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Vol. 2 No. 4 オメガ3系多価不飽和脂肪酸の作用機序 動脈硬化抑制の多面的作用を考える

佐田 政隆 氏徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部はじめにオメガ3系多価不飽和脂肪酸が動脈硬化性疾患の罹病率、死亡率を低下させることは、疫学ならびに前向き臨床研究で明らかとなった。また、オメガ3系多価不飽和脂肪酸がいかにして動脈硬化を予防するかについても、さまざまな研究が行われてきた。本稿では、オメガ3系多価不飽和脂肪酸の多面的な薬理作用に関して、特に動脈硬化予防の観点から概説したい。オメガ3系多価不飽和脂肪酸による心血管イベント抑制オメガ3系多価不飽和脂肪酸が動脈硬化を抑制する機序については、さまざまな研究が行われてきた。急性心筋梗塞の発症原因として、軽度な狭窄しかきたさない動脈硬化病変の破裂やびらんに起因する急性血栓性閉塞が注目されている。破綻した病変では、脂質コアの増大、被膜の菲薄化、平滑筋細胞数の減少、凝固能の亢進、コラーゲン含有量の減少、炎症細胞浸潤、タンパク分解酵素の発現亢進、プラーク内血管新生などが認められる。最近の分子生物学的研究から、オメガ3系脂肪酸が血管内皮細胞、炎症細胞、血小板に対して多面的作用を及ぼし、病変形成とプラークの不安定化を抑制して、プラーク破綻ならびにそれに引き続いて生ずる血栓性閉塞を予防している機序が解明されてきている。オメガ3系多価不飽和脂肪酸による内皮機能の改善オメガ3系多価不飽和脂肪酸の血管内皮機能改善効果は広く知られている。血管内皮細胞は、血管壁の管腔側を覆う一層の細胞群である。かつては単なる血液と血管壁との境界として考えられていたが、その後、多彩な生理的な機能を有することが明らかにされた。その代表的な機能には、抗血栓作用、血管透過性の制御、さらに血管緊張度や内腔径の調節作用がある。血管内皮細胞は、一酸化窒素(NO)をはじめとする血管拡張物質やエンドセリンなどの血管収縮物質を分泌し、血管の恒常性維持に大きな役割を果たす。生活習慣病は、この内皮機能を障害することによって動脈硬化発症の契機になると考えられている。各種の動脈硬化危険因子は、血管機能を障害することが知られている。現在、いろいろな血管機能検査が開発されてきているが、その中でも、血管内皮機能検査は動脈硬化性の早期の変化を検出するのに有用である。冠動脈疾患患者を対象にして、オメガ3系多価不飽和脂肪酸6週間投与の前後に前腕血流を測定した臨床研究が報告されている。オメガ3系多価不飽和脂肪酸の長期投与により前腕血流の増加がみられ、この効果は、L-NMMAを用いて一酸化窒素合成酵素(NOS)を阻害することでキャンセルされた。EPAの長期投与により内皮機能が改善し、NO産生が亢進したと考えられる1)。オメガ3系不飽和脂肪酸が内皮機能を改善する機序に関しては、内皮型NO合成酵素(eNOS)のタンパクレベルならびに活性が増加することが報告されている(本誌p.14図を参照)2)。また、培養内皮細胞を用いた検討では、オメガ3系多価不飽和脂肪酸によってeNOSが細胞膜のカベオラから解離し、細胞質に移行することでCa2+非依存性に活性化され、NO産生を亢進させると報告されている3)。オメガ3系多価不飽和脂肪酸による抗血小板作用プラークが破綻して血栓性閉塞が生ずると急性心筋梗塞が発症する。オメガ3系多価不飽和脂肪酸は、この血栓形成の足場となる血小板凝集を抑制することにより血栓形成を抑制し、心血管イベントの発生抑制に寄与すると考えられる。Ex vivoにおいて、コラーゲンならびにADPによって誘発される血小板凝集をオメガ3系脂肪酸は抑制する。オメガ3系多価不飽和脂肪酸単独でも血小板凝集能を抑制するが、クロピドグレルなどのチエノピリジン系薬剤に対する上乗せ効果も認められている。注目すべきことには、オメガ3系不飽和脂肪酸は、単独投与ならびにチエノピリジン系薬剤との併用において、出血時間を延長させることがなかったと報告されている。出血の危険性を増加させることなく、血小板凝集を抑制することができることになり、オメガ3系多価不飽和脂肪酸は臨床的に大変有用であると考えられる。オメガ3系多価不飽和脂肪酸による抗血小板作用の機序としては、トロンボキサンA2 (TXA2)の産生抑制が報告されている。血小板内でオメガ6系多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸からTXA2が生成され、血小板内のCa2+濃度が上昇することで凝集することが知られている。アスピリンの抗血小板作用は、TXA2の産生に関与するシクロオキシゲナーゼ(COX)を抑制することによる。オメガ3系多価不飽和脂肪酸は、アラキドン酸と競合することでTXA2の産生を減少させ、抗血小板機能を発揮すると考えられている。オメガ3系脂肪酸による抗炎症作用オメガ3系多価不飽和脂肪酸が、マクロファージの内皮細胞への接着やローリングを抑制し、抗炎症作用を有することは広く知られている4)。その分子機序としては、VCAM-1、ICAM-1、E-selectinなどの接着因子4)やIL-1、IL-8などのケモカインの発現を低下させることが報告されている。近年、オメガ3系多価不飽和脂肪酸の抗炎症効果の機序としては、いろいろな分子機構が報告されている。オメガ6系多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸は、炎症惹起物質として知られるTXA2や、ロイコトリエンB4(LTB4)などの脂質メディエーターに変換される。