に登録し、メチルプレドニゾロン群またはプラセボ群に無作為に割り付け、2mg/kg/日(最大160mgまで)を3日間静脈内投与した。全例、血管内血栓除去術を行い、静脈内血栓溶解療法の前処置も可とされた。 試験薬は、無作為化後できるだけ速やかに、血管内治療のための動脈アクセスを閉鎖する前に投与したが、閉鎖後2時間以内は可とした。 有効性の主要アウトカムは、無作為化90日後のmRSスコア分布(シフト解析)、安全性の主要アウトカムは、90日全死因死亡率および血管内血栓除去術後48時間以内の症候性頭蓋内出血であった。機能的アウトカムに差はないが、メチルプレドニゾロン群で死亡率と頭蓋内出血発生率が低下 2022年2月9日~2023年6月30日の間に1,687例が無作為化され、同意撤回を除く1,680例(年齢中央値69歳、女性727例[43.3%])が解析対象集団に含まれた。このうち、1,673例(99.6%)が試験を完遂した。最終追跡調査日は2023年9月30日であった。 無作為化90日後のmRSスコア中央値は、メチルプレドニゾロン群3点(四分位範囲[IQR]:1~5)、プラセボ群3点(1~6)であった。mRSスコアの分布がメチルプレドニゾロン群で、より良好な方向へ変化する補正後一般化オッズ比は1.10(95%信頼区間[CI]:0.96~1.25)で、両群に有意差はなかった(p=0.17)。 90日全死因死亡率は、メチルプレドニゾロン群23.2%、プラセボ群28.5%であり、メチルプレドニゾロン群で有意に低かった(補正後リスク比:0.84、95%CI:0.71~0.98、p=0.03)。同様に症候性頭蓋内出血の発生率もメチルプレドニゾロン群で有意に低かった(8.6% vs.11.7%、0.74、0.55~0.99、p=0.04)。

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2型糖尿病のNAFLD、CVDや全死因死亡リスク増/BMJ

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を併発した2型糖尿病(T2DM)患者では、NAFLDが軽症であっても、心血管疾患および全死因死亡のリスクが上昇する可能性があり、非NAFLDとグレード1 NAFLD、非NAFLDとグレード2 NAFLDの間の心血管疾患および全死因死亡のリスク差は、非T2DMよりもT2DMで大きいことが、韓国・CHA Bundang Medical CenterのKyung-Soo Kim氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年2月13日号に掲載された。韓国の縦断的コホート研究 研究グループは、韓国のT2DM患者において、NAFLDが心血管疾患および全死因死亡のリスクに及ぼす影響を評価する目的で、全国規模の人口ベースの縦断的コホート研究を行った(特定の研究助成は受けていない)。 2009年のNational Health Screening Programmeの参加者779万6,763例を、NAFLDの状態に基づき、次の3つの群に分けた。(1)非NAFLD(脂肪肝指数[fatty liver index]<30)、(2)グレード1 NAFLD(30≦脂肪肝指数<60)、(3)グレード2 NAFLD(脂肪肝指数≧60)。 主要アウトカムは、心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞)または全死因死亡の発生とした。グレード1でも5年絶対リスクが上昇 779万6,763例の参加者のうち、6.49%(50万5,763例)がT2DMであった。非T2DM群のうちグレード1 NAFLDは21.20%、グレード2 NAFLDは10.02%であったのに対し、T2DM群ではそれぞれ34.06%および26.73%といずれも高率であった。また、1,000人年当たりの心血管疾患および全死因死亡の発生率は、非NAFLD、グレード1 NAFLD、グレード2 NAFLDの順に増加し、非T2DM群よりT2DM群で高かった。 心血管疾患および全死因死亡の5年絶対リスクは、非T2DM群、T2DM群とも、非NAFLD、グレード1 NAFLD、グレード2 NAFLDの順に増加した。すなわち、非T2DM群では、非NAFLD患者における心血管疾患の5年絶対リスクは1.03(95%信頼区間[CI]:1.02~1.04)、全死因死亡の5年絶対リスクは1.25(1.24~1.26)であり、グレード1 NAFLD患者はそれぞれ1.23(1.22~1.25)および1.50(1.48~1.51)、グレード2 NAFLD患者は1.42(1.40~1.45)および2.09(2.06~2.12)であった。 同様に、T2DM群では、非NAFLD患者における心血管疾患の5年絶対リスクは3.34(3.27~3.41)、全死因死亡の5年絶対リスクは3.68(3.61~3.74)であり、グレード1 NAFLD患者はそれぞれ3.94(3.87~4.02)および4.25(4.18~4.33)、グレード2 NAFLD患者は4.66(4.54~4.78)および5.91(5.78~6.05)だった。T2DMでのNAFLDのスクリーニングと予防により、リスク低減の可能性 このように、非T2DM群のグレード2 NAFLDと比較して、T2DM群の非NAFLDは、心血管疾患および全死因死亡の5年絶対リスクが高かった。また、非T2DM群に比べT2DM群では、非NAFLDとグレード1 NAFLD、非NAFLDとグレード2 NAFLDで、心血管疾患および全死因死亡のリスク差が大きかった。 著者は、「非アルコール性脂肪性肝疾患のスクリーニングと予防により、2型糖尿病患者における心血管疾患および全死因死亡のリスクが低減する可能性がある」としている。

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高親和性TTR安定化薬acoramidisはATTR心アミロイドーシスの予後を改善する(解説:原田和昌氏)

