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ドーパミン活性レベルの維持に関与する遺伝子多型を特定:弘前大

 弘前大学大学院医学研究科の土嶺 章子氏らは、認知機能測定の指標として、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)遺伝子Val158MET多型が有用であることを明らかにした。COMTはドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンなどの代謝酵素で、ドーパミン代謝経路の主成分である。今回の検討で、同遺伝子多型がドーパミン活性の最適レベルを維持しているという仮説を支持する知見も得られたという。PLoS One誌2013年11月号の掲載報告。 先行研究において、COMT Val158MET多型は、統合失調症患者と健常者の前頭葉認知機能における差異と関連していることが示されていた。また、いくつかの試験で、METアレルが認知機能の測定における、より良好なパフォーマンスと関連していることも示されていた。そこで研究グループは、健常対照149例と統合失調症患者118例を対象に、COMT Val158MET多型が認知機能と関連しているかについて調べた。認知機能(言語記憶、ワーキングメモリ、運動機能、注意、実行機能、言語流暢性など)は、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)にて評価し、ANOVA法と重回帰分析法を用いて、COMT Val158MET多型とBACS-Jとの関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・健常対照群において、異なる3つのCOMT Val158MET遺伝子多型(val/val、val/met、met/met)の間に、実行機能スコア(ロンドン塔テストによる)の有意差がみられることが明らかになった(p=0.023)。・事後解析の結果、実行機能スコアについて、val/val群(18.6±2.4)と他の2群との間に、それぞれ有意差が認められた[対val/met群(17.6±2.7、p=0.027)、対met/met群(17.1±3.2、p=0.024)]。・重回帰分析の結果、実行機能は、Val158Met多型と有意に関連していることが明らかになった(p=0.003)。しかし、統合失調症患者において、あらゆる認知領域においてCOMTの影響を示すエビデンスはみつからなかった。・著者は、「これらのデータは、COMT Val158MET多型は、ドーパミン活性の最適レベルを維持するという仮説を支持するものであった。さらなる大規模かつ薬物療法有無別の患者を組み込んだ試験を行い、今回の知見を確認する必要がある」と結論している。関連医療ニュース 統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定/a> 統合失調症の治療ターゲット、新たな遺伝要因を特定

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HbA1cの改善に加え患者QOLも向上―DPP-4阻害薬へのグラルギンの併用エビデンス(ALOHA2)

サノフィ株式会社池田勧夫氏近年DPP-4阻害薬は日本で急速に普及してきたが、DPP-4 阻害薬を含む経口血糖降下薬(OHA)を服用しても良好な血糖コントロールが得られない場合がある。そこで、池田氏らは、DPP-4 阻害薬を含むOHAで血糖コントロールが目標に達していない日本人の2 型糖尿病患者を対象にインスリン グラルギン(以下、グラルギン)を追加し、24週間観察した前向き研究(ALOHA 2)を行った。その結果が国際糖尿病連合の世界糖尿病会議(12月2~6日、メルボルン)で発表され、グラルギンの追加でHbA1cが大きく低下するだけでなく、治療満足度が有意に改善することが明らかとなった。OHA2剤でグラルギンを始めるケースが最も多い本研究の対象となったのは、これまでOHAによる治療を受け、グラルギンを開始する4 週間前のHbA1c が6.5%以上だった20歳以上の2,602例。これまでインスリンによる治療を受けたことがなく、経口薬への追加でグラルギンを開始し、24週まで継続した症例をBOT 群とした。BOT 群は1,629 例。観察期間は24 週間。BOT群のベースラインの患者背景は年齢が61.8 歳、HbA1cは9.58%、FPGは2 0 4.6 mg/dL、2 時間P PGは272.8mg/dL。糖尿病罹患期間は10年未満が3 4.7%、10~15年が19.5%、15年以上が23.9%、併存疾患は糖尿病性神経障害が22.5%、糖尿病性網膜症が14.6%、糖尿病性神経障害が14.9 %、高血圧が47.8%、脂質異常症が51.9% など。またベースラインで使用されていたOHAの数は、1 種類が29.3%、2 種類が34.8%、3 種類が26.9%、4種類が9.1%であり、観察期間中に高頻度に併用されたOH Aはスルホニル尿素薬が71.5%、DPP-4 阻害薬が60.7%、ビグアナイド薬が4 8.6 %などであった(表1)。画像を拡大するHbA1cはベースラインから1.6%低下、空腹時血糖値だけでなく食後血糖値も大きく改善基礎インスリンとDPP-4 阻害薬の併用療法は、2 型糖尿病患者の空腹時血糖値(FPG)と食後血糖値(PPG)の両方を管理し、良好な血糖コントロールが得られる治療法として注目されているが、本研究ではグラルギンの追加によりHbA1cがベースラインから最終評価時までで1.61%有意に低下していた(p

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Dr.倉原の 喘息治療の不思議:テオフィリンとコーヒーの関係って?

