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第103回日本泌尿器科学会総会 開催のご案内

 日本泌尿器科学会は、2015年4月18日~21日の4日間、第103回日本泌尿器科学会総会を金沢市で開催する。会長は、並木 幹夫 氏(金沢大学大学院医学系研究科 泌尿器科学 教授)。今回は新たに「若手医師が創るプログラム」という企画を設け、若手医師自らが将来に向けた泌尿器科医のあり方を参加者と考えるセッションも予定されている。また、発表される一般演題数も今回は1,750を超え、過去最高となる。開催概要【日時】2015年4月18日(土)~21日(火)【会場】石川県立音楽堂・ANAクラウンプラザホテル金沢・ホテル日航金沢ホテル金沢・金沢都ホテル・金沢市アートホール・もてなしドーム金沢駅前周辺図はこちら(PDF)【会長】並木 幹夫 氏(金沢大学大学院医学系研究科 泌尿器科学 教授)【主要プログラム】[基調講演 1]  4月18日(土) 16:20~17:00 第1会場座長:熊本 悦明 氏(札幌医科大学名誉教授/日本臨床男性医学研究所)プロスキーヤー/冒険家として、私が若者に伝えたいこと三浦 雄一郎 氏[基調講演 2]  4月19日(日) 10:40~11:20 第1会場座長:垣添 忠生 氏(国立がんセンター名誉総長)外科医45年の経験から、私が若手医師に伝えたいことがん研究会 有明病院 門田 守人 氏[会長講演]  4月18日(土) 9:10~9:30 第1会場座長:奥山 明彦 氏(大阪大学名誉教授/社会福祉法人石井記念愛染園附属 愛染橋病院)泌尿器科学の中のアンドロロジー学金沢大学 並木 幹夫 氏詳細はこちら(PDF)【総会事務局】〒920-8641 金沢市宝町13-1 金沢大学大学院医学系研究科集学的治療分野(泌尿器科学) 内【運営準備室】〒541-0047 大阪市中央区淡路町3-6-13 株式会社コングレ 内Tel: 06-6229-2555 Fax: 06-6229-2556E-mail: jua2015@congre.co.jp第103回日本泌尿器科学会総会ホームページ

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ナトリウム利尿ペプチド、急性心不全診断に有効/BMJ

 2012年に欧州心臓病学会(ESC)が示した、血中B型(脳性)ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、NTproBNP、MRproANPの心不全除外診断の推奨閾値は、急性心不全について優良な診断能を有することが明らかにされた。英国・モーズレイ病院のEmmert Roberts氏ら研究グループGuideline Development Group for Acute Heart Failureが、急性期治療設定の試験データについてシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。ただし特異度はばらつきがみられ画像診断による確定が必要だと考察している。また、BNPとNTproBNPの診断精度には統計的な差はみられなかった。これらを踏まえて著者は「急性心不全が疑われる患者を対象とした、ナトリウム利尿ペプチド測定による試験を行うことで、より迅速で正確な除外診断が可能となるだろう」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年3月4日号掲載の報告より。メタ解析でBNPとNTproBNP、MRproANPの診断精度を評価 研究グループは、心不全に関する2012ESCの推奨閾値を用いて、急性期治療設定での急性心不全患者について、BNP、NTproBNP、MRproANPそれぞれの診断精度を調べて比較するため、システマティックレビューとメタ解析を行った。 2014年1月28日時点で、Medline、Embase、Cochrane central register of controlled trials、Cochrane database of systematic reviews、database of abstracts of reviews of effects、NHS economic evaluation database、Health Technology Assessmentをデータソースに、心不全とナトリウム利尿ペプチドに関連する表題、項目を組み合わせて論文を検索した。適格としたのは、急性期治療設定で、連続的にまたは無作為に選択した成人患者を対象に、急性心不全の診断で標準資料と比較して1種以上のナトリウム利尿ペプチドを評価している試験とした。陽性率、偽陽性率、偽陰性率、陰性率、あるいは年齢非依存のナトリウム利尿ペプチドを抽出または算出するデータが不十分な試験は除外した。また英語以外で書かれた試験も除外した。BNPとNTproBNPの診断精度は有意差なし 試験報告42件が検索され37の特徴的な試験コホートが解析に組み込まれた。評価は総計48件、評価結果は1万5,263件であった。 急性心不全の診断精度について、最低推奨閾値であるBNP 100ng/LとNTproBNP 300ng/Lの感度はそれぞれ0.95(95%信頼区間[CI]:0.93~0.96)と0.99(同0.97~1.00)、陰性適中率は0.94(0.90~0.96)と0.98(0.89~1.0)であった。MRproANPの最低推奨閾値120pmol/Lについては、感度は0.95(0.90~0.98)から0.97(0.95~0.98)にわたり、陰性適中率は0.90(0.80~0.96)から0.97(0.96~0.98)にわたった。 感度は閾値が高くなるほど低下したが、特異度はばらついたままであった。 BNPとNTproBNPの診断精度について、統計的に有意な差はなかった。

