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第123回 集団感染相次ぐ、結核の4年連続低蔓延国化は厳しいか

各地で結核の集団感染今年は結核の集団感染の報道が多いです。厚労省では「20人」というのが集団感染の1つの目安になっています。日本医療研究開発機構(AMED)の「結核低蔓延化に向けた国内の結核対策に資する研究班」による『結核集団発生調査の手引』1)では、集団感染ではなく集団発生という用語が使われており、20人という規定はなく、当該地域の結核罹患率を有意に超えて増加したものと定義されています。いずれにしても現時点では20人を目安に報告されているため、「30人が集団感染」と報道されると、エエーッ!と驚いてしまうかもしれません。たとえば、9月には足立区で、11月には島根県で集団感染事例の報告がありました。いずれも初発患者1例から、複数人へ感染させたというシナリオが想定されています。ただ、注意いただきたいのは、同じ結核菌株が感染したという証明をしているわけではなく、あくまで疫学的リンクからの推定に基づくという点です。高齢者の場合、インターフェロンγ遊離アッセイ(IGRA:クォンティフェロンやT-SPOT)がもともと陽性という方もいるので、潜在性結核感染症の新規同定の多くは、推定に基づいています。潜在性結核感染症は、発病しないための予防的治療を行う感染症です。生活に何ら制限もありません。ですから、こういった報道を耳にしたとき「多くの人が肺結核を発症している」という誤解を持たないようにしないといけません。日本の保健所の初動は非常に優れているので、先んじて報道しているのです。新型コロナやインフルエンザのようにきわめて感染率が高いわけではなく、トータルでみると多くが発病しません(図)。イメージとしては「1割が発病する」という理解でよいでしょう。画像を拡大する図. ヒト結核菌感染の自然史(種々の文献をもとに筆者作成)今年の結核報告数は大きなリバウンド国立感染症研究所の集計によると、第43週(10/27)までのデータでは、結核の報告数はすでに1万2,672人となっています2)。2021年の年間の結核報告数が現時点と全く同じくらいで、このときの罹患率が10万人当たり10.3人ということでした。となると、このままだと日本の罹患率が再び2ケタになる可能性があり、3年連続低蔓延国化したにもかかわらず、それを返上しなければならないかもしれません(低蔓延国の基準は10万人当たり10人を下回っていること)。参考文献・参考サイト1)日本医療研究開発機構(AMED)新興再興感染症研究「結核低蔓延化に向けた国内の結核対策に資する研究班」太田分担. 結核集団発生調査の手引(Ver. 2.05). 2023年3月17日. 2)国立感染症研究所. IDWR速報データ 2024年第43週(2024年11月5日)

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低リスク肺塞栓症がん患者のVTE再発、リバーロキサバン18ヵ月vs. 6ヵ月(ONCO PE)/AHA2024

 低リスク肺塞栓症(PE)を発症したがん患者を対象に、直接経口抗凝固薬(DOAC)であるリバーロキサバンの投与期間を検討したONCO PE試験の結果が、京都大学循環器内科の山下 侑吾氏らにより、11月16~18日に米国・シカゴで開催されたAmerican Heart Association’s Scientific Sessions(AHA2024、米国心臓学会)のFeatured Scienceで発表され、Circulation誌2024年11月18日号に同時掲載された。 本研究より、リバーロキサバンの18ヵ月間の投与は6ヵ月間の投与に比べ、静脈血栓塞栓症(VTE)の再発リスクを有意に低下させ、一方で出血リスクは有意な上昇を認めず、「がん患者の低リスクPEに対するDOACを用いた抗凝固療法は、血栓症予防の観点から18ヵ月間のより長期的な投与が望ましい」との結果が得られた。 ONCO PE試験は、国内32施設による多施設非盲検判定者盲検ランダム化比較試験(RCT)である。対象は、低リスクPEとして肺血栓塞栓症の重症度評価の簡易版PESIスコアが1点(がんの因子のみ)のPEと、新しく診断されたがん患者で、2021年3月~2023年3月に登録された179例をリバーロキサバンの18ヵ月投与群または6ヵ月投与群に1対1の割合でランダムに割り付けた。同意を途中撤回した症例を除外し、18ヵ月投与群89例、6ヵ月投与群89例をITT集団とした。主要評価項目は18ヵ月後までのVTEの再発。副次評価項目は18ヵ月後までの国際血栓止血学会(ISTH)の基準による大出血などであった。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は平均年齢65.7歳、男性47%で、症候性のPEは12%だった。がんの罹患部位は、多い順に大腸がん12%、子宮がん12%、卵巣がん11%であった。・主要評価項目である18ヵ月後までのVTE再発は、18ヵ月投与群5.6%(89例中5例)、6ヵ月投与群19.1%(89例中17例)と有意に抑制された(オッズ比[OR]:0.25、95%信頼区間[CI]:0.09~0.72、p=0.01)。・大出血は、18ヵ月投与群7.8%(89例中7例)、6ヵ月投与群5.6%(89例中5例)に発生し、18ヵ月投与群で多い傾向にあったが、統計学的に有意な増加ではなかった(OR:1.43、95%CI:0.44~4.70)。・年齢、性別、体重、VTEの既往、腎機能、血小板数、貧血の有無、大出血の既往、がんの遠隔転移の有無、化学療法の有無などのサブグループ解析でも、18ヵ月投与群における主要評価項目のリスク抑制傾向は一貫して認められた。 これらの結果から研究グループは「簡易版PESIスコア1点の低リスクPEを発症したがん患者に対するVTE再発予防を目的としたリバーロキサバンの投与期間は、6ヵ月間よりも18ヵ月間のほうが優れていた」と結論付けた。低リスク肺塞栓症がん患者のVTE再発予防、国内での普及目指す がん患者の腫瘍の評価のためにCT検査が実施されることは多いが、その際に偶発的な軽症のPEを認めることも多い。国際的なガイドラインでは、このようながん患者に併発した比較的軽症のPEに対しても、通常のPEと同様に扱うことを弱く推奨している。しかしながら、このような低リスクPEを発症したがん患者を対象とした抗凝固療法の投与期間を検討したRCTは過去に報告されておらず、そのエビデンスレベルは低い状況であった。 この現況を踏まえて行われた本解析について、同氏は「本研究結果は、がん患者では低リスクPEでも血栓症リスクを軽視すべきではないという現行の国際ガイドラインの考え方を支持する結果であった。一方で、統計学的に有意ではないものの、大出血を起こした患者数が18ヵ月投与群で多かったことは注意を要する点である。RCTは確実性の高いエビデンスを提供する有用な研究デザインであるが、目の前の患者ごとの治療の最適解を提供することは困難である。臨床現場では、これらの研究結果も参考に、血栓リスクと出血リスクのバランスを患者ごとに慎重に検討することが重要である。また、今後RCTの弱点を克服するような新しい臨床研究の発展も望まれる」とコメントした。 最後に、「本研究は、数多くの共同研究者が日本全体で集結し、その献身的な姿勢による多大な尽力により成り立っている。日本の腫瘍循環器領域における重要な研究成果が、今回日本から世界に情報発信されたが、すべての共同研究者、事務局の関係者、および本研究に参加いただいた患者さんに何よりも大きな感謝を示したい」と締めくくった。