はじめにテオフィリンは、1888年にドイツ人の生物学者であるアルブレヒト・コッセルが茶葉から気管支拡張作用のある物質を抽出したことから開発が始まりました。テオフィリン、アミノフィリンなどのキサンチン誘導体の作用機序としては、ホスホジエステラーゼ阻害による細胞内cAMPの増加、アデノシン受容体拮抗作用、細胞内カルシウムイオン分布調節による気管支拡張作用、ヒストン脱アセチル化酵素を介した抗炎症作用などの説がありますが、いまだにそのすべては解明されていません。そんな難しいことはさておき、キサンチン誘導体は主に喘息に対して使用されます。慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対しても有効と考えられていますが、欧米諸国ではその効果に懐疑的である医師が多く、日本ほど汎用されていません。Town GI. Thorax. 2005 ;60:709.日本ではテオフィリンは主に長期管理薬として、アミノフィリンは主に発作時の点滴として使われているのが現状です。これらのうち、とくにテオフィリン徐放製剤の処方頻度が高いと思います。当院は他院から紹介される患者さんが多いため、閉塞性肺疾患の患者さんの3割程度はテオフィリン徐放製剤をすでに内服している印象があります。テオフィリンに構造が近いカフェインは、昔から喘息に効果的であると報告されています。Wikipediaによれば、1850年頃には認識されていたようです(大規模な臨床試験はありませんでした)。イギリスのヘンリー・ハイド・サルターが1860年に書いた『On Asthma : Its Pathology and Treatment』の中にコーヒーが気管支喘息に有効であるという記載があります。また、ある地域では小児喘息に対してコーヒーが多用されたという歴史もあるそうです。Sakula A. Thorax. 1985 ; 40: 887–888.私たち若手呼吸器科医にとっては、1980年代にCHEST誌に立て続けに報告された、コーヒーが喘息に対して有効であるという論文が有名です。Gong H Jr, et al. Chest. 1986 ;89:335-342.Pagano R, et al. Chest. 1988;94:386-389.ただ、実臨床で喘息患者さんとコーヒーの関連を意識する状況は皆無です。コーヒー好きにはキサンチン誘導体は禁忌?しかし、呼吸器科を勉強したことがある人ならば「コーヒーを飲んでいる患者さんには、キサンチン誘導体は投与しない方がよい」という格言を一度は聞いたことがあるはずです。これは「テオフィリン中毒」を惹起するからだといわれています。テオフィリンの血中濃度が20~30μg/mLを超え始めると、嘔吐、下痢、頻脈といった症状があらわれることがあります(急性と慢性の中毒で異なる動態を示すのですが詳しいことは割愛します)。重症のテオフィリン中毒になると、痙攣や致死的不整脈をきたすことがあります(図)。高齢者のテオフィリン中毒の場合、抑うつ症状と間違えられることがあるため、怪しいと思ったら必ずテオフィリンの血中濃度を測定してください。Robertson NJ. Ann Emerg Med. 1985;14:154-158.画像を拡大する図. テオフィリン血中濃度と中毒域ちなみに私は呼吸器内科医になってまだ5年しか経っていませんが、有症状のテオフィリン中毒は1例しか診たことがありません。かなりまれな病態だろうと思います。諸説ありますが、カフェインの致死量は約10g程度だろうと考えられています。コーヒー1杯には50 mg、多くて200 mgくらいのカフェインが含まれています。そのため、単純計算では濃いコーヒーならば50杯ほど服用すれば、致死的になりうるということになります。ただし、上記のGongらの報告によればかなり短時間で飲み干さないとダメそうです。どんぶり勘定ですが、1杯あたり30秒~1分くらいの速度で飲み続けると危険な感じがします。わんこそばではないので、そんなコーヒーを次々に飲み干す人はいないと思いますが……。テオフィリンを定期内服している患者さんでは、アミノフィリンの点滴投与量は調節しなければならないことは研修医にとっても重要なポイントです。また、喘息発作を起こす前後にコーヒーを大量に飲んだ患者さんの場合でも同様に、アミノフィリンの点滴は避けたほうがよさそうです。ただし、致死的なテオフィリンの急性中毒に陥るには、想定している血中濃度よりもかなり高いポイントに到達する必要があるのではないかという意見もあります。私自身キサンチン誘導体とカフェインの関連についてあまり気にしていなかったのですが、今年のJAMAから出版された「ビューポイント」を読んで、少し慎重になったほうがよいのかもしれないと感じました。5,000の司法解剖のうち、カフェイン血中濃度10μg/mLを超えるものが1%程度にみられたとのこと。これはカフェイン含有エナジードリンク(コーヒーよりもカフェイン濃度が多い)に対する警鐘なので、一概にコーヒーがよくないと論じているわけではありませんが。Sepkowitz KA. JAMA. 2013;309:243-244.おわりに循環器科医がジギタリスの投与に慎重になるのと同じように、呼吸器科医はキサンチン誘導体の投与に慎重な姿勢をとっています。それはひとえに治療域と中毒域が近接しているからにほかなりません。高齢や肥満の患者さん、マクロライド系・ニューキノロン系抗菌薬を内服している患者さんではテオフィリンの血中濃度が上昇することが知られているため、なおさら注意が必要です。カフェインが含まれている飲料には、コーヒーやエナジードリンク以外にも、緑茶や紅茶があります。もちろんお茶にはそこまで多くのカフェインは含まれていませんが、キサンチン誘導体とカフェインの関連については注意してもし過ぎることはありません。今後の報告に注目したいところです。

