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超加工食品に関する論文の見解の流れ 超加工食品に関する報告によれば、総じて全死因死亡(全死亡)リスクを高めるとの結論で一致しています1,2)。ただし、これまでのところ心血管疾患に関しては、リスクを高めることは全面的に肯定されているわけではありません(当論文において有意差を認めていないが否定するものではありません)。 食事を楽しむことができないような忙しい生活の中で、利便性や時短性に優れた超加工食品が重宝される傾向はわからないわけではありませんが、超加工食品への極端な嗜好は健康長寿と相反しており、将来の健康に懸念を抱かざるを得ません。 最近、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のZhe Fang氏らが、30年超えの長期にわたる医療従事者対象の男女別の2コホート研究から超加工食品の問題点を取り上げました。食事評価を繰り返したデータを担保する大規模コホート研究に基づく、超加工食品の全死亡への影響を仔細に検討した論文がBMJ誌2024年5月8日号に掲載されました。大規模かつ長期間にわたり追跡されたコホートデータに基づく信頼性の高い論文は数少なく、本論文についてコメントします。本論文概要 本研究では、米国11州の女性正看護師コホートと同国50州の男性医療従事者コホート中、心血管疾患・糖尿病歴のない女性7万4,563例と男性3万9,501例(計:11万4,064例、男/女比:0.53)を対象として、超加工食品摂取(4年ごとに実施された食物摂取頻度調査を使用)と死亡の関係を中心に調査・検討した。主要アウトカム:全死亡、副次アウトカム:がん、心血管死、その他による死亡として、多変量Cox比例ハザードモデルを用い超加工食品摂取量との関連を分析した。超加工食品の最低四分位数群vs.最高四分位数群比較では、全死亡リスクは最高四分位数群で4%有意に高かった。がん、心血管疾患に関しては、有意差はなかった。その他の死亡に関しては9%有意に高かった。 超加工食品サブグループ別解析では、肉/鶏肉/魚介類ベースの調理済みインスタント食品(加工肉)が全死亡と最も強い関連(HR:1.13、95%CI:1.10~1.16、傾向のp<0.001)を示し、砂糖または人工甘味料入り飲料(1.09、1.07~1.12)、乳製品ベースのデザート(1.07、1.04~1.10)、超加工パン・朝食用食品(1.04、1.02~1.07)(ただし、全粒穀物を除く)も、全死亡リスクの増加に関連していた。コメント 超加工食品は利便性と時短性から多忙な生活の中では重宝され、多くの人に愛され、利用されていると考えると恐ろしい気持ちがします。食事による健康被害が超加工食品により起こっていることが多数報告されており、その評価の信ぴょう性も高まっています。食物は自然の状態に近い形(whole food)で食べるのが健康的であると考えるのがごく自然です。健康を犠牲にする可能性が高い超加工食品の持つ利便・時短といった魅力のとりこになるのはきわめて危険です。ただちにやれることは、超加工食品の魅力のとりこになることを回避する理解・努力が必要だと考えます。命を削って利便性や時短性の犠牲になるのを回避する努力がいかに大事か、自問自答してください。この論文は超加工食品の利便性・時短性の背後に潜む健康被害に警鐘を鳴らす論文として素直に受け止めましょう。