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カルシトニン製剤の働き

【骨粗鬆症】【治療薬】カルシトニン製剤について、教えてください骨粗鬆症の初期に使用します。骨を強くするとともに、痛みを和らげるお薬です。★注意顔が紅くなったり、ほてったら、先生に相談しましょう!監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.

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コカ・コーラは胃石治療の第1選択でよい【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第61回

コカ・コーラは胃石治療の第1選択でよい FREEIMAGESより使用 コーラはその昔、コーラの実から抽出した苦味のあるコーラ・エキスを用いていたことが由来とされていますが、現在ではコーラの実は含まれていないそうです。 コカ・コーラは、ザ コカ・コーラ カンパニーが製造販売するコーラの名称です。そんなコカ・コーラが胃石に対して有効であることを記したシステマティックレビューを紹介しましょう。 Ladas SD, et al. Systematic review: Coca-Cola can effectively dissolve gastric phytobezoars as a first-line treatment. Aliment Pharmacol Ther. 2013;37:169-173. 胃石とは、多種類の食材や雑多なものが消化管の中で集まり、石のように固まったものを指します。柿の摂取によって胃石が形成されることがあるのは有名ですよね。これは、タンニンであるシブオールという物質が胃内で重合するためです。胃石の治療として、内視鏡的に摘出したり手術を余儀なくされたりするケースもあるそうですが、ここ10年くらい炭酸飲料の有効性を記した報告が相次いでいます。このシステマティックレビューは、コカ・コーラが胃石の溶解に有効かどうか記したものです。過去のコカ・コーラの有効性を記した文献を抽出しました。2002~2012年の10年間で、46人の患者について記した24の論文が見つかりました。これらのうちほとんどで、コカ・コーラによる溶解が成功したとのことです。成功しなかった残りの患者さんは、内視鏡的治療や外科的治療を要したそうです。柿胃石に対するコカ・コーラの有効率は低かったそうですが、それ以外の胃石ではコカ・コーラの溶解を第1選択にしてもよいのではないかと考えられました。胃石の種類にもよるかと思いますが、よほど炭酸飲料が苦手でなければ、まずはコカ・コーラを試してみるのがよさそうですね。カンタンに治療できますし、誰でも侵襲的な処置はイヤでしょうから…。インデックスページへ戻る

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双極性障害患者の重篤気分調節症とは

 青年期双極性障害集団における重篤気分調節症の表現型(disruptive mood dysregulation disorder phenotype:DMDDP)の有病率や相関について、カナダ・トロント大学のRachel H B Mitchell氏らが調査を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年2月4日号の報告。 DMDD基準を変更し、3次医療機関から得られた116例(BD-I:30例、BD-II:46例、非BD者:40例)で検討を行った。診断には、Kiddie Schedule for Affective Disorders and Schizophrenia for School-Aged Children, Present and Lifetime version(KSADS-PL)を用いた。DSM-5のDMDD基準A~Gは、KSADS反抗挑戦性障害(ODD)スクリーニング質問と補足資料、および記録の要旨により導き出した。必要に応じてカイ二乗分析またはt検定を実施し、続いてロジスティック回帰分析を行った。p値は、false discovery rate(FDR)法を用いて調整した。 主な結果は以下のとおり。・ODD補足データの不足により、8例でDMDDP基準を判定できなかった。・残りの25%(108例中27例)は、DMDDP基準を満たした。・DMDDPは、BDのサブタイプまたはBDの家族歴とは関連しなかった。・年齢、性別、人種で調整後の単変量解析では、DMDDPは、機能レベルの低下、家族との衝突の増加、暴行の既往、注意欠如多動症(ADHD)と関連していた(FDR調整後p値はそれぞれ、p<0.0001、p<0.0001、p=0.007、p=0.007)。・生涯物質使用障害と薬物の使用は、有意性がボーダーライン上であった(調整後p=0.05)。・ロジスティック回帰分析では、DMDDPは家族との衝突に関する親からのより多い報告(OR 1.17、CI:1.06~1.30、p=0.001)、機能障害(OR 0.89、CI:0.82~0.97、p=0.006)との独立した関連が認められた。・DMDDPは、ADHDにおいて3倍増と関連していたが、有意差はわずかであった(OR 3.3、CI:0.98~10.94、p=0.05)。 結果を踏まえ、著者らは「DMDDはBDとは表現型、生物学的に異なるにもかかわらず、臨床現場では一般的に重なる。この重なりは、非BDまたは非家族性BDでは説明されない。本研究において、DMDDPとADHDとの関連から、覚醒症状をもともと述べられている重篤気分調節症の表現型としてとどめるべきかどうかという疑問が生じた。この併存疾患の過剰な機能障害を緩和させる戦略が必要である」とまとめている。関連医療ニュース 双極性障害と強迫症、併存率が高い患者の特徴 うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 双極性障害患者の約半数が不安障害を併存

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食品からのフラボノイド摂取は体重管理に有用か/BMJ

 フラボノイド(とくにフラボノール、フラバン-3-オール、アントシアニン、フラボノイドポリマー)を豊富に含む、リンゴ、西洋なし、ベリー類、ピーマンなどの果物や野菜を多く食べることは、体重管理に有用であることを、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のMonica L Bertoia氏らが、3つの大規模前向きコホート研究、合わせて約12万4,000人を最長24年追跡したデータを解析し、明らかにした。フラボノイドは天然に存在する生理活性化合物で、果物や野菜に含まれている。これまで、果物や野菜類の摂取量が多いと体重が増加しにくいことや、緑茶に含まれるフラボノイドが脂肪吸収の減少とエネルギー消費の増加などに関与していることが報告されていた。しかし、体重の減少に関する研究の多くは、緑茶で発見されたフラバン-3-オールに関するもので、試験参加人数も限られていた。著者は、「今回の研究成果は、肥満の予防や肥満の悪影響リスクを低減する食事摂取基準の見直しに役立つ可能性がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版、2016年1月28日号掲載の報告。米国の医療従事者12万4,086人を24年間追跡したデータを解析 研究グループは、医療従事者追跡調査(HPFS、1986年開始)、看護師健康調査(NHS、1976年開始)およびNHS II(1989年開始)の参加者のうち、ベースラインで慢性疾患(肥満、糖尿病、がん、心血管疾患など)の既往歴がなく65歳未満など基準を満たした計12万4,086人(HPFS:男性2万525人、NHS:女性3万9,423人、NHS II:女性6万4,138人)を対象として、1986年から2011年まで4年間ごとの体重変化量と、同期間における7種類のフラボノイド(フラバノン、アントシアニン、フラバン-3-オール、プロアントシアニジン、フラボノイドポリマー、フラボノール、フラボン)の摂取量変化との関連を、多変量一般化線形回帰モデルにて解析した。 体重の変化量は、2年ごとに行われた健康状態などに関するアンケート調査に基づき算出。また、フラボノイド摂取量の変化(1標準偏差/日)は4年ごとに行われた半定量的食物摂取頻度調査を基に、食品のフラボノイド含有量とプロアントシアニジンに関する米国農務省のデータベースを用いて算出した。フラボノイド摂取量が多いと体重は増えない 食事、喫煙状況、身体活動など生活習慣に関連する因子を補正後、フラボンとフラバノンを除く5種類のフラボノイドについて、摂取量の増加が、わずかだが体重の減少と関連していた。とくにアントシアニン、フラボノイドポリマー、フラボノールで関連が強く、アントシアニンの場合、摂取量増加が10mg/日で体重変化量は-0.23(95%信頼区間:-0.30~-0.15)ポンド(1ポンド=約0.45kg)、同様にフラボノイドポリマーは138mg/日増で-0.18(-0.28~-0.08)ポンド、フラボノールは7mg/日増で-0.16(-0.26~-0.06)ポンドであった。食物繊維を追加補正後は、アントシアニン、プロアントシアニジンおよびフラボノイドポリマーのみ有意な関連が認められた。 著者は「体重の減少はわずか(<0.5kg)であったが、健康状態の改善に役立つ可能性がある」とし、「大部分の米国人は、毎日果物は1カップ未満、野菜は2カップ未満しか摂取していないが、健康ベネフィットを享受するには、果物は2カップ、野菜は2.5カップに増やすとよいだろう」と指摘している。

