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日本初のIFNフリー併用療法、海外第3相でも有用/Lancet

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1b型感染患者に対し、開発中のNS5A複製複合体阻害薬ダクラタスビル+NS3プロテアーゼ阻害薬アスナプレビルの経口2剤併用療法(日本では今年7月承認、海外では未承認)は、82~90%と高率の持続的ウイルス消失(SVR)を達成し、忍容性も良好であったことが示された。ドイツ・ハノーバー医科大学のMichael Manns氏らが第III相の国際マルチコホート試験の結果、報告した。所見は、未治療、前治療無効および不適格・不耐容であった患者で認められた。慢性HCV感染治療については、インターフェロンやリバビリンを用いない治療が希求されているが、著者は、「今回の結果は、肝硬変患者を含むHCV遺伝子型1b型感染患者に対して、インターフェロンやリバビリン不要の完全経口療法として、ダクラタスビル+アスナプレビルの使用を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告。ダクラタスビル+アスナプレビル経口併用療法群vs. プラセボ群 HALLMARK-DUALと命名された本試験は、2012年5月11日~2013年10月9日に18ヵ国116施設で行われた。被験者は、慢性HCV遺伝子型1b型に感染した成人で、未治療、ペグインターフェロンα+リバビリン治療が無効、ペグインターフェロンα+リバビリン治療が不耐容であることが判明していた、または同治療について不適格および不耐容で医学的に不適格な患者であった。 未治療患者は、肝硬変の状態により層別化され、無作為に2対1の割合で、ダクラタスビル60mgを1日1回+アスナプレビル100mgを1日2回投与群、もしくはプラセボ群に割り付けられ12週間投与を受けた。 被験者および試験担当者は治療割付、12週時点のHCV RNAの結果については知らされなかった。 なお未治療患者で併用投与群に割り付けられた患者は、引き続き24週まで非盲検下で投与を受けた。プラセボ群患者は第2の併用投与試験に組み込まれた。前治療無効または不適格等であった患者は、非盲検下でダクラタスビル+アスナプレビル併用投与を24週間受けた。 主要エンドポイントは、治療後12週時点のSVRで、有効性の解析はダクラタスビル+アスナプレビル投与を受けた患者について行われた。12週SVR、未治療患者で併用群90%を達成 試験には、未治療患者307例(併用投与群205例、プラセボ群102例、[無作為化された全患者が治療を受けた])、前治療無効患者205例、不適格等患者235例が組み込まれた。 結果、ダクラタスビル+アスナプレビルによるSVR達成は、未治療群182例(90%、95%信頼区間[CI]:85~94%)、前治療無効群168例(82%、同:77~87%)、不適格等群192例(82%、同:77~87%)だった。 重大有害事象は、それぞれ12例(6%)、11例(5%)、16例(7%)の発生だった。治療中断となった有害事象は、それぞれ6例(3%)、2例(1%)、2例(1%)で、最も共通してみられたのはアラニン(ピルビン酸)またはASTの上昇で、死亡は報告されなかった。また、グレード3または4の検査値異常はほとんどなく、治療初期12週間のALT増加が併用群およびプラセボ群で少数報告された(それぞれ2%未満)。

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PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet

 前立腺がん(PSA)検診の有効性に関して評価するヨーロッパ前立腺がん検診の無作為化試験(ERSPC)のフォローアップ13年時点の成績が発表された。これまで検診9年後、11年後において、前立腺がん死亡の有意な減少が報告されていたが、今回もさらなる減少が確認され、大幅な有効性の増大が認められたという。オランダ・エラスムス大学医療センターのFritz H Schroder氏らERSPC研究チームが報告した。しかしながら著者は、「今回の結果にかかわらず、住民ベースのスクリーニング導入の前提条件として、さらなる検診の有害性の定量化と減少が検討されなければならない」とまとめている。9年、11年時に有効性が示された時も、過剰診断といった有害イベントを理由にスクリーニングの実施については論争の的となっていた。Lancet誌オンライン版2014年8月7日号掲載の報告より。ヨーロッパ8ヵ国で55~69歳のスクリーニング群vs. 非介入群を評価 ERSPCは、ヨーロッパ8ヵ国で事前規定に基づき収集されたデータベースを分析し行われた多施設共同無作為化試験。50~74歳の男性を試験適格として集団レジストリから特定し、コア年齢層(55~69歳)について評価を行った。 被験者は、コンピュータを用いて無作為にスクリーニング群と非介入(対照)群に割り付けられフォローアップを受けた。 主要アウトカムは、コア年齢層における前立腺がん死亡率であった。解析はintention to treatにて行い、非参加の選択バイアスに関して修正した副次解析も行った。前立腺がん死亡回避、検診受診781人につき1人 フォローアップ13年時点で、スクリーニング群では7,408例、対照群で6,107例の前立腺がんが診断された。 前立腺がんの両群の発生率比は、9年時点1.91(95%信頼区間[CI]:1.83~1.99)、11年時点1.66(同:1.60~1.73、13年時点1.57(同:1.51~1.62)だった(9年時点について、発生率データのみが報告されていたフランスを含むと1.64)。 前立腺がん死亡率比は、それぞれ0.85(同:0.70~1.03)、0.78(同:0.66~0.91)、0.79(同:0.69~0.91)だった。 13年時点の前立腺がん死亡の絶対的リスクの減少は1,000人年当たり0.11(無作為化男性1,000人当たり1.28)で、スクリーニングを受けた男性781人(95%CI:490~1,929)につき1人の割合で、または前立腺がんの検出27例(同:17~66)につき1例の割合での前立腺がん死亡の回避に相当するものであった。 なお非参加について補正後、スクリーニング群の前立腺がん死亡率は0.73(95%CI:0.61~0.88)だった。