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ゴセレリン、乳がん患者の卵巣機能を保護/NEJM

 化学療法中の乳がん患者にゴセレリン(商品名:ゾラデックス)を併用することで、卵巣機能不全を予防し、早期閉経リスクの低下や、妊娠の可能性が向上することが報告された。米国・クリーブランドクリニックのHalle C.F. Moore氏らPOEMS/S0230研究グループによる無作為化試験の結果、示された。卵巣機能不全は、化学療法の頻度の高い毒性作用である。これまでに行われた卵巣機能の保護を目的としたゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)を用いた試験では、混在した結果が示され、妊娠アウトカムについてのデータは不足していた。NEJM誌2015年3月5日号掲載の報告より。化学療法単独vs. ゴセレリン併用の無作為化試験で評価 研究グループは2004年2月~2011年5月に、18~49歳、手術可能なホルモン受容体陰性乳がんの閉経前女性患者計257例を、標準化学療法+GnRHアゴニストのゴセレリンを投与する群(ゴセレリン群)と、標準化学療法のみを行う群(化学療法単独群)に無作為に割り付けた。 試験の主要エンドポイントは、2年時点の卵巣機能不全で、評価前6ヵ月間に月経がないことと、卵胞刺激ホルモン(FSH)値が閉経後の範囲値にあることで定義し、発生率を条件付きロジスティック回帰法にて比較した。副次エンドポイントは、妊娠アウトカム、無病生存率、全生存率などであった。ゴセレリン併用群、2年時点の卵巣機能不全発生オッズ比は0.30 ベースラインで218例(ゴセレリン群105例、化学療法単独群113例)が適格であると判断され、評価可能であった。エンドポイント分析時に生存していた患者の追跡期間中央値は4.1年であった。患者特性は両群でバランスが取れており、年齢中央値は38歳、91%がアントラサイクリン系薬ベースの治療を受けていた。 主要エンドポイント評価は135例(66例、69例)が完了した。結果、卵巣機能不全が認められたのは、ゴセレリン群8%、化学療法単独群22%であった(オッズ比:0.30、95%信頼区間[CI]:0.09~0.97、両側p=0.04)。 主要エンドポイントデータの欠測のため感度分析を行ったところ、結果は主要所見と一致するものであった。欠測データについて、治療群別や、年齢、予定されていた化学療法レジメンといった層別化因子による差はなかった。 評価可能であった218例の患者について、妊娠した女性はゴセレリン群のほうが化学療法単独群よりも有意に多く(21%vs. 11%、p=0.03)、無病生存率(p=0.04)、全生存率(p=0.05)についてもゴセレリン群が有意に高かった。

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ひと・身体をみる認知症医療

第1回 「これまで」「いま」「これから」の認知症医療 第2回 誰のため・何のための認知症医療か 第3回 地域の医師と認知症医療 (1)診療とモニタリング 第4回 地域の医師と認知症医療 (2)認知症医療と地域力 第5回 認知症の身体への影響(1) 自律神経機能の低下 第6回 認知症の身体への影響(2) 錐体外路症状 第7回 認知症の人にみられる一般症状 第8回 つくられるBPSD 第9回 認知症の薬物治療 真の認知症医療とは何か。明日から診療が楽しくなる実践の秘密。☞教科書に載っていないことを知りたい☞認知症の人の頼りになる診療がしたい☞認知症が身体に影響するってホント?☞身体をどのように診たらいいのかそうした声に全力で応えます。脳神経の変化を読み解く。ひと・暮らしを支える実感。――そんな、認知症医療の第一線で活躍する6人の医師が、地域で認知症医療を実践するうえで備えておきたい考え方と手法を解説します。監修:木之下 徹(こだまクリニック)第1回 「これまで」「いま」「これから」の認知症医療 これからの認知症医療。その羅針盤はどこに向いているのか――。3人の医師が語る歴史と未来。【高橋幸男先生】「あんた、なんちゅう医療しとるのか」目を開かされた、認知症の人のつぶやきとは。【山崎英樹先生】「デスメーキング」「専門家支配」といった切り口で語られる認知症医療。今後備えるべき専門性と意識とは。【本間昭先生】過去と今。認知症の人と家族の姿。QOLは果たして変化したのか?真に変わるべきものとは。第2回 誰のため・何のための認知症医療か 本編より――当初、僕は、認知症の方を前にして「困ってることはありませんか」と聞くようにしてたんです。大体認知症の方から返ってくる言葉は、「困ってることはありません」。なんで困ってることを喋ってくれないんだろうと、その時僕は思ってたわけです。それは、今思うと――“認知症医療を認知症の人に届ける”それを阻むものに神戸医師が鋭く切り込む。一方、認知症医療の秘めたる可能性を提示する。第3回 地域の医師と認知症医療 (1)診療とモニタリング 認知症の症状と思い込みがちな所見。実は、一歩踏み込んで診ることによって、治療すべき疾患が隠れていることも多い。ふだんからその人に関わっている地域の医師だからこそ可能な医療とは?着目のポイントと、具体的な手段を八森淳先生が解説する。【事例】アルツハイマー型認知症 一週間前から幻視・37.2℃の微熱 食事の量が減っていた→幻視と微熱にどんな関係が? 他2つの事例を紹介。第4回 地域の医師と認知症医療 (2)認知症医療と地域力 一人暮らしをしながら、公共交通機関を使って通院する朗らかな72歳の女性。しかし、その暮らしには生命の危機が迫っていた。――診察室からは見えにくい暮らしのありようを知り、「認知症と生きる人」を支えるために必要なものとは?問題解決だけではなく、これからも続く暮らしに伴走する認知症医療を八森淳先生が提示する。第5回 認知症の身体への影響(1) 自律神経機能の低下 日常診療の中でよく見かける、認知症による「身体への影響」。暮らしに大きく関わり、時に重大な事故に繋がるもののひとつに、自律神経機能の低下があります。今回は、最低限押さえておきたい5項目、「血圧の変動」「排尿障害」「便秘」「発汗減少と発汗過多」そして「高炭酸喚起応答障害」に的を絞り、織茂智之先生がずばり診療のポイントをお伝えします。第6回 認知症の身体への影響(2) 錐体外路症状 認知症による「身体への影響」のひとつである錐体外路症状は、ひとの暮らしを大きく左右する「動くこと」「食べること」に深く関係しています。暮らしを支える視点を軸に、日常診療でよく見かける錐体外路症状の基本的知識と治療のポイント、さらに認知症の人や家族へのアドバイスを神戸泰紀先生がお伝えします。第7回 認知症の人にみられる一般症状 知っているようで、まだまだ知られていない認知症の症状。医学が積み上げてきた認知症症候学と、認知症と生きる人の体験を併せて山崎医師が解説します。「誰でも体験すること」「認知症の人の体験」が多く紹介される本編は、診察室での対話を深めるのに役立つだけでなく、家族やケアに関わる人たちに「認知症を伝える」ヒントとなるでしょう。第8回 つくられるBPSD 「BPSD」は、認知症医療の一大テーマです。しかし、高橋医師は言います。「BPSDは、我々がつくるべくして、つくっている、というのが大きい」と。BPSDをどう捉え、どうアプローチすればよいのか。臨床でよく出会うケースを豊富に紹介しながら、解説する。第9回 認知症の薬物治療「抗認知症薬が効いた」「効かない」としばしば話題になりますが、その本当の意味をご存知でしょうか?本間医師がズバリ答えます。さらに、本間医師は問います。――認知症医療の目標はなんだと思いますか?「ひと・身体をみる認知症医療」ここに完結!

