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初発乳がんへの遺伝子検査でPARP阻害薬の適応となる患者の割合

 乳がん患者の5~10%が、乳がん感受性遺伝子における生殖細胞系列病的バリアントまたはその可能性が高い病的バリアントと関連することが報告されており、局所療法と全身療法の推奨を変える可能性がある。今回、カナダ・McGill大学のZoulikha Rezoug氏らが、新たに浸潤性乳がんと診断された女性を対象に調査したところ、乳がん感受性遺伝子における生殖細胞系列病的バリアントまたはその可能性が高い病的バリアントを保持する患者の割合は7.3%であった。また、BRCA1/2またはPALB2病的バリアントを保持する患者は5.3%で、その3分の1がPARP阻害薬の適応であったという。JAMA Network Open誌2014年9月3日号に掲載。 この横断研究では、2019年9月~2022年4月にカナダ・モントリオールの3施設で初発の浸潤性乳がんと診断されたすべての女性に遺伝カウンセリングと遺伝子検査が提案され、3遺伝子(BRCA1、BRCA2、PALB2)の1次パネル(必須)と、14遺伝子(ATM、BARD1、BRIP1、CDH1、CHEK2、MLH1、MSH2、MSH6、PMS2、PTEN、RAD51C、RAD51D、STK11、TP53)の2次パネル(任意)が提案された。本研究に紹介される6ヵ月前までに初めて浸潤性乳がんの診断を受けた18歳以上の女性を適格とし、2023年11月~2024年6月のデータを解析した。 主な結果は以下のとおり。・1,017例中、適格だった805例に遺伝カウンセリングと検査が提案され、うち729例(90.6%)が検査を受けた。乳がん診断時の年齢中央値は53歳(範囲:23~91歳)、65.4%が白人もしくは欧州系であった。・53例(7.3%)に54の生殖細胞系列病的バリアントまたはその可能性の高い病的バリアントが同定され、39例(5.3%)が1次パネルの3遺伝子(BRCA1、BRCA2、PALB2)で、15例(2.1%)が2次パネルの14遺伝子中の6遺伝子(ATM、BARD1、BRIP1、CHEK2、RAD51D、STK11)であった。・多変量解析では、BRCA1/BRCA2/PALB2病的バリアント陽性に独立して関連する臨床的因子として、診断時年齢40歳未満(オッズ比[OR]:6.83、95%信頼区間[CI]:2.22~20.90)、トリプルネガティブ乳がん(OR:3.19、95%CI:1.20~8.43)、高悪性度(OR:1.68、95%CI:1.05~2.70)、卵巣がんの家族歴あり(OR:9.75、95%CI:2.65~35.85)が挙げられた。・BRCA1/BRCA2/PALB2病的バリアント陽性の39例のうち13例(33.3%)がPARP阻害薬の適応であった。

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重症インフルエンザに抗ウイルス薬は有効か/Lancet

 重症インフルエンザの治療に最適な抗ウイルス薬は未だ不明とされる。中国・蘭州大学のYa Gao氏らは、重症インフルエンザの入院患者において、標準治療やプラセボと比較してオセルタミビルおよびペラミビルは、入院期間を短縮する可能性があるものの、エビデンスの確実性は低いことを示した。研究の成果は、Lancet誌2024年8月24日号で報告された。WHO診療ガイドライン改訂のためのネットワークメタ解析 研究グループは、世界保健機関(WHO)のインフルエンザ診療ガイドラインの改訂を支援するために、重症インフルエンザ患者の治療における抗ウイルス薬の有用性を評価する目的で、系統的レビューとネットワークメタ解析を行った(WHOの助成を受けた)。 医学関連データベースを用いて、2023年9月20日までに発表された論文を検索した。対象は、インフルエンザが疑われるか、検査で確認された入院患者を登録し、直接作用型抗インフルエンザウイルス薬をプラセボ、標準治療(各施設のプロトコールに準拠またはプライマリケア医の裁量による)、あるいは他の抗ウイルス薬と比較した無作為化対照比較試験であった。 注目すべき主要アウトカムとして、症状改善までの期間、入院期間、死亡率のほか、侵襲的機械換気への移行、機械換気の期間、退院先、抗ウイルス薬耐性の発現、有害事象、治療関連有害事象、重篤な有害事象などの評価を行った。 頻度論に基づく変量効果モデルを用いたネットワークメタ解析でエビデンスを要約し、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)アプローチによりエビデンスの確実性を評価した。死亡率に対する効果、エビデンスの確実性は「非常に低」 8件の試験(1,424例、平均年齢の幅36~60歳、男性の割合の幅43~78%)が系統的レビューの対象となり、このうち6件をネットワークメタ解析に含めた。 季節性インフルエンザおよび人獣共通インフルエンザにおけるオセルタミビル、ペラミビル、ザナミビルの死亡率に対する効果に関しては、プラセボまたは標準治療と比較した場合、どの薬剤も有効性に差はなく、エビデンスの確実性は「非常に低(very low)」であった。また、オセルタミビルとペラミビル、オセルタミビルとザナミビル、ペラミビルとザナミビルの比較でも、死亡率に対する有効性に差を認めず、エビデンスの確実性はいずれも「非常に低」だった。 季節性インフルエンザによる入院期間は、プラセボまたは標準治療に比べオセルタミビル(平均群間差:-1.63日、95%信頼区間[CI]:-2.81~-0.45)およびペラミビル(-1.73日、-3.33~-0.13)で短縮したが、いずれもエビデンスの確実性は「低(low)」だった。 また、症状改善までの期間については、標準治療と比較してオセルタミビル(平均群間差:0.34日、95%CI:-0.86~1.54、エビデンスの確実性「低」)およびペラミビル(-0.05日、-0.69~0.59、エビデンスの確実性「低」)で差がほとんどないか、差を認めなかった。有害事象、重篤な有害事象の頻度も3剤で有意差なし 有害事象および重篤な有害事象の頻度には、オセルタミビル、ペラミビル、ザナミビルで有意な差はなく、エビデンスの確実性はいずれも「非常に低」であった。 機械換気への移行、機械換気の期間、抗ウイルス薬耐性の発現、治療関連有害事象ではネットワークメタ解析を行うことはできなかったが、ペアワイズメタ解析は可能であり、機械換気への移行、抗ウイルス薬耐性の発現、治療関連有害事象に関してはザナミビルに対するオセルタミビルのリスク比は1.20~2.89の範囲であった(エビデンスの確実性はいずれも「非常に低」)。退院先を評価した試験はなかった。 著者は、「これらの知見は、重症インフルエンザ患者の治療における抗ウイルス薬の効果に関する不確実性を強調するものであるが、抗ウイルス薬の使用をある程度正当化する」「重症インフルエンザ患者における抗ウイルス薬の臨床的有用性、安全性、抗ウイルス薬耐性への影響について知るためには、より多くの臨床試験が必要である」としている。

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SGLT2阻害薬による長期治療、2型DMの認知症予防に有効/BMJ