一方、オメガ3系多価不飽和脂肪酸からは、TXA2の代わりにTXA3、LTB4の代わりにLTB5が産生される。TXA3やLTB5は、生理活性をほとんど有さないことが報告されている。また、オメガ3系多価不飽和脂肪酸からは、抗血小板作用、血管拡張作用を有するプロスタサイクリン(PGI)2の代わりにPGI3が生成されるが、PGI3はPGI2と同等の生理活性作用を有している(図)。また最近では、脂肪酸代謝物の包括的メタボローム解析から、オメガ3系不飽和脂肪酸由来の、新しい抗炎症性脂質メディエーターも同定されている。オメガ3系不飽和脂肪酸に、チトクロームP450あるいはメチル化されたCOX-2が作用することで生成される18R-HEPEに、5-リポキシゲナーゼが働くとレゾルビンEが生成する5)。レゾルビンEは強力な抗炎症作用を発揮する5)。オメガ3系多価不飽和脂肪酸からは、この他にもレゾルビンDやプロテクチンDなどの抗炎症性の生理活性物質が生成される。これらの物質は急性炎症の収束への関与が示唆されており、オメガ3系不飽和脂肪酸の多彩な動脈硬化抑制作用に関与している可能性が示唆されている。Peroxisome proliferator-activated receptor(PPAR)αは、炎症のさまざまなシグナル伝達との相互作用により炎症反応を調節している核内受容体であるが、EPAは血管内皮細胞やマクロファージのPPARαの発現や活性を強めているという報告がある6)。野生型のマウスでは、EPAが血管内皮においてNF-κBの活性を抑制したが、PPARα欠損マウスではこの現象は認められなかったという7)。さらに最近では、各種脂肪酸が細胞膜表面の受容体のリガンドとして特異的に作用することも報告されている。GPR120では、オメガ3系多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)を含む長鎖脂肪酸がアゴニストとして作用し、腸管細胞からインクレチンの1つであるglucagon-like peptide(GLP)-1の分泌を促すことが報告されている8)。GLP-1は膵臓からグルカゴンの分泌を抑制し、インスリンの分泌を促進して血糖値の上昇を抑制するほか、心血管系などにさまざまな生理作用を持つことで、最近特に注目されている。また、マクロファージや脂肪細胞におけるGPR120の新たな作用が報告され、オメガ3系脂肪酸による抗炎症作用機序の一端が明らかになった9)。マクロファージ細胞株RAW264.7にもGPR120の発現が認められ、GPRアゴニスト(GW9508)、あるいはDHAによる刺激をしたところ、lipopolysaccharide(LPS)依存性の炎症性サイトカイン分泌が有意に抑制された9)。この作用機序として、GPR120に結合するβ-arrestin-2を介するシグナルが、LPS受容体TLR4による炎症性シグナルを阻害することが報告されている。GPR120欠損マウスの腹腔内脂肪組織から単離した間質性血管分画では、野生型と比較して、オメガ3系多価不飽和脂肪酸による炎症性サイトカイン分泌抑制作用が著しく減弱していた。生体内でも同様のことが起こっており、炎症性マクロファージの活性抑制作用によって、インスリン抵抗性改善につながることが示唆された9)。また、オメガ3系多価不飽和脂肪酸によって、脂肪細胞からアディポネクチンの分泌が増加するという報告もある10)。アディポネクチンには、抗炎症作用やインスリン感受性改善作用が報告されており、オメガ3系多価不飽和脂肪酸による血中アディポネクチン上昇も、生体における抗炎症効果に反映しているのかもしれない。図 プロスタノイドの代謝経路細胞膜からアラキドン酸が切り出され、プロスタノイドと総称される、プロスタグランジンやロイコトリエンといった生理活性物質が生成される。オメガ3系不飽和脂肪酸は、TXA2の代わりに活性の少ないTXA3、LTB4の代わりにLTB5に変換される。血管拡張作用や抗炎症効果を持つPGI2の代わりにPGI3が作成されるが、PGI3はPGI2と同等の強い活性を有している。画像を拡大する抗動脈硬化作用われわれは高純度EPAが動脈硬化モデルマウスであるApoE欠損マウスならびにLDL受容体欠損マウスで、動脈硬化の進展を抑制することを報告した4)。高純度EPAの投与により大動脈壁の動脈硬化領域が減少し(本誌p.18図3を参照)、プラークの質が変化した。プラークの不安定性を規定する重要な因子の1つは、プラークの表面を覆う線維性被膜の厚さであり、線維性被膜の菲薄化がプラークの破綻につながる。線維性被膜は、EPA群で対照群に比べ有意に肥厚し、マクロファージの浸潤はEPA群で対照群に比べ有意に低下した。またSirius-red染色では、対照群に比べてEPA群では動脈硬化病変のコラーゲン含有量が有意に増加し、プラークの安定化に寄与していることが示された(本誌p.18図4を参照)。その機序として、EPAを前投与した細胞では、VCAM-1、ICAM-1などの接着因子の発現が抑制された。また、プラークの不安定化に寄与すると考えられるマクロファージからのMMP-2、MMP-9の発現はオメガ3系不飽和脂肪酸によって抑制された4)。さらに、ヒトの頸動脈プラークの内膜切除標本を組織学的に解析した研究でも、オメガ3系多価不飽和脂肪酸の投与によって、動脈病変が安定化することが示されている11, 12)。おわりにオメガ3系多価不飽和脂肪酸は、このように多岐にわたって心血管系に望ましい効果をもたらす。スタチンやレニン・アンジオテンシン系抑制薬の2次予防、1次予防効果は確立しているが、その抑制効果には限界があり、現在“残余リスク”として問題になっており、適切な追加治療法を見いだす必要がある。