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家族性地中海熱〔FMF: Familial Mediterranean fever〕

1 疾患概要■ 概要家族性地中海熱(Familial Mediterranean fever:FMF)は、持続時間が比較的短い(1~3日)周期性発熱と漿膜炎を主徴とする遺伝性の自己炎症疾患である。本疾患は、MEFV遺伝子の異常に伴うインフラマソームの機能異常とIL-1βの産生による自己炎症が病態の中心にある。2009年に行った全国調査の結果では、各種臨床症状の頻度は、発熱が95.5%、胸痛(胸膜炎症状)が35.8%、腹痛(腹膜炎症状)62.7%、関節炎が31.2%であった。また、AA アミロイドーシスは3.7%に確認された。治療に関しては、コルヒチン(商品名:同)が92.0%の患者に有効であった。わが国において一定数のFMF患者が存在しており、重篤な合併症であるAA アミロイドーシスを予防するためにも早期診断、早期治療介入が望まれる。■ 疾患概念FMFは、パイリンの機能異常を背景として、炎症制御機構の破綻により発症する遺伝性自己炎症疾患である。臨床的には、漿膜炎(胸痛発作、腹痛発作)、関節炎を周期的に繰り返す。FMFの病型は、典型例、非定型例(不完全型)に大別され、典型例では12~72時間持続する38℃以上の発熱発作を認めるのに対して、非定型例では発熱期間、発熱の程度(38℃以上でないことがある)が典型例と異なり、また随伴する漿膜炎症状が、不完全である点も典型例と異なる。■ 病態生理FMFは、NLRP3インフラマソーム関連蛋白であるpyrinをコードするMEFV遺伝子の変異で発症すると考えられている。インフラマソームは、NLRとASC、caspase-1からなる。NLRはヒトで20個あまり同定されており、N末端にcaspase recruitment domain(CARD)あるいはpyrin domain (PYD)を持ち、中央にNOD領域を有するのが基本である。(NLR family PYD-containing 3)NLRP3を例に取るとNLRP3、ASC、caspase-1がCARD、PYDを介してインフラマソームを形成し重合すると、最終的に活性化されたcaspase-1によりpro-IL-1βが切断され活性型IL-1βに変換されることで炎症が誘導される1)。FMFの責任遺伝子であるMEFV遺伝子がコードするpyrinはNLRP3とASCのPYDを介した結合に干渉し、インフラマソームの活性を負に制御すると推定されている2)。MEFV遺伝子変異とpyrinの機能異常に関して結論が出ていないが、MEFV遺伝子変異によりpyrinのインフラマソームの抑制機能が障害され、自己炎症が起こると考えられている。■ 臨床症状1) 発熱症状FMFでもっとも高率にみられる症状が、周期性発熱である。発熱パターンには特徴があり、典型例では周熱期間が1~3日と短く、発熱は自然に軽快する。発熱はCRP、SAAなどの急性期蛋白の増加を伴っている。発熱発作の頻度は個人差があり、発熱発作の誘因としてストレス、手術などによる侵襲、女性の場合は月経などが挙げられる。FMFの責任遺伝子産物であるpyrinは好中球で、高発現していること、また、FMFの発作時に漿膜などの炎症局所に好中球が浸潤していることにより、FMFの自己炎症の病因の1つとして好中球の機能異常が考えられている。2) 随伴症例発熱に伴い出現することが多い随伴症状として漿膜炎、滑膜炎が挙げられる。漿膜炎の中でも胸膜炎において、咳嗽、胸水貯留を認めることは少なく、患者は胸痛に加え背部症、呼吸の際の違和感などの症状を訴えることもある。本症でみられる無菌性漿膜炎発作の病理的特徴は、漿膜細胞への好中球の浸潤である。腹膜炎による急性の腹痛は、腹水や腹膜刺激症状などの所見を伴うこともあり、急性腹症との鑑別が重要である。女性の場合は、月経で誘発されることもあり、激しい下腹部に限局した腹膜炎症状を呈することもある。滑膜炎は、膝関節、足関節などの下肢の単関節で発症することが多く、組織学的には、滑膜組織への好中球浸潤を特徴とする。また、頻度は少ないが、心外膜炎、無菌性髄膜炎、丹毒様紅斑などの随伴症状がみられることもある。■ 臨床経過・予後FMFの予後に影響する重大な合併症、遷延する炎症に続発するAAアミロイドーシスである。全国調査の結果でも134人中5人(約4%)にアミロイドーシスの合併がみられた3)。アミロイドーシス合併頻度は、コルヒチンの投与開始がまだ遅れているわが国の状況を考慮しても、海外症例に比べて明らかに低い。これらの結果は、わが国には重症例に多く、アミロイドーシス合併にも関連があると考えられているM694V変異例がみられないこと、MEFV exon10のホモ接合体の頻度が低いことに起因していると考えられ、遺伝子変異型と重症度の関連が考えられる。アミロイドーシスを合併したFMF症例の発症から治療開始までの平均期間は、20.1±4.5年と長く、アミロイドーシスの合併予防には、FMFの早期治療、早期治療介入が必要と考えられる。また、FMFはSAA高値接続するのではなく、周期的に上昇がみられる点が、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患と異なり、SAAの厳密な陰性化は、RAほど重要でないかもしれないが、SAAの陰性化もアミロイドーシス予防には必要である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準FMFの診断には、Tel-Hashomer criteriaが海外では用いられているが4)、漿膜炎発作を限局型、非限局型に分類するなど難解な点も多い。わが国で使用されている診断基準を表に示す。必須項目と補助項目のいずれか1項目以上認める場合、臨床的にFMF典型例と診断する。感染症、自己免疫疾患、ほかの自己炎症疾患の鑑別は必要である。