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転移性前立腺がんに対する新規ホルモン療法の威力は?(解説:勝俣 範之 氏)-274

転移性前立腺がんに対する第一選択は、去勢療法(男性ホルモンであるアンドロゲンをブロックする方法:除睾術やホルモン療法などが行われる)である。転移性がんでは、当初は去勢療法が奏効するが、ほとんどが治療抵抗性となる。治療抵抗性となった場合には、これまでは化学療法しか選択肢がなかった。 エンザルタミドは、アンドロゲン受容体を阻害する作用を持つ新規ホルモン療法の1つと考えてよい。化学療法のような強い副作用がないため、患者さんにとっては福音であるといえる。 NEJMに報告されたこの臨床試験は、去勢抵抗性になり、化学療法を受けていない1,717例の患者さんを対象として行われた。エンドポイントは、無増悪生存期間と全生存期間の2つを設定し、αは無増悪生存期間で有意水準を0.001、全生存期間で0.049と分割し、合わせてα=0.05とすることによって、検定の多重性を調整している。あらかじめ計画された中間解析は、516例の死亡イベントが起きた際に行われ、有意水準を0.0147と定められた。 今回の結果は、中間解析でエンザルタミド群がプラセボ群に対して、生存期間中央値が32.4ヵ月vs.30.2ヵ月(HR 0.71、95% CI:0.60~0.84、p<0.001)であり、あらかじめ設定したαを下回ったため、試験は有効中止となり、中間解析で試験結果が公表されることとなり、マスキングは解除され、プラセボ群の患者さんにはエンザルタミドの処方が勧められることとなった。副作用は、疲労と高血圧、背部痛、便秘、ほてりなどがややエンザルタミド群に多いものの、重篤な副作用は見られなかった。 同様の結果は、化学療法後の前立腺がん患者さんを対象としたプラセボ対照ランダム化比較試験でも、エンザルタミド群の全生存期間での有用性が証明されている1)ため、エンザルタミドの効果は再現性があると認められる。 エンザルタミドは、新規ホルモン療法として、標準治療の位置付けを獲得したといえるが、残された問題としては、わが国で同時期に承認されたアビラテロンとの位置付けである。エンザルタミドが、アンドロゲン受容体に結合し、アンドロゲンの作用を抑制することにより効果を発揮するのに対して、アビラテロンは、アンドロゲンの合成に関わるCYP17阻害薬を阻害して、抗アンドロゲン効果を発する。アビラテロンもエンザルタミドと同様に、去勢抵抗性前立腺がんに対して、プラセボ群と比較して、全生存期間を延長させている2)3)。アビラテロンの弱点としては、アンドロゲンのみならず副腎皮質ホルモンの合成も抑制してしまうため、投与する際には、副腎皮質ホルモン(プレドニン)を併用しなければならないことである。 今年になり、わが国で前立腺がんに対して、抗アンドロゲン薬として2剤、アビラテロン、エンザルタミドが相次いで承認された。今後の課題としては、アビラテロンとエンザルタミドの使用順序をどうしていくか? 併用はどうなのか? 去勢感受性前立腺がんに対してはどうなのか? などの疑問を解決すべく、臨床試験が現在進行中である。■「前立腺がんホルモン療法」関連記事ホルモン療法未治療の前立腺がん、ADTにアビラテロンの併用は?/NEJM

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キーワードで記憶する糖尿病合併症

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 どんな合併症が起こるんですか?医師 糖尿病は別名、血管の病気といわれていますから、全身のあらゆる場所に、ありとあらゆる合併症が起こる可能性があります。患者医師血管の病気ってなんですか?特に、糖尿病の人に起こりやすいのが、糖尿病の3大合併症ともいわれています。患者医師それは何ですか?手足のしびれやこむら返りなどの神経障害、失明の原因となる眼の合併症、透析の原因となる腎臓の合併症です。患者医師なるほど。神経障害、眼、腎臓の頭文字をとって「し・め・じ」と覚えておくといいですね。画 いわみせいじ患者 キノコのしめじですね。しめじは大好きです。それなら覚えられそうです。●糖尿病の3大合併症1.し しんけい(神経)障害2.め め(眼)の合併症(網膜症)3.じ じん(腎)症ポイント語呂合わせで教えることで、記憶に残りますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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健康に良いは、体重に悪い

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者医師患者朝食は気をつけて食べています。朝食はどんなものを食べておられますか?朝食は主にパンです。パンですね。どんなものをよく塗られていますか?えっと、目にいいというので、ブルーベリージャムを塗っています。パンにはブルーベリージャムですね。飲み物は?牛乳です。牛乳にきなこを混ぜています。きなこは健康にいいというので・・・そうですか。野菜とかは?ドレッシングにはオリーブオイルを使っています。他には?画 いわみせいじ腸にいいというのでヨーグルトを摂ることにしています。砂糖の代わりにはちみつを使っています。なるほど。この朝食メニューをみてもらっていいですか。どちらがヘルシーな朝食メニューだと思いますか?(イラストを示して)どちらもよさそうですけど、しいていえば、Aですか?残念ながらBです。Bのメニューが400kcalに対し、Aのメニューは900kcalと倍以上のカロリーです。えっ、そんなに違うんですか!?どうしてですか?(驚きの声)実は、健康にいいといわれている食品はカロリーの高いものが多くて、それを摂り過ぎるとカロリーオーバーになってしまうのです。つまり、健康にいいと思って摂っていたのが逆効果だったんですね。そうですね。Aさんにとって一番簡単な食事療法は、健康にいいと思って勘違いしてとり過ぎている食品を止めることかもしれませんね。はい。わかりました。(嬉しそうな顔)ポイントメニューを比較してもらうことで、患者さん自身に食事療法の勘違いに気づいてもらえますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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分かりやすい糖尿病の段階の説明法

