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サイレント・プア【ひきこもり】

今回のキーワード自発性自信関係依存過保護、過干渉承認進化心理学「なんでひきこもるの?」皆さんは、ひきこもりの生活スタイルを不思議に思ったことはありませんか? 特に身体的な問題や明らかな精神的な問題がないのに、ほとんど家から出ず、重度の場合は部屋からも出ず、社会参加をしない。そのような生活を若年から年単位で続ける。「自分だったら、そんな生活では数日で居ても立ってもいられなくなる」。そう思う人もいるでしょう。現在、医療機関にも、ひきこもりについて相談に来る家族は増え続けています。海外でも増えていることが確認されており、どうやら普遍性があるようです。そんな中、メンタルヘルスの現場だけでなくテレビや新聞でも「なぜひきこもりになるのか?」「ひきこもりをやめさせるにはどうしたらいいのか?」というテーマをよく見かけるようになりました。今回は、進化心理学的な視点から、「なぜひきこもりは『ある』のか?」というテーマまで踏み込みます。取り上げるドラマは、2014年に放映されたNHKドラマ「サイレント・プア」の第5話です。サイレント・プアとは、「声なき貧困」という意味で、経済的な貧しさだけでなく精神的な貧しさに困り果てている高齢者や障害者たちのことです。彼らを救おうとして活動するコミュニティ・ソーシャルワーカーにスポットライトを当てています。なお、このドラマは、NHKオンデマンド(https://www.nhk-ondemand.jp)にて現在配信中です。あらすじ主人公のコミュニティ・ソーシャルワーカーの涼が、ひきこもりの自立を支援するサロンを立ち上げたところから、ストーリーは始まります。順調な滑り出しの中、その町の自治会長の園村は、その運営にいぶかしげに首を突っ込んできます。それには、深いわけがありました。園村の一人息子の健一は、海外で成功しているはずだったのですが、実は30年も自宅に引きこもっていたのです。そして、とうとう園村は、50歳になる息子の行く末を案じて、彼の存在を涼に打ち明けるのです。ひきこもりの心の底は? ―ひきこもりの心理(1) 欲がない―自発性の不足1つ目の特徴は、欲がないことです。健一は、部屋に閉じこもり、唯一していることは、本を読むかインターネットを見ることです。食事は部屋の前まで母親に運んでもらい、時々、部屋を出て、冷蔵庫から食べ物を調達しています。生きるための基本的な欲求しか満たされていません。健一は、涼に「夢はありますか?」と訊ねられると、「そんなもん、あるわけねえだろうが」と吐き捨てています。一方、対照的なのは、涼の祖父の発言です。祖父は、涼に「じいちゃんの夢は?」と訊ねられると、「この店(クリーニング店)がじいちゃんの夢だ」「自分で始めたんだから潰しちゃなんねえって必死だった」「(夢は)一度はばあちゃんと海外旅行に行きてえと思ってた」と楽しげに語ります。多くの人は、友達といっしょにいたい、仕事などを通して誰かの役に立ちたい、パートナーや子どもなどを愛し愛されたいといった社会的な欲求があります。そこには、達成感や充実感があります。しかし、健一は、その欲求が実はあるにはあるのですが、行動を起こすほどではないのです。達成感や充実感を求める欲が鈍くなっています(ドパミンの活性低下)。言い換えれば、自発性が足りないのです。自発性は、主体性、自主性、能動性、積極性、創造性などを生み出します。(2) 自信がない―ストレスへの過敏性2つ目の特徴は、自信がないことです。健一は、「僕が付けてる日記だよ」「その日食った飯のことだけ」「毎日それだけ」「空っぽなんだよ、おれは」と涼に訴えかけます。一方、対照的に、涼の祖父は、「どんなに着古した洋服でも新品のように仕上げる」「じいちゃんの仕事は新しい一日を迎えるお手伝い」「今だってそう思ってる」と誇らしげに言っています。祖父は、自分の今までやってきたことに誇りや自信を持っています。自信とは、自分の考えや行動が正しいと信じることです。これは、周りから認められること(承認)によって培われます。健一は、この承認の積み重ねがないことを「空っぽ」であると言い表しています。そこには、安心感や安定感がありません。何か行動を起こすことへの不安や緊張を抱きやすく、慎重であり臆病になります。失敗への恐怖が強く、ストレスに過敏です(ノルアドレナリンの易反応性)。この不安があまりにも強い場合は、社交不安障害や回避性パーソナリティ障害と診断されることがあります。(3) 現状に甘んじる―関係依存3つ目の特徴は、現状に甘んじていることです。父親である園村は健一に「50にもなる男が、一生このままで恥ずかしくないのか?」と叱責し続けます。あまり居心地は良くないです。しかし、同時に、健一の母親は、「(この料理は)健一の好物でね」「私にはこれくらいしかできないから」と涼に言い、健一の部屋の前まで食事をかいがいしく運んでいます。そこには、どんなことがあっても息子を見捨てないという変わらない愛情があります。健一はその愛情を享受し、同時に依存しています。「なんだかんだ言って面倒見てくれる」という基本的信頼感のもと、頼り切ってしまい、その現状に甘んじて、ハマっています。そこは、うるさい父親とかかわりさえしなければ、居心地は良く(安全基地)、安心感や安全感があります(相対的なオキシトシンの活性亢進)。そして、そこから抜けたくても抜けられなくなっています(関係依存)。表1 ひきこもりの3つの心理の特徴とその要因 欲がない(自発性の不足)自信がない(ストレスへの過敏性)現状に甘んじる(関係依存)神経伝達物質ドパミンの活性低下ノルアドレナリンの易反応性相対的なオキシトシンの活性亢進要因本人ひきこもりを続けること(悪循環)家族構い過ぎる(過干渉)認めない(承認の欠如)心配し過ぎる(過保護)社会親の時間的余裕結果重視の価値観経済的余裕なぜひきこもるのか?それでは、なぜひきこもるのでしょうか? ひきこもりの原因を、本人、家族、社会という3つの要素に分けて探ってみましょう。ひきこもりは本人のせい?まず、ひきこもりは、もちろん本人に原因があります。なぜなら、ひきこもりは本人がひきこもろうという意思を持ってひきこもるからです。ただ、困ったことは、ひきこもりは続ければ続けるほど、続くことです。どういうことかと言うと、ひきこもりは続けていること自体で、ますます欲がなくなり、その引け目も加わりますます自信もなくなり、ますます現状に甘んじてしまい、ひきこもりから抜け出せなくなってしまう悪循環があるということです。例えば、体を動かさない寝たきり状態では、体の様々な機能は衰えていき、風邪をひきやすくなり、ますます寝たきりを深刻にさせてしまいます(廃用症候群)。宇宙飛行士が無重力で足腰や骨が弱っていくのも同じメカニズムです。このように、重力がなければ、体は鈍り弱っていきます。同じように、心も、「重力」がなければ、鈍り弱っていき「寝たきり」になってしまいます。それでは、心の「重力」とは何でしょうか? それは、社会参加による刺激です。ひきこもりは、心の「無重力」状態と言えます。社会参加による刺激は、達成感や充実感であると同時に、ストレス負荷でもあります。仕事などで他人(家族以外)とかかわる経験を重ねていく中で、達成感や充実感による喜びや楽しさから「次はこうしたい」「ああなりたい」という欲が次々と膨らみます(ドパミンによる報酬)。一方、ストレスによる不安や緊張を積み重ねることでストレス耐性が強まります(ノルアドレナリンの制御)。そこに周りから認められることによって(承認)、安心感や安定感が芽生え、自信が生まれていきます。心が鈍り弱っていくとは、喜びや楽しさに鈍くなるだけでなく、相手の気持ちを察するのも鈍くなります。ちょうど、運動能力や語学力は使っていないと錆びついていくのと同じように、人間関係を築く力(社会脳)もひきこもっていては磨かれない。それどころか衰えていきます。口下手になり、恋愛下手になっていきます。さらには、自分の気持ちを察するのも鈍くなり、ものごとのとらえ方(認知)が独りよがりになる場合があります。例えば、自信はないのにプライドは高いという状態です。そこには、何もしないでいれば何でもできるという可能性(万能感)の中に留まってしまう心理があります。また、ストレスに過敏になります。普段は無刺激の生活をしているので、対人関係での些細な刺激がとんでもないストレスになってしまいます。普段に使い切れずにたまっているストレスホルモンが大量に出るのです(ノルアドレナリンの易反応性)。家族には横暴になりがちです。