 ATTR心アミロイドーシスは、単量体がミスフォールドされたトランスサイレチン(TTR)がアミロイド線維として心臓、神経、消化管、筋骨格組織に沈着することで引き起こされる疾患で、心臓への沈着により心筋症が進行する。ATTR心アミロイドーシスの治療薬としては、TTR安定化薬であるタファミジスがすでに承認されている(ATTR-ACT試験)。また、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの適応をすでに取得しているsiRNA静脈注射剤のパチシラン(3週に1回投与)により、ATTR心アミロイドーシス患者の12ヵ月時の機能的能力が維持されることが報告された(APOLLO-B試験)。acoramidisは四量体TTRの解離をより強力に阻害する高親和性TTR安定化薬であり、第II相試験でその有効性が示唆されていた。 英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのGillmore氏らは第III相無作為化二重盲検比較試験(ATTRibute-CM試験)において、ATTR心アミロイドーシスと診断され臨床的心不全を有する患者にacoramidisまたはプラセボを30ヵ月間投与した。全死因死亡、心血管関連入院、NT-proBNP値のベースラインからの変化量、6分間歩行距離のベースラインからの変化量について階層的に解析を行った。4段階の階層的解析においてacoramidis群がプラセボ群よりも有意に良好であることが示され、ペアワイズ比較のwin比は1.8(95%CI:1.4~2.2)であった。有害事象は両群で類似していた。タファミジスも中央値17.2ヵ月後からacoramidis群の14.9%、プラセボ群の22.8%で使用されていたが使用期間に差はなかった。 acoramidisの承認も確実とみられるが、全死因死亡への効果はタファミジスのほうがやや優れるようである。しかし、本試験のプラセボ群の30ヵ月の生存率74.3%は、6年前のATTR-ACT試験のプラセボ群の生存率70.5%よりも高く、acoramidis群の生存率80.7%は年齢をマッチさせた米国の一般人コホートの生存率85%に近かったからかもしれない。また、ATTR心アミロイドーシス治療において、TTR安定化薬とRNA干渉薬とどちらがより有効であるかは非常に興味深い問題である。

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調剤基本料は引き上げ、賃上げなるか!?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第126回

2024年2月14日に中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が開催され、本年度の調剤報酬改定の個別項目と点数が厚生労働省に答申されました。これでおおむねの内容と点数が決まりました。2023年11月の本コラムで、2024年度の調剤報酬改定の目玉は「調剤基本料と地域支援体制加算の見直しになりそう」と書きました。良いサービスを提供し続けるためにも薬局が調剤で得られる報酬がどうなるかというのは大きな問題ではあるのですが、今回の改定はそれだけでなく、「薬局ではこういうことができるんですよ!」と大きな声で世の中に言いたくなるような、薬局のこれからの方向性を大きく示すような改定になるのではないかと思います。では、改定の内容を見ていきましょう。調剤基本料1~3は3点ずつ引き上げられました。地域の医薬品供給の拠点としての役割を担うこと、地域医療に貢献すること、また賃上げを実施することなどが目的とされているようです。全体的に引き上げられたことに少し驚いています。しかし、調剤基本料だけで薬局が成り立つ時代はもう終わりを迎え、「調剤以外に何ができるか」ということが求められ、それらについては地域支援体制加算でしっかり評価をするという建付けになったことが伺えます。さて、その地域支援体制加算についてです。地域支援体制加算1~4の点数は、それぞれ7点引き下げられました。これまでも指摘されていた調剤基本料1とそれ以外の薬局の実績の要件が違いすぎるという点については今回統一されました。中小規模の面薬局であれば優遇されるといった経過措置のような期間はもう終わりで、これからは調剤以外の機能と実績で算定しますよ、というメッセージのような気がします。地域支援体制加算が新設されたのが2018年の調剤報酬改定ですから、10年ほどかけてようやく「調剤だけからの脱却」が見えてきたのではないでしょうか。正直、この加算がこれほど大きな役目を負うとは思っていませんでしたが、いい旗振り役になったのではないかと思います。今回の改定の施行開始は2024年6月1日ですので、まだ時間があります。じっくり取り組むしかない、そんな気がします。今回は、全体的な印象や調剤基本料と地域支援体制加算をピックアップしました。診療報酬全体で見ると、他にもさまざまな動きがありますので、折を見て薬局への影響を紹介していきたいと思います。

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舌下免疫療法を長続きさせるコツは?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第18回

舌下免疫療法を長続きさせるコツは?講師あおぞら小児科 院長 立元 千帆 氏【今回の症例】12歳男児。以前から気管支喘息とアレルギー性鼻炎の診断を受けており、気管支喘息はほとんど発作が認められなくなってきたものの、アレルギー性鼻炎は年々症状が悪化傾向にある。そのため、舌下免疫療法を受けることにした。

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英語で「それ自体」は?【1分★医療英語】第119回

第119回 英語で「それ自体」は?《例文1》It is not a perfect solution per se but better than nothing.(それは完全な解決策とはいえませんが、何もないよりは良いです)《例文2》The medication doesn’t cure the disease per se, but it relieves the symptoms and improve the patient’s quality of life.(その薬はそれ自体が病気を治すものではありませんが、症状を緩和し、患者の生活の質を改善させます)《解説》今回ご紹介した“per se”はラテン語由来の言葉で、英語の“by itself”や“itself”に当たります。しかし、この“per se”のままで英語表現として用いられることがありますので、覚えておきたい表現です。日本語に翻訳すると、「それ自体は」「本質的には」「正確には」といった意味を指す言葉で、例文にあるように文末に挟み、逆接の前に用いられることが多いフレーズです。逆接の間に見られる場合には、「一見すると矛盾しているように見えるものの、実際には矛盾していない」といった状況を説明する際に使われることが多いです。そのようなシチュエーションでは、“per se”の前に来る文章を「それ自体は」と補強してくれます。使い慣れないと適切な場面で使用するのが難しい表現かもしれませんが、英語ネイティブと話をしていると医療機関内のコミュニケーションでも時々耳にすることがあります。聞いたときに戸惑わないよう、表現の持つニュアンスをつかんでおくとよいでしょう。講師紹介