患者さん用脳卒中・心筋梗塞脳や心臓の大血管の動脈硬化1正常駅空腹時血糖値食後血糖HbA1c23予備群駅1005.61101406.0456糖尿病駅1262006.57.07合併症駅細い血管障害3大合併症(神経・眼・腎症)Copyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師先生、私の糖尿病はどのくらい進んでいるんですか?かなり悪くなっているんですか?(やや不安な顔)それでは、糖尿病の状態について説明しましょう。糖尿病を駅に例えると、正常駅(1)、予備軍駅(2、3)、糖尿病駅(4、5)、合併症駅(6、7)になります。あなたは今、どの辺りだと思いますか?患者医師(少し考えてから)6番ですか?まだ、合併症は出ていませんから、合併症駅の手前5番になりますね。患者医師そうですか。合併症駅に進まないためにはどんなことに気をつけたら、いいですか?3つのポイントがあります。患者それは何ですか?(興味津々)ポイントわかりやすい例えを利用することで、理解が深まりますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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低血糖の症候は「ハ」行で指導

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話医師患者この薬を飲むと、低血糖が起こる可能性があります。低血糖ってどんな症状が出るのですか?医師患者代表的な5つの症状を覚えておいてください。5つの症状?医師 強い空腹感、冷や汗やふるえ、動悸、何も処置せずに放っておくと、意識がなくなる人もいます。患者 なるほど。医師 低血糖は「ハ行」で覚えておくといいですね。患者 ハ行!?医師患者画 いわみせいじ腹が減り(ハ)、冷や汗(ヒ)、震え(フ)、変にドキドキ(へ)、放置しておくと意識がなくなる(ホ)です。なるほど。それなら、私にも覚えられそうです。●低血糖は、ハ行「ハヒフヘホ」ハ ハラ(腹)が減り(空腹感)ヒ ヒヤ(冷)汗フ フル(震)えヘ ヘン(変)にドキドキ(動悸)ホ ホウ(放)置しておくと意識がなくなる(昏睡)ポイント語呂合わせで説明することで、記憶に残りますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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動かない時は食べないの原則

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者 休みになると、体重が増えてしまいます。医師 働かざる者・・・という言葉がありますね。患者 働かざる者 食うべからずですね。医師 そうです。働かざる者食うべからずです。これからにんべんをとると・・・。患者 にんべんをとる?医師 「動かざる者食うべからず」ということになります。画 いわみせいじ患者 なるほど!医師 「動いた時は食べる、動かない時は食べない」これが大切です。患者 私、逆になっていますね。平日はよく動いているのか、食べないのに、休みの日はゴロゴロして、何かつまんでばかりです。これから気をつけます。ポイント慣用句を用いて説明すれば、患者さんの理解度が深まりますCopyright© 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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IQ 40 からの脱出(つづき)【Dr. 中島の 新・徒然草】(041)

四十一の段 IQ 40 からの脱出(つづき)前々回で紹介した『IQ 40 からの脱出』では、子供の頃に IQ 40 と診断され、すっかり自信を失っている母子の話をいたしました。患者として受診した息子さんは30代で軽作業の職についており、お母さんのほうは60代です。自信を取り戻すために、当院で再度調べることにしました。中島「こないだの検査はどうでしたか?」患者「難しかったです」中島「それでは結果を見てみましょう」 患者「緊張するなぁ」こちらのリクエスト通り、言語聴覚士の先生はいくつかの検査をしてくれていました。ざっと見て、一番よさそうな数字を拾います。中島「すごくいい数字ですよ。IQ 40 なんかじゃありません」母親「ホントですか!」中島「今回は 81 でした」患者「やったあ!!」母親「よかった、よかった」中島「これからは自信を持ちましょうね」患者「うん! でも阪急電車の問題は出ぇへんかった」この患者さんは、部分的に驚異の記憶力を持っておられ、阪急電車とウシとサイなら任せておけ、ということでした。中島「阪急電車の問題が出たら150点は取ってたな」患者「そうでしょうか、でへへ(喜)」中島「じゃあ、先生が問題を出そか。京都線の和風の電車は・・・」患者「1000系や!」中島「乗ったことある?」患者「何回も何回も乗って、もう制覇しました」中島「では、阪急神戸線の夙川から枝分かれしている線は?」患者「あっちはアカンねん。好きなのは宝塚線です」中島「宝塚線・・・か。先生も学生時代、十三から石橋まで乗っとったけどな。そないに楽しいかな」患者「もう、泣くほど好きです」泣くほど好き、とは斬新な表現です。一方、喜ぶ患者さんの横でお母さんは浮かない顔。母親「私が生きている間はいいんですけど、死んだ後、この子のことが心配で」中島「ちゃんと働いているし、大丈夫でしょう」母親「人を疑うことを知らないので、すぐ騙されるんではないかと」中島「最近はオレオレ詐欺とか、いろいろありますからね」母親「やっぱりそうですよね!」しまった、要らん心配をさせてもた!中島「まぁ、お母さんもあと20年くらいは生きていますし」母親「えっ? えぇ」中島「では、経過観察ということで半年に1回、私の外来に来てください。お母さんが弱ってきたら成年後見制度を活用するとか、何か対策を考えましょう」母親「そうしていただけますか!」お母さんの顔がパッと明るくなりました。実際のところ、20年先どころか3年先がどうなっているかすら予想もつきません。患者さん、お母さんと中島の3人の中で、私が最初にくたばることも十分にあり得ます。でも、お母さんの頭の中では、「自分が先に死んで、この子が取り残される。でも、中島先生はずっと元気で診療を続けているはず」というイメージがこびりついているようです。それなら、そのイメージに沿った提案をして安心してもらうのが一番。ということで、患者さんは IQ 81 に大満足。お母さんはこれからもずっと見守ってもらえるということでホッとした表情。お二人それぞれに何度もお礼を言いながら帰っていきました。