 年齢40~69歳の2型糖尿病患者の治療において、DPP-4阻害薬と比較してSGLT-2阻害薬は認知症の予防効果が高く、治療期間が長いほど大きな有益性をもたらす可能性が、韓国・Seoul National University Bundang HospitalのAnna Shin氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年8月28日号に掲載された。傾向スコアマッチング法を用いた韓国のコホート研究 研究グループは、中高年の2型糖尿病患者における認知症リスクと、SGLT-2阻害薬およびDPP-4阻害薬との関連を比較する目的で住民ベースのコホート研究を行った(韓国保健産業振興院[KHIDI]の助成を受けた)。 解析には、2013~21年の韓国の国民健康保険サービスのデータを用いた。対象は、SGLT-2阻害薬またはDPP-4阻害薬の投与を開始した40~69歳の2型糖尿病患者で、傾向スコアでマッチさせた11万885組(22万1,770例、平均年齢61.9歳、男性55.7%)であった。 主要アウトカムは、認知症の新規発症とし、副次アウトカムは、薬物療法を要する認知症および認知症の個々の型(アルツハイマー病、血管性認知症など)とした。アルツハイマー病、血管性認知症のリスクもSGLT-2阻害薬で低い 平均追跡期間670(SD 650)日において、11万885組のうち1,172例が新規に認知症と診断された。As treated解析による100人年当たりの認知症発症率は、SGLT-2阻害薬群が0.22、DPP-4阻害薬群は0.35であり、ハザード比(HR)は0.65(95%信頼区間[CI]:0.58~0.73)とSGLT-2阻害薬群でリスクが低かった。 また、100人年当たりの薬物療法を要する認知症の発症率は、SGLT-2阻害薬群0.12、DPP-4阻害薬群0.21(HR:0.54、95%CI:0.46~0.63)、100人年当たりのアルツハイマー病の発症率はそれぞれ0.17および0.28(0.61、0.53~0.69)、100人年当たりの血管性認知症の発症率は0.02および0.04(0.48、0.33~0.70)といずれもSGLT-2阻害薬群で良好だった。今後、無作為化対照比較試験が必要 性器感染症のHRは2.67(95%CI:2.57~2.77)、変形性関節症のHRは0.97(0.95~0.98)、白内障手術のHRは0.92(0.89~0.96)であった。白内障手術によって測定された残余交絡を補正すると、認知症のHRは0.70(0.62~0.80)となった。 治療期間が2年以内の場合の認知症のHRは0.57(95%CI:0.46~0.70)であったのに対し、2年以上の場合は0.52(0.41~0.66)であり、治療期間が長いほうがSGLT-2阻害薬群の有益性が高い可能性が示唆された。 著者は、「本研究は観察研究であるため、残余交絡や打ち切りが起こりやすく、効果量が過大評価された可能性がある」と指摘したうえで「これらの知見は、今後の無作為化対照比較試験の必要性を強調するものである」としている。

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ADHDとASDを鑑別する多遺伝子リスクスコア、統合失調症との関連は?

 統合失調症は、臨床的にも遺伝学的にも特殊な疾患であり、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)とも遺伝的因子が類似している。最近、ADHDとASDを鑑別するゲノムワイド関連研究(GWAS)が実施されている。岐阜大学の蔵満 彩結実氏らは、ASDとADHDを鑑別する多遺伝子リスクスコア(PRS)が、統合失調症患者の認知障害や皮質構造の変化と関連しているかを調査した。European Child & Adolescent Psychiatry誌オンライン版2024年8月7日号の報告。 GWASデータ(ASD:9,315例、ADHD:1万1,964例)に基づき、統合失調症患者168例におけるASDとADHDを鑑別するPRS(ADHD高リスクでASD低リスク)を算出した。言語理解(VC)、知覚統合(PO)、ワーキングメモリー(WM)、処理速度(PS)などの認知機能は、WAIS-IIIを用いて評価した(145例)。34の両側脳領域の表面積および皮質厚は、FreeSurferを用いて調べた(126例)。PRSと統合失調症患者の認知機能および皮質構造との関連性を調査した。 主な結果は以下のとおり。・ADHD高リスクを示す高PRSは、4つの認知領域のうち、WMの障害と関連が認められた(β=−0.21、p=0.012)。・ASD高リスクを示す低PRSは、統合失調症患者の次の脳領域の表面績の減少と関連が認められた。【左内側眼窩前頭皮質】β=0.21、p=0.000829【左嗅内皮質】β=0.21、p=0.025【左中心後回】β=0.18、p=0.00752【右紡錘状皮質】β=0.17、p=0.00664【左紡錘状皮質】β=0.17、p=0.00777・高PRSは、左右の横側頭葉における皮質厚の減少と関連していた(左:β=−0.17、p=0.039、右:β=−0.17、p=0.045)。 著者らは、「ADHDとASDを鑑別するPRSは、統合失調症患者の皮質構造および認知機能と関連していることが明らかとなった。これらの知見は、統合失調症の異質性は、統合失調症以外の神経発達および精神疾患に関連する遺伝的因子が部分的に関与している可能性があることを示唆している」としている。

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HFpEF/HFmrEFへのβ遮断薬~約1万7千例の解析/ESC2024

 β遮断薬は、左室駆出率(LVEF)の保たれた心不全(HFpEF)、LVEFが軽度低下した心不全(HFmrEF)を有する患者にも用いられているが、その安全性や臨床転帰への影響は明らかになっていない。そこで、松本 新吾氏(英国・グラスゴー大学/東邦大学医療センター大森病院)らの研究グループは、HFpEF/HFmrEF患者を対象とした4つの大規模臨床試験の参加者を対象として、β遮断薬の臨床転帰への影響を検討する観察研究を実施した。その結果、β遮断薬はHFpEF/HFmrEF患者の臨床転帰を悪化させないことが示唆された。本研究結果は、8月30日~9月2日に英国・ロンドンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2024(ESC2024、欧州心臓病学会)で発表され、European journal of heart failure誌オンライン版2024年8月31日号に同時掲載された。 本研究は、HFpEF/HFmrEF患者を対象とした4つの大規模臨床試験(I-Preserve、TOPCAT、PARAGON-HF、DELIVER)の参加者1万6,951例を対象とし、ベースライン時のβ遮断薬の使用の有無で2群(使用群、未使用群)に分けて比較した。主要評価項目は心血管死または心不全による入院の初回発現とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者のLVEF平均値は56.8%であり、HFpEF患者の割合は79.1%(1万3,400例)であった。・対象患者のうち75.6%(1万2,812例)がベースライン時にβ遮断薬を用いていた。β遮断薬の用量(ビソプロロール換算)の中央値は5.0mgであり、1年継続率95.1%、2年継続率93.1%であった。・主要評価項目の発現リスクは、使用群のほうが未使用群と比較して低く(調整ハザード比:0.81、95%信頼区間:0.74~0.88)、LVEFによる影響は受けなかった(p for interaction=0.88)。・主要評価項目の結果は、ほとんどのサブグループで一貫していた。しかし、心房細動の有無別にみると、心房細動を有するサブグループは有さないサブグループと比較して、β遮断薬の使用が良好な転帰と関連していた(p for interaction=0.02)。 本研究結果について、著者らは「β遮断薬がHFpEF/HFmrEFの転帰を悪化させる可能性は低いことが示唆された。因果関係を確認するためには、大規模な無作為化比較試験が必要である」とまとめた。

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危険なめまいを患者に伝える

患者さん、その症状はめまい ですよ!めまい(目眩)とは、以下のような症状を伴います。□自分やまわりがぐるぐる回る□物が二重に見える□ふわふわしている□不安感□気が遠くなりそうな感じ□動悸□眼前暗黒感□吐き気◆とくに注意‼ 脳梗塞が疑われる「めまい」• まわりの景色がぐるぐる回る(回転性めまい)症状が続き、まったく歩けなければ、病院の救急科への受診が必要です• 動脈硬化のリスク(高齢、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、喫煙)や血栓症のリスク(心房細動…)がある• 物が二重に見える(複視)、話しにくい(構音障害)、飲み込みにくい(嚥下障害)、意識が悪い(意識障害)などの症状がある出典:日本神経学会:脳神経内科の主な病気(症状編)めまい監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.