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第203回 1ヵ月以上続くコロナ感染は結構多い

1ヵ月以上続くコロナ感染は結構多い英国を代表する9万人強の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)配列を解析した結果によると、少なくとも100人に1人ほどの感染は1ヵ月以上長引くようです1,2)。試験では被験者からおよそ1ヵ月ごとに採取した検体のSARS-CoV-2配列が解析され、3,603人は2回以上の検体の配列解析が可能でした。得られたウイルス配列を照らし合わせたところ、それら3,603人のうち381人に1ヵ月以上の同一ウイルス感染が認められました。381人のうち54人にいたっては2ヵ月以上同じウイルスに感染していました。その結果に基づくと、感染者100人に1~4人弱(0.7~3.5%)のその感染は1ヵ月以上、感染者1,000人に1~5人(0.1~0.5%)の感染は2ヵ月以上続くと推定されました。SARS-CoV-2持続感染者381人のうち3回以上のRT-PCR検査がなされた65人のデータによると、感染し続けているSARS-CoV-2の多くは複製できる力を失っていないようです。それら65人のほとんどのウイルスはいったん減り、その後再び増加するというリバウンドの推移を示しました。研究者によると、そのようなリバウンドは複製できるウイルスが居続けていることを示唆しています。また、SARS-CoV-2の感染持続はやはりただでは済まないようで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後症状(long COVID)をより招くようです。SARS-CoV-2感染が1ヵ月以上持続した人の感染後12週時点以降でのlong COVID有病率は非持続感染者を55%上回りました。SARS-CoV-2感染持続とlong COVIDの関連を示した先立つ報告や今回の研究によるとSARS-CoV-2感染持続はlong COVIDの発生にどうやら寄与しうるようです。とはいえSARS-CoV-2感染持続で必ずlong COVIDが生じるというわけではありませんし、long COVIDのすべてが感染持続のせいというわけではなさそうです。実際、long COVIDに寄与するとみられる仕組みがこれまでにいくつも示唆されており、引き続き盛んに調べられています。たとえば先月にScience誌に掲載された最近の報告では、免疫機能の一翼である補体系の活性化亢進がlong COVIDで生じる細胞/組織損傷の原因となりうることが示唆されています3,4)。参考1)Ghafari M, et al. Nature. 2024 Feb 21. [Epub ahead of print]2)Study finds high number of persistent COVID-19 infections in the general population / Eurekalert3)Cervia-Hasler C, et al. Science. 2024;383:eadg7942.4)Complement system causes cell damage in Long Covid / Eurekalert

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睡眠が認知症発症に及ぼす影響

 睡眠障害と認知症との関係は、依然としてよくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のYing Xiong氏らは、高齢者(65歳以上)における睡眠対策と認知症との関係を調査し、これらの因果関係を明らかにするため、本研究を実施した。その結果、若年高齢者の短時間睡眠者、高齢者および頻繁にアルコールを摂取する長時間睡眠者において、認知症リスクとの関連が示唆された。Psychiatry Research誌2024年3月号の報告。 高齢者における睡眠対策と認知症との関係を調査するため、English Longitudinal Study of Ageing(ELSA)のデータを用いた。さらに、Cox回帰モデルおよびメンデルランダム化(MR)分析を用いて、因果関係を調査した。 主な結果は以下のとおり。・対象高齢者7,223人のうち、5.7%が平均8±2.9年以内に認知症を発症した(アルツハイマー病は1.7%)。・8時間超の長時間睡眠は、理想的な睡眠時間(7~8時間)の場合と比較し、認知症発症リスクが64%増加し、アルツハイマー病のリスクが2倍高かった。・この関連は、とくに70歳以上およびアルコールを摂取する高齢者において、顕著であった。・7時間未満の短時間睡眠は、高齢になるほど認知症リスクが低く、比較的若年の高齢者では認知症発症リスクが高かった。・睡眠障害および自覚している睡眠の質は、認知症またはアルツハイマー病と関連していなかった。・MR分析では、睡眠時間と認知症との因果関係が確認されなかった。 著者らは「これらの睡眠パターンを早期に検出することは、認知症リスクの高い人の特定に役立つであろう」としている。

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PPIだけでない?P-CABでも胃がんリスク上昇か/東大病院ほか

 ピロリ菌除菌後の胃がん発症とプロトンポンプ阻害薬(PPI)との関連が報告されている。近年、PPIに替わってカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が用いられているが、P-CABでもピロリ菌除菌者の胃がん発症リスクの上昇が認められたことが、新井 絢也氏(東京大学医学部附属病院 消化器内科)らによって、Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2024年2月12日号で報告された。感度分析でP-CAB群とPPI群を比較すると胃がん発症リスクは同等 本研究では、約1,100万例の患者情報を有する大規模レセプトデータを用いて、ピロリ菌除菌後患者5万4,055例を抽出し、P-CABによる胃がん発症リスクを検討した。P-CABによる胃がん発症リスクの上昇の有無は、胃がん発症リスクと関連がないとされるヒスタミン2受容体拮抗薬(H2RA)を内服する患者を対照群(H2RA群)とし、傾向スコアマッチングを行うことで評価した。また、感度分析として、P-CABを内服する患者(P-CAB群)とPPIを内服する患者(PPI群)を比較した。 P-CABによる胃がん発症リスクを検討した主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間3.65年時点において、5万4,055例のうち568例(1.05%)が胃がんを発症した。・P-CAB群の3~5年時の胃がん累積発症率は、3年時1.64%、4年時2.02%、5年時2.36%で、H2RA群はそれぞれ0.71%、1.04%、1.22%であった。・P-CAB群は、H2RA群と比較して胃がん発症リスクが有意に上昇した(ハザード比[HR]:1.92、95%信頼区間[CI]:1.13~3.25、p=0.016)。・P-CAB内服期間3年以上(HR:2.36)、P-CAB高用量(HR:3.01)ではさらに胃がん発症リスクが上昇し、用量・期間依存性も示された。・感度分析において、P-CAB群とPPI群を比較すると、胃がん発症リスクは同等であった(HR:0.88)。 著者らは、本研究結果について「P-CABはPPIと同様にピロリ菌除菌後の胃がん発症リスクを上昇させる可能性が考えられた。今後は、ピロリ菌除菌後患者に対する処方・内服期間の適正化や内視鏡サーベイランスの徹底が必要になる可能性がある」とまとめた。

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広範囲脳梗塞への血栓除去術併用、1年後も有効/Lancet

