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なぜ歯科医がじん肺になったのか?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第50回

なぜ歯科医がじん肺になったのか? 足成より使用 じん肺というのは、ご存じのとおり、粉塵に曝露された職歴がある患者さんに長い潜伏期間を経て発症する慢性呼吸器疾患です。肺内には粒状影や結節影がみられることが多く、有効な治療法はありません。アスベストを吸入したことがある患者さんに起こる石綿肺も、じん肺の一種ですね。 今回ご紹介するのは、日本語の症例報告です。え? 英語文献を紹介するんじゃないのかって? いやいや、たまには日本語の論文だって紹介します。 倉持 仁ほか. じん肺症と診断した歯科医の1 例. 日呼吸会誌. 2004;42:528-532. これは、私が所属する日本呼吸器学会の学会誌に掲載された11年前の症例報告です。じん肺と診断された歯科医師の話。皆さん、想像してみてください。長らく歯科医として働いてきた人が、じん肺と診断されてしまったんです。なぜでしょうか? 子供の頃に粉塵が舞う環境で育ったのでしょうか。それとも父親が粉塵曝露のひどい職場で働いていたのでしょうか。この症例報告に登場する歯科医師は74 歳の男性です。彼は、23歳から50年以上にわたり歯科医師として勤務していました。しかしながら、実は歯科技工作業にも従事しており、石膏や各種合金の粉塵に曝露されていたという経験がありました。歯科技工作業にはアルミニウム、シリカ、クロム、コバルトを用いることがあり、とくにアルミニウムとシリカが高頻度に検出されるのが歯科技工作業によるじん肺の特徴です1)。最近の教科書にはあまり記載されていませんが、“歯科技工士肺(dental technician’s pneumoconiosis)”は、実は古典的なじん肺の1つとされています。今では歯科技工技術も進歩し、また歯科医が直接技工に携わる機会も減っているようなので、こうした典型的な歯科技工士肺の患者さんに出会うことは少ないと思いますが、呼吸器内科診療では思わぬところにじん肺が隠れていることがあるので、「1に問診、2に問診」を心掛けています。1) Morgenroth K, et al. Pathol Res Pract. 1985;179:528-536.インデックスページへ戻る

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アジアの潜在的緑内障患者は60%、多くが中等度以上に進行

 緑内障は、かなり進行するまで自覚症状がないため潜在的な緑内障患者は多い。またアジアに多く、世界の緑内障患者の60%を占める。これまで緑内障患者の民族的な違いを検討した研究はなかったが、シンガポール・国立眼科センターのJacqueline Chua氏らは、中国人、インド人およびマレー人を対象としたシンガポール眼疾患疫学研究において、潜在的な緑内障患者はマレー人に多く、有病率に民族間で差がみられることを報告した。新たに原発性緑内障と診断された患者の約半数は、視野障害の重症度がすでに中等度以上であることも明らかになった。著者は、「潜在的な緑内障に関連した失明を減らすため費用対効果の優れる介入を実施するにあたり、こうした疫学データが役に立つだろう」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌2015年8月号の掲載報告。 シンガポール眼疾患疫学研究には、年齢が40~80歳の中国人3,353人(2009~2011年)、マレー人3,280人(2004~2006年)、インド人3,400人(2007~2009年)が参加した。 視野評価を含む眼検査により緑内障の診断を行い、新たに診断された(未診断)原発性緑内障の有病率、リスク因子および視覚特性について評価した。緑内障であると医師に言われたことがない、緑内障に対する治療薬を使用していない、または緑内障に対する手術を受けたことがないと回答した患者を、未診断原発性緑内障と定義した。 主な結果は以下のとおり。・参加者のうち原発性緑内障を有していたのは272人であった。このうち、196人(72.1%)が未診断原発性緑内障であった。・未診断原発性緑内障の年齢調整有病率は、マレー人が最も高かった(2.65%、95%信頼区間[CI]:2.10~3.31%)。次いで中国人(1.51%、1.13~2.01%)、インド人(0.97%、0.64~1.43%)の順であった。・多変量解析の結果、未診断原発性緑内障のリスク因子は、年齢が若い(オッズ比:1.04、95%CI:1.00~1.09、p=0.04)、マレー人(3.65、1.31~10.13、p=0.01)、原発性開放隅角緑内障(3.82、1.60~9.14、p=0.003)、眼鏡のチェックを毎年行っていない(9.29、3.43~25.21、p<0.001)、白内障の手術をしていない(4.19、1.68~10.48、p<0.001)であった。・両眼失明の患者はいなかった。・未診断原発性緑内障患者において、4.1±2.8%(平均±標準偏差)はすでに片眼が失明しており、56.0±7.2%は1眼以上で視野消失(MD値:-6dB以上悪化)がみられた。50~59歳では、49.0±14.0%が中等度以上の臨床的に重大な視野障害がみられた。

