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またまた起きた管理薬剤師の複数の店舗での兼務【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第166回

薬局チェーンにおいて管理薬剤師の複数店舗での兼務が発覚し、行政処分を受けた事例が報道されました。「またか…」という感想の人ばかりでしょうが、こういうことはある程度のスパンで繰り返し問題になっている気がします。ドラッグストアチェーン「コクミン」(本社・大阪市)が運営する調剤薬局で、責任者である「管理薬剤師」が、複数の店舗で兼務する不適切な運用が続いていたことがわかった。管理薬剤師は患者の健康管理などのため現場での勤務が求められ、一つの店舗への専従が医薬品医療機器法(薬機法)で義務づけられている。同社は兼務が同法に抵触すると認め、調剤報酬の返還を検討する。(2026年3月2日付 朝日新聞)記事によると、この管理薬剤師は複数の店舗で薬事業務を行っており、昨年末に内部通報で発覚したとのことです。「管理薬剤師の兼務不可」というのは、一般の人にはあまりピンとこないことかもしれません。しかしながら、医薬品を調剤すること、保管することなどは、国から特別な許可を受けて初めてできることです。その許可の前提として、法律やルールを満たしている必要があるというのは言うまでもありません。それらを守らない、しかも組織的にそれらを逸脱しているというのは、どれだけ患者対応を一生懸命やっていたとしても、「もっと他のことでも違反してるんじゃないの?」と思われかねず、患者さんからの信頼を失うことにつながりかねません。問題となったコクミンは各地の保健所などに調査結果を報告し、指導を受けているとのことです。同社は少なくとも通報時点から過去1年間にさかのぼって兼務を確認しており、派遣された管理薬剤師が利用客から処方箋を受け付けて調剤する際、その店舗の管理薬剤師の印鑑を使って発覚を免れていたようです。それらに関して3年間をめどに調査を続け、期間中の調剤報酬について返還も含めて適切に対応を進めていくと報じられています。薬局の運営をスムーズにするための兼務やヘルプ要請だったと想像できますが、「まだやっている薬局があるのか」という印象を抱かざるを得ません。周りもやっていたからという理由で違反をしていたとしても、周りはすでに変わり、違反をしているのは自分だけということもあるかもしれません。多少緩かった時代もありましたが、「忙しい」「昔やっていた」はもはや言い訳にはならないということを肝に銘じましょう。

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統合失調症に対するLAI抗精神病薬治療が入院率や再発率に及ぼす影響

 長期作用型注射(LAI)抗精神病薬は、統合失調スペクトラム症の長期治療マネジメントにおいて重要な治療選択肢である。新たなエビデンスは、入院および/または再発リスクといった長期治療アウトカムに有益な影響を与えることを示唆している。イタリア・University Magna Graecia of CatanzaroのRenato de Filippis氏らは、自然発生的な外来診療環境における統合失調スペクトラム症患者を対象に、LAI抗精神病薬治療開始前後3年間の再発率、入院率、入院日数を比較するため、3年間のフォローアップミラー観察デザイン研究を実施した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2026年2月11日号の報告。 統合失調スペクトラム症の外来患者において、経口薬からLAI抗精神病薬へ切り替えた患者を対象に、入院率と入院期間、LAI抗精神病薬治療開始前後3年間の臨床的な総再発数を比較するため、3年間のフォローアップ調査を行うミラーイメージデザインを用いた。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニング対象となった83例のうち、第1世代抗精神病薬(FGA)または第2世代抗精神病薬(SGA)のLAIによる治療を開始した統合失調スペクトラム症の成人患者56例(女性:20例[35.7%])を対象とした。・全体として、経口抗精神病薬からLAI抗精神病薬への切り替えにより、治療順守患者の入院回数および入院期間(平均10.15日から0.18日へ)が有意に減少し、3年間のフォローアップ期間における総再発数も(平均1.85回から1.10回へ)減少した。・サブグループ解析では、SGA LAIおよびFGA LAIに切り替えた患者の両方において、3年間のフォローアップ期間中に入院回数が減少していたが、これはLAI抗精神病薬治療を6ヵ月超継続した場合のみに認められた。・この効果は、初めてLAI抗精神病薬に切り替えた患者においてのみ報告された。 著者らは「本研究結果は、統合失調スペクトラム症の維持療法としてのLAI抗精神病薬の有効性、とくにLAI抗精神病薬による治療期間が長い患者における有効性が確認された。今後の研究により、LAI抗精神病薬治療により最も効果が得られる可能性のある統合失調スペクトラム症患者の臨床的特徴がさらに明らかになることが望まれる」としている。

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原発性局所多汗症の関連因子は?/神戸大

 原発性局所多汗症は、温熱や精神的な負荷、またそれらによらずに大量の発汗が起こり、日常生活に支障を来す状態と定義されている。本邦における過去の調査では、患者の大部分が医療機関を受診していない可能性が示唆されており、関連のある因子を特定することは、未治療の患者を発見し適切な医療介入を行ううえで有用と考えられる。神戸大学の福本 毅氏らは、多施設共同の横断的質問紙調査(KOBE study)を行い、原発性局所多汗症の関連因子について検討した。Frontiers in Medicine誌2026年2月9日号の報告。 本研究では、2024年4月~7月に日本国内の24の皮膚科医療機関のいずれかを受診し、質問票に回答した5~64歳の患者を対象とした。関連因子を探索するため、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・計3,617例が解析に組み入れられた。原発性局所多汗症の有病率は15.0%(3,617例中544例)であった。・潜在的な関連因子の中でオッズ比(OR)が高かったのは、順に腋臭症(OR:5.440)、乾癬(OR:1.830)、湿性耳垢(OR:1.780)、HADS-A(Hospital Anxiety and Depression Scale - Anxiety subscale)スコアで不安障害が確定的(OR:1.780)、HADS-Aスコアで不安障害の疑い(OR:1.460)、喫煙(OR:1.450)であった。・ROC曲線解析の結果、原発性局所多汗症を疑うに当たりHADS-Aスコア6が最適なカットオフ値であることが示された。

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3疾患を追加し8年ぶりに改訂「自己炎症性疾患診療ガイドライン2026」