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一次性進行型MSに対するフィンゴリモドの有用性/Lancet

 一次性進行型多発性硬化症(PPMS)に対するフィンゴリモド(スフィンゴシン-1-リン酸受容体調節薬)の安全性と有効性を検証した第III相試験「INFORMS」の最終結果が報告された。フィンゴリモドによる抗炎症療法は、PPMSの病態進行を抑制しないことが示された。試験報告を行った米国マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のFred Lublin氏らは、結果を踏まえて「PPMSの治療は、再発性MSとは異なるアプローチが必要である」とまとめている。フィンゴリモドは、再発性MSおよび二次性進行型MSに有効であることから、PPMSに対しても同様の効果が期待されていた。Lancet誌オンライン版2016年1月27日号掲載の報告。障害進行の検出精度を高めるため、新たな複合評価項目を設定 INFORMS試験は、18ヵ国148施設で行われた多施設共同二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験で、PPMS患者を、フィンゴリモド投与群またはプラセボ投与群に1対1の割合で無作為に割り付け、3~5年間治療した。 フィンゴリモドの用量は、当初1.25mg/日であったが(コホート1)、2009年11月19日にプロトコルが改定され、盲検下のまま0.5mg/日に変更された(コホート2)。患者の主な選択基準は、年齢25~65歳、疾患進行1年以上、脳MRI陽性・脊髄MRI陽性・脳脊髄液陽性のうち2つを満たす、罹病期間2~10年、過去2年間の障害進行の客観的な証拠がある、などであった。 研究グループは、総合障害度評価尺度(EDSS)、歩行時間テスト(25' Timed-Walk Test:25’TWT)スコアあるいは上肢機能の評価(9-Hole Peg Test:HPT)スコアのベースラインからの変化に基づく新たな複合主要評価項目を用い、3年以上治療を受けた被験者について、3ヵ月間持続する障害進行の発現までの期間を評価した。フィンゴリモド群とプラセボ群で障害進行に差はない 2008年9月3日~11年8月30日に、970例が無作為化された(コホート1:1.25mg投与群147例、プラセボ群133例/コホート2:0.5mg投与群336例、プラセボ群354例)。有効性解析対象は、コホート1および2のプラセボ群487例と0.5mg投与群336例の計823例であった。ベースラインの両群の特性は類似していた(女性48%、平均年齢48.5歳、平均EDSSスコア4.67、ガドリニウム増強病変なし87%)。 試験終了までに、複合主要評価項目の3ヵ月間持続する障害進行が認められたのは、0.5mg投与群で232例、プラセボ群で338例であった。Kaplan-Meier法で算出した障害進行率は、0.5mg投与群77.2%(95%信頼区間[CI]:71.87~82.51)、プラセボ群80.3%(同:73.31~87.25)で、プラセボに対するリスク減少は5.05%(ハザード比[HR]:0.95、95%CI:0.80~1.12、p=0.544)であった。EDSSのみを評価項目とした場合でも同様に、両群間で有意差は認められなかった(リスク減少:11.99%、HR:0.88、95%CI:0.72~1.08、p=0.217)。 安全性については、再発性MS患者を対象としたフィンゴリモドの臨床試験成績とおおむね一致していた。主な有害事象は、リンパ球減少症(0.5mg投与群19例[6%] vs.プラセボ群0例)、徐脈(同5例[1%] vs.1例[<1%])、1度房室ブロック(3例[1%] vs.6例[1%])であった。重篤な有害事象は、0.5mg投与群84例(25%)、プラセボ群117例(24%)に認められ、主なものは黄斑浮腫がそれぞれ6例(2%)と6例(1%)、基底細胞がんが14例(4%)と9例(2%)であった。 著者は、「INFORMS試験は、複合主要評価項目を用いた初めての大規模臨床試験で、結果には整合性が認められたことから、今後、PPMSを対象とした臨床試験の評価項目として有用であることが示唆される」と結論している。

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日本糖尿病学会:「キラリ☆女性医師!」に2016年2月の新記事を掲載

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」ホームページでは、「キラリ☆女性医師!」コーナーに和栗 雅子氏(大阪府立母子保健総合医療センター)の記事を掲載した。 本コーナーは、さまざまな女性医師を紹介するコーナーとして2015年4月に開設され、これまでに計10名の女性医師が実名で登場している。 各記事は以下関連リンクより閲覧可能。関連リンク「キラリ☆女性医師!」(日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」)

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泣けるセンター試験【Dr. 中島の 新・徒然草】(106)

百六の段 泣けるセンター試験今年の1月に行われたセンター試験がネットに掲載されていました。問題をみるとやってみたくなるのは人間の性。ついつい英語に挑戦してみました。自己採点の結果は言わぬが花、ということにしておきましょう。出題されていた英語の問題文は結構面白いものが多く、なかには読んでいて思わず感動してしまったものすらあります。とくにジョン叔父さんの話が印象的でした。せっかくなので、概要を日本語に訳して皆さんに紹介いたしましょう。(以下、ネタバレ注意) ジョン叔父さんの話 今日は私の大学卒業を祝って、有名なシェフであるジョン叔父さんが台所で料理を作りながらやり方を教えてくれているところだ。ジョン叔父さんは料理の腕を競うテレビ番組、"The Big-Time Cook Off" への出演が決まっていることもあって、私はすごく興奮していた。 ジョン叔父さんは田舎の普通の家庭に生まれ育った。母親は学校の教師をしていたが、ジョン叔父さんが10歳のときに仕事を辞めた。というのは、自分の年老いた母親、つまりジョン叔父さんにとってはおばあさんの介護をしなくてはならなくなったからだ。母親の収入がなくなったことで家庭は経済的に苦しくなり、ジョン叔父さんの父親は都会に行って働き始めた。もともと快活な人であったが、疲れ切って週末に帰ってくる父親は次第に不機嫌な顔をみせるようになった。ささいなことで叱られるため、ジョン叔父さんはだんだん父親を避け始め、また学校もサボり気味になった。そのことは母親や学校の先生を随分心配させた。 ある夏の日曜日、例によって母親は介護のために外出し、父親は家で寝ていた。腹を空かせた2人の妹たちのためにジョン叔父さんは台所で卵料理を作ってやろうとした。突然、台所のドアが開いたかと思うと父親が立ちはだかっていた。 「ごめんなさい、お父さん。起こすつもりはなかったんです。チェルシーとジェシカのために卵を料理してやろうと思って」 「卵だと?そんなもの、こんな天気のいい日曜日には相応しくないな。さあ、庭でステーキを焼くぞ!」 「本気ですか?疲れているんじゃ…」 「構わん。俺は料理するのが好きなんだ。学生時代、コックとしてアルバイトしていたのを思い出したぜ。ひとつお前にステーキの焼き方を教えてやろう」 そして父親はジョン叔父さんにコツを教えながら手際よく料理を行った。 「いいか、ジョン。料理ってのは材料の組み合わせと分量の正確さが命だ。これさえマスターすれば多くの人々を喜ばせることができるんだ」 その時以来、ジョン叔父さんは家族のために、大学生になってからは友達のためにも料理をし始めた。ジョン叔父さんにとっては自分の料理で人々を幸せにすることが何よりも大きな喜びであった。 ジョン叔父さんは大学を卒業した後にレストランで働いて腕を磨き、有名なレストランのシェフになり、自分の店を持ち、ついにはいくつかのコンテストで入賞し、大富豪や有名人が食べに来るまでになった。 ジョン叔父さんと私は、ふと数日後に迫ったコンテスト番組のことを思い出した。 「マイク、俺はコンテスト番組の出演者に選ばれてワクワクしている。でも一番幸せなのは、お前とこうやって台所に立っていることなんだ。あの遠い夏の日曜日、親父が俺にしてくれたことを思い出しちまったよ。あれ以来、俺の人生は大きく変わったんだ」とまあ、このような話でした。試験問題を解きながら不覚にも涙が…。ジョン叔父さんが料理で人々をハッピーにしているのなら、甥っ子のマイクは文章で人々を喜ばせているのでしょうか。改めて読んでみると、A4で2頁ぐらいの短い話の中に山あり谷あり。ホンの少し固有名詞を入れることによって臨場感を出しているところなども巧みですね。いやはや、いろいろな意味で勉強になったセンター試験でした。最後に1句受験とは 人生詰めこむ ドラマなり

