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うつ病に有効な運動は?/BMJ

 運動はうつ病にとって有効な治療法であり、とくに運動強度が強いウォーキングやジョギング、ヨガ、筋力トレーニングが他の運動よりも有効であり、またヨガと筋力トレーニングは他の治療法と比べて忍容性が良好であることが示された。運動は、併存疾患の有無やうつ病の重症度を問わず、有効性は同等とみられることも示唆されたという。オーストラリア・クイーンズランド大学のMichael Noetel氏らが、無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「今後の研究では、参加者やスタッフを盲検化することを目指せば、期待される効果を軽減することができるだろう」と指摘したうえで、「これらの運動は、うつ病治療の中心的な治療法として、心理療法や抗うつ薬と並んで検討されるものとなるだろう」とまとめている。BMJ誌2024年2月14日号掲載の報告。ネットワークメタ解析で、最適な運動量および方法を特定 研究グループは、心理療法、抗うつ薬およびコントロール条件との比較により、大うつ病性障害の治療に対する最適な運動量および方法を特定することを目的として、無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析を行った。 Cochrane Library、Medline、Embase、SPORTDiscus、PsycINFOデータベースを検索。大うつ病の臨床カットオフ値を満たす参加者を対象として、運動療法の効果について検討したあらゆる無作為化試験を適格とした。 スクリーニング、データ抽出、コードおよびバイアスリスクの評価は、2人の独立した著者により実行。主要解析では、アームベースのベイジアンマルチレベルネットワークメタ解析を行い、各群のエビデンスの質は、オンラインツールのCINeMA(confidence in network meta-analysis)を用いて等級付けした。筋力トレーニングとヨガが最も受容性が高い 検索により、218の特異的な研究(495群、被験者1万4,170例)が対象に含まれた。 アクティブコントロール群(例:通常ケア、プラセボ錠剤)と比較して、ウォーキングまたはジョギング(1,210例、κ=51、Hedges' g:-0.62[95%信用区間[CrI]:-0.80~-0.45])、ヨガ(1,047例、33、-0.55[-0.73~-0.36])、筋力トレーニング(643、22、-0.49[-0.69~-0.29])、混合有酸素運動(1,286、51、-0.43[-0.61~-0.24])、太極拳または気功(343、12、-0.42[-0.65~-0.21])は、うつ病を中程度に軽減したことが認められた。 運動の効果は、運動の強度に比例しており、筋力トレーニングとヨガが最も受容性の高い運動であることが示唆された。 結果は、出版バイアスに対して頑健であるとみなされたが、バイアスリスクが低いとのCochrane基準を満たした研究は1件のみであった。そのため、CINeMAによる信頼度はウォーキングまたはジョギングでは低く、その他の治療については非常に低いとの結果だった。

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非ウイルス性肝疾患による死亡リスクは女性の方が高い

 飲酒やメタボリックシンドローム(MetS)が関与して生じる肝臓の病気は、男性に比べて女性は少ないものの、それによる死亡率は男性よりも女性の方が高いことが報告された。青島大学医学院付属医院(中国)のHongwei Ji氏、米シダーズ・サイナイ医療センター、シュミット心臓研究所のSusan Cheng氏が、米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを解析した結果であり、「Journal of Hepatology」2月号にレターとして掲載された。 肝臓の病気の原因のうち、C型肝炎などのウイルスによるものは治療が進歩して患者数が減少している一方で、MetSなどの代謝性疾患に伴う脂肪性肝疾患「MASLD」やアルコール関連の肝疾患「ALD」、および代謝性疾患とアルコール双方の影響による肝疾患「MetALD」と呼ばれる肝疾患が増加している。Cheng氏は、それらの肝疾患の有病率と死亡率の実態を性別に検討した。 1988~1994年のNHANES参加者から、20歳未満および解析に必要なデータのない人を除外し、1万7人(平均年齢42±15歳、女性50.3%)を解析対象とした。各疾患の定義は、MASLDについては心臓代謝疾患のリスク因子があること、ALDは飲酒量がアルコール換算で男性420g/週超、女性350g/週超、MetALDは同順に210~420g/週、140~350g/週であり、画像検査で脂肪肝が確認されたものとした。 各疾患の患者数は、MASLDが1,461人、ALDが105人、MetALDが225人だった。これらの有病率を性別に見ると大きな性差が認められ、3タイプの疾患の全て、男性の有病率の方が高かった。具体的には、男性ではMASLD、ALD、MetALDの順に18.5%、1.7%、3.2%であるのに対し、女性は10.3%、0.3%、1.2%だった(すべてP<0.001)。一方、死亡リスクについては以下のように、女性の方が高い傾向にあった。 中央値26.7年の追跡で、2,495人の死亡が記録されており、年齢やBMI、人種、喫煙習慣、収縮期血圧、脂質異常症、糖尿病、降圧薬・血糖降下薬・脂質低下薬の処方、世帯収入などを調整後の死亡ハザード比を性別に検討。すると、MetALDに関しては女性でのみ有意なリスク上昇が確認された〔男性1.00(95%信頼区間0.79~1.28)、女性1.83(同1.29~2.57)。ALDは男性・女性ともに有意なリスク上昇が確認されたが〔男性1.89(1.42~2.51)、女性3.49(1.86~6.52)〕、女性のリスクの方が高い傾向にあった(P=0.080)。MASLDは男性・女性ともに有意なリスク上昇は観察されなかった。 MetALDの「Met」とは「代謝性の」という意味の「metabolic」の略であり、肝臓への脂肪の蓄積を引き起こす可能性がある代謝性の問題、つまり肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症を指している。研究グループでは、「これらのリスク因子のいずれかが該当する女性は、飲酒には特に注意が必要」と述べ、その理由を「飲酒と代謝の問題が組み合わさると、肝臓に脂肪がより蓄積しやすくなるからだ」と解説している。 しかし、なぜ女性の肝臓がこれらの変化に対して、男性よりも脆弱であるのかはまだ明らかにされていない。Cheng氏らは現在、その理由の解明と、そのようなリスクの抑制につながる介入方法の確立に向けて、新たな研究を計画している。

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3月6日 世界リンパ浮腫の日【今日は何の日?】

【3月6日 世界リンパ浮腫の日】〔由来〕2016(平成28)年にアメリカ・上院でリンパ浮腫の認識を高めるために3月6日を「World Lymphedema Day」(世界リンパ浮腫の日)と制定。そして、同じくリンパ浮腫の正しい知識と情報を共有し、治療環境の発展などを目的に患者と医療者の会である「リンパカフェ」が2018(平成30)年に制定。関連コンテンツ浮腫の見分け方、発症形式と部位を押さえよう!【Dr.山中の攻める!問診3step】浮腫による蜂窩織炎の再発予防、圧迫療法は有効か/NEJM乳がんリンパ浮腫のセルフケア、Webとパンフレットどちらが効果的術前化学療法を受けた乳がん患者の術後上肢リンパ浮腫、リスク因子は?/JAMA Surgery

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ハチ刺傷【いざというとき役立つ!救急処置おさらい帳】第12回

