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調剤報酬改定で門前・医療モール薬局が狙い撃ちに【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第171回

2026年度の調剤報酬改定が6月1日から施行されました。今回、全体的にみるとプラス改定といわれていますが、そのほとんどが賃上げや物価対応分であり、医科・歯科・調剤についてはほとんど横ばいと言えるのではないかと思います。調剤基本料については、多くの薬局が算定していた調剤基本料1は45点→47点にという感じで、他の調剤基本料も1~2点引き上げられました。その一方で、「門前薬局等立地依存減算」(▲15点)という厳しい減算項目が新設されています。2015年に「患者のための薬局ビジョン」が策定され、10年以上が経ちましたが、特定の医療機関からの処方箋が集中する門前薬局が都市部で増え続けている問題は解消されていません。今回の減算は、処方箋の枚数をさばくことに重点を置いた、立地に依存する経営構造からの脱却と薬剤師の職能発揮を促進する観点から新設されました。減算対象が気になるところですが、これは「新規開設する保険薬局」を対象としており、都市部における門前薬局や医療モールなどへの新規出店に対して適用されます。ゾッとした人も少なくないかもしれませんが、措置期間が設けられており、2026年5月末時点ですでに保険薬局の指定を受けている薬局については、「当面の間、門前薬局等立地依存減算の対象外」としています。「当面の間」がどのくらいを指すのかはわかりません。1枚につき15点(150円)のマイナスというと、1日100枚の薬局では25日稼働で37万5,000円、1日200枚の薬局では75万円のマイナスになります。これが、どの程度の抑止力になるのか、動向を見守りたいと思います。減算なしの場合はプラス算定になるわけですから、今回の基本料の設計については、面分業に取り組む薬局には加算、立地に依存する薬局には減算、という明確なメリハリがつけられた形となります。薬局の場所を変更することは難しいとしても、今のうちから面の処方箋を獲得するなどして集中率を低下させる取り組みや対人業務の強化に取り組むことなどが重要です。また、かかりつけ薬剤師機能、在宅業務の仕組み化、地域支援・医薬品供給対応体制加算など機能評価型の加算で収益基盤を強化するなど、措置期間が解除となった場合の収益を確保する工夫も必要かもしれません。

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日本人双極症の入院予防に対する気分安定薬と抗精神病薬の単剤/併用療法の有効性

 双極症の薬物療法に関する臨床的エビデンスは依然として限られている。とくに、臨床現場で広く用いられている併用療法の有効性については、システマティックに評価されていない。臨床疫学研究推進機構の奥村 泰之氏らは、双極症に対して用いられる気分安定薬および抗精神病薬の単剤療法と併用療法の再発予防効果を、厚生労働省が保有する匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)を用いて評価した。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2026年4月30日号の報告。 本研究は、厚生労働省が保有するNDBを用いた、個人内比較デザインの集団ベースコホート研究である。対象は、2013年4月〜2022年3月に精神科施設で治療を受けた双極症の主診断を受けた20歳以上の患者。フォローアップ調査は、2023年5月末まで継続した。 曝露群には、気分安定薬または抗精神病薬の単剤療法およびリチウムと他の気分安定薬の併用療法またはリチウム、バルプロ酸、ラモトリギンと一般的に処方される抗精神病薬の併用療法を含めた。主要アウトカムは、精神科入院までの期間とした。調整ハザード比(aHR)および95%信頼区間(CI)の推定には、層別化Cox回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者31万5,046例のうち、8万3,621例(26.5%)が精神科入院を経験した(フォローアップ期間中央値:7.1年)。・リチウム(aHR:0.67、95%CI:0.66〜0.68)、バルプロ酸(aHR:0.71、95%CI:0.70〜0.73)、ラモトリギン(aHR:0.72、95%CI:0.69〜0.75)、カルバマゼピン(aHR:0.74、95%CI:0.70〜0.78)の単剤療法は、いずれの気分安定薬も使用しない場合と比較し、入院リスクの低下と関連していた。・アリピプラゾール(aHR:0.73、95%CI:0.70〜0.75)およびゾテピン(aHR:0.74、95%CI:0.69〜0.79)を含む15種類の抗精神病薬の単剤療法は、いずれの抗精神病薬も使用しない場合と比較し、入院リスクの低下と関連していた。・リチウム単剤療法と比較し、リチウムとカルバマゼピン(aHR:0.73、95%CI:0.64〜0.83)、ゾテピン(aHR:0.82、95%CI:0.72〜0.93)、アリピプラゾール(aHR:0.87、95%CI:0.82〜0.92)、またはバルプロ酸(aHR:0.92、95%CI:0.87〜0.97)の併用療法は、入院リスクのさらなる低下と関連していた。 著者らは「本研究は、双極症患者における精神科入院の減少に対する、気分安定薬および抗精神病薬の単剤療法と併用療法の有効性を実臨床下で評価した最大規模の研究である。双極症に対する気分安定薬と抗精神病薬の単剤療法および併用療法は、異なる精神科入院予防効果を示した。これらの知見は、単剤療法では十分な治療反応が得られない場合などに、併用薬を選択する際の指針となる可能性がある」と結論付けている。

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心不全のカリウム至適範囲は4.2〜5.0mmol/L/EHJ

 心不全患者における安全なカリウム至適範囲について、左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)と駆出率が保たれた心不全(HFpEF)で同じであるかは明らかにされていない。今回、英国・グラスゴー大学の小野 亮平氏らが心不全患者を対象とした12のランダム化比較試験の個別患者データを用いてメタ解析を実施。その結果、HFrEFおよびHFpEFのいずれにおいても、カリウムの至適範囲は4.2〜5.0mmol/Lであることが示された。本研究結果は、European Heart Journal誌オンライン版2026年5月28日号掲載の報告。 心不全患者においては神経体液性因子の活性化や薬剤(利尿薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]など)、併存疾患(腎機能障害など)によって血清カリウム値の変動を来すが、これまでに実施されてきた研究では、LVEF別の層別化は行われておらず、一般的な低カリウム血症(3.5mmol/L未満)・高カリウム血症(5.5mmol/L)の基準値が、心不全患者の臨床アウトカムとどのように関連しているかは不明であった。 研究グループは、HFrEFに関する7つの試験(CHARM-Added、CHARM-Alternative、EMPHASIS-HF、ATMOSPHERE、PARADIGM-HF、DAPA-HF、GALACTIC-HF)およびHFpEFに関する5つの試験(CHARM-Preserved、I-PRESERVE、TOPCAT Americas、PARAGON-HF、FINEARTS-HF)から、計4万6,069例(HFrEF:3万2,346例、HFpEF:1万3,723例)の個別患者データを取得。ベースラインの血清カリウム値(mmol/L)を6つのカテゴリー(3.5未満、3.5以上4.0未満、4.0以上4.5未満、4.5以上5.0未満、5.0以上5.5未満、5.5以上)に分類して統合解析した。主要評価項目は全死因死亡であった。 主な結果は以下のとおり。・HFrEFとHFpEFの各試験における追跡期間中央値は、それぞれ24.2ヵ月と36.8ヵ月であった。・HFrEFでは血清カリウム値とアウトカムの間に逆J字型の関連が認められた。4.0~4.5mmol/Lを基準とした場合、3.5mmol/L未満群では、全死因死亡の大幅なリスク上昇と強く関連していた(調整ハザード比[aHR]:1.49、95%信頼区間[CI]:1.27~1.76)。また、心血管死(aHR:1.58、95%CI:1.32〜1.88)、突然死(aHR:1.58、95%CI:1.18〜2.12)、ポンプ不全死亡(aHR:1.71、95%CI:1.29〜2.25)も、3.5mmol/L未満群で最も高かった。・HFpEFのリスク曲線は、HFrEFと比べ緩やかなU字型で、全体的なイベント発生率も低かった。また、全死因死亡リスクが最も高かったのは5.5mmol/L以上群(aHR:1.29、95%CI:0.96〜1.74)であったが、基準群との差は緩やかであった。心血管死やポンプ不全による死も同様の傾向であり、突然死との関連はさらに緩やかであった。・全アウトカムを考慮した結果、最もリスクが低いベースラインの血清カリウム値の範囲は4.2~5.0mmol/Lであったが、軽度高カリウム血症に該当する5.0~5.5mmol/L群(HFrEFの約13%、HFpEFの約10%)であっても、多変数調整後は死亡や心不全入院のリスク上昇と有意に関連していなかった。・初回心不全入院、ならびに複合アウトカム(心不全入院または全死因死亡、心不全入院または心血管死)についても、全死因死亡や心血管死と同様の関連が認められた。 研究者らは、「HFrEFにおいて、低カリウム血症は予後不良と強く関連していた。安全性の観点から、いずれの心不全表現型であっても最適な血清カリウム値は4.2〜5.0mmol/Lの範囲に維持することが望ましい。また、5.0〜5.5mmol/Lであってもガイドライン推奨治療薬(MRAなど)を一律に中止するのではなく、ほかの原因の排除や厳密なモニタリング実施などのアプローチ検討が望まれるかもしれない。本結果より、心不全患者における「低カリウム血症」の定義を4.0mmol/L未満に再定義することを検討すべきであるという議論も支持される」としている。

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PD-L1陽性転移TN乳がん1次治療のSG+ペムブロリズマブ、PFS2と後治療までの期間を改善(ASCENT-04)/ASCO2026

 ASCENT-04試験において、PD-L1陽性の転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療で、サシツズマブ ゴビテカン(SG)+ペムブロリズマブが化学療法+ペムブロリズマブより無増悪生存期間(PFS)を改善したことがすでに報告されている。今回、PFS2と後治療について解析した結果、化学療法+ペムブロリズマブ群からSG単剤療法へのクロスオーバー率が高かったにもかかわらず、PFS2はSG+ペムブロリズマブ群で長く、長期的なベネフィットが持続することが示唆された。また、最初と2番目の後治療までの期間はどちらもSG+ペムブロリズマブ群で長かった。米国・Winship Cancer Institute of Emory UniversityのKevin Kalinsky氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。・対象:PD-L1陽性(CPS≧10)で未治療(根治治療の完了から6ヵ月以上経過)の局所進行切除不能/転移TNBC患者・試験群:SG(21日サイクルの1、8日目に10mg/kg点滴静注)+ペムブロリズマブ(21日サイクルの1日目に200mg)221例・対照群:化学療法(パクリタキセルもしくはnab-パクリタキセルもしくはゲムシタビン+カルボプラチン)+ペムブロリズマブ 222例、病勢進行後SG単剤への変更を許容・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS[副次評価項目]全生存期間、BICRによる奏効率・奏効期間、安全性、QOL[探索的評価項目]PFS2、最初の後治療までの期間(TFST)、2番目の後治療までの期間(TSST)など 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2025年3月3日)時点で追跡期間中央値は14.0ヵ月であり、SG+ペムブロリズマブ群では43%、化学療法+ペムブロリズマブ群では23%が試験治療を継続していた。・治療中止例のうち何らかの後治療を受けたのは、SG+ペムブロリズマブ群が55%、化学療法+ペムブロリズマブ群が70%であった。SG+ペムブロリズマブ群では19%がADC(うち3例がSG)、化学療法+ペムブロリズマブ群では82%がADCの投与を受け、ほとんどがSGであった。両群共に3次治療を受けたのは14%と17%だった。・PFS2は、化学療法+ペムブロリズマブ群のクロスオーバー率が高いにもかかわらずSG+ペムブロリズマブ群で長く、PFS2中央値は、SG+ペムブロリズマブ群では未到達、化学療法+ペムブロリズマブ群で21.0ヵ月であり、層別ハザード比(HR)は0.67(95%信頼区間[CI]:0.48~0.95)であった。・TFST中央値はSG+ペムブロリズマブ群17.3ヵ月、化学療法+ペムブロリズマブ群9.8ヵ月であり、層別HRは0.59(95%CI:0.46~0.76)、TSST中央値はSG+ペムブロリズマブ群は未到達、化学療法+ペムブロリズマブ群21.0ヵ月であり、層別HRは0.82(95%CI:0.59~1.14)であった。 Kalinsky氏は、「これらの結果は、PD-L1陽性の転移TNBC患者の1次治療としてSG+ペムブロリズマブの併用投与をさらに支持するものである」と結んだ。