 広範囲脳梗塞患者において、内科的治療のみと比較し血管内血栓除去術の併用は90日時の身体機能を有意に改善することが示されていたが、その有効性は1年後の追跡調査においても維持されていた。米国・ケース・ウエスタン・リザーブ大学のAmrou Sarraj氏らが、「SELECT2試験」の1年アウトカムを報告した。広範囲脳梗塞患者に対する血管内血栓除去術の有効性と安全性は複数の無作為化試験で報告されているが、長期の有効性については不明であった。Lancet誌オンライン版2024年2月9日号掲載の報告。SELECT2試験のITT集団における1年時の機能的アウトカムを評価 SELECT2試験は、米国、カナダ、スペイン、スイス、オーストラリア、ニュージーランドの計31施設で実施された第III相の国際共同無作為化非盲検評価者盲検比較試験である。 研究グループは、内頸動脈または中大脳動脈M1セグメントの閉塞による急性期脳梗塞を呈し、非造影CTでASPECTSスコア3~5、またはCT灌流画像あるいはMRI拡散強調画像で虚血コア50mL以上の成人(18~85歳)患者を対象とし、血管内血栓除去術+内科的治療併用群または内科的治療単独群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 本解析の主要アウトカムは、ITT集団における追跡調査1年時の機能的アウトカム(修正Rankin尺度[mRS]スコア:0[無症状]~6[死亡])であった。3ヵ月時の有効性を1年時も維持 本試験は2019年10月11日~2022年9月9日に、計352例が無作為化された後(血管内血栓除去術併用群178例、内科的治療単独群174例)、中間解析(追跡調査90日時のアウトカム)において有効性が認められたため、早期に有効中止となった(ジャーナル四天王(2023/03/01)「広範囲脳梗塞、血栓回収療法の併用で身体機能が改善/NEJM」)。 1年時のmRSスコア中央値は、血管内血栓除去術併用群が5点(四分位範囲[IQR]:3~6)、内科的治療単独群は6点(4~6)で、血管内血栓除去術併用は内科的治療単独と比較してmRSスコア分布を有意に改善した(Wilcoxon-Mann-Whitney検定における優越確率:0.59[95%信頼区間[CI]:0.53~0.64]、p=0.0019、一般化オッズ比:1.43[95%CI:1.14~1.78])。 1年時の全死因死亡率は、血管内血栓除去術併用群45%(77/170例)、内科的治療単独群52%(83/159例)であった(1年死亡相対リスク:0.89、95%CI:0.71~1.11)。

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転移TN乳がんへのSG、日本人での有効性と安全性(ASCENT-J02)/日本臨床腫瘍学会

 日本人の既治療の転移トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対するsacituzumab govitecan(SG)の第II相試験の結果について、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で国立がん研究センター東病院の内藤 陽一氏が発表した。国際第III相ASCENT試験におけるSGと同程度の効果が認められ、安全性についても既知の安全性プロファイルと同様であったという。 SGは転移TNBCを対象としたASCENT試験において、医師選択治療に対して無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に改善し、米国、欧州、中国、シンガポール、韓国で2ライン以上の治療歴のある転移TNBCに承認されている。ASCENT-J02試験は、日本人の進行固形がん患者を対象とした非盲検第I/II相試験で、今回、既治療の転移TNBC患者を対象とした第II相試験における有効性と安全性の結果が報告された。・対象:切除不能な局所進行または転移/再発TNBCで、転移後に2ライン以上の標準化学療法後に難治または再発した患者36例・方法:SG(1、8日目に10mg/kg、21日ごと)を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで静脈内投与・評価項目:[主要評価項目]独立判定委員会(IRC)評価による奏効率(ORR)[副次評価項目]PFS、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、治験責任医師によるORR、OS、安全性 主な結果は以下のとおり。・データカットオフは2023年5月12日で、追跡期間中央値は6.1ヵ月だった。・年齢中央値は50歳(範囲:29~73歳)、65歳未満が94%、ECOG PS0が72%、HER2低発現は41%だった。・主要評価項目であるIRCによるORRは25%(95%信頼区間[CI]:12.1~42.2、p=0.0077)で、ASCENT試験におけるORR 31%(95%CI:25.6~37.0)と同程度だった。また、TTR中央値は1.6ヵ月(範囲:1.2~3.0)、DOR中央値は6.2ヵ月(95%CI:3.1~未到達[NR])であった。・PFS中央値は5.6ヵ月(95%CI:3.9~NR)で、ASCENT試験における4.8ヵ月(同:4.1~5.8)と同等だった。OS中央値は今回の解析時点ではNRだった。・Grade3以上の試験治療下における有害事象(TEAE)が72%に認められ、重篤なTEAEは14%に認められた。そのうち最も多かったのは好中球減少症(58%)と白血球減少症(36%)であった。 本試験の結果、SGは25%のORRを示し、PFS、TTR、DORの中央値もASCENT試験と同程度だった。安全性についても既知の安全性プロファイルとおおむね一致し、有害事象は支持療法と用量調節で管理可能で、新たな安全性シグナルは報告されなかった。内藤氏は「これらの結果は、日本人の転移TNBC患者に新たな標準治療としてSGの使用を支持する」と結論した。

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ペムブロリズマブ+化学療法の胃がん1次治療、アジア人の成績(KEYNOTE-859)/日本臨床腫瘍学会

