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肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024

 肛門管扁平上皮がん(SCAC)は、肛門がんの主要なリスク因子であるHPVウイルス感染の増加などを背景に、患者が増加傾向にある。新たな抗PD-1抗体であるretifanlimab単剤療法は、化学療法で進行したSCAC患者において抗腫瘍活性を示すことが報告されている1)。未治療の進行SCAC患者を対象に、retifanlimabの標準化学療法への追加投与を評価するPOD1UM-303試験が行われ、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)Presidential Symposiumで、英国・Royal Marsden HospitalのSheela Rao氏が初回解析結果を発表した。・試験デザイン:第III相二重盲検比較試験・対象:手術不適、化学療法未治療の局所再発/転移SCAC患者・試験群:retifanlimab 500mgを4週ごと(最長1年)+標準化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル、6サイクル)・対照群(プラセボ群):プラセボ+標準化学療法、PD後のクロスオーバー可・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2020年11月~2023年7月に308例(試験群154例、プラセボ群154例)が登録された。年齢中央値は62(SD 29~86)歳、72%が女性、87%が白人、4%がHIV陽性、36%が肝転移あり、90%がPD-L1≧1だった。・PFS中央値は、試験群9.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:7.5~11.3)に対し、プラセボ群は7.4ヵ月(95%CI:7.1~7.7)で、試験群が有意に良好な結果だった(ハザード比[HR]:0.63、95%CI:0.47~0.84、p=0.0006)。・OSは未成熟であるものの、試験群29.2ヵ月に対しプラセボ群23.0ヵ月と、試験群で改善傾向が認められた。クロスオーバー群のOSはプラセボ群とほぼ変わらない結果だった。・ORRは試験群55.8%に対してプラセボ群44.2%、DOR中央値は14.0ヵ月と7.2ヵ月だった。・Grade3以上の治療関連有害事象は試験群83.1%、プラセボ群75.0%に発生した。うちGrade5はそれぞれ2.6%(4例)、0.7%(1例)だった。Grade3以上で多かったものは好中球減少症(35.1%と29.6%)、貧血(19.5%と20.4%)などだった。 Rao氏は「本試験は転移SCACにおける最大規模のランダム化試験であり、標準化学療法に比べてretifanlimab併用の有効性を示した。安全性シグナルもこれまでの免疫チェックポイント阻害薬の併用療法と一致していた。retifanlimabと化学療法の併用は、進行SCAC患者の新たな標準治療となる可能性がある」とまとめた。 ディスカッサントを務めたドイツ・シャリテー病院のDominik P. Modest氏は「retifanlimab群におけるPFSのハザード比は非常に良好で、しかも早い段階から効果が出ているのが印象的な結果だ。一方、クロスオーバー群はretifanlimabのベネフィットを受けておらず、投与が遅いと効果が出ない可能性もある。本試験のOSや、ニボルマブの化学療法への上乗せ効果を検討したEA2176試験などの結果を見て、さらに検証する必要があるだろう」とした。 retifanlimabは米国・インサイトが開発したPD-1阻害薬で、米国では再発性局所進行メルケル細胞がんに対して承認されている。また、今回のPOD1UM-30試験には日本の施設も参加している。

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患者満足度向上対策をクリニックの6割が実施/医師1,000人アンケート

 クリニックや病院などの医療機関を受診する際、どのような基準で選択するのだろう。いつもの「かかりつけ医」ならともかく、新しい医療機関を受診する場合、最近では、WEB上での「口コミ」なども参考にしている患者さんも多い。医療機関、とくにクリニックなどでは、この口コミを良くするために、さまざまな対策を実施している。そこで、今回0~19床に所属する会員医師1,000人に自院の患者満足度向上対策やその課題について聞いた。患者満足度向上の対策を行っているクリニックは6割弱 質問1で「自院で患者満足度を向上させる対策を実施しているか」(単回答)を聞いたところ、全体回答で「している」が58%、「していない」が42%と約6割弱のクリニックで患者満足度向上対策の実施を行っていた。年代別では、40代(66%)が1番多く実施し、60代以上(52%)で1番少なかった。 質問2で「実際に行った『診療に関する対策』」(複数回答)を聞いたところ、全体回答で「病状説明をわかりやすくする」(497人)、「急患への積極的な対応」(495人)、「予約制の実施」(430人)の順番で回答が多かった。 年代別では、20・30代では「急患への積極的な対応」、40代では「予約制の実施」、50代と60代以上では「病状説明をわかりやすくする」が1番多かった。目下の悩みは「人不足」、「患者満足度をはかる尺度がないこと」など 質問3で「実際に行った『診療以外の対策』」(複数回答)について聞いたところ、全体回答で実施していることは「自院サイト開設とこまめな更新」と「トイレなど診療室以外の清掃の徹底」(229人)が同順位で多く、次に「患者用の駐車場スペースの確保」(218人)が多かった。また、「していない」(380人)が全体数では1番多く、診療以外の対策は積極的にされていないことがわかった。そのほかの対策では「院内処方」や「カフェの開設」などの対策がされていた。 年代別では、20・30代、40代、50代では「自院サイト開設とこまめな更新」、60代以上では「トイレなど診療室以外の清掃の徹底」が実施項目で1番多かったが、「していない」が全年代を通じて1番多かった。 質問4で「満足度向上対策で苦労した・していること」(複数回答)について聞いたところ、全体で「とくにない」(398人)、「担当人員の不足」(193人)、同順位で「患者満足度をはかる尺度がない」「どの程度(期間や資金など)まで対策を講じればいいかわからない」(181人)の順で多かった。そのほかの項目では「ネットが使えない高齢者の問題」や「医師側の教育」などが課題として挙げられていた。 年代別では、全年代に共通して「とくにない」が1番多く、「患者満足度をはかる尺度がない」が次に共通して多かった。 質問5で「患者満足度対策に関連して印象深いこと・忘れられないことなど、エピソード」(自由回答)を聞いたところ以下のような回答が寄せられた(一部抜粋)。【実際に実施した/している患者満足度向上対策】・定期的なアンケート調査で患者意向を確認している〔小児科/50代〕・待合室での混み方で椅子の配置を変更した〔内科/50代〕・多くの患者さんは自身や家族のことなどの情報を話したがっているので、時間があれば傾聴する〔腎臓内科/70代〕・足に手が届かない高齢女性の足爪処置などはやってあげるとすごく喜ばれる。患者満足度向上には役立つ〔内科/60代〕【患者さんからの厳しい評価】・発熱外来で時間外や事前電話なしで来院する若い患者さんからGoogleの口コミで苦情を書かれる〔呼吸器内科/40代〕・身に覚えのないことで、口コミで低評価をつけられる〔皮膚科/50代〕【今後の課題】・待合室に病気に関する冊子やパンフレットを数種類置いても、来院者のほとんどが持っていかない〔内科/60代〕・長年通院し、良好な関係を保っていたと思っていた患者さんが突然他院に通院したりすると、何が不満だったのかわからなくなる〔内科/60代〕アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師1,000人アンケート クリニックの患者満足向上対策について

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アミバンタマブ、化学療法との併用でEGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに承認/ヤンセン