遺伝子診断に関しては、MEFV遺伝子の疾患に関連する遺伝子変異を認めない症例が一部みられ、臨床診断が中心となるが、exon10の変異(日本人は主にM649I)は、浸透率が高く診断的意義は高い。また、典型例と非定型例の識別には、MEFV遺伝子解析がある程度有用である。表 FMF診断基準●必須項目:12時間から72時間続く38℃以上の発熱を3回以上繰り返す。発熱時には、CRPや血清アミロイドA(SAA)などの炎症検査所見の著明な上昇を認める。発作間欠期にはこれらが消失する。●補助項目:1 発熱時の随伴症状として、以下のいずれかを認める。a 非限局性の腹膜炎による腹痛 b 胸膜炎による胸背部痛 c 関節炎d 心膜炎 e 精巣漿膜炎 f 髄膜炎による頭痛2 コルヒチンの予防内服によって発作が消失あるいは軽減する。必須項目と、補助項目のいずれか1項目以上を認める症例を、臨床的にFMF典型例と診断する。■ 不完全型FMFの存在典型的なFMFは、発熱発作、漿膜炎発作が半日~3日以内のことが多い。一方、非定型的なFMFは、発熱期間が典型例と異なり、数時間以内であったり、4日以上持続したり、38℃以上の発熱がみられない(微熱)こともある。また、漿膜炎発作が典型的でなく(限局している、激しい腹痛はなく腹膜刺激症状を伴わない)、関節痛、筋肉痛などの非特異的症状がみられることがある。これら病像を呈する症例は、不完全型(非定型的)FMFである可能性があり、MEFV遺伝子検査が診断の補助となる。不完全型FMFでは、MEFV遺伝子 exon10の変異は少なくexon1(E84K)、exon2(E148Q、L110-E148Q、R202Q、G304R)、exon3(P369S-R408Q)、exon5(S503C)の変異を伴っていることが多い。■ 検査所見検査所見では、好中球優位の白血球増加、赤沈亢進、CRPおよびフィブリノゲンの上昇など、非特異的な炎症所見を認める。アミロイドーシス合併例では、尿蛋白、腎機能の上昇を認めることがある。FMFでは、好中球の機能亢進が病態の1つと考えられており、筆者らもFMF患者において、好中球CD64分子が、自己免疫疾患患者に比べ、有意に上昇していることを確認している5)。■ 画像所見FMFに特異的な画像診断はないが、FMFの随伴症状である漿膜炎発作を画像で検出できる可能性がある。胸膜炎(胸痛)発作時に示すように胸水、心嚢水を認める場合もあるが6)、このようなケースはまれである。家族性地中海熱の一部は、MEFV遺伝子に疾患関連変異がない症例が少なくなく、臨床診断が中心となるが、exon10の変異(日本人は主にM694I)は、浸透率が高く診断的意義は高い。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)FMFの治療の中心はコルヒチン投与であり、コルヒチンで症状の改善がみられる。治療に関する海外のリコメンデーション7)でも、コルヒチンの有用性はランダム化比較試験でも確認されており、成人、小児においても、第1選択薬として位置付けられている。コルヒチン治療開始後は、3ヵ月間隔で治療効果を判定すべきで、発熱発作が3ヵ月に1回以上、あるいは発作の有無にかかわらず、炎症反応が持続する場合は、コルヒチンの投与量を増量すべきと推奨されている。コルヒチンの投与は、小児例においても、症状の改善、アミロイドーシスの予防のために考慮されるべきである。小児におけるコルヒチンの投与量は、0.03~0.07mg/kg/日である。成人においては、1mg/日(1日2~3回の分割投与が望ましい)が至適投与量であるが、わが国FMFにおいては0.5mg/日と比較的少ない投与量でも改善がみられることがある。コルヒチン治療で改善がみられない場合やコルヒチンの副作用のため使用できない場合は、代替治療が必要である。十分量のコルヒチンを投与しても年間6回以上の発熱発作がある場合は、コルヒチン耐性と考え、他の治療法を考えるべきであり、その場合、IL-1阻害薬が第1選択薬と考えられている8)。4 今後の展望これまでの調査などにより、わが国でも一定数の家族性地中海熱症例が存在し、その臨床像の海外症例との相違点が明らかにされている。わが国で経験する症例は海外症例に比べ、重症度は高くないと考えられるが、治療が遅れるとアミロイドーシス合併リスクがあり、早期診断、早期治療介入が望まれる。また、非特異的症状を呈する不完全型FMFの存在に加え、本症の責任遺伝子であるMEFV遺伝子の異常が家族性地中海熱以外のリウマチ性疾患の病態にも関与している可能性があり、今後の研究の進展が望まれる。5 主たる診療科膠原病・リウマチ内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 家族性地中海熱(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報自己炎症疾患友の会 家族性地中海熱(患者とその家族向けのまとまった情報)1)Pedra JH, et al. Curr Opin Immunol. 2009; 21: 10-16.2)Stojanov S, et al. Curr Opin Rheumatol. 2005; 17: 586-599.3)Migita K, et al. Medicine (Baltimore). 2012; 91: 337-343.4)Livneh A, et al. Arthritis Rheum. 1997; 40: 1879-1885.5)Migita K, et al. Clin Exp Immunol. 2011; 164: 365-372.6)Takazono T, et al. Respiration. 2012; 84: 334-336.7)Hentgen V, et al. Semin Arthritis Rheum. 2013; 43: 387-391.8)Hashkes PJ, et al. Ann Intern Med. 2012; 157: 533-541.

