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BMI(Body Mass Index)と全病因死亡率(全死亡率)の関係は、世界的に大きな注目を集めている1)。また、メタボ症候群との絡みからも、BMIと全死亡率との関係の重要性は増加している2)。2016年5月5日にBMJ誌に掲載されたDagfinn Aune氏らの論文は、BMIと全死亡率の関係に関する大規模システマティックレビューとメタアナリシス(SR-MA)である。 肥満は、病気発症のリスクファクターであるとの考えはおおむね受け入れられているが、一部では逆説的に肥満はリスクの軽減につながるとの考えもある(obesity paradox3))。本論文は、BMIと全死亡率の関係について、出版済みの信頼に足るコホート研究論文を厳選・収集のうえ検討した大規模SR-MA論文であり、私見を交え論評する。目的:BMIと全死亡率リスクのコホート研究に関するSR-MAの実施、ならびに用量反応曲線の形と最下点および喫煙、病気に関係した体重減少、臨床前疾患による交絡が結果に及ぼす影響を明らかにすることである。データソース:PubMedおよびEmbaseのデータを2015年9月23日まで追跡検索した収集コホート論文を系統的にレビューし、メタ解析のソースとした。対象とした研究選択について:全死亡率に関係する少なくともBMIの3つのカテゴリーに対して、全死亡率の調整済みリスク推定値(ハザード比[HR]またはリスク比[RR])を報告しているコホート研究。データ合成:要約相対リスクをランダム効果モデルを用いて計算し、非線形関係はfractional polynomial modelを使用して解析した。結果:230件のコホート研究(207出版済み)が分析対象となった。 非喫煙者の分析は、73万8,144人を超える死亡と997万6,077人を超える参加者から成る53コホート研究(44リスク予測値)を含んでいた。全参加者の分析は、3,023万3,329参加者中374万4,722人を超える死亡を含む228コホート研究(198リスク予測値)を使用した。 非喫煙者では、BMIの5単位の増加で要約相対リスクは1.18(95%信頼区間1.15~1.21:I2=95%、n=44)、非喫煙健康者では1.21(1.18~1.25:I2=93%、n=25)、短期フォローアップ研究を除外した非喫煙健康者では1.27(1.21~1.33:I2=89%、n=11)、ならびに全参加者では1.05(1.04~1.07:I2=97%、n=198)であった。非喫煙者(Pnon-linearity<0.001)においては、J字型の用量反応関係を認め、リスク最少の非喫煙者ではBMI 23~24、非喫煙者ではBMI 22~23、そして、20年以上フォローアップ中の非喫煙者研究ではBMI 20~22であった。対照的に、現喫煙者、喫煙経験者(元喫煙者)ではバイアスの可能性が高い分析や、フォローアップ期間(5年または10年未満)が短い研究、質が中等度の研究ではBMIと死亡率の間にU字型関係がみられた。コメント:過体重と肥満は全死亡率のリスク増加に明らかに関係があり、用量反応曲線の最下点が全非喫煙者ではBMI 20~25の範囲で観察された。可能性のある交絡因子を除去することで超健康者のBMIは23~24に近づくことが示された。また、体重減少者で観察された死亡率の増加は、少なくとも部分的には診断前疾患との残留交絡によって引き起こされた可能性が高い。喫煙、有病率の高い臨床前疾患、フォローアップ期間の短い集団を除外しきれていないことが残留交絡を招き、BMI-全死亡率関係(用量反応曲線)をJ字型からU字型に変形させる傾向を増強した。 この論文で指摘された、J-U字変形パターンの変化は、交絡因子の関与が増えればBMI-全死亡率関係をJ-U字変形させ、BMIが増えても減っても全死亡率を増加させる可能性を示唆しているのかもしれない。喫煙を含む背景因子の正確な把握が、BMIの正しい評価にとって必要不可欠であることを強調した研究でもある。体重減少に関しては、交絡因子の徹底追究と行き過ぎた体重減量を自戒することが何よりも大切である。