今回はハチ刺傷についてです。園芸作業をしているとき、洗濯物を干しているとき、登山をしているときなどいろいろな場所でハチに刺されることがあります。その際の対処法をTintinalli’s Emergency medicineと当直御法度を参考にしながらおさらいしましょう1,2)。なお、大量のハチに刺され、腫脹が大関節をまたぐほど広範囲の場合は対応が大きく異なるため、今回は一匹のハチに刺され、腫脹が大関節をまたがない事例を対象とします。<症例>50歳、男性主訴ハチに刺された病歴庭の草をむしっていたところ、右指先をハチに刺された。痛みが非常に強いため救急要請。アレルギー歴、既往歴、服薬歴特記事項なしさて、この患者さんが受診した場合どうしましょうか。順を追ってみていきましょう。(1)アレルギー症状の有無通常は、ハチに刺されたのみでは命にかかわることはありません。命にかかわる原因の最多がアナフィラキシーですので、まずはアナフィラキシー症状があるかどうかを確認しましょう。本症例は痛みが強いという主訴以外は、粘膜浮腫や呼吸症状、消化器症状、皮疹はありませんでしたので、アナフィラキシー症状はなしと判断しました。(2)針が残存していないかの確認アシナガバチやスズメバチは針を残しませんが、ミツバチは刺した後に針を残します。針が残っていれば除去する必要がありますが、除去の際に攝子や毛抜きを使って引き抜くのは避けます。針の中にある毒素をさらに注入してしまいます。爪やガーゼ、メスなどで軽くこすりながら取りましょう。こちらの動画はガーゼを用いて除去していてわかりやすいので参考にしてください。本患者には毒針がありませんでした。(3)洗浄と疼痛コントロール刺された部位を洗浄し、清潔に保ちましょう。鎮痛薬はロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどで対処します。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬を処方しましょう。外用ステロイド薬に関しては推奨する根拠がないため私は処方していません。痛みが強い場合は、リドカインとステロイドを局所注射する方法もあります2)。本症例のように疼痛が強い場合は、なるべく早く鎮痛薬を飲ませるのが患者の疼痛緩和のためにもよいです。アセトアミノフェンとロキソプロフェンを内服してもらったのですが、それでも疼痛が強く、過換気を起こしてしまいました。手指の先端であったため血流障害も検討しましたが、毛細血管再充満時間(CRT)は正常でした。本当に痛みが強いだけであったためリドカインを用いて指ブロックを行いました。(4)外来フォロー基本的に私は症状に合わせて対症療法を行い、外来フォローはしていません。ただし、数日経って痛みが急激に強くなるなどの症状が出た場合は、刺傷部の感染の可能性があるため医療機関を受診するように指導しています。この患者さんは上記の処置で疼痛が緩和し、症状も安定したため、アセトアミノフェンを処方して治療終了とし、とくに外来フォローの必要性はありませんでした。今回は、暖かくなってくると時折見かけるハチ刺傷の対処法のまとめでした。突然出会うと困ることもありますので、参考にしていただければと思います。1)Tintinalli JE, et al. Tintinalli’s Emergency Medicine: A Comprehensive Study Guide8th edition. McGraw-Hill Education;2016.2)寺沢 秀ほか. 研修医当直御法度 ピットフォールとエッセンシャルズ第6版. 三輪書店;2016.

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“抗加齢医学”の実学創造~北里 柴三郎博士の思いを継いで~

第24回日本抗加齢医学会総会が2024年5月31日(金)~6月2日(日)の3日間、熊本城ホールにて開催される。今回のテーマは『実学創造~老化制御の一新紀元』。大会長である尾池 雄一氏(熊本大学大学院生命科学研究部分子遺伝学講座 教授/熊本大学医学部長)に本総会に込める思いや注目演題について話を聞いた。予防医学の父、北里 柴三郎氏の精神を引き継ぐ2024年は新日本銀行券が発行されますが、新たな千円札紙幣の顔となる北里 柴三郎博士の生誕の地がこの熊本です。私自身も博士のモットーである『“実学の精神”をもって社会に貢献』にならい、これまで当たり前のように受け入れてきた年齢を重ねることで発症リスクが高まる脳・心血管疾患、悪性腫瘍など加齢関連疾患の発症を”抗加齢医学”の実践により予防するための研究を進めてきました。その思いを詰め込み、本学会総会初となる地方都市開催の実現とともに、北里 柴三郎博士の玄孫にあたる北里 英郎氏による講演「近代医学の父、予防医学の礎を築いた北里 柴三郎博士の功績」ほか、北里 柴三郎博士の意思、精神を引き継ぎ、抗加齢医学の実学創造に挑む関連演題をお届けします。また、会長企画シンポジウムでは、1)コホート研究から健康長寿の鍵を紐解く、2)ミトコンドリア研究から老化制御の実学創造/ミトコンドリア先制医療、3)Inflammagingから老化に迫る、4)老化を予測・制御する最先端研究といったテーマで各々の領域でご活躍されているの方々にご講演いただく予定です。また、『生物はなぜ死ぬのか』の著者で知られる小林 武彦氏(東京大学定量生命科学研究所附属生命動態研究センター 教授)、新たな年齢指標「epigenetic clock(生物学的年齢)」を開発したSteve Horvath氏(米国・カルフォルニア大学)、世界的なエイジング医学ジャーナルnpj Aging編集長のMarco Demaria氏(オランダ・フローニンゲン大学医療センター)を海外からお招きし、抗加齢医学におけるグローバルな話題も提供いたします。予防医学に光明、ミトコンドリア研究が熱い! 私は病的な老化を制御・予防する観点から主に2つの柱で研究を進めております。一つがミトコンドリア機能制御の解明と抗加齢医学への応用です。ヒトの細胞は一人あたりに約200種類、数十兆個が存在していますが、各々の細胞が正常に機能するにはエネルギーが不可欠です。ここで重要なのがミトコンドリアであり、ほぼすべての細胞においてエネルギーを生成する発電所的な役割を果たしているわけです。しかし、このミトコンドリアの機能が異常を示せば細胞レベルで異常がみられるようになり、また、機能異常が進むと、酸化ストレスとも呼ばれる活性酸素(ROS)が細胞内で産生されて体内の老化が一気に加速してしまいます。つまり、ミトコンドリアの機能をいかに正常に保つかが非常に重要課題であることから、さまざまな研究が進められており、近年ミトコンドリアだけにフォーカスした国際シンポジウムが頻繁に開催されたり、CellやNatureといった世界のトップ科学雑誌に新たな研究成果が立て続けに掲載されたりするなど、とても競争が激しくホットな領域なのです。たとえば、“細胞内小器官“であるミトコンドリアが、隣接する細胞間や遠隔の細胞間でやりとりされ、お互いの細胞機能に関わり老化に影響を与えることや、ミトコンドリアの機能に重要なミトコンドリアを構成するタンパク質の合成が活性化されていることが長寿に重要であることなど解明されており、ミトコンドリアを標的とした薬剤やサプリメントの開発など、抗加齢医学への応用が着実に進められています。そこで、皆さまにミトコンドリア研究の今を知ってもらうために、会長企画シンポジウムとしてご用意いたしました。老化に抗う時代の到来か!?もう一つの研究の柱が炎症老化(Inflrammaging)です。これは炎症を意味するinflammationと老化を意味するagingを組み合わせた造語で、老化に伴う慢性炎症のことです。炎症自体は感染や組織損傷への防御反応で、その多くは改善すれば自然と収まるものなので、悪いものではありません。しかしこれまでも、何らかの原因で炎症が遷延し慢性炎症を惹起し、がん化などに繋がることは注目されていました。しかし近年、老化した個体の中で変化し生じるさまざまな機構により慢性炎症が生じ、細胞/臓器/身体の機能低下をもたらし、老化表現型の出現および加齢関連疾患の発症・進展に寄与していることが明らかとなってきました。上述のミトコンドリアの変化も老化に伴う慢性炎症の原因の一つです。現在の老化予防としては老化細胞を除去(セノリシス)する方法や、それとは別に老化細胞のinflammagingなど老化を促進する特徴的な機能を阻害するセノモルフィックな戦略が注目され、既に米国を中心にヒトでの臨床研究が進んでおります。われわれもまた抗老化医学の実学創造の柱としてinflammagingの解明とその制御に挑んでおり、会長企画シンポジウムでもこの話題を盛り込みました。このほか、さまざまな視点から抗加齢に着目した教育講演やシンポジウム、日本血管生物医学会、日本肝臓学会、健康食品産業協議会などとの共催シンポジウム、2025年に向けた大阪万博や世界長寿サミットに関するセッションなどを取り揃え、どんな専門分野の医師、医療関係者も楽しめる総会となっています。ぜひ現地にて皆さまのご参加をお待ちしております。