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チック症に対する非定型抗精神病薬の有用性は

 チック症群は、小児における一般的な神経精神疾患である。これまで、チック症状をコントロールするため、ハロペリドールやピモジドといった古典的な抗精神病薬が第1選択薬として用いられてきた。最近では、副作用の問題から新規抗精神病薬が用いられており、アリピプラゾールは、その選択肢の1つである。中国・四川大学中国西部第二病院のChun-Song Yang氏らは、チック症群の小児に対するアリピプラゾールの有効性、安全性を評価するため、系統的レビューとメタ分析を行った。BMC psychiatry誌2015年7月29日号の報告。 チック症群の小児を対象にアリピプラゾールを評価した無作為化比較試験、準ランダム化比較試験、対照研究を、PubMed、Embase、Cochrane library、Cochrane Central、4つの中国データベースおよび関連文献リストから同定した。質の評価には、Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsを参照した。 主な結果は以下のとおり。・935例を含む12件の研究が同定されたが、全般的な質は不良だった。・1件の研究のみが、対照群としてプラセボを使用しており、その他は実薬を対照薬として用いていた。・対象患者の年齢は4~18歳、治療期間は8~12週であった。・7件の研究(600例)は、アウトカム測定にYGTSSスケールを使用しており、アリピプラゾール群と実薬対照群との間で、総YGTSSスコアの減少に有意な差は認められなかった(MD:-0.48、95%CI:-6.22~5.26、p=0.87、I2:87%)。・ハロペリドールとアリピプラゾールを比較した4件の研究(285例)のメタ分析では、総YGTSSスコアの減少に有意差は認められなかった(MD:2.50、95%CI:-6.93~11.92、p=0.60、I2:88%)。・チアプリドとアリピプラゾールを比較した2つの研究(255例)のメタ分析では、総YGTSSスコアの減少に有意差は認められなかった(MD:-3.15、95%CI:-11.38~5.09、p=0.45、I2:86%)。・有害事象は、11件の研究で報告されていた。共通な有害事象は、眠気(5.1~58.1%)、食欲増加(3.2~25.8%)、悪心(2~18.8%)、頭痛(2~16.1%)であった。 以上の結果より、著者らは「アリピプラゾールは、チック症群の小児に対し有望な治療薬であるとし、適切な対照を置いた無作為化比較試験で明らかにする必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 抗精神病薬のQT延長リスク、アリピプラゾールはどうか 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症にアリピプラゾール補助療法 2つの月1回抗精神病薬持効性注射剤、有用性の違いは  担当者へのご意見箱はこちら

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ステント内再狭窄の至適治療戦略は?/Lancet

 ステント内再狭窄(ISR)の経皮的治療について、エベロリムス薬剤溶出ステントを用いた経皮的冠動脈介入(PCI)と薬剤コーティングバルーン(drug-coated balloons:DCB)治療の2つが、考慮すべき治療戦略であることが、スイス・ベルン大学病院のGeorge C M Siontis氏らによるネットワークメタ解析の結果、示された。その理由について著者は、「前者は、血管造影の径狭窄率が最も良好である。後者は、新たなステント層を追加することなく良好な成績が得られるからだ」と述べている。薬剤溶出ステントを用いたPCIは、未治療の冠動脈狭窄症の標準治療となっている。しかし、これまでベアメタルステントや薬剤溶出ステントのISRに対する至適治療は確立されていなかなった。Lancet誌2015年8月15日号掲載の報告より。ネットワークメタ解析で、エビデンスを統合しランク付け 研究グループは、ISRの経皮的治療戦略を比較しランク付けるため、ネットワークメタ解析で、関連するすべての無作為化比較試験のエビデンスを統合して検討した。2014年10月31日時点でPubMed、Cochrane Library Central Register of Controlled Trials、Embaseを検索し、タイプを問わない冠動脈ISRの治療に関する種々のPCI戦略についての無作為化比較試験の発表論文を特定した。 主要アウトカムは、フォローアップ血管造影時の径狭窄率であった。考慮すべき戦略は、エベロリムス薬剤溶出ステント・PCIとDCB 検索で適格条件を満たした27試験・5,923例のデータが解析に組み込まれた。介入後フォローアップの期間は6ヵ月から60ヵ月。そのうち、血管造影のフォローアップが入手できたのは、4,975/5,923例(84%)・介入後6~12ヵ月であった。 解析の結果、径狭窄率でみた有効性が最も優れていたのは、エベロリムス薬剤溶出ステント・PCIで、その他の治療戦略との差は、対DCBで-9.0%(95%信頼区間[CI]:-15.8~2.2)、対シロリムス溶出ステント-9.4%(-17.4~-1.4)、対パクリタキセル溶出ステント-10.2%(-18.4~-2.0)、対冠動脈内放射線治療(vascular brachytherapy)-19.2%(-28.2~-10.4)、対ベアメタルステント-23.4%(-36.2~-10.8)、対バルーン血管形成術-24.2%(-32.2~-16.4)、対ロタブレーション-31.8%(-44.8~-18.6)であった。 2番目に有効性が高い治療としてランク付けされたのはDCBであった。シロリムス溶出ステント(-0.2%、95%CI:-6.2~5.6)やパクリタキセル溶出ステント(-1.2%、-6.4~4.2)と有意な差は認められなかったが、著者は、「新たなステント層を追加することなく良好な成績が得られるので」と述べている。 これらの結果を踏まえて著者は、「あらゆる冠動脈ISRに関して、2つの治療が考慮すべき戦略であることが示された」とまとめている。