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各認知症と尿酸との関連を分析

 血清尿酸(sUA)レベルと認知障害および認知症は関連しうる。この関連性は、認知症のサブタイプによってさまざまで、とくに脳血管性認知症(VaD)とアルツハイマー病(AD)やパーキンソン病関連認知症(PDD)との間では異なる。英国・グラスゴー大学のAamir A Khan氏らは、システマティックレビューとメタ解析により、sUAと認知障害および認知症との関連についてのすべての公開データを統合することを目的とし、検討を行った。Age (Dordrecht, Netherlands)誌2016年2月号(オンライン版2016年1月28日号)の報告。 検討には、sUAと任意の認知機能測定または認知症の臨床診断との関連を評価した研究が含まれた。AD、VaD、PDD、軽度認知障害(MCI)および混合型または未分化の患者によるサブグループ分析を事前に定義した。許可が得られたデータについて、バイアスリスクと一般化可能性を検討し、研究全般における関連性のプールされた基準を評価するため、メタ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・4,811件中、46件(1万6,688例)が選択基準を満たした。・対照と比較して、認知症の患者ではsUAが低かった(SDM:-0.33 [95%CI])。・AD(SDM:0.33[95%CI])とPDD(SDM:-0.67 [95%CI])では、認知症サブタイプとの関連性が明確に認められたがが、混合型(SDM:0.19 [95%CI])とVaD(SDM:-0.05 [95%CI])では認められなかった。・Mini-Mental State Examination(MMSE)とsUAレベルとの関連性は、PDD患者(summary r:0.16、p=0.003)を除き、関連が認められなかった(summary r:0.08、p=0.27)。 結果を踏まえ、著者らは「本結論は、臨床的な不均一性と試験のバイアスリスクにより限定的である」としたうえで、「sUAと認知症および認知障害との関連は、すべての認知症グループで一貫しているわけではなく、とくにVaD患者では他のサブタイプと異なる場合がある」とまとめている。関連医療ニュース レビー小体型認知症、認知機能と脳萎縮の関連:大阪市立大学 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は 抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究

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中絶胎児で小頭症を確認、脳内からジカウイルス検出/NEJM

 ブラジルで妊娠初期にジカウイルスに感染したと考えられる25歳の欧州女性が、妊娠32週で人工中絶。その胎児解剖の結果、小頭症が認められ、脳内からはジカウイルスが検出された。スロベニア共和国・リュブリャナ大学のJernej Mlakar氏らによる症例報告で、NEJM誌オンライン版2016年2月10日号で発表した。中南米とカリブ地域では2015年、ジカウイルス感染症の流行が報告され、同ウイルスに感染した母親から生まれた新生児の小頭症が増加していることが重大な懸念として持ち上がっている。妊娠13週でジカウイルス感染疑い 報告によると欧州出身のこの女性は、2013年12月からブラジル北東部のナタールに住んでおり、15年2月に妊娠した。その後妊娠13週で高熱を出し、重度筋骨格・球後痛とかゆみを伴う全身性斑点状丘疹を呈した。同地域ではジカウイルス感染症が流行していたため、妊婦についても感染が疑われたものの、ウイルス診断テストは実施しなかったという。 その後、妊娠14週と20週の超音波検査では、胎児に解剖学的な異常や成長の遅れはみられなかった。妊娠29週で胎児奇形、32週で小頭症 この女性は妊娠28週で欧州に帰国。妊娠29週で超音波検査を受けたところ、胎児奇形が認められ、同大学病院に紹介された。その時点でこの女性は、胎児の動きが少なくなったことを感じていたという。 妊娠32週の超音波検査では、子宮内胎児発育遅延が確認された。胎盤の厚さは3.5cmと正常値だったものの、複数箇所に石灰化が認められた。また胎児の頭囲が、妊娠周期に対して2パーセンタイル未満であり、小頭症が確認された。 妊娠32週時点で人工中絶が行われ、その3日後に胎児と胎盤の解剖を実施した。 その結果、胎児の脳の小頭症が観察され、ほぼ完全な無脳回症と水頭症、および大脳皮質と皮質下白質に多病巣性異栄養性石灰化が認められ、また皮質の偏位と軽度病巣性炎がみられた。さらに胎児の脳の組織片からは、RT-PCR法によりジカウイルスを検出した。電子顕微鏡下でも確認し、ジカウイルスの完全ゲノムも得られた。

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魚介類が持っている水銀、認知症とは関連せず/JAMA

 魚介類摂取頻度が増えると、脳内水銀量は増加するものの、アルツハイマー型認知症を示唆する脳神経病理とは関連しない。また、アポリポ蛋白E(APOEε4)遺伝子を持つ人では、魚介類摂取がアルツハイマー病リスクの軽減とつながっていることを、米国・ラッシュ大学メディカルセンターのMartha Clare Morris氏らが、高齢者286例の剖検脳と生前の魚介類摂取頻度との関連を分析した結果、明らかにした。JAMA誌2016年2月2日号掲載の報告より。平均年齢約90歳の高齢者を対象に、横断解析 魚介類の摂取量は、神経毒として知られる水銀汚染の懸念が指摘されながらも、健康ベネフィットがあるとして増大している。研究グループは、魚介類摂取量の増加と脳内水銀量の増加に相関関係が認められるのか、また脳神経病理との関連が認められるかを調べた。 対象としたのは、2004~13年に、米国シカゴのリタイアメント・コミュニティ居住者で臨床神経病理コホート研究「Memory and Aging Project」に参加し死亡した高齢者286例。生前の魚介類摂取頻度を調べ、死後に行った剖検脳所見との関連を横断的に分析した。 被験者の平均年齢は89.9(SD 6.1)歳、女性は67%(193例)で、教育を受けていた年数は平均14.6(同2.7)年だった。魚介類摂取頻度についての質問は、死亡より平均4.5年前に開始されていた。 主要評価項目は、認知症関連病理の評価として、アルツハイマー病、レヴィー小体型認知症、大小の梗塞数とした。魚介類およびn-3脂肪酸の摂取量は死亡前年単位で評価。水銀およびセレニウムの組織片濃度は、機器的中性子放射化分析法にて調べた。α-リノレン酸摂取量が多いと脳大梗塞リスクは半減 その結果、1週間の平均魚介類摂取頻度と、脳内水銀量の相関性が認められた(ρ=0.16、p=0.02)。 年齢や性別、教育レベル、総エネルギー摂取量で補正後、APOEε4遺伝子を持つ人については、魚介類を週1回以上食べる人は、老人斑密度が低く(β=-0.69)、重度・広範囲にわたる神経原線維濃縮体が少ない(β=-0.77)など、アルツハイマー病の病理学的特徴を持つ人が少なく、病理学的にアルツハイマー病と診断される人も少なかった(β=-0.53)。 また、α-リノレン酸摂取量について三分位に分けて検討した結果、最高分位の人は最低分位の人に比べ、脳大梗塞リスクのおよそ半減が認められた(オッズ比:0.51、95%信頼区間:0.27~0.94)。 なお、魚油サプリメント摂取はいかなる神経病理マーカーとも有意な関連が認められなかった。また、脳内水銀濃度と脳神経病理学的な異常との間の関連も示されなかったという。