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消化管手術の創合併症発症率は真皮縫合とステープラーで同等である(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(156)より-

ステープラーによる皮膚縫合は消化器外科での開腹手術後に広く行われている反面、もう一つの手段である真皮縫合の潜在的な利点については評価されていない。 本研究はオープンラベル多施設ランダム化比較試験として、24施設が参加して行われた。適応基準は、20歳以上、臓器機能異常なし、上部消化管または下部消化管の開腹外科手術を施行された患者。手術前に真皮縫合とステープラー群に1:1で割り付けられた。主要アウトカムは手術後30日以内の創合併症発症率、副次アウトカムは術後6ヵ月以内の肥厚性瘢痕発症率とした。 1,072例が主要アウトカムの、1,058例が副次アウトカムの評価対象となった。真皮縫合群とステープラー群はそれぞれ558例(上部消化管382例、下部消化管176例)、514例(上部消化管413例、下部消化管101例)であった。 主要評価項目である創合併症発症率は、真皮縫合群で8.4%、ステープラー群では11.5%と、全体としては有意な差は確認できなかった(オッズ比:0.709、95%CI:0.474~1.062、p=0.12)。しかしながら、探索的データ解析によると創合併症発症率は、下部消化管においては真皮縫合群で有意に少なかった(真皮縫合群10.2%、ステープラー群19.8%、オッズ比:0.463、95%CI:0.217~0.978、p=0.0301)。 内訳をみると、表層手術部位感染については、下部消化管において真皮縫合群で有意に少なかった(真皮縫合群7.4%、ステープラー群15.8%、オッズ比:0.425、95%CI:0.179~0.992、p=0.0399)。表層手術部位感染以外の創合併症発症率については、全体では真皮縫合群で有意に少なく(真皮縫合群2.0%、ステープラー群4.5%、オッズ比:0.435、95%CI:0.189~0.940、p=0.0238)、上部消化管においても真皮縫合群で有意に少ないという結果であった(真皮縫合群1.6%、ステープラー群4.6%、オッズ比:0.331、95%CI:0.107~0.875、p=0.0149)。 副次アウトカムである肥厚性瘢痕の発症率については、全体では真皮縫合群で有意に少なく(真皮縫合群16.7%、ステープラー群21.6%、オッズ比:0.726、95%CI:0.528~0.998、p=0.0429)、上部消化管においても真皮縫合群で有意に少なかった(真皮縫合群17.3%、ステープラー群23.7%、オッズ比:0.672、95%CI:0.465~0.965、p=0.0282)。 サブセット解析では、男性、下部消化管手術、手術時間220分以上、手術後の抗凝固療法施行において、真皮縫合群で創合併症リスクが減少していた。また、ほとんどのサブセットにおいて、真皮縫合群で創合併症の頻度が減少していることが証明された。 消化器外科手術で、下部消化管手術が上部消化管手術より創部感染率が高いことはよく知られている。平成19年4月に施行された改正医療法により、すべての医療機関において、管理者の責任の下で院内感染対策のための体制の確保が義務化された。院内感染の発生状況や薬剤耐性菌の分離状況、および薬剤耐性菌による感染症の発生状況を調査し、わが国の院内感染の概況を把握して医療現場へ院内感染対策に有用な情報の還元等を行うため、厚生労働省により院内感染対策サーベイランス(JANIS)が始まった。そのSSI(surgical site infection)部門の最新結果(2013年1~6月)でも、創感染発症率は直腸手術14.7%、結腸手術12.7%、胃手術8.4%であった。 本研究は先行研究であるClass 1(clean)と同様に、Class 2(clean-contaminated)においても、真皮縫合がステープラーより創合併症発症率が低い結果を期待したが、全体では有意差が出なかった。腹腔鏡手術を除く上部、下部消化管手術のすべてを対象に設定されており、腹腔鏡手術が下部消化管手術でより普及しているため、上部消化管手術の比率が高くなったためと考えられる。下部消化管においては真皮縫合群で有意に低かったとしているが、サブグループ解析の本来の目的は有意差のある対象者を探し出すことではなく、1次エンドポイント結果の普遍性・汎用性を検証することである。上部、下部消化管手術の感染率が明らかに異なるのであるから、臓器別に研究計画を立て、検証するべきである。