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第202回 2024年診療報酬改定の内容決まる(後編) 「メリハリ」効かせ過ぎの敷地内薬局、調剤報酬激安化で患者数増加、逆に市中薬局離れ加速の可能性も

成田赤十字病院で人工肛門を大腸ではなく胃に造設する医療過誤発覚こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先週末、腰を抜かしそうな医療過誤のニュースが入って来ました。2022年に千葉県成田市の成田赤十字病院(青墳 信之院長)で行われた手術で、誤って人工肛門を大腸ではなく胃に造設していたというのです。3月1日付の共同通信等の報道によれば、患者は70歳代の女性で、手術には執刀医のほかに医師2人も立ち会っていたにもかかわらず、横行結腸か胃かを十分に確認することなく漫然と手術を行い胃に人工肛門を造設、術後の検査でやっとミスが発覚したとのことです。女性は再手術を受けた後、快方に向かっていましたが、今年1月に死亡しています。家族は2月27日、病院を運営する日本赤十字社(東京都港区)に計600万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴し、今回の医療過誤が表沙汰になりました。病院は医療過誤を認めているとのことです。日赤の病院の医療過誤としては、本連載の「第199回 脳神経外科の度重なる医療過誤を黙殺してきた京都第一赤十字病院、背後にまたまたあの医大の影(前編)」、「第200回 同(後編)」でも書いた、京都第一赤十字病院の事例が記憶に新しいところです。京都の隠蔽事例と大きく違うのは、今回は、腸と胃を間違えるという重大な過誤であり、患者家族が目で見てもわかりそうなミスだったということです。いずれにせよ、医療事故や医療過誤に対する日赤の体制には大きな問題があると言わざるを得ません。詳細がわかればまた続報しようと思います。普及・定着が全く進まなかったリフィル処方箋、テコ入れへさて、今回も前回に続き、2024年度診療報酬改定の内容のうち、本連載でも過去に取り上げた項目を中心に、いくつかその内容を見てみたいと思います。まず、2022年改定で財務省主導の鳴り物入りで導入された「リフィル処方箋」ですが、その普及・定着がまったく進まず医療費削減効果も軽微だったことから、大幅なテコ入れが行われます。リフィル処方箋については、2022年の診療報酬改定時に、本連載の「第96回 2022年診療報酬改定の内容決まる(前編)オンライン診療初診から恒久化、リフィル処方導入に日医が苦々しいコメント」でも詳しく書きました。2022年度改定における改定率決定の際の大臣合意では、リフィル処方箋の導入・活用促進による医療費効率化効果を、改定率換算でマイナス0.1%(医療費470億円程度)と見込んでいました。しかし、2023年11月に開かれた財政制度等審議会財政制度分科会で、予算未達の実態が明らかにされました。リフィル応需実績0.148%(2023年6月単月のリフィル応需回数/総受付回数[日本保険薬局協会の調査])の実績に基づいて単純計算すると、医療費効率化効果は年間マイナス70億円程度(改定率換算でマイナス0.014%程度)に留まっていたのです。財務省はこの時、リフィル処方箋による適正化効果が達成されるまでの期間、時限的に処方箋料を引き下げるなど、「その分を差し引く調整措置を講ずる必要がある」と厳しい提言をしていました。生活習慣病管理料(I)、(II)、地域包括診療料・地域包括診療加算の施設基準にリフィル処方箋対応盛り込むそうした経緯から、今回の改定では、各種診療報酬の施設基準に絡めてリフィル処方箋の普及・定着を目指すことになりました。今回、リフィル処方箋に関連した施設基準が盛り込まれた主な診療報酬は、診療所や中小病院を対象とする「生活習慣病管理料(I)(II)」、「地域包括診療料・地域包括診療加算」です。これらの算定要件に、患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、対応が可能であることを医療機関の見やすい場所に掲示し、患者から求められた場合に適切に対応する――ことが盛り込まれました。また、「特定疾患処方管理加算」については、リフィル処方箋の複数回の使用による合計の処方期間が28日以上でも算定可能となりました。財務省はリフィル処方箋普及・定着のPRを自ら行ってもいいのではリフィル処方箋の発行が普及・定着しなかった要因はいくつか考えられます。医療機関が実質収入減となるため積極的に取り組まなかったことに加え、医師側に次回診察までの間の患者管理を薬剤師に任せることに抵抗感があったことなどが指摘されています。また、薬剤師・薬局側(日本薬剤師会)も、日本医師会に遠慮してか、リフィル処方箋に積極的に取り組む姿勢を見せてこなかったことも原因の一つでしょう。私自身は、こうしたいくつかの原因に加えて、厚生労働省も財務省も、国民に対してリフィル処方の意味や利便性を国民に対してアピールしなかったことも大きいと考えます。「リフィル処方」と聞いて、ピンと来る国民はどれだけいるでしょうか。マイナンバー保険証もそうですが、国は制度をつくれば、国民は勝手に勉強して活用するようになると考えているフシがあります。今回のテコ入れは、従来型の診療報酬による医療機関の誘導策に過ぎません。財務省が本当に医療費削減のためにリフィル処方を普及・定着させたいのであれば、そのPRを厚労省だけに任せるのではなく、自らが前面に出て行ってもいいのではないでしょうか。敷地内薬局、「1薬局単位」の各報酬の引き締めに加えて誘致する病院側の評価も見直し薬剤・薬局関係の改定項目でもう1点気になったのは、「敷地外薬局」の扱いです。各地で急増中のいわゆる病院の同一敷地内薬局に対しては、中医協の議論で診療側、支払い側双方から厳しい対応を求める声が強く、厚労省からは「1薬局単位」ではなく「開設者(グループ)単位」の評価に見直す提案まで行われました。しかし、厚労省の提案に対し日本保険薬局協会などから強い反発もあり、そうした対応は一旦見送られ、今後の検討課題とされました。しかし、「1薬局単位」の各報酬の引き締めに加えて、誘致する病院側の評価見直しも盛り込まれました。敷地内薬局が算定する特別調剤基本料(敷地内の医療機関からの処方箋が5割超の場合に適用)がA・Bの2区分に見直され、届け出を行う特別調剤基本料Aは7点から5点に減点(届け出なしのBは3点)されました。各種加算、薬学管理料、薬剤料も大幅に見直されました。たとえば、地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算はこれまで100分の80に相当する点数を算定していましたが、改定後には100分の10となります。一方、敷地内薬局を誘致する医療機関側への措置も厳しいものとなりました。1ヵ月当たりの処方箋の交付が平均4,000回を超えており、交付する処方箋による調剤の割合が9割を超える薬局と不動産取引等の特別な関係を有する場合、処方箋料が減額になります。具体的には、現在の処方箋料1、2、3が28点、40点、68点のところ、それぞれ18点、29点、42点となります。さらに、敷地内薬局は急性期病院での開設が多いことから、2022年度改定では急性期充実体制加算が算定できなくなりましたが、今改定で2024年4月以降に新規誘致する場合は総合入院体制加算も算定不可となります。人口減社会、高齢社会に向けて、敷地内薬局はむしろ普及・定着させていくのが正解では薬局、病院双方にとって相当厳しい締め付けと言えます。しかし、これが本当に正しい医療提供体制の方向と言えるのでしょうか。敷地内薬局については、本連載の「第182回 アイン、『敷地内薬局』入札妨害事件が問うもの(前編)」「第183回 同(後編)」でも書きましたが、私自身はこれからの人口減社会、高齢社会に向けて、敷地内薬局は規制するのではなく、むしろよい具合に普及・定着させていくのが正解だと考えます。2月19日付のメディファクスによれば、日本保険薬局協会の三木田 慎也会長(総合メディカルグループ株式会社の代表取締役副社長)は2月15日の会見で、今改定での敷地内薬局の評価について「減額幅は常軌を逸するというか、大変大幅な引き下げで、ただただ驚いている」と語り、「(敷地内薬局を)合法でできる状態にしておいて、それに対してこのような評価をするというのは行政の判断としてどうなのか」と疑問を呈したそうです。確かに敷地内薬局を認めた官庁が関係団体等の圧力を理由に規制し直す、というのはある意味、理不尽と言えます。調剤報酬激安化で患者は割安な敷地内薬局を選択するようになる報酬をぐっと下げた結果、行政や関係団体が予期しなかった事態も起こりそうです。調剤報酬の激安化によって、患者はこれまで以上に市中の薬局を避け、安価な敷地内薬局で薬をもらうようになるかもしれないのです。2月19日付のダイヤモンド・オンラインは、「病院の敷地内薬局の『調剤料激安化』が止まらない!患者はどの薬局を選べば、いくらお得?」という記事を掲載、薬局の形態別に患者負担額を比較し、「実は『敷地内薬局』が患者の財布に最も優しい」と結論付けています。マイナンバーカード保険証を普及させ始めた当初、同保険証を使ったほうが患者負担が高くなる、という珍妙な施策を展開し批判を浴びた厚労省ですが、今回の敷地内薬局に対する締め付けも、結果として敷地内薬局の利便性(と割安感)を逆に患者に知らしめる結果となり、またまた各方面から批判を浴びるのではないかと心配になってしまいます。敷地内薬局については、2024年度診療報酬改定の答申の付帯意見に、「いわゆる同一敷地内薬局については、同一敷地内の医療機関と薬局の関係性や当該薬局の収益構造等も踏まえ、当該薬局及び当該薬局を有するグループとしての評価の在り方に関して、引き続き検討すること」と盛り込まれていますが、“規制するべき”という大前提を改め、ゼロベースでその在り方を議論し直すべきではないでしょうか。