今後は、血中LDL濃度、HbA1c、血圧などと並んで血中オメガ3系多価不飽和脂肪酸濃度が測定されて、低い人には有効な補充療法が行われる時代が到来するかもしれない。食品から補充しなくても、高純度製剤が医薬品として処方されることは大変ありがたい。オメガ3系不飽和脂肪酸の薬理作用をよく理解して、必要な症例に有効な処方がなされ、イベント抑制につながることが期待される。文献1)Tagawa H et al. Long-term treatment with eicosapentaenoic acid augments both nitric oxide-mediated and non-nitric oxide-mediated endothelium-dependent forearm vasodilatation in patients with coronary artery disease. J Cardiovasc Pharmacol 1999; 33: 633-640.2)Chen J et al. Omega-3 fatty acids prevent pressure overload-induced cardiac fibrosis through activation of cyclic gmp/protein kinase g signaling in cardiac fibroblasts. Circulation 2011;123: 584-593.3)Omura M et al. Eicosapentaenoic acid (epa)induces ca(2+)-independent activation and translocation of endothelial nitric oxide synthase and endothelium-dependent vasorelaxation. FEBS Lett 2001; 487: 361-366.4)Matsumoto M et al. Orally administered eicosapentaenoic acid reduces and stabilizes atherosclerotic lesions in apoe-deficient mice.Atherosclerosis 2008; 197: 524-533.5)Arita M et al. Stereochemical assignment,antiinflammatory properties, and receptor for the omega-3 lipid mediator resolvin e1. J Exp Med 2005; 201: 713-722.6)Michaud SE, Renier G. Direct regulatory effect of fatty acids on macrophage lipoprotein lipase:Potential role of ppars. Diabetes 2001; 50: 660-666.7)Mishra A et al. Oxidized omega-3 fatty acids inhibit nf-kappab activation via a pparalphadependent pathway. Arterioscler Thromb Vasc Biol 2004; 24: 1621-1627.8)Hirasawa A et al. Free fatty acids regulate gut incretin glucagon-like peptide-1 secretion through gpr120. Nat Med 2005; 11: 90-94.9)Oh DY et al. Gpr120 is an omega-3 fatty acid receptor mediating potent anti-inflammatory and insulin-sensitizing effects. Cell 2010; 142: 687-698.10)Itoh M et al. Increased adiponectin secretion by highly purified eicosapentaenoic acid in rodent models of obesity and human obese subjects.Arterioscler Thromb Vasc Biol 2007; 27: 1918-1925.11)Cawood AL et al. Eicosapentaenoic acid (epa)from highly concentrated n-3 fatty acid ethyl esters is incorporated into advanced atherosclerotic plaques and higher plaque epa is associated with decreased plaque inflammation and increased stability. Atherosclerosis 2010;212: 252-259.12)Thies F et al. Association of n-3 polyunsaturated fatty acids with stability of atherosclerotic plaques: A randomised controlled trial. Lancet 2003; 361: 477-485.