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介入効果を検討したコホート研究、約半数でアウトカム切り替え/BMJ

 介入の効果を検討したコホート研究のほぼ半数は根拠を示さずにアウトカムを変更し、そのほとんどが統計学的に有意な結果をもたらす方向への変更であることを、カナダ・Women’s College HospitalのZexing Song氏らが示した。治療介入に関する系統的レビューの3分の1以上には非無作為化研究(多くが観察コホート研究)が含まれ、その研究結果は無作為化比較試験の結果と統合されて実臨床の指針として活用される。コホート研究におけるアウトカムの切り替え(主要アウトカムが、事前に規定されたものと、結果の報告で異なること)はバイアスの要因となるが、その発生状況や特徴などは明らかでなかった。研究の成果は、BMJ誌2026年5月27日号で報告された。切り替えの発生を評価する縦断的メタ疫学研究 研究グループは、介入コホート研究におけるアウトカム切り替えの発生状況と特徴、その要因などの調査を目的に、縦断的メタ疫学研究を実施した(特定の助成を受けていない)。 レジストリ記録と学術誌に掲載された論文を調べ、介入の効果を検討したコホート研究を選出した。2014~16年に、研究開始日から1ヵ月以内にClinicalTrials.govに登録され、2024年までに査読付きの学術誌で結果が公表された研究を対象とした。 レジストリに登録された事前規定のアウトカムと、学術誌に掲載された結果報告のアウトカムを比較することで、アウトカムを切り替えた研究の割合を算出した。 アウトカムの不一致は、次の4つのカテゴリーに分類した。(1)欠落(事前に規定された主要アウトカムを報告していない)、(2)降格(事前に規定された主要アウトカムを非主要アウトカムとして報告)、(3)昇格(事前に規定された非主要アウトカムを主要アウトカムとして報告)、(4)新たな主要アウトカムの導入(事前に登録されていないアウトカムを主要アウトカムとして報告)。48%が切り替え、理由の説明は2件のみ 2015年1月~2024年10月に、査読付きの学術誌で結果が公表された124件の研究を解析の対象とした。このうち104件(84%)は北米および欧州の研究者が主導し、分野は循環器(23件[19%])、産婦人科(13件[10%])、神経科(12件[10%])が多かった。レジストリ記録の修正回数中央値は7回(四分位範囲[IQR]:4~11)で、3分の2の研究は企業以外からの助成のみを受けていた。 レジストリ記録の最新版で主要アウトカムの4要素(測定変数、分析指標、統合方法[各研究群のアウトカムを要約する統計量]、測定時点)を完全に事前規定していた研究は30件(24%)のみであった。 また、60件(48%)の研究で登録時と報告時のアウトカムが一致せず、切り替えを認めたが、その理由を説明していたのはわずか2件であった。 最も一般的な切り替えの形態は、欠落(32件[26%])と降格(32件[26%])であり、次いで新たな主要アウトカムの導入(25件[20%])、昇格(2件[2%])の順であった。77%が、有意な結果に切り替え 欠落以外のアウトカムの切り替え(=アウトカムの結果の報告)が行われた57件の研究のうち、44件(77%)では、有意な新たな主要アウトカムの導入または昇格により、あるいは非有意なアウトカムへの降格により、統計学的に有意な結果を優先していた。 一方、多変量ロジスティック回帰分析では、アウトカムの切り替えと有意に関連する研究特性は認めなかった。 著者は、「介入コホート研究では、アウトカムの切り替えや不適切な事前規定が頻繁にみられた。これらの変更の大部分は説明がつかず、統計学的に有意な結果を優先するものであった」とまとめ、「これらの知見は、研究者がアウトカムを事後的に選択して報告している可能性への懸念を招くものであり、アウトカム報告の透明性を高める必要性を強く示唆する」と指摘している。

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mHSPCへのADT+ARPI、休薬は可能か(A-DREAM)/ASCO2026

 転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対するアンドロゲン除去療法(ADT)とアンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)の併用療法は生存期間を延長する一方で、継続的な投与による累積的な毒性や医療費の負担が課題となっている。米国・Dana-Farber Cancer InstituteのAtish D. Choudhury氏らは、ADT+ARPIに良好な反応を示した患者を対象に、投与を休止することが可能かどうかを検討したA-DREAM(Alliance A032101)試験の結果を、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2026)で発表した。・試験デザイン:第II相単群試験・対象:ADT(18~24ヵ月)+ARPI(12ヵ月以上)の併用療法を受け、PSAが0.2ng/mL未満に低下・安定しているmHSPC患者・介入方法:ADT+ARPIの投与を休止し、3ヵ月ごとのPSA値およびテストステロン値測定、6ヵ月ごとのCT/MRIおよび骨シンチグラフィ(PSA値上昇がみられた場合は3ヵ月ごと)、QOL評価を実施※PSA 5ng/mL以上、画像所見上の変化(CT/MRIでのRECIST 1.1に基づく疾患進行[PD]、または骨シンチグラフィでのPCWG3に基づく未確定のPD)、あるいは前立腺がん関連症状が認められた場合は投与再開・評価項目:[主要評価項目]投与休止後18ヵ月時点で、テストステロン値が回復(≧150ng/dL)し投与休止を継続している患者の割合[副次評価項目]テストステロン値≧150ng/dLへの回復までの期間、投与休止期間、QOL[探索的評価項目]画像上の無増悪生存期間(rPFS)、全生存期間(OS)、費用 主な結果は以下のとおり。・2022年7月~2024年3月に患者登録が行われた。・登録患者78例のベースライン特性は、年齢中央値が70歳(範囲:49~90)、ADT+ARPI併用療法開始前のPSA中央値が18.99(5.04~6,759.00)、CHAARTED基準での高腫瘍量が35.1%、局所療法(前立腺全摘除術または放射線療法)歴なしが39.7%であった。・主要評価項目である「投与休止後18ヵ月時点で、テストステロン値が回復(≧150ng/dL)し投与休止を継続している患者の割合」は41.0%(80%信頼区間[CI]:33.1~48.9、片側p=0.0249)で、事前に設定された統計学的基準を満たした。なお、18ヵ月時点におけるテストステロン値が回復した患者は66.7%、投与休止を継続していた患者は57.7%であった。・追跡期間中央値26.9ヵ月時点で、38.5%が投与休止を継続し、プロトコルに従いADT+ARPIを再開した患者は37.2%であった。・投与休止期間の中央値は24.5ヵ月(95%CI:19.3~未到達)であった。・多変量解析の結果、低腫瘍量および転移部位に対する放射線療法歴ありの患者で、投与中止後にADT+ARPIの再開を含む抗腫瘍治療が必要となる可能性が低い傾向が示された。・rPFS中央値は未到達(95%CI:32.5~未到達)であり、24ヵ月時点のrPFS率は80.7%(95%CI:71.5~91.1)であった。OS中央値も未到達(95%CI:未到達~未到達)で、24ヵ月時点のOS率は96.0%(95%CI:91.7~100.0)であった。死亡は4例に認められたが、前立腺がんによる死亡は1例のみであった。 Choudhury氏は、「A-DREAM試験は主要評価項目を達成し、ADT+ARPI併用療法に良好な反応を示したmHSPC患者において、投与休止は妥当な選択肢となりうることが示された」とまとめ、「低腫瘍量や転移部位への放射線治療歴がある患者では、投与休止期間をより長くすることができる可能性が示唆され、最適な治療戦略についてはさらなる研究が必要」とした。

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EGFR L858R陽性NSCLC、エルロチニブ+ラムシルマブvs.オシメルチニブ(REVOL858R/WJOG14420L)/ASCO2026

 EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)のうち、L858R変異陽性例はexon19欠失例と比較してEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)への感受性が低く、予後不良である可能性が指摘されている。一方で、エルロチニブ+ラムシルマブの有用性を検討した国際共同第III相試験「RELAY試験」1)では、L858R変異陽性例における全生存期間(OS)中央値が52ヵ月であったことが報告され、EGFR-TKIへのラムシルマブの上乗せによりexon19欠失例と同等の予後が、L858R変異陽性例において得られる可能性が考えられた2)。 そこで、L858R変異陽性例を対象に、エルロチニブ+ラムシルマブ併用療法で治療を開始し、治療中にT790M変異が検出された場合にオシメルチニブへ移行する逐次治療戦略の有用性について、オシメルチニブとの比較により検討する国内第III相試験「REVOL858R試験」が実施された。その結果、エルロチニブ+ラムシルマブ後にオシメルチニブを投与する治療戦略は、初回オシメルチニブ単剤療法と比較して、治療戦略成功期間(TFS:Time to Failure of Strategy)を改善しなかった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、試験事務局を務めた原武 直紀氏(九州がんセンター 呼吸器腫瘍科)が結果を報告した。試験デザイン:国内第III相無作為化非盲検試験対象:未治療の進行または再発を有するEGFR遺伝子L858R変異陽性NSCLC患者試験群(エルロチニブ+ラムシルマブ群):エルロチニブ(150mg、1日1回)+ラムシルマブ(10mg/kg、2週ごと)→再生検またはリキッドバイオプシーによる遺伝子検査→T790M陽性例ではオシメルチニブ(80mg、1日1回)、T790M陰性例ではプロトコール治療を終了 116例対照群(オシメルチニブ群):オシメルチニブ(80mg、1日1回) 116例評価項目:[主要評価項目]TFS(治療開始からオシメルチニブで病勢進行または死亡まで、もしくはオシメルチニブ導入不可の場合は初回の病勢進行または死亡までの期間)[副次評価項目]OS、無増悪生存期間(PFS)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・患者背景は両群でおおむねバランスがとれていた。全体の年齢中央値は73歳、女性の割合は62%であった。ベースライン時に脳転移を有していた割合は29%であった。・主要評価項目であるTFS中央値は、エルロチニブ+ラムシルマブ群16.6ヵ月、オシメルチニブ群14.8ヵ月であり、エルロチニブ+ラムシルマブ群の有意な改善は認められなかった(ハザード比[HR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.78~1.38)。・TFSに関する事前に規定されたサブグループ解析でも、明確な治療効果の差が示される集団はみられなかった。・副次評価項目のOS(HR:0.98、95%CI:0.66~1.45)、PFS(同:1.08、0.81~1.44)も両群間に差はみられなかった。・安全性について、Grade3以上の有害事象は、エルロチニブ+ラムシルマブ群72%、オシメルチニブ群44%に発現し、エルロチニブ+ラムシルマブ群で多かった。治療中止に至った有害事象は、それぞれ36%、21%にみられた。一方で病勢進行による治療中止は、エルロチニブ+ラムシルマブ群で23%にとどまり、オシメルチニブ群では52%であった。・間質性肺疾患(ILD)は、エルロチニブ+ラムシルマブ群2%、オシメルチニブ群10%に認められ、エルロチニブ+ラムシルマブ群のほうが少ない傾向がみられた。・エルロチニブ+ラムシルマブ群でT790M変異の検査が実施された割合は41%で、T790M変異陽性は全体の13%にとどまった。 本結果について、原武氏は「オシメルチニブ群のPFS中央値(14.8ヵ月)は、FLAURA試験3)の報告(14.4ヵ月)と同様であったが、エルロチニブ+ラムシルマブ群のPFS中央値(14.9ヵ月)は、RELAY試験の報告(19.4ヵ月)よりも数値的に短かった」と指摘した。また「EGFR遺伝子L858R変異を有するNSCLCには、アンメットニーズが存在するため、今回のシークエンス治療の長期的なOSへの影響について、長期追跡が進行中である」とまとめた。 また、会場から今後の臨床現場におけるエルロチニブ+ラムシルマブ療法の役割を問われ、原武氏は「本試験はネガティブな結果であったことを考慮すると、EGFR遺伝子L858R変異を有するNSCLCの標準治療は、MARIPOSAレジメン(アミバンタマブ+ラゼルチニブ)もしくはFLAURA2レジメン(オシメルチニブ+化学療法)であると考える。ただし、エルロチニブ+ラムシルマブはILDの発現割合が低かったことを考慮すると、一部の患者でこのレジメンの恩恵を得られる可能性がある。恩恵が得られる患者集団を明らかにするため、追加のサブグループ解析やOSに関する長期追跡が進行中である」と述べた。