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肺結核への4ヵ月レジメンの効果/NEJM

 喀痰塗抹陽性・リファンピン(本邦ではリファンピシン)感受性の肺結核に対し、ガチフロキサシン(国内販売中止)を含む4ヵ月レジメンは、エタンブトール(商品名:エブトールほか)投与を含む6ヵ月標準レジメンとの比較において、非劣性は示されなかったことが報告された。英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のCorinne S. Merle氏らが、アフリカ5ヵ国で1,836例について行った非劣性無作為化非盲検比較試験で明らかにした。本検討は、結核の治療期間が短縮できれば、疾病コントロールの大きな改善につながることから行われたものであった。NEJM誌2014年10月23日号掲載の報告より。主要評価項目は治療失敗や再発などの不良アウトカム 試験対象は、アフリカ・サハラ砂漠以南の5ヵ国で、喀痰塗抹陽性でリファンピン感受性の肺結核の診断を新たに受けた18~65歳の患者1,836例であった。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には2ヵ月の強化治療期間中にエタンブトール投与を行う6ヵ月標準レジメンを、もう一方の群には強化治療期間中にエタンブトールの代わりにガチフロキサシン(400mg/日)を投与し、その後もリファンピンとイソニアジドとともに継続投与する4ヵ月レジメンを行った。 主要有効性評価項目は、治療終了後24ヵ月時点における、治療失敗、再発、治療期間中の死亡や試験からの脱落といった不良アウトカムだった。非劣性マージンは国について補正後6%であった。国によりばらつき、4ヵ月レジメンは脱落・失敗率は低いが再発率は高い 結果、治療終了後24ヵ月時点における不良アウトカム発生率は、被験者全体(修正intention-to-treat集団、1,356例)では、4ヵ月レジメン群21.0%、6ヵ月標準レジメン群は17.2%で、補正後群間差は3.5%(95%信頼区間[CI]:-0.7~7.7%)だった。 しかし、国別にみるとばらつきが大きく(相互作用p=0.02)、4ヵ月レジメン群の6ヵ月標準レジメン群との差は、ギニアでは-5.4%だった一方で、セネガルでは12.3%だった。 また、試験からの脱落率は、6ヵ月標準レジメン群5.0%に対し4ヵ月レジメン群は2.7%、治療失敗率はそれぞれ2.4%、1.7%と、いずれも4ヵ月レジメンで低率だったが、再発率については7.1%、14.6%と6ヵ月標準レジメンのほうが低かった。なお、4ヵ月レジメンとQT延長および糖代謝異常リスク上昇との関連を示すエビデンスは認められなかった。

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16歳までの自傷経験者、18歳でうつが2~4倍/BMJ

 16歳の時点で自傷行為を行ったことのある人は、その後にメンタルヘルス面の問題やアルコールなどの物質の有害使用、および自傷行為のリスク増大と関連していることが明らかにされた。こうした関連は、とくに自殺念慮がある自傷行為経験者で強かったという。英国・ブリストル大学のBecky Mars氏らが、4,799例を対象とした追跡試験の結果、報告したもので、これまで青少年期の自傷行為と長期の臨床的・社会的アウトカムとの関連については明らかにされていなかった。BMJ誌オンライン版2014年10月21日号掲載の報告より。1991~1992年出生コホートのうち16歳時アンケート回答者4,799例を追跡 Mars氏らは、英国住民ベース出生コホート試験「The Avon Longitudinal Study of Parents and Children」(ALSPAC)を基に、約1万4,000人の1991~1992年出生コホートを対象とした試験を行った。同コホートのうち、16歳時点で自傷行為に関する詳細な質問票に回答した4,799例について追跡試験を行った。 主要評価項目は、18歳時に行われたコンピュータによるClinical Interview Schedule Revised(CIS-R)を用いた、うつ病性障害や不安障害などのメンタルヘルス面での問題の有無。合わせて、アルコールや大麻、喫煙などの使用に関する自己申告による調査結果だった。さらに学業成績(16歳と19歳時)、仕事上の成果(19歳時)、自傷行為(21歳時)に関する評価も行った。自殺念慮があり自傷行為をした16歳、18歳でうつ状態が約4倍に 結果、16歳の時点で、自殺念慮の有無にかかわらず自傷行為を行った人は、将来的なメンタルヘルス面での問題、自傷行為、薬物乱用のリスクが増大した。 その中でも、自殺念慮があり自傷行為を行った人では、そうした関連がより強く認められた。具体的には、16歳の時点で自殺念慮がなく自傷行為を行った人の自傷行為のない人に対する、18歳時点でのうつ状態オッズ比は、2.21(95%信頼区間:1.55~3.15)だったのに対し、自殺念慮があり自傷行為を行った人は、3.94(同:2.67~5.83)だった。 また、自殺念慮あり自傷行為は、学業や仕事の成果の低さとも関連していることが認められた。 著者は、「所見は、青少年期の自傷行為者を早期に見いだし、治療を行うことの必要性を強調するものだった」とまとめている。