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思春期の電子タバコ使用が喫煙開始年齢を早める?/JAMA

 米国ロサンゼルスの高校生(14歳)を対象とした追跡調査の結果、eシガレット(電子タバコ)を吸ったことがあると回答した学生は、吸ったことがないと回答した学生と比べて、翌年中にタバコ(葉巻、水タバコを含む可燃性のもの)を吸い始める人が多い傾向が明らかになった。南カリフォルニア大学のAdam M. Leventhal氏らによる報告で、著者は「電子タバコ使用がタバコを吸い始めることと関連しているのかについて、さらなる調査研究が必要だ」と述べている。米国の若者の間では、電子タバコによるニコチン曝露がますます一般的になってきているという。JAMA誌2015年8月18日号掲載の報告より。ロサンゼルスの高校生2,530例を2年間追跡 検討は、タバコを吸ったことのない14歳の青少年の電子タバコ使用と、3つの可燃性タバコ製品(タバコ、葉巻、水タバコなど)の使用開始リスクとの関連を調べることが目的であった。 ロサンゼルスの高校40校が参加する学校ベースの長期追跡研究参加者の一部を対象に追跡調査を行い、ベースライン(2013年秋、9年生、平均年齢14.1歳)、6ヵ月後(2014年春、9年生)、12ヵ月後(2014年秋、10年生)に評価を行った。 ベースラインで可燃性タバコを吸ったことがないと報告し、6ヵ月、12ヵ月時点のフォローアップ評価が完了したロサンゼルスの公立高校10校2,530例(男子学生46.8%)のデータが分析に含まれた。 学生らは、各評価時点で自己報告サーベイを受け、学校内でのタバコ使用有無について報告。ベースラインでは、電子タバコの使用有無について報告した。 主要評価項目は、6ヵ月、12ヵ月時点の自己報告による、前6ヵ月間のあらゆるタバコの使用で、下記のように分類評価した。(1)あらゆる可燃性タバコ製品を使用(イエスorノー)、(2)可燃性のタバコを使用(イエスorノー)、(3)葉巻(イエスorノー)、(4)水タバコ(イエスorノー)、(5)何種類の可燃性タバコを使用したか(範囲:0~3)。電子タバコ使用者は、非使用者と比べて翌年のタバコ使用4.27倍 前6ヵ月間のあらゆる可燃性タバコ製品の使用は、ベースラインで電子タバコを吸ったことがあると回答した学生(222例)のほうが、吸わなかったと回答した学生(2,308例)よりも多く認められた。フォローアップ6ヵ月時の使用率は30.7% vs.8.1%、同群間差は22.7%(95%信頼区間[CI]:16.4~28.9%)であり、12ヵ月時は25.2% vs. 9.3%、群間差15.9%(同:10.0~21.8%)であった。 2年間の追跡期間において、ベースラインの電子タバコ使用は、あらゆる可燃性タバコ商品使用との関連尤度が高かった。非補正分析でのオッズ比(OR)は4.27(95%CI:3.19~5.71)であり、社会人口統計学的・環境リスク因子・喫煙の個人内リスク因子で補正後のORは2.73(95%CI:2.00~3.73)であった。 また、製品特異的分析の結果、ベースラインの電子タバコ使用との正の関連が、可燃性タバコ使用(OR:2.65、95%CI:1.73~4.05)、葉巻使用(4.85、3.38~6.96)、水タバコ使用(3.25、2.29~4.62)でみられた。複数種類使用との関連も強かった(4.26、3.16~5.74)。