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高齢腰痛患者の7割強が受診前から鎮痛薬を服用

 高齢の腰痛患者は一般開業医(GP)を受診することが多い。その際、鎮痛薬を処方される可能性が高いが、オランダ・エラスムス大学医療センターのWendy T M Enthoven氏らによる前向きコホート研究(BACE研究)の結果、GPを受診した高齢腰痛患者の7割強は、すでに受診前から鎮痛薬を使用していることが明らかになった。追跡期間中に鎮痛薬の使用は減少したが、3ヵ月後および6ヵ月後もまだかなりの患者が鎮痛薬を使用していたという。Pain Medicine誌オンライン版2014年8月4日号の掲載報告。 研究グループは、腰痛を主訴にGPを受診した55歳超の患者を対象に、ベースライン時、3ヵ月後および6ヵ月後の鎮痛薬の使用状況を評価した。 過去3ヵ月以内に腰痛のために薬剤を使用していた場合、薬剤名、使用量、使用頻度、および処方薬かOTCの別を質問した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象675例中、484例(72%)がベースライン時に鎮痛薬を使用していた。・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(57%)が、パラセタモール(以下、アセトアミノフェン)(49%)より高頻度であった。・アセトアミノフェンの多くがOTC(69%)、NSAIDsはほとんどが処方薬(85%であった。・ベースラインで重度の疼痛(数値的評価尺度で7ポイント以上)を有していた患者は、アセトアミノフェン、オピオイドおよび筋弛緩薬の使用が多かった。・慢性疼痛(3ヵ月超の腰痛)を有する患者は、アセトアミノフェンを使用することが多かったのに対して、疼痛の期間が短い患者はNSAIDsが多かった。・追跡期間中、薬剤の使用は全体的に減少したが、3ヵ月後および6ヵ月後もそれぞれ36%および30%の患者が依然として鎮痛薬を使用していた。

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スマホで挿管するのは難しい【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第25回

スマホで挿管するのは難しい最近、スマートフォン(スマホ)関連の論文が増えてきました。医療分野でデジタルデバイスがどんどん発達すれば、もっと論文が増えてくるのではないかと予想しています。Langley A, et al.Comparison of the glidescope®, flexible fibreoptic intubating bronchoscope, iPhone modified bronchoscope, and the Macintosh laryngoscope in normal and difficult airways: a manikin study.BMC Anesthesiol. 2014;14:10.

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ピロリ除菌、糖尿病だと失敗リスク2倍超

 Helicobacter pylori(HP)の除菌において、糖尿病の存在が抗菌薬の有効性を低下させることが懸念されている。新潟大学の堀川 千嘉氏らは、糖尿病患者の除菌失敗リスクに及ぼす糖尿病の影響を調べるためにメタ解析を行った。その結果、糖尿病患者のHP除菌失敗リスクが非糖尿病者に比べて高いことが確認され、糖尿病患者のHP除菌での治療延長や新たな除菌レジメン開発の必要性が示唆された。Diabetes research and clinical practice誌オンライン版2014年7月23日号に掲載。 著者らは、2012年11月30日まで、Biosis、MEDLINE、Embase、PASCAL、SciSearchを用いて文献検索した。選定した研究から、2人の著者がそれぞれ別に、HP感染の除菌治療を受けた人数と糖尿病の有無別のHP除菌失敗データを抽出した。 主な結果は以下のとおり。・適格な8研究を選択し、データを取得した(計693人、うち糖尿病患者273人)。・全体では、非糖尿病者と比べた糖尿病患者のHP除菌失敗の統合リスク比(RR)は2.19(95%CI:1.65~2.90、p<0.001)であった。・標準プロトコル以外でHP除菌を行った2つの研究を除いた場合、非糖尿病者と比べた糖尿病患者のHP除菌失敗リスクはより高かった(RR:2.31、95%CI:1.72~3.11)。

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小児BCG接種、結核感染を2割予防/BMJ

 小児へのBCG接種の予防効果について、肺結核患者への曝露後感染を19%予防できることが明らかにされた。また、結核菌感染が認められた場合も、接種者では発症予防効果が58%あることも判明した。英国・イングランド公衆衛生サービス(PHE)のA. Roy氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。これまでの研究結果から、小児へのBCG接種が、結核の重症症状、なかでも髄膜炎に対して予防効果(60~80%)があることは明らかにされていた。BMJ誌2014年8月5日号掲載の報告より。IGRA検査で結核菌感染の有無をスクリーニング 研究グループは、文献データベースMedlineなどをもとに、1950~2013年11月までに発表された、肺結核の患者への曝露が確認された16歳未満を含む試験を特定し、BCG接種と結核菌感染予防の効果について、システマティックレビューとメタ解析を行った。 被験者について、インターフェロン-γ遊離試験(IGRA検査)で、結核菌感染の有無についてスクリーニングを行った。接種群は、感染後の進行も58%予防 14試験(被験者総数3,855例)について、分析を行った。 その結果、BCG接種群の結核菌感染に関する推定リスク比は、非接種群に対し0.81(95%信頼区間[CI]:0.71~0.92)で、小児へのBCG接種は非接種の場合に比べ、肺結核患者への曝露後感染予防効果が19%であることが示された。こうした予防効果は、IGRAの種類別に検証したエリスポット法またはクォンティフェロン法のいずれにおいても、同程度であった。 また、6試験(被験者総数1,745例)を対象に、結核菌感染が確認された被験者の、発症に対するBCG接種の効果を調べたところ、非接種群で発症が認められた人の割合は71%だったのに対し、接種群では27%だった。すなわち、感染者に対するBCG接種の結核発症予防効果は、58%(リスク比:0.42、95%CI:0.23~0.77)であることが判明した。

