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英語で「予防」は?【1分★医療英語】第123回

第123回 英語で「予防」は?《例文1》Do you recommend initiating antibiotic prophylaxis?(抗菌薬での予防を開始したほうがいいと思いますか?)《例文2》The oncology team has decided to use neutropenia prophylaxis.(腫瘍チームが好中球減少症の予防をすることを決めました)《解説》「予防」を示す英単語は、“prevention”と習ったかと思います。患者さんとの会話の際は一般的なこの表現を使いますが、医療者同士では“prophylaxis”(プロフィラクスィス:[病気の]予防)が使われることが多く、臨床ガイドライン等でもこちらが採用されています。“PrEP”(pre-exposure prophylaxis=曝露前予防)、“PEP”(post-exposure prophylaxis=曝露後予防)など、HIV曝露前後に予防として抗HIV薬を服用する意味の単語にも使われています。“prophylaxis”は少し長いので、カルテ等では略語の“ppx”と書くこともあります。同じ薬であっても、治療目的と予防目的では異なる用量で処方することも多く、注意が必要です。“therapeutic dose”は「治療目的の用量」、“prophylactic dose”は「予防目的の用量」を指します。薬のオーダーをするときや、スタッフとの会話の際に、間違いや勘違いがないよう気を付けてください。講師紹介

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第207回 コーヒーの成分トリゴネリンが老化に伴う筋肉消耗を防ぐ

コーヒーに豊富な成分トリゴネリンが老化に伴う筋肉の減少や筋力の低下(サルコペニア)の治療効果を担いうることが示されました1-3)。サルコペニアは筋肉、筋力、歩く速度の病的な減少/低下を特徴とし、分子や細胞の老化病変の組み合わせと筋線維消耗が筋収縮を障害することで生じます。それら数ある病変の中でもミトコンドリア機能不全は顕著であり、ミトコンドリアの新生が減ることやミトコンドリア内での呼吸反応やATP生成が減ることなどが筋肉老化の特徴に寄与することが明らかになっています。サルコペニア患者の筋肉はそのようなミトコンドリア機能不全に加えて、補酵素の1つニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の減少を示すことがシンガポール、英国、ジャマイカの高齢者119人を調べた先立つ試験で示されています4)。NAD+は代謝に不可欠で、ビタミンB3の類いから作られます。新たな研究では筋肉のミトコンドリア機能不全やNAD+代謝異常と全身の変化の関連を目指してサルコペニア患者と健康な人の血清代謝物が比較されました。その結果、コーヒーなどの植物に存在し、ヒトの体内でもNAD+と同様にビタミンB3からいくらか作られるアルカロイドであるトリゴネリンがサルコペニア高齢者の血中には少ないことが判明しました。また、トリゴネリンの血清濃度がより高い人ほど筋肉がより多く、握力がより強く、より早く歩けました。サルコペニア患者とそうでない健康な人から採取した筋肉組織(筋管)にトリゴネリンを加えたところ、サルコペニアかどうかを問わずNAD+が増加しました。続いて個体レベルでの効果が検討され、線虫やマウスにトリゴネリンが与えられました。するとミトコンドリア活性が向上し、筋力が維持され、老化に伴う筋肉消耗を防ぐことができました。また、トリゴネリンで線虫はより長生きになり、老化マウスの筋肉は強度の収縮時の疲労が少なくて済むようになりました。今回の研究によるとトリゴネリンはサルコペニアやその他の老化病態に有効かもしれず、サルコペニアの予防や治療の効果を臨床試験で検討する価値があるようです3)。コーヒーでトリゴネリンは増やせる?コーヒーを飲んでトリゴネリンが増えるならコーヒー好きには朗報ですが、話はそう簡単ではないようです。今回の試験の一環で調べられた高齢者186人の血清トリゴネリン濃度はカフェインやビタミンB3摂取レベルと無関係でした。また、トリゴネリン血清濃度と握力の関連はカフェインやビタミンB3摂取の補正の影響を受けませんでした。試験の被験者がコーヒーをあまり飲まない中東地域(イラン)であったことがトリゴネリン血清濃度とカフェイン摂取の関連が認められなかったことの原因かもしれないと著者は言っています。トリゴネリンとコーヒーの関連はまだ検討の余地があるようですが、お隣の韓国での試験でコーヒーをよく飲む人にサルコペニアが少ないことが示されています5)。トリゴネリンの寄与のほどは定かではありませんが、コーヒーを1日3杯以上飲む人は1日1杯未満の人に比べてサルコペニアの有病率が60%ほど低いという結果が得られています。参考1)Membrez M, et al. Nat Metab. 2024 Mar 19. [Epub ahead of print] 2)Natural molecule found in coffee and human body increases NAD+ levels, improves muscle function during ageing / Eurekalert3)Substance in coffee may improve muscle health in older age / Universities of Southampton4)Migliavacca E, et al. Nat Metab. 2019;10:5808.5)Chung H, et al. Korean J Fam Med. 2017;38:141-147.

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日本人の降圧薬アドヒアランス、低い患者とは?

 日本では、血圧が140/90mmHg未満にコントロールされている患者はわずか30%程度で、降圧薬の服薬アドヒアランスが低いことがコントロール不良の原因であると考えられている。今回、九州大学の相良 空美氏らが日本人の大規模データベースを用いて降圧薬のアドヒアランスを調べたところ、降圧薬のアドヒアランス不良率は26.2%であり、若年、男性、単剤治療、利尿薬使用、がんの併存、病院での処方、中規模/地方都市居住が、アドヒアランス不良と関連することが示された。Journal of Hypertension誌2024年4月号に掲載。 本研究は、新規に高血圧症と診断された31~74歳の日本人11万2,506例を含むLIFE Study(自治体から地域住民の医療・介護・保健・行政データを収集・統合しコホート研究を実施)のデータベースを用いた。服薬アドヒアランスは、治療開始後1年間、PDC(proportion of days covered:処方日数カバー比率)法を用いて評価した(80%以下はアドヒアランス不良)。さらに服薬アドヒアランスの関連因子も評価した。 主な結果は以下のとおり。・高血圧症患者11万2,506例のうち、治療開始後1年間の降圧薬の服薬アドヒアランス不良率は26.2%であった。・アドヒアランス不良と関連する因子として、若年(71~74歳と比較した31~35歳のオッズ比[OR]:0.15、95%信頼区間[CI]:0.12~0.19]、男性、単剤治療、利尿薬使用(ARBと比較したOR:0.87、95%CI:0.82~0.91)、がんの併存(併存なしと比較したOR:0.84、95%CI:0.79~0.91)、病院での処方、中規模~地方都市居住が同定された。 著者らは「日本の保険請求データによる降圧薬のアドヒアランスの現状とその関連因子を示した今回の結果は、降圧薬のアドヒアランスと血圧コントロールの改善に役立つと思われる」とまとめた。

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日本人の口腔/咽頭がんの10年全死亡率、飲酒量による違いは?