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ROS1陽性NSCLCへの新たな選択肢レポトレクチニブ、その特徴は?/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、ROS1阻害薬レポトレクチニブ(商品名:オータイロ)について、2024年9月24日に「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺(NSCLC)」の適応で製造販売承認を取得し、同年11月20日に発売した。発売に先立ち、ブリストル・マイヤーズ スクイブは「ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺についてのメディアセミナー」を2024年11月14日に実施した。分子標的薬の登場で大幅に治療成績が改善 「ROS1融合遺伝子陽性肺に対する治療戦略」と題し、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院 副院長・呼吸器内科長)がROS1融合遺伝子陽性NSCLCの治療の変遷とレポトレクチニブの特徴について紹介した。 ROS1融合遺伝子は、NSCLCの約1%にみられる。また、65歳未満、女性、喫煙歴なし、腺がんの割合が高いという特徴を有する。ただし、後藤氏は「65歳以上も40%近くを占め、男性にもみられるため、対象を絞らずにNSCLC患者全体に対して遺伝子検査を実施し、ROS1融合遺伝子陽性NSCLCを見つけることが重要である」と強調した。 ROS1融合遺伝子陽性NSCLCに対する治療では、ROS1チロシンキナーゼ阻害薬(ROS1-TKI)として、2017年にクリゾチニブが承認を取得し、2020年にはエヌトレクチニブが承認を取得している。これらの薬剤は高い有効性を示し、奏効割合(ORR)はそれぞれ71.7%1)、67.9%2)、無増悪生存期間(PFS)中央値はそれぞれ15.9ヵ月1)、15.7ヵ月2)と、大幅な治療成績の改善が報告されている。レポトレクチニブは耐性変異や脳転移にも有効 ROS1融合遺伝子陽性NSCLCにおいて、ROS1-TKIは画期的な治療成績の改善をもたらしたが、耐性が生じることも明らかになっている。耐性機序の1つにROS1におけるG2032R変異が挙げられているが、レポトレクチニブはこの耐性変異を克服しうる薬剤として開発された。 レポトレクチニブは、国際共同第I/II相試験「TRIDENT-1試験」3)の結果を基に製造販売承認を取得した。本試験は、ROS1-TKI未治療の集団だけでなく、ROS1-TKI既治療の集団での治療成績も評価されている。今回、後藤氏は「ROS1-TKI未治療集団」「1種類のROS1-TKIのみの前治療歴を有する集団」の治療成績を紹介した。 ROS1-TKI未治療集団において、ORRは78.9%と高く、奏効期間(DOR)中央値は34.1ヵ月、PFS中央値は35.7ヵ月であった。このことから、レポトレクチニブは長期にわたって耐性が生じず、効果が持続することが示された。また、レポトレクチニブの特徴として、後藤氏は中枢移行性が高いことを挙げた。実際に、レポトレクチニブは、脳転移を有する患者9例中8例において奏効が認められた。 1種類のROS1-TKIのみの前治療歴を有する集団においても、レポトレクチニブは有効性を示し、耐性変異にも有効であることが示唆された。本集団において、ORRは37.5%、PFS中央値は9.0ヵ月であった。 安全性について、本試験における重篤な副作用の発現割合は7.4%、投与中止に至った副作用の発現割合は3.7%であった。中枢神経系の副作用としては浮動性めまいが56.5%、味覚不全が48.9%に発現した。これらの結果について、後藤氏は「レポトレクチニブは毒性が軽いという特徴がある。ただし中枢神経系へ移行することから、めまいが多く、味覚不全も起こる」と述べ、レポトレクチニブによる長期の有効性を得るためには、めまいなどの有害事象を減薬や休薬などによってコントロールすることが重要であると強調した。 レポトレクチニブの有効性に関する詳細は以下のとおり。【ROS1-TKI未治療例(71例)】ORR(主要評価項目):78.9%(CR:9.9%、PR:69.0%)奏効までの期間中央値:1.84ヵ月DOR中央値:34.1ヵ月(2年奏効率:73.2%)PFS中央値:35.7ヵ月(18ヵ月PFS率:70.0%)OS中央値:未到達(18ヵ月OS率:87.9%)頭蓋内ORR:88.9%(8/9例)【1種類のROS1-TKI既治療例(56例)】ORR(主要評価項目):37.5%(CR:5.4%、PR:32.1%)DOR中央値:14.8ヵ月(1年奏効率:55.7%)PFS中央値:9.0ヵ月(1年PFS率:41.2%)OS中央値:25.1ヵ月(1年OS率:69.2%)患者が抱える治療選択肢がなくなる不安 続いて、ROS1融合遺伝子陽性NSCLC患者の吉野 振一郎氏が登壇し、自身の治療経験について述べた。吉野氏は、ROS1-TKIによる治療を始める際には、「早く治療を始めることで、耐性も早く出てしまうのではないか」と考え、なかなか治療に踏み切れなかったという。 その後、ROS1-TKIによる治療を始めてから2年半ほど経過した現在も耐性は生じず、1剤目のROS1-TKIを使用しているとのことであるが、吉野氏は「2ヵ月に1回の検査は、耐性が出ているのではないかと非常に不安になる。入学試験の結果を聞きに行くような感じだ」と語った。また、「患者の願いは、使える薬剤や治療がたくさんあることである」と述べ、レポトレクチニブの登場について「耐性が出てしまっても、次の薬剤があると思えるのは安心できる」と期待を述べた。【レポトレクチニブの製品概要】商品名:オータイロカプセル40mg一般名:レポトレクチニブ製造販売承認取得日:2024年9月24日薬価基準収載日:2024年11月20日発売日:2024年11月20日薬価:3,468.30円(40mg 1カプセル)効能又は効果:ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺用法及び用量:通常、成人にはレポトレクチニブとして1回160mgを1日1回14日間経口投与する。その後、1回160mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。製造販売元:ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社

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TN乳がんへのサシツズマブ ゴビテカン、販売開始/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年11月20日、化学療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性/HER2陰性(トリプルネガティブ)乳がんの治療薬として、TROP-2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)であるサシツズマブ ゴビテカン(商品名:トロデルビ)の日本における販売開始を発表した。 サシツズマブ ゴビテカンは、2024年9月24日に国内製造販売承認を取得。この承認は、2つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者を対象に、サシツズマブ ゴビテカンと医師が選択した治療の有効性と安全性を比較した海外での第III相臨床試験(ASCENT)と、2つ以上の化学療法歴のある手術不能または再発のトリプルネガティブ乳がん患者を対象にサシツズマブ ゴビテカンの有効性と安全性を評価した国内の第II相臨床試験(ASCENT-J02)の結果に基づくものである。<製品概要>商品名:トロデルビ点滴静注用200mg一般名:サシツズマブ ゴビテカン剤形:注射剤(バイアル)効能又は効果:化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳用法及び用量:通常、成人には、サシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を、21日間を1サイクルとし、各サイクルの1日目及び8日目に点滴静注する。投与時間は3時間とし、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降は1~2時間に短縮できる。なお、患者の状態により適宜減量する。製造販売承認日:2024年9月24日製造販売元:ギリアド・サイエンシズ株式会社

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米国民の幸福度、国内格差を人間開発指数で解析/Lancet