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薬物依存、1回の簡易介入では効果なし/JAMA

 薬物依存症患者に対して、電話を使った1回の動機付け面接といった簡易介入(brief intervention)では、通常のケアと比べて効果は期待できないことが、無作為化比較試験の結果、明らかにされた。米国・ワシントン大学のPeter Roy-Byrne氏らが、無保険者などへのセーフティネットとして機能する公的なプライマリ・ケア機関の利用患者868例を対象に行った試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「簡易介入を、セーフティネットを活用して大規模に行う方法には注意が必要であることを示す結果だった」とまとめている。JAMA誌8月6日号で発表した。動機付け面接とパンフレットの手渡し、10分の電話フォローアップ 研究グループは2009年4月~2012年9月にかけて、ワシントン州内の無保険者などのセーフティネットとして機能する公的病院関連の診療所7ヵ所の待合室で、過去90日以内に違法薬物などの使用があると認めた18歳以上について試験を開始した。 試験参加の同意が得られた868例を無作為に2群に分け、一方には1回の簡易介入を(435例)、もう一方には通常のケアを行った(433例)。具体的に介入群では、動機付け面接、薬物依存スクリーニングアンケート(DAST-10)の結果とそれに関するパンフレット、薬物依存に関して有用な連絡先リストの手渡し、2週間以内に約10分間の電話によるフォローアップを行った。対照群には、DAST-10に関するパンフレットと同じ連絡先リストを渡した。 主要評価項目は、自己報告による過去30日間の問題のある薬物使用と、薬物依存重症度指標であるAddiction Severity Index–Lite(ASI)Drug Useの総合スコアだった。薬物使用日数、薬物依存重症度指標ともに両群で同等 ベースライン時点における、最も問題の多い薬物の使用平均日数は、介入群が14.40日(SD:11.29)、対照群は13.25日(同:10.69)だった。 試験開始後3ヵ月時点での同平均日数は、介入群11.87日(同:12.13)、対照群9.84日(同:10.64)と、両群で同等だった。 また、ASI Drug Use総合スコア平均値についても、ベースライン時では介入群および対照群ともに0.11(同:0.10)。3ヵ月時点でも、介入群0.10(同:0.09)、対照群0.09(同:0.09)で、同等だった。 12ヵ月後についても、両群で有意差はなかった。緊急救命室や外来の利用など副次評価項目についても有意な差がある項目はなかった。

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13種類のがんを1回の採血で診断―次世代のがん診断システム開発プロジェクト始動

 8月18日(月)、独立行政法人国立がん研究センター(東京都中央区)は、血液から乳がんや大腸がんなど13種類のがんを診断するシステムの開発を始めると発表した。 これは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、国立がん研究センター(以下、NCC)、東レ株式会社(以下、東レ)およびアカデミア、企業など他の7機関とともに、健康診断などで簡便にがんや認知症を検査できる世界最先端の診断機器・検査システムの開発を行うプロジェクトの一環である。計画では、患者への負担が小さく、より早期に一度にさまざまながんを診断できる技術の開発を支援することを目的としている。 血液検査によるがんの早期発見では、胃がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、乳がん、肉腫、神経膠腫の13種をターゲットにしている。 具体的には、NCCに蓄積された膨大な臨床情報とバイオバンクの検体、マイクロRNA腫瘍マーカーについての研究成果を基盤とし、東レが開発した高感度DNAチップと、東レとNCCが共同開発した血液中に存在するマイクロRNAバイオマーカーの革新的な探索方法を活用して、体液中のマイクロRNAの発現状態についてのデータベースを構築、網羅的に解析するというもの。 この測定技術により、がんや認知症の早期発見マーカーを見出し、これらのマーカーを検出するバイオツールを世界に先駆け実用化することを目指すとしている。詳細はプレスリリースへ

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アトピー患児における化学物質曝露と健康被害の関連

 アトピー性皮膚炎(AD)患児へのフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)の影響は、曝露レベルや年齢によって異なる可能性があることが明らかにされた。韓国・嘉泉大学校キル病院のW.J. Choi氏らが3~6歳児を対象としたケースコントロール試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「関連性について、さらなる長期的調査を適切な調査デザインの下で行うことを促進する必要がある」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年8月4日号の掲載報告。 DEHPについては、ヒトへの健康被害が懸念されており、研究グループは、韓国のAD患児におけるDEHP曝露との関連を調べた。2012年5~10月に、ソウル市の幼稚園および保育所から集めた3~6歳児を対象に、適合ケースコントロール試験を行った。 皮膚科医がADの臨床診断を行い、症例群224例と年齢・性別に適合した224例の対照群を組み込み、尿サンプルを集めて、DEHPの2つのフタル酸塩代謝物(MEHHP、MEOHP)値を測定し評価した。 主な結果は以下のとおり。・DEHPの影響は、年齢によって異なることが認められた。ADリスク増大との関連は3歳時で認められた(オッズ比:2.51、95%信頼区間[CI]:1.02~6.20)。・その他の年齢では、関連性は反転してみられたが統計的有意差はなかった。・ADへのDEHPの影響は、身体負荷レベルによって異なることがみられた。・ADに対する予測リスクは、多変量ロジスティック回帰分析の結果、DEHP値とADリスクのU曲線の関連であることが示された。

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過度な減塩は死亡率を増やすか? ガイドライン推奨1日6g未満に一石を投じる研究(解説:桑島 巌 氏)-232