 飲酒と口腔/咽頭がんの予後との関連については先行研究が少なく、そのほとんどが欧州の研究で5年までの全生存を調査しているもので、結果が一致していない。今回、日本における口腔/咽頭がん患者における飲酒と10年全死亡率の関連を大阪国際がんセンターがん対策センターの小山 史穂子氏らが評価した。その結果、多量飲酒者(エタノール46g/日以上摂取)では非飲酒者と比較して死亡リスクが1.36倍、女性では2.52倍になることが示唆された。Cancer Epidemiology誌2024年4月号に掲載。 本研究は、1975~2010年に診断され、院内がん登録で特定された2,626例の口腔がんおよび咽頭がん患者を対象に、最長10年間追跡調査した。対象者をアルコール摂取量により、非飲酒者、元飲酒者、軽度飲酒者(エタノール23g※/日以下)、中程度飲酒者(23~46g/日)、多量飲酒者(46g/日超)の5群に分け評価した。飲酒と10年全死亡率との関連は、性別、年齢、原発部位、病期、多発がんの数、手術、放射線療法、化学療法、喫煙状況、診断年について調整後、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。※エタノール23g:日本酒1合(180mL)、ビール大瓶1本(633mL) 主な結果は以下のとおり。・非飲酒者に比べ、元飲酒者(ハザード比[HR]:1.59、95%信頼区間[CI]:1.28~1.96)および多量飲酒者(HR:1.36、95%CI:1.14~1.62)の死亡リスクは有意に高かった。・多量飲酒者は男性(HR:1.35、95%CI:1.10~1.65)、女性(HR:2.52、95%CI:1.41~4.49)とも非飲酒者より死亡リスクが有意に高かった。

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日本における認知症教育による潜在的態度の変化

 東京大学の松本 博成氏らは、成人および高齢者における認知症に対する偏見などの潜在的な態度の測定に関して、その実現可能性と妥当性を評価し、仮想現実(VR)を用いた認知症フレンドリー教育が潜在的な態度に及ぼす影響を評価した。Australasian Journal on Ageing誌オンライン版2024年2月15日号の報告。 ランダム化比較試験のデータを2次分析した。東京在住の20~90歳が、VRの有無にかかわらず、認知症フレンドリー教育に参加した。認知症フレンドリー教育プログラム終了後、Implicit Relational Assessment Procedure(IRAP)を用いて、認知症に対するimplicitを測定した。 主な結果は以下のとおり。・参加者145人中89人(61%)がIRAPを開始し、21人(15%)が完了した。・IRAPの開始/完了と有意な関連が認められた因子は年齢の低さであり、開始率50%の閾値年齢は72.3歳、完了率50%の閾値年齢は44.8歳と推定された。・家族以外の認知症患者と接触経験のある人では、経験のない人と比較し、IRAPスコアが有意に低かった。・VRプログラムに参加したグループは、対照グループと比較し、IRAPスコアが有意に低かった(p=0.09)。 著者らは「IRAPによる認知症に対する潜在的な態度の測定は、70代以上の人では実現が難しいと考えられるが、接触経験の違いが測定の妥当性を裏付けるものであろう」とし、「VRを用いた認知症フレンドリー教育は、認知症に対する偏見などの潜在的な態度を改善するうえで、有用である可能性が示唆された」としている。

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がん罹患数が著増、がん死は減少~英国の25年/BMJ

 英国の年齢35~69歳の集団では、1993~2018年の25年間にがん罹患数が大きく増加したのに対し、がんによる死亡率は減少しており、この減少にはがんの予防(喫煙防止策、禁煙プログラムなど)と早期発見(検診プログラムなど)の成功とともに、診断検査の改善やより有効性の高い治療法の開発が寄与している可能性があることが、英国・Cancer Research UKのJon Shelton氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2024年3月13日号に掲載された。23部位のがんの後ろ向き調査 研究グループは、1993~2018年の英国の年齢35~69歳の集団における、23の部位のがんの診断数および死亡数を後ろ向きに調査した(特定の研究助成は受けていない)。 解析には、国家統計局、ウェールズ公衆衛生局、スコットランド公衆衛生局、Northern Ireland Cancer Registry、イングランド国民保健サービスなどのデータを用いた。 主要アウトカムは、がんの年齢調整罹患率と年齢調整死亡率の経時的変化とした。前立腺がんと乳がんが増加、ほかは安定的に推移 35~69歳の年齢層におけるがん罹患数は、男性では1993年の5万5,014例から2018年には8万6,297例へと57%増加し、女性では6万187例から8万8,970例へと48%増加しており、年齢調整罹患率は男女とも年平均で0.8%上昇していた。 この罹患数の増加は、主に前立腺がん(男性)と乳がん(女性)の増加によるものだった。これら2つの部位を除けば、他のすべてのがんを合わせた年齢調整罹患率は比較的安定的に推移していた。 肺や喉頭など多くの部位のがんの罹患率が低下しており、これは英国全体の喫煙率の低下に牽引されている可能性が高いと推察された。一方、子宮や腎臓などのがんの罹患率の増加を認めたが、これは過体重/肥満などのリスク因子の保有率が上昇した結果と考えられた。 また、罹患数の少ない一般的でないがんの傾向については、たとえば悪性黒色腫(年齢調整年間変化率:男性4.15%、女性3.48%)、肝がん(4.68%、3.87%)、口腔がん(3.37%、3.29%)、腎がん(2.65%、2.87%)などの罹患率の増加が顕著であった。男女とも胃がん死が著明に減少 25年間のがんによる死亡数は、男性では1993年の3万2,878例から2018年には2万6,322例へと20%減少し、女性では2万8,516例から2万3,719例へと17%減少しており、年齢調整死亡率はすべてのがんを合わせて、男性で37%(年平均で-2.0%)低下し、女性で33%(-1.6%)低下していた。 死亡率が最も低下したのは、男性では胃がん(年齢調整年間変化率:-5.13%)、中皮腫(-4.17%)、膀胱がん(-3.24%)であり、女性では胃がん(-4.23%)、子宮頸がん(-3.58%)、非ホジキンリンパ腫(-3.24%)だった。罹患率と死亡率の変化の多くは、変化の大きさが比較的小さい場合でも統計学的に有意であった。 著者は、「喫煙以外のリスク因子の増加が、罹患数の少ない特定のがんの罹患率増加の原因と考えられる」「組織的な集団検診プログラムは、がん罹患率の増加をもたらしたが、英国全体のがん死亡率の減少にも寄与した可能性がある」「この解析の結果は、新型コロナウイルス感染症の影響を含めて、がんの罹患率およびアウトカムの今後10年間の評価基準となるだろう」としている。

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肉を避ければいびきをかきにくくなる?