 ペムブロリズマブと化学療法の併用は、アジア人の胃がんの1次治療においてもグローバルと同様、良好な結果を示した。 切除不能または転移を有するHER2陰性胃・食道胃接合部腺がんの1次治療におけるペムブロリズマブと化学療法併用を検討した第III相KEYNOTE-859試験のアジア人サブセット解析の結果を、神戸市立医療センター中央市民病院の安井 久晃氏が、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。 グローバルITT集団では、全生存期間(OS)中央値12.9ヵ月対11.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.78~0.87)、無増悪生存期間(PFS)6.9ヵ月対5.6ヵ月(HR:0.78、95%CI:0.67~0.85)と、ペムブロリズマブ・化学療法併用群が化学療法群に対して優越性を示している(追跡期間中央値31.0ヵ月)。・対象:HER2陰性の局所進行切除不能または転移のある胃・食道胃接合部腺がん・試験群:ペムブロリズマブ(200mg)+化学療法(FPまたはCAPOX)3週ごと(ペムブロリズマブ・化学療法併用群)・対照群:プラセボ+化学療法(FPまたはCAPOX)3週ごと(化学療法群)・評価項目:[主要評価項目]OS[副次評価項目]PFS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性 アジア人サブセットは525例で、ペムブロリズマブ・化学療法併用群は263例、化学療法群は262例であった。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値は28.6ヵ月であった。・OS中央値はペムブロリズマブ・化学療法併用群17.3ヵ月、化学療法群13.0ヵ月(HR:0.71、95%CI:0.58~0.87)であった。・PFS中央値はペムブロリズマブ・化学療法併用群8.4ヵ月、化学療法群5.8ヵ月(HR:0.72、95%CI:0.58~0.88)であった。・ORRはペムブロリズマブ・化学療法併用群61.2%、化学療法群48.9%であった。・DORはペムブロリズマブ・化学療法併用群10.0ヵ月、化学療法群6.6ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象は59.9%、44.7%であった。 これらの結果は、ペムブロリズマブの化学療法併用をHER2陰性胃・胃食道部腺がん1次治療の選択肢として支持するものだとしている。

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EGFR変異陽性NSCLCの1次治療、ラムシルマブ+エルロチニブのOS最終解析結果(RELAY)/日本臨床腫瘍学会

 未治療のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験(RELAY)において、VEGFR-2阻害薬ラムシルマブとEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)エルロチニブ併用の有用性が検証されている。エルロチニブへのラムシルマブの上乗せは、エルロチニブ単剤と比較して主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが報告され1)、実臨床でも本レジメンが用いられている。本試験は対象患者の約半数が日本人であり、日本人集団の有効性が良好で、とくにEGFR exon21 L858R変異を有するサブグループでさらに有効である可能性が報告されており2)、全生存期間(OS)の解析結果が期待されていた。第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)において、中川 和彦氏(近畿大学病院 がんセンター長)が世界に先駆け本試験のOSの最終解析結果を報告した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:未治療のEGFR変異陽性(exon19del、exon21 L858R)StageIV NSCLC患者・試験群:ラムシルマブ(10mg/kg、隔週)+エルロチニブ(150mg/日)を病勢進行または中止基準に該当するまで投与(併用群:224例[日本人:106例])・対照群:エルロチニブ(同上)を病勢進行または中止基準に該当するまで投与(単剤群:225例[日本人:105例])※・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]OS※、奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、安全性・データカットオフ日:2023年10月20日※:OSの解析は約300例のイベント発生時に実施することが事前に規定され、データカットオフ時点で297例にイベントが発生した。検出力は設定されなかった。 主な結果は以下のとおり。・ITT集団におけるPFSの改善は、OS解析時(追跡期間中央値45.1ヵ月)まで一貫していることが確認された(層別ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.53~0.83、p=0.0002)。・日本人集団におけるPFS中央値は、併用群19.4ヵ月(ITT集団:19.6ヵ月)、単剤群11.2ヵ月(同:12.4ヵ月)であった(HR:0.69、95%CI:0.51~0.93)。・日本人集団におけるOS中央値は、併用群54.3ヵ月(ITT集団:51.1ヵ月)、単剤群46.0ヵ月(同:46.0ヵ月)であり(HR:0.91、95%CI:0.65~1.26)、OS中央値の差は8.3ヵ月(同:5.1ヵ月)であった。・日本人集団における4年OS率は併用群57.6%(ITT集団:52.8%)、単剤群48.0%(同:48.3)であった。・日本人集団におけるL858R変異患者のOS中央値は、併用群54.3ヵ月(ITT集団:51.6ヵ月)、単剤群43.2ヵ月(同:45.8ヵ月)であり(HR:0.63、95%CI:0.40~0.99)、OS中央値の差は11.0ヵ月(同:5.9ヵ月)と、併用群が良好な傾向にあった。・日本人集団におけるexon19del変異患者のOS中央値は、併用群53.9ヵ月(ITT集団:49.0ヵ月)、単剤群62.1ヵ月(同:51.4ヵ月)であり(HR:1.40、95%CI:0.65~1.26)、OS中央値の差は-8.2ヵ月(同:-2.4ヵ月)と、単剤群が良好な傾向にあった。・病勢進行時のEGFR exon20 T790M変異の発現率は、治療群によって違いはみられなかった(日本人集団の併用群52.0%[ITT集団:47.0%]、単剤群51.0%[同:46.0%])。・日本人集団において、試験薬による治療終了後にEGFR-TKIによる治療を受けた患者の割合は併用群85.8%、単剤群85.7%であり、オシメルチニブによる治療を受けた割合はそれぞれ60.4%、55.2%であった。・日本人集団におけるGrade3以上の有害事象は、併用群81.9%(全体の安全性解析対象集団:76.0%)、単剤群61.9%(同:56.4%)に発現し、全治療薬の中止に至った治療関連有害事象は、それぞれ18.1%(同:16.3%)、21.9%(同:11.1%)に認められた。・安全性プロファイルは、既報と同様であった。 本研究結果について、中川氏は「OSの検出力の設定はなされていなかったが、ラムシルマブとエルロチニブの併用により、臨床的意義のあるOS中央値の数値的な延長がITT集団と日本人集団で示された。OS中央値の数値的な延長は、日本人患者および日本人のL858R変異を有する患者で顕著であった。この結果から、これらの患者集団にはエルロチニブとラムシルマブの併用療法がベネフィットをもたらすことが示唆された」とまとめた。

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単純性尿路感染症、新規経口抗菌薬gepotidacinが有効/Lancet