 Johnson & Johnson (法人名:ヤンセンファーマ)は2024年9月24日、アミバンタマブ(商品名:ライブリバント)と化学療法(カルボプラチンおよびペメトレキセド)の併用療法について、「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺(NSCLC)」の効能又は効果で、日本における製造販売承認を取得したと発表。アミバンタマブと化学療法併用群でPFSを統計学的に有意に改善 今回の承認は、化学療法歴のないEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象に、アミバンタマブと化学療法との併用による有効性と安全性を化学療法群と比較する第III相PAPILLON試験の結果に基づくものである。 同試験では、アミバンタマブと化学療法併用群の無増悪生存期間(PFS)が、化学療法群と比較し統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、主要評価項目を達成した。PFS中央値はアミバンタマブと化学療法併用群で11.37ヵ月、化学療法群で6.70ヵ月であった(ハザード比:0.395、95%信頼区間:0.296~0.528、p<0.0001)。アミバンタマブと化学療法併用群は化学療法群と比較し、より深い奏効と持続的な奏効に関与し、高い奏効率および長い奏効期間を示した。アミバンタマブと化学療法の併用療法に関する安全性プロファイルは、それぞれの安全性プロファイルと一貫していた。 エクソン20挿入変異はNSCLCにおける最も一般的なドライバー遺伝子変異であるEGFR遺伝子の変異の中で3番目に多いことが知られている。また、実臨床におけるEGFRエクソン20挿入変異患者の5年生存率は8%と、エクソン19欠失またはL858R変異患者の19%と比べ低く、アンメット・メディカル・ニーズの高い領域である。

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サシツズマブ ゴビテカン、トリプルネガティブ乳がんに承認/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年9月24日、化学療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性かつHER2陰性(トリプルネガティブ)乳がんの治療薬として、TROP-2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)であるサシツズマブ ゴビテカン(商品名:トロデルビ)の日本における製造販売承認を取得したと発表した。 今回の承認は、2つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者を対象にサシツズマブ ゴビテカンと医師選択治療の有効性と安全性を比較した海外での第III相臨床試験(ASCENT)と、2つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者を対象にサシツズマブ ゴビテカンの有効性と安全性を評価した国内の第II相臨床試験(ASCENT-J02)の結果に基づくものである。 トリプルネガティブ乳がんは、転移・再発を起こしやすく、予後不良とされる。近年使用可能になった免疫チェックポイント阻害薬のほかに、新しい治療選択肢の登場が待たれていた。

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日本人治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療の有用性~二重盲検ランダム化比較試験

 治療抵抗性うつ病(TRD)に対しケタミンが抗うつ効果をもたらすことは、北米や欧州各国から頻繁に報告されているが、アジア人患者におけるエビデンスは、これまで十分ではなかった。慶應義塾大学の大谷 洋平氏らは、日本人TRD患者におけるケタミン静脈内投与の有効性および安全性を評価するため、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2024年8月30日号の報告。 TRDの日本人患者34例を対象に、ケタミン群(0.5mg/kg)またはプラセボ群にランダムに割り付け、2週間にわたり週2回、40分間静脈内投与を行った。主要アウトカムは、ベースラインから治療終了までのMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)合計スコアの変化とした。副次的アウトカムは、その他のうつ病症状スコア、寛解率、治療反応率、部分反応率などであった。また、ベースライン時の臨床人口統計学的特性とMADRS合計スコアの変化との関連も調査した。 主な結果は以下のとおり。・ITT解析では、両群間でMADRS合計スコアの減少に有意な差は認められなかったが(−8.1±10.0 vs.−2.5±5.2、t [32]=2.02、p=0.052)、per-protocol解析では、ケタミン群はプラセボ群よりも、MADRS合計スコアの有意な減少が認められた(−9.1±10.2 vs.−2.7±5.3、t [29]=2.22、p=0.034)。・その他のアウトカムは、両群間で差は認められなかった。・ケタミン群はプラセボ群よりも有害事象の発現が多かったが、重篤な有害事象は報告されなかった。・ベースライン時のMADRS合計スコアが高い、およびBMIが高い場合、MADRS合計スコアの減少は大きかった。 著者らは「日本人TRD患者において、ケタミン静脈内投与は、プラセボよりも優れており、多様な民族におけるTRD患者の抑うつ症状軽減に対するケタミンの有用性が示唆された」と結論付けている。

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転移を有するホルモン感受性前立腺がん、ダロルタミド+ADTがrPFS改善(ARANOTE)/ESMO2024

 転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対して、ダロルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)の併用療法が、プラセボ+ADTと比較して画像上の無増悪生存期間(rPFS)の有意な改善を示した。カナダ・モントリオール大学のFred Saad氏が、国際共同第III相ARANOTE試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。同患者に対しては、第III相ARASENS試験において、ダロルタミドをADT+ドセタキセルに加えた併用療法が、ADT+ドセタキセルと比較して全生存期間(OS)を有意に改善している。・対象: mHSPC患者(ECOG PS 0~2)・試験群(ダロルタミド+ADT群):ダロルタミド(1日2回、600mg)+ADT 446例・対照群(プラセボ+ADT群):プラセボ+ADT 223例・評価項目:[主要評価項目]中央判定によるrPFS[副次評価項目]OS、次の抗がん剤治療開始までの期間、mCRPCまでの期間、前立腺特異抗原(PSA)増悪までの期間、PSA不検出率(<0.2ng/mL)、疼痛増悪までの期間(BPI-SF)、安全性・層別化因子:内臓転移、局所療法の有無 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性は両群でおおむね一致しており、年齢中央値はともに70歳、アジア人がダロルタミド+ADT群32.3% vs.プラセボ+ADT群29.1%、PSA中央値が21.4ng/mL vs. 21.2ng/mL、初回診断時に転移あり(de novo)が71.1% vs.75.3%、CHAARTED試験の高腫瘍量に該当したのが70.6% vs.70.4%、内臓転移ありが11.9% vs.12.1%、局所療法歴ありがともに17.9%であった。・2024年6月7日のデータカットオフ時点におけるrPFS中央値は、ダロルタミド+ADT群未到達 vs.プラセボ+ADT群25.0ヵ月(ハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.41~0.71、p<0.0001)であった。・rPFSのサブグループ解析の結果、すべてのサブグループでダロルタミド+ADT群における一貫したベネフィットがみられた。・副次評価項目についても、すべての項目でダロルタミド+ADT群で優位な傾向がみられ、層別HRはOSが0.81(95%CI:0.59~1.12)、次の抗がん剤治療開始までの期間が0.40(0.29~0.56)、mCRPCまでの期間が0.40(0.32~0.51)、PSA増悪までの期間が0.31(0.23~0.41)、疼痛増悪までの期間が0.72(0.54~0.96)であった(OSのデータは未成熟)。・治療中に発現した有害事象(TEAE)の発生状況は同様であり、Grade3/4はダロルタミド+ADT群30.8% vs.プラセボ+ADT群30.3%、Grade5は4.7% vs.5.4%で発生した。・治療期間中央値はダロルタミド+ADT群24.2ヵ月 vs.プラセボ+ADT群17.3ヵ月であった。試験薬の中止につながるTEAEは、6.1% vs.9.0%で発生した。 Saad氏は、ドセタキセルを使用しないダロルタミド+ADT併用療法が、mHSPC患者の治療選択肢の1つとなるだろうと結論付けている。ディスカッサントを務めたオランダ・Radboud University Medical CenterのNiven Mehra氏は、本試験の対象とならなかった機能的に脆弱な集団における有効性についてのデータも求められるとし、ドセタキセルやアビラテロン、エンザルタミドに適応のなかった集団における本療法の有効性を評価する、進行中のPEACE-6試験の結果に注目したいとコメントした。

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複雑病変へのPCI、OCTガイドvs.血管造影ガイド/Lancet