 植物性食品中心の健康的な食事スタイルの人は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のリスクが低いことを示唆するデータが報告された。フリンダース大学(オーストラリア)のYohannes Melaku氏らの研究によるもので、詳細は「ERJ Open Research」に2月20日掲載された。 OSAは睡眠中に気道がふさがれて呼吸が止まることを繰り返す病気。睡眠が浅くなりやすく、また呼吸が止まる前後に大きないびきをかくことが多い。さらに、高血圧や2型糖尿病、脳卒中、心臓病のリスクとも関連することが知られている。このOSAは肥満に伴いやすい病気のため、摂取エネルギー量との関連がこれまでに研究されてきている。それに対してMelaku氏らは、食事の質とOSAリスクとの関連に焦点を当て、米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いた横断研究を行った。 解析対象は2005~2018年の4回のNHANES参加者のうち、データ欠落のない1万4,210人。24時間思い出し法により把握された食品摂取状況を基に、4種類の指標を用いて食事スタイルを評価し、OSAリスクとの関連を検討した。OSAリスクは、年齢、性別、BMI、血圧、いびき、疲労感などをスコア化する「STOP-BANG」という評価ツールで判定した。解析に際しては、摂取エネルギー量、喫煙・飲酒・運動習慣、睡眠時間、心血管疾患・がん・糖尿病の既往、人種、婚姻状況、教育歴、収入などの影響を調整した。 解析の結果、四つの食事スタイル指標のうち三つで、OSAリスクとの有意な関連が見つかった。まず、植物性食品ベースの指標(PDI)のスコアの四分位で4群に分けると、スコアの高い群ほどOSAリスクが低いという負の関連が認められた(傾向性P=0.008)。健康的な植物性食品(全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、豆類など)の摂取量が多いことを表す指標(hPDI)との関連も同様の結果だった(傾向性P=0.042)。 一方、非健康的な植物性食品(精製穀物、ジャガイモ、および糖分や塩分など)の摂取量が多いことを表す指標(uPDI)は、OSAリスクと正の関連が観察された(傾向性P=0.016)。ベジタリアン食らしさを表す指標(PVDI)についてはOSAリスクとの関連が非有意だった。 各指標の第1四分位群と第4四分位群を比較した場合、PDIでは第4四分位群でOSAリスクが19%低い可能性が示された〔オッズ比(OR)0.81(95%信頼区間0.66~1.00)〕。反対にuPDIについては第4四分位群で、22%リスクが高い可能性が示された〔OR1.22(同1.00~1.49)〕。 次に、性別に解析を行うと、hPDIとの関連は男性・女性ともに非有意となった。また男性はuPDIとの関連も非有意となり、PDIとの負の関連のみ有意だった。女性ではPDIとの関連が非有意となり、uPDIとの正の関連のみ有意だった。 本研究で示された食事スタイルとOSAリスクの関連のメカニズムについて、Melaku氏は「詳細は不明」としつつも、「健康的な植物性食品ベースの食事は、炎症や肥満を軽減したり、筋肉の緊張を抑制したりする可能性があり、それらを介してOSAリスクを低下させるのかもしれない」と述べている。また、食事スタイル指標とOSAリスクとの関連が男性と女性で部分的に異なっていた点に着目し、「OSAの治療では性差への留意が重要。栄養介入の際には、指導内容を性別に合わせて変更する必要がありそうだ」と述べている。

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職場で怒りを表す人は評価されにくい

 職場で怒りをあらわにする人は評価されにくいことが、新たな研究で示された。研究グループは、「先行研究では、職場で怒りを表す人は有能と判断され、より高い地位を維持できることが示唆されていたが、今回の研究ではそれを否定する結果が示された」と説明している。ヘブライ大学(イスラエル)政治学・国際関係学分野のRoni Porat氏と米プリンストン大学のElizabeth Levy Paluck氏によるこの研究の詳細は、「Frontiers in Social Psychology」に2月13日掲載された。 研究グループは今回、総計3,852人を対象にした4つの実験を通じて、職場で感情(怒り、悲しみ、感情を表さない)を実験的に操作し、その感情表現をする人が組織の中でどの程度の地位や権力、独立性、尊敬、年収を得るべきかを試験参加者に尋ねた。実験は、感情表現をする人物の性別だけでなく、感情を向ける対象(別の人物、別の状況)、感情を表すときの状況(面接、通常の就業日)も変えて検討した。 その結果、実験参加者は、怒りを表す人は地位が高いと推測しながらも、そのような怒りは職場での目標を達成する上で不適切かつ冷淡で過剰反応であり、非生産的であると見なし、怒りによって地位の向上を得られるものではないと考えていることが明らかになった。また参加者は、職場で怒りをあらわにすることに対して否定的な考えを持っており、怒りの表現は他の感情的な反応と比べてより有害でばからしく、無価値なものと捉えられていた。 こうした結果を受けてPorat氏は、「われわれは、怒りは職場での地位向上をもたらさないことを明らかにした。さらに、今回の研究から、怒りは悲しみのような他の感情表現よりも低く評価されることが示された」とヘブライ大学のニュースリリースで述べている。同氏はさらに、「怒りが肯定的に評価されるのは、明らかに誤った行動をした人に対して怒りを表す場合だけだ。これらの研究結果は、男女を問わず職場で怒りを表すことのある人に当てはまる」と説明している。 興味深いことに、この研究では、性別の違いにより怒りの表現に対する反応は左右されないことが示された。Porat氏は、「この分野で影響力のある研究の結果とは異なり、女性の怒りが男性の怒りとは違った形で捉えられることはなかった」と述べ、「一見すると、これらの結果は、性別と職場での怒りに関する他の多くの研究と矛盾しているように思われる。このような矛盾が生じた背景には、過去の研究が実施されたときと現在とでは、怒りの表現に関する性別の規範が変化した可能性があること、また、今回の実験で用いたサンプルが過去の研究のサンプルと異なっていたことが考えられる。ただ、これらの説明では、説得力に欠けるだろう」と話している。