 世界219施設で実施された単純性尿路感染症の女性患者を対象とする無作為化二重盲検実薬対照第III相非劣性試験「EAGLE-2試験」および「EAGLE-3試験」において、新規経口抗菌薬gepotidacinはnitrofurantoinと比較し、治療成功率に関して非劣性(EAGLE-2試験)および優越性(EAGLE-3試験)が検証された。ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのFlorian Wagenlehner氏らが報告した。gepotidacinは、新規の作用機序を有するトリアザアセナフチレン骨格の抗菌薬で、他の抗菌薬とは異なる作用機序と独自の結合部位により細菌のDNA複製を阻害し、2つの異なるII型トポイソメラーゼ酵素をバランスよく阻害する。著者は、「gepotidacinは、臨床的に重要な薬剤耐性菌を含む一般的な細菌性尿路病原体に対して有効な新規クラスの経口抗菌薬として、患者に大きな恩恵をもたらす可能性がある」とまとめている。Lancet誌2024年2月24日号掲載の報告。gepotidacin群とnitrofurantoin群に無作為化、1日2回5日間経口投与 EAGLE-2試験およびEAGLE-3試験の対象は、出生時女性で妊娠しておらず、12歳以上かつ体重40kg以上であり、排尿困難、頻尿、尿意切迫感、下腹部痛の症状のうち2つ以上を有し、さらに、亜硝酸塩または膿尿(白血球数>15/HPF、白血球エステラーゼ3+または強陽性)が認められた単純性尿路感染症患者。 対象者を、gepotidacin群(1,500mgを1日2回5日間経口投与)またはnitrofurantoin群(100mgを1日2回5日間経口投与)に、年齢区分(18歳未満、18~50歳、50歳以上)および再発歴で層別化し、1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、治療開始10~13日後の治癒判定(Test-Of-Cure:TOC)のための来院時における治療成功(細菌学的消失と臨床的消失の複合)であった。解析対象集団は、nitrofurantoin感受性の細菌性尿路病原体(≧105CFU/mL)を有し、試験薬を少なくとも1回投与された患者とした。非劣性マージンは、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)のガイダンスに従って10%(片側p=0.025)とした。安全性は、無作為に割り付けられた試験薬を少なくとも1回投与された全患者を対象に評価した。10~13日後の治療成功率、gepotidacin群50.6~58.5%、nitrofurantoin群43.6~47.0% EAGLE-2試験は2019年10月17日~2022年11月30日、EAGLE-3試験は2020年4月23日~2022年12月1日に実施され、それぞれ1,531例および1,605例が無作為に割り付けられた(EAGLE-2試験:gepotidacin群767例、nitrofurantoin群764例、EAGLE-3試験:805例、800例)。両試験は中間解析の結果、有効中止となった。したがって、本報告の主要解析集団には、中間解析のデータカットオフ時点でTOC来院を満たした、または、TOC来院までに治療効果が得られなかったことが判明した患者のみが含まれた。 治療成功が得られた患者の割合は、EAGLE-2試験でgepotidacin群50.6%(162/320例)、nitrofurantoin群47.0%(135/287例)(補正後群間差:4.3%、95%信頼区間[CI]:-3.6~12.1)、EAGLE-3試験でそれぞれ58.5%(162/277例)、43.6%(115/264例)(補正後群間差:14.6%、95%CI:6.4~22.8)であった。gepotidacinは、両試験においてnitrofurantoinに対し非劣性であることが示され、EAGLE-3試験では優越性が示された。 主な有害事象は、gepotidacin群が下痢(発現率:EAGLE-2試験14%[111/766例]、EAGLE-3試験18%[147/804例])、nitrofurantoin群が悪心(発現率:4%[29/760例]、4%[35/798例])であった。ほとんどは軽度または中等度で、生命を脅かすまたは致死的な有害事象は認められなかった。

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2030年末までにグローバル売上の3分の1をオンコロジーにする/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年2月19日、都内でオンコロジーメディアラウンドテーブルを開催した。 社長のケネット・ブライスティング氏はオンコロジー領域の展開に関する全体像を説明した。 ギリアドはグローバル戦略として、2030年末までに売り上げの3分の1をオンコロジー領域にするという目標を掲げている。日本法人でも、従来のウイルスや炎症に加え、オンコロジーを新たな注力領域とした。すでに、2023年のAxi-Cel(商品名:イエスカルタ)販売承継、24年には抗Trop-2抗体薬物複合体sacituzumab govitecan(SG)の乳がんに対する国内製造承認を申請している。25年以降は、肺がんなど固形がんに対するSGの追加適応、急性リンパ性白血病およびメルケル細胞リンパ腫を適応とした同社2剤目となるCAR-T brexucabtagene autoleucel(Brexu-Cel)の上市を計画している。 開発本部長の表 雅之氏は固形がんにおけるSGの展開について説明した。Trop-2は上皮細胞の膜表面タンパクで細胞内シグナル伝達に関与する。さらにTrop-2高発現は、がんの予後不良因子であることが知られる。SGはTrop-2を標的とした抗体とイリノテカンの活性代謝物SN-38の抗体複合体として抗腫瘍活性を発揮する。 SGはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)、HR+/HER2-乳がん、および尿路上皮がん治療薬として海外で承認されている。日本では2024年1月、第III相ASCENT試験1)および国内第II相ASCENT-J02試験2)の結果を基に、2ライン以上の治療歴のある進行TNBCに対する製造承認申請をした。乳がんに対してはさらに、TNBCの1次治療3)、HER2-例の術後補助療法4)、HR+例(3次治療および内分泌療法抵抗例)5)についての治験もグローバルで行われている。 SGの開発は非小細胞肺がん(NSCLC)でも進行中である。今年(2024年)1月にプレス発表された既治療のNSCLCにおける第III相EVOKE-01試験では、主要評価項目(全生存期間[OS])は未達であったものの、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)無効例では3ヵ月以上OSを延長したと発表している6)。NSCLCではさらに、1次治療での試験7)、ICIとの併用8)も進行中である。 そのほか胃・食道胃接合部がん、頭頸部がん、小細胞肺がん、子宮内膜がん、大腸がん、膵がんでSGのグローバル臨床試験が進行している。日本ではTNBC、HR+HER2-乳がん、膀胱がん、NSCLCで治験を実施中である。 ブライスティング氏は今後の開発について、多くの製薬企業やバイオテック企業と連携して開発を推進したいとしている。また、昨今問題となっているドラッグロス問題に関連して、グローバルの試験には日本法人として第III相から参加していきたいと述べた。■参考1)ASCENT試験(Clinical Trials.gov)2)ASCENT‐J02試験(jRCT)3)ASCENT-03試験(Clinical Trials.gov)4)SASCIA試験(Clinical Trials.gov)5)TROPiCS-02試験(Clinical Trials.gov)6)EVOKE-01試験(Clinical Trials.gov)7)EVOKE-02試験(Clinical Trials.gov)8)EVOKE-03試験(Clinical Trials.gov)