仕事を始めても、最初は打たれ弱く傷付きやすくなります。ひきこもりは家族のせい?ひきこもりは本人だけが原因でしょうか? そうとは言えなさそうです。原因は家族にもあります。なぜなら、ひきこもる「基礎」をつくったのは家族だからです。再び、体と心を対比して考えてみましょう。もともと基礎体力が低くて体が弱い人がいるのと同じように、もともと基礎の「心の力」が低くて、心が脆(もろ)く弱い人もいます(脆弱性)。つまり、個人差です。この個人差は、体力にしても、「心の力」にしても、その人の遺伝的な体質や気質だけでなく、どういうふうに育てられたか(生育環境)も影響を与えています。それでは、どういうふうに育てられたか、つまりどんな家族のかかわり方がひきこもりの「基礎」をつくりやすいのかを、園村がかつて健一にした仕打ちから読み取り、大きく3つの要素に整理してみましょう。(1) 構い過ぎる―過干渉園村は涼に打ち明けます。「30年前に、あいつ(健一)は大学受験直前になって絵描きになりたいと言い出したんだよ」「(そこで)私は、あの子が美大へ行くためにこっそり書いてた絵を全部燃やしたんですよ」と。一方、健一は涼に心の内を漏らします。「あの人(父親)は自分の思い通りに息子を動かしたかっただけ」「僕は大学を2浪して落ちた時、園村家の恥だと言われた」「この世の中におまえの居場所なんかないって」「僕は人生つぶされたんですよ」「絵を描いてると僕は息ができた(のに)」と。1つ目の要素として、親が子どもに構い過ぎていることです(過干渉)。もっと言えば、自分の思い通りにするために、一方的に力でねじ伏せ、親の支配力を見せ付けています。健一の方は、息苦しくも必死になって親の期待通りに生きてきました。しかし、この一件で、彼は自分のつくった世界や夢を「灰」にさせられてしまったのです。ひきこもりの生い立ちを探ると、「もともと手のかからない良い子」という親の印象があります。その背景として、親が過干渉である現実があります。親は、先回りして本人の行動を全てコントロールし、理想の子どもをつくろうとします。すると、子どもは、言われるままに必死に行動し(外発的動機付け)、自分で考える喜びや達成感を味わうこと(内発的動機付け)がなくなります。また、自分の考えで何かをやったことがあまりないと、そうすることに戸惑いや恐れを抱きやすくなります。さらには、逆らえないことを長期間学習した結果、意識せずに無気力になってしまうことが分かっています(学習性無気力)。こうして、自発性が低下していき、欲がなくなるのです。本来、自分で何かをやり遂げる感覚は、子どもの発達段階において必要な刺激です(勤勉性)。ここから自分で成長しようとする能力(自己成長)やどうやって生きていくか自分で決める意識(自己確立)がさらに育まれていくからです。(2) 認めない―承認の欠如園村は、町の人たちに「息子は日本にはおりません」と告げ、海外のビジネスで大成功を収めていることにしています。また、焦りやもどかしさから、健一に「おい、いつまでそんなこと(ひきこもり)をしているつもりだ!」「お前の人生はそんなんでいいのか!?」「おまえはクズだ!」と罵ります。健一の方は、涼に「あの人(父親の園村)が気にするのは人の目だけ」「僕のことだって恥だから人に言わなかった」「おれは我が家の恥です」と訴えかけます。園村は、体裁を気にするあまり、ひきこもっている健一の存在を周りに明かしません。健一は、父親によって存在を消されているのです。また、かつて健一が「こっそり」と反抗していたことを園村が掌握していた事実を考えると、健一は、監視の目が厳しい中で息の詰まる思いをしていたことでしょう。健一には、プライバシーがなく、自分の世界をつくることも許されなかったのです。2つ目の要素として、親が子どもの考えや行動を認めていないことです(承認の欠如)。支配的な親の典型的な行動パターンとして、思春期の子どもの携帯の着信履歴やメール、日記をのぞき見したり、部屋を勝手に掃除することです。本人が大切にしているものや秘密は尊重されておらず、親に本人の世界という自己(アイデンティティ)を認めない姿勢が伺えます。すると、子どもは、自分の考えや行動に自信を持てなくなります。(3) 心配し過ぎる―過保護園村は、健一の絵を燃やした理由を涼に言います。「しっかりとした大学へ行き、安定した企業に入り、立派な人生を送ってほしかった」「それが親の務めだ、そうでしょ?」と。園村は現在の健一に「おれも母さんもいつかは死ぬ」「おまえはたった独りで生きていかねばならんのだ」との切実な思いを吐露します。すると、健一は園村に「今さら何言ってんだ」「あんたがそうさせたんじゃないか」「あんたは自分のことしか考えていない」と言い返します。言い当てている部分はあります。親なりに子どもの幸せを願って良かれと思ってしてきたことが裏目に出ているのでした。3つ目の要素として、親が子どもを心配し過ぎることです(過保護)。愛情は十分に注いでいるのですが、その注ぎ方に問題があったのです。大切にし過ぎて、子ども扱いし、抱え込んでいます。一人の人格を持った大人として見なしていません。一方、健一は、親の期待に反発しつつも、結果的に保護される、つまり子ども扱いされることに甘んじています。本来の愛情は、本人が思春期になったら、本人の幸せのために、夢や希望(自発性)を温かい目で後押しして、困った時に保護することです。愛情が溢れる余りに心配性になり、困ってもいないのに保護して(過保護)、その結果、本人の夢や希望をくじき不幸せな思いをさせるのは、本末転倒と言えます。なぜ複雑な家庭環境ではひきこもりが少ないの?逆に、構い過ぎ(過干渉)や心配し過ぎ(過保護)の対極を考えてみましょう。それは、あまり構わず心配もしない、つまり放置です。これは、育児に時間が取れない一人親家庭、育児が適切に行われていない心理的に荒れた家庭、育児に関心が乏しいネグレクト(育児放棄)や心理的虐待などの複雑な家庭環境が背景にあります。すると、子どもはどうなるでしょうか? 「早く自分で生きていこう」「早く一人前になりたい」という心理(自発性)が高まります。それが望ましくない形で出てくる場合が、家出などの非行です。非行の心理は、「普通の子にはマネできないすごいことをやってのけている」という悪いことをあえてできる自分を周りに示すことに意味があります。そして、見捨てられても大丈夫な自分を演出します。これが、複雑な家庭環境、つまりあまり構わない親のかかわり(放置)では、統計的にひきこもりが少ない理由であると考えられます。一方、構い過ぎ(過干渉)はその逆で、「一人前になりたいたいわけではない」「まだ一人前になりたくない」というひきこもり独特の心理を高めていることが分かります。本来は、親が「ほどほどに構う」ことで、子どもが「ちょっとずつ一人前になる」という関係が望ましいはずです。なぜ低所得層の家庭環境ではひきこもりが少ないの?低所得層の家庭、いわゆる貧困の家庭では、生活に足りないものが出てきます。子どもは、友達と違い、自分は欲しい物がなかなか手に入らないことを自覚します。すると、その渇望感から欲しい物が手に入ることの喜びに敏感になり、生物学的な感受性が高まっていきます(ドパミンの活性)。それが、欲深さであり、ハングリー精神です。こうして、子どもの自発性は高められていき、ひきこもりにはなりにくくなります。また、そもそも経済的に厳しい家庭は、ひきこもりを養っていくだけの経済力がありません。逆に言えば、裕福な家庭では、親子のコミュニケーションのパターンが、心配し過ぎ(過保護)から与え過ぎにすり替わってしまいやすくなります。子どもの望むものが簡単に買い与えられてしまい、欲しいものに飢えることがなくなれば、自発性がとても弱くなるリスクがあります。ここから分かることは、経済的に恵まれている家庭は、ひきこもりが起こりやすくなることを理解する必要があるということです。ひきこもりは社会のせい?それでは、ひきこもりは本人と家族の問題でしょうか? それだけとも言えません。なぜなら、ひきこもりは、世の中で90年代から徐々に増え続けている現実があるからです。つまり社会問題として、普遍性があるということです。最初のひきこもりが90年代に20歳代だとしたら、その幼少期は70年代になります。親を、構い過ぎ(過干渉)、認めない(承認の欠如)、心配し過ぎ(過保護)の3つの心理に駆り立てるようになった70年代以降の社会の変化とは何でしょうか? 大きく3つ挙げられます。(1) 親(特に母親)が暇になった―親の時間的余裕今回のドラマで健一の母親がかつてどうだったかは描かれていませんが、1つ目の社会の変化は、親(特に母親)が暇になったことです。