 米国内での幸福度にはかなりの格差があり、人種・民族(いわゆるレイシズム)、性別、年齢、および居住地による強い影響がある。米国・ワシントン大学のLaura Dwyer-Lindgren氏らが、人間開発指数(Human Development Index:HDI)を用いた2008~21年のAmerican Community Survey(ACS)Public Use Microdata Sampleの解析結果を報告した。HDIは平均寿命、教育、所得を網羅した複合指標であり、国レベルで人間開発や幸福度を評価・比較するのに広く用いられている。一方で、国内の不平等に関して考慮されていない点で限定的な指標とされていた。Lancet誌オンライン版2024年11月7日号掲載の報告。米国民の人種・民族、性別、年齢および居住地による幸福度の格差を調査 研究グループは、HDIフレームワークを適用させ個人レベルでHDIを測定し、人種・民族、性別、年齢および居住地による幸福度の格差を調べた。 2008~21年のACS Public Use Microdata Sampleの25歳以上の個人レベルデータを用いた。人種・民族、年齢、性別、居住地(Public Use Microdata Areas)、学歴、世帯所得・規模に関する情報を抽出。これらのデータを、人種・民族、性別、年齢、居住地(郡)および暦年別の推定生命表(National Vital Statistics Systemの死亡統計データにベイジアン小地域推定モデルを適用して生成)と統合した。次にACSの個人データについて、前出の統合データを用いて教育年数、世帯消費、予想寿命を推定。これら3つの特性をパーセンタイルスコアを用いて指数変換し、それら3つの指数の幾何平均としてHDIを算出した。最後に、個人を年間HDIの十分位(10群)にグループ分けした。人種・民族だけでなく、年齢群別、居住地による顕著な格差も明らかに 2008~21年の期間において、米国の成人のHDI(教育年数、世帯消費、予想寿命から成る)は大きく変化した。 ほとんどの人種・民族、性別のグループについて、平均HDIは2008~19年の期間において漸増し、2020年に予想寿命の低下によって減少した(ただし、人種・民族、性別によりHDIの分布には系統的な違いがあった)。 最低HDI十分位群で多かったグループ(特定の人種・民族、性別集団の10%超が分布されている)は、先住民(American Indian and Alaska Native:AIAN)の男性(最低HDI十分位群への分布率:50%[SE 0.2]、平均年間人口:37万人[SE 2,000])、黒人男性(40%[<0.1]、467万人[6,000])、AIAN女性(23%[0.1]、19万人[1,000])、ラテン系男性(21%[<0.1]、327万人[6,000])、黒人女性(14%[<0.1]、186万人[4,000])、ラテン系女性(13%[<0.1]、207万人[6,000])であった。しかしながら、全集団規模の違いを考慮すると、白人男性が最大の集団であり(最低HDI十分位全集団に占める割合:27%[<0.1]、587万人[1万2,000])、黒人男性(22%[<0.1])、ラテン系男性(15%[<0.1])と続いた。 これらのパターンには、注目に値する年齢群別の違いがあった。たとえば、25~44歳群では、AIAN男性(最低HDI十分位群への分布率:66%[SE 0.2]、平均年間人口:22万人[SE 1,000])および黒人男性(46%[<0.1]、252万人[5,000])の最低HDI十分位群への分布が多くみられ、85歳以上群の同AIAN男性(22%[1.1]、1万人[<1,000])および黒人男性(20%[0.3]、3万人[<1,000])よりも際立っていた。対照的に、25~44歳群では、アジア系女性の最低HDI十分位群への分布が少なかったが(2%[<0.1]、6万人[<1,000])、85歳以上ではアジア系女性の最低HDI十分位群への分布が多かった(25%[0.3]、3万人[<1,000])。また、25~44歳群の最低HDI十分位群は、主に男性で占められていた(最低HDI十分位集団に占める割合:76%[<0.1]、644万人[9,000])一方で、85歳以上の最低HDI十分位群は、主に女性で占められていた(71%[0.1]、42万人[2,000])。 最高HDI十分位群では、年齢群別の偏移は白人男性で大きく、25~44歳群において白人男性が占める割合は5%(SE 0.1、39万人[SE 1,000])であったが、85歳以上群では49%(0.2、29万人[1,000])であった。 2012~21年において、最低HDI十分位群の居住人口の割合は地域によって大きなばらつきがみられ、米国南部の大半を占める地域(アパラチア[ニューヨーク州からミシシッピ州まで伸びるアパラチア山脈周辺地域の田舎と都会と産業化された地域]、ラストベルト[中西部と大西洋岸中部地域の一部、脱工業化が進んでいる地帯])の居住者が占める割合が、不釣り合いに高かった。 著者は「これらの結果は不変なものではないが、改善は一定のものではなく、COVID-19パンデミックのような危機に直面した場合には、利益は一時的なものになる可能性がある。こうした格差を減らすには、誰もが質の高い教育に意義のあるアクセスができ、十分な所得を得る手段があり、長期にわたって健康的な生活を送るための機会を確保するための継続的な働きかけが必要であり、最も恵まれていない集団と地域に焦点を当てるべきである」と述べている。

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小児がん、定期的な症状スクリーニングで苦痛な症状が改善/JAMA

 小児がん患者の多くは、非常に苦痛な症状を経験する。カナダ・Hospital for Sick ChildrenのL. Lee Dupuis氏らは、症状のフィードバックと症状管理のケアパスウェイを結び付けた定期的な症状スクリーニングの有効性をクラスター無作為化試験により評価し、症状スコアの改善と症状に特異的な介入の増加が得られたことを報告した。JAMA誌オンライン版2024年11月13日号掲載の報告。介入群vs.通常ケア群で、8週時の全SSPediスコアを評価 研究グループは、通常ケアと比較して、症状のフィードバックと症状管理のケアパスウェイを結び付ける週3回の定期的な症状スクリーニングが、小児がん患者のSymptom Screening in Pediatrics Tool(SSPedi)で測定した自己報告症状の全スコアを改善可能か調べた。 2021年7月~2023年8月に米国の小児がんセンター20施設で被験者を登録。新たにがんと診断され、あらゆる治療を受ける8~18歳を対象とした。20施設を、症状スクリーニングを受ける群(介入群、10施設)または通常ケアを受ける群(対照群、10施設)に無作為化した。介入群に221例、対照群に224例が登録された。最終追跡評価日は2023年10月18日。 介入群には、週3回の症状スクリーニングプロンプトの提供、医療ケアチームへのEメールによるアラート、施設に合わせて調整された症状管理ケアパスウェイの提供が行われた。 主要アウトカムは、8週時点の自己報告による全SSPediスコア。副次アウトカムは、Patient-Reported Outcomes Measurement Information System Fatigueスコア(平均[SD]スコアが50[10]、高スコアほど倦怠感が強い)、Pediatric Quality of Life 3.0 Acute Cancer Moduleスコア(範囲:0~100、高スコアほど健康状態が良好であることを示す)、8週時点の症状の記録と介入、および予定外の受診とした。スコアが有意に改善、苦痛な症状が減少 平均(SD)8週時SSPediスコアは、介入群7.9(7.2)、対照群11.4(8.7)であった。 症状スクリーニングは、8週時の合計SSPediスコアの有意な改善(補正後平均群間差:-3.8、95%信頼区間[CI]:-6.4~-1.2)、および個々の苦痛な症状の減少(15症状のうち12症状が統計学的に有意に減少)と関連していた。 倦怠感やQOLに差異はなかった。救急外来受診の平均(SD)回数は、介入群0.77回(1.12)、対照群0.45回(0.81)で、介入群で救急外来受診が有意に多かった(率比:1.72、95%CI:1.03~2.87)。 結果を踏まえて著者は、「今後の検討では、症状スクリーニングをルーチンケアに統合すべきである」と述べている。

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肺動脈性肺高血圧症治療剤ユバンシ配合錠が発売/ヤンセン

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2024年11月20日、肺動脈性肺高血圧症治療薬として、エンドセリン受容体拮抗薬マシテンタン10mgとホスホジエステラーゼ5阻害薬タダラフィル40mgとの配合薬「ユバンシ配合錠」を発売した。 マシテンタン/タダラフィルは、国際共同第III相ピボタル試験(A DUE試験)の結果1)に基づき、9月24日に肺動脈性肺高血圧症を効能または効果として国内の製造販売承認を取得した、1日1回服用の配合錠である。 現在、肺動脈性肺高血圧症の治療については、欧州心臓病学会(ESC)および欧州呼吸器学会(ERS)による肺高血圧症治療ガイドライン2022において、エンドセリン受容体拮抗薬とホスホジエステラーゼ5阻害薬の併用療法が推奨されている。本薬剤は有効性・安全性プロファイルが示されているマシテンタンおよびタダラフィルの2つを配合錠にすることで、疾患管理の最適化や患者の服薬時の負担軽減などを期待できる可能性がある。<製品概要>商品名:ユバンシ配合錠一般名:マシテンタン/タダラフィル剤形:フィルムコーティング錠効能又は効果:肺動脈性肺高血圧症 用法及び用量:通常、成人には1日1回1錠(マシテンタンとして10mg及びタダラフィルとして40mg)を経口投与する。薬価:1万3,334.90円/錠製造基準収載日:2024年11月20日製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社販売提携先:日本新薬株式会社