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心房細動患者、減量も大事/JAMA

 心房細動患者の治療マネジメントにおいては、心血管代謝リスク因子のマネジメント強化とともに減量を指導することが、心房細動の症状および重症度の軽減に結びつき、また心臓リモデリングに有益であることが示された。オーストラリア・アデレード大学のHany S. Abed氏らが、単施設150例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。肥満は心房細動のリスク因子であることは知られているが、減量と心血管代謝リスク因子のマネジメントが、心房細動の症状を軽減するかについては不明であった。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。肥満の心房細動患者を、減量介入群と通常生活習慣アドバイス群に無作為化 研究グループは、減量と心房細動の心血管代謝リスク因子のマネジメントが、心房細動の症状および心臓構造自体に与える影響について調べることを目的とした。試験は2010年6月~2011年12月に、アデレード大学心臓疾患センターにて部分的盲検化にて行われた。被験者は、過体重もしくは肥満症の症候性心房細動の外来患者(21~75歳、BMI 27以上、腹囲男性100cm・女性90cm以上)であった。 被験者は、無作為に減量指導を受ける群(介入群)または通常の生活習慣アドバイスを受ける群(対照群)に割り付けられた。両群とも心血管代謝リスク因子のマネジメント強化が行われた。 主要アウトカムは、心房細動重症度スケールのスコア(症状の負荷と重症度)とし、ベースラインから3ヵ月ごと、15ヵ月時点まで測定した。副次アウトカムの評価は、ベースライン時と12ヵ月時点で行った、ホルター心電図7日間測定で検出した心房細動エピソード総数と累積期間、心エコーによる左房容積、心室中隔壁厚であった。エピソード数、症状重症度スコアなどが減量群で有意に減少 248例の患者がスクリーニングを受け、150例が無作為化(各群75例)され追跡を受けた。 介入群は、対照群と比べて体重が有意に減少し(14.3kg vs. 3.6kg、p<0.001)、心房細動症状スコア(11.8ポイントvs. 2.6ポイント、p<0.001)、症状重症度スコア(8.4ポイントvs. 1.7ポイント、p<0.001)、エピソード数(2.5 vs. 変化なし、p=0.01)、累積期間(692分減少vs. 419分増加、p=0.002)も有意に減少した。 また、心室中隔壁厚(1.1 mm vs. 0.6mm、p=0.02)、左房容積(3.5 cm2 vs. 1.9cm2、p=0.02)も介入群で有意に減少した。