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日本人の睡眠時間やその変化が認知症リスクに及ぼす影響

 睡眠時間およびその変化が長期的な認知症リスクに及ぼす影響について、これまでの研究結果は一貫していない。長崎大学の宮田 潤氏らは、日本人の中年期における睡眠時間およびその変化と認知症リスクとの関連を調査するため、本研究を実施した。その結果、長時間睡眠および睡眠時間の増加が認知症リスクと関連することが示唆された。Preventive Medicine誌2024年3月号の報告。 研究チームは、40~71歳の日本人4万1,731人を募集し、ベースライン時(1990~94年)の習慣的な睡眠時間および5年間のフォローアップ調査について記録した。睡眠時間の変化はベースライン時と5年間の測定結果の差として算出し、認知症の発症は介護保険制度の利用(2007~16年)で特定した。認知症発症のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の算出には、エリア層別Coxモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・36万389人年の間に、認知症を発症した人は4,621人であった。・7時間睡眠と比較した各睡眠時間の認知症発症の多変量HRは、J-shaped fashionで次のとおりであった(p for linear<0.001、p for quadratic<0.001)。【3~5時間】HR:1.13(95%CI:0.98~1.30)【6時間】HR:0.93(95%CI:0.85~1.02)【8時間】HR:1.06(95%CI:0.99~1.14)【9時間】HR:1.13(95%CI:1.01~1.27)【10~12時間】HR:1.40(95%CI:1.21~1.63)・睡眠時間の変化については、睡眠時間の変化がなかった人と比較した認知症発症のHRは次のとおりであった。【2時間以上の減少】HR:1.02(95%CI:0.90~1.16)【1時間の減少】HR:0.95(95%CI:0.88~1.03)【1時間の増加】HR:1.00(95%CI:0.91~1.09)【2時間以上の増加】HR:1.37(95%CI:1.20~1.58)・睡眠時間の減少との正の相関は、ベースライン時の睡眠時間が7時間以下の人で観察され、8時間以上の人では観察されなかった(p for interaction=0.007)。

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RSウイルスの疾病負担、早産児で長期的に増大/Lancet