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53)睡眠の質を改善するアドバイス【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者寝つきが悪くて、ほぼ毎晩、寝酒をしているんです。医師そうなんですか(心配そうな顔で)。患者飲まないと眠れない気がして。けど、肝臓も心配で…医師確かに、お酒を飲むと、寝つきはよくなるんです。でも、数時間すると体内のアルコールは代謝されて、アセトアルデヒドという悪い物資になります。患者アセトアルデヒド?医師そうです。その影響で、浅い眠りになって、途中で起きたりします。患者私も眠りが浅くて、途中でよく起きます。医師それに、お酒を飲み過ぎていると、トイレにもよくいきますしね。患者なるほど。寝酒以外で、寝つきがよくなる方法がありますか?医師ありますよ。一緒に作戦を考えていきましょう。●ポイント寝酒の代替として、睡眠衛生があることを紹介し、一緒に作戦を立てます

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EGFR-TKIで脳転移の放射線治療を温存

 非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の脳転移については、一般的に放射線治療が行われているが、EGFR-TKIの登場により変化が起こりそうである。2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本治療学会学術集会にて、千葉県立がんセンターの井内 俊彦氏は「EGFR-TKI時代の非小細胞肺脳転移治療~非照射TKI単独治療の効果と安全性」と題し、自施設での臨床試験の結果を紹介した。 NSCLCの脳転移については、手術療法、放射線療法、薬物療法といった幅広い治療が行われる。なかでも、定位照射・全脳照射といった放射線療法は、EGFR変異の有無にかかわらず標準的に行われている。だが、転移性脳腫瘍に対する全脳照射の認知機能障害に対するコンセンサスは得られていない。それにもかかわらず、放射線療法が選択される理由の1つは、薬剤への期待度が低いことである。 しかし、全脳照射の後にEGFR-TKIを投与することで転移巣が縮小する症例に遭遇することがあり、臨床データの報告もある。くわえて、EGFR変異陽性例では脳転移との関連性が高い。井内氏らの施設におけるNSCLC 1,100例以上の統計では、EGFR変異陽性例の脳転移頻度は31%で野生型より有意に多く、かつ脳転移例の44%がEGFR変異陽性であった。こうした背景から、EGFR変異陽性NSCLC脳転移例に対するEGFR-TKIの効果が期待される。 井内氏らは、EGFR-TKIでコントロールすることで放射線治療の開始を遅らせ、認知機能障害の危険性を低くすることができるのでは、という仮説のもと、EGFR変異陽性NSCLC脳転移例に対するEGFR-TKI単独治療の有効性と安全性を評価した。評価項目は、EGFR-TKI奏効率、放射線治療を回避できた期間(脳転移診断から放射線治療までの期間)、頭蓋内制御期間(脳転移診断後のPFS)、脳転移診断後の生存期間とした。 対象は自施設のEGFR変異陽性非小細胞肺がん77例。初回治療でゲフィチニブを投与し、頭蓋内・外再発後はエルロチニブに変更。ゲフィチニブ投与後の脳転移例では、初回からエルロチニブを投与。以上の治療で病変が進行した際、放射線治療を行うというプロトコルとした。 結果、EGFR変異例は、Ex19delが62%、L858Rが32%、その他は少数であった。 ゲフィチニブ一次治療症例は66例、エルロチニブ一次治療は11例。ゲフィチニブ一次治療例のうち32例はエルロチニブの二次治療を行っている。 ゲフィチニブの奏効率(RR)は78%、病勢コントロール率95%、頭蓋内制御期間の中央値は11.9ヵ月ときわめて良好であった。エルロチニブの奏効率は71%、病勢コントロール率は93%、頭蓋内制御期間は5.0ヵ月であった。 放射線治療を回避できた期間は、中央値で16.7ヵ月。77例中、43%の症例で生涯にわたり放射線治療を必要としなかった。 脳転移診断時からの生存期間中央値は20.9ヵ月であった。 有害事象についてはグレード4のものは認められなかった。中枢神経系関連の有害事象も認められず、脳転移があっても安全にEGFR-TKIが投与できると考えられた。 今回の結果から、NSCLC脳転移に対するEGFR-TKIの有効性が示唆される。今後、さらなる試験で確認する必要はあるが、NSCLCの脳転移例に対するEGFR-TKIの選択に1つの可能性を提示したといえそうだ。

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双極性障害、退院後の自殺リスクが高いタイプは

 精神疾患入院患者において、退院後に自殺リスクが顕著に高まることは報告されている。しかし、双極性障害患者における自殺リスク、時間経過との関連やリスク因子については明らかにされていなかった。研究グループは、双極性障害のタイプ別にどのようなパターンがみられるかを調べた。フィンランド・ヘルシンキ大学のErkki Isometsa氏らによる研究。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年7月24日号の掲載報告。 全国レジストリに基づき、1987~2003年にフィンランドの精神科病院から退院した全双極性障害患者5万2,747例を特定し、退院後の状態または自殺について追跡した(466例)。1995~2003年の退院者(3万5,946例)については、退院直後120日間の因子修正自殺リスクを調べた(129例)。 主な結果は以下のとおり。・自殺リスクの時間的パターンは、疾患タイプで異なっていた。うつ症状を伴うタイプの場合、退院後のリスクは最も高かったが急落が認められた。混合状態の場合は、リスクはそれほど高くなく、時間とともに低下した。躁状態を伴う場合のリスクは低く、相対的に安定していた。・Coxモデルにおいて、双極性うつ病で入院した患者(9,635例)の退院後の自殺(65例)について、自殺企図で入院した患者のハザード比は8.05(p=0.001)、男性患者のハザード比は3.63(p<0.001)であった。一方、リチウム服用患者は0.186(p=0.001)であった。・躁病エピソード(28例)または混合エピソード(20例)の退院後の自殺は、それぞれ、男性であることおよび過去の自殺企図によって予測された。・以上のように、双極性障害の退院後の自殺リスクは、抑うつエピソードによる入院患者において高く、時間経過との関連が強かった。また混合エピソードでは、自殺リスクは高くなかった。・「自殺企図のエピソードがあること」および「男性」は、自殺リスクの強い予測因子であった。・抑うつエピソードを伴うリチウム服用患者の退院後の自殺率は低く、同薬について予防的効果があることが示された。関連医療ニュース 双極性障害とうつ病で自殺リスクにどの程度の差があるか 双極性障害の自殺予防に求められるのは 双極性障害へのDBT追加療法、自殺念慮の改善も  担当者へのご意見箱はこちら

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最も頻度の高い報告は「皮膚症状」― 「SGLT2阻害薬の適正使用を呼びかけるRecommendation」改訂版を公表