 自己炎症性疾患とは、自然免疫系の遺伝子の異常で発症し、症状として発熱と眼、関節、皮膚、漿膜などに及ぶ全身炎症を特徴とする疾患である。その概念は比較的新しく1999年から提唱されている。現在では、診療技術の進歩などにより疾患分類なども整備されている。そして、その疾患の多くは希少疾病や難病として知られている。2017年に『自己炎症性疾患診療ガイドライン 2017』(編集:日本小児リウマチ学会)が発行され、遺伝学的検査など検査が一般的となり、日本免疫不全・自己炎症学会も創設された。その後、厚生労働科学研究などの研究班研究により、掲載疾患の改訂と新規疾患のガイドライン作成作業を経て『自己炎症性疾患診療ガイドライン2026』が発刊された。本稿では、本ガイドラインの統括委員長である西小森 隆太氏(久留米大学医学部小児科学講座 教授)にガイドライン作成の意義や改訂のポイントを聞いた。非専門医も通読し、早く疾患に気付いてもらうことに期待--ガイドライン作成の工夫と3団体連携の意義について 今回のガイドラインの形式は、2017年版から大きな変更はなく、治療を基盤としたクリニカルクエスチョン(CQ)を設定し、Minds診療ガイドライン作成指針に準拠して作成した。本ガイドラインに掲載された遺伝性疾患では、小児期から成人期まで継続的な診療を要する患者が多く、疾患の性質上、現時点の治療法で完治に至ることは容易ではない。成人後も長期的な診療継続が必要であり、とりわけ小児期から成人期への移行期診療の重要性は近年ますます強調されている。こうした背景を踏まえ、本ガイドラインは日本リウマチ学会、日本免疫不全・自己炎症学会、日本小児リウマチ学会の承認を得て発刊された。--ガイドライン作成で腐心した点について 掲載疾患の多くは希少疾患であり、利用可能なエビデンスが限られているという課題があった。ランダム化比較試験(RCT)が乏しい、あるいは存在しない状況を踏まえ、ケースシリーズや症例報告も含めて文献検索を行い、現時点で示し得る見解を、Minds診療ガイドライン作成指針に準拠した手順を踏んで本ガイドラインを作成した。--今回の改訂のポイントについて 新しい疾患としてA20ハプロ不全症(HA20)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群(PAPA症候群)、中條・西村症候群(プロテアソーム関連自己炎症性症候群)の3つを追加した。また、家族性地中海熱(FMF)、周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・頸部リンパ節炎症候群(PFAPA)は、前回の内容からCQを立て、エビデンスの見直しと更新を行った。クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、メバロン酸キナーゼ欠損症(高IgD症候群・メバロン酸尿症)(MKD)、ブラウ(Blau)症候群の4疾患については、疾患の説明などのアップデートを行い、改訂した。--非専門医が読むときのポイントや今後の展望について 遺伝性疾患を対象としているため、非専門の先生方にはやや読み進めにくい部分もあるかもしれない。ただし、本ガイドラインは丁寧かつ正確を期して記載しているので、ぜひ一度通読いただければ幸いである。とくにFMFについては、診断基準を明確化するとともに、その背景についても丁寧に解説しており、読後には本疾患への理解をより深めていただけるものと考えている。 次回改訂や今後の展望としては、比較的患者数の多い疾患を中心に検討を進める予定である。たとえば、自己炎症性疾患のうち成人患者の多いVEXAS(vacuoles、E1 enzyme、X-linked、autoinflammatory、somatic)症候群は重要な対象と考えている。近年、同疾患に関するエビデンスも着実に集積されつつあり、次回のガイドライン改訂で追加できることを期待している。 そのほか、非専門の医師が自己炎症性疾患に早期に気付き、適切に専門医へ紹介できるよう、自己炎症性疾患サイトを開設し、疾患および診療に関する啓発を行っている。さらに、自己炎症性疾患を診療できる若手医師の育成や、病態解析による創薬を行っているAMEDなどの研究班や治療薬の開発を担う企業との連携も、今後一層推進していきたいと考えている。【目次】・CQ・根拠の確かさ一覧・略語一覧・作成組織・委員一覧第1章 ガイドラインについて I 背景・目的と使用上の注意 II 本診療ガイドライン作成組織 III 重要臨床課題・アウトカムとクリニカルクエスチョン IV システマティックレビュー,エビデンスの質の評価と推奨の作成第2章 疾患の解説と推奨 A A20ハプロ不全症(HA20) B 化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群(PAPA症候群) C 中條・西村症候群(プロテアソーム関連自己炎症性症候群) D 家族性地中海熱(FMF) E 周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・頸部リンパ節炎症候群(PFAPA)・文献検索式・スコープ自己炎症性疾患診療ガイドライン2017年版より F クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS) G TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS) H メバロン酸キナーゼ欠損症(高IgD症候群・メバロン酸尿症)(MKD) I ブラウ(Blau)症候群・2017年版 文献検索式より・2017年版 スコープより・索引

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特発性肺線維症への吸入トレプロスチニルがFVC低下を抑制/NEJM

 特発性肺線維症(IPF)患者への吸入トレプロスチニル投与(12吸入を1日4回)は、プラセボと比較して52週間にわたり、努力肺活量(FVC)低下および臨床的悪化のイベント発現を抑制したことが示された。米国・Inova Fairfax HospitalのSteven D. Nathan氏らTETON-2 Trial Investigatorsが、日本を含む16ヵ国107施設で被験者を募り実施した第III相の二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。前臨床データにおいて、吸入トレプロスチニルは抗線維化作用によりIPFの治療に有効である可能性が示されており、臨床でもその可能性を支持する所見が示されていた。NEJM誌オンライン版2026年3月11日号掲載の報告。主要エンドポイントは、FVCのベースラインから52週時までの変化量 研究グループは、40歳以上のIPF患者を、吸入トレプロスチニル(3吸入を1日4回で開始し、12吸入を1日4回に増量)投与群またはプラセボ投与群に無作為に割り付け、52週間投与し、有効性と安全性を比較した。 主要エンドポイントは、FVCのベースラインから52週時までの変化量(絶対値)であった。副次エンドポイントは、IPFの臨床的悪化(全死因死亡、呼吸器系の原因による入院、FVCの予測値に対する割合[%FVC]の10%以上低下のいずれか初発)および急性増悪(それぞれtime-to-event解析で評価)、52週時までの死亡、および%FVC、QOL、一酸化炭素肺拡散能のベースラインから52週時までの変化量であった。安全性も評価した。FVCの変化量は群間で有意な差、臨床的悪化も有意に抑制 2022年10月4日~2024年7月3日に593例が無作為化され、少なくとも1回試験薬を投与された(トレプロスチニル群298例、プラセボ群295例)。このうち463例(それぞれ224例、239例)が52週の試験評価を完了した。被験者の平均年齢は71.7歳、男性が80.1%で、ベースラインの%FVC平均値は76.8%、抗線維化薬を基礎療法として受けていたのは75.4%であった。 52週時のFVCの変化量中央値は、トレプロスチニル群-49.9mL(95%信頼区間[CI]:-79.2~-19.5)、プラセボ群-136.4mL(-172.5~-104.0)であり、群間差は95.6mL(52.2~139.0、p<0.001)であった。 臨床的悪化は、トレプロスチニル群81例(27.2%)に対しプラセボ群115例(39.0%)で報告された(ハザード比[HR]:0.71、95%CI:0.53~0.95、p=0.02)。IPFの初回急性増悪までの期間について群間で有意な差は観察されず、そのため副次エンドポイントに関するその後の統計学的推論は行われなかった。 最も多く見られた有害事象は咳嗽で、トレプロスチニル群48.3%、プラセボ群24.1%の患者で報告された。投与中止に至った割合は、トレプロスチニル群33.6%、プラセボ群24.7%で、これらの患者の約半数が投与中止の主要な理由として有害事象を挙げていた。

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治療抵抗性高血圧、baxdrostat上乗せで24時間SBP改善/Lancet