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喀血の原因は、58年前の○○【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第264回

喀血の原因は、58年前の○○2024年7月、アメリカの選挙演説をしていたドナルド・トランプ氏が狙撃されるという事件がありました。そのため、ここらへんで一度、弾丸関連の異物論文を復習しておこうと思うのが異物論文専門医です。大昔に受けた傷跡や異物などがその後、数十年の時を経て顕在化するというのはよくあります。異物論文の世界では、70年後に心筋梗塞を起こした症例などが有名です1)。さて、今日紹介するのは喀血例の報告です。アルツハイマー病や脳卒中の既往がある81歳の退役軍人が、喀血によって搬送されました。喀血の原因はいくつもありますが、高齢男性においては通常、結核、肺アスペルギルス症、喫煙などが想起されます。Shrinath V, et al. 'You bleed in war and you bleed in peace: Hemoptysis in a case with retained intra-thoracic bullet fragments decades after the injury.’ Lung India. 2024 Jul 1;41(4):331-332.酸素飽和度の低下もなく、バイタルサインは安定していました。喀血は鼻出血と同じように、一度止まってしまえば意外としばらく出血しないことが多いです。当然、原因があるならそれを解決しなければ、再喀血するリスクがあるわけですが。この高齢男性の喀血の原因は何だったのでしょうか?胸部X線画像では、陳旧性の肺の陰影のようなものが数個胸部に見られました。うーん、これが喀血を起こすものだろうか。確かに、過去に重症肺炎や結核の既往があったり、塵肺があったりすると、こういった石灰化が見られますが、それが急性喀血の原因にはなりにくいです。「もしかして吐血じゃね?」ということで、上部消化管内視鏡検査が行われましたが、何も異常はなく、むしろ声帯に血液が付着していることがわかりました。「ああ、これはやっぱり喀血だ」ということで、気管支鏡検査が行われました。しかし、気管支腫瘍や異物などは見られませんでした。胸部造影CTでは、左下葉と背中の皮下に金属影が確認されました。胸部X線写真正面像だけでは胸郭内・胸郭外のどちらに石灰化があるのか不明ですが、胸部CTではその場所が明らかとなります。皮下の金属影とくれば、アレでしょう。「これは戦時中の弾丸でしょうか?」こんな会話が診察室で行われたのかもしれません。そう、これは58年前、軍務に就いていたときに散弾銃で撃たれ、除去された弾丸と除去できなかった弾丸があるようでした。年齢や基礎疾患も考慮して、気管支動脈塞栓術までは行われませんでした。止血剤の投与で軽快退院しています。半世紀以上を経て、喀血を起こすというのは過去に類を見ないもので、現時点で「弾丸関連喀血」の世界最長記録であると論文中に記載されています。1)Burgazli KM, et al. An unusual case of retained bullet in the heart since World War II: a case report. Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2013 Feb;17(3):420-1.

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第227回 Nature誌の予言的中?再生医療の早期承認の現状は…

科学誌「Nature誌」の“予言”は正しかったのか? 2015年12月、同誌のエディトリアルに「Stem the tide(流れを止めよ)」というやや過激なタイトルの論評が掲載されたことを覚えている人もいるのではないだろうか?ちなみにこの論評には「Japan has introduced an unproven system to make patients pay for clinical trials(日本は臨床試験費用を患者に支払わせる実績のない制度を導入)」とのサブタイトルが付け加えられていた。Nature誌が批判した日本の制度とは、2014年11月にスタートした再生医療等製品に関する早期承認(条件および期限付承認)制度のことである。同制度はアンメットメディカルニーズで患者数が少なく、二重盲検比較試験実施も困難な再生医療等製品について、有効性が推定され、安全性が認められたものを、条件や期限を設けたうえで早期承認する仕組み。承認後は製造販売後使用成績調査や製造販売後臨床試験を計画・実施し、7年を超えない範囲で有効性・安全性を検証したうえで、期限内に再度承認申請して本承認(正式承認)を取得する。Nature誌の論評の直前、厚生労働省(以下、厚労省)の中央社会保険医療協議会は、同制度での承認第1号となった虚血性心疾患に伴う重症心不全治療のヒト(自己)骨格筋由来細胞シート「ハートシート」(テルモ)の保険償還価格を決定していた。ハートシートは患者の大腿部から採取した筋肉組織内の骨格筋芽細胞を培養してシート状にし、患者の心臓表面に移植する製品。念のために言うと、Nature誌による批判の本丸は、同制度の承認の仕方そのものというよりは保険償還に関する点である。通常、製薬企業などが新たな治療薬や治療製品を開発する際は、開発費用は当然ながら企業側が全額負担する。しかし、条件付き承認制度では、企業は暫定承認状態で販売が可能になり、最低でも本承認の可否が決定するまでの期間、保険診療を通じた公費負担と患者の一部自己負担が製品の販売収益となる。そしてこの間にも企業側は本承認に向けた臨床試験を実施する。つまるところ、暫定承認期間中に、本来、企業負担で行うべき臨床試験費用の一部を事実上患者が負担し、効果が証明できずに本承認を得られなかったとしても過去の患者負担が返還されるわけでもない。企業が負うべきリスクを患者に付け回している、というのがNature誌の主張だ。そしてNature誌の論評では「条件付きかどうかに関わらず、すでに承認された医薬品を制御するのは容易ではないだろう。評価が甘く、医薬品の効果が明らかにされない、あるいは流通から排除されないなど生ぬるい評価が行われれば、日本は効果のない治療薬であふれてしまう国になる可能性がある」とまで言い切った。2014年から10年、制度利用の状況このハートシート以降、条件付き早期承認制度を利用して承認を取得したのは、脊髄損傷に伴う神経症候及び機能障害の改善を適応としたヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞「ステミラック」(ニプロ)、慢性動脈閉塞症での潰瘍の改善を適応とする「コラテジェン(一般名:ベペルミノゲンペルプラスミド)」(アンジェス)、悪性神経膠腫を適応とする「デリタクト(一般名:テセルパツレブ)」がある。そして今年7月19日に開催された厚労省の薬事審議会の下部会議体である再生医療等製品・生物由来技術部会は、ハートシートについてメーカーが提出した使用成績調査49例とハートシートを移植しない心不全患者による対照群の臨床研究102例の比較検討から、主要評価項目である心臓疾患関連死までの期間、副次評価項目である左室駆出率(LVEF)のいずれでもハートシートの優越性は確認できなかったと評価し、「本承認は適切ではない」との判断を下した。また、これに先立つ6月24日、同じく条件付き早期承認を取得していた前述のコラテジェンでも動きがあった。製造・販売元のアンジェスが「HGF 遺伝子治療用製品『コラテジェン』の開発販売戦略の変更に関するお知らせ」なるプレスリリースを公表。同社はすでに2023年5月に本承認に向けた申請を行っていたが、プレスリリースでは「非盲検下で実施した市販後調査では、二重盲検の国内第III相臨床試験成績を再現できなかったことから上記申請を一旦取り下げ」と述べ、6月27日付で本承認申請を取り下げた。率直に言って、データを提出して本承認への申請を行っていながら、1年後には第III相試験成績を再現できなかったと申請を取り下げるのはかなり意味不明である。厚労省側は前述の7月19日の部会にコラテジェンに対するアンジェスの対応を報告。結果としてハートシートとコラテジェン共に暫定承認が失効した。制度発足から10年で、条件付き早期承認制度を利用して承認を受けた4製品のうち2製品が市場から姿を消したことになる。つまり同制度の暫定“打率”は5割という、医療製品としてはあまり望ましくない数字だ。薬事審議会後の厚労省医薬局の医療機器審査管理課の担当者による記者ブリーフィングでは、審議会委員から「今後こういったことが続かないように制度運用での有効な措置を考えるべきだ」との意見も出たことが明らかにされた。ある意味、当然の反応だろう。もっとも今回、医療機器審査管理課が公表したハートシート、コラテジェンの審議結果では、いずれも「有効性が推定されるとした条件及び期限付承認時の判断は否定されないものの」とのただし書きが付いた。さて、そのハートシートが条件付き期限付き承認を受けた当時の審査報告書に今回改めて目を通してみた。当時の審査報告何とも評価が難しいのは、承認の前提になった国内臨床試験が症例数7例の単群試験である点だ。この7例は▽慢性虚血性心疾患患者▽NYHA心機能分類III~IV度▽ジギタリス、利尿薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬、経口強心薬といった最大限の薬物療法を行っているにもかかわらず心不全状態にある▽20歳以上▽標準的な治療法に冠動脈バイパス術(CABG)、僧帽弁形成術、左室形成術、心臓再同期療法(CRT)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施して3ヵ月以上経過しているにもかかわらず心不全の悪化が危慎される▽エントリー時の安静時LVEF(心エコー図検査) が35%以下、を満たす重症心不全患者である。実際の7例の詳細を見ると、年齢は35~71歳、NYHA心機能分類は全員がIII度、LVEFが22~33%。治療では全例がPCIかCABGを施行し、5例はその両方を施行していた。薬物治療では利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬のうちどれか2種類は必ず服用しており、心不全治療目的の治療薬は3~7種類を服用していた状態である。ハートシートによる治療は、開胸手術が必要になるが、この7例の状態はそれを行うだけでもかなりリスクの高い症例であることがわかる。同時にこれらの症例では、意図して対照群を設定して比較試験を行うことは、現実的にも倫理的にもかなり困難だろう。国内臨床試験の主要評価項目はLVEFの変化量である。ハードエンドポイントを意識するならば、心疾患関連死を見るべきかもしれないが、やはりこの試験セッティングでは難しいと言わざるを得ない。こうしたさまざまな制約の中で行われた臨床試験結果はどのようなものだったのか?まず、LVEFだが、ご存じのようにこの数値の算出には、心プールシンチグラフィ、心エコー、心臓CTなどの検査を行う必要があり、この中で最もバイアスが入りにくいのは心プールシンチグラフィである。臨床試験では、心プールシンチグラフィのデータでメインの評価を行っており、事前に設定したLVEFの変化量に基づく改善度の判定基準は、「悪化」が-3%未満、「維持」が-3%以上+5%未満、「改善」が+5%以上。ハートシート移植後26週時点での結果は「悪化」が2例、「維持」が5例、「改善」が0例だった。ちなみの副次評価項目では心エコー、心臓CTによるLVEF変化量も評価されており、前述の改善度判定基準に基づくならば、心エコーでは全例が「改善」、心臓CTでは「維持」が5例、「改善」が1例、残る1例はデータなし。LVEF算出において、心エコーはもっともバイアスが入りやすいと言われているが、さもありなんと思わせる結果でもある。ちなみに試験の有効性評価の設定では、試験対象患者が時問経過とともに悪化が危慎される重症心不全患者であったことから、「維持」以上を有効としたため、心プールシンチグラフィの結果では7例中5例が有効とされた。もっともここに示したデータからもわかるように、評価結果に一貫性があるとは言い難い。この点はメーカー側も十分承知していたようで、心臓外科医1名、循環器内科医2名の計3名からなる第三者委員会を組織し、各症例のデータなどを提供して症例ごとの評価を仰いでいる。審査報告書にあるその評価は「有効」が5例、「判定不能」が2例。とはいえ、有効と評価されていた症例でも、その評価にはある種の留保条件的なものが提示されたものもあった。そして最終的な医薬品医療機器総合機構(PMDA)の評価は「国内治験における本品の有効性の評価は限定的であるものの、個別症例に対する総合的な評価に基づき、標準的な薬物療法が奏効しない重症心不全患者に対して本品は一定の有効性が期待できると考える」とした。申請者、評価者、それぞれの努力がにじむ結果であり、今から振り返ってこの評価が妥当ではなかったとは言い切れないだろう。しかしながら、審査報告書を事細かに読むと、たとえば国内臨床試験の主要評価項目であるLVEF変化量についてPMDAは「申請者が設定した『悪化』、『維持』及び『改善』の各判定基準の臨床的意義は必ずしも明確ではないが」などと表現しており、あえて私見を言うならば、「第1号」ゆえの期待、もっと言えば“ご祝儀“意識も何となく感じてしまうのである。もっともNature誌のような酷評まではさすがに同意はしない。今回、薬事審議会が不承認の判断を下したことで「効果のない治療薬であふれてしまう国」という“最悪“の状況は回避されている。とはいえ、今後の同制度の運用にはかなり課題があることを示したのは確かだろうというのは、ほぼ万人に共通する認識ではないだろうか?