PURE研究は、世界17ヵ国からの30~70歳までの成人約10万人を対象としてナトリウム、カリウム排泄量と血圧の関係、および心血管死の関係について詳細に調査した貴重な研究である。今回同一号に2報発表しているがその1つがO’Donnellらの論文である。 彼らの調査では平均3.7年の追跡期間中における全死亡率および心血管死亡率が、ナトリウム排泄量3~6g/日(塩分換算7.5~15g)より多くても少なくても上昇した。つまり塩分摂取と死亡との間にJ曲線関係がみられたという結果である。過度な塩分制限も死亡リスクを増やす可能性を示唆している点で、厳しい減塩食を推奨している国の内外のガイドラインに一石を投じる論文である。また本研究では高カリウム摂取者でイベント発症が少ないことも明らかにした。 高血圧ガイドラインでは食塩摂取量を1日6g未満としているが、確かなエビデンスがあるわけではなかったのも事実である。Intersalt研究などの疫学研究では、確かに塩分摂取量と血圧は相関することは報告されてはいたが、6gまでの減塩が心血管イベントを減らすという確かな報告はほとんどなかった。その意味では本研究は貴重である。 本研究の特徴は以下のように列挙できる。1)経済状況の異なる世界17ヵ国からの地球規模の研究である点。2)日本は含まれていないが、中国からの参加が比較的多く米を主食とするアジア人の特性も評価できる点。3)70歳までの比較的高齢者も含まれている点(Intersalt研究は59歳まで)。4)対象から悪性腫瘍や心血管合併症症例を除外し、かつ追跡2年目までのこれらの合併症発症例も除外することで、疫学追跡研究の解釈につきものの因果の逆転を回避しようとしている点、の4点である。 ただ、最大のlimitationとして、塩分排泄量はスポット尿採取によるKawasaki法からの24時間排泄量の推定値である点において24時間蓄尿法に比べると信頼性は大きく後退する。 結果において注目すべきは、7g以上の高ナトリウム排泄量(塩分17.5g以上)では、ナトリウム排泄量と心血管死/脳卒中との関係は血圧値で補正すると有意でなくなるが、1日ナトリウム排泄量3g未満(塩分換算7.5g未満)の低減塩摂取例では、血圧値で補正してもなおかつ全死亡、心血管死、脳卒中発症とのオッズ比が有意なことである。これらの結果は、高塩分摂取によるイベント発症は高血圧の関与が大きいが、過度な減塩による死亡率上昇には血圧以外の要因が関与している可能性が示されている点である。 本研究はあくまでもリスクのない一般住民での追跡研究の結果であることから、多数の交絡因子の存在は避けられず、この結果からただちに高血圧の患者に対する厳格な減塩は危険であるという解釈は早計かもしれない。 NEJMの同一号には、同じくPURE研究から、ナトリウム排泄量と血圧は直線的に相関するが、高塩分摂取者、高血圧患者、高齢者で勾配が急峻であるというMenteらの断面調査結果や、107のランダム化試験からの塩分と死亡の関係をメタ解析したNUTRICODE研究による、ナトリウム摂取1日2.0g(塩分5g)以上が年間165万人の心血管死に関係するという報告も掲載されており、併せて参考にすることが望ましい。

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抗てんかん薬の使い分け:独での使用調査

 抗てんかん薬の選択に影響を及ぼす要因は何なのか。ドイツ・エアランゲン大学のHajo M. Hamer氏らは、同国における抗てんかん薬(AED)の使用実態を、大規模データベースを用いて後ろ向きに分析し調査した。その結果、AEDによる治療は個人の置かれている状況によりさまざまで、性別、保険の種類および住んでいる場所により異なることを報告した。CNS Drugs誌2014年8月号の掲載報告。 調査は、ドイツの大規模データベースDisease Analyzerを用いて行った。同データベースには、一般開業医および専門医の診療コンピュータシステムから得られた匿名の医療行為(診断、処方)のデータが収集されている。その中から、2010~2012年の間に神経科医346名がてんかんと診断(ICD10コード: G40.X)した成人患者4万3,712例について、社会人口学的特性、併存症、およびAED治療に関して調べた。多変量ロジスティック回帰を用いて調整オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・男性は女性に比べ、ラモトリギンの使用が少なく(OR:0.68、95%CI:0.65~0.72、p<0.001)、むしろカルバマゼピンが多く処方されていた(OR:1.29、95%CI:1.23~1.35、p<0.001)。・民間保険(PHI)でカバーされていた患者と比べ、公的健康保険(SHI)でカバーされていた患者はバルプロ酸が多く使用されており(OR:1.19、95%CI:1.07~1.31、p<0.001)、肥満の割合が高かった。(SHI:3.1%、PHI:1.6%、p<0.001)。・一方、PHIはレベチラセタムの投与と関連していた(OR:1.27、95%CI:1.16~1.4、p<0.001)。・カルバマゼピン(OR:1.25、95%CI:1.17~1.31、p<0.001)およびプリミドン(OR:1.23、95%CI:1.08~1.38、p<0.001)は、都会に比べ田舎でより多く使用されていた。・ラモトリギン(OR:1.31、95%CI:1.23~1.39、p<0.001)は、東ドイツに比べ西ドイツでより多く使用されていた。・都会での生活は、レベチラセタムによる治療機会の増加と関連していた(OR:1.23、95%CI:1.17~1.28、p<0.001)。・診療ガイドラインは存在するものの、ドイツのてんかん患者に対するAED治療は個人の置かれている状況によりさまざまであり、性別に加え、加入している保険の種類および住んでいる場所がAED治療に強く影響していた。関連医療ニュース 新規の抗てんかん薬16種の相互作用を検証 難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性は 新規抗てんかん薬の催奇形性リスクは  担当者へのご意見箱はこちら