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心臓18F-ドパミンPET検査でレビー小体病を予測できる可能性

 心臓の18F-ドパミンPET(陽電子放射断層撮影)により、後に中枢性レビー小体病と診断されるリスクのある人を同定できる可能性を示した研究が、「Journal of Clinical Investigation」に10月26日掲載された。 米国立衛生研究所(NIH)のDavid S. Goldstein氏らは、3つ以上のパーキンソン病のリスク因子を有する34人を対象に、最長7.5年間あるいはパーキンソン病と診断されるまでの期間中、心臓18F-ドパミンPET検査を1.5年間隔で実施した。 その結果、研究開始時に心臓PETでの18F-ドパミン由来の放射線濃度が低い対象者は9人、正常者は25人だった。7年間追跡し、放射線濃度が低かった9人のうち8人、正常だった11人のうち1人が、中枢性レビー小体病と診断された。レビー小体病と診断された9人全員が、診断前または診断時に18F-ドパミン由来の放射線濃度が低かったが、レビー小体病と診断されなかった25人のうち放射線濃度が一貫して低かったのは1人のみだった。 Goldstein氏は、「パーキンソン病やレビー小体型認知症の多くの症例で、病気のプロセスは実際には脳では始まっていないと考えられる。自律神経の異常により、病気の進行は最終的に脳に到達する。心臓でのノルエピネフリン消失は、レビー小体病での脳のドパミン消失を予測するもので、それに先立って生じる」と述べている。

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口臭は特定の細菌の共生が原因?

 口臭は誰にとっても嫌なものだが、それがどこから発生しているのかは不明だった。こうした中、日本の研究グループが、特定の口腔細菌が共生することで、メチルメルカプタン(CH3SH)と呼ばれる化学物質の産生量が増加することが口臭の一因であることを突き止めた。研究グループは、今後の口臭や体臭を予防するケア製品の開発につながる研究成果だとの見方を示している。大阪大学大学院薬学研究科先端化粧品科学(マンダム)共同研究講座の原武史氏らによるこの研究の詳細は、「mSystems」に1月30日掲載された。 CH3SHは口臭と歯周病との関連が強い主な口臭原因物質の一つであり、微量でも強い臭気を発することが知られている。原氏らは今回、嫌気条件下で2種類の細菌を接触させることなく共培養する方法を構築して、ヒトの口腔内に生息する主要な細菌の相互作用とCH3SH産生について調べた。 その結果、歯周病に関連する口腔常在菌のフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)がメチオニンを代謝する過程でCH3SHが産生されることが確認された。また、F. nucleatumが、歯の表面に付着して初期段階のプラーク形成に関与する口腔レンサ球菌のStreptococcus gordoniiと共生していると、CH3SHの産生量が最大で3倍になることも示された。研究グループは、これらの細菌の共生によるCH3SHの産生量増大の仕組みを「口臭増強機構」と呼んでいる。その具体的な経路は、S. gordoniiから分泌されるアミノ酸の一種のオルニチンがF. nucleatumによる生理活性物質ポリアミンの合成を促進することでメチオニン代謝経路が活性化し、CH3SHの産生量の増加につながるというものであるという。 原氏は、「これらの知見は、口腔内でのCH3SH産生が、S. gordoniiとF. nucleatumの相互作用によって促進されることを示唆している」と大阪大学のニュースリリースで述べている。 この研究は開始されてまだ間もないが、研究グループは、効果的な口臭予防法や治療薬の開発が、この口臭増強機構に基づいて進む可能性に期待を寄せている。また、口臭問題のリスク因子としてよく知られている歯周病の予防や治療に役立つ可能性もあると述べている。

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第187回 医療事故の報告件数が増加傾向、分娩を含む手術が最多/医療安全調査機構