 早産児は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)関連疾患の負担が過度に大きく、乳幼児のRSVによる入院の25%が早産児であり、とくに早期早産児で入院のリスクが高く、この状態は生後2年目までは続くことが、中国・南京医科大学のXin Wang氏らRespiratory Virus Global Epidemiology Networkが実施したRESCEU研究で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年2月14日号に掲載された。2歳未満の早産児の疾患負担をメタ解析で評価 研究グループは、在胎週数37週未満で出生した乳幼児におけるRSV関連の重症急性下気道感染症(ALRI)の世界的な疾病負担とリスク因子の評価を目的に、系統的レビューとメタ解析を行った(EU Innovative Medicines Initiative Respiratory Syncytial Virus Consortium in Europeの助成を受けた)。 1995年1月1日~2021年12月31日に発表された研究の集計データと、Respiratory Virus Global Epidemiology Networkが共有する呼吸器感染症に関する個々の患者データを用いて、早産で出生した2歳未満の乳幼児の地域におけるRSV関連ALRIの発生率、入院率、院内死亡率、および全死亡率を推定した。在胎週数32週未満を早期早産、32~<37週を後期早産とした。2019年のALRI 165万件、入院53万3,000件 47件の論文と、共同研究者の提供による個々の患者データを含む17件の研究を解析の対象とした。 2019年には、世界の早産児において、生後0~<12ヵ月にRSV関連ALRIエピソードが165万件(95%不確実性範囲[UR]:135万~199万)発生したと推定され、このうち154万件(93%)が開発途上国であった。 同様に、RSV関連入院は53万3,000件(95%UR:38万5,000~73万)で、このうち49万3,000件(92%)が開発途上国、RSV関連院内死亡は3,050件(95%UR:1,080~8,620)で、2,700件(88.5%)が開発途上国で発生した。また、RSVに起因する死亡が早産児で2万6,760件(95%UR:1万1,190~4万6,240)発生しており、これは全乳幼児のRSV死の40%(17~65)に相当した。早期早産児でALRIの発生率と入院率が高い 早期早産児では、RSV関連ALRIの発生率と入院率が、すべての在胎週数で出生した乳幼児と比較して有意に高かった(年齢別、アウトカム別の率比[RR]の範囲は1.69~3.87)。また、生後2年目(12~<24ヵ月)には、早期早産児は全乳幼児と比較して、RSV関連ALRIの発生率は同程度であったが、入院率は有意に高かった(RR:2.26、95%UR:1.27~3.98)。 後期早産児におけるRSV関連ALRIの発生率は、1歳未満の全乳幼児と同程度であったが、生後6ヵ月までのRSV関連ALRIによる入院率は後期早産児で高かった(RR:1.93、95%UR:1.11~3.26)。院内死亡率は同程度 全体として、すべての在胎週数の乳幼児におけるRSV関連ALRIによる入院の25%(95%UR:16~37)を早産児が占めた。早産児におけるRSV関連ALRIによる院内死亡率は全乳幼児と同程度であった。 RSV関連ALRIの発生との関連を認めた因子は、主に周産期および社会人口統計学的な特性(母親の妊娠中の喫煙、5歳未満の子供が2人以上いる家庭、多胎児)であった(オッズ比[OR]の範囲は1.68~1.80)。また、入院を要する感染による重篤なアウトカムとの関連を認めた因子は、主に先天性心疾患、気管切開、気管支肺異形成症、慢性肺疾患、ダウン症候群などの基礎疾患だった(ORの範囲は1.40~4.23)。 著者は、「これらの知見は、早産児および乳幼児におけるRSVの予防と臨床管理の戦略を最適化するための重要なエビデンスとなる」としている。

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小児尋常性乾癬、アプレミラストの有用性を第III相試験で検証

 中等症~重症の6~17歳の尋常性乾癬患者において、アプレミラストはプラセボと比較して全般的な疾患活動性および皮膚症状を有意に改善したことが、海外第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「SPROUT試験」の結果で示された。カナダ・アルバータ大学Stollery Children's HospitalのLoretta Fiorillo氏らが報告した。経口ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬のアプレミラストは、成人の尋常性乾癬患者に対する使用が、わが国を含め国際的に承認されている。しかし、中等症~重症の小児尋常性乾癬患者に対して使用が承認されている全身性治療薬は限られている。アプレミラストについては、第II相試験の探索的解析で小児患者の皮膚症状を改善することが示され、さらなる検討が支持されていた。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2024年1月22日号掲載の報告。 SPROUT試験は、局所療法でコントロール不十分/不良の6~17歳の中等症~重症尋常性乾癬患者(Psoriasis Area and Severity Index[PASI]スコア12以上、皮疹が体表面積[BSA]10%以上、static Physician Global Assessment[sPGA]スコア3以上)を対象とした。対象患者にアプレミラストを16週間投与し、有効性と安全性を検証した。 対象患者を年齢(6~11歳、12~17歳)で層別化し、2対1の割合で無作為にアプレミラスト群またはプラセボ群に割り付けた。アプレミラスト群の患者には、体重に基づき20mgを1日2回(体重20kg以上50kg未満)または、30mgを1日2回(体重50kg以上)16週間投与した。その後、52週まで両群の患者にアプレミラストを投与した。 主要エンドポイントは、16週時のsPGA達成(ベースラインから2点以上低下かつスコア0[消失]または1[ほぼ消失])であった。主要な副次エンドポイントは、16週時のPASI-75達成(PASIスコアがベースラインから75%以上低下)であった。 主な結果は以下のとおり。・2018年12月~2021年12月に、計245例が無作為化された(アプレミラスト群163例[20mg群80例、30mg群83例]、プラセボ群82例)。平均年齢は12歳(6~11歳群41.2%、12~17歳群58.8%)、約50%が女子で、86.9%が白人であった。尋常性乾癬の平均罹病期間は4年、ベースラインの平均PASIスコアは19.8、sPGAスコアは3(中等症)が75.5%、4(重症)が24.5%であった。・16週時のsPGA達成率は、アプレミラスト群(33.1%)がプラセボ群(11.5%)より有意に高率であった(p<0.0001)。・同様にPASI-75達成率は、アプレミラスト群(45.4%)がプラセボ群(16.1%)より有意に高率であった(p<0.0001)。・sPGA達成率は、6~11歳群(49.6%)が12~17歳群(21.5%)よりも高率であり、20kg以上50kg未満群(47.4%)が50kg以上群(19.2%)よりも高率であった。PASI-75の結果についても同様であった。・安全性に関する新たなシグナルは観察されなかった。

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ソトラシブ、アジア人のKRAS G12C変異陽性肺がんに対する成績(CodeBreaK200)/日本臨床腫瘍学会

 既治療のKRAS G12C変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するソトラシブの第III相CodeBreaK 200試験におけるアジア人サブグループ解析を、九州大学の岡本 勇氏が第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表した。・対象:免疫チェックポイント阻害薬と化学療法薬の治療歴を有するKRAS G12C変異陽性のNSCLC(過去の脳転移治療例は許容)・試験群:ソトラシブ960mg/日(Soto群:171例)・対照群:ドセタキセル75mg/m2 3週ごと(Dtx群:174例)Dtx群からSoto群へのクロスオーバー投与は許容・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性、患者報告アウトカムなど 主な結果は以下のとおり。・アジア人集団は37例(日本24例、韓国13例)、Soto群18例、Dtx群19例であった。・アジア人患者の年齢中央値はSoto群65.0歳、Dtx群68.0歳で、ほとんどが現および前喫煙者であった。・BICR評価のPFS中央値はSoto群8.3ヵ月、Dtx群5.6ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.18〜1.15)。・BICR評価のORRはSoto群 27.8%、Dtx群15.8%、病勢制御率はSoto群94.4%、Dtx群57.9%であった。・BICR評価による奏効に至るまでの期間はSoto群1.3ヵ月、Dtx群2.3ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はSoto群の44.4%、Dtx群の62.5%で発現した。・Soto群で頻度が高かったTRAEは下痢、悪心、肝機能障害(AST、ALT、ALP上昇)であった。

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RNA干渉薬zilebesiran、年2or4回投与で有意な降圧効果/JAMA