世の中が便利になり、家庭の中も便利になりました。それに加えて、核家族化や少子化によって、時間的余裕を持つ母親が増えました。そして、その余った時間を全て子育てに注ぐ、子育てが生きがいの母親が出てきたことです。こうして、構い過ぎ(過干渉)がエスカレートしていくようになりました。さらには、早期教育、習い事、塾など様々な教育サービスの充実によって、構い過ぎの選択肢はますます増えていきました。そして、いわゆる「お受験ママ」「ステージママ」などの教育に熱を入れ過ぎる母親が登場します。彼女たちによって、ごく一握りの才能のある子どもを除いて、多くの子どもはこれらの活動を強いられて、本来あったやる気(自発性)はますます育まれなくなります。(2) 競争社会になった―結果重視の価値観町内会の会議でのワンシーンを見てみましょう。メンバーが「こういうことはさあ、もっとこう楽しく時間かけてやることに意味があるんだってさあ」と提案して議題から脱線して会話を楽しんでいます。すると、自治会長の園村は、「おほん、効率良くやりませんかね?」「無駄な時間を使えない」「うちの自治会主催の桜祭りはもう何年も閑古鳥ですね」と釘を刺します。園村は、信用金庫の理事を最後に退職しており、もともとお金や時間の無駄にとても厳しいのでした。このシーンからも見てとれる2つ目の社会の変化は、競争社会になったことです。社会の価値観は、競争に勝つために、効率重視、結果重視に傾いていきます。世の中のあらゆるものに価値を求めるようになった結果、子どもにも価値を求めるようになりました。そして、競争に負けてほしくない親心から、「負けたくない子育て」に重きを置かれるようになります。ほめるにしても叱るにしても、結果に重きが置かれるため、どんなに子どもが一生懸命にやって楽しんでいても、そのプロセスについては認めにくくなります(承認の欠如)。親の望むような結果にならなければ、自信はいつまで経ってもつきません。そういう子どもを増やしてしまったのです。(3) 物質的には豊かになった―経済的余裕健一は、一人息子として、立派な一軒家の離れに住んでいます。とても裕福です。ひきこもっていても、物質的には不自由なく生活できています。この様子から読み取れる3つ目の社会の変化は、物質的には豊かになったことです。それは、家族が、経済的に恵まれていくことで、その子どもがひきこもりになりやすい基礎をつくってしまったことです。そして、家族がひきこもる人を経済的に養うことができるようになったことです。その家族の経済力によって、「働かなくても良い」という発想を持つ人が増えてしまったのです。かつて、世の中が豊かではない時、「働かざる者、食うべからず」という考え方が一般的でした。例えば、発展途上国にひきこもりはいません。当たり前ですが、そんなことをしたら生存が危うくなるからです。現在は、「働かざる者も食える」時代になってきたということです。働かなければならない状況なら、そもそもひきこもりにはならないということです。しょうがなく何とか働いているでしょう。これが、現状に甘んじているという心理です。なぜひきこもりは「ある」のか?これまで、「ひきこもりとは何か?」「なぜひきこもりになるのか?」というテーマで考えてきました。ここからは、さらに踏み込みます。そもそも「ひきこもりはなぜ『ある』のでしょうか?」 言い換えれば、「ひきこもりは、なぜ昔になくて今あるのでしょうか?」 この問いへの答えを、進化心理学的な視点で探ってみましょう。私たち人間の体は環境に適応するために進化してきました。同じように、私たち人間の心も進化してきました。その適応してきた環境とは、狩猟採集生活を営んでいた原始の時代です。その始まりは、チンパンジーと共通の祖先から私たちの祖先が分かれていった700万年前です。現代の農耕牧畜を主とする文明社会は、たかだか1万数千年の歴史であり、進化が追い着くにはあまりにも短いと言えます。つまり、進化心理学的に考えると、私たちの心の原型は、まさにこの原始の時代に形作られました。その原始の時代の一番の問題は飢餓でした。この飢餓を乗り越えるために、私たちの体では様々なメカニズムが進化しました。例えば、低血糖にならないためのメカニズムとして、血糖値を上げるホルモンは数種類もあることです。また、飢餓状態では、一時的に脳内の快楽物質(エンドルフィン)が放出されて、むしろ気分は高揚して活動性は高まります。これは本人が意図せず意識せずに起こります。そして、その間に何とか食糧を得たのです。このモデルとなるのが、摂食障害によって低体重で低栄養になった場合の精神状態、いわゆる「拒食ハイ」「ダイエットハイ」です。逆に、現代のように裕福で飽食の社会はどうでしょうか? 大きな問題の1つは肥満です。この肥満を抑えるように私たちの体はあまり進化していません。なぜなら、原始の時代にはありえない状況だからです。血糖値を下げるホルモンにしてもインスリンの1つしかありません。それが肥満により働き疲れると、たやすく糖尿病になってしまいます。動物の中で、肥満を抑える遺伝子が進化しているのは、鳥ぐらいです。そこで、私たちは、肥満を抑える遺伝子がない代わりに、カロリーオフのものを摂ったり、意識的に運動したり、薬を飲んだり、場合によっては胃切除を行っているわけです。飽食の時代に肥満が増えるように、物質的に豊かになった時代に働かない人が増えるのは、進化心理学的に考えれば、明らかなことです。満たされている精神状態では、飢餓の状態とは逆に、意図せず意識せずに活動性は低下しています。端的に言えば、食べ物があればつい食べてしまうし、楽ができるならつい楽をしてしまうというシンプルな話です。肥満を抑えるメカニズムがあまり進化していないのと同じように、働かない心理を抑えるメカニズムもあまり進化していないのです。働かない心理は、肥満と同じく、進化の過程で支払うべき代償(トレードオフ)と言えるでしょう。そして、働かない心理の1つの代表として、今、ひきこもりが、その特異性ゆえに注目を集めているのです。ちなみに、働かない心理のもう1つの代表として、ひきこもりと時期や特徴を同じくして注目されている病態が「新型うつ」です。ひきこもらないためにはどうすれば良いのか?ひきこもりは、本人の考え方、家族のかかわり方、社会のあり方にそれぞれ原因があることが分かりました。それぞれに原因があり、どれか1つのせいにはできないことに気付きます。ひきこもらないために大事なことは、それぞれに原因があることを認め、それぞれがその原因を見つめ直すことです。(1) 本人はどうすれば良いのか?一番大事なことは、まず本人がひきこもりから抜け出したいと強く思うことです。ひきこもりは、本人が止めようと思わなければ止められないです。いくら周りがどんなに一生懸命に取り組んでも、本人に変わる気がなければ、変わらないです。アルコールや薬物などの物質依存、ギャンブルなどの過程依存と同じように、ひきこもりは関係依存という依存症の要素があります。この事実を本人が理解することです。結局のところ、たとえどんな境遇であったとしても、自分の人生の責任は、他でもない自分にあるということに気付くことです。そして、具体的に行動して、何らかのコミュニケーションの刺激にあえてさらされることです。最初はリハビリです。取っ掛かりとして、歯医者への通院も良いでしょう。メンタルヘルスのクリニックやカウンセリングルームへの通院、デイケアや自助グループへの通所など何でもありです。体を鍛えるのと同じように、心を鍛えるには、場数を踏んで、人馴れや場馴れをしていくことです。また、インターネットの利用によって、ひきこもりの人同士が情報発信をし合ったり、集まりに参加することで、お互いにいたわったりねぎらったりすることができます(承認)。これは、新しい社会参加の1つの形であると言えます。こうして、社会的スキル(社会脳)という能力が再びちょっとずつ磨かれていきます。(2) 家族はどうすれば良いのか?涼は、園村に「園村さんが健一さんを大事に思う気持ちと、健一さんの人生を決めてしまうことは、別のことだと思います」と言い当てます。まさにこのセリフは、ひきこもりの基礎をつくる家族の3つのかかわり方の問題点を指摘しています。それは、構い過ぎ(過干渉)、認めない(承認の欠如)、心配し過ぎ(過保護)でした。ここから、この3つの点について家族はどうすれば良いか考えていきましょう。a. 親が自分の人生を生きるラストシーンで、園村は、真っ直ぐに伸びた道を描いた健一の絵を見て、健一にやさしく語りかけます。「これから歩いていってみてくれ、おまえの道を」と。この言葉から、健一の人生と自分の人生は同じではないということを園村がようやく理解したことが読み取れます。