<先週の動き>1.医療事故の報告件数が増加傾向、分娩を含む手術が最多/医療安全調査機構2.マダニ感染症SFTS、ヒトからヒトへの感染、国内で初めて報告/国立感染症研究所3.看護師国家試験、合格率87.8%と4年ぶりに低下/厚労省4.不整脈手術中の医療過誤、福岡高裁が九州医療センターに約2億円の賠償命令5.同一の執刀医による肝臓がん手術後の3人の死亡事故を公表/東海中央病院6.コロナ補助金8,500万円を不正受給した病院に返還命令/福岡県1.医療事故の報告件数が増加傾向、分娩を含む手術が最多/医療安全調査機構日本医療安全調査機構は、医療事故調査・支援センターの2023年の年報を発表した。対象期間は2023年1月1日~12月31日。この期間に報告された医療事故件数は361件と前年より2割ほど増えた。新型コロナウイルス感染拡大時は、医療事故発生報告件数の減少が認められたが、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、医療事故発生報告件数に増加傾向がみられた。2015年10月の医療事故調査制度開始以来、2023年末までに2,909件の医療事故が報告され、その87.3%で院内調査が完了していた。年報によると、1施設当たりの医療事故発生報告件数が最も多かったのは「900床以上」(1床当たり0.53件)で、ついで多かったのが「600~699床」(1床当たり0.44件)と病床規模が大きな病院ほど1床当たりの事故件数が多い傾向が認められた。また、人口100万人当たりで最多の医療事故報告数を記録したのは宮崎県であり、医療事故の起因としては依然として「分娩を含む手術」が最も多くを占めていた。医療事故報告から院内調査結果報告までの期間は平均458.5日に短縮していた。センターへの調査依頼は遺族から21件、医療機関から7件であり、センターへの相談件数はコロナ禍前の水準を超える2,076件だった。これらのデータは、医療事故の正確な報告と透明性の向上、再発防止策の重要性を浮き彫りにしているだけでなく、医療施設での安全対策強化への取り組みがますます求められており、医療事故報告数が多いことが必ずしも医療安全に問題があるわけではなく、正しく報告する文化の醸成が重要であることが示されている。参考1)『2023年 年報』について(日本医療安全調査機構)2)医療事故調査・支援センター 2023年 年報(同)3)医療事故調査・支援センター 2023年 数値版(同)4)人口100万人あたり医療事故報告件数の最多は2023年も宮崎県、手術・分娩に起因する医療事故が依然多い!-日本医療安全調査機構(Gem Med)2.マダニ感染症SFTS、ヒトからヒトへの感染、国内で初めて報告/国立感染症研究所マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」のヒトからヒトへの感染例が国内で初めて確認されたことが、国立感染症研究所によって明らかにされた。2023年4月、90代男性患者がSFTSと診断された後、患者を担当した20代の男性医師が、患者の死後に行った処置により感染。医師は処置時にマスクや手袋を着用していたが、ゴーグルはしておらず、11日後に38℃の発熱などSFTSの症状が現れた。患者と医師のウイルス遺伝子が同一と判断され、これが国内初のヒトからヒトへの感染例と認定された。医師の症状は現在軽快している。これまで、SFTSのヒトからヒトへの感染は中国や韓国で報告されていたが、わが国での確認はこれが初めて。SFTSは、主にマダニに刺されて感染する感染症で、発熱や腹痛などを引き起こし、重症化すると死亡することもある。国立感染症研究所と厚生労働省は、医療従事者に対して患者の血液や体液に触れる可能性がある際の感染予防対策の徹底を改めて呼びかけている。参考1)本邦で初めて確認された重症熱性血小板減少症候群のヒト-ヒト感染症例(国立感染症研究所)2)マダニの媒介による感染症SFTS ヒトからヒトへ感染 国内初確認(NHK)3)マダニ感染症、国内初の人から人への感染確認…患者を処置した医師に症状(読売新聞) 3.看護師国家試験、合格率87.8%と4年ぶりに低下/厚労省厚生労働省は、第113回看護師国家試験の結果を発表した。これによると今年の合格率は87.8%で、4年ぶりに9割を下回ったことが明らかとなった。2月11日に実施された看護師国家試験は、6万3,301人が受験し、そのうち5万5,557人が合格した。新卒者の合格率は93.2%となり、新卒者の合格者数は5万3,903人だった。一方で、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師候補者の合格者は17人(受験者294人)だった。助産師および保健師の国家試験においても、助産師は98.8%、保健師は95.7%といずれも新卒者の合格率が高くなっていた。今回の結果は、国の医療人材育成の現状を示すと同時に、外国人看護師候補者に対する支援の必要性を改めて浮き彫りにしている。参考1)第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験及び第113回看護師国家試験の合格発表(厚労省)2)看護師国家試験2024、新卒合格率は93.2%(リセマム)3)看護師国家試験、合格率87.8% 4年ぶりに9割を下回る(CB news)4)看護師国試、外国人候補者は17人合格(MEDIFAX)4.不整脈手術中の医療過誤、福岡高裁が九州医療センターに約2億円の賠償命令カテーテルアブレーション手術中の医療過誤をめぐる医療訴訟で、福岡高等裁判所は九州医療センター(福岡市)に約2億円の賠償命令を命じた。福岡県内の60代男性が不整脈の手術中に心停止し、その際の蘇生措置の遅延により低酸素脳症による意識障害の後遺症を負ったとして、約2億円の損害賠償を求めていた。1審では医療ミスを認めず訴えを退けたが、福岡高裁は控訴審判決で医師の過失を認め、1審判決を変更し約1億8,600万円の賠償を命じた。判決によると、男性は平成26年11月にカテーテルアブレーション治療中に心停止が発生し、医師らによる胸骨圧迫の蘇生措置の開始が遅れたため、約4分50秒間、脳への血流が停止状態にあったことが、男性の重い後遺症と因果関係があるとされた。この過失と後遺症の間の因果関係を認め、1審とは逆に男性側の訴えを認めた。男性の妻は医師の過失が認められたことに対して安堵のコメントを表明するとともに、病院には再発防止に努めるよう要望している。国立病院機構九州医療センターは判決文を精査した上で今後の対応を検討するとしている。参考1)心臓手術後寝たきり状態、国立病院機構に1億8,600万円賠償命令…請求棄却の1審判決を変更(読売新聞)2)手術中の医療過誤認める、国立病院機構に約2億円賠償命令「蘇生措置の開始に遅れ」(産経新聞)3)九州医療センターの過失認め 約2億円賠償命じる 福岡高裁(NHK) 5.同一の執刀医による肝臓がん手術後の3人の死亡事故を公表/東海中央病院岐阜県の東海中央病院(岐阜県各務原市)は、2016~2022年にかけて、同一の外科医が行った肝臓がんの手術により患者3人が死亡した医療事故を公表した。病院によると肝臓がんの手術中に大量出血が発生し、患者はいずれも出血性ショックで死亡した。執刀していた外科医は2023年6月に依願退職している。病院側は医療事故調査委員会の調査結果をもとに報告書をまとめ、医療事故調査・支援センターに再発防止策を含め報告した。報道によれば、病院側は3件のうち2件を医療事故と認めていなかったが、岐阜県の行政指導を受けて全件を医療事故として認定した。病院は、外部委員を含む調査委員会を設置し、再発防止策を公表した。これによると、施設内で対応可能な手術症例の明確化、術前・術後カンファレンス実施体制の構築、病院幹部への再教育などが含まれている。病院は患者の遺族に対して説明を行い、事故調査の結果を真摯に受け止め、医療の安全確保と再発防止に努めると表明した。参考1)当院で発生した医療事故について(東海中央病院)2)東海中央病院 患者3人が死亡する医療事故公表 岐阜 各務原(NHK)3)同じ外科医の手術中に患者3人死亡 各務原の東海中央病院で医療事故、肝切除の手術(中日新聞)4)同じ医師の手術で死亡事故3件、がん患者が肝切除で大量出血…2件は「事故でない」判断覆す(読売新聞)6.コロナ補助金8,500万円を不正受給した病院に返還命令/福岡県「飯塚みつき病院」(福岡県飯塚市)が、新型コロナウイルスに関連する補助金を不正に受給した問題で、福岡県から8,500万円余りの返還命令が出された。この補助金は、新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れるための病床確保や設備整備を支援する目的で提供されていたが、同病院は実際には患者受け入れのための体制が整っていないにも関わらず、不正に補助金を申請していたことが判明した。2022年9月~2023年9月にかけての不正申請により、約7,600万円がすでに交付されており、さらに加算金約900万円の支払いが求められている。会計検査院と県の実地検査で、病院が必要な看護師を配置していないことや、補助金申請に際して虚偽の申請書を作成していたことが明らかになった。とくに、病院では2022年度、新型コロナの患者を1人も受け入れておらず、感染症対策として必要な病棟工事や人工呼吸器の購入などに関する証拠もみつからなかったと報告されている。さらに、病院は今年2月、職員が大量に退職し、診療継続が困難な状況に陥っているため、高齢者を中心とした入院患者は、他の病院への転院を余儀なくされている。福岡県は、この問題を重要視し、不正行為を行ったと判断し、返還命令を出した。病院側は、不正申請の経緯について「前任者に聞かないとわからない」と説明しており、県は県警に情報を提供している。福岡県は、このような悪質な不正行為を許すことはできないとして、他の医療機関に対しても同様の不正がないか調査を進めることにしている。参考1)コロナ病床の補助金8,500万円不正受給…福岡県飯塚市の病院、22年度の患者受け入れゼロ(読売新聞)2)飯塚市の病院 県の新型コロナ補助金8,500万円余を不正申請(NHK)3)新型コロナウイルス感染症対策事業の不正行為の対応について (福岡県)