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白内障術後眼内炎、効果の高い予防的抗菌薬投与は?

 白内障の術後眼内炎予防を目的とした抗菌薬投与は、前房内注射が点眼よりも効果が高く、また、注射+点眼は注射単独よりも効果が増すことは示されなかった。米国の北カリフォルニア・カイザーパーマネンテのLisa J. Herrinton氏らが、同加入者で白内障手術を受けた31万5,246例を対象に行った観察縦断的コホート研究の結果、報告した。なお、同コホートの眼内炎発症率は0.07%で、後嚢破損が依然として重大なリスク増大因子(3.68倍)であったという。Ophthalmology誌2016年2月号(オンライン版2015年10月14日号)の掲載報告。 検討は、抗菌薬の点眼または注射投与による白内障の術後眼内炎予防効果を調べることを目的とし、北カリフォルニア・カイザーパーマネンテの加入者で、2005~12年に白内障手術を受けたことが確認できた31万5,246例を対象に行われた。 電子医療記録から、被験者特性、医療・服薬・手術記録の情報を入手し、予防的抗菌薬投与(ルートと薬剤)と眼内炎リスクとの関連を調べた。ロジスティック回帰分析法を用いて、補正後オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・確認された眼内炎は215例(0.07%、0.7/1,000)であった。・後嚢破損による眼内炎リスク増大は3.68倍(95%CI:1.89~7.20)であり、術中合併症が依然として眼内炎リスクのキー因子であった。・予防的抗菌薬投与は、前房内注射が点眼単独よりも効果が高かった(OR:0.58、95%CI:0.38~0.91)。・前房内注射+ガチフロキサシンまたはオフロキサシン点眼は、前房内注射単独よりも効果が高いとはいえなかった(OR:1.63、95%CI:0.48~5.47)。・ガチフロキサシン点眼と比較して、アミノグリコシド点眼は効果が低かった(OR:1.97、95%CI:1.17~3.31)。【訂正のお知らせ】最終行の表記に誤りがあったため、下記のように訂正いたしました(2016年2月23日)。「ガチフロキサシン点眼と比較して、アミノグリコシド点眼は効果が低かった~」

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プロトコールに基づく薬剤師の介入で、医療の質向上を

 日本医療薬学会は2月11日、都内にて「薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究シンポジウム」(研究代表者:東京医科歯科大学 教授 安原 眞人氏)を開催した。この研究は2013年から厚生労働科学研究事業として、チーム医療の進展や地域医療の拡充に向けて、薬剤師の担う役割を明確にし、求められる専門性を生かすための実践的方法論を確立することを目的として、3年間の計画で開始された。初年度は先行事例の収集、2014年度はアウトカム評価、そして2015年度は実践的方法論に焦点が当てられた。 チーム医療推進研究においては、プロトコールに基づく薬物治療管理(Protocol Based Pharmacotherapy Management、以下PBPM)の導入・実施をテーマとし、そのアウトカムは、医療の質、安全性、経済性、そして医療従事者の負担軽減を指標として評価された。 また、地域医療推進研究の主題は、かかりつけ薬局機能を持った在宅医療提供薬局を推進するための新たな基準作成であり、2014年に「薬局に求められる機能とあるべき姿」が発表された。これは翌年発表の「患者のための薬局ビジョン」策定へとつながり、さらには2016年度の診療報酬改定で新設された、かかりつけ薬剤師・薬局の評価へと発展していった。 2015年度研究における具体的なアウトカムとして、下記の事例が紹介された。たとえば、名古屋大学医学部附属病院では、医師や看護師と協議のうえ承認されたプロトコールに基づき、薬剤師が処方入力支援をしたことにより、臨時処方や緊急処方が減少した。また、薬剤師外来でのワルファリン療法におけるPBPMにより、PT-INR値が目標治療域に達する患者割合が増加した例なども挙げられた。 地域医療の事例としては、茨城県笠間市の禁煙治療プログラムにおける、プロトコールに基づく薬剤師介入後の禁煙率上昇などが報告された。一方で、地域におけるPBPMは、複数の施設間での合意が必要となるため、医療機関のような同一施設内よりも、導入・実施がより難しいことが指摘された。 2010年度の厚生労働省医政局長通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」(医政発0403第1号)では、薬剤師を積極的に活用することが可能な業務の1つとして、「薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること」が挙げられている。しかしながら、同研究班の調査によると、同業務を5割以上実施している医療施設の割合は、2013年時点で約15%にとどまっている。同研究班では、最終報告書策定に向けて、現在PBPMの導入マニュアルを作成しており、今後、医療現場での活用が期待される。

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見落とされがちな抗うつ薬の副作用(解説:岡村 毅 氏)-481

 本論文は、新規抗うつ薬の有害事象に関して、それぞれの論文ではなく、治験総括報告書(規制当局より提供を受けた)を集めて分析したものである。主要評価項目は、死亡と自殺関連行動(自殺、自殺企図、自殺念慮)、副次評価項目は攻撃的行動とアカシジアであった。 個人の臨床家として感想を記載したい。まずは結果に関してであるが、死亡は有意差なし、自殺関連行動は成人では有意差ないものの未成年では投薬群が高かった(オッズ比2.39、95%信頼区間:1.31~4.33)。攻撃的行動も、成人では有意差ないものの未成年では投薬群が高かった(オッズ比2.79、95%信頼区間:1.62~4.81)。 これは近年、未成年(あるいは若年成人)には抗うつ薬投与を慎重に行わねばならないという、臨床現場の共有認識を支持するものだ。こうした懸念は、すでにFDAも表明しているとおりだが、論文中ではさらに、GlaxoSmithKline社がすべての年代において自殺関連行動の頻度が高くなる危険性を表明していることを評価している。 また、考察に関してであるが、治験における有害事象のモニターと公開が不十分である可能性を鋭く指摘している。これは、われわれ臨床家は処方に当たって知っておいたほうがよい指摘だ。確かに、抗うつ薬の進歩によって、多くの患者さんの利益になったことは事実であろう。また、精神疾患に対する偏見もずいぶんと減って、多くの患者さんが軽症の段階で受診し、以前よりも有害事象の少ない新規抗うつ薬により、早期の社会復帰をしているのも事実であろう。かつては、外来に家族を連れてきた親御さんに「本当に思い切って来たんです。こんなところに来たことが近所に知られるともう終わりです」と言われ、悲しくなると同時に、もっと早く来ればもっと良くなったのにと悔しい気持ちになったことを思い出した。今の若い先生方には信じられないかもしれないが…。まあ、裏表のない方だからそういう発言をするわけで、その後、その方とはよき信頼関係を結んだことを申し添える。 多くの方に精神科薬物治療を提供できる時代だからこそ、薬を飲めばもう100%大丈夫などという認識を修正し、薬剤なのだから有害事象もありえること、それ以外の治療選択肢もありえることが、あらためて認識されるべき時期になったのだろう。例えていうならば、「飛行機が開発されて移動は便利になった、良かった、安全は二の次だ」ではなく、だからこそ事故を少しでも減らす(ゼロを目指す)努力を続けねばならないというようなものだ。そのためにも、治験の有害事象のモニターをもっと厳密にするべきだという、著者らのかねてからの主張は常識的だ。 医師としてつくづく実感するが、人とは脆弱な存在だ。だから、人を助けることは崇高なことであり、これこそが創薬の根源的な動機だと思う。しかし、抗うつ薬は断じて魔法ではなく、人間による営みであることを忘れてはならない。私は、本論文を読んで(年をとったせいかもしれないが)、公衆衛生学者から製薬研究者への建設的なメッセージととった。 なお、本コラムの内容は担当者個人の見解に基づいており、東京都健康長寿医療センター・東京大学の見解を示すものではありません。無断転載を禁じます。