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がん疼痛に対するNSAIDsとアセトアミノフェン【非専門医のための緩和ケアTips】第83回

がん疼痛に対するNSAIDsとアセトアミノフェンがん疼痛の薬剤といえばオピオイドが真っ先に浮かびますが、NSAIDsとアセトアミノフェンも重要な鎮痛薬です。ではこの2つの鎮痛薬、どのように使い分けると良いのでしょうか? 似ているようで異なる2剤の使い分けについて考えてみます。今回の質問がん疼痛に対する非オピオイド薬鎮痛薬として重宝するNSAIDsとアセトアミノフェンですが、どのように使い分ければいいのでしょうか? 鎮痛効果はNSAIDsのほうが強いイメージがありますが、消化管出血などの副作用が心配です…。軽度~中等度のがん疼痛に対して推奨されるこの2剤ですが、根拠に基づいた使い分けをしていない方も多いようです。まずは、それぞれの薬理作用を復習してみましょう。NSAIDsは、炎症や疼痛に関与するプロスタグランジンの合成酵素であるCOXを阻害する薬剤です。鎮痛作用だけでなく、抗炎症作用も期待できます。一方で、腎障害、心血管、胃粘膜障害などの副作用があります。COXにはいくつかの種類があり、その選択性によって副作用の頻度が異なります。緩和ケア領域では症状緩和のために処方した薬剤で副作用が出ることは避けたいので、胃腸障害などの副作用がNSAIDsに比べて少ないCOX-2阻害薬を使用することが多い印象です。アセトアミノフェンは抗炎症効果がほとんど期待できない一方で、中枢性のCOX阻害により鎮痛効果を発揮します。また、下行性疼痛抑制系の活性化作用もあるとする報告も見られるようになりました1)。解熱薬としてもよく処方されるアセトアミノフェンですが、鎮痛薬として使用する際は投与量を注意しましょう。1日600〜800mg程度で解熱作用が期待されるのですが、鎮痛作用を期待する際はさらに投与量を増やす必要があります。1回500〜1,000mg、1日最大で4,000mgまで増量が認められています。主だった副作用に肝障害があり、肝機能に合わせた投与量調整が必要です。アセトアミノフェンで鎮痛を試みる際は、安全な範囲で十分量を使用することが大切です。さて、この2剤の使い分けですが、私自身は高齢のがん患者さんを診療することが多いため、アセトアミノフェンを優先して処方するケースが多いです。元々腎機能が悪い場合や心不全を懸念する患者に対しては、NSAIDsは避けることが多いです。一方、がん性腹膜炎や骨転移の痛みに対してはNSAIDsの有効性が知られているため、副作用が許容できる場合は積極的に使います。また、NSAIDsが使用しにくい状況であれば、ステロイドも選択肢となります。というわけで、アセトアミノフェンを処方することの多い私ですが、ここで注意すべき「落とし穴」があります。それは患者さんが知らないあいだにアセトアミノフェンが含まれる総合感冒薬などを服用し、過量投与になることがある点です。広く使いやすい薬剤だからこそ、知らないうちに過剰に内服していないかを確認する必要があるのです。今回のTips今回のTipsNSAIDsとアセトアミノフェンのそれぞれの特徴を理解し使い分けよう。1)Ayoub SS. Temperature(Austin). 2021;8:351-371.

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がん罹患の40%・死亡の44%が予防できる可能性

 米国におけるがん罹患の約40%とがん死亡の44%が、修正可能なリスク因子に起因していることが新たな研究で明らかになった。とくに喫煙、過体重、飲酒が主要なリスク因子であり、肺がんをはじめとする多くのがんに大きな影響を与えているという。A Cancer Journal for Clinicians誌オンライン版2024年7月11日号の報告。 米国がん協会(ジョージア州・アトランタ)のFarhad Islami氏らは、2019年(COVID-19流行の影響を避けるため、この年に設定)に米国でがんと診断された30歳以上の成人を対象に、30のがん種について全体および潜在的に修正可能なリスク因子に起因する割合と死亡数を推定した。評価されたリスク因子には、喫煙(現在および過去)、受動喫煙、過体重、飲酒、赤肉および加工肉の摂取、果物や野菜の摂取不足、食物繊維およびカルシウムの摂取不足、運動不足、紫外線、そして7つの発がん性感染症が含まれた。がん罹患数と死亡数は全国をカバーするデータソース、全国調査によるリスク因子の有病率推定値、および公表された大規模なプールまたはメタアナリシスによるがんの関連相対リスクから得た。 主な結果は以下のとおり。・2019年における米国の30歳以上の成人における全がん罹患数(非メラノーマを除く)の40.0%(71万3,340/178万1,649例)、全がん死亡数の44.0%(26万2,120/59万5,737例)が評価されたリスク因子に起因すると推定された。・全がんの罹患/死亡に関連するリスク因子の1位は喫煙(19.3%/28.5%)であり、2位は過体重(7.6%/7.3%)、3位は飲酒(5.4%/4.1%)であった。・評価対象となった30種のがんのうち、19種類のがんは罹患数および死亡数の2分の1以上が検討された評価されたリスク因子に起因していた。・リスク因子に起因するがんのうち、肺がんが罹患数(20万1,660例)および死亡数(12万2,740例)とも最多であり、罹患数は女性の乳がん(8万3,840例)、メラノーマ(8万2,710例)、大腸がん(7万8,440例)が続き、死亡数では大腸がん(2万5,800例)、肝がん(1万4,720例)、食道がん(1万3,600例)が続いた。 著者らは「米国における多数のがん罹患および死亡は、潜在的に修正可能なリスク因子に起因しており、予防策を幅広く公平に実施することにより、がんの負担を大幅に軽減できる可能性がある。喫煙対策としての課税強化、禁煙支援プログラムの拡充、そして健康的な体重維持の推進などが有効だろう。さらに適切な飲酒制限、バランスの取れた食事、定期的な運動もがん予防に有効だ」としている。