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「覚醒」から「睡眠」へ 新機序の不眠症治療薬

2014年9月26日、MSD株式会社は新規作用機序の不眠症治療薬スボレキサント(商品名:ベルソムラ錠15mg、同20mg)の製造販売承認を取得した。本剤は、世界初のオレキシン受容体拮抗薬で、過剰な覚醒状態を抑制することにより、生理的なプロセスで眠りに導く。本剤の登場によって、新たなアプローチからの不眠症治療が可能となる。本稿では、不眠症治療の現状および課題、新薬への期待について紹介する。不眠症とは不眠症は、入眠障害、中途覚醒などの夜間不眠の訴えがあり、その結果として日中の精神・身体機能に影響が生じる疾患である。不眠症の原因は多岐にわたるが、「睡眠」と「覚醒」のバランスが乱れて、体を「覚醒」させるという機能が「睡眠」を誘う機能よりも上回った場合に生じると考えられている。このバランスを乱す要因としては、ストレスなどの心理的要因、うつ病などの精神疾患、不適切な睡眠環境や生活習慣などの生理学的要因、アルコールなどの薬理学的要因、痛みなどの身体的要因などが挙げられる。近年、不眠症の患者ではうつ病の発症リスク、高血圧や糖尿病などの生活習慣病発症リスクが高まることも報告されており、睡眠習慣の改善や薬物による治療の必要性が高まっている。不眠症の治療診断基準(睡眠障害国際分類第2版[ICSD-2]など)により、不眠症を疑った場合には、まず身体・精神的疾患や薬物の影響が不眠症状の原因となっていないか確認を行う。  そのうえで睡眠環境や生活習慣の改善や薬物治療を行う。現在、不眠症治療薬としては、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬などのGABA受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬などが一般的に用いられている。それぞれの薬剤の特徴や作用時間などを考慮して治療薬が選択されるが、翌日への持ち越し効果や耐性・依存・離脱症状などの懸念、それらに対する患者側の心理的抵抗感が課題であった。世界初の作用機序の不眠症治療薬起きている状態を保つオレキシンオレキシンは視床下部のニューロンから産生される神経ペプチドで、睡眠-覚醒システムのバランスを調整する脳内物質である。オレキシンが分泌されると、覚醒システムが活性化されて覚醒の維持に働いて、眠りにくくなる。逆に、眠りに誘われるときはオレキシンの分泌が減り、睡眠システムが優位になっている。なお、睡眠システムにはGABAが深く関わっている。スボレキサントの特徴不眠症の患者では、夜になっても脳の覚醒が亢進することによって不眠が生じると考えられるが、スボレキサントはオレキシンが受容体へ結合することをブロックし、過剰に働いている覚醒システムを抑制する。つまり、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させるという、体が本来持っている生理的なプロセスによって、本来の眠りをもたらす。用法・用量1日1回20mg(高齢者は15mg)を就寝前に服用する。入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、食事と同時または食直後の服用は避ける(食後投与では、投与直後の血漿中濃度が低下することがある)。なお、臨床試験では単剤で処方されていたため、他の不眠症治療薬と併用したときの有効性および安全性は確立されていないので注意が必要となる。※CYP3Aを強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル、テラプレビル、ボリコナゾール)を服用中の患者では、本剤の作用が増強されるおそれがあるため禁忌である。臨床成績・試験:日本人を含む国際共同プラセボ対照試験・対象:原発性不眠症患者638例(成人370例、高齢者268例)・方法:スボレキサント通常用量(成人:20mg、高齢者:15mg)またはプラセボを3ヵ月間、1日1回就寝前に投与・結果:主観的睡眠潜時(患者申告による入眠までの時間)および主観的総睡眠時間(患者申告による睡眠時間の合計)は、スボレキサント群において、1週時からプラセボ群に比べて有意な改善がみられた。安全性上記試験において、6ヵ月間の副作用は53例(20.9%)に認められた。主な副作用は傾眠(4.7%)、頭痛(3.9%)、疲労(2.4%)であった。スボレキサント投与による翌朝の認知機能テストへの影響や、投与中止による反跳性不眠はみられなかった。なお、オレキシンの受容体への結合を阻害して、オレキシンの作用を抑制するという作用機序からナルコレプシーが生じること懸念されるが、臨床試験では認められなかった。ナルコレプシーではオレキシン神経が脱落することが報告されている。一方で、スボレキサントはオレキシン受容体を阻害するものの一過性であるため、機序が異なると考えられる。日本が世界をリードするようなエビデンス構築をスボレキサントについて、MSD株式会社の製品担当者に話を聞いた。「本剤は、世界に先駆けて日本で発売される新規作用機序の薬剤なので、できるだけ慎重に使用していただきたい。まずは臨床試験で有効性・安全性が確認された、未治療またはウォッシュアウト期間のある原発性不眠症患者に使用していただき、スボレキサント本来の有効性・安全性を確認していただきたい」としたうえで、「スボレキサントは不眠症治療の標準薬の1つとなりうる薬剤だと考えている。日本が世界をリードするようなエビデンスや使い方を構築し、現在の不眠症治療の課題克服に貢献したい」と語った。本剤の登場によって、覚醒状態を抑制することで睡眠を導くという、新たなアプローチからの不眠症治療が可能となる。これにより、症状に合わせた薬剤選択、体本来の生理的な睡眠を導く治療が可能になると期待される。

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慢性腰痛患者はギャンブル好き!?

 前脳に存在する神経細胞の集団「側坐核」は、報酬獲得行動に重要な役割を果たしていると考えられている。また、この側坐核と脳の他の部分への機能的結合性が、腰痛の発現に関与していることも知られている。米国・ノースウェスタン大学のSara E Berger氏らは、疼痛と側坐核の結合性および報酬行動との関連について検討した。結果、慢性腰痛患者では、側坐核の機能が変化していることが認められたという。結果を踏まえて著者は、「慢性痛とドーパミン作動性システムの機能異常との関連には、行動も関係していることが明らかになった点で重要である」と述べている。BMC Research Notes誌オンライン版2014年10月20日号の掲載報告。 研究グループは、健康な疼痛のない対照者と慢性腰痛患者を対象に、ギャンブル課題(お金を失うリスクをいとわないことを示す)を実施するとともに、fMRIにより側坐核の機能的結合性を解析し、報酬行動との関わりを比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・慢性腰痛患者で、報酬獲得への感受性が有意に高かった。・慢性腰痛患者では、側坐核と皮質下領域への結合性が強かった。一方、対照者では、前頭皮質への結合性が強かった。・報酬獲得への感受性スコアの違いは、側坐核の結合性を反映していた。・慢性腰痛患者の結合性は、本研究とはまったく独立した研究における衝動性の高い健常者の結合性と類似していた。・以上のように、慢性腰痛患者はリスキーな行動に向かいやすいことが示された。

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次世代ステント「スキャフォールド」とは? その試金石ABSORB II試験の結果を踏まえて(解説:香坂 俊 氏)-273