 軽症~中等症の成人高血圧患者において、zilebesiranの3ヵ月または6ヵ月間隔での投与により、3ヵ月の時点での24時間自由行動下収縮期血圧(SBP)の平均値が有意に低下し、この効果は最長で6ヵ月間持続することが、米国・シカゴ大学医学大学院のGeorge L. Bakris氏らが実施した「KARDIA-1試験」で示された。zilebesiranは、アンジオテンシンペプチドの主要な前駆体であり、全身血圧の重要な調節因子であるアンジオテンシノーゲンの肝合成を標的とするRNA干渉治療薬。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年2月16日号で報告された。4ヵ国の無作為化プラセボ対照用量設定第II相試験 KARDIA-1試験は、4ヵ国(カナダ、ウクライナ、英国、米国)の78施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照用量設定第II相試験であり、2021年7月にスクリーニングを開始し、2023年6月に最後の患者が受診した(Alnylam Pharmaceuticalsの助成を受けた)。 対象は、成人の軽症~中等症の高血圧患者(降圧薬ウォッシュアウト後の外来SBPの日中の平均値が135~160mmHgと定義)であった。被験者を、4種類の用量のzilebesiran(150mg、300mg、600mgを6ヵ月ごと、300mgを3ヵ月ごと)またはプラセボ(3ヵ月ごと)を皮下投与する群に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、24時間自由行動下SBPのベースラインから3ヵ月後までの変化とした。全用量で有意な降圧効果 377例(平均年齢57[SD 11]歳、女性167例[44.3%]、黒人93例[24.7%])を最大の解析対象集団とした。zilebesiranの6ヵ月ごと150mg群が78例、同6ヵ月ごと300mg群が73例、同3ヵ月ごと300mg群75例、同6ヵ月ごと600mg群が76例、プラセボ群は75例であった。 3ヵ月の時点でのべースラインからの24時間自由行動下SBPの変化は、6ヵ月ごと150mg群が-7.3mmHg(95%信頼区間[CI]:-10.3~-4.4)、3ヵ月または6ヵ月ごと300mg群が-10.0mmHg(-12.0~-7.9)、6ヵ月ごと600mg群が-8.9mmHg(-11.9~-6.0)、プラセボ群は6.8mmHg(3.6~9.9)であった。 ベースラインから3ヵ月後までの変化におけるプラセボ群との最小二乗平均(LSM)差は、6ヵ月ごと150mg群が-14.1mmHg(95%CI:-19.2~-9.0、p<0.001)、3ヵ月または6ヵ月ごと300mg群が-16.7mmHg(-21.2~-12.3、p<0.001)、6ヵ月ごと600mg群は-15.7mmHg(-20.8~-10.6、p<0.001)だった。また、6ヵ月の時点でも、ほぼ同様の結果が得られた。重篤な有害事象は3.6% 6ヵ月の時点で、有害事象はzilebesiran群で60.9%、プラセボ群で50.7%に発現し、重篤な有害事象はそれぞれ3.6%および6.7%に認めた。重篤でない薬物関連有害事象は、zilebesiran群で16.9%(主に注射部位反応と軽度の高カリウム血症)、プラセボ群で8.0%に発生した。 著者は、「zilebesiranは、年4回または2回の投与で、有効な降圧薬として使用可能となると考えられる」とし、「これらのデータは、高血圧の治療戦略としてのzilebesiranの、さらなる検討を支持するものである」「今後は、単剤または他の降圧薬との併用における長期的な安全性プロファイルの評価が求められる」と指摘している。

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B7-H3標的ADCのI-DXd、固形がんへの有効性・安全性は?/日本臨床腫瘍学会

 既治療の進行・転移固形がん患者を対象として、抗B7-H3(CD276)抗体薬物複合体ifinatamab deruxtecan(I-DXd;DS-7300)の有用性が検討されている。第I/II相試験(DS7300-A-J101)の小細胞肺がん(SCLC)、食道扁平上皮がん(ESCC)、去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)、扁平上皮非小細胞肺がん(sqNSCLC)における最新結果が、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)において、土井 俊彦氏(国立がん研究センター 先端医療開発センター長)により報告された。 B7-H3は免疫関連分子であり、多くの固形がんで発現が認められるが、正常組織では発現しないか非常に低発現であると報告されている。また、B7-H3が高発現であると、予後が不良であることも報告されている1,2)。I-DXdは、国内で製造販売承認を取得しているトラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)と同じリンカーとペイロードを用いた製剤である。 DS7300-A-J101試験は、既治療の進行・転移固形がん患者を対象とした第I/II相試験で、用量漸増パートと用量拡大パートから構成されている。用量拡大パートでは、推奨用量となったI-DXd 12.0mg/kgが3週ごとに投与された。I-DXdは10がん種の174例に投与され、本発表では、そのうちSCLC患者21例(日本人:5例)、ESCC患者28例(同:20例)、mCRPC患者59例(同:8例)、sqNSCLC患者13例(同:5例)における有効性、I-DXdが投与された全患者の安全性の結果が発表された。安全性の解析はI-DXdを投与された全例、有効性の解析はI-DXdを4.8~16.0mg/kgの用量で投与された患者が対象となった。 主な結果は以下のとおり。・SCLC、ESCC、mCRPC、sqNSCLC患者における有効性の結果は以下のとおり(括弧内は日本人のデータ)。 -追跡期間中央値(月):11.7(6.7)、14.9(14.9)、16.6(14.5)、5.2(4.4) -奏効率(%):52.4(40.0)、21.4(20.0)、25.4(12.5)、30.8(40.0) -奏効期間中央値(月):5.9(未到達)、3.5(2.8)、6.4(2.8)、4.1(4.0) -無増悪生存期間中央値(月):5.6(4.7)、2.8(3.9)、5.3(4.4)、不明 -全生存期間中央値(月):12.2(未到達)、7.0(9.7)、13.0(11.4)、不明・SCLCおよびmCRPC患者においてB7-H3の発現量と最良奏効との間に関連は認められなかった。・安全性解析集団における治療継続期間中央値は12.3ヵ月(日本人:12.3ヵ月)であり、Grade3以上の有害事象は43.7%(同:39.3%)に発現した。治療関連死は1例(同:1例)に認められた。・安全性解析集団において、8.0~16.0mg/kgの用量で投与された患者のうち10例(6.9%)に間質性肺疾患(ILD)が認められたが、多くがGrade1/2であった。ただし、16.0mg/kgの用量で投与された日本人集団の子宮内膜がん患者1例に、ILDによる死亡が認められた。 本研究結果について、土井氏は「多くの前治療歴のある固形がん患者において、I-DXdは忍容性があり、有望な抗腫瘍効果を示した。現在進行中の進行SCLC患者を対象とした第II相試験(NCT05280470)を含め、各がん種でのさらなる開発が期待される」とまとめた。

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日本の乳がんの特性・治療・予後の変化~NCD乳がん登録46万例のデータ