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多剤併用中の統合失調症患者に対するアリピプラゾール月1回製剤の臨床ベネフィット

 抗精神病薬の多剤併用は、臨床現場で頻繁に行われているが、多剤併用による副作用軽減のために長時間作用型注射剤の使用頻度が高まる傾向にある。これまでの研究では、長時間作用型アリピプラゾール月1回注射剤(AOM)の使用により、治療アドヒアランスの向上、機能回復、症状改善が実証されている。しかし、多剤併用療法を行っている患者におけるAOMの治療効果に関するエビデンスは、十分とはいえなかった。韓国・成均館大学校のJiwan Moon氏らは、実臨床におけるAOMの臨床ベネフィットおよび有効性を調査するため、薬剤投与量、薬剤数、臨床機能、精神症状、薬剤の有効期間の変化を評価した観察研究を行った。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2024年8月6日号の報告。 対象患者は、研究施設8施設より募集した139例。AOM薬物療法開始時をベースラインとした。スクリーニング時、ベースライン時、1、3、6、9、12ヵ月目に医療記録より臨床データおよび人口統計学的データを収集した。薬剤投与量、薬剤数、6項目陽性・陰性症状評価尺度(PANSS-6)、機能の全体的評価尺度(GAF)、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)のスコア変化を12ヵ月にわたり分析した。 主な結果は以下のとおり。・クロルプロマジン(CP)換算量で算出した12ヵ月間の抗精神病薬の総投与量は、32.6%減少した。・初月と最終月の抗精神病薬の総月間投与量を比較すると、投与量がCP換算量で24.6%減少していた。・さらに、ベンゾジアゼピン経口投与数、ロラゼパム換算のベンゾジアゼピン総投与量、気分安定薬、抗コリン薬、β遮断薬の経口投与数の有意な減少が認められた。・GAFスコアは12ヵ月間で14.1%増加し、PANSS-6総スコアは12ヵ月間で17.3%減少し、いずれも1ヵ月目およびベースライン時から有意な変化が認められた。・スコアは、9ヵ月目までは前月と比較し改善がみられ、12ヵ月目まで維持された。・CGI-Sスコアは12ヵ月間で14.3%減少し、1ヵ月目から有意な減少がみられ、6ヵ月目まで改善を続け、この効果は12ヵ月目まで継続した。 著者らは「多剤併用療法を行っている統合失調症患者に対するAOMの早期有効性が確認された。AOMは、治療開始から統合失調症患者の機能および臨床症状を改善し、経口薬の数や投与量を減少させることが示唆された」とまとめている。

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ICI関連心筋炎の発見・治療・管理に腫瘍循環器医の協力を/腫瘍循環器学会

 頻度は低いが、発現すれば重篤な状態になりえる免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫関連有害事象としての心筋炎(irAE心筋炎)。大阪大学の吉波 哲大氏が第7回日本腫瘍循環器学会学術集会でirAE心筋炎における問題点を挙げ、腫瘍循環器医の協力を呼びかけた。致死率20%を超えるirAE心筋炎 ICIは今や固形がんの治療に必須の薬剤となった。一方、ICIの適用拡大と共に免疫関連有害事象(irAE)の発症リスクも増加する。心臓に関連するirAEは心筋炎、非炎症性左室機能不全、心外膜炎、伝導障害など多岐にわたる。その中でもirAE心筋炎は、発現すると一両日中に、心不全、コントロール困難な不整脈を併発し、致死的な状況に追い込まれることもある1)。 irAE心筋炎はICIにより活性化したT細胞が心筋に浸潤し、心筋を傷害するために起こるとされる。irAE心筋炎の発現は1%前後であるが2)、死亡率は20%を超え、通常の心筋炎をはるかに上回る3)。とくに女性(調整オッズ比[aOR]:0.44、95%信頼区間[CI]:0.38〜0.51、p<0.01)、75歳以上(aOR:0.19、95%CI:0.14〜0.28、p<0.01)、ICI同士の併用(aOR:1.93、95%CI:1.19〜3.12、p=0.08)ではリスクが高い2)。irAE心筋炎の頻度は低いものの、ICIの適応拡大とともに遭遇機会は増えていると考えられる。irAE心筋炎発現時期はICI開始後30日程度(日本のデータでは18〜28日、米国のデータでは中央値34日)と報告されている4、5)。定期モニタリングとステロイドによる治療が原則 わが国のOnco-CardiologyガイドラインではirAE心筋炎スクリーニングに、心電図、トロポニンT、NT-pro BNP、NLR(好中球・リンパ球比)、CRPのモニタリングが有効な可能性を挙げている(FRQ6-1)。吉波氏も、月1回程度行うICIの定期モニタリング時にトロポニンT、NT-pro BNPなどの検査(リスクがあれば心電図)をすべきと提案する。また、irAE心筋炎に対するステロイド治療については、使用すべき種類・投与経路・用量は定まっていないものの、有用な可能性があるとしている(BQ6-2)。irAE心筋炎を管理してICI治療を実施するために腫瘍循環器医の協力を ICIのがん治療に対する影響は大きく、もはや固形がんでは必須の薬剤だ。ペムブロリズマブは周術期化学療法に併用することでトリプルネガティブ乳がんの再発リスクを37%低下させ6)、アテゾリズマブは化学療法に併用することでStageIVもしくは再発非小細胞肺がんの12ヵ月無増悪生存割合を約2倍にする7)。 「治りたい、長生きしたい」という患者の希望を実現するために、腫瘍診療医はirAE心筋炎を危惧しながらもICIを使っている。「irAE心筋炎の発見・治療・管理にぜひとも腫瘍循環器医の協力をお願いしたい」と吉波氏は訴える。■参考1)三浦理. 新潟がんセンター病院医誌. 2024;62:45-48.2)Zamami Y, et al. JAMA Oncol. 2019;5:1635-1637.3)Wang DY, et al. JAMA Oncol. 2018;4:1721-1728.4)Mahmood SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2018;71:1755-1764.5)Hasegawa S, et al. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2020;29:1279-1294.6)Schmid P, et al. N Engl J Med. 2022;386:556-567.7)Socinski MA, et al. N Engl J Med. 2018;378:2288-2301.

