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1日2~3杯のコーヒーがメンタルヘルスに有益

 コーヒー摂取と精神疾患リスクとの関連性は、集団ベースの研究において依然として一貫性が認められていない。カフェイン代謝や性別による潜在的な修飾作用については、これまであまり研究されていなかった。中国・復旦大学のBerty Ruping Song氏らは、インスタント、挽きたて、カフェイン抜きなどのさまざまな種類のコーヒーの毎日の摂取量と各種精神疾患との関連性を調査し、カフェイン代謝や性別によって、この関連性が異なるかどうかを調査した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2025年12月19日号の報告。 本研究では、英国バイオバンクのデータを用いてプロスペクティブ解析を実施した。気分障害およびストレス障害は、入院記録よりICD-10コードを用いて特定した。関連性の評価には、多変量補正Cox比例ハザード回帰モデルおよび制約付き3次スプライン曲線を用いた。さらに、性別およびカフェイン代謝の多遺伝子リスクスコアによる影響の潜在的な修飾作用についても検討した。 主な結果は以下のとおり。・本解析に参加した46万1,586例(男性の割合:46.4%、平均年齢:57±8.1歳、平均BMI:27.3±4.71kg/m2)のフォローアップ期間中央値は13.4年であり、気分障害の発症は1万8,220例、ストレス障害の発症は1万8,547例に認められた。・多変量補正モデルでは、コーヒー摂取量と精神疾患アウトカムとの間にJ字型の関連が認められた。最もリスクが低かったコーヒーの摂取量は、1日2~3杯の中等度の量であった。・コーヒー摂取量と気分障害の関連は、男性でより顕著であった(p for interaction=0.02)。しかし、カフェイン代謝の遺伝子型による影響に関する証拠は認められなかった。 著者らは「コーヒー摂取と精神疾患との間にはJ字型の関連が認められ、適度なコーヒーの摂取は精神衛生に有益である可能性が示唆された」としている。

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長島型掌蹠角化症、足の臭いの原因菌と有効な外用薬が明らかに/慶應大ほか

 長島型掌蹠角化症は、日本に約1万人、東アジアに数十万人の患者がいると推定され、紅斑性の過角化、掌蹠多汗症、そしてQOLを著しく低下させる独特の足の臭いが特徴とされる。慶應義塾大学の小野 紀子氏らは、掌蹠の細菌叢を調査し、外用過酸化ベンゾイルの治療効果を評価することを目的とした研究を実施。細菌叢の異常、とくにコリネバクテリウム属の過剰増殖が臭気の主な原因であること、局所塗布による過酸化ベンゾイルが有望な治療介入であることが示唆された。Journal of Investigative Dermatology誌オンライン版2025年12月1日号掲載の報告より。 本研究は、SERPINB7遺伝子変異を有し、典型的な臨床症状を呈する長島型掌蹠角化症患者32人と対照群20人のコホートを対象に実施された。手のひらおよび足の裏を含む計7ヵ所の皮膚から細菌を回収してDNAを抽出し16S rRNAの配列を調査することで、細菌の種類と量を推定した。また、長島型掌蹠角化症患者と対照群における、臭いの客観的スコアを比較した。 長島型掌蹠角化症患者においては、掌蹠皮膚に外用過酸化ベンゾイルを1日1回塗布し、治療前後のスワブ検体の臭いの客観的スコアおよび16S rRNAコピー数を比較した。 主な結果は以下のとおり。・長島型掌蹠角化症患者は、対照群と比較して臭いの客観的スコアが有意に高かった。・長島型掌蹠角化症患者では、とくに趾間部において細菌量が増加し、微生物多様性が低下していた。コリネバクテリウムとブドウ球菌が、主に細菌叢の乱れを引き起こしていることが明らかになった。・過酸化ベンゾイルの局所塗布は、足の臭いと細菌負荷を有意に減少・微生物多様性を増加させ、コリネバクテリウム、とくにC. tuberculostearicumの菌数を選択的に減少させた。 著者らは、サンプル数が少ないことや臭気評価が限定的であることなど本研究の限界を挙げたうえで、長島型掌蹠角化症などの遺伝性皮膚疾患における症状緩和のためのマイクロバイオーム標的療法の可能性が示されたとまとめている。

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急性虫垂炎の抗菌薬治療、10年再発率・虫垂切除率は?/JAMA

 急性単純性虫垂炎の初回治療として抗菌薬治療を受けた成人患者を10年間追跡したところ、組織病理学的所見に基づいて確定された虫垂炎の再発率は37.8%、虫垂切除術の累積施行率は44.3%であったことが、フィンランド・トゥルク大学のPaulina Salminen氏らが実施した「APPAC試験」で示された。著者は、「成人の急性単純性虫垂炎患者の治療選択肢としての抗菌薬治療を支持するエビデンスだ」とまとめている。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年1月21日号で報告された。抗菌薬治療の10年再発率―事前に規定された2次解析 APPAC試験は、フィンランドの6施設で実施した非盲検無作為化非劣性試験(Sigrid Juselius Foundationなどの助成を受けた)。2009年11月~2012年6月に、年齢18~60歳、CT検査で合併症のない急性単純性虫垂炎と診断された患者530例を登録し、虫垂切除術を受ける群(273例)または抗菌薬治療を受ける群(257例)に無作為に割り付けた。 今回は、事前に規定された2次解析として、抗菌薬治療群における10年間の虫垂炎再発率に焦点を当てた検討を行った。 抗菌薬治療は、ertapenem sodium(1g/日)を3日間静脈内投与した後、レボフロキサシン(500mg、1日1回)+メトロニダゾール(500mg、1日3回)を7日間経口投与した。 事前に規定された10年時の副次エンドポイントは、抗菌薬投与から1年以降の虫垂切除術と虫垂炎再発率、および合併症(10年の追跡期間中に発生したすべての有害事象を含む)であった。また、事後解析として、抗菌薬治療群で虫垂切除術を受けた患者または虫垂が温存された患者において、MRIを用いて虫垂腫瘍の可能性を評価した。10年間の合併症発生率は有意に低い 抗菌薬治療群の257例のうち、253例(98.4%、年齢中央値33.0歳[四分位範囲:26.0~47.0]、女性102例[40.3%])を虫垂炎再発の評価対象とした。10年後までに8例が死亡したが、いずれも急性虫垂炎とは関連がなかった。 10年の時点における真の再発率(組織病理学的に確定された虫垂炎の発生率)は37.8%(95%信頼区間[CI]:31.6~44.1)(87/230例)であった。また、累積虫垂切除術施行率は、1年時が27.3%(22.0~33.2)(70/256例)、5年時が39.1%(33.1~45.3)(100/256例)、10年時は44.3%(38.2~50.4)(112/253例)であった。 一方、10年累積合併症発生率は、虫垂切除術群が27.4%(95%CI:21.6~33.3)(62/226例)であったのに対し、抗菌薬治療群は8.5%(4.8~12.1)(19/224例)と有意に低かった(p<0.001)。10年後の全体の腫瘍発生率は1.2% 抗菌薬治療群のうち10年後にMRI検査を受けた102例では、虫垂の炎症所見を認めた患者はいなかった。腫瘍が疑われたため虫垂切除術を受けた2例では、組織病理学的評価で低悪性度粘液性腫瘍(LAMN)を認めた(0.9%[2/212例]、いずれも追加治療は不要)。虫垂切除術群では、272例中4例(1.5%)で、1年後に虫垂腫瘍がみられた(神経内分泌腫瘍3例、低異型度腺腫1例)。腫瘍の発生率について、両群間で統計学的に有意な差はなく(p=0.70)、合併症を伴わない急性虫垂炎における10年後の全体の腫瘍発生率は1.2%(95%CI:0.3~2.2)(6/484例)ときわめて低かった。 EQ-5D-5Lで評価したQOLは、両群間に有意な差はなかった(p=0.18)。虫垂切除術群の78.0%(167/214例)と抗菌薬治療群の67.3%(111/165例)が、再度同じ治療を選択すると回答した。 著者は、「抗菌薬治療群における真の再発および虫垂切除術は、その多くが初回発症から2年以内に発生し(それぞれ、65/87例[74.7%]、87/112例[77.7%])、10年後の時点で抗菌薬治療の効果は持続しており、大部分の患者でそれ以上の再発は認めなかった」「将来、抗菌薬による外来治療が普及すれば、総費用と医療資源の節約効果が顕著に増加する可能性がある」としている。