 治療抵抗性高血圧症の患者において、選択的アルドステロン合成酵素阻害薬baxdrostatはプラセボと比較して、24時間自由行動下収縮期血圧(SBP)を有意に低下させたことが、フランス・パリ・シテ大学のMichel Azizi氏らBax24 investigatorsによる海外第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Bax24試験」の結果で示された。著者は、「コントロールが困難な高血圧症の治療に、選択的アルドステロン合成酵素阻害薬が有望であるエビデンスが上積みされた」とまとめている。Lancet誌2026年3月7日号掲載の報告。24時間自由行動下SBPのベースラインから12週時の変化量を評価 Bax24試験は22ヵ国79臨床施設(プライマリ、2次、3次医療施設および研究施設)で行われ、利尿薬を含む降圧薬3剤以上を服用しているにもかかわらず、座位SBPが140mmHg以上170mmHg未満の成人(18歳以上)を対象とした。 2週間のプラセボ投与による導入期後、24時間自由行動下SBPが130mmHg以上の被験者を、基礎療法に追加してbaxdrostat 2mgを1日1回12週間投与する群またはプラセボを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けた。ベースラインの平均24時間自由行動下SBP(140mmHg未満または140mmHg以上)で層別化も行った。研究者、被験者、試験スタッフは治療割り付けを盲検化された。 主要エンドポイントは24時間自由行動下SBPのベースラインから12週時までの変化量で、少なくとも1回以上試験薬を投与され、ベースラインおよび12週時に有効な24時間自由行動下SBPの測定値を有していた患者を対象に、共分散分析を行い評価した。24時間自由行動下SBP測定の欠落または無効値の補完は行わなかった。 安全性の解析は、少なくとも1回以上試験薬を投与された全被験者を対象に行った。baxdrostat群-16.6mmHg、プラセボ群-2.6mmHgで有意差 2024年3月1日~2025年4月16日に854例がスクリーニングされ、636例(プラセボ導入期前に437例、プラセボ導入期間中に199例)が除外、218例が無作為化され、217例が投与を受けた(baxdrostat群108例、プラセボ群109例)。 140例(65%)が男性、77例(35%)が女性で、170例(78%)が白人であった。年齢中央値は60.0歳(四分位範囲:51.0~68.0)。 24時間自由行動下SBPのベースラインから12週時までの最小二乗平均変化量は、baxdrostat群(89例)が-16.6mmHg(95%信頼区間[CI]:-18.8~-14.3)、プラセボ群(95例)が-2.6mmHg(95%CI:-4.7~-0.4)であり、推定プラセボ補正後群間差は-14.0mmHg(95%CI:-17.2~-10.8)であった(p<0.0001)。 有害事象は、baxdrostat群で56/108例(52%)、プラセボ群で40/109例(37%)報告された。baxdrostat群108例のうち3例(3%)でカリウム値の6mmol/L超上昇が確認されたが、プラセボ群ではみられなかった。

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再発・難治性の濾胞性リンパ腫治療薬タファシタマブを発売/インサイト・ジャパン

 インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンは、「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」の適応で、タファシタマブ(遺伝子組換え)(商品名:ミンジュビ)を2026年3月18日に発売したことを発表した。タファシタマブとリツキシマブおよびレナリドミドの併用療法は、再発・難治性のFLに対する日本初のCD19およびCD20の両方を標的とした免疫療法となる。 濾胞性リンパ腫(FL)はわが国で2番目に多いB細胞性非ホジキンリンパ腫の緩徐進行型であるが、根治が困難で初回治療後も再発を繰り返すことが多く、再発のたびに予後が不良となり、約20%が治療開始後2年以内に病勢進行もしくは再発する。タファシタマブは、CD19を標的としたフラグメント結晶化可能領域(Fc)改変ヒト化モノクローナル抗体で、B細胞性腫瘍の細胞膜上に発現するCD19に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性およびアポトーシスを誘導することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。<製品概要>・販売名:ミンジュビ点滴静注用200mg・一般名:タファシタマブ(遺伝子組換え)・効能又は効果:再発又は難治性の濾胞性リンパ腫・用法及び用量:リツキシマブ(遺伝子組換え)及びレナリドミドとの併用において、通常、成人にはタファシタマブ(遺伝子組換え)として12mg/kg(体重)を1日1回点滴静注する。28日間を1サイクルとして、最初の3サイクルは1週間間隔で4回(1、8、15及び22日目)、4サイクル以降は2週間間隔で2回(1及び15日目)投与する。最大12サイクルまで投与を継続する。・薬価:200mg1瓶125,201円・製造販売承認日:2025年12月22日・薬価基準収載日:2026年3月18日・発売日:2026年3月18日・製造販売元:インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社

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再発・難治性の多発性骨髄腫治療薬ベランタマブ マホドチンを発売/GSK

 グラクソ・スミスクラインは、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の適応で、抗BCMA(B細胞成熟抗原)抗体薬物複合体(ADC)であるベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)(商品名:ブーレンレップ)を2026年3月18日に発売したことを発表した。 本剤は骨髄腫細胞の表面にあるBCMAを標的とする日本初のADCで、BCMAに特異的に結合する低フコース化したヒト化IgG1抗体にペイロードとして微小管阻害薬であるモノメチルアウリスタチンFを、プロテアーゼ耐性マレイミドカプロイルリンカーで結合している。わが国では2024年8月に厚生労働省により希少疾病用医薬品に指定され、2025年5月に「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を適応として承認された。点滴静注用70mgも2026年2月25日に承認を取得し、発売準備中である。<製品概要>・販売名:ブーレンレップ点滴静注用100mg・一般名:ベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)・効能又は効果:再発又は難治性の多発性骨髄腫・用法及び用量:ボルテゾミブ及びデキサメタゾン併用投与: 通常、成人にはベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)として、2.5mg/kgを30分以上かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。ポマリドミド及びデキサメタゾン併用投与: 通常、成人にはベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)として、初回は2.5mg/kg、2回目は1.9mg/kgを30分以上かけて4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。・薬価:100mg1瓶1,284,052円・製造販売承認日:2025年5月19日・薬価基準収載日:2026年3月18日・発売日:2026年3月18日・製造販売元:グラクソ・スミスクライン株式会社