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ニボルマブ、FDAに非扁平上皮NSCLCへの適応拡大を申請

 2015年9月2日、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY/本社:米国・ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、米国食品医薬品局(FDA)が、治療歴を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(非小細胞肺がん、以下NSCLC)患者を対象としたニボルマブ(商品名:オプジーボ)に関する生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したことを発表した。このsBLAは、ニボルマブの現在の適応である、治療歴を有する扁平上皮NSCLCからの拡大を目的とするもの。FDAによる審査完了の目標期日は 2016年1月2日。 FDAはこの申請を優先審査の対象に指定すると共に、ニボルマブをブレークスルー・セラピーに指定した。 この申請は、プラチナ製剤を含む化学療法の2剤併用レジメンの前治療中または前治療後に病勢進行がみられた非扁平上皮NSCLC患者を対象に、全生存期間を評価した第III相臨床試験であるCheckMate‐057試験に基づいている。プレスリリースはこちら。(PDF)

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LIFE試験:運動をしても認知機能にほとんど影響なし(そろそろ視点を変えよう)(解説:岡村 毅 氏)-406

 ネガティブなデータの報告であるが、きわめて価値の高い論文である。その内容は、運動介入が高齢者(70代、80代)の方の縦断的な認知機能に影響を与えなかったというものである。本研究は強い説得力を持っている。なぜなら、818例対817例という大規模な研究であり、2年という長期にわたって介入をしており、さらに基本属性に加え健康関連要因(疾患や、アポリポ蛋白まで含めて)の調整をしているからだ。 一方で、非常にかすかなポジティブデータも提示された。80代に限れば、あるいはもともとの運動機能が低い群に限れば、「遂行機能」には効果があったというのである。遂行機能とは、状況を理解して適切な行動をする機能のことである(しばしば料理が例に挙げられる)。遂行機能の保たれた方とは、極端に言えば「しっかりした人」と見えるであろう。遂行機能は物忘れの有無とは別物であり、物忘れがまったくなくても遂行機能が障害されていれば心配な老人であるし、物忘れがあろうとも遂行機能が保たれていればしっかりして見える。 認知症の人に日常的に接している専門家等から見れば、本研究の主要な結果は、当然のものであろう。○○をすれば認知症にならない、というような話は、まさに話半分と思うべきだ。というのは、さまざまな条件で研究を行えばポジティブなデータもネガティブなデータも出てくるのであろうが、(1)良い結果しか学術的に報告されにくい、(2)良い結果の報告しか報道されない、ということから明らかなのは、私たちは昔から見たいものを見て、聞きたいことを聞く、という傾向があるということだ。 だからと言って、何をやっても無駄だと悲観する必要はない。認知機能と、自分に与えられた時間の中で自分自身の人生をよりよく生きることは、別の次元の話であるからだ。ナラティブな話を1つしよう。外来で「先生、妻の認知症の進行を予防したいので一緒に散歩をするようにしたら、結構楽しいんですよ」という方がおられた。奥様の物忘れは進行していったが、自宅で楽しく暮らしておられる。もちろん、こういう方々は、(1)明るい性格で周囲から助けてもらいやすい、(2)(新たに習慣化しているくらいだから)適応力が高く、その時々の認知機能等の制約の下での適切な対応ができている、という方々なのであろう。現象としては「運動をして良かった」わけだ。スタディで運動をさせられているのと、自らの意志で運動をしているのは意味がまったく異なるのだ。 ○○をすれば認知症にならない、というような面白いお話は、大規模研究が徐々に出そろいつつある現代においてはそろそろやめて、高齢者の貧困(経済的なものにとどまらず関係性なども含めた)などの今そこにある危機にも注目しなければならない。

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感度、特異度の話(その1)【Dr. 中島の 新・徒然草】(083)