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医師の働き方改革に必須なのは財源の確保、米国の医療保険制度から考える(2)――米国の医療費削減方法、プライマリケアがゲートキーパーに【臨床留学通信 from NY】第58回

第58回:医師の働き方改革に必須なのは財源の確保、米国の医療保険制度から考える(2)前回に引き続き、医師の働き方改革と財源確保について、米国の医療保険制度から考えます。医療費削減のために米国で行われていること米国の医療費は、高い人件費や薬物などの物品を賄うため、救急外来を経由して1泊なんてするものなら、ざっと100万円ほどかかってしまうことも珍しくありません。そのため、政府保険であるMedicaid(メディケイド)、Medicare(メディケア)は、医療費削減のために不必要な薬や手技を減らすことに目を光らせ、プライベート保険もプランによってカバーする薬の範囲が変わるという仕組みです。高くて良い薬にはCo-pay(自己負担)が多くかかってしまい、自然と安い薬を使うように仕向けられます。たとえばアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)は心不全に有効な薬で、日本ではそれを高額であるにもかかわらず高血圧にも処方できるように国が承認していますが、米国では心不全の病名なしには処方できません。また循環器疾患の狭心症。心筋梗塞とは違い、致命的ではないことがほとんどですが、まれに不安定狭心症かな、とこちらが思うものであっても、負荷心筋シンチグラフィなどの事前検査をなくして外来から直接カテーテル検査・入院はできないことがあります。その際はやむを得ず、救急外来を経由して入院した体裁にすることもあります。なお医療費削減のため、カテーテル治療も簡単なものはThe Same Day Discharge(同日退院)となり、それをすることで病院にメリットがあるように金額が決まっています。そのため、カテーテル室専用のリカバリールームがあり、朝6~7時に患者さんが来て、7時過ぎにはPCI開始、その後数時間観察して、午後には退院することや、12時くらいにPCI開始であっても、夜11時までスタッフを配置してモニターして退院、なんてことがあります。予約を取るのも一苦労、プライマリケアがゲートキーパーに外来では、簡単な薬の処方のみの人は(たとえば高血圧のみ)、プロブレムが少ないためあまりお金にならず、半年後にしか予約が取れないようになっていて、3ヵ月の処方を電子的に薬局に送信し、リフィルを3回出して1年分の処方を出すことがあります。予約を取るのも一苦労です。患者によって保険がさまざまなため、医師から直接予約を取れず、大半はいちいち事務に電話などをして、うまくいって10~20分かけてなんとか予約を取る形です。医師がカルテ上3ヵ月後と言えば、どんなに受診したくても、病状が落ち着いていれば予約が取れないようになっています。プライマリケアがゲートキーパーとなり、好き勝手に循環器内科、腎臓内科、内分泌内科など専門医に受診できないようになっており、いわゆる紹介状(きちんとした手紙でなくとも1文程度でも)が必要にもなります。また、専門医を受診するには、保険にもよりますがCo-payを支払わなければなりません。私の保険の場合は50ドルほど払わなければならず、不用意に何となく気になるからという理由で患者が受診することを制限しています。インフルエンザなどで受診するUrgent Careは私の保険は75ドル。ちょっとした風邪で病院にかかることはありません。なお、いわゆる一般外来は発熱患者はお断り。その分薬局で購入できる薬は日本より充実しています。Emergency Department(救急外来)は150ドルで、簡単に受診しようとする意思を抑制しています。以前私が針刺事故未遂のようなほぼかすっていない程度で救急外来を受診した時、採血と問診で3,000ドル(約45万円)の請求書が来てたまげました。幸い職員なので医療費はかからず、問題ありませんでしたが…。1泊入院すると1万ドル前後かかってしまうとはいえ、基本的に保険から下りると思いますが、どのくらいカバーされるかはまちまちです。裏を返せば、この莫大な医療費によって医療従事者の給料が保証されていることにもなります。これらの折衷案として、日本では何ができるか、次回は私なりの提案をしたいと思います。

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便通異常症 慢性便秘(12)薬物療法:漢方【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q110

便通異常症 慢性便秘(12)薬物療法:漢方Q110慢性便秘で困っている42歳女性。とくに既往がなく、器質的な原因もないようだ。下剤を希望されているが、こだわりが強く西洋薬ではなく漢方薬を希望されている。腹部診察時、臍部に手を当てると冷感が強い。何を処方しようか?

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事例044 他医撮影のコンピューター断層診断の査定と算定漏れ【斬らレセプト シーズン3】

解説高血圧で治療中の患者が、「人間ドックにおいて撮影された腹部コンピューター断層画像所見にて腫瘤を指摘された」と所見と画像が記録されたCDを持って来院されました。CD内の所見と画像を拝見して、当面の不安がないことを患者に伝えました。疑い疾患の初診日に当たるために診断料を算定したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定になりました。査定事由を分析するために算定要件を確認しました。留意事項の(3)に、「当該保険医療機関以外の医療機関で撮影したフィルムについて診断を行った場合には、初診料(2つ目の診療科を含む)を算定した日に限り、コンピューター断層診断料を算定できる」とありました。患者は高血圧で治療中のため、他院のCDを診断した日が初めての疾患であっても初診料算定はできません。初診料の算定ができないために、他医撮影のコンピューター断層診断も算定できないとして査定になったものでした。レセプトチェックシステムで指摘はありましたが、当該疾患の病名開始日が当月のため見逃してしまったようでした。初診料と対となる項目であることと、レセプトチェックシステムの指摘には必ず対応することを伝えて査定対策としました。なお、他のカルテも調べたところ初診料算定時の他医撮影CDやフィルムにかかる診断料算定漏れが複数みつかりました。こちらは診療部門において、他院撮影画像の診断を行ったことを必ずオーダーシステムに登録いただくことで算定漏れ防止策としました。

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令和6年能登半島地震災害義援金のお礼とご報告

このたびの能登半島地震で被災された皆さま、ならびにご家族の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。CareNet.comでは、ポイントのご利用による「令和6年能登半島地震災害義援金」を募集いたしました。多くの方々にご協力いただき、2月29日までに2,268,612円分のポイントが集まりましたことをご報告いたします。また、ケアネットからも同額を加え、総額4,537,224円を日本赤十字社を通じて被災地にお届けいたします。皆さまより多大なるご賛同、ご協力を賜り、誠にありがとうございました。被災地の一刻も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。令和6年能登半島地震災害義援金の詳細は以下をご確認ください。(※日本赤十字社のサイトへ遷移します)https://www.jrc.or.jp/contribute/help/20240104/

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高齢NSCLC患者へのICI、化学療法の併用を検討すべき患者は?

