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長話 さっさと切り上げ 茶を1杯【Dr. 中島の 新・徒然草】(057)

五十七の段 長話 さっさと切り上げ 茶を1杯私は毎週日曜日の夕方に近所の小さなクリーニング屋に行くことにしています。出来上がった洗濯物を回収するためです。というのは、予め約束していた日時に出来上がりを回収すると10%割引券をくれるからです。洗濯物の引き取りはついつい後回しになりがちですが、このシステムだと律儀に店に向かうことになります。全くよくできたシステムですが、こうでもしなくては、小さなクリーニング店は引き取りの遅れた洗濯物ですぐにスペースが一杯になってしまうことでしょう。このシステムの良いところは、約束を守ったら10%割引で「得をする」ということです。約束を破ったらペナルティーというシステムに比べると、人々が喜んで約束を守ってくれそうです。ワイシャツ1枚のクリーニング代がせいぜい200円程度ですから、10%割引といってもたったの20円。それでも時間に遅れて割引券を貰えなかったりすると、すごく損をした気分になります。でも単に「得しなかった」というだけのことなので、クリーニング店に文句を言う人は見たことがありません。逆にワイシャツ1枚180円、時間に遅れたら20円罰金などというルールだと、お客さんの方は不平不満だらけになることでしょう。おそらく人は「約束を守らなかったら損をする」というルールの下では、なかなか約束を守らないのではないかと思います。ところが「約束を守ったら得をする」というルールだったら、一生懸命約束を守ろうとしてくれます。さて、このようなシステムを我々の医療業界にも応用できないでしょうか?すぐに思いつくのは外来患者さんの長話ですね。およそ医師にとって患者さんの長話ほどつらいものはありません。よく「3時間待ちの3分診療」と揶揄されますが、話を聞かされるこちらの立場にもなってほしいものです。中には30分以上しゃべり続ける患者さんもおられますが、高齢の患者さんにとって外来担当医など良い話し相手に過ぎないのでしょう。いっそのこと再診料を10倍くらいに設定したいところですが、国の決めている診療報酬を我々が勝手に変えるわけにはいきません。そこで、10分以内に診療が終わった患者さんには「茶菓子券」を差し上げる、というのはどうでしょうか?たかがお茶・お菓子といえば、そのとおりですが、人間というのは自分だけ貰い損ねることには極めて敏感です。さっさと診察をすませてお茶を飲んで人がいる一方、ついつい長話をしたばかりに「茶菓子券」を貰えない、となると悲しいですね。診察が9分経過するとキッチンタイマーかピピピピピと鳴り始めるようにしたら、皆さんどんどん話を切り上げてくれるのではないかと思います。患者さんの長話に困っている先生方。ぜひ、どなたか試してみてください。最後に1句長話 さっさと切り上げ 茶を1杯

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腰椎穿刺によるクモ膜下出血の除外基準/BMJ

 急性非外傷性頭痛の患者について腰椎穿刺を実施し、その結果、赤血球数が2,000×106/L未満で脳脊髄液の黄変化が認められない場合には、動脈瘤性クモ膜下出血を除外できることが明らかにされた。カナダ・オタワ大学のJeffrey J Perry氏らが、同国内12ヵ所の救急部門を訪れた急性非外傷性頭痛の患者1,739例について行った、前向きコホート試験の結果、明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年2月18日号掲載の報告より。主要評価項目は、要介入または致死の動脈瘤性クモ膜下出血 研究グループは、2000年11月~2009年12月にかけて、急性非外傷性頭痛でカナダの大学病院の救急部門を訪れ、クモ膜下出血の疑いで腰椎穿刺を受けた15歳以上の患者1,739例について、前向きコホート試験を行った。 主要評価項目は、介入を要する、または死に至った動脈瘤性クモ膜下出血だった。動脈瘤性クモ膜下出血は被験者の0.9% 結果、最終管の赤血球数が1×106/L超、または脳脊髄液の黄変化が1管以上で、脳脊髄液異常が認められたのは、641例(36.9%)だった。同異常が認められた被験者の平均年齢は45.1歳、正常だった被験者の平均年齢は41.6歳だった。 腰椎穿刺で異常が認められ動脈瘤性クモ膜下出血と診断されたのは被験者全体のうち15人(0.9%)であった。 赤血球数が2000×106/L未満で、脳脊髄液の黄変化が認められない場合では、動脈瘤性クモ膜下出血の除外診断の感度は100%(95%信頼区間:74.7~100%)、特異度は91.2%(同:88.6~93.3%)だった。

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今すぐやめられない喫煙者にもバレニクリン有効/JAMA

 1ヵ月以内にすぐにとはいかないが、3ヵ月以内に減煙・禁煙をしたいという意思のある喫煙者に対し、バレニクリン(商品名:チャンピックス)を24週間投与することで、長期の禁煙効果があることが示された。禁煙率は治療終了時、および1年後も介入群で有意に高率であった。米国・メイヨークリニックのJon O. Ebbert氏らが、1,510例の喫煙者を対象に行った多施設共同無作為化プラセボ対照試験の結果、報告した。JAMA誌2015年2月17日号で発表した。8週までに75%以上の減煙、12週までに禁煙を目標 研究グループは2011年7月~2013年7月にかけて、10ヵ国、61ヵ所の医療センターを通じ、1ヵ月以内の禁煙の意思はないが、3ヵ月以内の減煙・禁煙の意思のある1,510例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方にはバレニクリン(1mg、1日2回投与)を24週間、もう一方の群にはプラセボを投与した。目標は、4週までに50%以上、8週までに75%以上の減煙、12週までに禁煙とした。21~52週の禁煙率、バレニクリン群で17.1%高率 結果、15~24週の禁煙率はプラセボ群が6.9%に対しバレニクリン群が32.1%(リスク差[RD]:25.2%[95%信頼区間:21.4~29.0]、相対リスク[RR]:4.6 [3.5~6.1])と、有意に高率だった。 また、21~24週にかけても、プラセボ群とバレニクリン群の禁煙率は、それぞれ12.5%と37.8%(RD:25.2%[21.1~29.4]、RR:3.0 [2.4~3.7])、21~52週ではそれぞれ9.9%と27.0%(同17.1%[13.3~20.9]、2.7 [2.1~3.5])だった。 なお、重篤な有害事象の発生率は、プラセボ群が2.2%、バレニクリン群3.7%であり、有意差はみられなかった(p=0.07)。 今回の結果を踏まえて著者は、「バレニクリンは、臨床ガイドライン非対象のすぐにやめる意思がない禁煙希望者にとって治療オプションとなる」とまとめている。

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吸収性局所止血材、膝関節全置換術後リスクを低下

 人工膝関節全置換術(TKA)において、術後出血は重大な合併症の原因となり輸血を要することもある。米国・St. Francis Memorial HospitalのJohn H. Velyvis氏は、ヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血材の使用がTKA術後ドレーン排液量および輸血予測確率を低下させることを報告した。結果について著者は「今後、多施設無作為化試験などさらなる研究が必要である」とまとめている。Orthopedics誌2015年2月号の掲載報告。 検討は、初回TKAを受ける連続症例を前向きに登録し、74例にヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血材(商品名:フロシール)5mLを用いた。さらに83例に10mLを用いて評価した。 フロシール群の登録に先立ち、対照群としてフロシールを使用しなかったTKA施行連続100例のデータを診療記録より抽出した。 なお、全例、手術の翌日から血栓予防としてワルファリンが投与された。 主な結果は以下のとおり。・術後ドレーン排液量は、フロシール5mL群236.9mL、10mL群120.5mLで、どちらも対照群(430.8mL)より有意に少なかった(ともにp<0.0001)。・また、フロシール5mL群と比較するとフロシール10mL群が有意に低値であった(p<0.0001)。・輸血予測確率は、フロシール5mL群と対照群とで差はなかったが(6.0% vs 7.6%、p=0.650)、フロシール10mL群は対照群より有意に低率であった(0.5% vs 5.5%、p=0.004)。・フロシール10mL群のうちフロシールの使用が止血帯解除前であった群と解除後であった群のどちらも、対照群との間で排液量ならびに輸血予測確率が有意に低かった。・使用された麻酔の種類は、転帰に影響を及ぼさなかった。・フロシール使用に関連した有害事象は認められなかった。

