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自閉スペクトラム症の易怒性に対するメトホルミン補助療法の有用性

 糖尿病治療薬は、自閉スペクトラム症(ASD)の症状緩和に有効であることが示唆されている。しかし、メトホルミンがASDに伴う易怒性に及ぼす影響についての臨床研究は、不十分である。イラン・テヘラン医科大学のZahra Bazrafshan氏らは、小児ASD患者の易怒性に対するリスペリドン+メトホルミン補助療法の有効性および安全性を評価するため、10週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2024年12月15日号の報告。 本研究は、2024年3〜5月にイラン・Roozbeh Hospitalの小児自閉症外来で実施した。対象患者は、リスペリドン+メトホルミン(500mg/日)群またはリスペリドン+プラセボ群にランダムに割り付けられた。主要アウトカムは、易怒性とした。aberrant behavior checklist-community scale(ABC-C)を用いて、ベースライン、5週目、10週目に評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・最終分析には、55例を含めた。・メトホルミン群は、プラセボ群と比較し、易怒性の有意な減少が認められた(p=0.008)。・ABC-Cの4つのサブスケールのうち、多動性/ノンコンプライアンススコアは、ベースラインから5週目までに有意な低下を示した(p=0.021)。・メトホルミン群は、プラセボ群と比較し、ベースラインから5週目までの不適切な発言スコアの有意な減少が認められた(p=0.045)。・無気力/社会的引きこもり、常同行動スコアについては、統計学的に有意な差は認められなかった。 著者らは「メトホルミン補助療法は、ASD患者の易怒性軽減に有効であり、この結果は以前の研究と一致していたが、実臨床で推奨するためには、さらなる研究が必要である」と結論付けている。

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切除可能食道腺がん、FLOTによる周術期化学療法が有効/NEJM

 切除可能な食道腺がん患者の治療において、術前化学放射線療法と比較してフルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン+ドセタキセル(FLOT)による周術期化学療法は、3年の時点での全生存率を有意に改善し、3年無増悪生存率も良好で、術後合併症の発現は同程度であることが、ドイツ・Bielefeld大学のJens Hoeppner氏らが実施した「ESOPEC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年1月23日号に掲載された。ドイツの医師主導型無為化第III相試験 ESOPEC試験は、切除可能食道がんの治療におけるFLOTによる周術期化学療法の有用性の評価を目的とする医師主導の非盲検無作為化対照比較第III相試験であり、2016年2月~2020年4月にドイツの25の施設で患者を登録した(ドイツ研究振興協会の助成を受けた)。 年齢18歳以上、組織学的に食道の腺がんが確認され、食道の腫瘍または食道胃接合部の原発巣から食道へ進展した腫瘍を有し、原発巣のUICC病期分類がcT1 cN+、cT2-4a cN+、cT2-4a cN0のいずれかで、遠隔転移がなく、全身状態の指標であるEastern Cooperative Oncology Group performance status(ECOG PS)のスコアが0、1、2点の患者を対象とした。 被験者を、FLOTによる周術期化学療法+手術を受ける群、または術前化学放射線療法+手術を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けた。FLOT群では、術前に2週を1サイクルとする化学療法(FLOT)を4サイクル施行し、術後に同様の化学療法を4サイクル(退院から4~6週後に開始)行った。術前化学放射線療法群では、カルボプラチン+パクリタキセル(週1回[1、8、15、22、29日目]、静脈内投与)と放射線治療(総線量41.4Gy:23分割、1.8Gy/日)を施行した後に手術を行った。 主要エンドポイントは全生存とした。全生存期間は66ヵ月vs.37ヵ月 438例を登録し、FLOT群に221例(年齢中央値63歳[範囲:37~86]、男性89.1%)、術前化学放射線療法群に217例(63歳[30~80]、89.4%)を割り付けた。FLOT群の193例、術前化学放射線療法群の181例が手術を受けた。全体の追跡期間中央値は55ヵ月だった。 3年の時点での全生存率は、術前化学放射線療法群が50.7%(95%信頼区間[CI]:43.5~57.5)であったのに対し、FLOT群は57.4%(50.1~64.0)と有意に高い値を示した(死亡のハザード比[HR]:0.70、95%CI:0.53~0.92、p=0.01)。全生存期間中央値は、FLOT群が66ヵ月(36~評価不能)、術前化学放射線療法群は37ヵ月(28~43)だった。 また、3年時の無増悪生存率は、FLOT群が51.6%(95%CI:44.3~58.4)、術前化学放射線療法群は35.0%(28.4~41.7)であった(病勢進行または死亡のHR:0.66、95%CI:0.51~0.85)。術後の病理学的完全奏効は16.7% vs.10.1% 完全切除(R0)は、FLOT群の193例中182例(94.3%)、術前化学放射線療法群の181例中172例(95.0%)で達成した。術後の病理学的完全奏効(ypT0/ypN0:切除された原発巣およびリンパ節に浸潤がんの遺残がない)は、それぞれ192例中32例(16.7%)および179例中18例(10.1%)で得られた。 Grade3以上の有害事象は、FLOT群で207例中120例(58.0%)、術前化学放射線療法群で196例中98例(50.0%)に発現した。重篤な有害事象は、それぞれ207例中98例(47.3%)および196例中82例(41.8%)にみられた。手術を受けた患者における術後の手術部位および手術部位以外の合併症の頻度は両群で同程度であり、術後90日の時点での死亡はそれぞれ6例(3.1%)および10例(5.6%)であった。 著者は、「病理学的完全奏効の解析は、各試験を通じて標準化するのが困難な因子に依存するため、先行試験との比較では慎重に解釈する必要がある」「併存症のためFLOTが施行できない患者やFLOT関連有害事象を呈する患者では、2剤併用化学療法へのde-escalationや術前化学放射線療法への切り換えが望ましいアプローチであるかは、本試験では回答できない問題である」としている。