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認知症患者の4人に1人に脳に悪影響を及ぼす薬が処方

 認知症のあるメディケア加入高齢者の4人に1人が、抗精神病薬、バルビツール酸系薬、ベンゾジアゼピン系薬などの脳機能に影響を及ぼす薬剤によって危険にさらされていることが、新たな研究で明らかにされた。これらの高リスクの中枢神経系(CNS)活性薬は、転倒やせん妄、入院のリスクを上昇させ、特に、認知機能障害のある高齢患者においてはその影響が顕著であることから、ガイドラインでは使用を控えることが推奨されている。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デイヴィッド・ゲフィン医科大学院のJohn Mafi氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に1月12日掲載された。 Mafi氏は、「正常な認知機能を持つ患者と比較して、有害事象のリスクがより高い認知機能障害のある高齢者で、これらの薬剤の処方頻度が高いことが分かった」とニュースリリースで述べている。 本研究では、米連邦政府の健康・退職研究(Health and Retirement Study;HRS)のデータとメディケア請求データをリンクさせ、2013年1月1日から2021年12月31日の間に、メディケアパートA・B・Dに連続2年以上加入している65歳以上の患者4,842人を対象に、処方パターンを調べた。対象患者は、正常、認知症ではない認知機能障害(CIND)、認知症の3群に分類された。また、CNS活性薬は、1)抗コリン作用の強い抗うつ薬、2)抗精神病薬、3)バルビツール酸系薬、4)ベンゾジアゼピン系薬、5)非ベンゾジアゼピン系睡眠薬を対象とし、これらの薬剤を1種類以上、28日以上処方されていた患者の割合を調べた。さらに、各処方の臨床的適応の有無についても判定した。 その結果、潜在的に不適切なCNS活性薬を処方された対象者の割合は、認知機能が正常な人で17.0%、CINDのある人で21.7%、認知症のある人で25.1%と推定され、認知機能の状態が悪いほどこのタイプの薬剤を処方されやすいことが示唆された。潜在的に不適切なCNS活性薬を処方された対象者の割合は、2013年の19.9%から2021年には16.2%へと3.7パーセントポイント有意に低下していた。臨床的に適切な処方は、2013年の6.0%から2021年には5.5%へとわずかに減少したが、統計学的な有意差はなかった。一方、臨床的に不適切な処方は15.7%から11.4%へと有意に減少していた。 Mafi氏は、「この減少は心強いものの、2021年時点で、これらの処方を受けていた患者の3分の2以上に、臨床的に正当化できる記録がなかった。これは、不適切で有害となり得る処方が依然として多いことを示している」と述べている。 対象とした薬剤の種類別に分析すると、2013年から2021年にかけて、以下のような傾向が認められた。・ベンゾジアゼピン系薬は11.4%から9.1%に有意に減少。・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は7.4%から2.9%に有意に減少。・抗精神病薬は2.6%から3.6%へと増加したが、統計学的な有意差なし。・抗コリン作用の強い抗うつ薬は2.6%のままで変化なし。・バルビツール酸系薬は0.4%から0.3%にわずかに減少したが、統計学的な有意差なし。 論文の筆頭著者であるUCLA内科レジデントであるAnnie Yang氏は、「高齢患者やその介護者は、これらの薬剤が本当に適切かどうかを医師と密に相談することが重要だ。不適切と判断された場合には代替治療を検討し、リスクを抑えながら薬剤の減量や中止が可能かどうかをケアチームとともに考えるべきだ」とニュースリリースの中で述べている。

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AIで脂肪吸引手術の安全性が向上する可能性

 人工知能(AI)が脂肪吸引手術の安全性向上に役立つのではないかとする論文が、「Plastic and Reconstructive Surgery」1月号に掲載された。米メイヨー・クリニックのMauricio Perez Pachon氏らの研究によるもので、AIを活用することで脂肪吸引手術に伴う出血量を正確に予測でき、その精度は94%に及ぶという。 脂肪吸引手術は世界で毎年230万人以上が受けており、手術件数として美容外科手術全体の15~20%を占める。この手術は一般的に安全とされているが、脂肪吸引量が多い場合などに、大量出血という深刻な合併症が起きることがある。大量出血が発生すると輸血が必要になることや、時に患者が死亡に至ることもある。このようなリスクに対して近年、AIを用いて出血量を術前に予測する試みが行われている。Pachon氏は、「脂肪吸引手術における出血量を予測するAIモデルの開発と実装は、患者の安全と手術アウトカムの改善につながる画期的な進歩だ」と述べている。また、研究チームでは、「AIは常に進化しているという特徴を生かすことで、手術がよりスマートで安全になっていき、患者ごとのニーズに合わせてカスタマイズされた未来に近づけるのではないか」としている。 この研究では、コロンビアとエクアドルのクリニック2施設で大容量の脂肪吸引手術を受けた、721人(年齢中央値37歳、女性79.2%)の患者データが用いられた。このうち621人をAIのトレーニング用データとして用い、他の100人を構築されたモデルの検証用データとして用いた。AIのトレーニングには「教師あり学習」と呼ばれる手法を利用し、出血量を予測するためのパラメーターとして、年齢、性別、BMI、脂肪吸引量、ヘモグロビン値などを使用した。 構築されたモデルを検証用に割り当てられた100人に適用した結果、AIが予測した出血量は実際の出血量とよく一致していた。具体的には、平均絶対誤差が22.09mLであり、予測精度は94.1%と算出された。 研究者らによると、「美容外科手術では、患者の安全と最適な手術計画の立案のために、手術中の出血量をできるだけ正確に予測することが重要。本研究で示された予測精度は、術前の意思決定支援ツールとしての高い潜在的能力を示している」とのことだ。また、「高精度の予測がなされることによって、外科医は、輸血の必要性、体液管理、その他の集中治療措置などの周術期管理について、データに基づいた決定を下すことができる」としている。 研究チームでは現在、世界各地の外科医から提供されたデータを使ってトレーニングを行うなど、このAIモデルをさらに改良するための研究を進めていくことを予定している。Pachon氏は、「AIテクノロジーの発展は患者の安全性を高める無限の可能性があると、われわれは信じている。この分野での継続的な発展を期待している」と語っている。