ABSORB II 試験の結果が先月のLancet誌に発表になりました。この試験は従来からの 旧ステント 対 新ステント というタイプの臨床試験ではなく、まったく新しい「スキャフォールド」と呼ばれるデバイスの導入を巡るもので、多くの注目を集めています。循環器内科を専門とされない先生方へ 従来の冠動脈用の薬剤溶出性ステントはボディが金属なので、どうしても 筒 が最後に血管内に残ってしまい、これが血栓症を起こしたり(1%以下)、血管の弾性を損なったりすることが問題視されてきました。塗布された薬剤の溶出は実は1年程度で完了するので、金属筒は長期的には 用無し、むしろ なくなってくれたほうがよい というわけです。 その問題を解決すべく登場したのが今回の「スキャフォールド」で、こちらはポリエステル (ポリ乳酸化合物) をボディに使用している 完全吸収型のステント です。 だいたい1~2年で完全に分解されてなくなります。要するに、役割を終えたら消えてしまうという、非常に 潔い ステントといえるでしょう。これまでの臨床試験の経過 この「スキャフォールド」ですが、上記のごとく 日本の美意識にも沿った 素晴らしい特長を備えていますが、金属ステントと比較して大掛かりで脆く、デリバリーとリコイル※という弱点を抱えていました。とくにリコイルの問題は、ABSORB I試験(Lancet. 2008)のときから指摘されていたもので、実は今回の 「II」は純粋にこのリコイルの程度を金属ステント(Xience)と比較するために行われた試験なのです。臨床的なエンドポイント、つまり血栓症や急性心筋梗塞のような イベントをターゲットとした試験ではない ことに注意してください。臨床的なエンドポイントの評価は、より大規模な ABSORB III と IV で行われます。※リコイル:ステントを留置した後に、引っ張られた平滑筋がリバウンドで縮んでしまい、血管径が縮んでしまうという現象。スキャフォールドでは構造上あまり圧をかけてデバイスを膨らますことができないため、ABSORB I試験では6ヵ月くらい経つと11%程度の断面積が失われると報告された。 ABSORB II の結果を踏まえて さて、その結果ですが、圧をかけたときのバルーン径については金属製ステントのほうが大きかったものの、留置直後のリコイルは同等というものでした(両群とも0.19mm、p=0.85)。 この意義というのは、どういうところにあるのでしょうか? 筆者としては、このスキャフォールドが予備試験に合格して、いよいよ本格的な臨床試験に入っていくためのチケットを得たのではないかと思っています。 一応ABSORB IIでも副次評価項目として、累積狭心症発生率や複合エンドポイント(死亡や心筋梗塞など)を取っているのですが、まだクリアな結論を出すのに十分なN数ではありません。実際、スキャフォールド群のほうが累積狭心症発生率は有意に低かったのですが、スコアで評価すると互角であり、複合エンドポイントは双方の群とも極めて低く比べるのが難しいという結果でした。ただ、治療した後にステントが消滅し、血管がその自然な弾力性を取り戻すという発想は素晴らしいものですし、ABSORB IIIやIVに向けて希望を持ってよいのではないでしょうか。 最後に、気が付かれた方も多いかと思いますが、この研究のラストオーサーは小沼 芳信先生というれっきとした日本人のドクターです。2001年に東北大学を卒業、その後 東京の三井記念病院で研修され、2007年から筆頭著者であるErasmus大学の Serruys先生の下で研鑽を積まれています(VI-Today誌 Vol.3 No.3 より)。いよいよ本格的な Clinical Trialist が日本からも出てくる時代になったのだと思いませんか? 今後の活躍が期待されます。

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アコンカグア山に登ると気管支喘息が悪化するかもしれない【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第30回

アコンカグア山に登ると気管支喘息が悪化するかもしれない アコンカグア山(Wikipediaより使用) 私は慢性の呼吸器疾患がある患者さんには、あまり高地には行かないように注意しています。多くの患者さんが悪化して帰ってきますので、とくに何千メートルという山に登山する場合は、重症度に応じてドクターストップを考慮しなければなりません。 さて、実際の論文はどういったものがあるかといいますと、南米大陸最高峰のアコンカグア山に登ったら気管支喘息が悪化するという報告があります。『世界の果てまでイッテQ!』でイモト アヤコが挑んだ山として有名です。その標高は6,960mです。Seys SF, et al.Effects of high altitude and cold air exposure on airway inflammation in patients with asthma.Thorax. 2013; 68: 906-913. Epub 2013 Jul 2.この論文は、18人のアコンカグア山に登頂しようと試みた気管支喘息の患者を対象にした研究です。患者のうち13人は男性でした。それにしても、よく気管支喘息のある身でアコンカグアに登ろうとしましたね。アコンカグア登頂前に、低酸素試験や寒冷曝露試験に臨み、登頂前後には呼吸機能検査だけでなく血液検査も実施しました。おおよその研究シェーマは図の通りです。 画像を拡大する 図. 本研究のシェーマ(Seys SF, et al.Thorax. 2013 Oct; 68(10): 906-913. より改変引用)事前に1秒量が軽度低下することは低酸素試験や寒冷曝露試験によってわかっていたのですが、アコンカグア登山中の1秒量と努力性肺活量の低下はやはり10%以上でした。また、登山中には気管支喘息の症状も悪化しました。アコンカグア山から帰ってきた後の喘息コントロールテスト(ACT)と、1秒量も低下していました。恐るべきことに、登山前の低酸素試験で酸素飽和度が低かった患者さんは、登山によって高山病にかかる危険性が高かったそうです。筆者らによれば、事前に行われた寒冷曝露試験の呼吸機能に対する影響が大きかったことから、アコンカグア登山による気管支喘息の悪化の原因は、高地でも低酸素でもなく寒冷ではないかと考えました。寒冷曝露によって気道の好中球性炎症が惹起され、それが一時的な気管支喘息の悪化をもたらすようです。個人的にはすべての因子が相加相乗的に作用して合わせ技一本だった感じもしますが、少なくともしっかりと気管支喘息のコントロールができていない患者さんは、アコンカグア山のような高地には行かないほうが無難かもしれません。