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統合失調症のカフェイン依存、喫煙との関連に注意

 スペイン・Gallegan Health SystemのManuel Arrojo-Romero氏らは、長期間にわたる精神科病院でのカフェイン消費について調べた。結果、統合失調症とカフェイン使用との明らかな関連性は、その大半を喫煙で説明しうることが明らかになったと報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年2月20日号の掲載報告。 検討は、統合失調症とカフェイン使用についてより深く探索するため、すでに発表されているスペインの試験(統合失調症外来患者250例と一般集団290例)と、同じくスペインの長期入院患者試験(同一病院から統合失調症145例、その他の重度精神疾患64例)の対象を統合して行われた。とくに、喫煙などの交絡因子で調整後、統合失調症とカフェインの関連が、統合失調症患者全体で一貫して見られるのか、および異なるカフェイン使用の定義においてはどうかを明確にすることを目的とした。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症入院患者におけるカフェイン使用者の割合は、非統合失調症入院患者と比較して有意に高いとはいえなかった(77%[111/145例] vs. 75%[48/64例])。また、対照と比べても高くなかったが、統合失調症外来患者より有意に高かった。・統合失調症入院患者のカフェイン使用者のうち使用頻度が高い人の割合は、非統合失調症入院患者と比較して有意に高いとはいえなかった(45%[50/111例] vs. 52%[25/48例])。また、対照と比べても高くはなかったが、統合失調症外来患者より有意に低かった。・喫煙は、全対象および定義にわたってカフェイン使用と有意に関連していた。・カフェイン中毒(喫煙者で700mg/日超)は、統合失調症入院患者、同外来患者、非統合失調症入院患者で2~3%であった。・また、これらカフェイン中毒の喫煙患者の何人かは、他の誘導物質(とくにオメプラゾール)も摂取していた。・統合失調症とカフェイン使用との間に一貫した関連がみられなかったことは、全解析群(使用者および高使用者)および全対象において喫煙とカフェイン使用との関連が非常に一貫していたことと比較すると驚くべきことであった。・統合失調症とカフェイン使用の明白な関連は、喫煙の交絡的な影響により説明することができる。関連医療ニュース 統合失調症患者の過度なカフェイン摂取、どう対処すべき 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか 認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認  担当者へのご意見箱はこちら

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成人の季節性インフルエンザに対するオセルタミビルの効果:ランダム化比較試験のメタ解析(解説:吉田 敦 氏)-319

 ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルは、現在世界で最も使用されている抗インフルエンザ薬であり、パンデミックに対する備えとしてもその位置付けは大きい。その効果についてはこれまで多くの臨床試験と経験が蓄積されてきたが、今回あらためてランダム化比較試験のメタ解析が行われ、成人例におけるオセルタミビルの効果と副作用が検証された。Lancet誌オンライン版2015年1月30日号の発表。用いられたランダム化比較試験 対象として解析されたのは、成人に75mg 1日2回投与を行ったランダム化プラセボ対照二重盲検試験であり、これまで論文として発表された、あるいはロシュ社がスポンサーになって施行された未発表のものを含む。インフルエンザ様症状を訴えて来院した例についてランダム化して投与を行い、一部ではその後ウイルス分離あるいは抗体検査を行い、その結果によってインフルエンザウイルス感染症の証拠を得た(Intention-to-treat infected population)。すべての症状が消失するまでの時間をアウトカムとし、投与により短縮された時間を解析した。同時に、合併症・副作用の内容と出現頻度、入院数を比較した。9試験の集計結果 合計して4,328例が解析可能であった。上記の検査で、インフルエンザウイルスの感染が判明した集団(Intention-to-treat infected population)に絞った解析では、プラセボ群に比べ、オセルタミビル群は解熱までの期間が21%短かった(時間比0.79、95%CI:0.74~0.85、p<0.0001)。中央値で比較しても、プラセボ群122.7時間に対し、オセルタミビル群97.5時間であった。一方、検査の有無にかかわらず、インフルエンザ様症状を訴えた患者全体(Intention-to-treat population)を対象として解析すると、その効果はやや弱くなったが、それでも17.8時間の違いがみられた。合併症と副作用に及ぼす影響 Intention-to-treat infected populationでの解析では、抗菌薬の使用が必要となる下気道感染合併症を来した例は、やはりオセルタミビル群で少なく(リスク比0.56、95%CI:0.42~0.75、p=0.0001、オセルタミビル群4.9%、プラセボ群8.7%)、入院が必要となる例も少なかった(リスク比0.37、95%CI:0.17~0.81、p=0.013、オセルタミビル群0.6%、プラセボ群1.7%)。安全性については、オセルタミビル群で嘔気(リスク比1.60、95%CI:1.29~1.99、p<0.0001、オセルタミビル群9.9%、プラセボ群6.2%)と、嘔吐(リスク比2.43、95%CI:1.83~3.23、p<0.0001、オセルタミビル群8.0%、プラセボ群3.3%)が増加したが、精神神経疾患としての影響は見られず、重篤な副作用も認められなかった。オセルタミビルの位置付けと今後 今回のメタ解析では、オセルタミビルによる症状消失までの時間が約1日短くなること、下気道感染合併例・入院例が少なくなること、嘔気と嘔吐が増えたことが確認された。この結果はこれまでの観察研究や経験とおおよそ合致しており、わが国では比較的納得しやすい結果であろう。なお、メタ解析の基になった解析の中で、標本数の少ない解析についてはとくに、オセルタミビル群で差が出た解析に偏って報告されているバイアスは否定できない。しかし、これらの解析の重み付けは少なくなっている。 一方で著者らは、本研究の限界として、元々の解析では呼吸器感染症の合併をアウトカムに設定しておらず、特異的な診断法がなく診断されていること、入院例・肺炎例共に数が少ないことを挙げている。また、予防投与で用いられるような、長期投与での安全性・利便性についても、データを示していない。 オセルタミビルを含む抗インフルエンザ薬について、今後もさまざまな角度から検討がなされ、より厳密な情報が得られることに期待したい。登場してから10年余りでここまで広く使用されているが、それ以前と比べて何がよくなったのか、常に考えるべきではないだろうか。