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妊娠中の血圧上昇は早産・低出生体重リスクと関連

 妊娠から出産までの健康を良好に保つ上では、妊婦の血圧を管理することが重要となりそうだ。新たな研究で、遺伝的要因に基づき収縮期血圧(SBP)が10mmHg高いと予測される妊婦では、母子双方の有害な妊娠・周産期アウトカムのリスクが高いことが示された。ノルウェー公衆衛生研究所・生殖・健康センターのMaria Magnus氏らによるこの研究結果は、「BMC Medicine」に1月14日掲載された。 Magnus氏は、「本研究の結果は、母体の血圧上昇が、早産、低出生体重児の出産、分娩誘発の必要性、妊娠糖尿病の発症、新生児集中治療室(NICU)への入室など、複数の有害な妊娠アウトカムのリスク上昇と関連することを示している」とニュースリリースで述べている。 Magnus氏は、こうした知見は多くの妊婦に関係すると指摘し、「肥満の増加や出産年齢の高齢化が進むとともに、高血圧を有する妊娠可能年齢の女性も増加している。高血圧は妊娠中によく見られる医学的問題であり、妊婦のおよそ10人に1人が影響を受けている」と話す。 今回の研究では、主にヨーロッパ系の女性を対象に、遺伝的に予測された妊娠中のSBPおよび拡張期血圧(DBP)の上昇が妊娠および周産期アウトカム(主要評価項目として16種類、副次評価項目として8種類)に及ぼす影響を、メンデルのランダム化解析により検討した。解析には、SBP/DBPに関する大規模ゲノムワイド関連解析(GWAS)のメタアナリシス(対象者102万8,980人)、および妊娠・周産期アウトカムに関するGWASのメタアナリシス(対象者7万4,368~71万4,899人)のデータを用いた。 その結果、遺伝的要因に基づきSBPが10mmHg高くなると推測される女性では、妊娠・周産期アウトカムのオッズが有意に上昇していた。具体的には、分娩誘発の必要性、妊娠糖尿病の発症、NICU入室のオッズ比はいずれも1.11、早産のオッズ比は1.12、在胎週数に比して小さい児(SGA)を出産するオッズ比は1.16、低出生体重児を出産するオッズ比は1.33であった。一方で、巨大児や高出生体重児を出産するか、在胎週数を超えて出生する(過期産)オッズには有意な低下が見られた(オッズ比はそれぞれ、0.87、0.76、0.94)。 こうした結果から研究グループは、「母体の血圧を下げることは、母子双方の健康に幅広い利益をもたらす可能性が高い」と結論付けている。また、論文の上席著者である英ブリストル大学病因疫学分野のCarolina Borges氏は、「本研究では、遺伝情報を用いて因果関係をより明確にすることで、母親の血圧そのものが妊娠および新生児の合併症に寄与しているかどうかを明らかにした。これは、母体および乳児のアウトカムを改善するための予防、モニタリング、治療戦略を導くエビデンスを強化するという点で、臨床医療や公衆衛生にとって重要だ」と述べている。 ただし研究グループは、「妊娠中の血圧をどのように治療・管理すれば合併症を最も効果的に予防できるのかについては、さらなる研究が必要だ」と述べている。

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高血圧管理・治療ガイドライン2025(1):血圧測定器【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q159

高血圧管理・治療ガイドライン2025(1):血圧測定器Q159日本製の血圧計は精度が良いため、自動巻き付け式血圧計(図)も診断や治療の決定に十分参考になりうる。以上の考えは正しいか?図 自動巻き付け式血圧計

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新規作用機序のドライアイ治療薬「アバレプト懸濁性点眼液0.3%」【最新!DI情報】第56回

新規作用機序のドライアイ治療薬「アバレプト懸濁性点眼液0.3%」今回は、ドライアイ治療薬「モツギバトレプ(商品名:アバレプト懸濁性点眼液0.3%、製造販売元:千寿製薬)」を紹介します。本剤は世界初のTRPV1(Transient receptor potential cation channel subfamily V member 1)拮抗作用を持つドライアイ治療薬であり、ドライアイに伴う自覚症状および他覚所見の改善が期待されています。<効能・効果>ドライアイの適応で、2025年12月22日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、1回1滴、1日4回点眼します。<安全性>副作用として、眼部冷感、霧視、冷感(いずれも1~5%未満)、アレルギー性結膜炎、角膜びらん、眼そう痒症、眼の異常感、眼の異物感、眼部不快感、流涙増加、口の錯感覚、アレルギー性鼻炎(いずれも0.1~1%未満)、眼部熱感、温度覚鈍麻、体温上昇、熱感、異常感覚、ほてり(いずれも頻度不明)があります。本剤の点眼後、一時的に目がかすむことがあるので、機械類の操作や自動車などの運転に注意が必要です。<患者さんへの指導例>1.この薬は、ドライアイの症状を改善するための点眼薬です。目の乾きや不快感などの症状を和らげる効果があります。2.この薬は、角膜上皮細胞に存在するTRPV1という受容体を阻害することで症状を改善します。3.症状が良くなったと感じても、自己判断で使用を中止したり、点眼回数を減らしたりしないでください。4.一時的に視界がかすむことがあるので、機械類の操作や自動車などの運転に注意してください。5.使用後に、体温の上昇や熱痛知覚閾値の上昇(熱いものを熱いと感じにくくなる)がみられることがあります。とくに小児などを含む低体重の人は、このような変化が起こりやすい可能性があるため、注意が必要です。<ここがポイント!>ドライアイは、さまざまな要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面に障害を引き起こすことがあります。症状は、眼の乾燥感だけでなく、眼の疲労、かすみ、異物感、流涙、眼脂、充血など多岐にわたります。近年では、高齢化に加え、Visual Display Terminals(VDT)作業、エアコンの使用、コンタクトレンズ装用などの生活環境の変化により、ドライアイの患者数は増えつつあります。ドライアイの薬物治療には、主に涙液量の低下や角結膜上皮障害を改善する点眼薬が用いられています。しかし、涙液層が正常化して角膜上皮障害が消失した後でも、眼の不快感などの自覚症状が残存する場合があり、自覚症状と他覚所見が一致しないことがあります。この乖離は、角膜知覚の異常が関与すると考えられており、知覚異常の病態解析や新規治療薬の開発が求められていました。本剤は、ドライアイ治療において新規の作用機序を有する、世界初のTRPV1拮抗点眼薬です。TRPV1は主に一次知覚神経に発現し、カプサイシン、酸、熱などの侵害刺激を受容するイオンチャネル型受容体です。ドライアイにより涙液層の安定性が低下した状態では、外部刺激が角結膜上皮細胞のTRPV1を直接刺激すると考えられているため、本剤により各種症状の抑制が期待されます。ドライアイ患者を対象とした国内第III相試験(3-02試験)において、主要評価項目である投与4週後におけるドライアイQOL質問票(DEQS)合計スコアのベースラインからの変化量は、本剤群で-16.76±0.836(95%信頼区間[CI]:-18.40~-15.12)、プラセボ群で-14.36±0.838(95%CI:-16.01~-12.72)でした。投与群間差の最小二乗平均値は-2.40(95%CI:-4.72~-0.07)であり、統計学的な有意差が認められました。これにより、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました(p=0.0433、MMRM)。

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2月3日 不眠の日【今日は何の日?】

【2月3日 不眠の日】〔由来〕「不眠」について、記念日を通して不眠の改善の適切な情報発信を行うことを目的に「ふ(2)み(3)ん」(不眠)と読む語呂合わせから治療薬などの販売を行うエスエス製薬が制定した。また、同じ語呂合わせから毎月23日も「不眠の日」と制定。関連コンテンツ睡眠時無呼吸症候群アップデート【診療よろず相談TV】看護師の不眠に解決策!? シフト勤務に特化したデジタル認知行動療法の効果【論文から学ぶ看護の新常識】外来ベンゾジアゼピン減少戦略、入院中の不眠症治療標準化がポイント睡眠障害を有するうつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法の有効性眠気の正体とは?昼間の眠気は異常?/日本抗加齢医学会

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第304回 両肺摘出男性の命を人工肺装置が丸2日間つなぎ留め、両肺移植を可能にした