八十三の段 感度、特異度の話(その1)実習にやってくる医学生によく出す問題です。 中島 「君が日曜日の昼に当直をしていたとしよう」 学生 「はあ」 中島 「そこへ突然の激しい頭痛で60代の女性が来たわけよ」 学生 「ええ」 中島 「何を疑うかな」 学生 「クモ膜下出血ですか?」 中島 「そのとおり」 ここまでは型通りのやりとりです。 中島 「診断をつけるためにやることは何かな」 学生 「CT……でしょうか?」 中島 「そやな」 学生 「……(ホッ)」 中島 「問題はここからや」 学生 「……(ドキッ)」 中島 「撮影した頭部CTのどこを見ても出血なし」 学生 「出血なし……ですか」 中島 「どうする?」 学生 「どうすると言われましても」 中島 「要するに帰してもいいかってこと」 よくあるパターンですね。 中島 「CTで出血がないからクモ膜下出血じゃない、としてもエエか?」 学生 「うーん」 中島 「話の流れからすると、『帰す』という選択肢はなさそうやな」 学生 「そうみたいですね」 中島 「じゃあ、数字でその根拠を示してくれ」 学生 「根拠?」 中島 「事前確率、感度、特異度という言葉を使うこと」 学生 「ええっ!」 これまで何十人もの学生に出してきた質問です。 中島 「そもそも感度って何かな?」 学生 「検査で陽性の人が病気を持っている確率ですか?」 中島 「アウト!それは陽性的中率やがな」 学生 「じゃあ、病人が検査で陽性になる確率……かな」 中島 「その通り」 6年生でもこんなもんですね、現実は。 中島 「CTを撮影する前に病気のありそうな率を推測すると思うけど、それを事前確率というわけ」 学生 「はあ」 中島 「今回、クモ膜下出血はどのくらいありそう?」 学生 「CTを撮る前の見込みで……ですか?」 中島 「そう」 学生 「50%ぐらいでしょうか」 中島 「おいおい、『突然』『激しい頭痛』とキーワードが2つも入ってるんやから80%はいくやろ」 事前確率は主観なので、経験を積むに従って二極化します。学生や研修医は50%前後の数値を挙げますが、専門医は90%か10%のどちらかしか言いません。 中島 「今回の事前確率を80%にしておこう」 学生 「はあ」 中島 「クモ膜下出血に対するCTの感度、特異度は90%と95%にしよう」 学生 「ええ」 中島 「僕が期待する答えは『事前確率80%、感度90%、特異度95%なので、CTが陰性であった場合の事後確率は〇〇%になり、だから帰せます』、もしくは『危なくて帰せません』というものや」 学生 「わかりました」 中島 「事後確率というのは、クモ膜下出血が存在する確率やぞ。わかってるかな?」 学生 「大丈夫です」 この時点で正解を出せる学生は皆無です。 中島 「今から30分与えるから、答えを考えてくれ」 学生 「ええ」 中島 「ネットを見ても教科書を見てもOK」 学生 「わかりました」 中島 「でも人に教わらず、自分の頭で考えること」 学生 「はい」 中島 「毎年の国試に出る問題やからな、筆算で解いてくれ」 といった形で、学生に取り組ませます。さすがに30分の時間があれば、これまで全員が正解にたどりつきました。前置きが長くなってしまいましたが、続きは次回に。とりあえず1句検査して 陰性出ても 慎重に

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オキシコドン徐放性製剤Xtampza ER、中~重度の慢性腰痛を改善

 オピオイド鎮痛薬は慢性腰痛の治療に用いられるが、一方では乱用が大きな懸念となっている。米国・Analgesic Solutions社のNathaniel Katz氏らは、オキシコドンの乱用防止製剤であるXtampza ER(オキシコドン徐放性製剤)の安全性および有効性を評価する第III 相臨床試験を行い、Xtampza ERは中等度~重度慢性腰痛患者において臨床的に有意な鎮痛効果を発揮することを示した。Pain誌オンライン版2015年8月6日号の掲載報告。 本研究は、二重盲検プラセボ対照ランダム化治療中止試験として実施された。  対象は成人の中等度~重度慢性腰痛患者(オピオイド治療歴の有無を問わず)で、非盲検用量設定期に参加した740例のうちXtampza ER(等価用量はオキシコドン塩酸塩として40mg/日以上160mg/日以下)の最適用量が決定した患者を、二重盲検期に移行してXtampza ER群(193例)またはプラセボ群(196例)に無作為に割り付け12週間投与した。 主な結果は以下のとおり。・有効性の主要評価項目については、プラセボ群とXtampza ER群とで12週後における平均疼痛強度のベースラインからの変化量に統計学的な有意差が認められた(変化量の差[平均±SE]:-1.56±0.267、p<0.0001)。・すべての感度解析で、主要評価項目の結果が裏付けられた。・副次評価項目については、Xtampza ER群はプラセボ群と比較し、患者満足度(Patient Global Impression of Change)が改善した患者が多く(PGIC:26.4 vs.14.3%、p<0.0001)、投与中止までの期間が長く(58 vs.35日、p=0.0102)、疼痛強度が30%以上改善した患者の割合(49.2 vs.33.2%、p=0.0013)および50%以上改善した患者の割合(38.3 vs.24.5%、p=0.0032)が多かった。・アセトアミノフェンのレスキュー使用は、プラセボ群よりXtampza ER群が少なかった。・Xtampza ERの有害事象プロファイルは他のオピオイドと一致しており、忍容性は良好で、安全性に関する新たな懸念は認められなかった。