1つ目の対策は、親が自分の人生を生きることです。子どもが思春期(10歳代)を迎えたら、子育ては半分卒業です。そして、子どもが成人したら、子育ては完全に卒業です。いつまでも親が子どもの人生を歩み続けることはできないということを知ることです。子どもは子どもの人生を歩むと同時に、親は自分の人生を歩んでいることがポイントです。親が自分の仕事や趣味、友人関係などで自分の世界を持って、何かに励んで楽しんでいることです。そうすると、結果的に、親は子どもに構い過ぎなくなります。また、親は、自分の世界があることで、周りの評判(評価)や体裁をあまり気にしなくなります。そして、そういう親の背中を見て(モデリング)、子どもの自発性は高まっていきます。b. 本人を大人扱いする涼の指摘の後、園村は「あいつの気持ちが知りたい」とつぶやきます。園村は、健一を抱え込んで子ども扱いして、本人の気持ちを考えていなかったことに気付いた瞬間です。一方、健一は、自分の描いた絵がひきこもり自立支援のサロンに飾られたことで(承認)、自信を取り戻していくのです。2つ目の対策は、本人を大人扱いすることです。本人が思春期(10歳代)を迎えたら、親は口出しを徐々に控えていき、本人が決めたことを認めることです(承認)。もちろん、親が生き方の選択肢としての判断材料をたくさん示すことは大切ですが、あくまで最後は本人が決め、それを親が支持するというスタンスを守ることです。例えば、「○○について、親として△△してほしい。だけど、決めるのはあなた。あなたが決めたことなら、結果がどうなっても支えたいと思う」と伝えます。大人扱いをするということは、本人の自由を尊重すると同時に、責任も自覚させるということです。具体的には、最低限の生活のルールを相談して決めることです。そのためのイメージとしては、「しばらくホームステイしている外国の友達の息子さん」というイメージです。そうするとどうでしょう? 例えば、「給料」(生活費)は一定額に固定されます。「文化」の違いがあるので、本人の生活スタイルやプライバシーには配慮し親切に接しつつも、家族にとって迷惑なことがあれば指摘や相談をしたり、家族全員での話し合いをします。「文化」の違いがあるからこそ、率直に意見を言う必要があります。こうして、「文化」の違いを乗り越えたルールがつくられていきます。それでは、暴言や暴力はどうでしょうか? 前半のシーンで、園村が健一に「おまえ、誰のおかげでその年まで働かずに食えてこられた!?」「どれほどの思いをしておれが過ごしていたか分かるか!?」と問い詰めます。すると、健一が急に「土下座して謝れよ!」と大声を上げて、暴力を振るいます。園村のかかわり方には問題がありますが、暴力を振るう健一にも問題があります。このように、暴力などの不適切な問題が起こる場合は、ためらうことなく警察通報や避難することが肝心です。リスクがある時は、本人に事前に伝えることが必要です。例えば、「どんな状況でも暴力は良くない。次に暴力があれば、私は警察通報をしなければならない」とはっきり言うことです。逆に、親が、子ども扱いしたり体裁を気にしたりして警察通報や避難ができない状況では、暴力はエスカレートしていきます。c. 親がサポーターになるラストシーンで、園村は健一に「これから歩いていってみてくれ、おまえの道を」「父さん、生きてる限りおまえを応援する」と語りかけます。この言葉に健一は涙するのです。3つ目の対策は、親がサポーター(応援者)になることです。応援するという言葉には、もはや保護者として親が子どもを保護する、つまり子どもの人生の全責任を負うというニュアンスはありません。応援とは、本人の自由を尊重して、サポーターとしてサポート(援助)に徹することです。そのサポート(援助)とは、衣食住の最低限の生活の保障をすることです。サポートは、際限なくするものではなく、あくまで一定です。親が、ひきこもりの事態の責任を感じて、本人を抱え込んで、本人の言いなりになることではありません。言い換えれば、一定のサポートとは、サポートには限度があるというメッセージです。園村の言葉には、もう1つのメッセージがあります。それは、「(自分たち親が)生きてる限り」という言い回しから分かるように、サポートには期限があるということです。つまり、ひきこもりという経済力のない生活スタイルは、果たしていつまで続けることができるのかということです。親の財産の相続や今後に受給する本人の年金を踏まえて具体的に正確にシミュレーションして、親としてできるライフプランを本人に提案することです。親が定年退職した時や本人が30歳になった時が、家族で相談する1つの節目です。ここでも大切なポイントは、限りある資源をどうするか最終的に決めるのは本人であるということです。「追い詰めれば自立するかも」という安易な発想から、感情的にはならないことです。表2 ひきこもりの3つの心理の特徴、要因、対策 欲がない(自発性の不足)自信がない(ストレスへの過敏性)現状に甘んじる(関係依存)神経伝達物質ドパミンの活性低下ノルアドレナリンの易反応性相対的なオキシトシンの活性亢進要因本人ひきこもりを続けること(悪循環)家族構い過ぎる(過干渉)認めない(承認の欠如)心配し過ぎる(過保護)社会親の時間的余裕結果重視の価値観経済的余裕対策本人ひきこもりをやめようと思い、少しずつ行動すること家族親が自分の人生を生きる(干渉しない)本人を大人扱いする(承認)親がサポーターになる(一定の援助)社会社会もサポーターになる(ソーシャルサポート)(3) 社会はどうすれば良いのか?前半のシーンで、園村は涼に「なぜあんな人間たち(ひきこもりサロンのメンバー)に構うのか?」と問います。すると、涼は「信じているからです」「人はいつでもどんなところからでも生き直せる」と力強く答えています。涼は、持ち前の情熱により、困っている人をサポートしています。このシーンから学ぶことは、ひきこもりに対して社会もサポーターになることです(ソーシャルサポート)。その1つが、涼が立ち上げたひきこもり自立支援のサロンです。ひきこもりの人への社会の中での居場所の提供です。そこには、仲間がいます。また、世の中の多くの人がひきこもりについて理解していけば、ひきこもりの本人の親の友人や近所の人が状況を知った理解者となり、本人を温かく見守ることができます。さらには、ひきこもりの家庭への人の出入りをつくり出すことです。親の友人、近所の人、ケースワーカーなどの第三者の客観的な目が家庭内に入ることは、社会、家庭、個人のそれぞれの風通しを良くしていくことができます。これは、暴言や暴力などの親子の煮詰まりを防ぐ1つの方法でもあります。ただし、家族のサポートに限度があるのと同じように、社会(国)のサポートにも限度があります。社会のサポートは、国の経済力に左右されがちです。ひきこもりなどの働かない人が増えれば、国の経済力が危うくなるのは明らかなことです。この社会的な状況を踏まえて、今後ひきこもりの人に生活保護や障害年金の受給がどこまで可能なのかという社会的な議論や同意が必要になってきます。ひきこもりの未来は?これまで、「ひきこもらないためにはどうすれば良いのか?」という視点で考えてきました。ところで、そもそも、ひきこもりは悪いことなのでしょうか? 逆に言えば、ひきこもらないことは良いことなのでしょうか?昔から、親に頼り働かない人は「すねかじり」「甘え」「怠け」などと否定的に呼ばれてきました。ところが、現在、価値観が多様化する中、こうあるべきという社会(多数派)の価値観は定まらなくなってきています。家庭の家計や国の経済がある程度安定しているのであれば、ひきこもりのライフスタイルは、「エコ」「悠悠自適」とも言えそうです。大事なことは、今ひきこもっている本人が、働くか働かないか、または社会参加するかしないかの古い価値観の二択に惑わされないことです。物質的に豊かな現代、人それぞれで違う「精神的な豊かさ」を得るにはどうすることが自分にとって一番良いのか? その生き方を本人が自分で選び取ることではないでしょうか? その時、ひきこもりは、もはや生き方の選択肢の1つに過ぎなくなるのではないでしょうか? そして、未来にはひきこもりという言葉そのものがなくなっているのではないでしょうか?1)斎藤環:ひきこもりはなぜ「治る」のか?、中央法規、20072)斎藤環:社会的ひきこもり、PHP新書、19983)荻野達史ほか:「ひきこもり」への社会学的アプローチ、ミネルヴァ書房、20084)田辺裕(取材・文):私がひきこもった理由、ブックマン社、20005)長谷川寿一・長谷川眞理子:進化と人間行動、東京大学出版会、2000