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精神疾患の疾病負担、その世界的現況:GBD 2023/Lancet

 「疾病、傷害、リスク要因に関する世界疾病負担(GBD)研究」2023年版では、375の疾病・傷害について調査が行われ、このうち12が精神疾患であった。オーストラリア・Queensland Centre for Mental Health ResearchのDamian F. Santomauro氏らMental Disorder Collaboratorsは、2023年の時点で、利用可能な医療資源の有無を問わず、すべての国・地域で精神疾患が大きな健康上の負担をもたらし、場合によっては、この負担は時間とともに増大し、人口集団間で不均等に分布していることを示した。研究の成果はLancet誌2026年5月23日号に掲載された。1990~2023年の有病率、疾病負担を評価 研究グループは、1990~2023年に、21の地域と204の国・領地、および社会人口統計学的指標(SDI:国や地域が開発段階のどこに位置するかの要約指標)の五分位別に、性別および年齢層ごとの精神疾患の有病率と疾病負担に関して評価を行った(ゲイツ財団などの助成を受けた)。 対象となった12の精神疾患は、不安障害、大うつ病性障害、気分変調症、双極性障害、統合失調症、自閉スペクトラム障害、行為障害(素行症)、注意欠如・多動症、神経性やせ症、神経性過食症、特発性発達性知的障害、その他のカテゴリーの精神疾患であった。 また、障害生存年数(YLD:健康損失を伴いながら生存した年数)と損失生存年数(YLL:早期死亡により失った年数)を評価し、障害調整生存年(DALY:早期死亡および障害により失われた健康年数)を算出した。1990年以降、全精神疾患が増加 2023年の世界の精神疾患の有病者数は11億7,000万例(95%不確実性区間[UI]:10億6,000万~13億1,000万)、人口10万人当たりの年齢調整有病率で1万4,210.7例(1万2,849.5~1万5,940.1)と推定され、1990~2023年に、有病者数が95.5%(95%UI:75.0~121.2)、年齢調整有病率が24.2%(11.4~41.4)増加したことが示された。 また、1990~2023年に、すべての精神疾患で有病者数が増加したが、年齢調整有病率が著しく上昇した疾患として、不安障害、大うつ病性障害、気分変調症、神経性やせ症、神経性過食症、統合失調症、行為障害(素行症)が挙げられた。2023年の全死因によるDALYの6.1%が精神疾患 2023年に世界全体で、性別および年齢を問わず精神疾患に起因するDALYは1億7,100万(95%UI:1億2,700万~2億2,800万)、年齢調整DALY率(/10万人)は2,070.5DALY(1,519.1~2,750.5)と推定された。 2023年に精神疾患は、全死因によるDALYの6.1%(95%UI:4.8~7.6)を占め、世界のDALYの5番目に多い原因となった(1990年の12位から上昇)。DALYはほぼ完全にYLDで構成されていた。また、2023年に精神疾患はYLDの最大の原因となり(1990年の2位から上昇)、全世界の全死因によるYLDの17.3%(95%UI:14.8~20.6)を占めた。 精神疾患によるDALYの主な原因は、不安障害(GBD原因階層レベル4の304の疾病・傷害のうち11位)、大うつ病性障害(同15位)、統合失調症(同41位)であった。全地域で精神疾患によるDALY率上昇 2023年の世界全体において、精神疾患の年齢調整DALY率(/10万人)は、男性(1,900.2、95%UI:1,399.8~2,510.8)よりも女性(2,239.6、1,643.7~3,014.1)で高く、年齢層別では15~19歳(2,617.3、1,850.6~3,696.8)でピークに達した。 2023年には、すべての地域で1990年と比較して精神疾患によるDALY率(/10万人)が上昇しており、国・地域別では、ベトナムの1,302.4(95%UI:952.7~1,683.7)から、オランダの3,555.8(2,661.9~4,715.0)までの幅があった。 また、SDIの五分位別のDALY率(/10万人)は、中SDIの1,853.0(95%UI:1,352.1~2,469.3)から、高SDIの2,184.1(1,606.1~2,890.3)の範囲であった。 これらのデータを踏まえて著者は、「とくに低所得国と中所得国において、より強力なサーベイランス体制が求められる。さらに、地域ごとの性別や年齢の違いに応じた早期治療や予防を通じて負担を軽減するために、より協調的で包括的な施策が必要である」と指摘し、「世界の人々、とりわけ最も脆弱な人たちの精神衛生上の要望に応えることは、選択ではなく義務である」と結んでいる。

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インフルワクチンによるアルツハイマー病リスク低下、高用量ワクチンでより有効

 高用量のインフルエンザワクチンは、高齢者におけるアルツハイマー病のリスクを低下させる可能性があるとする研究結果が報告された。高用量ワクチンを接種した高齢者は、標準用量ワクチン接種者と比べ、アルツハイマー病リスクが有意に低かったという。米国でのアルツハイマー病の患者数は2025年時点で700万人以上に上り、2050年までにこの2倍以上に増加すると予測されている。米テキサス大学ヒューストン健康科学センターの神経学教授であるPaul Schulz氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に4月1日掲載された。 この高用量ワクチンは、標準用量の約4倍のインフルエンザウイルス抗原を含んでいる。これまでの研究でも、インフルエンザワクチンの接種は未接種と比べてアルツハイマー病リスクを約40%低下させることが示されていたが、本研究では、高用量ワクチン接種者では、標準用量接種者と比べてアルツハイマー病リスクが有意に低いことが示された。ただし、この高用量ワクチンの存在は、医療従事者を含め、まだ広く知られていないとSchulz氏は指摘している。同氏は、「医師である自分ですら、高用量ワクチンの存在を知らなかったことに驚いた」とニュースリリースで述べている。 今回の研究では、高用量不活化インフルエンザワクチンを接種した12万775人の高齢者(平均年齢74.4歳、女性57.3%)と、標準用量不活化インフルエンザワクチンを接種した高齢者4万4,022人(平均年齢73.0歳、女性56.4%)を対象に、アルツハイマー病リスクを比較した。解析は、初回の接種群に基づいてその後の接種状況にかかわらず追跡するITT解析と、追跡中に他のインフルエンザワクチンを接種した場合に打ち切るPP解析の両方で行われた。 その結果、高用量ワクチン接種群では標準用量接種群と比べて、PP解析では接種後1~25カ月、ITT解析では接種後1~28カ月においてアルツハイマー病リスクが有意に低いことが示された。25カ月時点では、PP解析では185人、ITT解析では270人に高用量ワクチンを接種するとアルツハイマー病の発症が1人減ると推定された。また、このリスク低下は女性でより長期間にわたり認められ、PP解析では1~13カ月、ITT解析では1~17カ月にわたり有意差が認められた。一方、男性では、ITT解析で17~24カ月においてのみ有意差が認められ、PP解析ではいずれの期間でも有意差は認められなかった。 Schulz氏は、「本研究で、高用量ワクチンを接種した65歳以上の人を探し始め、最終的には数千人規模のデータを集めて、高用量と標準用量の接種効果を比較することができた。当然のことながらアルツハイマー病は加齢とともにリスクが高まるため、高齢者は検証に適しており、両者の違いを評価できた」と述べている。 ただし、この研究では、なぜインフルエンザワクチンがアルツハイマー病のリスク低下に寄与するのかは解明されておらず、因果関係を直接示すものではない。研究グループは、ワクチンがなぜアルツハイマー病の予防に効果があるのか、またなぜ高用量の方がより有効なのかを明らかにするために、さらなる研究が必要だとしている。

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第298回 医学部地域枠「9年勤務」の運用緩和へ、留学・子育てに配慮/厚労省