 PD-L1高発現(TPS≧50%)の非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、PD-1またはPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害薬(ICI)単剤療法、ICIと化学療法の併用療法は標準治療の1つとなっている。しかし、高齢者におけるエビデンスは限られており、ICI単剤療法とICIと化学療法の併用療法のどちらが適切であるかは明らかになっていない。そこで、70歳以上のPD-L1高発現の進行NSCLC患者を対象とした多施設共同後ろ向き研究において、ICI単剤療法とICIと化学療法の併用療法が比較された。その結果、ECOG PS0または非扁平上皮がんの集団では、ICIと化学療法の併用療法が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を改善した。本研究結果は、京都府立医科大学の武井 翔太氏らによってFrontiers in Immunology誌2024年2月23日号で報告された。 本研究は、70歳以上でECOG PS0/1のPD-L1高発現の進行NSCLC患者のうち、初回治療でICI単剤療法による治療を受けた患者131例(単剤群)およびICIと化学療法の併用療法による治療を受けた68例(併用群)を対象とした。傾向スコアマッチングにより背景因子を調整し、両群のOSとPFSを比較した。 主な結果は以下のとおり。・OS中央値は、単剤群が25.2ヵ月であったのに対し、併用群が42.2ヵ月であったが有意差は認められなかった(p=0.116)。・PFS中央値は、単剤群が10.9ヵ月、併用群が11.8ヵ月であり、有意差は認められなかった(p=0.231)。・単剤群のサブグループ解析において、喫煙歴のない患者はOSが有意に短かった(ハザード比[HR]:0.36、95%信頼区間[CI]:0.16~0.78、p=0.010)。・併用群のサブグループ解析において、ECOG PS1の患者(HR:3.84、95%CI:1.44~10.20、p=0.007)、扁平上皮がんの患者(同:0.17、0.06~0.44、p<0.001)はOSが有意に短かった。・ECOG PS0の集団におけるOS中央値は、単剤群が26.1ヵ月であったのに対し併用群は未到達であり、併用群が有意に長かった(p=0.0031)。同様にPFS中央値は単剤群が6.5ヵ月であったのに対し併用群は21.7ヵ月であり、併用群が有意に長かった(p=0.0436)。・非扁平上皮がんの集団におけるOS中央値は、単剤群が23.8ヵ月であったのに対し併用群は未到達であり、併用群が有意に長かった(p=0.0038)。同様にPFS中央値は単剤群が10.9ヵ月であったのに対し併用群は17.3ヵ月であり、併用群が有意に長かった(p=0.0383)。 本研究結果について、著者らは「PD-L1高発現の高齢NSCLC患者の治療選択時には、ECOG PSと組織型を考慮すべきである」とまとめた。

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血糖値が改善する身近な香辛料は?~メタ解析

 地中海食に含まれるハーブ/スパイスが2型糖尿病患者の血糖プロファイルに及ぼす影響を調査したシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、いくつかのハーブ/スパイス摂取が空腹時血糖、HbA1cおよびインスリン値の低下と関連していて、とくにショウガの摂取でそれらすべてが有意に改善したことを、スペイン・University of ZaragozaのMaria C. Garza氏らが明らかにした。Nutrients誌2024年3月7日号掲載の報告。 地中海食には豊富なハーブ/スパイスが含まれていて、それらが血糖値やコレステロール低下作用、抗酸化作用、抗炎症作用などを示す可能性が示唆されている。そこで研究グループは、地中海食に一般的に含まれるハーブ/スパイスが2型糖尿病患者の血糖プロファイルに及ぼす影響を調査した。 PubMed、Web of Science、Scopusの各データベースを2023年9月まで検索し、2型糖尿病の成人患者の血糖プロファイルに対するブラッククミン、クローブ、パセリ、サフラン、タイム、ショウガ、黒コショウ、ローズマリー、ターメリック、バジル、オレガノ、シナモンの影響を調査した介入研究を適格とした。主要アウトカムは空腹時血糖値、HbA1c、インスリン値の変化であった。 主な結果は以下のとおり。●システマティックレビューの対象となった論文は77報で、このうち45報(45研究、3,050例)がメタ解析の対象となった。●空腹時血糖値が有意に改善したのは、ブラッククミン、シナモン、ショウガ、ターメリック、サフランであった(以下、括弧内は95%信頼区間)。 ・ブラッククミン摂取群:26.33mg/dL低下(-39.89~-12.77、p=0.0001) ・シナモン摂取群:18.67mg/dL低下(-27.24~-10.10、p<0.001) ・ショウガ摂取群:17.12mg/dL低下(-29.60~-4.64、p=0.0004) ・ターメリック摂取群:12.55mg/dL低下(-14.18~-10.86、p<0.001) ・サフラン摂取群:7.06mg/dL低下(-13.01~-1.10、p=0.020)●HbA1cが有意に改善したのは、ショウガとブラッククミンであった。 ・ショウガ摂取群:0.56%低下(-0.90~-0.22、p=0.0013) ・ブラッククミン摂取群:0.41%低下(-0.81~-0.02、p=0.0409)●インスリン値が有意に改善したのは、ショウガとシナモンであった。 ・ショウガ摂取群:1.69 IU/μL低下(-2.66~-0.72、p=0.0006) ・シナモン摂取群:0.76 IU/μL低下(-1.13~-0.39、p<0.0001)※各ハーブ/スパイスの最も一般的な摂取量は、ブラッククミン:500mg、シナモン:1,000mg、ショウガ:2,000mg、ターメリック:2,000mg、サフラン:30~100mg。 著者らは、本研究の限界として「それぞれのハーブ/スパイスの用量が不均一であるため、有効用量を考慮することはできなかった」ことなどを挙げつつ、「ショウガは、地中海食のハーブ/スパイスの中で、空腹時血糖、HbA1cおよびインスリン値の3つの検査結果すべてに有意な影響をもたらす独特のものであるようだ」とまとめた。

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デュルバルマブ+化学療法±オラパリブが進行子宮体がんの生存改善(DUO-E)/SGO2024