 日本における2004~16年の乳がんの特性・治療・生存の動向について、川崎医科大学の岩本 高行氏らがBreast Cancer誌2024年3月号に報告した。これは、NCD(National Clinical Database)乳がん登録の45万7,878例のデータ(追跡期間中央値5.6年)に基づく日本乳学会による予後レポートである。 2004~08年の症例と2013~16年の症例を比較した主な結果は以下のとおり。・治療開始年齢の中央値は、2004~08年では57歳、2013~16年では60歳と上昇した。・Stage0~IIの割合は74.5%から78.3%に増加した。・エストロゲン受容体陽性の割合は74.8%から77.9%、プロゲステロン受容体陽性の割合は60.5%から68.1%に増加した。・(術前)術後補助化学療法は、タキサン(T)またはT-シクロホスファミド(C)レジメンは2.4%から8.2%に増加したが、(フルオロウラシル(F))アドリアマイシン(A)C-T/(F)エピルビシン(E)C-Tは18.6%から15.2%、(F)AC/(F)ECレジメンは13.5%から5.0%に減少した。・術(前)後HER2療法に関しては、トラスツズマブの使用が4.6%から10.5%に増加した。・センチネルリンパ節生検の実施率は37.1%から60.7%に増加し、腋窩リンパ節郭清の実施率は54.5%から22.6%に減少した。・HER2陽性乳がん患者では無病生存期間と全生存期間の改善が認められたが、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、トリプルネガティブ乳がん患者では明らかな傾向は認められなかった。

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新たな薬剤耐性大腸菌の広がりに科学者が警戒

 中国の小児病院で、抗菌薬に耐性を持つ大腸菌が新たに確認された。英国の研究グループによると、中国の病院で最も一般的となった薬剤耐性大腸菌は、最後の砦とされるカルバペネム系抗菌薬にも耐性を持つ配列タイプ(sequence type;ST)410に属する大腸菌(ST410)であるが、中国の小児病院で発生した2件の大腸菌アウトブレイクの背景には、B5/H24RxCと呼ばれるST410より強毒性の大腸菌が関与していたことが判明したという。英バーミンガム大学微生物学・感染症研究所所長のAlan McNally氏らによる研究で、詳細は、「Nature Communications」に1月12日掲載された。 この変異株は、非常に感染力が強く、従来の大腸菌より増殖スピードが速く、より多くの害を生物に及ぼすと研究グループは警鐘を鳴らしている。McNally氏は、「この新しい変異株は、抗菌薬に対する耐性が強くなるとともに病原性も増している。これは、これまでには見られなかった憂慮すべき傾向だ。この大腸菌が中国国外にも広がっていることが確認されている。世界中のサーベイランスラボが、この大腸菌を警戒すべきだ」と話している。 McNally氏らはこの研究で、2017年から2021年の間に中国の26の省で入院患者から採取されたカルバペネム系抗菌薬に耐性を持つ大腸菌(CREC)の388の分離株のゲノム解析を行った。これらの分離株は主に、尿(111点)、痰(64点)、血液(47点)の検体から分離されたものだった。 その結果、これらの株の中で最も多く認められたSTはST410(109株)であり、次いで、ST167(41株)、ST131とST617(12株ずつ)の順であった。2015〜2017年に実施された研究では、ST410はST131、ST167に次いで3番目に多いSTであったことから、CRECのポピュレーションが変化したことがうかがわれた。 ST410についてさらに詳しく解析したところ、通常よりも高い毒性や感染力を持つB5/H24RxCと呼ばれるST410のクローンが同定され、このクローンが、中国の小児病院で生じた2件のアウトブレイクの原因菌である可能性が示唆された。研究グループは、B5/H24RxCは、2006年に特定され、2015年から2021年の間に中国以外の10カ国で分離されたB4/H24RxCの進化型である可能性があると述べている。 論文の筆頭著者である、英ケンブリッジ大学獣医学分野のXiaoliang Ba氏は、「本研究は、大腸菌のような臨床的に重要な病原体における抗菌薬耐性の進化を浮き彫りにするものだ。また、世界的な公衆衛生において深刻化しているこの課題に対処するためには、各国が互いに協力しあって取り組むことが喫緊に必要なことを強調する結果だ」と述べている。

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英語で「緊急対応策」は?【1分★医療英語】第120回

第120回 英語で「緊急対応策」は?《例文》医師ADue to the outbreak of this new virus, we need to establish a contingency plan.(この新型ウイルスの大流行のため、われわれは緊急対策を立てる必要があります)医師BIndeed, we need to organize necessary resources for unforeseen circumstances.(そうですね、予期しない事態に備えて、必要なリソースを整理しなければなりません)《解説》“contingency plan”についての説明です。“contingency plan”とは、英語の直訳で「緊急対策」や「予備計画」という意味を持つ言葉ですが、医療現場では予期しない事態や緊急事態に対応するための計画を指します。米国では医師も日勤と夜勤の引き継ぎを行うため、日勤帯で決めたプランを的確に引き継ぐことが重要です。医療現場の引き継ぎの際に「“contingency plan”を基に、もし~が起こったら~する」というような文脈で使われます。基本的には、“sign out”と呼ばれる電子カルテの引き継ぎ欄の機能を使って引き継ぎを行うことが多いのですが、そこにも“contingency plan”というリストが存在します。《例文》に挙げたように、さらに大きな緊急事態が想定される場合の計画にも用いることができます。講師紹介

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添付文書改訂:ジャディアンスに慢性腎臓病の適応が追加【最新!DI情報】第10回

添付文書改訂:ジャディアンスに慢性腎臓病の適応が追加<対象薬剤>エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス錠10mg、製造販売元:日本ベーリンガーインゲルハイム)<改訂年月>2024年2月<改定項目>[追加]効能・効果慢性腎臓病(末期腎不全または透析施行中の患者を除く)[追加]効能・効果に関連する注意eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者では、本剤の腎保護作用が十分に得られない可能性があること、本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化する恐れがあることから、投与の必要性を慎重に判断すること。<ここがポイント!>エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス錠)は、2014年に「2型糖尿病」の効能・効果で承認され、2021年には「慢性心不全」の適応が追加されていましたが、2024年2月、「慢性腎臓病(末期腎不全または透析施行中の患者を除く)」に対する適応も新たに追加承認されました。慢性腎臓病は、腎機能低下や蛋白尿などの尿異常が慢性的に持続する疾患です。慢性腎臓病が進行すると、腎移植や透析療法が必要となるため、腎機能の低下を抑えて末期腎不全への進行を遅らせることが重要です。SGLT2阻害薬は糖尿病治療薬として開発されましたが、腎イベントを抑制することが明らかとなり、慢性腎臓病に対しても適応が拡大されました。国内では2021年8月にダパグリフロジン(同:フォシーガ錠)が慢性腎臓病(末期腎不全または透析施行中の患者を除く)の効能・効果の追加承認を取得し、2022年6月にカナグリフロジン(同:カナグル錠)が2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全または透析施行中の患者を除く)の追加承認を取得しました。エンパグリフロジンは2型糖尿病の合併有無にかかわらずに使用できるダパグリフロジンと同様の適応です。腎疾患進行のリスクのある慢性腎臓病患者を対象とした国際共同第III相試験(EMPA-KIDNEY試験)において、腎疾患進行または心血管死が発現した患者の割合は、本剤群(430/3,292例、13.1%)でプラセボ群(553/3,289例、16.8%)より低く、エンパグリフロジンにより腎疾患進行または心血管死の発現リスクはプラセボに比べて有意に低下しました(ハザード比:0.73、99.83%信頼区間:0.59~0.89)。また、ベースラインの糖尿病合併の有無別では、糖尿病合併の有無にかかわらず本剤群とプラセボ群の間で有意な差が認められました(糖尿病合併のハザード比:0.64、p<0.0001、糖尿病非合併のハザード比:0.83、p=0.0443、Cox回帰モデル)。