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低炭水化物か低脂肪かではなく、食品の質が重要

 これまで長年にわたり、健康のためには低炭水化物の食生活が良いと主張する人たちと、低脂肪の食生活が良いと主張する人たちの間で議論が繰り返されてきた。しかし、新たに報告された大規模なデータに基づく研究から、重要なことは主要栄養素の比率ではなく、食品としての品質であることが示唆された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のZhiyuan Wu氏らの研究によるもので、詳細は米国心臓病学会(ACC)発行の「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に2月11日掲載された。 この研究では、米国内の医療従事者対象調査(HPFS)に参加した男性4万2,720人、看護師健康調査(NHS)に参加した女性6万4,164人、NHS IIに参加した女性9万1,589人の30年以上にわたる追跡データが解析された。このような大規模な解析により、さまざまなスタイルの食習慣がその後の心臓の健康にどのような影響を与えるかを明らかにすることができた。 524万8,916人年の追跡期間中に、2万33件の冠動脈性心疾患(CHD)が記録されていた。解析の結果、健康的な食品類を中心とする食生活の場合、それが低炭水化物食か低脂肪食かにかかわらず、CHDのリスクが有意に低いという関連が見いだされた。反対に、精製穀物や動物性タンパク質を中心とする非健康的な食生活の場合、それが低炭水化物食か低脂肪食かにかかわらず、CHDリスクが有意に高かった。一例を示すと、非健康的な低炭水化物食の人はCHDのリスクが14%高く、健康的な低炭水化物食の人はそのリスクが15%低いことが示された。 代謝関連の検査値との関連では、低炭水化物食か低脂肪食かにかかわらず、植物性食品、全粒穀物、不飽和脂肪酸の摂取量の多い健康的な食事のスタイルは、トリグリセライド(中性脂肪)が低く、HDL(善玉)コレステロールが高く、炎症レベル(高感度C反応性蛋白)が低いことと関連していた。対照的に、精製穀物や単純糖質の多い食品(白パンや甘いスナック菓子など)および動物性脂肪を多く含む非健康的な食事のスタイルは、動脈硬化の進行につながる検査値異常と関連していた。 論文の筆頭著者であるWu氏は、過去の研究では野菜やナッツなどの多い「健康的な低炭水化物食」と、ベーコンやバターなどの多い「非健康的な低炭水化物食」を区別していなかったため、矛盾する結果が出ることが多かったと指摘。そして、「栄養成分だけに焦点を当てるだけで食品の品質を考慮しない食生活は、健康上のメリットにつながらない可能性がある」と付け加えている。 この論文に対してJACCの編集長であるHarlan Krumholz氏はACC発のリリースの中で、「本研究の結果は心臓の健康にとって最も重要なのは、人々が食べる食品の質であることを示している。炭水化物や脂肪の摂取量が少ない食事スタイルであっても、植物性食品や全粒穀物、および健康的な脂質を重視することが、心血管疾患の予後改善と関連している」と述べている。(HealthDay News 2026年2月13日)

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バーンアウトについて学んでみる【非専門医のための緩和ケアTips】第120回

バーンアウトについて学んでみる緩和ケアに限らず、医療者として働き続けるうえで非常に重要な「バーンアウト(燃え尽き症候群)」に関する質問をいただきました。今回はバーンアウト全般について考えてみます。今日の質問緩和ケアやお看取りのケアはやりがいを感じる反面、精神的負担を感じるときがあります。知り合いの緩和ケア認定看護師が、うつ病で休職したという経験もあります。緩和ケアはバーンアウトしやすいのでしょうか?私も緩和ケアの仕事を始めた頃に、家族や知人に「亡くなる人ばかりを診ていると、うつ病になるのではないか」と心配されたことがありました。私自身は緩和ケアにやりがいを感じ、キャリアの中で関わることができたことは本当に良かったと思います。ただ確かに、周囲にはうつ病と診断されるかどうかはともかく、メンタル不調で休職が必要になったり、緩和ケアの仕事を続けられなくなったりする方もいました。私は精神科医ではなく、バーンアウトについて専門的に学んだ経験もありませんが、部門の管理者としてスタッフの健康管理をするうえでバーンアウトについて知っておくことは重要だと考えています。では、具体的にバーンアウトのどんな点を知っておく必要があるのでしょうか? 緩和ケア領域は、共感性の高いスタッフが集まりやすい分野だと感じます。緩和ケアを実践するスタッフは、患者はもちろん、家族や介護スタッフ、同僚に対しても思いやりをもつ方が多いと感じます。一方、懸命に取り組むスタッフであればあるほど、仕事において感情的な負担や葛藤を抱えることは多いとも感じます。懸命に取り組むだけに、患者さんの苦痛を緩和できなかったり、家族とのやり取りで負担を感じたりといった場面が続くと、より負担を感じやすくなります。そんな状況で、私たちにとって大切なことは、自分自身の状況に敏感であることです。バーンアウトの分野には「情緒的消耗感」や「脱人格化」という用語があります。「情緒的消耗感」は単なる疲弊だけでなく、情緒的な資源の枯渇を伴う状態です。そして「脱人格化」は他者への対応が思いやりのないものになったり、個別のケアに配慮できなかったりする状態を意味します。まずは自分自身のコンディションに意識を向け、こうした状態の兆候がないか、気を払うことが大切です。管理者目線では、スタッフがこうした状態に陥っていないかを注意する必要があります。また、自分自身に注意を払えるよう、バーンアウトをテーマとした研修を行うことも一手でしょう。いかがでしょうか? バーンアウトについて、皆さんの職場で、それぞれの立場で、考えるきっかけになれば幸いです。今日のTips今日のTipsバーンアウトについて理解すること、自身のコンディションに敏感になることが大切。

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細胞外液補充液と維持輸液【ケースで学ぶ輸液オーダー】第1回

細胞外液補充液と維持輸液研修医が病院で初めて自らオーダーを立てる薬剤はおそらく点滴でしょう。いろいろな種類があり戸惑うかもしれませんが、原則は難しくありません。オーダーを受けた看護師から「輸液、わかってないな」と呆れられないよう、今一度原則を確認しましょう。症例洗面器約1杯分の鮮血を吐いた患者さんが救急搬入され、指導医とともに緊急で呼び出しされた初期研修医A君。指導医が緊急上部消化管内視鏡検査で出血性胃潰瘍と診断し、確実な止血処置を実施しました。現在の輸液内容は、救急科初療医が開始した細胞外液補充液(以下「外液」)です。治療終了時のバイタルサインは血圧120/60mmHg、脈拍90/分、ヘモグロビン値は正常範囲でした。「食事は明日からにしよう。じゃ、輸液オーダーは頼んだよ」と言って指導医は去っていきました。A君は翌日まで外液を継続する指示を出しました。このままでよいでしょうか。考えかたの整理輸液は「目的」によって以下の2つに整理できます1)。出血時など循環血漿量の補充外液絶食中の水分、電解質、糖の補充維持輸液イメージ的には、血液の代わりが外液、ごはんの代わりが維持輸液です。止血が得られ、循環動態が安定した時点で「失血に対する輸液」は役目を終えています。出血分を補えたら、止血後も外液を続ける理由はありません。一方、絶食が続く患者にブドウ糖を含まない輸液だけを投与すると、飢餓状態による低血糖を回避するために蛋白異化が進んでしまいます2)。図1 外液、維持輸液の組成の違いと輸液時の体液分画における分布画像を拡大する細胞内外を比較すると、細胞外はNaが多く、細胞内はKが多いのがポイントです。輸液の組成上、理論的には外液は細胞外へ、維持輸液は細胞内外へ分布するため役割が異なります。本症例の対応本症例では、出血は止血済み、バイタル安定、経口摂取は翌日から再開が予定されています。したがって、外液は減量・終了、維持輸液へ切り替えが妥当です。一方、止血されていたとしてもそれまでの出血量が多く、外液の投与量が出血量に追いついていなければ、維持輸液に並行して外液も投与すべきです。図2 臨床現場でよく見られる輸液療法の流れ画像を拡大する輸液は漫然と「昨日と同じ」にせず、目的を考えてオーダーしましょう。初期輸液は「とりあえずの輸液」英国のNICEガイドラインでは、routine maintenanceの目的の輸液組成には、25~30mL/kg/日の水分、1mmol/kg/日のNa、K、Cl、50~100g/日の糖(5%ブドウ糖液)が必要とされています3)。本邦で絶食時に頻用される維持輸液の3号液は合計2,000mL投与することにより、成人男性の1日の必要水分、電解質、最低限のブドウ糖を補える設定になっています4)。しかし、これら維持輸液のNa濃度は外液よりも低く、医原性の低Na血症が懸念されるため、海外ではNa濃度が外液並みの5%糖含有等張液の使用を提案する5)意見があります。こちらは3号液よりもK濃度が著しく低いため、長期の継続には低K血症に注意が必要です。いずれにしても初期輸液は居酒屋のお通し的立場の「とりあえずの輸液」と割り切り、数日間以上の絶食が予測される場合は、漫然と同じ輸液メニューを続けずに、電解質異常のチェックや補正、本格的な栄養輸液への移行を怠らないようにしましょう。輸液においては初回で満点を目指さず、追試上等と考えて大丈夫です。1)森本康裕. 【総論】輸液の基本のキ 輸液の調節をしてみよう. In:森本康裕. レジデントノート:羊土社;2017.p505-509.2)Gamble JL, et al. 水と電解質. 医歯薬出版;1957.p134-147.3)National Institute for Health and Care Excellence(NICE):Intravenous fluid therapy in adults in hospital. London4)室井延之. 静脈栄養剤の種類と組成、特徴. In:日本臨床栄養代謝学会. JSPENテキストブック:南江堂;2021.p.288-289.5)Moritz ML, et al. N Engl J Med. 2015;373:1350-1360.