 日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」は、8月29日に「SGLT2阻害薬の適正使用を呼びかけるRecommendation」の改訂版を公表した。 8月17日までの副作用報告を追加した本改訂版の発表にあたっては、予想された尿路・性器感染症に加え、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹などの重篤な副作用がさらに増加していることが明らかになったとのことである。 同委員会では、「現時点では必ずしも因果関係が明らかでないものも含まれている」としたうえで、「これら副作用情報をさらに広く共有することにより、今後、副作用のさらなる拡大を未然に防止することが必要と考えRecommendationと具体的副作用事例とその対策を報告した」としている。 ■Recommendation1.インスリンやSU 薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。インスリンとの併用は治験で安全性が検討されていないことからとくに注意が必要である。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。2.高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヵ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。3.脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。4.発熱・下痢・嘔吐などがある時ないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。5.本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報告を行うこと。6.尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーションすること。7.原則として、本剤は当面ほかに2剤程度までの併用が推奨される。 ■副作用の事例と対策(抜粋)・重症低血糖 114例(うち12例が重症例)の低血糖が報告され、とくに重症例のうち9例がインスリン併用例とのことである。また、低血糖は、必ずしも高齢者に限らず比較的若年者にも生じていることに注意すべき。インスリン、SU薬または速効型インスリン分泌促進薬を投与中の患者への併用の際は、あらかじめそれら薬剤の減量を検討することが必要。・ケトアシドーシス 4例の報告例。インスリンの中止、極端な糖質制限、清涼飲料水多飲などが原因。SGLT2阻害薬の投与に際し、インスリン分泌能が低下している症例への投与では、ケトアシドーシス発現に厳重な注意を図るとともに、栄養不良状態、飢餓状態の患者や極端な糖質制限を行っている患者への投与では、ケトアシドーシスを発症させうることに一層の注意が必要。・脱水・脳梗塞など 重症の脱水が15例報告され、さらに12例の脳梗塞も報告されたほか、SGLT2阻害薬投与後の心筋梗塞・狭心症が6例報告された。また、脱水と関連して、高血糖高浸透圧性非ケトン性症候群も2例報告された。 脱水への注意として、SGLT2阻害薬投与開始時のみならず、発熱・下痢・嘔吐などがある時ないし食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には、万全の注意が必要であり、SGLT2阻害薬は必ず休薬するなど、患者にもあらかじめよく教育が必要。・皮膚症状 皮膚症状は薬疹、発疹、皮疹、紅斑など非重篤なものを含めれば500例以上(重篤例80例以上)が報告され、最も頻度の高い副作用として報告されている。すべてのSGLT2阻害薬で皮膚症状の報告がある。SGLT2阻害薬投与後1日目からおよそ2週間以内に発症し、投与後早期より十分な注意が必要になるとのこと。皮疹を認めた場合には、速やかに皮膚科医にコンサルトすることが重要。・尿路・性器感染症 尿路感染症120例以上、性器感染症80例以上が報告されている。SGLT2阻害薬投与開始後、数日~2ヵ月後に起こる場合もあり、期間の幅が広い。質問紙の活用を含め適宜問診・検査を行って、発見に努めること。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルトすることが重要。 SGLT2阻害薬の使用にあたっては、「適応を十分考慮したうえで、添付文書に示されている安全性情報に十分な注意を払い、また、本Recommendationを十分に踏まえて、とくに安全性を最優先して適正使用されるべき」と注意を喚起している。●詳しくは、「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」から

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アリスミアのツボ

Dr. 山下の アリスミアのツボは、日常診療で遭遇する不整脈の疑問をピックアップして、あの山下武志氏(心臓血管研究所 所長)が回答する新コーナーです。ベーシック過ぎて今さら聞けない、教科書に載っていない、そんな疑問を解決します。「アリスミアのツボ」連載開始にあたりDr山下から不整脈ビギナーに応援メッセージ(1分)をいただきました。「先生方から寄せられた質問は基本的ですが、重要な質問です…」続きはこちらから⇒長い間お楽しみいただいた「Dr山下のアリスミアのツボ」は、今回で最終回となります。ご愛読ありがとうございました。