<先週の動き> 1.医学部地域枠「9年勤務」の運用緩和へ、留学・子育てに配慮/厚労省 2.「やせ薬」目的で拡散するマンジャロ、個人売買の監視強化/厚労省 3.外来医師過多区域で新規開業対応を強化、9医療圏を候補に提示/厚労省 4.出生率1.14で過去最低、周産期・小児医療の集約化議論へ/厚労省 5.外科医への退職強要で大津市民病院側に100万円支払い命令/大津地裁 6.私物PCとクラウド利用に警鐘、患者情報1,365件漏えいの可能性/藤田医大 1.医学部地域枠「9年勤務」の運用緩和へ、留学・子育てに配慮/厚労省厚生労働省は、医学部入試の「地域枠」について、卒業後に特定地域で原則9年以上勤務する現在の運用を見直す検討に入った。地域枠は、一般入試とは別に定員を設け、奨学金の貸与と引き換えに、卒後一定期間、都道府県知事が指定する医療機関などで勤務する仕組み。2025年度は医学部定員9,393人のうち1,847人と約2割をこの地域枠の学生が占めた。医師偏在対策の柱の1つだが、若手医師の20~30歳代は、専門医取得、海外留学、結婚・出産・育児、家族介護などの時期と重なる。10~18年度に地域枠で入学した4,917人のうち、入学時の条件を満たさなかった人は301人。その理由としては「個人的な理由」が最多だった。厚労省は有識者検討会で議論を進め、留学や専門医資格取得のための猶予期間、一時中断の柔軟化などを検討し、年内の取りまとめを目指す。地域枠をめぐっては、都道府県ごとの運用差も課題となっている。育児休業による中断は全都道府県で認められている一方で、留学は35、介護は31都道府県にとどまる。高知大学のように、臨床研修後の残り7年間を15年間のうちに終えればよいとする柔軟な制度や、自治医科大学のように卒業生同士の結婚に配慮し、一定条件で配偶者の出身都道府県勤務を認める例もある。山梨県では、県内勤務を条件に修学資金返還を免除する制度について、条件を満たさない場合に最大約842万円を求める違約金条項を廃止する方針が示された。同条項をめぐっては、消費者機構日本が差し止めを求め、甲府地裁が今年1月に「平均的な損害を超え不当」として差し止めを命じていた。県は控訴していたが、制度を見直し、県による面接、在学中の地域医療実習、勤務年数に応じた段階的な返還免除、貸与額の引き上げなどを導入する。地域医療を支える制度の実効性を保ちつつ、18歳時点の選択で30代までのキャリアを過度に拘束しない制度設計が問われている。 参考 1) 医師の「地域枠9年」緩和 厚労省検討 医学部入試 留学・子育てに配慮(日経新聞) 2) 山梨県 医師確保のための「地域枠」制度 違約金条項を廃止へ(NHK) 3) 山梨県が医学部の修学資金制度を見直し、「違約金」を廃止(朝日新聞) 4) 山梨、医師修学資金貸与の違約金を廃止 裁判踏まえ見直し(毎日新聞) 2.「やせ薬」目的で拡散するマンジャロ、個人売買の監視強化/厚労省糖尿病治療薬チルゼパチド(商品名:マンジャロ)をダイエット目的で使用したり、SNSで個人間売買したりする動きが広がっているとして、厚生労働省が注意喚起と監視を強化する。上野 賢一郎厚生労働大臣は6月5日の閣議後の会見で、「マンジャロを個人間で売買することは違法」と明言。都道府県など関係機関と連携し、SNSを含むネットパトロールを強化し、法違反には厳正に対処する考えを示した。マンジャロは米・イーライリリーが開発したGIP/GLP-1受容体作動薬で、国内では2型糖尿病において効能・効果で承認され、医師の処方のもとで使用されている。その一方で、食欲を抑える作用が注目され、美容・ダイエット目的での使用を勧めるSNS投稿や美容クリニックの広告が拡散している。上野厚労相は「糖尿病治療以外で使用した場合の安全性、有効性は確認されていない。思わぬ副作用につながる可能性も否定できない」と述べ、適正使用を呼びかけた。6月2日には、大阪府警がマンジャロをSNS経由で無許可販売したなどとして、大阪府・奈良県の20~30代の男女3人を医薬品医療機器法(薬機法)違反の疑いで書類送検した。薬機法は、許可を受けていない者が業として医薬品を販売することを禁じており、違反すれば3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象となる。処方箋医薬品であるマンジャロは、許可業者であっても処方箋なしには販売できない。また、販売目的で保管する「貯蔵」も処罰対象となり得る。購入しただけの人を直接処罰する規定はないとされるが、余った薬を友人に有償で譲ったり、SNSで転売したりすれば無許可販売に問われる可能性がある。さらに、正規ルート外で入手した医薬品は偽造品や不適切な温度管理のリスクがあり、重い副作用が出ても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる。医療者には、マンジャロが単なる「やせ薬」ではなく糖尿病治療薬であることを患者に説明し、安易な個人売買や自己判断での使用を避けるよう啓発する姿勢が求められる。 参考 1) マンジャロ個人間売買、厚労相「法違反は厳正に対処」 注意喚起強化(朝日新聞) 2) 糖尿病治療薬「マンジャロ」上野厚労相が適正な使用を呼びかけ(NHK) 3) 厚労相「法違反、厳正に対処」 マンジャロ個人売買の横行受け(毎日新聞) 4) 「やせ薬」危険な個人売買 糖尿病薬「マンジャロ」取引横行 許可なくSNSで販売疑い異例の立件(同) 5) マンジャロ無許可販売で書類送検、買う側には「罰則なし」? それでも弁護士が購入を勧めないワケ(弁護士ドットコム) 3.外来医師過多区域で新規開業対応を強化、9医療圏を候補に提示/厚労省厚生労働省は、2027年度から始まる第8次医療計画後期に向け、「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」を都道府県に通知した。今回の見直しは、都市部など診療所医師が集中する地域で新規開業への対応を強める一方で、医師不足地域では診療所の承継・開業支援を進めるもので、外来医療における偏在策が具体化しつつある。ガイドラインでは、外来医師偏在指標と可住地面積当たり診療所数を基に、とくに外来医師が多い「外来医師過多区域」の候補として、東京・区中央部、区西部、区西南部、区南部、区西北部、京都・乙訓、大阪市、福岡・糸島、神戸の9つの2次医療圏を提示した。外来医師過多区域では、無床診療所の新規開設希望者に対し、原則として開設6ヵ月前までの事前届出を求める。届出では、夜間・休日の初期救急、在宅医療、発熱外来、学校医・予防接種、警察医会への協力など、地域で不足する医療機能を担う意向の有無や内容を示す必要がある。要請や勧告に従わない場合には、内容の公表に加え、保険医療機関の指定期間を通常より短縮する対応も想定される。その一方で、制度は一律の開業抑制ではない。親の死亡に伴う急な診療所承継や、自治体の求めに応じて地域外来医療を担う場合などは、事前届出の猶予・免除の対象となり得る。また、診療所の全医師が育児や介護で夜間・休日対応ができない場合など、地域で不足する医療機能を担えない「やむを得ない事情」も例示された。医師不足地域では、国と都道府県による診療所の承継・開業支援が始まっている。2024年度補正予算で102億円、2026年度当初予算で20億円が措置され、施設整備、医療機器購入、職員給与や材料費などの運営経費を支援する。青森県では県内全6つの2次医療圏を重点医師偏在対策支援区域に定め、2025年度に19診療所が交付対象となった。承継10施設、新規開業9施設で、内科に加え産科や小児科の開業も含まれた。県内診療所数の減少幅は緩やかになっており、県や医師会からは支援事業を評価する声が出ている。外来医療の偏在対策は、開業の自由と地域に必要な医療機能の確保をどう両立させるかが焦点となる。都市部では新規開業医に地域で不足する医療機能への協力を求め、医師不足地域では経済的支援で承継・開業を後押しする「要請と支援」の両輪が動き出した。今後は、地域医療構想、かかりつけ医機能報告、外来機能報告のデータを活用しつつ、長期的な財源確保と、地域ごとの実効性ある協議が問われる。 参考 1) 外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン~第8次(後期)~」について(厚労省) 2) 開業規制の医師過多区域、5都府県の9圏域候補 国がガイドラインで示す(CB news) 3) 第8次後期外来医療計画のGLを通知、外来医師過多区域の取り組みを記載-厚労省(日本医事新報) 4) 第8次後期の外来計画でGL 過多区域の「特例」示す(MEDIFAX) 5) 重点区域の診療所支援、偏在是正に一定の効果 「長期的な財源確保」を(同) 4.出生率1.14で過去最低、周産期・小児医療の集約化議論へ/厚労省厚生労働省が公表した2025年人口動態統計(概数)で、わが国の出生数は前年比1万4,937人減の67万1,236人となり、10年連続で過去最少を更新した。合計特殊出生率は1.14で、3年連続の過去最低となった。出生数の減少率は2.2%と、近年の5%台からは縮小したが、死亡数158万9,489人との差である自然減は91万8,253人に達し、19年連続の人口減少となった。婚姻件数は48万9,119組で2年連続増加したが、この10年では14万組余り減っており、少子化の基調は変わっていない。都道府県別の出生率は、沖縄1.52、宮崎1.46、福井1.45が高く、東京0.96、北海道・宮城1.00と低かった。関東以北で低く、西日本で高い「西高東低」の傾向がみられた。この背景には、所得・雇用の不安定さ、出会いの少なさ、子育て費用、仕事と育児の両立困難、固定的な性別役割分担意識の地域差など、複数の要因が絡むとされる。政府は児童手当の拡充、子供誰でも通園制度、育児休業給付の充実、出産費用無償化などを進めるが、尾崎 正直官房副長官は「少子化に歯止めがかかっていない」との認識を示している。医療現場への影響はすでに顕在化している。国内の分娩取扱施設は2006年の3,098施設から2025年には1,856施設へ約4割減少し、診療所は初めて1,000施設を下回った。埼玉県本庄市では地域最後の分娩施設が少子化による経営難などを理由に分娩を休止し、妊婦健診は地域診療所、分娩は近隣施設で担うセミオープン型へ移行した。小児医療でも、低出生体重児や小児外科症例の減少により、NICU・GCUの空床、専門医・指導医育成の症例確保、こども病院の赤字が課題となっている。NICUは出生1万人当たり46.2床と、かつての整備目標を大きく上回る一方で、GCUの病床利用率が50%未満の地域周産期母子医療センターも多い。第9次医療計画に向けて、国は周産期・小児医療の病床数見直し、集約化、都道府県を越えた広域連携の検討を始める。少子化は単なる人口政策ではなく、分娩、小児救急、NICU、小児外科、思春期医療まで含む医療提供体制の再編問題である。安全性を維持しながら、患者・家族の移動負担や地域アクセスをどう支えるかが、今後の医療政策の焦点となる。 参考 1) 人口動態統計月報(概数)(令和7(2025)年12月分(年計を含む))(厚労省) 2) 13県で出生率上昇も…少子化に歯止めかからず 対策の拡充不可避 令和7年人口動態統計(産経新聞) 3) 出生率1・14、過去最低を更新 出生数は最少の67万人 令和7年人口動態統計(同) 4) 閉じる分娩施設、減る小児の症例数 世界最高水準を誇る医療の未来は(朝日新聞) 5) 少子化で経営成り立たず 地域最後のお産休止、空床増えるこども病院(同) 6) 去年の出生数67万人 過去最少 少子化対策ポイントは(NHK) 5.外科医への退職強要で大津市民病院側に100万円支払い命令/大津地裁大津市立大津市民病院に勤務していた外科医3人が、業績不振を理由に退職を強要され、パワーハラスメントを受けたとして、病院を運営する地方独立行政法人や前理事長、前院長に慰謝料や未払い退職金など計約2,900万円の支払いを求めた訴訟で、大津地裁は6月5日、原告のうち1人に対する退職強要を認め、病院側に慰謝料100万円の支払いを命じた。パワハラについては3人とも認めず、残る2人への退職強要も否定した。判決によると、前理事長らは2021年4~9月、外科などの業績不振を理由に「改善の兆しが見えないということで決断せざるを得ない」などと発言。同年9月の面談では、元副院長に対し、「外科の医師には退職してもらい、別の大学のチームに来てもらうよう頼む」趣旨の発言をした。田野倉 真也裁判官は、外科の経営低迷が元副院長らの責任とは認められないにもかかわらず、退職を求めた言動は「社会通念上相当と認められる退職勧奨の範囲を超えた」と判断。自由な退職意思の形成を妨げる退職強要に当たるとして、精神的苦痛と退職を余儀なくされたことへの慰謝料を認めた。その一方で、残る2人の医師については、問題となった面談に出席しておらず、前理事長らの意向を元副院長から伝えられたに過ぎないとして、退職を強要されたとは評価できないとした。また、原告側が主張したパワハラについても、3人いずれについても認定しなかった。前理事長が元副院長に対して名誉毀損を理由に550万円を求めた反訴も棄却された。今回の判決は、病院経営の改善や診療科再編を理由とする人事対応であっても、特定医師に退職を既定方針として繰り返し伝える行為は、適法な退職勧奨の範囲を超え得ることを示した。医師不足や経営悪化を背景に診療体制の見直しを迫られる医療機関では、業績評価の根拠、面談記録、本人の自由意思の確保、配置転換や業務改善の選択肢提示など、手続きの透明性が一層問われる。 参考 1) 大津市民病院の損賠訴訟 退職強要認め100万円支払命令 地裁判決(産経新聞) 2) 「退職の決定」何度も通知するパワハラ…市立病院側に医師1人に100万円の支払い命じる判決(読売新聞) 3) 大津市民病院の前理事長ら、医師に退職強要 100万円の損害賠償支払い命令、大津地裁(中日新聞) 6.私物PCとクラウド利用に警鐘、患者情報1,365件漏えいの可能性/藤田医大藤田医科大学病院は、6月3日に看護師の私物パソコン(PC)に保存されていた患者情報1,365件が外部に漏えいした可能性があると発表した。対象は、末期腎不全、腹膜透析、腎代替療法指導を受けた一部患者で、氏名、性別、生年月日、患者ID、病名、転帰、入退院日、検査データなどが含まれる。現時点で不正利用は確認されていないが、病院は対象患者への謝罪と経過報告、相談窓口の設置、全職員研修、個人情報の取扱実態調査を進める。今回の事案で注目すべきは、病院本体の電子カルテが直接侵害されたのではなく、職員が規定に反して患者情報を私物PCに保存し、自宅でサポート詐欺型の不正侵入を受けた点である。看護師は学会発表資料の作成などを目的に、2020年ごろからクラウドを介して患者情報を私物PCと共有していた。5月25日、自宅でウェブサイトを閲覧中に偽の警告画面が表示され、表示された連絡先やURLに応じた結果、第三者による遠隔操作を受けたとみられる。その後、ウイルス駆除名目の金銭請求、身に覚えのないクレジット請求、携帯電話アカウント変更通知などがあり、専門業者からサポート詐欺と情報漏えいの可能性を指摘された。医療機関のサイバー対策は、ランサムウェア対策のみを想定すれば足りる段階ではなくなっている。偽警告、遠隔操作、クラウド同期、私物端末、学会・研究用データの持ち出しが組み合わされば、重大な個人情報漏えいにつながる。とくに、匿名化が不十分な症例リストや検査データ、紹介状、退院サマリーを、発表準備や在宅作業のために個人端末へ移す運用は、診療所でも起こり得る。厚生労働省は5月29日に開かれた「医療等情報利活用ワーキンググループ」で示した「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版(案)」は、病院だけでなく、一般診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護ステーション、介護事業者も対象とする。医療情報を保存するシステムに限らず、医療情報を扱う情報システム全般が対象であり、私物PCやクラウド利用も管理外ではなくなっている。さらに令和8年度版チェックリスト案では、二要素認証、パスワード要件、端末・サーバ・ネットワーク機器の台帳管理、アクセス権限管理、USBなど外部記録媒体の制限、不要ソフトの停止、インシデント時の連絡体制、サイバー攻撃を想定した事業継続計画(BCP)の策定が重視されている。まず、クリニックなどでも「患者情報をどの端末、クラウド、USB、メールに置いているか」を確認し、私物PC端末への保存禁止、学会・研究用データの匿名化手順、クラウド共有の承認制、偽警告が出た際に電話しない・URLを開かないなどのセキュリティ教育が必要となる。サイバー対策はもはや医療情報システム部門だけの課題ではなく、診療情報の持ち出しルールと緊急時対応を明文化するなど、医療機関の経営者にとって重要な課題になっている。 参考 1) 個人情報漏洩に関するご報告とお詫び(藤田医科大病院) 2) 第32回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ(厚労省) 3) 患者情報1,365件漏えいか 藤田医科大病院 相談窓口設置へ(読売新聞) 4) 藤田医科大病院で1,300件超の患者情報漏えい 私物PCでサポート詐欺被害(CB news) 5) 藤田医大病院 私用パソコンに保存 患者の個人情報流出か(NHK)