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LDLコレステロールを推算する新方程式/JAMA

 LDLコレステロール(LDL-C)値推算法について、従来のFriedewald式よりも正確なガイドラインのリスク層別化に優れた新たな方程式が、米国・ジョンズ・ホプキンス大学チッカローネ心疾患予防センターのSeth S. Martin氏らにより開発された。Friedewald式は1972年に448例の患者のデータを分析して編み出された、LDL-C実測の手間とコストがかからない計算式であり、長年、研究や臨床の目標値として、また国際的ガイドライン等の主要目標として取り入れられてきた。新推算法は、従来式の「トリグリセリド(TG)/5」の5という固定係数の解消を図ったもので、135万人の脂質データを分析して新たに補正係数を作成し、それを用いた評価法を開発した。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。全米の小児~成人135万人の脂質データを分析し開発 従来のFriedewald式([総コレステロール値]-[HDL-C]-[TG/5])では、VLDL-Cに対するTG(TG:VLDL-C)比は5と固定されていたが、実際のTG:VLDL-C比はTG値とコレステロール値によって有意に変動する。研究グループは、TG:VLDL-C比に補正係数を用いることで標準脂質プロファイルからLDL-C推定値を導き出す新たな方程式の開発に取り組んだ。 係数開発には、2009年~2011年に、米国人(小児、若者、成人)135万908人の臨床脂質プロファイルの連続検体を用いた。コレステロール値は遠心分離法にて直接測定し、TG値も直接測定した。脂質分布は、全米健康栄養調査(NHANES)と適合させて行った。 検体は、無作為に開発群(90万605例)と検証群(45万303例)の各データセットに割り付けられ、臨床診療ガイドラインのLDLリスク分類の一致について、推定値と実測値を用いた場合を比較した。TG値400mg/dL未満のリスク分類一致率、85.4%から91.7%に有意に改善 開発群のTG:VLDL-C比中央値は、5.2(IQR:4.5~6.0)だった。TG:VLDL-C比とTG値およびnon-HDL-C値とのバリアンスは65%だった。 TG値とnon-HDL-C値を組み合わせて、新たに180通りのTG:VLDL-C比中央値を評価するセルテーブルを作成した。それを、検証群に適用し新たなLDL-C推算法を開発した。 その結果、TG値400mg/dL未満の患者において、LDL-C直接測定法によるガイドラインリスク分類との一致率が、従来のFriedewald式では85.4%(95%信頼区間[CI]:85.3~85.5%)であったが、新推算式では91.7%(同:91.6~91.8%)と有意に改善した(p<0.001)。 改善が最も大きかったのは、LDL-C値70mg/dL未満への分類で、とくにTG値が高値の患者において改善が大きかった。 すなわち、推定LDL-C値70mg/dL未満群において、実際にLDL-C値70mg/dL未満であったのは、TG値100~140mg/dL群では従来式79.9%(95%CI:79.3~80.4%)、新推算式94.3%(同:93.9~94.7%)、TG値150~199mg/dL群では、61.3%(同:60.3~62.3%)と92.4%(同:91.7~93.1%)、TG値200~399mg/dL群では、40.3%(同:39.4~41.3%)と84.0%(同:82.9~85.1%)だった。 上記の結果から著者は、「TG:VLDL-C比の補正係数を用いた新たなLDL-C推算法は、Friedewald式よりもより正確なガイドラインリスク分類を提供した」と結論している。そのうえで「外的妥当性の検証と臨床的意義についての評価が必要ではあるが、この新たな推算法の臨床導入は簡便でコストがかからないものだろう」と述べている。

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慢性腰痛の痛みや機能障害などの改善に水中療法の集中プログラムが有効

 水中療法の週5回2ヵ月間集中プログラムは、慢性腰痛患者の疼痛、機能障害、身体組成値および体力測定値を改善するとともにQOLを向上させることが認められた。スペイン・グラナダ大学のPedro Angel Baena-Beato氏らによる比較臨床試験で明らかとなった。Clinical Rehabilitation誌オンライン版2013年10月31日号の掲載報告。 対象は、慢性腰痛を有しあまり運動しない成人患者49例で、水中療法を週5回、2ヵ月間行う集中プログラムの実施群(24例)と、集中プログラムの順番待ちまたはプログラム空き時間に水中療法を行う対照群(25例)に分け、集中プログラムの効果を評価した。 評価項目は、疼痛強度(視覚的アナログスケール:VAS)、機能障害(オスウェストリー障害指数;ODI)スコア、SF-36による健康関連QOL、身体組成値(体重、BMI、体脂肪率、骨格筋量)および体力測定値(長座体前屈、握力、腹筋、1マイル歩行テスト)であった。 主な結果は以下のとおり。・実施群では、疼痛強度が3.83±0.35mm減少、ODIスコアが12.7±1.3減少、SF-36の身体に関するスコアが10.3±1.4増加し、いずれも有意(p<0.001)な改善であったが、SF-36の精神に関するスコアの改善はみられなかった(p=0.114)。・身体組成値と体力測定値は、実施群では有意な改善が認められたが(すべての項目がp<0.01)、対照群ではいずれの項目もまったく変化しなかった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・知っておいて損はない運動器慢性痛の知識・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する