 複雑病変に対し薬剤溶出ステント(DES)の留置が必要な患者において、光干渉断層撮影(OCT)ガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は血管造影ガイド下PCIと比較し、1年後の主要有害心血管イベント(MACE)の発生率が有意に低下した。韓国・延世大学校のSung-Jin Hong氏らが、同国20病院で実施した医師主導の無作為化非盲検優越性試験「Optical Coherence Tomography-guided Coronary Intervention in Patients with Complex Lesions trial:OCCUPI試験」の結果を報告した。PCI施行中にOCTは詳細な画像情報を提供するが、こうした画像診断技術の臨床的有用性は不明であった。Lancet誌2024年9月14日号掲載の報告。DESによるPCI施行予定患者を無作為化、1年後のMACEを評価 研究グループは、DESによるPCIが適応と判断された19~85歳の患者を登録してスクリーニングを行い、1つ以上の複雑病変を有する患者をOCTガイド下PCI群(OCT群)またはOCTを用いない血管造影ガイド下PCI群(血管造影群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 複雑病変の定義は、急性心筋梗塞、慢性完全閉塞、long lesion(ステント長≧28mm)、石灰化病変、分岐部病変、非保護の左主幹部病変、小血管疾患(血管径<2.5mm)、冠動脈内血栓、ステント血栓症、ステント内再狭窄、バイパスグラフト病変であった。 アウトカム評価者は割り付けについて盲検化されたが、患者、追跡調査の医療従事者、データ解析者は盲検化されなかった。PCIは、エベロリムス溶出ステントを用いて従来の標準的方法に従って実施された。 主要アウトカムは、PCI施行1年後のMACE(心臓死、心筋梗塞、ステント血栓症、虚血による標的血管血行再建の複合)で、ITT解析を行い、優越性のマージンはハザード比1.0とした。MACE発生率、OCT群5% vs.血管造影群7%、ハザード比は0.62 2019年1月9日~2022年9月22日に、複雑病変へのDESによるPCIを必要とする患者1,604例が無作為化された(OCT群803例、血管造影群801例)。患者背景は、1,290例(80%)が男性、314例(20%)が女性で、無作為化時の平均年齢は64歳(四分位範囲:57~70)であった。1,588例(99%)が1年間の追跡調査を完了した。 主要アウトカムのイベントは、OCT群で803例中37例(5%)、血管造影群で801例中59例(7%)に発生した。絶対群間差は-2.8%(95%信頼区間[CI]:-5.1~-0.4)、ハザード比は0.62(95%CI:0.41~0.93)であり、有意差が認められた(p=0.023)。 副次アウトカムの脳卒中、出血イベント(BARC出血基準タイプ3または5)、造影剤誘発性腎症の発生率に、両群間で有意差はなかった。 なお、著者は、追跡期間が短いこと、完全な盲検化が困難であったこと、血管造影ガイド下PCIは術者の経験に影響される可能性があること、韓国のみで実施されたことなどを研究の限界として挙げている。

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早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、最終OS結果(KEYNOTE-522)/NEJM

 高リスク早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者において、ペムブロリズマブ+化学療法による術前補助療法およびペムブロリズマブ単独による術後補助療法は、術前化学療法単独と比較して、全生存期間(OS)を有意に延長した。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らKEYNOTE-522 Investigatorsが、21ヵ国181施設で実施された国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「KEYNOTE-522試験」の結果を報告した。KEYNOTE-522試験では、プラチナ製剤を含む化学療法にペムブロリズマブを追加することで、病理学的完全奏効(pCR)率と無イベント生存期間(EFS)が有意に改善することが示されており、今回はOSについての最終結果が報告された。NEJM誌オンライン版2024年9月15日号掲載の報告。術前・術後ペムブロリズマブ併用の有効性をプラセボ併用と比較 研究グループは、未治療の高リスク早期TNBC患者(T1c N1-2またはT2-4 N0-2、ECOG PS 0~1)を、ペムブロリズマブ+化学療法群とプラセボ+化学療法群に2対1の割合で無作為に割り付けた。 術前補助療法として、ペムブロリズマブ+化学療法群では、ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、週1回)+カルボプラチン(AUC 1.5、週1回またはAUC 5、3週ごと)を4サイクル、その後ペムブロリズマブ+シクロホスファミド(600mg/m2)+ドキソルビシン(60mg/m2)またはエピルビシン(90mg/m2)を3週ごと4サイクル投与し、プラセボ+化学療法群ではペムブロリズマブの代わりにプラセボを上記化学療法とともに投与した。 根治手術後は術後補助療法として、適応があれば放射線療法を行うとともに、それぞれペムブロリズマブまたはプラセボを3週ごと9サイクル投与した。 主要評価項目は、pCR率およびEFS、副次評価項目はOSで、ITT解析を行った。5年OS率は86.6% vs.81.7% 2017年3月~2018年9月に計1,174例が無作為化された(ペムブロリズマブ+化学療法群784例、プラセボ+化学療法群390例)。 計画されていた今回の第7回中間解析(データカットオフ日:2024年3月22日)における追跡期間中央値は75.1ヵ月(範囲:65.9~84.0)で、死亡はペムブロリズマブ+化学療法群で115例(14.7%)、プラセボ+化学療法群で85例(21.8%)に認められた。 5年OS率は、ペムブロリズマブ+化学療法群が86.6%(95%信頼区間[CI]:84.0~88.8)、プラセボ+化学療法群は81.7%(95%CI:77.5~85.2)であり、ペムブロリズマブ+化学療法群においてOSの有意な延長が認められた(p=0.002、層別log-rank検定、有意水準α=0.00503)。 有害事象については、これまでに報告されているペムブロリズマブおよび化学療法の安全性プロファイルと一致していた。

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HFpEFに2番目のエビデンスが登場―非ステロイド系MRAの時代が来るのか?(解説:絹川弘一郎氏)