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精神疾患の診断、過去の診断名が大きく影響

 精神医学において診断はユビキタスであり、ベネフィットをもたらす一方で、ラベリング効果の弊害となりうる。英国・キングストン大学のDanny C.K. Lam氏らは、境界性パーソナリティ障害(BPD)併存の診断という不適切な提示がパニック症患者に対する臨床医の判断に影響を及ぼすかどうかを評価した。その結果、診断がもたらす保険数理的価値にかかわらず、現在も問題が併存しているように見える状況下では、臨床医は過去の診断名に大きく影響されることを明らかにした。著者らは、「したがって臨床医は、患者の記述に診断ラベルを使用すること、および過去の診断名が今もなお妥当であるかを確かめることに注意すべきだ。そうしたラベルが自身の臨床診断に影響しうることを忘れず、絶えず診断名に疑問を持つよう努めるべきである」とまとめている。British Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2015年7月25日号の掲載報告。 研究グループは、与えられた情報の内容によって臨床医の判断がどのように影響されるかを評価する実験的研究を行った。臨床医265人に対して、1人の女性が単純性の“パニック症”の経験を述べているビデオを見せ、その後、彼女の現在の問題と起こりうる予後を評価してもらった。ビデオを見せる前に臨床医には彼女の情報を書面で与えた。その際、与える情報によって臨床医を3群に無作為に割り付けた。(1)個人データおよび一般的背景の情報のみ、(2)(1)の内容+BPDと一致する行動記述、(3)(2)の内容+診断名(BPDの既往歴)。 主な結果は以下のとおり。・BPDの診断名は、情報のみまたはBPD“症状”の行動記述よりも、患者の問題や予後に関するネガティブな評価と関係していた。・診断名は、治療への取り組みや反応といった治療変数のみならず、リスク問題や対人関係の有効性に関する医師の判断に、不適切かつネガティブな影響を与える可能性があった。関連医療ニュース 統合失調症の正確な早期診断のためには うつ病診断は、DSM-5+リスク因子で精度向上 境界性パーソナリティ障害、予防のポイントは  担当者へのご意見箱はこちら

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がん患者の再発VTEへのtinzaparin vs.ワルファリン/JAMA

 急性静脈血栓塞栓症(VTE)を呈した担がん(active cancer)患者に対し、低分子ヘパリン製剤tinzaparinは、ワルファリンとの比較においてVTE再発を抑制しなかったことが報告された。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のAgnes Y. Y. Lee氏らが、900例を対象とした国際多施設共同無作為化試験の結果、報告した。複合アウトカム評価による本検討では、全死因死亡と重大出血抑制との関連は示されなかったが、臨床的に意味のある非重大出血の抑制は認められた。著者は、「再発VTリスクが高い患者で結果が異なるかについて、さらなる検討を行う必要がある」と述べている。JAMA誌2015年8月18日号掲載の報告。32ヵ国164施設900例を対象に無作為化試験 急性VTEを呈した担がん患者の治療については、先行研究の単施設大規模試験の結果を踏まえて、ワルファリンよりも低分子ヘパリンが推奨されている。 今回研究グループは、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、北米、中米、南米の32ヵ国164施設で被験者を登録し、tinzaparin vs.ワルファリンの有効性と安全性について検討した。試験期間は2010年8月~2013年11月、無作為化非盲検試験にて試験アウトカムの評価は盲検化中央判定にて検討した。 被験者は、担がん状態(組織学的または細胞診で確認がされており、次のいずれかに当てはまる患者:(1)過去6ヵ月間にがんと診断、(2)再発、局所進行または転移性、(3)過去6ヵ月間にがん治療、(4)非完全寛解の造血器腫瘍)、客観的診断による近位部型深部静脈血栓症(DVT)または肺塞栓症を有し、余命は6ヵ月超、抗凝固薬の禁忌なしの18歳以上成人であった。無作為に2群に割り付け、一方にはtinzaparin 175 IU/kgが1日1回6ヵ月投与(tinzaparin群449例)。もう一方は6ヵ月間の従来療法群として、最初の5~10日間tinzaparin 175 IU/kg 1日1回を投与したのち、ワルファリン単独投与でINR2.0~3.0を維持した(ワルファリン群451例)。 フォローアップ訪問が、7、14、30日、以後30日間ごとに180日時点まで行われ、また再発VTEの徴候や症状がみられないか、スタッフによる電話フォローが、月ごとの訪問後2週目に行われた。 主要有効性アウトカムは、中央判定による再発DVT、致死的または非致死的肺塞栓症、2次性VTE発生の複合とした。安全性アウトカムは、重大出血、臨床的に意味のある非重大出血、全死因死亡などだった。tinzaparin群の再発VTE、有意な抑制は認められず 結果、再発VTEの発生は、tinzaparin群31/449例、ワルファリン群45/451例だった。6ヵ月間の累積発生率は、tinzaparin群7.2% vs. ワルファリン群10.5%で、有意な差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.41~1.03、p=0.07)。 同様に、重大出血(12例 vs.11例、HR:0.89、95%CI:0.40~1.99、p=0.77)、全死因死亡(150例 vs.138例、1.08、0.85~1.36、p=0.54)でも有意差はみられなかった。 一方で臨床的に意義のある非重大出血の発生については、tinzaparin群の有意な低下が認められた(49/449例 vs.69/451例、HR:0.58、95%CI:0.40~0.84、p=0.004)。