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Vol. 4 No. 3 巻頭座談会 脂質管理の今を整理する  循環器医に必要な知識はなにか?

宮内 克己 氏順天堂大学大学院 医学研究科循環器内科森野 禎浩 氏岩手医科大学 内科学講座循環器内科分野2013年秋にACC/AHAが発表したコレステロール管理ガイドラインは、臨床現場に大きな議論をもたらした。LDLコレステロールの治療目標はどうあるべきか?treat to targetか? fire and forgetか?the lower, the betterの解釈は?最近のエビデンスも踏まえ、現時点の脂質管理のあり方を整理する。LDL-C高値による心血管疾患の発症リスク森野: 冠動脈疾患患者の2次予防において、脂質管理は重要な課題です。1989年に初のスタチン、2000年にストロングスタチンが登場したことで、われわれの脂質管理は大きく変化しました。一方、スタチンで抑制できない残存リスクも明らかとなり、新しい脂質異常症治療薬の開発も進んでいます。本誌の読者はすでに脂質管理について十分な知識をおもちと思いますが、そのうえで脂質管理をどう行うべきかについて、オピニオンリーダーとして多くのエビデンスを発信されている宮内先生にお話をうかがいながら、知識を深めていきたいと思います。宮内先生、よろしくお願いいたします。はじめにLDLコレステロール(LDL-C)に関する研究や考え方についてまとめていただけますでしょうか。宮内: LDL-Cが高ければ予後が悪く、下げれば予後が改善するというLDL-C仮説は、もともと高LDL-C血症が心筋梗塞のリスクであるという疫学研究、家族性高コレステロール血症(FH)では早発性の心筋梗塞が認められるという臨床的観察、動物にコレステロールを負荷すると粥状硬化が認められるという実験の3つが根拠となっています。ここでもう一度、近年の研究について見直してみます。疫学研究については、20代男子大学生約1,000人を30~40年追跡した米国の調査で、総コレステロール高値が心血管イベントに関与することが1993年に報告されました1)。この研究で注目されるのは、追跡後15~20年以降にイベント発現の差がみられ始めた点です。つまり、コレステロール高値が何年つづいているかの“積分”が重要であることを意味しています。このことは、家族性高コレステロール血症をみるとよくわかると思います。未治療の場合、非FHの脂質異常症では55歳で累積LDL-Cが心血管イベント発症閾値に達するのに対し、ヘテロ接合体FHでは35歳、ホモ接合体FHでは12.5歳で到達すると推定されています2)。日本の疫学調査としては、心血管疾患の既往歴のない一般住民を22年間追跡したCIRCS研究において、冠動脈疾患発症リスクが有意に増加するLDL-Cの閾値は80mg/dLであることが示されています3)。LDL-Cはthe lower, the better宮内: 次に、これまでのスタチンを用いた介入試験の結果をまとめると、2次予防も1次予防もイベント減少はLDL-C低下と相関していることは明らかです(図)4,5)。2次予防は70mg/dL、1次予防は100mg/dLまでのエビデンスが構築されています。CTT(Cholesterol Treatment Trialists')の2010年のメタ解析では、介入前のLDL-Cにかかわらずスタチンは心血管イベンの相対リスクを22%減少させることが認められました6)。急性冠症候群(ACS)は発症後早期からアトルバスタチン80mgを投与することで、非投与群に比べ心血管イベントが有意に低下することもMIRACL試験で示されています7)。こうしたことから、2012年のESC/EAS(欧州心臓病学会/欧州動脈硬化学会)脂質異常症管理ガイドラインでは「ハイリスク患者はLDL-C 100mg/dL以下、 2次予防ハイリスク患者はLDL-C 70mg/dL以下、ACSは入院中にストロングスタチン高用量をLDL-C値に関係なく早期に使用すること」が推奨されることになったわけです。そして、2013年、ACC/AHA(米国心臓病学会/米国心臓協会)は動脈硬化性心血管疾患(atherosclerotic cardiovascular disease : ASCVD)予防のためのコレステロール管理ガイドラインを発表し、スタチンの有用性が期待できる4つの患者群を示したうえで、ASCVD患者にはストロングスタチンを高用量で使用すべきと、いわゆる“fire and forget”の概念を提唱したのです。森野: この、fire and forgetの考え方はさまざまな議論を呼びましたね。宮内: これまでの研究で、LDL-C値は70mg/dL以下にすべきことはわかってきたけれども、それをターゲットにすることは、裏を返せば70mg/dL以下は介入しなくてよいということになります。しかしそのようなエビデンス、つまりどこまで下げればリスクが最も小さくなるかというエビデンスはないわけです。一方で、スタチンによりLDL-Cを下げすぎても死亡率は増加しないというデータはあります。こうしたことから、目標値は設定しないという考え方がでてきたのだと思います。英国のコホート研究でも、急性心筋梗塞(AMI)発症後にスタチンを中止すると、AMI前後ともスタチン未使用者より予後が有意に悪いことが示されています8)。この結果は、まさにfire and forgetの重要性を示唆していると思います。森野: 日本では、既往があればLDL-Cに関係なく高用量スタチンを投与するという欧米の考え方に違和感をおもちの先生方は少なくないと思いますが、その背景をあらためて振り返ってみると理解しやすいですね。宮内: LDL-Cは“lipid-modifying treatment、the lower, the better”が世界の潮流となっています。図 LDL-C値と冠動脈疾患イベント発症率の関係画像を拡大する超ハイリスク患者ではLDL-Cが低下してもスタチン継続を森野: そうしますと、2次予防ではLDL-Cが正常値でも介入が必要ということでしょうか。宮内: 2012年のCTTメタ解析では、5年間で起きる心血管イベントリスクで5群に分けてみても、リスクに関係なくスタチンによるLDL-C低下に比例して心血管イベントが減少することが示されました9)。どの群でも、心血管イベント数の減少率は同じです。しかしよくみると、絶対数は、当然ながらリスクが高いほど大きいことがわかります。また、最近、IMPROVE-IT試験の結果が発表され、ACSによる入院10日以内のハイリスク患者はスタチン+エゼチミブでLDL-C値を約55mg/dLに低下させると、スタチンのみで約70mg/dLに低下させた場合に比べ、心血管イベントのリスクが7年間で6.4%減少と、軽度ながら有意差が認められました10)。この試験は、スタチンにスタチン以外の薬剤を併用することでさらなるLDL-C低下をめざした治療の有効性が示された点で、たいへん注目されています。ただし、どのような患者群で脂質低下によるイベント減少効果が大きかったかを層別解析でみてみると、有意差が認められたのは糖尿病群と非糖尿病群の間だけでした。つまり、ACSかつ糖尿病という超ハイリスク患者ではthe lower, the betterが証明されたということです。実際は、全体でみても今回の結果はこれまでの臨床試験で示されているLDL-C低下と心血管イベント低下の直線上に乗っており、the lower, the betterを示した点で非常に価値の高い試験といえます。また、この結果を導いたのが特に超ハイリスク患者であることに大きな意義があると思います。森野: 見事にほぼ直線ですね。日本人でも、このthe lower, the betterがあてはまるでしょうか。宮内: 傾きは違うと思いますが、ほぼ直線になるという印象はもっています。これまで日本人でハードエンドポイントをめざした大規模臨床試験はありませんでしたが、現在、慢性冠動脈疾患患者を対象に積極的脂質低下療法と通常療法を比較するREAL-CAD試験が行われており、その結果が出ればはっきりすると思います。