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第307回 『脳外科医竹田くん』のモデルとなった脳外科医、民事に続き刑事裁判でも有罪となったポイントとは

民事裁判では被告と市に約8,800万円の賠償命じ、確定こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)、日本、残念でした。北米、中南米のチームが本気を出してMLBの選手をそろえてくると、そうは簡単に勝てないということですね。井端 弘和監督の采配を批判する声もあるようですが、歴代監督と比較するのはちょっと酷ではないかと思います。あと、今季からMLBに行く村上 宗隆、岡本 和真両選手が少々心配になりました。興味深かったのは、Netflixの日本ラウンドの配信を日本テレビが制作面で手伝っていたことです。ヒーローインタビューも日本テレビのアナウンサーが担当していましたし⋯⋯(各試合の実況は民放・NHKのOBアナウンサーも務めていました)。3月11日付の朝日新聞は「独占されたWBC 焦るTV局」と題する記事を掲載、日本テレビの制作受託について「(テレビ局は)『下請けに転落した』との指摘もある」と書いています。野球に限らず、ボクシングやサッカーなどのビッグゲームの放映権料が高騰しています。テレビ局が無料で放送する形態は、今後日本においても衰退していくでしょう。コロナ禍がオンライン会議を爆発的に普及・定着させたように、今回のWBCは日本で「スポーツは生“配信”」という新たなスタンダードが定着するきっかけになったイベントとして記憶されるかもしれません。さて今回は、漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルとなった脳外科医、松井 宏樹被告(47)が業務上過失傷害罪に問われた裁判で、先週有罪判決が出たので、それについて書いてみたいと思います。民事裁判においては、2024年8月、被害女性とその家族が松井被告と赤穂市に損害賠償を求めて提訴。神戸地裁姫路支部は2025年5月に「注意義務違反の程度は著しい」として被告と市に約8,800万円の賠償を命じ、判決は1審で確定しています。このケースのように医療過誤で刑事責任まで問われるのは異例のことで、その判決に注目が集まっていました。業務上過失傷害罪で禁錮1年、執行猶予3年の判決兵庫県赤穂市の赤穂市民病院で2020年、女性患者(81)の手術中に脊髄神経をドリルで誤って切断し後遺障害を負わせたとして業務上過失傷害罪に問われた松井被告に対し、神戸地裁姫路支部は3月12日、禁錮1年、執行猶予3年(求刑禁錮1年6ヵ月)の判決を言い渡しました。朝日新聞等の報道によれば、佐藤 洋幸裁判長は「(患者は)一生治ることのない下半身不随に陥った」と結果の重大性を指摘、「罰金刑の選択を相当とする事案とは到底言えない」と量刑理由について述べたとのことです。判決によると、松井被告は2020年1月、執刀医として女性患者の腰椎(ようつい)を手術した際、止血が不十分で患部の目視が難しい状態にもかかわらず、漫然と医療用ドリルを作動させ、神経の一部を切断。患者に両足まひなど全治不能の障害を負わせたとのことです。判決は、手術中の出血で「(患部の)視認性が確保できなくなっていた」とし、被告は「(ドリルの使用を止める)基本的な注意義務を怠った」と認定しました。その一方で、「経験の乏しい被告をバックアップするチームが機能していなかった面は否めない」、「被告が医師として就労することが事実上不可能な状態で社会的制裁も受けている」として刑の執行は猶予されました。赤穂市民病院によれば、松井被告が2019~20年に関わった手術で、医療事故が8件発生しています。このうち手術で女性に重度の障害を負わせた件について、神戸地検姫路支部は2024年12月に松井被告を業務上過失傷害罪で在宅起訴、今年2月から公判がスタートしていました。時効まで残り1ヵ月を切ったタイミングでの在宅起訴この事件や松井被告については、本連載でも「第173回 兵庫で起こった2つの“事件”を考察する(前編) 神戸徳洲会病院カテーテル事故と『脳外科医 竹田くん』」、「第246回 美容外科医献体写真をSNS投稿、“脳外科医竹田くん”のモデルが書類送検、年末の2つの出来事から考える医師のプロフェッショナル・オートノミー」、「第250回 『脳外科医 竹田くん』の作者声明文と“フジテレビの第三者委員会設置で改めて考える、医療界の第三者機関、医療事故調査・支援センターが抱える“アキレス腱”(後編)」などで取り上げてきました。第246回では、2020年1月に業務上の注意義務を怠り、誤って神経を一部切断して患者に重い後遺障害を負わせたとして、2024年12月に松井被告が業務上過失傷害罪で在宅起訴されたニュースを取り上げました。松井被告は別の70代女性患者に対する手術で起こした医療事故でも業務上過失傷害容疑で書類送検されましたが、神戸地検姫路支部は2024年9月に不起訴としていました。今回有罪判決を受けた事件での在宅起訴は、時効(業務上過失傷害罪は5年)まで残り1ヵ月を切ったタイミングでした。赤穂民報は「検察幹部は『複数の専門医の意見を聴くなど慎重に捜査を進めた。結果の重大性などを鑑みて起訴の判断に至った』と語った」と報じました。漫画「脳外科医 竹田くん」の作者が医療過誤の被害者の親族であることを公表そして第250回では、手術などでミスを繰り返す外科医を描き話題を集めた漫画「脳外科医 竹田くん」の作者が、在宅起訴から40日後の2025年2月5日、同漫画のサイトで声明文を発表し、「私(漫画作者)は、赤穂市民病院 脳神経外科で2019年から2020年にかけて複数発生した医療事故のうち、2020年1月22日に起きた医療過誤の被害者の親族です」と自身の背景を明らかにしたニュースを取り上げました。『脳外科医 竹田くん』で描かれる医療事故や医師の世界のリアリティは医療界でもかねてから話題になっていましたが、作者が被害者の親族であったことに誰もが驚きました。作者は制作の動機として、赤穂市民病院で多数の医療事故が起こっていたにもかかわらず、「病院は混乱し、対応に追われ、医療事故についての適切な検証や調査を行おうとしない様子を目の当たりにしました。2022年6月にようやく病院記者会見が開かれましたが、その内容は真相究明とはほど遠いものでした。私は、一連の医療事故の真相が究明されないまま事件の記憶が風化すれば、また新たな犠牲者が生まれてしまうのではないか、といった強い危機感を抱き、葛藤の末、どうにかしてこの問題を社会に伝えたいと考えるようになりました」と、病院の事故対応のひどさ、お粗末さを指摘していました。医療裁判において「ここまで条件がそろう事案はほとんどない」と元大阪地検検事の弁護士今回の判決後、女性の親族の代理人を務める若宮 隆幸弁護士らが姫路市内で記者会見を開きました。大阪読売新聞等の報道によれば、若宮弁護士は親族のコメントとして「公判で反省する松井医師の姿を期待したが、他責的な発言や自己弁護を繰り返し、平然とうそを並べ立てる態度に絶望した」と読み上げました。さらに同弁護士は「医療事故の刑事事件は少なく、有罪判決は非常にまれ。結果の重大性を鑑みると適正な判決」と評価したとのことです。医療過誤が刑事裁判となり、有罪判決が出るのはまれとされています。刑事司法の医療現場への過度の介入は医療現場に萎縮効果をもたらしかねないため、よほどの注意義務違反が認められない限り、業務上過失致死傷罪とならないのです。ですから、悪質で事件性が高いケースであっても、和解もしくは民事裁判で損害賠償を求めるだけで医療過誤事件は収束してしまうことが大半です。では、今回、刑事裁判で「有罪」となった理由はいったい何だったのでしょうか。この裁判を取り上げた3月13日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」において、元大阪地検検事で弁護士の亀井 正貴氏は、次の4つのポイントを挙げていました。1.重過失にあたる初歩的なミス(本人も認めている)2.手術の内容が保全され証拠が明白3.被害者の処罰感情が強い4.漫画が社会的な関心を生み出し捜査機関への圧力となった亀井氏によれば、医療裁判において「ここまで条件がそろう事案はほとんどない」そうです。今回の裁判を契機として、医療過誤事件における証拠保全の動きや、被害者や被害者家族による社会へのアピールが今まで以上に強まるかもしれません。なお、医師は罰金以上の刑が確定した場合、原則として、3年以内の医業停止や医師免許の取り消しなどの行政処分を受けることになります。判決後、女性の親族は「医療過誤で奪われた母の体の自由や失われた時間が戻ることは二度とない。厳しい行政処分を強く要望する」とのコメントを出しています。