米国のNorthwestern Medicineの外科医が開発した人工肺装置が、両肺摘出男性の両肺移植までの丸2日間の命をつなぎ留めました1,2)。インフルエンザ、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などのさまざまな疾患が肺を脅かします。肺炎や敗血症を発端として生じる重度のARDSはとくに命に関わり、死亡率は80%を超えます。ARDSはたいてい人工呼吸や酸素投与で治療され、幸いにして危機を乗り越えられるかもしれません。しかしARDS患者の肺がもはや後戻りできないほどに損傷しているのか、それとも回復しうるのかを判断するのは非常に困難です。それに、肺損傷が不可逆的で肺移植がどうやら必要となったとしても、敗血症の持続やおぼつかない臓器の心配により肺移植に踏み切ることはめったにありません。Northwestern Medicineの胸部手術部の長であるAnkit Bharat氏らも33歳のある患者を前にしてまさにその課題に直面しました3)。その男性患者はインフルエンザをこじらせて肺が機能しなくなり、最大限の治療の甲斐なく急速に進行する壊死性細菌性肺炎と怒涛の敗血症に陥りました。悲しいかな病状は悪化し続け、体外式膜型人工肺(ECMO)を施すも心臓が停止を繰り返すようになります。最も重症のARDS患者はやがて肺が回復することを願ってしばしば長期の生命維持装置にかけられます。しかし、肺自体が間断なく続く感染や炎症の出所となって臓器不全を誘い、肺を取り除いて置き換えるしか手の打ちようがなくなることもあります。Bharat氏らが開発した人工肺は血液を酸素で満たす以上の働きを担い、生来の肺がなくても安定した血液循環を保てるようにします。取り除いた両肺に代わるその人工肺のもとで男性は感染症を克服し、1日もすると快方に向かいました。丸2日間で男性の体調は移植できるほどに回復し、28歳の男性からの両肺の移植に晴れて漕ぎ着けることができました。患者から取り除いた肺を解析したところ、免疫の仕業でほうぼうが傷んでいました。肺の修復に必要な細胞はほぼ見当たらず、瘢痕を形成する細胞がそこら中におり、肺の本来の構造がすっかり失われていました。甚大な損傷が肺全域に及ぶ様はまさに肺移植を標準の手立てとする末期の肺線維症に似ていました3)。それらの観察結果は、肺の重度感染での損傷が回復可能かもしれない段階から後戻りできない不可逆的段階に移行したかどうかを見極めるのに役立ちそうです。重度ARDSへのこれまでの手立てといえばだいたいが人工呼吸などで生命を維持して肺の回復を期待するしかありませんでした。しかし今回の患者の肺には実質的に不可逆的な重度損傷を示唆する線維化が見て取れ、回復を待つのは無駄で両肺移植する以外に回復し得ない場合があることを裏付けています。Bharat氏らの人工肺で両肺移植までの命をつなぎ留めた男性患者は、移植後2年時点ですこぶる良好な心肺機能を保っています。より標準化された装置や手順の開発が今回の経験を足がかりにして加速し、患者が移植まで安全に漕ぎ着けるようになることをBharat氏らは望んでいます2)。参考1)Yan Y, et al. Med. 2026 Jan 29. [Epub ahead of print] 2)Northwestern Medicine surgeons develop a total artificial lung system to keep a patient alive for 48 hours after removing both lungs, enabling a double-lung transplant / Northwestern Medicine3)Artificial Lungs Keep Patient Alive While Waiting for a Transplant / TheScientist

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降圧薬なしで降圧目標を達成する患者、γ-GTPが関連

 高血圧患者で、降圧薬に頼らず生活習慣改善のみで降圧目標を達成できるのはどのような患者なのだろうか。今回、大阪大学の小原 僚一氏らが神奈川県平塚市の特定健診(SHC)データを用いて解析した結果、降圧薬非使用群における降圧目標達成の主要な因子として、前年度の特定健診における高血圧既往歴がないことや血圧グレードが低いことに加え、γ-GTPの減少が重要であることが明らかになった。本研究の結果は、生活習慣指導が有効なレスポンダーを特定する一助となる可能性がある。Journal of Cardiology誌オンライン版2026年1月16日号に掲載。 本研究は、2016年5月~2023年3月に平塚市の特定健診を受診した40~74歳の未治療高血圧患者(140/90mmHg以上)5,428例を対象とした解析である。このうち、次回の健診までに降圧薬の服用を開始した症例は2,468例であった。降圧薬使用の有無で層別化し、次回の健診時に降圧目標(140/90mmHg未満)を達成した症例に関連する要因をディシジョンツリー分析を用いて抽出・評価した。 主な結果は以下のとおり。・降圧薬非使用群において、55.9%が降圧目標を達成した。・ディシジョンツリー分析の結果、非使用群における主要な達成予測因子は「前年度の特定健診での高血圧既往がないこと」および「血圧グレードが低い(グレード1高血圧)こと」であった。γ-GTP減少が次に影響力のある因子であった。・降圧薬開始群においては、若年ほど目標達成率が高かった。 著者らは、「新たにグレード1高血圧を発症した集団において、γ-GTPの大幅な減少は降圧薬を使用せずに血圧を140/90mmHg未満に抑えることと関連していた。これは、代謝マーカーの改善に反映される効果的な生活習慣の修正が、この集団の血圧コントロールにきわめて重要な役割を果たすことを示唆している」と結論している。

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チルゼパチドは肥満症患者などの精神症状のリスクとならない

 肥満症の患者にチルゼパチドを処方した場合、何らかの精神症状を伴うのであろうか。このテーマについてアメリカのペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院精神医学科のThomas A. Wadden氏らの研究グループは、SURMOUNT試験の事後解析を行った。その結果、既往の精神症状のない過体重または肥満症患者にはチルゼパチドはうつなどのリスクと関連しないことがわかった。この結果は、Obesity誌2026年1月15日オンライン版に公開された。チルゼパチドの使用で精神疾患の有害事象はプラセボとおおむね同等 研究グループはチルゼパチドの臨床試験であるSURMOUNT試験1~3より既往の主要精神病理を伴わない肥満成人を対象に、チルゼパチド投与に伴う精神科的変化を事後解析で評価した。 方法としてプラセボ対照群と比較したチルゼパチド投与群(5/10/15mgまたは最大耐容量10/15mg)の4,056例について、抑うつ症状は患者健康質問票-9(PHQ-9)により、自殺念慮(SI)および自殺行動(SB)はコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)により測定し、神経系および精神疾患の有害事象(AE)を収集した。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時のPHQ-9スコアの平均値(SD)は、チルゼパチド群で2.7(SD3.0)、プラセボ群で2.6(SD3.1)であり、うつ病の症状は皆無またはごくわずかだった。・72週時点のスコアは、チルゼパチド投与群で1.9(SD2.7)、プラセボ群で2.4(SD3.3)だった(推定治療差[SE]:-0.6[0.1])、p<0.001。・チルゼパチド投与群では、より重症なPHQ-9カテゴリーへの移行率が低かった(18.2%vs.24.3%、p<0.001)。・C-SSRSでは、各群の0.6%がSIを報告したが、そのほとんどは低リスクと評価された。・非致死性SBは、チルゼパチド投与群で0.1%、プラセボ群では0.0%に発生した。・AEは各群でおおむね同様だった。 研究グループは、この結果から「既往の主要精神病理を伴わない過体重または肥満症患者において、チルゼパチドはプラセボと比較し、うつ病リスクの増加と関連していないことが示唆された。チルゼパチド投与群で観察された自殺念慮/自殺行為の発生率は、他のインクレチン系治療薬と同程度だった。重篤な精神疾患を有する患者におけるチルゼパチドの安全性に関しては、さらなる研究が必要」と結論付けている。

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直美問題の解決へ一歩――専門医と患者をつなぐ新構想でクラウドファンディング開始