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【GET!ザ・トレンド】循環器内科医が救う、筋ジストロフィー患者の予後

はじめに:筋肉の病気の予後は、「心臓」が握っているベッカー型筋ジストロフィー(BMD)は、ジストロフィンタンパク質が完全に欠損するデュシェンヌ型(DMD)とは異なり、機能を保持したタンパク質が一部存在するため、長年その「軽症型」と位置づけられてきた。しかし近年の研究により、遺伝子変異とフェノタイプ(臨床症状)の相関が解明されるにつれ、その極めて多様な臨床像が明らかとなってきている。特筆すべきは、骨格筋症状は軽微であるにもかかわらず、心筋症が先行して重症化する症例が少なくないという事実だ。こうしたBMDの病態解明に、モデルマウス研究や自然歴調査等を通じて尽力している、独立行政法人国立病院機構まつもと医療センターの中村昭則氏に話を伺った。同氏によれば、運動機能が良好なために筋疾患の存在が隠れ、成人後に「原因不明の心不全」として循環器内科を初診するケースがあるという。そして彼らの予後を支える鍵は、骨格筋の評価以上に、循環器内科医による早期の心不全管理にある、と語る。骨格筋症状を追い越す心筋症:「急激な進行」という現実BMD診療において、中村氏が最も警鐘を鳴らすのは、骨格筋症状の影に隠れた心不全リスクである。「過去には、骨格筋の異常が軽微であったにもかかわらず、10~20代という若さで、心不全によってともに帰らぬ人となったご兄弟のBMD患者さんがいました」と中村氏は語る。これは、骨格筋の経過に比して心筋病変の進行が先行した結果だという。運動機能が保たれていることは、決して心臓の安全を保証しない。BMDにおける骨格筋の「軽症感」が、心臓の致命的なリスクを覆い隠す事実は、「極めて重要なピットフォールに他ならない」と中村氏は指摘する。循環器内科医の視点:その「気づき」が、患者の命をつなぎ止める中村氏によれば、BMDの病態スペクトラムは驚くほど広く、そこには循環器内科の先生方にこそ知っていただきたい2つの「心筋先行型」のパターンが存在するという。1つは「運動能力の差」に紛れるケースである。幼少期から「足が遅い」「疲れやすい」といった軽微な骨格筋症状は存在するが、それが病態として認識されず、個人の資質や運動能力の差として処理されてしまうパターンである。成人後、心不全の精密検査をきっかけに、潜在していた骨格筋症状と結びつき、初めてBMDの診断に至る。もう1つは、「心不全」が独走するケースである。明らかな骨格筋障害を認めず、心筋症のみが病態の前面に押し出されるパターンで、身体が良好に動くため、医師も患者も「筋肉の病気」という選択肢を想起しにくい。そのため、「原因不明の心筋症」として治療される中で、ジストロフィン異常症という背景が見落とされ、診断の遅れにつながりやすい。こうした潜在的な症例を早期に捉えるために、原因不明の心不全や心筋肥大を呈する若年男性において、たとえ歩行能力に問題がなくとも、「CK値(クレアチンキナーゼ)」の確認をぜひ検討いただきたい、と中村氏は呼びかける。この1歩が、不可逆的な心筋線維化が進行する前の「適切なタイミング」での介入を可能にするといい、「そのタイミングを掴めるのは、循環器内科の先生方をおいて他にいません」と力を込める。家族を診る視点:母親もまた「心筋症リスク」の当事者である患者を支える家族への配慮も、BMD診療においては極めて重要である。特に見過ごされがちなのが、患者の「介護を担う母親」自身が、加齢とともに心筋症を発現するリスクを抱える当事者であるという点だ。母親が女性ジストロフィン異常症(保因者)である場合、息子(患者)の診断をきっかけに、母親の潜在的な心機能異常にも目を向ける必要がある、と中村氏は指摘する。また、母親は「息子に遺伝させてしまった」という深い心理的葛藤を抱えながら、日々のケアを担っていることが多い。その背景には、単なる筋肉の症状に留まらない複雑な困難も存在する。ジストロフィンは脳内にも発現しているため、患者が学習障害や注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)を合併する場合がある。しかし、「筋ジストロフィーは筋肉だけの病気である」という誤解から、これらが教育現場などで単なる「怠慢」や「本人の性格」として処理されてしまい、患者やその家族が孤立してしまう社会的困難も見受けられるという。「こうした家族全体の負担を理解し、身体的・精神的双方から包括的にケアしていく視点が今、求められています」と中村氏は語る。創薬の最前線:BMD研究がジストロフィン異常症治療の未来を拓くかつて「根本的な治療法がない」とされたBMDの状況は、今、確実に変わりつつある。国内では神経筋疾患患者レジストリ「Remudy(レムディ)」1)や臨床試験ネットワークの整備が加速しており、適切な診断がなされれば、将来的な治験の案内や研究情報へとつながるプラットフォームが整いつつある。現在、世界的には重症型であるDMD(デュシェンヌ型)の治療開発が先行しているが、そこでBMDの精緻な病態解明が果たしている役割は極めて大きい。例えば、DMDの遺伝子治療において鍵となる「機能的なジストロフィンタンパク質の最小構造(マイクロジストロフィン)」などは、軽症BMD患者の遺伝子変異の解析がきっかけで見出され、開発へとつながったものだ。このように、BMDの分子病態から得られる知見は、DMDの治療開発にも不可欠なエビデンスを供給し続けており、ジストロフィン異常症全体の予後を改善するための「最前線」を担っていると言っても過言ではない。また、日本筋ジストロフィー協会2)および同協会内のベッカー型筋ジストロフィー分科会3)といった患者会組織との緊密な連携により、当事者の切実な声を反映した研究開発への理解も深められている。「将来的にBMD特有の治療法が確立され、それが真に効果を発揮するためには、早期診断によって心機能を守り、患者の全身状態を良好に維持しておくことが、我々すべての医師に託された“治療への基盤作り”になります」と中村氏は語る。結びに:診療科の枠を越えBMDを「管理可能な疾患」へBMD診療において最も重要なのは、診療科の枠を越えた連携、とりわけ循環器内科による早期の心保護介入である。「筋肉の病気だから脳神経内科」、「子どもの病気だから小児科」、と完結させるのではなく、特に循環器内科の専門性が介入することで、BMDは初めて「予後を管理可能な疾患」へと進化する。中村氏は「人間対人間として、患者さんならびに家族と信頼関係を築き、診療科の枠を越えシームレスに患者を支え続ける体制こそが重要」と語る。患者さんが生涯を通じて自分らしい生活を全うできるよう、診療科の枠を越えた積極的な関わりと相互協力が今、期待される。(ケアネット 三浦 愛子) 参考 1) 神経筋疾患患者登録Remudy 2) 日本筋ジストロフィー協会 3) ベッカー型筋ジストロフィー分科会

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英語で「歯肉炎」、患者に説明するには?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第63回

医学用語紹介:歯肉炎 gingivitis「歯肉炎」について説明する際、患者さんに何と伝えればよいでしょうか? 専門用語のgingivitis(発音はジンジャヴァイティス)は歯磨き粉のCMなどで耳にする機会もあるため、ある程度の認知度はありますが、正確な意味を理解している方は少ないかもしれません。では、何と言い換えればよいでしょうか?講師紹介