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夕食中心の食事でフレイルリスク上昇

 夕食にエネルギー摂取が偏る高齢者や、朝食と夕食にエネルギー摂取のピークがある高齢者では、朝食・昼食・夕食で均等にエネルギーを摂取する高齢者と比べてフレイルの有病率が高い可能性を、韓国国立保健研究院のHan Byul Jang氏らが示した。Nutrients誌2026年2月22日号掲載の報告。 高齢者のフレイル予防において食事は重要な要素であるが、これまでの研究は主に総エネルギー摂取量や栄養の質に焦点が当てられてきた。近年、時間栄養学(chrono-nutrition)の観点から食事タイミングの重要性が示唆されているが、1日を通したエネルギー摂取の時間的分布を包括的に検討した研究は限られている。そこで研究グループは、食事の量・質・タイミングが高齢者のフレイルと独立して関連するかどうかを検討するため、横断研究を実施した。 本研究では、韓国国民健康栄養調査(KNHANES)の2016~18年のデータを用い、65歳以上の成人4,184人(女性57.1%)を解析した。24時間食事想起記録のない参加者、極端なエネルギー摂取量の参加者、フレイル評価に必要な情報が不足している参加者は除外した。 24時間食事想起記録から1時間単位のエネルギー摂取プロファイルを作成し、総エネルギー摂取量に対する相対分布として標準化した。この時間的エネルギー分布をDynamic Time Warping(DTW)に基づくkernel k-means法でクラスタリングし、5つの食事パターンを同定した。(1)バランス型:3食で均等にエネルギーを摂取するパターン 1,665例(38.8%)(2)持続型:3食と午後の補食によって、持続的にエネルギーを摂取するパターン 735例(17.8%)(3)昼食型:昼食のエネルギー摂取割合が最も高いパターン 737例(18.0%)(4)夕食型:夕食のエネルギー摂取割合が最も高いパターン 627例(15.2%)(5)朝・夕型:朝食と夕食にエネルギー摂取のピークがあるパターン 420例(10.2%) フレイルは修正版Fried基準により定義し、食事の質は健康食指数(Healthy Eating Index)で評価した。複雑サンプリングデザインを考慮した多変量ロジスティック回帰分析により、時間的食事パターンとフレイルとの関連を解析した。さらに、総エネルギー摂取量および健康食指数が両者の関連を媒介するかどうかについても検討した。 主な結果は以下のとおり。●全体の平均年齢は73.1歳で、バランス型(73.6歳)と朝・夕型(74.1歳)が高く、夕食型(71.6歳)が最も低かった。健康食指数は持続型が最も高く、朝・夕型が最も低かった。夕食型は朝食欠食率が最も高く(17.9%)、朝・夕型の半数(51.9%)は昼食を欠食していた。●夕食型および朝・夕型は、バランス型と比べてフレイルのオッズが有意に高かった。調整オッズ比(aOR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。 -夕食型 aOR:1.48、95%CI:1.03~2.10 -朝・夕型 aOR:1.43、95%CI:1.01~2.03●持続型および昼食型では、有意な関連は認められなかった。●フレイルの構成要素別では、持続型はバランス型に比べて筋力低下(weakness)のリスクが有意に低かった。●媒介分析の結果、夕食型は総エネルギー摂取量が多いことによるフレイル保護効果があったものの、夕食へのエネルギー集中という時間的偏重がその保護効果を打ち消し、独立したフレイルリスクとなる可能性が示唆された。●朝・夕型では、総エネルギー摂取量の減少や食事の質の低下が、フレイルとの関連の一部を説明する可能性が示された。 研究グループは、「これらの知見は、総エネルギー摂取量と食事の質に加え、食事のタイミングとエネルギー配分の時間的バランスもフレイル予防に重要であることを示している。また、時間栄養学をフレイルの予防戦略に組み込むことを支持している」とまとめた。

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日本人の認知症予防戦略、修正可能なリスク要因とその低減効果は