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アリスミアのツボ 第1回

Q1不整脈に対する治療が必要か否かの線引きは何をもって判断するのでしょうか?治療の要否は心電図所見ではないことを肝に銘じましょう。治療の要否は患者の全体像によって決まるのです。「木を見て森を見ず」不整脈の診断は心電図でなされます。だからこそ、次のような誤解が生じやすくなります…心電図が読めないから不整脈は嫌い、心電図が正常でなければすべて病気、心電図が読めれば治療の要否がわかる、などです。しかし、今の時代、治療の要否をたった一つの(しかもたった一瞬の)検査結果だけで決定できる病気があるでしょうか。私は不整脈のコンサルトを受けることはよくありますが、心電図1枚だけで治療の要否や治療法がわかることはまずありません。そう、まず必要なことは、この不整脈に対する(あるいは心電図に対する)誤解を解くことだと思います。不整脈治療を心電図だけで行おうとすると、そのほとんどが「木を見て森を見ず」になりがちです。患者のイメージでは、なにをもって治療の要否を判断するのでしょう。私が不整脈の心電図に関するコンサルトを受けた時には、「何歳?性別は?今、症状あるの?心不全はなさそう?その他に合併症はない?」と心電図以外の質問攻めをします。これらの質問に対する答えがなければ、患者のイメージがつかめないからです。不整脈の治療の要否を判断するには、心電図より患者全体のイメージが何よりも重要です。で、具体的にはどうするの?…と言われそうですが、「線引き」ができる場合とできない場合があることを知っておきましょう。不整脈に限らず、治療の要否を簡単に線引きできる疾患はそう多くはないのです。90歳の悪性腫瘍はどのように治療しますか?そんな簡単には線引きはできないかもしれませんが、患者の全体像を知っていれば医師としての判断はしやすくなるでしょう。不整脈もこれと似ています。治療の要否決定は、デジタルではなくアナログで考えましょう。言葉にすれば、「現在の血行動態がやばい場合あるいは症状で困っている場合、ほうっておくと将来何か不幸が訪れると考えた場合」、これが不整脈治療の必要な場合です。さらに詳しい話はおいおいしていきたいと思います。Q2期外収縮の最新の薬物治療について知りたいのですが…期外収縮の治療は1990年代以降大きく進歩していません。この課題、卒業してもよさそうです。そもそも治療する?私が研修医をしていた1980年代、期外収縮は治療するものと習ってきました。心電図異常=病気という考え方に基づくものです。まったく理論的根拠がなかったのかというと、そうでもなくて、陳旧性心筋梗塞患者に限れば心室期外収縮が多ければ多いほどその後の予後が悪いということが知られていました。しかし、この事実をすべての患者に当てはめてしまうのは困りものですね。実際、虚血性心疾患や心不全がない患者では、心室期外収縮の有無によって、その後の予後に違いがないことが判明しています。ほうっておいても将来何も不幸が訪れないとわかっていて、何を目的に治療するのでしょう。たぶん、心電図所見から心室期外収縮が消えて、医者も患者も気分がよいという美容形成的な意味はあるかもしれませんが…。常識的に考えてみましょう。ここに心電図がないものとして、健康なイメージを有する人の脈をとったらたまたま1拍抜けていた…これだけですぐに治療しなきゃと考える人は少ないはずです。治療したらその効果はどう判断する?現在、期外収縮は相手にしないというのが基本的な考え方です。それでも、治療せざるを得ない場合があります。そう、現在の血行動態に問題なくても、将来不幸な出来事がなくても、患者の訴えが強くて困っているのに、「何もしない」というのは医学的には正しくても、人間としてつらいですね。そんな時、私はまず「教育」という治療をしています。患者さんは、「不整脈がありますね」と言われるだけで大きな不安を感じるものです。この精神的ストレスが期外収縮を増加させてしまいそうです。だから、まず「安心」をもたらすことが一番の治療だと思っています。それでもダメな場合はあります。その時は、β遮断薬、Ca拮抗薬、いわゆるI群抗不整脈薬の何でもいいと思っています。とりあえず、効きそうな薬を…です。しかし、私が選んでも、他の先生が選んでも、きっと患者さんにとっては変わりがないでしょう。それというのも、効果判定の手段がないからです。ホルター心電図の期外収縮数ほど再現性のない検査はありません。患者も医師も気楽に考えよう期外収縮は治療しない、どうしてもしなければならない時は患者の不快感がある場合に限られるとなると、効果判定は患者の不快感しかありません。だったら、もっと治療自体は気楽に考えればよいと思います。私は、始めた治療薬で患者の不快感がなくなればすぐに中止するようにしています。逆も真なりで、つらいなら飲み続けてもよいとも言っています。治療した時もう一つの重要なことは、抗不整脈薬をだらだら漫然と服用させないことです。目的を達したかどうかで、自由にオン・オフしてよいのです。Q3心房細動で抗凝固薬が絶対必要な症例とそうでない症例の見極めはどのようにするのでしょうか?CHADS2スコアで判断しますが、自分の感性も加味しています。CHADS2スコアとCHA2DS2-VAScスコア抗凝固療法の適応判断に用いるツールとして、CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアがあまりにも有名ですね。心房細動患者の脳梗塞リスクである、心不全、高血圧、高齢、糖尿病、脳梗塞の既往をリスクとして考えるCHADS2スコア、さらに動脈硬化性疾患、65-75歳、女性をリスクとして加味するCHA2DS2-VAScスコア、両者ともに便利なスコアですが、用いる人が使いやすいものを使えばよいと思います。どちらを使おうが、全くこれらを使わないで医師の感性だけで対処するよりずっとましだからです。ちなみに国内外のガイドラインを見ると、「65歳未満で何のリスクも持たない例」は抗血栓薬自体が不要、「CHADS2スコア2点以上」は絶対必要という点で一致しています。抗凝固薬の適応判断は単純なのだろうか?では、日常臨床ではそんなに簡単に見極めができるのでしょうか。文章で書くとわかってしまった気になるのですが、リスクとされる心不全、高血圧、糖尿病の有無はどのようにして決めるのでしょう。きちんと線引きができますか?年齢はそもそも連続的なのに、65とか75とか勝手に区切っていいものなのでしょうか?あるいはCHADS2スコア6点満点は絶対的に抗凝固薬の適応なのですが、患者に会ってみればあまりにもfragileでこれでも抗凝固療法が必要なのかと頭をかしげたくなる…これも日常臨床では必発です。アナログ判断は死なず結局、Q1と同じようなところに行きついてしまうのが医療なのでしょう。というか、それがあるからこそ、医師が必要なのです。基本は守りつつ、医師の感性、患者の感性も同じように重要だ…という感覚で心房細動の脳梗塞予防をしているのが私の実情です。私の基本は、「65歳未満で何のリスクも持たない例」以外はすべて抗凝固療法の適応ですが、年齢、高血圧については患者によってかなり斟酌の度合いが異なります。糖尿病の有無判断も、糖尿病の薬物治療をしているかどうかで決めています。fragileであれば、医学判断より家族判断を優先させます。こんなことはどの教科書にも書いてなくて根拠もないのですが、逆にそれはいけないと否定する根拠もなく、だからこそ自分が患者の全体像から感じる感性でアナログ的に加味して斟酌してもいいものと思っているのです。

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細気管支炎の入院判断、酸素飽和度のみではできず/JAMA