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)+化学療法の1次治療とICI+PARP阻害薬の維持療法は、進行子宮体がんに対するさらなる抗腫瘍活性を示した。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)で米国・H. Lee MoffittがんセンターのHye Sook Chon氏が発表している。 ICI+化学療法はミスマッチ修復機能欠損(dMMR)子宮体がんに抗腫瘍活性を示している1,2)。ICIへのPARP阻害薬の追加は、さまざまながん種で有効性が期待されており、婦人科腫瘍においても、いくつかの臨床試験でPARP阻害薬とICIの併用療法が研究されている3)。 DUO-E(GOG-3401/ENGOT-EN10)試験は、進行・再発子宮体がんに対するデュルバルマブ・化学療法の併用1次治療へのデュルバルマブ±オラパリブ維持療法追加の有用性を評価する第III相3群無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験である。Chon氏はITT集団およびMMR状況ごとの無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)の初回カットオフの結果(主要評価項目の成熟度61%)を発表した。・対象:未治療の進行StageIII/IV(FIGO2009)または再発子宮体がん・試験群1: 化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル:CP)+デュルバルマブ→デュルバルマブ(CP+D群)・試験群2:CP+デュルバルマブ→デュルバルマブ+オラパリブ(CP+D+O群)・対照群:CP→プラセボ(CP群)・評価項目:[主要評価項目]PFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、ORR、DOR、安全性 主な結果は以下のとおり。[ITT集団]・PFS中央値はCP群9.6ヵ月に対し、CP+D群では10.2ヵ月(対CP群ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.57〜0.89、p=0.003)、CP+D+O群では15.1ヵ月(対CP群HR:0.55、95%CI:0.43〜0.69、p<0.0001)で、CP+D群、CP+D+O群ともに有意に改善した。・ORRはCP群55.1%に対し、CP+D群61.9%(対CP群オッズ比[OR]:1.32、95%CI:0.89〜1.98、p=0.003)、CP+D+O群63.6%(対CP群OR:1.44、95%CI:0.95〜2.18、p=0.0001)で、CP+D群、CP+D+O群ともに有意に改善した。・DOR中央値はCP群7.7ヵ月に対し、CP+D群13.1ヵ月、CP+D+O群21.3ヵ月であった。[dMMR集団]・PFS中央値はCP群7.0ヵ月に対し、CP+D群では未到達(対CP群HR:0.42、95%CI:0.22~0.80)、CP+D+O群では31.8ヵ月(対CP群HR:0.41、95%CI:0.21~0.75)であった。・ORRはCP群40.5%、CP+D群71.4%(対CP群OR:3.68、95%CI:1.51~9.39)、CP+D+O群73.0%(対CP群OR:3.97、95%CI:1.57~10.65)であった。・DOR中央値はCP群10.5ヵ月、CP+D群未到達、CP+D+O群29.9ヵ月であった。[ミスマッチ修復機能正常(pMMR)集団]・PFS中央値はCP群9.7ヵ月に対し、CP+D群では9.9ヵ月(対CP群HR:0.77、95%CI:0.60~0.97)、CP+D+O群では15.0ヵ月(対CP群HR:0.57、95%CI:0.44~0.73)であった。・ORRはCP群59.0%に対し、CP+D群では59.4%(対CP群OR:1.02、95%CI:0.65~1.59)、CP+D+O群では62.1%(対CP群OR:1.10、95%CI:0.69~1.74)であった。・DOR中央値はCP群7.6ヵ月に対し、CP+D群では10.6ヵ月、CP+D+O群では18.7ヵ月であった。[安全性]・CP+D群、CP+D+O群とも忍容性は良好で管理可能であり、治療中止の頻度も低かった。 ITT集団においては、CP+D群、CP+D+O群ともにPFSの改善がみられた。MMRのサブグループを見ると、dMMRについては両群で、pMMRについてはCP+D+O群でPFSの改善傾向がみられた。

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冠動脈ステント内再狭窄、DCB vs.非コーティングバルーン/JAMA

 ステント内再狭窄に対して経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者において、パクリタキセルコーティングバルーンは非コーティングバルーンと比較し、1年時の標的病変不全の発生が有意に少なく、優越性が示された。米国・ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンターのRobert W. Yeh氏らが、米国の40施設で実施した無作為化比較試験「A Clinical Trial to Assess the Agent Paclitaxel Coated PTCA Balloon Catheter for the Treatment of Subjects With In-Stent Restenosis:AGENT IDE試験」の結果を報告した。著者は、「パクリタキセルコーティングバルーンは、冠動脈ステント内再狭窄患者に対する有効な治療選択肢である」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年3月9日号掲載の報告。パクリタキセルコーティングバルーン vs非コーティングバルーン、標的病変不全を1年追跡 研究グループは、2021年5月~2022年8月にステント内再狭窄(参照血管径2.0mm以上4.0mm以下、病変長26mm未満、標的病変狭窄が症候性では50%以上100%未満、無症候性では70%以上)を有する患者600例を登録し、標的病変の前拡張成功後にパクリタキセルコートバルーン群(406例)または非コートバルーン群(194例)に2対1の割合で無作為に割り付け、施術後1年間追跡した。 両群とも、術後少なくとも1ヵ月間はアスピリンとP2Y12阻害薬による抗血小板薬2剤併用療法を行った後、抗血小板薬単剤療法を試験期間中継続した。最終追跡日は2023年10月2日であった。 主要エンドポイントは、1年時の標的病変不全(TLF)(虚血による標的病変血行再建術、標的血管関連心筋梗塞、心臓死の複合と定義)とし、ITT解析を行った。標的病変不全発生率は17.9% vs.28.6% 無作為化された600例の患者背景は、平均年齢68歳、女性26.2%、黒人7%、糖尿病併存50.7%、多枝冠動脈疾患の既往78.9%で、このうち1年間の追跡調査を完了したのは574例(95.7%)であった。 主要エンドポイントの1年時イベント発生率は、パクリタキセルコーティングバルーン群17.9%、非コーティングバルーン群28.6%であり、優越性の基準を満たした(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.42~0.84、両側のp=0.003)。 標的病変血行再建術の発生率は13.0% vs.24.7%(HR:0.50、95%CI:0.34~0.74、p=0.001)、標的血管関連心筋梗塞の発生率は5.8% vs.11.1%(0.51、0.28~0.92、p=0.02)で、いずれもパクリタキセルコーティングバルーン群で低かった。 心臓死の発生率は、それぞれ2.9% vs.1.6%(HR:1.75、95%CI:0.49~6.28、p=0.38)であった。

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