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HCVとHIV重複感染に3D+リバビリンレジメン有効/JAMA

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重複感染患者の治療において、インターフェロン(IFN)フリーの全経口3剤組み合わせ直接作用型抗ウイルス薬(3D)+リバビリン併用レジメンは、治療期間12週または24週についていずれも高い持続性ウイルス学的著効(SVR)率に結び付いたことが示された。米国ジョンズ・ホプキンス大学のMark S. Sulkowski氏らによる非盲検無作為化非対照試験TURQUOISE-Iのパイロット試験パート1aの結果、報告された。3Dレジメンは、オムビタスビル、パリタプレビル(またはリトナビル併用[パリタプレビル/r])、ダサブビルから成る。本検討の結果を受けて著者は、「重複感染患者について本療法の第III相試験を行うべき根拠が示された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2015年2月23日号掲載の報告より。63例を対象に非無作為化非対照試験で12週、24週投与について評価 TURQUOISE-Iパート1a試験は、米国およびプエルトリコの17ヵ所で2013年9月~2014年8月に行われた。被験者は、HCV遺伝子型1型とHIV遺伝子型1型に重複感染しており、HCV未治療またはペグIFN+リバビリン治療が無効であった63例であった。被験者には肝硬変を有するものも含まれ、CD4+T細胞数は200/mm3超もしくはT細胞割合が14%超、血清HIV-1RNAはアタザナビルまたはラルテグラビルを含む抗レトロウイルス(ART)レジメンにより安定していた。 被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方は3D+リバビリンレジメンを12週(31例)、もう一方は同24週(32例)の治療を受けた。 主要評価は、治療後12週時点のHCV RNA<25 IU/mLで規定したSVR12達成患者の割合で検討した。SVR12達成患者、12週治療群94%、24週治療群91% 結果、SVR12達成患者は、3D+リバビリンレジメン12週治療群は29/31例で94%(95%信頼区間:79~98%)、同24週治療群は29/32例で91%(同:76~97%)であった。 SVR未達成だった5例の患者のうち、1例は同意の段階での中断例であり、2例はウイルス学的再発または再燃が確認され、2例はHCVの再感染が臨床歴および系統的エビデンスとして認められた患者であった。 最も頻度が高かった治療に関連した有害事象は、疲労感(48%)、不眠(19%)、悪心(18%)、頭痛(16%)であった。有害事象は概して軽度であり、重篤あるいは治療中断に至った報告例はなかった。 なお治療中にHIV-1再燃(200コピー/mL超)となった患者はいなかった。

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抗血栓療法中のNSAIDs、出血・心血管イベント増大/JAMA