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アナフィラキシーの治療の実際

アナフィラキシーの診断 詳細は別項に譲る。皮膚症状がない、あるいは軽い場合が最大20%ある。 治療(表1)発症初期には、進行の速さや最終的な重症度の予測が困難である。数分で死に至ることもあるので、過小評価は禁物。 ※筆者の私見適応からは、呼吸症状に吸入を先に行う場合があると読めるが、筆者は呼吸症状が軽症でもアナフィラキシーであればアドレナリン筋注が第1選択と考える。また、適応に「心停止」が含まれているが、心停止にはアドレナリン筋注は効果がないとの報告9)から、心停止の場合は静注と考える。表1を拡大する【姿勢】ベッド上安静とし、嘔吐を催さない範囲で頭位を下げ、下肢を挙上して血液還流を促進し、患者の保温に努める。アナフィラキシーショックは、distributive shockなので、下肢の挙上は効果あるはず1)。しかし、下肢拳上を有効とするエビデンスは今のところない。有害ではないので、薬剤投与の前に行ってもよい。【アドレナリン筋肉注射】気管支拡張、粘膜浮腫改善、昇圧作用などの効果があるが、cAMPを増やして肥満細胞から化学物質が出てくるのを抑える作用(脱顆粒抑制作用)が最も大事である。α1、β1、β2作用をもつアドレナリンが速効性かつ理論的第1選択薬である2)。緊急度・重症度に応じて筋注、静注を行う。血流の大きい臀部か大腿外側が薦められる3)。最高血中濃度は、皮下注で34±14分、筋注で8±2分と報告されており、皮下注では遅い4)。16~35%で2回目の投与が必要となる。1mLツベルクリンシリンジを使うと針が短く皮下注になる。1)アドレナリン1回0.3~0.5mg筋注、5~30分間隔 [厚生労働省平成20年(2008)5)]2)アドレナリン1回0.3~0.5mg筋注、5~15分間隔 [UpToDate6)]3)アドレナリン1回0.01mg/kg筋注 [日本アレルギー学会20141)]4)アドレナリン1回0.2~0.5mgを皮下注あるいは筋注 [日本化学療法学会20047)]5)アドレナリン(1mg)を生理食塩水で10倍希釈(0.1mg/mL)、1回0.25mg、5~15分間隔で静注 [日本化学療法学会20047)]6)アドレナリン持続静脈投与5~15µg/分 [AHA心肺蘇生ガイドライン20109)]わが国では、まだガイドラインによってはアドレナリン投与が第1選択薬になっていないものもあり(図1、図2)、今後の改訂が望まれる。 ※必ずしもアドレナリンが第1選択になっていない。 図1を拡大する ※皮膚症状+腹部症状のみでは、アドレナリンが第1選択になっていない。図2を拡大する【酸素】気道開通を評価する。酸素投与を行い、必要な場合は気管挿管を施行し人工呼吸を行う。酸素はリザーバー付マスクで10L/分で開始する。アナフィラキシーショックでは原因物質の使用中止を忘れない。【輸液】hypovolemic shockに対して、生理食塩水か、リンゲル液を開始する。1~2Lの急速輸液が必要である。維持輸液(ソリタ-T3®)は血管に残らないので適さない。【抗ヒスタミン薬、H1ブロッカー】経静脈、筋注で投与するが即効性は望めない。H1受容体に対しヒスタミンと競合的に拮抗する。皮膚の蕁麻疹には効果が大きいが、気管支喘息や消化器症状には効果は少ない。第1世代H1ブロッカーのジフェンヒドラミン(ベナスミン®、レスタミン®)クロルフェニラミンマレイン酸塩(ポララミン®)5mgを静注し、必要に応じて6時間おきに繰り返す。1)マレイン酸クロルフェニラミン(ポララミン®)2.5~5mg静注 [日本化学療法学会20047)]2)ジフェンヒドラミン(ベナスミン®、レスタミン®)25~50mg緩徐静注 [AHA心肺蘇生ガイドライン20109)] 保険適用外3)ジフェンヒドラミン(ベナスミン®、レスタミン®)25~50mg静注 [UpToDate6)]4)経口では第2世代のセチリジン(ジルテック®)10mgが第1世代より鎮静作用が小さく推奨されている [UpToDate6)] 経口の場合、効果発現まで40~60分【H2ブロッカー】心収縮力増強や抗不整脈作用がある。蕁麻疹に対するH1ブロッカーに相乗効果が期待できるがエビデンスはなし。本邦のガイドラインには記載がない。保険適用外に注意。1)シメチジン(タガメット®)300mg経口、静注、筋注 [AHA心肺蘇生ガイドライン9)] シメチジンの急速静注は低血圧を引き起こす [UpToDate6)]2)ラニチジン(ザンタック®)50mgを5%と糖液20mLに溶解して5分以上かけて静注 [UpToDate6)]【βアドレナリン作動薬吸入】気管支攣縮が主症状なら、喘息に用いる吸入薬を使ってもよい。改善が乏しい時は繰り返しての吸入ではなくアドレナリン筋注を優先する。気管支拡張薬は声門浮腫や血圧低下には効果なし。1)サルブタモール吸入0.3mL [日本アレルギー学会20141)、UpToDate6)]【ステロイド】速効性はないとされてきたが、ステロイドのnon-genomic effectには即時作用がある可能性がある。重症例ではアドレナリン投与後に、速やかに投与することが勧められる。ステロイドにはケミカルメディエーター合成・遊離抑制などの作用により症状遷延化と遅発性反応を抑制することができると考えられてきた。残念ながら最近の研究では、遅発性反応抑制効果は認められていない10)。しかしながら、遅発性反応抑制効果が完全に否定されているわけではない。投与量の漸減は不要で1~2日で止めていい。ただし、ステロイド自体が、アナフィラキシーの誘因になることもある(表2)。とくに急速静注はアスピリン喘息の激烈な発作を生じやすい。アスピリン喘息のリスクファクターは、成人発症の気管支喘息、女性(男性:女性=2:3~4)、副鼻腔炎や鼻茸の合併、入院や受診を繰り返す重症喘息、臭覚低下。1)メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール®)1~2mg/kg/日 [UpToDate6)]2)ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(ソル・コーテフ®)100~200mg、1日4回、点滴静注 [日本化学療法学会20047)]3)ベタメタゾン(リンデロン®)2~4mg、1日1~4回、点滴静注11) 表2を拡大する【グルカゴン】βブロッカーの過量投与や、低血糖緊急時に使われてきた。グルカゴンは交感神経を介さずにcAMPを増やしてアナフィラキシーに対抗する力を持つ。βブロッカーを内服している患者では、アドレナリンの効果が期待できないことがある。まずアドレナリンを使用して、無効の時にグルカゴン1~2mgを併用で静注する12)。β受容体を介さない作用を期待する。グルカゴン単独投与では、低血圧が進行することがあるので注意。アドレナリンと輸液投与を併用する。急速静注で嘔吐するので体位を側臥位にして気道を保つ。保険適用なし。1)グルカゴン1~5mg、5分以上かけて静注 [UpToDate6)]【強力ミノファーゲンC】蕁麻疹単独には保険適用があるがアナフィラキシーには効果なし。観察 いったん症状が改善した後で、1~8時間後に、再燃する遅発性反応患者が4.5~23%存在する。24時間経過するまで観察することが望ましい。治療は急いでも退室は急ぐべきではない13)。 気管挿管 上記の治療の間に、嗄声、舌浮腫、後咽頭腫脹が出現してくる患者では、よく準備して待機的に挿管する。呼吸機能が悪化した場合は、覚醒下あるいは軽い鎮静下で挿管する。気道異物窒息とは違い準備する時間は取れる。 筋弛緩剤の使用は危険である。気管挿管が失敗したときに患者は無呼吸となり、喉頭浮腫と顔面浮腫のためバッグバルブマスク換気さえ不能になる。 気管挿管のタイミングが遅れると、患者は低酸素血症の結果、興奮状態となり酸素マスク投与に非協力的となる。 無声、強度の喉頭浮腫、著明な口唇浮腫、顔面と頸部の腫脹が生じると気管挿管の難易度は高い。喉頭展開し、喉頭を突っつくと出血と浮腫が増強する。輪状甲状靭帯穿刺と輪状甲状靭帯切開を含む、高度な気道確保戦略が必要となる9)。さらに、頸部腫脹で輪状軟骨の解剖学的位置がわからなくなり、喉頭も皮膚から深くなり、充血で出血しやすくなるので輪状甲状靭帯切開も簡単ではない。 絶望的な状況では、筆者は次の気道テクニックのいずれかで切り抜ける。米国麻酔学会の困難気道管理ガイドライン2013でも、ほぼ同様に書かれている(図3)14)。 1)ラリンゲアルマスク2)まず14G針による輪状甲状靭帯穿刺、それから輪状甲状靭帯切開3)ビデオ喉頭鏡による気管挿管 図3を拡大する心肺蘇生アナフィラキシーの心停止に対する合理的な処置についてのデータはない。推奨策は非致死的な症例の経験に基づいたものである。気管挿管、輪状甲状靭帯切開あるいは上記気道テクニックで気道閉塞を改善する。アナフィラキシーによる心停止の一番の原因は窒息だからだ。急速輸液を開始する。一般的には2~4Lのリンゲル液を投与すべきである。大量アドレナリン静注をためらうことなく、すべての心停止に用いる。たとえば1~3mg投与の3分後に3~5mg、その後4~10mg/分。ただしエビデンスはない。バソプレシン投与で蘇生成功例がある。心肺バイパス術で救命成功例が報告されている9)。妊婦対応妊婦へのデキサメタゾン(デカドロン®)投与は胎盤移行性が高いので控える。口蓋裂の報告がある15)。結語アナフィラキシーを早期に認識する。治療はアドレナリンを筋注することが第一歩。急速輸液と酸素投与を開始する。嗄声があれば、呼吸不全になる前に準備して気管挿管を考える。 1) 日本アレルギー学会監修.Anaphylaxis対策特別委員会編.アナフィラキシーガイドライン. 日本アレルギー学会;2014. 2) Pumphrey RS. Clin Exp Allergy. 2000; 30: 1144-1150. 3) Hughes G ,et al. BMJ.1999; 319: 1-2. 4) Sampson HA, et al. J Allergy Clin Immunol. 2006; 117: 391-397. 5) 厚生労働省.重篤副作用疾患別対応マニュアルアナフィラキシー.平成20年3月.厚生労働省(参照2015.2.9) 6) F Estelle R Simons, MD, FRCPC, et al. Anaphylaxis: Rapid recognition and treatment. In:Uptodate. Bruce S Bochner, MD(Ed). UpToDate, Waltham, MA.(Accessed on February 9, 2015) 7) 日本化学療法学会臨床試験委員会皮内反応検討特別部会.抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン(2004年版).日本化学療法学会(参照2015.2.9) 8) 日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会.第9章治療.In:食物アレルギー診療ガイドライン2012.日本小児アレルギー学会(参照2015.2.9) 9) アメリカ心臓協会.第12章 第2節 アナフィラキシーに関連した心停止.In:心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン2010(American Heart Association Guidelines for CPR & ECC). AHA; 2010. S849-S851. 10) Choo KJ, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2012; 4: CD007596. 11) 陶山恭博ほか. レジデントノート. 2011; 13: 1536-1542. 12) Thomas M, et al. Emerg Med J. 2005; 22: 272-273. 13) Rohacek M, et al. Allergy 2014; 69: 791-797. 14) 駒沢伸康ほか.日臨麻会誌.2013; 33: 846-871. 15) Park-Wyllie L, et al. Teratology. 2000; 62: 385-392.