 ESC2024はHFpEFの新たなエビデンスの幕開けとなった。HFpEFに対する臨床試験はCHARM-preserved、PEP-CHF、TOPCAT、PARAGONと有意差を検出できず、エビデンスのある薬剤はないという時代が続いた。 CHARM-preservedはプラセボ群の一部にACE阻害薬が入っていてなお、プライマリーエンドポイントの有意差0.051と大健闘したものの2003年時点ではmortality benefitがない薬剤なんて顧みられず、PEP-CHFはペリンドプリルは1年後まで順調に予後改善していたのにプラセボ群にACE阻害薬を投与される例が相次ぎ、2年後には予後改善効果消失、TOPCATはロシア、ジョージアの患者のほとんどがおそらくCOPDでイベントが異常に少なく、かつ実薬群に割り付けられてもカンレノ酸を血中で検出できない例がロシア人で多発したなど試験のqualityが低かった、PARAGONではなぜか対照にプラセボでなくARBの高用量を選んでしまうなど、数々の不運または不思議が重なってきた。 その後ここ数年でSGLT2阻害薬がHFmrEF/HFpEFにもmortality benefitこそ示せなかったが心不全入院の抑制は明らかにあることがわかり、初のHFpEFに対するエビデンスとなったことは記憶に新しい。今回のFinearts-HF試験は、スピロノラクトンやエプレレノンと異なる非ステロイド骨格を有するMRA、フィネレノンがHFmrEF/HFpEFを対象に検討された。ここで、ステロイド骨格のMRAとフィネレノンとの相違の可能性について、まず説明する。 アルドステロンが結合したミネラルコルチコイド受容体は、cofactorをリクルートしながら核内に入って転写因子として炎症や線維化を誘導する遺伝子の5’-regionに結合して、心臓や腎臓の臓器障害を招くとされてきた。ステロイド骨格のMRAではアルドステロンを拮抗的に阻害するものの、ミネラルコルチコイド受容体がcofactorをリクルートすることは抑制できず、わずかながらではあっても炎症や線維化を促進してしまうことが知られている。このことがステロイド系MRAに腎保護作用が明確には認めづらい原因かといわれてきた。 一方、フィネレノンはもともとCa拮抗薬の骨格から開発された非ステロイド系MRAであり、cofactorのリクルートはなく、アルドステロン依存性の遺伝子発現はほぼ完全にブロックされるといわれている。FIDELIO-DKD試験ですでに示されているように糖尿病の合併があるCKDに限定されているとはいえ、フィネレノンには腎保護作用が明確にある。さらに、フィネレノンの体内分布はステロイド系MRAに比較して腎臓より心臓に多く分布しているようであり、腎臓の副作用である高カリウム血症が少なくなるのではないかという期待があった。このような背景においてHFmrEF/HFpEF患者を対象に、心不全入院の総数と心血管死亡の複合エンドポイントの抑制をプライマリーとして達成したことはSGLT2阻害薬に続く快挙である。カプランマイヤー曲線はSGLT2阻害薬並みに早期分離があり、フィネレノン20mgをDKDに使用している現状では血圧や尿量にさほどの変化を感じないが、早期に効果があるということは、やはり血行動態的に作用しているとしか考えられず、40mgでの降圧や利尿に対する効果を今一度検証する必要があると感じた。またかというか、HFpEFでは心血管死亡の発症率が低いため、mortalityに差がついていないが、これはもともと6,000人2年の規模の試験では当初から狙えないことが明らかなので、もうあまりこの点をいうのはやめたほうがいいかと思われる。 ちなみに死亡のエンドポイントで事前に有意差を出すための症例数を計算すると、1万5,000人必要だそうである。しかし、高カリウム血症の頻度は依然として多く、非ステロイド系MRAとしての期待は裏切られた格好になっている。もっとも、プロトコル上、eGFR>60の症例にはターゲット40mg、eGFR<60ではターゲット20mgとなっており、腎機能の低い症例に高カリウムが多いのか、むしろ高用量にした場合に一定程度高カリウムになっているのか、など細かい解析は今後出てくる予定である。腎保護の観点でもAKIはむしろフィネレノンで多いという結果であり、DKDで認められたeGFR slopeの差などがHFpEFでどうなのかも今後明らかになるであろう。このように、現状では非ステロイド系という差別化にはいまだ明確なデータはないようであり、それもあってTOPCAT Americasとのメタ解析が出てしまうことで、MRA一般にHFpEFに対するクラスエフェクトでI/Aというような主張も米国のcardiologistから出ている。 しかし、前述のようにいかにロシア、ジョージアの症例エントリーやその後のマネジメントに問題があったとはいえ、いいとこ取りで試験結果を解釈するようになればもう前向きプラセボ対照RCTの強みは消失しているとしかいえず、あくまでもTOPCAT全体の結果で解釈すべきで、ここまで長年そういう立場で各国ガイドラインにも記述されてきたものを、FINEARTS-HF試験の助けでスピロノラクトンの評価が一変するというのは、さすがに多大なコストと時間と手間をかけた製薬企業に残酷過ぎると思う。 少なくともFINEARTS-HF試験の結果をIIa/B-Rと評価したうえで、今後フィネレノン自体がHFrEFにも有効であるのか、または第III相試験中の他の非ステロイド系MRAの結果がどうであるかなどを合わせて、本当に非ステロイド系MRAが既存のステロイド系MRAに取って代わるかの結論には、まだ数年の猶予は必要であろうか。

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定年後の人生、いろいろ【Dr. 中島の 新・徒然草】(548)

五百四十八の段 定年後の人生、いろいろ「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、大阪では本当に秋分の日から涼しくなりました。もはやエアコンも不要で、夜なんかは寒いくらいです。ついに灼熱の夏が終わったという感じですね。さて、今回は医学部のクラス会の話。前回行われたのが2019年、コロナ直前でした。半年後に新型コロナという大変な災厄が降りかかってくるとは、誰一人想像していなかったあの夏から5年。1984年卒業のわれわれは、実にクラスの約3分の1が集合しました。最初は黙祷から始まります。合計7人の級友たちの名前が読み上げられ、黙祷を行いました。医学部を卒業して早や40年、われわれの多くは定年前後ですが、学士入学の人だと70代も珍しくありません。宴会の合間に、1人ずつ前に立って1分間スピーチをしましたが、それぞれに興味深いものがありました。まずは今でも現役バリバリの人。「もう70歳になりますが、ウン十億円の借金を背負って病院経営をしており、年間1,600件の手術のうちの400件は自分でやっています」「新薬を開発して動物実験もうまくいったので、ヒトを対象にした治験を目論んでいます」「すごい!」の一言ですね。一方、もう余生だという人もいます。「定年退職した後、亡くなった両親の家の中を片付けたり、庭の手入れをしたりする毎日です」「ぼちぼちクリニックを終わりにして、8人の孫の成長を見守る生活を送りたいと思っています」開業した人たちは「もう疲れた」と言っている人が多かった印象がありました。また、「今が一番!」という人も。「去年から勤め始めた病院には片道30分の自転車通勤をしていて、若い時より健康になりました」「定年退職して今年の4月から別の病院ですが、仕事量は半分で給料は1.5倍になりました。皆に大切にしてもらっている今が一番幸せです」健康とか幸せとか、素晴らしいですね。変わったところでは……「学生時代にやっていた合気道の稽古を再開しました」「大学を退官したら、地域の子供たちに生物学を教える予定です」「地下アイドルの推し活をしています。サイリウムを振りながら声を出すのは健康にもいいですよ」ちなみにサイリウムというのは光る棒のことで、YouTubeで「ヲタ芸」を検索すれば一目でわかる動画が大量に出てきます。ということで、それぞれの第2の人生。とくに定年前後の読者の皆さまの参考になるかと思って、紹介させていただきました。最後に1句夏過ぎて 振り返りたる 40年