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大腸がん検診、現時点では血液検査よりも大腸内視鏡検査が優れる

 大腸がん検診において、新たな検査選択肢である血液検査は大腸内視鏡検査ほど有効ではないことが、米スタンフォード大学医学部消化器・肝臓内科学教授のUri Ladabaum氏らのレビューによって明らかになった。血液検査を推奨通りに3年に1回受けている人では、大腸内視鏡検査を10年に1回受けている人と比べて、大腸がんによる死亡が約2.5倍多く発生すると推定された。Ladabaum氏らは、大腸内視鏡検査や便の検査ではなく血液検査を選択する人が多くなると、大腸がんによる死亡が増加するとの予測を示している。この研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に10月29日掲載された。 米食品医薬品局(FDA)は2024年7月、大腸がんリスクが平均的な人に対する大腸がん検診として血液検査を初めて承認した。この承認は、約8,000人を対象とした臨床試験の結果に基づき決定されたもの。同試験では、血液検査によって大腸に腫瘍のある人の83%以上で大腸がんを検出できることが示されていた。しかし、この検査によって、前がん病変である大腸ポリープを検出できた人の割合は約13%に過ぎなかった。 大腸内視鏡検査は簡単な検査とは言い難い。この検査を受ける人は、前もって強力な下剤を飲んで腸を完全に空にしなければならず、検査に際しては鎮静薬の投与も必要となる。しかし、医師が検査中に前がん病変のポリープを見つけた場合には、その場でそれを取り除くことができることから、この検査によって大腸がんは予防可能ながんの一つになった。Ladabaum氏は、「このことは、大腸内視鏡検査ががんを予防する可能性もあるユニークながん検診の手段であることの理由となっている。それにもかかわらず、検診を全く受けていない人、あるいは推奨されている頻度で検診を受けていない人は数多くいる」と指摘する。 便検査または血液検査の結果が陽性となった患者は、がんまたはポリープがあるかどうかのダブルチェックのため大腸内視鏡検査を受けるよう促される。Ladabaum氏らは今回の研究で、市販されているか開発段階にある6種類の血液検査、便検査、および大腸内視鏡検査のデータを収集して統合した。次に、この統合データを使って各スクリーニング法による大腸がん検診を受けた人における大腸がんの新規症例と大腸がんによる死亡の相対発生率を推定した。 その結果、10年ごとに大腸内視鏡検査を受けた場合、10万人当たり1,543人が大腸がんを発症し、672人が死亡すると推定された。また、1年から3年ごと(検査によって異なる)の便検査では、10万人当たり2,181~2,498人が大腸がんを発症し、904~1,025人が死亡すると推定された。さらに、3年ごとの実施が推奨されている新しい血液検査では、10万人当たり4,310~4,365人が大腸がんを発症し、1,604~1,679人が死亡すると推定され、死亡者数は、大腸内視鏡検査を受けた場合の約2.5倍に上った。このほか、血液検査と比べて大腸内視鏡検査と便検査の方が費用対効果に優れていることも示された。 Ladabaum氏は、「第一世代の血液検査は、大腸がん検診のパラダイムにおける実に素晴らしい進展である。しかし、現時点では、大腸内視鏡検査や便検査を受ける意思があり、それが可能であるなら、血液検査に切り替えるべきではない」と主張している。また同氏は、「何も検査を受けないよりは血液検査を受ける方が、はるかに良い選択であることは確かだ。しかし、大腸内視鏡検査から第一世代の血液検査に切り替える人がいるのであれば、集団としての転帰が悪化し、医療費が上昇することになる」とスタンフォード大学医学部のニュースリリースの中で指摘している。その上で、「最善のシナリオは、大多数の人は引き続き大腸内視鏡検査または便検査を受け、これら2つの選択肢であれば検診は受けたくないという強い抵抗感を持つ人だけが血液検査を受けるようにすることだ」との考えを示している。

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うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法、安定後は継続または中止?

 カナダ・トロント大学のRoger S. McIntyre氏らは、抗うつ薬治療とブレクスピプラゾール補助療法の併用により安定したうつ病患者における、ブレクスピプラゾール補助療法の継続または中止による再発までの期間を比較するため、第III相多施設共同二重盲検プラセボ対照並行群間ランダム化中止試験を実施した。Acta Neuropsychiatrica誌オンライン版2024年10月17日号の報告。 対象は、2〜3回の抗うつ薬治療で効果不十分であったうつ病成人患者1,149例。すべての患者に対し、ブレクスピプラゾール2〜3mg/日による補助療法を開始した(第A相、6〜8週間)。症状が安定した患者(第B相、12週間)489例は、ブレクスピプラゾール補助療法群(継続群)240例またはプラセボ補助療法群(中止群)249例に1:1でランダムに割り付けられた(第C相、26週間)。主要エンドポイントは第C相における再発までの期間、副次的エンドポイントはうつ病評価尺度スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・再発までの期間中央値は、1回以上の投与を行った患者の場合、両群ともにランダム化から63日であった。・再発基準を満たした割合は、継続群で22.5%(54例)、中止群で20.6%(51例)であった(ハザード比:1.14、95%信頼区間:0.78〜1.67、log-rank検定のp=0.51)。・うつ病評価尺度スコアは、第A〜B相で改善し、その効果は第C相でも維持された。・平均体重は、第A〜B相で2.2kgの増加が認められ、第C相では安定した。 著者らは「再発までの期間は、ブレクスピプラゾール補助療法を継続した場合と中止した場合において、同程度であった。いずれも、安定したうつ病患者の80%において、最終診断時に再発が認められなかった。ブレクスピプラゾール補助療法は、最大46週間にわたり忍容性が良好であり、中止後の副作用も最低限であった」と結論付けている。

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寄り道編(13)ワルファリンの歴史【臨床力に差がつく 医薬トリビア】第62回

 ※当コーナーは、宮川泰宏先生の著書「臨床力に差がつく 薬学トリビア」の内容を株式会社じほうより許諾をいただき、一部抜粋・改変して掲載しております。今回は、月刊薬事63巻1号「臨床ですぐに使える薬学トリビア」の内容と併せて一部抜粋・改変し、紹介します。寄り道編(13)ワルファリンの歴史Questionワルファリンはどのようにして医薬品になった?

