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優れた抗血栓性を目指し、ポンプ本体の内面をすべて生体材料で構成したCARMAT完全植込み完全置換型の開発と世界最初の臨床応用(解説:許 俊鋭 氏)-394

 2008年に、僧帽弁形成手術で世界的に著名な心臓外科医Alain Carpentier氏が、真に心臓移植の代替治療となりうる完全植込み完全置換型(fully implantable artificial heart)の臨床治験を、2011年までに実施する準備ができたと発表した1)。 ポンプ本体の内面はすべて生体材料 (“biomaterials”or a“pseudo-skin”of biosynthetic、microporous materials)で構成され、これまでの人工心臓でまったく未解決の問題であった、ポンプ内血栓形成が生じない人工心臓をつくるという、きわめて野心的なプロジェクトであった。 CARMAT完全植込み完全置換型(C-TAH)は、4つの生体弁を持つ電気駆動型拍動流拍動完全置換型で、現時点では体外のバッテリーと接続し、エネルギーは体外から供給するシステムではあるが、近い将来、経皮的エネルギー伝送により完全植込み型デバイスになることも可能である。ポンプ内面は、表面処理された生物心膜組織(processed bioprosthetic pericardial tissue)および拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から成り、抗凝固療法の軽減が潜在的に可能である2)。12頭の牛(体重102~112kg)を用いた平均3日間の実験で、4頭が4日以上(最長10日)生存した。まったく抗凝固療法なしで術後管理されたが、剖検では2頭に小さな腎梗塞がみられたのみであった。 2015年になって立て続けに3本の論文2)3)4)が発表され、本論文はその1つで2013年から始まった臨床例の最初の報告である。ただし、この臨床試験では当初目指した完全植込みには至らず、デバイスは外径8mmのきわめて屈曲性に富んだドライブラインで、体外のリチウムイオンバッテリーに接続して使用している。 C-TAHは2人の男性の患者に植え付けられた。患者1(76歳)は、2013年12月18日の植込み症例、患者2(68歳)は2014年8月5日の植込み症例で、C-TAH植込み手術の人工心肺時間は、157分、170分であった。2例とも術後12時間以内に抜管され、呼吸および循環機能は急速に回復した。 患者1は、術後23日に心タンポナーデのために再開胸止血手術施行し、以後抗凝固療法を中止した。C-TAHは良好に機能し、4.8~5.8L/分の良好な流量が得られた。術後74日目にデバイス機能不全のため患者は死亡した。抗凝固薬なし期間が50日間あったにもかかわらず、剖検ではポンプ内や末梢臓器に血栓はみられなかった。 患者2は、一時的な腎不全と心嚢液貯留に対してドレナージを必要としたが、それ以外は問題なく、術後150日で携帯電源システムとともに自宅に戻った。在宅4ヵ月後に低心拍出状態になりデバイス交換を試みたが、多臓器不全のために患者は死亡した。 本論文掲載決定時にはすでに3症例目の植込みが成功していて、術後104日目で退院直前の状態にある。 日本では、年間20万例が心不全のため死亡している。人口の高齢化とともに心不全はますます増加傾向にあり、65歳以上の循環器疾患医療費はがんを中心とした新生物医療費の2倍(13.3% vs.27.4%、2011年)を要している。心臓移植の対象となる65歳未満の心不全死亡は2万例弱であり、全心不全死亡数の9.7%にしか過ぎない。しかも、日本における年間心臓移植数は40例弱であり、2万例の65歳未満心不全死亡数はおろか、現在心臓移植登録・待機している400例に対しても極端に少ない。 すなわち、心臓移植治療はその絶対数において末期心不全に対する標準的治療とはなり得ない。そのため、米国で2002年に年齢などにより心臓移植適応除外となった症例に対する、心臓移植代替治療としての植込み型補助人工心臓(LVAD)を用いたDestination Therapy(DT)がFDAにより承認され、保険償還が始まった。DTは当初2年生存を目標にスタートしたが、INTERMACSデータでは現時点で2年生存率60%、3年生存率50%が達成されていて5)、今後、さらに治療成績が向上していくものと考えられる。長期の補助人工心臓の成績向上のために解決しなければならない主な課題として、(1)システムの長期耐久性、(2)抗血栓性の向上、(3)感染防止がある。その中で、今日の第2・第3世代の定常流植込み型LVADにおいて、すでに10年生存症例も報告され「(1)システムの長期耐久性」は達成されているが、「(2)抗血栓性の向上」と「(3)感染防止」はまったく解決できていない課題である。C-TAHは「(2)抗血栓性の向上」を目指した野心的なプロジェクトであり、抗凝固療法なしで50日間管理し、まったく血栓が生じなかったことは大きな成果である。また、C-TAHは近い将来、完全植込みを目標としており「(3)感染防止」にも意欲を示している。 残念なことに、ポンプシステムが第1世代拍動流ポンプであることにより、C-TAHには「(1)システムの長期耐久性」は期待できない。しかし、C-TAHポンプ本体の内面をすべて生体材料で構成するという試みは、今日の長期耐久性に優れた第2・第3世代の定常流植込み型LVAD製造技術と結び付くことにより、植込み型LVADの「(2)抗血栓性の向上」に大きく貢献するものと期待される。 近い将来、経皮的エネルギー伝送システムの導入で有効な「(3)感染防止」技術が確立した暁には、植込み型LVADの心臓移植に匹敵するQOL・長期生存率が達成されるものと期待される。

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背骨が曲がる。骨粗鬆症なの?

骨粗鬆症の症状の一例、背骨の場合では健康圧迫骨折が背骨の1つに発生【骨粗鬆症】圧迫骨折が背骨に多発骨折した! 身長が低くなった! 背中が曲がった!に思い当たったら要注意。よく検査してもらいましょう!監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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Vol. 3 No. 4 高尿酸血症のコントロールと治療薬