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聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座(大学病院 腫瘍内科)【大学医局紹介~がん診療編】

砂川 優 氏(主任教授)梅本 久美子 氏(講師)小川 和起 氏(専攻医)講座の基本情報医局独自の取り組み・特徴治療薬開発だけではなく、支持療法、がん患者さんへの栄養介入、アプリケーションや遠隔診療を利用したがん診療など、多岐に渡るオリジナリティのある研究を行っています。当講座から、がん領域における新しいエビデンスを発信していきたいと考えています。地域のがん診療における医局の役割消化器がんを中心に外科・内科・放射線科などさまざまな科と連携し、最新のエビデンスに基づいた最適な治療を提供しています。当院はがんゲノム医療拠点病院でもあり、地域の病院と連携協力体制を作り、「ゲノム医療」にも力を入れております。また、新規薬剤のチャンスを提供できるよう、多くの臨床試験、治験を行っています。患者さん1人ひとりのニーズに応え、最適な治療を提供することを目指しています。医師の育成方針初期・後期研修を通じ、薬物療法の副作用マネジメントとして必要な内科学的知識を学んでいただきます。内科専門医を取得後に幅広い領域での薬物療法を経験し、がん薬物療法専門医の取得を目指します。内科専門医の取得と併行して大学院への進学や基礎研究を行うことも可能であり、海外留学も選択できます。基礎から臨床まで、さまざまな経験を通じて、がん治療のエキスパートとなれる医師の育成に取り組んでいます。症例カンファレンスの様子力を入れている治療/研究テーマ私は、胆膵がんを中心に診療、研究に力を入れています。研究の主なテーマは胆膵がんのゲノム解析や後方ラインでの治療開発であり、多くの多施設共同臨床試験に参加して、患者さんへより良い治療が提供できることを目指しています。当院では2023年に胆道・膵臓病センターを設立し、当科の他に消化器外科、消化器内科、代謝・内分泌内科、病理診断科、栄養科、リハビリテーション科、薬剤部が参加した症例検討会を毎週実施し、さまざまな視点から患者さん個々に合わせた治療を立案しています。各診療科が積極的に発言しコンセンサスを得て方針を決定していくスタイルは、自身の診療スキルを磨くうえでも大変役立っております。また、同センターでは、複数科をまたいだ臨床研究を現在計画中です。医局の雰囲気、魅力主任教授を筆頭に比較的若いスタッフで成り立っている講座です。年齢の近い先生が多く、診療や研究の相談がしやすい環境であると感じています。大学本院の講座というと堅苦しい雰囲気を想像しがちですが、われわれの講座は、一緒に仕事のしやすいスタッフ・秘書・研究補助員で成り立っており、魅力的な講座だと思います。医学生/初期研修医へのメッセージ腫瘍内科は専門性が高く、社会からも求められていて、各がん種で治療開発が望まれていますが、まだまだ成り手が少ない診療科です。診療と研究いずれもしっかり基礎から学びたい! という方に、ぜひ興味を持っていただけたら嬉しいです。診療科を超えてディスカッションを行う胆道・膵臓病センターのカンファレンスこれまでの経歴神奈川県内の高校を卒業した後、富山大学医学部へ入学しました。私は祖父をがんで亡くした経験から、抗がん剤の開発をしたいと考えていました。4年次の講義で腫瘍内科を知り、自分に合っている診療科だと思い、卒業と同時に、地元かつ腫瘍内科がある聖マリアンナ医科大学病院にて初期研修を行いました。やりたいことができる環境だと思い、聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座へ入局しました。同医局を選んだ理由腫瘍内科として確立していること、消化器内科とは独立して消化器がんを中心にさまざまな化学療法を盛んに行っていること、所属する医師のキャリアは多岐に渡っており、ロールモデルを探しやすいことなどから、聖マリアンナ医科大学の臨床腫瘍学講座を選びました。当講座では症例カンファレンスや医局会などを業務時間内で行い、働き方を重視していることも魅力の1つだと思います。学会で忙しい時期はありますが、やるときはやる、休むときは休むといったオンオフがしっかりしている良い環境だと思います。現在学んでいること腫瘍関連の多様な合併症・治療の副作用に対応するため、後期研修医として内科の診療科をローテーションして研修しています。また、さまざまながん種の化学療法、がん終末期医療など入院管理、上級医の化学療法外来を見学し、治療方法の選択、外来マネジメントの仕方を学んでいます。研究カンファレンスの様子聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座(大学病院 腫瘍内科)住所〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2丁目16番1号問い合わせ先oncology-mari@marianna-u.ac.jp医局ホームページ聖マリアンナ医科大学病院 腫瘍内科医局特設サイト医局特設サイト/医局員募集専門医取得実績のある学会日本内科学会 認定医、総合内科専門医日本治療認定医機構 治療認定医日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医研修プログラムの特徴(1)がん薬物療法専門医の取得と多彩な臨床経験がん薬物療法専門医の取得のためには、造血器・呼吸器・消化管・肝胆膵・乳房の5領域を含めたさまざまながん領域での症例経験が必須ですが、これらの症例について当院のみで経験が可能です。合併症を有する患者さんや治験候補となる患者さん等に対する抗がん剤治療を経験・勉強することにより、地域の中核病院やがんセンターなどで中心となって活躍できる腫瘍内科医を目指すことができます。当講座のスタッフの多くは、がん薬物療法指導医・専門医を取得しているため、専門医取得へ向けたアドバイス等の指導体制が充実しています。(2)学位取得初期研修終了後、どのタイミングでも大学院への進学ができ、学位を取得することが可能です。大学院に入学しない場合でも、論文によって学位を取得することが可能です。当講座のスタッフは、国際・国内学会にて多数の発表経験を有し、さまざまな論文を報告しています。学会発表から論文作成に至るまで指導体制が充実しています。(3)海外留学当講座のスタッフは海外(米国・南カルフォルニア大学等)への留学を経験しており、海外の腫瘍内科医との研究コラボレーションを行っています。海外留学を希望される先生には、留学先の紹介等のサポートを行っています。

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J-CLEAR特別座談会(7)「働き方改革における医療と研究のあり方:現状と問題点」

J-CLEAR特別座談会(7)「働き方改革における医療と研究のあり方:現状と問題点」J-CLEARメンバーが、2024年4月から施行される医師の働き方改革をテーマに徹底討論。働き方改革改正法により、医療現場にも厳しい規制が設けられます。臨床のほか、教育、研究を担う大学病院や総合病院では、人手不足や、研究に当てる時間をどこから自己研鑽と見なすかなど多くの課題があるなか、どのような対応が必要とされているのでしょうか。ウェブ座談会の模様をお届けします。なお、この番組は2024年1月25日に収録したもので、当時の情報に基づく内容であることをご留意ください。働き方改革における医療と研究のあり方:現状と問題点出演桑島 巖 氏臨床研究適正評価教育機構 理事長絹川 弘一郎 氏富山大学第二内科 教授野出 孝一 氏佐賀大学医学部循環器内科 教授田邉 健吾 氏三井記念病院循環器内科 部長三ッ林 裕巳 氏日本大学客員教授、衆議院議員、医師

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