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STEMIの最終的な梗塞サイズの縮小、ステロイドパルスは有効か?/ESC2024

 ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)患者の臨床転帰を左右する決定因子として、最終的な梗塞サイズが挙げられる。今回、最終的な梗塞サイズを縮小させる可能性がある方法として、梗塞早期でのグルココルチコイドのパルス療法による効果を検証するため、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJasmine Melissa Madsen氏らが医師主導二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験を実施した。その結果、STEMI患者に対し、入院前治療としてグルココルチコイドのパルス療法を行っても、3ヵ月後の最終的な梗塞サイズは縮小しなかったことが示された。この研究は8月30日~9月2日に英国・ロンドンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2024(ESC2024、欧州心臓病学会)のセッションで報告され、JAMA Cardiology誌オンライン版2024年8月30日号オンライン版に同時掲載された。 本研究は、18歳以上で急性胸痛から12時間未満、心電図でSTEMIと診断された患者を対象に、2022年11月14日~2023年10月17日にデンマーク国立病院のRigshospitaletで実施された。最終追跡調査は2024年1月17日までであった。 対象者は入院前の段階で、グルココルチコイド(メチルプレドニゾロン250mg)静注群、またはプラセボ(9%NaCl 4mL)投与群に1対1で無作為に割り付けられ、Rigshospitaletで心臓MRI検査(CMR)のために受け入れられ次第すぐに、割り付け薬剤のボーラス投与が行われた。主要評価項目は3ヵ月後のCMRによる最終的な梗塞サイズ。副次評価項目は急性期および3ヵ月後のCMR結果、心臓バイオマーカーのピーク、3ヵ月後の臨床転帰、有害事象であった。 主な結果は以下のとおり。・割り付け後に適格基準を満たしたSTEMI患者530例の内訳は、年齢中央値65歳([四分位範囲[IQR]:56~75]、男性:418例(78.9%)だった。そのうち主要評価項目の評価を行うことができたのは401例(76%)で、グルココルチコイド群198例、プラセボ群203例だった。・最終的な梗塞サイズの中央値は治療群間で差はなかった(グルココルチコイド群5%[IQR:2~11]vs.プラセボ群6%[IQR:2~13]、p=0.24)。・ただし、プラセボ群と比較して、グルココルチコイド群では梗塞サイズが小さく(オッズ比[OR]:0.78、95%信頼区間[CI]:0.61~1.00)、微小血管閉塞(microvascular obstruction:MO)が少なく(相対リスク比[RR]:0.83、95%CI:0.71~0.99)、左室駆出率が有意に高かった(平均差:4.44%、95%CI:2.01~6.87)。・副次評価項目である心筋サルベージインデックス(MSI)や各種心筋マーカー(トロポニンTやCK-MBのピークなど)も両群間で差はなかった。・有害事象のうち30件(4%)は感染症に関連し、5件(0.7%)は皮膚合併症に関連したものであった。 本結果に対し、研究者らは「対象者の最終的な梗塞サイズが予想よりも小さかったため、この試験は検出力が不十分だった可能性がある」としている。

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ホットフラッシュに新規NK-1,3受容体拮抗薬が有効/JAMA

 選択的ニューロキニン(NK)-1,3受容体拮抗薬elinzanetantは、中等度~重度の更年期血管運動神経症状(vasomotor symptoms:VMS)に対し有効で、忍容性も良好であった。米国・バージニア大学のJoAnn V. Pinkerton氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「OASIS 1試験」および「OASIS 2試験」の結果を報告した。更年期VMSに対する安全で効果的な非ホルモン治療が必要とされていた。JAMA誌オンライン版2024年8月22日号掲載の報告。中等度~重度のVMSを有する女性をelinzanetant群とプラセボ群に無作為化 OASIS 1試験およびOASIS 2試験は、同一の試験方法により米国および欧州の異なる施設で並行して実施された(OASIS 1試験は2021年8月27日~2023年11月27日に米国、欧州、イスラエルの77施設、OASIS 2試験は2021年10月29日~2023年10月10日に米国、カナダ、欧州の77施設)。 対象は、中等度~重度のVMSを有する40~65歳の閉経後女性で、適格参加者をelinzanetant群(120mgを1日1回26週間経口投与)、またはプラセボ群(プラセボを12週間投与後、elinzanetant120mgを14週間投与)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、ホットフラッシュを評価する電子日誌(electronic hot flash daily diary)で測定された、ベースラインから4週時および12週時までの中等度~重度VMSの頻度と重症度の平均変化量であった。重要な副次エンドポイントは、睡眠障害を評価する患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcomes Measurement Information System Sleep Disturbance Short Form 8b:PROMIS SD-SF-8b)総スコアならびに更年期特有のQOL質問票(Menopause-Specific Quality of Life questionnaire:MENQOL)総スコアの、ベースラインから12週時までの変化量であった。VMSの頻度と重症度、睡眠障害、更年期関連QOLがelinzanetant群で有意に改善 適格参加者がelinzanetant群(OASIS 1試験199例、OASIS 2試験200例)またはプラセボ群(同:197例、200例)に無作為に割り付けられた。参加者の平均(±SD)年齢はOASIS 1試験が54.6±4.9歳、OASIS 2試験が54.6±4.8歳であった。それぞれ計309例(78.0%)および324例(81.0%)が試験を完了した。 ベースラインにおける24時間当たりのVMS頻度(平均±SD)は、OASIS 1試験でelinzanetant群13.4±6.6、プラセボ群14.3±13.9、OASIS 2試験でそれぞれ14.7±11.1、16.2±11.2であった。また、ベースラインにおけるVMS重症度は、OASIS 1試験で2.6±0.2、2.5±0.2、OASIS 2試験で2.5±0.2、2.5±0.2であった。 elinzanetant群はプラセボ群と比較して、4週時および12週時のVMS頻度が有意に減少した。群間差は4週時がOASIS 1試験で-3.3(95%信頼区間[CI]:-4.5~-2.1、p<0.001)、OASIS 2試験で-3.0(-4.4~-1.7、p<0.001)、12週時がそれぞれ-3.2(-4.8~-1.6、p<0.001)、-3.2(-4.6~-1.9、p<0.001)であった。 同様にelinzanetant群はプラセボ群と比較して、4週時および12週時のVMSの重症度が改善した。群間差は4週時がOASIS 1試験で-0.3(95%CI:-0.4~-0.2、p<0.001)、OASIS 2試験で-0.2(-0.3~-0.1、p<0.001)、12週時がそれぞれ-0.4(-0.5~-0.3、p<0.001)、-0.3(-0.4~-0.1、P<0.001)であった。 重要な副次エンドポイント(睡眠障害、更年期関連QOL)についても、両試験においてプラセボに対しelinzanetant群で有意な改善が認められた。 elinzanetant群の安全性プロファイルは良好であった。

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鉤虫症の治療、emodepside vs.アルベンダゾール/Lancet

 タンザニアで実施された第IIb相無作為化二重盲検実薬対照優越性試験において、カルシウム依存性カリウム(SLO-1)チャネルに作用し寄生虫の麻痺と咽頭ポンピング運動の阻害を引き起こすemodepsideは、アルベンダゾールと比較し高い有効性が認められた。スイス熱帯公衆衛生研究所のLyndsay Taylor氏らが報告した。ただし、emodepsideの安全性について、観察された有害事象はおおむね軽度であったものの、アルベンダゾールと比較して発現頻度が高かった。結果を踏まえて著者は、「emodepsideが有望な駆虫薬の候補であることが確固たるものとなったが、安全性と有効性のバランスを考慮する必要がある」とまとめている。emodepsideは現在、オンコセルカ症および土壌伝播蠕虫感染症に対する強力な駆虫薬の候補として臨床開発中である。WHOは公衆衛生問題として2030年までに土壌伝播蠕虫の撲滅を目指しているが、現行の治療法は土壌伝播蠕虫感染症に対する効果が不十分で、薬剤耐性も懸念されていた。Lancet誌2024年8月17日号掲載の報告。12~60歳の約300例をemodepside群とアルベンダゾール群に無作為化 研究グループは、タンザニア・ペンバ島のshehiasと呼ばれる行政区画の7ヵ所において、便1g当たりの鉤虫卵(EPG)48個以上の便検体が2検体、かつ1個以上の鉤虫卵検出のKato-Katz厚塗抹標本が2枚以上確認された12~60歳の鉤虫感染者を、emodepside群とアルベンダゾール群に1対1の割合で無作為に割り付けた。層別因子はベースラインの感染強度(軽度:48~1,999EPG、中等度以上:≧2,000EPG)であった。 emodepside群ではemodepside 5mg錠×6(合計30mg)とアルベンダゾールのプラセボ1錠、アルベンダゾール群ではアルベンダゾール400mg錠×1とemodepsideのプラセボ6錠を投与した。 主要アウトカムは治癒率(投与後14~21日目に鉤虫陰性が確認された参加者の割合)であった。有害事象は投与後3時間、24時間、48時間および14~21日目に評価した。 2022年9月15日~11月8日(4つの行政区画のコミュニティで実施)、ならびに2023年2月15日~3月15日(3つの行政区画の中学校で実施)に計1,609例が鉤虫症の検査を受け、308例で鉤虫陽性が確認された。このうち293例が、emodepside群(146例)およびアルベンダゾール群(147例)に割り付けられ投与を受けた。鉤虫症治癒率はemodepside群97%、アルベンダゾール群81% 鉤虫症の治癒率はemodepside群96.6%、アルベンダゾール群81.2%で、アルベンダゾール群と比較してemodepside群で有意に高く、emodepsideの優越性が認められた(オッズ比[OR]:0.14、95%信頼区間[CI]:0.04~0.35、p=0.0001)。 有害事象の発現率は、emodepside群79%(115/146例)、アルベンダゾール群42%(61/147例)であった。emodepside群で最も多くみられた有害事象は霧視で、投与後3時間で39%(57/146例)、24時間で38%(55/146例)報告された。そのほかemodepside群でよくみられた有害事象は、投与後3時間での頭痛(38%)と浮動性めまい(30%)であり、同群の有害事象319件のうち298件(93%)が軽度であった。アルベンダゾール群の主な有害事象は、投与後3時間での頭痛(18%)と浮動性めまい(10%)であった。重篤な有害事象は報告されなかった。