土橋 卓也 氏製鉄記念八幡病院はじめに高尿酸血症は、痛風関節炎や痛風腎など尿酸塩沈着症としての病態とは別に高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム(MetS)、慢性腎臓病(CKD)などの生活習慣病と密接に関連することが明らかとなってきた。さらに最近の知見より、高尿酸血症が高血圧や糖尿病発症のリスクとなること、尿酸低下療法によって心血管イベントが抑制されることが報告されるようになった。本稿では、心血管疾患リスクとしての尿酸管理の意義と尿酸降下薬を用いた治療方針について概説する。1. 生活習慣病としての高尿酸血症の実態日本人における高尿酸血症の頻度に関して、尿酸値>7mg/dLで定義される高尿酸血症の頻度は、成人男性で21.5%、女性では50歳未満で1.3%、50歳以降で3.7%と報告されている1)。また、高尿酸血症は高血圧者に高頻度に合併することが知られている。われわれが調査した降圧薬服用者667名(平均年齢66.4歳)における高尿酸血症(尿酸値>7mg/dLまたは尿酸低下薬服用者)の頻度は男性で40.6%、女性で8.6%と男性で高頻度に認められ、特に使用降圧薬が3剤以上の者では37.3%と高頻度であった2)。この要因として、3剤以上の降圧薬を必要とする者は肥満やMetS、CKDなど高尿酸血症を合併する病態が多いこと、尿酸値を上昇させる利尿薬の使用頻度が高いことが挙げられる。すなわち、高尿酸血症は他の危険因子とともに心血管疾患リスクが重積した病態を形成することが多いことから、心血管疾患予防のためのtotal risk managementの一環として管理すべき疾患といえる。2. 高尿酸血症の治療(1) 治療方針日本痛風・核酸代謝学会による高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインが提唱する高尿酸血症の治療方針では、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えている場合、肥満の是正、飲酒制限、プリン体制限などの食事療法、運動など生活習慣修正を指導することが記載されている。痛風関節炎や痛風結節を認めず、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、MetS、CKDなどを合併する例においては、尿酸値が8mg/dL以上に上昇した場合、尿酸低下療法を考慮する。(2) 病型分類に基づく薬剤選択高尿酸血症は、その機序から産生過剰型と排泄低下型に病型分類される(本誌p.36図を参照)に示すように、病型分類を行うためには、尿酸産生量(尿中尿酸排泄量)と尿酸クリアランスを評価する必要がある3)。われわれが、高尿酸血症合併高血圧患者を対象として、24時間家庭蓄尿を用いて病型分類を行ったところ、MetS合併例を含め、約9割が排泄低下型であった4)。日常診療において24時間蓄尿や外来60分法による評価を行うのは困難である。われわれは、日常診療で使用可能な病型分類の指標として随時尿中尿酸/クレアチニン比(UA/Cr)を用いており、随時尿中UA/Crが0.5未満を示す場合、排泄低下型と判断してよいと考えている5)。(3) 尿酸降下薬の選択尿酸生成抑制薬のアロプリノールは尿酸産生過剰型に適した薬剤であり、尿路結石の既往など尿酸排泄促進薬が使用できない症例においても使用される。ただ、腎機能の低下に応じて使用量を減じる必要があり、クレアチニンクリアランス(Ccr)50mL/分以下では100mg/日、30mL/分以下では50mg/日とすべきである。最近発売されたフェブキソスタットやトピロキソスタットは、腎機能低下例においても用量調節が必要なく、使用しやすい薬剤といえる。前述のように高血圧合併高尿酸血症患者の病型はほとんど排泄低下型であることから、ベンズブロマロンなどURAT1阻害薬がより有用であることが多い。実際、アロプリノールを投与中の高血圧患者で随時尿中UA/Crが0.5未満を示し、排泄低下が疑われた15症例において薬剤を排泄促進薬のベンズブロマロンに切り替えたわれわれの検討では、随時尿中UA/Crは0.31から0.51へと有意に上昇し、血清尿酸値も7.3mg/dLから4.7mg/dLへと有意に低下した6)。ベンズブロマロン服用者(平均用量39mg/日)はアロプリノール服用者(平均用量106mg/日)に比し、血清尿酸値が低く(5.6±1.1 vs. 6.6±0.8mg/dL、p<0.01)ガイドラインが提唱する管理目標値≦6mg/dLの達成頻度も61.7%とアロプリノール服用者(18.2%)より高かった2)(本誌p.38図を参照)。これらの結果は、高血圧合併高尿酸血症の治療において尿酸排泄促進薬であるベンズブロマロンがより有用であることを示唆している。ただベンズブロマロンは尿酸排泄量が増加し、尿路結石のリスクが高くなるため、尿のアルカリ化が必要であること、腎機能低下例では作用が減弱するため、アロプリノールを使用するか、両者の少量併用を検討する必要があることに留意する。(4) 尿酸コントロールの目標高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは、尿酸降下薬による治療の目標値として血清尿酸値6.0mg/dL以下に維持することが望ましいとしている(本誌p.35図を参照)。確かに痛風患者の再発予防の観点からは6.0mg/dL以下にすることの根拠が示されているが7)、心血管疾患リスクとしての管理目標は明確でない。本態性高血圧患者を対象とした治療介入試験であるLIFE試験において、血清尿酸値は全体の平均5.6±1.3mg/dLからアテノロール群で0.8±1.2mg/dL、ロサルタン群で0.3±1.2mg/dL上昇しているが、6.0mg/dL前後であっても血清尿酸値上昇により心血管病発症リスクが増加することが示されており8)、高血圧患者における積極的な尿酸管理の重要性が示唆される。心臓手術を受けた高尿酸血症患者(血清尿酸値≧8mg/dL)141例を対象として、フェブキソスタット群とアロプリノール群に無作為に割り付け、血清尿酸値6.0mg/dL以下を目標として治療を行ったNU-FLASH試験における投与6か月後の血清尿酸値6.0mg/dL以下達成率は、フェブキソスタット群で95.8%と、アロプリノール群の69.6%に比し有意に高率であった9)。さらに、フェブキソスタット群では、投与1か月後からeGFRの有意な増加を認めている。このことは、血清尿酸値6.0mg/dL以下を目指した治療が腎機能保持の観点からも有用であることを示唆している。一方、尿酸は強力な抗酸化作用を有していることから、低値であることも心血管疾患リスクとなる報告が散見されており10)、“the lower, the better”とはいえない可能性がある。現時点では血清尿酸値4~6mg/dLが最もリスクの低い値と推測される。女性は血清尿酸値が男性に比し低値であるが、心血管疾患リスクとしての関与は男性より強いことが報告されていることから11, 12)、女性においてはより厳格なコントロールが望ましい可能性がある。おわりに高尿酸血症の心血管疾患リスクとしての意義を認識し、他のリスク因子とともに管理することが重要である。今後、心血管疾患リスクとしての高尿酸血症の治療開始基準および管理目標について検討する臨床試験が望まれる。文献1)冨田眞佐子ほか. 高尿酸血症は増加しているか?性差を中心に. 痛風と核酸代謝 2006; 30: 1-5.2)榊美奈子ほか. 降圧薬服用者における尿酸管理の現状. Gout and Nucleic Acid Metabolism 2013; 37:103-109.3)日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版, メディカルレビュー社,東京, 2010.4)宮田恵里ほか. 高血圧患者における高尿酸血症の実態と尿酸動態についての検討. 血圧 2008; 15: 890-891.5)大田祐子ほか. 高尿酸血症合併高血圧患者における高尿酸血症の慣習的病型分類の有用性について. 痛風と核酸代謝 2012; 36: 9-13.6)大田祐子ほか. 高尿酸血症合併高血圧患者におけるアロプリノールからベンズブロマロンへの変更の有用性. 血圧2008; 15: 910-912.7)Shoji A et al. A retrospective study of the relationship between serum urate level and recurrent attacks of gouty arthritis; Evidence for reduction of recurrent gouty arthritis with antihyperuricemic therapy. Arthritis Rheum 2004;51: 321-325.8)Hoieggen A et al. LIFE Study Group: The impact of serum uric acid on cardiovascular outcomes in the LIFE study. Kidney Int 2004; 65: 1041-1049.9)Sezai A et al. Comparison of febuxostat and allopurinol for hyperuricemia in cardiac surgery patients (NU-FLASH Trial). Circ J 2013; 77: 2043-2049.10)Verdecchia P et al. Relation between serum uric acid and risk of cardiovascular disease in essential hypertension ; PIUMA study. Hypertension 2000; 36: 1072-1078.11)Iseki K et al. Significance of hyperuricemia as a risk factor for developing ESRD in a screened cohort. Am J Kidney Dis 2004; 44: 642-650.12)Holme I et al. Uric acid and risk of myocardial infarction, stroke and congestive heart failure in 417,734 men and women in the Apolipoprotein MOrtality RISk study (AMORIS). J Intern Med 2009; 266: 558-570.