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世界初の週1回皮下投与のインスリン イコデクが発売/ノボ

 ノボ ノルディスク ファーマは、週1回投与のインスリンアナログ製剤インスリン イコデク(商品名:アウィクリ、以下、イコデク)を1月30日に発売した。イコデクは、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として世界で初めてとなる週1回投与の新しいBasalインスリン製剤。半減期は約1週間で、長時間作用が持続する。皮下投与後、イコデクは可逆的にアルブミンと結合するが、緩徐にアルブミンから解離し、インスリン受容体と結合して作用することで、血糖降下作用が1週間にわたり持続する。 Basalインスリン製剤は、生理的なインスリンの基礎分泌を補充する目的で糖尿病を有する患者の血糖管理に用いられ、通常1日1回もしくは2回の皮下注射が必要となる。イコデクは週1回皮下注射製剤のため、従来のインスリン製剤よりも投与回数を大幅に減らすことができ、利便性が高いだけでなく、患者の心理的な治療負担の軽減により生活の質や治療実施率の向上が期待される。 本剤の承認は、イコデクの第III相試験プログラムである「ONWARDS試験」の結果に基づいている。ONWARDS試験は、成人の1型または2型糖尿病の患者4,000例以上を対象とした6つのグローバル第III相臨床試験で構成され、そのうち4つの試験(ONWARDS1、2、4および6)に日本人400例以上が参加している。ONWARDS試験はいずれも、イコデクの有効性および安全性を実薬対照と比較する無作為割り付け、並行群間、多施設共同、国際共同試験。これらの試験を通じて、週1回投与のイコデクでは、1日1回投与の持効型溶解インスリンと比較し非劣性が検証され、良好な有効性が認められた。また、すべての試験において、イコデクの投与は安全かつ忍容性は良好であり、予期されない安全性の問題は認められなかった。 同社では「週1回の投与であれば、Basalインスリン製剤の注射回数は少なくとも1年間に365回から約52回に減り、心理的な治療の負担軽減や注射実施率の向上が期待できる。イコデクは、糖尿病治療における有用な新しいオプションになると考えている」と期待を寄せている。【製品概要】一般名:インスリン イコデク(遺伝子組換え)販売名:アウィクリ注フレックスタッチ 総量300単位効能または効果:インスリン療法が適応となる糖尿病用法および用量:通常、成人では1週間に1回皮下注射する。初期は通常1回30~140単位とし、患者の状態に応じて適宜増減する。薬価:アウィクリ注フレックスタッチ総量300単位:2081円/キット製造販売承認:2024年6月24日薬価収載日:2024年11月13日発売日:2025年1月30日製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ