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【GET!ザ・トレンド】カプセル内視鏡の最新事情

カプセル内視鏡の登場内視鏡は、人体内部、とくに胃腸などの病気を診断するために用いられる医療機器であり、通称「胃カメラ」とか「大腸カメラ」と言われている。現在では電子内視鏡が世界的に広く利用され、胃がんや大腸がんの診断、治療に大きく貢献してきた。ところが、2001年、Natureという科学誌に、カプセル内視鏡が報告され、世界をあっと驚かせた。薬のカプセルよりやや大きい程度の大きさの内視鏡で、苦痛を伴わない安全な内視鏡だったからである。この内視鏡を用いることによって、それまで診断が難しかった小腸の病気を容易に見つけ出すことができるようになった。その結果、これまでの内視鏡で診断可能だった食道や胃、そして大腸などに出血源が発見できず、小腸が原因かもしれないと推測するしかなかった小腸の病気が、容易に診断できるようになった。そして、小腸に予想以上に病気が多いことも判明したのである。最近では、食道や大腸のがんなどの病気を診断するカプセル内視鏡も登場した。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する検査の概要カプセル内視鏡は、カプセルを飲み込むだけで検査が始まり、撮影した画像はワイヤレスで体外の記録装置に送られ、ビデオ画像で解析、診断する。カプセルは、胃腸の動きに伴って進み、8~10時間後に排泄される。このカプセルはディスポーザブルで、再利用はしない。検査の前には、小腸の場合、一晩の食事止めでいいが、大腸の場合には、少々大量の(2~4リットル)の下剤を飲まなければならない。そうすれば、通常の内視鏡と同様の写真を撮ることが可能で、診断性能もほぼ同じである。撮影された画像は特殊なソフトで解析されるが、現在のところ、やや時間がかかり過ぎて、医師の負担となっている。日本カプセル内視鏡学会では、読影支援技師を養成してこの問題を解決しようとしている。画像を拡大する問題点問題点の1つは、小腸などに手術後、腸管が狭くなっているところがある場合、カプセルがそこにとどまって体外に出ないことがあり(滞留)、この場合は特殊な内視鏡で取り出さなければならないことである。1~2%のケースでこのような問題が生じるが、現在では、前もってパテンシーカプセルというダミーを用いて、狭いところがあるかどうかを診断できるようになった。大腸用のカプセル内視鏡は、世界で初めて健康保険の適用が認められた。とはいえ、その適応範囲は意外に狭く、単に「お尻を見せるのが恥ずかしい」とか、通常よく聞かれる「内視鏡が怖いから」といったような心理的な理由では、保険の適用は認められない。今後、その適用範囲は広げられていく予定であるが、このことは皆さんにご理解いただきたいところである。その他の問題としては、体外から自由にコントロールできないこと、診断はできるが、がんの切除など内視鏡治療ができないことがある。したがって、現在のところ、カプセル内視鏡は主にスクリーニングに用いられており、がんなどが発見されれば、これまでの内視鏡による治療あるいは手術が行われている。カプセル内視鏡とこれまでの内視鏡とのすみ分けが検討されている。今後への期待このように、カプセル内視鏡は、苦痛を伴わない簡便な診断方法であるが、限界もあり、今後わが国から、これらの問題点を解決する優れた研究が世界に向けて発信されることを希望している。参考文献日本カプセル内視鏡学会(JACE)アトラス作成委員会編.動画でわかるカプセル内視鏡テキスト.コンパス出版局;2014.

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見るより参加!【Dr. 中島の 新・徒然草】(047)

四十七の段 見るより参加!中島「いやあ、土曜の午後の草野球みたいですね。いい汗かきました」技師「うまいこと言わはりますな」中島「なんか達成感がありますね」先日のこと。ICLS (Immediate Cardiac Life Support) コースにインストラクター見習いとして参加しました。ICLSコースとは「突然の心停止に対して最初の10分間の適切なチーム蘇生を習得する」という目標をもった講習会です。数年前に受講して以来、もっぱら主催者側の一員として、準備したり開会の挨拶をしたりする立場になってしまいましたが、見ているだけでは面白くありません。そこで、自分も参加させてもらうことにしたのです。受講生に対する説明や実技そのものは、他のインストラクターの見まねで何とかできたのですが、よくわからないのが、打合せの部分です。看護師「ブリデブリと目標設定ですけど」中島「ブリってのは」看護師「ブリーフィングです」中島「そうするとデブリってのはデブリーフィングよね?」看護師「ええ」中島「その2つを縮めてつないだら、なんだかマズくないすか?」看護師「ちょっと先生、真面目にやってくださいよ!」ブリーフィングというのは「状況説明」とか「指令」と訳されるのが普通ですが、今回のコースでは「作戦会議」と説明されていました。デブリーフィングは、通常、「帰還報告」という訳になりますが、今回は「ふりかえり」です。でも「ブリデブリ」と縮めるのはいかがなものでしょうか。読者の皆さんも「ブリデブリ」って言ってますか?それはさておき、説明 → 実技 → デブリーフィング → ブリーフィング → 目標設定 → 実技 → ・・・と、汗だくになりながら際限なく続くICLS。受講生も疲れたでしょうが、慣れないインストラクター見習いも疲れます。それでも終わったときには「有意義な1日だった!」という満足感でいっぱいでした。このコースでは、院内の医師、看護師だけでなく、外部から救命士、臨床検査技師、放射線技師もインストラクターとして参加してくれたので、多くの人と顔見知りになることができました。それやこれやで土曜の午後の草野球に喩えた次第です。それにしても見ているよりも参加するほうが面白いのは確かです。次も参加することにしましょう。

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がん生存にみる40年間の対策効果は?/Lancet

 英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のManuela Quaresma氏らは、イングランドとウェールズ住民を対象に40年間(1971~2011年)の、全がん生存指標と年齢・性別で補正した個別がん生存指標の傾向を調べた。その結果、1971-72年当時は、全がんネット生存指標は、診断後1年で50%であったが、40年後の2010-11年には診断後10年でも50%を達成していると予測され大きく改善していること、一方で性別や年齢による生存指標の格差が続いていることなどを明らかにした。Lancet誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。英国がん患者、過去40年間720万人のデータを解析 本検討は、がん対策の進展を集団レベルで評価することの重要性を踏まえて、住民ベース生存率の傾向を調べて、がん生存について特色ある対策を提示することが目的であった。住民ベース生存率の傾向は、医療システム全体の効果、および罹患率や死亡率の傾向について鍵となる洞察を与える。 研究グループは観察研究にて、イングランドおよびウェールズ住民で1971~2011年に、原発性、侵襲性の悪性腫瘍と初発診断された720万人のデータを、2012年まで追跡して住民ベース生存率の傾向を分析した。 National Cancer Registry(イングランド)とWelsh Cancer Intelligence and Surveillance Unit(ウェールズ)を用いて全がん生存指標を作成。指標は、がん患者の年齢群別変化と男女別にがん死亡の変化を読み取れるようにデザインされていた。 1971-72年、1980-81年、1990-91年、2000-01年、2005-06年、2010-11年の期間のデータを選び、診断後1、5、10年後のがん生存指標の傾向を分析した。また、最高年世代(75~99歳)患者と最若年世代(15~44歳)患者間のネット生存率の差を、世代間生存格差と定義し、1971年以降の絶対変化(%)を評価した。全体的には上昇、性別、がん種別、年代別の次のターゲットが明らかに 両国の40年間の全がんネット生存指標は、大きく上昇していた。1971-72年当時、診断後1年生存指標が50%を示していたが、2005-06年には、診断後5年生存指標が50%を示すようになっており、2010-11年には診断後10年生存指標が50%を示すことが予測された。 2010-11年の全がん複合生存指標は、診断後1年が69~70%、診断後5年が54%であることが予測された。40年間で、5年生存指標は24%(30%から54%に)、10年生存指標は26%(24%から50%に)上昇しており、1990~2011年の間に大きく伸びたことがみられた。 男女別にみると、全がん生存指標は調査対象期間中一貫して、男性よりも女性が平均10%高かった。 年齢および性別で補正後の10年ネット生存指標の予測値は、がんの種類によって大きく異なり、2010-11年の予測値は、膵臓がんの1.1%から精巣がんの98.2%までにわたっていた。同値について高・中・低値の3群に分けてみると、高値群に分類されたのは、乳がん、前立腺がん、精巣がん、子宮がん、メラノーマ、ホジキンス疾患で、1971-72年の生存指標からの上昇が総じて大きかった。一方で、低値群に分類されたのは、脳、胃、肺、食道、膵臓のがんで、40年間でほとんどまたはまったく改善がみられなかった。 また、最高年世代が最若年世代と比べて、がん以外の高率の死因で補正後も一貫して生存指標が低かった。男性において世代間生存格差が最も大きかったのは、大量化学療法が治療の鍵となるがん(リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病)で、女性では脳腫瘍、卵巣・子宮頸部がん、多発性骨髄腫で世代間生存格差が大きかった。また女性では、メラノーマと子宮がんの世代間格差は狭まっていたが、卵巣がんの長期生存の差は拡大していた。 これらの結果を踏まえて著者は、「がん種別によりまた世代間により生存に大きな差があることが示された。このことは、がんアウトカムの新たな対策の必要性を示唆するものである」と述べる一方で、「がん生存指標のさらなるモニタリングは、昨今の個人情報保護に対する懸念が払拭されない限り困難となる可能性もある」と指摘している。