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運動する女性はスポーツブラをつけるべき?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第48回

運動する女性はスポーツブラをつけるべき? 足成より使用 あまり詳しくありませんが、小学生のころ、女の子はスポーツブラというものをつけるのだと聞いたことがあります。え?違う?まぁ正否はどちらでもよくてですね、今回はスポーツブラに関する話題を取り上げたいワケです。ちなみに私はブラジャーに詳しくありません! Wikipediaによれば、「通常のブラジャーは、乳房の形を美しく整えるためにつくられている。しかし、スポーツ・体育授業など運動時に肩ひもやアンダーバスト部がずれやすく、また、布地の重なりによる熱さで、着用者が不快に感じることがある。さらに、乳房が激しく揺れると、クーパー靭帯を痛め乳房の下垂の原因となることがある。そこで乳房のサポート効果が高いスポーツブラが使用される」と記載されています。ブラジャーにも乳房にもまったく無縁の私にとっては何のこっちゃよくわかりません。 Bowles KA, et al. Do current sports brassiere designs impede respiratory function? Med Sci Sports Exerc. 2005;37:1633-1640. さて、22人の女性がブラジャーを装着せずに呼吸機能検査を受けました。その後、ブラジャーを装着した状態と装着していない状態でエルゴメーターを、またスポーツブラ、ファッションブラを装着した状態と装着していない状態でトレッドミルや呼吸機能検査を受けてもらいました。そして、ブラジャーの圧力やその圧迫感を調べました。その結果、胸の小さな女性の場合、スポーツブラはファッションブラと比較してより圧力が大きいという結果でした(0.861±0.247N/cm2 vs.0.672±0.254N/cm2)。つまり、締め付けが大きいということですね。しかしながらこのブラジャーの圧力の増加は、呼吸機能や不快感への影響はなかったそうです。ふむふむ。というワケで、運動するときにジャマとされているブラジャーですが、ほとんど問題ないという結論になりました。乳首の痛みを予防するためにニプレスをつけて運動する人もいるかと思いますが、スポーツブラでもその乳首の痛みを軽減できることが知られています(Hadi MS. Breast J. 2000;6:407-409.)。男性のプロスポーツ選手はさすがにスポーツブラをつけるワケにはいきませんので、ニプレスを使っている人が多いようですね。インデックスページへ戻る

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心肺蘇生への市民介入で後遺症のない生存が増大/JAMA

 日本において2005~2012年に、居合わせた市民(バイスタンダー)による胸骨圧迫およびAEDを用いた除細動の実施率は上昇し、神経学的後遺症のない生存の増大と関連していることが、帝京大学救急医学講座の中原慎二氏らによる全国データの調査分析の結果、明らかにされた。日本の院外心停止(OHCA)後の神経学的後遺症のない生存については、増大が報告されていたが、入院前処置との関連(バイスタンダー介入と生存における増大など)についてはこれまで十分な検討はされていなかった。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告。消防庁収集のOHCAデータを分析 本検討は、2005年1月より消防庁が収集を開始した全国OHCAレジストリ(All-Japan Utstein Registry)のデータを分析したものである。レジストリには、OHCAを発症し救急隊により病院へ搬送された全患者が登録され、患者の特性、入院前介入、転帰が記録されている。 研究グループは同データから2005年1月~2012年の間に、心原性心停止と推測されバイスタンダーによるOHCAに対する介入が確認された患者16万7,912例について分析評価を行った。バイスタンダーによる入院前介入は、公共のAEDを用いた除細動と胸骨圧迫などであった。 主要評価項目は、OHCAから1ヵ月後または退院時点における神経学的後遺症のない生存で、グラスゴー・ピッツバーグ脳機能カテゴリスコア1または2と、全身機能カテゴリスコア1または2と定義した。介入と神経学的後遺症のない生存との関連も評価した。後遺症のない生存、バイスタンダーのみの除細動は救急隊のみ除細動の2.24倍 心原性心停止と推測されバイスタンダー介入が確認されたOHCA数は、2005年の1万7,882件(10万人当たり14.0件、95%信頼区間[CI]:13.8~14.2件)から、2012年は2万3,797件(同18.7件、18.4~18.9件)に増加し、神経学的後遺症のない生存は、587例(年齢補正後の割合:3.3%、95%CI:3.0~3.5%)から1,710例(同:8.2%、7.8~8.6%)に増加していた。 バイスタンダー胸骨圧迫の実施率は38.6%から50.9%へ、バイスタンダーのみの除細動は0.1%から2.3%に増え、バイスタンダー+救急隊の両者による除細動は0.1%から1.4%に増えた。一方で救急隊のみの除細動は26.6%から23.5%に減少していた。 バイスタンダー胸骨圧迫の実施では未実施と比較して、神経学的後遺症のない生存の増大が認められた(8.4%[6,594生存/7万8,592例] vs.4.1%[3,595生存/8万8,720例]、オッズ比[OR]:1.52、95%CI:1.45~1.60)。 また、救急隊のみの除細動(15.0%[6,445生存/4万2,916例])と比較して、バイスタンダーのみの除細動(40.7%[931生存/2,287例])のほうが神経学的後遺症のない生存の増大と関連していた(OR:2.24、95%CI:1.93~2.61)。同様の増大の関連はバイスタンダー+救急隊による除細動(30.5%[444生存/1,456例])でもみられた(OR:1.50、95%CI:1.31~1.71)。一方で、除細動未実施(2.0%[2,369生存/12万653例])では低下が認められた(OR:0.43、95%CI:0.39~0.48)。