日本人でも超ハイリスク患者はthe lower, the better森野: 実際のところ、日本人の場合、LDL-Cの管理はどうすべきとお考えですか。宮内: 日本人のエビデンスには、ESTABLISH、JAPAN-ACS、COSMOS試験などがあります。前2者がACS、後者が安定型冠動脈疾患を対象に、冠動脈プラークの進展・退縮を検討した試験ですが、いずれも日本で使用可能なストロングスタチンの最大用量によりLDL-C値は80mg/dLまで低下し、プラーク退縮が認められました。代替エンドポイントですが、プラーク退縮に依存してイベントが減少することが示されており、2次予防ではスタチンの最大用量を少なくともある一定期間は用いたほうがよいと考えています。森野: 実地医家の多くが最大用量は使っていないのが現状ですね。宮内: 日本人のエビデンスがないからだと思います。森野: JAPAN-ACSでは、糖尿病群でプラークの退縮率が悪かったという結果でしたね。宮内: はい。おっしゃるとおり、糖尿病患者も非糖尿病患者もLDL-Cの低下はほぼ同じでしたが、プラーク退縮率は13%および19%で、糖尿病群が低値でした。そこで当院では、より大きなLDL-C低下により退縮率がどうなるかを検討するため、ACS患者を対象にスタチン+エゼチミブ併用療法とスタチン単独を比較するZEUS(eZEtimibe Ultrasound Study)を行いました。IMPROVE-IT試験が発表される前のことです。結果は、LDL-Cの低下は糖尿病の有無にかかわらず併用群で大きかったのですが、プラーク退縮率は非糖尿病患者では単独群と併用群で差はなかったのに対し、糖尿病患者では併用群のほうが有意に大きいことが認められました11)。森野: ACSや糖尿病患者では、より厳格なLDL-C低下をめざすことで大きなベネフィットが得られるということですね。宮内: はい。ZEUSの結果が意味するところはIMPROVE-IT試験と同じであり、日本人でも超ハイリスク患者ではthe lower, the betterといえるのではないかと思っています。さらなるLDL-Cの低下をめざして森野: the lower, the betterということは、いったいどこまで下げればよいのでしょうか。宮内: 胎児レベルまでLDL-Cを低下させると心血管イベントを減少できるのではないかと考えられています。つまり、イベントがゼロになるLDL-Cのポイントがあって、それが胎児の値の25~29mg/dLといわれています12, 13)。そこで、LDL-Cを約30mg/dLまで低下させたらどうなるかという仮説のもと、盛んに研究が行われています。そのなかで注目されているのが、LDL-C受容体とPCSK9です。PCSK9は、周知のとおり2003年にFHの原因遺伝子として同定されたプロテアーゼで、LDL受容体と結合しこれを分解します。PCSK9があるとLDL-Cは肝臓表面のLDL受容体に結合し受容体ごと貪食されるため、LDL受容体のリサイクルが障害され血中からのLDL-C取り込みが低下、すなわちLDL-C値が増加しますが、PCSK9がないとLDL-Cのみが貪食されLDL受容体はリサイクルされて肝臓表面に戻るため血中からのLDL-C取り込みが高まり、LDL-C値が低下します。このメカニズムに着目して開発されたのがPCSK9阻害薬です。日本でも抗PCSK9モノクローナル抗体製剤の臨床開発が進んでいます。evolocumabはすでに2015年3月に承認申請がなされ、alirocumabは第III相試験を終了し、ほかにbococizumabとLY3015014はそれぞれ第II/III相および第II相試験が行われているところだと思います(CareNet.com編集部注:本記事は2015年9月発行誌より転載)。最近、evolocumabとalirocumabの長期成績が発表され、どちらもスタチンに併用することでLDL-Cを低下させ、心血管イベントを減少させることが示唆されました。この2剤の臨床試験24件、合計約1万例のメタ解析でも、全死亡、心血管死、心筋梗塞ともに約50%リスクを減少すると報告されています14)。森野: ここまでのところをまとめますと、LDL-Cの高さと持続期間の積分が重要という概念は理解しやすく、介入後もやはり10年、15年というスパンで考えなくてはならないことがよくわかりました。将来的にはストロングスタチンよりさらに強力にLDL-Cをコントロールできる時代が来ると思われますが、いまは高用量のストロングスタチンがベストセラピーであり、若年者ほどより早期に介入されるべきということですね。宮内: はい。若年といっても2次予防の患者さんは40代、30代後半になると思いますが、LDL-C値に関係なく積極的に介入すべきだと考えています。HDL-Cを増やしても心血管リスクは減らない森野: 次にHDLコレステロール(HDL-C)の話題に移りたいと思います。一般的に若年者はHDL-Cが低くLDL-Cはそれほど高くないので、薬物介入が難しいのが現状です。宮内: そうですね、特に若年者ではHDL低値が非常に影響することは事実だと思います。日本人を対象とした調査では、HDL-Cが40mg/dL以下で虚血性心疾患、脳梗塞の合併率が高いことが示されています。森野: 残存リスクとしてHDL-Cはやはり重要なのでしょうか。つまり、スタチンを十分使っていてもHDL-C低値はイベントリスクに関与するんでしょうか。宮内: その点について非常に重要な示唆を与えてくれるのが、TNT試験の事後解析です。LDL-Cで層別化した場合、70mg/dL未満であってもHDL-Cが最低5分位群は最高5分位群より心血管疾患リスクが高いことが示されました15)。やはりカットオフ40mg/dLを境に、HDLが低くなるとイベントが多くなることが明らかになっています。森野: そうすると、次のステップは介入ということになりますが、その方法はありますか。宮内: HDL-Cの増加にはコレステリルエステル転送タンパク(CETP)が重要と考えられています。簡単にいえば、HDL-CはCETPによって分解されるので、これを阻害すればHDL-Cが増え、LDL-Cを引き抜いてくれるだろうという理論になるわけです。実際、CETP阻害薬としてdalcetrapib、torcetrapib、anacetrapib、evacetrapibなどの開発が進められています。しかし残念ながら、dalcetrapibはHDL-Cが30~40%増加したものの心血管イベント抑制効果は認められず、torcetrapibもHDL-Cが増加しLDL-Cが減少したものの全死亡と心血管死が増加し、いずれも開発中止となりました。そのほか、ナイアシンやフィブラート系薬でも検討されていますが、いずれにおいても心血管イベント低下は示されていません。HDL-C低値は、確かに悪影響を及ぼしているけれども、薬物介入によってHDL-Cを増加させてもポジティブな結果は得られていない、というのが現状です。森野: CETP阻害薬の場合、HDLはmg/dLという量でみると増えていますが、働く粒子の数はむしろ減っているのではないかという議論がありますね。宮内: 賛否両論があって、現時点でははっきりした結論は出ていません。森野: LDL-Cをターゲットにして、結果としてHDL-Cが増加することがあると思いますが、それはどうなのでしょうか。宮内: 最近、スタチンやナイアシン投与によりHDL-Cが有意に増加するけれども、メタ回帰分析を行うとLDL-Cで調整したHDL-C増加はイベントリスクと関連していないことが報告されています16)。森野: ということは、スタチンで副次的にHDL-Cが増えることは意味がないと。宮内: はい。もともとその増加量は絶対値でみるとわずかですから、ポジティブな結果は出ないと思います。中性脂肪も介入の効果は確立されていない森野: 中性脂肪の管理についてはいかがでしょうか。LDL-Cと中性脂肪の両方が高い場合はどうするか、いまだに悩ましい問題です。宮内: 中性脂肪が残存リスクであることは間違いありません。