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高齢者の前立腺がん疑い、本当にすぐに検査すべき?【高齢者がん治療 虎の巻】第9回

講師紹介<今回のPoint>高齢者のPSA高値では、前立腺がんの早期発見という利益だけでなく、前立腺生検の負担や過剰診断の不利益も考える必要がある。PSAが軽度〜中等度に上昇している場合には、PHIなどのバイオマーカーやMRIを活用することで、前立腺生検に進むべきかをより慎重に判断できる可能性がある。高齢者では、期待余命、フレイル、併存疾患、患者の価値観を踏まえたshared decision making(SDM)が重要である。<症例>78歳、男性。検診でPSA 6.9ng/mLを指摘され、クリニックを受診。一昨年に狭心症発作に対して冠動脈ステント留置術を受けており、糖尿病、高血圧の薬に加えて抗血小板薬を内服している。PSA高値について総合病院での精査を提案すると、「症状なんて何にもない。おしっこの悩みもないのに、精密検査は絶対に受けなければならないのか?」と話され、精査については躊躇される気持ちがあった。この患者に対して、すぐに侵襲的な検査である前立腺生検を勧めるべきでしょうか。それとも、患者と相談し、慎重に経過をみることを選択肢に持つべきでしょうか。“PSA高値=すぐ前立腺生検”でよいのか?PSA検査と、それに続く前立腺生検の目的は、前立腺がんを見つけて、必要な患者を根治に導くことです。しかし、高齢男性においては、「がんを見つけること」そのものが、必ずしも患者の利益につながるとは限りません。PSAスクリーニングの有効性を示した代表的な試験として、欧州で行われたERSPC trialがあります1)。この試験では、PSAスクリーニングにより前立腺がん死亡リスクが低下することが示されました。しかし、この16年間の追跡結果では、前立腺がん死を1人減らすためには570人にスクリーニングを行い、18人の前立腺がんを診断する必要があると報告されています。この数字を見ると、PSA検査には確かに意義がある一方で、多くの方が検査や精査の対象となることがわかります。とくに高齢者では、前立腺がんを見つける利益だけでなく、検査による負担や過剰診断の不利益もあわせて考える必要があります。さらに、PSA高値の患者に対して行われる前立腺生検は、決して無害な検査ではありません。血尿は4〜66%、直腸出血は1〜37%、発熱は0.6〜17%に認められると報告されています。多くは軽微ですが、膀胱洗浄を要する血尿は0.4%、処置を要する直腸出血は0.3%、敗血症は0.1〜3.1%とされており2)、まれながら重篤な合併症も起こり得ます。高齢者では、一度の感染や入院をきっかけにADLが低下することもあります。抗血小板薬や抗凝固薬を内服している患者では、出血リスクへの配慮も必要です。したがって、高齢者のPSA高値をみたときには、前立腺生検へ進む前に、その検査によって「本当に患者にとって利益が得られるものなのか」を一度立ち止まって考えることが大切です。高齢者では「見つけること」の不利益も考える前立腺がんには、生命予後にほとんど影響しない、いわゆる“おとなしいがん”が少なくありません。剖検研究では、ラテント前立腺がんの頻度は加齢とともに上昇し、80歳以上では約6割に認められると報告されています3)。高齢者に対するPSA検査や前立腺生検は、このような臨床的に問題とならないがんまで見つけてしまう可能性があります。ここで問題になるのが過剰診断です。過剰診断そのものは患者に症状を起こさないかもしれませんが、いったん「がん」と診断されると、不安や医療機関受診の負担、さらには将来的な過剰治療へつながることがあります。前立腺がん診療では、次回(前立腺がんに対する監視療法)で述べるように過剰治療への懸念もありますが、その前段階として「調べすぎ」「見つけすぎ」も高齢者では重要な課題です。もちろん、これは「高齢者には前立腺生検をすべきではない」という意味ではありません。臨床的に重要な生命予後に関わる前立腺がん(significant cancer)が疑われる患者では、適切な検査を進める必要があります。重要なのは、すべての前立腺がんを早期に見つけることではなく、転移性がんやsignificant cancerを見逃さず、一方で不必要な生検や過剰診断を減らすことです。PSAだけで判断せず、新規バイオマーカーとMRIも活用するこのような利益と不利益のバランスを考えるうえで、PSA値だけで判断するのではなく、PHI(Prostate Health Index)などの新規バイオマーカーやMRIを組み合わせて評価するという考え方もあります。とくにPSAが軽度〜中等度に上昇している高齢者では、すぐに前立腺生検へ進むのではなく、泌尿器科専門医のもとでリスクを段階的に評価し、前立腺生検が本当に必要かを患者と相談しながら判断することが重要です。PHIは、PSA高値患者における臨床的に意義のある前立腺がん、すなわちsignificant cancerのリスク評価に役立つ指標です4)。PHIが27未満の場合、91%が非がんまたはGleason score 6以下であったと報告されています5)。一方で、PHIが36以上ではGleason score 7以上のsignificant cancerのリスクが高まるとされています6)。これらの報告を踏まえると、PSAが軽度に上昇している高齢者、とくに複数の併存疾患を有しているケースでは、PHIが低い場合には慎重なPSAフォローを選択し、PHIが高い場合にはMRIなどの追加評価を検討するという段階的な考え方が成り立ちます。この段階的な評価において、MRIは前立腺生検へ進むべきかを判断するうえで重要な役割を担います。PI-RADSに基づくMRI評価は、significant cancerの検出を高める一方で、生命予後に大きく影響しにくい前立腺がんの過剰診断を減らすことにも役立ちます7)。PROMIS trialでは、significant cancerの検出において、mpMRIの感度は93%、特異度は41%、陰性的中率は89%と報告しています8)。また、MRIを先行することで約27%の患者が前立腺生検を回避でき、生命予後に大きく影響しにくい前立腺がんの診断を減らしながら、significant cancerの検出精度を高められる可能性が示されました。したがって、PSAが軽度〜中等度に上昇している高齢者では、「PSA高値だからすぐ生検」ではなく、PHIなどの新規バイオマーカーでリスクを見積もり、必要に応じてMRIを行い、その結果を踏まえて前立腺生検を検討するという段階的なアプローチも選択肢の1つとなり得ます。高齢者のPSA高値で考えるポイントさらに、高齢者のPSA高値を見たとき、最初に考えるべきことは「前立腺がんがあるか」だけではありません。期待余命はどのくらいかフレイルや認知機能低下はないか併存疾患や内服薬はどうか仮に前立腺がんが見つかった場合、生検やその後の治療に耐えられるか患者本人はどこまで検査や治療を望んでいるかこれらを踏まえたうえで、PHIやMRIを活用し、前立腺生検へ進むべきかを患者と相談しながら判断することが大切です。PSA値に応じて考える、高齢者への段階的アプローチ高齢者にPSA検査を行った後の対応としては、次のような段階的アプローチもあります。<PSA 4ng/mL未満の場合>日本泌尿器科学会の検診ガイドラインの考え方を参考に、PSA値に応じて1〜3年ごとの再検を検討します。ただし、再検を勧める際にも、その時点での期待余命やフレイルを再評価することが大切です。(図1)PSA<4ng/mLのフォローアップ戦略画像を拡大する<PSA 4〜10ng/mL、軽度PSA高値の場合>PHIでリスク層別化を行い、PHI高値であればMRIを検討します。MRIでPI-RADS3以上の病変があれば前立腺生検を考慮し、PI-RADS2以下で臨床的な疑いが低い場合にはPSAフォローを継続する、という流れも一つの選択肢になります。(図2)PSA 4〜10ng/mLに対するフォローアップ戦略画像を拡大する<PSA 10〜20ng/mL、中等度PSA高値の場合>MRIをより積極的に検討し、MRI所見やPSAの推移、患者の全身状態を踏まえて前立腺生検の要否を判断します。(図3)PSA10〜20ng/mLに対するフォローアップ戦略画像を拡大するもちろん、これらはあくまで一つの考え方であり、すべての患者に機械的に当てはめるものではありません。大切なのは、前立腺生検を避けること自体が目的なのではなく、本当に生検が必要な患者を見極めることです。終わりに高齢者の前立腺がん疑いでは、PSA高値をみたときにすぐ前立腺生検へ進むのではなく、期待余命、フレイル、併存疾患、患者の価値観を踏まえて、検査の利益と不利益を慎重に考える必要があります。PHIなどの新規バイオマーカーやMRIを活用し、significant cancerを見逃さず、不必要な前立腺生検や過剰診断を減らすことが重要です。高齢者のPSA高値では、患者と相談しながら、一人ひとりに合った検査戦略を考えることが大切です。 1) Hugosson J, et al. Eur Urol. 2019;76:43-51. 2) 日本泌尿器科学会編. 前立腺がん検診ガイドライン2018年版. 2018. p.111-116. 3) Bell KJL, et al. Int J Cancer. 2015;137:1749-1757. 4) Catalona WJ, et al. J Urol 2011;185:1650-1655. 5) Tosoian JJ, et al. Prostate Cancer Prostatic Dis. 2017;20:228-233. 6) White J, Shenoy BV, et al. Prostate Cancer Prostatic Dis. 2018;21:78-84. 7) 高橋 哲. 臨床泌尿器科. 2022;76:770-777. 8) Ahmed HU, et al. Lancet. 2017;389:815-822.

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「多発性骨髄腫の診療指針 2026 Update」(日本骨髄腫学会/ケアネット共催プログラム)【アーカイブ配信】

日本骨髄腫学会 理事 尾崎 修治氏日本骨髄腫学会編「多発性骨髄腫の診療指針 第6版」作成委員長 尾崎 修治氏より最新の臨床試験結果や治療アルゴリズムの変更点をご解説いただきます。※本企画は、日本骨髄腫学会/ケアネット共催Web講演会のアーカイブ配信です。

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統合失調症スペクトラム症に最適な抗精神病薬の投与量は?