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脳転移乳がんのタイプ別予後~国内24施設

 東海大学の新倉 直樹氏らは、脳転移した乳がん患者の予後因子を調べるために、国内24施設で脳転移と診断された乳がん患者において、乳がんのサブタイプごとに臨床経過と予後を比較し、死亡原因を分析した。その結果、脳転移した乳がん患者における転移前・後の臨床経過および予後は、サブタイプにより異なることが示唆された。著者らは、乳がんのサブタイプに着目することにより、脳転移の予防や早期発見、治療の改善を最大限に行えるとしている。Breast cancer research and treatment誌オンライン版2014年8月9日号に掲載。 著者らは、日本臨床腫瘍グループ(JCOG)の24施設で、2001年4月1日~2012年12月31日に脳転移と診断された乳がん患者1,466例を後ろ向きに検討した。 主な結果は以下のとおり。・全部で1,256例の脳転移乳がん患者が対象となり、全生存期間(OS)中央値は8.7ヵ月(95%CI:7.8~9.6)であった。・単変量および多変量解析から、乳がんの転移の診断から6ヵ月以内に脳転移と診断された患者、無症候性脳疾患の患者、HER2+/ER+の患者でOSが延長したことが明らかになった。・サブタイプ別の脳転移後のOS中央値(95%CI)は、以下のとおりであった。- Luminalタイプ:9.3ヵ月(7.2~11.3)- Luminal-HER2 タイプ:16.5ヵ月(11.9~21.1)- HER2タイプ:11.5ヵ月(9.1~13.8)- トリプルネガティブタイプ:4.9ヵ月(3.9~5.9)・Luminal-HER2タイプでのOSは、Luminalタイプ(HR:1.50、p<0.0001)、トリプルネガティブタイプ(HR:1.97、p<0.0001)に比べ有意に延長した。一方、HER2タイプとは有意差は認められなかった(HR:1.19、p=0.117)。

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血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet

 カナダ・マックマスター大学のHertzel C Gerstein氏らは、ACCORD試験データからの分析の結果、2型糖尿病やその他リスク因子を有する中高年において、血糖値上昇は、虚血性心疾患の修正可能なリスク因子であることが明らかにされたことを報告した。血糖降下強化療法vs. 標準療法を検討したACCORD試験は、死亡増により早期中止となったが、介入期間中の血糖降下療法の全ベネフィットは死亡リスクを上回ることが観察されていた。今回の検討は、試験中止後の追跡期間を含めた評価で、結果、同様の所見が得られたという。著者は、「血糖コントロール不良と虚血性心疾患の関連についてさらなる研究を行う必要性が強力に示された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年8月1日号掲載の報告より。中断後を含めた4.8年のACCORD試験結果を分析 検討は、ACCORD試験に参加した40~79歳の1万251例(米国とカナダ77施設から登録)のデータを分析して行われた。被験者は、2型糖尿病で(平均罹病期間10年)、平均HbA1c値は8.3%、虚血性心疾患についてリスク因子を有しており、目標HbA1c値6.0%未満の血糖降下強化療法群(5,128例)、または同値7.0~7.9%の標準療法群(5,123例)に無作為化を受けていた。 試験は、全死因および心血管死亡の報告が増大したため早期中断となり、2008年2月5日に被験者は全員標準療法に切り替えられた。研究グループは、試験中止までの介入期間(平均3.7年)とその後のフォローアップ期間(血圧値と脂質値を追跡、平均1.2年)を加えた全期間(平均4.8年)における両群の致死的・非致死的心筋梗塞、冠動脈再建術、不安定狭心症、新たな狭心症の発生を評価した。心筋梗塞の発生頻度は、介入期間、全期間ともに有意に低下 両群のベースライン特性(平均年齢62歳、女性38%など)、およびフォローアップ期間中の血圧値、脂質値、クレアチニン値、心血管系薬の服用状況に有意な違いはなかった。 分析の結果、心筋梗塞の発生頻度は標準的治療群よりも強化療法群のほうが、介入期間中(ハザード比[HR]:0.80、95%CI:0.67~0.96、p=0.015)、全期間(同:0.84、0.72~0.97、p=0.02)ともに低かった。 同様の所見は、心筋梗塞・冠動脈再建術・不安定狭心症の複合(介入期間HR:0.89、95%CI:0.79~0.99、p=0.031/全期間HR:0.87、95%CI:0.79~0.96、p=0.006)や、追跡期間中における冠動脈再建術単独(HR:0.84、95%CI:0.75~0.94、p=0.003)および不安定狭心症単独(同:0.81、0.67~0.97、p=0.023)でみられた。 すべてのリスクは、HbA1c最小値の達成を時間依存的な共変量として含んだことにより、有意ではなくなっていた。

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違法薬物使用への簡易介入は効果なし/JAMA

 プライマリ・ケアのスクリーニングで特定した不健全な薬物使用について、簡易介入(brief intervention)では効果がないことが明らかにされた。米国・ボストン大学公衆衛生大学院のRichard Saitz氏らが無作為化試験の結果、報告した。米国では、不健康なアルコール摂取への介入効果をエビデンスの1つとして、違法薬物使用および処方薬誤用についての大がかりなスクリーニングと簡易介入が行われているという。しかし有効性のエビデンスはなく、プライマリ・ケアでは一般的な予防サービスとしてそうした介入を推奨していなかった。JAMA誌2014年8月6日号掲載の報告。専門性に基づく簡易介入群vs. 簡易介入なし群で効果を比較 研究グループは、不健康な薬物使用(違法薬物使用または処方薬誤用)への効果的な介入とされる2つのカウンセリング方法、すなわち簡易ネゴシエート面接(brief negotiated interview:BNI)と動機付け面接(motivational interviewing:MOTIV)と、それら簡易介入を行わない対照群の3群を比較し、有効性について検討した。 試験は、ボストン都市部の病院をベースとしたプライマリ・ケアの内科で行われた。2009年6月~2012年1月にスクリーニングにより特定された(飲酒、喫煙、薬物関与のスクリーニング検査[ASSIST]で薬物特異的スコアが4以上)528例の薬物使用患者を対象とした。 BNI群では構造化面接法を用いた健康教育が10~15分行われ、MOTIV群では動機付け面接に基づく30~45分の介入と20~30分のブースター介入が、修士号取得者レベルのカウンセラーによって行われた。また試験参加者全員に、薬物依存症の治療および互助リソースが示されたリストが渡された。 主要アウトカムは、各被験者が特定した過去30日間に使用した主な薬物について、追跡6ヵ月時点で使用していた日数であった。副次アウトカムには、自己申告の使用薬物量、毛髪検査による薬物使用、ASSISTスコア(重症度)、薬物使用の影響、安全でない性交、互助ミーティングへの出席、ヘルスケアサービスの利用などを含んだ。介入3群間に有意差なし 試験開始時に、被験者が報告した主な使用薬物は、マリファナ63%、コカイン19%、オピオイド17%であった。 6ヵ月時点で98%が追跡調査を完了した。同時点での主な薬物使用の平均補正後日数は、簡易介入なし群で12日に対し、BNI介入群は11日(発生率比[IRR]:0.97、95%信頼区間[CI]:0.77~1.22)、MOTIV群は12日(同:1.05、0.84~1.32)であった(両比較群vs. 簡易介入群のp=0.81)。 また、その他アウトカムへの効果に関してもBNIまたはMOTIVの有意差はみられず、さらに薬物別や薬物使用重症度で分析した場合も有意な効果はみられなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「簡易介入は、スクリーニングで特定したプライマリ・ケア患者の、不健全な薬物使用を減らす効果はなかった。これらの結果は、違法薬物使用および処方薬誤用のスクリーニングと簡易介入の大がかりな実施を支持しないものであった」とまとめている。