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「朝食多め・夕食軽く」が糖尿病患者に有益

 イスラエル・テルアビブ大学のDaniela Jakubowics氏らは、2型糖尿病患者において、朝食が高エネルギーで夕食は低エネルギーの食事(B食)が、夕食が高エネルギーで朝食は低エネルギーの食事(D食)と比べ、インクレチンとインスリンの増加によって食後高血糖を抑えるかどうかを、オープンラベル無作為化クロスオーバー試験により検討した。その結果、総エネルギーが同じであっても朝食で高エネルギーを摂取するほうが、1日の総食後高血糖が有意に低下することが認められた。著者らは「このような食事の調節が、最適な代謝コントロール達成において治療上有効と考えられ、2型糖尿病における心血管などの合併症を予防する可能性がある」とまとめている。Diabetologia誌オンライン版2015年2月24日号に掲載。 本研究では、罹患歴10年未満でメトホルミン投与や食事療法(両方もしくはどちらか)を受けている、BMI 22~35の30~70歳の2型糖尿病患者18例(男性8例、女性10例)を対象とした。7日間のB食もしくはD食に無作為に割り付け、7日目の毎食後、血糖、インスリン、Cペプチド、intact GLP-1(iGLP-1)、総GLP-1(tGLP-1)を測定した。2週間のwashout期間後にもう一方の食事にクロスオーバーした。B食:朝食2,946kJ(約700kcal)・昼食2,523kJ(約600kcal)・夕食858kJ(約200kcal)D食:朝食858kJ(約200kcal)・昼食2,523kJ(約600kcal)・夕食2,946kJ(約700kcal) 主な結果は以下のとおり。・22例が無作為化され、うち18例が解析された。・B食ではD食に比べて、24時間の血糖AUC(曲線下面積)は20%低かったが、インスリンAUC、CペプチドAUC、tGLP-1 AUCは20%高かった。・食後3時間の血糖AUCとその最高血糖値は、B食ではD食に比べてどちらも24%低かったが、インスリンAUCは11%高かった。また、tGLP-1 AUCは30%高く、iGLP-1 AUCは16%高かった。・どちらの食事も昼食は同じエネルギーにもかかわらず、昼食後の3時間AUCは、B食ではD食に比べ、血糖が21%低く、インスリンが23%高かった。

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抗精神病薬の切り替えエビデンス、どう評価すべきか

 統合失調症や双極性障害に対する抗精神病薬治療では、効果不十分や持続的な副作用が問題となることが少なくない。そのため、忍容性を改善し安全な長期治療を行う目的で、副作用プロファイルが異なる他の薬剤への切り替えが推奨されている。非定型抗精神病薬のアリピプラゾールは、統合失調症および双極性障害に対する有効性が証明されており、他の非定型抗精神病薬とは異なる薬理学的ならびに副作用プロファイルを持つ。そこで、イタリア・シエナ大学のAndrea Fagiolini氏らイタリア精神科医委員会は、アリピプラゾールへの切り替えに関する現在の戦略について討議し、専門家の意見をまとめた。Expert Opinion on Pharmacotherapy誌オンライン版2015年2月12日号の掲載報告。 委員会では、統合失調症または双極性障害の治療におけるアリピプラゾールへの切り替えについて詳細なガイダンスを提示する目的で、PubMedを用い「aripiprazole」および「switching」に関する文献を検索、それらの参考文献などについても検討し、討議した。 概要は以下のとおり。・抗精神病薬の切り替えに関する指針や、臨床的に望ましい治療目標を達成するための最良な戦略に関する研究はほとんどない。・抗精神病薬の切り替えに関する研究は、なぜ、いつ、どのように切り替えを実施すべきかを明らかにしなければならない。・研究結果は、抗精神病薬の切り替えの根拠を標準化し、切り替えの最適な時期ならびに最適な方法を評価しなければならない。・抗精神病薬の切り替えは、臨床的および薬理学的要因の両方が考慮されるべきであり、すべての要因に対応した特別なガイドラインが必要である。関連医療ニュース アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大 急性期統合失調症、2剤目は併用か 切り換えか:順天堂大学 統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学  担当者へのご意見箱はこちら

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フォンダパリヌクス、NSTEMIの日常診療に有効/JAMA