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エキスパートに聞く!「血栓症」Q&A Part3

CareNet.comでは特集「内科医のための血栓症エッセンス」を配信するにあたって、会員の先生方から血栓症診療に関する質問を募集しました。その中から、静脈血栓症に対する質問に対し、東邦大学 医療センター佐倉病院 循環器内科 清水一寛先生に回答いただきました。プライマリ・ケア医が可能な深部静脈血栓症の診断方法について教えてください。深部静脈血栓症ですが、足が腫れたり痛んだりすることが多いですが、症状がないこともあります。診断するうえでまず大事なことは、血栓症を疑うことです。診察手技としては、ホーマンズ徴候というものがあります。膝を伸展した状態で足首を背屈することにより誘発されるふくらはぎの不快感をみるものですが、感度も特異度もあまり高くなく、これだけで診断するのは危険です。血液検査でのDダイマーは有用で、検査値が陰性の場合、99%以上の確率で血栓症を否定できることが過去にLancet誌から報告されており、日常臨床の場で頻用されています。鑑別疾患で、頻度が高いのは蜂窩織炎と浮腫みです。蜂窩織炎は皮膚の発赤・腫脹・熱感があり、WBCの上昇を認めます。皮膚科の先生に相談されることをお勧めします。われわれの診療科に依頼があった場合は、下肢静脈超音波で症状の原因となる血栓症がないことを確認して、皮膚科の先生に診察をお願いしています。浮腫みの原因はさまざまで、全身性の問題の場合は両下肢にリンパ浮腫所見を認めることが多いです。深部静脈血栓症は、下大静脈が閉塞した場合は両下肢に影響が及びますが、多くの場合、血栓症が原因で、両側に同時に症状が出現することはまれです。いずれにせよ、最終的な診断には下肢静脈超音波やCT検査が必要になりますので、症状から深部静脈血栓症を疑ったり、鑑別疾患の1つに上がったりした場合は、総合的に対応可能な施設へ紹介してください。深部静脈血栓症の予防について、弾性ストッキングや適度なリハビリなどが考えられるが、どう対処しているか教えてください。19世紀に、ドイツのウィルヒョウ先生が、血栓ができやすくなる状態として、(1)血液の流れが滞る(2)血管壁に傷がつく(3)血液の凝固能が高まるという「ウィルヒョウの三徴」を唱えられ、この概念は現在でも使われています。入院生活では、自分の居住空間がベッド1つですから、おのずと活動度が低下しがちです。まず大事なことは、必要以上に安静にさせないことです。食事やトイレは移動にもってこいですから早め早めに安静度を上げていってください。ふくらはぎのヒラメ静脈は、血栓の好発部位ですが、筋肉の収縮により、ヒラメ筋静脈内にたまった血液が押し出されて流れていきます。飛行機に乗ると備え付けのパンフレットに下肢の運動のアドバイスがありますが、理由はそのためです。弾性ストッキングは、加圧により血管拡張物質や血栓溶解物質が血管内皮細胞から分泌されるそうです。入院が必要な方は血栓ができやすい状態にあるということを念頭に予防に努めてください。肺塞栓症は慢性と急性で、診断方法、とくに問診や身体所見や血液検査などに違いはありますか?急性の肺塞栓症の場合、突然の呼吸困難を足掛かりに、肺塞栓症が鑑別にあがれば血液検査でDダイマーを確認し、二次線溶が現在起こっているかを評価します。血液ガスやSpO2モニターでは低酸素の確認をします。心電図や心臓超音波では、右心負荷所見の有無の確認をします。レントゲンでは、肺動脈の拡張のほか、気胸や肺炎、心拡大の有無の確認を行います。最終的には、造影CT検査で確定診断に辿り着くことになりますが、この一連の流れは比較的容易です。病院において、上記はほぼ同時進行で進みます。難しいのは、慢性の場合です。すでにDダイマーは正常のことが多く、症状としては労作時の息切れで、医師は心不全や慢性呼吸器疾患を考えてしまいがちです。BNPも上昇していることが多く、心電図では右心負荷所見がみられることもあります。こういった場合では、肺血流シンチグラフィーが有用です。血流欠損所見で診断に至ることもあります。原因不明の肺高血圧をみた場合は、鑑別診断の1つとして慢性の肺血栓塞栓症も考えてみてください。※エキスパートに聞く!「血栓症」Q&A Part4はこちら

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てんかん患者の診療格差を埋めるには?

2014年10月9日、東京都千代田区でグラクソ・スミスクライン株式会社により、「てんかん医療が抱える課題を解決するために」をテーマに、第3回てんかんメディアセミナーが開催された。本セミナーでは、中里 信和氏(東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野 教授/東北大学病院てんかん科科長)より、「てんかん医療の課題解決へ」と題した講演が行われた。てんかん診療における課題と解決策グラクソ・スミスクラインによりてんかん患者(300人)ならびに、神経内科・精神科・一般内科・脳神経外科・小児科に所属し、1ヵ月に平均1人以上のてんかん患者を診察している医師(278人)を対象に「てんかんに関する患者・医師意識調査」が実施された。本調査の結果から浮き彫りとなった、てんかん診療におけるさまざまな課題とその解決策について、中里氏が解説した。(1)患者・医師のコミュニケーションが不足しているコミュニケーション不足のため、「話しづらい雰囲気」や、「十分な信頼関係が築けていない」といった理由により、医師との話し合いに満足していない患者が3割強いることが、調査により明らかとなった。患者は、できればもっと話し合いたいと感じており、生活全般の悩みを相談しにくい現状が明らかとなった。これに対し中里氏は、話しやすい雰囲気づくりやさらなる信頼関係の構築が求められるが、専門医では診察時間の制約もあることから、医師以外の職種を活用するという方法を考えるべきであり、看護師・薬剤師・検査技師・臨床心理士などとチームとして連携することで、医師には言えない話をすくい上げるメリットも生まれる、と述べた。今後は、てんかん診療連携のため、チーム医療の体制(一人で診ずにチームで診る)を整えることが必要であろう。(2)長時間ビデオ脳波モニタリングが普及していないてんかん患者が診断のために受けた検査は、脳波検査が93%、神経画像検査が79%であった。一方で、「長時間ビデオ脳波モニタリング」を受けた患者はわずか7%にとどまっている。ビデオ脳波モニタリングを実施すると、てんかんではない症例(立ちくらみ、心因性、心疾患など)がおよそ2~3割発見されるなど、てんかんをより正確に診断することができる。中里氏は、とくに若年ないし壮年期の患者では、早期にビデオ脳波モニタリングを行って診断を確定させることで正しい治療に結びつき、その後の患者の人生を大きく変えることができる、と述べた。(3)てんかんの診療連携に対する認識が不足しているてんかん患者の約30%が、経過にかかわらず常に専門医の受診を希望している一方で、約25%は、かかりつけ医の受診だけでよいと答えていることが、調査結果から明らかとなった。このことから、患者が重症度に応じた適切な治療を受けられていない可能性がある。さらに、約4割の非専門医は専門医との連携が不十分と認識しており、他病院や専門医への紹介状況も約半数という現状がある。こうしたことから、難治性のてんかん患者が専門的な医療を受ける機会を失っている可能性がうかがえる。今後は、連携により患者を紹介し合うフローの構築や、さらには、ビデオ脳波モニタリングシステムを備えた入院施設へのインセンティブ導入など診療報酬体制の見直しが必要とされる、と中里氏は述べた。今回浮き彫りとなったこれらの課題に対して、てんかん診療を再度見直し、きちんと診断・治療を行うべく「コミュニケーション」「正確な診断法の普及」「地域診療との連携」を充実させるためのシステムを構築すべき時期が来ているのではないだろうか。