 心筋梗塞(MI)後の抗血栓療法中の患者における非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の併用投与は、短期間であっても出血や心血管イベントリスクを増大することが明らかにされた。デンマーク・コペンハーゲン大学ゲントフテ病院のAnne-Marie Schjerning Olsen氏らが、同国患者データ6万1,971例を分析し報告した。著者は、「所見についてはさらなる検討を行い確認する必要があるが、MI後の患者へのNSAIDs処方には注意を払わなくてはならない」とまとめている。JAMA誌2015年2月24日号掲載の報告より。デンマーク、心筋梗塞後6万1,971例のNSAIDs治療併用有無別にアウトカムを分析 研究グループは、MI後で抗血栓療法中の患者についてNSAIDsを併用投与した場合の、出血・心血管イベントを調べた。 同国2002~2011年の入院レジストリデータを用いて、30歳以上で初発MIを経験し、退院後30日間生存していた患者について、MI後のアスピリン、クロピドグレルまたは抗血栓薬、およびそれらの組み合わせ治療と、NSAIDs治療の併用について調べた。 主要評価項目は、NSAIDs治療併用有無別にみた出血リスク(入院を要する)または心血管複合アウトカム(心血管系による死亡、非致死的MI、脳卒中)で、補正後時間依存的Cox回帰モデルを用いて評価した。 分析には6万1,971例が組み込まれた(平均年齢67.7[SD 13.6]歳、男性63%)。そのうち34%の患者が1種以上のNSAIDsを処方されていた。併用群、出血リスク2.02倍、心血管イベントリスク1.40倍 追跡期間中央値3.5年間で、死亡者は1万8,105例(29.2%)であった。出血イベントの発生は計5,288例(8.5%)、心血管イベントは計1万8,568例(30.0%)であった。 出血イベントの粗発生率は100人年当たり、NSAIDs治療併用群4.2例(95%信頼区間[CI]:3.8~4.6例)、非併用群2.2例(同:2.1~2.3例)であった。心血管イベントについてはそれぞれ11.2例(同:10.5~11.9例)、8.3例(同:8.2~8.4例)であった。 多変量補正後Cox回帰分析の結果、NSAIDs治療併用群は非併用群と比較して、出血リスクは2.02倍(ハザード比:2.02、95%CI:1.81~2.26)、心血管イベントリスクは1.40倍(同:1.40、1.30~1.49)増大することが認められた。 出血および心血管イベントリスクは、抗血栓療法やNSAIDsの種別を問わず、また併用期間を問わず、併用により増大することが認められた。

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「骨粗鬆症」予防にはリスク認識が有効

 骨粗鬆症は日本において公衆衛生上の大きな問題となっている疾患である。しかし、そのリスクは過小評価され、患者はきちんとした治療を受けていない場合も多い。 骨粗鬆症を予防するためには、骨粗鬆症に対するリスクをしっかりと認識する必要がある。日本イーライリリーの佐藤氏らは、骨折の既往歴と、“自分が骨粗鬆症になる危険性がある”という認識(リスク認識)との関係を明らかにするため、日本の50歳以上の女性を対象に大規模年次調査を行った。その結果、想定されていたよりもリスク認識が低いことがわかった。Archives of osteoporosis誌2014年12月号(オンライン版2014年11月13日号)の掲載報告。 本研究は、日本のNational Health and Wellness Survey(NHWS)のデータを基に解析した。対象は骨粗鬆症と診断されていない50歳以上の女性で、50歳までの骨折歴と骨粗鬆症のリスク認識の有無で4つの群に分類された。社会人口学的特性と健康状態特性の群間比較には二変量解析が用いられ、健康アウトカムは一般化線形モデルで比較された。 主な結果は、以下のとおり。・調査には1万6,801人の女性(50~93歳)が参加し、平均年齢60歳であった。・参加者の大半(76.2%、n=1万2,798)は、骨折歴がなく、骨粗鬆症のリスクを感じていなかった。・12.9%(n=2,170)は骨折歴がないが、骨粗鬆症のリスクがあると感じていた。・8.7%(n=1,455)は骨折歴があったが、骨粗鬆症のリスクを感じていなかった。・2.2%(n=378)は骨折歴があり、骨粗鬆症のリスクがあると自覚していた。・リスク認識は、骨折歴がある人でわずかに高かった(骨折歴あり:20.6%、なし:14.5%、p<0.001)。・骨粗鬆症の家族歴がある人ほど、リスク認識が高かった。 今回の調査から、50歳以上の日本人女性の約15%が将来、自身が骨粗鬆症になるリスクを認識していることがわかったが、この数字は疫学研究者の想定よりもはるかに低い数字であった。さらに、このリスク認識と疫学的リスクである骨折との関連性は弱いものでしかなく、患者教育の必要性が示唆された。

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精神疾患患者の安楽死、どう考える

 精神疾患や認知症の患者、また重篤な疾患はないが人生が嫌になっている患者における安楽死や医師による自殺幇助(EAS)は、非常に大きな論点となっている。このような場合、オランダの安楽死法の管轄に入るが、オランダ人医師はEASに消極的であるように見える。オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのEva Elizabeth Bolt氏らは、オランダ人医師がEASの可能性を拒否しているか否かを調査した。Journal of medical ethics誌オンライン版2015年2月18日号の報告。 がん、その他の身体疾患、精神疾患、認知症または人生が嫌になっている患者におけるEASの要求を医師が受け入れるかどうかの判断、および医師の特性が想像可能性(conceivability)と関連付けられるかを評価した。横断的研究調査は、オランダの一般開業医、高齢者ケア医、臨床専門医2,269人を対象に実施された。 主な結果は以下のとおり。・回答率は64%であった(1,456人)。・ほとんどの医師は、がん(85%)、その他の身体疾患(82%)の患者におけるEAS要求を受け入れると考えていることがわかった。・一方、精神疾患(34%)、早期認知症(40%)、重度認知症(29~33%)、人生が嫌になっている患者(27%)については、EAS要求を受け入れるとした医師は半数以下であった。・一般開業医において、EAS要求の受け入れが最も高かった。関連医療ニュース 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査  担当者へのご意見箱はこちら