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アトピー性皮膚炎や喘息がてんかんの有病率に影響

 小児において、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー性疾患の有無はてんかんの既往と関連しており、また、アレルギー性疾患の数が増えると、てんかんの有病率や生涯有病率が高まることが、米国ノースウェスタン大学のJonathan I Silverberg氏らの調査によって報告された。Allergy誌オンライン版2013年11月20日掲載の報告。 試験動物を用いた先行研究により、アレルギー性疾患とてんかんの関連性が示唆されている。Silverberg氏らは、小児におけるてんかんとアレルギー性疾患(喘息、アトピー性皮膚炎/湿疹、花粉症、食物アレルギー)有病率との関連を調査することを目的とした。調査には2007年~2008年に実施された人口ベースの小児の健康調査が用いられ、対象者は0~17歳の9万1,642人であった。解析にはロジスティック回帰分析を用い、交絡変数で補正後、データを分析した。 主な結果は以下のとおり。・米国の小児期におけるてんかんの生涯有病率は1.03%であった。また、その発症には、より年長である男児、低い世帯収入、家族構成、過去の脳損傷または脳震盪の既往が関与していた。・少なくとも1つ以上のアレルギー性疾患を有する小児では、アレルギー性疾患がない小児に比べて、てんかんの生涯有病率が高かった(補正後オッズ比[aOR]:1.79 [95%CI:1.37~2.33])。・これまでにてんかんの診断歴がある場合、各種アレルギーの有病率が高かった(喘息の生涯有病率aOR:2.30[95%CI:1.50~3.52]、喘息の1年有病率:2.00[1.41~2.84]、アトピー性皮膚炎/湿疹1.73[1.17~2.56]、花粉症aOR:1.93[1.41~2.65]、食物アレルギーaOR:2.69[1.38~4.01])。・てんかんの現病歴についても同様の結果が得られた。・アトピー性皮膚炎/湿疹または花粉症がそれぞれ重度である場合、軽度~中等度の場合と比べて、てんかんの有病率が高かった。

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難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か

 新規抗てんかん薬は、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない場合の併用療法に使用することが定められているが、どの程度の有効性が期待できるのだろうか。中国・復旦大学のYouxin Fang氏らは、てんかん患者に対しレベチラセタム(LEV)を併用した際の有効性と忍容性を明らかにするためメタ解析を実施した。その結果、LEVの追加はプラセボに比べ、発作を有意に減少させ、忍容性も良好であることを報告した。Journal of Clinical Neuroscience誌オンライン版2013年11月11日号の掲載報告。 研究グループは、特発性または二次性てんかんに罹患し多様な発作を呈する、成人および小児に対するLEV併用療法の有効性と忍容性に関する、現時点のエビデンスを収集し、概括することを目的にメタ解析を実施した。てんかんに対する併用療法としてLEVを用いた無作為化比較試験(RCT)を選択し、50%以上の発作頻度減少、発作なし、有害事象などのアウトカムについて評価した。 主な結果は以下のとおり。・13件のRCTを解析に組み込んだ。・LEVの追加効果は、50%以上の発作頻度減少(pooledオッズ比[OR]:3.36、95%信頼区間[CI]:2.78~4.07、Z=12.46、p<0.00001)と、発作なし(同:4.72、2.96~7.54、Z=6.50、p<0.00001)の項目において、プラセボに比べ優れていた。・不均質性は軽度であった(50%以上の発作頻度減少:χ2=12.28、I2=2%、発作なし:χ2=0.49、I2=0%)。・サブグループ解析において、成人患者のすべての用量で同様の有効性が示唆された。・LEV群とプラセボ群の間で、有害事象の発現頻度に有意差はなかった。・LEV群で多く発現した有害事象は、眠気、興奮、めまい、無力症、感染症であった。・発疹、白血球減少、血小板減少などの重篤な有害事象はきわめて低頻度であった。・成人および小児の部分てんかんおよび特発性全般てんかんにおいて、LEVの追加はプラセボに比べ発作を有意に減少させ、良好な忍容性を示した。■関連記事難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性はレベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院新規の抗てんかん薬16種の相互作用を検証抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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薬剤溶出性ステントの優劣は1年の短期成績によって決めてよいか?(コメンテーター:上田 恭敬 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(155)より-