 初期研修修了後、十分な専門研修を経ないまま美容医療に従事する、いわゆる「直美(ちょくび)問題」が社会問題化する中、現場の医師が主導する新たな取り組みが動き出した。近畿大学 医学部皮膚科学教室 主任教授の大塚 篤司氏らは大学発ベンチャーを立ち上げ、AIと専門医の知見を組み合わせた美容医療予約プラットフォーム「美肌コネクト」の開発を主な目的とした、クラウドファンディングをスタートした。専門研修不足と医師偏在、双方への危機感 大塚氏は「直美問題は、患者側、医師側の両方に不幸をもたらしている」と言う。患者にとっては、十分なトレーニングを受けていない医師の施術によって満足な治療効果が得られないだけでなく、皮膚がんの見落としや術後合併症などの深刻な医療事故につながる可能性もあり、実際に国民生活センターへの相談件数も急増している。 一方、医師側の問題としては、自由診療の美容に若手が流れることで保険診療を担う医師が減少し、診療科や地域偏在にも拍車をかける、といった点が挙げられる。「2022年に政府が行った調査では約200人が直美に進んだというデータが出た。これは実に医大2校の卒業生に相当する数で、深刻な問題です」。医師偏在を助長しかねない問題への危機感が、今回の構想の出発点となった。広告・SNS頼みの美容医療を変える「美肌コネクト」 現在、消費者が美容医療情報を探す方法は、テレビCMやウェブ広告、SNSに大きく依存しており、施術医の専門性を客観的に判断することは難しい。「形成外科や皮膚科関連の専門医資格を持ち、美容医療を適切に行える医師は実際に存在します。しかし、宣伝だけが上手な施設に患者が集まり、技術を持つ医師のもとには集まらない、という逆転現象が起きている」と大塚氏は懸念する。 「美肌コネクト」では、専門医資格を有する医師を中心としたネットワークを構築し、患者が安心して専門家にアクセスできるアプリの開発を進める計画だ。登録医師については、当初は運営側が専門医に声をかけ、質を担保した上で、登録制などで拡大する方針としている。大塚氏は「きちんとした専門性を持つ医師が、正当に選ばれる仕組みを作りたい」と強調する。すでにアプリのベータ版は完成しており、今後はクラウドファンディング支援者に試用してもらうステップなどを経て、正式版をリリースする予定という。クラウドファンディングは「仲間集め」 今回クラウドファンディングという形を選択した理由について、大塚氏は「スタートアップの資金調達目的と同時に、同じ問題意識を持つ仲間を集めたかったため」と語る。研修医が一般病院での保険診療を経ずに、自由診療や開業に進む問題は美容業界に限らず、精神科などの他科にも共通する構造的な問題となっている。大塚氏は「一部の医師だけで解決できる問題ではない。課題意識を持つ人とつながり、連帯して取り組みたい」とする。 実際、クラウドファンディング開始後には医療従事者から多くの応援メッセージが寄せられており、1月のスタートから1週間で500万円の目標に対して200万円が集まるなど、好調な出足となっている。「直美問題を何とかしたいと思っていた医療者が多いことを実感しています」と大塚氏は手応えを口にする。まずは医療者にプロジェクトを認知してもらったうえで、募集期間の後半には消費者側にもリーチする計画を立てているという。教育プラットフォームづくりも視野に 「美肌コネクト」は、患者向けマッチング機能に加え、将来的には医師向けの教育コンテンツ開発も視野に入れる。現状、大学病院では美容医療を学ぶ機会が限られており、「独学に頼らざるを得ない現状がある」と大塚氏は指摘する。大塚氏が主宰する近畿大学の皮膚科学教室では、美容医療を体系的に学ぶ体制が整っており、この知見を使った医師が継続的に学べる教育プラットフォームづくりを見据える。 直美問題に対し、現場の医師が主体となって提示した1つの解。クラウドファンディングを起点とした「美肌コネクト」は、美容医療と保険診療の健全な関係を模索する試みとして、注目を集めそうだ。――――――――――――【クラウドファンディングの詳細】・実施プラットフォーム:READYFOR(https://readyfor.jp/projects/bihada-ai-connect)・募集期間:1月20日(火)20時〜3月31日(火)23時終了(70日間) ・目標金額:500万円 ・資金の使い道:プラットフォームの開発費(審査システム、検索・予約機能、レビュー管理機能、AI診断機能)、医師へのリサーチ費用・監修費用、教育啓発コンテンツの制作費用、医師と専門家による審査員・監修員の人件費、サービス運営費など・リターン:支援金額に応じて、デジタルレポートや教育セミナーの招待、医療監督者限定セミナーへの参加券、Founding Doctor/Supporterとしての称号などを用意――――――――――――

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認知症に対する抗精神病薬中止に伴うBPSD再発リスクは?

 認知症の行動・心理症状(BPSD)の治療には、抗精神病薬が使用される。しかし、治療は有害な転帰と関連している。2018年のコクランレビューにおいて、治療群間の試験未完了者数の差を比較した結果、抗精神病薬の中止がBPSDにほとんど影響を及ぼさない可能性を示唆する質の低いエビデンスが示された。また、再発リスクの統合エフェクトサイズは報告されていなかった。英国・St Pancras HospitalのSophie Roche氏らは、認知症患者における抗精神病薬中止後のBPSD再発の統合リスク比(RR)についてメタ解析を実施した。Alzheimer's & Dementia誌2025年12月15日号の報告。 本研究では、BPSDの再発リスクに試験デザイン(エンリッチド・レスポンダー・サンプルvs.長期離脱患者)、治療期間、フォローアップ期間、離脱速度、性別が影響を及ぼすという仮説を立てた。2018年1月~2024年6月に公表された研究について、PsycINFO、EMBASE、PubMed、ClinicalTrials.govのデータベースよりシステマティックに検索した。2018年のコクランレビューで特定された研究8件もメタ解析に含めた。 主な結果は以下のとおり。・解析対象研究は9件、観察結果682件およびイベント135件が報告された。・再発の定義には、BPSD悪化による参加者の除外または抗精神病薬/救急薬の定期処方開始を含めた。・ランダム効果モデルでは、抗精神病薬の中止による再発のプール相対リスクは1.52(95%信頼区間:1.18~1.95、p=0.005)であった。・メタ回帰分析の結果、試験の種類、離脱速度、フォローアップ期間、性別は再発リスクに影響を及ぼさないことが示された。 著者らは「抗精神病薬が不要と判断された患者においては、慎重な処方や減量または中止することが重要であるが、服薬を継続すべき患者も存在する。再発の相対リスクは、試験デザインに影響されず、処方を減らして有効性を証明することを目的とした両試験でエフェクトサイズが同等であったことは、とくに驚くべきことであった。抗精神病薬中止の成功に関連する因子を特定するには、さらなる研究が必要である」とまとめている。

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PD-L1陽性の未治療TN乳がん、SG併用でPFS延長/NEJM