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下垂体性PRL分泌亢進症

1 疾患概要■ 定義希少疾病である「下垂体性プロラクチン(PRL)分泌亢進症」(指定難病74)は表1の診断基準にある「1の1)の(1)~(3)」のうち1項目以上を満たし、1の2)を満たし、2の鑑別疾患を除外したもの」と定義される。すなわち、表2-1-1)のPRL産生腫瘍(プロラクチノーマ)が本疾患に該当する(表2)。表1 下垂体性PRL分泌亢進症の診断基準<診断基準>1.主要項目1)主症候(1)女性:月経不順・無月経、不妊、乳汁分泌のうち1項目以上(2)男性:性欲低下、インポテンス、女性化乳房、乳汁分泌のうち1項目以上(3)男女共通:頭痛、視力視野障害(器質的視床下部・下垂体病変による症状)のうち1項目以上2)検査所見血中PRLの上昇*2.鑑別診断薬剤服用によるPRL分泌過剰、原発性甲状腺機能低下症、視床下部・下垂体茎病変、先端巨大症(PRL同時産生)、マクロプロラクチン血症、慢性腎不全、胸壁疾患、異所性PRL産生腫瘍3.診断のカテゴリーDefinite:1の1)の(1)~(3)のうち1項目以上を満たし、1の2)を満たし、2の鑑別疾患を除外したもの*血中PRLは睡眠、ストレス、性交や運動などに影響されるため、複数回測定して、いずれも施設基準値以上であることを確認する。マクロプロラクチノーマにおけるPRLの免疫測定においてフック効果(過剰量のPRLが、添加した抗体の結合能を妨げ、見かけ上PRL値が低くなること)に注意すること。難病情報センター 下垂体性PRL分泌亢進症より引用表2 高PRL血症を来す病態1.下垂体病変1)PRL 産生腫瘍(プロラクチノーマ)2)先端巨大症(GH-PRL同時産生腫瘍)2.視床下部・下垂体茎病変1)機能性2)器質性(1)腫瘍(頭蓋咽頭腫・ラトケ嚢胞・胚細胞腫・非機能性腫瘍・ランゲルハンス細胞組織球症など)(2)炎症・肉芽腫(下垂体炎・サルコイドーシスなど)(3)血管障害(出血・梗塞)(4)外傷3.薬物服用(腫瘍以外で最も多い原因は薬剤である。詳細は表3を参照)4.原発性甲状腺機能低下症5.マクロプロラクチン血症*6.他の原因1)慢性腎不全2)胸壁疾患(外傷、火傷、湿疹など)3)異所性PRL産生腫瘍*PRLに対する自己抗体とPRLの複合体形成による。高PRL血症の15~25%に存在し、高PRL血症による症候を認めない。診断には、ゲルろ過クロマトグラフィー法、ポリエチレングリコール(PEG)法、抗IgG抗体法を用いて高分子化したPRLを証明する。(間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会、「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班、日本内分泌学会 編. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日内分泌会誌. 2023;99:1-171.より引用・作成)■ 疫学平成11(1999)年度の厚生労働省研究班による全国調査では、1998年1年間の推定受療患者数が、PRL産生腫瘍を含むPRL分泌過剰症で1万2,400人と報告されている1)。2005~2008年の脳腫瘍統計によると、原発性脳腫瘍のうち、下垂体腫瘍は19%であり、非機能性が57%、機能性が43%(PRL産生は12%)であった2)。PRL産生腫瘍は、男女比は1:3.6と女性に多く、男性では大きい腫瘍サイズで診断されることが多い1)。発症年齢は、女性では21~40歳に多く、男性では20~60歳にかけて認められる1)。■ 病因下垂体腫瘍によるPRL産生亢進が本症の病因である。■ 症状先述の表1-1の主症候(1)、(2)に記した高プロラクチン血症による症状と、(3)に記した下垂体腫瘍による症状が認められる。高プロラクチン血症の状態では視床下部でのキスペプチン分泌が減少し、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロン(ゴナドトロピンニューロン)からのGnRHの脈動的分泌が抑制される。その結果、性腺刺激ホルモンおよび性ホルモンの分泌異常が生じて種々の症状が出現する。■ 予後脳腫瘍統計の追跡調査によると、2005~2008年のPRL産生腫瘍の5年生存率(および5年無増悪生存率)は98.7%(94.8%)だった2)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)間脳下垂体機能障害に関する調査研究班が策定した本症の診断基準は先述の表1を参照していただきたい。本症は高PRL血症を呈するが、高PRL血症は先述の表2に記された種々の病態によっても生じるため鑑別を要する。高PRL血症の病態把握のためにはPRLの分泌調節を知っておくことが重要である。PRLは下垂体前葉に存在するPRL産生細胞より分泌される。視床下部から分泌されるドパミンは、下垂体門脈を介して下垂体に直接流入し、PRL分泌を抑制的に調節している。また、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)はPRL放出因子の1つである。高PRL血症の原因として、下垂体病変、視床下部・下垂体病変、薬剤、原発性甲状腺機能低下症、マクロプロラクチン血症、その他(慢性腎不全、胸壁疾患、異所性PRL産生腫瘍)が挙げられる(表2)。下垂体病変では、PRL 産生腫瘍(プロラクチノーマ)と先端巨大症(GH-PRL同時産生腫瘍)によるPRL分泌亢進が認められる。視床下部・下垂体病変では、視床下部のドパミン産生低下あるいは下垂体門脈から下垂体へのドパミンの輸送障害を介したPRL分泌抑制の減弱によってPRL分泌が亢進する。薬剤性では、ドパミンD2受容体受容体拮抗薬、ドパミン産生抑制作用のある降圧薬、ドパミン活性の抑制作用があるエストロゲンなどによりPRL分泌が亢進する(表3)。原発性甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの低下により視床下部のTRH産生が亢進し、TRHによるPRL分泌亢進が生じる。表3 高PRL血症を来す薬剤画像を拡大する3 治療下垂体性PRL分泌亢進症の治療は、ドパミン作動薬による薬物療法が第1選択であり、PRL値の低下効果および腫瘍縮小効果が期待される3)。具体的には、カベルゴリン、ブロモクリプチン、テルグリドを使用する。カベルゴリンまたはブロモクリプチンを用いる。カベルゴリンの場合、週1回就寝前、0.25mg/回より開始し、PRL値により漸増する(上限は1mg/回)。ブロモクリプチンの場合、2.5mg/回、夕食後より開始しPRL値により5~7.5mg/日、分2~3に漸増する4)。注意すべき点としてドパミン作動薬には、嘔気、嘔吐、起立性低血圧に加え、病的賭博、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食などを呈する衝動制御障害が報告されており、本障害を認めた場合、ドパミン作動薬の減量または投与中止を考慮する必要がある4)。また、患者および家族などに上記衝動制御障害の可能性について説明しておく。カベルゴリンを高用量で長期間投与する場合(週2.5mgを超える場合)には、心臓弁膜症の発生に注意する必要があり、心エコーで評価を行う。ドパミン作動薬は胎盤を通過するため、妊娠判明時に薬物療法を中止することが勧められる。薬物療法中止により腫瘍が増大する可能性があるため、妊娠前に腫瘍縮小、規則的月経発来まで薬物治療を行う。薬物療法に抵抗性の場合や副作用で服薬できない場合は、外科的治療を選択する。外科治療後には髄液鼻漏(髄膜炎)を来す可能性があることに注意する。4 今後の展望薬物治療が第1選択である本症において、薬物治療を終了する基準を明らかにすることが重要である。2011年に発表された米国内分泌学会のガイドラインでは、「最低2年間ドパミン作動薬にて治療され、血中PRLの上昇がなく、頭部MRI所見で上腫瘍残存を認めない場合、注意深い臨床的、生化学的な経過観察の下で、ドパミン作動薬の減量、中止ができる可能性がある」と記されている5)。しかしながら、ドパミン作動薬を中止すると血中PRL の再上昇を認める場合も多い。わが国の診療ガイドラインでは、「薬物療法の最少量で血中PRL値が正常に維持され、画像上腫瘍が認められなくなったミクロプロラクチノーマ(微小PRL産生腫瘍)の場合、薬物療法の中止を提案する。【推奨の強さ:弱(合意率100%)、エビデンスレベル:C】」4となっており、今後のエビンデンスの構築が期待される。5 主たる診療科内分泌内科、脳神経外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 下垂体性PRL分泌亢進症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)間脳下垂体機能障害に関する調査研究(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)難病情報センター 下垂体性PRL分泌亢進症2)横山徹爾. 下垂体疾患診療マニュアル 改訂第3版. 診断と治療社;2021.p.96-100.3)日本内分泌学会・日本糖尿病学会 編集. 内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医研修ガイドブック. 診断と治療社;2023.p.5-30.4)間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン作成委員会、「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班、日本内分泌学会 編. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日内分泌会誌. 2023;99:1-171.5)Melmed S, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2011;96:273-288.公開履歴初回2024年9月26日

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第115回 レプリコンワクチンの誹謗中傷、許されるのか?