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H7N9インフルワクチン、最も力価が高まる製剤は?/JAMA

 不活化単価H7N9インフルエンザワクチンについて、AS03およびMF59アジュバント製剤の2回接種が免疫応答を高めること、最も高力価を示したのはAS03アジュバント製剤であったことが、米国・Group Health Research InstituteのLisa A. Jackson氏らによる第II相二重盲検無作為化試験の結果、報告された。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告より。2種のアジュバントありなしや混合接種などについて免疫原性と安全性を評価 研究グループは、不活化単価H7N9インフルエンザワクチンの免疫原性と安全性について、AS03アジュバントありなしならびに接種スケジュールを混合、またアジュバント製剤と非アジュバント製剤を比較する評価を行った。 試験は、米国5地点で2013年9月~2013年11月に、19~64歳の成人980例を登録して行われた。安全性については2015年1月まで追跡した。 被験者へのH7N9ワクチン接種は、回数は0、21日の2回、名目接種用量は3.75、7.5、15、45μgの各用量にて行われ、AS03またはMF59アジュバントのありなし、接種の混合(1回目と2回目で異なるアジュバント製剤を接種など)が行われた。 主要評価項目は、2回接種後21日時点で赤血球凝集抑制抗体(HIA)力価が40超に達した患者の割合とした。また、初回接種から12ヵ月間のワクチン関連の重大有害事象、7日間でみられた反応や症状を調べた。AS03アジュバント製剤2回接種が最も高力価 結果、2回接種により患者の大半で抗体価検出が可能となった。 40超のHIA力価達成割合は、いずれも15μg量2回接種の、アジュバントなし製剤で2%(95%信頼区間[CI]:0~7%、94例)に対し、AS03アジュバントあり製剤は84%(同:76~91%、96例)、MF59あり製剤は57%(同:47~68%、92例)であった(AS03およびMF59の比較のp<0.001)。 AS03およびMF59アジュバントを混合接種した場合は、幾何学平均力価(GMT)の低下が認められた。1回目にAS03アジュバントを接種し2回目にMF59アジュバントを接種した場合(92例)の接種後21日時点のGMTは41.5(95%CI:31.7~54.4)であった。また、1回目MF59アジュバント、2回目AS03アジュバントの場合(96例)は58.6(同:44.3~77.6)で、いずれも2回ともAS03アジュバントを接種した場合(96例、103.4、95%CI:78.7~135.9)よりも有意に低値であった(p<0.001)。しかし、2回ともMF59アジュバントを接種した場合(94例、29.0、22.4~37.6)と比べると有意に高値であった(p<0.001)。 結果を踏まえて著者は、「今回の試験結果は、接種で混合した場合を含む2つのアジュバントを用いたインフルエンザワクチン製剤について、インフルエンザパンデミック準備プログラムに有益な免疫原性情報を提供するものである」とまとめている。

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夜間高血圧とRAの疾患活動性は関連があるか

 夜間高血圧と関節リウマチ(RA)の全身性炎症はともに独立した心血管疾患の予測因子であるが、夜間高血圧と関節リウマチの疾患活動性にどんな関連があるのかは、ほとんど知られていない。 そこで、大阪市立大学の濱本 佳恵氏らは71例のRA患者に対して24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を行い、夜間血圧の下降度合いと関節リウマチの疾患活動性について関連性を調査した。さらに71例のうち、同意が得られた25例について、4週間のリウマチ治療介入後に夜間血圧の下降度合いが改善したかどうか評価するためにABPMを再度行った。 その結果、関節リウマチの疾患活動性が高いほど夜間血圧の下降度合いが小さいことがわかった。 主な結果は以下のとおり。・71例のDAS28-CRPは4.8±1.6、夜間血圧の下降度合いは5.6±8.9%。・DAS28-CRPは夜間血圧の下降度合いと有意かつ独立して逆相関している(標準偏回帰係数β=-0.388、p=0.004)。・25例のDAS28-CRPはリウマチ治療介入後5.4±1.1から3.5±0.8(p<0.0001)と有意に下降した。・夜間収縮期血圧は121.2±22.5mmHgから112.5±18.8mmHg(p=0.02)と有意に下降し、夜間血圧の降下度合いは4.5±9.2%から10.6±5.8%(p=0.002)と有意に上昇した。・日中の血圧とは無関係であることがわかった。

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妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は

 妊娠初期の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)曝露と先天性心欠損との関係を示すエビデンスにより、ベネフィットとリスクを慎重に勘案するとの推奨がなされている。妊娠初期のSSRI曝露が、胎児における特定の先天性心欠損(CHD)あるいは先天性奇形(CA)に関連しているか否かを、英国・アルスター大学のAnthony Wemakor氏らが検討した。その結果、妊娠第1期のSSRI曝露はCHD全般と関連しており、とくにファロー四徴症やエプスタイン奇形といった重篤なCHDのほか、肛門・直腸閉鎖/狭窄、腹壁破裂、内反足などのCAとも有意に関連することを報告した。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2015年7月7日号の掲載報告。 研究グループは、妊娠第1期のSSRIへの曝露と、それに関連して文献的(指摘)に認められている特定のCHDや他のCAとの関係の特異性を明らかにする検討を行った。1995~2009年の210万例の出産(生児出産、妊娠20週後の胎児死亡、胎児奇形を理由とする妊娠停止を含む)をカバーする12のEUROCAT CA登録において、奇形児の住民ベース症例対照研究を実施した。特異的CHDを有する新生児/胎児(1万2,876例)および非CHDの先天異常を有する新生児/胎児(1万3,024例)を、対照(1万7,083例)と比較した。対照は、文献的にSSRIとの関係がないと判断されたCAとした。 主な結果は以下のとおり。・妊娠第1期のSSRI曝露は、CHD全般と関連していた(レジストリ調整OR:1.41、95%信頼区間[CI]:1.07~1.86、フルオキセチン調整OR:1.43、95%CI:0.85~2.40、パロキセチン調整OR:1.53、95%CI:0.91~2.58)。・また、重篤なCHD(調整OR:1.56、95%CI:1.02~2.39)、特にファロー四徴症(同:3.16、1.52~6.58)およびエプスタイン奇形(同8.23、2.92~23.16)との関連性が認められた。・SSRI曝露との有意な関連は、肛門・直腸閉鎖/狭窄(調整OR:2.46、95%CI:1.06~5.68)、腹壁破裂(同:2.42、1.10~5.29)、腎異形成(同:3.01、1.61~5.61)、内反足(同:2.41、1.59~3.65)においても認められた。・これらのデータは、SSRIが一部の奇形に対し特定の催奇形性を有することを支持するものであった。ただし、本データでは適応症あるいは関連因子による交絡を除外できていなかった。関連医療ニュース 妊娠初期のうつ・不安へどう対処する 抗うつ薬と妊娠中絶との関連は なぜSSRIの投与量は増えてしまうのか  担当者へのご意見箱はこちら