 未治療のPD-L1陽性局所進行トリプルネガティブ乳がん患者の治療において、化学療法+ペムブロリズマブと比較してサシツズマブ ゴビテカン(SG)+ペムブロリズマブは、有意に長い無増悪生存期間(PFS)をもたらし、奏効期間が長い傾向を認め、有害事象による投与中止率が低いことが、米国・Harvard Medical SchoolのSara M. Tolaney氏らASCENT-04/KEYNOTE-D19 Clinical Trial Investigatorsが実施した「ASCENT-04/KEYNOTE-D19試験」で示された。SGは、抗Trop-2モノクローナル抗体とトポイソメラーゼI阻害薬であるSN-38を結合させた抗体薬物複合体。ASCENT試験の知見に基づき、2レジメン以上の全身療法を受けた転移を有するトリプルネガティブ乳がんの治療薬として日本を含む複数の国で承認されている。NEJM誌2026年1月22日号掲載の報告。28ヵ国の無作為化第III相試験 ASCENT-04/KEYNOTE-D19試験は、日本を含む28ヵ国186施設で実施した非盲検無作為化第III相試験(Gilead Sciencesの助成を受けた)。 2022年10月~2024年8月の期間に参加者を登録した。進行病変に対する前治療を受けておらず、PD-L1陽性の切除不能な局所進行・転移を有するトリプルネガティブ乳がんの成人患者を対象とした。 被験者を、SG(21日を1サイクルとして、1、8日目に静脈内投与)+ペムブロリズマブ(同1日目に静脈内投与)を受ける群、または担当医が選択した化学療法+ペムブロリズマブ(同1日目に静脈内投与)を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。化学療法は、パクリタキセルまたはアルブミン懸濁型パクリタキセル(28日を1サイクルとして、1、8、15日目に静脈内投与)、あるいはゲムシタビン+カルボプラチン(21日を1サイクルとして、1、8日目に静脈内投与)のうち1つを選択した。 主要評価項目はPFSとし、盲検下に独立中央審査委員会が評価した。担当医判定でも同様の結果 443例を登録し、SG群に221例(年齢中央値54歳)、化学療法群に222例(同55歳)を割り付けた。全例が女性であった。全体の追跡期間中央値は14.0ヵ月(範囲:0.1~28.6)だった。 PFS中央値は、化学療法群が7.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:7.3~9.3)であったのに対し、SG群は11.2ヵ月(95%CI:9.3~16.7)と有意に優れた(ハザード比[HR]:0.65、95%CI:0.51~0.84、両側p<0.001)。担当医判定によるPFS中央値も同様の結果であった(11.3ヵ月vs.8.3ヵ月、HR:0.67、95%CI:0.52~0.87)。 全生存期間に関するデータは未成熟で、両群とも中央値には未到達だった。 客観的奏効率(完全奏効+部分奏効)は、SG群が60%(95%CI:53~66)、化学療法群は53%(95%CI:46~60)であった。また、奏効例の奏効期間中央値はそれぞれ16.5ヵ月(95%CI:12.7~19.5)および9.2ヵ月(95%CI:7.6~11.3)であり、SG群で長い傾向を認めた。有害事象による投与中止、12%vs.31% Grade3以上の有害事象は、SG群で71%、化学療法群で70%に発現し、頻度の高いものとして好中球減少(43%vs.45%)、下痢(10%vs.2%)、貧血(7%vs.16%)がみられた。有害事象による投与中止の発生率は、SG群で低かった(12%vs.31%)。死亡の原因となった有害事象の発生率は、両群とも3%であった。 著者は、「PFSの有益性に加え、奏効期間が長く、投与中止の可能性が低いことは、転移を有するトリプルネガティブ乳がん患者のほぼ半数が初回治療ライン以降の治療を受けない現状を踏まえると、SG+ペムブロリズマブが、早期治療ラインにおいて、この治療困難な患者集団のアウトカムの改善に進展をもたらすものであることを示している」「この抗体薬物複合体と免疫療法薬の併用療法の安全性プロファイルは、各薬剤の既知のプロファイルと一致しており、新たな安全性の懸念は認めなかった」としている。

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GLP-1受容体作動薬は大腸がんリスクを低下させる?

 オゼンピックやウゴービなどのGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬は、減量や糖尿病の管理だけでなく、大腸がんの予防にも役立つ可能性のあることが、新たな研究で示唆された。GLP-1受容体作動薬の使用者では、アスピリン使用者と比べて大腸がんを発症するリスクが26%低かったという。米テキサス大学サンアントニオ校血液腫瘍内科のColton Jones氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2026、1月8〜10日、米サンフランシスコ)で発表された。 Jones氏は、「これまでアスピリンの大腸がん予防効果について研究されてきたが、効果は限定的であり、また、出血リスクが使用の妨げになる。糖尿病や肥満の治療で広く使われているGLP-1受容体作動薬は、代謝管理とがん予防の両面で、より安全な選択肢になる可能性がある」と述べている。 米国では、2025年には約15万人が大腸がんと診断され、5万人以上が死亡したと推定されている。GLP-1受容体作動薬は、インスリンや血糖値の調節を助け、食欲を抑え、消化を遅らせるホルモンであるGLP-1の作用を模倣する薬剤である。代表的な薬剤には、オゼンピックやウゴービなどのセマグルチド、マンジャロやゼップバウンドなどのチルゼパチドがある。 今回の研究では、商業医療データベースTriNetXから、GLP-1受容体作動薬の使用者と、アスピリン使用者を傾向スコアマッチング後に14万828人ずつ(計28万1,656人、平均年齢58歳、女性69%)抽出し、大腸がんの発症を比較した。各薬剤の初回処方日を起点に、その6カ月後から追跡を開始した。追跡期間中央値は、GLP-1受容体作動薬群で2,153日、アスピリン群で1,743日であった。 その結果、GLP-1受容体作動薬群ではアスピリン群と比較して、大腸がんリスクが26%低いことが明らかになった(リスク比0.741、95%信頼区間0.612〜0.896)。絶対リスク差から算出した治療必要数(NNT)は2,198であった。この結果は、追跡開始後12カ月および36カ月を対象とした感度解析においても、また、年齢層、BMI、糖代謝などで層別化したサブグループ解析においても、概ね一貫していた。GLP-1受容体作動薬を個別に解析すると、セマグルチドのみが有意な効果を示した。副作用については、GLP-1受容体作動薬使用者の方が、腎障害、胃潰瘍、消化管出血といった重篤な副作用は少なかった一方で、下痢や腹痛はより多く発生していた。 この研究をレビューした米クリーブランド・クリニックTaussig Cancer CenterのJoel Saltzman氏は、「GLP-1受容体作動薬は、体重減少以上の恩恵をもたらす可能性がある。これらの結果は、がん予防戦略においても重要な役割を果たす可能性を示している。アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、スタチンの大腸がん予防効果は長年研究されてきたが、今回のリアルワールドデータは、GLP-1受容体作動薬がこの分野で有望な役割を担う可能性を示唆している」と述べている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

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前立腺肥大症はうつ病および不安症のリスクと関連

 前立腺肥大症(BPH)はうつ病および不安症のリスク上昇と関連しており、うつ病に対する因果関係が遺伝的根拠によって支持されるとする研究結果が、「International Journal of Psychiatry in Clinical Practice」に11月5日掲載された。 中南大学湘雅第三医院(中国)のJinjing Guo氏らは、UKバイオバンクから得られた横断的・縦断的・遺伝的データを用いて、22万9,001人を対象にBPHとメンタルヘルスとの関連を検討した。ベースラインでの関連を評価したうえで、7年間追跡した5万1,805人および14.9年間追跡した17万1,228人における前向きリスク(ハザード)も評価した。因果関係の特定にはメンデルランダム化解析を用いた。 その結果、ベースラインにおいて、BPHはうつ病および不安症のオッズ上昇と関連していることが分かった(オッズ比はそれぞれ1.42、1.44)。前向きの追跡では、BPHは7年後のうつ病および不安症の発症を予測し(同1.41、1.48)、さらに14.9年間にわたるうつ病および不安症のリスク上昇とも関連した(ハザード比はそれぞれ1.38、1.45)。サブグループ解析では、特に60歳未満、就労中、高所得、身体活動が少ない層でBPHがうつ病および不安症のリスクを有意に上昇させることが示された。双方向メンデルランダム化解析では、BPHはうつ病の原因となることが示されたが(オッズ比1.003〔95%信頼区間1.000~1.006〕)、不安症には因果関係は認められず、むしろ不安症はBPHリスクをわずかに抑制することが示された(同0.998〔0.997~1.000〕)。 著者らは、「遺伝学的解析の結果は、BPHがうつ病に及ぼす因果的寄与はごくわずかであることを示唆しており、慎重に解釈されるべきである。これらの知見は、BPHの心理的負担に関する不確実性を解消するとともに、臨床管理においてメンタルヘルスのスクリーニングおよび支援を組み込むことの重要性を強調するものである」と述べている。

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第280回 7対1でも安泰ではない? 急性期病院A・Bが迫る機能再編/中医協