 フォンダパリヌクス(商品名:アリクストラ)は、非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)の日常診療において、低分子量ヘパリン(LMWH)に比べ院内および180日後の大出血イベントや死亡の抑制効果が優れることが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のKarolina Szummer氏らの検討で示された。フォンダパリヌクスは第Xa因子を選択的に阻害する抗凝固薬。同国では、欧州心臓病学会(ESC)と保健福祉庁が第1選択薬として本薬を推奨して以降、NSTEMIの日常診療においてLMWHからの転換が急速に進んだが、臨床試験以外の非選択的な患者集団における評価は行われていなかった。JAMA誌2015年2月17日号掲載の報告。日常診療での治療転帰を前向きコホート研究で比較 研究グループは、スウェーデンのNSTEMI患者においてフォンダパリヌクスとLMWHの治療転帰を比較するプロスペクティブな多施設共同コホート試験を実施した。 対象は、“Swedish Web-System for Enhancement and Development of Evidence- Based Care in Heart Disease Evaluated According to Recommended Therapies(SWEDEHEART)”と呼ばれる同国のレジストリから選出した。 2006年9月1日~2010年6月30日までに、入院中にフォンダパリヌクスまたはLMWHの投与を受けたNSTEMI患者4万616例のデータが収集された。最終フォローアップは2010年12月31日であった。 主要評価項目は、院内における重度出血イベントと死亡、30日および180日時の死亡、MIの再発、脳卒中、大出血イベントの発生とした。院内出血イベントが46%減少、腎機能低下例、PCI施行例でも同様 フォンダパリヌクス群が1万4,791例(36.4%)、LMWH群は2万5,825例(63.6%)であった。ベースラインの年齢中央値はフォンダパリヌクス群が2歳若かった(72 vs. 74歳)。女性がそれぞれ36.5%、37.6%で、糖尿病が25.4%、26.9%、高血圧が56.5%、55.3%、喫煙者が21.0%、20.0%含まれた。 また、フォンダパリヌクス群でMIの既往歴のある患者(28.2 vs. 32.2%)およびうっ血性心不全の診断歴のある患者(14.5 vs. 18.7%)が少なかったが、出血イベントや出血性脳卒中の既往歴は両群間に差はなかった。入院中のPCI施行率は、フォンダパリヌクス群のほうが高率であった(46.4 vs. 38.9%)。 治療開始後の院内出血イベント発生率は、フォンダパリヌクス群が1.1%(165例)と、LMWH群の1.8%(461例)に比べ有意に低かった(補正オッズ比[OR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.42~0.70)。また、院内死亡率は、それぞれ2.7%(394例)、4.0%(1,022例)であり、フォンダパリヌクス群で有意に良好であった(0.75、0.63~0.89)。 大出血イベントのORは、30日時(1.4 vs. 2.1%、OR:0.56、95%CI:0.44~0.70)と180日時(1.9 vs. 2.8%、0.60、0.50~0.74)で類似し、死亡率のORも30日(4.2 vs. 5.8%、0.82、0.71~0.95)と180日(8.3 vs. 11.8%、0.76、0.68~0.85)でほぼ同等であり、いずれもフォンダパリヌクス群で有意に良好であった。 再発MIのORは、30日時(9.0 vs. 9.5%、OR:0.94、95%CI:0.84~1.06)と180日時(14.2 vs. 15.8%、0.97、0.89~1.06)のいずれにおいても両群間に差はなく、脳卒中のORも30日(0.5 vs. 0.6%、1.11、0.74~1.65)と180日(1.7 vs. 2.0%、0.98、0.79~1.22)の双方で両群間に差を認めなかった。 著者は、「腎機能が低下した患者でも、フォンダパリヌクス群のLMWH群に対する出血のオッズが低く、試験全体の結果と一致していた。PCI施行例でも同様の傾向がみられ、フォンダパリヌクス群の出血のオッズが低かったが有意差はなかった」としている。

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うつ病治療の休職期間、日本は平均79日間

 うつ病治療が必要になったら休職すべきか。あるいは職場のサポート制度を活用しながら働き続けるべきか―。 ルンドベック社(本社:デンマーク・コペンハーゲン)が、このたび取りまとめた「職場でのうつ病の影響調査」によると、日本では就労者の10人に1人がうつ病と診断されており、そのうち73%がうつ病による休職経験があることがわかった。平均休職日数は79日に及び、約半数が5日未満だった米国と比べると10倍以上で、調査国の中でも休職日数の長さは群を抜いていた。 また、管理職層に限定して、うつ病になった従業員に対してどのようなサポートが可能かという項目については、「会社としては正式なサポートを行っていない」との回答が31%に上った。さらに、会社が実施しているサポート制度について、とても良い・良い・どちらでもない・悪い・とても悪い・わからない、の5段階で評価する項目については、好意的な評価(とても良い・良い)にした日本人の割合は21%で、調査国の中で最低だった。 さらに、うつ病の同僚がいると知って「自分に何か役に立てることはないかと尋ねた」人の割合は16%で、英国(53%)、米国(48%)などと比べるとかなり低い数値に留まった。一方、「何もしない」人の割合は40%で、調査国の中でも最高値。続く米国やカナダ(共に20%)、ドイツ(18%)などと比べても倍以上の差がついている。こうした結果から、うつ病治療に対する職場のサポート体制が十分に整わず、休職を選択する人が多い日本の現状が浮き彫りになった。 それに対して、休職者の割合が低い国(トルコ、メキシコ、ブラジルなど)では、会社のサポート体制に対する好意的な評価の割合がおおむね高くなっており(同72%、68%、65%)、これらの国では、働きながら治療を進める人が多いことがうかがえる。 慶應義塾大学が2011年に取りまとめた調査によると、2008年の日本のうつ病性障害の疾病費用は3兆901億円と推定され、このうち2兆円超が就業者の生産性低下による損失と、非就業による損失とされている。 今回の調査結果について、日本版の監修を務めた国際医療福祉大学 医療福祉学部の上島国利教授は、「2015年中に労働安全衛生法の一部を改正する法律が施行され、企業のストレスチェック導入義務化に注目が集まっているが、うつ病に関しては、予防から発症後の職場復帰への対応まで、包括的なメンタルヘルス対策を充実させることが求められている」とコメントしている。 この調査は、ルンドベック社が昨年2月、世界16ヵ国で、就労している(または過去12ヵ月間に働いていた)16歳~64歳の男女、約1万6,000人を対象に行った。このうち、日本の回答者数は1,000人。

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REACT試験:ロフルミラストが使用できるようになったら、痩せ型のCOPD患者には注意が必要(解説:倉原 優 氏)-318

 ロフルミラストは、COPDに対して効果が期待されている経口ホスホジエステラーゼ-4阻害薬である。標準治療を施行しても増悪のリスクが高いCOPD患者に対する効果はわかっていない。 なお、コクランレビューにおいて、ホスホジエステラーゼ-4阻害薬は、COPD患者に対する呼吸機能の改善と急性増悪の減少をもたらすとされているが、実臨床における症状やQOL改善の度合いとしては乏しいものと考えられている1)。また、過去の研究では消化器系の副作用が懸念されており、とくに下痢による体重減少は日本のCOPDを診療している医師にとってゆゆしき事態である。というのも、多くのCOPD患者が痩せ型の体型だからだ。 今回のREACT試験は、重症COPDに対するロフルミラストの効果を検証した、多施設共同プラセボ対照ランダム化比較試験である。重症COPDと銘打っていることもあって、適格患者は過去1年間に2回以上の急性増悪を経験し、なおかつ吸入ステロイド薬(ICS)と、長時間作用性β2刺激薬(LABA)を併用している患者とした。上記2吸入薬以外にも、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の使用も許可された(個人的には、臨床においてICSを吸入しているCOPD患者の中には、相当数のトリプル吸入[ICS/LABA/LAMA]を行っている患者が存在すると考える)。患者はランダムに、ロフルミラスト500μg、あるいはプラセボを1日1回投与する群に割り付けられた。 本研究のプライマリアウトカムである中等症以上の急性増悪の頻度は、ロフルミラスト群のほうが少なかったが、ポアソン回帰分析と負の二項回帰モデルを用いた感度分析の両方の結果が示されているものの、思ったほどインパクトは大きくない。COPD急性増悪による入院アウトカムについても、ロフルミラストが効果ありと書かれているようである(率比0.761、95%信頼区間0.604~0.960、p=0.0209)。また、1秒量と努力性肺活量に対しては、過去の報告と同様に効果があると報告された。COPDの研究でよく使用されるアウトカムである「急性増悪までの期間」については微妙な結果で、急性増悪の回数によってその統計学的有意差がまちまちであり、到底一貫性のある結果とはいい難い。 さて、懸念されていた下痢の副作用は、ロフルミラスト10%、プラセボ4%(差6.6%、95%信頼区間5.50~7.71%)という結果だった。体重減少や悪心についても、やはりロフルミラスト群のほうが多かった。もし、ロフルミラストが使用される日がくるならば、われわれ臨床医は下痢と体重減少に注意する必要があるだろう。 この論文を読んでいるうちに「実臨床にインパクトは大きくない」と感じたのは私だけではないだろう。おおむね、当該コクランレビューの結論に変化を与えないと考える。 確かに、重症COPDの患者に対する治療選択肢は少ない。高齢者の場合、テオフィリンが使いにくく、吸入コンプライアンスの維持も難しいことから効果的な経口治療薬が求められているのは事実である。ロフルミラストがその光となるとはまだいえないが、呼吸器内科で最もコモンなこの疾患に対して、副作用の少ない経口治療薬の選択肢が増えることを祈るばかりである。