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握力計 メジャーとくれば【Dr. 中島の 新・徒然草】(058)

五十八の段 握力計 メジャーとくればある日のこと。外来に早めに行ったのですが、最初の患者さんが何と身体障害者診断書! 知っている先生は知っていると思いますが、1つ書くのに30分はかかろうかという代物。しかも前の外来担当医からも引き継ぎもなかったので、全く初めての患者さんでした。朝一番に30分も時間を取られたら外来が回らなくなります。ということで、後日出直してもらうために、診断書作成がいかに大変かを説明することにしました。中島「あの、身体障害者の診断書作成というのは時間がかかりましてね」患者「それをお願いしようと思いまして」中島「ですから、そんなに簡単なもんじゃないんですよ。握力測定とかあるし」看護師「はい、〇〇さん。右手でこれを思いっきり握ってくださーい」患者「うーん!」中島「な、な」看護師「先生、右手12キロです。次、左手いきます」患者「ううう」看護師「こちらはゼロですね」中島「あ、握力だけじゃなくて、手足の長さも計測する必要がありますから」看護師「右手が・・・48センチです」中島「ちょ、ちょっと待って。書き込むから」看護師「左手も48センチ。次は上腕周囲径ですね」私が診断書作成の大変さを説明する前に、メジャーを持った外来看護師さんがさっさと計測を開始してしまいました。こちらは、言われるまま診断書に数字を記入するのみです。結局、30分かかるはずの診断書が、わずか15分ほどでできてしまいました。看護師さんにとっては、医師以上に外来が混むのを避けたかったのだと思います。結局、文句を言われるのは窓口になってしまうわけですから。というわけで、あっという間にできてしまった診断書。いつもの30分は何だったんでしょうか。最後に1句握力計 メジャーとくれば 診断書

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急性腎障害の自動通知システムは有効か/Lancet

 急性腎障害(AKI)のある入院患者について、AKI発生時に自動的に担当医などに知らせるアラートシステムを導入しても、臨床アウトカムは改善しないことが示された。米国・エール大学のF. Perry Wilson氏らが、約2,400例を対象に行った単盲検並行群間比較無作為化試験の結果、報告した。AKIは早期であれば有効な治療選択肢があるものの、早期に治療を開始できることがほとんどない。研究グループは、発生を自動的に知らせる機器を導入することで、障害の進展を防ぎアウトカムを改善するのかを検討した。Lancet誌オンライン版2015年2月25日号掲載の報告より。 クレアチニン値の相対最大変化、透析、死亡を比較 試験は、2013年9月17日~2014年4月14日にかけて、ペンシルベニア大学病院の入院患者で、クレアチニン値に基づくKidney Disease Improving Global Outcomesの定義で、ステージI以上のAKIが認められる18歳以上を対象に行われた。盲検化は研究者についてのみ行われた。 被験者を無作為に2群に分け、一方の群については、AKIが発生した場合、担当医師や担当部門の薬剤師に対し、その旨を知らせる文字メッセージがコンピュータにより自動送信するシステムを導入した(アラート群)。もう一方の群の患者については、自動送信はされず通常のケアが行われた(対照群)。内科・外科入院やICU・非ICUの別で階層化した。 主要アウトカムは、無作為化7日後のクレアチニン値の相対最大変化、透析導入、死亡の複合だった。主要アウトカムの発生はいずれも同等 2万3,664例がスクリーニングを受け、アラート群に1,201例、対照群に1,192例が無作為に割り付けられた。 主要複合アウトカムの発生率について、両群で有意差はなかった(p=0.88)。4つの層別化群別にみても有意差はなかった(すべてp>0.05)。 具体的に、無作為化7日後のクレアチニン値の相対最大変化は、アラート群が0.0%、対照群が0.6%だった(p=0.81)。透析を受けた人は、アラート群が87例(7.2%)、対照群が70例(5.9%)だった(オッズ比:1.25、95%信頼区間:0.90~1.74、p=0.18)。死亡はアラート群が71例(5.9%)、対照群が61例(5.1%)だった(同:1.16、0.81~1.68、p=0.40)。

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2011年米国では50万例がC.difficileに感染/NEJM