<先週の動き> 1.7対1でも安泰ではない? 急性期病院A・Bが迫る機能再編/中医協 2.診療報酬46億円返還、医師14人が資格喪失、不正請求は「見逃されない」時代へ/厚労省 3.緊急避妊薬(アフターピル)が国内初の市販化、2月から全国販売へ/厚労省 4.相次ぐ汚職でトップが謝罪―卓越大認定に暗雲、不退転の改革へ/東大 5.臓器移植改革が始動 ドナー関連業務を地域法人に移行/藤田医大 6.介護事業者倒産が過去最多176件 突出する訪問介護の経営危機/厚労省 1.7対1でも安泰ではない? 急性期病院A・Bが迫る機能再編/中医協2026年度の診療報酬改定で中央社会保険医療協議会(中医協)は、新たに「急性期病院A・B(急性期病院入院基本料)」を設け、急性期医療の評価軸が病棟単位中心から「病院機能・実績」へと一段強まることになる。Aは「地域の急性期医療の拠点」を想定し、年間の救急搬送2,000件以上かつ全身麻酔手術1,200件以上など、高い実績要件が柱となる。Bは一般的な急性期を幅広く捉え、救急搬送1,500件以上、または救急搬送500件以上+全身麻酔手術500件以上などを求める。加えて、Aでは地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟との併設を認めない一方で、Bは地域包括医療病棟のみを除外するなど、ケアミクスの許容範囲でも差を付けた。注目は救急実績の「質」の担保で、介護保険施設入所者の救急搬送は、協力医療機関での受入困難など例外を除き、A・Bいずれでも原則として救急搬送件数に算入しない方向が示された。その一方で、現行7対1病院の相当数がA基準を満たしにくいとの指摘もあり、急性期の集約・機能分化を加速させる可能性がある。今後は、地域で救急・手術を集約する「A志向」か、高齢者救急や包括期との接続を含めた「B/他入院料志向」か、病院ごとの役割の再設計が不可避となりそうだ。 参考 1) 【急性期】厚労省が個別改定項目を提示 救急・手術件数を評価する急性期病院一般入院基本料を新設(日経メディカル) 2) 7対1病院の6割、11万床が急性期Aの基準未達(CB news) 3) 「地域の急性期医療の拠点」病院を評価する【急性期病院一般入院料】を新設、病院単位での救急搬送・手術実績が要件にー中医協総会(Gem Med) 2.診療報酬46億円返還、医師14人が資格喪失、不正請求は「見逃されない」時代へ/厚労省厚生労働省は1月29日、2024(令和6)年度に実施した保険医療機関などへの指導・監査の状況を公表し、診療報酬の不正請求などを理由に、「医科・歯科を含む9施設の保険医療機関指定を取り消した」と発表した。処分に先立ち廃業した施設を含めると、指定取消相当は14施設にのぼる。これに伴い、保険医の登録が取り消されたのは医師5人、歯科医師12人の計17人で、返還を求めた診療報酬額は約48億5,000万円と、前年度を上回った。その一方で、厚労省があわせて公表した2023年度の指導・監査実績によると、個別指導を受けた保険医療機関は1,464件で前年度比2.7%減少したものの、対象となった医師数は2,774人と大幅に増加している。医科に限れば、個別指導件数・対象医師数ともに増加しており、医科領域での請求内容に対する点検が一層強化されている実態がうかがえる。2023年度に実施された監査は46件で、その結果、保険指定取消または取消相当となった医療機関は21件、医師ら14人が資格を喪失した。返還された診療報酬総額は46億2,338万円に達し、前年度から26億円以上増加した。とくに施設基準を満たさない入院料の請求、実施していない診療行為の請求(架空請求)、実診療で行っていない行為を上乗せする付増請求など、基本的ルール逸脱が繰り返し確認されている。注目すべき点として、保険指定取消などの端緒(発覚のきっかけ)の多くが、保険者や医療機関従事者、患者からの情報提供であったことが挙げられる。医療費通知やマイナンバーカード利用の進展により、請求内容の「見える化」が進み、不正請求は発覚しやすい環境となっている。診療報酬は公費・保険料・患者負担で成り立つ共有財源であり、ルール遵守は医療者全体の信頼を支える前提条件である。近年の指導・監査の動向は、「悪質事例への厳正対応」と同時に、日常診療における請求の正確性や施設基準管理の重要性を、すべての医師に改めて突きつけるものと言えそうだ。 参考 1) 令和6年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について(厚労省) 2) 9施設の保険指定取り消し 24年度、返還請求48億円(産経新聞) 3) 不正請求等で21件・14人の医師等が「保険指定取り消し」等の処分、診療報酬46億円強を返還-2023年度指導・監査(Gem Med) 3.緊急避妊薬(アフターピル)が国内初の市販化、2月から全国販売へ/厚労省国内初となる市販の緊急避妊薬(アフターピル)が、2月2日から全国で販売される。第一三共ヘルスケアが販売するレボノルゲストレル(商品名:ノルレボ)は、これまで医師の処方箋が必要だったが、スイッチOTCとして薬局やドラッグストアで購入可能となる。希望小売価格は1錠7,480円で、年齢制限はなく、未成年でも保護者やパートナーの同意は不要とされた。ノルレボは、排卵を遅らせる作用があり、性交後72時間以内に1回服用すれば、約8割の確率で妊娠を防ぐとされる。24時間以内の服用では妊娠阻止率は約95%に達する一方、時間が経過するほど効果は低下し、49~72時間では約58%に下がる。販売は対面に限定され、厚生労働省が指定した研修を修了した薬剤師が、チェックシートによる確認と説明を行い、購入者本人がその場で服用する「面前服用」が要件となる。転売や誤用を防ぐ狙いで、ネット販売や持ち帰りは認められていない。服用後は、3週間を目安に妊娠検査や医療機関での確認が推奨されている。厚労省によると、販売開始時点で全国5,445店舗が取り扱い、今後はさらに拡大する見通しだ。イオンリテールは併設薬局69店舗で販売を開始し、ウエルシア薬局やクオールなど大手も全店展開を予定している。その一方で、緊急避妊薬はあくまで緊急時の対処法で、服用後は一時的に妊娠しやすくなる場合もある。専門家は、低用量ピルなど確実性の高い平時の避妊法や、性教育の充実が不可欠だと指摘する。世界では約90の国・地域で処方箋なしで購入可能であり、世界保健機関(WHO)の必須医薬品にも指定されている。今回の市販化は、望まない妊娠を防ぐ選択肢を広げる一方、適切な使用と制度運用が問われる転換点となりそうだ。 参考 1) 緊急避妊薬、2月から薬局などで販売 1錠7,480円購入は対面のみ(朝日新聞) 2) 緊急避妊薬、来年2月に初の市販開始 面前服用要件に-第一三共「ノルレボ」(時事通信) 3) 緊急避妊薬、72時間以内の服用で効果8割 2月から市販(日経新聞) 4) イオンリテール、緊急避妊薬を販売 2日から併設の薬局69店舗で(同) 5) 2月発売の緊急避妊薬、全国5,000超の店舗で取り扱い 厚労省集計(同) 4.相次ぐ汚職でトップが謝罪-卓越大認定に暗雲、不退転の改革へ/東大東京大学医学部附属病院で汚職事件が相次いだ問題で、同大は1月28日、藤井 輝夫総長が記者会見し「教育・研究機関として社会の信頼を著しく損ねた」と謝罪した。大学院医学系研究科の佐藤 伸一教授が、民間団体との共同研究(社会連携講座)に絡み、性風俗店を含む高額接待を受けたとして24日に収賄容疑で逮捕され、東大は26日付で懲戒解雇した。不祥事は単発ではなく、2025年11月にも同院の准教授が医療機器選定を巡る収賄容疑で逮捕・起訴されている。こうした事態を受け、田中 栄病院長は27日付で引責辞任。教職員宛てのメールで「短期間に複数の重大な不祥事が発生し、患者や社会の信頼を著しく損ねた。組織の長として管理監督責任を明確にする」と辞任理由を説明した。藤井総長は会見で、不祥事の背景として(1)教員の倫理意識の希薄さ、(2)民間資金受け入れを巡るチェック機能の不足、(3)閉鎖的でヒエラルキーの強い組織風土の3点を挙げた。責任を取り、総長は役員報酬の一部(1ヵ月分の50%)を自主返納し、担当理事らも返納する。さらに、全教職員約1万3,000人を対象とした調査で、倫理規程違反が22件判明し、うち3件で高額接待が認められたことも明らかにした。大学は4月に最高リスク責任者(CRO)を新設し、独立監査を含む「三線防御」によるガバナンス再構築を進める方針だ。10兆円規模の大学ファンド支援を受ける「国際卓越研究大学」の審査が継続している最中、改革の実効性と信頼回復への道筋が厳しく問われている。 参考 1) 本学教員の逮捕を受けて(東大) 2) 東京大学総長「信頼著しく損ねた」30秒頭下げ謝罪 教授の収賄事件(朝日新聞) 3) 東京大学総長謝罪 大学院教授の収賄など汚職相次ぎ(NHK) 4) 東大ガバナンス欠如、卓越大認定影響避けられず? 総長「急ピッチで改革進める」(産経新聞) 5) 東大総長が汚職事件で謝罪「信頼損ねる」 高額接待など新たな倫理違反22件も発覚(同) 5.臓器移植改革が始動 ドナー関連業務を地域法人に移行/藤田医大厚生労働省は1月30日、藤田医科大学などが設立した一般社団法人「中部日本臓器提供支援協会(CODA)」を、心臓や肺などの提供臓器をあっせんする「ドナー関連業務実施法人」として許可した。眼球を除く臓器あっせん業の許可は、日本臓器移植ネットワーク(JOT)以外では全国で初めてとなる。これまで、脳死や心停止下での臓器提供に際し、家族への説明や同意取得、摘出チームの受け入れ調整などのドナー関連業務はJOTが一元的に担ってきた。しかし近年、臓器提供数の増加に対し、コーディネーター不足や業務の集中による対応の遅れが指摘され、結果として移植が見送られる事例も生じていた。こうした状況を受け、厚労省は2024年12月、ドナー側業務を地域ごとに分担する体制改革を打ち出していた。CODAは中部7県(愛知、三重、岐阜、静岡、福井、富山、石川)を担当し、臓器提供が想定される医療機関にコーディネーターを派遣。ドナー家族への説明や同意取得、関係機関との調整を担う。その一方で、移植希望者の登録やレシピエント選定、臓器搬送は引き続きJOTが担当し、公平性は従来通り担保される。CODAは移植業務経験者5人を確保し、JOTでの研修を経て、2026年夏ごろの本格稼働を予定している。厚労省は今後、他地域でも同様のあっせん法人を募集する方針で、臓器提供体制は「全国一元」から「地域分担」へと大きな転換点を迎えた。ドナーの意思を確実に生かし、移植機会の拡大につながるかが注目される。 参考 1) ドナー関連業務実施法人を許可しました(厚労省) 2) 臓器提供 家族対応などの業務を新法人に許可 厚労省(NHK) 3) 臓器あっせん法人を初許可 ドナー対応、藤田医大設立(日経新聞) 4) 「中部日本臓器提供支援協会」、厚労省が臓器あっせん業を許可 藤田医科大などが設立(中日新聞) 6.介護事業者倒産が過去最多176件 突出する訪問介護の経営危機/厚労省訪問介護事業者の経営悪化が深刻さを増している。2024年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに加え、物価高や移動に伴うコスト増が重なり、収益を圧迫している。とりわけ人手不足が最大のボトルネックとなり、サービスの継続が困難になるケースが相次いでいる。こうした状況を受け、厚生労働省は人材確保に向けた広報を強化。昨秋以降、訪問介護の仕事の具体像を伝えるショート動画や漫画、ポスターなどを特設サイトで発信し、教材としての活用も見込むなど、職場の魅力を可視化して担い手拡大を狙っている。背景には介護事業者の倒産の増加への危機感がある。東京商工リサーチによると、2025年の介護事業者倒産は176件で過去最多を更新し、「訪問介護」は91件と3年連続で最多。倒産理由は「販売不振」が約8割を占め、「人手不足」倒産も最多を更新した。規模は小・零細が中心で、資金繰り余力の乏しさが表面化している。賃上げ支援や生産性向上策は進むが、他産業の賃上げに追いつかず、現場の人材確保は依然として厳しい。国・自治体には、倒産抑制と運営効率化支援を一体で進める対応が求められる。 参考 1) 2025年「介護事業者」倒産 過去最多の176件 「訪問介護」の倒産が突出、認知症GHも増加(東京商工リサーチ) 2) 訪問介護の倒産急増、人材確保に懸命の厚労省 PR動画・漫画など続々(日経新聞)