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肥満を引き起こす遺伝子のメカニズムが判明/NEJM

 ゲノムワイド研究の進展により、疾患関連の遺伝子座の特定が可能となっている。FTO遺伝子座は、肥満症との遺伝的関連が最も強いことが知られているが、その関連メカニズムは明らかになっていない。米国ハーバード・メディカル・スクールのMelina Claussnitzer氏らは、ヒトおよびマウスを用いた検討から、脂肪細胞の熱産生抑制と関連するFTOアレル遺伝子の存在、およびその基本メカニズムを明らかにした。NEJM誌オンライン版2015年8月19日号掲載の報告。エピゲノムデータ、アレル活性などを調べ肥満メカニズムを解明 研究グループは、FTO遺伝子座と肥満症の関連の制御回路と基本メカニズムを明らかにするために、エピゲノムデータ、アレル活性、モチーフ保存性、レギュレータ発現、遺伝子共発現パターンを調べた。 患者およびマウスサンプルでみられた所見からの予測や、患者サンプルでのCRISPR-Cas9ゲノム編集を用いた予測を検証した。白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変えうるメカニズムも明らかに データから、肥満症と関連するFTOアレル遺伝子の存在が示された。同関連では、脂肪前駆細胞が自律的に、ミトコンドリア熱産生を抑制し肥満症をもたらしていた。具体的には、rs1421085 T-to-C一塩基多型が、転写制御タンパク質ARID5Bのモチーフを乱し、それにより前脂肪細胞の発現が促進され、早期脂肪細胞分化におけるIRX3とIRX5発現が倍増する。これによりミトコンドリアの熱産生は5分の1となり、脂肪細胞は、エネルギー消費型のベージュ脂肪細胞(ブライト細胞)からエネルギー貯蔵型の白色脂肪細胞に変化し、脂質の蓄積が増大していくとのメカニズムが判明した。 そして、マウスにおける検討で、脂肪細胞のIrx3抑制により、身体活動や食行動を変化せずに、体重減少とエネルギー消費が増大したことが示された。 また、リスクとなるアレル遺伝子を持つ患者において、脂肪細胞のIRX3またはIRX5のノックダウンにより、熱産生能が7倍まで回復した。一方これら遺伝子の過剰な発現は、非リスク・アレル遺伝子キャリアの脂肪細胞では相反する効果をもたらすことが示された。 さらに、リスク・アレル遺伝子を有する被験者の脂肪細胞のrs1421085において、CRISPR-Cas9編集によるARID5Bモチーフを修復することで、IRX3またはIRX5の発現は抑制され、褐色脂肪細胞プログラムが起動し、熱産生能が7倍まで上昇した。

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パルボシクリブ、欧州での承認申請完了

 ニューヨーク州ニューヨーク。2015年8月20日、ファイザー社は、欧州医薬品庁(EMA)からパルボシクリブ(商品名:IBRANCE)の承認申請が完了し、審査が開始される旨の通知を受領したと発表した。 本申請は、パルボシクリブをHR+/HER2-の進行乳がんの治療薬(内分泌療法との併用)として申請したもの。 本申請は、進行乳がんを対象としたPALOMA-1試験とPALOMA-3試験の最終解析結果に基づくものである。いずれの試験においても、IBRANCEと内分泌療法の併用により、内分泌療法単剤と比較して、無増悪生存期間(PFS)の改善が認められた。 第III相試験であるPALOMA-3試験では、内分泌療法中または内分泌療法後に疾患進行を認めたHR+/HER2-進行乳がん患者を対象とし、パルボシクリブと標準治療薬パルボシクリブの併用療法と、プラセボとフルベストラントの併用療法を比較検討した。本試験の結果は、アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)第51回年次大会においてLate breakerとして発表されるとともに、New England Journal of Medicine誌2015年6月号に掲載された。第II相試験であるPALOMA-1試験では、進行がんに対する全身抗がん療法歴のないER+/HER2-の閉経後進行乳がん患者を対象に、パルボシクリブとレトロゾールの併用療法と、レトロゾールの単剤療法を比較検討した。当試験の結果は米国学会(AACR)の年次大会で口頭発表され、2014年のLancet Oncology誌に掲載されている。 パルボシクリブは米国において、ER+HER2-閉経後進行乳がんに対する初回内分泌療法(レトロゾールとの併用)として、2015年2月に承認されている。ファイザー株式会社プレスリリースはこちら。