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小児への維持輸液、等張液とすべき/Lancet

 入院中小児患者への維持輸液について、等張液(ナトリウム濃度140mmol/L)の使用が低張液(同77mmol/L)使用よりも、低ナトリウム血症の発生リスクを低下し有害事象を増大しないことが明らかにされた。オーストラリア・メルボルン大学のSarah McNab氏らが無作為化対照二重盲検試験の結果、報告した。小児への維持輸液をめぐっては、低張液使用が低ナトリウム血症と関連しており、神経学的疾患の発生や死亡に結び付いていることが指摘されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「小児への維持輸液は、等張液を使用しなければならない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年11月28日号掲載の報告より。小児への維持輸液を等張液と低張液で割り付けて低ナトリウム血症の発生を評価 試験は、オーストラリア、メルボルンにある王立小児病院で行われた。被験者は、6時間超の維持輸液を必要とする生後3ヵ月~18歳の小児。オンライン無作為化システムを用いて1対1の割合で、等張液(Na140)群と低張液(Na77)群に割り付けて72時間または輸液率が標準維持率の50%未満となるまで投与を行った。 ベースライン時のナトリウム濃度によって小児への維持輸液の割り付けを層別化して行った。研究者、治療担当医、看護師、患者は治療の割り付けについてマスキングされた。 主要アウトカムは、治療期間中の低ナトリウム血症の発生で、血清ナトリウム濃度が135mmol/L未満かつベースラインから3mmol/L以上低下が認められた場合と定義した。評価はintention to treat解析にて行った。小児への維持輸液について等張液群の発生リスクは0.31倍、有害事象も増大せず 2010年2月2日~2013年1月29日の間に、690例を無作為に割り付けた。主要アウトカムデータは、Na140群319例、Na77群322例について入手できた。 結果、小児への維持輸液について、低ナトリウム血症の発生はNa140群12例(4%)、Na77群35例(11%)で、Na140群のほうが有意に低下した(オッズ比[OR]:0.31、95%信頼区間[CI]:0.16~0.61、p=0.001)。 臨床的な顕性脳浮腫の発生は、両群ともに認められなかった。重篤な有害事象の発生は、Na140群で8例、Na77群は4例であった。治療期間中のてんかん発作は、Na140群は1例であったのに対し、Na77群では7例であった。

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腰痛の機能障害の程度と椎間関節OAは相関するのか

 椎間関節の変形性関節症(FJOA)は腰痛や下肢痛の原因として知られているが、ドイツ・ゲーテ大学のAdel Maataoui氏らは、L4/L5およびL5/S1レベルのFJOAとオスウェストリー障害指数(ODI)との関連について調査し、MRIで評価した椎間関節の退行性変化とODIはほとんど相関していないことを明らかにした。画像所見のみでは腰痛を十分説明できないという臨床経験を裏付ける結果であり、著者は「腰痛の適切な診断の進歩には臨床的な相関関係が不可欠である」とまとめている。World Journal of Radiology誌2014年11月号の掲載報告。 腰痛患者591例(平均年齢47.3歳)を対象に、1.5テスラMRI装置Magnetom Avantoを用いて腰椎を撮像するとともに、機能障害をODIにて評価した。 MRI画像は、5年以上の筋骨格系画像診断経験を持つ認定放射線科医2人が盲検下にて評価し、L4/L5およびL5/S1椎間関節(計2,364ヵ所)の変性について、Weishauptらのスケールを用い4段階(グレード0~3)に分類した。 主な結果は以下のとおり。・FJOAの有病率は、L4/L5が97%、L5/S1が98%であった。・FJOAの程度は、L4/L5が左/右それぞれ、グレード0:17例/15例(2.9%/2.5%)、グレード1:146例/147例(24.7%/24.9%)、グレード2:290例/302例(49.1%/51.1%)、グレード3:138例/127例(23.4%/21.5%)であった。・同様に、L5/ S1では左/右それぞれ、グレード0:10例/11例(1.7%/1.9%)、グレード1:136例/136例(23.0%/23.0%)、グレード2:318例/325例(53.8%/55.0%)、グレード3:127例/119例(21.5%/20.1%)であった。・ODIスコアは、最小0%、最大91.11%、平均32.77±17.02%であった。・48.39%の患者は、中等度の機能障害(ODIスコア:21~40%)を有していた。・L5/S1右側のみ、FJOAとODIとの間に弱い正の相関関係が認められたが、それ以外(L4/L5レベル両側およびL5/S1レベル左側)は認められなかった。

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クリスマスは本当に自殺者が多いのか

 クリスマスの時期は他の休日と比較して、オーストリアにおける自殺率が低いことが、オーストリア・パラケルスス医科大学のMartin Ploderl氏らによる研究で明らかになった。このことは、楽しい休日を過ごすはずだったのに期待外れに終わった失望が自殺率に影響するとした「broken-promise effect」の仮説を打ち消すものであり、より適切なタイミングで自殺予防を行う手助けとなりうるかもしれない。European journal of public health 誌2014年9月 22日号の掲載報告。 クリスマスが近くなると自殺が増えるという神話に反し、複数の研究では、クリスマスが近づくと自殺率が低下し、新年初めに通常に戻るあるいはピークとなることが明らかになっている。そのため、本研究では、オーストリアにおいてもこの現象が起こるのかについて調査した。 分析は、2000~2013年の公式の自殺統計に基づき、ポアソン回帰分析およびベイジアン変化点分析を用いて行った。他の主要な祝日と週末における自殺率の変化についても調査した。季節的な影響は、解析する期間を限定することで制御した。 主な結果は以下のとおり。<自殺率の推移>・クリスマスが近づくと低下し、12月24日に最低となった。・12月25日から大晦日までは低いまま推移した。・1月1日に最高となったが、年明けの1週間は平均レベルで推移した。・復活祭(Easter)の翌週に増加した。・週末後の、月曜日、火曜日に増加した。・聖霊降誕祭(Whitsun;復活祭の7週間後の日曜日)の後や、夏季休暇後の週では、有意な変化はみられなかった。

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小児てんかん、複雑な経過をたどる

 米国・Ann & Robert H. Lurie Children's HospitalのAnne T. Berg氏らは、小児てんかん患者の寛解、再発、薬剤抵抗性の発生頻度を20年間にわたり前向きに調査した。その結果、てんかんのタイプや脳損傷あるいは神経系障害の有無などにより予後は多様で、複雑な経過をたどることを報告した。Epilepsia誌オンライン版2014年11月28日号の掲載報告。 検討は、新規にてんかんと診断された小児の地域ベースコホートを対象とし、頻繁な電話と定期的な診療記録のレビューにより、最長21年間前向きに調査した。寛解期間1、2、3、5年間それぞれの達成状況やその後の再発について記録し、分析した。そのほかのアウトカムとして、薬剤抵抗性(2剤を適正に使用しても発作抑制不能)、2年以内の早期寛解および早期薬剤抵抗性、最終評価時点での完全寛解(CR-LC:最終評価時点で5年間発作および薬物治療なし)についても評価した。発作の経過に関する複合的アウトカムを、早期の持続的寛解およびCR-LC(最良好群)から1年寛解未達成(最不良群)までの8カテゴリーに分けて分析した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は613例であった。そのうち516例が10年以上の追跡を完了した。・初回寛解1年達成率は95%、2、3、5年達成率はそれぞれ92%、89%、81%であった。その後の再発は、それぞれ52%、41%、29%、15%で認めた。・再発後に多くが再び寛解を得た。1人につき記録された再発後寛解は、初回寛解1年達成者では最高7回、同2年および3年達成者では最高5回、同5年達成者では最高2回を記録した。・全期間における薬剤抵抗性の発生率は118例(22.9%)、早期薬剤抵抗性(2年以内)は70例(13.6%)、早期寛解は283例(54.8%)、CR-LCは311例(60.3%)であった。・複合アウトカムの発生率は、CR-LCを認める早期の持続的寛解(172例、33%)、CR-LCを認める後期の持続的寛解(51例、10%)、1回の寛解-再発を繰り返した後のCR-LC(61例、12%)、2回以上の寛解-再発を繰り返した後のCR-LC(27例、5%)、さまざまな非CR-LCアウトカム(179例、35%)、1年寛解未達成(26例、5%)であった。・アウトカムの分布は、てんかんのタイプや脳損傷あるいは神経系障害の有無など各グループ間で相違がみられた(p<0.0001)。・小児てんかんにおける発作の予後は、非常に多様であることが示唆された。複雑な過程をたどることが明らかになった今回の所見は、成人期を迎える若い患者が、てんかんによって受ける影響を理解するための取り組みを促進すると思われた。関連医療ニュース 小児てんかんの予後予測、診断初期で可能 小児てんかんの死亡率を低下させるために 低用量EPA+DHA、てんかん発作を抑制  担当者へのご意見箱はこちら

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世界無形文化遺産「地中海式食事」とテロメア(解説:田久保 海誉 氏)-292

 世界の地方料理と健康に関しては、多くの論文があります。しかし、食事と分子生物学的現象との関係を明らかにした研究は多くありません。 伝統的なクレタ島、南イタリアの食事のパターンを地中海式食事(Mediterranean diet)といい、2010年に世界遺産となっています。通常の食事と比較して、果物、野菜、卵、乳製品・ミルクを2倍摂取します。魚介類はほぼ同等であり、肉は半分から三分の一、穀物と精製した糖類はそれぞれ70~80%。 本論文は、以上の食事のパターン(Alternate Mediterranean Diet score)とテロメア(老化のバイオマーカー)の保持とに正の関係があるとしています。 一方、テロメアは染色体末端にあり染色体の癒合や変性を防ぐ役割があります。培養細胞では細胞分裂ごとに短縮し、ヒトでは各組織を構成する細胞のテロメアは、新生児では長く高齢者では短い。一定以上のテロメアの短縮は、テロメア機能不全となり、染色体同士の癒合を引き起こし染色体は不安定化します。染色体の癒合は遺伝子の異常を引き起こし、がんの発生に結びつきます。前がん状態とは、過度のテロメア短縮のある組織との定義もあります1)。 また、心疾患、アルツハイマー病、長期の精神的ストレス状態などでは、テロメアが短いことも知られています。テロメアの長いヒトは長寿命であるとの報告もあります。 本論文では5,000人近くの中年女性看護師の食事内容を解析して、地中海式食事と末梢血白血球のテロメア長との間の正の関係を証明しました。地中海式食事の抗酸化ストレス効果がテロメア短縮を防ぎ、抗老化作用に結びつく可能性があります。 2013年に登録された世界遺産である和食とテロメアの関係を証明した論文はありません。しかし、日本人が長命であることから、多くの魚料理を含む和食もテロメア短縮を防ぐ可能性があります。

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【2014年コンテンツ閲覧ランキング】人気を集めた記事・スライド・動画のトップ30を発表!