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COPD、多遺伝子リスクスコア併用で診断能改善/JAMA

 医師による慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断を受けたことがない成人において、従来の修正肺機能質問票(mLFQ)スコアにCOPD多遺伝子リスクスコア(polygenic risk score:PRS)を併用すると、mLFQのみによるアプローチと比較して、中等症~重症のCOPDの診断能が改善することが米国・Boston University Chobanian & Avedisian School of MedicineのJingzhou Zhang氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年1月22日号で報告された。米国の2つの観察研究データを解析 研究グループは、COPDが未診断の集団において、従来のリスク因子や呼吸器症状に関する質問票にCOPD PRSを加えると、COPDの同定が改善されるかを検証する目的で横断的なコホート研究を行った。 解析には、米国の2つの観察研究(フラミンガム心臓研究[FHS]、COPD-enriched Genetic Epidemiology of COPD[COPDGene])のデータを用いた。対象は、35歳以上のCOPDの診断歴がない集団であった。mLFQスコア単独とmLFQスコア+COPD PRSのCOPD診断能を比較した。 主要アウトカムは、スパイロメトリーを用いた定義に基づく中等症~重症のCOPD(1秒量[FEV1]/努力肺活量[FVC]<0.7、FEV1[予測値に対する割合]<80%)とした。FHS、COPDGeneともAUCが有意に改善 COPDの診断歴がない、FHS参加者3,385例(年齢中央値52.0歳、男性45.9%)とCOPDGene参加者4,095例(56.8歳、55.5%)を解析の対象とした。このうち、それぞれ160例(4.7%)および775例(18.9%)が、スパイロメトリーを用いた定義に基づく中等症~重症のCOPDであった。 FHSでは、中等症~重症COPD検出の曲線下面積(AUC)が、mLFQスコア単独の0.78からmLFQスコア+COPD PRSで0.84へと有意に改善した(p<0.001)。また、COPD PRSを併用することで、COPDGeneでは非ヒスパニック系のアフリカ系アメリカ人でAUCが0.69から0.72(p=0.04)へ、非ヒスパニック系白人で0.75から0.78(p<0.001)へと、いずれも有意に改善した。 再分類能に関してスパイロメトリーに基づくリスク閾値を10%とすると、mLFQスコアにCOPD PRSを併用することで、FHSにおけるCOPDへの再分類の割合は13.8%(22/160例、95%信頼区間:6.6~21.0)となった。一方で、COPDGeneではこのような改善は得られなかった。 著者は、「COPD PRSがCOPDの診断とアウトカムに与える影響を評価するには、さらなる研究が必要である」としている。