炎上する「レプリコンワクチン」10月から始まる新型コロナワクチン接種。その中でも注目を集めているのが、Meiji Seika ファルマが開発した次世代mRNAワクチン、通称「レプリコンワクチン」です。しかし、このワクチンを巡り、SNSではさまざまな議論が巻き起こっています。立場を明確にしておきますが、エビデンスもしっかりそろえたうえで承認となっているので、個人的には懸念していません。気になる点があるとすれば、このワクチンは1瓶で16人分の設定になっているため、個人接種よりも集団接種に向いている仕様だということです。さて、「レプリコン」というなじみのない名前が原因なのか、SNSではフルボッコで叩かれているように思います。思い出してみてください、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが登場したときも、RNAという言葉に対して「遺伝子が改変されるのでは?」といった誤解や不安が広がったことがありました。この手の不安や誤解に敏感な人たちが、コロナ禍を通して浮かび上がってきました。私がかつて尊敬していた医師でさえも、いつの間にか反ワクチン派に転じ、「ワクチン後遺症にイベルメクチンを」という主張を繰り返すようになりました。また、大学時代の恩師も、今年に入ってから「ワクチンはむしろ薬害だ」という発言をするようになり、驚きを隠せません。とくに懸念すべきは、こうした陰謀論を広めるのがただのSNSインフルエンサーではなく、政治家もその一部にいるということです。彼らはワクチンの仕組みを十分に理解していなくても、人々に納得感を与える発信力を持っています。販売元への誹謗中傷レプリコンとは「自己増幅能」と言う意味です。細胞内でRNAが増殖するため、少量投与によって新型コロナの免疫が引き出されるという仕組みです。タンパクを作り出すのであって、ウイルスそのものが増殖するわけではありません。そもそも、これを言い出すと、じゃあ生ワクチンはどうなるんだということになりますので…。いずれにしても生ワクチンとはまったく異なるもので、従来のmRNAワクチンよりも少ない成分量で高い中和抗体価を維持できる次世代型のmRNAワクチンと言えます。注射部位のmRNAは投与してから8日以降で急速に低下することから、安全性にはほとんど問題ないとされています。レプリコンワクチンによってウイルスが体外に放出されることに反対するコメントを出している団体もありますが、医学的にはワクチンを接種したことで他者に何か影響が起こるということは、起こりません。Meiji Seika ファルマも明確にこの現象を否定しています。「もう薬害」「周囲へ感染を広げる兵器」「原爆と同じ人を殺すもの」といった販売元に対する度が過ぎた誹謗中傷は、個人的には訴訟されるリスクを天秤にかけたほうがよいのでは…とも感じます。

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zongertinibが既治療のHER2変異陽性NSCLCの約7割に奏効(Beamion LUNG-1)/WCLC2024

 HER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するzongertinibの有望な結果が報告された。HER2遺伝子変異はNSCLC患者の約2~4%に認められ、脳転移が生じることが多く、予後は不良であるとされている。zongertinibはHER2チロシンキナーゼドメイン選択的に共有結合するHER2チロシンキナーゼ阻害薬である。zongertinibの用量探索および安全性・有効性を検討する国際共同第Ia/Ib相試験「Beamion LUNG-1試験」が実施され、第Ib相の既治療のHER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性コホートにおける結果が、2024年9月7~10日に米国・サンディエゴで開催された世界肺がん学会(WCLC2024)で報告された。今回の報告では、zongertinib 1日1回120mgによる治療を受けた患者の66.7%に奏効が認められ、忍容性も高かった。オランダがん研究所のGerrina Ruiter氏が本研究結果を発表した。zongertinibはBeamion LUNG-1試験で臨床的に意義のある抗腫瘍活性示す Beamion LUNG-1試験は第Ia相と第Ib相で構成され、第Ia相の結果から1日1回120mg、240mgの用量が選択された。今回は、プラチナ併用化学療法による治療歴のある(抗体薬物複合体による治療は除外)HER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性NSCLC患者を対象とした、第Ib相のコホート1の結果が報告された。コホート1では、zongertinibを1日1回120mg投与する群(120mg群)、240mg投与する群(240mg群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。中間解析により1日1回120mgの用量が選択され、中間解析以降の組み入れ患者には、1日1回120mgの用量で投与した。有効性の主要評価項目は中央判定による奏効率(ORR)で、期待値を30%とした。 zongertinibの用量探索および安全性・有効性を検討するBeamion LUNG-1試験の主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時点(2024年5月23日)において、zongertinibによる治療を受けたのは132例であり(120mg群:75例、240mg群:57例)、有効性に関する追跡期間中央値は約13週間であった。・前治療ライン数が1ラインの割合は120mg群56%(42例)、240mg群49%(28例)であり、2ラインはそれぞれ16%(12例)、28%(16例)、3ライン以上はそれぞれ28%(21例)、23%(13例)であった。ベースライン時に脳転移を有していた割合はそれぞれ37%(28例)、46%(26例)であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はzongertinib 120mg群17%(13例)、240mg群19%(11例)に発現したが、死亡に至ったTRAEは認められなかった。減量に至った有害事象(AE)の発現率は全体の11%(14例)であったが、治療中止に至ったAEの発現率は3%(4例)と低かった。・有効性の主要評価項目である中央判定によるORRは、zongertinib 120mg群全体(75例)で66.7%であり(期待値30%に対する片側p<0.0001)、主要評価項目を達成した。腫瘍縮小はzongertinibによる治療を受けた患者全体の94%(124例)に認められた。・zongertinib 120mg群、240mg群に無作為に1対1の割合で割り付けられた患者における中央判定によるORRは、120mg群72.4%(42例)、240mg群78.2%(43例)であり、完全奏効(CR)はそれぞれ1例、2例に認められた。病勢コントロール率はそれぞれ94.8%(55例)、100%(55例)であった。・頭蓋内ORRは、zongertinib 120mg群33%(9例)、240mg群40%(10例)であり、CRはそれぞれ4例、5例に認められた。 Ruiter氏は、本研究結果について「zongertinibは、脳転移を有する患者も含む既治療のHER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性NSCLC患者において、統計学的有意かつ臨床的に意義のある抗腫瘍活性を示した。治療関連死は認められず、減量や中止に至ったAEの発現も少なく、zongertinibの忍容性は非常に高かった」とまとめた。なお、HER2遺伝子変異(チロシンキナーゼドメインの変異)陽性のNSCLCに対する1次治療として、zongertinibと標準治療を比較する国際共同第III相無作為化比較試験「Beamion LUNG-2試験」が実施されており、現在患者を組み入れ中である。

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StageIのTN乳がんにおける術前化療後のpCR率とOSの関係/ESMO2024

 StageIのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)において、術前化学療法後のpCR率は良好な長期転帰と関連することが示され、同患者における術前化学療法の実施が裏付けられた。オランダ・Netherlands Cancer InstituteのManon De Graaf氏が、1,000例以上のTNBC患者を対象としたレジストリ研究の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。 本研究では、2012~22年に術前化学療法後に手術が施行されたcT1N0のTNBC患者をオランダがん登録のデータから特定し、pCR率と全生存期間(OS)との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・アントラサイクリンおよびタキサンベースの術前化学療法を受けた患者1,144例が特定された。・年齢中央値は50.0(22.0~77.0)歳、94.1%がcT1c腫瘍で、90.4%が乳管がんであった。41.3%がプラチナベースの術前化学療法を受け、24.7%が術後カペシタビン療法を受けていた。・全体のpCR達成率は57.3%(656例)であった。・多変量ロジスティック回帰分析の結果、若年(50歳未満vs.50歳以上、オッズ比[OR]:1.75、95%信頼区間[CI]:1.36~2.26)および腫瘍グレードの高さ(グレード3 vs.1または2、OR:2.07、95%CI:1.55~2.76)はpCR率の高さと関連し、小葉がんはpCR率の低さと関連していた(小葉がんvs.乳管がん、OR:0.18、95%CI:0.03~0.69)(いずれもp<0.05)。・プラチナベースの術前化学療法は、pCR率の改善と有意な関連はみられなかった(プラチナベースの術前化学療法ありvs.なし、57.6% vs.57.1%、OR:1.02、95%CI:0.80~1.29、p=0.9)。・4年時OSは、pCR達成群で98% vs.残存病変群で93%となり、pCR達成群で有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.29、95%CI:0.15~0.36、log-rank検定のp<0.001)。・残存病変群における術後カペシタビン療法の有無によるOSへの影響をみると、4年時OSはカペシタビン群93% vs.術後化学療法なし群91%であった(HR:0.65、95%CI:0.31~1.39、log-rank検定のp=0.3)。 Graaf氏は、StageIのTNBC患者のうち術前化学療法が必要な患者を決めるため、またTILsや免疫関連遺伝子シグネチャ―などの予測バイオマーカーを評価するために、さらなる研究が必要と結んでいる。