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第239回  温暖化でツツガムシ病はこれから増える?須藤・秋田大名誉教授の訃報を聞いて考えたこと

ツツガムシ病の早期診断法の開発、危険性・治療法の啓発活動に尽力した須藤恒久氏こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。いやあ、米国の大統領選に続き、兵庫県知事選の結果には驚きました。報道ではSNSを駆使して選挙運動を行ったとのことですが、誤情報も多く発信され、対立候補はその対応に相当苦慮したようです。新聞やテレビといった旧来のマスコミ報道の限界も垣間見えました。日本もポピュリズム政治がメインストリームになっていきそうで心配です。さて、今回は突然ですが、「ツツガムシ病」について書いてみたいと思います。というのも、私が新人記者時代、何度も取材でお世話になった秋田大学名誉教授の須藤 恒久氏が10月23日、98歳で逝去されたニュースを読んだからです。ツツガムシ病の早期診断法の開発、その危険性・治療法の啓発活動に尽力された須藤先生を悼みつつ、ツツガムシ病をはじめとするダニ媒介性疾患のこれからについて勝手に予想してみます。医師の頭にツツガムシ病の知識があれば診断できるが、なければ診断できず死に至る病ツツガムシ病は、ダニの一種であるツツガムシに刺されることによって発症する感染症です。かつては山形県、秋田県、新潟県などで夏季に河川敷で感染する“風土病”と言われていましたが、現在は媒介するツツガムシの種類も増え、ほぼ全国(北海道以外)で発生が確認されています。国立感染症研究所のWebサイトなどによれば、潜伏期は5〜14日で、典型的な症例では39℃以上の高熱、頭痛が現れます。その他の症状としては筋肉痛、咳、全身性のリンパ節腫脹、悪心、嘔吐、腹痛などがあります。早期に適切な治療を受けないと間質性肺炎、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、髄膜脳炎、急性腎障害、播種性血管内凝固(DIC)などを起こし、死亡する患者もいます。皮膚のどこかに特徴的なダニの刺し口がみられ、発症後数日で体幹部を中心に発疹が出るのも特徴です。この病気の最大のポイントは、ダニ媒介性のリケッチア症であることです。リケッチア症にはβラクタム系抗菌薬は効きません。ミノサイクリンなどのテトラサイクリン系抗菌薬が第一選択となります。というわけで、ツツガムシ病の診療経験がなく、リケッチア症の存在や、その治療法に疎い医師が初診でこの病気を診た場合、通常の抗菌薬が効かないために右往左往し、最悪、患者は死に至ることになります。実際、昨年1月、千葉県船橋市で70歳男性がツツガムシ病で死亡しています。この男性は、ツツガムシ病の発生が多い千葉県の南部地域に滞在中に草刈りをし、その約1週間後から咽頭痛や発熱、発疹の症状が出て、入院先の病院で約18日後に敗血症で死亡しています。ツツガムシ病との検査結果が出たのは死亡後でした。抗菌薬使用の主流がβラクタム系に変わり、知らないうちに治っていたツツガムシ病が治らなくなるさて、私が新人記者だった1980年代半ば頃、ツツガムシ病はまだ“風土病”の範疇で、全国的にはそれほど知られた病気ではありませんでした。ですから、医師向け月刊誌の企画にも選ばれたのでしょう。須藤氏に取材を依頼したのは、学会発表を聞いたか、学会誌などでの論文を読んだことがきっかけだったと思います。秋田大医学部の微生物学教室の狭い教授室で会った須藤氏は実に温厚で、秋田弁なまりの言葉でゆっくりと、そしてわかりやすくツツガムシ病について解説してくれました。須藤氏は秋田県由利本荘市出身で、東北大医学部を卒業後、県立中央病院微生物検査科長などを経て、1971年に秋田大医学部に創設された微生物学教室の教授に就任しました。1973年にツツガムシ病の研究を始め、1976年頃からツツガムシ病の早期診断・早期治療の啓発に取り組みました。その理由を須藤氏は、「秋田県の雄物川水系の風土病と言われていたツツガムシ病をなんとかしたかった」ことと、「医師の抗菌薬使用の主流がクロラムフェニコールやテトラサイクリン系からβラクタム系に変わってきたことで、それまで抗菌薬投与で知らないうちに治っていたツツガムシ病が治らなくなり、死亡例も多くなってきた」ことを挙げていました。須藤氏は1980年に免疫ペルオキシダーゼ反応による迅速血清診断法を確立、この診断法が普及していなかった当初は、全国からの検査依頼に対応したそうです。また、この方法は世界保健機関(WHO)の標準診断法に推薦され、東南アジア各国でも活用されるに至っています。こうした功績が認められ、須藤氏は1987年には病原微生物学、感染症学、公衆衛生学分野でわが国最高の賞とされる小島三郎記念文化賞を受賞しています。1992年に大学を退職した後も、医学誌などでツツガムシ病への注意喚起や早期診断・早期治療の啓発を続けられていました。4、5年おきに雑誌に掲載すると定番のように読まれたツツガムシ病の記事1980年代に書いた私の記事はとても読まれました。それだけ当時の医師にツツガムシ病の知識がなかったからだとも言えます。その後、日本紅斑熱(やはりマダニに刺されて発症するリケッチア症)やライム病(やはりマダニに刺されて発症するが、こちらはスピロヘータ感染症)などの取材で、幾度か秋田を訪れ、須藤氏を取材しました。当時は秋田の飲み屋街、川反通りも大変賑やかで、それはそれでいい思い出です。ツツガムシ病の記事は、4、5年おきに雑誌に掲載すると定番のように読まれました。それは、一定の期間が経てばこの病気を知らない医師が出てくることを意味します。須藤氏が生涯にわたって啓発活動に取り組んだ理由がわかる気がします。なお、ツツガムシ病は1999年4月に新感染症予防法の施行に伴って第4類感染症となり全数把握の対象となりました。ということで、国立感染症研究所のWebサイトに行けばその発症数を確認することができます。夏に患者数が多いわけではなく、むしろ今の時期、11月〜12月に患者数が多い地域もツツガムシ病は1種類のツツガムシによって発症するのではありません。かつての東北地方の”風土病”のように、夏に患者数が多いわけでもありません。むしろ今の時期、12月に患者数が多い地域もあります(先述した千葉県の死亡例は1月でした)。国立感染症研究所の病原微生物検出情報(IASR)の2022年8月号によれば、「全国集計では3~5月の春と11~12月の秋~初冬にかけた2つのピークがある。患者発生時期はツツガムシの種ごとの生息地域での幼虫の活動時期に左右される。寒冷に強いフトゲツツガムシが主に分布する地域では、孵化後の秋~初冬に患者が発生すると同時に、越冬した幼虫により春にも患者届出数のピークがみられる。一方、寒冷に弱いタテツツガムシの幼虫は越冬できず、その生息地では孵化した後の秋~初冬にかけて患者発生数のピークを示す」とのことです。ちなみに、かつて秋田県雄物川流域のほかに山形、新潟県の一部河川流域で多発していたツツガムシ病はアカツツガムシによるものだったそうです(最近は症例数が少なく、「古典型つつが虫病」と呼ばれています)。つまり、生息するツツガムシの種類とその地域の気候によって、患者の発生パターンは変わってくるということです。今後、温暖化が進めば、患者発生パターンも変動していくでしょう。たとえば、寒冷に弱いタテツツガムシが越冬できる地域が増えれば、そこでの春の発生も増えてくるかもしれません。ツツガムシ病は微増傾向、マダニが媒介する日本紅斑熱は明らかに増加傾向気になって、国立感染症研究所のWebサイトで年別の発生動向を調べてみました1)。それによると、ツツガムシ病は微増傾向、そしてマダニが媒介する日本紅斑熱は明らかに増加傾向にあるようです。マスコミは、北海道でブリが大漁となるなど、地球温暖化でとれる魚が変化することなどは大騒ぎしますが、ツツガムシ病などのダニの生息域の変化は大きくは報道されていません。日常診療と温暖化は今のところ関係ないように見えますが、昆虫などが媒介する感染症は大きな影響を受けます。ヤブ蚊(ヒトスジシマカ)が媒介するデング熱の発症地域が日本でも北上中との報道もあります。日頃から各都道府県の衛生研究所や地元の保健所からの最新情報には敏感になっておきたいものです。参考1)発生動向調査年別一覧(全数把握)/国立感染症研究所

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日本の小中高生の自殺リスク「学校に行きたくない」検索量と関連