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事例42 トリガーポイント注射手技料の査定【斬らレセプト】

解説事例では、左頸部圧痛点と右腰部圧痛点に麻酔薬の局部注射を行い、麻酔料の部のL104 トリガーポイント注射に該当するとして、手技料を各々に算定したところ、同注射手技料がD事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの: 社保)にて査定となった。薬剤料に対する査定は無かった。傷病名が異なり、同注射の施行場所が異なる場合は算定可能であろうと、医学的に必要としたことをコメントしていたが認められなかった。同注射料の算定留意事項には「(前略)施行した回数及び部位にかかわらず、1日につき1回算定できる」と明記されている。医学的に複数箇所への同注射を必要としていても、通知が優先され、「同注射手技料は診療実日数1日につき1回のみ認められる」として査定になったものである。複数箇所に施行された場合の薬剤料は、事例のように同注射ごとに記載することを原則とするが、同注射1日量をまとめて記載しても問題はない。ただし、1日量をまとめた場合には、薬剤量過剰と判断されないよう、複数箇所に施行したことがわかるコメントを記載したほうが良い。

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学会発表後になぜ論文化しない?

 米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院のRoberta W. Scherer氏らは、学会での発表内容を論文として公表しない理由について、学会抄録の著者に問い合わせて調査した報告の系統的レビューを行った。その結果、医学専門分野において論文化しない主な理由は、ジャーナルよりも著者に関連する因子にあることが示唆された。Journal of clinical epidemiology誌オンライン版2015年2月12日号に掲載。 生物医学系の学会発表について、その後の論文公表の有無と公表しない理由を調査した研究を、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Library、ISI Web of Science、研究の文献目録を基に系統的にレビューした。 主な結果は以下のとおり。・これらの情報を提示している27報のうち24報での平均論文公表率は55.9% (95%CI:54.8~56.9%)、また臨床試験に関する7報では73.0%(95%CI:71.2~74.7%)であった。・24報に論文化しない理由が1,831項目列挙され、6報に最も重要と考えられる理由が428項目列挙されていた。・「時間がない」が最も多い理由(加重平均:30.2%、95%CI:27.9~32.4%)で、かつ最も重要な理由(加重平均:38.4%、95%CI:33.7~43.2%)であった。・その他多かった理由は、「時間やリソース(両方もしくはどちらか)がない」「論文公表が目的ではない」「優先度が低い」「研究が不十分」「共著者とのトラブル」であった。

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セリアック病とグルテンフリー食実践者の関連に人種差?

 米国・メイヨークリニックのRok Seon Choung氏らは、米国・国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いた横断研究を行い、セリアック病の有病率や人種差といった特色などを調べた。その結果、1988年から2012年の間で同罹患患者は増加しており、白人でより顕著であることを明らかにした。また、グルテンフリー食を実践し続けている人の多くは黒人で、セリアック病と診断されてはいないことも明らかにした。American Journal of Gastroenterology誌オンライン版2015年2月10日の掲載報告。 研究グループは、1988~1994年、1999~2004年、2009~2012年の米国・全国健康栄養調査(NHANES)のデータを用い、一般成人集団(入院・入所者を除く)におけるセリアック病の有病率や、セリアック病有病者および非セリアック病でグルテンフリー食実践者の人種差について分析した。 NHANES参加者におけるセリアック病の有無については抗組織トランスグルタミナーゼIgAやIgA抗筋内膜抗体などの血清学的検査を行い、グルテンフリー食の実践に関してはインタビュアーによるアンケート調査で情報を得た。 主な結果は以下のとおり。・2009~2012年のNHANESにおいて、セリアック病の有病率は、非ヒスパニック系白人(1.0%)が非ヒスパニック系黒人(0.2%)およびヒスパニック系(0.3%)より有意に高かった(p<0.0001)。・一方、非セリアック病でグルテンフリー食実践者の割合は、黒人(1.2%)がヒスパニック系(0.5%)および白人(0.7%)より有意に高かった(p=0.01)。・50歳以上におけるセリアック病の血清陽性率は、1988~1994年の0.17%(95% CI;0.03~0.33)から、2009~2012年には0.44%(95% CI;0.24~0.81)に増加していた(p<0.05)。

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画像診断から統合失調症の理解を深める:高知大

 海馬のサブフィールドを特定する画像診断戦略は、統合失調症の症状と構造的異常を結び付けたり、疾患初期の進行について理解を深めるのに有益な情報を提供しうることが、明らかにされた。統合失調症における海馬容量の低下は、再現性に優れる知見である。また、新たな画像診断技術の開発により、海馬サブフィールド容量の描出が可能となり、被験者の大半が慢性期統合失調症患者であった試験において、疾患感受性や臨床的特性との関連がサブフィールド間で異なることが示されていた。そこで高知大学の河野 充彦氏らは、初回エピソード、亜慢性期および慢性期の統合失調症患者を対象に、多様な海馬サブフィールドの評価を画像診断戦略で行う断面および追跡研究を行った。PLos One誌2015年2月6日号の掲載報告。 検討は統合失調症患者34例と健康対照15例の海馬サブフィールド容量を測定して行われた。患者群の内訳は、初回エピソード患者19例、亜慢性期6例、慢性期9例であった。初回エピソード患者10例と健康対照12例が、6ヵ月後に再度の画像診断を受けた。 主な結果は以下のとおり。・左側海馬の総量は、健康対照との比較において、亜慢性期患者(p=0.04、効果サイズ1.12)、慢性期患者(p=0.009、効果サイズ1.42)で有意に低量であった。・慢性期患者のCA2-3サブフィールド量が、健康対照と比較して有意に低量であった(p=0.009、効果サイズ1.42)。・CA4-DG量は、健康対照と比較して3つの患者群すべてにおいて有意に低量であった(すべてのp<0.005)。・2つの影響を受けたサブフィールド量は、陰性症状の重症度と逆相関の関連が認められた(p<0.05)。・左側CA4-DG量は、疾患初期の6ヵ月間において、わずかだが統計的に有意な低下が認められた(p=0.01)。関連医療ニュース 統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか 遅発型統合失調症、脳の変化に違い:産業医大 レビー小体病を画像診断で層別解析  担当者へのご意見箱はこちら

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ロフルミラストは重度増悪リスクが高いCOPDに有効/Lancet