 緊急救命室を受診した軽症~中等度の細気管支炎を有する乳幼児について、入院の判断をパルスオキシメーター測定値だけで判断することは適切ではないことが明らかにされた。カナダ・Sick Children病院のSuzanne Schuh氏らが、測定酸素飽和度が実際よりも3%高く測定されるように操作介入した場合に入院率が減るかを、無作為化二重盲検並行群間比較試験により検討した結果、仮定したとおりの結果が得られた。しかし、後日の外来受診者数には有意差がみられず、著者は今回の結果を踏まえて「同測定の活用について再評価する必要があるだろう」と指摘している。JAMA誌2014年8月20日号掲載の報告より。測定値の3%高値表示介入で入院が15%以上減るかを検証 試験、カナダのトロントにおける3次医療を提供する小児緊急救命室で2008~2013年にかけて行われた。 被験者は生後4週~12ヵ月齢の乳児213例で、軽症~中等度の細気管支炎を有していることを除けば健康であり、酸素飽和度は88%以上だった。 被験者を、パルスオキシメーターによる測定飽和度が実際値で表示される群(実測値群)と、実際よりも3%高く表示される群(介入測定値群)に無作為化し、後者の入院率が15%以上減るかを検討した。 主要アウトカムは72時間以内の入院で、同時間内に入院または6時間超の積極的治療を受けた場合と定義した。副次アウトカムは、緊急救命室での酸素補給、緊急救命室退室に関する医師の同意レベル、緊急救命室在室期間、72時間以内の予定外の再受診などとした。介入により入院率に有意な差、しかし後日の外来受診者に有意な差がみられず 72時間以内の入院発生は、実測群は108例のうち44例(41%)、介入測定値群は105例のうち26例(25%)で、16%の有意な差がみられた(95%信頼区間[CI]:3.6~28.4%、p=0.005)。 緊急救命室の医師をランダムエフェクトとして検討しても、主要な治療効果は有意なままだった(補正後オッズ比:4.0、95%CI:1.6~10.5、p=0.009)。 副次アウトカムについては、いずれも両群間の有意差は示されなかった。 その後に細気管支炎で予定外の外来受診をしたのは、実測値群は108例のうち23例(21.3%)、介入測定値群は105例のうち15例(14.3%)だった(両群差:7%、95%CI:-0.3~0.2%、p=0.18)。

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若者への新規髄膜炎ワクチンの効果/Lancet

 4価髄膜炎菌結合型(MenACWY-CRM)ワクチンとB群血清型(4CMenB)ワクチンについて、接種後1ヵ月時点で両群間の髄膜炎菌保菌率に有意差はみられず、接種後1年間の保菌率も低下したことが示された。英国・サウサンプトン大学のRobert C Read氏らによる観察者盲検第III相無作為化試験の結果、報告された。著者は、「広範な接種導入により、伝播が抑制される可能性がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年8月19日号掲載の報告より。MenACWY-CRM vs. 4CMenB vs. 日本脳炎ワクチンで検討 髄膜炎菌結合型ワクチンは、個人に対する保護効果だけでなく、伝播の遮断による集団保護効果がもたらされる可能性がある。研究グループは、18~24歳集団について、MenACWY-CRM、4CMenBワクチンの伝播に対する効果を評価した。 試験は2010年9月21日~12月21日に、大学生2,954例を1対1対1の割合で、MenACWY-CRMワクチン接種群(988例)、4CMenBワクチン接種群(979例)、対照として日本脳炎ワクチン接種群(987例)に無作為に割り付けて検討した。接種は1ヵ月間に2回(MenACWY-CRMの2回目はプラセボを接種)行われた。被験者とアウトカム評価者は接種割り付けについてマスキングされた。 髄膜炎菌の保有について、接種前とその後1年間に5回にわたり口咽頭スワブ採取で分離確認した。 主要アウトカムは、各ワクチン接種後1ヵ月の保菌率。副次アウトカムは、主要解析後、試験終了時までの各時点で評価比較した保菌率などだった。副反応や有害事象は試験終了までモニターした。 解析は、修正intention-to-treat集団にて行い、試験登録し試験ワクチンの接種を受け、ベースライン時以降に1回以上スワブ検査を受けた被験者を含めた。日本脳炎ワクチンと比べ2種とも接種後3ヵ月以降の保菌率有意に低下 解析には、MenACWY-CRMワクチン接種群983例、4CMenBワクチン接種群974例、対照群984例が組み込まれた。 試験開始時の髄膜菌保菌率はそれぞれ34%、33%、31%だった。1ヵ月時点の保菌率は、対照群と4CMenB群(オッズ比1.2、95%信頼区間[CI]:0.8~1.7)、またはMenACWY-CRM群(同:0.9、0.6~1.3)の間に有意差はみられなかった。 しかし2回接種後3ヵ月以降に、4CMenB群では対照群と比べて、すべての髄膜炎菌株の保菌率に有意な低下がみられた(低下率18.2%、95%CI:3.4~30.8%)。また、BCWY莢膜群(同26.6%、10.5~39.9%)、CWY莢膜群(同29.6%、8.1~46.0%)、CWY血清群(同28.5%、2.8~47.5%)についても同様に低下がみられた。 対照群と比べた同様の保菌率の有意な低下は、MenACWY-CRM群でもみられた。Y血清群については39.0%(95%CI:17.3~55.0%)、CWY血清群は36.2%(同:15.6~51.7%)の低下が認められた。 一過性の注射部位の痛みと筋痛が4CMenBで増大したが、試験ワクチンに対する忍容性は概して良好であった。安全性に対する懸念は示されなかった。