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新たな持続性疼痛治療剤タペンタ錠 発売

 ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:ブルース・グッドウィン)は、08月18日、持続性疼痛治療剤タペンタ錠 25mg、50mg、100mg(一般名:タペンタドール塩酸塩)の発売を開始した。  適応は、「中等度から高度の疼痛を伴う各種における鎮痛」。 タペンタ錠は、Grünenthal社(ドイツ)で創製された新規の中枢性鎮痛薬であり、オピオイド鎮痛剤に分類される医療用麻薬。2014年5月現在、日本を含む40カ国で承認されている。  日本では、中等度から高度のがん疼痛に適応を有する経口のオピオイド鎮痛薬(医療用麻薬)は、海外と比較して種類が少ない状況にあり、今回のタペンタ錠の発売により、日本のがん疼痛治療に新たな治療選択肢が加わることになる。 ■タペンタ®錠の製品概要■製品名: タペンタ錠 25mg、50mg、100mg一般名: タペンタドール塩酸塩製造販売承認取得日: 2014年3月24日薬価基準収載日: 2014年5月23日発売日: 2014年8月18日製造販売元: ヤンセンファーマ株式会社効能・効果: 中等度から高度の疼痛を伴う各種における鎮痛《効能・効果に関連する使用上の注意》  本剤は、非オピオイド鎮痛剤で治療困難な場合にのみ使用すること。用法・用量: 通常、成人にはタペンタドールとして1日50~400mgを2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減する。薬価: タペンタ®錠25mg1錠  108.70円、    タペンタ®錠50mg1錠  206.30円、    タペンタ®錠100mg1錠 391.70円包装: タペンタ®錠25mg :40錠(10錠×4)    タペンタ®錠50mg :40錠(10錠×4)    タペンタ®錠100mg :40錠(10錠×4) 詳しくはヤンセンファーマ株式会社プレスリリースへ

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腰椎椎間板ヘルニア、手術 vs 非手術は同程度?

 米国・The Dartmouth Institute for Health Policy and Clinical PracticeのDana Kerr氏らは、多施設前向き無作為化研究のSpine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)から、腰椎椎間板ヘルニアに対する手術的治療と保存的治療を比較した解析結果を報告した。追跡期間8年において、intent-to-treat解析ではすべての主要評価項目で差がみられなかったという。ただし、坐骨神経痛症状、患者の自己評価による改善などの副次評価項目については手術的治療の有効性が示唆された。Clinical Orthopaedics and Related Research誌オンライン版2014年7月24日号の掲載報告。 6週以上続く症候性腰椎神経根障害があり、画像診断で椎間板ヘルニアと確認された患者を、米国の13施設にて無作為化コホート(501例)と観察コホート(743例)のいずれかに登録した。 無作為化コホートの患者は手術群か非手術群に無作為に割り付け、椎間板切除術または通常の保存的治療を行った。 主要評価項目は、6週、3ヵ月、6ヵ月、1年、以後1年ごとのSF-36身体的疼痛スコアおよび身体機能スコア、ならびにオスウェストリー障害指数(ODI)であった。 主な結果は以下のとおり。・8年間で、手術群245例中148例(60%)、非手術群256例中122例(48%)が実際に手術を受けていた。・無作為化コホートの intent-to-treat解析では、手術群と非手術群とで主要評価項目に差はなかった。・副次評価項目(坐骨神経痛症状、下肢痛、症状についての満足感、自己評価による改善)は、クロスオーバーが多かったにもかかわらず手術群のほうが改善を認めた。・無作為化コホートと観察コホートを合わせたas-treated解析(実際行われた治療に基づいた解析)では、潜在的交絡因子で補正後、すべての主要評価項目について手術的治療群のほうが優れていることが示された。・喫煙者および、うつ病または関節症を合併している患者は、手術的治療でも保存的治療でも、機能に関する評価項目がすべて悪化していた。・遊離型ヘルニアの患者、ベースラインの腰痛が高度で症状が6ヵ月以上持続していた患者、およびベースラインにおいて障害もなく仕事もしていない患者では、手術的治療の効果が大きかった。

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Vol. 2 No. 4 オメガ3系多価不飽和脂肪酸と心血管イベント 臨床的側面からその意義を考える