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日米で決定的に異なる「履歴書」の価値【臨床留学通信 from Boston】第20回

日米で決定的に異なる「履歴書」の価値こちらボストンは、いよいよ冬も本番です。気温はマイナス15度を下回り、体感温度はマイナス23度。もはや何のことやらわからない寒さですが、分厚いダウンとズボンで身を固め、大気に露出する顔もなるべく隠して外出するしかありません。以前MGHにいた頃は、駐車場から7分ほど歩く必要があり、スクラブで通勤するには地獄でした。今は病院に隣接しているため少し楽になりました。1月には子供の英検受験のため、ボストンからニューヨークまで3時間半ほど運転して英検会場まで行きましたが、「Winter Storm」と呼ばれる暴風雪に遭遇し、帰路は7時間もかかってしまいました。さて、今回はアメリカでのキャリア形成に欠かせない「CV(Curriculum Vitae:履歴書)」についてお話しします。日本の医局人事であれば、履歴書は職歴と住所を書くだけの簡素なイメージですが、アメリカではそうはいきません。レジデントやフェローのマッチングでは、数人の枠に1,000人近くが応募するため、CVを基にした書類審査がきわめて重要になります。現在私が行っているフェロー後の就職活動も、ウェブサイトの求人にCVを提出して進めるため、非常に大きな意味を持ちます。記載内容は比較的自由ですが、一般的な教養や職歴に加え、医師免許番号、専門医試験の証明番号、学会の上級会員(Fellow of ○○学会。たとえばSociety of Cardiovascular Angiography & Intervention[SCAI]というカテーテル治療学会であればFSCAIとなります)などを羅列します。学会のAwardやResearch Grantに加え、私の場合はカテーテルの治療件数もかなり具体的に書きます。単なるPCIではなく、たとえば「rotational atherectomy」と呼ばれる石灰化切除デバイスをどれくらい行ったか、などです。これらは日本では当たり前の手技ですが、アメリカのPCI治療医の全員ができるわけではありません。また、ボランティアワークやリーダーシップ経験なども人物像のアピールになります。たとえば、地震災害時の救助活動や、テニス部で主将であったことなども付け加えます。リサーチに関しては、以下のウェブサイトのリンクを貼り付け、研究業績や被引用回数、h-indexなども追記します。PubMedGoogle ScholarResearchGateORCiDWeb of Science私はAHA/ACCの学会誌である、Circulation: Cardiovascular Interventions誌のEditorial Board、JACC: Cardiovascular Interventions誌のEditorial Consultantを務めているのでそれらも追記し、ジャーナルのレビュー履歴も載せています。ほかにも指導実績や、統計ソフトのスキル、日本の履歴書でよくある趣味も簡単に追記します。査読付き学術論文(Research articles、Peer reviewed articles)をつらつらと載せるわけですが、これらと論評(Editorial comment)や投稿書簡(Letter to the editor)は、同じPubMedに載るものであっても分けて記載します。責任著者(Corresponding author)であれば、一応それもわかるようにしますが、アメリカではあまり重要視されず、最終著者(Last author)かどうかのほうが重要視されるようです。最後に商業誌やメディア、テレビのインタビュー歴などがあれば書きます。以前、JACC: CV Interventions誌のYouTubeに掲載していただいたときの動画も掲載しました。書類は日々アップデートして、いつでも出せるようにしておきます。人の紹介であっても、あるいは日本から留学する場合であっても、「この研究室に入りたい」となったときなどは、まずこのCVが要求されます。とはいえ、私の就活はトランプ政権の影響によるビザの逆風でいろいろ大変であり、CVがあれば何とかなるというものでも当然ありませんが、「なるようになるしかない」と思ってやっております。

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