 世界的に認知症有病率が増加しており、修正可能リスク因子を標的とした予防戦略の重要性がますます高まっている。超高齢化社会を迎えた日本において、認知症は高齢者の障害調整生存年数の増加の主な原因となっている。東海大学の和佐野 浩一郎氏らは、日本特有の有病率データを用いて、高齢者における認知症に対する14の修正可能リスク因子を定量化しようと試みた。The Lancet Regional Health誌2026年1月11日号の報告。 日本の全国調査およびコホート研究より抽出した最近公表されている有病率データ、2024年版ランセット委員会による認知症に関する報告書の相対リスクおよびコミュニティ性重み付けを用いて、人口寄与率(PAF)および潜在的影響率(PIF)を算出した。次に、各リスク要因を10%および20%削減した場合、全国の認知症有病率にどのような影響を与えるかをモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・14のリスク要因全体の加重平均PAFは38.9%であり、日本における認知症症例の約4割が予防可能であることが示唆された。・最大のリスク因子は、難聴(6.7%)、身体活動不足(6.0%)、高LDLコレステロール(4.5%)であった。・すべてのリスク因子を10%削減すると認知症症例の約20万8,000例が予防可能であり、20%削減すると約40万7,000例を予防できる可能性が示された。 著者らは「日本における認知症予防の取り組みでは、聴覚ケア、身体活動、代謝の改善を優先する必要がある。日本固有のデータは、難聴が認知症の主な原因であることを明らかにしており、聴覚介入に対する国民の意識向上とアクセス向上の緊急性を浮き彫りにしている」と結論付けている。

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術後ホルモン療法追加で、前立腺がんの予後は改善するか/Lancet

 限局性前立腺がんの治療において、根治的放射線療法へのホルモン療法の追加は全生存期間(OS)を改善するが、根治的前立腺全摘除術後の術後放射線療法(PORT)にホルモン療法を加えた場合に、同様のOSの改善効果が得られるかは明らかでない。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAmar U. Kishan氏らは「POSEIDON試験」において、PORTにホルモン療法を追加してもOSは改善しないが、PORT前のPSA値が1.6ng/mL超の患者では、長期(24ヵ月)ホルモン療法を加えることでOSの向上が得られる可能性があることを示した。研究の成果は、Lancet誌2026年3月14日号で報告された。ホルモン療法追加の有益性を、メタ解析で定量化 POSEIDON試験は、根治的前立腺全摘除術後のPORTへのホルモン療法追加の有益性の定量化を目的に実施された、無作為化試験の個別患者データを用いたメタ解析である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 医学関連データベースと関連学会記録集を用いて、2024年12月15日に系統的な文献検索を行い、PORTの効果をホルモン療法追加の有無で比較した無作為化第III相試験を特定した。個別患者データは、「前立腺がん無作為化試験メタ解析(MARCAP)コンソーシアム」を通じて入手した。主要アウトカムはOSとした。 メタ解析では、PORTへのホルモン療法の追加の効果を評価し、短期(4~6ヵ月)と長期(24ヵ月)に分けたホルモン療法追加の効果についても検討した。また、PORT前PSA値とホルモン療法の期間に基づく交互作用検定を行い、PORT前PSA値とOSの非線形関連性をモデル化した。約6,000例を9年追跡した個別患者データを解析 6件の無作為化試験に参加した6,057例の個別患者データを解析の対象とした。追跡期間中央値は9.0年(四分位範囲:7.2~10.7)だった。 PORTにホルモン療法を追加しても、OSの有意な改善は得られなかった(10年OS:PORT単独群83.6%vs.ホルモン療法追加群84.3%、ハザード比[HR]:0.87[95%信頼区間[CI]:0.76~1.01]、p=0.06)。 ホルモン療法の期間(短期・長期)とこの効果との間に、有意な交互作用は認めなかった(交互作用のp=0.17)。一方、PORT前のPSA値が0.5ng/mL超と0.5ng/mL以下との間には有意な交互作用がみられた(交互作用のp=0.02)。治療効果の予測バイオマーカーが必要 短期ホルモン療法の有無で効果を評価するためにPORTに無作為に割り付けられた患者(3,938例)では、PORT前PSA値の全範囲において、OSのHRの95%CI上限値が1.0を超えており、有意差を示すPSA値は存在しなかった。 一方、長期ホルモン療法の有無で効果を評価するためにPORTに無作為に割り付けられた患者(1,088例)では、PSA値が1.6ng/mLを超える場合にのみ、OSのHRの95%CI上限値が1.0を下回り、有意差を認めた。 著者は、「ホルモン療法の個別化を進展させるためには、治療効果を予測するバイオマーカーが緊急に必要である」としている。この求めに応じるように現在、PORTへのアパルタミドによる短期ホルモン療法の追加がもたらす治療効果の差を、PAM50が検出可能かを評価する臨床試験(NRG GU006試験)が進行中だという。

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乳がん周術期化学療法後に長期持続する有害事象、患者報告アウトカムで明らかに~日本の前向き研究

 乳がん周術期化学療法終了後、末梢神経障害、味覚異常、不眠、爪脱落が6ヵ月以上持続することが、患者報告アウトカム(PRO)に基づく質問票を用いた前向き観察研究で明らかになった。日本医科大学の藤井 孝明氏らがCancer Diagnosis & Prognosis誌2026年3月1日号で報告した。 本研究は、2016年1月~2023年3月に群馬大学でドセタキセル/シクロホスファミド療法(TC)またはアントラサイクリン系とタキサン系併用療法(A+T)による周術期化学療法を受けた手術可能な原発性乳がん患者を対象に、化学療法後の有害事象の長期経過を評価した。化学療法終了時および6ヵ月後に、本研究のために作成されたCTCAE準拠のPROに基づく質問票を用いて、悪心、嘔吐、口腔粘膜炎、便秘、下痢、味覚異常、不眠、末梢神経障害、爪脱落、脱毛について尋ねた。各有害事象の頻度および重症度についてレジメン間で比較し、経時的変化を分析した。 主な結果は以下のとおり。・計115例(年齢中央値:50歳)を評価した。・化学療法終了時点では、悪心、嘔吐、口腔粘膜炎、便秘、味覚異常、不眠、末梢神経障害、爪脱落が多かったが、6ヵ月後には消化器症状の頻度は減少していた。・いくつかの有害事象、とくに末梢神経障害、味覚異常、不眠、爪脱落は6ヵ月超持続した。末梢神経障害はGrade3の症状が持続し、爪脱落は6ヵ月時点で増加していることが確認された。・TC群と比較して、A+T群では末梢神経障害の持続期間が長かった。 著者らは「この結果は、化学療法中だけでなく化学療法終了後の数ヵ月間もモニタリングを行うことの重要性を強調している。PROに基づく質問票をフォローアップケアに組み込むことは支持療法の最適化のために重要な可能性がある」とまとめている。

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脳インプラントがパーキンソン病の歩行をリアルタイムで把握