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慢性的なカフェイン摂取で心血管疾患リスクが増加

 コーヒーや紅茶などのカフェイン入りの飲み物は、世界中で朝食の定番になっているが、飲み過ぎは良くないようだ。1日に400mg超のカフェイン摂取は健康な人の心血管疾患のリスクを高める可能性のあることが、新たな研究で示唆された。Zydus Medical College and Hospital(インド)のNency Kagathara氏らによるこの研究結果は、米国心臓病学会アジア学術集会(ACC Asia 2024、8月16〜18日、インド・デリー)で発表された。 この研究では、18〜45歳の正常血圧で健康な成人92人(男性62%、30歳超60%、都市居住者79.3%)を対象に、慢性的なカフェイン摂取が心臓にもたらす影響が検討された。慢性的なカフェイン摂取とは、週に5日以上、1年以上にわたってカフェイン含有飲料を摂取している場合と定義された。全ての対象者は、3分間の踏み台昇降運動を行い、運動終了の1分後と3分後に血圧と心拍数の測定を受けた。 対象者の19.6%が1日当たり400mg超のカフェインを摂取していた。このカフェイン摂取量は、1日当たり4杯のコーヒー、2本のエナジードリンク、または10缶の炭酸飲料の摂取に相当する。特に摂取量が多かったのは、女性、ビジネスや管理職に従事している人、都市居住者であった。 解析の結果、1日400mg超のカフェインの慢性的な摂取は自律神経系に影響し、経時的に心拍数と血圧を有意に上昇させることが示された。さらに、1日600mg超のカフェインを摂取している人では、3分間の踏み台昇降運動から5分後の血圧と心拍数の測定でも、値が有意に上昇したままであった。 Kagathara氏は、「カフェインは自律神経系に影響を及ぼすため、カフェインを習慣的に摂取すると、健康な人でも高血圧やその他の心血管系イベントのリスクにさらされる可能性がある。これらのリスクに対する認識を高めることは、全ての人の心臓の健康を改善する上で不可欠だ」と述べている。 高血圧は、冠動脈疾患、心不全、慢性腎臓病、認知症のリスク増加と関連していると研究グループは説明する。高血圧の発症には、カフェインの摂取以外にも、飲酒、喫煙、年齢、家族の病歴、塩分摂取などが寄与する可能性がある。身体活動量を増やし、栄養価の高い食事を摂取し、その他のライフスタイルを是正することは、血圧を下げ、心臓病のリスクを低下させるのに役立つ。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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腰痛予防には普段の姿勢の確認を(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者普段、どんな仕事をされていますか?パソコン業務が多くて、デスクワークが中心です。それですと、運動不足になりがちですね。そうなんです。それに、腰痛になりやすくて…。確かに、デスクワークが中心だと、腰痛が気になりますね。そうなんです。腰痛を予防するには座る姿勢も大切ですね。確かに、私、あまり姿勢が良くなくて、画 いわみせいじ「猫背」と言われるんです。なるほど、腰にかかる負担は、立っているのを100とすると、猫背の姿勢は185にもなります。良い姿勢にすると140になります。そんなに違うんですか。良い姿勢にしないといけませんね。時々、鏡をみて自分の姿勢をチェックするのもいいですね。それに、座りっぱなしではなく、一度、立ち上がるのも良いかもしれません。それはいいですね。やってみます。(嬉しそうな顔)ポイント腰痛予防のために良い姿勢を心がけ、鏡などで自分の姿勢をチェックすることの大切さを説明します。Copyright© 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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クチコミの対応、あれこれ【Dr. 中島の 新・徒然草】(545)

五百四十五の段 クチコミの対応、あれこれ台風10号(サンサン)には振り回されてしまいましたね。2024年8月29日朝に鹿児島県の薩摩川内市に上陸し、九州、四国を通った後に、9月1日正午頃に東海沖で熱帯低気圧になったわけですが、その間の迷走で広範囲に冠水した町もあったようです。大阪での雨は大したことがなかったものの、万一に備えていろいろな予定や行事が中止になりました。何でも強行しがちだった昭和の頃に比べれば隔世の感があります。時代とともに人々の対応も進歩しているのでしょう。さて、今回はGoogleマップのクチコミの話です。実は知り合いの開業医の先生が、あのクチコミでの誹謗中傷は何とかならんものか、と愚痴をこぼしておられました。クチコミというのはGoogleで医療機関を検索すると、地図や写真と共に「3.1 ★★★☆☆ Google のクチコミ(156)」などと黄色い星で表示されるものです。この一連の表示の中で、「3.1」は5点満点の平均値で、大きい数字ほど高評価★★★☆☆というのは平均値を見やすくしたもの(156)というのは評価した人の数なのでしょう。さらにこの部分をクリックすると、文章での評価も出てきます。星を付けただけでなく、さらに言いたいことがある人用ですね。全体の3割程度の人が文章でも評価しているようです。何に対しても評価があるのか、大阪府庁とか大阪地方裁判所、大阪拘置所みたいな行政機関まで星を付けられています。Googleマップの評価自体がされていなかったのは、私が調べた範囲では大阪府警察本部と大阪刑務所くらいでした。「刑務所のメシがまずい」みたいな評価があっても良さそうな気もしますが。このGoogleマップのクチコミについては、メディアでも何かと話題になっています。2024年5月のニュースでは、兵庫県尼崎市の某眼科診療所がクチコミに悪質な書き込みをされた件を扱っています。クチコミには「レーシック手術を受けたが左目だけで、右目はレンズを入れられた」「何も症状もないのにまた勝手に一重まぶたにされた」「噂を信じず他の眼科へ行くことをお勧めします。気を付けて下さい」とあったとのこと。で、その眼科診療所は投稿者に削除要請をしたものの、回答がなかったので訴訟を起こしたそうです。結果として、被告に対して、投稿記事の削除と200万円の損害賠償の支払いを命じる判決が出たのですが、それまでに3年間の歳月を要したのだとか。幸い勝訴判決を得たものの、診療所にとっては大変な労力だったことでしょう。また、2024年4月のニュースには、Googleマップのクチコミに、不当な内容が投稿されても削除してもらえず利益が侵害されたとして、都内63ヵ所の医療機関や個人が、Googleに対して総額140万円余りの損害賠償を求めて集団訴訟を起こした、とあります。裁判自体は現在進行中とのこと。今まではまったく気にしていなかったGoogleマップのクチコミですが、あらためて私の勤務する大阪医療センターのものを読んでみると、いろいろな評価がされていました。星の数も最高の5個から最低の1個までいろいろ。星5個の評価では「ドクター、ナース、検査技師、事務の方、その他のスタッフさん、皆さん、本当に全員が優しくて感じよかったです」とありました。一方、最低の星1個のほうでは「以前かかっていた他県の市立病院と比べて、全体的に雰囲気がギスギスしていると感じた」「○○科に入院したのですが、医師の説明不足が不満でした。説明しても理解できないであろうという見下した態度に憤りを感じました」という記載があり、人により評価はいろいろのようです。中には名指しの評価もあり、「△△科の先生がとても親身になって、たくさんアドバイスしてくれました」から「▲▲科の××医師はいい加減に患者を扱っている」まで、読んでいて思わず身がすくみそうになりました。私自身は良くも悪くも名前すら挙がっておらず、ホッと一息。それにしても、名指しで非難されたら凹むだろうな、と容易に想像できるのですが、これらの先生たちはご自分の言われようを知っているのでしょうか。市内のクリニックの中には、「オーナーからの返信」という機能を利用して、1つ1つの投稿に返信しているところもありました。「××様 せっかくご来院いただいたのに不快な思いをさせてしまいました。スタッフ一同で今後の改善に努めて参ります。貴重なご意見をいただき、ありがとうございました」といった類の文言です。これ、よほどマメじゃないとできないでしょうね。ついいろいろ見てしまいましたが、クチコミの中には投稿者の一方的な思い込みや、文句を言う先が間違っているとしか思えないものも散見されました。訴訟沙汰になるのも無理はない気がします。無責任な書き込みをなくす方法と考えられるのは、こういったクチコミのシステム自体をやめるか、すべての投稿者の実名を出すかくらいでしょうか。Googleの対応も進化してくれることを祈りたいと思います。最後に1句台風が 去っても残る クチコミぞ