 自殺は、日本における小児および青年期の主な死因となっている。自殺リスクの検出に、インターネットの検索量が役立つ可能性があるが、小児および青年期の自殺企図とインターネット検索量との関連を調査した研究は、これまでほとんどなかった。多摩大学の新井 崇弘氏らは、自殺者数と学校関連のインターネット検索量との関連を調査し、小児および青年期の自殺予防の主要な指標となりうる検索ワードの特定を試みた。Journal of Medical Internet Research誌2024年10月21日号の報告。 2016〜20年の警視庁より提供された日本の小中高生における自殺企図の週次データを用いて、検討を行った。インターネットの検索量は、Googleトレンドから収集した20の学校関連ワードの週次データを用いた。自殺による死亡者数と関連ワードの検索量との時間的な前後関係とタイムラグを推定するため、グレンジャー因果性検定および相互相関分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・「学校に行きたくない」「勉強」の検索ワードは、自殺発生率とのグレンジャー因果性が認められた。・相互相関分析では、「学校に行きたくない」では-2〜2(タイムラグ最高値:0、r=0.28)、「勉強」では-1〜2(タイムラグ最高値:-1、r=0.18)の範囲で有意な正の相関が認められ、自殺者数の増加に伴い検索量の増加が示唆された。・COVID-19パンデミック期間中(2020年1〜12月)では、「学校に行きたくない」の検索傾向は、「勉強」とは異なり、自殺頻度との高い関連性が認められた。 著者らは「『学校に行きたくない』のインターネット検索量のモニタリングは、小児および青年期の自殺リスクの早期発見につながり、Webベースのヘルプライン表示の最適化に役立つ可能性が示唆された」とまとめている。

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インフル・コロナワクチン接種、同時vs.順次で副反応に差はあるか

 インフルエンザワクチンと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンを同時に接種した場合、1~2週間空けて両ワクチンを順次接種した場合と比較して、中等度以上の発熱、悪寒、筋肉痛などの発生状況に差はみられないことが、無作為化プラセボ対照臨床試験の結果示された。米国・Duke University School of MedicineのEmmanuel B. Walter氏らがJAMA Network Open誌2024年11月6日号に報告した。これまで、両ワクチンの同時接種の安全性に関する無作為化臨床試験データは限定的であった。 本試験は、2021年10月8日~2023年6月14日に米国の3施設で実施された。参加者は5歳以上で妊娠しておらず、4価インフルエンザ不活化ワクチン(IIV4)とCOVID-19のmRNAワクチンの両方を接種する意思のある者であった。1回目には、COVID-19 mRNAワクチンと同時にIIV4または生理食塩水を、反対側の腕に筋肉内投与した。1~2週間後、2回目として1回目に生理食塩水を投与された参加者にはIIV4を、1回目にIIV4を投与された参加者には生理食塩水を投与した。 主要な複合接種後反応(reactogenicity)アウトカムは、1回目および/または2回目の接種後7日以内に、発熱、悪寒、筋肉痛、および/または関節痛の中等度以上の症状がみられた参加者の割合で、非劣性マージンは10%とされた。副次アウトカムは、各接種後7日間の注射部位反応イベントと注射部位以外の有害事象(AE)、および1回目接種後の健康関連QOL(HRQOL)で、EuroQoL 5-Dimension 5-level(EQ-5D-5L)を用いて評価した。重篤な有害事象(SAE)ととくに注目すべき有害事象(AESI)は、121日間評価された。 主な結果は以下のとおり。・全体で335人(平均[SD]年齢:33.4[15.1]歳)が登録され、無作為に割り付けられた(同時併用群:169人、順次併用群:166人)。・63.0%が女性、57.0%が登録時点でCOVID-19感染歴ありまたはIgG抗体陽性であり、76.1%がファイザー製のBNT162b2(2価)を接種した。・同時併用群における主要な複合接種後反応アウトカムの発生率は25.6%(43人)で、順次併用群(31.3%[52人])に対し非劣性であった(補正後群間差:-5.6%ポイント、95%信頼区間:-15.2~4.0%ポイント)。・主要な複合接種後反応アウトカムの発生率は、接種回別にみても同様であった(1回目接種後:23.8% vs.28.3%、2回目接種後:3.0% vs.5.4%)。・同時併用群と順次併用群では、AE(12.4% vs.9.6%)、SAE(ともに0.6%)、およびAESI(11.2% vs.5.4%)の発生率に有意な群間差は認められなかった。・重篤な反応を示した参加者において、EQ-5D-5L Indexの平均(SD)スコアは、ワクチン接種前の0.92(0.08)~0.92(0.09)から2日目までに0.81(0.09)~0.82(0.12)に減少したものの、3または4日目までにはベースラインレベルに回復した。 著者らは今回の結果について、インフルエンザとCOVID-19の流行が予想される期間中に高いワクチン接種率を達成するための戦略として、これらのワクチンの同時接種を支持するものだとしている。

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日本人に対するニボルマブのNSCLC周術期治療(CheckMate 77T)/日本肺学会

 ニボルマブは、切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術前補助療法として本邦で使用されているが、米国ではこれに加えて、2024年10月に術前・術後補助療法としての適応も取得している。その根拠となった第III相「CheckMate 77T試験」の日本人集団の結果について、産業医科大学の田中 文啓氏が第65回日本肺学会学術集会で発表した。CheckMate 77T試験 試験デザインと結果の概要試験デザイン:国際共同無作為化二重盲検第III相試験対象:切除可能なStageIIA(>4cm)~IIIB(N2)のNSCLC患者(AJCC第8版に基づく)試験群:ニボルマブ(360mg、3週ごと)+プラチナダブレット化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→ニボルマブ(480mg、4週ごと)を最長1年(ニボルマブ群:229例)対照群:プラセボ+プラチナダブレット化学療法(3週ごと)を4サイクル→手術→プラセボを最長1年(プラセボ群:232例)評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定に基づく無イベント生存期間(EFS)[副次評価項目]盲検下独立病理判定に基づく病理学的完全奏効(pCR)・病理学的奏効(MPR)、安全性など 追跡期間中央値25.4ヵ月時点における全体集団のEFS中央値は、ニボルマブ群では未到達、プラセボ群では18.4ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.58、97.36%信頼区間[CI]:0.42~0.81)。pCR率はニボルマブ群25.3%、プラセボ群4.7%(オッズ比[OR]:6.64、95%CI:3.40~12.97)、MPR率はそれぞれ35.4%と12.1%であった(OR:4.01、95%CI:2.48~6.49)。 日本人集団における主な結果は以下のとおり。・全体集団461例中、日本人は68例(ニボルマブ群40例、プラセボ群28例)含まれており、全体集団と比較して、PS0の患者やプラチナ製剤としてシスプラチンを使用する患者の割合が高かった。また、日本人集団のニボルマブ群はプラセボ群と比較して、扁平上皮がん、喫煙歴あり、PD-L1発現1%未満の患者の割合が高かった。・4サイクルの術前補助療法を完遂した割合は、ニボルマブ群で65%、プラセボ群で82%、手術を実施した割合はそれぞれ90%と93%、術後補助療法を実施した割合は60%と71%、術後補助療法を完遂した割合は45%と36%であった。ニボルマブ群では、全体集団と比較して、術前補助療法完遂の割合は低いものの(日本人集団vs.全体集団:65% vs.85%)、手術実施の割合は高かった(同:90% vs.78%)。・追跡期間中央値24.9ヵ月時点におけるEFS中央値は、ニボルマブ群では未到達、プラセボ群では12.1ヵ月であった(HR:0.46、95%CI:0.22~0.95)。12ヵ月EFS率はニボルマブ群82%、プラセボ群50%、18ヵ月EFS率はそれぞれ77%と43%であった。・pCR率はニボルマブ群42.5%、プラセボ群0%(OR:NA)、MPR率はそれぞれ52.5%と7.1%であった(OR:14.37、95%CI:3.00~68.82)。・全期間におけるGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)はニボルマブ群55.0%(22/40例)、プラセボ群39.3%(11/28例)に認められ、全体集団よりも高い割合で発現していた(全体集団はそれぞれ32.5%、25.2%)。これを期間別にみると、術前期間ではニボルマブ群47.5%(19/40例)、プラセボ群39.3%(11/28例)、術後期間ではそれぞれ12.5%(3/24例)と0%(0/20例)と、術前期間における発現割合が高かった。・日本人集団でとくに発現割合が高かった免疫介在性有害事象は、皮膚障害や間質性肺疾患などであった。 講演後、全体集団と比較した場合の手術実施割合、pCR率、MPR率の高さの理由について質問があった。田中氏は、「(明確な理由は不明であるものの)無作為化により対照群に割り付けられる患者の不利益を踏まえ、切除可能性やPSなどを考慮して、厳格に患者選定を行った結果ではないか」と考察した。また、術前のみニボルマブを使用するCheckMate 816試験の結果も踏まえ、pCRが得られた場合の後治療の要否やnon-pCRであった場合の後治療など、今後のクリニカルクエスチョンについても議論があった。 田中氏は、今回の有効性と安全性プロファイルの結果はCheckMate 77T試験の全体集団の結果と一致しているとし、「切除可能NSCLC日本人患者に対するニボルマブの術前・術後補助療法としての使用可能性を支持するものである」とまとめた。