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民営化後も医療格差は拡大せず/JAMA

 2000年代に営利病院(profit hospital)に転換した病院について調べた結果、利益率が改善していた一方で医療の質や死亡率、貧困層やマイノリティ患者へのケア提供の割合は変わっていなかったことが報告された。米国・ハーバード公衆衛生大学院のKaren E. Joynt氏らが237病院について、転換前2年と転換後2年の変化を、適合対照631病院と比べて評価した。米国ではここ10年で、営利病院へ転換する病院が増大したという。それらの病院が医療保険支払者や利益に注力し、患者をないがしろにし、医療の質に留意しなくなるのではないかという懸念が高まっていた。JAMA誌2014年10月22・29日号掲載の報告より。2003~2010年に転換した237病院について適合対照病院と比較検証 研究グループは、2003~2010年に営利病院に転換した237病院と、適合対照631病院について、後ろ向きコホート研究を行った。検討に含まれたメディケア受給患者で、転換病院群184万3,764例、対照病院群482万8,138例であった。患者群の57%が女性、年齢中央値は75歳、82%が白人で、30%が民間保険にも加入していた(dual-eligible)。 転換した年のデータを除外したdifference-in-differenceモデルで、転換前2年間と転換後2年間の財務状況、医療の質、死亡率、メディケア報酬および患者の割合について評価した。利益率は有意に改善、医療の質・死亡率・公的保険の取り扱い量は変化せず 営利病院に転換したのは、中小規模(100床未満50.6%、100~399床44.7%)、南部地域(53.6%)、都市(47.3%)/都市近郊(8.9%)の、非教育病院(84.8%)が多かった。 分析の結果、営利転換病院は対照病院と比較して、利益率(医業収益+その他収益に占める純収益の割合)が有意に改善していた。利益率の改善は2.2%vs. 0.4%、difference in differencesは1.8%(95%信頼区間[CI]:0.5~3.1%、p=0.007)であった。 医療の質は、営利病院、対照病院ともに同程度の改善(6.0%vs. 5.6%)であった(difference in differences:0.4%、95%CI:-1.1~2.0%、p=0.59)。メディケア受給患者の死亡率(全死因)も対照病院と比べて有意差は示されなかったが、むしろ増大割合は少なかった(0.1%vs. 0.2%、difference in differences:-0.2%、95%CI:-0.5~0.2%、p=0.42)。同様の傾向は、dual-eigible患者(difference in differences:0.0%、95%CI:-0.5~0.4%、p=0.86)、65歳超の障害のある患者(同:0.3、-0.2~0.8、p=0.30)でも認められた。 年間メディケア受給患者数の変化(-111例vs. -74例)にも有意な差はなかった(difference in differences:-37例、95%CI:-224~150例、p=0.70)。Disproportionate Share Hospital Indexでみると1.7%vs. 0.4%(p=0.26)、メディケア患者が占める割合でみると-0.2%vs. 0.4%(p=0.38)だった。また黒人患者(-0.4%vs. -0.1%、p=0.72)、ヒスパニック系患者(0.1%vs. -0.1%、p=0.50)の割合の変化についてもそれぞれ有意な差はみられなかった。

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エボラ国際伝播、出国検疫強化がカギ/Lancet

 カナダ・トロント大学のIsaac I Bogoch氏らは、国際線航空機搭乗者を介したエボラウイルス伝播の可能性について、国際線フライトデータとエボラウイルス調査データを連動し評価を行った。その結果、現在アウトブレイクが伝えられる西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネの3ヵ国からは、毎月平均2.8人のエボラウイルス感染旅行者が出国している可能性を報告。同時に、それら3ヵ国に関連した出国時の検疫を強化することで、感染リスクの高い全旅行者の健康状態の評価が可能になるとして、国際的な支援の必要性を提言した。Lancet誌オンライン版2014年10月21日号掲載の報告より。フライト制限、出入国時スクリーニングの有効性をモデル化 Bogoch氏らは、2014年9月1日~12月31日までの国際線フライトスケジュールや、2013年の旅行者データを分析し、ギニア、リベリア、シエラレオネからの航空機による出国旅行者数などを割り出した。 それらとエボラウイルス調査データを連動して、予想されるエボラウイルス感染者の出国者数を調べ、航空機出国旅行を制限することの有効性、空港での出入国時スクリーニングの有効性をモデル化し検討した。検討では、対象3ヵ国の国内線または国際線搭乗者は全員、エボラウイルス曝露の可能性があるとみなし、その他の旅行者には有意な曝露リスクはないものとみなした。ギニア、リベリア、シエラレオネから毎月2.8人の感染旅行者が出国 分析の結果、2013年における全世界の航空機搭乗者に占める出国搭乗者は、ギニア、シエラレオネからはいずれも0.02%、リベリアからは0.01%であった。各国からの出国者数は、2014年9月1日時点でフライトキャンセルや減便などにより、リベリアで51%、ギニアで66%、シエラレオネで85%まで減少していた。 モデル検討により、空港での旅行者の健康スクリーニングが、エボラウイルス伝播の阻止に最も有効であると推定された。スクリーニングが必要なのは、出国時については3ヵ国の3都市の空港、入国時については3ヵ国からの直行便がある15ヵ国の15都市、また直行便のない1,238都市での入国時スクリーニングが必要であることも判明したという。 また、3ヵ国からは毎月平均2.8人のエボラウイルス感染旅行者が出国していることが推定され、ギニア、リベリア、シエラレオネからの航空機搭乗出国者のうち64%(9万1,547例)は、低所得国、低中所得国に向かっていると予測され、3ヵ国3都市の出国時スクリーニングが、エボラウイルス感染曝露が高い全旅行者の健康評価を実現できる可能性が明らかになったという。関連記事 発見者ピーター ピオットが語るエボラの今 エボラ出血熱 対策に成功し終息が宣言された国も エボラ出血熱の最新報告-国立国際医療研究センターメディアセミナー