デング熱やエボラ出血熱の流行、高血圧治療の新しいガイドライン、人間ドック学会が発表した新たな健診基準値など、今年の医療界での出来事が反映された記事やスライド、動画を多数お届けしてまいりました。そのなかでもアクセス数の高かった人気コンテンツ30本を紹介します。 1位 デング熱、患者さんに聞かれたら・・・ 2位 NHK特集で報道された「シロスタゾールと認知症の関係」についての患者さん説明用パンフレットを作りました。 (Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~) 3位 頓服薬の査定のポイント (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 4位 岩田健太郎が緊急提言!エボラ出血熱にこう備えよ! (CareNeTV LiVE! アーカイブ) 5位 高血圧治療ガイドライン2014が発刊 6位 医療者は正しい理解を。人間ドック学会“基準値”の解釈 7位 Dr.山下のアリスミアのツボ 第1回 8位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(2)うつ病治療の基本 9位 カルベジロール査定のポイント (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 10位 ケアネットオリジナル『患者説明用スライド』 ~高血圧Vol.1~ 11位 デング熱での解熱剤に注意~厚労省がガイドライン配布 12位 ケアネットオリジナル 『患者説明用スライド』 ~高血圧Vol.2~ 13位 妊娠糖尿病の診断基準の覚え方 (Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 -糖尿病編-) 14位 エキスパートに聞く!「血栓症」Q&A Part2 15位 知識を整理!GERD診療(2)症状を診る 16位 レビー小体型認知症、アルツハイマー型との違いは? 17位 アシクロビル(商品名: ゾビラックス)の査定 (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 18位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(1)うつ病の現状と診断 19位 休診日(12月28日)の休日加算の査定 (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 20位 アジスロマイシンとレボフロキサシンは死亡・不整脈リスクを増加する (1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより~) 21位 休日診療をやってみた (スキンヘッド脳外科医 Dr. 中島の 新・徒然草) 22位 内科医のための睡眠障害(1) 知って得する睡眠の話 23位 自分の適正なお寿司の皿数、わかりますか? (Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 -糖尿病編-) 24位 ナトリウムから食品相当量への換算方法を教えるコツ (Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 -糖尿病編-) 25位 金属がなくてもMRIで熱傷を起こすことがある (Dr. 倉原の”おどろき”医学論文) 26位 出血性ショックに対する輸血方法が不適切と判断されたケース (リスクマネジメント 救急医療) 27位 知識を整理!GERD診療(1)基本を整理 28位 ケアネットオリジナル 『患者説明用スライド』 ~高血圧Vol.5~ 29位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(4)抗うつ薬の副作用と対処法 30位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(3)抗うつ薬の使い分け #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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C型肝炎治療を変える!ソホスブビルとギリアド ~ギリアド社長インタビュー~

慢性C型肝炎の治療は、今、まさにパラダイムシフトの時を迎えている。インターフェロン(IFN)が当たり前のように使われていた時代から、IFNフリーの時代へと急激に変わろうとしている。その主役を担うと期待されているのがソホスブビルである。本年6月にその製造承認申請を行った、ギリアド・サイエンシズ株式会社(以下、ギリアド)の代表取締役社長 折原 祐治氏に話を聞いた。ソホスブビルの現況は?折原 祐治氏折原 ソホスブビルは、C型肝炎のIFNフリー治療を目指して開発されました。2014年6月に、ゲノタイプ2型のC型肝炎に対する治療薬としてソホスブビルの製造販売承認を申請し、2014年9月には、ゲノタイプ1型に対する治療薬としてソホスブビル・レジパスビルの配合剤を申請しました。現在は承認を待つ段階ですが、申請以来、患者さんや医師からの承認時期に対するお問い合わせが相次いでいます。承認は楽しみでもありますが、患者さんや医師の期待を考えると身が引き締まる思いで、楽しみよりも緊張のほうが大きいです。ソホスブビルの臨床効果は?折原 ソホスブビルは、ゲノタイプ1型と2型のそれぞれに対して臨床試験が行われています。まずは、ゲノタイプ2型の試験から紹介します。未治療および治療歴のあるゲノタイプ2型のC型肝炎例に対して、ソホスブビルとリバビリン(600~1000mg/日)を12週投与したところ、97%(n=148/153)において治療終了後12週時の持続的ウイルス学的著効(SVR12)が達成されました。一方、ゲノタイプ1型のC型肝炎例に対しては、ソホスブビル・レジパスビルの12週間投与により、未治療患者(n=83/83)および治療歴のある患者(n=88/88)それぞれでSVR12が100%となりました。このときの主な有害事象は、鼻咽頭炎(29%)、頭痛(7%)、倦怠感(5%)などでいずれも軽度でした。ソホスブビルの特徴は?折原 この薬剤の特徴は主に3つあります。SVR、安全性、耐性です。SVRと安全性については、先ほどの臨床試験結果で紹介しましたので、ここでは耐性についてお話ししたいと思います。現在開発が進んでいるC型肝炎の主な治療薬は、NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、NS5A阻害薬、NS5Bポリメラーゼ阻害薬の3種類です。いずれもC型肝炎ウイルスの増殖を直接的に阻害する作用を有しています。ソホスブビルは、NS5Bポリメラーゼ阻害薬に分類され、NS5Bポリメラーゼ阻害薬としては唯一の申請中の薬剤です。増幅するHCV RNA中に入り込み伸長を停止する核酸アナログ製剤であり、この作用機序から、耐性が起こりにくいと期待されています。これからのC型肝炎治療では、いかに薬剤耐性を起こさないで治療するかが重要となってきます。そのため、先に承認された海外では、耐性を起こしにくいソホスブビルはC型肝炎治療のベース薬として使用され、「ソホスブビルに何を追加するか?」が議論されています。ソホスブビルのような革新的な薬剤が、なぜ開発されたか?折原 ギリアドは、いまだ医療ニーズが満たされていない疾患領域の、とくに生命に関わる疾患の治療を向上させることを目指しています。その結果の1つがソホスブビルだと思います。ギリアドは、「For the Patient」を実践しています。興味深い例を1つ挙げますと、米国本社での会議では、「患者さんのためにどうすべきか?」が話し合われます。「日本の患者さんはどのような治療を受けているか?」「良くなっているか?」「何か困っていないか?」が優先して次々に尋ねられます。これまで私は複数の製薬企業に勤務してきました。これまでの製薬企業の場合、売上やシェアといったことが議題のほとんどでしたから、この違いには本当に驚きました。このあたりの姿勢が、革新的な薬剤を生み出すきっかけになっていると思います。ゲノタイプ2型から治験・申請した理由は?折原 ゲノタイプ2型に対する治験から行ったのも、ギリアドならではだと思っています。わが国では慢性C型肝炎のうち約7割が1型、残りの3割を2型が占めると言われ、ゲノタイプ1型に対するIFNフリー治療は、複数社が開発を進めていました。一方、ゲノタイプ2型に対するIFNフリー治療の開発は進められていませんでした。日本にはゲノタイプ1型の患者さんのほうが多く、競合も多いですから、通常、ゲノタイプ1型の治験を優先するかと思います。しかし、私たちはそのように考えませんでした。ゲノタイプ2型の患者さんをIFNフリーに導けるのはギリアドしかいないと考え、まずはゲノタイプ2型に対する治験から開始したのです。ギリアドとは?折原 ギリアドは、1987年に米国カリフォルニアに創立され、2013年に日本進出を果たしたバイオファーマです。全世界での売上は、2013年度が約1兆円、今年度は約2兆円が見込まれ、売上では世界のトップ10に入ると予想されるほど勢いがあります。製品パイプラインは、HIV/AIDS、肝疾患を中心に、今後はオンコロジーへも展開予定です。また、あまり知られていませんが、実は「タミフル」「アムビゾーム」の開発会社でもあります。最後にゲノタイプ1型C型肝炎に対する治療の進歩の速度は驚異的である。約10年前は、IFNの副作用に苦しみながらもSVRは10%程度であったが、リバビリン、PEG-IFN、NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬と次々に開発され、ついにSVR が約90%まで改善した。そして、NS5Bポリメラーゼ阻害薬であるソホスブビルの登場により、SVRはほぼ100%に到達する。さらに、安全性も飛躍的に改善されてきている。折原氏も、ベテランの肝臓専門医から「まさか自分が現役の時代にC型肝炎が駆逐される時が来るとは思わなかった。」と言われることがあるという。ソホスブビルなどのIFNフリー治療によりSVRを達成した症例で、実際に肝臓がんが減るかについてはまだ検討が必要である。しかし、C型肝炎患者をSVRへ導きやすくなることは明らかである。今後のC型肝炎治療の明るい未来に大いに期待したい。(ケアネット 鈴木 渉)