DUTCH PEERSは、臨床で使用される頻度が高い2つの第三世代ステントであるコバルトクロム製のゾタロリムス溶出ステント(米国メドトロニック社製「リゾリュートインテグリティ」)、あるいはプラチナクロム製のエベロリムス溶出ステント(米国ボストン・サイエンティフィック社製「プロマス・エレメント」)の留置を受けた全患者を対象に、安全性と有効性を評価することを目的とした無作為化単盲検多施設共同非劣性試験である。主要エンドポイントは12ヵ月時点の安全性(心臓死または標的血管関連の心筋梗塞)と有効性(標的血管再血行術)の複合であった。 ステント血栓症は、ゾタロリムス群3例(0.3%)、エベロリムス群6例(0.7%)で有意差はなかった(p=0.34)。ステントの変形は、エベロリムス群でのみ認められ、9/905例(1.0%)、これに対しゾタロリムス群は0/906例で有意差がみられた(p=0.002)。ゾタロリムス群に比してエベロリムス群では、ステント後拡張を要する頻度が有意に高く(79% vs. 74%, p=0.002)、得られた最小内腔径は小さい傾向が見られた(2.15mm vs. 2.22mm, p=0.06)。 しかし、主要エンドポイントを呈したのは、ゾタロリムス群55/905例(6%)、エベロリムス群47/905例(5%)で、ゾタロリムス溶出ステントはエベロリムス溶出ステントに非劣性であることが示された。よって、両ステントの有効性および安全性は同程度であることが明らかにされ、著者は「いずれも優れた臨床アウトカムをもたらすものである」と結論している。ここで取り上げられている2つの第三世代薬剤溶出性ステント「リゾリュートインテグリティ」と「プロマス・エレメント」の比較では、「プロマス・エレメント」において易変形性など若干の欠点が指摘されているものの、1年の短期成績においては臨床上問題となるような差は認められなかったという結果となった。 ところが、多くの問題が指摘されていた第一世代のステント「サイファー」と、その後に登場した「エンデバー」の比較では、9ヵ月の短期成績において「サイファー」が有意に優れているとの結論で、実臨床においては「エンデバー」に比してはるかに多くの「サイファー」が使用される結果となったものの、その後に報告された5年間の長期成績では「サイファー」と「エンデバー」の成績はほぼ同等となり、さらに「サイファー」における遅発性イベントの多さから判断して、その後の成績は「エンデバー」優位となることは明らかとなった。すなわち、薬剤溶出性ステントにおいては、遅発性イベントの頻度が長期の成績を大きく左右するため、たかだか1年程度の成績からその後の長期イベント頻度を予測することは不可能なのである。 それに対して、ステントの留置を受ける患者は10年~50年、あるいはそれ以上の長期間、そのステントを冠動脈内にもって生きていくことになり、長期成績こそがそのステントの選択理由であって欲しいものである。しかし、実際には長期の臨床試験の結果を待ってからそのステントの使用を開始するわけにもいかないため、病理的検討や血管内イメージングを用いた検討から、長期成績を予測することが重要と思われる。 実際、上述の「エンデバー」は、血管内視鏡所見から判断すると、従来の金属ステントの場合に近い白色の安定した新生内膜によって良好に被覆されることが知られており、遅発性のイベントが低いと予測されていた。一方「サイファー」は、逆に動脈硬化の進行を加速して黄色プラークの形成を促進することが知られており、遅発性イベントの増加が懸念されていた。この予測は見事に的中したわけである。大規模臨床試験の結果のみに偏重した治療方針決定の、問題点が明らかとなった一事例であると思われる。 この事例を考慮すると、本論文で報告された結果のみから、いずれのステントが優れているのか同等なのかを判断することはできない。

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β遮断薬はメラノーマの再発・死亡リスク低下に関連

 イタリア・フローレンス大学のVincenzo De Giorgi氏らは、1993~2009年にわたる741例の連続患者を対象に、メラノーマ(悪性黒色腫)の再発および死亡に対するβ遮断薬とそのほかの降圧薬の影響について検討した結果、β遮断薬は同リスク低下と関連しているという以前と同様の所見が得られたことを報告した。著者は、今回の結果は、その関連をより確定的なものとするために、無作為化試験による検討が必要であることをも強く示す結果であると述べている。Mayo Clinic Proceedings誌2013年11月号の掲載報告。 検討は、1993年1月1日~2009年12月31日の間、フローレンス大学の皮膚科部門でメラノーマと診断された全連続患者のデータを入手して行われた。 被験者は、ベースライン時にメラノーマの既往とその他難病を有する場合は除外された。また診断時に、臓器、リンパ、転移巣が認められた患者も除外された。 主な結果は以下のとおり。・メラノーマを有していた741例の連続患者のうち、β遮断薬を1年以上服用していた患者(大半が高血圧の治療目的のため)は、79例(11%)であった。非服用患者は662例(89%)であった。・多変量Coxモデル解析の結果、服用群はフォローアップ中央値4年後の全生存率が有意に改善された(p=0.005)。・β遮断薬服用者は、年間38%ずつリスクが減少していた。・高血圧の罹患、降圧薬服用が1年以上、あるいはそのほかの頻度の高い薬物服用は、メラノーマの患者の良好なアウトカムと関連がみられなかった。

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統合失調症の陰性症状に、抗酸化物質N-アセチルシステインは有効か