当院で1984~1992年に血行再建を行った連続症例を約11年追跡したところ、試験開始時の空腹時中性脂肪値が心血管死と有意に関連しており17)、200mg/dLがカットオフであることが推察されました。実はPROVE IT-TIMI22試験の事後解析でも、LDL-C 70mg/dL未満の症例のみでは中性脂肪200mg/dL以上で200mg/dL未満よりACS後30日以内の心血管イベントリスクが有意に高いことが報告されています18)。これらの結果から、2次予防における中性脂肪のカットオフ値は200mg/dLと考えられます。ただし、介入試験のデータはほとんどないのが現状です。唯一、ポジティブな結果が得られているのは高リスク2型糖尿病患者を対象としたACCORD試験で、中性脂肪204mg/dL以上かつHDL-C 34mg/dL以下の患者のみフィブラート併用の有効性が認められました19)。森野: そうしますと、HDL-Cも中性脂肪も残存リスクとしての価値があることはわかっているけれども、薬物介入の有効性は証明できていないので、脂質管理において重要なのは、やはりスタチン高用量といえるわけですね。宮内: ええ。ただし、運動と食事療法が重要であることはいうまでもありません。脂肪酸の重要性と介入の可能性森野: 食事療法といえば、最近は脂肪酸がたいへん注目されています。現在、宮内先生が中心となり大規模介入試験も進行中ですが、その話題も含め脂肪酸に関する知見をまとめていただけますか。宮内: 脂肪酸が注目されるきっかけになったのは、全国11保健所を拠点に多くの医療機関が共同で行っている長期コホート研究(JPHC研究)です。この研究は、心血管疾患との既往のない40~59歳の日本人約41,000人を1990年~2001年まで追跡したもので、魚食に由来するn-3系脂肪酸摂取が2.1g/日と多い群は、少ない群(0.3g/日)に比べCHD発症リスクが有意に低いことが示されました20)。興味深いことに、血中EPA・DHA濃度が高い方は脂質コアが小さくて線維性皮膜が厚く、プラーク破綻を生じにくい性状であることもわかってきました。また、久山町研究でも、血清EPA/AA比は心血管疾患発症や死亡の有意な危険因子であることが示されました。血清EPA/AA比はEPA摂取量に依存することから、やはりEPAを多く摂取するとイベントが少ないといえると思います。では介入したらどうなるか。動物実験では、ApoE欠損マウスに西洋食または西洋食+EPAを13週間投与すると、動脈硬化病変は後者が前者の1/3と有意に少ないことが認められました。経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行した脂質異常を合併する安定狭心症またはACS患者を対象にスタチンまたはスタチン+高純度EPAを投与しプラークの性状を検討した報告では、9か月後、スタチン単独群に比べEPA併用群で線維性被膜厚の有意な増加、脂質性プラークの角度と長さの有意な減少が認められ、EPAは不安定プラークを安定化することが示されています。さらに、JELIS(Japan EPA Lipid Intervention Study)でも、冠動脈疾患の既往歴のある患者はスタチン+EPA併用により非併用と比べ心血管イベントが19%有意に減少することが認められ、その後の解析でも血漿EPA/AA比が高い群ほど冠動脈イベントの発症リスクは低く、1番高い群(血漿EPA/AA比1.06以上)は1番低い群(血漿EPA/AA比0.55以下)に比べ、突然心臓死または心筋梗塞の発症リスクが42%有意に低下することが示されました。これらの結果を踏まえ、現在、RESPECT-EPA試験が行われています。慢性冠動脈疾患患者約4,000例を対象に、対照群(通常治療)とEPA群(通常治療+高純度EPA製剤追加投与)にランダムに割り付けし、心血管イベント抑制効果を比較検討するもので、EPA/AA比とイベント発症との関連も検証する予定です。森野: たいへん興味深い試験で、結果が楽しみです。いまおっしゃったようなデータに基づいて考えると、魚を食べるという日本の食習慣が変化してきていることに危惧を感じますね。これは食育という学校教育の課題ではないかと常々思っています。宮内: 私も同じ意見です。教育、文化の見直しは非常に重要だと感じています。脂質管理で重要なのはー今後の課題森野: 最後に、循環器医に必要な知識としてなにかメッセージをお願いいたします。宮内: わが国における現在の動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、2次予防におけるLDL-Cの管理目標値が100mg/dL未満と設定されていますが、根拠となる国内の大規模臨床試験はありませんし、しかも層別化されていないので不十分だと考えています。また、1次予防でいうところのハイリスク、すなわち糖尿病、慢性腎臓病、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患については特に考慮すべきと思います。これらハイリスク群は、1次予防においてLDL-C 120mg/dL未満と設定されていますが、2次予防と同じように扱い、スタチンの使用や生活習慣の改善に対する介入が大切だと思います。こうしてあらためて振り返ってみますと、繰り返しになりますが、食育をはじめとした教育の問題が重要で、今後は若い人に対してどのように啓発していくかも大きな課題といえるでしょうね。森野: 本日は「脂質管理のいまを整理する」というテーマで宮内先生とお話をしてきました。LDL-C、HDL-C、中性脂肪、そして脂肪酸と幅広くレビューしていただき、脂質管理についての知識を整理するとともに、現在のわが国における脂質管理の問題点や課題も認識できたのではないかと思います。宮内先生、ありがとうございました。文献1)Klag MJ et al. N Engl J Med 1993; 328: 313-318.2)Nordestgaard BG et al. Eur Heart J 2013; 34: 3478-3490a.3)Imano H et al. Prev Med 2011; 52: 381-386.4)Rosenson RS. Exp Opin Emerg Drugs 2004; 9: 269-279.5)LaRosa JC et al. N Engl J Med 2005; 352: 1425-1435.6)CTT Collaboration. Lancet 2010; 376: 1670-1681.7)Schwartz GG et al. JAMA 2001; 285: 1711-1718.8)Daskalopoulou SS et al. Eur Heart J 2008; 29: 2083-2091.9)CTT Collaboration. Lancet 2012; 380: 581-590.10)Cannon CP et al. N Engl J Med 2015; 372: 2387-2397.11)Nakajima N et al. IJC Metab Endocr & Endocrine 2014; 3: 8-13.12)清島 満ほか. 臨床病理 1988; 36: 918-922.13)Blum CB et al. J Lipid Res 1985; 26: 755-760.14)Navarese EP et al. Ann Intern Med 2015; 163: 40-51.15)Falk E et al. N Engl J Med 2007; 357: 1301-1310.16)Hourcade-Potelleret F et al. Heart 2015; 101: 847-853.17)Kasai T et al. Heart 2013; 99: 22-29.18)Miller M et al. J Am Coll Cardiol 2008; 51: 724-730.19)ACCORD Study Group. N Engl J Med 2010; 362: 1563-1574.20)Iso H et al. Circulation 2006; 113: 195-202.