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腎移植後のシロリムス、がん減少も死亡増加/BMJ

 腎移植後患者に対するシロリムス免疫抑制療法は、がん発症リスクを40%、非黒色腫皮膚がんリスクについては56%、それぞれ低下する一方で、死亡リスクについては43%増大することも明らかになった。カナダ・オタワ大学のGreg A. Knoll氏らが、約6,000例の腎移植患者のデータをメタ解析した結果、報告した。これまでに発表されたメタ解析では、シロリムス投与とがんや死亡リスクについては、有意な関連は認められていなかったという。BMJ誌オンライン版2014年11月24日号発表の掲載より。21試験、被験者総数5,876例についてメタ解析 メタ解析は、Medline、Embase、比較対照試験を収載したCochrane Central Register of Controlled Trialsに2013年3月までに収載された論文を検索して行われた。腎移植、または膵・腎移植の患者を対象に、シロリムスによる免疫抑制療法について行った無作為化比較試験を適格とした。 患者個人レベルの情報が得られ、がん発症と生存についての記載があった21試験、被験者総数5,876例について解析した。シロリムス投与で非黒色腫皮膚がんリスクは56%減 結果、シロリムスは、がん発症リスクを40%減少し(ハザード比:0.60、95%信頼区間:0.39~0.93)、非黒色腫皮膚がんリスクを56%減少することが認められた(同:0.44、0.30~0.63)。 最も顕著にがんリスク減少が認められたのは、確立した免疫抑制療法からシロリムス免疫抑制療法に変更した人で、がん発症リスクは66%(同:0.34、0.28~0.41)、非黒色腫皮膚がんリスクは68%(同:0.32、0.24~0.42)、またその他のがん発症リスクは48%(同:0.52、0.38~0.69)、それぞれ減少した。 一方でシロリムスは、死亡リスクを1.43倍増大した(同:1.43、1.21~1.71)。 これらを踏まえて著者は、「シロリムスは、移植レシピエントのがん、非黒色腫皮膚がんリスクを減少した。その有益性は確立した免疫抑制療法からシロリムスに変更した患者で最も顕著だったが、死亡リスクが増大するという点で、腎移植患者に一般的に用いるのは適切ではないと思われる」と述べ、「さらなる検討を行い、集団の違い(たとえば、がんリスクが高い患者など)でシロリムスによるベネフィットが認められるかを調べる必要がある」と述べている。

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地中海ダイエットを守るほどテロメア延長/BMJ

 地中海ダイエットをより実行している人は、そうでない人に比べ、テロメア長が長い傾向にあることが判明した。テロメア長は老化のバイオマーカーであることが知られている。米国ハーバード・メディカル・スクールのMarta Crous-Bou氏らが、米国看護師健康調査(Nurses’ Health Study)の参加者について、コホート内症例対照研究を行い明らかにした。先行研究からは、地中海ダイエットが死亡率や慢性疾患リスクの減少に関与していることが知られている。BMJ誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。4,676例について、テロメア長と食事内容を調査 研究グループは、1976年から12万1,700例を対象に実施されている米国看護師健康調査の参加者のうち、疾患の認められない4,676例について、コホート内症例対照研究を行った。試験対象とした人は、テロメア長測定と、食事内容および頻度に関する質問に回答していた。 末梢血白血球中の相対的テロメア長について、リアルタイムPCR(RT-PCR)法で測定し、自己報告による地中海食スコアとの関連を分析した。地中海ダイエット順守と長いテロメア長とに関連 その結果、潜在的交絡因子で補正を行った後、地中海ダイエットをより順守している人は、テロメア長が長いことがわかった。テロメア長の最小二乗平均zスコアは、地中海ダイエット・スコアが最も低い群で-0.038(標準偏差:0.035)だったのに対し、同スコアが最も高い群では0.072(同:0.030)だった(傾向p=0.004)。

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喘息ではB細胞遊走にIL-17が関与

 喘息では、プライマリーB細胞の遊走増強に関して、IL-17が重要な役割を果たしていることを、サウジアラビア・キングサウド大学医学部のRabih Halwani氏らが初めて明らかにした。PLoS one誌2014年12月10日号の掲載報告。 IL-17は組織炎症の調節に重要とされる炎症誘発性メディエーターだが、それは他の炎症性疾患だけではなく、喘息やCOPDでも同様である。そして、IL-17の発現レベルは、喘息患者の肺気管支組織でアップレギュレートされることが明らかにされている。 いくつかの研究により、IL-17が、喘息やCOPD患者の気管支肺組織の構造細胞だけではなく、炎症細胞の遊走を増強させることが報告されている。その他の報告では、腸疾患や喘息、COPDといった炎症性疾患で、B細胞が炎症部位へ浸潤することが明らかになっている。そこで著者らは本研究で、喘息では、IL-17がプライマリーB細胞を遊走させる効果を発揮するかもしれないという仮説をたてた。 主な結果は以下のとおり。・健常被験者と比較して、喘息患者のB細胞では、IL-17RAとIL-17RCの発現量が有意に多かった。・in vitroでB細胞の遊走を分析したところ、IL-17AとIL-17Fの両方に向かって遊走することが明らかになった。・抗IL-17R抗体または、MAP(分裂促進因子活性化タンパク質)キナーゼ阻害剤を使用し、IL-17AとIL-17Fのシグナリングを阻害することで、B細胞のIL-17への遊走が阻害された。 本研究の結果、喘息性のB細胞の中でも、より高い影響のあるプライマリー末梢血B細胞では、IL-17が直接的に遊走させる効果があることが示唆された。これらの知見により、喘息やCOPDでは、肺組織へのB細胞遊走が増強する際に、IL-17が重要な役割を果たすことが明らかとなった。

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白斑、円形脱毛症とアトピー性皮膚炎は有意に関連

 米国・ノースウェスタン大学のGirish C. Mohan氏らは、観察研究のメタ解析を行い、白斑または円形脱毛症(AA)を有する患者において、アトピー性皮膚炎リスクが高いという所見に関して矛盾が認められるかを検討した。結果、同所見について一貫した有意な関連がみられ、とくに白斑は早期発症(12歳未満)の患者で、AAについては全頭型・全身性のほうが関連が強いことが明らかになったという。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年12月3日号の掲載報告。 検討は、観察研究をメタ解析し、白斑またはAAを有する患者と、これらの疾患がない患者について、アトピー性皮膚炎の有病率を比較することを目的とした。1946年~2014年4月5日の間に発表された論文について、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Library、Google Scholarと、また12誌については手動で検索。論文の言語は問わず、上記の有病率の比較を行っている観察研究を適格とした。 2名の研究者がそれぞれデータ抽出を行い、エビデンスの質をNewcastle-Ottawa Scale and Methodological Evaluation of Observational Researchチェックリストを用いて評価した。メタ解析は固定エフェクトモデルを用いて推定プールオッズ比(OR)を算出。サブセット解析は、小児発症vs.成人発症、全頭型または全身性vs.斑状型脱毛にて行われた。 主要評価項目は、自己申告および/または医師の診断によるアトピー性皮膚炎、白斑、AAであった。 主な結果は以下のとおり。・検索により、16試験(白斑)、17試験(AA)が解析に組み込まれた。プール解析には、白斑を有さない患者(2例)、AAを有さない患者(3例)が含まれていた。・結果、白斑患者(Cochran-Mantel-HaenszelによるOR:7.82、95%信頼区間[CI]:3.06~20.00、p<0.001)、AA患者(同:2.57、2.25~2.94、p<0.001)は、それぞれの疾患を有さない患者と比べて、いずれも有意にアトピー性皮膚炎リスクが高かった。・3試験のプール解析から、白斑は早期発症(12歳未満)のほうが、リスクが高いことが示された(OR:3.54、95%CI:2.24~5.63、p<0.001)。・4試験のプール解析から、AAは全頭型または全身性のほうが、リスクが高いことが示された(同:1.22、1.01~1.48、p=0.04)。

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