木島 康文 氏岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学はじめに動脈硬化プラークに蓄積しているのはコレステロールである。コレステロールの中でも特に低比重リポ蛋白コレステロール(low density lipoprotein cholesterol:LDL-C)と心血管疾患との関連性については広く認知されており、それに対して、スタチンの投与は、心血管イベントの1次予防、2次予防、ハイリスク群に対する投与のいずれにおいても20~30%の相対リスク減少をもたらす1)。では、これで十分かといえば、残りの70%を超える症例がスタチンを投与されているにもかかわらず、心血管イベントを起こしていることになる。すなわち、スタチン単独療法には限界があることを示しており、近年“残余リスク”として注目されている。『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』では心血管リスク因子がない患者群に対して、リスクの高い患者群ではより低いLDL-Cの目標値が設定されている。これはLDL-Cの“質”がリスク因子の影響を受けることを意味している。つまり、これからは心血管リスク因子としての脂質においてはLDL-Cの量とともにリポ蛋白の“質”により注目すべきといえる。リポ蛋白の“質”に影響を及ぼす残余リスクに、多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)のバランス異常がある。具体的には、アラキドン酸(arachidonic acid:AA)に対するエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid:EPA)の相対的低下に代表される、オメガ6系PUFAとオメガ3系PUFAのバランス異常である。オメガ3系PUFAの代表的なものとして魚介由来のEPAやドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid:DHA)と植物由来のα-リノレン酸(alpha-linolenic acid:ALA)がある。これらオメガ3系PUFAには中性脂肪低下作用だけでなく、血小板凝集抑制作用、抗炎症作用、プラーク安定化作用、抗不整脈作用、自律神経調節作用などの多面的効果を有し、これらの効果を介し心血管系に保護的に働くと考えられる。本稿ではオメガ3系PUFAと心血管イベントとの関係について臨床的側面を中心に述べる。オメガ3系PUFAと心血管イベントの関係:その根拠は?オメガ3系脂肪酸の最初のエビデンスは疫学調査によるものである。1970年代に、デンマーク領グリーンランドのイヌイットでは、デンマークの白人に比し、心筋梗塞・狭心症による死亡率が有意に低いことが報告された(白人34.7% vs. イヌイット5.3%)2)。食事内容を比較すると、総摂取エネルギーに対する脂肪の割合はいずれも約40%であったが、白人は主に牛や豚から、イヌイットは主に魚や(魚を大量に摂取する)アザラシから脂肪を摂取していた3)。また、血清コレステロールエステル中にイヌイットではEPAが15.4%存在し、AAが0%であったのに対し、白人ではそれぞれ0%、4.4%と著しい差を認めた。これにより、虚血性心疾患による死亡には脂肪の“質”が関与していることが示唆され、オメガ3系PUFAの心血管イベント抑制効果が注目されることとなった。1985年に、オランダの50~69歳男性852人を20年間追跡し、30g/日以上の魚介を食べる人はまったく食べない人と比べて虚血性心疾患による死亡が約半分であったことが報告された4)。その後、アメリカの40~55歳の健常男性を追跡調査した結果では、35g/日以上の魚介類摂取を行っている場合には心筋梗塞による死亡の相対危険率は0.56で、冠動脈疾患全体では0.62と、魚介類摂取による死亡抑制効果が認められた5)。また、アメリカのPhysicians' Health Studyにおいて、40~80歳までの医師20,551人を対象として最長17年間追跡調査した報告では、週1回以上の魚介類摂取習慣と心臓突然死との関連性が認められた。そして、実際の血清サンプル脂肪酸解析から突然死群のオメガ3系PUFAが対照群と比べて有意に低値であることも報告された6)。そのほかにも、イギリスにおける心筋梗塞後患者の追跡比較試験では、魚介類摂取指導がある群ではない群と比較して総死亡、虚血性心疾患死が有意に少なくなっていたことも報告されている7)。一方、日本人の冠動脈疾患の発症率は欧米に比し低いものの、近年その増加が指摘されている。国民1人当たりの魚介類消費量と男性における冠動脈疾患による死亡率を国別に比較すると、魚介類消費量と冠動脈疾患死の間には明らかな負の相関が認められる。欧米に比べて日本人の魚介類の摂取量は多く、冠動脈疾患の死亡率は低い。このことより、魚介類の摂取量が多いから日本人は冠動脈疾患が少ないものと考えられてきた。近年、日本人が摂取する脂肪の割合は増加しており、増加した脂肪の多くがオメガ6系PUFAに属する動物性油や植物性油である。それに対し、魚介由来のオメガ3系PUFAの摂取量は低下してきている。つまり、本邦における脂肪酸摂取の“質”は近年変わりつつあるといえる。本邦における総脂肪に対するEPAの推定比と脳梗塞あるいは虚血性心疾患による死亡率の経年的変化をみると、1950年代から総脂肪に対するEPAの推定比が低下するとともに、脳梗塞あるいは虚血性心疾患による死亡が増加している8)。これは、オメガ3系PUFAの摂取の減少が動脈硬化性疾患の増加に関与していることを示唆する所見と考えられる。実際に本邦のJapan Public Health Center-Based(JPHC)Study CohortⅠでは、40~59歳までの一般人41,578人を対象として約11年間の追跡調査を行っているが、魚介摂取量に準じて分割された5つの集団において、最も摂取量の多い群では最も少ない群に比べて冠動脈疾患のリスクが37%、心筋梗塞のリスクが56%低値であったと報告された(本誌p.10図を参照)9)。オメガ3系PUFAによる心血管イベントの抑制効果:その効果は?オメガ3系PUFAによる大規模な介入研究としては、これまで2つの報告がなされている。イタリアのGISSI-Prevenzione Trialでは、3か月以内に心筋梗塞に罹患した男性11,324人を対象とし、1g/日のオメガ3系PUFA(EPA+DHA)摂取群、ビタミンE摂取群、両者の摂取群、対照群の4群に分けて約3.5年間追跡調査したところ、オメガ3系PUFA摂取群では対照群に比べ、心血管死亡が30%、総死亡が20%の相対的低下を認め、併用群でも同様であったことが報告された10)。その後の再解析で、オメガ3系PUFAの総死亡や突然死、心血管死の抑制効果が比較的早期から認められる可能性が報告された(本誌p.11図aを参照)11)。