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ネグレクトは子どもの発達にダメージを与え得る

 ネグレクトは身体的虐待や性的虐待、感情的虐待と同様に子どもの社会的発達にダメージを与え得ることを示した研究結果が明らかになった。基本的な欲求が満たされない子どもは、友人関係や恋愛関係を築く能力が生涯にわたって損なわれる可能性があるという。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校社会学分野のChristina Kamis氏と米ノートルダム大学社会学分野のMolly Copeland氏による研究で、詳細は「Child Abuse and Neglect」2024年12月号に掲載された。 Kamis氏らは、思春期の子どもの健康状態を成人期まで追跡調査している米連邦政府の長期研究(National Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health;Add Health)調査参加者9,154人のデータを分析し、マルトリートメント(ネグレクトや虐待などの不適切な養育)が参加者の社会性や仲間からの人気度、社会と強固なつながりを築く能力に及ぼす影響について調べた。参加者は、7~12年生時(1994〜1995年)に初回の調査を受け、その後、第3次調査(2001〜2002年)および第4次調査(2008〜2009年)も受けていた。 参加者の40.86%が12歳あるいは6年生(12歳)になるまでに、身体的虐待や性的虐待など何らかのマルトリートメントを受けた経験があると報告していた。そのうちの10.29%は、養育者が住居、食事、衣服、教育、医療へのアクセスや精神的サポートを与えないことで子どもを危険な状態に置くことを意味する身体的ネグレクトであった。参加者には、在学時に実施した調査で、参加者に最も親しい男女の友人を5人まで挙げるよう求めた。社会性は当時の友人の数に基づき測定した。一方、人気度は、その参加者の名前を友人の1人として挙げた仲間の数に基づき測定した。社会的つながりの強さは友人グループのネットワークに基づき測定した。 子どもが友人として挙げた仲間の数は平均で4.49人であり、1人につき平均4.54人がその子どもを友人として挙げていた。しかし、虐待やネグレクトを経験した子どもは、友人として挙げる仲間の数や、その子どもを友人として挙げる仲間の数が統計学的に有意に少ないことが示された。また、種類にかかわらず、マルトリートメントは子どもの社会性の発達に有害な影響を与えることも示された。例えば、性的虐待の経験は子どもを仲間から孤立させやすくする。一方、感情的虐待や身体的虐待の経験は、子どもの人気度を低下させたり、社会的なつながりを弱めたりする可能性のあることが明らかになった。ただし、これら3つの要素の全てに支障をもたらすのは身体的ネグレクトのみであった。 Kamis氏は、「マルトリートメントを受けた子どもは、しばしば羞恥心を感じ、それが自尊心や帰属意識を低下させ、結果的に仲間から孤立しやすくなる可能性がある。また、そうした経験から、仲間から拒絶されたり危害を加えられたりするのではないかと考えるようになり、他者との関わりを持とうとしなくなる可能性も考えられる」とイリノイ大学のニュースリリースの中で述べている。 Kamis氏らは、ネグレクトの経験がある子どもを友人として挙げる仲間が少ないという事実は、同級生がそうした子どもを避けたがっていたことを示唆していると考察している。Kamis氏は、「マルトリートメントそのものが偏見の対象となり、その経験の痕跡が目に見える形で残っていたり仲間に知られたりすると、仲間はその子どもを避けるようになる可能性がある」と説明している。また同氏は、「マルトリートメントによって感情のコントロールが難しくなったり、攻撃性が増したり、社会性に乏しい行動が見られたりすることで、友人としての望ましさを損なう行動が多くなる可能性もある」と述べている。 こうしたことを踏まえてKamis氏は、医師や教師が子どもに虐待やネグレクトの兆候がないか注意を払い、子どもたちにサポートを提供する準備をしておくことを勧めている。同氏は、「こうした子どもにとって、学校は厳しい場所となっている可能性がある。子どもが友人関係を築き、仲間との間の壁を取り払うためには、さらなるサポートが必要であることを認識することが重要だ」と結論付けている。