 急性期の統合失調症スペクトラム症に対する最適な抗精神病薬の用量に関する研究が進められている。しかし、依然として不明点が多く残存している。ドイツ・ミュンヘン工科大学の古川 由己氏らは、急性期統合失調症における抗精神病薬の用量反応関係を明らかにするため、2段階アプローチよりも多くの情報を活用した1段階用量反応メタ解析を実施した。EClinicalMedicine誌2026年3月26日号の報告。 2025年1月13日までのCochrane Schizophrenia Groupレジストリーおよび2026年1月19日までのPubMedより、成人および小児・青年の急性期統合失調症患者を対象に、20種類の抗精神病薬を固定用量で検討した研究を検索した。主要アウトカムは、標準化平均差(SMD)を用いて要約した全般的な統合失調症症状とした。各薬剤を個別またはすべての薬剤をまとめて解析する、制限付き3次スプラインを用いた1段階ランダム効果用量反応メタ解析を実施した。エビデンスの確実性は、GRADEを用いて評価した。研究には、当事者経験者は参加しなかった。 主な結果は以下のとおり。・131件の研究(参加者:4万715例)を解析対象とした。・成人の平均年齢は39.24歳、女性の割合は31.8%。小児・青年の平均年齢は15.68歳、女性の割合は45.1%であった。なお、人種、民族に関するデータは入手不可であった。・急性増悪の統合失調症患者において、ほとんどの抗精神病薬の全般的症状に対する用量反応曲線は双曲線状であり、承認されている低用量から中用量の範囲、すなわちリスペリドン換算3~5mg付近でプラトーに達していた。・amisulpride、ブロナンセリン、cariprazine、クロザピン、ハロペリドール、lumateperone、ziprasidoneの用量反応関係に関するエビデンスの確実性は、低~非常に低いであった。・オランザピン/samidorphan、xanomeline/trospium、ゾテピンについては、用量反応メタ解析を実施するのに十分な研究が見つけられなかった。・小児と青年では、用量反応曲線に明確な違いは見られなかったが、データは少なく、確実性も低~非常に低いであった。 著者らは「通常、抗精神病薬は、推奨用量の低用量から中用量の範囲で治療効果の大部分を発揮する。この知見は、抗精神病薬を臨床使用するに当たり、一般的な参考値となりうるが、実際には個人差が生じることが予想される。用量反応関係に対する潜在的な効果修飾因子の影響を明らかにするためには、さらなる研究が必要とされる」としている。

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パーキンソン病患者を支援する遠隔診療への期待/アボット

 アボットは、2025年7月に発売したパーキンソン病(PD)などの治療に使用される脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)の治療機器、充電式脳深部刺激システム「Liberta RC DBSシステム」が、2026(令和8)年の診療報酬改定で「遠隔プログラミング」として新たに算定が追加されたことに寄せ、都内でPDの診療に関するメディアセミナーを開催した。 DBSはジスキネジア(自分の意思に反する身体の動き)などにより日常生活に支障がある患者に対し、前胸部の皮下に植え込んだ刺激装置から脳深部に電気刺激を与えることで、異常な神経信号を中断し、運動症状の改善を図る治療法。DBSの認定医は脳神経外科医の約3%程度であり、普及が進まず、遠方などの患者の通院負荷などが課題とされていた。今回のDBSの遠隔プログラミングに対する診療報酬算定追加を機に、DBSへのアクセス向上が期待される。 セミナーでは、「パーキンソン病治療の新たなフェーズ:令和8年診療報酬改定で変わる脳深部刺激療法」をテーマに、PDの診療の概要、DBS遠隔プログラミングが今後のPDの治療へもたらすメリットや臨床での使用知見、患者にもたらされる恩恵などが講演された。パーキンソン病の治療での課題は克服できるか 「失われた動きを取り戻す治療を目指して:パーキンソン病と向き合う最新テクノロジー」をテーマに服部 信孝氏(順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科 特任教授)が、PDの病態と診療の現状を講演した。 PDは、国際パーキンソン病・運動障害学会(MDS)の診断基準により診断される。絶対条件としては、「パーキソニズムがある」ことであり、支持基準として「ドパミン補充療法が有効」「レボドパ誘発性ジスキネジア」「静止時振戦」「嗅覚障害とMIBG心筋シンチ異常」の中で2つ満たすと確定診断となる。 患者数は増加しており、とくに加齢はPDのリスク因子の1つであり、加齢とともに患者数は増えていく。2015年時点で世界には690万人の患者がいるが、2040年には1,400万人になると予測されている。 PDの症状は、うつ、認知症、睡眠障害、パーキソニズム、嗅覚障害、自律神経障害、便秘など多岐にわたり、脳だけの疾患ではなく、全身疾患であると認識される。 PDの治療では、ドパミン補充療法、ドパミンアゴニスト、ドパミン放出促進薬などさまざまな治療薬がある。多くの治療薬が使える一方で、 Lドパ製剤では、大量に内服するとジスキネジアの出現、進行すると効果の時間が短くなるウェアリング・オフが課題となってくる。 また、薬物療法以外では、DBSの手術、神経栄養因子補充療法、リハビリテーション療法などもある。DBSでは、ジスキネジアをターゲットとする淡蒼球内節と薬物量減量をターゲットとする視床下核(STN)への手術がある。とくにSTNへのDBSが多く施行され、10年生存率は77%と高く、その長期治療成果が報告されている1)。 こうした手術の適応要件としては、PDと診断されていること、レボドパ反応が良好であること、適切かつ十分な内服治療を行っても、ジスキネジアやウェアリング・オフなど日内変動が大きいこと、患者本人や介護者がデバイス操作に精通できること、各治療の外科的禁忌事項(脳病変、胃瘻増設が可能かどうかなど)がないことが条件とされる。 今後の治療法では、2026年中盤以降に条件及び期限付承認でiPS治療が開始される。これは、iPS細胞をドーパミン放出神経細胞に変化させ、患者の脳に注射。ドーパミン分泌が増えて症状が改善することを目指す治療である。 おわりに服部氏は「iPS治療で治療薬不要の患者も出てくる。その一方でDBSでも治療薬不要の人もいるので、どちらが適切か、その見極めが今後重要となる」と語り、講演を終えた。患者と医師をつなぐDBSの遠隔プログラミングの有用性 「脳深部刺激療法の重要性」をテーマに波田野 琢氏(順天堂大学附属順天堂医院 脳神経内科 主任教授)が、薬物療法の限界とDBS導入のポイントを講演した。 先の服部氏の講演内容をたどりつつ、PDの治療の中心はLドパ製剤であり、患者からの薬剤の効果の話題ではLドパ製剤であることが多いという。Lドパ製剤は、PDの症状改善や生命予後の延長など恩恵もある一方で、患者の日内変動で予測不能なオフ、突然のオフ、無効化、投与終末リバウンド、オン・オフ現象など治療には限界があることが知られている。 こうした課題に対しDBSがあり、“INTREPID Study”によると登録されたPD患者313例のうち、196例がDBSを受け、191例がランダムに割り付けられた。中間解析に含まれた160例のうち、121例がアクティブ群に、39例がコントロール群に割り付けられ、盲検期間3ヵ月(その後全例open-labelへ)の観察を行った。その結果、DBSは難しいジスキネジアのないオン時間を延長することが判明した2)。 しかし、DBSの普及は進んでいないと波田野氏は現状を指摘する。その理由として適応となる運動機能障害の患者数、患者家族の有無、専門の医療機関の数・地域差・専門医の数など課題があるという。こうした課題、とくに専門医や医療機関の地域偏在などの差を埋めるものとして、遠隔プログラミングによる患者フォローが期待されている。 遠隔診療による自験例として、手術後遠隔診療をした38例についてアンケート調査を行ったところ、患者の回答として「病院へ行く負担が減った」「費用が節約できた」「医師とのコミュニケーションが増えた」という声があった。また、医師の回答として「患者とのコミュニケーションが増えた」「患者の不安を取り除けた」など双方によい結果だった3)。 同時に進行期PD患者のQOLを上げるためには、かかりつけの専門医、専門の看護師、薬剤師、理学療法士を巻き込んだ専門的なチーム治療が必要だと提言を行った。おわりに波田野氏は、「こうした遠隔診療が導入されることで、1人でも多くの患者の治療障壁が取り除かれることに期待したい」と抱負を述べ、講演を終えた。PDへの遠隔プログラムの期待 「DBS 遠隔プログラミングの実際」をテーマに梅村 淳氏(順天堂大学附属順天堂医院 脳神経外科運動障害疾患病態研究・治療講座 教授)が、遠隔プログラミングの実際や見えてきた課題について講演した。 PDにおけるDBSは、脳への電気刺激により神経回路の機能を調整してパーキンソン症状を改善させることにある。最初に外科手術を行い、術後は薬物療法とともに相補的に使用される。DBSでは症状に合わせて刺激の調整を行うことで症状を緩和する。その際に電気の強弱を合わせることを「プログラミング」といい、電極の左右で調整を変えることができる。 近年では遠隔プログラミングができるDBSデバイスも登場し、遠隔プログラミングでは、患者とビデオチャットができるスマホやタブレット端末を通じて、患者と医師が会話しながら調整する。 実際、DBSを受けたPD患者を対象とした無作為化多施設共同試験では、遠隔プログラミングは院内プログラミング(対面)のみの場合と比較し、臨床的改善までの期間を有意に短縮し、有害事象もないことが報告されている4)。 遠隔プログラミングは以前、医師のボランティアで行われていたが、今回の診療報酬改定で保険点数がついたことで拡大することが期待されている。その一方で、現状の課題として遠隔診療では神経学的診察に限界があること、通信環境やデバイスの操作能力の差があること、緊急時の対応、適応患者の選定などがあると梅村氏は指摘する。 また、梅村氏は、遠隔プログラミングの将来的な期待として以下の7項目を掲げる。1)通院負担の軽減とアクセス改善2)患者ごとの生活状況に合わせた柔軟な調整3)専門医療の地域格差の是正4)緊急時・副作用発現時の迅速な対応5)家族・介護者を含めた治療参加の促進6)医療資源の効率化7)将来的な「在宅型・個別化DBS管理」への発展 最後に梅村氏は、「DBS管理によりPDの治療は継続的に個別化・患者中心型に変わっていく可能性がある」と展望を語り、講演を終えた。

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小細胞肺がん脳転移例の2次治療、タルラタマブがCNS進行リスクを低下(DeLLphi-304)/ASCO2026

 小細胞肺がん(SCLC)では脳転移を来す患者が多く、脳転移を有する患者の予後は不良である。しかし、脳転移を有するSCLCの2次治療において、タルラタマブが良好な治療成績を示す可能性がある。プラチナ製剤を含む化学療法後に進行したSCLC患者を対象とした国際共同第III相試験「DeLLphi-304試験」1)において、ベースライン時に脳転移を有する患者のpost-hoc解析が実施された。その結果、タルラタマブは化学療法と比較して、中枢神経系無増悪生存期間(CNS PFS)を延長し、全生存期間(OS)も改善した。本研究結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、Giannis S. Mountzios氏(ギリシャ・Henry Dunant Hospital Center)によって報告された。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化非盲検比較試験・対象:プラチナ製剤を含む化学療法±抗PD-1/PD-L1抗体薬による1次治療を受けたSCLC患者(無症候性の脳転移は治療歴を問わず許容)・試験群(タルラタマブ群):タルラタマブ(1日目に1mg、8、15日目に10mgを点滴静注し、以降は2週間間隔で10mgを点滴静注) 254例・対照群(化学療法群):化学療法(トポテカン、アムルビシン、lurbinectedinのいずれか)※ 255例・評価項目:[主要評価項目]OS[主要な副次評価項目]PFS、患者報告アウトカム[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など※:日本はアムルビシン 今回のpost-hoc解析では、ベースラインで脳転移を有する患者を対象に、盲検下独立中央判定(BICR)によるCNS PFS、CNS奏効、CNS病勢コントロール率(CNS DCR)などが評価された。また、ベースライン時の脳転移の有無別にみたOSおよび安全性も評価された。主な結果は以下のとおり。・全体集団において、治験担当医師評価によるCNS PFS中央値は、タルラタマブ群で未到達、化学療法群で7.2ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.39~0.75)であった。・ベースライン時に脳転移を有する患者は、タルラタマブ群98例、化学療法群99例であった。このうち、ベースライン時および1回以上のベースライン後の脳画像評価を有するCNS Full Analysis Set(CNS FAS)は、タルラタマブ群67例、化学療法群56例であった。・CNS FASにおける年齢中央値はタルラタマブ群64.0歳、化学療法群63.5歳で、男性の割合はそれぞれ75%、70%であった。脳転移に対する前治療として放射線療法または手術を受けていた患者の割合はそれぞれ75%、71%で、10mm以上のCNS病変を有する患者の割合はそれぞれ23.9%、23.2%であった。・CNS FASにおけるBICR評価によるCNS PFS中央値はタルラタマブ群6.5ヵ月、化学療法群4.2ヵ月であり、タルラタマブ群でCNS PFSの延長がみられた(HR:0.40、95%CI:0.24~0.66)。6ヵ月CNS PFS率はそれぞれ53.9%、27.0%であった。・CNS完全奏効(CNS CR)はタルラタマブ群14.9%、化学療法群5.4%に認められた。CNS CR期間中央値はタルラタマブ群未到達、化学療法群3.6ヵ月。・CNS DCRはタルラタマブ群77.6%、化学療法群71.4%に認められた。CNS DCR期間中央値はそれぞれ8.2ヵ月、5.2ヵ月。・ベースライン時に脳転移を有する患者におけるOS中央値はタルラタマブ群13.9ヵ月、化学療法群6.8ヵ月であり、タルラタマブ群でOSの延長がみられた(HR:0.51、95%CI:0.34~0.74)。12ヵ月OS率はそれぞれ51.1%、26.0%であった。・ベースライン時に脳転移を有する患者の安全性解析対象は、タルラタマブ群98例、化学療法群93例であった。・Grade 3以上の有害事象は、タルラタマブ群54.1%、化学療法群87.1%に認められた。治療中断または減量に至った治療関連有害事象(TRAE)はそれぞれ18.4%、54.8%に発現し、中止に至ったTRAEはそれぞれ7.1%、32.3%にみられた。・タルラタマブ投与例において、ベースライン脳転移の有無別にサイトカイン放出症候群(CRS)と免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の発現割合を比較したところ、CRSは脳転移ありで53.1%、脳転移なしで56.5%にみられた。ICANSはそれぞれ9%、4%であった。 本解析結果について、Mountzios氏は「これらの結果は、脳転移を有するSCLC患者においても、タルラタマブがSCLCの2次治療における標準治療となることを支持するものである」とまとめた。