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anorexia nervosa(神経性やせ症)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第11回

言葉の由来「神経性やせ症」は英語で“anorexia nervosa”といいます。この病名はギリシャ語の“anorexia”とラテン語の“nervosa”に由来します。“anorexia”は、「否定」を表す“an”と「食欲」を表す“orexia”をつなげた単語で、文字通り「食欲がない」ことを意味します。一方、“nervosa”はラテン語で神経を表す“nervus”に由来し、「神経性の」という意味です。“anorexia nervosa”という病名は、19世紀後半に英国のウィリアム・ガル医師によって付けられたとされています。彼は、「主に若い女性に発生する、極度の衰弱を特徴とする特異な病気」について複数の症例を報告し、精神的および神経的な要因が関与するとして、このような病名を付けました。“anorexia nervosa”に関連する医学用語として、“bulimia nervosa”(神経性大食症)があります。“bulimia”は“anorexia”と同じくギリシャ語です。“bulimia”は牛を意味する“bous”と、飢えを意味する“limos”を組み合わせた単語で、「牛のような飢え」、つまり「異常な食欲」を意味します。“bulimia nervosa”は“anorexia nervosa”が名付けられた約100年後の1970年代に、英国の精神科医ジェラルド・ラッセル医師が命名しました。当時は“anorexia nervosa”の疾患の一部と考えられていましたが、過食とそれに続く補償行動を特徴とする精神的な障害である“bulimia nervosa”は、“anorexia nervosa”とは異なる病気である、と定義したのです。併せて覚えよう! 周辺単語無月経amenorrhea徐脈bradycardia骨粗鬆症osteoporosis栄養失調malnutrition認知行動療法cognitive behavioral therapyこの病気、英語で説明できますか?Anorexia nervosa is an eating disorder characterized by an intense fear of gaining weight, a distorted body image, and extreme efforts to control weight, often through severe calorie restriction and excessive exercise. This can lead to dangerous health complications due to malnutrition.講師紹介

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第112回 エリスロシン錠の在庫が尽きる薬局続出

エリスロシン®錠争奪戦15時頃、外来の患者さんも残り10人くらいになり、ラストスパートをかけようというとき。「先生、調剤薬局から疑義照会が来ています」と外来ナースが横からいつものFAX用紙を見せてきました。湿布を貼る場所を書き忘れたかなと思いながら見てみると、「エリスロシン錠の在庫がありません」の文字が。どうやら、販売元のヴィアトリス製薬で生産に問題が発生し、供給が不安定になっているようです。エリスロシン錠をめぐる騒動は、静かに、しかし確実に広がっています。7月には限定出荷の通知がありましたが、処方が多い呼吸器内科や耳鼻咽喉科で、その影響を実感し始めています。呼吸器内科領域のエリスロシン処方びまん性汎細気管支炎(DPB)という、気管支がびまん性に拡張する疾患があります。喀痰に悩まされる方が多いです。悩まされるだけならまだしも、耐性緑膿菌を保菌したり、細菌感染症で入院を繰り返したり、わりと社会生活上インパクトが大きな慢性呼吸器疾患です。1980年代前半のDPBの5年生存率はわずか42%でした。しかし、エリスロマイシンの低用量投与が導入されると、その生存率は劇的に改善され1)、若くして亡くなるという事例は減りました。エリスロマイシンの効果は単なる抗菌作用にとどまらず、抗炎症効果も持っています。このため、細菌感染を予防するだけでなく、気道の炎症を抑える効果があるとされています。DPBの予後改善はこの抗炎症効果によるものと考えられています2)。基本的にはDPBをはじめとした気管支拡張症に対してエビデンスが蓄積されてきた薬剤ですが、肺Mycobacterium avium complex(MAC)症に対しても有効とされています3)。肺MAC症は、マクロライド、エタンブトール、リファンピシンを用いた多剤併用治療が行われますが、このマクロライドが示すのは、アジスロマイシンあるいはクラリスロマイシンです。エリスロマイシンの抗菌活性は決して高くなく、上述した抗炎症効果によって臨床的悪化を食い止める働きがあります。そのため、MACに対してクラリスロマイシンやアジスロマイシンとの間に交差耐性はないことが知られています。DPBに有効というだけでなく、MACに対するデメリットも少ないということで、エリスロマイシンを長期投与されている呼吸器内科通院中の患者さんは多いです。拡大解釈されて、気管支拡張症にも用いられています。マクロライドスイッチにご注意を冒頭の続きです。エリスロシン錠の在庫がありません問題ですが、「エリスロマイシン錠」やクラリスロマイシンに余波が広がりつつあるということが懸念材料です。まず、「エリスロシン錠」と「エリスロマイシン錠」は、厳密には一般名が異なる製品です。エリスロシン錠の一般名は、「エリスロマイシンステアリン酸塩」で、エリスロマイシン錠の一般名は、シンプルに「エリスロマイシン」です。エリスロマイシン錠は、エリスロシン錠の後発医薬品でないのです。実は、適応菌種などに微妙な差が存在します(表)。画像を拡大する表. エリスロシン錠とエリスロマイシン錠の適応菌種・適応症・効能効果(赤字が異なる部分)今回出荷が問題になっているのはエリスロシン錠ですが、現在「エリスロマイシン錠」の処方が増えていると聞いています。さらに、クラリスロマイシンの処方が一部地域で増えつつあるそうです。代替薬としてクラリスロマイシンが提示されることが、まれにあるようです。副鼻腔炎や気管支拡張症に長期間クラリスロマイシンの単剤治療を適用すると、マクロライド耐性の非結核性抗酸菌を助長する可能性があります4)。そのため、エリスロシン錠からクラリスロマイシンへスイッチ、というのは代替薬としては推奨できないと考えてよいでしょう。参考文献・参考サイト1)Kudoh S, et al. Improvement of survival in patients with diffuse panbronchiolitis treated with low-dose erythromycin. Am J Respir Crit Care Med. 1998 Jun;157(6 Pt 1):1829-1832. 2)Tanabe T, et al. Clarithromycin inhibits interleukin-13-induced goblet cell hyperplasia in human airway cells. Am J Respir Cell Mol Biol. 2011 Nov;45(5):1075-1083. 3)Komiya A, et al. Long-term, low-dose erythromycin monotherapy for Mycobacterium avium complex lung disease: a propensity score analysis. Int J Antimicrob Agents. 2014 Aug;44(2):131-135.4)Griffith DE, et al. Clinical and molecular analysis of macrolide resistance in Mycobacterium avium complex lung disease. Am J Respir Crit Care Med. 2006 Oct 15;174(8):928-934.

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