 近年、統合失調症の病因として酸化ストレス経路の異常が示されており、統合失調症の陰性症状に対する抗酸化物質の有用性への関心が高まっている。神経保護作用を持つ抗酸化物質であるN-アセチルシステイン(NAC)が、統合失調症の陰性症状の治療において有用であるかを、イラン・テヘラン医科大学のMehdi Farokhnia氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験により評価した。統合失調症の陰性症状は患者QOLに悪影響を及ぼしているが、現状では、その症状に完全に効果的な治療法はまだ開発されていない。Clinical Neuropharmacology誌2013年11・12月号の掲載報告。 NACは、神経保護作用を持つ抗酸化物質であることから、研究グループは、統合失調症の陰性症状の治療において、リスペリドンの併用薬としての、NACの有効性を評価することを目的とした無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を行った。同試験のactive phaseに、慢性の統合失調症で、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)のサブスケール陰性症状のスコアが20以上の患者42例が登録された。被験者は、NAC群(最大2g/日)またはプラセボ群に均等に無作為化され、リスペリドン(最大6mg/日)の併用投与が8週間行われた。2週ごとにPANSSにより評価を行った。主要評価項目は、PANSSサブスケール陰性症状スコアの低下とした。主な結果は以下のとおり。・最終評価時、NAC群はプラセボ群に比べ、PANSS総スコア(p=0.006) およびサブスケール陰性症状スコア(p<0.001)の有意な改善が認められた。・PANSSサブスケール陽性症状および総合精神病理尺度において、有意差は認められなかった。・有害事象の発現頻度に2群間で有意差は認められなかった。・統合失調症の陰性症状の軽減において、NACの併用は安全かつ有効な増強ストラテジーであることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学 統合失調症治療に抗炎症薬は有用か

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バルドキソロンメチルが心血管イベントリスク増大で試験中止/NEJM

 2型糖尿病でステージ4の慢性腎臓病(CKD)の患者に対する、新規開発中の転写因子Nrf2活性化剤バルドキソロンメチル(bardoxolone methyl)は、末期腎不全(ESRD)または心血管疾患死の抑制に効果が認められず、また心血管イベントリスクがバルドキソロンメチル群で有意に増大したため、開発試験を中止したことが発表された。オランダ・フローニンゲン大学のDick de Zeeuw氏らが、2,000例超を対象に行った第3相臨床試験「BEACON」の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2013年11月9日号掲載の報告より。バルドキソロンメチルをステージ4のCKD患者に20mg/日投与 糖尿病性腎障害は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬により進行を遅らせることが可能となっているが、リスクはなお高いまま残る。一方で、転写因子Nrf2活性の阻害と酸化ストレスと炎症が関与していることが明らかとなり、バルドキソロンメチルについてヒトを対象とした52週間の試験で、クレアチニン値を抑制することが示されていた。 それらの知見を受けてBEACON試験は、バルドキソロンメチルがESRDリスクや心血管疾患による死亡を減少すると仮定して行われたもので、2011年6月~2012年9月に、欧米、オーストラリア、カナダ、イスラエル、メキシコにおいて、2型糖尿病でステージ4のCKD患者2,185例を対象に行われた。 被験者は無作為に2群に分けられ、一方にはバルドキソロンメチルを20mg/日、もう一方にはプラセボが投与され、ESRDまたは心血管疾患死を主要エンドポイントに追跡された。ステージ4のCKDの定義は、推定糸球体濾過量(eGFR)15~30mL/分/1.73m2だった。バルドキソロンメチル群で心不全による入院・死亡リスクが1.83倍 その結果、試験は追跡期間中央値9ヵ月の時点で、プラセボ群よりもバルドキソロンメチル群での心血管イベントの発生が高率に認められ、試験の中止が勧告された。 同時点の主要エンドポイントの発生率は、バルドキソロンメチル群69/1,088例(6%)、プラセボ群69/1,097例(6%)と、両群で同等だった(ハザード比:0.98、95%信頼区間:0.70~1.37、p=0.92)。バルドキソロンメチル群におけるESRDの発生は43例、心血管疾患死は27例だった。プラセボ群では、それぞれ51例、19例だった。 副次アウトカムでは心不全による入院または死亡が、プラセボ群55例の発生に対し、バルドキソロンメチル群では96例で、リスクは1.8倍に上った(ハザード比:1.83、同:1.32~2.55、p<0.001)。 また、バルドキソロンメチル群でプラセボ群よりも、eGFR、血圧、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が有意に増大し、体重については有意な減少がみられた。

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