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急速な経年的1秒量低下はCOPD発症の必須要素か?(解説:小林 英夫 氏)-393

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、1秒量の経年的低下が正常者より急速であるという見解が従来の定説だった。1977年にFletcher氏によって報告され、その後、改変図がさまざまに引用されてきた1)。筆者もFletcher説を学び、厚労省サイトにも掲載されている。今回のLange論文は定説であったFletcher論文に一石を投じたもので、強い印象を与える。COPD発症には、当初からの1秒量(FEV1)低値も重要であって、急速なFEV1減少だけが必須の特性とは限らないと、コペンハーゲン大学 Peter Lange氏らは結論している。 Fletcher 論文を再検討すると、対象が全例「男性」で、年齢30~59歳の1,136例がエントリーされ、792例を8年間観察、25歳時の1秒量を100%として経時的低下をパーセント表示し、解析や算出方法の詳細は記載されていないのである。時代が異なるため、現在の推計学的基準からはいくつか問題点も指摘できよう。 そこで、Lange氏らは、FEV1の低下率が正常範囲であっても、成人早期の呼吸機能が低下していれば、加齢に伴いCOPDを発症する可能性がある、との仮説を前向き検証した。3つの別コホート研究(FOC、CCHS、LSC)のデータを用いたもので、3研究ともに1,000症例以上、また、FOCとCCHSは40歳以下の登録者を平均20年以上追跡している。LSCは50歳代の症例を平均5年追跡し、男性が2割しか含まれていないなど、前2者とは対象内容が大きく異なる。 登録開始時の%FEV1を2別化(80%以上、80%未満)し、最終受診時のCOPD有無でも2別化した全4群において、FEV1の経時的低下率を評価した。登録総数は4,397例、半数が喫煙者で最終観察時にも約2割が喫煙中だった。最終受診時のCOPD発症者は495例で、COPDの診断基準は、GOLD (Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)スコアで2以上、呼吸機能検査で%1秒量80%未満かつ1秒率70%未満である。また、1秒量低下が年40mL 以上を迅速低下、未満を正常低下と定義している。 主目的である1秒量経時的低下の解析は、FOCとCCHSから算出された。平均観察22年で、40歳以前のFEV1が予測値の80%未満であった657例中174例(26%)がCOPDを発症し、80%以上であった2,207例からのCOPD発症158例(7%)であり、“成人早期”のFEV1低値集団で発症が多かった(p<0.001)。COPD発症332例中、登録時1秒量正常の158例は、その後平均53±21mL/年で急速に1秒量が低下した。登録時1秒量低値174例は、喫煙曝露は同程度であったにもかかわらず、その後のFEV1低下は平均27±18mL/年で、FEV1正常集団よりも緩徐であった(p<0.001)。これらの結果に基づきLange氏らは、COPDの約半数はFEV1の低下速度が正常かつ成人早期のFEV1が低値であるので、FEV1の急速低下がCOPD発症の必須特性ではないと示唆された、と結論した。 本論文は、COPD発症には1秒量の「低下速度」と「初期値」の2要素が関係しており、COPD発症は単一機序によるものではないことを提示している。下の図はFletcher論文の図にLange論文の結果を追加したものである。 彼らの結果には類似論文が存在し、重篤なCOPD患者においてFEV1がばらつくことや、経年低下が予想より小さい場合があることが報告されている。本論文は症例数や追跡期間などは秀逸だが、3つの研究を検討しているのに2つだけを対象とした解析、対象母数が一定しない、“成人早期”と和訳した対象に20歳代を含まないなどの問題がある。また、1秒量40mL/年以上の低下を迅速と定義しているが、絶対的基準かどうかなど検討の余地はあるが、20歳代からの呼吸機能追跡が加わりlead-timeバイアスが解消されれば、新たな定説となりうるのではないだろうか。

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よくある質問【Dr. 中島の 新・徒然草】(079)

七十九の段 よくある質問 患者 「今度、何十年かぶりにきょうだいで故郷の石川県に行こうと思うのですが、大丈夫でしょうか?」 中島 「『大丈夫でしょうか』というのは、『急な病気で倒れたりしないか』ということですか」 患者 「ええ」 ある日の外来診察室での出来事。半年おきくらいにフォローしている80代の女性患者さんから旅行の可否について尋ねられたのです。 中島 「う~ん。〇〇さんが85歳ですから、ごきょうだいも皆80代ですよね」 患者 「そうなんですよ」 中島 「ということは、行った先で御本人やきょうだいの誰かが倒れることも十分にあるんじゃないかな」 患者 「ええっ!そんなあ」 読者の皆さんもよく尋ねられる質問だと思います。適当に「大丈夫ですよ」と言っておけばいいのですが、つい真面目に答えてしまい、墓穴を掘ってしまうパターン。 中島 「倒れたところが外国だとか、高い山の上だったら困りますけど、普通の街中だったら問題ないでしょう。とりあえず病院に連れていって」 患者 「……」 中島 「それでも駄目だったら諦めるしかないでしょう」 患者 「諦めるしかないって……先生」 もはや真剣に説明するのみ。 中島 「80代が何人かで移動するわけですから、倒れる人が出ても不思議ではありません。だから、『何かあったらどうしよう』と心配するよりも、『もし誰かが急病になったら救急車を呼ぼう。それで駄目なら諦めよう』と心づもりをしておくほうが現実的じゃないでしょうか」 患者 「確かに……年齢に不足があるわけじゃないですし」 ようやく患者さんも自分たちをとりまく現実に気付いてくれました。 中島 「全員無事に帰ってこられたら、その時は神様仏様に感謝しましょう」 患者 「そうですね」 中島 「万一、旅先で亡くなったとしても、国内だったら後の手配も何とかなりますけど、外国だったら大変ですよ、きっと」 患者 「そりゃそうです」 人ひとり死ぬことがどんなに大変なことか……言うまでもないことです。 中島 「ということで、次の再診は、石川県から帰ってきた後ですね」 患者 「ええ」 中島 「故郷に帰れるのも体が動くうちですよ。ぜひ無事に大阪に戻ってきてください」 患者 「ええ、ありがとうございます」 「何かあったらどうしよう?」から「うまく帰れたらラッキー!」と前向きになっていただけたようです。何事も考え方ひとつですね。最後に1句年とれば 歩けるうちに ふるさとへ