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アルコール摂取と因果関係のあるがん種

アルコール摂取と因果関係のある7つのがんとそのメカニズムがんのリスクは少量の飲酒でも増加すること、アルコール摂取と因果関係のあるがん種について、米国・保健福祉省公衆衛生局の長官が2025年1月に勧告しました。アルコール摂取と因果関係のあるがん種・乳がん(女性) ・大腸がん ・食道がん・口腔がん・肝臓がん・咽頭がん ・喉頭がんアルコールによる「がん」を引き起こす4つのメカニズム1. アセトアルデヒドによるDNAやタンパク質の損傷アルコールはアセトアルデヒドに分解され、それがさまざまな方法でDNAに損傷を与え、がんのリスクを高めます。2. 酸化ストレスアルコールは酸化ストレスを引き起こしてDNAタンパク質や細胞を損傷し、炎症を増加させることでがんのリスクを高めます。3. ホルモンの変化アルコールはエストロゲンを含むさまざまなホルモン値を変化させ、乳がんリスクを高めます。4. 発がん性物質を吸着するアルコールは発がん性物質の吸収を促進します。たとえば、アルコールはタバコの煙のような発がん性物質の溶媒として作用します。これにより、有害な粒子が身体に浸透しやすくなり、DNA損傷を引き起こし、とくに口腔がんなどのリスクを高めます。出典:Alcohol and Cancer Risk 2025(The U.S. Surgeon General’s Advisory)https://www.hhs.gov/surgeongeneral/priorities/alcohol-cancer/index.htmlCopyright © 2025 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第247回 フジテレビ問題は医療界と無縁ではない?その理由とは

メディアという存在は報道以外でも常にさまざまな人に影響を与えている。週刊誌を発行する出版社は、漫画・小説などのコンテンツも常時世に送り出しているし、テレビもドラマをはじめとするエンターテイメント番組を放送している。その意味で医療界に一定の影響を与えているコンテンツの1つに医療ドラマがあることに異論がある人はいないのではないだろうか?公益財団法人 川野小児医学奨学財団が2023年3月に行った「医学生の志望理由・学生生活・進路に関する意識調査」によると、「なぜ医学部に入りたいと思ったのですか?」(複数回答)との問いに、「映画やドラマ、本などを通じて興味を持ったから」との回答が19.9%で5番手に入っている。また、個人的な経験でも看護学部卒の知人から、ドクターヘリで活躍する医師をテーマにしたドラマ「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」に憧れてフライトナースになろうと思ったことがあるとの話を聞かされている。ちなみに医療ドラマというと、少なからぬ医療者からは「現実離れして荒唐無稽」との評価を受けることもあるが、昨今は医療監修も厳格化しているため、私が子供の頃、1970年代後半くらいに目にした「天地がひっくり返ってもあり得ない医療シーン」が登場することはほぼないと言ってよい。このように医療者を目指すきっかけになるほど影響を与える医療ドラマは、テレビ局内でどのような評価を受けているのか? あるテレビ局勤務の知人に聞いてみると、「やはり内容によりますが、基本的に数字(視聴率)は取れます。とくに水戸黄門みたいな医療ドラマだと数字が取れますね」とのこと。「水戸黄門」と言われ、「???」と思ったが、要は“悪い奴らを懲らしめる”という構図が加わると、視聴率に好影響なのだという。確かに医療ドラマではこの手の構図が多い。一例を挙げると、アメリカ帰りのナース・プラクティショナーの資格を有する看護師が主人公の「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系)は、経営最優先の院長や自分たちが最上位の医療者と自負する医師に看護師が立ち向かう設定である。また、このテレビ局勤務の知人は私見と断りながらも「病院は多くの人にとって身近な存在にもかかわらず、一般人ではわからない独特の世界感があること、患者さんという圧倒的弱者がいることも興味を引きやすいと思います」と語る。ちなみに知人は報道畑の人なのだが、「実は報道でも医療現場の映像やニュースは視聴率が下ブレしにくいコンテンツ」と教えてくれた。実際、ビデオリサーチの調べによる2024年連続ドラマ平均世帯視聴率(関東地区)のトップ3のうち、第1位は若手外科医を描いた「ブラックペアン シリーズ2」(TBS系)、第2位が前述の「ザ・トラベルナース2」だ。こうしたドラマの制作には一般人が考えるよりも多くの制作費が使われている。ざっと1話当たり3,000万円前後。通常の連続ドラマは、テレビ局のワンシーズン(3ヵ月)で完結することが多く、最大で約12話。つまり1つの連続ドラマで3億円以上の制作費を要する。医療ドラマが医療者の輩出にも貢献さて、私がなぜこんなことをつらつらと書いたかというと、2000年以降に放映された医療ドラマの一覧を眺め、何となく集計していたら興味深いことがわかったからだ。この中から「獣医ドリトル」を除くすべての放映キー局を集計すると、トップはフジテレビが28番組、以下は順にTBSが23番組、日本テレビとテレビ朝日がそれぞれ14番組、テレビ東京が5番組、NHKが2番組となった。いま話題の渦中のフジテレビが断トツのトップなのである。前述のコード・ブルーもまさにフジテレビ系であり、これ以外にも「Dr.コトー診療所」「チーム・バチスタ」など、多くの視聴者に影響を与えたであろう、極めて視聴率の高い著名医療ドラマが多い。だが、ご存じのように今のフジテレビは、引退を表明したタレントの中居 正広氏を巡る問題でCM差し止めを決定した企業は、判明しているだけで80社に迫ろうとしている。先日の10時間超にもおよんだ記者会見時(実は私はノンストップで見ていたが)に、財務的な影響についてはフジテレビ側は精査中として明らかにしなかったが、一部報道では最大数百億円規模にのぼる可能性も指摘されている。フジテレビの財務状況は、フジ・メディア・ホールディングスの決算説明資料を見ると、2024年3月期決算の単体の売上高は2,382億円で、このうちCM収入は1,473億円である。このうち数百億円が吹っ飛ぶとなれば、その影響は甚大である。当然ながら、若い医療者の輩出に貢献していた医療ドラマの“雄”の制作にも影響が及ぶだろう。その意味ではフジテレビの再生は医療業界にまったく無縁とは言えない。もっとも会見で明らかになったフジテレビの対応は、どこをどう突いてもいただけない。ここ数日はこの件に対する同社社員の関与を報じた週刊文春の記事が誤報だったことが話題の中心になっているが、少なくとも私個人は、その点は問題の枝葉だと思う。むしろ問題の中核は、フジテレビの仕事を通じなければ出会わなかったであろう被害女性と出演者という同社のステークホルダー間で起き、かつ被害申告まであった問題について、企業として主体的に解決に導けず、結果として当事者間の示談で終わらせてしまった事実上の不作為にあると考えている。