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やはり果糖は高血圧に関連せず

 血圧における果糖の悪影響はほとんどの試験で示されていないが、高血圧における果糖の影響が懸念され続けている。そこで、カナダ・Clinical Nutrition and Risk Factor Modification CenterのViranda H Jayalath氏らは、果糖を含む糖(異性化糖、ショ糖、果糖)摂取と高血圧発症との関連を定量化するため、米国の男女における3つの大規模前向きコホート研究の系統的レビューとメタ解析を行った。その結果、果糖全体の摂取量は高血圧リスク増加と関連していなかったことが報告された。Journal of the American College of Nutrition誌オンライン版2014年8月21日号に掲載。 著者らは、2014年2月5日までMEDLINE、EMBASE、CINAHL、Cochrane Libraryから関連研究を検索した。2人のレビュワーがそれぞれ独立して関連データを抽出した。リスク推定値は、逆分散の変量効果モデルを用いて、摂取量の最も低い五分位(基準)と最も高い五分位を比較し、リスク比(RR)と95%信頼区間(CI)で表した。また、試験間異質性を評価(コクランQ検定)、定量化(I2統計)し、研究の質をNewcastle-Ottawa スケールで評価した。 主な結果は以下のとおり。・3つの前向きコホート(男性3万7,375人、女性18万5,855人)が適格基準を満たし、5万8,162例の高血圧症例が250万2,357人年にわたり追跡された。・果糖摂取量の中央値は、最低五分位では総エネルギーの5.7~6.0%、最高五分位では13.9~14.3%であった。・果糖摂取量は、高血圧発症と関連しておらず(RR:1.02、95%CI:0.99~1.04)、異質性も認められなかった(I2=0%、p=0.59)。・スプライン曲線モデルでは、摂取量が50パーセンタイル以下で負の相関、それ以上で正の相関となるU字型の関係を示した。

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統合失調症患者へのインフォームド・コンセント、有効な方法は

 研究の際のインフォームド・コンセントは、一般集団ですら取得が困難なことがあり、複雑な問題を抱えている。この問題は、統合失調症患者において最も大きい可能性がある。フランス・リール第1大学のT. Fovet氏らは、統合失調症患者を対象とした研究に際してのインフォームド・コンセントについて文献レビューを行った。その結果、統合失調症患者の同意に対するキャパシティは、健常人と比較して低下しているが、適切な介入により同意を得られやすい状態にもっていける可能性を示唆した。Encephale誌オンライン版2014年8月12日号の掲載報告。 本研究は、統合失調症患者を含む研究に際するインフォームド・コンセントについて、関連する文献の適用可能なデータをまとめることを目的とした。MedlineおよびGoogle Scholarにより、MESH用語(統合失調症、インフォームド・コンセントおよび研究)を検索した。  主な結果は以下のとおり。・MacCAT-CRなどのきわめて標準的なスケールを用いた研究により、統合失調症患者の同意に対するキャパシティは健常人と比較して低下していることが示された。・統合失調症が多様な障害であることを考慮すると、最低レベルの見識は重度の認知症状と同様に、同意に対するキャパシティがより障害されていると思われた。・こうした理解力と研究への同意に対するキャパシティの欠乏は、意思決定の変更と関連することが示された。・これらの特別な患者に対しては、介入により、同意へのキャパシティ向上につながる可能性があった。さまざまな戦略として、同意書の質向上、十分なディスカッション、テスト/フィードバック法、またはマルチメディアによる介入などが示された。・それらの中で、コミュニケーションならびに成長しつつある分野、すなわち情報テクノロジー(たとえばweb をベースとしたツール)に着眼したものは有望だと思われた。・最終的には、家族および患者の連携(French Association UNAFAMのような)により、患者が研究プログラムに安全な状態で参加しやすい状況にもっていける可能性が示唆された。・最適かつ個別化した介入を明らかにするため、さらなる研究が求められる。関連医療ニュース 他の精神科医は薬剤の選択基準をどこに置いているのか 入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか 職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大 職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大  担当者へのご意見箱はこちら

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完食させるための工夫

認知症患者さんのご家族へのアドバイス「一点集中食い」という問題満遍なく食べられない場合、完食させるためには、ご飯とおかずを1つの丼に入れて混ぜるという方法がある。食べるという行為を忘れたみたい向かいに座って食べてみせると真似る。また、食器ごと手に持たせて鼻の下まで持ち上げさせると、臭いが刺激になって食事が始まる。監修:筑波大学 医学医療系臨床医学域精神医学 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.朝田 隆氏

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飲み込めない場合の補助

認知症患者さんのご家族へのアドバイス飲み込めなくなったら普通食と、ゼリー系や片栗粉を混ぜたスープを、交互にスプーンで入れてあげる。とろみをつけてスプーンで与える。膨らんだ頬の上を、人差し指でリズミカルに軽く叩いてあげる。口が開いてこぼれやすくなっていることが多いので、口元をティッシュで押さえて閉じてあげることも大切。監修:筑波大学 医学医療系臨床医学域精神医学 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.朝田 隆氏

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排泄の準備における注意点

認知症患者さんのご家族へのアドバイス排泄の準備ズボンはゴムベルトが望ましい。「前後」「左右」と言わず、「こっち向いて」などと言って優しく体を回すとスムーズにいく。排尿も下着を下ろさせ、座らせれば周囲を汚さない。監修:筑波大学 医学医療系臨床医学域精神医学 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.朝田 隆氏

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排泄における工夫とアドバイス

認知症患者さんのご家族へのアドバイス排泄全般失禁対策として、一定時間ごとにトイレに誘導しても空振りが多いため、尿の生成の多くなる午後に頻回に誘導する。一緒にトイレに入って「後は行為だけ」のところまで一緒にいてケアしてあげる。施錠・開錠が怪しくなれば、鍵を外したりドアを開けたままにしたほうがよい。監修:筑波大学 医学医療系臨床医学域精神医学 教授Copyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.朝田 隆氏

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