 ロフルミラスト(roflumilast、 国内未承認)は、吸入ステロイド薬+長時間作用型β2遮断薬にチオトロピウムを併用しても高頻度の重度増悪発症リスクを有する重度慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、増悪を抑制し入院リスクを低減することが、米国・ワイルコーネル大学のFernando J Martinez氏らが行ったREACT試験で示された。ロフルミラストは、抗炎症作用を有する経口ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)阻害薬で、とくに重度~きわめて重度のCOPD、慢性気管支炎の症状、増悪のリスクを有する患者において、中等度~重度の増悪や肺機能の有意な改善効果が示されているが、標準治療を施行しても増悪のリスクが高い患者に関する検討は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2015年2月12日号掲載の報告。追加による増悪抑制効果を無作為化試験で評価 REACT試験は、吸入ステロイド薬や長時間作用型β2遮断薬を併用しても、増悪のリスクのある重症COPD患者に対する、ロフルミラストによる増悪の抑制効果を評価する多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化第III/IV相試験。 対象は、年齢40歳以上、喫煙歴が20pack-years以上で、重篤な気流制限や慢性気管支炎の症状を伴い、前年に2回以上の増悪を来した重度COPD患者であった。 被験者は、固定用量の吸入ステロイド薬と長時間作用型β2遮断薬とともに、ロフルミラスト500μgまたはプラセボを1日1回経口投与する群に無作為に割り付けられた。試験前からの吸入チオトロピウム投与例は、継続投与が可とされた。 患者と担当医には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、中等度~重度のCOPDの増悪の年間発症率とした。感度分析で13.2%の改善 2011年4月3日~2014年5月27日までに、21ヵ国203施設に1,945例が登録された。ロフルミラスト群に973例、プラセボ群には972例が割り付けられ、それぞれ969例、966例が解析の対象となった。平均年齢は両群ともに65歳、男性がそれぞれ74%、75%で、喫煙状況は両群とも48pack-yearsで、現喫煙者はそれぞれ42%、45%だった。 ポアソン回帰分析では、中等度~重度COPD増悪の発症率はプラセボ群に比べロフルミラスト群で13.2%減少し(0.805 vs. 0.927、率比[RR]:0.868、95%信頼区間[CI]:0.753~1.002、p=0.0529)、負の二項回帰モデルを用いた事前に定義された感度分析では、ロフルミラスト群で14.2%の減少が示された(0.823 vs. 0.959、RR:0.858、95%CI:0.740~0.995、p=0.0424)。 ベースラインから気管支拡張薬投与後52週までのFEV1の変化および重度COPD増悪率は、いずれもプラセボ群に比べロフルミラスト群で有意に良好であった(それぞれ、p<0.0001、p=0.0175)。 有害事象は、ロフルミラスト群で67%(648/968例)、プラセボ群では59%(572/967例)に発現した。有害事象関連の治療中止は、ロフルミラスト群が11%(104/968例)であり、プラセボ群の5%(52/967例)に比べ高率であった。 最も頻度の高い有害事象はCOPDの増悪であり、ロフルミラスト群で15%(145/968例)、プラセボ群では19%(185/967例)に認められた。また、下痢がそれぞれ10%、4%、体重減少が9%、3%、悪心が6%、2%、鼻咽頭炎が5%、5%、頭痛が4%、2%、肺炎が4%、5%にみられた。ロフルミラスト群の17例(2%)、プラセボ群の18例(2%)が治療期間(二重盲検期)中に死亡した。 著者は、「ロフルミラストは、許容されない副作用を発現せずに、臨床的に付加的ベネフィットをもたらす唯一の経口抗炎症薬である。本試験の知見は、既存の吸入薬の最大用量を使用しても重度の増悪のリスクがある重度~きわめて重度のCOPDと慢性気管支炎がみられる患者に対する、治療選択肢の情報として役立つだろう」と述べている。

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抗うつ薬、どれを使う? 選択によって転帰は変わる?(解説:岡村 毅 氏)-317

 自殺関連行動と抗うつ薬の関連を、プライマリケアのデータベースを用いて研究した、プライマリケアの教室からの論文である。 うつ病と診断され投薬を受けた約24万人の患者さんを10年以上追跡し、既遂、あるいは企図(自傷)をアウトカムにして解析をしている。いわゆるSSRI(現代における第1選択薬)に比べて、三環系抗うつ薬では差はなかったが、MirtazapineやVenlafaxine(その他の抗うつ薬とカテゴライズされている)ではリスクが高いことが示された。 3点指摘したい。 まずは、治療薬選択の際のバイアスに関して。ケアネットの読者の皆さまならそういった心配は必要ないのかもしれないが、このような論文をもって「MirtazapineやVenlafaxineは危険というエビデンスが出た」と早とちりする向きがあるやもしれぬので一応述べておくと、MirtazapineやVenlafaxineは英国のガイドラインでは重症のケースに処方されるので、転帰不良であることは当然といえよう。つまり、単純化していえば、軽症にSSRI、重症にMirtazapineやVenlafaxineというわけである。本研究でも当然初診時の重症度などが調整された解析が行われているが十分とはいえず、したがって予想どおりの結果である。なお、これは本論文の考察でも当然のように記載されており、いちいちここで書くようなことではないかもしれないが、誤解するような早とちりが蔓延しているので……。 次に、Combined Antidepressantsが実はハイリスクである。既遂ではn=2なので統計解析に堪え得ないが、企図ではSSRIの2倍となっている。併用しているということは治療が困難に直面している可能性が高く、したがって重症であるので、転帰も不良なのだと考えることができる。一方で、とても意地の悪い見方をすれば、ガイドライン上は奨励されていない併用を行っているプライマリケア医は能力が低いので転帰も不良、という見方もできなくもない。いうまでもなく、評者はプライマリケア医が使命感を持ちきちんと勉強して臨床をしていると信じているので、前者の見方である。 最後に、非精神科医の読者の皆さまに。抗うつ薬の選択も重要だが、実際のうつ病治療の臨床では、(1)きちんと患者さんに信頼されて情報を聞き出すこと(あるいは他人を信頼できない人からも一定の情報を取り出すテクニック)、(2)大体がこんがらがっている患者さんの課題を解きほぐし単純な問題の和に整理すること、(3)何が治療対象で何がそうでないのかを仕分けて共有すること、(4)まれに現れる訳のわからないステークホルダー(たとえば患者さんが調子の悪いほうが心地よい親族など)の調整、といったことのほうが精神科では重要であったりする。手術に際して術者の力量が最も重要であり、どんな器具を使うのかは本質的ではないのと同じように……、と書くと、書き過ぎであろうか。本研究の公衆衛生的価値をおとしめるつもりは毛頭ないし、これらは尺度化しにくいものであるから声高に主張するつもりもないが、薬剤選択に「正解」があるという誤解を避けたいのであえて書きました。

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【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(2)