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第183回 新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省2.アルコールは少量でも要注意、飲酒ガイドラインを公表/厚労省3.SNSが暴いた入試ミス、PC操作ミスによる不合格判定が発覚/愛知医大4.専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センターを現地調査へ/専門医機構5.医師らの未払い時間外手当、小牧市が8億円支給へ/愛知県6.診療報酬改定で人気往診アプリ『みてねコールドクター』が終了へ/コールドクター1.新型コロナ公費支援は3月末で終了、通常の医療体制へ/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する医療費の公費支援を2024年3月末で終了し、4月から通常の医療体制に完全移行する方針を発表した。これまで、COVID-19の治療薬や入院医療費に関しては、患者や医療機関への一部公費支援が継続されていたが、4月からは他の病気と同様に保険診療の負担割合に応じた自己負担が求められるようになる。COVID-19への公費支援は、治療薬の全額公費負担が2021年10月より始まり、昨年10月には縮小された。また、患者は年齢や収入に応じ、3,000~9,000円の自己負担をしていた。4月からは、たとえば重症化予防薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)を使用する場合、1日2回5日分の処方で約9万円のうち、3割負担であれば約28,000円を自己負担することになる。また、月最大1万円の入院医療費の公費支援や、コロナ患者用病床を確保した医療機関への病床確保料の支払いも終了する。COVID-19の感染状況は改善傾向にあり、定点医療機関当たりの感染者数が12週ぶりに減少している。これらの背景から、政府は公費支援の全面撤廃と通常の診療体制への移行が可能と判断した。さらに、次の感染症危機に備え、公的医療機関などに入院受け入れなどを義務付ける改正感染症法が4月から施行される。参考1)新型コロナの公費負担、4月から全面撤廃へ…治療薬に自己負担・入院支援も打ち切り(読売新聞)2)新型コロナ公費支援 3月末で終了 4月からは通常の医療体制へ(NHK)3)新型コロナ公費支援、3月末で完全廃止 厚生労働省(日経新聞)2.アルコールは少量でも要注意、飲酒ガイドラインを公表/厚労省厚生労働省は、飲酒による健康リスクを明らかにするため、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表した。初めて作成されたこの指針では、純アルコール量に着目し、疾患別に発症リスクを例示している。大腸がんのリスクは1日20g以上の純アルコール摂取で高まり、高血圧に関しては少量の飲酒でもリスクが上昇すると指摘されている。純アルコール量20gは、ビール中瓶1本、日本酒1合、またはウイスキーのダブル1杯に相当。ガイドラインによると、脳梗塞の発症リスクは、男性で1日40g、女性で11gの純アルコール摂取量で高まる。女性は14gで乳がん、男性は20gで前立腺がんのリスクが増加する。さらに、男性は少量の飲酒でも胃がんや食道がんを発症しやすいと報告されている。とくに女性や高齢者は、体内の水分量が少なくアルコールの影響を受けやすいため、注意が必要。また、女性は少量や短期間の飲酒でもアルコール性肝硬変になるリスクがあり、高齢者では認知症や転倒のリスクが一定量を超えると高まる。ガイドラインでは、不安や不眠を解消するための飲酒を避け、他人への飲酒を強要しないこと、飲酒前や飲酒中の食事の摂取、水分補給、週に数日の断酒日の設定など、健康への配慮としての留意点も挙げている。厚労省の担当者は、「体への影響は個人差があり、ガイドラインを参考に、自分に合った飲酒量を決めることが重要だ」と強調している。参考1)健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(厚労省)2)ビールロング缶1日1本で大腸がんの危険、女性は男性より少量・短期間でアルコール性肝硬変も(読売新聞)3)飲酒少量でも高血圧リスク 健康に配慮、留意点も 厚労省が初の指針(東京新聞)3.SNSが暴いた入試ミス、PC操作ミスによる不合格判定が発覚/愛知医大愛知医科大学(愛知県長久手市)は、大学入学共通テストを使用した医学部入学試験の過程で、PC操作ミスにより本来2次試験の受験資格を有していた80人の受験生を誤って不合格としていたことを発表した。この問題は、SNS上で受験生間の投稿を通じて疑問が提起され、その後の大学による確認作業で明らかになった。受験生は、自己採点結果から「自分より点数が低い友人が合格している」といった内容をSNSに投稿していた。操作ミスは、大学入試センターから提供された成績データを学内システムに転記する際に発生したもので、一部受験生の点数が実際よりも低く記録されてしまったことが原因。発覚後、同大学は該当する80人の受験生に対し、予定されていた2次試験への参加資格があることを通知し、さらに受験できない者のために別の日程も設定した。この事態を重くみた大学は、「受験生に混乱を招いたことを深くお詫びする」との声明を発表し、今後のチェック体制の見直しを約束し、2度と同様のミスが発生しないようにするとしている。参考1)令和6年度医学部大学入学共通テスト利用選抜(前期)における 第2次試験受験資格者の判定ミスについて(愛知医大)2)愛知医科大学 医学部入試で80人を誤って不合格に PC操作ミスで(NHK)3)愛知医科大、PC操作ミスで80人誤って不合格…SNSで結果疑う投稿相次ぎ大学が確認し判明(読売新聞)4)「自己採点で自分より低い友人が合格」愛知医科大、判定ミスで80人不合格に(中日新聞)4.専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センターを現地調査へ/専門医機構日本専門医機構は、2024年2月19日の定例記者会見で、2024年度に研修を開始する専攻医の採用予定数が9,496人と発表し、過去最多であることを明らかにした。2023年度の9,325人から増加し、とくに整形外科で93人、救急科で66人の増加がみられる一方、皮膚科では51人、外科では25人の減少が確認された。同機構理事長の渡辺 毅氏は、外科専攻医の減少は問題であると指摘している。専攻医数の増加は、東北医科薬科大学や国際医療福祉大学の医学部新設とその卒業生の専攻医登録が影響しているとされ、とくに医師不足が指摘されている外科は微減傾向にあるものの、救急科では増加が予想されている。また、専攻医の過労自死問題を受け、甲南医療センター(神戸市)でのサイトビジット(現地調査)を実施する予定であり、専攻医の心身の健康維持や時間外勤務の上限明示などの環境整備が適切に行われているかを目的に調査が行われる。渡辺氏は、「得られた知見を将来の専攻医研修プログラムや専門医制度の整備指針の改善に生かしたい」と述べている。専攻医遺族が甲南医療センター側を提訴しているため、訴訟に影響が出ないような日程での実施を目指している。参考1)2024年度専攻医、整形外科や救急科で増加(日経メディカル)2)来年度の専攻医、昨年度比150人増の9,500人(Medical Tribune)5.医師らの未払い時間外手当、小牧市が8億円支給へ/愛知県小牧市民病院(愛知県)が、医師や薬剤師を含む約277人の職員に対して、夜勤や土日祝日の当直業務で適切に支払われていなかった時間外勤務手当の差額約8億円を支給することを発表した。これは、病院の医師の働き方改革を機に勤務や手当の見直しが行われた際に、複数の医師からの指摘を受けて発覚、本来、労働実態に応じて支給されるべき時間外手当が、一律の定額で支給されていたことが問題となったもの。病院側は、2023年4月からこの問題を調査し、約4年分の差額を医師、薬剤師、放射線技師などの職員に支払うことを決定した。また、3月以降は時間外勤務手当を適切に支給する制度に改めることも発表した。これまでの誤った運用は「慣例に従っていた」との理由から起こったとしている。さらに、病院は夜間や休日の手当の見直しも発表し、2020年4月~2024年2月までの間に当直業務に従事した職員に対して、法律で定められた賃金よりも過小だった手当の差額を支給する。病院側はこれまで、労働基準法に基づいた時間外勤務手当の支給が必要な場合、特例措置として「宿日直許可」を労働基準監督署に申請する必要があることを知らなかったと述べている。この措置により、病院は正規の時間外勤務手当とこれまで支給してきた手当との差額を職員に支給し、法律に準拠した形での勤務条件の改善を目指す。差額の支払いについては、市議会定例会に補正予算案を提出し、支払いは5月下旬に行われる予定。参考1)時間外手当、差額8億円支払いへ 医師ら277人に 愛知の市民病院(朝日新聞)2)小牧市民病院、夜間・休日手当見直しへ 20年以降の差額も支給(中日新聞)6.診療報酬改定で人気往診アプリ『みてねコールドクター』が終了へ/コールドクター夜間や休日に医師の往診をWebやアプリから依頼できるサービス「みてねコールドクター」が、診療報酬の改定により条件が厳格化されるため、3月31日をもって終了することが発表された。このサービスは、子供の医療助成制度適用で都内では自己負担0円(交通費別)で利用が可能で、約400人の医師が登録・在籍し、夜間・休日の急病時に最短30分で自宅に医師を派遣し、その場で薬を渡すことができた。2022年にはミクシィとの資本業務提携を経て、サービス名に「みてね」のブランドを冠し、とくに子育て世代から高い評価を得ていた。今回の診療報酬改定では、医療従事者の賃上げなどに充てるための基本報酬の引き上げが注目されていたが、往診サービスについては「普段から訪問診療を受けていない患者」への緊急往診や夜間往診の診療報酬が低下し、この変化に伴い「みてねコールドクター」はサービスの終了を決定した。同社は、今後の市場の変化を見据えての決定であると説明しており、オンライン診療や医療相談サービスは継続する。診療報酬の改定では、救急搬送の不必要な減少や医療現場の負担軽減を期待していたが、実際には小児科領域の往診が主であり、コロナ禍での特殊な状況下では多くの人にとって救いとなった。しかし、保険診療の方向性としては、緊急時のみに駆けつける医師ではなく、日常を支えるかかりつけ医の強化が求められている。参考1)往診のサービス提供終了のお知らせ(コールドクター)2)往診アプリ「みてねコールドクター」往診終了 診療報酬改定で(ITmedia NEWS)3)「みてねコールドクター」の往診サービスが終了に(Impress)4)人気の“往診サービス”が突然の終了、理由は「診療報酬改定」なぜ?(Withnews)