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オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認

 米国・R&Dエスティローダー社のMary S Matsu氏らは、プロトンポンプ阻害薬(PPI)オメプラゾール(商品名:オメプラールほか)に、メラニン形成の減少効果があることを、仮説に基づくマウスとヒト皮膚モデルでの検証試験の結果、確認したことを報告した。Journal of Investigative Dermatology誌オンライン版2014年10月22日号の掲載報告。 オメプラゾールは、消化性潰瘍や逆流性食道炎の治療で用いられるプロトンポンプ阻害薬(PPI)で、胃壁細胞のP-type H+/K+ ATPaseであるATP4Aを不可逆的に阻害することによって作用する。 研究グループは、オメプラゾールおよび同種薬について、B16マウス黒色腫細胞とヒト表皮メラニン細胞、および再生ヒト皮膚モデルにおいて、μmol濃度でのメラニン形成を阻害することを発見した。 主な所見は以下のとおり。・UV照射を受けた被験者の皮膚にオメプラゾールを局所適用したところ、未治療コントロールと比較して、3週間後に有意な色素レベル低下が認められた。・オメプラゾールは、精製されたヒト・チロシナーゼの活性への有意な阻害効果はみられなかった。また、チロシナーゼmRNA、dopachrome tautomerase(DCT)、Pmel17またはMITF mRNAへの有意な阻害効果もみられなかった。・メラニン細胞がATP4Aを発現しないにもかかわらず、転移GolgiネットワークにおいてATP7Aを発現した。ATP7Aは、銅輸送P-type ATPaseで、発現はチロシナーゼにおける銅獲得の要求によるものであった。・メラニン細胞での銅凝集増大に応じた転移Golgiネットワークから形質膜へのATP7A再局在化は、オメプラゾールによって阻害された。・オメプラゾール治療は、EndoH感受性チロシナーゼの比率を増大した。これは、チロシナーゼ成熟を阻害したことを示すものである。・加えてオメプラゾールは、分解を増大するシクロヘキシミドにおいて、チロシナーゼタンパク質量を減らした。

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小児てんかんの予後予測、診断初期で可能

 小児期てんかん発作の最終的なアウトカムは、治療を要することなくすべての発作が完全寛解することである。一方で、てんかんの臨床経過において、どのくらいの頻度で発作が起きるのか、またいかに早期に発作を予測するかは、家族が小児てんかんの特徴を理解すること、ならびに何を予期すべきかを把握する助けとして価値がある。米国・シカゴにあるアン&ロバート H. ルリー小児病院のBerg AT氏らは、小児期てんかんの最終的なアウトカムとしての完全寛解を予測しうるかどうかを検討する前向きコホート研究を行った。その結果、最初の診断から5年以内の情報(発症年齢や子供の学校での状況、てんかんのタイプなどを含む)により、完全寛解が得られるか否かを予測しうることを報告した。Brain誌オンライン版2014年10月22日号の掲載報告。 てんかんに対するConnecticut studyとして、新規にてんかんと診断された小児613例(0~15歳で発症)を対象とし、5年以上にわたり、発作なし、治療なしを発作の完全な回復として完全寛解を検討した。2年以内および診断2~5年後の発作アウトカムに関する情報は、順次比例ハザードモデルに加えた。モデルの予測値はロジスティック回帰により決定した。 主な結果は以下のとおり。・516例について10年以上追跡した。・328例(63%)が完全寛解を達成した。・完全寛解後23例が再発した。再発率は8.2/1,000人年で、経過とともに減少した。再発率は、完全寛解後最初の5年間10.7、次の5年間6.7、10年超では0となった(傾向のp=0.06)。・そのうち6例において、再び完全寛解が得られた。最終評価時点で完全寛解は、311例(60%)で認められた。・最終評価時に「完全寛解が得られない」ことの、ベースライン時の予測因子は、発症年齢10歳以上(ハザード比[HR]:0.55、p=0.0009)、低学年または発達上の問題がある(同:0.74、p=0.01)であった。・最終評価時に「完全寛解が得られる」ことの予測因子は、合併症のないてんかん(ハザード比:2.23、p<0.0001)、焦点性自己終息性てんかん症候群(HR:2.13、p<0.0001)、および特徴づけられないてんかん(HR:1.61、p=0.04)であった。・2年以内の寛解は良好な予後を予測し(HR:1.95、p<0.0001)、2年以内の薬剤抵抗性は完全寛解が得られないことを予測した(HR:0.33、p<0.0001)。・診断2~5年間、再発(HR:0.21、p<0.0001)および遅延して生じた薬剤抵抗性(同:0.21、p=0.008)は完全寛解の機会を減少させ、後期の寛解(同:2.40、p<0.0001) は完全寛解の機会を増加させた。・モデルの全体的な確度は、ベースラインの情報のみでは72%であったが、2年間のアウトカムに関する情報追加により77%、5年間のアウトカムに関する情報追加により85%へと高まった。・完全寛解後の再発はまれであり、てんかんの完全消失の代用として許容できるものであった。・最初の診断から5年以内の情報により、約20年後の完全寛解を良好に予測できると考えられた。関連医療ニュース 低用量EPA+DHA、てんかん発作を抑制 小児期早期のてんかん転倒発作、特徴が判明:東京女子医大 抗精神病薬投与前に予後予測は可能か  担当者へのご意見箱はこちら

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