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胃の前がん病変における胃がんの発症リスク:欧米の低危険群を対象としたコホート研究(解説:上村 直実 氏)-405

 胃前がん病変の胃がんリスクに関する研究は、胃がんの最多国である日本のお家芸と思われているが、世界的にみると1992年に報告されたCorreaの仮説に基づく研究が主たるものである。今回、胃粘膜から内視鏡的に採取された生検組織像により分類された、グループ別の胃がん発症リスクに関する大規模なコホート研究の結果が、スウェーデンより報告された。 全国の疾患データベースから、1979~2011年に内視鏡検査で胃生検を採取された40万5,211例を対象として、全国のがん登録データベースに基づく胃がんの発症をエンドポイントとしたコホート研究である。 ベースラインの生検結果に基づく粘膜状態別にみたところ、20年以内に胃がんを発症するのは、正常粘膜では約256例に1例、胃炎は85例に1例、萎縮性胃炎50例に1例、腸上皮化生39例に1例、異形成19例に1例であり、生検組織の違いにより明らかなリスクの違いを認めた。この結果から「さらに費用対効果の検討を行い、長期的な胃の前がん病変の内視鏡サーベイランスの施策に、これらの数字を生かしていく必要がある」と結論されている。 1990年代にピロリ菌感染が胃がんの主要な要因であることが判明して以来、日本ではピロリ感染胃炎(粘膜の炎症)と胃粘膜萎縮(胃粘膜の老化)の程度から、胃がんのリスクを層別化する分類方法が確立している。 さらに最近では、日本人を対象とした検討により、組織学的な胃がんのハイリスクを血液検査で容易に推測する分類方法(ABC分類)も普及しつつある。実際に、多くの自治体や企業がABC分類を用いた「胃がんリスク検診」を実践して、胃がんの早期発見に対する有用性が数多く報告されている。この血液検査によるリスク分類方法が世界中で行われるためには、日本においても本研究と同様な大規模な研究を企画し、実践することが重要である。

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災害対策について「伴に」考える研究会 特別講演会のご案内

 順天堂大学大学院医学研究科 研究基盤センター分室の坪内 暁子氏ら『災害対策について「伴に」考える研究会』は、順天堂大学総合診療科と共同で、9月11日(金)17時30分より特別講演会を開催する。 開催概要は以下のとおり。【日時】2015年9月11日(金) 17:30~20:30(※17:00開場)【場所】東京都文京区本郷2-1-1順天堂大学医学部10号館1階105号室周辺地図はこちら【内容】《ニュース映像》 17:30~18:00 米国9.11テロ、日本サリン事件、東アジアSARS流行、日本原発事故など《講演》 18:10~20:30座長:内藤 俊夫氏(順天堂大学大学院医学研究科 総合診療科学 先任准教授)1)アメリカの炭疽菌テロ事件の教訓 ~化学・生物テロにどう対処すればよいか?~  Anthony T. Tu氏(コロラド州立大学名誉教授、順天堂大学客員教授)2)東京消防庁のNBC災害対策  大島 信哉氏(東京消防庁警防部特殊災害課化学災害係 NBC災害対策担当係長)3)わが国におけるNBC災害における公衆衛生対応  金谷 泰宏氏(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部部長)【参加方法】下記の問い合わせ先まで、メールまたは電話にてご連絡ください。※研究会メンバー以外の方も参加可能な講演会です。※参加をご希望の場合は、9月5日(土)までにご連絡をお願いいたします。【問い合わせ先】順天堂大学研究基盤センター分室 坪内 暁子(発起人・世話人)E-mail:sociomed.sciences@juntendo.ac.jp電話:03-3813-3111内線:3294【主催】災害対策について「伴に」考える研究会順天堂大学総合診療科本講演会の詳細はこちら

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