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事例042 残廃棄注射薬剤の算定漏れ【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では気管支喘息の小児にアンプル容器(略称「A」)に入ったアミノフィリン(商品名:ネオフィリン)が静注されています。ネオフィリン注を幼児に使用する場合には、体重に応じて比例投与が求められています。比例投与後に残された薬剤は衛生上の問題などから再使用できずに廃棄せざるを得ません。明確な規定はありませんが、こうした理由からアンプル単位で使用する薬剤は、全量を使用したものとみなしての請求が認められています。この場合には、かならず「残廃棄」「0.6A使用残廃棄」などと、残量を廃棄したコメントを付けなければなりません。なぜなら、体重などに応じた投与量が添付文書の適用範囲から外れていると判定された場合には、外れた範囲が査定になることがあるからです。ほかのアンプル入り医薬品も同様です。比例請求することは、誤りではありません。しかし、アンプル容器入りには高価な医薬品があります。認められた請求方法を確実に利用して、廃棄分もコスト回収することが医療機関にとっては大切なことです。医薬品にはアンプル容器入りのほかに複数回使用ができるバイアル、瓶などの容器があります。その場合も含めて、「使用後の残液は使用しない」「調整後は速やかに使用する」と添付文書に記載されている医薬品は、通知などで示された場合を除き、全量請求が認められます。医療費計算システムには、アンプルやバイアルなどの1本単位で全量請求が認められる注射用医薬品を抽出、比例計算が行われた場合には、注意喚起が表示されるように改修して算定漏れ対策としました。

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