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院外心停止患者への薬物投与、骨髄路は有効か/NEJM

 院外心停止を起こした成人患者に薬物療法を行う際の投与経路として、静脈路と比較して骨髄路は、持続的な心拍再開に関して差はなく、30日後の生存も同程度であることが、デンマーク・オーフス大学のMikael F. Vallentin氏らが実施した「IVIO EU試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2024年10月31日号で報告された。デンマークの医師主導無作為化臨床試験 IVIO EU試験は、デンマークの5つの地域(住人約590万人)の救急医療施設で実施した医師主導の無作為化臨床試験であり、2022年3月~2024年5月に患者のスクリーニングを行った(Novo Nordisk Foundationなどの助成を受けた)。 年齢18歳以上で、非外傷性の院外心停止中に血管アクセスが適用とされた患者1,479例(平均[±SD]年齢69±15歳、男性70%、自宅での心停止発症81%)を登録した。これらの患者を、血管アクセスとして骨髄路を用いる群に731例、静脈路を用いる群に748例を割り付けた。 主要アウトカムは持続的な心拍再開とし、少なくとも20分間、胸部圧迫を行わなくても脈拍を触知できる、または他の循環の徴候を認めることと定義した。また、副次アウトカムとして、30日の時点での生存、および良好な神経学的アウトカム(修正Rankinスケール[0~6点、高スコアほど機能障害が重度]のスコアが0~3点)を伴う30日後の生存の評価を行った。良好な神経学的アウトカムを伴う30日生存率も同程度 2回の試行で血管アクセスの確立に成功したのは、骨髄路群が669例(92%)、静脈路群は595例(80%)であった。最初の血管アクセスが成功するまでの時間中央値は、それぞれ14分(四分位範囲:10~17)および14分(10~18)、エピネフリンの初回投与までの時間中央値は、15分(12~19)および15分(12~20)と両群で同じだった。 持続的心拍再開は、骨髄路群で221例(30%)、静脈路群で214例(29%)に認め、両群間に有意な差はなかった(リスク比:1.06、95%信頼区間[CI]:0.90~1.24、p=0.49)。 30日の時点で生存していた患者は、骨髄路群85例(12%)、静脈路群75例(10%)であった(リスク比:1.16、95%CI:0.87~1.56)。また、30日時に良好な神経学的アウトカムを伴った状態で生存していた患者は、それぞれ67例(9%)および59例(8%)だった(1.16、0.83~1.62)。有害事象はまれでイベントは限定的 事前に規定された有害事象の発現はまれで、イベントは血管外漏出、徐脈性不整脈、心室性頻脈性不整脈に限られていた。コンパートメント症候群、骨髄炎、上腕骨または脛骨の外傷性骨折、血管アクセス関連の炎症、壊死、静脈炎の報告はなかった。 著者は、「これらの結果は、心停止中に投与された薬剤の効果は、投与経路には大きく依存しない可能性が高いことを示唆する」「エピネフリンは、心停止患者の短期的アウトカムに対する影響が非常に大きいことを考慮すると、骨髄路と静脈路の薬物動態の違いに起因する心拍再開に関する重要な違いは、本試験で検出された可能性が高い」としている。

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フィネレノンによるカリウムの影響~HFmrEF/HFpEFの場合/AHA2024

 左室駆出率(LVEF)が軽度低下した心不全(HFmrEF)または保たれた心不全(HFpEF)患者において、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)のフィネレノン(商品名:ケレンディア)は高カリウム血症の発症頻度を高めたが、その一方で低カリウム血症の発症頻度を低下させたことが明らかになった。ただし、プロトコールに沿ったサーベイランスと用量調整を行った場合、プラセボと比較し、カリウム値が5.5mmol/Lを超えた患者でもフィネレノンの臨床的な効果は維持されていた。本研究結果は、米国・ミネソタ大学のOrly Vardeny氏らが11月16~18日に米国・シカゴで開催されたAmerican Heart Association’s Scientific Sessions(AHA2024、米国心臓学会)のFeatured Scienceで発表し、JAMA Cardiology誌オンライン版2024年11月17日号に同時掲載された。 本研究は日本を含む37ヵ国654施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照イベント主導型試験多施設ランダム化試験であるFINEARTS-HF試験の2次解析である。FINEARTS-HF試験において、HFmrEFまたはHFpEFの転帰を改善することが示唆されていたが、その一方で、追跡調査では血清カリウム値上昇の関連が示されていたため、それを検証するために2020年9月14日~2023年1月10日のデータを解析した。追跡期間の中央値は32ヵ月だった(追跡最終日は2024年6月14日)。 研究者らは、 血清カリウム値が5.5mmol/L超(高カリウム)または3.5mmol/L未満(低カリウム)となる頻度とその予測因子を調査し、ランダム化後のカリウム値に基づきフィネレノンによる治療効果をプラセボと比較、臨床転帰に及ぼす影響を検討した。NYHAクラスII~IVの症候性心不全およびLVEF40%以上、ナトリウム利尿ペプチド上昇、左房拡大または左室肥大を有する、利尿薬を登録前30日以上使用しているなどの条件を満たす40歳以上の患者が登録され、フィネレノンまたはプラセボの投与が行われた。主要評価項目は心不全イベントの悪化または全心血管死の複合であった。 主な結果は以下のとおり。・対象者6,001例(平均年齢72歳、女性2,732例)はフィネレノン群3,003例、プラセボ群2,998例に割り付けられた。・血清カリウム値の増加は、1ヵ月後(中央値の差0.19mmol/L[IQR:0.17~0.21])および3ヵ月後(同0.23mmol/L[同:0.21~0.25])において、フィネレノン群のほうがプラセボ群より大きく、この増加は残りの追跡期間中も持続した。・フィネレノンは、高カリウムになるリスクを高め、そのハザード比(HR)は2.16(95%信頼区間[CI]:1.83~2.56、p<0.001)であった。また、低カリウムになるリスクを低下させた(HR:0.46[95%CI:0.38~0.56]、p<0.001)。・低カリウム(HR:2.49[95%CI:1.8~3.43])と高カリウム(HR:1.64[95%CI:1.04~2.58])の双方が両治療群における主要アウトカムのその後のリスクの上昇と関連していた。しかしながら、カリウム値が5.5mmol/L超であってもフィネレノン群はプラセボ群と比較して、主要評価項目のリスクがおおむね低かった。

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アジア人女性のBMIと乳がんの関連、欧米人との違い~32万人のデータ解析