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内臓脂肪や皮下脂肪で慢性疼痛リスク上昇か

 内臓脂肪や皮下脂肪の過剰な蓄積が筋骨格系の痛みと関連しているようだ―。オーストラリア・タスマニア大学のZemene Demelash Kifle氏らは、腹部の過剰かつ異所性の脂肪沈着が多部位で広範囲にわたる慢性筋骨格系の痛みの発症に関与している可能性を示唆した。また、男性よりも女性でより強い影響が確認され、これは脂肪分布とホルモンの性差が影響している可能性があるという。Regional Anesthesia&Pain Medicine誌オンライン版2024年9月10日号掲載の報告。 研究者らは、大規模前向きコホート研究であるUK Biobankのデータを使用し、内臓脂肪組織(visceral adipose tissue:VAT)と皮下脂肪組織(subcutaneous adipose tissue:SAT)の定量化のために、2回の画像診断時に腹部MRIを実施。首/肩、背中、腰、膝、または全身の痛みの評価を診断時に行い、混合効果多項式ロジスティック回帰モデルを用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象者は3万2,409例(女性:50.8%、平均年齢±SD:55.0±7.4歳)であった。・多変量解析の結果、1標準偏差増加当たりの女性のVATのオッズ比(OR)は2.04(95%信頼区間[CI]:1.85~2.26)、SATのORは1.60(95%CI:1.50~1.70)、VAT/SAT比のORは1.60(95%CI:1.37~1.87)であった。また、男性ではVATのORは1.34(95%CI:1.26~1.42)、SATのORは1.39(95%CI:1.29~1.49)、VAT/SAT比のORは1.13(95%CI:1.07~1.20)であり、両者においてVAT、SAT、VAT/SAT比と慢性疼痛部位の数との間に用量反応関係が認められた。・脂肪組織レベルが高いと、男女ともに慢性的な痛みを報告する確率が高くなることも関連しており、これらの脂肪測定の影響推定値は、男性よりも女性のほうが比較的大きかった。

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HER2陽性胃がん1次治療、ペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法の最終OS(KEYNOTE-811)/ESMO2024

 昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)において局所進行または切除不能のHER2陽性胃がん1次治療として、トラスツズマブ+化学療法にペムブロリズマブを上乗せすることによって奏効率(ORR)と無増悪生存期間(PFS)が改善したことを報告したKEYNOTE-811試験。本試験における全生存期間(OS)の最終解析結果を、イタリア・Veneto Institute of Oncology のSara Lonardi氏がESMO2024で発表した。・試験デザイン:第III相無作為化プラセボ対照比較試験・対象:未治療の切除不能HER2陽性胃がんまたは胃食道接合部がん、PS 0~1・試験群(ペムブロリズマブ群):ペムブロリズマブ200mgを3週間ごと+トラスツズマブ+化学療法(5-FUおよびシスプラチン[FP]またはカペシタビンおよびオキサリプラチン[CAPOX])、最大35サイクル・対照群(プラセボ群):プラセボを3週間ごと+トラスツズマブ+化学療法・評価項目:[主要評価項目]PFS、OS[副次評価項目]ORR、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・計698例がランダム化され、ペムブロリズマブ群350例、プラセボ群348例に割り付けられた。最終データカットオフは2024年3月20日、追跡期間中央値は50.2ヵ月であった。・最終のOS中央値はペムブロリズマブ群20.0ヵ月に対し、プラセボ群 は16.8ヵ月と有意にペムブロリズマブ群で良好な結果だった(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.67~0.94、p=0.0040)。PD-L1 CPS≧1の患者におけるOS中央値は、ペムブロリズマブ群で20.1ヵ月、プラセボ群で15.7ヵ月であった(HR:0.79、95%CI:0.66~0.95)。・最終のPFS中央値は、ペムブロリズマブ群が10.0ヵ月に対しプラセボ群は 8.1ヵ月で、引き続きペムブロリズマブ群が良好な結果だった(HR:0.73、95%CI:0.61~0.87)。PD-L1≧1の患者におけるPFS中央値は10.9ヵ月対7.3ヵ月(HR:0.72、95%CI:0.60~0.87)であった。・ORRはペムブロリズマブ群で72.6%、プラセボ群で60.1%であった。 ・Grade3以上の治療関連有害事象はペムブロリズマブ群59%、プラセボ群51%で発生した。 Lonardi氏は「切除不能なHER2陽性、PD-L1≧1の胃がん患者において、1次治療としてのペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法は、OSを統計的に有意に改善し、臨床的に意義のある改善をもたらした。これらのデータは、このレジメンの有用性を確認するものである」とした。 この最終結果をもって、国内においても同レジメンの承認が進むとみられる。

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ケサンラ点滴静注液が早期アルツハイマー病治療薬として承認/リリー