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rabies(狂犬病)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第19回

言葉の由来「狂犬病」は英語で“rabies”といいます。この病名は、ラテン語の“rabies”に由来し、これは「狂気」や「激怒」を意味します。さらにさかのぼると、ラテン語の“rabere”(激怒する)という動詞に関連しており、これは狂犬病に感染した動物や人間が示す過度の攻撃性や不安定な行動を反映して付けられたとされています。また、古代ギリシャでは、この病気を“lyssa”または“lytta”と呼んでいました。これは「狂乱」や「狂気」を意味する言葉で、狂犬病ウイルスの属名である“Lyssavirus”はこのギリシャ語に由来しています。歴史的には、紀元前5世紀ごろのギリシャの哲学者デモクリトスが狂犬病について記述しており、同時代のヒポクラテスも「狂乱状態の人々は水をほとんど飲まず、不安になり、最小の物音にも震え、痙攣を起こす」と記録しています。狂犬病は致死率がきわめて高く、長年にわたって恐れられていた病気ですが、19世紀後半にフランスの化学者ルイ・パスツールによって狂犬病ワクチンが開発され、予防可能な感染症になりました。併せて覚えよう! 周辺単語神経症状neurological symptoms恐水病hydrophobia予防接種vaccination興奮状態agitationこの病気、英語で説明できますか?Rabies is a viral disease that causes inflammation of the brain in humans and other mammals. It is typically transmitted through the bite of an infected animal. Early symptoms often include fever, headache, and a tingling at the site of exposure. As the disease progresses, symptoms can include violent movements, uncontrolled agitation, fear of water, and inability to move parts of the body.講師紹介

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