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ピオグリタゾンのがんリスクを検討~20万人のコホート試験/JAMA

 ピオグリタゾン(商品名:アクトスほか)の使用は、膀胱がんリスク増大と有意な関連は認められなかったが、がんリスクを除外することはできないことを、米国・ペンシルベニア大学のJames D. Lewis氏らが、約20万人について行ったコホート試験の結果、報告した。前立腺がんおよび膵臓がんリスク増大との関連が示され、著者は「さらなる検討を行い、それらの関連性に因果関係があるのか、偶然によるものか、残余交絡や逆相関についても調べる必要がある」とまとめている。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告。膀胱がん、その他10種類のがん発症リスクとの関連を追跡 研究グループは、米国のカイザー・パーマネンテ北カリフォルニアのデータベースから、1997~2002年時点で40歳以上の糖尿病患者19万3,099例(膀胱がんコホート)について、2012年12月まで追跡し、ピオグリタゾン使用と膀胱がんリスクについて分析した。 さらに、膀胱がんほか、前立腺がん、女性の乳がんや、肺(気管支含む)、子宮体、結腸、非ホジキンリンパ腫、膵臓、腎臓/腎盂、直腸、メラノーマの10種類のがんリスクとの関連について、40歳以上の糖尿病患者23万6,507例について、1997~2005年から2012年6月まで追跡した。ピオグリタゾン、前立腺がんを1.13倍、膵臓がんを1.41倍に 膀胱がんコホートのうちピオグリタゾンを服用したことのある人は、3万4,181例(18%)で、服用期間中央値は2.8年だった。そのうち膀胱がんを発症した人は1,261例で、ピオグリタゾン使用者の膀胱がん粗発生率は89.9/10万人年に対し、非使用者では75.9/10万人年だった。ピオグリタゾン使用者は非使用者と比べて、膀胱がん発症リスクの増大は認められなかった(補正後ハザード比:1.06、95%信頼区間[CI]:0.89~1.26)。 結果は、ケースコントロール解析でも同様であった(ピオグリタゾン使用:症例患者群19.6%、対照群17.5%、補正後オッズ比1.18、95%CI:0.78~1.80)。 補正後解析において、その他10種類のがんのうち8種類では、ピオグリタゾン使用により発症リスク増大はみられなかったが、前立腺がん(ハザード比:1.13、95%CI:1.02~1.26)と膵臓がん(同:1.41、1.16~1.71)では増大がみられた。使用者 vs.非使用者の粗発生率は、10万人年当たり前立腺がんが453.3 vs.449.3人年、膵臓がんが81.1 vs.48.4人年だった。

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腹部大動脈瘤での生存率、血管内治療 vs.開腹術/NEJM

 腹部大動脈瘤への血管内治療は、開腹術に比べ、周術期死亡率は低いものの、長期生存率は同等であることが長期追跡試験で判明した。また血管内治療後の動脈瘤破裂率は、開腹術より高かった。さらに血管内治療後2年間の再介入率は、ここ8年で減少傾向にあるなど、同治療アウトカムの改善が認められたという。米国・ベスイスラエルディーコネス医療センターのMarc L. Schermerhorn氏らが、腹部大動脈瘤で血管内修復治療または開腹術を受けたメディケア受給者、約4万例のマッチング・ペアについて調べ明らかにした。NEJM誌2015年7月23日号掲載の報告より。血管内治療と開腹術を傾向スコアマッチングで比較 研究グループは、メディケア受給者の中から、2001~2008年に腹部大動脈瘤の修復手術を受け2009年まで追跡可能だった被験者について評価を行った。血管内治療を受けた群と開腹術の群について、周術期・長期生存、再手術、合併症のそれぞれの発生率について、傾向スコアをマッチングして比較した。 被験者となった血管内治療・開腹術を受けた患者は、3万9,966組だった。周術期死亡率、血管内治療・開腹術ともに8年間で減少 結果、周術期死亡率は、開腹術群が5.2%に対し、血管内治療群は1.6%と有意に低率だった(p<0.001)。 生存率については、追跡当初3年間は、血管内治療群が開腹術群に比べ有意に高率だったものの、その後の生存率は同等だった。 2001~2008年にかけて、周術期死亡率は、血管内治療群で0.8ポイント、開腹術群では0.6ポイント、それぞれ有意に低下した(それぞれp=0.001、p=0.01)。さらに血管内治療から開腹術への移行率については、2001年の2.2%から2008年の0.3%へと有意に低下した(p<0.001)。 追跡期間8年間において、動脈瘤やその合併症の管理に関する介入の発生率は、血管内治療群のほうが高かった。開腹術群では、開腹術関連の合併症に対する介入が多くみられた。追跡期間の動脈瘤破裂率は血管内治療群が5.4%に対し、開腹術群では1.4%だった(p<0.001)。 なお、血管内治療後2年間の再介入発生率は、2001年の10.4%から、2007年には9.1%へと、減少傾向が認められた。