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未就学児の急性喘鳴へのアジスロマイシン、症状改善せず/NEJM

 救急外来を受診した中等度~重度の急性喘鳴を呈する未就学児において、アジスロマイシンはプラセボと比較して喘鳴関連症状を改善しなかった。米国・アリゾナ大学のKurt R. Denninghoff氏らPECARN AZ-SWED Trial Study Groupが、米国のPediatric Emergency Care Applied Research Network(PECARN)に加盟している小児救急外来8施設で実施した無作為化プラセボ対照試験「Azithromycin Therapy in Preschoolers with a Severe Wheezing Episode Diagnosed at the Emergency Department trial:AZ-SWED試験」の結果を報告した。喘鳴を伴う疾患は未就学児の入院の主な原因であり、また、抗菌薬による治療がしばしば行われている。観察研究では、喘鳴を繰り返す小児では喘鳴のない小児と比較し、鼻咽頭検体から3種類の病原性細菌(肺炎連鎖球菌、モラクセラ・カタラーリス、インフルエンザ菌)が高頻度に分離されることが示されていた。NEJM誌オンライン版2026年5月18日号掲載の報告。喘鳴で救急外来を受診した未就学児をアジスロマイシン群とプラセボ群に無作為化 研究グループは、救急外来を受診した中等度~重度の呼気性喘鳴(小児呼吸器評価尺度[Pediatric Respiratory Assessment Measure:PRAM]スコア4以上[スコア範囲:0~12、高スコアほど喘鳴が重度])の月齢18~59ヵ月児を、アジスロマイシン群またはプラセボ群に無作為に割り付け、1回12mg/kgを盲検下で1日1回5日間投与した。 主要アウトカムは、無作為化後5日間の幼児喘息発作日誌「Asthma Flare-up Diary for Young Children(ADYC)」スコアの合計スコアであった。ADYCは、17の質問(各質問のスコアは1~7で評価、高得点ほど喘鳴関連症状が重度であることを示す)から成り、1日のADYCスコアは、各質問の平均スコアとして算出。主要アウトカムとしたADYC合計スコアはその5日分の合計スコアで、想定されるスコア範囲は5~35であった。 副次アウトカムは、救急外来滞在時間、入院期間、および72時間以内の再受診(救急外来再受診または入院)とした。 投与前に病原性細菌が検出された患者については、無作為化後5~8日および14~21日の間に追跡調査を行い、細菌の有無と抗菌薬耐性を検査した。 有効性は、3種の病原性細菌検査で少なくとも1種について陽性であった患者(陽性コホート)と陰性であった患者(陰性コホート)で別々に評価した。喘鳴関連症状に関するADYCスコア、アジスロマイシン群9.59 vs.プラセボ群9.72 2021年9月~2024年12月に840例が登録され無作為化された。このうち、521例(62.0%)が病原性細菌陽性、312例(37.1%)が陰性、7例(0.8%)は不明であった。 事前に計画された中間解析の結果に基づき、データ安全性監視委員会は無益性のため本試験を中止した。 5日間のADYC合計スコアは、陽性コホートおよび陰性コホートのいずれにおいても、アジスロマイシン群とプラセボ群で有意差は認められなかった。ADYC合計スコアの中央値は陽性コホートでそれぞれ、9.59(四分位範囲[IQR]:7.29~12.60)vs.9.72(7.66~12.17)(p=0.70)、および陰性コホートで9.30(IQR:6.97~11.62)vs.9.10(7.19~11.45)(p=0.69)であった。 陽性コホートでは、細菌消失率はアジスロマイシン群で58.7%、プラセボ群で11.4%であった。 副次アウトカムも両コホートにおいて両群で類似しており、細菌耐性や有害事象の発現率も同様であった。

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侵襲的冠動脈造影を受ける患者、冠微小循環障害の予後への影響/Lancet

 虚血性心疾患が疑われ侵襲的冠動脈造影検査を受けた患者において、冠微小循環障害(CMD)は心外膜冠動脈疾患と併存しており、CMDを有する患者は全死因死亡、心筋梗塞、臨床的に必要と判断された再血行再建術、または心不全による入院の複合リスクが有意に高いことが示された。韓国・成均館大学校のJoo Myung Lee氏らが同国の3次医療機関7施設において実施した研究者主導の前向き多施設コホート研究「FLOW-CMDレジストリ」の結果を報告した。CMDは、心外膜冠動脈疾患と併存することが多いが、侵襲的冠動脈造影を受ける患者におけるCMDの有病率と予後に関するデータは乏しかった。Lancet誌オンライン版2026年5月21日号掲載の報告。造影検査、生理学的評価を行い、FFR、CFR、IMRがすべて得られた患者を追跡評価 研究グループは、虚血性心疾患が疑われ侵襲的冠動脈造影検査を目的として紹介された18歳以上の連続患者において、冠動脈造影検査後に中等度の心外膜冠動脈狭窄(目視で狭窄率40~90%と推定)を有する全患者に対し包括的な冠動脈生理学的評価を行った。 多枝病変を有し、少なくとも1本の冠動脈で3つの生理学的指標(冠血流予備量比[FFR]、冠血流予備能[CFR]、微小循環抵抗指数[IMR])のすべてが得られた患者を適格患者として登録し、CMDの有病率と予後について評価した。 主要エンドポイントは、全死因死亡、心筋梗塞、臨床的に必要と判断された再血行再建術、または心不全による入院の複合とした。 CMDはCFR<2.0かつIMR≧25と定義するとともに、閉塞性心外膜冠動脈疾患はFFR≦0.80の中等度狭窄、またはFFR測定を行わず血行再建術を施行した重度狭窄(狭窄率>90%)と定義した。CMD有病率は心外膜冠動脈疾患の患者で高く、CMD患者は心血管イベントリスク上昇 2022年4月22日~2024年11月19日に5,764例がスクリーニングされ、1,003例の患者が登録された(男性756例、女性247例)。 CMDは、1,003例中163例(16.3%)に認められた。閉塞性心外膜冠動脈疾患を有していた573例では123例(21.5%)に、閉塞性心外膜冠動脈疾患を有していない430例では40例(9.3%)にCMDが認められた。 追跡期間中央値1.9年において、主要エンドポイントのイベントは、CMD患者群で26例(2年Kaplan-Meier推定値18.8%)、非CMD患者群で70例(10.5%)に発生し、CMD患者群で高率であった(ハザード比:1.91、95%信頼区間:1.22~2.99、p=0.0047)。

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HER2陽性進行胃食道腺がん、zanidatamab+チスレリズマブはPD-L1発現にかかわらず有効(HERIZON-GEA-01)/ASCO2026

 今年1月に行われた米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2026)で発表されたHERIZON-GEA-01試験では、HER2陽性局所進行または転移のある胃食道腺がん1次治療において、化学療法に二重HER2標的抗体zanidatamabと抗PD-1抗体チスレリズマブを追加することで、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の改善が示された。5月29日~6月2日に行われた米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO 2026)では、韓国・延世がんセンターのSun Young Rha氏が、本試験におけるPD-L1サブグループの解析結果を報告した。・試験デザイン:国際共同非盲検第III相試験・対象:未治療のHER2陽性進行・転移胃食道腺がん患者・試験群:zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法(CAPOXまたはFP)       zanidatamab+化学療法・対照群:トラスツズマブ+化学療法(トラスツズマブ群)・評価項目:[主要評価項目]PFSおよびOS[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など PD-L1発現の評価指標にはTAPスコアおよびCPSが用いられた。 既報の主要解析では、追跡期間中央値26ヵ月時点で、zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群はトラスツズマブ群と比較してPFSを有意に延長し(HR:0.63)、OSについても有意な改善が認められた(HR:0.72)。 主な結果は以下のとおり。・PD-L1発現レベル(TAPおよびCPS)別のPFS中央値は以下のとおりで、PD-L1の発現状況にかかわらず一貫して改善が認められた。・TAP<1%:zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群18.5ヵ月vs.トラスツズマブ群7.9ヵ月(HR:0.47)・TAP≧1%:同11.3ヵ月vs.8.3ヵ月(HR:0.65)・CPS<1:同18.5ヵ月vs.8.1ヵ月(HR:0.48)・CPS≧1:同12.3ヵ月vs.8.2ヵ月(HR:0.62)・zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群において、TAP<1%およびTAP≧1%における18ヵ月PFS率はそれぞれ50.3%および42.6%、24ヵ月OS率は63.7%および53.5%であった。 ・一方、トラスツズマブ+化学療法群ではPD-L1陽性例のほうが陰性例よりOSが良好であった。研究グループはその要因として後治療の違いを挙げており、トラスツズマブ群では免疫チェックポイント阻害薬が15%、HER2標的治療が29%に施行されたのに対し、zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群ではそれぞれ2%、13%であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、トラスツズマブ群で59.6%、zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群で71.8%に認められた。主な有害事象として下痢が認められたがGrade3以上の発現率は低く、新たな安全性シグナルは確認されなかった。 Rha氏らは、「zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法は、TAPおよびCPSで評価したPD-L1陽性例・陰性例の双方において、臨床的に意義のあるPFSおよびOSの改善を示した」と結論付けた。HER2陽性進行胃食道腺がんに対する本レジメンの有効性はPD-L1発現に依存せず認められ、新たな1次治療標準となる可能性が示された。

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