 新たな脳インプラントにより、キッチンまで歩く、公園を散歩するなど、日常生活の中で何らかの動作をしているパーキンソン病患者から歩行に関連する脳信号をリアルタイムで記録し、その場で歩行中か否かを判定できることを示した研究結果が報告された。この完全埋め込み型のインプラントを使用することで、医師はパーキンソン病患者の運動機能をより効果的に改善できる可能性がある。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のDoris Wang氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に2月13日掲載された。 Wang氏は、「完全埋め込み型の脳インプラントを用いて、実世界で活動している間の特定の動作状態を検出できたのは、今回が初めてだ。われわれが得た結果は、実験室の外でも意味のある神経信号を特定できることを示している。これは、より個別化され、応答性の高いニューロモジュレーション(神経調節)療法への重要な一歩だ」と述べている。 パーキンソン病では、歩幅の狭いすり足のような歩行、硬直、バランス機能の低下、震え、不随意運動などの運動障害が主要な症状として現れる。今回の研究では、脳深部刺激療法(DBS)のためのインプラントを受ける予定だった4人のパーキンソン病患者を対象に、日常生活における歩行状態を脳信号から推定できるかを検証した。対象者の脳の運動野と淡蒼球内節に埋め込まれたインプラントは、電気刺激を送るだけでなく、脳活動を記録し、リアルタイムで解析する機能も備えていた。このインプラントを通じて、日常生活での自然な行動が合計80時間以上記録された。この間、患者の足首には歩行センサーも装着され、歩行データも測定された。 その結果、患者が歩行中か歩行していない状態かを脳波だけで区別できることが明らかになった。また、その脳波パターンは、患者ごとに異なっていることも判明した。研究グループは、こうした患者ごとの脳波フィードバックを基に、患者が「歩いているのか」「座っているのか」「その他の動作をしているのか」に合わせてDBSの刺激を調整できる可能性があるとしている。 Wang氏は、「われわれは、歩行に関連する個別の神経バイオマーカーを特定し、埋め込み型デバイスという制約下においても、それらの信号からリアルタイムで歩行状態を分類できることを示した。これは、患者の活動状態に応じて刺激を調整できる将来の適応型DBSシステムの基盤となる」と述べている。 ただし、脳波を活用し、インプラントを動作に応じて適応させる方法を確立するには、さらなる研究が必要である。Wang氏は、「自然な行動中の脳活動を研究できるようになれば、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)や適応型ニューロモジュレーションの適用範囲が、実験室の枠を越えて日常生活へと広がっていくだろう」と述べている。

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自宅リハビリの実施状況、4人に3人が不十分

 多くの人が、自宅で行うように指示された理学療法の「宿題」の一部、あるいは全てを実施しておらず、その結果、回復の遅延や停滞が生じている可能性のあることが、新たな調査で明らかになった。米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターが行った調査によると、4人に3人(76%)の患者が、自宅で取り組むように言われたリハビリテーション(以下、リハビリ)を、指示通りに実施していないことが判明したという。 「こうした自主的に行うリハビリは、単なる形式的な課題ではなく、回復に欠かせない重要な要素だ」と同センターの理学療法士Kyle Smith氏は強調する。同氏は、「1週間は168時間あるが、患者がクリニックで過ごすのはそのうち1〜3時間に過ぎない。クリニックでの時間だけでは大きな変化を起こすには不十分なのだ」とニュースリリースで述べている。Smith氏らは、日常生活の中に取り入れられる簡単な行動でも違いが生まれると話す。例えば、通勤や買い物の際に少し遠くに駐車する、歯を磨きながら片足で立つ、テレビを見ながらストレッチやスクワットをするなどのちょっとした工夫が、効果につながるという。 今回の調査では、1,006人の米国人を対象に、処方された理学療法(リハビリ)の実施状況を尋ねた。調査は2025年9月18日から21日にかけてウェブと電話で実施された。 その結果、自宅でのリハビリを「全て実施した」と答えた人は24%にとどまり、28%は「4分の3以上(75〜99%)」、27%は「半分から4分の3(50〜74%)」、11%は「4分の1から半分(25〜49%)」実施したと回答した。一方で、8%は1〜25%しか行っておらず、全く行わなかった人も2%いた。 年齢別に見ると、65歳以上の高齢層は若い世代よりも指示通りにリハビリを行う傾向が強く、30%が「全て実施した」と回答したのに対し、30歳未満での割合は12%にとどまった。一方で、リハビリをほとんどやらなかった人の割合は、65歳以上では5%だったのに対し30歳未満では15%と、高齢層より若年層の方で指示通りに実施しない傾向が認められた。 リハビリを続けられなかった理由としては、「忘れてしまい、リマインダーもなかった」が40%で最も多く、次いで、「時間がなかった、予定が合わなかった」の33%、「運動が単調で退屈だった」が22%、「すぐに結果が見えなかった」が19%、「痛みがあった、悪化が心配だった」が18%、「通院の合間に状況確認がなかった」が15%、「自宅のスペースや器具が不足していた」が13%、「必要と思っていなかった」が12%、「指示を十分に理解できていなかった」が5%であった。 Smith氏は、「目標を達成し、筋力や移動能力を改善し、体の痛みに対する感受性を軽減するためには、患者自身の継続的な取り組みが不可欠であることを、われわれ理学療法士が患者にきちんと伝えていく必要がある」と述べている。

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生涯学習は認知症リスクの低下と関連

 米国の実業家であるヘンリー・フォード(Henry Ford)氏はかつて、「20歳であろうと80歳であろうと、学ぶことをやめた人は老いている。学び続ける人はいつまでも若い」と述べているが、この言葉には確かな根拠があるようだ。生涯にわたり学習を続ける人は、アルツハイマー病(AD)のリスクが低く、脳の老化も緩やかになることが、新たな研究で明らかにされた。米ラッシュ大学医療センター精神科・行動科学分野のAndrea Zammit氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に2月11日掲載された。 Zammit氏は、「われわれの研究では、幼少期から高齢期までの間の知的好奇心をかき立てる活動や環境に着目した。今回の結果は、高齢期の認知機能が、生涯を通じて知的に刺激的な環境に触れてきたかどうかに大きく影響されることを示唆している」と話している。 この研究では、認知症のない平均79.6歳の1,939人(75%女性)を7.6年にわたり追跡し、生涯を通じた認知エンリッチメントと、ADおよび関連認知症(ADRD)の病理指標、および認知的レジリエンスとの関連を検討した。エンリッチメントとは、何かをより良く、より豊かにすることを意味する。試験参加者は、人生のさまざまな段階でどれほど知的な活動に触れてきたかに関するアンケートに回答した。認知エンリッチメントの具体的な指標は、人生の早期段階(18歳まで)では、読み聞かせや読書、家庭に新聞や地図帳があるか、5年以上の外国語学習など、中年期(40歳頃)では、40歳時点の収入、雑誌の購読や図書館カードなどの家庭の文化的資源、図書館や博物館を訪れる頻度、高齢期(平均80歳〜)では、読書、文章を書くこと、ゲーム、退職後の収入などであった。 追跡期間中に551人がADを発症した。解析の結果、生涯の認知エンリッチメントが1単位高いことは、ADリスクの38%の低下と関連していた(ハザード比0.62)。また、認知エンリッチメントの高さが上位10%の人は、下位10%の人と比べて、ADの発症が平均5年遅れることも示された。さらに、生涯の認知エンリッチメントが高い人ほど、研究参加時の認知機能スコアが有意に高く、認知機能の低下速度も緩やかだった。 死亡した948人の脳を用いた解析からは、生涯の認知エンリッチメントと神経病理学的指標との間に意味のある関連は認められなかった。しかし、生涯の認知エンリッチメントが高い人では、死亡前の認知機能が有意に高く、神経病理学的変化の影響を統計学的に補正した後でも、認知機能の低下速度が緩やかだった。 Zammit氏は、「生涯を通じて多様な知的活動に継続的に取り組むことが、認知機能の維持に影響を与える可能性があることを示したこれらの結果には励まされる。公的投資により図書館や幼児教育プログラムなどの学ぶ楽しさを育む環境へのアクセスを拡大することは、認知症の発症を減らす一助になるだろう」と述べている。(HealthDay News 2026年2月18日)

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