 日本イーライリリーは9月24日付のプレスリリースにて、同日に厚生労働省より、早期アルツハイマー病(AD)治療薬「ケサンラ(R)点滴静注液350mg」(一般名:ドナネマブ)について、「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を効能又は効果として、日本における製造販売承認を取得したことを発表した。ケサンラは早期AD治療薬として国内2製品目の承認 ケサンラは、アミロイドβプラークを標的とする早期AD治療薬だ。既承認のエーザイのAD治療薬「レケンビ点滴静注」(一般名:レカネマブ)に続く抗アミロイドβ抗体薬で、国内2製品目の承認となる1)。4週間隔で、少なくとも30分以上かけて点滴静注することにより、脳内に過剰に蓄積したアミロイドβプラークを除去する。本剤は、アミロイドPET検査によりアミロイドβプラークの除去が確認された時点で投与を完了する(アミロイドβプラークの除去が確認されない場合であっても、本剤の投与は原則として最長18ヵ月で完了する)。本剤の投与完了により、当事者および介護者の身体的、精神的な負担を軽減することが期待される。 ケサンラは、8ヵ国の1,736例が参加した第III相二重盲検プラセボ対照試験「TRAILBLAZER-ALZ 2試験」2)の結果に基づいて承認された。本試験では、アミロイドβ病理を示唆する所見が確認された60~85歳の早期AD患者を対象に、参加者を無作為に2群に分け、一方にはケサンラを(860例)、もう一方にはプラセボを(876例)、4週間隔で72週間静脈内投与し、安全性および有効性を評価した。参加者は、アミロイドβプラークがアミロイドPET検査の視覚読影で陰性と判定される最も低いレベルまで除去されたことが確認された場合、ケサンラの投与を完了し、残りの試験期間をプラセボ投与に切り替えた。 ケサンラの安全性および有効性を評価した主な結果は以下のとおり。・早期ADの中でもより早い段階にある参加者1,182例(脳内タウ蓄積レベルが軽度~中等度、MMSEスコア平均値約23)と、より進行した段階にあることを示す脳内タウ蓄積レベルが高度の参加者を含む参加者全体(MMSEスコア平均値約22)を、ケサンラ群とプラセボ群に分けて解析した結果、両集団ともにケサンラ群において、臨床症状の悪化が有意に抑えられた。・脳内タウ蓄積レベルが軽度~中等度の参加者のうち、ケサンラ群では、認知機能と日常生活機能を総合的に評価する統合AD評価尺度(iADRS)において、プラセボ群と比較して35%の有意な進行抑制が認められた。・高度のタウ蓄積を有する患者を含めた参加者全体においても、ケサンラ群のiADRSでは、プラセボ群と比較して22%の有意な臨床的進行抑制が認められた。・タウ蓄積レベルが軽度~中等度の参加者では、ケサンラ群においてプラセボ群と比較して、次の臨床病期に進行するリスクが39%低下した。・本試験に参加した日本人集団でも、参加者全体と同様の結果が確認された。・ケサンラ群において、アミロイドβプラークが試験開始時と比較して6ヵ月で平均61%、12ヵ月で平均80%、18ヵ月で平均84%減少した。・試験開始から12ヵ月後、ケサンラ群の66%において、アミロイドPET検査の視覚読影で陰性に相当するアミロイドβプラークの除去が確認された。・アミロイドβを標的とする治療に共通する副作用であるアミロイド関連画像異常(ARIA)のうち、ARIA-Eがケサンラ群の24.0%に発現し、症候性のARIA-Eがケサンラ群の6.1%に発現した。Infusion reactionは、ケサンラ群の8.3%に発現した。【製品概要】商品名:ケサンラ(R)点滴静注液350mg一般名:ドナネマブ効能又は効果:アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制用法及び用量:通常、成人にはドナネマブ(遺伝子組換え)として1回700mgを4週間隔で3回、その後は1回1,400mgを4週間隔で、少なくとも30分かけて点滴静注する。用法及び用量に関連する注意(添付文書から一部抜粋):本剤投与中にアミロイドβプラークの除去が確認された場合は、その時点で本剤の投与を完了すること。アミロイドβプラークの除去が確認されない場合であっても、本剤の投与は原則として最長18ヵ月で完了すること。【副作用について】 ARIAは、多くは無症状のため、定期的な核磁気共鳴画像(MRI)検査によって検出する。発生した場合は、脳の一部または複数の領域の一時的な浮腫として発現することがあるが、通常は時間の経過とともに消失する。脳の表面や脳内の小さな出血として認められることもあり、より広範囲な脳の領域で出血が起こることもある。ARIAは、まれに重篤となり、生命を脅かす事象となる可能性もある。本剤の投与により、アナフィラキシーを含むinfusion reactionsを起こす可能性があり、中には重篤で生命を脅かすこともある。これらが起こる場合は通常、投与中または投与後30分以内に発現する。副作用の1つとして、頭痛も多く報告されている。

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初発統合失調症患者の約40%が治療抵抗性の可能性あり

 初回エピソード統合失調症(FES)患者における治療抵抗性統合失調症(TRS)の有病率は、国際的およびオーストラリア国内で十分に調査されていない。オーストラリア・Graylands HospitalのMirza Detanac氏らは、FES患者コホートにおけるTRSの有病率を評価し、TRS患者の社会人口学的および臨床的特徴について、治療反応が認められたFES患者との比較を行った。The Australian and New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2024年8月28日号の報告。 2020年10月、西オーストラリアの早期精神疾患介入サービス(EPIS)4施設において、統合失調症と診断されたすべての患者(ICD-10)の人口統計学的、臨床的、治療関連のデータを2年にわたり収集した。TRSの診断には、慶應義塾大学の鈴木 健文氏らが2012年に報告したTRSの修正版診断基準を用いた。データ分析は、記述統計、マン・ホイットニーのU検定、Studentのt検定、False-Discovery Rateモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・FESと診断された167例におけるTRSの有病率は41.3%であり、EPIS間で差は認められなかった(p=0.955)。・TRS患者は、治療反応が認められたFES患者と比較し、自立度が低く(p=0.011)、失業期間が長く(p=0.014)、障害年金受給者になる可能性が高かった(p=0.011)。・さらに、症状がより重症であり(p=0.002)、精神症状の持続期間が長く(p=0.019)、入院回数が多く(p=0.002)、累積入院期間が長かった(p=0.002)。 著者らは「EPISでマネジメントされているFES患者では、抗精神病薬に対する治療抵抗性を示す患者の割合が、非常に多いことが明らかとなった。とくに、TRSと臨床的重症度の上昇、心理社会的および治療上の負担との関連性が確認された。これらの結果は、TRSの早期発見と、精神保健サービスにおけるTRSに対するよりタイムリーな専門的介入の必要性を浮き彫りにしている」と結論付けている。

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膀胱がんへの周術期デュルバルマブ併用、EFS・OSを改善(NIAGARA)/NEJM

 膀胱全摘除術が可能な筋層浸潤性膀胱がんにおいて、術前化学療法への周術期デュルバルマブ併用は、術前化学療法単独の場合と比較して、無イベント生存期間(EFS)と全生存期間(OS)の有意な改善をもたらしたことが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のThomas Powles氏らNIAGARA Investigatorsによる第III相非盲検無作為化試験で示された。術前化学療法に続く膀胱全摘除術は、シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がん患者における標準治療だが、周術期免疫療法の追加によりアウトカムを改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2024年9月15日号掲載の報告。術前化学療法+周術期デュルバルマブvs.術前化学療法単独 研究グループは、シスプラチン適応の筋層浸潤性膀胱がん患者を、術前補助療法としてデュルバルマブ+ゲムシタビン+シスプラチンを3週ごと4サイクル投与し、その後に膀胱全摘除術と補助療法としてデュルバルマブを4週ごと8サイクル投与する群(デュルバルマブ群)、または術前補助療法としてゲムシタビン+シスプラチンを投与し、その後に膀胱全摘除術のみを施行する群(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は2つで、そのうちの1つがEFS(もう1つは病理学的完全奏効)だった。重要な副次評価項目はOSとした。EFS、OSが有意に改善 2018年11月~2021年7月に22ヵ国で1,063例が無作為化された(デュルバルマブ群533例、対照群530例)。両群の被験者のベースライン特性は全体的にバランスが取れており、試験対象は欧州、アジア、北米、オーストラリアおよび南米から登録された筋層浸潤性膀胱がんの代表的な患者集団であったが、黒人患者の割合は小さかった。 24ヵ月時点の推定EFS率は、デュルバルマブ群67.8%(95%信頼区間[CI]:63.6~71.7)、対照群59.8%(55.4~64.0)であった(病勢進行、再発、膀胱全摘除術の非施行、死亡のハザード比[HR]:0.68、95%CI:0.56~0.82、層別log-rank検定のp<0.001)。 24ヵ月時点の推定OS率は、デュルバルマブ群82.2%(95%CI:78.7~85.2)、対照群75.2%(71.3~78.8)であった(死亡のHR:0.75、95%CI:0.59~0.93、層別log-rank検定のp=0.01)。 Grade3または4の治療関連有害事象の発現頻度は、デュルバルマブ群40.6%、対照群40.9%。死亡に至った治療関連有害事象は、各群で0.6%報告された。 膀胱全摘除術を受けた被験者は、デュルバルマブ群88.0%、対照群83.2%であった。

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