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リパスジル、既存薬との併用療法の有効性確認

 新規Rhoキナーゼ阻害薬のリパスジル塩酸塩水和物(K-115)(商品名:グラナテック)は、単独療法において眼圧下降効果と良好な安全性プロファイルが認められている。熊本大学 眼科学分野教授の谷原 秀信氏らは、他の緑内障治療薬との併用療法を検討する2件の多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検群間比較試験を行い、チモロールまたはラタノプロストへの併用においても眼圧下降効果が認められることを示した。ただし、ラタノプロストへの併用の効果は朝点眼直前(トラフ値)ではみられなかった。JAMA Ophthalmology誌2015年7月1日号の掲載報告。 研究グループは、原発開放隅角緑内障(POAG)または高眼圧症(OH)患者においてリパスジル0.4%をチモロール0.5%またはラタノプロスト0.005%と併用点眼したときの眼圧下降効果と安全性を検討した。 対象は、チモロールまたはラタノプロスト単独療法を行っても眼圧18mmHg以上のPOAGまたはOH患者それぞれ208例および205例。どちらもリパスジル併用群またはプラセボ併用群に無作為化し、リパスジルまたはプラセボを1日2回、チモロールまたはラタノプロストに追加して8週間点眼した 朝点眼直前(午前9時)と点眼2時間後(午前11時)のベースラインからの眼圧変化量を、リパスジル併用群とプラセボ併用群とで比較し、4、6、8週の3時点を繰り返し時点とした反復測定分散分析を行った。主な結果は以下のとおり。・リパスジル+チモロール併用試験:平均眼圧変化量は、朝点眼直前がリパスジル併用群-2.4mmHg、プラセボ併用群-1.5mmHg、群間差0.9mmHg(95%信頼区間[CI]:0.4~1.3、p<0.001)、点眼2時間後がそれぞれ-2.9mmHgおよび-1.3mmHg、群間差1.6mmHg(同:1.1~2.1、p<0.001)であった。・リパスジル+ラタノプロスト併用試験:平均眼圧変化量は、朝点眼直前がリパスジル併用群-2.2mmHg、プラセボ併用群-1.8mmHg、群間差0.4mmHg(同:0.0~0.9、p=0.06)、点眼2時間後がそれぞれ-3.2mmHgおよび-1.8mmHg、群間差1.4mmHg(同:0.9~1.9mmHg、p<0.001)であった。・最も頻度の高かった副作用は結膜充血であったが、すべて軽度であり、ほとんどが次の点眼前に無処置にて回復した。

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ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

 ベンゾジアゼピン系薬およびZ薬(ゾピクロン、ゾルピデム、ゼレプロン)の長期使用例における投与中止戦略について、カナダ・ダルハウジー大学のAndre S. Pollmann氏らはscoping reviewを行って検討した。その結果、多様な戦略が試みられており、その1つに漸減があったがその方法も多様であり、「現時点では複数の方法を組み合わせて処方中止に持ち込むことが妥当である」と述べている。鎮静薬の長期使用が広く行われているが、これは転倒、認知障害、鎮静状態などの有害事象と有意に関連する。投与中止に伴いしばしば離脱症状が出現するなど、依存症の発現は重大な問題となりうることが指摘されていた。BMC Pharmacology Toxicology誌2015年7月4日号の掲載報告。 研究グループは、地域在住成人のベンゾジアゼピン系薬およびZ薬長期使用に対する投与中止戦略について、scoping reviewにより文献の位置付けと特徴を明らかにして今後の研究の可能性を探った。PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、EMBASE、PsycINFO、CINAHL、TRIP、JBI Ovid のデータベースを用いて文献検索を行い、grey literatureについても調査を行った。選択文献は、地域在住成人におけるベンゾジアゼピン系薬あるいはZ薬の投与中止方法について言及しているものとした。 主な結果は以下のとおり。・重複を除外した後の文献2,797件について適格性を検証した。これらのうち367件が全文評価の対象となり、最終的に139件がレビューの対象となった。・74件(53%)がオリジナル研究で、その大半は無作為化対照試験であり( 52件[37%])、58件(42%)がnarrative review、7件(5%)がガイドラインであった。・オリジナル研究の中では、薬理学的戦略が最も多い介入研究であった( 42件[57%])、その他の投与中止戦略として、心理療法、(10件[14%])、混合介入(12件[16%])、その他(10件[14%])が採用されていた。・多くは行動変容介入が併用されており、その中には能力付与による可能化(enablement)(56件[76%])、教育(36件[47%])、訓練(29件[39%])などが含まれていた。・多くの研究、レビュー、ガイドラインに漸減という戦略が含まれていたが、その方法は多様であった。関連医療ニュース 長期ベンゾジアゼピンの使用は認知症発症と関係するか 抗精神病薬の単剤化は望ましいが、難しい メラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか  担当者へのご意見箱はこちら

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乳がん術後のリンパ節領域照射追加、全生存率を改善せず/NEJM

 リンパ節転移陽性または高リスクのリンパ節転移陰性の乳がん術後に行う放射線治療において、全乳房照射にリンパ節領域照射を追加しても、全生存の改善は認められなかったことが明らかにされた。乳がん再発率は低下した。カナダ・ジューラビンスキーがんセンターのTimothy J Whelan氏らが、無作為化試験の結果、報告した。乳房温存手術を受けた乳がん女性患者の多くが、全乳房照射を受けているが、研究グループは、追加してリンパ節領域照射を行うことで転帰が改善するのか調べた。NEJM誌2015年7月23日号掲載の報告。1,832例を対象に無作為化試験 試験は、リンパ節転移陽性または高リスクのリンパ節転移陰性の女性を対象に行われた。被験者は、乳房温存手術を受け、全身的補助療法を受けていた。 全乳房照射+リンパ節領域照射(胸骨傍リンパ節、鎖骨上リンパ節、腋窩リンパ節を含む)を行う(リンパ節照射)群と、全乳房照射のみを行う(対照)群に無作為に割り付けて追跡した。 主要アウトカムは全生存率とし、副次アウトカムは、無病生存率、孤立性局所無病生存率、遠隔無病生存率などであった。 2000年3月~2007年2月の間に、合計1,832例の女性が、リンパ節照射群または対照群(各群916例)に割り付けられた。リンパ節照射群の全生存率HRは0.91で有意差なし 追跡期間中央値は9.5年であった。10年フォローアップ時点で、両群の全生存率に統計的な有意差はみられなかった。リンパ節照射群82.8%、対照群81.8%でハザード比(HR)は0.91(95%信頼区間[CI]:0.72~1.13、p=0.38)。 無病生存率は、それぞれ82.0%、77.0%であった(HR:0.76、95%CI、0.61~0.94、p=0.01)。 有害事象については、リンパ節照射群の患者のほうが、グレード2以上の急性肺炎(1.2% vs.0.2%、p=0.01)、リンパ浮腫(8.4% vs.4.5%、p=0.001)が有意に多くみられた。

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神経障害性疼痛に対するミルナシプランのエビデンスは?

 ミルナシプランはセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるが、慢性神経障害性疼痛や線維筋痛症の治療に用いられることがある。英国・オックスフォード大学のSheena Derry氏らは、慢性神経障害性疼痛に対するミルナシプランの鎮痛効果および安全性についてシステマティックレビューを行った。その結果、ミルナシプランの使用を支持するエビデンスはないことを報告した。本報告は、慢性神経障害性疼痛および線維筋痛症を対象とした以前のシステマティックレビュー(Cochrane Library Issue 3、2012)のアップデートで、今回は神経障害性疼痛と線維筋痛症に分けてシステマティックレビューを行った。Cochrane Database of Systematic Reviews誌オンライン版2015年7月6日号の掲載報告。 研究グループは、慢性神経障害性疼痛患者においてミルナシプランとプラセボまたは他の実薬とを比較した8週間以上の無作為化二重盲検試験について、2015年2月23日時点でCENTRAL、MEDLINEおよびEMBASEを用いて論文を検索するとともに、参考文献やレビューも調査した。 2人の研究者が独立して検索および有効性と安全性のデータを抽出し、研究の質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・該当した論文は、神経障害性疼痛を伴う慢性腰痛患者40例を対象とした1件のみだった。・ミルナシプラン100mg~200mg/日とプラセボとで、6週後の疼痛スコアに差は認められなかった(エビデンスの質:非常に低い)。・有害事象の発現率は両群間で類似していたが、結論付けるにはデータがあまりに少なかった(エビデンスの質:非常に低い)。

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喫煙でCKD患者の死亡リスクが大幅に上昇

 慢性腎臓病(CKD)と喫煙が心血管疾患に及ぼす複合的な影響度や性質については、ほとんど知られていない。これらを日本人集団で検討するために、北海道大学の中村 幸志氏らは、8コホート研究に登録された40~89歳の男性1万5,468人および女性1万9,154人のプール分析を行った。その結果、CKDと喫煙が重なると、全死因および心血管疾患による死亡リスクが大幅に上昇する可能性が示唆された。Kidney International誌オンライン版2015年7月22日号に掲載。 全死因および心血管疾患による死亡リスクは、ベースライン時点におけるCKDの有無(非CKDまたはCKD)と喫煙習慣(非喫煙、元喫煙、現在喫煙)で、6つの性別特異的カテゴリーで比較した。CKDは推定糸球体濾過量が60mL/分/1.73m2未満あるいはdipstickで蛋白尿の場合と定義し、それぞれのカテゴリーで非CKDかつ非喫煙者と比べたハザード比を推定した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間(平均14.8年)の間に6,771人が死亡し、そのうち心血管疾患によるものが1,975人であった。・全死因および心血管疾患による粗死亡率は、男女とも、「CKDかつ現喫煙者」が最も高く、「CKDかつ元喫煙者」が2番目に高かった。・年齢や他の主要心血管リスク因子について調整後、CKDかつ現喫煙者のハザード比は、全死因死亡では男性2.26(95%信頼区間:1.95~2.63)、女性1.78(同:1.36~2.32)、心血管疾患による死亡では男性2.66(同:2.04~3.47)、女性1.71(同:1.10~2.67)であった。

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ドネペジルの効果が持続する期間は?:国内長期大規模研究

 これまで、アルツハイマー型認知症(AD)に関する研究は、長期的な大規模研究が非常に少なく、既存試験は通常、対象者数わずか数百例程度で実施されている。そのため、認知症機能評価別病期分類(FAST)により評価した、日常生活動作(ADL)の変化に関する詳細な調査はない。順天堂大学の新井 平伊氏らは、現在進行中のADに対するドネペジル塩酸塩の長期大規模観察研究(J-GOLD試験)の中間結果を発表した。著者らは「本研究は、日本におけるAD患者を対象とした最大規模の前向き研究であり、日常診療の実態を示す重要な研究である」としている。Psychogeriatrics誌オンライン版2015年6月26日号の報告。ドネペジルの効果で認知機能が有意に改善した期間 本研究は、AD患者におけるドネペジル長期投与による疾患状態の変化と安全性を評価することを目的とした。中間結果は、最大24ヵ月の収集されたデータより集計された。有効性は、FASTと認知機能検査(MMSEまたは改訂長谷川式簡易知能評価スケール)を用い評価した。 ドネペジル長期投与によるAD患者における疾患状態の変化と安全性を評価した主な結果は以下のとおり。・ドネペジル投与開始時(ベースライン)と比較してFASTステージが改善または維持されていた患者の割合は、6ヵ月時点で91.1%、12ヵ月時点で83.0%、18ヵ月時点で79.5%、24ヵ月時点で74.8%であった。・ドネペジル投与24ヵ月時点でのFASTの改善や維持または増悪に影響を与える要因を調査するため、多変量ロジスティック回帰分析を実施した結果、「認知症高齢者の日常生活における自立レベル」と「罹病期間」が同定された。・認知機能は、ベースラインと比較して、12週、6ヵ月時点で有意に改善し、12、18ヵ月時点ではベースラインレベルを維持していたが、24ヵ月時点では有意に低下していた。関連医療ニュース 認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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ピロリ菌に対する経口組み換え型ワクチンに関する第III相試験(解説:上村 直実 氏)-392

 胃潰瘍や十二指腸潰瘍および胃がんの最大要因であることが判明したピロリ菌に対する、経口組換え型ワクチンに関する大規模な第III相試験の結果が、中国から報告された。6~15歳の健康児童4,464例を対象とした、無作為化二重盲検プラセボ対照試験が行われた結果、接種後1年以内における新たなピロリ菌感染は、ワクチン摂取群2,199例中14例(0.63%)がプラセボ群2,204例中50例(2.24%)に比べて有意に低率であった。さらに、接種後3年間のワクチン摂取群の累積感染率(1.36%)もプラセボ群(3.86%)に比べて有意に低率であった。なお、獲得免疫評価に関する検討では、特異的な抗ウレアーゼBサブユニットの血清IgGと唾液中IgAの平均抗体価は、ベースラインでは両群で同等だったが、ワクチン接種後の3年時点までワクチン群が有意に高値であった。 日本人の多くは、免疫寛容状態である5歳未満にピロリ菌に感染して、ごく少数の例外を除き、学童期以降には感染しないものとされている。環境の異なる中国においては、6歳以上でも年間1%以上の感染が存在することが推測され、小児期におけるワクチンの有用性が高いことが示唆された。 わが国では若年者のピロリ菌感染率が激減しており、さらに2013年にはピロリ感染胃炎に対する除菌治療が保険適用となり、感染予防を目的としたワクチン接種の有用性が低下していることは確かである。しかし、世界中の約半数が感染していると推測されているピロリ菌に対する有効性の高いワクチンの開発は、非常に重要な課題であり、とくに感染率が高率のまま推移している開発途上国においては、本研究に使用されたワクチンの臨床的有用性に関しては大きな期待が抱かれるであろう。

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