近年の研究で、ヒトの脳にも“神経幹細胞”が存在し、新たな神経細胞を作っていることが証明された。神経幹細胞を有効に活用することで脳神経を再生させる。この技術を活用した再生医薬品の1つが、サンバイオ株式会社(東京都 中央区)が開発するSB623である。このSB623、すでに米国での臨床試験も終了し、著しい効果を示しているという。今回は、米国で同剤の開発に当たるサンバイオ社 チーフメディカルオフィサー Damien Bates氏に最新情報を聞いた。神経再生能力を高めた骨髄由来幹細胞神経幹細胞の再生能力を活用し、治療法のない神経疾患の改善を目指した、新たな再生細胞医薬品の開発が進んでいる。その中で、実臨床での活用が現実味を帯びているのが、同社が開発するSB623である。SB623は、成人の骨髄間質細胞から分離した細胞に、一時的に遺伝子(ヒトNotch1)を導入して、再生能力を高めた骨髄由来神経再生細胞である。この遺伝子を導入することで、幹細胞は組織再生に必要な蛋白質を生み出す細胞に変化する。細胞の再生といえば、移植した細胞自身が新たな細胞に置換していくcell replacementを想像するが、SB623は患者の神経栄養因子の分泌を促すtrophic effectにより組織の再生を促す。再生のトリガーとして働くSB623はどのように神経細胞を再生するのだろうか?通常の脳では神経細胞の再生効率は非常に低い(脳神経細胞再生を現実にする(1)参照)。ここにSB623を移植すると、患者の脳は刺激され、成長因子や細胞外マトリックスなどの蛋白質を生み出す。成長因子は幹細胞の分裂・増殖や神経細胞への多様な分化、血管新生による細胞への栄養供給を促す。また、細胞外マトリックスは分裂した細胞の増殖基盤となり組織再生を促す。神経幹細胞が存在しても脳の損傷部位には到達できない。しかし、SB623により生み出された成長因子や細胞外マトリックスが、神経幹細胞を梗塞部位へ到達させる。さらに、SB623が体内から消失した後も、内在性の幹細胞は長期間生存し、損傷の修復を助ける。つまり、SB623は患者の細胞を刺激し、再生のトリガーとしての役割を担うのである。SB623 により神経幹細胞が脳の梗塞部位に到達するメカニズム「バイオブリッジ」(Damien Bates氏解説:0’50″)画像を拡大するSB623投与例では、神経幹細胞が梗塞部位に到達している(サンバイオ社提供)米国で先行する臨床試験SB623は、米国においてすでにPhaseI/IIaの臨床試験を完了した。最後の患者のフォローアップも本年(2015年)8月に完了する予定である。試験対象は、発症6ヵ月以上経過した慢性の脳梗塞患者18例であり、いずれも身体機能障害を有しながら、もはや治療法がない患者である。これら患者の脳の梗塞部位にSB623を外科的に注入し、6ヵ月後の患者の神経系機能の改善を分析している。試験結果は非常に有望だという。複数の神経学的指標による機能改善の評価においても、そのほとんどでベースラインから統計学的に有意な改善を認めている。腕も上げられず、床から起き上がることもできなかった患者が動けるようになるなど、臨床的にも著しい改善を示しているという。また、1回投与でありながら、効果は持続性であり、投与24ヵ月後も改善は持続している。さらに、安全性の問題が認められなかったことも非常に重要であるとBates氏は言う。画像を拡大するSB623によるFugl-Meyer脳卒中後感覚運動機能回復度評価の推移。投与6ヵ月時点で有意に改善、24ヵ月後も改善は持続している。(サンバイオ社提供)治療手段がない神経疾患への救世主となるか脳卒中は身体機能障害の最も重要な原因であるが、いまだ効果的な治療法はなく、社会的にも医学的にも大きな問題である。SB623は、これら治療法がない脳卒中患者の神経細胞を再生させる能力が期待できる薬剤である。また、脳卒中だけでなく、神経栄養因子が治療に貢献しうる、外傷性脳損傷や加齢黄斑変性症といった神経疾患にも適用できる可能性がある、とBates氏は述べた。Damian Bates氏からのメッセージ:1’50″なぜ米国での開発を選んだのか?SB623に関する技術は日本発であり、開発者であるサンバイオ社も日本企業である。しかし、なぜ米国での開発を選択したのか? サンバイオ社共同代表の森敬太氏に聞いた。SB623の治験を開始した2011年当時、日本には再生医療分野を積極的に推進するための土壌が整っていなかった。一方、米国は再生細胞薬などの新規治療法に対して非常に積極的にあり、経験豊富で優秀な研究者も確保しやすい。また、グローバルな展開も行いやすい国であった。このような背景から米国での開発をスタートさせたという。本邦においても、昨年(2014年)11月の薬事法改正で、再生医療分野の新規開発や参入が格段にスムーズになってきた。SB623は、2009年に帝人株式会社との間で脳卒中治療薬としての専用実施権許諾契約を締結しており、米国での臨床試験の良好な結果も相まって、今後の日本国内での活用が期待されている。SB623臨床試験の結果:スタンフォード大学 教授 Gary Steinberg氏インタビュー(サンバイオ社ホームページより)

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【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(2)

近年の研究で、ヒトの脳にも“神経幹細胞”が存在し、新たな神経細胞を作っていることが証明された。神経幹細胞を有効に活用することで脳神経を再生させる。この技術を活用した再生医薬品の1つが、サンバイオ株式会社(東京都 中央区)が開発するSB623である。このSB623、すでに米国での臨床試験も終了し、著しい効果を示しているという。今回は、米国で同剤の開発に当たるサンバイオ社 チーフメディカルオフィサー Damien Bates氏に最新情報を聞いた。神経再生能力を高めた骨髄由来幹細胞神経幹細胞の再生能力を活用し、治療法のない神経疾患の改善を目指した、新たな再生細胞医薬品の開発が進んでいる。その中で、実臨床での活用が現実味を帯びているのが、同社が開発するSB623である。SB623は、成人の骨髄間質細胞から分離した細胞に、一時的に遺伝子(ヒトNotch1)を導入して、再生能力を高めた骨髄由来神経再生細胞である。この遺伝子を導入することで、幹細胞は組織再生に必要な蛋白質を生み出す細胞に変化する。細胞の再生といえば、移植した細胞自身が新たな細胞に置換していくcell replacementを想像するが、SB623は患者の神経栄養因子の分泌を促すtrophic effectにより組織の再生を促す。再生のトリガーとして働くSB623はどのように神経細胞を再生するのだろうか?通常の脳では神経細胞の再生効率は非常に低い(脳神経細胞再生を現実にする(1)参照)。ここにSB623を移植すると、患者の脳は刺激され、成長因子や細胞外マトリックスなどの蛋白質を生み出す。成長因子は幹細胞の分裂・増殖や神経細胞への多様な分化、血管新生による細胞への栄養供給を促す。また、細胞外マトリックスは分裂した細胞の増殖基盤となり組織再生を促す。神経幹細胞が存在しても脳の損傷部位には到達できない。しかし、SB623により生み出された成長因子や細胞外マトリックスが、神経幹細胞を梗塞部位へ到達させる。さらに、SB623が体内から消失した後も、内在性の幹細胞は長期間生存し、損傷の修復を助ける。つまり、SB623は患者の細胞を刺激し、再生のトリガーとしての役割を担うのである。SB623 により神経幹細胞が脳の梗塞部位に到達するメカニズム「バイオブリッジ」(Damien Bates氏解説:0’50″)画像を拡大するSB623投与例では、神経幹細胞が梗塞部位に到達している(サンバイオ社提供)米国で先行する臨床試験SB623は、米国においてすでにPhaseI/IIaの臨床試験を完了した。最後の患者のフォローアップも本年(2015年)8月に完了する予定である。試験対象は、発症6ヵ月以上経過した慢性の脳梗塞患者18例であり、いずれも身体機能障害を有しながら、もはや治療法がない患者である。これら患者の脳の梗塞部位にSB623を外科的に注入し、6ヵ月後の患者の神経系機能の改善を分析している。試験結果は非常に有望だという。複数の神経学的指標による機能改善の評価においても、そのほとんどでベースラインから統計学的に有意な改善を認めている。腕も上げられず、床から起き上がることもできなかった患者が動けるようになるなど、臨床的にも著しい改善を示しているという。また、1回投与でありながら、効果は持続性であり、投与24ヵ月後も改善は持続している。さらに、安全性の問題が認められなかったことも非常に重要であるとBates氏は言う。画像を拡大するSB623によるFugl-Meyer脳卒中後感覚運動機能回復度評価の推移。投与6ヵ月時点で有意に改善、24ヵ月後も改善は持続している。(サンバイオ社提供)治療手段がない神経疾患への救世主となるか脳卒中は身体機能障害の最も重要な原因であるが、いまだ効果的な治療法はなく、社会的にも医学的にも大きな問題である。SB623は、これら治療法がない脳卒中患者の神経細胞を再生させる能力が期待できる薬剤である。また、脳卒中だけでなく、神経栄養因子が治療に貢献しうる、外傷性脳損傷や加齢黄斑変性症といった神経疾患にも適用できる可能性がある、とBates氏は述べた。Damian Bates氏からのメッセージ:1’50″なぜ米国での開発を選んだのか?SB623に関する技術は日本発であり、開発者であるサンバイオ社も日本企業である。しかし、なぜ米国での開発を選択したのか? サンバイオ社共同代表の森敬太氏に聞いた。SB623の治験を開始した2011年当時、日本には再生医療分野を積極的に推進するための土壌が整っていなかった。一方、米国は再生細胞薬などの新規治療法に対して非常に積極的にあり、経験豊富で優秀な研究者も確保しやすい。また、グローバルな展開も行いやすい国であった。このような背景から米国での開発をスタートさせたという。本邦においても、昨年(2014年)11月の薬事法改正で、再生医療分野の新規開発や参入が格段にスムーズになってきた。SB623は、2009年に帝人株式会社との間で脳卒中治療薬としての専用実施権許諾契約を締結しており、米国での臨床試験の良好な結果も相まって、今後の日本国内での活用が期待されている。SB623臨床試験の結果:スタンフォード大学 教授 Gary Steinberg氏インタビュー(サンバイオ社ホームページより)

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