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日本人統合失調症患者のMets有病率を調査:新潟大学

 統合失調症患者はメタボリックシンドローム(Mets)リスクが高いが、Mets有病率は民族間で異なる。また、Metsの誘因となる運動不足や偏食などの環境的要因は、統合失調症の入院患者と外来患者とでは異なる可能性がある。日本のメンタルヘルスケアシステムは他国とは異なるが、これまで、日本人統合失調症患者におけるMets有病率の調査はほとんどなかった。新潟大学の須貝 拓朗氏らは、入院および外来の日本人統合失調症患者におけるMetsの有病率を明らかにするため全国調査を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2016年1月22日号の報告。 外来施設520ヵ所、入院施設247ヵ所へのアンケートにより、Metsリスクの検討を行った。対象となった統合失調症患者は外来患者7,655例、入院患者1万5,461例であった。Metsの有病率は、National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III(ATP III-A)、日本肥満学会(JASSO)の定義に基づいた。 主な結果は以下のとおり。・ATP III-Aの定義によるMets有病率は、外来患者で34.2%(男性:37.8%、女性:29.4%)、入院患者で13.0%(男性:12.3%、女性:13.9%)であった。・外来患者におけるMets有病率は、入院患者よりも約2~3倍高かった。 結果を踏まえ、著者らは「日本人統合失調症の外来患者におけるMetsの有病率は、入院患者よりも約3倍高い。このことから、外来患者と入院患者の健康特性の違いを考慮したうえで、統合失調症患者の身体疾患のリスクにもっと注意を払う必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か 第二世代抗精神病薬、QT延長に及ぼす影響:新潟大学

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喫煙者のQOL低下、中枢気道虚脱が関連/JAMA

 喫煙者(元喫煙者も含む)では、呼気時の中枢気道虚脱(ECAC)が呼吸器QOLの悪化と関連していることを、米国・アラバマ大学のSurya P. Bhatt氏らが、COPDGene研究で得られた呼気・吸気CT画像を解析し、明らかにした。ECACは、呼気時に気道が50%以上狭窄する病態として定義され、気管軟骨の脆弱化や気管後壁(膜性壁)の過伸展により生じる。喫煙や慢性閉塞性肺疾患(COPD)と関連するといわれているが、ECACの有病率や臨床的意義はわかっていなかった。JAMA誌オンライン版2016年2月2日号掲載報告。喫煙者約9,000例の吸気呼気CT画像を評価、ECACと呼吸器QOLとの関連を解析 研究グループは、米国21施設で実施されている大規模多施設観察研究COPDGeneに登録された45~80歳の現喫煙者および元喫煙者(COPDと喘息以外の肺疾患を有する人は除外)計8,820例について、ベースラインの吸気呼気CT画像を解析し、基礎肺疾患とは独立してECACの存在が呼吸器QOLなどと関連しているかどうか検討した。登録期間は2008年1月~11年6月で、14年10月まで、3~6ヵ月ごとに自動通信システムによるアンケート調査にて追跡調査を行った。 ECACの評価は、まず研究者が盲検下でベースラインのCT画像から気道の短軸径(大動脈弓部、気管分岐部、中間気管支幹の3ヵ所)を測定し、吸気から呼気終末までに30%以上減少(気道断面積の50%減少に相当とみなす)している患者をECAC陽性患者とした。さらにこの陽性患者のCT画像を胸部放射線科医2人と呼吸器科医1人が評価し、ECAC患者を確定した。 主要評価項目は、ベースラインの呼吸器QOLで、疾患特異的な健康関連QOL評価尺度St George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)を用いて評価した(SGRQスコアの範囲:0~100、臨床的に意味のある最少差[MCID]は4)。副次評価項目は、ベースラインにおける息切れ(修正MRC[mMRC]息切れスケール質問票による評価:範囲0~4、MCIDは0.7)、6分間歩行距離(American Thoracic Societyガイドラインに基づく評価:MCIDは30m)、および追跡期間中の増悪頻度(件/100人年)とした。ECACの存在と、呼吸器QOL低下および息切れの強さが有意に関連 8,820例(平均年齢59.7歳、男性56.7%、現在喫煙51.7%)中、443例でECACが確認された(有病率5.0%)。ECAC患者は非ECAC患者と比較して、ベースラインのSGRQスコアが悪かった(30.9 vs.26.5、p<0.001、絶対差:4.4、95%CI:2.2~6.6)。ベースラインのmMRCスコア(平均±SD値:1.7±1.5 vs.1.3±1.4、絶対差:0.4、95%CI:0.2~0.6、p<0.001/中央値:2.0 vs.1.0)、6分間歩行距離(399m vs.417m、絶対差:18m、95%CI:6~30、p=0.003)もECAC患者で不良であった。 年齢、性別、人種、BMI、FEV1(1秒量)、喫煙量(箱・年)、肺気腫で補正した多変量解析の結果、ECACは呼吸器QOL悪化および息切れの強さと有意に関連していた(いずれもp=0.002)。一方、6分間歩行距離低値との関連は認められなかった(p=0.30)。 追跡データが得られたのは7,456例(ECAC患者443例中413例[93%]、非ECAC患者8,377例中7,043例[84%])で、追跡期間中央値4.3年(範囲:0.2~6.7年)において、ECAC患者で非ECAC患者と比較し増悪頻度(58 vs.35件/100人年、発症率比[IRR]:1.49、95%CI:1.29~1.72、p<0.001)、および入院を要する重篤な増悪の頻度(17 vs.10件/100人年、IRR:1.83、95%CI:1.51~2.21、p<0.001)が増加した。 著者は、「喫煙者における呼気時のECACと呼吸器QOL悪化について、さらなる研究で長期的な臨床転帰との関連を評価する必要がある」とまとめている。

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肥満イコール不健康ではない

 BMIで肥満であることが必ずしも不健康であるとは言えないようだ。今回、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のA. Janet Tomiyama氏らが報告した研究によって、BMIは心血管代謝の健康と相関するものではないことが明らかになった。International Journal of Obesity誌オンライン版2016年2月4日号に掲載。 本研究では、2005~12年に米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した18歳以上の成人4万420例を対象に、血圧、トリグリセライド、コレステロール、グルコース、インスリン抵抗性、C反応性蛋白の値を用いて代謝的に健康な人と不健康な人の集団内頻度と割合を算出し、BMIにより層別化した。 結果は以下のとおり。・過体重者の約半数、肥満者の29%、さらに肥満度II~IIIの肥満者の16%が代謝的に健康であった。・正常体重者の30%超で、心血管代謝が不健康であった。・人種とBMIの有意な交互作用は見られなかったが、性別とBMIの有意な交互作用が認められた(F(4,64)=3.812、p=0.008)。

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