一方本邦では、1996年から日本人の高脂血症患者における高純度EPA製剤による冠動脈イベントの発生抑制効果を検討するため、世界初の大規模無作為比較試験JELIS (Japan EPA Lipid Intervention Study)が実施された。JELISでは、高コレステロール患者18,654例(総コレステロール≧250mg/dL、男性:40~75歳、女性:閉経後~75歳)を対象に、スタチン単独投与群(対照群)とスタチンに高純度EPA製剤1.8g/日を追加投与した群(EPA群)で、約5年間、主要冠動脈イベントの発症を比較検討した。その結果、EPA群では対照群と比較して、主要冠動脈イベントが19%抑制され、特に2次予防における抑制効果が認められた(本誌p.11図bを参照)12)。次に、JELISの1次予防サブ解析の結果によると、中性脂肪(triglyceride:TG)≧150mg/dLかつ高比重リポ蛋白コレステロール(high density lipoprotein cholesterol:HDL-C)<40mg/dLの高リスク群では、正常群に比し主要冠動脈イベント発症は有意に高く、この患者群では、EPAの追加投与により主要冠動脈イベント発症が53%抑制された(本誌p.12図aを参照)13)。2次予防のサブ解析では、心筋梗塞の既往かつ冠動脈インターベンション施行例では、EPA群において主要冠動脈イベント発症が41%抑制されることが報告され14)、この患者群における高純度EPA製剤の積極的投与を支持する結果であった。ほかにも、サブ解析の結果、脳梗塞再発予防や末梢動脈疾患の冠動脈イベント予防に有効であることが示されている15, 16)。オメガ3系PUFAを臨床に生かす:その対象は?オメガ3系PUFAが心血管イベントに対する抑制効果を有することはわかってきたといえるが、それではどのような患者群で強い抑制効果が見込めるのだろうか?EPA/AA比を指標として、オメガ3系PUFAが不足している患者に投与しようと考えるのは妥当なことといえる。JELIS脂肪酸サブ解析で、EPA/AA比をもとに冠動脈イベント発生リスクを検討した結果では、EPA/AA比が0.5以上の高値群では低値群に比べて冠動脈イベントリスクに有意差を認めなかった。これに対して、0.75以上の高値群では低値群に比べ冠動脈イベントリスクに有意差が認められた17)。このことから、EPA/AA比0.75以上の維持が心血管イベント抑制につながる可能性が示唆されたといえる。また、JELISの1次予防サブ解析では、高TGおよび低HDL-C群でその他の群に比べイベント発生率が高いことが明らかとなった。そして、この群においてEPAの冠動脈イベントの抑制効果が強く現れていた(本誌p.12図aを参照)。また、このJELISの糖代謝異常に注目したサブ解析でも、糖代謝異常を有する患者群では血糖の正常患者群に比べて冠動脈イベント発生率が高かった。また、この糖代謝異常群においては、HbA1c値やLDL-C値によらず、EPA群のイベント発生リスクが対照群に比べて22%抑制されたことも報告された(本誌p.12図bを参照)18)。つまり、これらはdiabetic dyslipidemiaとも称されるインスリン抵抗性を基盤とした脂質異常をきたしている患者群が、EPA投与のよい適応となる可能性を示しているともいえる。オメガ3系PUFAは各ガイドラインに記載もあるが、高リスク症例の心血管イベントの抑制に有用であるとされている。つまりは、LDL-Cの量を十分に低下させてもイベントを抑制できないような残余リスクが問題となる高リスク症例に対して、リポ蛋白の“質”を改善することでイベント抑制効果がより顕著に発揮されるといえるのではないだろうか。おわりに魚介類摂取およびオメガ3系PUFAと心血管イベントとの関連性についてはほぼ確立されているものの、日本人が伝統的に欧米人と比べ魚介摂取量が多いことを考慮すると、欧米の研究結果をそのまま日本人にあてはめることには抵抗を感じる方も少なくないだろう。JELISは、欧米人よりも一般的にEPA/AA比が高い日本人においてもオメガ3系PUFAが心血管イベントをさらに抑制する可能性を示したといえる。メタボリックシンドロームの増加などが進む本邦において、diabetic dyslipidemiaの増加は今後も予想されている。若者の魚離れが重なることで、脂肪酸の“質”の根幹をなす魚介由来のオメガ3系PUFAの重要性は日本人においてもさらに増し、循環器領域の臨床に携わる医師にとってこの領域の知識は必須となるものと考えられる。不整脈や心不全などオメガ3系PUFAとの関連性が議論されている循環器領域も含めて、今後さらなるエビデンスの確立が期待される。文献1)Alagona P. Beyond LDL cholesterol: the role of elevated triglycerides and low HDL cholesterol in residual CVD risk remaining after statin therapy. Am J Manag Care 2009; 15: S65-73.2)Dyerberg J et al. A hypothesis on the development of acute myocardial infarction in Greenlanders. Scand J Clin Lab Invest Suppl 1982; 161: 7–13.3)Bang HO et al. The composition of the Eskimo food in north western Greenland. Am J Clin Nutr 1980; 33: 785-807.4)Kromhout D et al. The inverse relation between fish consumption and 20-year mortality from coronary heart disease. N Engl J Med 1985; 312:1205-1209.5)Daviglus ML et al. Fish consumption and the 30 year risk of fatal myocardial infarction. N Engl J Med 1997; 336: 1046-1053.6)Albert CM et al. Blood levels of long-chain n-3 fatty acids and the risk of sudden death. N Engl J Med 2002; 346: 1113-1118.7)Burr ML et al. Effects of changes in fat, fish, and fibre intakes on death and myocardial reinfarction: diet and reinfarction trial (DART). 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