 BMIと乳がんリスクの関連は、アジア人女性と欧米人女性で異なることが示唆されている。アジア人においては、閉経後女性でBMIと乳がんの正の相関が線形か非線形か、また閉経前女性でBMIと乳がんの相関が正か負かについて、以前の研究で矛盾した結果が報告されている。今回、岐阜大学の和田 恵子氏らは、複数のコホート研究から集められた約32万人のデータを使用して、閉経前および閉経後の日本人を含む東アジア人女性におけるBMIと乳がん発症率との関連を調べた。その結果、閉経後女性ではBMIと乳がんリスクに正の相関がみられたが、BMIが高くなると傾きが緩やかになった。また、閉経前女性で逆相関はみられなかった。Breast Cancer Research誌2024年11月14日号に掲載。 本研究は、日本、韓国、中国の13のコホート研究から得られた31万9,189人の女性のデータを用いたプール解析。 参加者の身長および体重はベースライン時に測定または自己申告によって得られた。 BMIにより7つのカテゴリー(18.5未満、18.5以上21未満、21以上23未満、23以上25未満、25以上27.5未満、27.5以上30未満、30以上)に分け、Cox比例ハザードモデルを用いて、21以上23未満を基準群とした乳がんのハザード比を推定した。またBMIが5上昇した場合のハザード比も算出した。  主な結果は以下のとおり。・平均16.6年の追跡期間中に、4,819人が乳がんを発症した。・閉経後女性では、欧米人と同様、BMI増加に伴う乳がんリスクの一定の増加がみられたが、26以上28未満からリスクの増加の傾きが緩やかになった。・閉経前女性では、欧米人でみられた逆相関はみられず、50歳以上ではBMIの増加とともに乳がん発症リスクがわずかに増加し、高齢の出生コホートで顕著であった。50歳未満ではBMIと乳がん発症リスクに有意な関連は認められなかったが、出生コホートが若くなるにつれてリスク推定値が正から負に変化した。 著者らは「東アジアでは、肥満と乳がんの増加に伴い、閉経前女性の乳がん発症におけるBMIの役割が変化している可能性がある」と考察している。

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除細動器での心肺蘇生、1分の遅れが大きな影響

 除細動器による初回電気ショックを待つ時間が1分増えるごとに、心停止から生き延びる確率が6%低下することが、アムステルダム大学医療センター(オランダ)のRemy Stieglis氏らによる研究で明らかになった。この研究の詳細は、「Circulation」に10月27日掲載された。 Stieglis氏らは、オランダ北ホラント州で進行中の心肺蘇生に関する研究データを用いて、目撃者がいる状態で院外心停止を起こした患者3,723人を対象に、初回電気ショックが与えられるまでの時間と除細動成功率との関係について検討した。患者は、最初に記録された心電図リズムで心室細動(VF)が確認されていた。初回電気ショックまでの遅延は、最初の緊急通報からいずれかの除細動器による最初の電気ショックまでの時間と定義された。 その結果、除細動成功率は、心停止から最初の電気ショックまでの時間が6分未満の場合では93%であったのに対し、16分を超えると75%に低下することが明らかになった。緊急通報からVFが続く時間が1分増えるごとに、VFが停止しない確率が6%上昇し(調整相対リスク1.06、95%信頼区間1.04〜1.07)、正常なリズムに戻る確率が4%低下し(同0.96、0.95〜0.98)、生存退院する確率が6%低下(同0.94、0.93〜0.95)することが示された。 Stieglis氏は、「われわれの研究により、初回の電気ショックを与える際の1分の遅れが大きな影響を及ぼすことが明らかになった」と話す。論文の上席著者であるアムステルダム大学医療センターの心臓専門医でChristian van der Werf氏は、「除細動に成功するとVFが止まり、正常な心拍リズムに戻るか、または心拍リズムが完全に消失した状態(心静止)になる」と述べ、「われわれの研究では、初回電気ショックまでの遅延が短いほど、心拍リズムが正常になる頻度も高かった」と付け加えている。 しかし、患者が常に安全であるとは限らない。「除細動が成功した後でも、VFが再発し、再び電気ショックが必要になる可能性がある。初回電気ショックまでの時間が短くなると、この可能性も低下する」とvan der Werf氏は指摘する。 現在、オランダ当局は、自動体外式除細動器(AED)を公共で容易に利用できるようにし、警察や消防士などの救急隊員にその使用方法を訓練することで、初回の電気ショックまでの時間を短縮しようと努めている。目標とすべきは、心停止患者に電気ショックによる心肺蘇生を6分以内に実施することだ。論文の共著者の1人であり現在進行中の蘇生研究のリーダーであるアムステルダム大学医療センターのHans van Schuppen氏は、「しかしながら、われわれの研究で実施された心肺蘇生では、4回のうち3回で6分以内という時間に達していなかった」と指摘している。

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筋トレを数週間休んでも再開後は速やかに筋肉が元に戻る

 ウェイトトレーニングをしている人の中には、何らかの理由でしばらくジム通いができなくなったときに、筋肉量や筋力が大きく低下してしまうことを心配する人がいるかもしれない。しかし、新たな研究により、たとえ数週間トレーニングを休んだとしても、再開すれば速やかに元のレベルに回復することが分かった。ユヴァスキュラ大学(フィンランド)のEeli Halonen氏らの研究によるもので、詳細は「Scandinavian Journal of Medicine and Science in Sports」に10月4日掲載された。 この研究では健康な人55人(平均年齢32±5歳)をランダムに2群に分け、一方は20週間連続で筋力トレーニング(resistance training;RT)を行う連続RT群、もう一方はRTを10週間行った後の10週間は休止して、その後また10週間のRTを行う周期的RT群とした。連続RT群は22人がこの介入を完了し、周期的RT群は20人が完了した。両群ともに女性が約45%を占めていた。介入開始時と介入期間中は5週ごとに、足や腕の筋肉の断面積で筋肉量を測定し、レッグプレスを1回のみ行える最大荷重(one repetition maximum;1RM)、ジャンプ力などで筋力を測定して、介入効果を評価した。 周期的RT群では、10週間の休止期間中は筋肉量や筋力がやや低下した。低下幅は筋肉量よりも筋力の方が小さい範囲にとどまっていた。RT再開後5週間で筋肉量と筋力は、RT休止前のレベルに回復していた。一方、Halonen氏によると、「連続RT群では最初の10週間を過ぎると、明らかにそこから先の向上が鈍化していた」という。そして最終的な介入効果は、2群間で有意差がなかった。 例えばレッグプレスの1RMは、連続RT群では介入前が165.1±38.5kg、介入10週後が195.7±42.3kg、介入終了時が207.0±44.5kgであったのに対して、周期的RT群では介入前が165.5±46.9kg、10週間のRT終了時が197.6±47.5kg、10週間の休止後が187.5±48.0kg、介入終了時が209.3±50.7kgであった。 周期的RT群でRT再開後に筋肉量と筋力が速やかに回復した理由についてHalonen氏は、「おそらく『筋肉の記憶』として知られる現象によるものだろう」と話している。では、「筋肉の記憶」とは一体どのようなことだろうか? 論文の共著者で同大学のJuha Hulmi氏とJuha Ahtiainen氏は、「筋肉の記憶の生理学的メカニズムはまだ完全には解明されていない」と大学発のリリースで述べ、「この研究の次のステップは、筋肉の記憶という現象のメカニズムを説明できる可能性のある、分子レベルの研究を進めることだ」としている。なお、論文の考察においては、筋肉の記憶の潜在的なメカニズムとして、既報研究の知見が紹介されている。それによると、筋肉細胞の核の増加やエピジェネティックな変化、中枢神経系の運動学習能力、RT再開後の筋線維肥大シグナル伝達の再感作などの関与を示唆する研究報告があるとのことだ。

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