 米国2011年のClostridium difficile (C. difficile)感染症発生者数の推定値は45万3,000人で、そのうち死亡は推定約2万9,000人に上ることが明らかにされた。米国疾病予防管理センター(CDC)のFernanda C. Lessa氏らが、米国10地域について行った調査で明らかにした。NEJM誌2015年2月26日号掲載の報告より。米国内10地域で人口・検査室ベースの調査 Lessa氏らは2011年、米国内10地域を対象に、住民および検査室ベースの調査を行い、C. difficile感染症に関するサーベイを行った。対象者は年齢1歳以上の住民で、検便毒素試験または分子試験により感染が陽性と特定された症例を調べた。 症例について、市中感染と医療ケア関連感染とに分類し、C. difficile感染症例の検体を培養して分離し、分子タイピングを行った。 回帰モデルを使い、米国内の同感染症発生率や総数、初回再発数、感染診断後30日以内の推定死亡数を推算した。発生率は女性が男性の約1.3倍、65歳以上が約8.7倍 結果、調査対象の10地域で見つかったC. difficile感染症は、1万5,461例だった。そのうち65.8%が医療ケア関連感染だったが、入院中に発症した例は24.2%であった。 同感染症発生の予測因子で補正後、米国の新規C. difficile感染は、推定45万3,000例(95%信頼区間[CI]:39万7,100~50万8,500例)だった。 発生率は女性のほうが男性より高く、率比は1.26(95%CI:1.25~1.27)と推定された。また人種別では白人で高く(率比:1.72、95%CI:1.56~2.0)、65歳以上高齢者も高くなると推定された(同:8.65、8.16~9.31)。 クロストリジウム・ディフィシルの推定初回再発数は8万3,000例(95%CI:5万7,000~10万8,900例)、推定死亡例は2万9,300例(同:1万6,500~4万2,100例)だった。 また、北米パルスフィールドゲル電気泳動1型株(NAP1)の罹患率が、市中感染では18.8%に対し医療ケア関連感染では30.7%と、有意に高かった(p<0.001)。 著者は、「2011年の米国においてクロストリジウム・ディフィシルは、感染症約50万例の原因であり、2万9,000例の死亡と関連していた」とまとめている。

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脱毛性毛包炎、イソトレチノインは有効な治療選択肢

 脱毛性毛包炎は瘢痕性脱毛症の原因となる。現在、最もよく用いられている治療薬は抗菌薬であるが、再発率が高いのが特徴で耐性菌の発現も促進する。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のJulia. K. Tietze氏らは、レトロスペクティブな検討においてイソトレチノイン経口薬(国内未承認)が有効な治療選択肢となることを示した。著者は、「脱毛性毛包炎に対する第1選択としての抗菌薬の使用をしっかり見直し再評価する必要がある」とまとめている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2015年2月24日号の掲載報告。 研究グループは、脱毛性毛包炎に対するさまざまな治療薬の効果を評価する目的で、脱毛性毛包炎患者28例についてレトロスペクティブに治療成績を分析した。 主な結果は以下のとおり。・用いられた治療薬は、クリンダマイシン、リファンピシン、クラリスロマイシン、ダプソンおよびイソトレチノインであった。・クリンダマイシンとリファンピシンの併用は、治療終了後、短期間で80%の患者が再発しており、持続的な寛解という点で最も治療効果が低かった。・クラリスロマイシンおよびダプソンでは、長期間安定した寛解が得られた(それぞれ33%および43%)。・今回の検討で最も治療効果が高かったのはイソトレチノインで、患者の90%が治療中止後約2年間安定した寛解を得られた。

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EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

 米国・オークランド小児病院のRhonda P. Patrick氏らは、注意欠如・多動症、双極性障害、統合失調症などセロトニンが関与している脳機能障害患者では、ビタミンDおよび海洋性ω-3脂肪酸すなわちエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)のレベルがいずれも不十分であり、これらを適切に摂取することが脳機能障害の悪化を抑制・調節する可能性を報告した。FASEB Journal誌オンライン版2015年2月24日号の掲載報告。ビタミンDおよびEPAとDHAによる脳機能の調節メカニズムを提示 セロトニンは多岐にわたる脳機能と働きに関わっている。本報告では、セロトニンが実行機能、感覚ゲーティングおよび社会行動を制御していること、そして注意欠如・多動症、双極性障害、統合失調症、衝動的行動のすべてにおいて、これら脳機能の欠陥が共通して認められるというこれまでの知見を概括した。 概要は以下のとおり。・これらの脳障害において、ω-3脂肪酸とビタミンDの補給が認知機能と行動を改善する理由はいまだ解明されていない。・ビタミンDおよび2つの海洋性ω-3脂肪酸すなわちEPAとDHAによる、脳内のセロトニン合成や放出そして脳機能の調節メカニズムを提示する。・脳内セロトニンは、ビタミンDホルモンにより転写活性化される酵素、トリプトファンヒドロキシラーゼ2を介してトリプトファンから合成される。・脳障害患者では、ビタミンD(集団の~70%にみられる)レベルおよびω-3脂肪酸すなわちEPAとDHAレベルが不十分という所見が共通して認められ、これは脳内セロトニンの合成が最適でないことを示唆している。・著者らは、プロスタグランジンE2の減少に伴いEPAがシナプス前ニューロンからのセロトニン放出の増加を促し、シナプス後ニューロンにおける細胞膜透過性増大に伴いDHAがセロトニン受容体活性に影響を与えるというメカニズムを提案した。・発症の重要な過程においてビタミンD、EPA、DHAが不十分であることは、遺伝因子とも相まって、セロトニン活性および機能の障害へとつながり、神経精神疾患やうつ病の発症機序に寄与している可能性があった。・ビタミンDと海洋性ω-3脂肪酸すなわちEPAとDHAを適切に摂取することが脳機能障害の悪化を抑制・調節する可能性を示していた。関連医療ニュースうつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」統合失調症、ビタミンD補充で寛解は期待できるかEPA/DHAはADHD様行動を改善する可能性あり

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